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日本人研修医のうつ病とストレス対処能力の関係

 研修医にとって、うつ病は重大な問題となりうる。うつ病の早期発見と適切なケアを提供することは、臨床研修中の健康状態を維持するために必要である。筑波大学附属病院 総合診療グループの伊藤 慎氏らは、ストレス対処能力の指標であるSense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)が、臨床研修開始2年後のうつ病を予測する因子であるかを調査するため、全国縦断研究を実施した。Journal of Clinical Medicine Research誌2018年9月号の報告。 臨床研修開始直前に、臨床研修病院251件の研修医に自己報告アンケートを配布した。アンケートには、うつ病スクリーニングツールであるCES-D(うつ病自己評価尺度)、SOC、人口統計的要因が含まれた。事前調査の回答者に対し、2年後にアンケートを配布した。フォローアップ調査には、CES-Dおよび労働状態に関する質問が含まれた。SOCスコアに基づき回答者を3群(低、中、高)に分類し、フォローアップ調査にて各SOC群とうつ症状との関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・事前調査に対し、2,935人中1,738人(59.2%)が回答を行った。・このうち、1,169人(67.3%)がフォローアップ調査に回答した。・事前調査において、うつ症状が陽性となった169人は除外された。・フォローアップ調査では、新規うつ病発症者数は187人(19.5%)であった。各群における割合は、低SOC群33.3%、中SOC群18.2%、高SOC群11.4%であった(p<0.01)。・高SOC群と比較し、低SOC群におけるうつ症状の新規発症のオッズ比は、2.04(95%CI:1.02~4.05)であった(人口統計的要因、ベースライン時のCES-Dスコア、平均就労時間で調整後)。 著者らは「臨床研修2年後における研修医のうつ症状は、SOCスコアと有意な関連が認められた。低SOC群は、高SOC群と比較し、将来のうつ症状リスクが2倍高かった。SOCスケールは、将来のうつ病を予測するうえで有用であり、研修医に対する適切な支援提供を可能とする」としている。■関連記事職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリは

20462.

第3世代ALK-TKIロルラチニブ国内承認、世界初/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2018年9月21日、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺」の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ローブレナ錠25mg、同100mg」(一般名:ロルラチニブ)の製造販売承認を取得した。この承認は日本が世界に先駆けての取得となる。 ロルラチニブは、既存のALK阻害剤で効果が得られなくなった患者の耐性メカニズムに注目し創製された第3世代のALK阻害剤で、耐性変異がみられる変異型ALKにも効果が期待される。日本も参加した国際共同第I/II相試験において、既存のALK阻害剤に抵抗性または不耐容のALK陽性非小細胞肺がんに対する臨床的に意義のある抗腫瘍効果と忍容性が示されたことから、これらの結果を取りまとめ、2018年1月に国内における製造販売承認申請を行った。 ロルラチニブは、昨年(2017年)10月に導入された「医薬品の条件付き早期承認制度」が適用され、優先審査の対象として、約8ヵ月間の審査期間を経て承認となった。承認条件は、医薬品リスク管理計画を策定し実施すること、全症例を対象に使用成績調査を実施し適正使用のためのデータ収集をすること、肺がん治療に精通した医師によって処方されるとともに本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医療機関および薬局においてのみ取り扱われるよう必要な措置を講じること、の3点。 ローブレナの概要・製品名:ローブレナ錠25mg/100mg(LORBRENA Tablets 25mg/100mg)・一般名:ロルラチニブ(Lorlatinib)・効能・効果:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺・用法・用量:通常、成人にはロルラチニブとして1日1回100mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・製造販売承認取得日:2018年9月21日・製造販売元:ファイザー株式会社■参考NCT 01970865(Clinical Trials.gov)■関連記事第3世代ALK阻害薬lorlatnib、ALK陽性肺がんに国内申請ALK/ROS1肺がんにおけるlorlatinibの国際第I相試験の結果/Lancet Oncol

20463.

血流感染、ピペラシリン・タゾバクタムvs.メロペネム/JAMA

 大腸菌(E.coli)または肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)に感染し、抗菌薬セフトリアキソンが無効な患者において、definitive治療としてのピペラシリン・タゾバクタムはメロペネムと比較して、30日死亡率に関する非劣性を示さなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のPatrick N. A. Harris氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年9月11日号で発表された。大腸菌や肺炎桿菌では拡張型β-ラクタマーゼが、第3世代のセファロスポリン系薬(セフトリアキソンなど)に対する耐性を媒介する。これらの菌株に起因する重大な感染症では、通常、カルバペネムによる治療が行われるが、カルバペネム耐性を選択する可能性があることから、研究グループは、ピペラシリン・タゾバクタムが、拡張型β-ラクタマーゼの産生を抑制する、有効な“カルバペネム温存”オプションとなりうる可能性があるとして検討を行った。ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性を無作為化後30日時点の全死因死亡で評価 セフトリアキソン非感受性で大腸菌または肺炎桿菌に起因する血流感染症の患者において、definitive治療としてピペラシリン・タゾバクタムのメロペネム(カルバペネム)に対する非劣性を調べる検討は、2014年2月~2017年7月に、9ヵ国26施設で入院患者を登録して行われた(非劣性並行群間比較無作為化試験)。 被験者は、大腸菌または肺炎桿菌の血液培養検査で最低限いずれかの陽性が認められ、セフトリアキソンに非感受性だが、ピペラシリン・タゾバクタムに感受性が認められる成人患者を適格とした。 スクリーニングを受けたのは1,646例。試験には391例が包含され、1対1の割合で2群に無作為化された。1群(188例)はピペラシリン・タゾバクタム4.5gを6時間ごとに、もう1群(191例)はメロペネム1gを8時間ごとに投与された。治療期間は最短4日間、最長14日間として、治療担当医が総治療期間を決定した。 主要評価項目は、無作為化後30日時点の全死因死亡であった。非劣性マージンは5%とした。ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されず 主要解析集団には、無作為化が適切で、試験薬を少なくとも1回投与された被験者379例(平均年齢66.5歳、女性47.8%)が包含された。このうち378例(99.7%)が試験を完了し、主要評価項目について評価を受けた。 30日時点の全死因死亡率は、ピペラシリン・タゾバクタム群12.3%(23/187例)であったのに対し、メロペネム群3.7%(7/191例)であった。両群間のリスク差は8.6%(片側97.5%信頼区間[CI]:-∞~14.5)で、ピペラシリン・タゾバクタムのメロペネムに対する非劣性は示されなかった(p=0.90)。有効性は、per-protocol集団で一貫して認められた。 非致死的な重大有害事象の発生の報告は、ピペラシリン・タゾバクタム群2.7%(5/188例)、メロペネム群1.6%(3/191例)であった。 結果を踏まえて著者は「所見は、今回の設定集団においてはピペラシリン・タゾバクタムの使用を支持しないものであった」とまとめている。

20464.

乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet

 低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。全脂肪乳製品は飽和脂肪の源であり、血液脂質に悪影響を与え、心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータはほとんど入手できていなかったという。21ヵ国13万6,384例について関連を評価 研究グループは、乳製品全体および特定の乳製品と、死亡および重大心血管疾患との関連を調べる「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)試験」を行った。試験は5大陸・21ヵ国(アルゼンチン、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、インド、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、パキスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ共和国、サウジアラビア、スウェーデン、タンザニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ジンバブエ)から35~70歳の13万6,384例が参加した大規模多国籍コホート試験であった。 参加者の乳製品摂取量を、検証済みの国別の食事摂取頻度調査票を用いて記録した。乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズとし、これらを全脂肪と低脂肪の乳製品に分類した。 主要評価項目は、死亡または主要心血管疾患イベントの複合(心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中または心不全と定義)とした。参加者の中央クラスター形成を説明するためにランダム切片・多変量Cox frailtyモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出して評価した。摂取総量が多いほど複合イベント発生リスクは低い 2003年1月1日~2018年7月14日のフォローアップ9.1年間で、1万567件の複合イベントが記録された(死亡6,796件、主要心血管疾患5,855件)。 乳製品摂取総量が多いほど複合イベントの発生リスクは低かった(非摂取を参照とした場合の>2サービング[SV]/日のHR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75~0.94、傾向のp=0.0004)。 イベント別にみると、総死亡(0.83、0.72~0.96、傾向のp=0.0052)、非心血管死(0.86、0.72~1.02、傾向のp=0.046)、心血管死(0.77、0.58~1.01、傾向のp=0.029)、主要心血管疾患(0.78、0.67~0.90、傾向のp=0.0001)、脳卒中(0.66、0.53~0.82、傾向のp=0.0003)についてはリスクの低下がみられたが、心筋梗塞については有意な低下が観察されなかった(0.89、0.71~1.11、傾向のp=0.163)。 乳製品別にみると、牛乳(>1SV vs.非摂取のHR:0.90、95%CI:0.82~0.99、傾向のp=0.0529)およびヨーグルト(0.86、0.75~0.99、傾向のp=0.0051)は、摂取量が多いほど複合イベントの発生は低い関連が認められた。チーズについては複合イベント発生について有意な関連が認められなかった(0.88、0.76~1.02、傾向のp=0.1399)。 なお、バターの摂取量は少なく、臨床アウトカムとの有意な関連はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.90~1.33、傾向のp=0.4113)。

20465.

