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経口抗凝固薬+PPIで、上部消化管出血による入院率低下/JAMA

 経口抗凝固療法における上部消化管出血による入院発生率は、リバーロキサバンを処方された患者で最も高く、アピキサバンが処方された患者で最も低かった。いずれの抗凝固薬も、プロトンポンプ阻害薬(PPI)との併用で同入院発生率は低下することが示された。米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。PPIの併用は、経口抗凝固療法でしばしば起こる潜在的に重篤な合併症である上部消化管出血のリスクに影響を与える可能性が示唆されていた。JAMA誌2018年12月4日号掲載の報告。アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン、ワルファリンのPPI非併用/併用について解析 研究グループは、メディケア受給者を対象として、2011年1月1日~2015年9月30日の間に、PPI非併用/併用療法で抗凝固薬(アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン、ワルファリン)を使用している患者の、上部消化管出血による入院発生率を解析した。 主要評価項目は、上部消化管出血による入院とし、抗凝固療法1万人年当たりの補正後発生率およびリスク差(RD)、発生率比(IRR)を算出した。 抗凝固薬を投与された新規エピソード171万3,183件を有する164万3,123例の患者が、本研究に組み込まれた(平均[±SD]年齢76.4±2.4歳、女性65万1,427人年[56.1%]、適応症は心房細動が87万330人年[74.9%])。PPI非併用下ではリバーロキサバンが高く、アピキサバンが低い PPI非併用で抗凝固薬を使用した75万4,389人年において、上部消化管出血による入院は7,119件で、補正後発生率は115件/1万人年(95%信頼区間[CI]:112~118)であった。 抗凝固薬の薬剤別では、リバーロキサバン(1,278件)が144件/1万人年(95%CI:136~152)、アピキサバン(279件)が73件/1万人年(IRR:1.97[95%CI:1.73~2.25]、RD:70.9[59.1~82.7])、ダビガトラン(629件)が120件/1万人年(IRR:1.19[1.08~1.32]、RD:23.4[10.6~36.2])、ワルファリン(4,933件)が113件/1万人年(IRR:1.27[1.19~1.35]、RD:30.4[20.3~40.6])で、リバーロキサバンが最も高率であった。 また、アピキサバンの入院発生率は、ダビガトラン(IRR:0.61[95%CI:0.52~0.70]、RD:-47.5[-60.6~-34.3])およびワルファリン(IRR:0.64[0.57~0.73]、RD:-40.5[-50.0~-31.0])よりも有意に低かった。 抗凝固薬にPPIを併用した26万4,447人年においては、上部消化管出血による入院は2,245件で、補正後発生率は全体で76件/1万人年であった。PPI非併用と比較し、上部消化管出血による入院のリスクは、全体(IRR:0.66、95%CI:0.62~0.69)、アピキサバン(IRR:0.66[0.52~0.85]、RD:-24[95%CI:-38~-11])、ダビガトラン(IRR:0.49[0.41~0.59]、RD:-61.1[-74.8~-47.4])、リバーロキサバン(IRR:0.75[0.68~0.84]、RD:-35.5[-48.6~-22.4])、ワルファリン(IRR:0.65[0.62~0.69]、RD:-39.3[-44.5~-34.2])のいずれも低かった。

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高齢の未治療CLL、イブルチニブでPFS延長/NEJM

 高齢の未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、イブルチニブの単剤またはリツキシマブとの併用は、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが認められた。イブルチニブ単剤投与とイブルチニブ+リツキシマブ併用投与との間で、PFSに差はなかった。米国・オハイオ州立大学総合がんセンターのJennifer A. Woyach氏らが、イブルチニブの第III相試験「A041202試験」の結果を報告した。イブルチニブは、未治療CLLの1次治療として米国では2016年に承認されているが、化学免疫療法との比較はされていなかった。NEJM誌オンライン版2018年12月1日号掲載の報告。イブルチニブ単剤、リツキシマブと併用、ベンダムスチン+リツキシマブを比較 イブルチニブの有効性を評価する試験は、2013年12月~2016年5月に米国およびカナダの219施設にて行われた。研究グループは、65歳以上の未治療CLL患者547例を、ベンダムスチン+リツキシマブ(ベンダムスチン併用)群(183例)、イブルチニブ単剤群(182例)、イブルチニブ+リツキシマブ(イブルチニブ併用)群(182例)に1対1対1の割合に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)。 本試験は、第2回中間解析の結果、プロトコールで定義された有効性閾値を満たしたことから(有意水準:片側p=0.025、log-rank検定)、データ安全性モニタリング委員会が結果の公表を決定した。2年PFS率は、イブルチニブ単剤・併用群が87~88% PFSは、ベンダムスチン併用群のみ中央値に到達した。2年推定PFS率は、ベンダムスチン併用群74%、イブルチニブ単剤群87%(ハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.26~0.58、p<0.001)、イブルチニブ併用群88%(HR:0.38、95%CI:0.25~0.59、p<0.001)であり、ベンダムスチン併用群と比べてイブルチニブ両群が有意に高率であった。 イブルチニブ併用群とイブルチニブ単剤群との間で、PFSに有意差は確認されなかった(HR:1.00、95%CI:0.62~1.62、p=0.49)。 追跡期間中央値38ヵ月において、全生存期間は3群間で有意差はなかった。 Grade3以上の血液学的有害事象の発現率は、イブルチニブ単剤群41%、イブルチニブ併用群39%に対し、ベンダムスチン群で61%と高率であった。一方、Grade3以上の非血液学的有害事象の発現率は、イブルチニブ単剤群およびイブルチニブ併用群(それぞれ74%)よりベンダムスチン群(63%)が低かった。 なお著者は、追跡期間が短くサブグループ間の有意差は検出力不足などの点で研究には限界があったと述べている。

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ニボルマブ、NSCLCにおける実臨床下での安全性プロファイル/日本肺学会

