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透析患者におけるアルドステロン拮抗薬の位置付けを再考する―ALCHEMIST試験の結果から(解説:石上友章氏)

 アルドステロンは副腎皮質球状帯より分泌される鉱質コルチコイドであり、その主要な作用部位は腎臓遠位尿細管に属するアルドステロン感受性遠位ネフロン(aldosterone-sensitive distal nephron:ASDN)である。アルドステロンは核内因子である鉱質コルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)と結合し、アルドステロン誘導性タンパク(aldosterone-inducible protein:AIP)の遺伝子発現を活性化することにより、ナトリウム再吸収およびカリウム排泄を促進する。この作用特異性は、11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2(11βHSD2)によって担保される。血中に高濃度に存在し、かつMR親和性においてアルドステロンを凌駕するコルチゾールが、11βHSD2により不活性型のコルチゾンへ変換されることで、MR結合がアルドステロンに選択的に保証されているのである。この点において、アルドステロンは生理的に特異的なシグナル伝達を遂行するホルモンと位置付けられる。 一方で、腎臓以外の臓器においてアルドステロンは線維化、炎症、血管硬化を誘導しうることが知られ、心血管・腎保護的な観点からMR拮抗薬の臨床応用が注目されてきた。小規模試験や観察研究では、心血管イベント抑制効果を示唆する報告も散見されたが、バイアスや症例数の制約から解釈には限界があった。こうした背景の下に実施された大規模二重盲検無作為化試験が、今回Lancet誌に報告されたALCHEMIST試験である。 ALCHEMISTは血液透析中の腎不全患者で、かつ心血管リスクを有する症例を対象に、スピロノラクトン25mg/日とプラセボを比較した多施設共同試験である。主要複合エンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞、急性冠症候群、脳卒中、心不全入院)の発症率は両群で同等であり(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.73~1.36)、有意差は認められなかった。さらに、既報の無作為化比較試験を統合したメタ解析においても、MR拮抗薬は全死亡あるいは心血管死亡を減少させないことが明らかとなった。安全性の面でも高カリウム血症の発症率に有意差はなく、臨床的便益を裏付ける根拠は得られなかった。 本試験の結果は、透析患者においてアルドステロン拮抗薬の腎外臓器保護効果が臨床的アウトカムの改善に結び付かないことを明確に示している。腎不全透析患者に特徴的な病態、すなわちRAAS活性やアルドステロン作用の修飾が背景にある可能性は否定できないが、いずれにしても現時点で「腎外保護」を目的としたMR拮抗薬の透析患者への投与は支持されない。 以上より、アルドステロンの生理的特異性を再確認するとともに、その腎外作用を臨床応用へと展開するには、病態特異的なメカニズム解明と適格集団の同定が不可欠であることを示唆する結果と解釈される。

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第284回 抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防

抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)のアゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を減らしました1,2)。ドイツの病院で募った健康な18~65歳の成人が参加したプラセボ対照第II相試験の結果です。アゼラスチンの効果はもっと幅広いかもしれず、なんなら風邪として知られるライノウイルス感染を減らしうることも示唆されました。アゼラスチンはアレルギー性鼻炎を治療する点鼻薬として海外では広く店頭販売されていますが、2022年に報告された前臨床研究で抗SARS-CoV-2活性が示唆されています3)。その研究では販売されている承認薬一揃いからSARS-CoV-2に効く薬を探すことが試みられ、アゼラスチンに白羽の矢が立ちました。細胞で検討したところ、市販の点鼻液の400分の1ほどの濃度のアゼラスチンの抗SARS-CoV-2活性が示されました。また、市販の点鼻液を5倍に薄めた0.02%のアゼラスチンが鼻組織のSARS-CoV-2の複製を72時間以内にほぼ完全に阻止しました。その前臨床検討結果を頼りにドイツで実施された無作為化試験CARVINで、まずはアゼラスチンのSARS-CoV-2感染治療効果が示されます。同国のUrsapharm Arzneimittel社が主催の同試験では、2021年3~4月にかけて募ったSARS-CoV-2感染患者90例が、鼻組織検討で有効だった0.02%のアゼラスチン、市販品と同一の0.1%のアゼラスチン、プラセボのいずれかを1日3回点鼻しました。その結果、11日間の投与期間のアゼラスチン0.1%群のウイルスがプラセボ群に比べて有意により減少しました4)。また、アゼラスチン0.1%群の症状は最も改善しました。その結果を受けてインドでより多くの被験者を募って実施された無作為化試験CARVIN-IIでも同様に有望な結果が得られています。CARVIN-II試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施され、抗原検査でSARS-CoV-2感染が判明した294例が参加しました。CARVIN試験と同様にアゼラスチン0.1%が1日3回点鼻された患者のウイルスがプラセボ群に比べてより減少しました5)。また発熱、虚弱、低酸素症がプラセボに比べてより改善しました。それら2つの試験結果や作用機序を踏まえるに、アゼラスチンの感染予防効果を調べることは理にかなっているようです。そこでドイツのザールラント大学(Saarland University)のRobert Bals氏らは、アゼラスチン点鼻のSARS-CoV-2やその他の呼吸器病原体の感染予防効果を無作為化試験で調べてみることにしました。同試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施されました。健康な成人がザールラント大学で募集され、最終的に450例が1日3回のアゼラスチンかプラセボの点鼻に割り振られました。約2ヵ月(56日)間の感染率はアゼラスチン群のほうがプラセボ群より有意に低く、それぞれ2.2%と6.7%でした(オッズ比:0.31)。意外にも、SARS-CoV-2以外で最も多かった感染のライノウイルス感染率もアゼラスチン群がプラセボ群より同様に低く、それぞれ1.8%と6.3%でした。ただし、その差が有意かどうかは検討されていません。より大規模な多施設での無作為化試験でのさらなる検討が必要ですが、アゼラスチン点鼻は思い立ったらすぐに実行可能な手軽な手段として既存の予防対策を補完する役割を担えるかもしれません。脆弱な人、感染率が高い時期、旅行する人にはとくに有益かもしれません。 参考 1) Lehr T, et al. JAMA Intern Med. 2025 Sep 2. [Epub ahead of print] 2) Clinical study shows that nasal spray containing azelastine reduces risk of coronavirus infection by two-thirds / Eurekalert 3) Konrat R, et al. Front Pharmacol. 2022;13:861295. 4) Klussmann JP, et al. Sci Rep. 2023;13:6839. 5) Meiser P, et al. Viruses. 2024;16:1914.

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抗アレルギー点鼻薬がコロナ感染リスクを低減

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露前予防には、ワクチン接種以外の医薬品の選択肢は限られている。今回、抗アレルギー薬であるヒスタミン受容体拮抗薬アゼラスチン※の点鼻スプレーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の発生率の有意な減少と関連し、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体の総感染リスク低減とも関連していたことを、ドイツ・ザールランド大学のThorsten Lehr氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年9月2日号掲載の報告。※抗アレルギー点鼻薬としてのアゼラスチンは海外では一般用医薬品として発売されているが、わが国では未発売。 ワクチン接種と集団免疫の確立により、COVID-19の重症度は大幅に軽減された。しかし、引き続き公衆衛生上の大きな負担であり、とくに高リスク集団に対する効果的な曝露前予防の方法が求められている。そこで研究グループは、SARS-CoV-2およびその他の呼吸器病原体に対する曝露前予防としてのアゼラスチン0.1%点鼻スプレーの有効性を評価するため、第II相二重盲検プラセボ対照試験を実施した。 対象は、急性感染症の兆候がなく、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陰性の18~65歳の健康なボランティア450人で、2023年3月~2024年7月に登録された。アゼラスチン点鼻スプレー群またはプラセボスプレー群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、1日3回、56日間、鼻孔ごとに投与した。感染の高リスク状況においては1日5回への増量投与を任意に選択できた。 参加者は週2回、研究スタッフによるSARS-CoV-2迅速抗原検査を受け、陽性の場合はPCR検査で確認された。症状があるにもかかわらず迅速抗原検査が陰性の場合には、SARS-CoV-2を含む呼吸器病原体に対してマルチプレックスPCR検査を実施した。主要評価項目は、試験開始から56日までにPCR検査で確認されたSARS-CoV-2感染の発生率であり、両群の比較には2群間の比率の差を検定するz検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・450人のうち227人がアゼラスチン群、223人がプラセボ群に無作為に割り付けられた。平均年齢は33.5歳、女性66.4%、白人92.7%、アフリカ系0.9%、アジア系4.9%、その他の民族が1.6%であった。・主要評価項目であるSARS-CoV-2感染の発生率は、アゼラスチン群はプラセボ群と比較して有意に低かった。 -アゼラスチン群2.2%(5/227例)vs.プラセボ群6.7%(15/223例) -リスク差:-4.5%ポイント、95%信頼区間(CI):-8.3~-0.7、p=0.02 -オッズ比:0.31、95%CI:0.11~0.87・アゼラスチン群では、症候性SARS-CoV-2感染の発生が少なく(1.8%vs.6.3%)、感染者におけるSARS-CoV-2感染までの期間が長く(31.2日vs.19.5日)、迅速抗原検査の陽性期間が短く(3.4日vs.5.1日)、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体を含む総感染者数が少なかった(21人vs.49人)。・PCR検査で確認されたライノウイルス感染症の発生率は、アゼラスチン群のほうがプラセボ群よりも低かった(1.8%vs.6.3%)。・有害事象の発現率は両群で同程度であったが、薬剤との関連が疑われる有害事象(主に苦味、鼻出血、倦怠感)はアゼラスチン群で多く報告された。 研究グループは、「本試験はサンプルサイズが小さく、主に健康なワクチン接種済みの集団を対象としていたため、これらの知見を他の状況に一般化できるかどうかは限定的」としたうえで、「これらの結果は、アゼラスチン点鼻スプレーがSARS-CoV-2による呼吸器感染症の発生率を低下させる可能性を示唆している。アゼラスチン点鼻スプレーは、確立された安全性プロファイル、入手しやすさ、使いやすさから、とくに大規模な集会や旅行といった感染リスクの高い状況における曝露前予防としての可能性がある」とまとめた。

