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重症心不全への左心補助人工心臓、完全磁気浮上型遠心流ポンプが有効/NEJM

 重症心不全患者への完全磁気浮上型遠心流の左心補助人工心臓(LVAD)植込み術は、軸流LVADに比べポンプ交換の頻度が低く、後遺障害を伴う脳卒中やデバイス交換・除去の再手術なしで生存する可能性が高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが行ったMOMENTUM 3試験の最終報告で示された。本試験の中間解析では、遠心流ポンプLVADは軸流ポンプLVADよりもポンプ血栓症や後遺障害のない脳卒中の頻度が低いことが報告されていた。NEJM誌オンライン版2019年3月17日号掲載の報告。非劣性を検証する無作為化試験 本研究は、重症心不全患者へのLVAD植込み術における完全磁気浮上型遠心流ポンプと従来の軸流ポンプの有効性と安全性を比較する無作為化非劣性試験である(Abbottの助成による)。 対象は、LVADを要する重症心不全患者で、心移植までの橋渡し、または恒久治療かは問われなかった。被験者は、遠心流ポンプまたは軸流ポンプを用いたLVADを植え込む群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、2年時の後遺障害を伴う脳卒中およびデバイス交換・除去のための再手術のない生存とし、主な副次エンドポイントは2年時のポンプ交換であった。主要エンドポイントは、両群間の差(遠心流ポンプ群-軸流ポンプ群)の95%信頼区間(CI)下限が-10ポイントより大きい場合に、非劣性と判定した。主要エンドポイント:76.9% vs.64.8%、ポンプ交換:2.3% vs.11.3% 患者登録期間は2014年9月~2016年8月であった。今回の最終解析には1,028例(遠心流ポンプ群516例[平均年齢59歳、男性79.7%]、軸流ポンプ群512例[60歳、81.8%])が含まれた。遠心流ポンプ群の1例、軸流ポンプ群の7例が植込み術を受けなかった。 主要エンドポイントの発生率は、遠心流ポンプ群が76.9%(397例)と、軸流ポンプ群の64.8%(332例)よりも高く(群間の絶対差:12.1ポイント、95%CI:6.0~18.2)、遠心流ポンプ群の軸流ポンプ群に対する非劣性が示された(非劣性のp<0.001)。また、優越性の判定基準も満たした(相対リスク[RR]:0.84、95%CI:0.78~0.91、優越性のp<0.001)。 Kaplan-Meier法による2年無イベント生存率は、遠心流ポンプ群が74.7%と、軸流ポンプ群の60.6%に比べ有意に良好だった(ハザード比[HR]:0.60、95%CI:0.47~0.75)。 2年時のポンプ交換も、遠心流ポンプ群で有意に少なかった(2.3% vs.11.3%、RR:0.21、95%CI:0.11~0.38、p<0.001)。 デバイスを植え込んで退院した患者の割合は、遠心流ポンプ群が94.2%、軸流ポンプ群は93.3%であり、植込み術のための入院期間中央値はそれぞれ19日、17日であった。また、再入院の日数中央値はそれぞれ13日、18日(群間差:-5日、95%CI:-8.7~-1.3)、院外でLVADを植え込んだ状態で過ごした日数中央値は653日、605日(48日、-0.8~96.8)、全原因による再入院率は2.26件/人年、2.47件/人年(HR:0.92、0.86~0.99)だった。 ポンプ血栓症(1.4% vs.13.9%、p<0.001)、脳卒中(9.9% vs.19.4%、p<0.001)、出血(43.7% vs.55.0%、p<0.001)、消化管出血(24.5% vs.30.9、p<0.001)の頻度は、いずれも遠心流ポンプ群で低かった。 著者は、「2年間に、軸流ポンプの代わりに遠心流ポンプを用いることで、10例ごとに2.2件のポンプ血栓症、2件の脳卒中、6.8件の出血が回避された計算となり、院内で過ごす期間の短縮に結び付いたと考えられる」としている。

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統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向

 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。 1995~2014年に統合失調症または双極性障害と診断されたSMRを比較するため(年齢、性別で調整)、デンマーク全人口を含むレジスターベースのコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・重度の精神疾患患者のSMRは、研究期間中の各暦年につき有意に高く、全SMRは、統合失調症患者(3万8,500例)で4.58(95%CI:4.48~4.69)、双極性障害患者(2万3,092例)で2.57(95%CI:2.49~2.65)であった。・統合失調症と双極性障害のそれぞれについてSMRの時間的傾向を調査したところ、SMRの経時的な平均増加は、統合失調症で0.03/年、双極性障害で0.02/年であった(各々p<0.01)。・研究期間中の各暦年における統合失調症と双極性障害のSMRの比は、一定であった(p=0.756)。 著者らは「統合失調症、双極性障害ともに、過去20年間でSMRの増加が認められた。両疾患ではSMRに関する明らかな違いがあるにもかかわらず、SMRの経時的な増加は同様であり、両疾患の死亡率に影響する共通の根本的な要因を示唆している可能性がある」としている。■関連記事精神疾患患者の死亡率は減少しているのか統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で初発統合失調症に対する治療アルゴリズムを作成~日本臨床精神神経薬理学会

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前立腺がん患者のQOL、性機能とADTの影響に配慮を/Lancet Oncol

