サイト内検索|page:104

検索結果 合計:2935件 表示位置:2061 - 2080

2061.

COVID-19の低酸素血症にヘルメット型マスクは有用か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で中等度~重度の低酸素血症患者において、ヘルメット型非侵襲的換気法は高流量経鼻酸素療法と比較して、28日間のうち呼吸補助が不要だった日数について有意差はないことが、イタリア・Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCSのDomenico Luca Grieco氏らによる無作為化試験「HENIVOT試験」の結果で示された。急性低酸素呼吸不全の初期治療に推奨されている高流量経鼻酸素療法は、COVID-19患者に広く適用されている。ヘルメット型非侵襲的換気法は最近提唱された急性低酸素呼吸不全の代替管理法だが、有効性に関するエビデンスはなく使用は限定的とされていた。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で、気管挿管の必要性など、その他のアウトカムへの影響も確認する必要がある」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月25日号掲載の報告。28日間で呼吸補助が不要だった日数を主要アウトカムに評価 研究グループは、ヘルメット型マスクによる非侵襲的換気が高流量経鼻酸素療法単独と比較して、COVID-19患者の呼吸補助のない日数を増やせるか否かを評価するため、2020年10月~12月にイタリアの4つの集中治療室(ICU)で多施設無作為化臨床試験を実施した(フォローアップ終了は2021年2月11日)。対象は、COVID-19で中等度~重度の低酸素呼吸不全(動脈血分圧/吸気酸素濃度比が200以下)の患者109例。 参加者は、ヘルメット型非侵襲的換気(呼気終末陽圧10~12cm H2O、プレッシャーサポート10~12cm H2O)による継続治療を少なくとも48時間受け、その後に高流量経鼻酸素療法を受ける群(ヘルメット群:54例)、または高流量経鼻酸素療法(60L/分)のみを受ける群(高流量経鼻酸素群:55例)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、登録後28日間で呼吸補助が不要だった日数とした。副次アウトカムは、登録後28日以内で気管挿管を必要とした患者の割合、28日時点の評価で侵襲的人工換気が不要だった日数、60日時点の評価で侵襲的人工換気が不要だった日数、ICU内死亡率、入院中死亡率、28日死亡率、60日死亡率、ICU入室期間、および入院期間などであった。高流量経鼻酸素療法と有意差なし 無作為化を受けた110例のうち、109例(99%)が試験を完了した(年齢中央値:65歳[IQR:55~70]、女性21例[19%])。 無作為化後28日間で呼吸補助が不要だった日数の中央値は、ヘルメット群20日(IQR:0~25)、高流量経鼻酸素群18日(IQR:0~22)であり、統計学的有意差はなかった(平均差:2日[95%信頼区間[CI]:-2~6]、p=0.26)。 事前規定の9つの副次アウトカムのうち7つで有意差はなかったが、気管挿管率は、ヘルメット群が高流量経鼻酸素群よりも有意に低かった(30% vs.51%、群間差:-21%[95%CI:-38~-3]、p=0.03)。また、28日間で侵襲的人工換気を不要とした日数の中央値も、ヘルメット群が高流量経鼻酸素群よりも有意に多かった(28日[IQR:13~28]vs.25日[4~28]、平均群間差:3日[95%CI:0~7]、p=0.04)。有意差はなかったが、院内死亡率はヘルメット群24%、高流量経鼻酸素群25%だった(絶対群間差:-1%[95%CI:-17~15]、p>0.99)。

2063.

第51回 コロナ禍は制限あっても対策なし、専門家の在り方とは

このような仕事をしていると、昨今は医療と関係のない友人と電話やオンラインでやり取りする時も、話題の中心は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)になりがちだ。つい先日も友人と電話でやり取りしていると、その友人が「あの新型コロナの専門家のおじさん、いきなり国会で魚の話始めちゃったよね。大丈夫かね?」と言い出した。こっちは「は?魚?なにそれ」と返すと、「だってさ、コロナの話の最中にマンボウの話なんてさ」ときた。これには久々に大声をあげて笑ってしまった。思わず「大丈夫と心配しなきゃならないのはどっちか?」と言いそうになったが、その言葉はぐっと飲み込んだ。このサイトの読者ならこうした勘違いはほぼないだろうと思う。友人が言っていたのは、国会の委員会審議に出席した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長が、改正新型インフルエンザ等特別措置法で新設された「まん延防止等重点措置」の略称「まん防」に関して言及していたことを指す。この「まん防」を感染者が急増する大阪府、兵庫県、宮城県に4月5日から初めて適用されることが決定した。ここで「緊急事態宣言」と「まん防」がどう違うのかを改めて整理しておきたい。まず、どの時点で発令するかは、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が定義した市中の感染状況を示すステージ1~4が目安といわれる。前者が感染爆発段階とも称されるステージ4、後者が感染急増段階のステージ3である。つまり「まん防」は感染急増の初期でステージ4となるのを食い止める措置。炎症性疾患の制御での経口ステロイド薬の服用開始が「まん防」、それでも制御不能な際の静注ステロイドの投与開始が「緊急事態宣言」と例えても良いかもしれない。その上で「緊急事態宣言」では対象地域は都道府県単位全体となるのに対し、「まん防」は対象都道府県の知事がそのなかで特定地域に指定を限定できる。いわば理論上は局地的対策で、都道府県単位全体に及ぶ甚大な影響を回避できる。また、「緊急事態宣言」では、飲食店などに時短と休業を要請できるのに対し、「まん防」では時短要請のみが可能。ともに要請に従わない場合に命令を出すことができ、従わない事業者への過料は前者が30万円以下、後者が20万円以下。ちなみにまん防では、都道府県が飲食店などに対し、従業員への検査受診の勧奨や発熱などの症状がある人の入場の禁止を要請するなどの措置も可能である。今回のまん防適用のきっかけは大阪府で感染者が急増し、時には東京都を上回る感染者数が報告される事態となり、吉村 洋文知事がその適用を要請したからである。その吉村知事は緊急事態宣言中の2月1日に宣言解除を政府に求める独自基準を知事主導で唐突に発表し、府の行政幹部や大阪府の対策本部会議に参加する専門家などを唖然とさせた。その後、基準を満たしたか否か、政府への解除要請の是非を巡って対策本部と丁々発止を繰り広げ、2月23日には京都府、兵庫県とともに宣言解除を政府に要請。その結果、2月末で大阪府を含む6府県では緊急事態宣言は解除となった。当時は「新しい波をできるだけ回避する。併わせて社会経済活動を維持する。難しい判断だが、それを模索していきたい」と語っていた吉村知事だが、その「理想」は約1ヵ月であっけなく潰えたことになる。とはいえ宣言解除後も大阪市内の飲食店への時短要請は1時間緩和されたに過ぎず、実質的には制限された生活が続いている。そして今回のまん防の適用により、大阪市の飲食店では緩和を解除して再び夜8時まで、その他の府内全域では夜9時まで時短を要請する見込みだ。ただ、実質的には大阪府全体の3分の1の人口(もちろん流入人口が別途あることは承知している)の大阪市で、飲食店の営業時間を1時間短縮させる程度ではどう考えてもその効果はかなり限定的になると考えられる。その意味で既存の対策をさまざまな観点から見直す時期に来ているのではないかと考えている。まず、感染のきっかけになりやすい「会食」の自粛を今以上にどう進めたらよいかだが、私個人は今以上にこれを推し進めるのはかなり難しいと考えている。そもそも人は食事をしなければ生物学的な生存は不可能である。ならば他人との会食に限って減らせばいいだろうという指摘は可能だが、それとて限界はある。そもそもヒトが他の哺乳類と明確に違うのは言語を有してコミュニケーションする生き物であるということ。たとえば、短命の最大のリスクファクターの一つが独身であるとの研究は数多く見かけるし、最近では家族と同居状態であっても「孤食」の人は死亡リスクが5割高いとの報告もある。これらの研究の多くは、この傾向は男性に顕著だと指摘しているが、ここで性差を深く追求するつもりはない。要は他人とのコミュニケーションや会食機会の有無はヒトの寿命にも影響しうる重要なファクターであるということだ。そのような背景を考えれば、そもそも他人との会食制限には倫理的にも問題を含むものであり、加えて今のように会食自粛が叫ばれて約1年が経過して不満が鬱積している人も少なくないと考えられるなかで、これ以上の自粛効果を得られる手法はほとんどないのではなかろうか?先ごろ厚生労働省の職員23人が時短要請を破っている飲食店で夜遅くまで会食していたことが明らかになり批判を浴びている。もちろんこの状況下では言語道断だが、そもそも事態の深刻さを最も認識しているはずの人たちですらこの事態ということは、もはや市中の我慢は限界に達している証左でもある。また、たとえ夜の営業時間を短縮したとしても、昼間に会食すればそれなりにリスクはある。さらにこういう事態になってから、市中で「昼飲みできマス」という看板が散見されるようになっている。今は飲食店も感染対策に気を配り、入口で検温、アルコール消毒、カウンターに着席すると隣との間に飛沫拡散防止用のアクリル板設置、隣席との間隔を空ける、隣席とのビニールカーテン設置、窓や扉を開けた換気などは日常的になってきた。とはいえ、これが穴だらけの対策であることは多くの専門家が同意することだろう。しかし、この穴をどう補完することでリスクを下げられるかを提言する専門家は少ない。そもそも専門家は何らかのリスク回避のための制限を提言することは得意だが、科学的に厳格であればあるほど制限緩和に後ろ向きになってしまうきらいがあるのは確かだ。そして専門家の中には「そうした提言をすることは、対策をやれば会食の機会を減らさなくともよいとの誤ったメッセージを伝えることになる」との懸念の声があるのは承知している。しかし、繰り返しになるが、もはや会食の自粛要請、時短要請の効果は限界が見えてきているといって差し支えない状況ではないだろうか。その意味ではこの飲食問題については、スイスが1994年に開始した重度のヘロイン中毒患者対策、つまり医師らのコントロール下でヘロインを使用させ、注射器の使い回しによる感染症や過剰摂取のリスクを減少させた経験と似たような考え方が必要な段階ではないかと個人的には感じている。