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主要5クラスの降圧薬、単剤・併用の降圧効果を定量化/Lancet

 オーストラリア・University of New South WalesのNelson Wang氏らは、主要5クラスの降圧薬の降圧効果およびそれらの組み合わせによる降圧効果の定量化を目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のシステマティックレビューとメタ解析を行った。降圧薬のあらゆる組み合わせについて、期待される降圧効果の強固な推定値を提示し、その降圧効果の程度を低強度・中強度・高強度に分類可能であることを示した。著者は、「得られた知見は、世界中の高血圧治療を受ける人々の、不良な血圧コントロールを改善するための処方決定に役立つ情報となるだろう」と述べている。Lancet誌2025年8月30日号掲載の報告。診察室SBPの低下を定量化、各療法の降圧効果の強度を低・中・高に分類 研究グループは、成人参加者がアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、Ca拮抗薬、利尿薬のいずれかまたは組み合わせの投与を受けた無作為化二重盲検プラセボ対照試験を対象に、システマティックレビューとメタ解析を行った。適格基準は、追跡期間は4~26週、降圧薬治療(投与量と種類)が血圧のフォローアップ前4週間以上にわたり固定していること、治療群間の収縮期血圧(SBP)の平均群間差を算出するために診察室血圧が利用できることとした。クロスオーバー期間のウォッシュアウト期間が2週間未満のクロスオーバー試験は除外した。 データベースの公開~2022年12月31日に発表された適格試験を、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Epistemonikosを検索して特定した。さらに検索の更新を行い、2023年1月1日~2025年2月28日に発表された試験を含めた。 主要アウトカムは、プラセボと比較した実薬治療の診察室SBPの低下(ベースラインから最長追跡時点[最短4週]までの平均SBP変化量の差)とした。 降圧効果は、ベースライン血圧(包含試験全体の平均ベースライン血圧154/100mmHg)により標準化し、固定効果メタ解析を用いて平均差と95%信頼区間(CI)を推算した。また、単剤・併用それぞれの薬物療法を、SBPのベースライン値154mmHgからの低下の程度で、低強度(<10mmHg低下)、中強度(10~19mmHg低下)、高強度(≧20mmHg低下)に分類した。あらゆる降圧薬の併用療法の有効性を計算するモデルを開発し、2剤併用または3剤併用の外部試験で検証した。標準用量単剤療法、SBP低下8.7mmHg、79%が低強度 解析には、484試験の10万4,176例が含まれた。平均年齢は54歳(SD 8)、男性5万7,422例(55%)、女性4万6,754例(45%)であり、平均追跡期間は8.6週(SD 5.2)であった。 平均して、標準用量での単剤療法によるSBP低下は8.7mmHg(95%CI:8.2~9.2)であった。クラス別では、ACE阻害薬6.8mmHg、ARB 8.5mmHg、β遮断薬8.9mmHg、Ca拮抗薬9.5mmHg、利尿薬10.8mmHg。複数のメタ解析で薬剤クラスによってかなりの異質性が認められ(I2>50%)、同一クラスでも薬剤間の有効性は異なることが示唆された。 また、単剤療法では用量倍増で、SBPは追加で1.5mmHg(1.2~1.7)低下した。用量反応性はβ遮断薬が最も小さく0.5mmHg、Ca拮抗薬が最も大きく2.6mmHgだった。 さらに、単剤療法ではベースラインSBPが10mmHg低下するごとに、降圧効果は1.3mmHg(95%CI:1.0~1.5)低下したが、薬剤クラス間で差がみられた。 降圧の程度は、標準用量での単剤療法57種のうち45種(79%)が低強度に分類された。標準用量2剤併用療法、SBP低下14.9mmHg、58%が中強度、11%が高強度 平均して、標準用量での2剤併用療法によるSBP低下は14.9mmHg(95%CI:13.1~16.8)であった。併用する両剤の用量倍増で、SBPは追加で2.5mmHg(1.4~3.7)低下した。 降圧の程度は、2剤併用療法の異なる薬剤・用量の組み合わせ189種のうち、110種(58%)が中強度に分類され、21種(11%)が高強度に分類された。 あらゆる併用療法の有効性モデルを外部試験で検証した結果、SBPの予測値と測定値の間に高い相関関係があることが示された(r=0.76、p<0.0001)。

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降圧薬で腸管血管性浮腫の報告、重大な副作用を改訂/厚労省

 2025年9月9日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの降圧薬で重大な副作用が改められた。 今回、ACE阻害薬、ARB、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)および直接的レニン阻害薬の腸管血管性浮腫について評価した。その結果、「血管性浮腫の一種である腸管血管性浮腫についても、潜在的なリスクである可能性があること」「国内外副作用症例において、腸管血管性浮腫に関連する報告が認められていない薬剤もあるものの、複数の薬剤において腸管血管性浮腫との因果関係が否定できない症例が認められていること」「医薬品医療機器総合機構で実施したVigiBaseを用いた不均衡分析において、複数のACE阻害薬およびARBで『腸管血管性浮腫』に関する副作用報告数がデータベース全体から予測される値より統計学的に有意に高かったこと」を踏まえ、改訂に至った。◆例:アジルサルタンの場合[重大な副作用]血管浮腫顔面、口唇、舌、咽・喉頭等の腫脹を症状とする血管性浮腫があらわれることがある。↓血管性浮腫顔面、口唇、舌、咽・喉頭等の腫脹を症状とする血管性浮腫があらわれることがある。また、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫があらわれることがある。 対象医薬品は以下のとおり。<ACE阻害薬>アラセプリル(商品名:セタプリル錠)イミダプリル塩酸塩(同:タナトリル錠)デラプリル塩酸塩(同:アデカット錠)トランドラプリル(同:オドリック錠)ペリンドプリルエルブミン(同:コバシル錠)<ARB>アジルサルタン(同:アジルバ錠)イルベサルタン(同:アバプロ錠)オルメサルタン メドキソミル(同:オルメテック錠)カンデサルタン シレキセチル(同:ブロプレス錠)バルサルタン(同:ディオバン錠)アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:ザクラス配合錠)イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:アイミクス配合錠)イルベサルタン・トリクロルメチアジド(同:イルトラ配合錠)オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(同:レザルタス配合錠)カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩(同:ユニシア配合錠)カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド(同:エカード配合錠)テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:ミカムロ配合錠)テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(同:ミカトリオ配合錠)テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:ミコンビ配合錠)バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:エックスフォージ配合錠)バルサルタン・シルニジピン(同:アテディオ配合錠)バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:コディオ配合錠)ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(同:プレミネント配合錠)<ARNI>サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(同:エンレスト錠)<直接的レニン阻害薬>アリスキレンフマル酸塩(同:ラジレス錠) このほか、メサラジン(同:ペンタサ、アサコール ほか)、サラゾスルファピリジン(同:アザルフィジン、サラゾピリン ほか)アダリムマブ(同:ヒュミラ ほか)、イピリムマブ(同:ヤーボイ)・ニボルマブ(同:オプジーボ)、メロペネム水和物(同:メロペン)に対しても、それぞれ重大な副作用などが追加された。

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全年齢で130/80mmHg未満を目標に、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』発刊/日本高血圧学会

