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鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。鎌状赤血球症患者230例でL-グルタミンの有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、2010年6月~2013年12月に、鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球-β0サラセミアで、過去1年間に2回以上の疼痛発作(外来または入院期間中に、救急治療部で麻薬性鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬ケトロラクの非経口投与による治療を要する疼痛)の既往がある患者230例を登録し、医薬品グレードのL-グルタミン投与群(1回0.3g/kg体重を1日2回経口投与)とプラセボ投与群に2対1の割合で無作為に割り付け、48週間治療した。スクリーニングの少なくとも3ヵ月前から安定用量のヒドロキシ尿素を投与されていた患者は、48週間の治療期間中も継続可とした。 有効性の主要評価項目は、48週間の疼痛発作回数とし、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いてintention-to-treat解析を行った。L-グルタミンで疼痛発作が25%、入院回数が33%減少 230例(年齢5~58歳、女性53.9%)のうち、156例が試験を完遂した(L-グルタミン群152例中97例、プラセボ群78例中59例)。 疼痛発作回数中央値はL-グルタミン群3.0回、プラセボ群4.0回で、プラセボ群に比しL-グルタミン群で有意に減少した(p=0.005)。同様に入院回数中央値も、L-グルタミン群2.0回、プラセボ群3.0回で、L-グルタミン群が有意に少なかった(p=0.005)。 両群とも3分の2の患者がヒドロキシ尿素の併用投与を受けていた。プラセボ群と比較しL-グルタミン群で発現率が約5%以上高かった有害事象は、悪心、非心臓性胸痛、疲労、四肢の疼痛、背部痛であった。 なお今回の第III相試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は2017年7月に医薬品グレードのL-グルタミンについて、5歳以上の小児および成人における鎌状赤血球症による急性合併症の軽減を適応症として承認した。

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10代のSNS使用頻度がADHD発症と関連か/JAMA

 2年以上にわたる観察研究で、10代の学生において頻繁なデジタルメディアの使用とその後の注意欠如・多動症(ADHD)症状発現との間に、わずかではあるが統計学的に有意な関連性があることが認められた。米国・南カリフォルニア大学Keck School of MedicineのChaelin K. Ra氏らが、著しいADHD症状のない15~16歳の学生を対象に行った縦断コホート研究の結果を報告した。今回の研究には、参加者の自己報告に基づくことや、デジタルメディアの使用頻度の測定法は確立されていないこと、データが得られなかった参加者が除外されている、ベースライン時に検出されなかったADHD症状が影響した可能性は除外できない、などの限界があり、著者は「この関連が原因であるかどうかを結論付けるには、今後のさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。高校1年生約3千人で、デジタルメディアの使用頻度とADHD症状を2年間追跡 研究グループは、カリフォルニア州ロサンゼルスにある高等学校10校の学生を対象として、2014年9月(10学年[高校1年])~2016年12月(12学年[高校3年])の期間で、6ヵ月ごとに2年間追跡調査を実施した。適格学生4,100例中、高校1年生3,051例(74%)がベースラインの調査を受けた。14種類のデジタルメディアについて、それぞれ1週間の使用頻度を0回、1~2回/週、1~2回/日、複数回/日で自己報告してもらい、複数回/日と回答した場合を「高頻度」と分類するとともに、「高頻度」に該当するデジタルメディア数の合計を算出した(範囲:0~14)。 主要評価項目は、自己評価による調査前6ヵ月間のADHD症状の頻度(まったくない/めったにない[never/rare]、時々[sometimes]、頻繁[often]、非常に頻繁[very often])。9つの不注意症状および9つの多動・衝動症状について、それぞれ「頻繁」または「非常に頻繁」と評価した症状の合計数を算出した。また、どちらかの症状分類で「頻繁」または「非常に頻繁」の症状が6つ以上の場合にADHD症状陽性とした。「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、ADHD症状発現が有意に高率 解析対象は、ベースライン時に著しいADHD症状を有していなかった2,587例(適格学生の63%、女性54.4%、平均年齢15.5歳[SD 0.5])で、追跡期間中央値は22.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:21.8~23.0ヵ月)であった。 ベースライン時に、使用が「高頻度」であった平均デジタルメディア数は3.62(SD 3.30)であった。追跡期間中、「高頻度」の割合が最も高かったのは「ソーシャルメディアのチェック」であった(1,398/2,587例、54.1%)。 ベースライン時に「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、追跡期間中にADHD症状を有する可能性が有意に高率であった(オッズ比[OR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.06~1.16)。この関連は共変量調整後も示された(OR:1.10、95%CI:1.05~1.15)。 追跡期間中にADHD症状が認められた学生の割合は、ベースライン時のデジタルメディア使用が高頻度ではなかった学生495例では4.6%であったのに対して、「高頻度」のデジタルメディアが7種あった学生114例では9.5%(差:4.9%、95%CI:2.5~7.3%)、14種すべてが「高頻度」であった学生51例では10.5%であった(差:5.9%、95%CI:2.6~9.2%)。

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そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

