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20062.

レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

 レビー小体型認知症(DLB)およびアルツハイマー型認知症(AD)における生存率を比較するため、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのChristoph Mueller氏らは、縦断的研究のエビデンスを総合的に評価した。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年1月6日号の報告。 臨床的にレビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症と診断された患者の生存率を比較した研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。2018年5月までの縦断的コホート研究を、主要な電子データベースよりシステマティックに検索した。生存期間および相対死亡リスクを算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。レビー小体型認知症の生存期間はアルツハイマー型認知症より1.60年短かった レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症における生存率を比較した主な結果は以下のとおり。・11研究より認知症患者2万2,952例が抽出された。内訳は、DLB患者2,029例(診断時平均年齢:76.3歳、女性の割合:47%)、AD患者2万923例(診断時平均年齢:77.2歳、女性の割合:65.1%)であった。・診断からの平均生存期間は、DLB患者で4.11年(SD:±4.10)、AD患者で5.66(SD:±5.32)であり、DLB患者の生存期間は、1.60年(95%CI:-2.44~-0.77)相当短かった(p<0.01)。・DLB患者では、AD患者と比較し、相対死亡リスクが1.35(95%CI:1.17~1.55)増加した(p<0.01)。・生存期間の差とフォローアップ期間、診断時年齢、性別、認知症スコアとの関連は認められなかった。 著者らは「DLB患者は、AD患者と比較し、死亡率が高く生存期間が短いという一貫したエビデンスが認められた。このことはすべての利害関係者にとって重要であり、DLB研究拡大の重要性を示唆している」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

20063.

自殺率の世界的傾向は/BMJ

 自殺による年齢調整死亡率は、1990年以降、世界的に大幅に減少しているが、依然として死亡の重大な寄与因子であり、地域や性別、年齢別に変動がみられることが、米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らGlobal Burden of Disease Self-Harm Collaboratorsの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年2月6日号に掲載された。自殺は、世界中で公衆衛生上の関心事となっている。世界保健機関(WHO)の報告によれば、毎年、世界で約80万人が自殺で死亡しており、女性や中年成人に比べ、男性、若年成人、高齢者の自殺率が高いという。GBD 2016のデータで自殺死亡のパターンと経時的傾向を解析 研究グループは、2016年の世界疾病負担研究(Global Burden of Disease Study 2016:GBD 2016)のデータを用いて、世界の自殺死亡のパターンを評価し、1990~2016年の経時的な傾向を系統的に解析した(Bill and Melinda Gates Foundationの助成による)。 自殺による粗死亡率と年齢調整死亡率、および損失生存年数を、195の国と地域において年齢別、性別、社会人口統計学的指標(総出生率、1人当たりの所得、教育年数の統合指標)の差に基づいて算出した。年齢調整自殺死亡率は27年間で約3分の2に、女性の減少率が高い 自殺による死亡は、1990~2016年の27年間に世界で6.7%(95%不確定区間[UI]:0.4~15.6%)増加し、2016年には81万7,000人が自殺死したが、年齢調整自殺死亡率は32.7%(27.2~36.6%)減少しており、これは全死因による年齢調整死亡率の低下(30.6%)とほぼ同等の数値であった。 自殺は、高所得アジア太平洋地域における年齢調整損失生存年数の最も重要な原因であった。また、東欧、中欧、西欧、中央アジア、オーストララシア、ラテンアメリカ南部、高所得北米地域では、自殺は年齢調整損失生存年数の主要な原因の上位10位以内に入っていた。 15~19歳を除き、地域、国、年齢にかかわらず、男性が女性よりも自殺死亡率が高かった。また、自殺死亡率の男性に対する女性の比率にはばらつきがみられたが、社会人口統計学的指標が低い集団ほど、女性の比率が高い傾向がみられた。女性の自殺死亡率は、1990年との比較で2016年に49.0%(95%[UI]:42.6~54.6%)減少し、男性の23.8%(15.6~32.7%)に比べ減少率が高かった。 著者は、「自殺という公衆衛生上の継続的な懸案事項に対処するには、地域および国の状況に高い感度を示す効果的な介入のエビデンスを構築するための研究を続けねばならない」としている。

20064.

緑内障の新しい治療薬、その効果は?

 米国・コロラド大学のMalik Y. Kahook氏は、高眼圧患者を対象としたランダム化二重盲検比較試験において、netarsudil点眼液0.02%1日1回投与は、大部分の患者において、12ヵ月にわたり眼圧(IOP)低下効果を示し、忍容性も良好であることを示した。netarsudilは、Rhoキナーゼ(ROCK)およびノルエピネフリントランスポーター(NET)の両者を阻害する新しい緑内障治療薬。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年1月14日号掲載の報告。 研究グループは、開放隅角緑内障(OAG)および高眼圧症(OHT)に対するnetarsudil点眼液0.02%の有効性および安全性を評価する多施設共同ランダム化二重盲検非劣性試験を行った。 対象は、OHT患者756例で、前治療薬のウォッシュアウト後、netarsudil点眼液0.02%1日1回投与群(251例)、netarsudil点眼液0.02%1日2回投与群(254例)、またはチモロール点眼液0.5%1日2回投与群(251例)に無作為に割り付け、12ヵ月間投与した。同様に、渦状角膜を呈している患者に対する非介入研究Corneal Observation Study(COS)も行った。 主な結果は以下のとおり。・治療により、午前8時に評価した平均IOPは、ベースラインの22.5~22.6mmHgから12ヵ月間低下し、netarsudil点眼液0.02%1日1回投与群:17.9~18.8mmHg、netarsudil点眼液0.02%1日2回投与群:17.2~18.0mmHg、チモロール点眼液0.5%1日2回投与群:17.5~17.9mmHgであった・主な有害事象(AE)は眼症状で、最も頻度が高かったのは結膜充血だった。発現率はそれぞれ61%、66%、14%であった。次いで角膜への沈着(渦状角膜)は、それぞれ26%、25%、1%、結膜出血(点状出血)は、それぞれ20%、19%、1%であった。・試験期間中、これら3つのAEは散発的に発生したが、いずれも軽度であった。・本試験の一部として行った非介入研究によると、渦状角膜による視機能への影響はなかった。

20065.