プラチナ+ペメトレキセドへのアテゾリズマブ併用、進行肺がん1次治療でPFS延長(IMpower132)/WCLC2018

 Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペメトレキセドとプラチナ製剤の併用療法、およびペメトレキセドによる維持療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower132試験の結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺会議(WCLC2018)で、MDアンダーソンがんセンターのVassiliki A. Papadimitrakopoulou氏により発表された。 IMpower132試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者(EGFR/ALK陰性)を対象とし、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用→ペメトレキセド維持療法群(PP群)と、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用+アテゾリズマブ→ペメトレキセド+アテゾリズマブ維持療法群(APP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)。探索的評価項目はPD-L1発現状態による有効性であった。今回は、RECIST v1.1評価に基づくPFSとOS(中間解析)ならびに安全性データが発表された。 主な結果は以下のとおり。・APP群に292例、PP群に286例の患者が組み入れられた。・全身状態は、APP群の43%、PP群の40%で良好(ECOG PS 0)であった。・データカットオフ(2018年5月22日)の追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。・PFS中央値は、PP群5.2ヵ月に対し、APP群7.6ヵ月とAPP群で統計学的に有意に延長した(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p

20466.

『減塩パラドックス』Revisit! Populationか、Communityか、Individualか?(解説:石上友章氏)-920

 カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らの論文、“Urinary sodium excretion, blood pressure, cardiovascular disease, and mortality: a community-level prospective epidemiological cohort study.”は、PURE試験(Prospective Urban Rural Epidemiology study)の臨床アウトカムと、推定食塩摂取量・推定カリウム摂取量との関連を解析した研究である1)。食塩の過剰摂取は、高血圧のリスクになり、ひいては心血管イベントのリスクになると信じられているが、本試験の結果は必ずしも定説を支持するものではなかった。顧みれば、本連載(90)の否定された『減塩パラドックス』―降圧の基本は、やはり減塩。での議論が、再び蒸し返されるような事態になるかもしれない。 2011年にJAMA誌に相次いで、減塩の限界を証明し、『減塩パラドックス』ともいえる議論をもたらすような論文が掲載されたが2,3)、2013年のBMJ誌に掲載されたメタ解析論文は、こうした議論を否定した4)。メタ解析による複数のエビデンスによる、結果の一貫性だけではなく、推定食塩摂取量の根拠となった「single urine sampleによる簡便な評価法」の不確実性が限界として指摘されている。 本論文では、あらためてpopulation baseの減塩が、community baseには有効ではない可能性を指摘している。公衆衛生的な介入と個人衛生的な介入の中間的な介入は、こうした介入の個別化という点で興味深い。疫学統計は事実であるが、因果関係を証明することはできない。公衆衛生的な介入の正当性を証明すると、さらに多くの時間的、人的、経済的コストが必要になるのは、言うまでもない。

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日本人高齢者のライフスタイル活動と認知症リスク

 高齢化や慢性疾患状態の増加に伴い、認知症の有病率は上昇している。国立長寿医療研究センターの島田 裕之氏らは、日本の地域在住の高齢者における、日常生活や社会的役割を含むライフスタイル活動と認知症発症との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号の報告。 65歳以上の高齢者4,564例を対象に、年齢、性別で層別化し、縦断的研究を行った。ライフスタイル活動、認知症のリスク因子、認知症の新規発症を調査した。 主な結果は以下のとおり。・平均42.6ヵ月後、認知症の新規発症は219例(4.8%)であった。・Cox比例ハザード回帰モデルを用いた生存分析において、認知症発症率が有意に低かった因子は以下のとおりであった。 ●日常的な会話(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.35~0.89、p=0.015) ●自動車運転(HR:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007) ●ショッピング(HR:0.57、95%CI:0.34~0.96、p=0.033) ●フィールドワークまたはガーデニング(HR:0.71、95%CI:0.54~0.94、p=0.016) 著者らは「高齢者における特定のライフスタイル活動は、認知症を予防するうえで、重要な役割を果たすと考えられる。また、認知症の予防のための活動は、年齢や性別により異なる可能性がある」としている。■関連記事認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か魚を食べると認知症は予防できるのか脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減

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米国の皮膚科医は都市部に集中、地方との格差が拡大

 人口の増加と高齢化が進展している米国には、皮膚科医療に対するアンメットニーズが存在している。したがって、皮膚科医の労働人口の特徴やパターンを特定し理解することは重要である。米国・ニューヨーク大学医学部のHao Feng氏らは、皮膚科医の経時的分布および都市部と地方部の釣り合いについて、標準化された分類表を用いて分析した。その結果、皮膚科医の地理的分布はかなり不均衡であり、経時的な拡大が示唆されることが明らかとなった。著者は、「皮膚科医の労働人口の分布を是正することが、患者のケアにとって重要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年9月5日号掲載の報告。 研究グループは、Area Health Resources Fileを用いて1995~2013年における州レベルのデータを分析し、皮膚科医の地理的分布の経時的傾向、人口統計学的因子および環境因子を評価した。 主要評価項目は、米国における現役皮膚科医人口の比率であった。 主な結果は以下のとおり。・全国的な皮膚科医人口の比率は、1995年(3.02人/10万人)から2013年(3.65人/10万人)にかけて、21%増加した。・都市部の皮膚科医人口の比率との差は、非大都市圏では2.63から3.06に、地方では3.41から4.03に拡大していた。・55歳未満の皮膚科医に対する55歳以上の皮膚科医の割合は、非大都市圏および地方では75%の増加(0.32から0.56)、大都市圏では170%の増加(0.34から0.93)だった。・皮膚科医は、物資が豊富な都市部のコミュニティに存在する傾向がみられた。

