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アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の1次治療はプラチナ化学療法とエトポシドの併用だが、20年以上大きな進歩はみられておらず、全生存期間(OS)中央値は10ヵ月程度である。一方で、小細胞肺がんは腫瘍変異負荷が高いことから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されている。そこで、小細胞肺がんに対する、カルボプラチン・エトポシドへの免疫チェックポイント薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133が行われている。同試験の中間解析の結果がNEJM誌2018年9月25日号で発表された。アテゾリズマブ群のOSが有意に改善 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・201例がアテゾリズマブ群に、202例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は13.9ヵ月であった。・OSはアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.007)。・1年OS率はアテゾリズマブ群52.7%、プラセボ群38.2%であった。・PFSはアテゾリズマブ群5.2ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。・サググループをみてもこのアテゾリズマブ群で良好な結果であった。・安全性プロファイルは、すでに個々の薬剤で報告されているものと同様であった。 ES-SCLC患者の1次治療において、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブの追加はOSおよびPFSを有意に改善した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺学会(WCLC2018)で発表された。

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健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM

 健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。心血管疾患、認知症、身体障害のない1万9,114例を対象にプラセボ対照試験 研究グループは2010~14年にかけて、オーストラリアと米国に住む70歳以上(米国在住のアフリカ系およびヒスパニック系は65歳以上)で、心血管疾患、認知症、身体障害のない地域住民1万9,114例を対象に、プラセボ対照無作為化比較試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン腸溶性製剤100mgを1日1回(9,525例)、もう一方の群にはプラセボを投与した(9,589例)。 試験の主要評価項目は、死亡・認知症・持続的な身体障害の複合エンドポイント(この結果については別の論文で報告)だった。本論文では、副次評価項目の大出血と心血管疾患(致死的冠動脈性心疾患、非致死的心筋梗塞、致死的/非致死的脳卒中、心不全による入院として定義)についての分析結果が報告されている。アスピリンによる大出血リスクは1.38倍に 試験の追跡期間中央値は4.7年だった。その間の心血管疾患発症率は、プラセボ群11.3件/1,000人年、アスピリン群10.7件/1,000人年で、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.83~1.08)。 一方で、大出血発生率については、プラセボ群6.2件/1,000人年に対し、アスピリン群は8.6件/1,000人年と、有意な増大が認められた(HR:1.38、95%CI:1.18~1.62、p<0.001)。

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未治療ALK陽性肺がん、brigatinib vs.クリゾチニブ/NEJM

 ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害薬未治療で、局所進行/転移を有するALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対し、開発中の次世代型ALK阻害薬brigatinibはクリゾチニブと比較し、無増悪生存期間を有意に延長したことが示された。米国・コロラド大学のD. Ross Camidge氏らが、約280例を対象に行った第III相の非盲検無作為化試験「ALTA-1L(ALK in Lung Cancer Trial of Brigatinib in 1st Line)試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号で発表した。brigatinibは、クリゾチニブの効果が認められなかったALK陽性NSCLC患者における有効性が確認されていた。 無増悪生存期間、客観的奏効率、頭蓋内病変奏効率などを比較 ALTA-1L試験は、ALK阻害薬未治療で局所進行/転移を有するALK陽性NSCLCの患者275例を対象に行われた。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはbrigatinib 180mgを1日1回(導入期間7日間は90mgを1日1回、137例)、もう一方の群にはクリゾチニブ250mgを1日2回(138例)投与した。 主要エンドポイントは、独立評価委員会が盲検下で評価した無増悪生存期間だった。副次エンドポイントは、客観的奏効率や頭蓋内病変奏効率などだった。予測される増悪または死亡イベント件数198件のうち、約50%が発生した時点で、初回中間解析を実施することが事前に計画された。推定12ヵ月無増悪生存率、brigatinib群67%、クリゾチニブ群43% 初回中間解析は、増悪/死亡イベントが99件発生した時点で行われた。同時点における追跡期間中央値は、brigatinib群11.0ヵ月、クリゾチニブ群9.3ヵ月だった。 推定12ヵ月無増悪生存率は、クリゾチニブ群43%に対し、brigatinib群は67%と有意に高率だった(クリゾチニブ群の95%信頼区間[CI]:32~53、brigatinib群:56~75、log-rank検定のp<0.001)。増悪/死亡イベント発生に関するbrigatinib群のクリゾチニブ群に対するハザード比は、0.49(95%CI:0.33~0.74)だった。 確定客観的奏効率は、brigatinib群71%(95%CI:62~78)、クリゾチニブ群60%(同:51~68)だった。測定可能病変のある患者の頭蓋内病変奏効率は、それぞれ78%(同:52~94)、29%(同:11~52)だった。 新たな安全性に関する懸念は認められなかった。

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脂肪が減ると死亡が増える!?:“imaging biomarker”としての新しいCTCAの使い方(解説:中野 明彦 氏)-924