 昨今の医療のトピックに「治す医療から支える医療へ」がある。英国・リーズ大学のAmy Downing氏らは集団ベース研究により、進行前立腺がん患者と限局性前立腺がん患者とで、健康関連QOLアウトカムは大きく異なってはいないが、アンドロゲン除去療法を受けた患者ではホルモン機能と疲労に関してかなりの問題を抱えていることを明らかにした。著者は、「性機能障害がよくみられるものの、ほとんどの男性は有益な介入や支援を提供されていない。性機能リハビリの改善やアンドロゲン除去療法の影響を軽減するための対策が必要だ」とまとめている。Lancet Oncology誌2019年3月号の掲載報告。 研究グループは、あらゆるステージの前立腺がん患者の機能的アウトカムと健康関連QOLを報告し、医療の提供に対する影響を明らかにする目的で、英国のがん登録データベースを活用した検討を行った。前立腺がん診断後18~42ヵ月の男性を特定し、郵送によるアンケート調査を行った。 調査項目は、限局性前立腺患者の特異的QOL尺度であるEPIC-26による機能的アウトカム(尿失禁、排尿刺激・障害、排便、性機能、活力およびホルモン機能)、ならびに性機能障害に対する治療や一般的な健康関連QOLとした。また、一般的な健康関連QOLは、移動の程度、身の回りの管理、日常の活動、痛み/不快感、および不安/うつの5項目の健康状態をそれぞれ5段階で評価するEQ-5D-5Lを用いた。 対数線形および二項ロジスティック回帰モデル(年齢、社会経済的貧困、およびその他の長期的な健康状態の数で補正)を用い、前立腺がんのステージおよび治療法で機能的アウトカムと健康関連QOLを比較した。 主な結果は以下のとおり。・5万8,930例中3万5,823例(60.8%)から回答が得られ、そのうちStageを認知していたのは3万5,823例中3万733例(85.8%)であった。・StageI/IIは1万9,599例(63.8%)、StageIIIは7,209例(23.4%)、StageIVは3,925例(12.8%)であった。・EPIC-26の4項目(排尿、排便、性機能、ホルモン)のうち、性機能を除く3項目は平均補正後スコアが高く機能が良好であることが示されたが、性機能項目のスコアは非常に低かった。・アンドロゲン除去療法を受けている患者は受けていない患者と比較し、ほてり(30.7%[95%CI:29.8~31.6] vs.5.4%[95%CI:5.0~5.8])、活力低下(29.4%[95%CI:28.6~30.3] vs.14.7%[95%CI:14.2~15.3])、体重増加(22.5%[95%CI:21.7~23.3] vs.6.9%[95%CI:6.5~7.3])に関して、中程度~重大な問題があると報告した。・性機能障害はStageに関係なく一般的で(81.0%、95%CI:80.6~81.5)、半数以上の患者(1万8,782例、55.8%)はこの健康状態を改善するためのいかなる介入も提供されていなかった。・自己評価による健康状態は、StageI~IIIの患者では類似していたが、StageIVの患者ではわずかに低下しており、転移を有する患者でEQ-5D-5Lのどの項目についても問題がないと回答したのは23.5%であった。

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日本の頭部外傷の実態/脳神経外傷学会

 日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした疫学研究を開始。現在まで、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)Projectとして1998、2004、2009、2015が行われ、Project2015(P2015)の結果がまとまり、第42回日本脳神経外傷学会にて、その結果が報告された。P2015の登録対象症例は2015年4月1日~2017年3月31日に、搬入時あるいは受傷後48時間以内にGlasgow Coma Scale(GCS)8以下、あるいは脳神経外科手術を施行した頭部外傷症例(0歳を含む全年齢)。Project2015の参加施設は32施設1,345例が登録された。転機は改善するも、高齢者の転倒、歩行者事故による頭部外傷が増加 仙台市立病院 加藤 侑哉氏はシンポジウムの中で、重症頭部外傷の年齢構成の推移についてJNTDB2015と過去のデータの比較を発表した。分析対象は6歳以上、GCS8以下などの規準を満たした重症頭部外傷患者で、P2015の1,345例中924例が検討対象となった。 JNTDBの4回のProjectの結果、若年者層での重症頭部外傷減少、高齢者層での増加を経時的に認めている。P2015では、80~84歳がピークとなり、過去の統計と比べ、さらに高齢者側にシフトした。 受傷機転をみると、交通事故は経時的に減少しているが、転倒・転落・墜落は増加しており、どちらもP2015では65歳以上で大幅に増加した。転帰については、GOS(Glasgow Outcome Scale)でGR(good recovery:日常生活に復帰)、MD(moderate disability)の転帰良好群は横ばい、SD(severe disability)、VS(vegetative state)の機能的転帰不良群は増加、死亡は減少していた。増加する高齢者頭部外傷の割合 わが国における高齢者重症頭部外傷の変遷について、日本医科大学 横堀 將司氏が発表した。4回のJNTDB Projectの合計4,539例のうち、高齢者(65歳以上)を対象に分析した。 結果、わが国の頭部外傷における65歳以上の高齢者の割合は半分以上であり、P2015では、とくに75歳以上の増加が顕著であった。積極的治療を受けている高齢者頭部外傷の割合は7割であった。死亡率は低下していたが、P2015ではSD、VS群は増加していた。機能的転帰不良患者の予測因子は、年齢75歳以上、ISS(injury severity score)25以上、GCS8以下、外傷性くも膜下出血、脳室内出血の存在であった。交通外傷による頭部外傷の変化 千葉県救急医療センター 脳神経外科 宮田 昭宏氏は、4回のJNTDBの集積データを振り返り、頭部外傷の原因として大きな比重を持つ、交通外傷の変遷について発表した。分析対象は、4回のデータベースの中から交通外傷を原因とする患者2,192例(48.3%)。 頭部外傷において、交通外傷の占める割合は減少している。年齢構成別にみると45歳以下が大きく減少する一方、65歳以上の高齢者で増加、とくに80歳以上では大きく増加している。内訳をみると4輪車事故によるものが減り、歩行者事故が大幅に増加。その傾向は80歳以上で顕著で、P2015における80歳以上の交通事故での頭部外傷の中で、歩行者事故の割合は60%を占めた。 転帰について、P2015では死亡率が顕著に下がった(33.2%)。年齢別にみると、若年者44歳以下でGR、MD群が大きく増加した反面、高齢者では、SDやVS群が増加していた。■関連記事日本の頭部外傷の現状は?/脳神経外科学会

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JCS2019で日循公式ツイッターが全力発信 #19JCSでタグ付けを