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禁煙は「徐々に」でなく「一気に」の裏付け/JAMA

 喫煙者において、タバコのニコチン含有量を即時に減らすほうが、緩徐に減らすよりも、喫煙毒性曝露バイオマーカー値の低下は一貫して有意に大きいことが明らかにされた。また、緩徐に減量した場合とニコチン含有量を減量しなかった場合の同マーカー値には、有意差がなかった。米国・ミネソタ大学のDorothy K. Hatsukami氏らによる二重盲検無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌2018年9月4日号で発表された。米国内で販売されているすべてのタバコについて、ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量するための最適な時間的アプローチは、これまで検証されていなかったという。3つの毒性曝露バイオマーカー値で、減量効果を評価 研究グループは、毒性曝露バイオマーカーを用いて、ニコチン含有量を極度低値に低下することの即時vs.緩徐の有効性を検討し、また通常量維持の場合と比較した。試験は全米10地点で、2週間のベースライン喫煙期間に続いて、20週間の介入を行った。 2014年7月~2016年9月に、30日以内に禁煙する意思がなく毎日喫煙しているボランティア被験者を集めて、次の3群に割り付けて追跡した。(1)タバコのニコチン含有量を0.4mg/gへと即時に減量(即時低下群)、(2)5ヵ月かけて15.5mg/gから0.4mg/gへと徐々に減量(緩徐低下群)、(3)15.5mg/g量を維持(対照群)。最終フォローアップは2017年3月であった。 主要評価項目は3つで、呼気一酸化炭素(CO)、尿中3-HPMA(アクロレイン代謝物)、尿中PheT(多環芳香族炭化水素)の喫煙毒性曝露バイオマーカー値。介入20週の間の、濃度-時間曲線下面積(AUC)を算出して評価した。緩徐群と維持群には有意差みられず 1,250例(平均年齢45歳、女性549例[44%])が無作為化を受け、958例(77%)が試験を完了した。 即時低下群は緩徐低下群と比べて、CO値は有意に低値であった(平均値:16.17 vs.20.06ppm、補正後平均群間差[MD]:-4.06[95%信頼区間[CI]:-4.89~-3.23]、p<0.0055)。3-HPMA(クレアチニン幾何平均[GM]値:6.05 vs.7.26nmol/mg、補正後GM比[RGM]:0.83[95%CI:0.77~0.88]、p<0.0055)、PheT(同:2.06 vs.2.16pmol/mg、0.88[0.83~0.93]、p<0.0055)についても同様であった。 また、即時低下群は対照群との比較においても、3つのマーカー値が有意に低値であった。平均CO値は16.17 vs.19.68ppm(補正後MD:-3.38[95%CI:-4.40~-2.36]、p<0.0055)、3-HPMA(クレアチニンGM値)は6.05 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.81[95%CI:0.75~0.88]、p<0.0055)、PheT(同)は2.06 vs.2.41pmol/mg(0.86[0.81~0.92]、p<0.0055)であった。 緩徐低下群vs.対照群では、3つのマーカー値とも有意な差はみられなかった。平均CO値は20.06 vs.19.68ppm(補正後MD:0.68[95%CI:-0.31~1.67)、p=0.18)、3-HPMA(クレアチニンGM値)は7.26 vs.7.67nmol/mg(補正後RGM:0.98[95%CI:0.91~1.06]、p=0.64)、PheT(同)は2.16 vs.2.41pmol/mg(0.98[0.92~1.04]、p=0.52)であった。

20471.

スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ

 スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。スタチンの効果について年齢との関連を糖尿病の有無別に後ろ向きに評価 研究グループは、高齢者および超高齢者の1次予防におけるスタチン治療の、アテローム動脈硬化性心血管疾患および死亡の抑制効果を、糖尿病の有無別に評価する後ろ向きコホート研究を行った(スペイン科学イノベーション省の助成による)。 データの収集には、600万例以上(カタルーニャ地方の80%、スペイン全体の10%に相当)の、匿名化された長期的な患者記録の臨床データベース(Spanish Information System for the Development of Research in Primary Care[SIDIAP])を用いた。 対象は、臨床的にアテローム動脈硬化性心血管疾患が確認されていない75歳以上の高齢者であり、2型糖尿病の有無およびスタチンの非使用/新規使用で層別化した。 傾向スコアで補正したCox比例ハザード回帰モデルを用いて、スタチン使用の有無別にアテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡のハザード比(HR)を算出した。また、2型糖尿病の有無別に、薄板回帰スプライン(thin plate regression splines)を用いた連続的尺度で、年齢別(75~84歳、85歳以上)のスタチンの効果を解析した。スタチンは2型糖尿病の75~84歳で死亡リスク16%低減、90代では効果消失 2006年7月~2007年12月の期間に組み入れ基準を満たした4万6,864例(75~84歳:3万8,557例、85歳以上:8,307例)が登録され、このうち7,502例(16.0%)がスタチン治療を開始していた(75~84歳:6,558例、85歳以上:944例)。7,880例(16.8%)が2型糖尿病(75~84歳:6,641例、85歳以上:1,239例)であった。ベースラインの全体の平均年齢は77歳、女性が63%だった。 非糖尿病群では、75~84歳のスタチン使用者におけるアテローム動脈硬化性心血管疾患のHRは0.94(95%信頼区間[CI]:0.86~1.04)、全死因死亡のHRは0.98(0.91~1.05)であり、いずれも有意な関連は認めなかった。また、85歳以上のスタチン使用者のHRは、アテローム動脈硬化性心血管疾患が0.93(0.82~1.06)、全死因死亡は0.97(0.90~1.05)と、いずれも有意な関連はみられなかった。 これに対し、糖尿病群では、75~84歳のスタチン使用者におけるアテローム動脈硬化性心血管疾患のHRは0.76(95%CI:0.65~0.89)、全死因死亡のHRは0.84(0.75~0.94)と、いずれも有意な関連が認められた。また、85歳以上のスタチン使用者のHRは、それぞれ0.82(0.53~1.26)、1.05(0.86~1.28)であり、有意な差はなかった。 同様に、スプラインを用いた連続的尺度における年齢別のスタチンの効果の解析では、非糖尿病群の75歳以上の高齢者では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡に対するスタチンの有益な作用は認めなかった。 このように、スタチンは、糖尿病群では動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡に対し保護的な作用を示したが、この効果は85歳以上では実質的に低下し、90代では消失した。 著者は、「これらの結果は、高齢者および超高齢者へのスタチンの広範な使用を支持しないが、75~84歳の2型糖尿病患者へのスタチン治療を支持するもの」としている。

20472.

小血管で良好な前拡張が得られればDCBはDESと同等に優れる(解説:上田恭敬氏)-919

 直径3mm未満の小血管に対するPCIにおいて、良好な前拡張が得られた症例を対象として、12ヵ月のMACE(cardiac death, non-fatal myocardial infarction, and target-vessel revascularization)を主要評価項目とした、DCBのDESに対する非劣性を示すためのRCTの結果が報告された。DCB群に382症例、DES群に376症例が無作為に割り付けられた。 MACEの頻度は、DCB群で7.5%、DES群で7.3%となり、統計的に非劣性が証明された。すなわち、このような症例においては、DESを留置しなくてもDCBで十分であることが示された。 このエビデンスに従えば、不要なステントの留置を回避することができるので、臨床的に非常に有用な臨床試験であったといえる。ただし、「小血管はDESを留置しなくてもDCBでよい」という間違った結果が独り歩きしないように注意が必要である。 この試験の最大のポイントは、エントリー基準にあるように「前拡張によって解離やslow flow、残存狭窄がなく良好に開大された症例」に対象を限定した結果であることである。いわゆるstent-likeな結果が得られれば、DESを留置しなくても、DCBを行えば結果は同じと解釈できる。 他にもいくつかのLimitationが指摘されている。DESの中にpaclitaxel-eluting Taxus Element stentとeverolimus-eluting Xience stentの2種類が含まれており、MACEの頻度は統計的有意ではないものの12.8% vs.5.7%とTaxus群で高くなっている。また、DCB後に解離などのためにDESが追加された症例があり、MACEの頻度は統計的有意ではないものの15.8% vs.7.0%とDCB+DES群においてDCB単独群に比して高くなっている。そのため、DESとして「Xienceを使えば」という限定も付くように思われる。実際、論文中でも、DCB群とTaxus群の比較ではHRが0.52(0.26ー1.04、p=0.0649)、DCB群とXience群の比較ではHRが1.21(0.63ー2.32、p=0.5751)と報告している。さらに、本試験では、DCBとしてpaclitaxel-coated balloon SeQuent Pleaseが用いられており、他のDCBにおいて同じ結果となるか否かはわからない。 以上より、多少言い過ぎかもしれないが、本試験の結果は、「3mm未満の小血管に対するPCIで、前拡張によってstent-likeに仕上がれば、Xienceを留置する場合とSeQuent PleaseでDCBを行う場合のMACEはほぼ同等である」と解釈できるだろう。ただし、論文中の図5を見ると、DCB後に追加ステントが必要となる頻度が高くなれば、初めからXienceを留置するほうが優れているかもしれないし、DCB後に追加ステントが必要となる頻度を低くできれば、DCBのほうが優れているかもしれないと思われる。

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重症筋無力症〔MG : Myasthenia gravis〕