【冠動脈CT:CTCAの現在地】 質問です。皆さんはどんな目的でCTCAをオーダーされますか? 「その胸痛から虚血を否定したい」「冠動脈狭窄を確かめたい」「冠動脈疾患のリスク;冠動脈カルシウムスコア(CCS)が知りたい」「プラークの不安定化を知りたい」「薬剤の効果;プラーク安定化を知りたい」。あるいはもっと高度に「FFR-CTや心筋灌流CTで冠動脈病変の機能性評価をしたい」でしょうか? さらにもう1つ。CTCAの結果、狭窄度が50%以下だったら、その患者さんには今後どのように対処されますか? CTCAは装置がどんどん多列化し解析プログラムも多様化し、その診断精度は向上、臨床応用の範囲は広がり患者さんにも優しい検査へと日進月歩で進化しています。しかし、評価対象の中心が冠動脈の内腔(狭窄度)あるいはプラークであることに変わりはありません。また「中等度リスクを有する症候性症例、あるいは急性冠症候群(ACS)を疑う胸痛についてはECG/enzyme変動のない低~中等度リスクの症例」を適応とする現行のガイドラインがCTCAに期待しているのは、高度狭窄性病変の有無を判定し“今”を切り取ることでしょう。【CTCAでの予後予測は?】 冠動脈病変を有する患者の予後を左右するのは、言うまでもなくACSの発症です。そして命運を決するのは狭窄度ではなくプラークの性状(質)だということもわかってきています。最近はCTCAから得られたプラークで“将来”を予測できるか、という検証結果が集積されつつあります。メタ解析では微小石灰化・低吸収プラーク・陽性リモデリング・ナプキンリングサインで定義されるhigh risk plaque(=不安定プラーク)とACS発症との強い関連が示されました。【CRISP CT studyの描く新機軸】 一方20年も前から、(冠)動脈硬化は炎症性疾患であり、その炎症がACSの引き金となるプラーク破綻を惹起する、と指摘されています。つまりCTCAで検証されている不安定プラークは現在進行中の炎症の「結果」を見ていることになります。これまで炎症のbiomarkerとして高感度CRPや一部のサイトカインが報告されていますが、冠動脈硬化に特異的ではなく、ましてや炎症の局在などわかるはずもありません。 では、その炎症が可視化・定量化できるとしたらどうでしょう。 本研究ではin vitro・ex vivo・in vivoで実証された「血管の炎症が周囲のpreadipocyteの分化・成熟を抑制し、adipocyteの脂肪含有量を減少させる」という事実から、これまで見向きもされなかった冠動脈の外側に着目したのです。通常のプロトコルで撮像されたCTCAを用いて主要冠動脈近位部でのfat attenuation index(FAI)を算出し、炎症のサロゲートマーカーとしました。 3枝間のFAI相関が良好だったため右冠動脈のFAIを中心に解析、4.5~6年間の予後(総死亡・心臓死)との関連が証明されただけでなく、FAIはさらに、古典的冠危険因子・高感度CRP・冠動脈石灰化・high risk plaqueなどとは独立した予後予測因子でした。【CRISP CT studyの歯応え】 ACSの半数は狭窄度50%以下の「病変」から発症すると言われており、したがって冠動脈造影やCTCAでの狭窄度評価からその発症予測は困難です。50%以上の狭窄性病変の有無にかかわらずFAI陽性(cut off値≧-70.1HU)例で心臓死に高いハザード比を示した本試験は、図らずしもそれを裏付けました。たとえ有意な冠動脈病変がなくてもaggressive preventionが必要な症例があり、imaging biomarkerとしてのFAIはその層別化に有用な可能性があります。 本試験は炎症局所でのイベント発生を予測するものではありません。むしろ、3枝のFAIが良好に相関していた事から考えれば、冠疾患症例は冠動脈全体に炎症(pan-vasculitis)が生じうるvulnerable patientとして捉えるべきなのかもしれません。 もちろん、今後の検証が必要な課題もあります。 たとえば、炎症の強い局所でイベントが起こりやすいのかどうか、それを予測できるのかどうか。 あるいは薬剤の介入がどう反映されるのか。折しもPCSK-9阻害薬や抗IL-1βモノクローナル抗体など強力かつ高価な抗動脈硬化薬が登場し、residual riskをどうコントロールするかに注目が集まっています。imaging biomarkerがこうした薬剤の効果判定、on-offのタイミングの見極めに役立つかもしれません。 さらに日常臨床をそのまま当てはめた本研究の解析対象は、50%狭窄以上が14~15%、観察期間内の心臓死が1~2%と結果的にはリスクの高くない症例群でした。これがガイドラインに下支えされたCTCAの現状かもしれませんが、もっとリスクの高い症例、あるいは無症候性の1次予防群だったらどうなのでしょうか? 今後の研究が待たれます。 これまでimaging biomarkerの代表格はcoronary calcium score(CCS)でしたが、残念ながらこれはirreversibleな指標です。おそらくreversibleと考えられるFAIを使ったプロジェクトが順調に進んでいけば、いつかガイドラインが変更される日が来るかもしれません。

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第7回 勘違いしていませんか?実は糖質の多い食品【実践型!食事指導スライド】

第7回 勘違いしていませんか?実は糖質の多い食品医療者向けワンポイント解説「炭水化物抜きダイエット」や「糖質オフ」といった考え方が広まったことで、糖質を控えようと考える患者さんが増えてきました。しかし、炭水化物や糖質について誤解されている方もまだまだ多くいます。炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものであり、米飯、パン、麺類などの主食以外にも、芋類、果物類、根菜類をはじめとする野菜、調味料、嗜好品、嗜好飲料など多くのものに含まれる栄養素です。炭水化物や糖質を抜いたり控えたりすることに対していろいろな考え方がありますが、糖質量が過多になっている場合、その量を見直すことは必要です。そこで、今回は糖質の“質”ではなく“量”に注目して説明します。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』によると、炭水化物の摂取目標量は、必要摂取エネルギーの50〜65%とされています。1日のカロリーを1,600kcalと設定した場合、800kcal〜1,040kcalの炭水化物を摂取することが推奨され、単純にこれを糖質(4kcal/g)のみで算出すると糖質量は200〜260gとなります。また、『糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)』に基づき、1,600kcal 20単位、食事に占める炭水化物の割合を55%に設定した場合、炭水化物を多く含む食品を示す表1*では9単位が配分されます。これを1単位80kcalとして算出した場合は720kcalとなり、糖質のみで計算すると180g(720kcal÷4kcal/g)となります。ただし、炭水化物は食物繊維も合わせたものを指しますので、食物繊維を考慮すると、糖質量はこれより減らして考える必要があります。「炭水化物量、糖質量を見直しましょう」というお話をすると、多くの方は、炭水化物=米飯、パン、麺類などと捉え、主食を抜くことを意識するのですが、実際の糖質過多の原因は他の食材であることが多いのです。今回は、ごはん一膳に含まれる糖質量と『大丈夫と思いがちだけれど、実は糖質量の多い食材』を比較してみました。果物は果糖をはじめ、糖を多く含む食材です。そのため、甘みを感じる果物は、より糖質を多く含みます。また、トウモロコシや芋、レンコンも思いの外、糖質が多い食材です。野菜ジュースや100%フルーツジュースは、健康のために飲む方が多いですが、意外にも糖質量は多めです。甘くないから大丈夫と思われるせんべい類やヘルシーと言われる春雨スープ、冬の時期に出回るおでんなどに入る練り物なども糖質を多く含む食材です。日常の食生活の中で「主食を必要量より減らそう」とするよりも、まずは、このように糖質が多く含まれ、何気なく食べてしまっている食材を意識しましょう。糖質量の改善につながるだけでなく、主食を減らす負担なども軽減できるため、食事の満足度にもつながっていきます。*:炭水化物のうち、でんぷんを多く含む食品であり、たんぱく質も少し含む。穀物、いも類やその加工食品、かぼちゃなどの野菜、栗や銀杏などの種実類、大豆以外の豆類を含む。1)日本糖尿病学会編・著.糖尿病食事療法のための食品交換表 改定第7版.日本糖尿病協会・文光堂;2013.p16-31.