 日本高血圧学会は『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、JSH2025)を8月29日に発刊した。6年ぶりとなる今回の改訂にあたり、大屋 祐輔氏(琉球大学名誉教授/高血圧管理・治療ガイドライン2025作成委員長)と苅尾 七臣氏(自治医科大学循環器内科学部門 教授/日本高血圧学会 理事長)が降圧目標や治療薬の位置付けと選択方法などについて、7月25日に開催されたプレスセミナーで解説した。 本書は高血圧患者(140/90mmHg以上)のほか、高値血圧(130~139/80~90mmHg)、血圧上昇に伴い脳心血管リスクが高まる正常高値血圧以上(120/80mmHg以上)のすべての人を対象に作成され、Clinical Question(CQ)全19項目が設けられた。主な改訂点は(1)降圧目標を合併症などを考慮し全年齢「130/80mmHg」*へ、(2)降圧薬選択におけるβ遮断薬の復活、(3)治療の早期介入と治療ステップ、(4)治療アプリの活用など。各パラグラフで詳細に触れていく。*診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満個別性に配慮し、全年齢で130/80mmHg未満を目指す 日本高血圧学会は2000年から四半世紀にわたってガイドラインを作成し、高血圧の是正問題に力を入れてきた。しかし、高所得国における日本人の高血圧有病率は最も不良であり、昨今の罹患率は2017年の推計値とほぼ同等の4,300万例に上る1)。そこで、今回の改訂では、国民の血圧を下げるために、“理論でなく行動のためのもの、シンプルでわかりやすい、エビデンスに基づくもの”という理念を基に、正常血圧の基準(120/80mmHg未満)や、高血圧の基準(140/90mmHg以上)などの数値は欧米のガイドラインを踏まえて据え置くも、JSH2025作成のために実施されたシステマティック・レビューならびにメタ解析の結果から脳心血管病発症リスクを考慮し、「原則的に収縮期血圧130mmHg未満を降圧目標とする」とした(第2部 5.降圧目標[p.67~69]、CQ4、8、9、12、14参照)。 これについて大屋氏は「降圧目標130/80mmHg。これが本改訂で押さえておくべき値である。前版の『高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)』では75歳以上の高齢者、脳血管障害や慢性腎臓病(蛋白尿陰性)を有する患者などは有害事象の発現を考慮して140/90未満と区別していた。しかし、これまでの国内外の研究からも高値血圧(130~139/80~89mmHg)でも心血管疾患の発症や死亡リスクが高いことから、高血圧患者であれば、120/80mmHg以上の血圧を呈するすべての者を血圧管理の対象とする。また、降圧目標も75歳以上の高齢者も含めて、診察室血圧130/80mmHg未満に定めることとした。ただし、大屋氏は「一律に下げるのではなく、副作用や有害事象に注意しながら個別性を考慮しつつ下げる」と注意点も強調している。 JSH2019発刊後も高血圧の定義が140/90mmHg以上であるためか、降圧目標をこの値に設定して治療にあたっている医師が少なくない。「130/80mmHg未満を目標に、血圧レベルや脳心血管病発症の危険因子などのリスクを総合的に評価し、個々に応じた治療計画を設定することが重要」と同氏は繰り返し強調した。苅尾氏も「とくに朝の血圧上昇がさまざまなリスク上昇に影響を及ぼしているにもかかわらず、一番コントロールがついていない。ガイドライン改訂と血圧朝活キャンペーンを掛け合わせ、朝の血圧130未満の達成につなげていく」と言及した。β遮断薬の処方減に危機感 高血圧に対する治療介入は患者を診断した時点が鍵となる。まず治療を行うにあたり、脳心血管病に対する予後規定因子(p.65、表6-1)を基に血圧分類とリスク層別化(同、表6-2)を行い、そのリスク判定を踏まえて、初診時血圧レベル別の高血圧管理計画(p.67、図6-1)から患者個々の血圧コントロールを進めていく。実際の処方薬を決定付けるには、主要降圧薬の積極的適応と禁忌・重要な注意を要する病態(p.95、表8-1)、降圧薬の併用STEPにおけるグループ分類(p.95、表8-2)を参考とする。今回の改訂では積極的適応がより具体的になり、脳血管障害はもちろん、体液貯留や大動脈乖離、胸部大動脈瘤の既往にも注意を払いたい。 そしてもう1つの変更点は、降圧薬のグループ分類が新設されたことである。「治療薬の選択については、β遮断薬を除外した前回の反省点を踏まえ、単剤でも脳心血管病抑制効果が示されている5種類(長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬)を主要降圧薬(グループ1、以下G1降圧薬)に位置付けた(表8-2)」と大屋氏は説明。とくにβ遮断薬の考え方について、「JSH2019では糖尿病惹起作用や高齢者への適応に関してネガティブであったが、それらの懸念は一部の薬剤に限るものであり、有用性と安全性が確立しているビソプロロールとカルベジロールの使用は推奨される。また、耐糖能異常を来す患者への投与について、前版では慎重投与となっていたが重要な注意の下で使用可能な病態とした」とし、「各薬剤の積極的適応、禁忌や注意すべき病態を考慮するために表8-1を参照して処方してほしい。もし積極的適応が表8-1にない場合には、コラム8-1(p.96)のアドバイスを参考にG1降圧薬を選択してもらいたい」ともコメントした。 また、治療を進めていく上では図8-1の降圧薬治療STEPの利用も重要となる。G1降圧薬の単剤投与でも効果不十分であれば2剤併用やG2降圧薬(ARNI、MR拮抗薬)の処方を検討する。さらに降圧目標を達成できない場合にはG1・G2降圧薬から3剤併用を行う必要がある。ただし、それでも効果がみられない場合には、専門医への紹介が考慮される。 なおMR拮抗薬は、治療抵抗性高血圧での追加薬として有用であることから、実地医家の臨床上の疑問に応える形でクエスチョンとしても記されている(p.181、Q10)。薬物療法は診断から1ヵ月以内に 続いて、大屋氏は治療介入のスピードも重要だとし、「今改訂では目標血圧への到達スピード(薬物投与の時期)も押さえてほしい」と話す。たとえば、低・中等リスクなら生活習慣の改善を実施して1ヵ月以内に再評価を行い、改善がなければ改善の強化とともに薬物治療を開始する。一方、高リスクであれば生活習慣の改善とともにただちに薬物療法を開始するなど、降圧のスピードも考慮しながらの管理が必要だという。 ただし、急性腎障害や症候性低血圧、過降圧によるふらつき、高カリウム血症などの電解質異常といった有害事象の出現に注意が必要であること、高齢者のなかでもフレイルや要介護などに該当する患者の対応については、特殊事例として表10-4に降圧指針(p.151)が示されていることには留意したい。利用者や対象者を明確に、血圧管理にアプリの活用も 本書の利用対象者は多岐にわたるため、各利用対象を考慮して3部構成になっている。第1部(国民の血圧管理)は自治体や企業団体や一般市民など、第2部(高血圧患者の管理・治療)は実地医家向け、第3部(特殊な病態および二次性高血圧の管理・治療)は高血圧、循環器、腎臓、内分泌、老年の専門医療に従事する者やその患者・家族など。 新たな追加項目として、第7章 生活習慣の改善に「デジタル技術の活用」が盛り込まれた点も大きい。高血圧治療補助アプリは成人の本態性高血圧症の治療補助として2022年9月1日に保険適用されている。苅尾氏が降圧目標達成に向けた血圧管理アプリの利用について、「デジタル技術を活用した血圧管理に関する指針が発刊されているが、その内容が本ガイドラインに組み込まれた(CQ7)。その影響は大きい」ともコメントしている。現在、日本高血圧学会において、製品概要や使用上の注意点を明記した『高血圧治療補助アプリ適正使用指針(第1版)』を公開している。 同学会は一般市民への普及にも努めており、7月25日からはYouTubeなどを利用した動画配信を行い、血圧目標値130/80mmHgの1本化についての啓発を進めている。あわせてフェイク情報の拡散問題の解決にも乗り出しており、大屋氏は「フェイク情報を放置せず、正確な情報提供が必要だ。本学会からの提言として、『高血圧の10のファクト~国民の皆さんへ~』を学会ホームページならびに本書の付録(p.302)として盛り込んでいるので、ぜひご覧いただきたい」と締めくくった。

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慢性咳嗽のカギ「咳過敏症」、改訂ガイドラインで注目/杏林