 2019年3月29~31日にパシフィコ横浜にて開催される、第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019)において、日本循環器学会 情報広報部会は、公式ツイッターアカウントを活用した情報発信を行うと発表した。 欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの海外の主要な学会では、SNS上でタイムリーな情報発信が行われ、多くの人が最新の医学知識に触れて、勉強・議論できる体制が整えられている。日本の学会における情報発信の先駆けとして、JCS2019にて行われる発表内容をツイッター上でオープンに発信していくのが今回の試みだ。 発信内容は、JCS2019において登壇者から許諾を得た発表のスライド等の画像や、セッション終了後の座長や演者のインタビュー動画。 発信元は、日本循環器学会の公式ツイッターアカウントである、日本循環器学会 情報広報部会@JCIRC_IPR。ツイートにハッシュタグ #19JCS を付けて発信する。 ツイッター投稿を目的とした講演中の撮影は同情報広報部会および事前に決定した協力者に限られるが、参加者が自身の感想や意見を積極的に投稿することを学会として推奨している。 ハッシュタグ #19JCS では、公式アカウントからのツイート以外の関連情報もカバーすることも可能だ。学会でのSNS活用は、日本ではまだ珍しい。この機会に学術活動の一助としてツイッターを活用してみてはどうだろうか。第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019)会  長  : 小室 一成(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授)会  場  : パシフィコ横浜        (神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)会  期  : 2019年3月29日(金)~31日(日)メインテーマ: 循環器病学Renaissance-未来医療への処方箋公式ツイッター(日本循環器学会 情報広報部会)@JCIRC_IPRハッシュタグ #19JCS■関連記事Dr.倉原の“おどろき”医学論文 第109回 Twitterでカンファレンスする時代?

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卵の摂取量増加で、心血管疾患発症や死亡が増加?/JAMA

 米国成人において、食事性コレステロールまたは卵の摂取量増加は、用量反応的に心血管疾患(CVD)発症および全死因死亡リスクの上昇と有意に関連していることが確認された。米国・ノースウェスタン大学のVictor W. Zhong氏らが、Lifetime Risk Pooling Projectの6つのコホートデータを用いた解析結果を報告した。コレステロールは、ヒトの食事における一般的な栄養素で、卵は食事性コレステロールの重要な源であるが、食事性コレステロール/卵の摂取量がCVDおよび死亡と関連しているかどうかについては、なお議論が続いている。著者は今回の結果について、「食事ガイドラインの作成・改訂の際に考慮されるべきである」とまとめている。JAMA誌2019年3月19日号掲載の報告。食事性コレステロール/卵の摂取量とCVD発症/死亡リスクの関連を評価 研究グループは、1985年3月25日~2016年8月31日の期間に収集された、米国の6つの前向きコホート研究における参加者個々のデータを統合した。自己報告の食事摂取に関するデータは、標準的プロトコルを用いて調整し、食事性コレステロール(mg/日)または卵の摂取量(個/日)を算出した。 主要評価項目は、人口統計学的、社会経済的および行動的要因を調整した、CVD発症(致死的/非致死的冠動脈心疾患・脳卒中・心不全・他のCVD死亡の複合)と全死因死亡に関する全追跡調査期間にわたるハザード比(HR)および絶対リスク差(ARD)で、コホートで層別化した原因別ハザードモデルおよび標準比例ハザードモデルを用いて解析した。卵の摂取量が半分増加した場合でも有意な関連 本解析には合計2万9,615例が組み込まれ、平均[±SD]年齢はベースライン時51.6±13.5歳、1万3,299例(44.9%)が男性で、9,204例(31.1%)が黒人であった。 追跡期間中央値17.5年(四分位範囲:13.0~21.7、最大31.1)において、CVDイベント発症が5,400例、全死因死亡が6,132例認められた。 1日当たりの食事性コレステロール摂取量が300mg増加した場合、CVD発症(補正後HR:1.17[95%信頼区間[CI]:1.09~1.26]、補正後ARD:3.24%[95%CI:1.39~5.08])および全死因死亡(補正後HR:1.18[95%CI:1.10~1.26]、補正後ARD:4.43%[95%CI:2.51~6.36])のリスク上昇と有意な関連が認められた。 1日当たりの卵の摂取量が半分(2分の1個、卵1個を3~4回/週または3~4個/週)増加した場合でも、同様に有意な関連が認められた(CVD発症の補正後HR:1.06[95%CI:1.03~1.10]、補正後ARD:1.11%[95%CI:0.32~1.89]、全死因死亡の補正後HR:1.08[95%CI:1.04~1.11]、補正後ARD:1.93%[95%CI:1.10~2.76])。ただし、食事性コレステロール摂取量を補正後は、卵の摂取量とCVD発症(補正後HR:0.99[95%CI:0.93~1.05]、補正後ARD:-0.47%[95%CI:-1.83~0.88])および全死因死亡(補正後HR:1.03[95%CI:0.97~1.09]、補正後ARD:0.71%[95%CI:-0.85~2.28])との間に、有意な関連は確認されなかった。 著者は研究の限界として、食事摂取に関するデータが自己報告であること、全コホートが異なる食事評価法を使用していたこと、観察研究のため因果関係については立証できないことなどを挙げている。

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CIED留置後感染予防、生体吸収性抗菌薬溶出メッシュが有益/NEJM