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第8回 内科クリニックからのクラリスロマイシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?マイコプラズマ・・・7名百日咳菌・・・6名コロナウイルス、アデノウイルスなどのウイルス・・・3名結核菌・・・2名肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)・・・6名モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)・・・2名インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)・・・1名遷延性の咳嗽 清水直明さん(病院)3週間続く咳嗽であることから、遷延性の咳嗽だと思います。そうなると感染症から始まったとしても最初の原因菌は分からず、ウイルスもしくは非定型菌※による軽い感冒から始まったことも予想されるでしょう。他に、成人であっても百日咳の可能性も高いと思われます。その場合、抗菌薬はクラリスロマイシン(以下、CAM)でよいでしょう。初発がウイルスや非定型菌であったとしても、二次性に細菌感染を起こして急性気管支炎となっているかもしれません。その場合は、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalisなどが原因菌として想定されます。このようなときにグラム染色を行うことができると、抗菌薬選択の参考になります。※非定型菌は一般の細菌とは異なり、βラクタム系抗菌薬が無効で、培養や染色は困難なことが多い。マイコプラズマ、肺炎クラミジア、レジオネラなどがある。結核の可能性も 児玉暁人さん(病院)長引く咳とのことで、マイコプラズマや百日咳菌を疑います。患者背景が年齢しか分かりませんが、見逃すと怖いので念のため結核も考慮します。細菌感染症ではないのでは? 中西剛明さん(薬局)同居家族で最近かかった感染症があるかどうかを確認します。それで思い当たるところがなければ、まず、ウイルスかマイコプラズマを考えます。肺炎の所見もないので、肺炎球菌、インフルエンザやアデノウイルスなどは除外します。百日咳は成人の発症頻度が低いので、流行が確認されていなければ除外します。RSウイルスやコロナウイルス、エコーウイルスあたりはありうると考えます。ただ、咳の続く疾患が感染症とは限らず、ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物(シムビコート®)が処方されているので、この段階では「細菌感染症ではないのでは?」が有力と考えます。Q2 患者さんに何を確認する?薬物相互作用 ふな3さん(薬局)CAMは、重大な相互作用が多い薬剤なので、併用薬を確認します。禁忌ではありませんが、タダラフィル(シアリス®)などは患者さんにとっても話しにくい薬なので、それとなく確認します。喫煙の有無と、アレルギー歴(特にハウスダストなどの通年性アレルギー)についても確認したいです。自覚していないことも考慮  児玉暁人さん(病院)やはり併用薬の確認ですね。スボレキサント錠(ベルソムラ®)やC型肝炎治療薬のアナスプレビルカプセル(スンベプラ®)は、この年齢でも服用している可能性があります。ピロリ菌の除菌など、パック製剤だと本人がCAM服用を自覚していないことも考えられるので、重複投与があるかどうかを確認します。シムビコート®は咳喘息も疑っての処方だと思います。感染性、非感染性のどちらもカバーし、β2刺激薬を配合したシムビコート®は吸入後に症状緩和を実感しやすく、患者さんのQOLに配慮されているのではないでしょうか。過去に喘息の既往はないか、シムビコート®は使い切りで終了なのか気になります。最近の抗菌薬服用歴 キャンプ人さん(病院)アレルギー歴、最近の抗菌薬服用歴、生活歴(ペットなども含める)を確認します。受診するまでの症状確認とACE阻害薬 柏木紀久さん(薬局)この3週間の間に先行して発熱などの感冒症状があったか、ACE阻害薬(副作用に咳嗽がある)の服用、喫煙、胸焼けなどの確認。Q3 抗菌薬の使用で思い浮かんだことは?咳喘息ならば・・・ 清水直明さん(病院)痰のからまない乾性咳嗽であれば、咳喘息の可能性が出てきます。そのために、シムビコート®が併用されていると思われ、それで改善されれば咳喘息の可能性が高くなります。咳喘息に対しては必ずしも抗菌薬が必要とは思いませんが、今の状態では感染症を完全には否定できないので、まずは今回の治療で反応を見たいと医師は考えていると思います。抗菌薬の低感受性に注意 JITHURYOUさん(病院)CAMは、抗菌作用以外の作用もあります。画像上、肺炎はないということですが、呼吸器細菌感染症としては肺炎球菌、インフルエンザ菌を想定しないといけないので、それらの菌に対する抗菌薬の低感受性に注意しなければなりません。さらに溶連菌、Moraxella catarrhalisなども考慮します。抗菌薬の漫然とした投与に注意 わらび餅さん(病院)痰培養は提出されていないようなので、原因菌を特定できるか分かりません。CAM耐性菌も以前より高頻度になっているので、漫然と投与されないように投与は必要最低限を維持することが大切だと思います。再診時の処方が非常に気になります。CAMの用量 柏木紀久さん(薬局)副鼻腔気管支症候群ならCAMは半量での処方もあると思いますが、1週間後の再診で、かつ感染性咳嗽の可能性を考えると400mg/日で構わないと思います。しっかりとした診断を 荒川隆之さん(病院)長引く咳の原因としては、咳喘息や後鼻漏、胃食道逆流、百日咳、結核、心不全、COPD、ACE阻害薬などの薬剤性の咳など多くありますが、抗菌薬が必要なケースは少ないです。もし百日咳であったとしても、感染性は3週間程度でなくなることが多く、1~2カ月程度続く慢性咳嗽に対してむやみに抗菌薬を使うべきではないと考えます。慢性咳嗽の原因の1つに結核があります。ニューキノロン系抗菌薬は結核にも効果があり、症状が少し改善することがありますが、結核は複数の抗菌薬を組み合わせて、長い期間治療が必要な疾患です。そのため、むやみにニューキノロン系抗菌薬を投与すると、少しだけ症状がよくなる、服用が終わると悪くなる、を繰り返し、結核の発見が遅れる可能性が出てくるのです。結核は空気感染しますので、発見が遅れるということは、それだけ他の人にうつしてしまう機会が増えてしまいます。また、結核診断前にニューキノロン系抗菌薬を投与した場合、患者自身の死亡リスクが高まるといった報告もあります(van der Heijden YF, et al. Int J Tuberc Lung Dis 2012;16(9): 1162-1167.)。慢性咳嗽においてニューキノロン系抗菌薬を使用する場合は、結核を除外してから使用すべきだと考えます。まずはしっかりした診断が大事です。Q4 その他、気付いたことは?QOLのための鎮咳薬 JITHURYOUさん(病院)小児ではないので可能性は低いですが、百日咳だとするとカタル期※1でマクロライドを使用します。ただ、経過として3週間過ぎていることと、シムビコート®が処方されているので、カタル期ではない可能性が高いです。咳自体は自衛反射で、あまり抑えることに意味がないと言われていますが、本症例では咳が持続して夜間も眠れないことや季肋部※2の痛みなどの可能性もあるので、患者QOLを上げるために、対症療法的にデキストロメトルファンが処方されたと考えます。※1 咳や鼻水、咽頭痛などの諸症状が起きている期間※2 上腹部で左右の肋骨弓下の部分鎮咳薬の連用について 中堅薬剤師さん(薬局)原疾患を放置したまま、安易に鎮咳薬で症状を改善させることは推奨されていません1)。また、麦門冬湯は「乾性咳嗽の非特異的治療」のエビデンスが認められている2)ので、医師に提案したいです。なお、遷延性咳嗽の原因は、アレルギー、感染症、逆流性食道炎が主であり、まれに薬剤性(副作用)や心疾患などの要因があると考えています。話は変わりますが、開業医の適当な抗菌薬処方はずっと気になっています。特にキノロン系抗菌薬を安易に使いすぎです。高齢のワルファリン服用患者にモキシフロキサシンをフルドーズしようとした例もありました。医師の意図 中西剛明さん(薬局)自身の体験から、マイコプラズマの残存する咳についてはステロイドの吸入が効果的なことがあると実感しています。アレルギーがなかったとしても、マイコプラズマ学会のガイドラインにあるように、最終手段としてのステロイド投与(ガイドラインでは体重当たり1mg/kgのプレドニゾロンの点滴ですが)は一考の余地があります。また、マイコプラズマ学会のガイドラインにも記載がありますが、このケースがマイコプラズマであれば、マクロライド系抗菌薬の効果判定をするため、3日後に再受診の必要があるので3日分の処方で十分なはずです。ステロイド吸入が適切かどうか議論のあるところですが、シムビコート®を処方するくらいですから医師は気管支喘息ということで治療をしたのだと考えます。Q5 患者さんに何を説明する?抗菌薬の患者さんに対する説明例 清水直明さん(病院)「咳で悪さをしているばい菌を殺す薬です。ただし、必ずしもばい菌が悪さをしているとは限りません。この薬(CAM)には、抗菌作用の他にも気道の状態を調節する作用もあるので、7日分しっかり飲み切ってください。」CAMの副作用 キャンプ人さん(病院)処方された期間はきちんと内服すること、副作用の下痢などの消化器症状、味覚異常が出るかもしれないこと。抗菌薬を飲み切る 中堅薬剤師さん(薬局)治療の中心になるので、CAMだけは飲み切るよう指示します。また、副作用が出た際、継続の可否を主治医に確認するよう話します。別の医療機関にかかるときの注意 ふな3さん(薬局)CAMを飲み忘れた場合は、食後でなくてよいので継続するよう説明します。また、別の医師にかかる場合は、必ずCAMを服用していることを話すよう伝えます。後日談本症例の患者は、1週間後の再診時、血液検査の結果に異常は見られなかったが、ハウスダストのアレルギーがあることが分かり、アレルギー性咳嗽(咳喘息)と診断された。初診後3日ほどで、咳は改善したそうだ。医師からはシムビコート®の吸入を続けるよう指示があり、新たな処方はなされなかった。もし咳が再発したら受診するよう言われているという。1)井端英憲、他.処方Q&A100 呼吸器疾患.東京、南山堂、2013.2)日本呼吸器学会.咳嗽に関するガイドライン第2版.[PharmaTribune 2016年11月号掲載]