市中肺炎に新規抗菌薬、第III相試験の結果/NEJM

 omadacyclineは、1日1回の静脈内または経口投与が可能な新規アミノメチルサイクリン系抗菌薬。ウクライナ・City Clinical Hospital #6, ZaporizhzhiaのRoman Stets氏らOPTIC試験の研究グループは、本薬が市中細菌性肺炎の入院患者(ICUを除く)へのempirical monotherapyにおいて、モキシフロキサシンに対し非劣性であることを示し、NEJM誌2019年2月7日号で報告した。omadacyclineは、肺組織で高濃度に達し、市中細菌性肺炎を引き起こす一般的な病原菌に対し活性を発揮するという。早期臨床効果を評価する無作為化非劣性試験 本研究は、欧州、北米、南米、中東、アフリカ、アジアの86施設が参加し、2015~17年の期間に実施された、第III相二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性試験である(Paratek Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、4つの症状(咳嗽、膿性痰産生、呼吸困難、胸膜痛)のうち3つ以上がみられ、2つ以上のバイタルサインの異常、1つ以上の市中細菌性肺炎に関連する臨床徴候または検査所見があり、画像所見で肺炎が確認され、Pneumonia Severity Index(PSI、クラスI~V、クラスが高いほど死亡リスクが高い)のリスクがクラスII(割り付け患者の15%以下に制限)、III、IVの患者であった。 被験者は、omadacycline群(100mgを12時間ごとに2回静脈内投与し、以降は100mgを24時間ごとに投与)またはモキシフロキサシン群(400mgを24時間ごとに静脈内投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。3日間静脈内投与を行った後、それぞれomadacycline経口投与(300mgを24時間ごと)およびモキシフロキサシン経口投与(400mgを24時間ごと)への移行を可とした。総投与期間は7~14日であった。 主要エンドポイントは、早期臨床効果(救済抗菌薬治療を受けず、72~120時間の時点で上記の4つの症状のうち2つ以上が改善し、症状が増悪せずに生存していることと定義)とされた。副次エンドポイントは、最終投与から5~10日後の投与終了後評価時の担当医評価による臨床効果(徴候または症状がそれ以上の抗菌薬治療が不要な程度にまで消失または改善することと定義)であった。非劣性マージンは、10ポイントとされた。主要・副次エンドポイントとも非劣性示す intention-to-treat(ITT)集団として、omadacycline群に386例(年齢中央値:61歳[範囲19~97]、>65歳:39.4%、男性:53.9%)、モキシフロキサシン群には388例(63歳[19~94]、44.3%、56.4%)が割り付けられた。 ベースライン時に、ITT集団の49.9%で市中肺炎の原因菌が同定された。M. pneumoniae(33%)の頻度が最も高く、次いでS. pneumoniae(20%)、L. pneumophila(19%)、C. pneumoniae(15%)、H. influenzae(12%)の順だった。 早期臨床効果の達成率は、omadacycline群が81.1%、モキシフロキサシン群は82.7%と、omadacyclineのモキシフロキサシンに対する非劣性が示された(差:-1.6ポイント、95%信頼区間[CI]:-7.1~3.8)。また、投与終了後評価で担当医が臨床効果ありと評価した患者の割合は、それぞれ87.6%、85.1%であり、omadacyclineの非劣性が確認された(差:2.5ポイント、95%CI:-2.4~7.4)。 投与開始後に発現した有害事象は、omadacycline群が41.1%、モキシフロキサシン群は48.5%と報告された。治療関連有害事象(治療割り付け情報を知らされていない医師が判定)は、それぞれ10.2%、17.8%に認められた。重篤な有害事象はそれぞれ6.0%、6.7%にみられた。 消化器系の有害事象の頻度が最も高く(それぞれ10.2%、18.0%)、発現率の差が最も大きかったのは下痢(1.0%、8.0%)で、このうちモキシフロキサシン群の8例(2.1%)はClostridium difficile感染によるものであった。12例(8例、4例)が試験中に死亡し、すべて65歳以上の患者であった。 著者は、「本試験で得られたomadacyclineの定型および非定型呼吸器病原菌に対する抗菌スペクトルや、他の抗菌薬との交差耐性がないなどの知見は、抗菌薬耐性が増加している時代の市中細菌性肺炎の治療における本薬の潜在的な役割を示唆する」としている。

20066.

第2世代ハイドロゲルコイルの実力は? プラチナコイルとの比較

 脳動脈瘤に対するハイドロゲルコイルを用いた血管内塞栓術は、プラチナコイルに比べ再開通率こそ低いものの (HELPS試験)、使い勝手は必ずしも良くなかったという。第2世代ハイドロゲルコイルは操作性が改善されているとされるが、再開通率は同じように良好だろうか―。2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、この点を検討すべく行われたランダム化試験 “HEAT”が報告された。その結果、第2世代ハイドロゲルコイルも再開通率はプラチナコイルより低く、有害事象には差がないことが明らかになった。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Bernard R. Bendok氏(メイヨー・クリニック、米国)が報告した。1次評価項目ではハイドロゲルコイル群が有意に低値 HEAT試験の対象は、径:3~14ミリメートルの動脈瘤を認めた18~75歳の600例である。Hunt and Hess分類のGrade IV以上の例は除外されている。 年齢中央値は57歳、約80%を女性が占めた。また約70%が非破裂瘤だった。 これら600例は、プラチナコイル群(303例)と第2世代のハイドロゲルコイル群(297例)にランダム化され、オープンラベルで追跡された。評価項目を画像所見から解析するのは、割り付け群を盲検化された研究者である。 その結果、1次評価項目である18~24ヵ月後の再開通率(Raymondスコア評価)は、プラチナコイル群の15.4%に対し、ハイドロゲルコイル群では4.4%で、有意に低値となった(p<0.001)。この傾向は、非破裂瘤、破裂瘤を問わず認められた。 Meyer’sスケールを用いて評価しても同様で、ハイドロゲルコイル群の再開通率は13%と、プラチナコイル群の27%よりも有意に低かった(p<0.001)。なお、再開通を「major」(Meyer’sスケール3以上)と「minor」(同1〜2)に分けて比較したところ、ハイドロゲルコイル群では「major」再開通が有意に減少しただけでなく(12.8% vs.20.7%、p=0.016)、「minor」再開通も有意に抑制されていた(1% vs.5%、p=0.004)。complete occlusion例の推移 興味深いのは、“complete occlusion”を認めた例の推移である。留置直後の割合は、プラチナコイル群が28%と、ハイドロゲルコイル群の18%に比べ有意に高値だったものの、留置12~24ヵ月後にはプラチナコイル群の51%を、ハイドロゲルコイル群が68%と上回っていた(p値不明)。 コイル・手技関連の有害事象に群間差はなく、死亡率もプラチナコイル群:3%、ハイドロゲルコイル群:2%で差はなかった。また修正Rankinスケールの分布も、両群で同様だった。QOLは両群とも有意に改善し、群間差は認められなかった。 本試験は、MicroVentionから資金提供を受けた米国・ノースウェスタン大学とメイヨー・クリニックにより、両施設の独立した指揮下で行われた。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

20067.