 心臓植込み型電気デバイス(CIED)留置後の感染症を予防するための、CIEDを包む生体吸収性抗菌薬溶出メッシュの安全性と有効性を評価した、米国・クリーブランド・クリニックのKhaldoun G. Tarakji氏らによる無作為化比較臨床試験「Worldwide Randomized Antibiotic Envelope Infection Prevention Trial:WRAP-IT」の結果が示された。抗菌薬溶出メッシュの使用により、標準ケアによる感染予防戦略のみの実施と比較し、合併症の発生が増加することなく、重大なCIED感染症の発生が有意に低下したという。CIED留置後の感染症はその後の病的状態や死亡と関連しているが、術前抗菌薬投与以外に感染症を予防する方法に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2019年3月17日号掲載の報告。約7,000例を、抗菌薬溶出メッシュ使用あり/なしに無作為化 研究グループは、CIEDポケットの再建、ジェネレーター取り換え、除細動機能付き両心室ペースメーカのシステムのアップグレード・初回留置を実施する患者を、抗菌薬溶出メッシュ使用群または非使用群に1対1の割合で無作為に割り付けた。感染症予防のための標準ケア(術前の抗菌薬静脈投与および滅菌技術)は、全患者に対して行った。 主要評価項目は、CIED留置術後12ヵ月以内の、システム除去/再建を要する感染症、感染症再発を伴う長期抗菌薬療法ならびに死亡とし、安全性の副次評価項目は12ヵ月以内の施術関連またはシステム関連の合併症で、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。 計6,983例の患者が登録された(使用群3,495例、非使用群3,488例)。抗菌薬溶出メッシュ使用で重大なCIED関連感染症の発生が約40%低下 主要評価項目の発生は、使用群25例、非使用群42例で確認された(12ヵ月Kaplan-Meier推定イベント発生率はそれぞれ0.7%、1.2%、ハザード比[HR]:0.60[95%信頼区間[CI]:0.36~0.98]、p=0.04)。安全性に関する副次評価項目は、使用群201例、非使用群236例で発生した(12ヵ月Kaplan-Meier推定イベント発生率はそれぞれ6.0%、6.9%、HR:0.87[95%CI:0.72~1.06]、非劣性のp<0.001)。 平均(±SD)追跡調査期間は、20.7±8.5ヵ月であった。追跡期間全体を通して、重大なCIED関連感染症は、使用群32例、非使用群51例で確認された(HR:0.63、95%CI:0.40~0.98)。 なお、著者は、抗菌薬の感受性に関するデータが不足していること、周術期および術後の抗菌薬使用などの感染予防戦略の比較はしていないことなどを研究の限界として挙げている。

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起動1秒【Dr. 中島の 新・徒然草】(265)

ニ百六十五の段 起動1秒脳外科の専門医試験のための勉強をしていた頃のことです。たぶん30年も昔のことになります。いつも勤務先の病院の図書室で勉強をしていました。毎日、出勤したら図書室に行って本を広げ、ノートを広げ、ワープロを立ち上げました。もちろん、勉強していたのは診療の合間です。帰る時には本やノートを片付け、ワープロを片付けてから部屋を後にしました。しかし、だんだん片付けるのが面倒になってきました。そしていつしか、まったく片付けずに帰るようになったのです。なので、図書室の一角は常に左右に受験勉強用の教科書の山。机の上にはノートがあり、正面にはワープロがあります。まるで旅客機のコクピットみたいなもの。毎回片付けをしなくなると、なぜかはかどりました。朝、出勤してスポッとコクピットにはまります。しばし勉強してから病棟に行って、一仕事。図書室に戻って勉強していると、今度は外来に呼ばれます。外来が一段落ついたら、再びコクピットに着座。そして勉強に疲れたら帰宅します。もちろん教科書やワープロを盗難される恐れは常にありました。ほかの図書室利用者からの苦情が出る可能性もあります。幸いなことに、どちらも経験せずに済みました。そして無事試験も終わり、コクピットも解体。今にして思うのは、できるだけノータイムで開始できるような環境を整えておくのがいいということです。教科書とノートを出してワープロを運んで立ち上げて…などと、たとえ5分間でも時間を取られてしまうと開始できません。そのままスポッ。さあ開始!このタイミング、このバリアの低さ。座ったら1秒でスタート。それが大切です。この方法は毎日すべき事すべてに応用できます。論文を書き上げるとか、血管吻合の練習をするとか、英語の勉強をするとか。ひょっとすると筋トレにもいいかもしれません。常に1秒スタート! これに尽きます。少なくとも私の場合はそうでした。ということで、「なるほど」と思った読者の皆さん。ぜひ、試してみてください。最後に1句コクピット 座れば即座に スタートだ

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第19回 スタチンに片頭痛の予防効果はあるか【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 スタチン系薬はコレステロールを降下させるための薬であることは言うまでもありませんが、片頭痛の予防にも有効なのではないかという説があります。脂質異常症も片頭痛も有病率が高いため、意図して、もしくは意図せずコレステロール値の高い片頭痛患者さんにスタチンが処方されていることもあるのではないかと思います。慢性頭痛の診療ガイドライン2013には、片頭痛発作が月に2回以上あるいは6日以上ある場合は片頭痛の予防療法を検討するという記載があり、第1選択薬としてバルプロ酸やトピラマートなどの抗てんかん薬、プロプラノロールやメトプロロールなどのβ遮断薬、アミトリプチリンなどの抗うつ薬が推奨されています(保険適用外含む)。予防療法の効果判定には少なくとも2ヵ月を要し、有害事象がなければ3〜6ヵ月継続し、コントロールが良好になれば薬を漸減・中止するというのがガイドラインの推奨です。私が調査した限りにおいては、現時点で日米英のガイドラインにスタチンについて特段の言及はありません。実際のところ、スタチンは片頭痛に有用なのでしょうか? 片頭痛が月6回以上生じる女性を対象に、プロプラノロール60mg群またはシンバスタチン20mg群に割り付け、比較したオープンラベルの試験では、いずれの群においても有効性が示されています。プラセボ効果が寄与した可能性も考慮しなければなりませんが、50%の頭痛発作減少のアウトカムを達成したのはプロプラノロール群で88%、シンバスタチン群で83%といずれも高率でした1)。またアトルバスタチンとプロプラノロールのランダム化比較試験でも、反復性片頭痛の予防効果は同等でした2)。二重盲検ランダム化比較試験もありますので紹介します。月に4日以上、反復性片頭痛がある成人患者57例をシンバスタチン20mg1日2回+ビタミンD3(コレカルシフェロール)1000IU群(実薬群)またはプラセボ群に割り付け、24週間フォローアップした研究です3)。なお、ビタミンDが併用されているのは、血漿中ビタミンD濃度が高いほうが、重度頭痛または片頭痛発作の発生が少ないという報告があるためです4)。この試験では、プライマリアウトカムとして、1ヵ月間に片頭痛を認めた日数のベースラインからの変化を観察しています。実薬群では、服用12週時点では8例(25%)で50%の頭痛発作減少のアウトカムが達成され、24週時点では9例(29%)で同様の結果が得られています。対して、プラセボ群ではそれぞれ1名(3%)のみでした。なお、以前から用いている片頭痛予防薬の使用は制限しておらず、有意差はなかったものの実薬群で予防薬の使用が多い傾向にあるので解釈に注意が必要です。また、24週以降は検討外であることから、長期的効果については判断できません。当初予定したサンプルサイズを下回る症例数で試験されていますが、実際の試験どおり介入群28例、プラセボ群29例の事後分析で85%の検出力(α=5%)ですので、症例数が増えればより確かなことが言えそうです。スタチンの抗酸化作用や抗炎症作用が片頭痛に影響かスタチンで頭痛が改善しうる理由の仮説として、スタチンのプレイオトロピック効果が挙げられています。スタチンには本来の脂質低下作用とは別に、抗酸化作用、血管内皮機能改善、血小板凝集抑制、血管の緊張や炎症の抑制など多面的な作用があるのではないかと考えられており、それがなんらかの形で片頭痛発作の減少に寄与したのかもしれないというものです。私が調査した限りにおいては、スタチンの種類によって効果が異なるのか、十分な根拠は見つけることができませんでした。いずれにしても、ビタミンD欠乏症だと片頭痛頻度が多いという説もありますから5)、まず十分な血清ビタミンD濃度が確保されているか確認することも大切です。あくまでもスタチンは片頭痛への効果を期待して処方されるものではありませんが、片頭痛の頻度に影響があるかもしれないということを知っていると、服薬指導で役に立つかもしれません。1)Medeiros FL, et al. Headache. 2007;47:855-856.2)Marfil-Rivera A, et al. Neurology. 2016;86:P2.2163)Buettner C, et al. Ann Neurol. 2015;78:970-981.4)Buettner C, et al. Cephalalgia. 2015;35:757-766.5)Song TJ, et al. J Clin Neurol. 2018;14:366-373.