 8週間以上咳嗽が持続する慢性咳嗽は、推定患者数が250〜300万例とされる。慢性咳嗽は生活へ悪影響を及ぼし、患者のQOLを低下させるが、医師への相談割合は44%にとどまっているという報告もある。そこで、杏林製薬は慢性咳嗽の啓発を目的に、2025年8月29日にプレスセミナーを開催した。松本 久子氏(近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学教室 主任教授)と丸毛 聡氏(公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 呼吸器内科 主任部長)が登壇し、慢性咳嗽における「咳過敏症」の重要性や2025年4月に改訂された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025』に基づく治療方針などを解説した。慢性咳嗽により労働生産性が約3割低下 松本氏は「知ってますか? 『長引く咳』と『咳過敏症』」と題し、慢性咳嗽のQOLへの影響や病態、咳過敏症の臨床像やメカニズムなどについて解説した。 慢性咳嗽はQOLを大きく低下させる。心理的側面では「咳をすると周囲の目線が気になる」「咳をすることが恥ずかしい」「会話や電話ができない」などの悪影響が生じる。また、食事への影響が生じたり、とくに女性では尿失禁が起こったりする場合もある。症状が強い場合には、咳失神や肋骨骨折にもつながる。このように、慢性咳嗽患者は日常生活においてさまざまな困りごとを抱えており、労働生産性の損失率は約30%にのぼるという報告がなされている。 慢性咳嗽の原因はさまざまであり、主な疾患として、喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症(GERD)、副鼻腔気管支症候群などが挙げられる。そこで問題となるのが、これらの疾患は画像検査や呼吸機能検査、血液検査で特異的な所見がみられないことが多いという点である。そのため、慢性咳嗽の診断・治療では、咳の出やすいタイミングや随伴する症状などを問診で明らかにし、原因疾患に対する治療を行いながら経過を観察していくこととなる。しかし、これらの疾患に対する治療を行っても、約2割が難治性慢性咳嗽となっているのが現状である。難治性慢性咳嗽の背景にある咳過敏症 松本氏は、「難治性慢性咳嗽の背景にあるのが咳過敏症症候群である」と指摘する。咳過敏症症候群は「低レベルの温度刺激、機械的・化学的刺激を契機に生じる難治性の咳を呈する臨床症候群」と定義され1)、煙や香水などの香り、会話や笑うことなどのわずかな刺激により咳が出て止まらなくなる状態である。 2023年に公開された英国胸部学会の最新のガイドライン「成人慢性咳嗽に関するClinical Statement」2)では、慢性咳嗽の「treatable traits(治療可能な特性)」として12項目が示され、このなかの1つに「咳過敏症」が示されている。これについて、松本氏は「慢性咳嗽という大きな括りのなかには、さまざまな原因疾患があり、加えて咳過敏症もあるという考えである。難治化した慢性咳嗽患者は咳過敏症を有していると考えることもできる」と述べ、咳過敏症に対する対応の重要性を強調した。改訂ガイドラインでtreatable traitsを明記 続いて、丸毛氏が「長引く咳に関する診療の進め方-最新の診療ガイドラインをふまえて-」と題して講演した。そのなかで、『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025』の咳嗽パートの改訂のポイントから、「慢性咳嗽のtreatable traits」「咳過敏症の重要性」「難治性慢性咳嗽についての詳説」の3項目を取り上げ、解説した。 容易に原因の特定ができない狭義の成人遷延性・慢性咳嗽の対応として、本ガイドラインでは、喀痰がある場合は「副鼻腔気管支症候群」への治療的診断を行い、喀痰がない、あるいは少量の場合は「咳喘息」「アトピー咳嗽/喉頭アレルギー(慢性)」「GERD」「感染後咳嗽」に対する診断的治療を行って、咳嗽の改善を評価することが示されている。ここまでは前版と同様であるが、前版では原因疾患への対応で改善がみられない場合の治療法は示されていなかった。しかし、改訂ガイドラインでは、その先の対応として「treatable traitsの検索」「P2X3受容体拮抗薬の使用の検討」が示された。 treatable traitsの概念は、患者の病態のなかで、「明確に評価・測定できる」「臨床的に意義があり、予後や生活に影響する」「有効な介入手段が存在する」という条件を満たすものである。treatable traitsは患者によって単一の場合もあれば、複数の場合もある。また、複数の場合は個々のtraitsが占める割合も患者によって異なる。 従来の診療は、喘息であれば吸入ステロイド薬、COPDであれば気管支拡張薬など、診断名に応じて標準治療を一括適用するという考えであった。しかし、treatable traitsを考慮した治療では、同じ診断名でも個々の病態の構成要素は異なるため、それらをしっかりと見極めて治療を行う。これは「プレシジョン・メディシンに近い考え方である」と丸毛氏は述べる。 改訂ガイドラインでは、英国胸部学会の最新のガイドライン「成人慢性咳嗽に関するClinical Statement」2)で示されたtreatable traitsが採用されており、「GERD」「喘息などの呼吸器系基礎疾患」「睡眠時無呼吸症候群」「肥満」「ACE阻害薬の服用」など、12項目が示されている。そのなかの1つに「咳過敏症」がある。これについて、丸毛氏は「慢性咳嗽の難治化の要因となる咳過敏症がtreatable traitsとして示されたのは非常に重要なことである。改訂ガイドラインは、非専門医の先生方にも個別化医療を実践しやすく作成されているため、ぜひ活用いただきたい」と述べ、ガイドラインの普及による咳嗽診療レベルの向上への期待を語った。選択的P2X3受容体拮抗薬「ゲーファピキサント」の登場 咳過敏症に対する初の分子標的薬が、選択的P2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサント(商品名:リフヌア)である。咳のメカニズムの1つとして、P2X3受容体の関与がある。炎症や刺激により気道上皮細胞などから放出されたATPが、感覚神経に存在するP2X3受容体を刺激することで咳過敏性が亢進する。ゲーファピキサントはこれを抑制することで、咳嗽を改善させる。ゲーファピキサントは難治性の慢性咳嗽を改善するほか、日常生活や睡眠の質の改善も報告されている。 ゲーファピキサントは発売から3年以上が経過し、使用経験も積み重ねられている。改訂ガイドラインでも、フローチャートに難治性咳嗽の選択肢として掲載された。これについて、丸毛氏は「咳嗽は非専門医の先生方が多く診られているため、咳嗽の診療に慣れた先生であれば、非専門医であっても選択肢として提示可能であると判断され、ガイドラインにも記載されている」と説明した。 ゲーファピキサントには代表的な有害事象として、味覚に関連する有害事象があり、マネジメントが重要となる。そこで、味覚に関連する有害事象への対応について松本氏に聞いたところ「亜鉛が欠乏すると味覚障害が強くなりやすいため、亜鉛欠乏に注意することが必要である。また、後ろ向き研究ではあるが、麦門冬湯を併用していると味覚障害が軽かったというデータもあるため、麦門冬湯の併用も選択肢の1つになるのではないか」との回答が得られた。

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透析を要する腎不全患者、MRAは心血管死を予防するか/Lancet

 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、心不全および非重症慢性腎臓病の患者の心血管イベントを予防する可能性があるが、透析を要する腎不全患者への効果は明らかではない。カナダ・McMaster UniversityのLonnie Pyne氏らの研究チームは、この患者集団におけるMRAの有効性と安全性の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を実施。ステロイド型MRAは、透析を要する腎不全患者における心血管疾患による死亡にほとんど、あるいはまったく影響を及ぼさなかったことを示した。研究の成果は、Lancet誌2025年8月23日号で報告された。19試験4,675例のメタ解析 本研究では、1974~2015年に発表された論文に関する以前の系統的レビューに、その後2025年3月18日までに新たに報告された10件の論文(最近の2つの大規模試験[ALCHEMIST、ACHIEVE]を含む)を追加してデータを更新し、メタ解析を実施した(本研究は特定の研究助成を受けていない)。 維持透析療法を受けている腎不全の成人(年齢18歳以上)患者において、MRAと対照(プラセボまたは標準治療)を比較した無作為化対照比較試験を対象とし、ステロイド型MRAに関する19件の試験(スピロノラクトン18件、エプレレノン2件、これら2剤を対象とした1件を含む)に参加した4,675例を解析に含めた。 主要アウトカムは心血管疾患による死亡率とし、経験的ベイズ法に基づく変量効果モデルを用いて評価した。心血管死のリスクに差はない 心血管死亡率の評価は11件(4,349例)の試験で行われ、このうち5件(3,562例)はバイアスリスクが低く、6件(787例)は高かった。低バイアスリスク試験における心血管死の発生率はMRA群で14.8%(264/1,785例)、対照群で15.5%(276/1,777例)であり(オッズ比[OR]:0.98[95%信頼区間[CI]:0.80~1.20]、I2=2.9%、τ2=0.0、エビデンスの確実性:中)、両群間に差を認めなかった。 MRA群で、1,000例当たりのイベント数が年間1件(95%CI:-14~11)減少すると示唆された。 また、高バイアスリスク試験における心血管死の発生率のORは0.33(95%CI:0.17~0.67)、全試験のORは0.73(0.46~1.16)であった。高カリウム血症、女性化乳房のリスクが上昇 心血管死以外の7つの評価項目に関する低バイアスリスク試験または全試験の解析結果は以下のとおりであった。MRA群で高カリウム血症(≧6.5mmol/L)と、女性化乳房または乳房痛のリスクが上昇したが、各試験の絶対リスクは低かった。・心不全による入院:低バイアスリスク試験2件(3,182例)、MRA群5.9%(94/1,580例)vs.対照群6.6%(106/1,602例)、OR:0.70(95%CI:0.30~1.65)、I2=71.1%、τ2=0.29、エビデンスの確実性:低。 ・全死因死亡:同6件(3,602例)、30.6%(553/1,805例)vs.31.9%(574/1,797例)、0.97(0.84~1.12)、0%、0、中。 ・全入院:同1件(2,538例)、57.8%(728/1,260例)vs.58.5%(748/1,278例)、0.97(0.83~1.14)、中。 ・高カリウム血症(≧6.0mmol/L):全試験5件(1,104例)、33.7%(190/563例)vs.31.8%(172/541例)、1.07(0.81~1.40)、0.0%、0.0、低。 ・高カリウム血症(≧6.5mmol/L):低バイアスリスク試験4件(2,918例)、8.2%(120/1,465例)vs.5.7%(78/1,375例)、1.50(1.11~2.03)、0.0%、0.0、中。 ・女性化乳房または乳房痛:同5件(3,448例)、2.3%(40/1,728例)vs.0.7%(12/1,720例)、3.02(1.57~5.81)、0.0%、0.0、中。 ・低血圧:全試験5件(3,012例)、2.3%(35/1,509例)vs.2.0%(30/1,500例)、1.04(0.61~1.78)、0.0%、0.0、低。非ステロイド型MRAの情報はない 著者は、「本研究の知見は、ステロイド型MRAは透析を要する腎不全患者における心血管疾患による死亡にほとんど、あるいはまったく影響を及ぼさず、潜在的な有害性(harm)のリスクを示唆する」「これらの患者のサブグループにおけるステロイド型MRAの効果に関する情報は不十分であり、非ステロイド型MRAについては情報がまったくない」としたうえで、「これらの患者は心血管死のリスクが依然として高く、有効な治療法が引き続き緊急に求められている」とまとめている。

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血液透析患者へのスピロノラクトン、心血管イベントを抑制するか/Lancet