ハイリスク症例に絞って検討していたらどうだったのだろうか?(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)-1005

 急性心筋梗塞においては、急性期緊急PCIが導入される前の院内死亡率は20%を超えていたが、PCIが導入されて以降、ほぼ確実に心表面の責任冠動脈を再灌流させることが可能となり、この疾患による急性期の死亡率は6%程度にまで劇的に改善した。しかし、昨年のCenko Eらによる報告でも、primary PCIを受けた群での急性期の死亡率は4%前半であり(JAMA Intern Med. 2018)、それ以上の目覚ましい改善は見られていない。微小循環障害の改善ができないことによって引き起こされると考えられる、急性期、慢性期の合併症の予防は、現在も解決できておらず、この問題が急性心筋梗塞のさらなる死亡率の改善を阻んでいるのではないかと考えられている。 微小循環障害には、distal embolization、再灌流障害、心筋浮腫などの機序が想定されている。このうちMcCartney PJらによる本論文では、手技中に冠動脈に由来するdistal embolizationを機序とした微小循環閉塞に着目し、PCIに低用量のアルテプラーゼを追加することで、これを予防することができるのか?という疑問を検証した。主要アウトカムは、試験開始後2~7日にコントラスト強調心臓MRIで評価した微小血管閉塞量(左室心筋体積に対する割合)が設定されたが、結果、手技中の20mg冠動脈内投与群とプラセボ群の間にも(3.5% vs.2.3%、p=0.32)、10mg冠動脈内投与群とプラセボ群の間にも(2.6% vs.2.3%、p=0.74)有意差は見られなかった。MACEはプラセボ群で10.1%、10mg投与群で12.9%、20mg投与群で8.2%であった。 これらの結果から、術中のアルテプラーゼ冠動脈投与の有用性は見られなかったというのが結論である。筆者らの問題意識については理解しつつも、評者らには微小循環障害を起こす可能性の高いハイリスク症例を選択的に検討するという方針がなかったことに不満が感じられた。 現状で急性心筋梗塞に対するPCI中の末梢塞栓を機序とした微小循環障害を予防する主な手段として概論すると、(1)本論文で論じられたアルテプラーゼなどによるfibrinolytic therapy、(2)血小板表面受容体のglycoprotein IIb/IIIaに対する特異的抗体であるabciximab、(3)血栓吸引デバイス、(4)末梢保護デバイスなどがある。現実には、これらの組み合わせの治療が現場では行われているため、本論文で検討されたfibrinolytic therapyに限定して論じることには無理があるので、やや長くなるが、以下これらを包括して概論してみたい。 末梢保護デバイスに関して評者らがここで強調したいのは、2005年のEMERALD試験から昨年のVAMPIRE 3試験に至るまでの流れである。これらの試験も同様に、手技中の冠動脈から由来するdistal embolizationを抑制することを念頭に、末梢保護デバイスの有用性を検討した試験である。以前、Stone GWらはSTEMIに対してルーチンで血栓吸引や末梢保護デバイスを使用して、有用性が得られなかったことを示した(EMERALD試験:JAMA. 2005)。この試験を根拠に、現行のガイドラインでは末梢保護デバイスのルーチンでの使用が推奨になっていない。 しかし一方では、Grube Eらは大伏在静脈グラフト(SVG)に対するPCIを対象とした試験で、末梢保護デバイスの有用性を示している(Am J Cardiol. 2002)。臨床的には、このようなno-reflow現象のハイリスク症例を選択して末梢保護デバイスを使用する有用性は、この間も認識されていた。とくに本邦では、各種imaging deviceの使用率が高いために、no-reflow現象のハイリスク症例を選択して末梢保護デバイスを使用する意義や有用性が認識されていたと思われる。 このような中で、横浜市立大学の日比 潔氏らによるVAMPIRE 3試験で、attenuated plaqueが5mm以上の長さにわたって存在する症例では、末梢保護デバイスが有用であることが報告された(JACC:Cardiovascular Intervention 2018)。この試験では、末梢保護デバイスを使用した群で、no-reflow現象の発生が有意に低く(26.5% vs.41.7%、p=0.026)、再灌流後のcorrected TIMI frame countが有意に低く(23 vs.30.5、p=0.0003)、再灌流後の心臓死、除細動/蘇生/ECMOの使用を要する心停止、心原性ショックの発生を有意に減じた(0% vs.5.2%、p=0.028)。 デバイスの使用の可否を画一的に判断するのではなく、ハイリスク症例を慎重に選択したうえで使用して合併症や有害事象を抑制するという判断は、われわれインターベンション医として臨床的に日常行っているところであり、これを裏付ける、非常に臨床の現状に即したデザインと結果である、というのが評者らの感想である。 この流れを振り返ると、McCartney PJらによる報告には、こうしたimaging deviceに関する記載はないことからも、アルテプラーゼによるfibrinolytic therapyにも、今後ハイリスク症例を選択して投与することで有用性が見いだされる可能性は十分にあるのではないかと考えられる。 glycoprotein IIb/IIIaに対する特異的抗体であるabciximabは、本邦では未承認だが、LAD近位部から中間部のSTEMIに対して、abciximab冠動脈内投与と血栓吸引デバイスの有用性を検討した研究が、2012年に前出のStone GWらから報告されている。この報告では、abciximab冠動脈内投与群と非投与群で有意差を観察したものの(15.1% vs.17.1%、p=0.03)、血栓吸引デバイスには有意差がなかった(17.0% vs.17.3%、p=0.51)。 これらの結果を踏まえると、インターベンション医が急性心筋梗塞の患者を目の前にして、PCI手技に際する微小循環閉塞を予防し、急性期、慢性期の予後を改善するためにできることは、まず必ずimaging deviceを用いてハイリスク症例を認識することである。本邦では残念ながらabciximabは使用できないが、その代わりimaging deviceをルーチンで使用可能である。ハイリスク症例であれば、末梢保護デバイスをはじめとした可能な手段を講じることが肝要で、決して不十分なアセスメントのもとに治療を開始してはいけない、と評者らは考えている。 ちなみに、前述のVAMPIRE 3試験に対して同誌にletter to the editorの項で出された反論は、そもそも末梢保護デバイスは世界的にみて“common”ではない、IVUSをみる前に行う血栓吸引やバルーン拡張でプラーク形態が変わるので評価はできない、などのやや感情的な内容であった。欧米では術前CTや術中imaging deviceに関して本邦ほど寛容ではない印象があり、PCIに関する臨床研究やそれらを根拠としたガイドラインも、その傾向は否めない。「ガイドライン」に準じて、すべての症例に画一的に末梢保護デバイスは意味がない、と切り捨てていたとすれば、これは誤りであったことをVAMPIRE 3試験が示している。 ACSに限らず待機的症例を含めたすべてのPCIにおいて、画一的に治療法やデバイスを選択するのではなく、症例ごとに可能なアセスメントを行い、症例ごとに最適な方法やデバイスを選択することが肝要である。当院でも可能な限り、そのような方針のもとで治療に当たっているのが現状である。

20068.