 本邦で抗PD-1抗体ニボルマブが進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療における承認を取得したのは2015年12月。市販後の日常臨床での副作用発現状況を調べた全例調査の結果について、近畿大学の中川 和彦氏が11月29日~12月1日に東京で開催された第59回日本肺学会学術集会で発表した。本調査では、副作用発現状況のほか、安全性・有効性に影響を与える因子が検討されている。調査方法:事前症例登録による全例調査方式登録期間:2015年12月17日~2016年3月31日観察期間:投与開始後12ヵ月登録症例数:3,808例(うち安全性解析対象は3,606例/有効性解析対象は3,381例)重点調査項目:間質性肺疾患/副腎障害/重症筋無力症・筋炎/脳炎/大腸炎・重度の下痢/重度の皮膚障害/1型糖尿病/静脈血栓塞栓症/肝機能障害/Infusion reaction/甲状腺機能障害/心臓障害(心房細動、徐脈、心室性期外収縮等)/神経障害/腎障害 主な結果は以下のとおり。・安全性解析対象3,606例のうち、1,688例(46.8%)に副作用が認められた(国内臨床試験では発現率79.3% [88/111例])。・重点調査項目の発現頻度は、間質性肺疾患が9.57%と最も多くみられ、甲状腺機能障害(9.04%)、肝機能障害(7.93%)、Infusion reaction(5.57%)、大腸炎・重度の下痢(5.57%)などが続いた。・重点調査項目の発現時期は、中央値でみるとおおむね2ヵ月以内に発現していたが、副腎障害と1型糖尿病については、中央値がそれぞれ5ヵ月、3ヵ月頃であった。[頻度の高かった副作用の処置と転帰、リスク要因]間質性肺疾患:発現率9.57%(345/3,606例)・主な処置として、265例(76.8%)でステロイド治療が行われていた。・ニボルマブ投与は、266例(77.1%)で中止(休薬)。31例で再投与、うち3例で間質性肺疾患の再発が認められた。・263例(76.2%)が回復・軽快、41例(11.9%)が未回復、34例(9.9%)が死亡。・多変量解析の結果、ILDの病歴あり(ハザード比[HR]:2.41)、CT異常所見あり(HR:1.35)がリスク要因として示された。甲状腺機能障害:発現率9.04%(326/3,606例)・主な処置として、167例(51.2%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、74例(22.7%)で中止(休薬)。23例で再投与、うち5例で甲状腺機能障害の再発が認められた。・197例(60.4%)が回復・軽快、106例(32.5%)が未回復、死亡例は確認されなかった。・多変量解析の結果、甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの甲状腺の病歴(HR:3.05)がリスク要因として示された。肝機能障害:発現率7.93%(286/3,606例)・処置なしが223例(76.6%)と最も多く、ステロイド治療が約6%で実施されていた。・ニボルマブは、68例(23.8%)で中止(休薬)。17例で再投与、うち3例で肝機能障害の再発が認められた。・206例(72.0%)が回復・軽快、69例(24.1%)が未回復、4例(1.4%)が死亡。・多変量解析の結果、B型肝炎、C型肝炎、肝炎ウイルスキャリアー、脂肪肝、肝転移などの肝臓の病歴(HR:2.33)がリスク要因として示された。大腸炎・重度の下痢:発現率5.57%(201/3,606例)・主な処置として、67例(33.3%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、98例(48.8%)で中止(休薬)。33例で再投与、うち11例で大腸炎・重度の下痢の再発が認められた。・184例(91.5%)が回復・軽快、12例(6.0%)が未回復、3例(1.5%)が死亡。・多変量解析の結果、リスク要因は抽出されなかった。・一年生存率は、有効性解析対象全体で42.4%(1,433/3,381例)。PS良好の患者で高い一年生存率が確認された(PS 0~1:49.2%、PS 2:17.0%、PS 3~4:11.2%)。※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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STEMIでの至適DAPT期間は6ヵ月それとも12ヵ月?(解説:上田恭敬氏)-974

オリジナルニュースSix months versus 12 months dual antiplatelet therapy after drug-eluting stent implantation in ST-elevation myocardial infarction (DAPT-STEMI): randomised, multicentre, non-inferiority trial(2018/10/2掲載) 第2世代DESによって治療されたSTEMI症例で6ヵ月間イベントがなかった症例を、その時点でDAPTからSAPT(アスピリン単独)へ変更する群とそのままさらに6ヵ月間DAPTを継続する群に無作為に割り付け、その後18ヵ月(PCIからは24ヵ月)までの全死亡、心筋梗塞、血行再建術、脳卒中、出血(TIMI major)の複合頻度を主要評価項目として非劣性が検討された。 432症例がSAPT群、438症例がDAPT群に割り付けられた。主要評価項目の発生頻度は、SAPT群で4.8%、DAPT群で6.6%となり、非劣性が示された。 本試験では1,100症例のSTEMIが6ヵ月間観察された後に各群に割り付けられているが、割付の時点で92症例は基準を満たしていたにもかかわらず割り付けられずに脱落している。イベント発生頻度がいずれの群においても予想より低かったことと合わせて、このことはlimitationとして記載されており、より低リスクの症例だけがエントリーされたとも考えられる。本試験の10倍以上の症例数で検討されたDAPT試験で認められた、DAPT継続群での心筋梗塞の減少や出血イベントの増加は、本試験では認められなかった。やはり、虚血イベントのリスクも出血イベントのリスクも低い症例が登録されたための結果ではないだろうか。 よって、本試験の結果について、「一般的に」STEMI症例でPCI後のDAPT期間を12ヵ月から6ヵ月に短縮しても大丈夫と解釈すべきではなく、「特定の症例を選択すれば」DAPT期間を12ヵ月から6ヵ月に短縮しても大丈夫と解釈すべきだろう。ただし、どんな特定の症例かは不明であり、そのような症例ではDAPT期間を短縮しても虚血イベントは増えないが、出血イベントが減るわけでもないという結果なので、積極的にDAPT期間を短縮する必要もないのかもしれない。逆に、出血イベントが減るメリットのある症例群では、その代わりに虚血イベントは増えてしまうかもしれない。臨床的に真に欲しいエビデンスを得るための臨床試験を実施するのは非常に難しいと思う。

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「ボヘミアン・ラプソディ」を観た!【Dr. 中島の 新・徒然草】(251)