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皮膚そう痒症、関連がん種の違いに人種が影響

 皮膚そう痒症とがんの関連は知られているが、皮膚そう痒症と関連があるがん種についてのデータは限られている。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のValerie A. Larson氏らの研究の結果によると、皮膚そう痒症は肝臓、皮膚、造血器系の悪性腫瘍と最も強く関連していることが示された。ただし今回の研究は横断研究のため、皮膚そう痒症と悪性腫瘍における時間的制約があり、また単一施設で行われた研究であることに留意が必要だとしている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年9月11日号掲載の報告。 研究グループは、皮膚そう痒症とさまざまな種類のがんとの関連、ならびに人種による関連の違いについて調べ検討を行った。 2013~17年にジョンズ・ホプキンス・ヘルス・システムで診察を受けた18歳以上の患者を対象に横断研究を実施し、皮膚そう痒症患者と非皮膚そう痒症患者を比較するとともに人種別の層別解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は第3次医療センターの皮膚そう痒症患者1万6,925例だった。・皮膚そう痒症の患者は非皮膚そう痒症患者と比較し、悪性腫瘍を合併していることが多かった(オッズ比[OR]:5.76、95%信頼区間[CI]:5.53~6.00)。・皮膚そう痒症との関連が最も強かったのは、肝がん、胆嚢および胆管がん、造血器腫瘍および皮膚がんであった。・人種別では、白人と比較して黒人の皮膚そう痒症患者は、軟部組織、皮膚および血液の悪性腫瘍を有している頻度が高かった。・一方、白人の皮膚そう痒症患者は、肝臓、呼吸器、消化管および婦人科の悪性腫瘍が多かった。

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病院職員に"ハーバード流"マネジメント講義 健康長寿医療センターの試み

 病院経営にも一般企業と同様な組織マネジメントが必要と言われて久しいが、そうした体制がまだ十分に普及しているとはいえないのが現状だ。そんな中、東京都健康長寿医療センターでは、職種横断的にミドルマネジャーを対象とした"ハーバード流"の「医療マネジメントスクール」を開催、着実に成果を上げている。 この企画を発案し、自ら講師も務めているのは、同病院血管外科部長の中澤達氏。中澤氏は現役の外科医でありながら、ハーバード大学大学院で学び、北里大学大学院医療系研究科(医療マネジメント)の教授も務める。 「医療職の多くは、ビジネススキルをきちんと学んだことがない。しかし、組織の課題を見つけ、考えて、解決していくというプロセスが大切なのは、病院でも企業でも同じ。一般のビジネスパーソンがどのようなフレームで物事を考えて、事業を進めているか理解することは、病院職員にとっても意義があると考えた」(中澤氏)。 「医療マネジメントスクール」の開催は今年で2年目。90分のクラス年4回が1コースとなっており、各回のテーマは、「オペレーションマネジメント」「マーケティング」「組織行動とリーダーシップ」「経営戦略」。全4回を履修した職員には、修了証も発行。出欠管理、教材の購入と事前配布は、センターの経営企画局・医療戦略室が事務局として主導している。ハーバードの教材を予習して小グループで議論 同スクールの大きな特徴は、ハーバードビジネススクール(HBS)の講義形式をそのまま取り入れているところ。30人ほどの受講者は、HBSの教材として実際に使われている「ケース」を事前に読み込んでおかねばならず、当日の講義は、5~6人の小グループに分かれてのディスカッション中心に進行する。「すべて実際のビジネスの事例で、正解があるわけではない。みんなで意見を出し合い、考え、議論することそのものが『学び』になる」と中澤氏は言う。 9月5日に開催された2018年度第3回のクラスは、「ノバルティス:グローバル企業を導くということ」というHBSの教材と国内の病院のケースを用いた授業だった。参加者は、リーダーシップとマネジメントの違い、ピラミッド型組織・文鎮型組織それぞれの特徴、リーダーシップの役割、フォロワーのタイプなどについて、職種を超えて活発に議論していた。 このように医師、看護師、その他の医療職、事務職が混ざってディスカッションするのも有意義だと中澤氏は考えている。「病院という組織はどうしても職種で縦割りになりがち。多職種が小グループで真剣に議論することで、他職種に対する理解を深め、職場の風通しがよくなる効果も期待できる」。 「医療マネジメントスクール」は同じ形式で来年度以降も継続する予定だ。「病院側にも参加者にも効果を実感してもらえているので、今後はこの取り組みをもっと外部にも発信していきたい」と中澤氏は意欲を見せる。

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薬剤耐性てんかん患者に対するEPA、DHAの無作為化二重盲検比較試験

 オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)は、神経機能の維持および調整に重要な役割を果たしていると知られており、抗けいれん効果を有するとのエビデンスがある。スーダン・ハルツーム大学のFatma A. S. Ibrahim氏らは、薬物治療抵抗性てんかん患者の発作率に対するEPA、DHAの効果について検討を行った。Epilepsy & Behavior誌オンライン版2018年8月28日号の報告。 薬物治療抵抗性てんかん患者99例(5~16歳:85例、17~45歳:14例)を対象に、二重盲検ランダム化プラセボ対照臨床研究を実施した。対象患者は、DHA群33例(DHA 417.8mg+EPA 50.8mgカプセル)、EPA群33例(EPA 385.6mg+DHA 81.2mgカプセル)、プラセボ群33例(高オレイン酸ヒマワリ油)にランダムに割り付けられ、それぞれ1年間治療を継続した。主要評価項目は、発作率に対する治療効果とした。患者の1ヵ月当たりの発作回数をモデル化するため、ランダム効果負の二項分布回帰モデルを用いた。共変量(性別、年齢、研究参加時の1週間当たりの発作率、発作のタイプ、研究参加時に併用していた抗てんかん薬の数)で調整した後、発作発生率比に対する治療効果を検討した。 主な結果は以下のとおり。・試験を完了した患者は、59例(59.6%)であった。・1ヵ月当たりの平均発作回数は、EPA群で9.7±1.2回、DHA群で11.7±1.5回、プラセボ群で16.6±1.5回であった。・年齢、性別、発作のタイプで調整後の発作発生率比は、プラセボ群と比較し、EPA群で0.61(95%CI:0.42~0.88、p=0.008、42%減少)、DHA群で0.67(95%CI:0.46~1.0、p=0.04、39%減少)であった。・EPA群とDHA群の間で、発作発生率比に差は認められなかった(p=0.56)。・EPA群、DHA群ともに、プラセボ群と比較し、発作のない日数が有意に多かった(p<0.05)。 著者らは「EPAおよびDHAは、薬物治療抵抗性てんかん患者の発作頻度の減少に有効であることが示唆された」としている。■関連記事低用量EPA+DHA、てんかん発作を抑制治療抵抗性焦点性てんかんに対する第3世代抗てんかん薬補助療法の間接比較難治性てんかん重積状態への有用な対処法