 循環器内科はさまざまな院内サービスを行っているが、その中でも最も重要なものの1つが、心疾患を持つ(もしくは持つと疑われる)患者が心臓外のmajor surgeryを受ける場合のリスク評価に対するコンサルトに答えることではないかと思う。この場合、大体の医師が心疾患による追加的なリスクをまったく考える必要のない群を最軽症とし、これは絶対に手術は無理というものを最重症として5段階評価を考え、それなりの文章を考えて回答している、というあたりが実情なのではないかと思う。 ただ、その場合でも、はっきり○○%という数字を書き込むという方は、まずいらっしゃらないと推察する。というのは、そのようなエビデンスはどこにも存在しないからだ。この問題を考える場合、次のような視点を最低限持っておく必要があると考えるので、箇条書きにしてみる。 ○想定されるリスクは手術技術や機材の進歩、麻酔技術の進歩により変化していくもの  であって、一定ということはあり得ない。 ○上記と関連して、現在効果がないとされている技術(たとえばTAVIなど)も、  技術、機材の進歩により、リスク軽減に有効とされる時が来る可能性が十分にある  ことを想定しておく必要がある。 ○大変記載しにくい事実ではあるが、手術リスクは一般論ではなく、組織の設備、環境  や術者、アシストするスタッフの質、麻酔科医の技量に大きく依存する。 ○どこまでを標準的な術前スクリーニング検査とするかは、国情、医療事情により決定  されるもので、国、地域により一定ではない。また組織によっても異なる。 ○手術リスクをどのように評価するかには、異なった立場がある。患者の最大酸素摂取  量(peak oxygen uptake)を重要とするものもあれば、また、解剖学的な病態  (たとえば冠動脈狭窄の部位と程度)を重視するやり方もあり、どれが正しい、正確  であるかというエビデンスはない(疾病者の最大酸素摂取量をどう求めるかに議論が  あるのはもちろんである)。 ○上記でいえば、わが国は画像診断に比較的重きを置く傾向がある。実際、冠動脈疾患  でいえば、その存在が疑われる症例で冠動脈造影CT検査が行われないという事態は  想定しがたいが、これはわが国がOECD加盟国中CTの普及率、保有台数が第1位で  あるという事情と無縁ではない。 ○国、地域により、主な対象とされる疾患が異なる。欧米のリスク評価はどうしても  冠動脈疾患の比重が大きくなるが、わが国にそれをそのまま応用してよいという保証  はまったくない。たとえば、ACC/AHA、ESC/ESAともに2014年にガイドラインの  改訂を行っているが、これをそのままわが国で用いてよいという保証はない。 ○時代によりリスクに組み込まれる疾患が異なってくる。代表的なものが心房細動の  リスクをどう考えるかで、社会の高齢化と強く関連している。 ○手術リスクをどう位置付けるかは、そのmajor surgeryが対象とする疾患により  異なるはずである。悪性疾患を代表とする生命予後に直結する疾患と、機能予後に  深く関連するようなものでも生命予後には直接結びつかないものとでは、  リスクに対する考え方が異ならなければならない。 読者の皆さんの中にはもっと多くの事項が勘案されるべきだとお考えの方もいらっしゃると思うが、順不同ながらまず代表的なものは出し尽くしているのではないかと思う。 さて、こうした観点を踏まえて本論文を読み返してみると、大変失礼な言い方になるが、その発想があまりにもナイーブなのではないかというのが、私の正直な感想である。 「経験ある麻酔科医によるリスク評価」というが、「主観的」リスク評価をするに当たって、どの程度の術前スクリーニング検査が行われているのだろうか。私も第一線病院で30年以上診療に当たっている者(しかも古いタイプの医師)の1人として、患者に慎重に問診し、慎重な診察を行えば、かなりの確率でリスクを評価できるという自信がないわけではない。しかし、2018年の現在、そのような「主観的な」評価が許されるわけがないではないか。まず心エコー図を中心とした画像診断で状態を把握し(心エコー図の結果のみでリスク評価をしてはならないことはすでに証明されている)、正確な数字や別の観点からの画像が欲しい場合には、MRIやシンチグラムなども併用する。冠動脈疾患の可能性があれば、当然冠動脈造影CT検査を行う。場合によってはカテーテル検査も行う。そのうえで判断を下す。当たり前ではないか。NT pro-BNPについて言及されているが、今どき術前血液検査にBNPもしくはNT pro-BNPの項目が含まれていない採血を行う組織など、少なくともわが国には存在しないと思う。それでも5段階評価くらいはできても数値化まではできない。 エルゴメータによる運動負荷検査が取り上げられているが、現実的とは言えないと思われる。全身状態によってはエルゴメータをこぐことができないことは言うまでもないが、それだけではなく、もし実際に重症冠動脈疾患があった場合、運動負荷そのものが大変に危険であるという事実が指摘されなければならないだろう。少なくとも現在わが国で循環器を専門にしている医師が、狭心症を強く疑われている患者に対していきなり運動負荷を行うということはまずないのではないだろうか。運動負荷がぶっつけで行われる場合があるとするなら、学校検診などで心電図異常を指摘された明らかに健康な若年者に対して形式的なスクリーニングを行うような場合だろうが、これはまったく性格の異なったものであることはご説明するまでもないだろう。議論が冠動脈疾患に偏ったが、大動脈弁狭窄症やDCMなどでも同様の議論がなされることは言うまでもない。 DASIスコアとは――本文に細かい説明がないが――12項目の簡単な質問にYes/No方式で答えていくもので、各項目に重み付けがされており、最後に合計して計算式に当てはめることで、患者の最大酸素摂取量の予測ができるものである。全身状態の悪い患者も対象としなければならない場合、最大酸素摂取量の目安にしようとするならば現実的な方法といえる。本論文によればDASIスコアのみが有効なスクリーニング法だったとあるが、これは本研究のようなデザインをすれば当たり前なのではないだろうか。十分なスクリーニング結果を踏まえない担当医の「主観的」判断と全身状態によって結果に誤差が出て当然の運動負荷と、全員に安全かつ公平に行えるスコアリングを比べれば、結果は比べる前から明らかなのではないのか。本来術前リスク評価とは、どの方法が優れているといった議論の対象ではなく、可能な手段を総動員して行うべきものなのである。 そのほか、著者らのいうmorbidity and mortalityとは何か。なぜ30日を観察期間としたのか。たとえば術後2週間たって心筋梗塞が起こった場合、それと手術をどう関係付けるのか。疑問は多いのだが、それらにはこれ以上触れない。 というわけで、本研究が臨床医の素朴な疑問に答えようとした姿勢は評価するものの、研究の発想、方法はまったく評価できないというのが評者の受けた感想だったのだが、読者の皆さんはどう思われただろうか。

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糖尿病入院患者の血糖コントロールは人工膵臓で自動化されるか?(解説:住谷哲氏)-893

 糖尿病患者数の増加に伴って糖尿病を合併した入院患者の割合も増えている。その結果、筆者も含めて多くの先生方は、血糖コントロール目的以外で他科に入院している患者の血糖コントロールを依頼されることになる(大阪では共観といいます)。ほとんどの患者は感染症、心不全などの治療や手術目的の入院であり、その血糖コントロール目標も<180mg/dLとほぼ確立している。また治療法も基本は持効型インスリンと超速効型インスリンによるBasal-bolus therapyになる。食事をしている患者であれば毎食前および就眠前の4回の自己血糖測定を実施してインスリン量を調節する。これが研修医にとっての大切なトレーニングになっているのであるが、将来このトレーニングも不要になるかもしれないような報告である。 Closed-loop insulin delivery system(以下、人工膵臓とする)は1型糖尿病患者においては実用化しつつあるが、2型糖尿病患者においてはまだ実用化には至っていない。本論文の著者らは、すでに先行研究において2型糖尿病患者における人工膵臓を用いたRCTでその有効性を報告している1)。今回の報告は、前報では英国のみであった実施施設をスイスも含めた2箇所にしたことと、人工膵臓の装着期間を3日から15日まで延長した点が新しい。 結果は血糖値が目標範囲内(100~180mg/dL)であった時間の割合(平均±SD)は、人工膵臓群65.8±16.8%、対照群41.5±16.9%で人工膵臓群が有意に高値であった(p<0.001)。平均血糖値も人工膵臓群154mg/dL、対照群188mg/dLであった(p<0.001)。また低血糖の時間、インスリン投与量に両群間で差はなかった。 筆者も以前は20人以上の共観患者のインスリン量を調節していたこともあるが、当然ながらかなりの労力を要した。人工膵臓の使用が実用化すれば、われわれ医師を含めた医療スタッフの負担は軽減されるのは確実だろう。しかし本試験で示された、人工膵臓で得られる血糖コントロールの改善が、何らかの臨床アウトカムの改善に結びつくか否かは、現時点では不明である。この点が明らかにされるまでは、研修医のためのトレーニングの機会がなくなることはないだろう。

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猛暑の日々【Dr. 中島の 新・徒然草】(231)

二百三十一の段 猛暑の日々地震、豪雨に続いて、大阪では猛暑の日々が続いています。先日はついに車の温度計での外気温が40度となり、エアコンを全力でかけてもなかなか涼しくなりませんでした。病院の建物の中も場所によっては暑く、何台もの扇風機が回っています。当然のことながら暑さにやられて担ぎ込まれてくる患者さんが多く、ベッドも不足勝ちです。あまりにも熱中症が多いので、救急外来では、あらかじめトレイの上に点滴セット、留置針、採血管などを並べたものを準備しておき、患者さんが来たらそのトレイと棚から生食500mLのバッグを持っていけばOKという工夫をしてみました。なんと日勤の終わりには準備していた5つのトレイが全部使われてしまいました。そのくらい多いのが熱中症です。なぜか昼間に熱中症が増えると夜には急性アルコール中毒が増えるような気がします。自分の飲める量を知らない若い人が運び込まれることが多いのですが、中には夜の商売をしている人が飲み過ぎて運び込まれることもあります。こういう人には「客に飲ませるのが仕事でしょ。自分が酔っ払ってどないするんですか!」という突っ込みが入れられます。泥酔した患者さんたちも翌朝になるとケロッとして帰宅されるのですが、先日の若い女子大生はなかなか帰ろうとしませんでした。看護師さんから聞いた事情とは・・・看護師「もうすっかり意識清明なんですけどね」中島「ほな、帰宅やな」看護師「お母さんが来るまで待っているみたいです」中島「そんなもん、自分で帰ったらエエやんか」看護師「服がドロドロになったんで、持ってきてもらうそうです」中島「しゃーないなあ」看護師「お母さんがパンツも持ってきてくれるらしいです」中島「なんじゃそりゃ? そっちもドロドロなんか」看護師「はい」中島「き、聞かなきゃよかった」回診で病室に行ってみると、母娘にペコペコ謝られました。中島「まあ、若いときはこんなこともありますよ。次から気をつけるようにしましょうね」さすがに説教するわけにもいかないので、爽やかドクターを装っておきました。というわけで最後に1句猛暑日は 色々ドラマが うまれけり