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日本の再生医療を世界で勝たせるために/再生医療学会

 本年(2019年)3月に行われた第18回日本再生医療学会総会の中で、外科医でもある衆議院議員 厚生労働委員長の冨岡 勉氏は「再生医療を推進するために政治はどう取り組むべきか」と題して基調講演を行った。世界で戦える日本の再生医療 世界時価総額ランキング上位20社中、1989年における日本企業は14社を占めた。しかし、2018年その数はゼロ。ほぼ米・中の争いである。研究の活性化指標である論文数の国別順位と国別論文シェアをみると、ゲノム編集、免疫療法、核酸医薬などがんゲノムに関連のテーマでわが国は上位にあるものの、その分野でも1位は米・中である。 このような中、日本が世界で勝てる分野の1つが再生医療分野だ。日本の再生医療は、iPS細胞発生国としての高度な技術力、学術コミュニティの活発さ、先進的シーズの存在という強みがある。さらに、再生医療の実用化を促す再生医療推進法などの再生医療3法が2013年に成立し、わが国の再生医療の規制制度は欧米国も模するほど先進的なものとなった。これからの日本の再生医療の戦い このような状況の中、わが国の再生医療等製品の研究は活発化したが、商業的に世界をリードしているとは言えない。承認品目数は欧州の36、米国の21に対し、日本は4製品である。その売り上げはまだ10数億程度であり、世界に渡り合える状況ではない。ただ、開発品目については、現在19と欧米には水をあけられているものの、規制制度の改善などで大きく増加していくと期待される。現在の弱みは、欧米でみられる集中型細胞製造拠点の欠如、商用流通に耐え得る細胞バンクの脆弱性などだという。 日本の再生医療が、今後世界と戦っていくためには、再生医療分野における新規参入を促進する制度整備、細胞を大量調達できる制度整備、再生医療審査の迅速化、医療経済的観点からのアプローチ、融合研究開発を行う中核センターの確立が必要である。冨岡氏は参加者の協力を仰ぎつつ「国会議員連盟はそのために全力を尽くす」と結んだ。

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低リスク大動脈弁狭窄症に自己拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術リスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者に対して、自己拡張型supraannularバイオ人工弁による経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の施行は通常手術施行に対して、24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の複合エンドポイントについて非劣性であることが示された。米国・ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのJeffrey J. Popma氏らによる無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号で発表された。TAVRは、手術を受けた場合の死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者の、手術に変わる治療法とされている。これまで、手術リスクの低い患者のTAVR施行については明らかにされていなかった。手術リスクが低い患者についてTAVR vs.手術の無作為化試験 研究グループは、手術後30日時点の死亡リスクが低いとみなされた重症大動脈弁狭窄症患者において、TAVRの有効性および安全性を、手術の有効性および安全性と比較する検討を行った。適格患者を2群に割り付け、一方にはTAVRを、もう一方には手術を行った。被験者は、ベースライン、退院時、施術後1、6、12、18、24ヵ月時点で評価を受けた。 被験者850例が12ヵ月のフォローアップを受けた時点で、ベイズ法を用いて24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の主要複合エンドポイントに関する中間解析を行った。TAVRの手術に対する非劣性を確認 2016年3月28日~2018年11月27日に、オーストラリア、カナダ、フランス、日本、オランダ、米国の86施設で登録された1,468例が無作為化を受けた。そのうち1,403例(TAVR群725例、手術群678例)が施術を受け、解析治療コホートに包含された。被験者の平均年齢は74歳、女性は34.9%、手術リスクは全例で低く、両群間で有意な差はみられなかった。 事前規定の中間解析時点で、12ヵ月のフォローアップを受けていた被験者は、TAVR群432例、手術群352例だった。24ヵ月のフォローアップ完遂者はそれぞれ72例、65例で、各群のフォローアップ期間中央値は12.2ヵ月であった。 24ヵ月時点の主要エンドポイントの推定発生率はTAVR群5.3%、手術群6.7%であった(群間差:-1.4ポイント、群間差の95%ベイズ確信区間:-4.9~2.1、非劣性の事後確率>0.999)。 30日時点で、TAVR群は手術群と比べて、後遺障害を伴う脳卒中(0.5% vs.1.7%)、出血性合併症(2.4% vs.7.5%)、急性腎障害(0.9% vs.2.8%)、心房細動(7.7% vs.35.4%)の発生は低率であった。一方、中等症~重症大動脈弁閉鎖不全(3.5% vs.0.5%)、ペースメーカー植え込み施行(17.4% vs.6.1%)の発生は高率であった。 12ヵ月時点では、TAVR群は手術群よりも大動脈圧較差が小さく(8.6mmHg vs.11.2mmHg)、有効逆流弁口面積は大きいことが認められた(2.3cm2 vs.2.0cm2)。