重症筋無力症のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 概念・定義神経筋接合部の運動終板に存在する蛋白であるニコチン性アセチルコリン受容体(nicotinic acetylcholine receptor:AChR)やMuSK(muscle specific tyrosine kinase)に対する自己抗体が産生されることにより神経筋伝達の安全域が低下することで、罹患骨格筋の筋力低下、易疲労性を生じる自己免疫疾患である。■ 疫学本症は、特定疾患治療研究事業で国が指定する「特定疾患」の1つである。1987年のわが国での全国調査では本症の有病率は、5.1人/10万人と推計されたが、2006年には11.8人/10万人(推定患者数は15,100人)に上昇した1)。男女比は1:1.7、発症年齢は5歳以下と50~55歳にピークがあり、高齢発症の患者が増えていた1)。胸腺腫の合併はMG患者の32.0%、胸腺過形成は38.4%で認められていた。眼筋型MGは35.7%、全身型MGは64.3%であり、MGFA分類ではI・IIが約80%と多数を占めていた1)。また、抗AChR抗体の陽性率は73.9%であった1)。2018年の最新の全国疫学調査では、患者数は23.1人/10万人(推定29,210人)とさらに増加している。■ 病態本症の多くは、アセチルコリン(acetylcholine:ACh)を伝達物質とする神経筋シナプスの後膜側に存在するAChRに対する自己抗体がヘルパーT細胞依存性にB細胞・形質細胞から産生されて発症する自己免疫疾患である。抗AChR抗体は IgG1・3サブクラスが主で補体活性化作用を有していることから、補体介在性の運動終板の破壊がMGの病態に重要と考えられている。しかし、抗AChR抗体価そのものは症状の重症度と必ずしも相関しないと考えられている。MGにおいて胸腺は抗体産生B細胞・ヘルパーT細胞・抗原提示細胞のソース、MHCクラスII蛋白の発現、抗原蛋白(AChR)の発現など、抗AChR抗体の産生に密接に関与しているとされ、治療の標的臓器として重要である。抗AChR抗体陰性の患者はseronegative MGと呼ばれ、そのうち、約10~20%に抗MuSK抗体(IgG4サブクラス)が存在する。MuSKは筋膜上のAChRと隣接して存在し(図1)、抗MuSK抗体はAChRの集簇を阻害することによって筋無力症を惹起すると考えられている。抗MuSK抗体陽性MGは、抗AChR抗体陽性MGと比べ、発症年齢が比較的若い、女性に多い、球症状が急速に進行し呼吸筋クリーゼを来たしやすい、眼症状より四肢の症状が先行することが多い、筋萎縮を認める例が多いなどの特徴を持つ。また、検査では反復刺激試験や単一筋線維筋電図での異常の頻度が低く、顔面筋と比較して四肢筋の電気生理学的異常が低く、胸腺腫は通常合併しない。さらに神経筋接合部生検において筋の運動終板のAChR量は減少しておらず、補体・免疫複合体の沈着を認めないことから、その病態機序は抗AChR抗体陽性MGと異なる可能性が示唆されている2)。また、神経筋接合部の維持に必要なLRP4に対する自己抗体が抗AChR抗体陰性およびMuSK抗体陰性MGの一部で検出されることが報告されているが3)、筋萎縮性側索硬化症など他疾患でも上昇することが判明し、MGの病態に関わっているかどうかについてはまだ不明確である。画像を拡大する■ 症状本症の臨床症状の特徴は、運動の反復に伴う骨格筋の筋力の低下(易疲労性)、症状の日内・日差変動である。初発症状としては眼瞼下垂や眼球運動障害による複視などの眼症状が多い。四肢の筋力低下は近位筋に目立ち、顔面筋・咀嚼筋の障害や嚥下障害、構音障害を来たすこともある。重症例では呼吸筋力低下による呼吸障害を来すことがある。MGでは神経筋接合部の障害に加え、非骨格筋症状もしばしば認められる。精神症状、甲状腺疾患や慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患の合併、その他、円形脱毛、尋常性白斑、味覚障害、心筋炎、赤芽球癆などの自己免疫機序によると考えられる疾患を合併することもある。とくに胸腺腫合併例に多い。MGの重症度評価にはQMGスコア(表1)やMG composite scale(表2)やMG-ADLスコア(表3)が用いられる。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する■ 分類MGの分類にはかつてはOsserman分類が使われていたが、現在はMyasthenia Gravis Foundation of America(MGFA)分類(表4)が用いられることが多い。また近年は、眼筋型MG、早期発症MG(発症年齢3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療目標は日常生活動作に支障のない状態、再発を予防して生命予後・機能予後を改善することであり、MGFA post-intervention statusでCSR (完全寛解)、PR(薬物学的寛解)、MM(最小限の症状)を目指す。MG治療は胸腺摘除術、抗コリンエステラーゼ薬、ステロイド薬、免疫抑制剤、血液浄化療法、免疫グロブリン療法(IVIg)などが、単独または組み合わせて用いられている。近年、補体C5に対するモノクローナル抗体であるエクリズマブが承認され、難治性のMGに対して適応となっている。全身型MGに対しては胸腺摘除、ステロイド・免疫抑制剤を中心とした免疫療法が一般的に施行されている。また少量ステロイド・免疫抑制剤をベースとして血漿交換またはIVIgにステロイドパルスを併用する早期速効性治療の有効性が報告されており、MGの発症早期に行われることがある。眼筋型MGでは抗コリンエステラーゼ薬や低用量のステロイド・免疫抑制剤、ステロイドパルス6)が治療の中心となる。胸腺腫を有する例では重症度に関わらず胸腺摘除術が検討される。胸腺腫のない全身型MG症例でも胸腺摘除術が有効であることが報告されているが7)、侵襲性や効果などを考慮すると必ずしも第1選択となるとは言えず、治療オプションの1つと考えられている。胸腺摘除術後、症状の改善までには数ヵ月から数年を要するため、術後にステロイドや免疫抑制剤などの免疫治療を併用することが多い。症状の改善が不十分なことによるステロイドの長期内服や、ステロイドの副作用にてQOL8)やmental healthが阻害される患者が少なくないため、ステロイド治療は必要最小限にとどめる必要がある。抗MuSK抗体陽性MGに対して、高いエビデンスを有する治療はないが、一般にステロイド、免疫抑制剤や血液浄化療法などが行われる。免疫吸着療法は除去率が低いため行わず、単純血漿交換または二重膜濾過法を行う。胸腺摘除や抗コリンエステラーゼ薬の効果は乏しく、IVIg療法は有効と考えられている。わが国では保険適応となっていないが、海外を中心にリツキシマブの有効性が報告されている。1)ステロイド治療ステロイド治療による改善率は60~100%と高い報告が多い。ステロイド薬の導入は、初期から高用量を用いると回復は早いものの初期増悪を来たしたり、クリーゼを来たす症例があるため、低用量からの導入のほうが安全である。また、QOLの観点からはステロイドはなるべく少量とするべきである。胸腺摘除術前のステロイド導入に関しては明確なエビデンスはなく、施設により方針が異なっている。ステロイド導入後、数ヵ月以内に症状は改善することが多いが、減量を急ぐと再増悪を来すことがあり注意が必要である。寛解を維持したままステロイドから離脱できる症例は少なく、免疫抑制剤などを併用している例が多い。ステロイドパルス療法は、早期速効性治療の一部として行われたり、経口免疫治療のみでは症状のコントロールが困難な全身型MGや眼筋型MGに行われることがあるが、いずれも初期増悪や副作用に注意が必要である。ステロイドの副作用は易感染性、消化管潰瘍、糖尿病、高血圧症、高脂血症、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、精神症状、血栓形成、白内障、緑内障など多彩で、約40%の症例に出現するとされているため、定期的な副作用のチェックが必須である。2)胸腺摘除術成人の非胸腺腫全身型抗AChR抗体陽性MG例において胸腺摘除の有効性を検討したランダム化比較試験MGTX研究が行われ結果が公表された7)。胸腺摘除施行群では胸腺摘除非施行群と比較して、3年後のQMGが有意に低く(6.2点 vs. 9.0点)、ステロイド投与量も有意に低く(32mg/隔日 vs. 55mg/隔日)、治療関連の合併症は両群で同等という結果が得られ、非胸腺腫MGで胸腺摘除は有効と結論された。全身型MGの治療オプションとして今後も行われると考えられる。約5~10%の症例で胸腺摘除後にクリーゼを来たすが、術前の状態でクリーゼのリスクを予測するスコアが報告されており臨床上有用である9)(図2)。胸腺摘除術前に球麻痺や呼吸機能障害を認める症例では、術後クリーゼのリスクが高いため9)、血液浄化療法、ステロイド投与などを術前に行い、状態を安定させてから胸腺摘除術を行うのが望ましい。画像を拡大する3)免疫抑制剤免疫抑制剤はステロイドと併用あるいは単独で用いられる。免疫抑制剤の中で、現在国内での保険適用が承認されているのはタクロリムスとシクロスポリンである。タクロリムスは、活性化ヘルパーT細胞に抑制的に作用することで抗体産生B細胞を抑制する。T細胞内のFK結合蛋白に結合してcalcineurinを抑制することで、interleukin-2などのサイトカインの産生が抑制される。国内におけるステロイド抵抗性の全身型MGの臨床治験で、改善した症例は37%で、有意な抗AChR抗体価の減少が見られた。副作用としては、腎障害と、膵障害による耐糖能異常、頭痛、消化器症状、貧血、リンパ球減少、心筋障害、感染症、リンパ腫などがある。タクロリムスの代謝に関連するCYP3A5の多型によってタクロリムスの血中濃度が上昇しにくい症例もあり、そのような症例では治療効果が乏しいことが報告されており10)、使用の際には注意が必要である。シクロスポリンもタクロリムス同様カルシニューリン阻害薬であり、活性化ヘルパーT細胞に作用することで抗体産生B細胞を抑制する。ランダム化比較試験にてプラセボ群と比較してMG症状の有意な改善と抗AChR抗体価の減少が見られた。副作用として腎障害、高血圧、感染症、肝障害、頭痛、多毛、歯肉肥厚、てんかん、振戦、脳症、リンパ腫などがある。4)抗コリンエステラーゼ薬抗コリンエステラーゼ薬は、神経終末から放出されるAChの分解を抑制し、シナプス間のアセチルコリン濃度を高めることによって筋収縮力を増強する。ほとんどのMG症例に有効であるが、過剰投与によりコリン作動性クリーゼを起こすことがある。根本的治療ではなく、対症療法であるため、長期投与による副作用を考慮し、必要最小量を使用する。副作用として、腹痛、下痢、嘔吐、流嚥、流涙、発汗、徐脈、AVブロック、失神発作などがある。5)血液浄化療法通常、急性増悪期や早期速効性治療の際に、MG症状のコントロールをするために施行する。本法による抗体除去は一時的であり、根治的な免疫療法と組み合わせる必要がある。血液浄化療法には単純血漿交換、二重膜濾過法、TR350カラムによる免疫吸着療法などがあるが、いずれも有効性が報告されている。ただしMuSK抗体陽性MGでは免疫吸着療法は除去効率が低いため、単純血漿交換や二重膜濾過血漿交換療法が選択される。6)免疫グロブリン大量療法血液浄化療法同様、通常は急性増悪時に対症療法的に使用する。有効性は血液浄化療法とほぼ同等と考えられている。本療法の作用機序としては抗イディオタイプ抗体効果、自己抗体産生抑制、自己抗体との競合作用、局所補体吸収作用、リンパ球増殖や病的サイトカイン産生抑制、T細胞機能の変化と接着因子の抑制、Fc受容体の変調とブロックなど、さまざまな機序が想定されている。7)エクリズマブ補体C5に対するヒト化モノクローナル抗体であるエクリズマブの有効性が報告され11)、わが国でも2017年より全身型抗AChR抗体陽性難治性MGに保険適用となっている。免疫グロブリン大量静注療法または血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限り使用を検討する。C5に特異的に結合し、C5の開裂を阻害することで、補体の最終産物であるC5b-9の生成が抑制される。それにより補体介在性の運動終板の破壊が抑制される一方、髄膜炎菌などの莢膜形成菌に対する免疫力が低下してしまうため、すべての投与患者はエクリズマブの初回投与の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌ワクチンを接種し、8週後以降に再投与、5年毎に繰り返し接種する必要がある。4 今後の展望近年、治療法の多様化、発症年齢の高齢化などに伴い、MGを取り巻く状況は大きく変化している。今後、系統的臨床研究データの蓄積により、エビデンスレベルの高い治療方法の確立が必要である。5 主たる診療科脳神経内科、内科、呼吸器外科、眼科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)日本神経免疫学会(医療従事者向けの診療、研究情報)日本神経学会(医療従事者向けの診療、研究情報)難病情報センター 重症筋無力症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Myasthenia Gravis Foundation of America, Inc.(アメリカの本疾患の財団のサイト)1)Murai H, et al. J Neurol Sci. 2011;305:97-102.2)Meriggioli MN, et al. Lancet Neurol. 2009;8:475-490.3)Zhang B, et al. Arch Neurol. 2012;69:445-451.4)Gilhus NE, et al. Lancet Neurol. 2015;14:1023-1036.5)Grob D, et al. Muscle Nerve. 2008;37:141-149. 6)Ozawa Y,Uzawa A,Kanai T, et al. J Neurol Sci. 2019;402:12-15.7)Wolfe GI, et al. N Engl J Med. 2016;375:511-522.8)Masuda M, et al. Muscle Nerve. 2012;46:166-173.9)Kanai T,Uzawa A,Sato Y, et al. Ann Neurol. 2017;82:841-849.10)Kanai T,Uzawa A,Kawaguchi N, et al. Eur J Neurol. 2017;24:270-275.11)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol. 2017;16:976-986.公開履歴初回2013年02月28日更新2021年03月05日