2064.

mRNAワクチン、2回目接種から1週間で新規感染率0.05%/NEJM

 新型コロナワクチンの接種が進む米国において、先行して接種を受けた医療関係者によるワクチンの有効性についてのデータが発表された。NEJM誌オンライン版2021年3月23日号CORRESPONDENCEの報告。 カリフォルニア大学(サンディエゴ校とロサンゼルス校)では、2020年12月16日からPfizerもしくはModernaのmRNAワクチン接種が開始された。両校は12月から有症状者に加え、無症状者に対しても週次の鼻咽頭スワブによるPCR検査を義務付けもしくは選択できるようにしており、これによってワクチン接種後の無症状感染者の検出が増加した。データは両校の従業員健康記録システムから匿名化されて取得された。 主な結果は以下のとおり。・2020年12月16日~2021年2月9日に、計3万6,659例が初回接種を受け、そのうち2万8,184例(77%)が2回目の接種を受けた。・接種から1日以上経過後にPCR検査で陽性となったのは379例で、その大多数(71%)が初回接種から2週間以内だった。・陽性例のうち、初回接種からの経過日数の内訳は、7日以内:145例(38%)、8~14日:125例(33%)、15~21日:57例(15%)、22日以降2回目接種前:15例(4%)だった。・陽性例のうち、2回接種からの経過日数の内訳は、7日以内:22例(6%)、8~14日以内:8例(2%)、15日以降:7例(2%)で、2回目接種から1週以降の陽性率は0.05%、2週以降は0.025%だった。 報告は、2回目接種から2週間後の陽性率の低さはmRNAワクチンの有効性がリアルワールドにおいても実証されたことを示唆している、としている。

2065.

循環器疾患合併COVID-19入院患者の予後規定因子を検討/日本循環器学会

 循環器疾患およびリスク因子を合併している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の臨床的背景や転帰を明らかにすることを目的としたレジストリ研究「CLAVIS-COVID」の結果の一部について、第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)で松本 新吾氏(東邦大学医療センター大森病院)が発表した。循環器疾患やリスク因子の合併の有無にかかわらず、年齢の上昇に伴い死亡率が増加していることから、年齢が独立した非常に強い予後規定因子であることが示唆された。 COVID-19患者の予後については、昨年、中国から循環器疾患合併かつトロポニン陽性の患者の予後が悪いとの報告がJAMA Cardiology誌に掲載され、米国からは年齢・性別に加えて冠動脈疾患・心不全・不整脈などの循環器疾患合併患者で予後が悪いという論文がNEJM誌に掲載された。このような中、松本氏らは昨年3月時点で、わが国で進行しているレジストリ研究が見当たらなかったことから、循環器疾患およびリスク因子(CVDRF)合併COVID-19入院患者に関する多施設共同観察研究であるCLAVIS-COVIDを立ち上げ、日本循環器学会の公式なレジストリ研究として実施している。 本研究は後ろ向き観察研究で、2020年1月1日~5月31日にCOVID-19により入院した患者のうち、循環器疾患およびリスク因子(高血圧、糖尿病、高脂血症)を合併した患者を対象とし、主要エンドポイントは院内死亡とした。 最終的に国内49施設の1,518例のデータが解析対象となり、平均年齢は57±19歳、男性が58%、全体の死亡率は9.2%、CVDRF合併症例は693例(45.7%)であった。生存退院群(1,378例)と院内死亡群(140例)で比較すると、患者背景については、年齢、男性比率、ECMO使用、ICU入室、挿管管理で有意に院内死亡群が高かった。カプランマイヤー曲線は、CVDRF合併症例が非合併症例に比べて有意に死亡率が高く、海外と同様の傾向がみられた。 CVDRF合併症例について、生存退院例(585例、84.4%)と院内死亡例(108例、15.6%)で比較すると、患者背景については、院内死亡例でより高齢で、転院・介護/療養型施設からの入院が多かった。入院時に認められた合併症については、院内死亡例では慢性/急性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、中等度以上の弁膜症、不整脈、COPD、慢性腎臓病、がんの合併割合が有意に高かった。入院時の自覚症状については、全体で一番多かったのは咳嗽(52.0%)で、息切れ/呼吸困難、悪寒、心不全症状(末梢浮腫、肺うっ血)の発現割合が院内死亡例で有意に高い一方、咽頭痛、嗅覚異常、頭痛の発現割合は生存退院例で有意に高かった。バイオマーカーについては、CRP、D-ダイマー、プロカルシトニン、KL-6、トロポニンもしくは高感度トロポニン陽性、BNP、NT-proBNPが院内死亡例で有意に高かった。このバイオマーカーの結果について松本氏は、「日本のように日常臨床で細かく繰り返し数値を取得できる国は珍しいため、貴重なデータである」と述べた。 本研究の最終的な解析結果の論文は現在レビュー中で、まずは年齢に着目して報告をまとめているという。その中でもインパクトのある結果として松本氏は、循環器疾患やリスク因子の合併の有無にかかわらず、年齢の上昇に伴い死亡率が急増しているグラフを示し、年齢が独立した非常に強い予後規定因子であることを指摘した。

2066.

武漢の新型コロナ抗体陽性率は約7%/Lancet

 中国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)アウトブレイクの発生地である武漢市において、無作為抽出した住民のSARS-CoV-2抗体陽性率は6.92%で、このうち39.8%が中和抗体を保有していた。中国・武漢疾病管理予防センターのZhenyu He氏らによる血清疫学調査の結果、明らかとなった。調査は、ワクチン接種戦略の進展に役立てる目的で実施したものだという。著者は、「今回の結果は、再流行を防ぐためには集団免疫をもたらす集団ワクチン接種が必要であることを示唆している」とまとめている。Lancet誌2021年3月20日号掲載の報告。無作為抽出で約1万人を対象に、2020年4月、6月および10~12月の3回調査 研究グループは、多段階層別クラスター抽出法を用い武漢市13地区から100のコミュニティを選択し、縦断的・横断的研究を実施した。各コミュニティから体系的に選択された対象世帯の家族全員が研究に参加することとし、2019年12月1日以降に14日間以上、武漢市に居住していた人を適格とした。 研究に同意した参加者は、人口統計学的および臨床的な質問からなる標準化された電子調査票に記入し、COVID-19関連症状とCOVID-19診断歴を自己報告した。 2020年4月14日~15日に免疫学的検査のため血液を採取し、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する全免疫グロブリン(Ig)、IgM、IgAおよびIgG抗体の有無ならびに中和抗体について評価した。また、同年6月11日~13日および10月9日~12月5日にも血液を採取し、2回連続して追跡調査を実施した。 無作為抽出された4,600世帯のうち、3,599世帯9,702例が初回調査に参加し、十分な検体が得られた3,556世帯9,542例が解析対象となった。2020年4月の抗体陽性率は6.92%、うち中和抗体陽性率は39.8% 9,542例中532例(5.6%)がSARS-CoV-2に対する全Ig陽性で、母集団のベースラインにおける補正後血清抗体陽性率は6.92%(95%信頼区間[CI]:6.41~7.43)であった。全Ig陽性者532例のうち、437例(82.1%)は無症状であった。また、532例中IgM抗体陽性は69例(13.0%)、IgA抗体陽性は84例(15.8%)、IgG抗体陽性は532例(100%)、中和抗体陽性は212例(39.8%)であった。 2020年4月に中和抗体を有していた全Ig陽性者の割合は、2回の追跡調査において安定していた(同年6月:363例中162例44.6%、同年10月~12月:454例中187例41.2%)。 3回の調査すべてに参加した全Ig陽性者335例においても、中和抗体レベルは調査期間中に有意な低下を認めなかった(中央値:ベースライン時1/5.6[IQR:1/2.0~1/14.0]vs.初回追跡調査時1/5.6[IQR:1/4.0~1/11.2]、p=1.0、vs.2回目追跡調査時1/6.3[IQR:1/2.0~1/12.6]、p=0.29)。ただし、無症状者のほうが、感染者および有症状者と比較して中和抗体価が低下した。 IgG抗体価は経時的に減少したが、IgG抗体陽性率はあまり減少しなかった(感染者:ベースライン100%[30/30例]→2回目追跡調査時89.7%[26/29例]、有症状者:同100%[65/65例]→同92.1%[58/63例]、無症状者:同100%[437/437例]→同90.9%[329/362例])。

2067.