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アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループが、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で報告した。本研究の初回解析では、アスピリンの毎日使用は、主要エンドポイントである無障害生存(disability-free survival)に関して便益をもたらさなかった。また、アスピリン使用者は、副次エンドポイントである全死因死亡率も高かったという。原因別の死亡率を探索的に解析 ASPREE試験では、2010年3月~2014年12月の期間に、オーストラリアと米国において参加者の登録が行われた(米国国立老化研究所[NIA]などの助成による)。2017年6月12日、介入を継続しても主要エンドポイントに関して便益が得られる可能性はきわめて低いことが示されたため、NIAの要請で試験は中止となった。 今回は、原因別の死亡について、事後的に探索的解析が行われた。対象は、年齢70歳以上(米国のアフリカ系およびヒスパニック系は65歳以上)で、心血管疾患、認知症、身体障害のない地域住民であった。 被験者は、アスピリン腸溶性製剤(100mg)またはプラセボを毎日投与する群に無作為に割り付けられた。割り付け情報を知らされていない研究者が、死亡を原因別に分類した。 登録された1万9,114例(オーストラリア:1万6,703例、米国:2,411例[52.7%がアフリカ系またはヒスパニック系])のうち、9,525例がアスピリン群に、9,589例はプラセボ群に割り付けられた。全死因死亡率:5.9 vs.5.2%、がん関連死亡率:3.1 vs.2.3%、解釈には注意を フォローアップ期間中央値は4.7年であり、この間に1,052例(5.5%)が死亡した(アスピリン群5.9% vs.プラセボ群5.2%)。全体の死亡の根本原因のうち、がん(原発、転移)は49.6%(522例)であり、心血管疾患(心筋梗塞、その他の冠動脈性心疾患、心臓突然死、虚血性脳卒中)は19.3%(203例)、大出血(出血性脳卒中、症候性頭蓋内出血、消化管の大出血、その他の頭蓋外出血)は5.0%(53例)だった。 全死因死亡の発生率は、アスピリン群が12.7件/1,000人年と、プラセボ群の11.1件/1,000人年に比べて高く(差:1.6件/1,000人年)、有意差が認められた(HR:1.14、95%信頼区間[CI]:1.01~1.29)。この死亡率の差には、がんによる死亡の寄与が大きく、アスピリン群はがん死の発生率が有意に高かった(3.1 vs.2.3%、HR:1.31、95%CI:1.10~1.56)。 心血管疾患による死亡(アスピリン群:1.0% vs.プラセボ群:1.2%、HR:0.82、95%CI:0.62~1.08)、大出血による死亡(0.3 vs.0.3%、1.13、0.66~1.94)、その他の疾患(敗血症、慢性肺疾患、認知症、心不全)による死亡(1.5 vs.1.3%、1.16、0.91~1.48)の発生率は、両群でほぼ同等であった。 がんによる累積死亡率の推移をみると、3年目あたりから両群の差が開き始めていた。また、個々のがん種に関連した死亡数は少なかったが、部位や病理学的タイプにかかわらず、アスピリン群で死亡率が高い傾向がみられた。 サブグループ解析では、事前規定の項目か否かにかかわらず、全死因死亡に及ぼすアスピリンの影響は全般的に一致していた。 著者は、「他のアスピリンの1次予防の研究では、このような結果は得られていないことから、今回の死亡率の結果は注意して解釈すべきである」と指摘している。

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brigatinib、ALK陽性肺がん1次治療の新たなオプションに?(ALTA-1L)/WCLC2018

 ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、brigatinibの有効性をクリゾチニブと比較した第III相ALTA-1L試験の最初の中間解析結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺会議(WCLC2018)で、コロラド大学がんセンターのRoss Camidge氏により発表された。 ALTA-1L試験は、上記患者を対象としたbrigatinibのオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、brigatinib 180mg/日(7日間の導入期間においては90mg/日)投与群、もしくはクリゾチニブ250mg×2/日投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は独立評価委員会が評価した無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目には、客観的奏効率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間、安全性および忍容性が含まれている。PFSイベントの約50%および約75%が発生した時点の2回にわたり、主要評価項目に対する中間解析を行うことが事前に設定されていた。brigatinibが少なくとも6ヵ月クリゾチニブを上回るPFSの改善を示すために、合計約198件のPFSイベントが発生した時点で、主要評価項目の最終解析が行われる予定。 主な結果は以下のとおり。・brigatinib群に137例、クリゾチニブ群に138例の患者が組み入れられた。・年齢中央値はbrigatinib群58歳/クリゾチニブ群60歳。26%/27%に化学療法歴があり、29%/30%がベースライン時に脳転移を有していた。・データカットオフ(2018年2月19日)の追跡期間中央値は11.0ヵ月/9.25ヵ月。・99件のPFSイベント発生時点で独立評価委員会が盲検下で評価したPFS中央値は、brigatinib群NR(95%信頼区間[CI]:NR~NR)、クリゾチニブ群9.8ヵ月(95%CI:9.0~12.9)、ハザード比0.49(95%CI:0.33~0.74、log-rank検定:p=0.0007)で、brigatinib群で統計学的に有意に延長した。・confirmed ORRはそれぞれ71%(95%CI:62~78)、60%(95%CI:51~68)で、ベースライン時に測定可能な頭蓋内病変のあった患者のconfirmed ORRはそれぞれ78% (95%CI:52~94)、29%(95%CI:11~52)であった。・Grade3以上の治療下で発現した有害事象(TEAE)は、多くみられたものからbrigatinib群でCPK上昇(16.2%)、リパーゼ上昇(13.2%)、高血圧(9.6%)。 クリゾチニブ群でALT(9.5%)、AST(5.8%)、リパーゼ(5.1%)の上昇であった・間質性肺疾患(ILD)/肺炎の発現率は、3.7%/2.2%。AEによる治療中止は11.8%/ 8.8%で、brigatinib群の安全性プロファイルは、従来報告されているものと同様であった。 Camidge氏は、「9~11ヵ月という短期間のフォローアップの時点で、クリゾチニブと比較したbrigatinibの明らかな有効性が示されている。この差異は、脳転移に対する影響が大きいと考えられる。脳外の疾患制御に対する両剤の差異が今後現れなければ、PFSがさらに改善される可能性もある」と述べている。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考NCT 02737501(Clinical Trials.gov)Camidge DR., et al.N Engl J Med. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]■関連記事brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

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ノーベル賞受賞、がん治療を劇変させたPD-1とCTLA-4