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第4回 GERDを発症・増悪させにくいCa拮抗薬は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 胃酸などの胃の内容物が食道に逆流して生じる胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)の原因の1つに、「下部食道括約筋(Lower esophageal sphincter:LES)」の機能低下があります。LESは胃と食道のつなぎ目にあり、胃酸の逆流を防ぐ筋肉ですが、加齢に伴う機能低下だけでなく、嗜好品や生活習慣および薬剤によっても緩まることがあります。GERDは頻度の高い疾患ですので、これらの悪化要因を把握しておくと服薬指導にとても有用です。MSDマニュアルには、下記の記載があります。「逆流をもたらす要因として、体重増加、脂肪食、カフェイン含有飲料、炭酸飲料、アルコール、喫煙、薬物がある。LES圧を低下させる薬物には、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、プロゲステロン、硝酸薬がある」(参考文献1)より引用)実際、アムロジピンの服用開始後にGERDの症状が悪化したと訴え、医師からの指示でアムロジピンを中止したところ症状が改善した患者さんに、私も会ったことがあります。その件の因果関係は不明ですが、今回はCa拮抗薬とGERDの関連について検討した後ろ向きコホート研究を紹介します。Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.対象となったのは、虚血性心疾患や硝酸薬の使用歴がなく、Ca拮抗薬を使用していた高血圧患者で、GERDの既往の有無および、Ca拮抗薬服用前と服用後でGERD症状に変化があったかどうかについてアンケート調査を行っています。15軒の薬局(地域薬局14軒、病院薬局1軒)から371例が登録され、平均年齢64歳、女性51.2%、男性48.8%でした。信頼度が高い方法というわけではありませんが、地域の薬局で研究を行うには現実的な方法ではないでしょうか。Ca拮抗薬服用前後におけるGERD症状の変化は下表のとおりです。画像を拡大するCa拮抗薬服用前からすでにGERDの症状がある130例中59例(45.4%)で、Ca拮抗薬服用により症状の悪化がみられています。症状の悪化の頻度がもっとも高かった薬剤がアムロジピン(61.3%、p<0.0001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(12.5%)という結果でした。Ca拮抗薬服用前にGERD症状がなかった241例においては、85例(35.3%)がCa拮抗薬服用によりGERDを発症しており、もっとも頻度が高かったのがベラパミル(39.1%、p=0.001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(30.7%)という結果でした。ニフェジピンの増悪リスクはジルチアゼムの4.22倍発症・増悪リスクがもっとも低かったジルチアゼムを基準とした場合の、GERD症状の増悪頻度のオッズ比は下表のとおりです。ニフェジピンやアムロジピンにおいて有意にGERDが増加しています。二フェジピンやアムロジピンの添付文書を参照すると、嘔気・嘔吐や腹部不快感、腹部膨満などGERDに類する副作用症状の記載はありますが、明示的にGERDの記載があるわけではないため見落としに注意が必要です。交絡因子を調整しきれる研究ではないため解釈に注意が必要ですが、血管平滑筋を緩めるCa拮抗薬がLESまで緩めてしまう可能性があることは、患者さんの症状を聞き取る際に頭の片隅に入れておくとよいでしょう。1)MSDマニュアル 胃食道逆流症(GERD)(2018年7月16日参照)2)Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.

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ASCO2018レポート 消化器がん(肝胆膵)