 慢性血液透析を受けている腎不全患者は、一般集団と比較して心血管疾患による死亡リスクが10~20倍高いが、血液透析患者は通常、心血管アウトカムを評価する臨床試験から除外されるという。フランス・Association ALTIRのPatrick Rossignol氏らALCHEMIST study groupは、心血管イベントのリスクの高い血液透析患者において、ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬スピロノラクトンの有効性を評価する目的で、研究者主導の多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験「ALCHEMIST試験」を実施。スピロノラクトンは主要心血管イベント(MACE)の発生を抑制しなかったことを示した。研究の詳細は、Lancet誌2025年8月16日号に掲載された。欧州3ヵ国の早期中止試験 本試験は、2013年6月~2020年11月に3ヵ国(フランス、ベルギー、モナコ)の64施設で参加者を登録し行われた(フランス保健省の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、腎不全で慢性血液透析(週3回以上)を受けており、少なくとも1つの心血管合併症またはリスク因子を有する患者644例であった。スピロノラクトン群(25mg/日まで漸増、経口投与)に320例、プラセボ群に324例を無作為に割り付け、主要エンドポイントであるMACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、急性冠症候群、脳卒中、心不全による入院)の発生率を評価した。 試験は2022年11月(最後の参加者の追跡期間が2年の時点)に資金不足のため早期中止となった。MACE発生率は改善せず 全体の年齢中央値は70.8歳(四分位範囲[IQR]:63.5~78.1)、男性が444例(69%)で、血液透析期間中央値は1.7年(IQR:0.7~4.5)だった。追跡期間中央値は32.6ヵ月(17.3~48.4)であった。 MACEの発生率は、スピロノラクトン群で24%(78/320例、10.66/100人年[95%信頼区間[CI]:8.54~13.31])、プラセボ群で24%(79/324例、10.70/100人年[8.59~13.35])と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.00[95%CI:0.73~1.36]、p=0.98)。 MACEの各項目では、心不全による入院(2%[7/320例]vs.5%[17/324例]、HR:0.41[95%CI:0.17~1.00])の発生率がスピロノラクトン群で低かったが、他の項目については両群間に差はなかった。忍容性は良好 副次エンドポイントについては、心停止からの蘇生を含む非致死的心血管イベント(12%[37/320例]vs.17%[56/324例]、HR:0.66[95%CI:0.43~0.99])の発生率はスピロノラクトン群で良好であった。一方、全死因死亡、心血管系以外の原因による死亡、高カリウム血症(血清カリウム値>6mmol/L)、低カリウム血症(同<4mmol/L)の発生率には両群間に差がなかった。 スピロノラクトン群の忍容性は良好であった。とくに注目すべき有害事象としての高カリウム血症の発生率の群間差は1.8%ポイント(イベント発生率はスピロノラクトン群11.7%vs.プラセボ群9.9%)、とくに注目すべき重篤な有害事象としての高カリウム血症の発生率の群間差は2.7%ポイント(28.3%vs.25.6%)と小さかった。5試験のメタ解析でもほぼ同様の結果 既報の4試験と本試験を対象にメタ解析を行った。その結果、プラセボと比較してミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、全死因死亡(オッズ比[OR]:0.71[95%CI:0.41~1.24]、p=0.23、I2=43%)、心血管死(0.72[0.33~1.58]、p=0.41、I2=57%)、非致死的心血管イベント(1.00[0.77~1.30]、p=0.99、I2=0%)の改善をもたらさなかった。 また、プラセボに比しミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、高カリウム血症イベント(OR:1.04[95%CI:0.90~1.20]、p=0.58、I2=0%)の発生率を上昇させなかった。 著者は、「本試験および本試験を含むメタ解析の結果は、スピロノラクトンが心血管リスクの高い血液透析を受けている腎不全患者に臨床的有益性をもたらさないことを示している」「これらの患者におけるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の適応外使用が、心血管死や全死因死亡を有意に低下させたとする実臨床データがあるが、本試験の知見はこれを支持しない」としている。

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スピロノラクトン、維持透析患者の心不全・心血管死を減少させるか/Lancet

 維持透析を受けている腎不全患者において、スピロノラクトン25mgの1日1回経口投与はプラセボと比較し、心血管死および心不全による入院の複合アウトカムを減少させなかった。カナダ・McMaster UniversityのMichael Walsh氏らが、12ヵ国143の透析プログラムで実施した医師主導の無作為化並行群間比較試験「ACHIEVE試験」の結果を報告した。維持透析を受けている腎不全患者は心血管疾患および死亡のリスクが大きいが、スピロノラクトンがこれらの患者において心不全および心血管死を減少させるかどうかは明らかになっていなかった。著者は、「本試験では、維持透析患者におけるスピロノラクトン導入の有益性は認められなかった。維持透析患者の心血管疾患と死亡を減少させるための、ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に代わる選択肢について、さらなる研究が必要である」とまとめている。Lancet誌2025年8月16日号掲載の報告。心血管死または心不全による入院の複合アウトカムをプラセボと比較 ACHIEVE試験の対象は、45歳以上、または糖尿病の既往がある18歳以上の腎不全患者で、3ヵ月以上維持透析を受けている患者であった。 研究グループは、登録患者全例に非盲検導入期としてスピロノラクトン25mgを1日1回7週間以上経口投与し、血清カリウム値が6.0mmol/Lを超えておらず、忍容性があり試験薬の服薬を順守できると判断した患者を、ブロック無作為化法(ブロックサイズ4)により、施設で層別化し、スピロノラクトン群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者、医療従事者および評価者は、いずれも盲検化された。 主要アウトカムは心血管死または心不全による入院の複合アウトカムで、無作為化された全患者を解析対象集団としてイベント発生までのtime-to-event解析を行った。無益性のため試験は早期に中止 2017年9月19日~2024年10月31日に3,689例がスクリーニングされ、3,565例が非盲検導入期に登録された。このうち2,538例が、スピロノラクトン群(1,260例)またはプラセボ群(1,278例)に無作為化された。患者背景は、女性931例(36.7%)、男性1,607例(63.3%)であった。 2024年12月10日時点で、主要アウトカムのイベント報告数508件(総予想数の78%)を含む中間解析の結果に基づき、外部の安全性・有効性モニタリング委員会により無益性による試験の早期中止が勧告された。最終追跡調査は2025年2月28日に終了し、追跡期間中央値は1.8年(四分位範囲:0.85~3.35)であった。 複合アウトカムのイベントは、スピロノラクトン群で258例(10.46件/100患者年)、プラセボ群で276例(11.33件/100患者年)に認められ、ハザード比(HR)は0.92(95%信頼区間[CI]:0.78~1.09、p=0.35)であった。 両群で心血管死(HR:0.89、95%CI:0.74~1.08)、心臓死(0.81、0.64~1.03)、血管死(1.07、0.77~1.47)、および全死因死亡(0.95、0.83~1.09)はいずれも同等で、心不全による初回入院(0.97、0.72~1.30)ならびにあらゆる初回入院(0.96、0.87~1.06)も両群で差はなかった。

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「高齢者の安全な薬物療法GL」が10年ぶり改訂、実臨床でどう生かす?

 高齢者の薬物療法に関するエビデンスは乏しく、薬物動態と薬力学の加齢変化のため標準的な治療法が最適ではないこともある。こうした背景を踏まえ、高齢者の薬物療法の安全性を高めることを目的に作成された『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』が2025年7月に10年ぶりに改訂された。今回、ガイドライン作成委員会のメンバーである小島 太郎氏(国際医療福祉大学医学部 老年病学)に、改訂のポイントや実臨床での活用法について話を聞いた。11領域のリストを改訂 前版である2015年版では、高齢者の処方適正化を目的に「特に慎重な投与を要する薬物」「開始を考慮するべき薬物」のリストが掲載され、大きな反響を呼んだ。2025年版では対象領域を、1.精神疾患(BPSD、不眠、うつ)、2.神経疾患(認知症、パーキンソン病)、3.呼吸器疾患(肺炎、COPD)、4.循環器疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全)、5.高血圧、6.腎疾患、7.消化器疾患(GERD、便秘)、8.糖尿病、9.泌尿器疾患(前立腺肥大症、過活動膀胱)、10.骨粗鬆症、11.薬剤師の役割 に絞った。評価は2014~23年発表の論文のレビューに基づくが、最新のエビデンスやガイドラインの内容も反映している。新薬の発売が少なかった関節リウマチと漢方薬、研究数が少なかった在宅医療と介護施設の医療は削除となった。 小島氏は「当初はリストの改訂のみを行う予定で2020年1月にキックオフしたが、新型コロナウイルス感染症の対応で作業の中断を余儀なくされ、期間が空いたことからガイドラインそのものの改訂に至った。その間にも多くの薬剤が発売され、高齢者にはとくに慎重に使わなければならない薬剤も増えた。また、薬の使い方だけではなく、この10年間でポリファーマシー対策(処方の見直し)の重要性がより高まった。ポリファーマシーという言葉は広く知れ渡ったが、実践が難しいという声があったので、本ガイドラインでは処方の見直しの方法も示したいと考えた」と改訂の背景を説明した。「特に慎重な投与を要する薬物」にGLP-1薬が追加【削除】・心房細動:抗血小板薬・血栓症:複数の抗血栓薬(抗血小板薬、抗凝固薬)の併用療法・すべてのH2受容体拮抗薬【追加】・糖尿病:GLP-1(GIP/GLP-1)受容体作動薬・正常腎機能~中等度腎機能障害の心房細動:ワルファリン 小島氏は、「抗血小板薬は、心房細動には直接経口抗凝固薬(DOAC)などの新しい薬剤が広く使われるようになったため削除となり、複数の抗血栓薬の併用療法は抗凝固療法単剤で置き換えられるようになったため必要最小限の使用となっており削除。またH2受容体拮抗薬は認知機能低下が懸念されていたものの報告数は少なく、海外のガイドラインでも見直されたことから削除となった。ワルファリンはDOACの有効性や安全性が高いことから、またGLP-1(GIP/GLP-1)受容体作動薬は低体重やサルコペニア、フレイルを悪化させる恐れがあることから、高齢者における第一選択としては使わないほうがよいと評価して新たにリストに加えた」と意図を話した。 なお、「特に慎重な投与を要する薬物」をすでに処方している場合は、2015年版と同様に、推奨される使用法の範囲内かどうかを確認し、範囲内かつ有効である場合のみ慎重に継続し、それ以外の場合は基本的に減量・中止または代替薬の検討が推奨されている。新規処方を考慮する際は、非薬物療法による対応で困難・効果不十分で代替薬がないことを確認したうえで、有効性・安全性や禁忌などを考慮し、患者への説明と同意を得てから開始することが求められている。「開始を考慮するべき薬物」にβ3受容体作動薬が追加【削除】・関節リウマチ:DMARDs・心不全:ACE阻害薬、ARB【追加】・COPD:吸入LAMA、吸入LABA・過活動膀胱:β3受容体作動薬・前立腺肥大症:PDE5阻害薬 「開始を考慮するべき薬物」とは、特定の疾患があった場合に積極的に処方を検討すべき薬剤を指す。小島氏は「DMARDsは、今回の改訂では関節リウマチ自体を評価しなかったことから削除となった。非常に有用な薬剤なので、DMARDsを削除してしまったことは今後の改訂を進めるうえでの課題だと思っている」と率直に感想を語った。そのうえで、「ACE阻害薬とARBに関しては、現在では心不全治療薬としてアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、SGLT2阻害薬が登場し、それらを差し置いて考慮しなくてもよいと評価して削除した。過活動膀胱治療薬のβ3受容体作動薬は、海外では心疾患を増大させるという報告があるが、国内では報告が少なく、安全性も高いため追加となった。同様にLAMAとLABA、PDE5阻害薬もそれぞれ安全かつ有用と評価した」と語った。漠然とした症状がある場合はポリファーマシーを疑う 高齢者は複数の医療機関を利用していることが多く、個別の医療機関での処方数は少なくても、結果的にポリファーマシーとなることがある。高齢者は若年者に比べて薬物有害事象のリスクが高いため、処方の見直しが非常に重要である。そこで2025年版では、厚生労働省より2018年に発表された「高齢者の医薬品適正使用の指針」に基づき、高齢者の処方見直しのプロセスが盛り込まれた。・病状だけでなく、認知機能、日常生活活動(ADL)、栄養状態、生活環境、内服薬などを高齢者総合機能評価(CGA)なども利用して総合的に評価し、ポリファーマシーに関連する問題点を把握する。・ポリファーマシーに関連する問題点があった場合や他の医療者から報告があった場合は、多職種で協働して薬物療法の変更や継続を検討し、経過観察を行う。新たな問題点が出現した場合は再度の最適化を検討する。 小島氏らの報告1,2)では、5剤以上の服用で転倒リスクが有意に増大し、6剤以上の服用で薬物有害事象のリスクが有意に増大することが示されている。そこで、小島氏は「処方の見直しを行う場合は10剤以上の患者を優先しているが、5剤以上服用している場合はポリファーマシーの可能性がある。ふらつく、眠れない、便秘があるなどの漠然とした症状がある場合にポリファーマシーの状態になっていないか考えてほしい」と呼びかけた。本ガイドラインの実臨床での生かし方 最後に小島氏は、「高齢者診療では、薬や病気だけではなくADLや認知機能の低下も考慮する必要があるため、処方の見直しを医師単独で行うのは難しい。多職種で協働して実施することが望ましく、チームの共通認識を作る際にこのガイドラインをぜひ活用してほしい。巻末には老年薬学会で昨年作成された日本版抗コリン薬リスクスケールも掲載している。抗コリン作用を有する158薬剤が3段階でリスク分類されているため、こちらも日常診療での判断に役立つはず」とまとめた。