新型コロナワクチン、12~15歳に100%の有効性/ファイザー・BioNTech

 米国・Pfizerとドイツ・BioNTechは3月31日、両社の新型コロナウイルスワクチン(BNT162b2、商品名:コミナティ筋注)の12~15歳の青年を対象とした第III相試験で、以前報告された16~25歳を対象とした試験結果を超え、100%の有効性と強力な抗体反応を示したという速報をプレスリリースで発表した。両社は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)に緊急使用許可を申請する意向を示している。  本試験には、米国で12~15歳の青年2,260例が登録された。結果は、プラセボ群(1,129例)で18例の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が観察されたのに対し、ワクチン接種群(1,131例)では観察されなかった。また、ワクチン接種は、SARS-CoV-2中和抗体の幾何平均抗体価(GMT)1,239.5を誘発し、2回目の投与から1ヵ月後のサブセットで強い免疫原性を示した。これは、以前の分析で16~25歳の参加者に誘発されたGMT(705.1)に劣っていなかった。さらに、副反応は16~25歳の参加者で観察されたものとおおむね一致しており、良好な忍容性が示された。すべての参加者は、2回目の投与後さらに2年間、長期的な予防効果と安全性について引き続き観察される。 なお、両社はさらに、6ヵ月~11歳の子供を対象としたワクチンの安全性、忍容性、免疫原性を評価するために、国際共同シームレス第I/II/III相試験を計画している。この研究では、6ヵ月~2歳、2~5歳、5~11歳と3つの年齢グループに分け、2回投与スケジュール(約21日間隔)で評価する。5~11歳のコホートではすでに先週投与が開始されており、来週にも2~5歳のコホートで投与を開始する予定だ。

2068.

第51回 コロナ感染で懸念される男性特有の症状と影響

コロナ流行下にもかかわらず、海外では、感染対策を無視した野外パーティー(違法レイブ)が報道されている。若者を中心としたパーティだが、若年者であっても感染し、重症化しうることも自明である。また、感染時には無症状や軽症であっても、後遺症が残るケースも相当数報告されている。英国の大規模コホート研究では、男性が症例の60%を占め、性別が危険因子の1つであることが報告されている中、後遺症の1つとして、無精子症など生殖機能への影響が注目されている。「結婚相手として、新型コロナ感染の有無が気になる」と言う女性の声も聞いた。新型コロナ感染後の全身に及ぶ後遺症、精巣への影響もイタリアの研究チームが2020年7月にJAMA誌に発表した報告によると、調査した感染者143例のうち87.4%が、新型コロナから回復した後(発症から平均2ヵ月後)も、何らかの症状を訴えていた。倦怠感や呼吸苦の症状が続いているケースが多かったが、味覚障害や筋肉痛などさまざまな症状が見られた。32%で1〜2つ、55%で3つ以上の症状が見られ、44%がQOLの低下を自覚していた。中国で2020年6月に報告された新型コロナ患者の死亡剖検結果(91例)によると、ウイルスはほぼ全身に広がり、全身の臓器に変化が生じていることがわかったという。この結果を基に、新型コロナ後遺症を12に分類、最初に挙げたのが妊孕性への影響だった。精巣においてさまざまな程度の生殖細胞の減少と障害を起こしていたと報告。精巣は新型コロナウイルスの受容体であるACE2を多量に発現しており、感染により精子生成とアンドロゲン合成に影響を及ぼす可能性が推測されると指摘した。精子生成の障害は男性の生殖機能に影響を与える可能性があり、重度の場合は男性不妊につながる。また、アンドロゲンの欠乏は男性の第2次性徴や性機能に影響を与え、QOLを低下させる。ドイツの研究チームが2021年1月に発表した報告では、新型コロナに感染した男性84例と、同年代の健康な男性105例の精液を60日間わたって10日ごとに分析したところ、感染者は健康人と比較して、精子に悪影響を及ぼす炎症と酸化ストレスを示す数値が著しく高かった。ただし、英国の専門家らは、男性の生殖機能に影響を及ぼす「決定的な証拠」はまだ見つかっていないとし、「男性は過度に警戒すべきではない」との見方を示した。新型コロナウイルスは性行為でも感染する?また、精液から新型コロナウイルスが検出されたという報告がある。エボラ出血熱やジカウイルス感染症が性行為で感染することから、新型コロナも性感染症となる可能性が懸念されている。中国では河南省の市立病院で2020年5月、新型コロナ感染症と診断された男性38人(急性期15例、回復期23例)のうち、PCR検査で6例(15.8%、急性期4例、回復期2例)の精液からウイルスが見つかったという報告があった。現時点では、精液中にウイルスが見つかったにすぎない。専門家によると、性感染症と判断するには(1)性行為によって間違いなく感染したと考えられる事例が存在すること(2)精液から生きたウイルスが分離されることが必要だという。(2)については、ウイルス培養できることがわかれば、性行為によって感染する可能性が出てくるからだという。コロナ禍で「精子に良くない生活習慣」が増加精子に良くないのはウイルスだけではない。スマホでできる精子セルフチェックサービス「Seem」を運営するリクルートライフスタイルが、2020年12月に行った「精子に関する知識の実態把握調査」で明らかになったのは、コロナ禍においては、膝上PC作業や公共交通機関を避けるための自転車の使用など、陰嚢が圧迫されたり温度上昇しやすくなったりする状況が増えた上、精神的なストレスや、不規則な生活に伴う肥満など「精子に良くない生活習慣」が増えていることである。コロナ後遺症に、長期に渡る心身へのストレスと、新型コロナ出現後の日常は、これまでに経験したことのない不安や懸念が少なくない。感染対策は言うまでもなく、生活習慣の改善によって予防できることは自身で心掛け、安全な性行動に留意することが、アフターコロナを生きる男性諸氏にはとくに求められている。

2069.

コロナ流行下で小児のライノウイルス感染リスクが2倍超

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が1年以上続き、マスクや手洗いなどのコロナ感染予防はいまや一般常識レベルに浸透している。この対策はCOVID-19のみならず、あらゆる感染症予防に有用と考えられる。東京大学の河岡 義裕氏(医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野教授)は、共同研究グループと共にCOVID-19流行下の呼吸器感染症ウイルス検出状況を調査したところ、全年齢層においてインフルエンザをはじめとする代表的な呼吸器感染症ウイルスの検出率は低下していた一方、10歳未満の小児では、風邪を引き起こすライノウイルスの検出率が著しく上昇していたことを発見した。研究結果は、Influenza and Other Respiratory Viruses誌オンライン版2021年3月15日号に掲載された。ライノウイルス検出率はCOVID-19流行期に著しく上昇 本研究では、COVID-19流行前後における呼吸器感染症ウイルスの検出状況を比較するため、2018年1月~2020年9月の期間、横浜市で2,244例の呼吸器疾患患者(COVID-19患者を除く)から採取された呼吸器検体(鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻汁、唾液、気管吸引液、喀痰)を解析し、代表的な呼吸器感染症ウイルス(インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルスA/B、エコーウイルス、エンテロウイルス、ヒトコロナウイルス229E/HKU1/NL63/OC43、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス1/2/3/4、パレコウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ボカウイルス、パルボウイルスB19、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス)の検出を行った。 COVID-19流行前後におけるインフルエンザウイルスやライノウイルスなど呼吸器感染症ウイルスの検出状況を比較した主な結果は以下のとおり。・2,244例の内訳は、男性1,197例(53.3%)、女性1,044例(46.5%)、性別不明3例(0.1%)。年齢分布は、10歳未満1,119例(49.9%)、10歳以上1,105例(49.2%)、不明20例(0.9%)。・全検体のうち、最も多く検出されたのはインフルエンザウイルス(592例)で、次いでライノウイルス(155例)だった。475例からは、その他の呼吸器感染症ウイルスが検出された。・インフルエンザウイルスやその他の呼吸器感染症ウイルスの検出率は、全年齢層でCOVID-19流行後に低下していた。対照的に、ライノウイルス検出率はCOVID-19流行期に著しく上昇し、例年の2倍以上だった。 本研究では、インフルエンザ症例数の増加期にはライノウイルス感染数が減少しており、インフルエンザウイルスがライノウイルスに何らかの干渉作用がある可能性が示唆された。著者らは、SARS-CoV-2出現後、感染対策が奏功し市中のインフルエンザ感染者が減少したことが、10歳未満の小児におけるライノウイルス感染増加と関連しているのではないかと指摘している。ライノウイルスは、コロナウイルスやインフルエンザウイルスと異なり、ノンエンベロープウイルスであるため、アルコール消毒よりも石鹸と水を使った手洗いが有効だという。

2070.