レポーター紹介2018年度のASCOも例年と同様に、コーミックプレイス@シカゴにて開催された。消化器がんの中でも肝胆膵領域における注目演題についていくつか報告する。肝細胞がん肝細胞がんにおいて、最も注目された演題は、肝細胞がんにおける2次治療としてラムシルマブとプラセボを比較した第III相試験のREACH-2試験である。ラムシルマブは、以前にも肝細胞がんのソラフェニブ不応・不耐の症例を対象としてプラセボと比較した第III相試験を行い、主要評価項目である生存期間は達成しなかったが、AFPが400ng/mL以上の症例で良好な生存期間の延長が示され、今回、AFPが400ng/mL以上の症例を対象としたやり直しの第III相試験を行った。あまり例のない第III相試験であるが、今回は生存期間の有意な延長(生存期間の中央値:ラムシルマブ群8.5ヵ月 vs.プラセボ群7.3ヵ月、ハザード比0.710(95%CI:0.531~0.959)を認め、主要評価項目を達成した。しかも、全体で292例、ラムシルマブ群197例、プラセボ群97例と、比較的少ない患者数で、ポジティブな結果が得られている。また、生存期間のサブグループ解析を見ても、女性以外ではほぼラムシルマブで良好であり、ソラフェニブの2次治療として有用性が示された。無増悪生存期間もラムシルマブで有意に良好(中央値:2.8ヵ月 vs.1.6ヵ月、ハザード比0.452、95%CI:0.339~0.603、p<0.0001)であり、奏効割合もラムシルマブ群4.6%、プラセボ群1.1%と良好で、病勢制御割合もそれぞれ59.9%と38.9%であり、有意に良好であった。Grade3以上の有害事象はラムシルマブ群で高血圧を高率に認めたが(ラムシルマブ群10.7% vs.プラセボ群3.2%)、忍容性は良好であった。ラムシルマブは、肝細胞がんにおいてバイオマーカーでセレクトした患者を対象として、初めて延命効果を示した薬剤であり、また、マルチキナーゼ阻害薬以外の抗体薬である。そのほか、注目された演題としては、Poster Presentationではあるが、切除不能な肝細胞がんに対するVEGFR阻害薬と抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体の併用療法で、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法である。ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法は、まだ23例と限られた対象での解析であるが、奏効割合(RECIST1.1)が65%と驚異的な成績が示されている。これまでの標準治療であるソラフェニブの奏効割合5~10%と比べると、約10倍の奏効割合である。また、全Gradeの有害事象も食欲減退33%、疲労33%、蛋白尿26%、高血圧21%と、他剤と比べて忍容性も良好であった。これらの有望な結果から、現在、肝細胞がんの初回化学療法例を対象として、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とソラフェニブを比較した第III相試験(NCT03434379)が進行中である。レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は、さまざまながん腫において有効性が期待され開発が進行中である。腎細胞がんではBreakthrough TherapyとしてFDAでも取り上げられており、肝細胞がんに対しても期待されて、第Ib試験が行われた。第I相パートにおいて、6例の患者で投与量規制毒性がないことを確認し、拡大コホートで、初回化学療法の患者24例に投与された。主な有害事象は食欲減退、高血圧であった。最良効果判定にて、増悪と判定された例はなく、ほとんどすべての症例で縮小傾向であった。また、多くの症例で、奏効が長期間続いており、いわゆる“durable response”も認められた。このように、これまでの標準治療であるソラフェニブでは、延命効果は得られるが、なかなか腫瘍縮小効果が得られないと言っていた時代から、約半数の症例で縮小が期待できる時代に突入した。今後の肝細胞がんの化学療法は、これらのVEGF阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が中心に開発が進んでいくことが予測されている。胆道がん進行胆道がんに対する1次化学療法のゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC)とゲムシタビン+S-1併用療法(GS)を比較した第III相試験(JCOG1113)がPoster Discussionで日本から報告された。生存期間(中央値)は、GC療法13.4ヵ月、GS療法15.1ヵ月(ハザード比0.945、95%CI:0.777~1.149、p=0.0459 非劣性)と非劣性が示され、胆道がんの初回化学療法の1つのoptionとして位置付けられた。そのほか、胆道がんの初回化学療法例を対象として、GC+ナブパクリタキセルとGC療法を比較する第III相試験がSWOGで進行中であり、今後の有望な併用療法として注目されていた。膵がん膵がん術後の補助療法として、modified FOLFIRINOXとGEMを比較した第III相試験、切除可能膵がんとBorderline resectable(切除可能境界)膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験、転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOXを増悪まで継続するか、FOLFIRINOX後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行するか、ゲムシタビンとFOLFIRIの逐次治療のどれが良いかを検討するランダム化第II相試験の3演題がOral Presentationとして報告された。術後補助療法としては、海外では、ゲムシタビンが標準治療として行われている。今回は、R0切除が行われた膵がん切除後の患者を対象として、modified FOLFIRINOX(イリノテカンの投与量を150mg/m2に減量したレジメン)とゲムシタビンを比較した第III相試験の結果が報告された。主要評価項目である無病生存期間(中央値)は、modified FOLFIRINOX群で21.6ヵ月、ゲムシタビン群で12.8ヵ月(ハザード比0.58、95%CI:0.46~0.73、p<0.0001)であり、有意に良好な結果が示された。また、生存期間(中央値)もmodified FOLFIRINOX群で54.4ヵ月とゲムシタビン群で35.0ヵ月(ハザード比0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)であり、有意に良好な結果であった。有害事象に関して、下痢、末梢神経障害、疲労、嘔吐、口内炎、手足症候群やG-CSFの使用率はmodified FOLFIRINOX群で高率に認められていたが、忍容性はあり、十分に管理可能であった。したがって、全身状態の良好な膵がん切除後の患者に対する補助療法として、modified FOLFIRINOXは標準治療として位置付けられるであろうと報告された。では、日本でも術後補助療法はmodified FOLFIRINOXが標準治療になるだろうか? 日本では、術後補助療法として、S-1とゲムシタビンを比較した第III相試験が行われており、S-1群で、有意に良好な無再発生存期間(中央値:S-1 22.9ヵ月、ゲムシタビン11.3ヵ月、ハザード比0.60、95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)と生存期間(中央値:S-1 46.5ヵ月、ゲムシタビン25.5ヵ月、ハザード比0.57、95%CI:0.44~0.72、p<0.0001)が報告されている。S-1単剤でもmodified FOLFIRINOXと同様の成績が得られていること、有害事象はS-1が良好であることを考慮すると、日本において標準的な補助療法がmodified FOLFIRINOXにすぐに置き換わることはないと思われる。しかし、今後、切除不能膵がんにしか適応がないFOLFIRINOXを切除後の補助療法として使用できるように試みることは必要かもしれない。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験(PREOPANC)が報告された。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが約半数ずつ含まれるような対象に対して、まず切除を行い、術後補助化学療法としてゲムシタビン6サイクルを行う群(immediate surgery群)127例と、術前にゲムシタビンを2回投与後、ゲムシタビン併用放射線療法(ゲムシタビン1,000mg/m2にて3投1休、放射線36Gy/15 fraction)を行い、再度ゲムシタビンを2回投与して切除し、術後に補助化学療法としてゲムシタビンを4サイクル行う群(術前療法群)119例を比較した第III相試験である。切除割合は、それぞれ72%と60%であり、immediate surgery群でやや高率であったが、R0切除割合は、それぞれ31%と63%であり、術前療法群で有意に高率であった(p<0.001)。無病生存期間、遠隔転移再発までの期間、局所再発までの期間も、術前療法群で良好であった。生存期間はまだpreliminaryな結果ではあるが、それぞれ13.7ヵ月と17.1ヵ月であり、ハザード比0.74、p=0.074と術前療法群で良好な傾向が示されており、最終解析が期待される結果であった。ただし、本試験では、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが混在した試験であり、評価が難しい。Borderline resectable膵がんに対しては、すでに第II/III相試験の結果、術前治療の有用性も報告されているが(Jang JY, et al. Ann Surg. 2018;215-222.)、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性は明らかにされていない。今後、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんのそれぞれのコホートでの解析も行われると思われるが、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性に関して十分な回答が得られない可能性もある。転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOX 12サイクル後、経過観察する群(FOLFIRINOX群)、FOLFIRINOX 8サイクル後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行し、増悪時にFOLFIRINOXを再開する群(FOLFIRINOX/5-FU群)、ゲムシタビンとFOLFIRI3を2ヵ月ごとに交互に投与する群(FOLFIRI3/Gem群)のいずれが良いかを検討するランダム化第II相試験(PANOPTIMOX)がOral Presentationとして報告された。この試験のコンセプトは、大腸がんでのオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法が膵がんでも示すことができるかどうかを検討したものである。主要評価項目である6ヵ月の無増悪生存割合は、FOLFIRINOX群47.1%、FOLFIRINOX/5-FU群44.0%、FOLFIRI3/Gem群34.1%で、FOLFIRINOX群とFOLFIRINOX/5-FU群は同等であり、FOLFIRI3/Gem群は有効性が低いことが示された。また、Grade3~4の末梢神経障害は、FOLFIRINOX群で10.2%に対して、FOLFIRINOX/5-FU群で18.7%と高率であったが、結果的にFOLFIRINOX/5-FU群でオキサリプラチンの投与量が増え、治療強度が強くなったためと考察されている。進行膵がんの1次治療として、FOLFIRINOXによる導入化学療法を4ヵ月行い、5-FU+ロイコボリンの維持療法を行うことは、実施可能で有効な可能性が示され、今後、FOLFIRINOXとFOLFIRINOX+5-FU+ロイコボリンの維持療法を比較する第III相比較試験が必要であると結論付けられた。この試験の結果、FOLFIRINOXにおけるオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法は、今後、検討されるべき課題の1つだと思われた。膵神経内分泌腫瘍テモゾロマイドとカペシタビンの併用療法(CAPTEM)とテモゾロマイド単独(TEM)を比較したランダム化比較第II相試験が報告された。これまでに、CAPTEMは30~70%と非常に高い奏効割合が報告され、注目されてきたレジメンである。標準治療であるエベロリムスやスニチニブ以外の化学療法歴がなく、12ヵ月以内に進行が確認された切除不能膵神経内分泌腫瘍の患者142例が対象として行われた。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値)は、CAPTEM群22.7ヵ月、TEM群で14.4ヵ月、ハザード比0.58(95%CI:0.36~0.93)、p値も0.023と有意に良好であった。生存期間もCAPTEM群で有意に良好であった(中央値:CAPTEM群 未到達、TEM群38.0ヵ月、ハザード比0.41(95%CI:0.21~0.82、p=0.012)。この試験は、有望視されていたCAPTEM療法が、ランダム化比較試験において、無増悪生存期間の延長のみならず、生存期間の延長まで示されたものであり、今後、膵神経内分泌腫瘍の治療の重要な選択肢の1つとなるものと思われる。まとめASCO2018では、肝細胞がんの2次化学療法におけるラムシルマブ、膵がん切除後の補助療法としてのmodified FOLFIRINOXが、今後、標準治療として位置付けられてくることが予測される。また、そのほかにも有望な治療法の開発も進行中であり、肝胆膵領域の化学療法の開発も活気づいている。

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スボレキサントの日本人高齢不眠症患者に対する費用対効果分析

 日本で最も幅広く使用されている睡眠薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬ゾルピデムとオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの費用対効果について、MSD株式会社の西村 晋一氏らが、比較検討を行った。Journal of Medical Economics誌2018年7月号の報告。スボレキサントはゾルピデムよりも費用対効果が優れている 本研究では、不眠症と高齢者に多大な影響を及ぼす股関節骨折リスクを考慮したモデルを用いて検討を行った。公表された論文より、データを収集した。65歳以上の日本人高齢不眠症患者の仮想コホートを対象として研究を実施した。費用対効果の評価には、質調整生存年(QALY)と増分費用効果比を用いた。調査は、医療従事者の視点で行った。 スボレキサントとゾルピデムの費用対効果を検討した主な結果は以下のとおり。・ベースケース分析では、日本人高齢不眠症患者に対するスボレキサント使用は、ゾルピデムと比較し、費用が抑えられており(スボレキサント:252.3ドル、ゾルピデム:328.7ドル)、QALY値が高く(スボレキサント:0.0641、ゾルピデム:0.0635)、スボレキサントがdominant(優位)であることが示唆された。・感度分析では、スボレキサントの股関節骨折の相対リスクにより、アウトカムが優位からdominated(劣位)に変化した。・他のパラメータを範囲の下限から上限まで変化させた場合でも、スボレキサントはゾルピデムと比較して優位であった。・本研究の限界として、本モデルで用いたスボレキサントの股関節骨折の相対リスクは、承認前の臨床試験データに基づいていることから、より正確なデータが必要となる可能性がある。 著者らは「スボレキサントは、ゾルピデムよりも費用対効果が優れており、高齢不眠症患者に対するゾルピデムの代替可能な治療薬である可能性が示唆された。また、感度分析によると、スボレキサントに関連する股関節骨折の相対リスクに応じて、アウトカムが異なる可能性がある」としている。

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メトホルミン継続 vs.SU薬、心血管・低血糖リスクは/BMJ