砂に生き埋めになった少年【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第133回

砂に生き埋めになった少年 いらすとやより使用 タイトルだけ読むと、想像したくないおぞましい事件を想起してしまいます。 井上貴博ら.生き埋めによる砂利気管支異物の1例.耳鼻咽喉科展望1994;37:644-648.これは事件ではなく、事故の報告です。1991年8月28日午後4時ごろに、6歳の男の子が砂利山に落ちてしまい、生き埋めになりました。すぐに救出されたのですが、呼吸器症状があったため病院を受診しました。胸部レントゲン写真では右気管支に小石のような異物が疑われました。つまり、砂利山に落ちて生き埋めになってしまったときに気管支に入ってしまったのかもしれません。調べてみると、耳や胃や気管支に大量の砂利があるではありませんか。かなりの量です。気管支鏡を行い、丁寧に砂利を除去し、洗っては回収するという気の遠くなるような作業が続けられました。4時間かけて、取り切れるだけ取りました。胸部レントゲン写真ではまだ少し気管支に砂利が残っていたのですが、バイタルも安定していたのでいったん処置終了となりました。さすが6歳、摘出不能だった残存砂利は、処置翌日から順次喀出されたそうです。この症例報告を見ると、流砂ってコワイなと思います。ちなみに流砂は擬塑性流体なので、振動を加えると流動性が増します。すなわち、もがけばもがくほど沈んでいくのです。立っている限りは沈み込む危険性は低いので、無理せずに助けを呼ぶようにしましょう。

20069.

高齢者HER2陽性乳がんに、安全かつ有効な化学療法を…JCOG1607(HERB TEA)【Oncologyインタビュー】第1回

抗HER2療法によってHER2陽性乳がんの生命予後は大きく改善した。しかし、高齢者のHER2陽性乳がんに対するエビデンスは少ない。そのような中、高齢の進行HER2陽性乳がんに対する毒性の軽い、新たな1次治療としてのTDM-1を評価するHERB TEA (JCOG1607)Studyが開始された。HERB TEA Studyの研究事務局である国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科 下村 昭彦氏に聞いた。試験を行った背景はどのようなものですか。日本の女性の平均寿命は87歳、乳がん患者の年齢も高くなっています。しかし、高齢者乳がんを対象とした臨床試験はとても少数です。HER2陽性乳がんは高齢者では若年と比較して少なく、高齢者を対象とした治療法の開発が行われていませんでした。HERB TEA Studyは、このHER2陽性進行乳がんを対象にしています。現在のHER2陽性乳がんの標準治療はHPD(トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル)療法で、高齢者でもこれがスタンダードです。HPDには、CLEOPATRAstudy1)という pivotal試験がありますが、この試験には65歳以上の高齢者が15%しか含まれておらず安全性が十分に評価されたとはいえません。しかし、サブ解析をみると、高齢者ではドセタキセルの投与回数や投与量が少ないことが示されています。さらに、アジア人では毒性が強く出ることが示されています。つまり、HPD療法は、アジア人の高齢者という対象に限ると、毒性面で適用しにくいケースがあるということが示唆されます。一方、2次治療以降でキードラッグになっているT-DM1には、毒性が軽いという特徴があります。高齢者はさまざまな合併症を有しており、がんだけで亡くなるわけではありません。また、有害事象の強い治療が入ることでQOLが低下することもあります。実臨床では、T-DM1を高齢者に投与した際でも、有害事象を理由に継続できない方は非常に少ないです。T-DM1が1次治療で使えるようになると、患者さんにとっては、より有害事象が軽い治療を選択しやすくなります。しかし、T-DM1とHPD療法を比較した試験はありません。このような背景から、高齢HER2陽性乳がんにおけるT-DM1とHPD療法の直接比較試験JCOG1607(HERB TEA)を開始しました。試験デザインについて教えてください。JCOG1607試験はHPD療法に対するT-DM1の非劣性を評価するランダム化比較第III相試験です。サンプルサイズは330例、対象は65~79歳の進行HER2陽性乳がん患者です。現在、年齢の上限を撤廃するプロトコール改訂を予定しています。登録患者は、試験群のT-DM1とコントロール群のHPD療法にランダムに割り付けされ、毒性中止か増悪まで治療します。なお、オリジナルのHPDのドセタキセルは75mg/m2ですが、この試験では安全を保つため、1コース目は60mg/m2でスタートし、毒性面で問題なければ2コース目から75mg/m2に増量します。実施可能な患者にはしっかりした治療が入り、毒性が強く出る患者には少ない用量の治療が入るデザインです。この試験が成功した場合、どのようことが実臨床にもたらされますか。HER2陽性乳がんの薬剤は数多く開発されています。しかし、その中で毒性が軽い薬剤は多くありません。一方、T-DM1はNCCNガイドラインではHPD療法に耐えられない、あるいは禁忌の患者さんに対するオプションとして推奨されています。HPD療法との直接比較で非劣性が証明されれば、高齢者における毒性の軽い標準治療の1つとして長く確立されることになるでしょう。読者の方にメッセージを高齢のHER2陽性乳がん患者は非常に少なく、JCOG施設であっても年間2~3例程度です。しかし、全国的にみればかなりの数の患者さんがおられると思います。JCOG参加施設は全国にありますので、HPDかT-DM1か迷う患者さんがおられる場合、ぜひJCOGの参加施設に紹介いただければと思います。臨床試験の元で治療を行っていただくことが、将来の患者さんへの貴重なエビデンスとなります。HERB TEA (JCOG1607)Study高齢者HER2陽性進行乳がんに対するT-DM1の臨床的有用性(全生存期間における非劣性)を標準療法であるHPD療法と比較する。多施設ランダム化比較第III相試験対象:69歳以上のHER2陽性進行乳がん患者(抗HER2療法未治療)試験薬:T-DM1 3.6mg/kg 3週ごと増悪まで対象薬:HPD療法(トラスツズマブ6mg/kg[初回8mg/kg]、ペルツズマブ 420mg[初回840mg]、ドセタキセル60mg/m2[増量規準満たす場合2コース目から75mg/m2]主要評価項目:全生存期間副次評価項目:無増悪生存期間、乳がん特異的死亡割合、奏効割合、安全性、高齢者機能評価など※HERB TEA (JCOG1607)Study:Shimomura A,Tamura K, Mizutani T, et al. A phase III study comparing trastuzumab emtansine with trastuzumab, pertuzumab, and docetaxel in elderly patients with advanced stage HER2-positive breast cancer (JCOG1607 HERB TEA study). Ann Oncol. 2018;29(8). doi: 10.1093/annonc/mdy272.349.1)Swain SM, eet al.N Engl J Med. 2015;372:724-734.