二百五十一の段 「ボヘミアン・ラプソディ」を見た!2011年9月5日の朝。パソコンで何げなく開いたグーグルのホームページ。ボタンがついていたので、押してみたら…いきなり、ちょび髭を生やした黄色い服のおじさんが歌い始めました。何だ、何だ、何だ、これは!そのままパソコンを持って女房に見せると、女房「おおーっ、今日は彼が死んだ日かね?」中島「いや、生まれた日らしいぞ」ちょうど生誕65周年とか。女房「これや、これや。これが彼の黄色や!」中島「はあ?」女房「この動画を作った人…よっぽどクイーンが好きやったんやろな」黄色い服のおじさんは、イギリスのロック・バンド、クイーンのボーカルを務めていたフレディ・マーキュリーです。歌っていたのは「ドント・ストップ・ミー・ナウ」。学生時代、軽音楽部だった女房に訊いてみました。中島「ミュージシャンにとって、このフレディって人は偉大なのか?」女房「偉大なんてもんやない」中島「…」女房「彼こそ天才や!」中島「天才ってのを言葉で言い表すとしたら?」女房「何て言うか、クイーンは独特なんや」自分ごときがクイーンを評するなんぞおこがましい、と言わんばかりの表情でした。私もクイーン世代のはずですが、ほとんど聴いたことがありませんでした。どうもすみません。黄色い服のおじさんが飛び出してから7年。見てきましたよ、「ボヘミアン・ラプソディ」。あのフレディ・マーキュリーの45年の生涯を描いた映画です。なぜか泣いた、泣きました! 観客席のあちこちからもすすり泣きの声が。私は知らなかったのですが、フレディ・マーキュリーはペルシア系インド人だそうです。てっきりイギリス人だと思っていました。フレディは民族的にマイノリティであるばかりでなく、ゲイという性的マイノリティでもあり、しかも歯が4本多い過剰歯も抱えていたとか。栄光に包まれたクイーンのボーカルだったとは想像もできません。神様から与えられた有り余る才能、そして逃れられることのできない苦悩。そのせめぎ合いの中から、誰にもまねのできない旋律と心に染み込む歌詞が生まれたのでしょう。映画の中で使われたクイーンの名曲の訳詞の1つ1つが、死の恐怖と限りある生命を表現しているように私には感じられました。たとえば「伝説のチャンピオン」。"We are the champions, my friends."という歌詞はいかにも「俺たちは頂点を極めたぜ」という傲慢な台詞に聞こえますが、本当は"We'll keep on fighting till the end."「俺たちは戦い続けるんだ、死ぬまで」のところの方が大切ではないかと思います。戦い続ける奴はみんなチャンピオンだ、という意味なんでしょうね。さらに「ボヘミアン・ラプソディ」。"Goodbye everybody, I've gotta go." は「さよなら、みんな。俺はもう行かなくちゃ」。そして、"Mama, ooh. I don't wanna die."は「ママ。俺、まだ死にたくねえよ」と、そのものずばりです。また「ドント・ストップ・ミー・ナウ」。「俺は空を飛ぶ流れ星だ」「俺は虎だ、レーシングカーだ、ロケットだ」「俺をとめるな!」と、何か悪いモノでも飲んじまったのかと思うような歌詞も「命あるうちに精一杯生きようぜ!」という意味に聞こえてきます。どれもフレディのエイズが発覚する前の曲ではありますが、今となっては、後に彼を襲う恐ろしい運命を暗示していたような気がしてなりません。さて、映画館から出た後のこと。中島「最後の『ドント・ストップ・ミー・ナウ』だけは実写やな。やっぱり本物のフレディ・マーキュリーには狂気が宿っていたなあ」女房「私の周りではブライアン・メイとロジャー・テイラーのファンが多くて、フレディのファンは1人もいなかったわ。ちょっと不気味だったし」確かに田舎の女子高生たちには刺激が強すぎたのかも。女房「クイーンのメンバーは4人とも歌がうまくてね。あの大歓声の中で、自分の声がまったく聞こえない状況の中でも絶対に音を外さないというのはホントに凄いことなのよ」女房からアマチュア・バンドらしい感想が出たところで、最後に1句。なぜ死んだ! ジジイのフレディ 見たかった★読者の皆さま、クイーンをまったく知らなくても、ぜひ映画館で観てください。泣けます。

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第13回 魚アレルギー患者はEPA/DHA製剤や魚油サプリを服用できる?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 薬局で勤務していると、魚アレルギーを自認している患者さんに出会う機会があるかと思います。自認と書いたのは、魚アレルギーといっても、実際はアニサキスアレルギーや鮮度の落ちた魚中のヒスタミンによるアレルギー様食中毒である場合もあり、新鮮な魚を食べても起こる本当の魚アレルギーと区別が必要なこともあるためです。このため、自称・魚アレルギーの患者さんからEPA/DHA製剤や魚油サプリメントを摂取してよいかというご質問にはやや答えづらいと思っています。反射的にダメと言ってしまうこともありそうですが、本当に魚アレルギーとEPA/DHA製剤やサプリメントは関連があるのでしょうか。この辺りのエビデンスは豊富ではないようで、思ったようには見つかりませんでしたが、現状調べてみた情報を紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。まず、EPA/DHA製剤であるイコサペント酸エチル(商品名:エパデール)とオメガ-3脂肪酸エチル(同:ロトリガ)の添付文書を参照すると、前者には魚アレルギー患者に投与禁忌との記載はなく、後者では「本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者は禁忌」という記載のみで、魚アレルギーとの関連について明示的な記載はありません。魚アレルギーの原因物質は皮に含まれる魚ゼラチンというタンパク質であるとの研究を紹介します1)。この研究では、魚アレルギーを有する小児の魚ゼラチン(1型コラーゲン)に対するIgE抗体の分析を行うため、血清サンプルを以下の3グループから採取しています。1.魚アレルギーを有し、魚肉に特異的IgEを有する10例2.魚肉とウシゼラチンの両方に対するアレルギーおよび特異的IgEを有する2例 3.アトピー性皮膚炎で魚肉に特異的IgEを有する15例 これらのグループの魚ゼラチンに対するIgE抗体をELISAおよびイムノブロッティングを用いて分析したところ、1の群では10例中3例、2の群では全例、3の群では15例中5例が魚ゼラチンに対する特異的IgEを有していました。このことから、魚ゼラチンは魚に過敏な患者さんのアレルゲンである可能性があるという結果が示唆されています。ただし、高純度の医薬品であれば、理論上魚ゼラチンなどの不純物は入らないはずですので、EPA/DHA製剤を服用したところでアレルゲンとなることは考えにくいのではないかと推察できます。明確な関連は不明だが、アレルギー症状が生じた事例も存在サプリメントの場合でも、魚アレルギーを持つ患者6例が、2種類の魚油サプリメントを1時間ごとに経口摂取して皮膚アレルギーテストを行ったところ、いずれも陰性だったという試験もあり2)、かなり関連性は薄いと考えられます。なお、総合医薬品データベースのLexicompにおけるOmega-3-acid ethyl esters(fish oil) の項目では、「Fish allergy: Use with caution in patients with known allergy or sensitivity to fish and/or shellfish.」と記載があり、注意レベルにとどまっています。ただし明確な根拠を示しているコメントではなさそうです。一方で、魚介類アレルギーがある女性の症例報告で、魚油カプセル服用開始4日後に息切れ、胸部圧迫感など重度のアレルギー症状を呈し、中止後5日以内に鎮静化したというケースも報告されています3)。一定の注意を払ってもよさそうですが、明確に関連を語れるほどの根拠とまでは言えず、即時型アレルギーを誘発していない方の服用をストップするほどではないかもしれません。これから服用を開始したいと考える方に関しては、冒頭で述べたように本当は魚アレルギーではない可能性もあるため、アレルギー検査をすすめたり、体内でEPA/DHAに変換されるαリノレン酸を多く含むえごま油やあまに油を提案したりするのもよいかもしれません。1)Sakaguchi M, et al. J Allergy Clin Immunol. 2000;106:579-584.2)Mark BJ, et al. Allergy Asthma Proc. 2008;29:528-529.3)Howard-Thompson A, et al. Int J Clin Pharm. 2014;36:1126-1129.