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高齢者の内服薬がわからないとき、避難所の医師が迫られる判断【実例に基づく、明日はわが身の災害医療】第4回

災害現場の声「薬を自宅に忘れた、どうすれば?」大規模災害発生から2日目。避難所では、生活環境が破壊され、多くの高齢者が「普段飲んでいる薬がない」と訴えていました。お薬手帳もなく、内服薬の種類も不明。病院も被災し、通常受診は困難です。被災者からは「せめて、普段飲んでいる薬を少しでも欲しい」と切実な声が聞かれました。近年、大規模地震や水害など、インフラが寸断される自然災害が頻発しています。こうした災害時には医薬品の供給が滞り、とくに高齢者は被災ストレスに加え、普段から内服する薬を失うことで健康被害のリスクと不安が著しく高まります。このような切迫した状況下で、医療者はどう対応すべきなのか、以下に対応例と、その際に知っておくと役立つかもしれない内容を解説します。実際にどう対応したか? 限られた情報で判断高齢者の多くは慢性疾患を抱え、日常的な内服薬が必要ですが、大規模災害発生時には、避難するのが精一杯で、内服薬を持参する余裕がなく、自宅に忘れることがあります。実際の現場では、電子お薬手帳を使いこなす高齢者はまれで、紙のお薬手帳なしでは飲んでいる薬剤名を特定することが困難です。こうした被災者の状況を理解し、「薬がないので、薬が欲しい」という訴えに対応するため、内服薬の特定と代替薬の検討を進める必要があります。お薬手帳や口頭で薬剤名が特定できれば代替薬の調整は容易ですし、内服薬が不明でも、既往症が判明した場合(高血圧、糖尿病、心疾患など)、応急的に代替薬を提供することができます。しかし、内服薬・既往症ともに不明なことが大半です。糖尿病や高血圧の既往、ステロイド服用などは生命に直結する可能性もあるため、かかりつけ医に連絡を取るなど、情報を得る努力が必要です。災害時特有のストレスによるリスクと薬剤選択の原則災害時には、薬の中断により急性増悪のリスクがあることに加え、災害時特有のストレスが加わるため、いくつかの注意点があります。循環器系疾患では、災害発生後には急性心不全やたこつぼ型心筋症など、交感神経の活性化によるストレス誘発性の疾患が増加します1~3)。また、糖尿病患者においては、米国での2005年のハリケーン・カトリーナ後の調査でHbA1c上昇が報告されており4)、避難所の炭水化物中心の食事により高血糖が起こりやすくなることが指摘されています。さらに、食欲低下によるシックデイも想定され、血糖管理には注意が必要です5,6)。次に、災害時の薬剤選択も重要です。処方や在庫、服薬管理の煩雑化を防ぐため、可能な限り単純な治療計画を立て、多剤併用を避ける必要があります。長時間作用型で安全性の高い薬を選ぶことも重要です。たとえば高血圧に対しては、頻回服薬が困難な避難所環境に適した、長時間作用型カルシウム拮抗薬が有用です。そして、物資が限られる中では、「少ない薬で最大の効果を狙う」処方が求められるため、薬剤の種類は絞り、個別の患者状態を見ながら調整が必要です。災害時の慢性疾患管理、限られた状況下での判断力と実践力災害時の慢性疾患管理は、日本に限らず世界的にも共通の課題です。薬を忘れて避難した高齢者への対応は、災害発生後の緊急状況における医療者の判断と具体的な行動が重要になります。災害時には物資の供給が滞るため、薬剤不足は命に直結するリスクがあることを留意しておく必要があります。だからこそ、限られた資源の中で最大限の対応ができるよう、目の前の患者から得られる情報に基づき、迅速かつ実践的な判断を下す能力が、災害対応を担う医療者には不可欠です。日常から、外来に通う患者さんには、お薬手帳と内服薬は災害時に必ず一緒に持って避難するように指導し、可能ならば数日分の備蓄を避難用バッグに入れておくように勧めるのもよいでしょう。 1) 循環器病研究振興財団. 災害時における循環器病~エコノミークラス症候群とたこつぼ心筋症~. 2) 坂田泰彦, 下川宏明. 災害と心不全. 心臓. 2014;46:550-555. 3) Babaie J, et al. Cardiovascular Diseases in Natural Disasters; a Systematic Review. Arch Acad Emerg Med. 2021;9:e36. 4) Fonseca VA, et al. Impact of a natural disaster on diabetes: exacerbation of disparities and long-term consequences. Diabetes Care. 2009;32:1632-1638. 5) 日本糖尿病教育・看護学会. 改訂版 災害時の糖尿病看護マニュアル. 2020年. 6) 日本糖尿病協会. インスリンが必要な糖尿病患者さんのための災害時サポートマニュアル. 2012年.

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肺血管リモデリングを標的とする肺動脈性肺高血圧症薬「エアウィン皮下注用45mg/60mg」【最新!DI情報】第45回