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018)皮膚科医が感じる夏の終わり【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第18回 皮膚科医が感じる夏の終わりしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆ここのところ涼しい日が続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか?今年の夏を思い出して、夏場の皮膚科外来にありがちな光景を漫画にしてみました☆夏の暑い時期、診察室ではクーラーや扇風機が大活躍!もう、これなしにはやっていけないほど、今年はとくに猛暑でしたね…。皮膚科外来では、これらの空調が発する空気の流れが、時に要注意となる場面があります。…それはズバリ、真菌検査!採取した検体は、スライドガラスに固定して検鏡するのですが、ガラスに乗せた鱗屑は、風に吹かれるとフワ~ッと飛び散ってしまいます。デルぽんの診察室には、デスクの真上にミニ扇風機が設置してあるため、いつもコイツの風に注意しながら運んでいます☆そんな忙しい夏も、そろそろおしまい…。今年は暑さのせいか汗疹が多かった…。忙しいのも大変ですが、秋の始まりは、ちょっぴりおセンチになるデルぽんです。それでは、また~!atsuko.takahashi8081

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「脂肪が燃えるサプリ」表示に根拠なし ドラッグストアに措置命令【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第9回

食品を販売している薬局では、この夏は熱中症対策として経口補水液や塩分補給の飴などのニーズが高かったのではないでしょうか。薬局が医薬品だけでなく食品や医療材料なども取り扱うことは、地域の方々の健康を支えるために必要なことだと思っています。ところが、ある健康食品の販売に関して気になる記事がありました。サプリメントの広告で合理的根拠がないのに「脂肪の消費を大幅UP」などと宣伝したのは景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は9月5日までに、関西を中心にドラッグストアを展開する「キリン堂」(大阪市)に再発防止を求める措置命令を出した。消費者庁などによると、対象となった商品は「グラリスゴールド」。(中略)摂取するだけで特段の運動や食事制限をしなくても体脂肪が燃焼し、痩せる効果が得られるような表示をしていた。(2018年9月5日付 日本経済新聞WEB)薬局で販売する健康食品の店頭表示物(いわゆるPOP広告)に関して、消費者庁から不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づく措置命令が出されました。問題になったPOP広告には、太った人物が腹部をつかんでいるイラストや細身の人物がサイズの大きなズボンを履いているイラストなどとともに、「食べるの大好き&運動嫌い でも燃えた!!」「脂肪燃焼力を大幅UP」「脂肪を減らしながら基礎代謝を上げる」など、運動しなくても痩身効果が得られるかのように表示されていました。消費者庁は当該表示の根拠を示すよう求めましたが、同社から提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められなかったため、表示内容が景品表示法に違反していたことの一般消費者への周知や、再発防止策の構築などを命じました。根拠なく優良誤認させるのは景品表示法違反 薬機法違反の可能性もご存じのように、医薬品や医薬部外品などは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)により、エビデンスや承認された効能効果に基づいて表示できる範囲が決められています。では、健康食品の広告には何を書いてもいいか、というとそんなことはありません。健康食品はあくまで食品ですので、薬機法で直接制限されるものではありませんが、一般消費者が誤った情報によって商品を選んで不利益を被ることがないよう、景品表示法で不当な表示をして販売してはならない旨が定められています。今回問題となったPOP広告は、景品表示法第5条第1号に抵触しました。これは、商品やサービスが実際のものよりも著しく優良であるとアピールして、一般消費者の選択を阻害するような不当な表示を禁止するものです。実際、当該健康食品を広告どおりの効果があるものだと期待して購入した方もいただろうと思います。しかも当該POP広告が表示されていた場所は薬局やドラッグストアですので、薬剤師や従業員が「これはダイエットにオススメですよ」と言ったら、一般の方は「効果があるんだ!」と信じてしまうでしょう。薬局で薬剤師が健康食品を販売するとなると、一般のスーパーで売られているものより説得力が増してしまうため、より表現に注意しなければなりません。なお、健康食品は薬機法の範疇ではないといっても、病気の治療や予防、身体機能の増強・増進を目的とする効能効果をうたった場合(暗示的な表現含む)には薬機法違反になります。今回のPOP広告はほぼ明示的に脂肪の消費を促したり、代謝をアップさせたりする効果があると表示されていますので、かなりクロに近いのではないかと思います。「本当にこれを掲示して一般の方は誤解を受けないだろうか?」「本社がそう言っているが、そのエビデンスはあるのだろうか?」「そもそもこれは食品? 医薬部外品?」と意識して、薬機法、景品表示法を守ることも薬剤師として必要な仕事です。皆さんの薬局のPOP広告は大丈夫でしょうか?