20071.

ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2019 in 東京~【ご案内】

 2019年3月16日(土)に、大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと~」が開催される。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間である3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂で、予約申し込み不要・参加費無料。当日は、来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」が配布される。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品のプレゼントも用意されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年3月16日(土)《セミナー》 13:00~16:50《ブース展示》12:00~17:00【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料【予定内容】《セミナー》総合司会 中井 美穂氏(アナウンサー/認定NPO法人キャンサーネットジャパン理事)13:00~13:05 開会挨拶  植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科 科長)13:05~13:20 講演1「15分で学ぶ!大腸がんの基礎知識」 岡﨑 聡氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:20~13:45 講演2「大腸がんの手術療法~開腹手術からロボット手術まで~」 絹笠 祐介氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 科長)13:45~14:10 講演3「大腸がんの内視鏡診断・治療、最前線!in2019」 福田 将義氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 光学医療診療部)14:10~14:30 休憩(20分)14:30~14:50 講演4「大腸がんの化学療法~満足のいく治療選択のために~」 石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)14:50~15:10 体験談「私のがん体験~25歳で大腸がんと診断されて~」 小池 善氏(大腸がん経験者)15:10~15:30 講演5「大腸がんと遺伝」 山口 達郎氏(がん・感染症センター都立駒込病院 外科・遺伝子診療科)15:30~15:55 講演6「免疫チェックポイント阻害剤~大腸がんへの挑戦~」 谷口 浩也氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科)15:55~16:10 休憩(15分)16:10~16:45 Q&A「Q&Aトークセッション 質問票にお答えします!」 座長:杉原 健一氏 パネリスト:絹笠 祐介氏、福田 将義氏、石川 敏昭氏、山口 達郎氏、谷口 浩也氏、       小池 善氏16:45~16:50 閉会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)《ブース展示》ホワイエにて、大腸がんの検査・治療に使用する機器などのブース展示を開催します。展示スペースはどなたでもご自由にご観覧いただけます。[出展協力]・東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター/東京都立中央図書館・東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部/歯学部口腔保健学科・オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社・株式会社メディコン・コヴィディエンジャパン株式会社・アミン株式会社・アルフレッサファーマ株式会社・NPO法人がんと暮らしを考える会・公益社団法人日本オストミー協会/若い女性オストメイトの会ブーケ【問い合わせ先】ブルーリボンキャンペーン事務局 認定NPO法人キャンサーネットジャパン〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル 2階TEL:03-5840-6072(平日10時~17時)FAX:03-5840-6073MAIL:info@cancernet.jp【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会/日本治療学会/日本臨床腫瘍学会/大腸研究会/公益社団法人日本オストミー協会/NPO法人ブレイブサークル運営委員会/認定NPO法人西日本がん研究機構詳細はこちら

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不眠症に対する就寝時の音楽聴取に関するランダム化比較試験

 音楽は、不眠症を軽減するための自助ツールとして、よく用いられる。デンマーク・オーフス大学のKira Vibe Jespersen氏らは、不眠症改善のための就寝前の音楽聴取の効果を評価するため、評価者盲検ランダム化対照研究を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 不眠症患者57例を、音楽介入群19例、オーディオブック群19例、待機コントロール群19例にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index)とした。さらに、睡眠ポリグラフィーおよびアクチグラフィーを用いて睡眠の客観的尺度を評価し、睡眠の質やQOLについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・主要アウトカムについては、音楽介入群において、不眠症の重症度に有意な改善が認められたが、群×時間の相互作用は有意性に近づくものの、不眠症状に対する明らかな影響は認められなかった(エフェクトサイズ:0.71、p=0.06)。・副次的アウトカムについては、音楽介入群において、認知された睡眠の改善やQOLに対する有意な効果は認められたものの、睡眠の客観的尺度に変化は認められなかった。 著者らは「就寝時の音楽聴取は、睡眠の実感やQOLに好影響をもたらすものの、不眠症の重症度に対する明らかな効果は認められなかった。さまざまな不眠症サブタイプに対する音楽聴取の補助的または予防的な効果を評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事音楽療法が不眠症に有用成人不眠症に対する音楽療法に関するメタ解析不眠の薬物療法を減らすには

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全般性不安障害の治療、22剤を比較/Lancet

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのApril Slee氏らは、全般性不安障害(GAD)の成人患者を対象とした、各種薬剤とプラセボを比較した無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、すべての薬物クラスでGADに有効な治療法があり、最初の治療薬での失敗が薬物療法を断念する理由にはならない可能性があることを報告した。GADは、日常の身体的・心理的・社会的機能に影響を与える疾患で、精神療法は費用やリソースが限られていることから薬物療法が第1選択となることが多いが、これまでの研究では利用可能なさまざまな治療薬の比較に関する情報が不足していた。Lancet誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。大規模なシステマティックレビューとネットワークメタ解析を実施 研究グループは、MEDLINE、Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、Chinese National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang data、Drugs@FDA、製薬会社の市販後登録などを用い、GAD成人外来患者を対象としたプラセボまたは実薬との無作為化比較試験を特定し、システマティックレビューとネットワークメタ解析を実施した。データは、すべての原稿および報告書から抽出された。 主要評価項目は、有効性(ハミルトン不安評価尺度[HAM-A]スコアの変化の平均差[MD])と、受容性(あらゆる原因による試験中止)とし、ランダム効果モデルによるネットワークメタ解析を用い、治療群の差とオッズ比を推定した。デュロキセチン、プレガバリン、ベンラファキシン、エスシタロプラムは有効で受容性あり 1994年1月1日~2017年8月1日に発表された試験のうち、1,992報がスクリーニングされ、89件の試験が解析対象となった。実薬22種類またはプラセボに無作為に割り付けられた2万5,441例のデータが組み込まれた。 プラセボと比較し、デュロキセチン(MD:-3.13、95%確信区間[CrI]:-4.13~-2.13)、プレガバリン(-2.79、-3.69~-1.91)、ベンラファキシン(-2.69、-3.50~-1.89)、エスシタロプラム(-2.45、-3.27~-1.63)は、比較的受容性が良好で有効であった。 ミルタザピン、セルトラリン、fluoxetine、buspirone、agomelatineも同様に、有効で受容性も良好であったが、これらは症例数が少なく結果は限定的であった。 HAM-Aの評価では、クエチアピン(MD:-3.60、95%CrI:-4.83~-2.39)が最も有効であったが、プラセボと比較した場合に受容性(オッズ比:1.44、95%CrI:1.16~1.80)に乏しかった。同様にパロキセチン、ベンゾジアゼピン系薬も有効であったが、プラセボと比較し受容性に乏しかった。 なお、報告バイアスのリスクは低いと考えられ、極力出版バイアスを避けるため、完了したすべての試験が組み込まれた。