ワクチン接種2回目で多い副反応疑い、主な症状と発症時期は?/厚労省

 厚生労働省は3月26日、医療機関や製造販売業者からの副反応疑い報告状況、国内アナフィラキシー発生状況などについての検討会*を開催し、「新型コロナワクチン投与開始初期の重点的調査(コホート調査)」の中間報告などを行った。それによるとファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを接種した場合、発熱、倦怠感、頭痛などの副反応が2回目に多くみられた。また、いずれの症状も接種当日~翌日に出現している場合が多かった。 報告によると、発熱の場合“1回目接種後の発熱(37.5℃以上)は3.3%であったのに対し、2回目は35.6%と高率だった。発熱する場合は翌日が多く、接種3日目には解熱した”とあり、また接種部位の疼痛は“1回目、2回目いずれでも90%超で、接種翌日が最も頻度が高く、接種3日後には軽快した”という。調査概要と結果詳細 この調査は伊藤 澄信氏(順天堂大学医学部臨床研究・治験センター)らによるワクチン接種者を対象とした前向き観察研究で、治験と同様の方法で1~2万人の安全性情報を収集し、厚労省の専門家会議を通じて国民に安全性情報を発信することを目的としている。 2月14日に特例承認となったファイザー製の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を2月17日から先行接種対象者に接種開始。2月25日に被接種者登録が終了、1万9,808例が1回目を接種しコホート調査に登録され、2回目接種者は1万7,579例だった。接種者の職種は医師17%、看護師47%、その他医療従事者36%(薬剤師・臨床検査技師・放射線技師は各3%、理学療法士2%ほか)。年代は20代:21%、30代:24%、40代:25%、50代:21%、60代以上:8.7%で、男性34%、女性66%だった。治療中疾患は高血圧が最も多く、次いで脂質異常症、糖尿病、気管支喘息の順に多かった。 症状の出現について、接種後8日目以降に回収した1回目接種1万9,035例(全体の96.1%) および2回目接種3,933例の健康観察日誌から調べた結果、1回目に比べると2回目接種では接種翌日に頭痛(約40%)、全身倦怠感(約60%)を自覚した。また、接種部位の疼痛については1回目、2回目ともに接種翌日時点で約90%の接種者が記録しており、これは2009年のH1N1pdmインフルエンザワクチンNHO 2万人調査での疼痛出現の割合(43.8%)と比較しても、頻度が明らかに高いことが示された。 主な症状と発症率は以下のとおり(1回目/2回目)。発熱(37.5℃以上):3.3%/35.6%発熱(38℃以上):0.9%/19.1%接種部位反応:92.9%/93.0%発赤:13.9%/16.0%疼痛:92.3%/91.9%腫脹:12.5%/16.9%硬結:10.6%/9.9%熱感:12.8%/16.6%かゆみ:7.9%/10.4%倦怠感:23.2%/67.3%頭痛:21.2%/49.0%*:第54回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、第14回薬事食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会合同開催(ケアネット 土井 舞子)患者説明用スライドはこちら『新型コロナワクチン副反応疑い症状』

2071.

ICU入室COVID-19へのエノキサパリン、中等量vs.標準量/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対し、予防的抗凝固療法としてエノキサパリンの中等量(1mg/kg/日、クレアチニン・クリアランス値により調整)の投与は同標準量(40mg/日)の投与と比べ、30日以内静脈または動脈血栓症・体外式膜型人工肺(ECMO)の使用・死亡の複合アウトカムについて、有意差は認められなかった。イラン・Iran University of Medical SciencesのParham Sadeghipour氏ら「INSPIRATION無作為化試験」研究グループが約600例の患者を対象に行った試験結果を報告した。COVID-19重症患者において、血栓性イベントの報告頻度は高い。抗血栓予防療法の強度を高めることに関するデータは限定的であり、今回の検討が行われた。研究グループは、「結果は、ICU入室COVID-19患者に対して非選択的に中等量の予防的抗凝固療法をルーチン投与することを支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年3月18日号掲載の報告。イラン10ヵ所の医療センターで試験 研究グループはイランの大学医療センター10施設を通じて、ICUに入室したCOVID-19患者を対象に、2×2要因デザインを用いて多施設共同無作為化試験を行った。 本試験で被験者は、エノキサパリン中等量(体重120kg未満でクレアチニン・クリアランス値30mL/分超に対し、1mg/kg/日)または同標準量(40mg/日)による予防的抗凝固療法と、スタチンまたはプラセボ(第2の仮説、本論では結果報告なし)を、それぞれ投与(両群の投与量について、体重とクレアチニン・クリアランス値に応じて調整)。割り付け治療は、30日間のフォローアップ完遂まで行うよう計画された。 被験者の募集期間は2020年7月29日~11月19日で、主要アウトカムの30日間フォローアップの最終日は2020年12月19日だった。 有効性の主要アウトカムは、30日以内の静脈または動脈血栓症・ECMOの使用・死亡の複合だった。試験の適格基準を満たし割り付け試験薬を1回以上投与された被験者を対象に分析を行った。 事前に規定した安全性に関するアウトカムは、BARCによる大出血(タイプ3または5)の非劣性評価(非劣性マージン:オッズ比[OR]1.8)、重症血小板減少症(血小板数:20×103/μL未満)などだった。大出血発生率も非劣性示せず 600例が無作為化を受け、主要解析には562例(93.7%)が含まれた(年齢中央値62歳[範囲:50~71]、女性は237例[42.2%])。 主要有効性アウトカムの発生は、中等量群126例(45.7%)、標準量群126例(44.1%)だった(絶対リスク差:1.5%[95%信頼区間[CI]:-6.6~9.8、OR:1.06[95%CI:0.76~1.48]、p=0.70)。 大出血の発生は、中等量群7例(2.5%)、標準量群4例(1.4%)で、ORは1.83(片側97.5%CI:0.00~5.93)と非劣性は示されなかった(非劣性のp>0.99)。重症血小板減少症の発生は、中等量群でのみ6例(2.2%)で認められた(6 vs.0、リスク差:2.2%[95%CI:0.4~3.8]、p=0.01)。

2072.