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治療抵抗性統合失調症患者に対する集中的ECTのパイロット研究

 薬物治療が奏効しない治療抵抗性統合失調症(TRS)患者に対し、電気けいれん療法(ECT)の追加療法がしばしば行われる。イラン・Kermanshah University of Medical SciencesのOmran Davarinejad氏らは、TRS患者に対する8日間毎日の集中的ECTが、短期的(治療終了4週間後)および中期的(治療終了12週間後)に精神症状をどの程度改善できるかについて、検討を行った。Neuropsychobiology誌オンライン版2018年11月21日号の報告。 対象は、DSM-5の基準に基づくTRS患者14例。ECTは、8日間連続して毎日実施された。ベースライン時、治療終了時、治療終了4週間後、治療終了12週間後において、トレーニングを受けた精神科医が、疾患重症度(陽性症状、陰性症状、精神病理)および認知機能の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・精神症状(陽性症状、陰性症状、精神病理)は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで改善した。・治療終了12週間後には、精神症状が再び増加した。・認知機能は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで減少した。・しかし、治療終了12週間後には、認知機能は、ベースライン時のレベルまで戻っていた。 著者らは「TRS患者に対する集中的ECTは、短期的および中期的に精神症状を改善させた。治療終了4週間後から12週間後にかけての精神症状増加は、ECT追加セッションのベネフィットを示唆している」としている。■関連記事治療抵抗性統合失調症、ECT併用は有益か治療抵抗性統合失調症に対する電気けいれん療法とクロザピンとの併用統合失調症へのECT、アジア諸国での実態調査

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てんかん治療患者の44%が高齢者

 今年も高齢者の意識消失による交通事故が後を絶たない。事故の原因疾患に関する報道はないものの、意識消失の原因となりうる心臓疾患や脳卒中、認知症、そして、てんかんなどについて検証される必要がある。2018年11月16日にエーザイ株式会社が「認知症と間違いやすい『高齢発症てんかん』」を開催し、4名の専門医(赤松 直樹氏[国際医療福祉大学医学部神経内科教授]、塩崎 一昌氏[横浜市総合保健医療センター地域精神保健部長]、久保田 有一氏[TMGあさか医療センター脳神経外科統括部長]、下濱 俊氏[札幌医科大学医学部神経内科講座教授])による解説、ならびに患者代表者(男性・65歳)による実体験の紹介が行われた。発作がわかりにくい高齢者てんかんとその特徴 医療者でも認識しづらい高齢者のてんかん。その理由を「高齢初発てんかんの半数は意識減損で痙攣をきたさない」と語る赤松氏は、『高齢発症てんかんとは』について講演。高齢者が発症するてんかん発作と患者割合について説明した。 高齢発症てんかんは側頭葉てんかんが半数以上を占め、治療にはカルバマゼピンや第二世代薬のラモトリギン、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミドが有効とされる。発作には“意識減損焦点発作”と“焦点起始両側強直間代発作”の2種類が存在するが、前者は認知症と誤認されやすいため、以下に主な症状を示す。高齢発症てんかん(側頭葉てんかん)の主な症状1)吐き気2)一点凝視3)口と手の自動症(口をくちゃくちゃ、手をもぞもぞ)4)動作の停止5)意識消失後のうろつき 1)~5)の順に徐々に発作が出現するが、「発作時間は30秒~3分程度と短く、5分以上継続することは少ない」と同氏はコメントした。 同氏主導で、2008年4月~2016年12月に実施した全国の急性期医療機関(DPC病院)から成る1,785万8,022人の医療情報データベースにおける後ろ向き研究によって、日本のてんかん患者の44%が65歳以上の高齢者であると判明した。また、「脳卒中後や認知症に併発することが多い」と特徴付けた同氏は、今後、久山町研究の結果を報告する予定である。抗てんかん薬が認知機能改善にも好影響 認知症治療の立場から『認知症診断におけるてんかんの現状』について講演をした塩崎氏は、てんかんに関する情報は、他の学会ガイドラインやテキストブックにおいて「十分な注意が払われていない」と嘆く。同氏の施設では、年間1,000件の物忘れ鑑別診断を行い、初回受診時には全例へ脳波検査を実施しているという。 同氏の外来は70~80歳代の高齢の受診者が大半を占める。軽度認知障害~初期アルツハイマー型認知症(AD)の診断が多いが、約1%の患者では主診断がてんかんであった。ところが、てんかんの存在を強く示唆する発作間欠期てんかん性放電(IED)が、側頭部で認められる症例は1%より多く、同氏は「てんかんの合併が疑われる患者は認知症外来に約5%存在した」と述べた。また、認知症患者にIEDが認められても、「認知機能低下が著しい場合、てんかんが合併しても認知症診断が優先される」ことを付け加えた。 IEDが記録できた患者50例に抗てんかん薬(AED)を投与し、MMSE下位項目を検証した結果、“注意・集中・計算”を反映するシリアル7課題が有意に改善した(AED投与前:2.76±1.85、AED投与後:3.64±1.59、p

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DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬は胆管がんリスクを大幅増/BMJ

 インクレチンベースのDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬は、それ以外の抗糖尿病薬の第2・第3選択薬と比べて、胆管がんリスクを大幅に増大する可能性があることが明らかにされた。カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami氏らが、糖尿病患者15万例超を対象とした集団ベースのコホート試験で明らかにし、BMJ誌2018年12月5日号で発表した。アンバランスな胆道系がんの発症が、インクレチンベースの抗糖尿病薬の大規模無作為化試験においてみられているが、リアルワールドでの観察試験では調査されていなかった。DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬と、それ以外の抗糖尿病薬と比較 研究グループは、英国の臨床データベース「Clinical Practice Research Datalink(CPRD)」を基に、2007年1月1日~2017年3月31日の間に新たに糖尿病の診断を受けた成人15万4,162例について、2018年3月31日まで追跡を行った。 DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用を時変共変数としてモデル化し、それ以外の第2・第3選択薬の抗糖尿病薬と比較。がん潜伏期間と逆の因果関係を最小化するために、すべての曝露から1年間の遅延期間を設定した。 Cox比例ハザードモデルを用いて、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用に関連した胆管がん発生のハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに、それぞれについて算出した。また、世界保健機関(WHO)の個別症例安全性報告のデータベース「VigiBase」を使って、事後のファーマコビジランス解析を行い、胆管がんの報告オッズ比(ROR)を推算した。DPP-4阻害薬、胆管がんリスク1.77倍増大 61万4,274人年の追跡期間中に発生した胆管がんは、105例(17.1/10万人年)だった。 DPP-4阻害薬の服用は、胆管がんリスクを77%増大した(HR:1.77、95%CI:1.04~3.01)。また、GLP-1受容体作動薬の服用も胆管がんリスクの増大が示されたが、95%CI値は広範囲にわたった(HR:1.97、95%CI:0.83~4.66)。 ファーマコビジランス解析では、DPP-4阻害薬またはGLP-1受容体作動薬の使用は、SU薬やチアゾリジン系薬の使用と比べて、いずれも胆管がんのRORは増大と関連していた(DPP-4阻害薬のROR:1.63[95%CI:1.00~2.66]、GLP-1受容体作動薬のROR:4.73[同:2.95~7.58])。

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動脈硬化患者へ画像所見提示、進行予防に効果/Lancet