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第3回 心拍数を求めよう【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第3回:心拍数を求めよう皆さんは心拍数を自分で求められますか?『計算するなんてトンデモない』とか、『自動計測の値を転記するのが当たり前』と思っているそこのあなた。今回は、“とっておきの心拍数(rate)の計算法”をDr.ヒロが伝授しましょう。症例提示75歳。女性。高血圧、脂質異常症で通院中。下肢静脈瘤の精査のため他院より紹介され、来院時に心電図検査を行った(図1)。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しくないものを2つ選べ。1)洞調律2)心房期外収縮3)心室期外収縮4)Q波5)時計回転解答はこちら 2)、5)解説はこちら “第1回のおさらいですよ!”まずは、第1回目(心電図の読み“型”:“レーサーが ピッタリクルッとスタート バランスよし”)を参照しながら系統的に判読しましょう。1)◯:まずはR-R間隔。全体では不整ですが、肢誘導4拍目の前後を除いて整の様子。次にRate(心拍数)ですが、上に表示された自動計測では“71/分”となっているため一応セーフ(正常:50~100/分)。3つ目のRhythm(調律)では“イチニエフ(またはニアル)の法則”の出番です(第2回『洞調律を知る』参照)。P波の向きを丹念に見れば、洞調律だとわかります。2)×:R-R間隔を不整にしている“犯人”は肢誘導4拍目です。この“食い気味”に出るパターンは期外収縮ですね。QRS波形に着目すると、幅がワイドで他の洞調律の心拍と全然違う形をしており、「心房」ではなく、「心室」が起源とわかります。3)◯:解説2)の通り。いわゆるPVC(心室期外収縮)です。4)◯:その後のチェックで選択肢にしたのは、“クルッと”の部分です(他には異常なし)。“ク”は(異常)Q波のチェック。III誘導に幅1mmの深掘れ波があるので、これに該当します。これが心筋梗塞巣を反映する“異常”なQ波であるかは別問題。とにかく指摘する、これをボクは重視します。実際にはIII誘導のみのQ波は正常亜型であることが大半です。5)×:これは“スパイク・チェック”。回転もR波の「向き」の異常と考えましょう。胸部誘導で、R波の高さとS波の深さが逆転する移行帯を見ますが、今回はV3~V4ですので、時計回転(移行帯がV5よりも先の場合)ではありません。【問題2】心電図(図1)の心拍数について述べよ。解答はこちら 洞調律(約70/分)に心室期外収縮を認める解説はこちら “レーサーチェック、2つ目のR”今回のテーマは「心拍数」。第1回の図2でお伝えした“レーサー(R×3)…”の2番目のRです。機械が計算してくれた上段の値からすると、70/分くらいなので正常範囲ですよね。単発の期外収縮なら、この値をそのまま用いても悪くありません。心拍数を自分で求める場合、期外収縮でない洞調律の部分で考えて(ここを求めるのがミソ)、プラス期外収縮があるよ、という表現をしたらいいと思います。今回は、ボクがふだん教えている3つの「心拍数の求め方」をご紹介しましょう。1)カンニング法これが最も簡単!最近の心電計はだいぶ賢いので、R-R間隔が完全に整、かつ診断時間がない場合は、機械にお伺いをたてるべし。自動計測値を写しても“犯罪”にはなりません。でも、今回のように全体としてR-R不整の時には、このやり方はあまり推奨されません。2)300の法則・はさみうち等分足し引き法皆さんは“300の法則”って知っていますか?オレンジ色の心電図用紙の“5mm四方の太枠マス”を利用します。これを用いた心拍数の計算では、R-R間隔に注目し、整の場合、となり合う2つのQRS波の距離で心拍数が決まります。例として、III誘導のみを抜粋した別症例の心電図(図2)を挙げましょう。(図2)48歳、男性、心房粗動画像を拡大するR-R間隔が整でおおよそ3マスに相当するので、心拍数は300÷3=100/分。この「300÷マス数」で求めるのが300の法則です。でも、いつもR-R間隔が“マスにぴったり”なラッキーな状況ばかり遭遇するはずもなく(実際に今回の症例も違います)、そんな時にオススメするのが、ボクが独自に編み出した“はさみうち等分足し引き法”です。長くてヘンテコリンな名前ですが、要点をまとめます。はさみうち等分足し引き法のポイント(1)“オン・ザ・ライン”のQRS波を探す(2)となりのQRS波までが“何マス・何目盛り”なのか認識して、太線ではさみこむ(3)はさみこんだ太線間を等分(1目盛りいくつか計算)して最寄りの太線から“足し引き”して心拍数とする上記のポイントを踏まえて、問題1の心電図(図1)からV2誘導だけ抜き出してみました(図3)。(図3)はさみうち等分足し引き法画像を拡大する基本的にはどのR-R間隔を見てもいいのですが、ボクはQRS波のなかでマスの太線に乗っている心拍がないかを最初に探します。すると、陰性のS波のピークが太線上に乗っている“オン・ザ・ライン”のQRS波が見つかります(図3↑)。この4拍目(QRS-4)を起点とします。次に、となりのQRS波までの距離を考えます。前後どちらで考えてもOKですが、たとえばQRS-4から左に4つ目のマス太線から1mm手前の線上にS波が来ているので、QRS-3からQRS-4までのR-R間隔で考えましょう。QRS-3のS波の谷が、もし太線Aにあったなら、心拍数は300÷4で75/分となります。同様に、QRS-3が太線Bにオン・ザ・ラインだったら、300÷5で60/分です。これは300の法則そのものです。ただ、現実はS波の谷は太線Aと太線Bの間(かなりA寄り)にあるわけです。ここで…ボクは大胆なので、この太線AとBの間に1mm四方の細枠(“目盛り”と呼ぶ)が5つありますが、ここを“等分”しちゃいます。つまり、心拍数75-60=15/分が5目盛りだから、15÷5で1目盛り3/分だと思い込むんです。あとはカンタン。太線A(75/分)から太線B(60/分)の方へ1目盛り(3/分)戻った地点に実際のQRS波(QRS-3)はありますから、心拍数は75-3で72/分と求められます。どうです? “はさみうち等分足し引き法”ってネーミング、そのままでしょ?正確に言えば近似法なんですが、不思議なことに50~100/分くらいの範囲ではズレが少ないんです。言葉で説明すると何だかぎこちなくなりますが、慣れてきたらスイスイのスイッーなので、練習あるのみ。この方法をマスターしたら、基本的にR-R間隔が整の心電図なら、どんな心電図でも心拍数をビシッと言い当てることができますよ。3)検脈法こんなに躍起になって解説した後で恐縮ですが、実はボクの最近のオススメは3つ目の“検脈法”です。皆さん、患者さんの手首に触れて検脈ってしますよね。目をつぶって15秒間で何回ドキンを感じたかで、4倍して「脈拍数」にしますでしょ。心電図では「心拍数」ですが、標準的なA4サイズの自動フォーマットですと、肢誘導が5秒、次の5秒は胸部誘導、つまり、私たちが普段、目にしているのは全部で10秒間の記録なんです。図1の心電図でカタチは無視してQRS波の個数だけ数えると、肢誘導(左半分)も胸部誘導(右半分)も6個ずつ、合計12個ですよね。だから、あとは10秒を1分間(60秒)に換算すべく6倍して、12個×6倍で72/分。はい、瞬殺。“はさみうち等分足し引き法”を編み出した日、あまりの興奮に夜眠れなかった記憶があります。でも、それから何年かして“検脈法”に気づいてからは、ふだんは“検脈法”で済ませています(笑)今回は“はさみうち等分足し引き法”と“検脈法”の結果が偶然にも完全一致しましたが、“検脈法”の方がおおざっぱなやり方ですので、自動計測値からのズレは大きい印象です。(図2)のリズム・ストリップも全長5秒ですが、QRS波は9個なので検脈法だと心拍数は108/分となりますよね(9×12/分)。でも、10や20のズレにはならないので、普通はそれで十分です。だって、2つ目のR(Rate)でチェックするのは「50~100/分か?」だけですからね。ドンブリ勘定での正常判定なわけですから、正直72でも78でも気にしない、気にしない。Dr.ヒロはこの大胆さだけがウリです(笑)『早速、他の心電図で試したいなぁ』。そう感じた方はボクのやり方にハマってますね。Take-home MessageR-R間隔が整の場合、心拍数は“はさみうち等分足し引き法”で計算するか、“検脈法”でサボる!【古都のこと~実相院門跡その1~】左京区岩倉にある実相院門跡。光沢のある床面に新緑や紅葉が映し出される「床みどり」や「床もみじ」で有名です。撮影が不可のため「床みどり」を目に焼きつけて、側方にある縁側に出ました。どことなく情緒ある池。木々の方へ回り込むとモリアオガエルにも出会えました。青空の下、まぶしいばかりの新緑、そして朱色の敷物が鮮やかなコントラストを演出していました。