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認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。 2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。入院前後3ヵ月間の処方薬は、各調剤薬局より収集し、退院時の処方はHospital Electronic Medical Records(EMR)より収集した。ACBは、Anticholinergic Cognitive Burden scoreを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,908例中、退院時に抗精神病薬を使用していた患者は37.0%(入院前:9.4%、入院後:12.6%)、抗コリン作用薬を使用していた患者は68.6%(入院前:49.1%、入院後:45.7%)であり、38.4%の患者のACBは、主に抗コリン作用を有する抗精神病薬の使用増加により、退院時の増加が認められた(退院時:33%、入院前:12%)。・退院時の抗精神病薬処方は、抗精神病薬による前治療(調整オッズ比[aOR]:4.85、95%CI:3.37~6.97)、精神状態(aOR:4.39、95%CI:3.47~5.54)、外科部門からの退院(aOR:2.17、95%CI:1.32~3.55)との関連が認められた。・ACBの増加は、精神状態(aOR:1.91、95%CI:1.52~2.39)、外科部門からの退院(aOR:1.75、95%CI:1.09~2.80)、内科部門からの退院(aOR:1.50、95%CI:1.04~2.17)、心不全(aOR:1.41、95%CI:1.00~1.99)との関連が認められた。 著者らは「認知症患者のACBは、退院時に高く、抗精神病薬の使用増加が主な原因であった。認知症高齢者を治療する際、臨床医は、抗精神病薬に関連するリスクとこれらの薬剤の中には抗コリン作用リスクを増加させる可能性があることを知っておく必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

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国内初のCAR-T「キムリア」が承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、2019年3月26日、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)の製造販売承認を取得した。 チサゲンレクルユーセルは、患者自身のT細胞を遺伝子導入により改変し、体内に戻すことで、CD19発現B細胞性の腫瘍(B-ALLとDLBCL)を認識して攻撃する新しいがん免疫細胞療法。チサゲンレクルユーセルによる治療は、継続的な投与を必要とせず、投与は一度のみとなる(単回投与)。 今回の承認は、再発または難治性のCD19陽性のB-ALLとDLBCLを対象とした、CAR-T細胞療法の国際多施設共同第II相試験(ELIANA試験、JULIET試験)の結果に基づいている。 再発または難治性のCD19陽性B-ALLの小児及び若年成人患者を対象としたELIANA試験では、主解析時点までに92例が登録され、75例がチサゲンレクルユーセルの投与を受けた。主要評価項目とされた全寛解率(完全寛解[CR]または血球数回復が不十分な完全寛解[Cri])は、中間解析時点で82.0%(41/50例)であった。また主解析時点で、寛解を達成した患者における寛解持続期間の中央値は未到達(追跡期間中央値9.92ヵ月)であり、持続した寛解が得られている。チサゲンレクルユーセルが投与された患者で高頻度に認められた副作用はサイトカイン放出症候群(CRS)(77%、58/75例)であり、重篤なCRSは63%(47/75例)に発現したが、死亡に至ったCRSはなかった。高頻度に認められたその他の副作用(承認時までの集計)は、低γグロブリン血症(39%)、発熱性好中球減少症(27%)、発熱、低血圧(各25%)、頻脈(24%)、脳症(21%)、食欲減退(20%)等であった。 それまでの治療に難治性あるいは、再発を繰り返して治療選択肢が限られた、再発または難治性のCD19陽性DLBCLの成人患者を対象としたJULIET試験では、追加解析時点までに165例が登録され、111例がチサゲンレクルユーセルの投与を受けた。主要評価項目とされた奏効率(完全奏効[CR]または部分奏効[PR])は、中間解析時点で58.8%(30/51例)であった。また、奏効が得られた患者における奏効持続期間の中央値は未到達(追跡期間中央値13.9ヵ月)であり、持続した奏効が得られている。チサゲンレクルユーセルが投与された患者で高頻度に認められた副作用は、CRS(58%、57/99例)であり、重篤な事象のCRSは29%(29/99例)に発現したが、死亡に至ったものはなかった。高頻度に認められたその他の副作用(承認時までの集計)は、発熱(25%)、低血圧(21%)等であった。 チサゲンレクルユーセルの治療を行う医療機関は、白血球アフェレーシスによる患者の細胞の採取、細胞の調製・凍結、同薬投与後に起こるサイトカイン放出症候群(CRS)や神経系事象といった副作用の管理などを綿密に行うことができる医療機関に限られる。また、今回の承認にあたって、厚生労働省より「緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍及び造血幹細胞移植に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本品を使用すること」との承認条件が付与されており、今後、より具体的な要件が示される。 チサゲンレクルユーセルは、2017年8月、米国において、小児および若年成人の再発・難治性B-ALLを適応症として、初めて承認を取得したCAR-T細胞療法であり、2018年5月に2つ目の適応症である成人のDLBCLに対する承認を取得した。また、2018年8月、欧州において、小児・若年成人のALLおよび成人のDLBCLに対する販売承認を取得した。その後、カナダ、スイス、オーストラリアでも同様の適応で承認を取得している。

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ACS発症またはPCI施行のAF患者、アピキサバンは有益か/NEJM