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子宮頸がん、hrHPV検査が高検出率/BMJ

 子宮頸がんの1次検査として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査では液状化検体細胞診(LBC法)と比較し、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード3以上(CIN3)の検出率が約40%、子宮頸がんの検出率は約30%上昇し、3年後のCIN3以上の発生率は非常に低値で、検診間隔の延長を支持する結果が示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏らが、イングランドのプライマリケアでのhrHPV検査による定期の子宮頸がん検診について検討した、観察研究の結果を報告した。15年以上にわたる無作為化比較試験で、現行の標準検査であるLBC法と比較し、CIN2以上の検出に関してhrHPV検査の優越性が示されたことから、他国では検診ガイドラインを改訂し、hrHPVトリアージ検査を併用したLBC法での1次検査から、LBC法のトリアージ検査を併用したhrHPV検査による1次検査に切り替えたところもある。イングランドでは、2019年末までの全国導入を目指しているという。BMJ誌2019年2月6日号掲載の報告。子宮頸がん検診を受けた女性約57万人で、LBC法とhrHPV検査のアウトカムを評価 研究グループは、2013年5月~2014年12月にプライマリケアで子宮頸がん検診を受けた女性57万8,547例を2017年5月まで追跡調査した。18万3,970例(32%)はhrHPV検査による検診を受けていた。 hrHPV検査とLBC法によるトリアージ検査を併用した子宮頸がんの定期検診を行い、hrHPV陽性でLBC陰性の女性に対しては、2回(12ヵ月、24ヵ月時)の早期再受診を推奨した。 主要評価項目は、コルポスコピー(子宮膣部拡大鏡診)受診紹介の頻度、早期再受診の順守、連続した2回の検査においてLBC法と比較した場合のhrHPV検査によるCIN2以上の検出であった。hrHPV検査で、子宮頸がんの検出率が約30%上昇 ベースライン時のhrHPV検査および早期再受診では、約80%以上がコルポスコピーを必要としたが(補正後オッズ比[aOR]:1.77、95%CI:1.73~1.82)、LBC法と比較し、CIN(CIN2以上でaOR:1.49[95%CI:1.43~1.55]、CIN3以上でaOR:1.44[95%CI:1.36~1.51])および子宮頸がん(aOR:1.27、95%CI:0.99~1.63)の検出頻度が高かった。 早期再受診の順守とコルポスコピー紹介受診は、それぞれ80%および95%であった。その後の子宮頸がん発生スクリーニング検査では、hrHPV検査を受けた女性(3万3,506例)のほうが、LBC法を受けた女性(7万7,017例)よりも、CIN3以上の検出がきわめて少なかった(aOR:0.14、95%CI:0.09~0.23)。

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脳梗塞急性期:早期積極降圧による転帰改善は認められないが検討の余地あり ENCHANTED試験

 現在、米国脳卒中協会ガイドライン、日本高血圧学会ガイドラインはいずれも、tPA静注が考慮される脳梗塞例の急性期血圧が「185/110mmHg」を超える場合、「180/105mmHg未満」への降圧を推奨している。しかしこの推奨はランダム化試験に基づくものではなく、至適降圧目標値は明らかでない。2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、この点を検討するランダム化試験が報告された。収縮期血圧(SBP)降圧目標を「1時間以内に130~140mmHg」とする早期積極降圧と、ガイドライン推奨の「180mmHg未満」を比較したENCHANTED試験である。その結果、早期積極降圧による「90日後の機能的自立度有意改善」は認められなかった。ただし、本試験の結果をもって「早期積極降圧」の有用性が完全に否定されたわけではないようだ。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Craig Anderson氏(ニューサウスウェールズ大学、オーストラリア)とTom Robinson氏(レスター大学、英国)が報告した。早期積極降圧群とガイドライン順守降圧群を比較するも、想定した血圧差は得られず ENCHANTED試験の対象は、tPAの適応があり、脳梗塞発症から4.5時間未満で、SBP「150~185mmHg」だった2,196例である。74%がアジアからの登録だった(中国のみで65%)。平均年齢は67歳、NIHSS中央値はおよそ8。アテローム血栓性が45%弱、小血管病変が約30%を占めた。 これら2,196例は、「1時間以内にSBP:130〜140mmHgまで低下させ、72時間後まで維持」する「早期積極」降圧群(1,072例)と、ガイドラインに従い「SBP<180mmHg」へ低下する「ガイドライン順守」降圧群(1,108例)にランダム化され、オープンラベルで追跡された。 血圧は、ランダム化時に165mmHgだったSBPが、「早期積極」群で1時間後には146mmHgまでしか下がらなかったものの、24時間後に139mmHgまで低下した。一方「ガイドライン順守」群でも、1時間後には153mmHg、24時間後には144mmHgと、研究者が想定していた以上の降圧が認められた。ランダム化後24時間のSBP平均値は、「早期積極」群:144mmHg、「ガイドライン順守」群:150mmHg(p<0.0001)とその差は6mmHgしかなかった。1次評価項目では両群間に有意差を認めず その結果、1次評価項目である「90日後の修正ランキンスケール(mRS)」は、ITT解析、プロトコール順守解析のいずれにおいても、両群間に有意差を認めなかった。年齢、性別、人種、ランダム化時のSBP(166mmHgの上下)やNIHSS、脳梗塞病型などで分けたサブグループ解析でも、この結果は一貫していた。 ただし、頭蓋内出血のリスクは、「早期積極」群(14.8%)で「ガイドライン順守」群(18.7%)に比べ、有意に低くなっていた(オッズ比[OR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.60~0.94)。医師が「重篤な有害事象」と認識した頭蓋内出血も同様である(OR:0.59、95%CI:0.42~0.82)。なお、脳出血のORは0.79(95%CI:0.62~1.00)だった。 出血以外の有害事象は、群間に有意差を認めなかった。また、90日間死亡率は「早期積極」群:9%、「ガイドライン順守」群:8%だった。新たなランダム化試験を計画中 Robinson氏は、本試験の結果から、現行ガイドラインの大幅な変更を必要とするエビデンスは得られなかったと結論する一方、本試験の問題点として、1)両群の血圧差が小さかった、2)血管内治療の施行率が低かった、などを挙げ、至適降圧目標についてはさらなる検討が必要だと述べた。現在、大血管閉塞/血管内治療例のみを対象としたENCHANTED2試験を計画中だという。 本試験は、主としてオーストラリア政府機関と英国慈善団体から資金が提供され、そのほか、ブラジル政府機関、韓国政府機関、ならびにTakedaからも資金提供を受けた。 本研究は報告と同時に、Lancet誌にオンライン公開された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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志水太郎の診断戦略ケーススタディ