 2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学高等研究院特別教授の本庶 佑氏とMDアンダーソンがんセンター教授のJames P. Allison氏が共同受賞することが決まった。両氏はともにがんに対する免疫応答の制御に関連するタンパク質を発見し、がん免疫療法の近年の急速な進歩に寄与したことが受賞理由となっている。本稿では、ノーベル財団のプレスリリースから、2人の研究の足跡を紹介する。ほぼ同時期に、2つの発見 1992年、本庶氏ら京都大学の研究者が、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子としてPD-1(Programmed cell death 1)を発見。その機能が明らかになるまでには時間を要したが、1998年、マウスによる実験でPD-1がT細胞のブレーキとして機能し、その働きを制御していることが明らかとなった。その後に続く同氏らおよび他の研究グループによる動物実験の結果、PD-1に結合してT細胞の活性化を抑制する PD-L1やPD-L2との結合をブロックする抗PD-1抗体が、がんとの戦いにおいて有望な戦略であることが示された。 2012年には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん腫における抗 PD-1抗体ニボルマブの臨床試験結果が発表され、その結果は全生存期間および奏効率の双方で臨床的に大きく改善するものであった。 一方、カリフォルニア大学バークレー校の研究所では、Allison氏が同じくT細胞のブレーキとして機能する細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を研究していた。彼は、CTLA-4の阻害がT細胞ブレーキを解除し、免疫細胞の抑制を解くことで、がん細胞を攻撃できる可能性があるのではないかと考えていた。 そして1994年の年末、マウスを使った最初の実験を行い、抗CTLA-4抗体による治療で、腫瘍を持つマウスが治癒することが確認された。当初、製薬業界の関心が向けられることはほとんどなかったが、間もなくして、いくつかの研究グループから有望な結果がもたらされるようになった。2010年には重要な臨床試験結果が発表され、悪性黒色腫の患者に対し、抗CTLA-4抗体イピリムマブが顕著な効果を示した。 PD-1とCTLA-4は同様にT細胞のブレーキとして機能するが、その作用機構は異なる。 がん治療を根本的に変えた 現在、多くのがん腫において多数の臨床試験が進行中であり、ニボルマブとイピリムマブ以外の新たな免疫チェックポイント阻害薬による治療法の開発も進んでいる。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法がさらに効果的である可能性も、悪性黒色腫に対する臨床試験によって示されている。 100年以上もの間、多くの研究者ががんとの闘いに免疫システムを結び付けようとしてきたものの、その臨床的進歩はほとんどみられなかった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法の開発とその成果は劇的なものだった。免疫チェックポイント阻害薬による治療はがん治療に革命をもたらし、がんの管理方法を根本的に変えるものであった。■参考ノーベル財団プレスリリース■2つの発見に関する主要な論文Ishida Y. et al. EMBO J. 1992 Nov;11:3887~3895.Leach DR et al. Science. 1996 Mar 22;271:1734~1736.Kwon ED et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 Jul 22;94:8099~8103.Nishimura H et al. Immunity. 1999 Aug;11:141~151.Freeman GJ et al. J Exp Med. 2000 Oct 2;192:1027~1034.Hodi FS et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Apr 15;100:4712~4717.Iwai Y et al. Int Immunol. 2005 Feb;17:133~144.

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FDA、EGFR変異肺がん1次治療にdacomitinibを承認/ファイザー

 ファイザー社は、2018年9月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、EGFR exon19delまたはexon21 L858R変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療薬として、dacomitinib(米国商品名:VIZIMPRO)を承認したと発表。 今回の承認は多施設無作為化国際オープンラベル試験ARCHER1050に基づいたもの。 ARCHER1050試験では、452例の患者がdacomitinib群またはゲフィチニブ群に1:1で無作為化され評価された。独立評価委員会(IRC)評価のPFSはゲフィチニブ群の9.2ヵ月に対し、dacomitinib群では14.7ヵ月とゲフィチニブと有意な改善を示していた(HR:0.59、95%CI:0.47〜0.74、p<0.0001)。■参考Pfizer社プレスリリースARCHER1050試験(Clinical Trials.gov)ARCHER1050試験(Wu YL, et .al Lancet Oncol. 2017;18:1454-1466.)■関連記事dacomitinib、EGFR変異肺がん1次治療でOS延長(ARCHER1050)/ASCO2018dacomitinibのEGFR変異肺がん1次治療、FDAとEMAが申請受理dacomitinib、EGFR変異陽性肺がん1次治療の成績発表:ARCHER1050試験/ASCO2017

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高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

 今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。 本論文もその1つで、スペインの電子カルテからのデータを基に、75歳以上の高齢者でコレステロール低下目的にスタチンを投与することの有用性が検討された。電子カルテのレコードから75歳以上で初めてスタチンを投与された患者と、さまざまな背景因子を合わせた患者(プロペンシティーマッチした)を比較したものである。結果は興味深く、75歳以上ではスタチンの投与は心血管イベント低下効果がないとするものである。ただ、糖尿病患者では有用性があることも示されたが、この効果も85歳以上では効果が消失するようである。ガイドラインでは1次予防としてもスタチンの投与の有用性は広く示されているため、75歳以下だけでなく、高齢者でも有用なのではと推測されていたが、本論文では安易なスタチンの投与はすべきでないとしている。結論を出すには2022年ごろに発表される高齢者を対象としたRCTの結果(STAREE試験)を待たなければならないが、本論文の結果は安易にガイドラインを高齢者に適応すべきではないという示唆でもある。 ただ、(1)これまでスタチンを投与してきた患者を75歳で中止すべきなのか? (2)75歳以上の高齢者では各個人間での相違(合併症、虚弱度、食事など)を考慮すべきではないか? (3)スペインと他の地域での高齢者は同じなのか? など、年齢だけでは規定できない多くの要素があり、Real World Evidenceだからといって、普遍化はできない。高齢者では、RCTやReal World Evidenceにも多くのバイアスがあるので、これまでのEBMに基づいた治療ではなく、一人ひとりの背景因子をしっかり把握して個人に合ったエビデンスの適応を考慮しなければならないであろう。

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25)ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)の吸入手順を解説します。手順としては、カバーを外し、白いトレーを引き出す→トレーを取り外し、穴に合わせてディスクを乗せる→カチッと音がするまで、トレーを本体に押し込む→★本体を平らに持ち、フタを垂直に立て、ブリスターに穴を開ける→フタを閉じる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→空気口をふさがないようにする→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→(吸入指示が2回の場合、もう一度白いトレーを引き出し、再びカチッと音がするまで押し込む→ブリスターが回転する→★に戻る→)うがいをする(口中3回、喉の奥3回)→使い終わった薬をトレーから外し、捨てる→トレーを戻し、カバーを閉める。※注意するポイント中の薬がこぼれないように、平らに保ったまま操作してください吸った時に少し甘みを感じても、問題はありません粉が詰まるので、定期的にトレーを外してブラシや布で掃除しましょう汚れがひどいときは、トレーと本体を水洗いして、十分乾かしましょう●主な製剤(2015年3月時点のデータ)ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)

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相互作用が少なく高齢者にも使いやすい経口爪白癬治療薬「ネイリンカプセル100mg」【下平博士のDIノート】第10回