 無症候性アテローム硬化症について、頸動脈内膜中膜肥厚の超音波検査結果を用いて可視化し患者に見せることで、1年後のフラミンガム・リスクスコアが低下するなど、心血管疾患予防に効果があることが明らかにされた。スウェーデン・ウメオ大学のUlf Naslund氏らが約3,500例を対象に行った、非盲検無作為化比較試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年12月3日号で発表された。運動や禁煙といった生活習慣の変更や、高血圧・高コレステロール血症の治療など、心血管疾患の1次予防は、患者や医師のアドヒアランスが低いことが課題となっている。頸動脈超音波検査結果を視覚的に提示 研究グループが行った、「心血管疾患予防最適化のための無症候性アテローム性疾患可視化(VIPVIZA)」試験は、スウェーデン北部で行われている住民ベースの心血管予防プログラム「Vasterbotten介入プログラム」と融合した試験として実施された。 2013年4月29日~2016年6月7日にかけて、40歳、50歳、60歳で、1つ以上の既知の心血管疾患リスクが認められた3,532例に対し、診察、血液検査、頸動脈内膜中膜肥厚とプラーク形成の超音波による評価を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群には頸動脈超音波検査結果を視覚的に提示し、看護師が電話をしてその理解を確認した(介入群)。もう一方の群には提示の介入をしなかった(対照群)。 主要評価項目は、1年後のフラミンガム・リスクスコア(FRS)と、欧州のSCORE(systematic coronary risk evaluation)だった。1年後のリスク評価で、提示群と非提示群に有意差 被験者のうち、介入群は1,749例、対照群は1,783例で、1年後に追跡評価ができたのは3,175例だった。 1年後のFRS平均値は、介入群12.24に対し対照群は13.31と、両群間に有意差が認められた(群間差:1.07、95%信頼区間[CI]:0.11~2.03、p=0.0017)。SCORE平均値も、介入群1.42に対し対照群は1.58と、有意差が認められた(群間差:0.16、同:0.02~0.30、p=0.0010)。 ベースラインから1年時点までのFRS平均値は、介入群で0.58低下(95%CI:-0.86~-0.30)したのに対し、対照群では0.35増加(0.08~0.63)した。SCORE平均値は両群ともに増加したが、介入群で0.13増加(0.09~0.18)、対照群では0.27増加(0.23~0.30)だった。 結果を踏まえて著者は、「薬物療法や生活習慣に対してアドヒアランスが低いという大きな問題を解消する方法の、さらなる開発を支持するものである」と述べている。

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75歳以上の日本人進行非小細胞肺がん患者への免疫療法、有効性と安全性/日本肺学会

 75歳以上の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療の有効性と安全性については、議論が定まっていない。日本人高齢NSCLC患者を対象に、免疫療法の影響を評価した後ろ向き多施設共同研究の結果が、2018年11月29日、第58回日本肺学会学術集会で岡山大学病院の久保 寿夫氏により発表された。 本研究では、2015年12月~2017年12月に、日本国内の7つの医療機関でペムブロリズマブあるいはニボルマブによる治療を受けた進行NSCLC患者434例について後ろ向きに分析を行った。無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)のほか、PS、PD-L1発現状態、血清アルブミン値、G8スコアによる生存期間の比較、安全性などが評価された。 G8は高齢者の治療方針を決める際などに、高齢者機能評価を行うべき患者を抽出するために用いられる簡易スクリーニングツールで、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)も高齢者研究での使用を必須としており1)、食事摂取量や体重減少などについての8項目からなる。本研究では診療記録を用いた評価のため、「同年齢の人と比べて、自分の健康状態をどう思いますか」という質問項目を除く7項目の修正版が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・434例の患者のうち、100例が75歳以上(中央値:79歳、範囲:75~90歳)であった。 うちPS 3の5例については除外された。・男性が77例(81.1%)、PD-L1発現<1%:4例(4.2%)/ 1~49%:10例(10.5%)、≧50%:26例(27.4%)、不明:55例(57.9%)であった。・組織学的所見は、非扁平上皮がん55例(57.9%)、扁平上皮がん40例(42.1%)。・20例(21.1%)で1次治療としてICIが投与され、75例(78.9%)で2次治療以降に投与されていた。67例(70.5%)がニボルマブ、28例(29.5%)がペンブロリズマブによる治療を受けていた。・ECOG PS0:16例(16.8%)/ PS1:60例(63.2%)/ PS2:19例(20.0%)、修正G8スコアの中央値は11.5(範囲:5.5~15.5)であった。・PFS 中央値は1次治療群で6.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:1.6~7.7)、2次治療以降群では2.9ヵ月(95%CI:1.9~4.6)であった。・生存期間中央値(MST)は1次治療群で8.7ヵ月(95%CI:7.9~NR)、2次治療以降群では15.5ヵ月(95%CI:5.5~NR)であった。・ORRは1次治療群で35.0%(CR:0例、PR:7例、SD:6例、PD:5例、NE:2例)、2次治療以降群で20.0%(CR:0例、PR:15例、SD:18例、PD:31例、NE:11例)であった。・MSTを各層別因子ごとに比較した結果、PSと修正G8スコアによる有意な差が認められた: PS 0~1 vs.PS 2:17.8ヵ月 vs.3.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.23、95%CI:0.11~ 0.46、p<0.01) 修正G8スコア ≧11 vs.<11:NR vs. 8.2ヵ月(HR:2.17、95%CI:1.11~4.17、 p = 0.02)・Grade2以上の免疫関連有害事象発生率は23.3%(甲状腺疾患:4.2%、間質性肺疾患:10.5%)であった。 久保氏は、本研究の観察期間は短く、後ろ向きの検討であることに触れたうえで、「ICI は75歳以上の患者においても良好な治療効果を認め、有害事象も忍容可能なものであった。また、PS良好例やG8スコア高値の患者で予後良好であった」とまとめている。 今後ICIと細胞障害性抗がん剤との併用療法導入にあたっては、「併用療法が有効な患者集団を抽出するために、G8などの高齢者機能評価の有用性を改めて評価する必要がある。実臨床では、今回の検討でもPS良好例では予後良好な傾向がみられており、高齢者においてもまずはPSを1つの指標として治療選択を考えていくべきではないか」とコメントした。■参考1)日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ホームページ「高齢者研究委員会」■関連記事高齢者への抗がん剤治療は有効か―第19回 肺がん医療向上委員会※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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HIV治療の簡素化は本当に可能か?(解説:岡慎一氏)-972