 直近に急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けP2Y12阻害薬を投与される心房細動患者において、アピキサバン(商品名:エリキュース)を含む抗血栓療法(アスピリンは非併用)は、ビタミンK拮抗薬+アスピリン療法またはアスピリン単剤療法と比べて、出血および入院が減少し、虚血イベントの発生において有意差はみられないことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らによる2×2要因デザイン法の国際多施設共同無作為化試験「AUGUSTUS試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号で発表された。ACS発症またはPCIを受けた心房細動患者に対し、適切とされる抗血栓療法は明確にはなっていない。大出血または臨床的に重要な非大出血を主要アウトカムとして検証 試験では、ACS発症またはPCIが施行され、P2Y12阻害薬服用が予定されている心房細動患者を、アピキサバンまたはビタミンK拮抗薬の投与を受ける群、およびアスピリンまたは適合プラセボの投与を受ける群に無作為化し6ヵ月間治療した。 主要アウトカムは、大出血または臨床的に重要な非大出血とした。副次アウトカムは、死亡、入院、および複合虚血イベントなどであった。アピキサバンのビタミンK拮抗薬に対する主要アウトカムの発生ハザード比は0.69 33ヵ国から4,614例が登録された。主要または副次アウトカムに関して、2つの無作為化要因間に有意な相互作用はみられなかった。 大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は、アピキサバン群10.5%、ビタミンK拮抗薬群14.7%であった(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、非劣性および優越性ともにp<0.001)。アスピリン群は16.1%、プラセボ群は9.0%であった(HR:1.89、95%CI:1.59~2.24、p<0.001)。 アピキサバン群の患者はビタミンK拮抗薬群よりも、死亡および入院の発生率が低率であった(23.5% vs.27.4%、HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.002)。虚血イベントの発生率は同程度であった。 なおアスピリン群の患者の死亡、入院および虚血イベントの発生率は、プラセボ群と同程度であった。

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024)意外と多い、乳房下の皮膚トラブル【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第24回 意外と多い、乳房下の皮膚トラブルしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、高齢者でよく見かける皮膚トラブルについて描きました。高齢者の皮膚トラブルは、爪白癬、皮脂欠乏性湿疹、褥瘡、おむつ皮膚炎などさまざまですが、意外とあるのが“乳房下の間擦疹”。間擦疹とは、乳房下や腋窩など、皮膚がくっついてこすれる部分(間擦部)に起こる皮疹のことです。一般的には高温多湿の夏に起こりやすく、とくに肥満や多汗症の人によく見られます。老人性円背の方にも多く、“やっとの思いで間擦部を広げて診察をする”といったパターンも少なくありません。お胸の大きさにかかわらず起こりうる疾患ですが、とくにお胸のたわわな方は間擦部も広いため、症状が広範囲にわたってしまいます(大きなお胸の思わぬ罠…!?)。こうした乳房下の間擦疹。紅斑を見たときにまず考えたいのが、真菌感染の有無。蒸れる間擦部では真菌感染が起こりやすいため、必ず顕微鏡検査をして、真菌がいないことを確認したうえでステロイド軟膏の外用を行います(真菌が確認されたら、抗真菌薬の外用を行います)。いずれにしても、患部を乾燥した状態に保つことが必要なため、亜鉛華軟膏の重層塗布や、ガーゼを挟み込むなどの方法で、間擦部の乾燥を促すことも大切です。高齢者に意外と多い、乳房下の間擦疹についてでした。それでは、また~!

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第12回 緊急度が高い?歩くと息が切れる、夜中に目が覚める高血圧患者1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

前回は循環不全・ショックのお話でした。今回の症例は高血圧です。高血圧の患者さんは多くの場合、緊急度は高くありません。しかし、なかには緊急度の高い高血圧も存在します。今回のポイントは「自覚症状があり緊急度の高い高血圧」です。患者さんCの場合◎経過──188歳、男性。過去に心筋梗塞を繰り返し、「心臓の機能は悪いですよ」と医師から言われています。杖歩行が可能で気丈な方ですが、家族が心配して、85歳時から訪問診療を受けています。本日、あなたが訪問すると、いつものように元気に笑顔で出迎えてくれました。「今日も調子はバッチリですよ。ほら、こんなに元気です」「よかったですね」と薬を渡し、血圧を測ると、160/90mmHgでした。「少し高めですね。医師とも相談してみましょう」そう言って、次のお宅に向かおうとすると、玄関で奥様から「最近歩くと息切れがあるみたいです。夜中に苦しくなって起きることもあるみたいで...、まあ、顔もふっくらして体重が少し増えたみたいですから、元気な証拠なのでしょうか...」そのお宅をあとにしたあなたは、今日の出来事をかかりつけ医に連絡しておきました。高血圧の原因高血圧症は「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。高血圧症の中でもはっきりとした原因(基礎疾患)がないものを本態性高血圧といい、高血圧症の約90%がこれにあたります。塩分の過剰摂取・運動不足・肥満・ストレスや遺伝的な要因が関与しているといわれています。それに対して、原因となる疾患が存在する高血圧症は二次性高血圧と呼ばれます。その主な疾患を表1に示します。二次性高血圧ではその基礎疾患によって何らかの症状を自覚することがあります。今回の患者さんは、以前入院していた時に二次性高血圧は否定され、本態性高血圧であることがわかっていました。画像を拡大する

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日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。 日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。アンケート内容は、人口統計(年齢、性別など)、スマートフォンの所持、インターネット利用(平日と週末のインターネット利用時間、お気に入りのソーシャルネットワーキングサービス[SNS]など)、Youngのインターネット中毒テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、日本語に翻訳したSAS-SVで構成された。 主な結果は以下のとおり。・アンケート回答者数は、573例(男性:180例、女性:393例)であった(平均年齢:19.3±1.3歳)。・最も人気のあったソーシャルメディアプラットフォームは、LINE(52.0%)であり、次いでTwitter(36.3%)であった。・総IATスコアは、45.3±13.2であり、4.5%が重度(IAT:70以上)であった。・平均SAS-SVスコアは、男性で24.4±10.0、女性で26.8±9.9であった。・カットオフスコアに基づきスマートフォン中毒陽性であったのは、男性の22.8%、女性の28.0%であった。・SAS-SVとIATの合計スコアに相関が認められた。 著者らは「スマートフォンユーザーの増加に伴い、スマートフォン使用に関連する問題も深刻となる。日本語版SAS-SVは、スマートフォン使用の問題を早期発見するために役立つ可能性がある」としている。■関連記事日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスクスマホ依存症になりやすい性格タイプ日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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低侵襲血腫除去+血栓溶解、脳内出血の予後を改善するか/Lancet