相互作用が少なく高齢者にも使いやすい経口爪白癬治療薬「ネイリンカプセル100mg」今回は、「ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物カプセル(商品名:ネイリンカプセル100mg)」を紹介します。本剤は、薬物相互作用が少なく、休薬期間や服用時点の制限もないため、高齢者に多い爪白癬の新たな治療選択肢となることが期待できます。<効能・効果>皮膚糸状菌(トリコフィトン属)による爪白癬の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年7月27日より販売されています。本剤は、トリアゾール系抗真菌薬であるラブコナゾールの水溶性および生物学的利用率を高めたプロドラッグであり、経口投与後速やかに活性本体であるラブコナゾールに変換され、真菌の発育に必要なエルゴステロールの生合成を阻害して抗真菌作用を示します。<用法・用量>通常、成人には、1日1回1カプセルを12週間経口投与します。なお、本剤はすでに変色した爪所見を回復させるものではないので、投与終了後も爪の伸長期間を考慮した経過観察が必要です。<副作用>国内第III相臨床試験において、101例中副作用が24例(23.8%)に認められました。主な副作用は、γ-GTP増加16例(15.8%)、ALT(GPT)増加9例(8.9%)、AST(GOT)増加8例(7.9%)、腹部不快感4例(4.0%)、血中Al-P増加2例(2.0%)でした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.この薬は、飲み続けることで爪白癬の原因となる真菌を殺菌する働きがあります。2.すでに変形・変色してしまった爪を回復させる薬ではありません。服薬終了後も健康な爪に生え変わるまで継続的な観察(約9ヵ月間)が必要です。3.自己判断で中止すると、再発・悪化につながります。医師の指示があるまではしっかり続けてください。4.爪が肥厚、変形している場合は、必要に応じてやすりや爪切りなどで爪のお手入れをしてください。5.爪白癬はご家族などに感染することがあります。患部はお風呂に入った後よく乾かし、清潔に保ってください。6.この薬を服用している間および使用を中止してから少なくとも3ヵ月間は必ず避妊をしてください。<Shimo's eyes>本剤は、経口爪白癬治療薬として約20年ぶりに承認された新薬で、適応は爪白癬のみとなっています。爪(NAIL)に薬物が入る(IN)ことからNAILIN(ネイリン)と命名されました。爪白癬治療薬として、経口薬ではテルビナフィン(先発品名:ラミシール)およびイトラコナゾール(同:イトリゾール)が発売されています。1997年に発売されたテルビナフィンは、肝機能障害や血球減少といった重篤な副作用が報告されているため定期的な採血が必要であり、また服用期間が約6ヵ月と長いことが課題でした。そのため、現在では主に1999年に発売されたイトラコナゾールのパルス療法(1週間投与して3週間休薬を1サイクルとして、3サイクル繰り返す)が行われています。しかし、イトラコナゾールは強力なCYP3A4とP糖蛋白の阻害作用を有するため、併用禁忌・併用注意薬が多くあり、高齢者や合併症のある患者さんでは使用しづらいこともあります。そのような中、爪外用液として2014年にエフィナコナゾール爪外用液10%(商品名:クレナフィン)、2016年にルリコナゾール爪外用液5%(同:ルコナック)が発売されました。しかし、爪外用液は、肝障害などの副作用や他剤との薬物相互作用が少ないというメリットがあるものの、爪が生え変わるまでの期間(1年程度)塗布し続ける必要があり、経口薬に比べて有効性が低い傾向があります。このように、これまでの爪白癬治療では、有効性や安全性、治療の利便性に課題があり、服薬アドヒアランスを良好に保つことが課題でした。本剤は、CYP3A阻害作用が比較的弱いため、シンバスタチンやミダゾラム、ワルファリンとは併用注意ですが、併用禁忌の薬はありません。また、1日1回12週間の連日服薬で、食事の影響がないため患者さんのライフスタイルに合わせて服用することができ、服薬アドヒアランスが良好に維持されることが期待されます。とくに要介護患者さんに対する爪外用液の使用で負担が大きかった介護者にとっては、負担が大きく軽減されるかもしれません。なお、国内臨床試験において、肝機能に関する重篤な有害事象は認められていませんが、海外で承認されている国および地域はありません※ので、副作用に関しては継続的な情報収集が必要です。※2018年8月現在

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治療抵抗性うつ病に対する精神療法の有効性に関するメタ解析

 大うつ病に対する治療および管理は、大幅な進歩を遂げた。しかし、第1選択の抗うつ薬治療または心理社会療法で治療反応が得られる患者は、50%未満である。治療抵抗性うつ病(TRD)に対する精神療法に関する対照研究数が増加し、うつ病患者に対する精神療法が、治療選択肢として好まれている現状を考慮し、オランダ・マーストリヒト大学のSuzanne van Bronswijk氏らは、TRDに対する精神療法の有効性を調査するため、メタ解析およびメタ回帰分析を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2018年8月24日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・合計25の比較を含む21件の研究において、7種類の精神療法に関する検討が行われていた。・精神療法と通常治療を比べた3つの比較では、通常治療(TAU)と精神療法との間に有意なベネフィットは認められなかった。・併用治療(TAU+精神療法)とTAUとを比べた22の比較では、併用治療において、エフェクトサイズ0.42(95%CI:0.29~0.54)の中程度の効果が認められた。・メタ回帰分析では、集団療法vs.個人療法と同様に、ベースライン時の重症度と治療効果に正の関連が認められた。・出版バイアスは、認められなかった。・最も調査が行われていた治療は、認知行動療法、対人関係療法、マインドフルネスに基づく認知療法、精神療法の認知行動分析システムであった。 著者らは「TRDの治療ガイドラインにおいて、通常治療に対して、薬理学的および神経刺激的治療に加えて精神療法を追加することは正当であり、治療困難なうつ病患者により良い影響を及ぼすと考えられる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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「スタチン不耐に関する診療指針2018」で治療中断を食い止める