肺血管リモデリングを標的とする肺動脈性肺高血圧症薬「エアウィン皮下注用45mg/60mg」今回は、アクチビンシグナル伝達阻害薬「ソタテルセプト(遺伝子組換え)」(商品名:エアウィン皮下注用45mg/60mg、製造販売元:MSD)を紹介します。本剤は、肺動脈性肺高血圧症の肺血管リモデリングを標的とした新規作用メカニズムを持つ治療薬であり、新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>肺動脈性肺高血圧症の適応で、2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。なお、本剤は肺血管拡張薬による治療を受けている患者に適用を考慮します。<用法・用量>通常、成人にはソタテルセプト(遺伝子組換え)として初回に0.3mg/kgを投与し、2回目以降は0.7mg/kgに増量し、3週間ごとに皮下投与します。<安全性>重大な副作用として、出血(頻度不明)、血小板減少症(4.3%)、血小板数減少(1.0%)、ヘモグロビン増加(9.1%)、赤血球増加症(1.4%)、ヘマトクリット増加(0.5%)があります。その他の副作用として、頭痛、鼻出血、下痢、毛細血管拡張症、注射部位疼痛(いずれも3%以上)、浮動性めまい、眼瞼紅斑、高血圧、紅斑、手掌紅斑、発疹、紅斑性皮疹、斑状皮疹、注射部位紅斑、注射部位発疹(いずれも3%未満)、肺内右左シャント(頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肺高血圧症治療薬で、アクチビンシグナル伝達の阻害を治療標的とした注射薬です。肺の血管壁での異常な細胞増殖を抑える働きがあります。2.肺血管拡張薬による治療を受けている人に使用されます。3.妊娠する可能性がある女性は、この薬を使用している間および使用終了から4ヵ月間は適切な避妊を行ってください。4.授乳している人は、この薬を使用している間および使用終了から4ヵ月間は授乳を避けてください。<ここがポイント!>肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺動脈圧の上昇を特徴とする進行性の希少疾患であり、進行すると右心不全を引き起こし、死に至る可能性があります。薬物治療の基本は肺血管拡張薬であり、プロスタサイクリン(PGI2)作動薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエスラーゼ5(PDE5)阻害薬/可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬の3系統の薬剤が使用されています。これらの薬剤により患者の生存率は向上しましたが、依然として十分な改善を得られない症例も存在し、血管の恒常性を回復させる新規治療薬の開発が求められていました。ソタテルセプトは、2025年6月時点で、世界初かつ唯一のアクチビンシグナル伝達阻害薬(activin signaling inhibitor:ASI)です。アクチビンAおよびActRIIAに結合する他のリガンドを除去することでアクチビンシグナル伝達を阻害し、増殖促進性と増殖抑制性のシグナル伝達のバランスを改善します。これにより、肺血管平滑筋細胞の異常な増殖を抑制し、病態の進行を抑えることが期待されています。肺血管拡張薬によるバックグラウンド治療を受けているPAH患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較の海外第III相試験(003試験)において、主要評価項目である24週時の6分間歩行距離(6MWD)のベースラインからの変化量の平均値は、プラセボ群で-1.4m、本剤群で40.1mでした。両群間の中央値の差(Hodges-Lehmann法による位置パラメータのシフト)は40.8m(95%信頼区間[CI]:27.53~54.14)であり、プラセボ群と比較して本剤群で有意な改善が認められました(p<0.001、aligned rank stratified Wilcoxon test)。また、日本人PAH患者を対象とした国内第III相試験(非無作為化、非対照、非盲検化[020試験])において、24週時の肺血管抵抗(PVR)のベースラインからの変化量のHodges-Lehmann法による推定値は、-99.2dynes・sec/cm5(95%CI:-129.6~-68.4)であり、本剤によるベースラインからの改善が認められました。

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降圧薬の種類と心血管リスク、ARB vs.CCB vs.利尿薬vs.β遮断薬

 血圧が良好にコントロールされている高齢高血圧患者において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)およびカルシウム拮抗薬(CCB)の長期使用は、サイアザイド系利尿薬やβ遮断薬と比較して、心血管イベントの複合アウトカムに対してより大きなベネフィットをもたらす可能性が示唆された。中国・北京協和医学院のXinyi Peng氏らは、STEP試験の事後解析として、ARB、CCB、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬という4つの降圧薬クラスに焦点を当て、それらの長期投与と心血管リスクの関連について評価した。BMC Medicine誌2025年7月1日号掲載の報告より。 本研究は、脳卒中の既往のない60~80歳の中国人高血圧患者を対象としたSTEP試験のデータを用いて実施された。追跡不能となった234例および無作為化後に血圧記録が得られなかった20例を除外し、最終的に8,257例が解析対象となった。各降圧薬クラスについて、相対的曝露期間(薬剤投与期間/イベント発生までの期間)を算出した。 主要アウトカムは、脳卒中の初回発症、急性冠症候群(ACS)、急性非代償性心不全、冠動脈血行再建術、心房細動、心血管死の複合とされた。副次アウトカムは、これら主要アウトカムの各構成要素であった。各アウトカムに対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox回帰分析により算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値3.34年において、主要アウトカム解析の結果、ARBまたはCCBへの相対的曝露期間が長いほど、心血管複合リスクが有意に低下することが明らかになった。・ARBへの相対的曝露期間が1単位増加するごとに、主要アウトカムのリスクは45%低下した(HR:0.55、95%CI:0.43~0.70)。CCBへの曝露においてはリスクが30%低下した(HR:0.70、95%CI:0.54~0.92)。・利尿薬は中間的な結果を示した(HR:1.02、95%CI:0.66~1.56)。・一方で、β遮断薬の相対的曝露期間が長いほど、主要アウトカムのリスクは有意に上昇した(HR:2.20、95%CI:1.81~2.68)。・副次アウトカムに関しては、ARBおよびCCBの相対的曝露期間が長いほど、全死亡および心血管死のリスクが有意に低下していた。さらにARBの相対的曝露期間の長さは、脳卒中、ACS、主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連していた。・相対的曝露期間の1単位増加当たりのHRは、主要アウトカム、MACE、脳卒中のいずれにおいても、ARBがCCBより一貫して低く(いずれもp<0.05)、より大きなベネフィットを示した。 著者らは、「本事後解析の結果は、ARBおよびCCBの長期投与が、利尿薬およびβ遮断薬と比較して、高齢の高血圧患者における複数の心血管イベントについて良好な予後と関連する可能性を示唆した。さらに、ARBはCCBよりも大きな心血管ベネフィットをもたらすことが推察された」とまとめている。一方、β遮断薬の長期投与が心血管リスクの上昇と関連を示したことについては、医学的適応による選択バイアスを反映している可能性があるとしている。

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オランザピンの制吐薬としての普及率は?ガイドライン発刊後の状況を聞く

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版』が発刊され、約2年が経過しようとしている。改訂による大きな変更点の一つは、“高度催吐性リスク抗がん薬に対するオランザピン5mgの使用を強く推奨する“ことであったが、今現在での医師や医療者への改訂点の普及率はどの程度だろうか。前回の取材に応じた青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)が、日本癌治療学会のWebアンケート調査「初回調査結果報告書」とケアネットがCareNet.com医師会員を対象に行ったアンケート「ガイドライン発刊から6ヵ月が経過した現在の制吐薬の使用状況について」を踏まえ、実臨床での実態や適正使用の普及に対する課題を語った。 なお、日本癌治療学会は『制吐薬適正使用ガイドライン』普及率に関するWebアンケート調査(第2回)』を現在実施しており、医師・看護師・薬剤師の方々からのアンケート回答を募集している(回答期間は2025年8月22日まで)。発刊6ヵ月後にはオランザピン処方の意義浸透か ガイドライン発刊直前に行われた日本癌治療学会による初回調査は、制吐療法の情報均てん化などの検討を考慮するため、論文等で公表されているエビデンスと実診療の乖離(Evidence-Practice Gap:EPG)の程度、職種、診療科、所属施設ごとの結果を解析した。その調査とケアネットが独自で行った調査を比較し、青儀氏は「乳がん治療での制吐薬処方に関し、われわれの初回調査ではFECでの4剤の処方率は16.8%だった。ガイドライン発刊から半年後の(CareNet.com)調査では、90%以上(該当レジメンを使用する全員に処方している:44%、患者背景を考慮して処方している:50%)であることが明らかとなり、オランザピンを推奨する意義が結果となってみられた印象」と話した。全体的にオランザピン処方の際に患者背景を考慮して処方していると回答した割合が多かった理由について、同氏は「糖尿病や耐糖能異常に加え、ふらつきのリスクを有する、睡眠薬を服用中の患者に処方しづいからではないか」とコメントした。患者の吐き気への不安と医師の処方不安、優先順位を間違えてはいけない オランザピンが向精神薬の位置付けで使用される薬剤であることが処方を慎重にさせる要因と考えられるが、実際に処方医が感じる不安は「糖尿病に禁忌」「耐糖能異常」に対してであることが今回の調査から明らかになった。これについて同氏は、「すでに制吐薬としてステロイドを処方している患者はステロイドによる耐糖能異常リスクを有している。また、オランザピンが推奨される以前より化学療法中の耐糖能異常に対するフォロー不足は問題視されていたので、このフォロー体制をしっかり構築したうえで、オランザピン投与を行ってほしい」とコメント。「オランザピンの制吐薬としての有用性の理解が進めばこの問題はクリアできるのではないか」と有害事象の発生を観察、コントロールしながら使用する価値について説明した。ただし、禁忌とされる糖尿病患者への対応については、従来の3剤併用療法を行うことがガイドラインに示されている(CQ1「高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として、3剤併用療法[5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾン]へのオランザピンの追加・併用は推奨されるか?」参照)。 また、実臨床で多く経験する傾眠への具体的な対応策として、「推奨は5mgではあるが、今後、各施設での使用経験や研究などを基に日本人に適切な投与量を決定していきたい。たとえば、当院ではオランザピン5mgを処方する際、調節できるように2.5mg×2錠で処方している。薬剤師と相談し、副作用を回避しつつ制吐に対する効果が得られるのであれば、2.5mgで処方している」と述べた。適切な制吐薬治療の普及に必要なツール 学会側の調査項目の1つである患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)の利用状況や頻度については、「PROについてはまだまだ開発途上。臨床研究などでPROを活用して有害事象を拾い上げることについては広がりつつある。さまざまなPROが出てきていることからも、今後の臨床研究に欠かせないツールになっていくことは間違いないだろう。患者の情報が一つひとつアップデートされて入ってくることが重要なポイント」と述べた。その一方で、PROには紙媒体のものとネット環境が必要なものがあるが、後者はセキュリティー問題やコスト面の影響がある。「紙媒体での評価にも十分な有用性が示されている。当院ではICI投与患者の免疫関連副作用(immune-related Adverse Events:irAE)に関する評価ツールを導入しているが、ネット導入のハードルが高いことから紙媒体で実施している」と述べ、「現状、PROが限られた施設や学会でしか利用されていないため、抗がん剤全般での利用を広めていくことが次の課題」と説明し、まずは紙媒体で評価を進めていくことを推奨した。 最後に同氏は「制吐療法については、単に処方薬を増やすことが良いとは考えていない。次回の改訂までに綿密な使い分けができるようなエビデンスが出てくるのではないか」と締めくくった。<日本癌治療学会アンケート概要>調査内容:発刊直前と発刊1年後に同じ項目のアンケートを実施することで、ガイドラインによる診療動向の変化を調査実施期間:2023年10月2~18日調査方法:インターネット対象:日本癌治療学会ほか、各学会(日本臨床腫瘍学会、日本サイコオンコロジー学会、日本がんサポーティブケア学会、日本放射線腫瘍学会、日本医療薬学会、日本がん看護学会)所属の1,276人《CareNet.comアンケート概要》調査内容:ガイドライン発刊から6ヵ月経過時点の制吐薬の使用状況について実施期間:2024年5月23~29日調査方法:インターネット対象:20床以上の施設に所属するケアネット会員医師206人(乳腺外科:50人、血液内科:50人、呼吸器科:52人、消化器科:36人、外科:18人)