第51回 「コロナワクチン、選べるようにする!」、ワクチン担当大臣補佐官発言のおそまつ

「会場を選べば打つワクチンを選ぶことができる」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は所用があって中央道を使って長野県に住む大学の先輩宅に行ってきました。先輩はリタイア後、別荘地で暮らしているのですが、最近ワクチン接種を巡って不穏な動きがあると話していました。不穏な動きとは、知人の女性が属する地域のあるグループが「ワクチンは危険だから接種はやめましょう」という運動をしている、というのです。「とくに新聞も読んでないようだし、NHKニュースもちゃんと観ていない人たちで、インターネットで探した情報だけで理論武装しているんだよね。高齢者が多い地方だからこそ、ワクチン接種は必要なのに…」と、先輩は渋い表情でボヤいていました。さて、そんな話を聞いた翌28日の朝、友人宅でぼんやりテレビを見ていたら、興味深い放送がありました。フジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」に出演した小林 史明ワクチン担当大臣補佐官が、国民がどの種類のワクチンを接種するか自ら選択できるようにする、という考えを示したのです。小林氏は「接種会場ごとに打つワクチン(の種類)を決めていく。それは公表されるので、会場を選べば打つワクチンを選ぶことができる」と説明。接種に関し「自身の理解や判断、事情で打ちたくない、打たないという判断をされる方もいると思う。そういう判断ができるような情報をしっかり提供して、選べる環境を作っていきたい」と語っていました。この発言を聞いて、「おいおい、こいつ大丈夫かよ」と思わず声が出てしまいました。まだまだ不透明なワクチン確保新型コロナウイルスワクチンについて、いよいよ高齢者の接種が4月12日から始まりますが、一般向け接種のスケジュールはまだ示されていません。日本政府は、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したmRNAワクチンを年内に1億4,400万回分(7,720万人分)の供給を受ける契約を結んでいるほか、英アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチン 1億2,000万回分(6,000万人分、今年初頭から)、米モデルナ社のmRNAワクチン5,000万回分(2,500万人分、今年上半期と第3四半期の二期に分けて)の供給契約を結んでいます。ただ、これらはあくまで契約上の数字であり、確実に確保できるかどうかはわかりません。たとえば、先行して承認されたファイザーのワクチンは、6月までに約5,000万人分(1億回分)を輸入することが決まっています。しかし、欧州連合(EU)の輸出管理強化が長引いており、必要量の確保には不確定要素が残っています。アストラゼネカのワクチンは2月5日に承認申請。モデルナのワクチンも、日本での供給を請け負う武田薬品工業が3月5日に申請しています。いずれも順調にいけば5月にも承認される見込みですが、これもあくまでも順調にいけば、の話です。河野 太郎ワクチン担当大臣、「完全に勇み足」と撤回そんな中の「ワクチンは選べるようにする」発言。政府は高齢者と先月17日に始まった医療従事者の接種まではファイザー製のみを使うとしているため、小林氏の言う「選べる」のが仮に実現するとしたら、一般接種での運用、ということになるでしょう。……とここまで書いたら、この発言を撤回する旨のニュースが飛び込んできました。小林氏のボスにあたる河野 太郎ワクチン担当大臣が3月30日午前の記者会見で、新型コロナウイルスワクチン接種をめぐり、希望するワクチンを選択できるとした小林氏の28日の発言について「完全に勇み足だ。撤回しておわびする」と述べたのです。産経新聞等の報道によれば、河野大臣は「ワクチンを接種するかどうかを選択できるが、現在ワクチンはファイザー1社しか承認されていない」と説明。今後、英アストラゼネカ社、米モデルナ社の承認が予定されているとしつつも、「それをどのような形で接種していくか戦略を検討しているところで、まだ何も決まっていない」と語ったとのことです。また、河野大臣は加藤 勝信官房長官が3月29日の記者会見で国民が希望するワクチンを選択できるかどうかについて慎重に検討する考えを示したことに対して、「まだ何も決めてない。複数が流通することも決まってない」と述べたとのことです。各市町村に3種類の接種場所は非現実政府は1会場で使用するワクチンは1種類とする方針なので、仮に小林氏の発言を実行するとすれば、各市町村にファイザー製、アストラゼネカ製、モデルナ製の3種類のワクチンを配り、3種類の接種場所を用意させるということになりますが、どう考えてもそんな煩雑なオペレーションが可能とは思えず、小林氏は何を根拠に「選べるようにする」と語ったかは不明です。ちなみに、厚生労働省サイトの「新型コロナワクチンについてのQ&A」1)には「接種するワクチンは選べますか」という「Q」がありますが、その「A」は曖昧で、「接種を受ける時期に供給されているワクチンを接種することになります。また、複数のワクチンが供給されている場合も、2回目の接種では、1回目に接種したワクチンを同じ種類のワクチンを接種する必要があります」と書かれているのみです。「ワクチンを選びたい人」は7割超ただ、「ワクチンを選びたい」というニーズは高いようです。フジテレビの「日曜報道 THE PRIME」でも視聴者投票約2万7,000人の調査結果で74%が「ワクチンの種類を選べるなら選択したい」と回答した、と伝えていました。「日経メディカル」が昨年12月に医師6,830人に調査した結果でも、医師の55%が「選べた方がよい」と回答。この調査では製薬・バイオ業界の関係者50人にも聞いていますが、業界関係者の78%が「選べた方がよい」と回答していました。とは言え、一般の人がさまざまな報道や情報を基に、有効性や副反応のデータを勘案し、自らワクチンを選ぶことができるのでしょうか。また、選択(人気)に大きな偏りが出て、使われないワクチンが大量に出てしまったらどうするのでしょう。国際社会の中で、先進国と途上国との間のワクチン格差が問題になっている現状では、未使用廃棄は許されるものではありません。接種を行う人材さえ確保できていない市町村も仮に選べるようにする場合、最大の懸念は、市町村側の負担です。複数のワクチンが国内で使用できるようになれば、それぞれのワクチンの特性に応じた管理や接種体制が必要になります。そこまでの対応ができる市町村はごく少数に留まるでしょう。厚生労働省が3月19日に公表した調査結果によれば、65歳以上の高齢者対象の新型コロナウイルスワクチン接種について、約2割の市区町村で「接種を担う医師を全く確保できていない」ことがわかっています。接種を行う人材さえ確保できていないのに、その接種をワクチンの種類に合わせ3パターンで運用するというのは、どう考えても現実的ではなかったのです。この「ワクチンを選べるようにする」発言。河野大臣の右腕として抜擢された小林氏(まだ37歳、NTTドコモ出身)の単なるテレビ用リップサービスであった可能性が高そうです。河野大臣からも相当お灸をすえられたことでしょう。それにしても、そんな軽はずみな発言をする人物を大臣補佐官に任命せざるを得ない自民党の人材不足に、「おいおい、この国大丈夫かよ…」と改めてつぶやいた、花見日和の日の午後でした。参考1)新型コロナワクチンについてのQ&A/厚生労働省

2073.

国内の新型コロナ変異株、9割超が英国株/厚労省

 厚生労働省は、3月23日時点で確認された国内の新型コロナウイルスの変異株の累計感染者数は549例で、空港検疫で報告された100例を合わせて649例に上ると発表した。前週から164例の増加となる。緊急事態宣言が全都道府県で解除され、日々の新型コロナ感染者数および重症者数は早くも増加傾向を示している。来月から新年度がスタートし、さらに人の動きが活発化することは必至で、感染動向を注視する必要がある。 厚労省によると、国内で確認された変異株549例は、26都道府県から報告されたもの。このうち最も確認数が多かったのは兵庫県161例(前週比で+67)で、大阪府105例(+33)、埼玉県58例(+1)、新潟県32例(±0)、神奈川県30例(+2)などが続く。 変異株の内訳は、英国株501例(前週比で+127)、南アフリカ株13例(+5)、ブラジル株35例(+18)となっている。26都道府県のうち、23都道府県は英国株のみ、あるいは英国株が多数を占めているが、千葉県(18/20例)および山梨県(2/2例)はブラジル株のみ、あるいはブラジル株が多数を占めている。岐阜県(9/9例)で確認されたのは、すべて南アフリカ株だった。このほか、確定には至っていないものの、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)で把握した変異株PCR陽性者数は、累計で792例(速報値)となっている。

2074.