第1回 隠された病変(The Hidden Lesion)第2回 一周回って確診に(Circling Back for the Diagnosis)第3回 Aから始まりZで終る(Going from A to Z)第4回 眠れる巨人(A Sleeping Giant) 診断のメカニズムを解き明かした名著「診断戦略」。そこで示された戦術や技法を、臨床でどのように使えば効率的かつ正確な診断が行えるのか、ケーススタディ形式で解説します。扱う症例はNEJM(The New England Journal of Medicine)の名物コーナー「Clinical Problem-Solving」に掲載されたもの。難症例を前に、直観的思考はどうひらめくのか、どのタイミングでどんな鑑別のクラスターを開くのか、そして正解の疾患はそこにあるのか。普段は決して覗くことのできない“名医の診断過程”は必見です。「診断戦略」を使いこなすことができれば、あなたの診断も劇的に変わります!第1回 隠された病変(The Hidden Lesion)NEJMに掲載された「The Hidden Lesion」を題材に、診断戦略の扱い方をケーススタディ形式で解説。番組では症例の第1段落にあたる病歴と身体診察のみの情報から診断へ迫ります。第2回 一周回って確診に(Circling Back for the Diagnosis)NEJMのClinical Problem-Solvingから、28歳男性の右上・下腹部痛の症例を扱います。病歴と身体所見の限られた情報から、直観的思考と分析的思考を使って診断に迫っていく過程は必見!「前医の情報を鵜呑みにしてはいけない」、新たな診断戦略「EHTL」も登場します。第3回 Aから始まりZで終る(Going from A to Z)今回はNEJMのClinical Problem-Solvingから、3ヵ月間続く下痢を訴える70歳男性の症例を扱います。突如判明する南アジアへの渡航歴に戸惑いながらも、わずかな病歴から直観的思考と分析的思考を使って診断に迫っていく過程は必見です!A(abdominal pain)で始まるこの症例が行き着くZとは?第4回 眠れる巨人(A Sleeping Giant)最終回はNEJMのClinical Problem-Solvingから、腹痛と寝汗が主訴の71歳女性の症例を扱います。副鼻腔炎の既往、寝汗、体重減少などそれぞれの情報から「分析的思考」を展開して鑑別診断を列挙。最終診断にたどり着くと、すべての謎が解けるはずです。

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厳格な降圧でも認知症の増加はない(解説:桑島巖氏)-1004

 厳格な降圧は認知症と関連するという懸念が一部にあったが、本試験の結果はそれを否定する科学的根拠を示した大規模臨床試験として貴重である。 降圧目標値の120mmHgが従来目標の140mmHgに比して心血管イベント抑制効果が高いことを示した有名な米国SPRINT試験のサブ試験である。当初から認知症疑い(probable dementia)をエンドポイントに設定して施行したprospective studyであり、信頼性は高い。 認知症の評価はモントリオール認知評価(MoCA)、Wechslerメモリースケールを用いての学習と記憶評価、Digit Symbolコーディングテストによる処理スピードの評価の3段階の評価が訓練を受けた専門スタッフによって試験開始時と追跡期間中に行われている。 認知障害のレベルは、認知症なし、軽度認知症、認知症疑いの3つに分類されており、このうち認知症疑いの発現が本試験の主要エンドポイントとなっており、軽度認知症発現は副次エンドポイントに設定されている。当然ながら、主試験の主旨によって明らかな認知症症例や認知症治療中の症例は最初から除外されている。 結果は、主要エンドポイントである認知症疑いには厳格降圧群と緩和降圧群の間にわずかなところで有意差がつかなかった(ハザード比:0.83、95%Cl:0.67~10.4)。これは主試験の心血管イベントで有意差がついたために3.34年で中止されて統計パワーが不足したためと考えられる。 それでも副次エンドポイントである軽度認知症発現に関しては有意に抑制したとの結果である。 しかしながら本試験はあくまでもサブ試験であるだけにlimitationがいくつかある。前述の心血管イベントに有意差がついてしまったために認知症における結果が出る前に試験が中止されたこと以外に、頭部の画像診断に関する情報がないため、認知症のタイプとしてのアルツハイマー型なのか血管型なのかのタイプ別解析ができていないことなどは知りたいところではある。

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1ヵ月で2キロ痩せた【Dr. 中島の 新・徒然草】(259)

二百五十九の段 1ヵ月で2キロ痩せた今年の初めに第二百五十四の段「目標達成の方法」で、1ヵ月に1キロずつ痩せることと、英語のリスニング能力を向上させること、の2つを目標として宣言しました。前者については最初の1ヵ月で2キロも減っていたので、予想外の効果です。「このままいったら2ヵ月で4キロ、3ヵ月で6キロだぜ!」と言いたいところですが、そこまで私も甘ちゃんではありません。2ヵ月で3キロ、3ヵ月で4キロ、というのが現実的な目標設定でしょう。体重が5キロも軽くなればスーパーで買う米袋1つ分の荷物を下ろすわけですから、随分違います。身も心も軽くなり、何よりも腹が引っ込むはず。減量の具体的方法ですが、私はとくに無理な努力をしているわけではありません。腹七分目を心掛ける。炭水化物はほどほどにして、おかず中心の食生活を送る空腹感は温かいお茶を飲んでごまかす。耐え難い場合は、おにぎり1個だけ食べるできるだけ宴会をパスする。1回の宴会で3日分の努力がパーになるよく歩く。スマホで英会話講座を聴きながら歩くと一石二鳥とくに泳いだり筋トレしたりしているわけでもなく、誰にでも可能な方法です。最近、昼はローソンの「8種具材の包み焼」をよく食べていますが、たったの310キロカロリーなのに満腹感があります。とくにお好みソースの味が絶品!とはいえ、課題も残っています。つい間食をしてしまうこと出席すべき宴会もあること今後、これらについての対策も工夫しようと考えています。何か良い方法があれば、皆様のご意見をお寄せ下さい。最後に1句茶を飲めば 腹は膨れる とりあえず★今年のもう1つの目標である「英語のリスニング能力向上」についても、新たな進展があったので、次回、この連載で触れましょう。