 2型糖尿病の第2選択薬としてのSU薬の使用は、メトホルミン単独使用継続の場合と比べて、心筋梗塞、全死因死亡、および重症低血糖のリスクを増大することが示された。また、メトホルミンから完全に切り替えるよりも、上乗せ投与としたほうが安全と思われることも示されたという。カナダ・Jewish General HospitalのAntonios Douros氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、BMJ誌2018年7月18日号で発表された。SU薬に関してはこれまで、第1選択薬として、あるいは他の第2選択薬である抗糖尿病薬と比較した安全性(心血管系および低血糖)は検討されていた。今回、研究グループは、SU薬の上乗せまたは切り替えと、メトホルミン単独継続の場合を比較した安全性の評価を行った。メトホルミン単独継続 vs.SU薬の上乗せまたは切り替えを比較 検討は、英国内の一般診療所のデータを集めたUK Clinical Practice Research Datalinkのデータを用いて行われた。被験者は、1998~2013年にメトホルミン単独療法を開始した2型糖尿病患者。 一般的な新規ユーザーコホートデザイン法を用いて、高次元傾向スコア、HbA1c、およびメトホルミン処方歴数に基づき、SU薬を上乗せまたは切り替えた患者と、メトホルミン単独継続患者を1対1の割合で適合抽出した。SU薬の上乗せまたは切り替え群がメトホルミン単独継続群と比較して、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管死、全死因死亡および重症低血糖のリスクが増大するかを評価した。群間比較は、Cox比例ハザードモデルを用い、試験アウトカムについてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出して行った。SU薬の上乗せ・切り替えともリスク増大、どちらかといえば上乗せが安全 研究期間中、メトホルミンを開始した7万7,138例のうち、SU薬の上乗せまたは切り替えを行っていたのは2万5,699例であった。 平均追跡期間1.1年間に、SU薬投与群では、心筋梗塞(発生率7.8 vs.6.2例/1,000人年、HR:1.26、95%CI:1.01~1.56)、全死因死亡(27.3 vs.21.5、1.28、1.15~1.44)、重度の低血糖(5.5 vs.0.7、7.60、4.64~12.44)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中(6.7 vs.5.5、1.24、0.99~1.56)および心血管死(9.4 vs.8.1、1.18、0.98~1.43)もリスク増大の傾向がみられた。 また、SU薬の上乗せ群と比較して、切り替え群では、心筋梗塞(HR:1.51、95%CI:1.03~2.24)および全死因死亡(1.23、1.00~1.50)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中、心血管死、重症低血糖については、差はみられなかった。

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病院スタッフのEBM順守で脳卒中患者のアウトカム改善か/JAMA

 中国・Capital Medical UniversityのYilong Wang氏らは、同国40の公的病院を対象に、急性虚血性脳卒中(AIS)患者に関するエビデンスに基づく医療パフォーマンスの病院スタッフの順守について、多面的な質改善の介入で変化が認められるかを調べる多施設共同クラスター無作為化試験を行った。その結果、all-or-none評価では認められなかったが、複合指標評価でわずかだが統計的に有意な改善が認められたことを報告した。研究グループは、「今回認められた所見の一般化可能性について、さらなる研究で明らかにする必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。公的40病院を対象に、質的介入群vs.通常群のクラスター無作為化試験 検討は、中国の40の公的病院を対象に行われた。登録被験者は、2014年8月10日~2015年6月20日にAISで入院した患者4,800例で、12ヵ月間フォローアップを行った(最終フォローアップ2016年7月30日)。 20病院では多面的な質改善の介入(クリニカルパス、ケアプロトコール、コーディネーターによる質監視、パフォーマンス指標のモニタリングとフィードバックなど)が行われ、20病院では通常ケアが行われた(対照群)。 主要アウトカムは、9つのAISパフォーマンス指標に対する病院スタッフの順守で、複合指標順守率とall-or-noneで評価した(共主要アウトカム)。副次アウトカムは、3、6、12ヵ月時点で評価した院内死亡率、長期的アウトカム(新規の血管イベント、後遺症[修正Rankinスケールスコア:3~5]、全死因死亡)であった。介入群の複合指標順守率が有意に高率、新規血管イベント発生も減少 登録・無作為化を受けた4,800例(平均年齢65歳、女性36.6%)のうち、3,980例(82.9%)が12ヵ月間のフォローアップを完了した。 介入群の患者は、対照群の患者よりもパフォーマンスが高い傾向が認められた。複合指標順守率に有意差が認められた(88.2% vs.84.8%、絶対差:3.54%[95%信頼区間[CI]:0.68~6.40]、p=0.02)。all-or-noneによる評価では、両群間に統計的な有意差は認められなかった(53.8% vs.47.8%、絶対差:6.69%[95%CI:-0.41~13.79]、p=0.06)。 新規の臨床的に認められた血管イベントは、介入群が対照群と比べて有意に減少した。3ヵ月時点は3.9% vs.5.3%(差:-2.03%[95%CI:-3.51~-0.55]、p=0.007)、6ヵ月時点は6.3% vs.7.8%(差:-2.18%[95%CI:-4.0~-0.35]、p=0.02)、12ヵ月時点は9.1% vs.11.8%(差:-3.13%[95%CI:-5.28~-0.97]、p=0.005)であった。

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過敏性腸症候群は炎症性腸疾患よりもうつ病が重症化しやすい

 過敏性腸症候群(IBS)患者は炎症性腸疾患(IBD)患者と比べて併存しているうつ病や不安の重症度が高いことが、中国・中日友好医院のQin Geng氏らの研究によって明らかになった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年5月4日号に掲載。過敏性腸症候群のうつ病は炎症性腸疾患と比べて重症度が高い IBSやIBDといった慢性胃腸疾患の患者では、うつ病が併存している割合が高いが、IBSとIBDで一貫性のある結果は認められていない。そのため、本研究では、IBSおよびIBD患者におけるうつ病の有病率や重症度について検討した。 PubMed、PsycINFO、Embase、Cochrane Library、Wan Fang、SinoMed、Chinese National Knowledge Infrastructureを使用して、2017年9月12日までのデータについて体系的な文献探索を行い、比較解析のためのIBS患者とIBD患者を抽出した。さらに、ランダム効果モデルによって併存したうつ病の標準化平均差(standardized mean difference:SMD)とオッズ比を算出したほか、今回の解析に用いた研究から併存した不安に関するデータを抽出し、メタ解析を行った。メタ解析の質の評価はNewcastle-Ottawa Scale(NOS)を用いて行った。 過敏性腸症候群患者と炎症性腸疾患患者のうつ病の有病率や重症度を検討した主な結果は以下のとおり。・IBS患者1,244名とIBD患者1,048名が22件の研究から抽出された。・うつ病の有病率は、IBS群とIBD群で有意差はなかった(研究数10件、OR=1.18、95%CI:0.87~1.60、p=0.29)。・IBS群は、IBD群と比べて、以下の症状の重症度が高かった。 うつ病(pooled SMD=0.18、95%CI:0.04~0.33、p=0.01) 不安(pooled SMD=0.31、95%CI:0.14~0.49、p=0.0006)・22件中16件の研究が、NOSにより「質が高い」と評価された。

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進行胃がん2次治療へのペムブロリズマブ、日本人解析結果(KEYNOTE-061)/日本臨床腫瘍学会