新型コロナ、高齢者は再感染しやすい可能性/Lancet

 デンマークでは2020年2月~12月の期間に、毎週平均で国民の約10%がPCR検査を受けており、全体の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の再感染防御率は80%を超えたものの、65歳以上では50%未満と低く、これら高齢の既感染者へのワクチン接種が重要であることが、同国Statens Serum InstitutのChristian Holm Hansen氏らの調査で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月17日号に掲載された。SARS-CoV-2への感染が、その後の再感染をどの程度まで防御するかはよくわかっていない。2020年、デンマークでは、大規模な無料PCR検査戦略の一環として、約400万人(人口の69%)が1,060万件の検査を受けたという。再感染防御効果を評価する観察研究 研究グループは2020年の全国的なPCR検査データを用いて、SARS-CoV-2への再感染に対する防御効果を評価する目的で、観察研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。 デンマーク微生物学データベース(Danish Microbiology Database)から2020年の個人レベルのデータを収集し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第2波期間中(2020年9月1日~12月31日)の感染率を、第1波期間中(同年3月~5月)のPCR検査の陽性率および陰性率と比較した。主解析では、第1波と第2波の間に初めて検査で陽性となった集団や、第2波の前に死亡した集団は除外された。 また、代替的解析の手法を用いて、第2波だけでなく流行期全体を通じた再感染率の検討を実施。日付に関係なく、3ヵ月以上前に感染が確定された集団と確定されていない集団で、年間を通じた感染率を比較した。また、この代替コホート解析では、年齢層別、性別、感染後の経過期間別の違いを評価した。 潜在的な交絡因子を補正した率比(RR)を算出し、再感染防御率を1-補正後RRの式で推定した。性別、感染後の経過期間別の再感染防御率に差はない デンマークにおけるSARS-CoV-2のPCR検査の施行能力は、2月の最初の検査から年末にかけて、2020年を通じて急速に向上し、毎週平均、人口の約10%が検査を受けた。感染流行が急増した第1波期間中(6月以前)に、53万3,381人がPCR検査を受け、そのうち1万1,727人(2.20%)が陽性で、第2波の時期まで追跡された52万5,339人のうち、第1波期間中に陽性だったのは1万1,068人(2.11%)であった。 第1波期間中のPCR検査陽性者のうち、72人(0.65%、95%信頼区間[CI]:0.51~0.82)が第2波期間中に再び陽性であったのに対し、第1波で陰性の51万4,271人のうち、第2波で陽性となったのは1万6,819人(3.27%、3.22~3.32)で、補正後RRは0.195(95%CI:0.155~0.246)であり、感染後の推定再感染防御率は80.5%(95%CI:75.4~84.5)であった。代替コホート解析では、初回感染から90日以降の再感染防御率は、ほぼ同様の結果であった(補正後RR:0.212[95%CI:0.179~0.251]、再感染防御率:78.8%[95%CI:74.9~82.1])。 また、代替コホート解析では、年齢65歳以上の再感染防御率は47.1%(95%CI:24.7~62.8)と、他の年齢層(0~34歳82.7%、35~49歳80.1%、50~64歳81.3%)に比べて低かった(p<0.0001)。一方、性別(男性78.4%[95%CI:72.1~83.2]vs.女性79.1%[73.9~83.3])および感染後の経過期間別(3~6ヵ月79.3% vs.≧7ヵ月77.7%)の再感染防御率には有意な差はなかった。 著者は、「これらの知見は、人口のどの層にワクチンを接種すべきかの判断に有益な可能性があり、とくに自然の防御能が低下している高齢の人々においては、既感染者への接種を提唱するものである」としている。

2075.

第53回 Pfizerワクチン接種者に待望の胚中心が認められた

Pfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b2が引き出す新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体免疫はどうやら長続きすることを示す確かで息長い胚中心(germinal center)反応がマウスに続いて待望のヒト試験でも認められました1,2)。リンパ節に形成される胚中心は長く備わる抗体生成B細胞を生み出します。胚中心の暗領域(dark zone)ではそれぞれ独自の抗体を備えたB細胞が数多く作られ、明領域(light zone)で教官役のT細胞と手合わせして目当てのタンパク質の認識性能が検査されます。不合格のB細胞は暗領域に戻されて洗練されるか消され、合格したB細胞は不死化してメモリーB細胞かプラズマ細胞になって抗体が担う防御効果を数年あるいは長ければ何十年も発揮し続けます。胚中心反応はPfizer/BioNTechのmRNAワクチン接種2回を済ませた12人のリンパ節検体の観察で明らかになりました。細針吸引で採取したリンパ節検体にはSARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合する胚中心B細胞が1回目接種の後に12人全員に認められました2)。2回目の接種後に胚中心B細胞の割合は上昇し、ほとんどの人で少なくとも7週間後まで高い水準を保ち、メモリーB細胞やプラズマ細胞の順調な生成が伺われました。胚中心反応が長いほど抗体生成B細胞はより徹底的な訓練を受けることができ、メモリーB細胞やプラズマ細胞へとより分化することができます。去年12月にImmunity誌に発表された報告3)によるとマウスへのSARS-CoV-2 mRNAワクチン接種の胚中心反応はタンパク質ワクチンを上回ります。非mRNAワクチンのヒトでの胚中心反応はまだ不明ですが、現状ではmRNAワクチンにどうやら分があるようです。mRNAワクチンに分がありそうなことは他にもあります。たとえば、Pfizer/BioNTechのmRNAワクチン接種者のリンパ節のスパイクタンパク質標的形質芽細胞の多くは血中を巡るIgG抗体を作るものでしたが、意外にも、大抵は感染した鼻や腸などの粘膜組織で作られるIgA抗体を作る形質芽細胞もかなり存在しました2)。それらIgA生成細胞は先立つ季節性コロナウイルスの上気道感染で備わったIgA生成メモリーB細胞を起源とするのかもしれません。mRNAワクチンが引き出すIgA生成細胞の効果がどれほどのものかはこれから調べる必要がありますが、おそらくはIgG抗体を上回る働きを担う粘膜組織に出向いて感染防御機能を担うのでしょう1)。また、興味深いことにスパイクタンパク質を標的とする胚中心B細胞のいくつかはSARS-CoV-2以外の風邪原因コロナウイルス(季節性ベータコロナウイルスOC43やHKU1)のスパイクタンパク質に反応しました2)。mRNAワクチンは新顔を生み出すだけでなく先立つ感染で備わった古参のメモリーB細胞を胚中心で再び訓練するように仕向ける働きもあるようです。mRNAワクチンがまさに期待通りの効果を担うことを示した今回の結果はどのコロナウイルスも抑制する抗体や防御するワクチンを見つける取り組みを助けるだろうとワシントン大学の免疫学者Ali Ellebedy氏は言っています1)。今回の研究を率いた同氏等はインフルエンザワクチン接種後の胚中心反応を数年前から調べ始めてその成果、血球凝集素に結合する胚中心B細胞の発見を天下の科学誌Natureに昨夏に報告4)しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種が始まる頃にはそれらではどうかを調べる準備ができていました1)。参考1)Pfizer Vaccine Induces Immune Structures Key to Lasting Immunity / TheScientist2)SARS-CoV-2 mRNA vaccines induce a robust germinal centre reaction in humans. Research Square. 09 Mar, 20213)Lederer K,et al, Immunity.2020 Dec 15;53:1281-1295.e5.4)Turner JS, Nature. 2020 Oct;586:127-132.

2076.

ワクチン接種完了率の高い高齢者、重症者が大幅減/CDC

 新型コロナワクチン接種を世界でいち早く進めたイスラエルにおいて、ワクチン2回接種の完了者が多い70歳以上で、人工呼吸器を必要とする重症者数がワクチン接種開始前と比べて大幅に減ったことがわかった。米国疾病対策センター(CDC)が発行するMorbidity and Mortality Weekly Report3月5日号掲載の報告。 イスラエルではファイザー社製ワクチンを使用し、60歳以上、医療従事者、基礎疾患を持つ人を優先して接種するキャンペーンを展開。2021年2月9日までに計360万6,858人が初回接種を受け、そのうち222万3,176人(62%)が2回目の接種を完了した。年代別に見た2回目接種完了率は70歳以上、60〜69歳、50〜59歳、50歳未満で、それぞれ84.3%、69.0%、50.2%、9.9%だった。 COVID-19の重症判定を人工呼吸器の使用とし、2回接種の完了率が最も高い70歳以上(84.3%)と最も低い50歳未満(9.9%)との間で、人工呼吸器を必要とした患者数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・2020年10月2日~2021年2月9日に、人工呼吸器を必要とした1日当たり患者数の中央値は、50歳未満で15(範囲:6~63)、70歳以上で84(範囲:45~127)だった。 ・2020年10月8日~12月30日において、70歳以上と50歳未満の人工呼吸器装着患者の比率の平均は5.8:1だった(99%信頼区間[CI]:5.5~6.1、範囲:4.2~8.5)。・2021年1月の最終週に、70歳以上の1日当たり人工呼吸器装着患者数が減少しはじめたが、50歳未満は依然として増加していた。・2021年2月9日時点での人工呼吸器装着患者の7日間移動平均数において、70代以上は109例、50歳未満は57.7例、両者の比率は1.9:1となり、70歳以上の比率は10月~12月時点から67%減となった。 レポートは、この結果は新型コロナワクチンには、COVID-19重症化予防効果もあることを示すものだとしている。

2077.