 30mL以上の脳内出血の治療において、MISTIEと呼ばれる画像ガイド下経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチは、標準治療と比較して1年後の機能的アウトカムを改善しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F. Hanley氏らが行ったMISTIE III試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年3月9日号に掲載された。テント上脳出血による急性脳卒中は、合併症や死亡のリスクが高い。本症への開頭術による血腫除去は有益でないことが、大規模な無作為化試験で示されている。約500例対象に試験、1年後のmRSスコアを評価 研究グループは、低侵襲性の経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチ(MISTIE)の、脳内出血患者の機能的アウトカムの改善効果を検証する目的で、非盲検エンドポイント盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(米国国立神経疾患・脳卒中研究所とGenentech社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上の非外傷性テント上脳内出血(30mL以上)の患者であった。被験者は、血腫の大きさ15mL以下を目標に画像ガイド下MISTIEを施行する群、または標準治療群に無作為に割り付けられた。MISTIEの血栓溶解療法は、アルテプラーゼ1.0mgを8時間ごとに最大9回投与することとした。 主要アウトカムは良好な機能的アウトカムとし、365日時の修正Rankinスケール(mRS)のスコアが0~3と定義され(事前に規定されたベースラインの共変量で補正)、修正intention to treat(mITT)解析が行われた。 2013年12月~2017年8月の期間に、北米、欧州、オーストラリア、アジアの78施設で506例が登録され、499例(MISTIE群:250例、標準治療群:249例)がmITT解析に含まれた。365日mRS 0~3達成率:45% vs.41% ベースラインの全体の年齢中央値は62歳(IQR:52~71)、61%が男性であった。血腫の部位は、大脳基底核が307例(62%)、lobar regionが192例(38%)で、脳内の血腫量は41.8mL(IQR:30.8~54.5)であり、グラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアは10(8~13)、NIH脳卒中尺度(NIHSS)は19(15~23)だった。 mITT解析による365日時のmRS 0~3の達成率は、MISTIE群が45%、標準治療群は41%と、両群間に有意な差を認めなかった(補正リスク差:4%、95%信頼区間[CI]:-4~12、p=0.33)。 7日時の死亡率は、MISTIE群が1%(2/255例)、標準治療群は4%(10/251例)であり(p=0.02)、30日時はそれぞれ9%(24例)、15%(37例)であった(p=0.07)。 症候性脳出血(MISTIE群2% vs.標準治療群1%、p=0.33)および脳細菌感染(1% vs.0%、p=0.16)の発生はいずれも同等であったが、無症候性脳出血はMISTIE群で有意に多かった(32% vs.8%、p<0.0001)。また、30日時までに1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、それぞれ30%(76例)、33%(84例)であり、件数は126件、142件と、有意な差がみられた(p=0.012)。 著者は、「これらの知見は、血腫量15mL以下の達成に、より重点を置いたうえで、MISTIE技術のさらなる検討を求めるものである」としている。

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リファンピシン耐性結核に短期レジメンが有望/NEJM

 リファンピシン耐性結核の治療において、高用量モキシフロキサシンを含む9~11ヵ月の短期レジメンは、2011年のWHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヵ月)に対し、有効性が非劣性で安全性はほぼ同等であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew J. Nunn氏らが実施したSTREAM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月13日号に掲載された。バングラデシュのコホート研究では、多剤耐性結核患者において、2011年のWHOの推奨治療よりも治療期間が短いレジメンを用いた既存薬の投与により、有望な治癒率が得られたと報告されている。アフリカとアジア4ヵ国の非劣性試験 本研究は、多剤耐性結核の治療における、バングラデシュ研究と類似の短期レジメンの、2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメンに対する非劣性を検証する無作為化第III相試験である(米国国際開発庁[USAID]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、フルオロキノロン系およびアミノグリコシド系抗菌薬に感受性で、リファンピシン耐性の肺結核患者であった。被験者は、高用量モキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11ヵ月)または2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメン(20ヵ月)を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは132週時の「良好な状態」とした。その定義は、132週時の培養および試験期間中の培養でMycobacterium tuberculosisが陰性で、不良なアウトカム(割り付けレジメンに含まれない2剤以上による治療の開始、許容期間を超える治療の延長、死亡、直近の2つの検体のうち1つで培養陽性、76週以降の受診がない)を認めないこととした。群間差の95%信頼区間(CI)上限値が10%以下の場合に、非劣性と判定した。 2012年7月~2015年6月の期間に、424例(エチオピア:126例、モンゴル:33例、南アフリカ共和国:165例、ベトナム:100例)が割り付けの対象となり、383例(短期レジメン群:253例、長期レジメン群:130例)が修正intention-to-treat(mITT)解析に含まれた。mITT集団の主要アウトカム:78.8% vs.79.8% ベースライン時に全体の32.6%でHIV感染が、77.2%でcavitationが認められた。治療期間中央値は、短期レジメン群が40.1週(5パーセンタイル値37.0、95パーセンタイル値46.3)、長期レジメン群は82.7週(72.1、102.3)だった。 mITT解析による主要アウトカムは、短期レジメン群が78.8%(193例)、長期レジメン群は79.8%(99例)に認められ、HIV感染で補正した群間差は1.0(95%CI:-7.5~9.5)であり、非劣性が示された(非劣性:p=0.02)。また、per-protocol集団(321例)においても、短期レジメン群の長期レジメン群に対する非劣性が確認された(補正群間差:-0.7%、95%CI:-10.5~9.1、非劣性:p=0.02)。 Grade3~5の有害事象は、短期レジメン群が48.2%、長期レジメン群は45.4%に、重篤な有害事象は、それぞれ32.3%、37.6%にみられた。8.5%、6.4%が死亡した。 短期レジメン群で、QT間隔または補正QT間隔(Fridericia法で補正)の500msecまでの延長が多く認められたため(11.0% vs.6.4%、p=0.14)、厳重なモニタリングとともに、一部の患者では投薬の調整が行われた。フルオロキノロン系またはアミノグリコシド系抗菌薬への獲得耐性が、短期レジメン群の3.3%(8例)、長期レジメン群の2.3%(3例)にみられた(p=0.62)。 著者は、「今回の結果は有望だが、多剤耐性結核の治療では、薬剤感受性結核と同等の有効性と安全性をもたらす短期の簡便なレジメンを見つけ出すことが、依然として重要である」としている。

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