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続々と選択肢増、慢性便秘症治療の最新事情

 相次いで新薬が登場している慢性便秘症治療で、各治療薬はどのように使い分けていけばよいのか。9月11日、都内で慢性便秘症治療の最新事情をテーマとしたプレスセミナーが開催された(主催:アステラス製薬株式会社)。演者として登壇した三輪 洋人氏(兵庫医科大学 内科学消化管科 主任教授)は、「便秘は治療満足度に対する医師と患者側のギャップが大きい。単純に排便回数を改善するだけでなく、症状を改善していく治療が求められている」と話し、便秘治療の考え方や各治療薬の特徴について解説した。慢性便秘症の診断で医師は排便回数の減少を、患者は腹部の膨満感を重視 慢性便秘症の診療を行っている医師400人と、症状が6ヵ月以上あり通院あるいは市販薬を服用している患者700人を対象とした2017年の調査1)で、医師が慢性便秘症の診断にあたり重視する項目は多い順に、「排便回数の減少」「便の硬さ」「排便困難」であった。一方、患者側は「腹部の膨満感」「排便回数の減少」「便の硬さ」の順に回答が多く、特に腹部症状を改善したいと感じていることが明らかになった。 また、慢性便秘症治療の各薬剤(上皮機能変容薬は含まれていない)について満足度を尋ねたところ、浸透圧性下剤で80%以上など医師の満足度がおおむね高かったのに対し、患者側では全薬剤で50%以下となり、医師と比較すると圧倒的に低い傾向がみられた。 三輪氏は、「われわれはつい、“週2回だった排便が4回になりましたか、よかったですね”と排便回数を慢性便秘症治療の目安としてしまいがちだが、患者さん側は症状を改善したいと感じている。漫然と治療を続けるのではなく、どうしたら症状がとれるのかという観点からも治療を考えていかなければいけない」と話した。慢性便秘症の薬物療法、ガイドラインでの推奨は? 慢性便秘症の薬物療法について、まず前提として、骨盤底筋の機能障害に起因する便排出障害型の便秘には効果がなく、リハビリ療法の一種であるバイオフィードバック療法の有効性が確立されていることに三輪氏は言及。「2時間以上もトイレにこもる、手でかき出さないと出せないなど、排便の困難感が極度に強い患者さんは、便排出障害型の可能性がある」と話した。 2017年10月発行の「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、複数ある薬剤の中で、浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース、ソルビトールなど)と上皮機能変容薬(ルビプロストン、リナクロチドなど)に、「強い推奨(1)」と「最も高いエビデンスレベル(A)」が示されている。 しかし、兵庫医科大学の関連病院で2017年10月~2018年2月にかけて薬剤の使用状況を調べたところ、酸化マグネシウムと刺激性下剤の使用が90%以上を占めており、上皮機能変容薬の使用は数%に留まっていた。「市販薬や一部の漢方薬(“大黄”が含まれるもの)を含む刺激性下剤は、一時的な効果はあるが習慣性や依存性があるため、短期間の投与とすることがガイドラインでも推奨されている」と三輪氏。酸化マグネシウムについては、慢性便秘症治療において「今後も第一選択であることは変わらないだろう」としたうえで、副作用(高マグネシウム血症)が報告されており高齢者や腎機能低下患者では定期的な血清マグネシウム濃度の測定が求められていることから2)、「とくに高齢者などでは、慢性便秘症治療に漫然と酸化マグネシウムを投与するのではなく、効果や症状の改善がみられない場合は上皮機能変容薬に切り替えていくという考え方がいいのではないか」と話した。新薬と既存薬をどのように使い分けるか 2018年に入り、4月に胆汁酸トランスポーター阻害薬エロビキシバットが発売、8月には便秘型過敏性腸症候群の治療薬として発売されていたリナクロチドが慢性便秘症に適応拡大された。リナクロチドは2012年発売のルビプロストンと同じく、腸管上皮に直接作用して管腔内への水分分泌を促進する上皮機能変容薬だが、作用機序は異なる。 リナクロチドは腸管上皮に存在するグアニル酸シクラーゼC(GC-C)を活性化させ、サイクリックGMP(cGMP)を増加させることで、水分分泌を増加させる。このcGMPには求心性神経の痛覚過敏を抑制するはたらきがあり、便秘治療薬の中で唯一、大腸痛覚過敏改善作用が示されている。三輪氏は「上皮機能変容薬の使い分けは非常に難しいが、それぞれ特徴はある」と話し、「リナクロチドは薬物相互作用が比較的少ないため、他剤を併用している高齢者などでも使いやすく、また腹痛などの症状が強い人に向いているのではないかと考えている」と期待感を示した。 今後も新薬ラッシュは続く見込みで、ポリエチレングリコール(PEG)製剤が近く発売予定となっている。PEGは酸化マグネシウムと同じ浸透圧性下剤で、欧米では慢性便秘症治療の第一選択薬として広く使われている。「直接比較したデータはないのでどちらがいいと明言するのは難しいが、PEGは水に溶かして飲む形状なので、その点が日本の患者さんたちにどの程度受け入れられるかという部分もある」と話した。