新型コロナのPCR、鼻咽頭スワブ陰性も結膜で陽性

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はさまざまな体液などを介して感染するが、人間の涙液内のウイルスの存在に関する情報は不十分である。イタリア・インサブリア大学のClaudio Azzolini氏らが横断研究を行った結果、結膜スワブで陽性を示し鼻咽頭スワブで陰性を示す可能性があることから、結膜スワブの使用は診断・検査の補足になることを明らかにした。ただし、研究者らは「感染力までは決定づけられなかった」としている。JAMA Ophthalmolmology誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。 研究者らは結膜スワブ検査利用への可能性と適用性を評価することを目的に、2020年4月9日~5月5日の期間、所属先のAzienda Socio-Sanitaria Territoriale (ASST)Sette-Laghi Hospitalの集中治療室にて、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)法を用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の結膜と鼻咽頭におけるSARS-CoV-2の割合を調査した。また、それを基にウイルスの存在に付随する臨床状態の関連性について調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象者はCOVID-19で入院した91例と無症状の健康ボランティア17例を含む合計108例で、平均年齢±SDは58.7±14.2歳、女性55例、男性53例だった。・COVID-19にて入院した91例に対し鼻咽頭スワブを実施したところ58例が陽性(63.7%、95%信頼区間[CI]:53.0~73.6%)だった。また、COVID-19診断と臨床症状からの経過時間による結膜スワブ陽性者数に差は見られなかった。・一方、91例に結膜スワブを実施したところ、52例の眼表面にSARS-CoV-2が検出された(57.1%、95%CI:46.3~67.5%)。ただし、両眼からの平均ウイルス量に大きなばらつきがあった(中央値[範囲]:284コピー/μL[29~4万5,000])。・結膜スワブからウイルスが検出された入院患者52例のうち31例は両目から検出された。・健康ボランティアの結膜スワブ検査は全員が陰性だった。・患者サブセット41例に対し、結膜スワブと鼻咽頭スワブ検査の両検査を2日以内に実施した場合、両方で陽性だったのは63.0%(95%CI:41.0~81.0%)だった。・この41例のうち7例は両検査とも陰性だった。一方、10例は鼻咽頭スワブの結果は陰性だったものの、結膜スワブの結果が陽性だった(平均ウイルス量[範囲]:881.7コピー/μL[29~6,900])。・結膜スワブ陽性の52例のウイルス量中央値は25〜75パーセンタイルで、ウイルス量中央値は、1週目で1,120コピー/μL、2週目で303コピー/μL、3週目で424コピー/μL、4週目で295コピー/μLだった。・今回の研究ではウイルス検出と併存疾患との間に関連は見られなかった。結膜スワブ陽性患者のほうが陰性患者よりも、少なくとも片眼の徴候または表面炎症の有病率がわずかに高かった。

2078.

新型コロナ学級内クラスターの発生はわずか、スイス/BMJ

 2020年8月から再開されたスイスの初等~中等学校では、いくつかの予防措置が講じられたことで、地域社会の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の伝播が中等度~高度で全体的な血清有病率が上昇した時期にあっても、血清陽性の子供の小規模感染者集団が発生した学級はごくわずかであったことが、同国・チューリヒ大学のAgne Ulyte氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2021年3月17日号に掲載された。SARS-CoV-2感染症の伝播における児童生徒の役割には議論の余地があるが、現に学校での感染爆発は起きており、子供の血清有病率は成人と同程度の可能性がある。児童生徒におけるSARS-CoV-2感染の伝播とその影響を理解することは、適切な緩和策の実施のために重要とされる。チューリヒ州の6~16歳の前向きコホート研究 研究グループは、2020年6月~11月の期間に、スイス・チューリヒ州において、SARS-CoV-2の血清有病率の長期的な変動を調査し、学級内で血清陽性となった子供たちにおける小規模感染者集団の発生状況を明らかにする目的で、前向きコホート研究を行った(Swiss School of Public Health[SSPH+]の調達資金などから助成を受けた)。 スイスは、2020年秋に欧州で発生した最大規模の第2波SARS-CoV-2パンデミックの一角を占めた。この時期に学校を再開したことで、中等度~高度な曝露環境となったため、SARS-CoV-2感染の調査が実施された。 地区ごとに無作為に選ばれた学校および学級の子供たちが、SARS-CoV-2の血清検査を受けるよう要請された。保護者は、社会人口統計学的な質問と健康に関する質問に答えた。検査では、SARS-CoV-2の4つの標的(受容体結合ドメイン、スパイクタンパク質S1とS2、ヌクレオカプシドタンパク質N)に対する免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA)を解析した。 要請を受けた156校のうち55校が調査に参加し、この中から275の学級(6~16歳)が無作為に選ばれた。参加者数は、2020年6月~7月(夏期)が2,603人、同年10月~11月(晩秋期)が2,552人であった。 主要アウトカムは、2020年6月~7月と10月~11月のSARS-CoV-2血清検査、学級内の小規模感染者集団、子供の症状とされた。血清有病率の解析にはベイズロジスティック回帰法が用いられた。陽性者の40%が陰性化、陽性者3人以上は7学級(5%)のみ 血清検査の陽性者は、夏期は検査を受けた2,496人中74人であったが、晩秋期には2,503人中173人に増加した。SARS-CoV-2の血清有病率は、夏期が2.4%(95%信用区間[CrI]:1.4~3.6)で、夏期に陽性でなかった子供における晩秋期の新規陽性率は4.5%(3.2~6.0)であり、血清陽性の子供の割合は7.8%(6.2~9.5)であった。 地区ごとの血清有病率にはばらつきがあり、晩秋期は1.7~15.0%の幅が認められた。低学年(6~9歳)、中学年(9~13歳)、高学年(12~16歳)で、夏期陽性者と晩秋期新規陽性者を併せた割合に差はなかった(それぞれ8.5%、8.0%、6.4%)。また、性別の違いで血清有病率に差はなかった。 夏期と晩秋期の両方で血清検査を受けた2,223人のうち、夏期に陽性の70人のうち28人(40%)が晩秋期には陰性化し、夏期に陰性の2,153人のうち109人(5%)が陽性化した。 症状は、血清陰性者の22%(420/1,923人)および夏期以降の新規陽性者の29%(29/101人)にみられた。血清陽性者で頻度の高い症状は、頭痛(13.9%)、鼻水/鼻詰まり(11.9%)、咽喉炎(11.9%)、疲労(8.9%)であった。また、SARS-CoV-2感染症の診断を受けた子供の血清陽性者に対する比は、2020年1月~11月の期間が1対13で、2020年7月~11月の期間は1対8だった。 少なくとも1人の子供が新規に血清陽性となったのは、55の学校中47校、275の学級中90学級であった。生徒の参加率が高かった130の学級のうち、血清陽性者が発生しなかったのは73学級(56%)、陽性者1~2人は50学級(38%)で、3人以上の陽性者が発生したのは7学級(5%)だった。 著者は、「SARS-CoV-2の新たな変異株や、地域社会での感染レベルの活発な変動が起きた場合に、これらの知見も変化するかに関しては、確実なことはいえない」としている。

2079.