 死の病であったエイズ治療の歴史は、抗HIV薬の開発に合わせ変遷してきた。1987年のAZT単剤療法から90年代前半の2剤療法までは、予後の改善はなかった。しかし、1997年以降3剤併用療法になってから、予後が劇的に改善された。少なくともこの20年は、3剤併用療法をゴールデンスタンダードとしてHIVをコントロールしてきた。 ところが、今回の論文は、今までの流れに逆行するように、初回治療で2剤療法をスタンダードの3剤療法と比較した無作為割り付け試験である。しかもその2剤は、ドルテグラビル+ラミブジンという飛び切りの新薬というわけでもない。結果は、非劣性が証明された。この試験の結果をもとに、初回治療の第1選択の組み合わせとしてこの2剤が推奨されるようになるかもしれない。しかし、この臨床試験では、ラミブジン耐性ウイルスを持つ患者は除外されていた。危ない結果である。本当に危ない結果である。 ラミブジンは、現在の治療法では、ほぼすべての組み合わせの構成成分の1つである。しかも、非常に薬剤耐性になりやすい薬剤である。アフリカでは、半数近い患者が治療失敗を経験している地域もあり、ラミブジン耐性ウイルスは蔓延している。一方、コストを考えれば、薬剤耐性検査などできない途上国でこそ、この治療法の使われる可能性がある。選ばれた患者で形成された臨床試験の結果を実際の臨床現場に持ち込むには、慎重なまでの熟考・熟慮が必要である。

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投資詐欺を避ける3つの心構え【医師のためのお金の話】第15回

投資詐欺を避ける3つの心構えこんにちは、自由気ままな整形外科医です。資産形成を行ううえで、「投資」は切っても切り離せないツールです。しかし、投資を行ううえでは必ずリスクがあり、その中の1つに詐欺があります。最近では、「かぼちゃの馬車事件」が有名ですね。かぼちゃの馬車事件が、詐欺なのか否かは議論の分かれるところですが、プロであっても詐欺に引っかかることがあります。2017年に積水ハウスが地面師にだまされて、63億円もの損失を出したことは記憶に新しいところです。このように、プロであっても100%確実に詐欺被害から逃れることはできません。しかし、資産形成をするうえでは、投資を除外することはできないので、できるだけ詐欺に遭わないように心掛ける必要があります。100%詐欺被害から逃れることは不可能ですが、私が日々注意していることをご紹介したいと思います。世の中においしい話などほとんどない!最初に基本的なことですが「世の中にはおいしい話」はほとんどありません。まれにおいしい話はありますが、そのような話が向こうから自分の所にやって来ることは、ほとんどないと考えてよいでしょう。たとえ知人経由の話であっても、向こうからやってくる話には警戒するべきです。よくある話ですが、投資詐欺に引っかかって新築区分所有マンションを購入した人が、だまされていることに気付かず、知人にどんどん紹介してしまうことがあります。こうしたケースでは、1つの職場全体が投資詐欺にやられてしまいますので、知人経由の紹介であっても、おいしい話は向こうからやって来ることはないと心掛けるべきでしょう。安心を前面に出している商品はアブナイ!2つ目のポイントとして「元本保証」「高利回り」などの「安心」を前面にうたっている商品は警戒するべきです。現在のように低金利の環境では、本当に「安心」な商品は低利回りです。リスクが低いのに収益性が高い商品は、何かがおかしいと気付くべきでしょう。通常、利回りの高さに比例して、リスクも上昇します。この原則に当てはまらない商品は存在しません。元本保証なのに高利回りが本当なら、販売している業者自身が投資しているはずです。時々販売業者や営業マン自身が投資していることをアピールしている場合もありますが、実物の契約書を確認して、本当に投資しているか否かを確認するべきでしょう。自分で運営できるのか3つ目のポイントは、その商品を購入した業者が倒産した場合に、自分で運営できるか否かです。前述のかぼちゃの馬車事件では、不動産会社スマートデイズが倒産した場合、自分で運営して事業として成り立つのか否かを購入前に判断していれば被害に遭うことはなかったはずです。シェアハウス事業は、不動産投資のなかでも難易度が高いジャンルの1つです。少なくとも私は自分でシェアハウスを運営する自信がないので、かぼちゃの馬車に投資することはありませんでした。現在私は、宿泊施設やコインパーキングを所有しています。宿泊施設は自分で運営していますが、コインパーキングに関しては業者さんに一括でお任せしています。お任せしている業者は東証一部上場の大手企業ですが、投資するにあたり、この企業が倒産した場合にコインパーキングを自分で運営できるか否かを検討しました。コインパーキングを自分で運営するには、まず機械を設置する必要があります。機械には買取とリースがあるので、それぞれ価格を調べます。そこからはじき出した原価と、そのエリアで営業している他のコインパーキングとの価格調査を行います。そして、ここで見るべき数字は表面利回りではありません! 予想売上金額や稼働率を把握して、事業としての収益性を検討します。その結果、自分でも運営可能であると判断したからこそ、コインパーキング業者さんに一括で運営をお願いしました。一般的には、業者さんが提示する見積書を見て、表面利回り○○%、手残りキャッシュフローが○○万円などの数字しか追いかけない方が多いと思います。しかし、数字だけ見て投資判断していると詐欺被害に遭う確率が高まります。とくに実物資産への投資の場合は、自分が実際に運営した場合のシミュレーションを行ったうえで投資判断を行うべきだと思います。このように深いところまで検討して、投資判断をすると、詐欺事件に遭う確率が下がるのではないかと私は考えています。立ち止まることで被害を防ぐ投資で大切なことは負けないことです。投資判断を誤って資産を減らすことはある程度仕方ないですが、詐欺に引っかかって資産を減らすと目も当てられません。詐欺から100%身を守ることはできませんが、今回述べた3つのポイントを覚えておくことで、詐欺に遭う危険性を減らすことは可能です。少しでも怪しいと思ったら、一度立ち止まって時間を置いてゆっくり考えてみましょう!