 神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、進行胃がんに対する2次治療としてのペムブロリズマブの有用性をパクリタキセルと比較した第III相試験 KEYNOTE-061の日本人解析の結果を、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が発表した。 KEYNOTE-061は、フッ化ピリミジン系抗がん薬とプラチナ製剤併用による1次治療後に病勢進行したPD-L1陽性の進行胃・食道胃接合部がん患者を対象とした非盲検無作為化第III相試験。登録患者はペムブロリズマブ(200mg)3週ごと投与群(最長約2年)とパクリタキセル(80mg/m2)4週ごと(1、8、15日目)投与群に無作為に割り付けられた。CPS(Combined Positive Score)≧1%がPD-L1陽性と規定され、主要評価項目はCPS≧1%の患者における全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、安全性などであった。  主な結果は以下のとおり。・全体で592例が登録され、うち日本人は100例(ペムブロリズマブ群:47例、パクリタキセル群:53例)。CPS≧1%の患者は395例で、うち日本人は65例(ペムブロリズマブ群:27例、パクリタキセル群:38例)であった。・CPS≧1の集団における追跡期間中央値は、全例で8ヵ月、日本人集団では10ヵ月。・全例(CPS≧1)における OS中央値は、ペムブロリズマブ群9.1ヵ月 vs.パクリタキセル群8.3ヵ月(HR:0.82、p=0.04)。PFS中央値は、1.5ヵ月 vs.4.1ヵ月(HR:1.27、p=0.98)となり、統計学的な有意差は認められなかった。・日本人集団(CPS≧1)におけるOS中央値は、12.3ヵ月 vs.9.8ヵ月(HR:0.67、p=0.07)、PFS中央値は1.6ヵ月 vs.4.2ヵ月であった(HR:1.21、p=0.75)。 ・12ヵ月間OS率は、全例で40% vs.27%、日本人集団では52% vs.34%。18ヵ月間OS率は、全例で26% vs.15%、日本人集団では26% vs.16%であった。・ORR は全例で16% vs.14%、日本人集団では7% vs.18%であった。・Grade3以上の治療に伴う有害事象の発現率は、全例で14% vs.35%、日本人集団で4% vs.44%であり、ともにペムブロリズマブ群で少ない傾向が示された。 なお、全例解析では、全身状態(ECOG PS)が良好、PD-L1発現レベルが高度(CPS≧10)、マイクロサテライト不安定性高度の患者では、ペムブロリズマブの効果が高い可能性が示唆されている。日本人集団においても、全身状態別にみたOS中央値はPS 0の患者(45例)で12.4ヵ月 vs.10.0ヵ月(HR:0.65)だったのに対し、PS 1の患者(20例)では10.5ヵ月 vs.9.4ヵ月(HR:0.90)であった。

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オキシントモジュリン作動薬の臨床応用(解説:吉岡成人氏)-890

はじめに インクレチン作動薬として2005年に米国で承認・発売されたGLP-1受容体作動薬であるエキセナチド(商品名:バイエッタ)は、糖尿病の治療に大きな変革をもたらした。エキセナチドが登場し、わずか数年の期間で多くのGLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬が発売され、毎日の臨床の現場で使用されている。そのような中で、インクレチンの1つであるオキシントモジュリンの臨床応用についての論文がLancet誌に掲載された(Ambery P, et al. Lancet. 2018 Jun 22. [Epub ahead of print])。オキシントモジュリンとその臨床応用 オキシントモジュリンは、GLP-1と同じように、食後に腸管L細胞からの分泌が促進される消化管ホルモンである。グルカゴン構造のC端側にアミノ酸が付加されたペプチドホルモンで、食欲抑制作用を持っている。オキシントモジュリンはGLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合し、主に、GLP-1の作用を介して食欲を抑制すると考えられている。また、オキシントモジュリンはグレリンの分泌を抑制する作用を保持しており、摂食を抑制する作用に関してはグレリンとの関連も示唆されている。しかし、GLP-1と同様に血中の半減期は短く、多くの実験はオキシントモジュリンの点滴静注によって行われたものであった。今回の論文は、オキシントモジュリンと同様にGLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合する合成ペプチドであるMEDI0382を用いた第II相の臨床成績に関する報告である。 プラセボ対照の無作為化二重盲検試験であり、HbA1c 6.5~8.5%、BMI 27~40kg/m2の2型糖尿病を対象として実施されている。第II相試験が実施された51人のうち、実薬群は平均年齢56.0歳、BMI 32.0kg/m2、HbA1c 7.2%であり、対照群(平均年齢56.9歳、BMI 33.4kg/m2、HbA1c 7.3%)と差はなかったが、実薬群では6週間の治療期間中に3.84kg(対照群1.70kg)の体重減少が認められ、食事負荷試験の際の血糖曲線化面積も有意に改善したと報告されている。GLP-1受容体作動薬との差異 欧米の成績ではあるが、GLP-1受容体作動薬の週1回注射製剤であるセマグルチド(商品名:オゼンピック)は、デュラグルチド(商品名:トルリシティ)に比較して体重減少の作用が大きく、40週間の観察期間において、1mgの投与でBMI(kg/m2)25未満、25~30未満、30~35未満、35以上のすべてのサブグループで5.2~7.6kgの体重減少を認めたとしている(Pratley RE, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018;6:275-286.)。日本人を対象とした試験でもセマグルチド1mgにより56週間で体重が71.5kgから3.2kg減少したという報告があり(Kaku K, et al. Diabetes Obes Metab. 2018;20:1202-1212.)、MEDI0382による体重減少作用が他の薬剤に比較して大きいかどうかは今後の検討が必要である。おわりに GLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合する合成ペプチドであるMEDI0382がGLP-1受容体作動薬をこえる薬剤なのかどうか、新しい薬剤として広く用いられるのかどうか、今後さらなる検討が必要である。

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第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】