第48回 GWまでに第3波の2倍も想定、病床確保計画の見直しへ/厚労省

<先週の動き>1.GWまでに第3波の2倍も想定、病床確保計画の見直しへ/厚労省2.オンライン資格確認システム、全額補助申請は今月まで3.DPC病院、稼働率80%以上を維持も予定外の再入院率は変化なし4.12日から始まる高齢者ワクチン、一部自治体では同時に一般人への接種も5.看護師の離職率、職員11.5%新卒8.6%と昨年比0.8%上昇6.死因究明等推進のために「死因究明等推進計画」の策定へ1.GWまでに第3波の2倍も想定、病床確保計画の見直しへ/厚労省田村厚生労働大臣は、23日の記者会見で、緊急事態宣言の解除後も新型コロナウイルス感染の再拡大が危惧されており、病床確保など一般医療と両立しつつ、「緊急対応策」を講じる準備が必要との考えを示した。厚労省は、都道府県に対して、5月までに最大患者数が今冬の2倍程度になる事態も想定した新たな感染者受け入れ計画を策定するよう通知を発する予定。全国自治体病院協議会の小熊会長は、「都道府県などと連携して病床の確保に努めるが、一般医療機能の逼迫にもつながりかねない」と懸念を25日の定例記者会見で明らかにしている。(参考)コロナ病床の確保計画、都道府県に見直し求める 厚労省(朝日新聞)さらなるコロナ病床確保に努めるが「一般医療機能の逼迫」懸念、重点医療機関等は2020年度黒字の可能性も―全自病・小熊会長(Gem Med)田村大臣会見概要 2021年3月23日(厚労省)資料 緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応(新型コロナウイルス感染症対策本部)2.オンライン資格確認システム、全額補助申請は今月まで厚生労働省は、26日に開催された社会保障審議会・医療保険部会において、健康保険証の代わりにマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認システムの運用開始を、半年間先送りにすることを決定した。これまでの試験運用において、健康保険組合が管理する情報が一部で不正確だったため、3月末の予定を延期し、当面は試行運用を続け、今年10月の本格運用を目指す。なお、医療機関などが今月末までに申し込めば、カードリーダーなどのシステム改修費について国費で全額補助されるが、4月以降の補助は減額される。21日時点での申し込み数は、病院で約5,000(60.4%)、薬局で約4万(66.5%)と報告されている。(参考)保険証利用の本格運用先送り マイナカード、トラブルで―厚労省(時事ドットコム)厚労省 オンライン資格確認の本格導入を「遅くとも10月まで」に延期 プレ運用は継続(ミクスOnline)資料 オンライン資格確認等システムについて(厚労省)3.DPC病院、稼働率80%以上を維持も予定外の再入院率は変化なし中央社会保険医療協議会・総会が24日に開催され、2019年度DPC導入の影響評価に係る「退院患者調査」の結果が報告された。平均在院日数は、大学病院本院で12.21日、DPC特定病院群、DPC標準病院群ではそれぞれ34日、11.76日といずれも過去5年で最短となっている。一方、病床利用率は、大学病院本院群82.3%、DPC特定病院群85.9%、DPC標準病院群81.0%といずれも80%以上を維持したが、DPC準備病院や出来高病院ではそれぞれ78.7%、75.5%と低迷している状況がうかがえる。また、計画外の再入院率ではいずれの病院群でも、3~4%と過去5年間で大きな変動はなく、在院日数短縮による影響は認められていない。(参考)資料 2019年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告(厚労省)病床利用率80%超の高水準を継続、DPC病院 中医協、平均在院日数の短縮続き(CBnewsマネジメント)4.来月開始の高齢者ワクチン、一部自治体では同時に一般人への接種も河野 太郎ワクチン担当相は、26日の記者会見において、4月12日に始まる高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種について、欧州の承認が前提となるが、GW明けの5月中旬に約490万人分を配送することを明らかにし、5月9日までに配送する330万人分と合わせ、計820万人分が各自治体に届くため、高齢者向けの接種が大型連休後に拡大することを発表した。また、1バイアルで6回分が接種できる特殊な注射器が使用可能となるのは5月中と明らかにした。なお、人口1,000人以下の一部の自治体や離島では、高齢者と同時に一般の人にも接種が行われる見通しを示した。(参考)注射器を“切り替え” 高齢者もワクチン1瓶で6回接種へ(TBS NEWS)ワクチン接種 人口少ない自治体など 高齢者に合わせ一般の人も(NHK)資料 高齢者向け接種を実施するための新型コロナワクチン等の配分について(厚労省 事務連絡令和3年3月26日)5.看護師の離職率、職員11.5%新卒8.6%と昨年比0.8%上昇日本看護協会が行った「2020年病院看護実態調査」の結果、昨年度、全国の医療機関に勤める看護職員の離職率は11.5%、新卒採用された看護師の離職率は8.6%と、それぞれ前年度より0.8%上昇したことをプレスリリースで明らかにした。また、今回初めて採用の困難さが報告されている看護補助者の採用・離職の状況などについて調査したところ、「研修の充実」「意見を吸い上げ」など採用・定着のための取り組みを行っているにもかかわらず、離職率は29.9%と著しく高いことが明らかとなった。今年春以降のワクチン接種に向けて、自治体では医師のほか看護人材の採用難に直面していることが報道でも明らかとなっており、医療現場のみならず介護サービスでも看護スタッフの採用などに影響が出そうだ。(参考)ニュースリリース「2020年 病院看護実態調査」結果(日本看護協会)看護職員の離職率増加 新型コロナ感染拡大が影響か(NHK)ワクチン集団接種、7割の自治体はぶっつけ本番? 2割は看護師確保見通せず 厚労省全市区町村調査(東京新聞)6.人材育成・設備強化など「死因究明等推進計画」の策定へ厚労省の死因究明等推進本部は、24日に「死因究明等推進計画検討会報告書」を発表した。わが国の制度は諸外国に比較すると十分ではないことや、犯罪行為により死亡したものを病死と判断する事例から死因究明体制の強化が求められてきたことを踏まえ、2020年7月から議論を重ねてきた内容を取りまとめたもの。施策として、死因究明等に係る人材の育成、教育および研究拠点、専門的な機関の全国的な整備などを求めている。この報告書をもとに、死因究明等推進本部では「死因究明等推進計画案」を決定し、政府に「死因究明等推進計画」の策定を働きかけることとなった。なお、都道府県ごとの大学の法医学教室における人員数を見ると、常勤医師数は全国で152人だが、中には常勤医師数1人のみで大学院生もいない大学もあるなど、法医学等死因究明に係る教育や研究拠点の整備に今後も国による支援が必要と考えられる。(参考)死因究明等推進計画検討会報告書の公表について(厚労省)資料 「死因究明等推進計画検討会報告書」(同)資料 「死因究明等の推進に関する参考資料」(同)

2080.

新型コロナ、4ヵ月後も7割に胸部CT異常/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による長期的な後遺症の詳細は知られていない。フランス・パリ・サクレー大学のLuc Morin氏らCOMEBAC試験の研究グループは、COVID-19で入院した患者の、退院4ヵ月後の健康状態を調査した。その結果、約半数が少なくとも1つの、COVID-19罹患前にはなかった新たな症状(疲労、認知症状、呼吸困難など)を訴え、勧奨を受けて外来を受診した患者の約6割に胸部CTで肺の異常所見(多くはわずかなすりガラス状陰影)が、約2割に線維化病変が認められるなどの実態が明らかとなった。JAMA誌オンライン版2021年3月17日号掲載の報告。フランスの単一施設の前向きコホート研究 本研究は、2020年3月1日~5月29日の期間にCOVID-19でパリ・サクレー大学病院(Bicetre病院)に入院し、その後退院した成人患者を対象とする前向きコホート研究である(フランスAssistance Publique-Hopitaux de Paris[AP-HP]の助成による)。 患者が退院後3~4ヵ月の時点(同年7月15日~9月18日)で、電話による診察が行われた。関連症状が持続している患者や、集中治療室(ICU)に入室していた患者は、外来を受診して追加の健康評価を受けるよう勧められた。 電話では、Q3PC認知スクリーニング質問票と症状チェックリストを用いて、呼吸器、認知機能、機能的症状などの評価が行われた。外来受診患者には、肺機能検査、肺CT検査、心理測定/認知検査(36-Item Short-Form Health Survey[SF-36]、20-item Multidimensional Fatigue Inventory[MFI-20]を含む)が施行され、元ICU入室患者や症状が持続している患者には心エコー図検査が実施された。元ICU入室患者の23%で不安、18%でうつ状態、7%で心的外傷後症状 478例(平均年齢61[SD 16]歳、女性201例[42%])が電話による診察を受け、このうち177例(37%、平均年齢56.9[13.2]歳、女性68例[38.4%])が外来を受診した。478例中142例が元ICU入室患者で、このうち外来を受診したのは97例だった。 電話診察では、244例(51%)が、COVID-19罹患前にはなくCOVID-19で入院中に新たに発症し、この電話診察時まで持続する症状が1つ以上あると申告した。症状は、疲労(31%)、呼吸困難(16%)、持続性の知覚障害(12%)、ベースラインから5%以上の体重減少(9%)などであった。また、21%に認知症状がみられ、Q3PC質問票による認知検査で18%が記憶障害と判定された。 MFI-20(145例)の意欲低下スコア(1[最良]~5[最悪]点)中央値は4.5点(IQR:3.0~5.0)、精神的疲労感スコア(1[最良]~5[最悪]点)中央値は3.7点(3.0~4.5)であった。また、SF-36(130例)の下位尺度である「身体的理由による活動の一部制限」のスコア(100[最良]~0[最悪]点)中央値は25点(25.0~75.0)だった。 外来受診では、肺CT検査で63%(108/171例)に異常が認められ、42%(72/170例)はわずかなすりガラス状陰影であった。線維化病変は19%(33/171例)にみられ、1例を除き、病変の範囲は肺実質の25%未満であった。急性呼吸促迫症候群(ARDS)と診断された49例のうち19例(39%)に線維化病変が認められた。 元ICU入室患者(94例)では、23%(22例)に不安、18%(17例)にうつ状態、7%(7例)に心的外傷後症状がみられた。元ICU入室患者(83例)の10%(8例)が、左室駆出率50%未満であった。また、新規慢性腎臓病が元ICU入室患者の2例で発生した。 血清検査では97%(172/177例)が抗SARS-CoV-2抗体陽性であった。この172例中3例は、RT-PCR法でSARS-CoV-2陽性となったことが一度もなかったが、臨床所見とCT所見によりCOVID-19と診断されていた。 著者は、「コホートに対照群はおらずCOVID-19罹患前の評価が行われていないことから、本調査で得られた知見は限定的なものとなる。より長期のアウトカムや、これらの知見が疾患との関連を反映しているかを解明するには、さらなる研究を要する」としている。

検索結果 合計:2935件 表示位置:2061 - 2080