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第18回 救急科からのノルフロキサシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?赤痢菌※・・・9名下痢原性大腸菌・・・7名カンピロバクター・・・7名サルモネラ・・・7名赤痢アメーバ・・・6名腸炎ビブリオ・・・3名ノロウイルス、ロタウイルス・・・3名チフス・・・2名※細菌性赤痢の原因菌で、潜伏期1~5日(通常1~3日)で発症し、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。発熱は1~2日続き、腹痛、しぶり腹(テネスムス)、膿粘血便などの症状が現れる。全数報告対象(3類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない1)。抗菌薬から考える 奥村雪男さん(薬局)途上国旅行中に生じる下痢は、非常に多くの微生物が関与します2)。推奨される治療については、ガイドライン3)を参照すると、赤痢アメーバ腸炎、ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)であればメトロニダゾールを使用するクリプトスポリジウム症は免疫能が正常であれば自然治癒が見込めるサイクロスポーラ感染症ではST合剤を使用する以上から、現時点では原虫症は鑑別の上位にないように思います。また、腸管出血性大腸菌(EHEC)以外の下痢原性大腸菌は、経過観察か補液で自然軽快することがほとんどEHECでは早期にレボフロキサシンの投与を考慮するカンピロバクターは自然治癒するサルモネラは、健常者の軽症~中等症において抗菌薬の投与は推奨されていない細菌性赤痢の第一選択はレボフロキサシン、シプロフロキサシンである以上から、現時点で想定されている原因菌は、前述の原虫以外の細菌およびロタウイルスと考えます。旅行者下痢症は、特にempiric therapyを考慮するケースとされ、第一選択としてレボフロキサシン、 シプロフロキサシンが挙げられています。潜伏期間を考慮 清水直明さん(病院)現地で何かに感染したとすると、比較的潜伏期間が短い感染症を考える必要があります。厚生労働省検疫所(FORTH)によれば、フィリピンでは1 年を通じて、腸チフス(潜伏期間:1~3週)、アメーバ赤痢(2~4週)、細菌性赤痢(1~5日)、A型肝炎(2~7週)などのリスクがありますが、症状および潜伏期間から、この中で細菌性赤痢が最も当てはまります。カンピロバクター(2~4日)、サルモネラ(12~72時間)などもありえそうですが、重症度を考慮して、まずは細菌性赤痢を念頭に置いた治療で様子を見るということだと思います。処方内容、渡航先、症状を踏まえる ふな3さん(薬局)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ、コレラ、赤痢菌などを想定した処方ではないかと思います。ただし、あくまで「処方から」予想される原因菌であって、渡航先と症状からは、ロタウイルス、ノロウイルス、赤痢アメーバなども考えられます。Q2 患者さんに確認することは?副作用歴と止瀉薬について 中堅薬剤師さん(薬局)副作用歴、止瀉薬の所持を必ず確認します。可能であれば、症状変化の詳細も聞いてみたいです。アレルギーや金属イオンを含む薬剤 奥村雪男さん(薬局)ニューキノロン系抗菌薬に対するアレルギーがないか確認します。酸化マグネシウムや鉄剤などの金属イオンを含む薬剤やサプリメントは、ノルフロキサシンの吸収を低下させてしまうため(併用注意記載あり)、確認します。現地での食事状況 JITHURYOUさん(病院)PPIやステロイドを服用している場合は、感染しやすくなっている可能性があります。水分や食事(薬剤)が取れるか? 発熱は? 点滴したかも確認します。赤痢菌は水系感染で、現地で水道の水などは飲んでいないと思いますが、氷でも感染する場合があります。水で汚染されている可能性がある果物類の他、魚介類や熱が十分に通っていない食材などを摂取したかも確認したいです。渡航先、渡航期間を医師に話したか ふな3さん(薬局)渡航先・渡航期間を医師に話したか、必ず確認します。渡航歴を伝えない患者、聞かない医師もいるからです。感染者が家族・職場などにいると、感染拡大する可能性もあります。できれば、菌の同定検査をしたか、同行者に同様の症状がないかも聞きたいです。食欲と水分補給について 清水直明さん(病院)「食欲はありますか? 水分は取れそうですか?」もしも食欲がなくて水分・電解質が十分取れない状況ならば、脱水を引き起こす危険性があるため、点滴などの処置が必要になるかもしれません。ロコア®テープにも注意 児玉暁人さん(病院)併用禁忌確認のため、フロベン®(フルルビプロフェン)の内服をしていないか、ロコア®テープ(エスフルルビプロフェン)を使用中でないか確認します。ロコア®テープは貼付薬ながら血中濃度が上昇するため、併用禁忌にノルフロキサシンの記載があります。Q3 疑義照会する?する・・・4人なぜノルフロキサシン? 清水直明さん(病院)細菌性赤痢であればキノロン系抗菌薬が第一選択になりますが、今どき、腸管感染症に対してノルフロキサシンを使うのかなと感じます。なぜレボフロキサシンやシプロフロキサシンではなく、ノルフロキサシンなのか聞いてみたいです。抗菌薬の用量 JITHURYOUさん(病院)ノルフロキサシンの投与量が少ないです。添付文書では腸チフスの場合、1回400mg 1日3回投与14日間とされています(症状から腸チフスではないようにも思いますが、可能性はあります)。整腸剤の変更 キャンプ人さん(病院)ラックビー®微粒Nはキノロン服用時の乳酸菌製剤としては効果が減弱するため、ミヤBM®への変更を依頼します。想定している原因菌について 荒川隆之さん(病院)ラックビー®微粒Nはキノロン系抗菌薬で失活する恐れがありますので、ビオスリー®などへの変更を提案します。提案するときに、医師が想定している原因菌についても同時に確認すると思います。また、旅行者下痢症は通常3~5日で回復しますので、投与期間は5日で妥当と考えます。しない・・・6人やや用量は少ないが・・・ 中堅薬剤師さん(薬局)JAID/JSC 感染症治療ガイドライン―腸管感染症―2015によれば、ノルフロキサシンの投与は1回2~4mg/kg、1日3回とされていて、22歳だと1回100mgはやや少ない気がしますが、疑義照会まではしないです。耐性乳酸菌に変える必要はない 中西剛明さん(薬局)疑義照会しません。エンテロノン® -Rなどの耐性乳酸菌を使う必要はないと思います。耐性乳酸菌を使うと、併用できる抗菌薬にノルフロキサシンが入っていないので、保険で査定されてしまう恐れがあります。ちなみに、乳酸菌製剤は死菌で十分効果があるという説もあります。Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?光線過敏の副作用について 中堅薬剤師さん(薬局)具合が悪いので外で紫外線を浴びることは少ないかもしれませんが、ノルフロキサシンによる光線過敏の可能性を話しておきます。止瀉薬は使わないこと、水分は経口補水液を少量ずつ摂取することなども説明します。服用方法についての説明例 ふな3さん(薬局)「抗菌薬は5日間飲みきってください。8時間ごととなっていますが、生活パターン上、服薬が難しいようなら、7~9時間の間隔であれば大丈夫です。食前・食後でも大丈夫ですが、カルシウムなどのミネラルを摂取すると薬の吸収が悪くなることがあるので、カルシウムやマグネシウムなどのサプリメントなどは控えてください。飲み忘れた場合は、すぐに1回分を飲んで、できるだけ1日3回の服用を続けてください」「帰宅後、激しい嘔吐、発熱、強い腹痛、血便、便意があるのに便がほとんど出ない状態を繰り返す(しぶり腹)など体調変化があった場合、また、3日以上経過しても症状が改善しない場合は、すぐに再受診してください」抗菌薬の服用前後2時間は牛乳などを避ける 清水直明さん(病院)「牛乳などの乳製品や一部の制酸薬、貧血の薬(鉄剤)と一緒に服用すると効果が弱くなる可能性があるので、抗菌薬服用の前後2時間は、それらの摂取を避けるようにしてください。」家族の感染対策 キャンプ人さん(病院)家族などの同居者にも、感染対策するよう指導します。服用時間について わらび餅さん(病院)症状がひどいうちは食事が取れないだろうと考えて、用法を8時間ごととしたのだろうと思います。ですが、厳密に8時間ごととする必要はなく、内服は多少時間がずれても構わないことを伝えます。Q5 その他、気付いたことは?脱水予防 JITHURYOUさん(病院)とにかく脱水予防が必要です。吐き気などで経口できない場合は、補液がファーストだと考えます。抗菌薬はセフトリアキソンなどでしょうか。経口可能であればニューキノロン系抗菌薬、特にレボフロキサシンなどがよいと思いますが、耐性化が進んでいるのでアジスロマイシンなども候補とします。原因菌の特定は重要であり、報告義務のある赤痢菌、コレラの検出であれば、その消失を確認しないといけない旨を伝えます。寄生虫検査は複数回行われる場合があり、周囲のへの感染予防も必要です。腸炎ビブリオの可能性 ふな3さん(薬局)なぜレボフロキサシンではなく、わざわざノルフロキサシンを選んだのか気になります。レボフロキサシンとノルフロキサシンを比較すると、レボフロキサシンでは適応菌種として腸炎ビブリオが含まれていないので(キノロン系抗菌薬ではノルフロキサシンのみに適応あり)、ひょっとしたら腸炎ビブリオが最も疑われているのかもしれない、と思います。注)添付文書上、適応菌種には記載されていないが、JAID/JSCガイドライン2015―腸管感染症―において、レボフロキサシンは腸炎ビブリオに第一選択(ただし重症例に対して)になっている。後日談(担当した薬剤師から)患者は医学生で、熱帯医療のサークルでフィリピンに滞在していたそうです。今回は4回目の渡航で、赤痢を警戒し、食事や水には非常に気を使っていたとのことです。赤痢アメーバは内視鏡で否定され、検査結果は腸炎ビブリオで、ブドウ球菌の毒素も絡んでいる可能性もあるとのことでした。帰国前に魚料理を食べており、これが原因かもしれないということでした。1)NIID 国立感染症研究所.細菌性赤痢とは.2)青木眞.レジデントのための感染症マニュアル.第2版.東京、医学書院、2008.3)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会.JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015‒腸管感染症‒.一般社団法人日本感染症学会、2016.[PharmaTribune 2017年8月号掲載]