覚えておきたい熱中症の基本事項7月に入り東京も連日気温が30℃を超え、40℃近い猛暑が続いています。連日熱中症による症状で救急搬送、外来受診される患者さんが後を絶ちません。熱中症に限りませんが、早期に異常を認知し、介入すること、そして、何より予防に努めることが非常に大切です。暑さに負けないために今回は熱中症の基本的事項をまとめておきましょう。●診療のPoint(1)夏場は常に熱中症を疑え!(2)非労作性熱中症は要注意! 屋内でも熱中症は起こりうる!(3)重症度を頭に入れ、危険なサインを見逃すな!熱中症の定義「熱中症とは何ですか?」と質問されて正確に答えられるでしょうか。以前は熱射病、熱痙攣、熱失神という言葉が使用されていましたが、現在は用いられません(重症度と共に後述します)。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」とされ、「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の原因疾患を除外したものと定義されています。わが国では毎年7~8月に熱中症の発生率が多く、「今そこにある危機」と認識し、熱中症の症状を頭に入れ意識しておく必要があるのです。熱中症の死亡率本邦の年間発症数は約40万人、そのうち8.7%(約3万5,000人)が入院、0.13%(約520名)が死亡しています。この数値は現在も大きな変化はなく、2016年の死亡者数は621名で65歳以上が79.2%という結果でした(厚生労働省 人口動態統計)。2018年は2017年より暑く、熱中症患者は増加することが予想されます。熱中症を軽視してはいけません。労作性vs.非労作性熱中症と聞くと炎天下の中、スポーツや仕事をしている最中に引き起こされるイメージが強いですが、それだけではありません。熱中症は、「労作性熱中症」と「非労作性熱中症」に分類(表1)され、屋内でも発生します。そして、この非労作性熱中症が厄介なのです。画像を拡大する労作性熱中症の患者背景としては若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働(建設業、製造業、運送業、とくに日給制のような短い雇用期間の方)、非労作性熱中症では独居の高齢者が典型的です。労作性熱中症の場合には、若く、集団で活動していることが多く、基礎疾患もなく早期に発見、介入できるため予後は良好ですが、非労作性熱中症は、自宅で発生することが多く、発見が遅れ、また心疾患などの基礎疾患、利尿薬などの内服薬などの影響から治療に難渋することがあるわけです。実際、救急医学会の熱中症実態調査において、熱中症の死亡の危険因子は、(1)高齢、(2)屋内発症、(3)非労作性熱中症でした1)。重症度に影響するばかりでなく、再発防止手段にも影響します。意識して対応しましょう。熱中症の重症度以前、熱中症は、熱射病、熱痙攣、熱失神などの呼び名がありましたが、現在は重症度を理解しやすいように表2のように分類されています1)。I度は必ずしも体温は上がりません。症状で判断します。II度は頭痛や嘔吐、倦怠感に加え、深部体温の上昇を認めます。III度は、意識障害、臓器障害を認め、早急な対応が必要になります。画像を拡大する熱中症を疑うことは、病歴から難しくありませんが、重症度の判断は初期評価をきちんと行わなければ見誤ります。とくに重篤化しやすい、非労作性熱中症の高齢者には注意が必要です。意識が普段と同様か否か、腎前性腎障害に代表される臓器障害を認めていないかを評価しましょう。熱中症の治療治療の原則、「安静」「環境改善」「塩分+水分の補給」は絶対です。重症度や経口摂取の可否を評価し、細胞外液の点滴の適応を判断します。高齢者がぐったりしている、十分な飲水が困難な場合には、点滴を選択したほうがよいでしょう。また、点滴が必要と評価した患者では、採血や血液ガスも検査・評価し、臓器障害の有無も併せて確認しましょう。熱中症II度以上は、体温調節中枢が正常に機能していない状態です。皮膚や筋肉の血管拡張、血流増加、多量の発汗によって循環血液量減少性ショックへと陥ります。急速な輸液に加え、高体温が持続すると多臓器不全(意識障害、痙攣、急性腎障害、DIC etc.)を伴い、輸液だけでなく呼吸管理や透析などの全身管理が必要となることもあります。初期対応としては以下の2点を意識し、速やかに対応しましょう。(1)目標体温深部体温*が39℃を超える高体温の持続は予後不良因子であり、38℃台になるまでは積極的な冷却処置を行いましょう。*深部体温中枢温を正確に反映する部位は腋窩温でも皮膚温でもありません。最も好ましいのは深部体温(膀胱温、直腸温、食道温)です。救急外来など初療時には、直腸温を測定するか、温度センサー付きバルーンカテーテルを利用し、膀胱温を測定するとよいでしょう。健康な人の体温の平均値は、腋窩温36.4℃に対して直腸温37.5℃と約1℃異なると言われていますが、高体温で発汗している場合や測定方法によって、腋窩温や皮膚温は容易に変化します(正しく測定できません)。熱中症、とくに重症度が高いと判断した症例では、深部体温を測定する意識をもちましょう。(2)冷却方法体表冷却法が一般的です。気化熱を利用します。ぬるま湯(40〜45℃)を霧吹きを用いて体表にかけ、扇風機などで扇ぐとよいでしょう。本当に熱中症か?!熱中症は環境因子だけでも十分起こりえますが、普段であれば自己対応(環境を変える、水分・塩分を摂取する)ができずに発生した可能性があります。つまり、熱中症に陥った原因をきちんと検索する必要があります。とくに非労作性熱中症の場合には、尿路感染症や肺炎などの感染症などが引き金となっているかもしれません。また、薬剤やクリーゼなども熱中症様症状をとることがあります。これらの鑑別は病歴をきちんと把握すればおおよそ可能です。明らかに部屋が暑かった、当日の朝までは普段どおりであったなどの病歴がわかれば、感染症や薬剤の影響は考えづらいでしょう。それに対して、数日前から体調の変化があった場合には、感染症などの影響も考え対応する必要があります。発熱か高体温か判断できず、とりあえず血液培養を2セット提出するのは簡単ですが、それ以上に病歴聴取や身体所見を評価することのほうが大切です。プロカルシトニンも鑑別には役立たないため提出は不要でしょう。熱中症の予防熱中症は予防可能です。起こしてしまった人へは、治療だけでなく正しい熱中症の知識、そして周囲の方への啓発・指導を含め、ポイントを絞って熱中症を起こさないために必要なことを伝えましょう。「また熱中症の患者か!?」と思うのではなく、チャンスだと思い、再発予防に努めましょう。熱中症の基本的事項を伝授熱中症の初期症状、非労作性熱中症に関して伝えましょう。症状が熱中症によるものであることを知っておかないと対応できません。また、熱中症は屋外で起こるものと思っていると、非労作性熱中症に陥ります。高齢の方からは「風通しがいいのでクーラーは使用していません(設置していません)」、「クーラーは嫌いでね」という台詞をよく聞きますが、必要性をきちんと説明し、理解してもらうことが大切です。●熱中症の発生リスク評価を伝授猛暑が続いていますが、どの程度危険なのかを認識しなければ、「大丈夫だろう」と軽視してしまいます。朝のニュースをテレビやスマホで確認するのもよいですが、暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)を確認する癖をもっておきましょう。熱中症の発生に関与する因子は気温だけではなく、湿度、風速、日射輻射です。とくに湿度は大きく影響し、これらを実際に計測し算出して出てきた数値がWBGTです。細かなことは割愛しますが、WBGT>28℃になると熱中症が急増し危険と判断します(表3)。画像を拡大する●環境省の熱中症予防情報を伝授環境省熱中症予防情報サイトでは、WBGT(暑さ指数)を都道府県、地点別に確認できます。本稿執筆時の7月19日10時現在の東京都(都道府県)、東京(地点)のWBGT値は31.9℃(危険)と赤表示され、一目で熱中症のリスクが高いことがわかります。3日間の予測も併せて確認できるため、熱中症を予防する立場にある学校の教師や職場の管理者は必ず確認しておく必要があります。朝のニュースなどで危険性は日々報道されていますが、それでもなお発生しているのが熱中症です。願わくは、自ら確認し意識しておくことが必要と考えます。「熱中症の危険がある」ということを事前に意識して対応すれば、体調の変化に対する対応も迅速に行えるでしょう。●熱中症? と思った際の対応を伝授こむら返りや頭痛、倦怠感などを自覚し、環境因子から熱中症? と判断した場合には、速やかに環境を改善し(日陰や店舗内など涼しい場所へ移動)、水分だけでなく塩分を摂取するように勧めましょう。症状が改善しない場合や、自身で水分・塩分の摂取が困難な場合には、時間経過で改善することも多いですが、症状の増悪、一人暮らしで経過を診ることができる家族がいない場合には、病院へ受診するように指示したほうがよいでしょう。屋内外のリスクを見極め夏を過ごす7月は熱中症予防強化月間の重点取組期間です(厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」)。まだまだ暑い日が続きます。日頃の体調管理を行いつつ、屋外でのスポーツや作業をする場合には、リスクを評価し、予防に努め、屋内で過ごす場合には、温度・湿度を意識した環境の設定を行い、夏を乗り切りましょう!1)日本救急医学会熱中症に関する委員会. 熱中症の実態調査-日本救急医学会Heatstroke STUDY 2012最終報告-.日救急医会誌. 2014;25:846-862.

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第11回 退院時処方の確認で訪問。緊急ミーティング【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。退院時処方を確認しに訪問したら...退院の知らせを聞いてお家へ伺うと、別人のようになった患者さんがベッドに横になっていました。痩せて、小さく小さくなってしまい、ベッドの上にちょこっと乗っている感じ。この日は退院後の初回訪問診療。診療に合わせて退院時処方を確認するために訪問しました。ケアマネさんから退院後3日間食べていない、と聞きました。薬だって飲めていない。尿も出ていない。これはまずいのでは...。なぜこの状態で帰ってきた?!訪問医も「なぜこの状態で帰ってきたのか!?」と。連携がスムースではなかったようです。食べられなかったら死ぬということでよいのか。お家に戻ったら食欲が出ると考えたのか。ご家族の意向はどうなのか。患者さんの意向は...確認できません。緊急ミーティング点滴や経管栄養で栄養を入れるか。病院に戻るのか。それともお家で、このまま看取るのか。在宅でできるとしたら、末梢点滴を週1回→それが意味のあることか。入れ歯を付けたら、咀嚼ができる可能性があるかも。→もともと偏食、どこまでの回復が見込めるか。ご本人の意志が確認できない以上、ご家族の思いも含め、考えなければなりません。ご家族も含めて話し合います。そして確認「救急車は呼ばない。ということでよいのですね」「はい」「では、最後にもう一度確認しますね。救急車は呼ばない」「はい」自宅で看取る。そう決めていても、最後にはやっぱり入院させて下さい。という場合もあります。病状の変化があれば、いつでも話し合いが開かれます。 そして、この患者さんのご家族は...「本人が『食べられなくなったらもういい、家にいたい』と言っていました。家で看取るために帰ってきました。このまま逝かせてあげてください」そして、処方ストップとなりました。退院時処方も無理に服用しなくてよいと。お看取り緊急ミーティングが終わりかけたとき、患者さんの容態が急変。最終確認が始まりました。それぞれがやるべきこと。主治医、看護師、ケアマネ、ヘルパー、薬剤師...。薬剤師?あれ?ない?ない。ない!薬はストップしているし、薬剤師ができることなんて何もない。患者さんとの思い出ばかりが頭の中に「17:07。お亡くなりになりました」先生の最終確認。気付けば張り詰めた空気が充満していました。