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臨床写真が語るみずみずしい臨床像

 2018年9月2日、第1回日本臨床写真学会学術集会(会長:忽那 賢志氏[国立国際医療研究センター 総合感染症科/国際感染症センター])が、国立国際医療研究センターにおいて開催された。集会では、臨床写真を診断に用いる有用性についての講演、珍しい写真を使用したクイズ、有名医学論文のClinical Pictureへの投稿掲載成功例などが発表された。臨床写真で知の共有化、そして経験値の向上へ はじめに会長の忽那 賢志氏が、今回の集会の目的と意義について説明。臨床写真とは、「病歴も含め臨床に関係する画像全般」と述べ、血液内を泳動するフィラリアの動画を示しながら動画もその範疇に含まれるとした。また、学会の目的として「臨床写真を撮ることで診断につながることはもちろん、このような場を通じて、臨床写真を共有することで、会員共通の財産とすることができ、臨床経験を共有すること、各自の経験値を増やすことができる。また、積極的に学術誌への投稿も目指したい」と説明した。臨床写真を撮ることで経験を次世代につなげていく 次に特別講演として講師に須藤 博氏(大船中央病院 院長)を迎え、「臨床写真と私」をテーマに臨床写真の重要性や撮影のテクニックについてレクチャーが行われた。 講演では、触手できる「急性胆嚢炎」、「マーカスガン瞳孔」、「遺伝性血管浮腫」、「リウマチ性多発筋痛症」、手表に特徴のある「貧血」など同氏の膨大なアーカイブから選出された臨床写真が紹介された。 同氏は講演の中で「臨床写真は、言語化が難しい症例を説明する格好の手段。とくに教科書症例は画像化が必要」と提案するとともに、臨床写真撮影のテクニックとして「治療前、治療後を撮影しておくと経過がわかり参考になる」「腹部所見は真横からも撮影する」「患者からの画像提供も診療の参考にする」など臨床現場で役立つポイントを語った。 おわりに同氏は、「身体所見をマスターすることとは、所見を知って・学んで、ひたすら待っていると、いつか経験する(気付く)ときが来る、そのとき記録する(反芻する)ことで、また最初に戻り、このサイクルを繰り返すことである。そして、写真は知恵を伝える重要なツールとなる。臨床写真を撮ることで、経験を次世代につなげていくことが重要だ」と語り、講演を終えた。Clinical Pictureへの投稿は日本発の症例が採用されやすい!? 次に“The New England Journal of Medicine(NEJM)”のClinical Pictureへの投稿採用について、過去に同コーナーで採用された5名の経験者を演者に写真撮影の経緯、投稿までのプロセス、投稿での注意点などがレクチャーされた。 NEJMの臨床写真の投稿採用率は2.5%とされながらも、日本からの投稿は採用されやすいという。それは日本独特の疾患である高安動脈炎やアニサキス症の写真が同誌の編集者の目を引くからではないかと推測されている。また、全体的に採用されやすい臨床写真の傾向として1)コモンな疾患だが特異的な所見、2)特異的な疾患だがコモンな症状の所見が採用される確率が高いとされる。講演ではClinical Pictureは「投稿に英語という壁があるものの、憶することなく積極的に投稿して欲しい」と演者は応援を送った。実際にClinical Pictureへの投稿で採用された臨床写真では「皮膚・口腔内写真(風疹)」、「内視鏡写真・動画(アニサキス症)」、「指の紫斑(アッヘンバッハ症候群)」、「第3指の膨張(ヘルペス性ひょう疽)」、「食道内視鏡画像(急性壊死性食道炎/black esophagus)」が示された。 その他学会では、講演の合間に臨床写真で診断をする“Clinical Picture Quiz”が行われ、緑膿菌肺炎の胸部X線と喀痰グラム染色写真、アフリカ紅斑熱の皮膚写真、パンケーキ症候群の顔面写真、フルニトラゼパムの不適正服用での口腔内写真などが発表された。また、「臨床写真鑑賞会」では、急性リンパ管炎の手腕写真、ミノサイクリン性色素沈着の下腿写真、アタマジラミの頭部毛髪・拡大写真などが発表され、参加者はみたことのない臨床写真を食い入るように見つめていた。 次回、第2回は2019年に開催される予定。

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社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格

 これまでの職場におけるメンタルヘルスに関する研究では、仕事に関連する環境リスク要因に焦点が当てられており、従業員の保護や個性に関する要因については、考えられていなかった。韓国・中央大学校のHye Ri Kim氏らは、韓国人従業員の抑うつ症状や自殺念慮の保護因子となる性格的長所を特定するため、検討を行った。BMC Public Health誌2018年8月31日号の報告。 男性84例および女性151例の従業員(19~50歳)を対象に、社会人口学的特性(抑うつ症状、自殺率、性格的長所)を収集した。抑うつ症状の測定にはベック抑うつ質問票(BDI-II)、自殺率は精神疾患簡易構造化面接法韓国語版(MINI)、性格的長所は24 Character Strength Alphas VIA Survey-72を用いた。抑うつ症状と自殺念慮をカテゴリカルな結果変数として、階層的ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・女性における、抑うつ症状の統計学的に有意な性格的長所の予測因子は以下であった。 ●好奇心(B=1.107、Wald=10.207、オッズ比:3.026、p=0.001) ●愛(B=0.862、Wald=5.767、オッズ比:2.367、p=0.016)・女性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●判断(B=-1.405、Wald=5.663、オッズ比:0.245、p=0.017) ●優しさ(B=-1.456、Wald=6.486、オッズ比:0.233、p=0.011)・男性における、抑うつ症状の性格的長所の予測因子は以下であった。 ●愛(B=1.746、Wald=4.279、オッズ比:5.729、p=0.039)・男性の抑うつ症状に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●チームワーク(B=-2.204、Wald=4.666、オッズ比:0.110、p=0.031)・男性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●創造性(B=-1.384、Wald=4.202、オッズ比:0.251、p=0.040) 著者らは「職場におけるうつ病や自殺念慮の予防には、女性では判断や優しさ、男性ではチームワークや創造性に焦点を当て、これらの強みを生かした活動に従事することが重要である。今後の研究では、職場における従業員の性格的長所を促進するための介入の開発に焦点を当てるべきである」としている。■関連記事うつ病になりやすい性格職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

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院外心停止の気道確保、声門上気道デバイスは有効か/JAMA

 院外心停止の最適な気道管理法は確立されていないという。英国・University of the West of EnglandのJonathan R. Benger氏らAIRWAYS-2試験の研究グループは、院外心停止患者への声門上気道デバイス(SGA)による管理は、気管挿管(TI)と比較して、30日時の機能的アウトカムを改善しないことを示し、JAMA誌2018年8月28日号で報告した。SGAの挿入手技は、TIよりも簡便で迅速に施行可能であり、習熟に要する訓練も少ないため、継続的に臨床で用いられている。観察研究では、TIのほうが延命効果に優れる可能性が示唆されているが、院外心停止の気道管理の最適なアプローチを同定するために、大規模な無作為化試験の実施が求められていた。mRSスコアをクラスター無作為化試験で評価 本研究は、非外傷性の院外心停止成人患者の初期高度気道管理戦略における、SGAのTIに対する優位性を検証する多施設共同クラスター無作為化試験であり、イングランドの4つの大規模な救急医療サービス(EMS)が参加した(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、非外傷性の院外心停止を発症し、最初あるいは2番目に現場に到着した救急隊員による治療を受け、EMSの医療者により蘇生術が開始または継続された患者であった。救急隊員は、初期の高度気道管理戦略として、SGAまたはTIを行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、退院時または院外心停止後30日時のいずれか早い時期の修正Rankinスケール(mRS)のスコアとした。mRSは、0~3点を良好なアウトカム、4~6点(6点は死亡)を不良なアウトカムとした。副次アウトカムには、換気成功、胃内容物の逆流、誤嚥などが含まれた。初期換気成功率は優れる、逆流、誤嚥に差はない 2015年6月~2017年8月の期間に、1,523人の救急隊員(SGA群:759人、TI群:764人)と、9,296例の院外心停止患者(SGA群:4,886例、TI群:4,410例)が登録された。患者は95の施設に搬送された。フォローアップは2018年2月に終了した。 全体の年齢中央値は73歳、女性が36.3%含まれた。mRSスコアのデータは9,289例で得られた。 退院時または30日時の良好なアウトカム(mRSスコア:0~3点)の割合は、SGA群が6.4%(311/4,882例)であり、TI群の6.8%(300/4,407例)と比較して有意な差は認めなかった(補正後リスク差[RD]:-0.6%、95%信頼区間[CI]:-1.6~0.4、p=0.24)。死亡率はそれぞれ91.9%、91.5%だった。 初期換気の成功率は、SGA群が87.4%(4,255/4,868例)と、TI群の79.0%(3,473/4,397例)に比べ有意に良好であった(補正後RD:8.3%、95%CI:6.3~10.2)。ただし、割り付けられた高度気道管理を受けた患者の割合は、SGA群が85.2%(4,161/4,883例)であったのに対し、TI群は77.6%(3,419/4,404例)と少なかった。 逆流の割合は、SGA群が26.1%(1,268/4,865例)、TI群は24.5%(1,072/4,372例)(補正後RD:1.4%、95%CI:-0.6~3.4)、誤嚥の割合はそれぞれ15.1%(729/4,824例)、14.9%(647/4,337例)(0.1%、-1.5~1.8)であり、いずれも両群間に有意差はみられなかった。 著者は、「院外心停止成人患者における個々の高度気道管理技術の正確な役割は、依然として明らかではない」としている。

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