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第17回 1回服用のインフルエンザ治療薬の実力は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 インフルエンザは健康な人が罹患しても安静にしていれば自然軽快します。しかし、小児や高齢者、とくに基礎疾患のある高齢者などが罹患すると重篤化しやすく、学校や仕事への影響も大きいので、なかなか自然軽快に任せることは難しい疾患です。インフルエンザの特徴的な症状としては、急速な38度以上の発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、そして上気道症状で、流行期にこれらの症状が出たら罹患が疑われます。発熱、咳、鼻汁などインフルエンザと診断する各所見ごとのオッズ比をみた研究1)では、とくに発熱のオッズ比が3.26(95%信頼区間[CI]:3.87~2.75)と最も高く、流行期に37.8度以上の発熱があればインフルエンザである割合が76.9%とされています。咳と発熱の両方がある場合は79.0%とさらに上がります。実際、解熱薬や咳止め薬が一緒に処方されるシーンも多いですよね。本当にインフルエンザか疑わしい場合や確定診断が必要な場合は迅速診断キットが使われます。159の研究で合計26のインフルエンザ迅速診断キットを評価したメタ解析2)では、プールされた感度および特異度は、それぞれ62.3%(95%CI:57.9%〜66.6%)、98.2%(95%CI:97.5%〜98.7%)でした。感度の高い検査が陰性ならその疾患を除外でき、特異度が高い検査が陽性ならその疾患を確定できます。キットによる差はありますが、感度が60%前後なので陰性でもインフルエンザの除外がしきれない一方で、特異度が98%前後と高いので、陽性ならほぼインフルエンザという判断になります。したがって、迅速診断キットで陰性であっても上記のようなインフルエンザが強く疑われる症状があれば薬物治療の適応になることもあります。バロキサビル群の症状改善はプラセボより速く、類薬と同等インフルエンザに適応のある治療薬としてノイラミニダーゼ阻害薬、麻黄湯や竹茹温胆湯があります。麻黄湯はインフルエンザA型の症状緩和に寄与するとする研究3)や、近年ではその成分のウイルス学的効果を示唆する研究4)もあり大変興味深いのですが、エフェドリンを含むので動悸、発汗など交感神経刺激作用には注意を要します。そして、今最も話題なのがキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性阻害作用を有するバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)です。1回投与と簡便なため、処方が激増していますが、その実力はどうなのでしょうか。第II相と第III相の二重遮蔽ランダム化比較試験をまとめて1つの論文にしたものが出ているので紹介します5)。まずはそれぞれの対象患者ですが、第II相試験では、2015年12月~2016年3月にインフルエンザに罹患した20~64歳の日本人です。(1)38度以上の発熱、(2)少なくとも1つの全身症状、(3)少なくとも1つの呼吸器症状、(4)48時間以上症状が継続、(5)迅速抗原検査が陽性、の条件に該当する患者がバロキサビル10mg、20mg、40mgを服用した場合とプラセボを服用した場合の症状が改善するまでの時間をプライマリアウトカムとしています。第III相試験は、2016年12月~2017年3月にインフルエンザ様の症状がみられた12歳~64歳の米国人と日本人で、上記(1)~(4)の症状に該当する患者が組み入れられています。20〜64歳ではバロキサビル(1日目に1回、体重に応じて40mgまたは80mg、残りの4日間はプラセボを使用)、オセルタミビル(75mg、1日2回を5日間)またはプラセボとの比較で、12〜19歳ではバロキサビル(1日目に1回)とプラセボ(1日目に1回)で比較をしています。プライマリアウトカムは第II相試験と同様です。なお、添付文書上は小児の適応がありますが、この論文のみでは12歳未満の小児の服用についての有効性は判断できないので注意が必要です。主な結果を見ていくと、第II相試験では、プラセボ群の症状緩和に要した時間の中央値が77.7時間だったのに対して、バロキサビル10mg群では54.2時間、20mg群では51.0時間、40mgでは49.5時間でした。第III相試験では、症状緩和に要した時間の中央値はバロキサビル群が53.7時間、プラセボ群が80.2時間であり、その差は26.5時間でした。なお、バロキサビル群とオセルタミビル群では同等との結果となっています。バロキサビル耐性ウイルスについては、第II相試験で2.2%、第III相試験で9.7%(いずれもインフルエンザA型感染)で、変異型の場合は高率にウイルスが残存しました。すでに耐性ウイルスを懸念する声も聞こえていますので、むやみに使い過ぎるのも考えものかもしれません。また、これまで十分に確認できなかった、喘息および呼吸器疾患、内分泌疾患、心疾患など基礎疾患をもつ患者や65歳以上の高齢者などのハイリスク群を対象とした第III相試験でも、症状緩和に要した時間はプラセボ群に対する優越性を示しています6)。最後に、同じ1回投与の点滴であるペラミビル(商品名:ラピアクタ)にも触れておくと、こちらもおおむねオセルタミビルと解熱までの時間や症状の変化はほぼ同等の結果となっています7)。点滴なので、流行期に看護師さんの時間が取られるのは難点ではあります。バロキサビル、ペラミビルともに予防投与の可否について聞かれることもありますが、現時点ではエビデンスも適応症もないので原則促さないようにしておくが吉でしょう。一般論としては、これらに限らず1回で治療が終わる薬剤や週1回、月1回投与の製剤は服用が楽な一方で、副作用が出ても休薬対処がしづらいという二面性があることを認識して説明できるとよいかなと思います。1)Monto AS, et al. Arch Intern Med. 2000;160:3243-3247.2)Chartrand C, et al. Ann Intern Med. 2012;156:500-511.3) Nabeshima S, et al. J Infect Chemother. 2012;18:534-543.4) Masui S, et al. Evid Based Complement Alternat Med. 2017;2017:1062065.5)Hayden FG, et al. N Engl J Med. 2018;379:913-923.6)塩野義製薬プレスリリース7)Nakamura S, et al. Open Forum Infect Dis. 2017;4:ofx129.

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第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

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