 スタチンは心筋梗塞をはじめ、動脈硬化によって生ずる心血管イベントを予防するためには必要不可欠であると、日本人を含むさまざまなデータにおいて報告がある。しかし、その服用継続が困難な「不耐」については日本人のデータが確立していないどころか、適切なLDLコレステロール低下療法が実践されているのかさえ不明瞭である。2018年9月26日、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「スタチン不耐について」が開催され、梶波 康二氏(金沢医科大学循環器内科学主任教授/スタチン不耐ワーキンググループ委員長)が登壇し、スタチン不耐に関する診療指針2018作成の経緯について語った。スタチン不耐に該当する患者は意外にも多い スタチンの服用中断は決して稀なことではないという。スタチン服用継続困難な状態(服用に伴う有害事象、検査値異常、ほかの継続服用を妨げる事象や懸念)のことをスタチン不耐と呼び、この患者が占める割合はスタチンの服用が必要な患者の10%1)に及ぶ。また不耐には、部分不耐(ある種のスタチンのある投与量で)と完全不耐(すべてのスタチンのあらゆる投与量で)が知られている。 前述のとおり、スタチンがまったく飲めないのではなく、なんらかの理由によって飲めない患者も含まれるため、同氏は「薬が服用できない原因をしっかり確認し、それを克服することがスタチンを有効に使用するうえで重要な課題である」と問題提起した。スタチン中断に対するさまざまな問題点が指針作成へ発展 スタチン服用による有害事象は多岐に渡るが、なかでもエビデンスより明らかな筋関連障害と肝酵素の上昇に焦点が当てられメカニズムの解明が進められている。欧州ではスタチン関連筋障害の管理指針2)が発表されているが、欧州と日本では認可されている投与量が異なるため、同氏は、「日本人にこれを直接当てはめるのは注意が必要」と指摘。また、「スタチン関連筋障害には遺伝子多型の影響があるが、欧州で報告された遺伝素因は日本人における筋障害に対し影響は小さかった。日本人の中でどういう人がスタチンと相性が悪いのかを、日本人で検証することが必要である」と示唆し、「このような日本人における有害事象のデータを明らかにするために、日本肝臓学会、日本神経学会、日本薬物動態学会の協力を得て、診療指針を作成する運びとなった。スタチン継続困難な患者と共に考える道筋を学会としてアプローチしていく」とコメントした。Nocebo効果が筋関連障害の患者を増やしている スタチンの筋関連障害では、Nocebo効果が認められた論文3)が報告されており、プラセボを服用した時だけに筋症状が出た患者が、参加者の30%にも及んでいる。患者が筋関連障害を訴えた場合は、プラセボ効果とは逆のNocebo効果があることを考慮し、同氏は、「患者にもその旨を伝え、診察時は患者と共に対応を協議することが重要」と、患者の訴えを鵜呑みにした際のリスクについて語った。スタチン不耐克服のためにワーキンググループが取り組む課題と対策 不足している日本人のデータを取り揃えるため、ワーキンググループはPMDAに申請を行い、情報収集ならびに分析を開始している。これを踏まえ、同氏は「日本人のスタチン服用にまつわる有害事象の詳細な解析の第一歩を踏み出している。われわれが作成する“スタチン投与時の有害事象に対するフローチャート”を共有し、どのような患者にどういうことが起きているのかを登録する仕組みを確立したい。そして、日本人のスタチン継続困難な理由は何かについて、科学的な分析をさらに発展させたい」と述べ、「10%は不耐な患者が存在すると推測される。そのような患者にどうアプローチをしていくのかを主治医に依存するのではなく、指針作成を通して共通の方向性を設定し、問題解決の方策を見いだしていくことが、日本人の心血管予防をさらに充実させる診療につながる」とまとめた。■参考1)Nagar SP, et al.Circ J.2018;82:1008-1016.2)Stroes ES, et al.Eur Heart J.2015;36:1012-1022.3)Nissen SE, et al.JAMA.2016;315:1580-1590.■関連記事スタチン不耐容患者へのエボロクマブ vs.エゼチミブ/JAMA

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医師のバーンアウト研究、ばらつき過大でメタ解析不可能/JAMA

 臨床医のバーンアウト(燃え尽き症候群)の推定有病率には、研究間に重大なばらつきが存在し、定義や評価法、試験の質には顕著な差異があることが、米国・ハーバード大学医学大学院のLisa S. Rotenstein氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年9月18日号に掲載された。バーンアウトは、自己報告による職業関連症候群であり、医師とその患者に影響を及ぼす重要な因子としての認識が高まっている。医師のバーンアウトの有病率の正確な推定値は、保健施策において重大な意味を持つが、総合的な有病率は知られていないという。定量的なデータの統合は不適切、研究を記述的に要約 研究グループは、バーンアウトの評価に使用される方法の特性を明らかにし、医師のバーンアウトの推定有病率を知るために、系統的レビューを行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 医学データベースを検索して、2018年6月1日までに出版された医師(研修中の医師は除く)のバーンアウトに関する論文を選出した。3人の研究者が独立に、バーンアウトの有病率および研究の特性に関するデータを抽出した。 メタ解析のために研究データを統合する計画であったが、統計学的な異質性だけでなく、研究デザインやバーンアウトの確定の方法にもばらつきが認められ、定量的なデータの統合は不適切と考えられた。 そこで、研究を記述的に要約し、定性的な評価を行った。主要アウトカムは、質問票で評価したバーンアウトの点有病率または期間有病率とした。コンセンサスに基づく定義と、評価ツールの標準化が重要 バーンアウトの有病率のデータは、1991~2018年に45ヵ国で出版された182件(日本の3件の研究を含む)の研究(参加者10万9,628例)から抽出された。全研究の85.7%(156/182件)が、バーンアウトの評価にMaslach Burnout Inventory(MBI)を用いていた。 バーンアウト全体の推定有病率を報告した研究の割合は67.0%(122/182件)であり、バーンアウトの3つの下位尺度のうち、情緒的消耗感の推定有病率を報告した研究は72.0%(131/182件)、脱人格化は68.1%(124/182件)、個人的達成感の低下は63.2%(115/182件)と、一定していなかった。 また、バーンアウト全体およびその下位尺度の判定基準を満たすために、少なくとも142の独自の定義が使用されており、バーンアウトの構成要素に関して、文献上の重大な不一致が示された。さらに、研究によって、所定のカットオフ値などに基づくバーンアウトの定義も一定しておらず、著しく異なるカットオフの定義が使用されていた。 MBIに基づく評価法を用いた研究のうち、バーンアウト全体の有病率の定義は少なくとも47種が存在し、情緒的消耗感の定義は29種、脱人格化は26種、個人的達成感の低下も26種に及んでいた。 バーンアウト全体の有病率には、研究によって0~80.5%の幅があり、情緒的消耗感の有病率は0~86.2%、脱人格化は0~89.9%、個人的達成感の低下は0~87.1%の幅が認められた。 このように、研究全体におけるバーンアウトの定義および評価法の不一致により、バーンアウトと性別、年齢、地域、うつ症状などとの関連を、明確にすることはできなかった。 著者は、「これらの知見は、バーンアウトの有病率に関する明確な結論の提示を不可能にするものである」とし、「コンセンサスに基づくバーンアウトの定義の開発、および職業上の慢性的なストレスが医師に及ぼす影響を評価する測定ツールの標準化の重要性が浮き彫りとなった」と指摘している。

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日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。 研究グループは、日本人の抗-enolase AIR患者25例(女性16例、男性9例、初診時平均年齢60.8歳)の49眼を対象に、眼底の特徴、視野検査、スペクトラルドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)、網膜電図(ERG)による検査、最高矯正視力(BCVA)および全身における腫瘍の複合について評価した。また、1例の患者の摘出眼において、免疫組織化学染色を用いてα-enolase蛋白の局在を調べた。 主な結果は以下のとおり。・25例の患者は、ドルーゼン多発(48%)、網膜変性(36%)、眼底正常(16%)の3群に分類された。・ドルーゼンは、小さな沈着から卵黄様病変まで、さまざまな大きさが認められた。・SD-OCT所見は、ドルーゼンに対応してRPEがドーム状に隆起し内部反射を伴っていた。・視野検査では、輪状暗点の頻度が最も高かった(39%)。・ERGでは、桿体反応または錐体反応の低下が81%の眼で認められた。・桿体と錐体の混合反応については、ドルーゼン多発群より網膜変性群においてa波の振幅が有意に小さかった(p=0.005)。・BCVAは、追跡調査中に80%の眼で改善または維持された。・患者の30%で悪性または良性腫瘍が発見された。・免疫染色の結果、RPEおよび視細胞層はα-enolase陽性であった。

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