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魚類の摂取と認知症リスクに関するメタ解析

 英国・ウルバーハンプトン大学のAishat T. Bakre氏らは、魚類の摂取と認知症リスクおよび用量反応との関連性を評価し、低、中、高所得国におけるこれらの関連性の変化について調査を行った。Public health nutrition誌2018年7月号の報告。 新たにコミュニティベースの横断研究およびシステマティック文献レビューを実施した。対象地域は、中国の都市部と農村部。人口ベースの研究は、世界的な文献よりシステマティックに検索を行った。中国の6つの省における60歳以上の中国人6,981例が、認知症の有病率とリスクファクターに関する健康調査に参加した。さらに、適格基準を満たした11研究より3万3,964例がシステマティックレビュー、メタ解析に含まれた。 主な結果は以下のとおり。・新たな中国の調査では、326例(4.7%)が認知症と診断された。過去2年間に一定量の魚類を摂取していた人は、魚類を摂取していなかった人と比較し、認知症リスクが低下していたが(調整OR:0.73、95%CI:0.64~0.99)、用量反応については統計学的に有意な差が認められなかった。・文献および新たな研究から得られたデータによるメタ解析では、魚類を摂取していた人の認知症の相対リスク(RR)は、0.80(95%CI:0.74~0.87)であり、その影響は、所得水準の異なる国々でも同様であった。・プールされた用量反応データによるRRは、低所得国で0.84(95%CI:0.72~0.98)、中所得国で0.78(95%CI:0.68~0.90)、高所得国で0.77(95%CI:0.61~0.98)であった。・アルツハイマー病に関するRRは、低所得国で0.88(95%CI:0.74~1.04)、中所得国で0.79(95%CI:0.65~0.96)、高所得国で0.67(95%CI:0.58~0.78)であった。 著者らは「より多い魚類の摂取は、認知症リスクの低下と関連が認められた。魚類の摂取量を増やすことは、所得水準にかかわらず、世界中の認知症予防に役立つと考えられる」としている。■関連記事魚を食べると認知症は予防できるのか地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか日本食は認知症予防によい:東北大

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NP、PAによる皮膚科手術、件数も範囲も拡大傾向

 ナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)といった高度実践医療従事者(Advanced Practice Professional:APP)は、数多くの多様な皮膚科的処置や手術を独立して行っているが、その件数や範囲が年々どのように変化しているかは、ほとんど知られていない。米国・Summa Akron City HospitalのMyron Zhang氏らは、メディケアのデータを解析し、APPが実施した皮膚科的処置や手術の件数が2012年から2015年にかけて経時的に増加しており、範囲も拡大していることを明らかにした。著者は、「年々増加傾向のAPPによる皮膚科的処置および手術の件数や範囲が、患者の予後とどのように関連しているか、またより正式な訓練が必要かどうかを明らかにするために、さらなる研究が望まれる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月11日号掲載の報告。 研究グループは、APPが請求した皮膚科的処置や手術の範囲と件数の傾向を調べる目的で、2012~15年のMedicare Provider Utilization and Payment Data:Physician and Other Supplier Public Use Fileを用い、縦断研究を行った。これは、米国のほぼすべての外来処置や手術におけるMedicare Part Bの支払いデータと、クリニック内の処置や手術の支払いデータを含んでいる。 皮膚科的処置や手術のタイプ別に、APPおよび皮膚科医によって実施された件数を各年でそれぞれ算出した。 主な結果は以下のとおり。・2012年におけるすべての皮膚科的処置や手術の総数は3,070万件で、このうちAPPによって実施されたのは269万件(8.8%)であった。さらに、2015年では総数3,390万件のうち、454万件(13.4%)に増加した。・2015年にAPPによって実施された皮膚科的処置や手術で最も多かったのは良性腫瘍の摘出(360万件)で、次いで生検(78万8,834件)、悪性腫瘍の摘出(4万8,982件)の順であった。・APPによるパッチテストなどの処置や良性および悪性腫瘍の切除、中程度および複雑な修復、皮弁、ならびに手術標本組織診断の実施数も、2012年から2015年にかけて毎年増加していた。

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不妊治療と生殖器系がんリスクの関連は?/BMJ

 生殖補助医療を受けた女性の生殖器系がんのリスクは知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのCarrie L. Williams氏らは、大規模な地域住民ベースのコホート研究において、生殖補助医療を受けた女性では子宮体がんや浸潤性乳がんのリスク増加はみられないものの、非浸潤性乳がんや浸潤性または境界悪性卵巣腫瘍のリスク増加が示されたとし、BMJ誌2018年7月11日号で報告した。若年時または複数回の治療サイクルを受けた女性は、乳がんリスク上昇の可能性があるとする研究がいくつかある。また、初期の研究では、卵巣がんのリスク増加が示唆されているが、近年の研究では、境界悪性卵巣腫瘍の増加に関して、一貫性はないものの比較的安心感のある結果が報告されているという。不妊とがん登録のデータを関連付け 研究グループは、生殖補助医療(生殖を目的とし、体外での卵母細胞および精子、胚の双方の操作を含む治療および手技と定義)を受けた女性における卵巣、乳房、子宮体部のがんのリスクを評価する大規模な地域住民ベースのコホート研究を行った(Cancer Research UKなどの助成による)。 英国のヒト受精・胚研究認可局(Human Fertilisation and Embryology Authority:HFEA)によって記録された、イングランド、スコットランド、ウェールズで1991~2010年の期間に生殖補助医療を受けた全女性を解析の対象とした。コホートの個々の女性の不妊に関するHFEA記録を、全国的ながん登録のデータと関連付けた。 コホートの個々の女性で観察された卵巣、乳房、子宮体部のがんの初回診断を、年齢別、不妊原因の性別、治療時期別の期待値と比較した。全国的な罹患率の実測値と期待値を用いて、標準化罹患比(SIR)を算出した。卵巣腫瘍リスクは、患者の背景因子に起因する可能性も 25万5,786例の女性が、225万7,789人年のフォローアップを受けた。平均フォローアップ期間は8.8年で、41%が10年以上のフォローアップを受けた。初回治療時の平均年齢は34.5歳、不妊の原因が、1つ以上の女性側の因子である女性は44%、平均不妊期間は4.9年だった。 子宮体がんの実測値は164件、期待値は146.9件で、SIRは1.12(95%信頼区間[CI]:0.95~1.30)であり、リスクの増加は有意ではなかった。 乳がんでは、全体(実測値2,578件 vs.期待値2,641.2件、SIR:0.98、95%CI:0.94~1.01)および浸潤性乳がん(2,272 vs.2,371.4件、0.96、0.92~1.00)のリスクには有意差を認めなかったが、非浸潤性乳がん(291 vs.253.5件、1.15、1.02~1.29、絶対過剰リスク[AER]:1.7件/10万人年、95%CI:0.2~3.2)のリスクは生殖補助医療を受けた女性で有意に高く、治療サイクル数が増加するに従ってリスクが上昇した。 卵巣がんは、全体(405 vs.291.82件、SIR:1.39、95%CI:1.26~1.53、AER:5.0件/10万人年、95%CI:3.3~6.9)、浸潤性卵巣腫瘍(264 vs.188.1件、1.40、1.24~1.58、3.4件/10万人年、2.0~4.9)、境界悪性卵巣腫瘍(141 vs.103.7件、1.36、1.15~1.60、1.7件/10万人年、0.7~2.8)のいずれのリスクも、生殖補助医療を受けた女性で有意に高かった。 卵巣腫瘍のリスク増加は、子宮内膜症、低経産回数、あるいはこれら双方の女性に限られていた。また、不妊の原因が、男性側の因子のみの場合や不明の場合には、生殖補助医療を受けた女性の卵巣腫瘍のリスク増加はみられなかった。 著者は、「今回の結果は、卵巣腫瘍のリスクは生殖補助医療そのものというよりも、患者の背景因子に起因する可能性を示唆するが、調査のバイアスや治療の影響の可能性もある」とし、「モニタリングの継続が必須である」と指摘している。

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