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腸内細菌の医療への応用

過去10年間で急速な発展を遂げてきた腸内細菌叢領域。健康や疾患との関連性も明らかになってきており、医学・医療分野での注目度も高まっている。そのようななか、腸内細菌叢解析のビジネス化にいち早く着目したのが株式会社サイキンソーだ。サイキンソー代表取締役 沢井悠氏に、腸内細菌叢の解析が医療にもたらす可能性について聞いた。インタビュイー腸内細菌叢が注目されるようになった背景や、サイキンソーが提供する腸内細菌叢検査サービスについて教えていただけますか?ゲノム解析技術の革新を背景に、2010年台前半から世界的に腸内細菌叢研究が活発化するようになりました。そのようななか、サイキンソーは2014年に創業しました。創業当時は、腸内細菌叢に対する認知度はそれほど高くありませんでしたが、その後メディアが取り上げたことがきっかけで一気に認知が広がり、一般の方も関心を持たれるようになりました。私どもの提供する個人向け腸内細菌叢検査サービス「マイキンソー(Mykinso)」も、そうした背景から注目されるようになりました。マイキンソーは、生活習慣に関する問診票に回答し、専用のキットを使って採取した糞便サンプルを郵送するだけの、手軽な腸内細菌叢検査サービスです。キットを返送いただいてから約4週間で結果が出ます。個人向けとして展開していましたが、医師から問い合わせをいただくことが増えたため、現在は医療機関にもサービスを提供しています。検査では、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌、エクオール産生菌などの主要な細菌の割合、腸内細菌の多様性、細菌の構成比率などがわかります。医療機関向けには、問診票に書かれた悩みや症状に関連する細菌の解析結果などをまとめた「腸内フローラカルテ」を作成しています。腸内フローラカルテには、患者さん一人ひとりに管理栄養士から具体的な生活習慣のアドバイスがあり、検査後の患者指導にも役立てられると思います。腸内フローラカルテの一例画像を拡大する画像を拡大する検査サービスを利用いただく方は30~50代が中心で、医療機関を通して検査を受けるのは60~70代の方が多い傾向にあります(図)。特に、20代や60歳以上では症状や体調の悩みが強い方が多く、投薬やプレバイオティクス・プロバイオティクスなど、症状改善のためにすでに色々なことを試しているケースが多く見受けられます。(図)腸内細菌叢検査「マイキンソー」の利用者属性画像を拡大する医療機関ではどのように活用されているのでしょうか?マイキンソーは、北海道から沖縄まで、幅広い地域の医療機関に採用いただいています。診療科別では消化器内科が多く、産婦人科や整形外科での導入実績もあります。便秘や下痢などの症状が従来の検査・治療ではなかなか改善しない患者さんに対し、腸内細菌叢の検査を勧めるという流れで活用されることが一般的です。全国に先駆けて腸内細菌外来を設置した愛知県一宮市の山下病院では、従来の検査で原因が特定できず、投薬でも便秘や下痢が改善しない患者さんに対し、腸内細菌叢検査の結果を基にした生活指導を行っています。指導は医師が行うだけでなく、看護師や管理栄養士もフォローアップをしているそうです。機能性の消化管障害の場合、治療をしても満足のいく改善効果が得られないケースが一定数ありますが、腸内細菌叢検査を活用することで、そうしたケースでも適切な指導が行えるようになったと伺っています。これまでに蓄積した解析データから、機能性の消化管障害を有する人では健常な人と比べて腸内細菌叢のバランスが崩れており、検出される菌叢が大きく異なることがわかっています。具体的には、短鎖脂肪酸を産生する細菌が少ない、細菌の多様性を示すスコアが低い、ファーミキューテス門菌とバクテロイデーテス門菌の比率(FB比)が高いなどの違いが見つかります。菌叢のバランスが崩れている場合、プレバイオティクスやプロバイオティクスを取り入れてバランスを整えていくことで症状の改善につながることも期待できるようです。将来的に、腸内細菌叢検査は医療にどのような影響をもたらすと期待されますか?腸内細菌叢との関連に関する研究が最も進んでいるのは、炎症性腸疾患(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)、便秘、下痢などの下部消化管の疾患・症状です。そのほかに、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの肝臓の疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患との関連も多く調べられています。エビデンスの集積が進めば、疾患の治療戦略の検討や予防を目的として、腸内細菌叢を解析するようになっていくものと期待されます。腸内細菌叢は、抗菌薬をはじめとするさまざまな薬の影響を受けると考えられています。また逆に、腸内細菌叢のバランスが崩れていると、薬の効果や副作用の発現が減弱・増強される可能性があることもわかってきています。将来的に、投薬のベースとして腸内細菌叢を整えることが重要視されるようになれば、腸内細菌叢を解析する意義がより明確になるものと考えられます。米国では、日本より先んじて臨床での腸内細菌叢検査の活用が広がっています。細菌叢検査領域のベンチャー企業の代表格である米国uBiomeでは、IBDやIBSなどの疾患と関連する腸内細菌を検出する腸内細菌叢検査サービス「SmartGut」を展開していますが、この検査は大多数の健康保険会社で保険償還されています。近い将来、日本でも腸内細菌叢検査が評価され、血液検査のように日常診療で実施されるようになることを期待しています。

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