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末梢血幹細胞移植後のGVHD予防、移植後シクロホスファミド+シクロスポリンが有効/NEJM

 骨髄破壊的または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(SCT)を受けた血液がん患者において、移植片対宿主病(GVHD)のない無再発生存期間は、標準的なGVHD予防法と比較し移植後シクロホスファミド+カルシニューリン阻害薬併用療法により有意に延長したことが示された。オーストラリア・Alfred HealthのDavid J. Curtis氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupがオーストラリアの8施設およびニュージーランドの2施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「ALLG BM12 CAST試験」の結果を報告した。高リスク血液がん患者に対する根治的治療としては、HLA一致血縁ドナーからの骨髄破壊的前処置後同種末梢血SCTが推奨され、GVHD予防はカルシニューリン阻害薬と代謝拮抗薬の併用が標準治療となっている。移植後シクロホスファミドを代謝拮抗薬に追加または置き換えることで、HLA一致血縁ドナーからのSCT後GVHDリスクを低減できることが示唆されているが、移植後シクロホスファミドの有効性、とくに骨髄破壊的前処置下での有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2025年7月17日号掲載の報告。シクロスポリン+メトトレキサートと比較、GRFSを評価 研究グループは、急性白血病の第1または第2寛解期、ならびに骨髄中芽球<20%の骨髄異形成症候群(MDS)で、骨髄破壊的前処置または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからのSCTを受ける18~70歳の患者を、移植後シクロホスファミド+シクロスポリン(試験予防群)またはシクロスポリン+メトトレキサート(標準予防群)に、年齢(50歳未満、50歳以上)および前処置の強度(骨髄破壊的、強度減弱)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付けた。 試験予防群では、シクロホスファミド50mg/kgを移植後3日目および4日目に投与した後、シクロスポリン(各施設のガイドラインに従った用量)を移植後5日目から開始し、90日目以降に漸減した。 標準予防群ではメトトレキサートを移植後1日目に15mg/m2、3日目、6日目および11日目に10mg/m2、シクロスポリン(同上)を移植前1~3日から開始し、90日目以降に漸減した。 主要評価項目は、無GVHD・無再発生存期間(GRFS)で、ITT集団を対象としてtime-to-event解析を行った。移植後シクロホスファミド+シクロスポリンでGRFSが有意に延長 2019年4月4日~2024年1月30日に、134例が登録および無作為化された(試験予防群66例、標準予防群68例)。 GRFSの中央値は、試験予防群26.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.1~未到達)、標準予防群6.4ヵ月(5.6~8.3)であり、試験予防群で有意に延長した(log-rank検定のp<0.001)。3年時点でのGRFS率は、試験予防群で49%(95%CI:36~61)、標準予防群で14%(6~25)であった(GVHD・再発・死亡のハザード比[HR]:0.42、95%CI:0.27~0.66)。 Grade III~IVの急性GVHDの3ヵ月累積発生率は、試験予防群で3%(95%CI:1~10)、標準予防群で10%(4~19)であり、2年全生存率はそれぞれ83%および71%(死亡のHR:0.59、95%CI:0.29~1.19)であった。 SCT後100日間における重篤な有害事象の発生率は、両群で同程度であった。

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肥大型心筋症治療のパラダイムシフト【心不全診療Up to Date 2】第3回

肥大型心筋症治療のパラダイムシフトKey Point肥大型心筋症(HCM)の病態理解は、サルコメア蛋白遺伝子異常による「心筋の過収縮とエネルギー非効率性」を根源とする疾患へと深化している診断には心エコーやMRI、遺伝子検査が有用で、AI解析も注目されているサルコメアを直接制御する初の病態修飾薬、心筋ミオシン阻害薬を深掘りはじめに肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)は、高血圧症や弁膜症などほかの心疾患では説明できない“左室ないし右室心筋の肥厚を呈する最も頻度の高い遺伝性心疾患”である(図1)。(図1)肥大型心筋症の定義画像を拡大する左室流出路閉塞(LVOTO)の有無、心不全症状、致死性不整脈リスクなど、その臨床像は極めて多様性に富む。これまでの治療は対症療法が中心であったが、近年、疾患の根源的病態であるサルコメアの機能異常に直接作用する心筋ミオシン阻害薬(Cardiac Myosin Inhibitor:CMI)が登場し、治療は大きな転換期を迎えている。「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」においてもHCMは独立した項目として扱われ、とくに治療アルゴリズムが大きく更新された。本稿では、この最新ガイドラインの知見を基に、HCMの病態、診断、そしてCMIを中心とした最新治療について概説する。最新治療を理解するための病態生理HCMの病態理解は、単なる「心筋の肥厚」から「サルコメアの機能異常」へと深化している。HCMの多くは、心筋収縮の基本単位であるサルコメアを構成する蛋白(βミオシン重鎖、ミオシン結合蛋白Cなど)の遺伝子変異に起因する1)。これらの変異は、心筋ミオシンのATPase活性を亢進させ、アクチンとミオシンが過剰に架橋(クロスブリッジ)を形成する「心筋の過収縮」状態を引き起こす。この過収縮はATPの過剰消費を招き、心筋のエネルギー効率を著しく低下させる。結果として、心筋は相対的なエネルギー欠乏と弛緩障害に陥り、心筋虚血、線維化、そして代償的な心筋肥厚が進行する。この一連の病態カスケードが、LVOTO、拡張障害、不整脈といった多彩な臨床像の根源となっている。CMIをはじめとする最新治療は、この上流にある「サルコメアの過収縮」を是正することに主眼を置いている。最新の診断方法HCMの診断は、画像検査、バイオマーカー、遺伝学的検査を組み合わせた包括的アプローチで行われる。画像診断:心エコー図検査が基本であり、15mm以上の最大左室壁厚(家族歴があれば13mm以上)が診断の契機となる。LVOTO(安静時・バルサルバ法や運動など生理的誘発時圧較差)、僧帽弁収縮期前方運動(systolic anterior movement:SAM)、拡張機能、左房容積などの評価が必須である。心臓MRI(CMR)は、心エコーで評価困難な心尖部等の形態評価に加え、ガドリニウム遅延造影(LGE)による心筋線維化の検出・定量評価に優れる。LGEの存在とその広がりは突然死リスクの重要な修飾因子であり、リスク層別化に不可欠である2)。バイオマーカー:最新のガイドラインでは、BNP/NT-proBNPが全死亡予測や治療モニタリングに有用(推奨クラスIIa)、高感度トロポニンも予後の推測に有用(推奨クラスIIa)とされている。また、肥大型心筋症の鑑別として、血清・尿中のM蛋白(ALアミロイドーシス診断のため)やα-ガラクトシダーゼ活性(α-GAL、ファブリー病診断のため)の測定も推奨されている(推奨クラスI)。遺伝学的検査:2022年に保険収載され、その重要性は増している。原因遺伝子の同定による確定診断、血縁者に対するカスケードスクリーニング(発症前診断)、そして予後予測への応用が期待される。サルコメア遺伝子変異陽性例は陰性例に比して予後不良であることが報告されており、精密医療の実現に向けた重要な情報となる。AI技術の応用:人工知能(AI)は、HCM診断の各側面でその応用が進んでいる。たとえば心電図解析では、AIが人間の目では捉えきれない微細な波形パターンからHCMを極めて高い精度で検出し、専門医が「正常」と判断した心電図からでもHCMを見つけ出す可能性が指摘されている3,4)。また、AIが心エコー図画像から心筋線維化(LGE)の存在を予測したり、CMR画像からLGEを専門家と同等の精度で自動的に定量化したりすることで、リスク評価を支援することが報告されている5-7)。遺伝子検査の分野では、病的意義が不明な遺伝子バリアント(VUS)の病原性を予測するAIモデルにより、HCMの診断率が向上し、家族スクリーニングや治療判断の補助としての有用性が示されつつある8)。治療治療戦略は、LVOTOの有無と左室駆出率(LVEF)に基づき選択される。(図2)(図2)肥大型心筋症の治療フローチャート画像を拡大する1. 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する治療LVOTO(安静時または負荷で30mmHg以上)を認める症候性HOCMが薬物治療の主対象となる。薬物療法:LVOTO(安静時または負荷で30mmHg以上)を認める症候性HOCMが薬物治療の主対象となる。第一選択薬として非血管拡張性のβ遮断薬、忍容性がなければ非ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬が推奨される(いずれもClass I)。効果不十分な場合、従来Naチャネル遮断薬であるシベンゾリン(保険適用外使用)などが使用されてきた。これに対し、ガイドラインでは新たにマバカムテンがClass Iで推奨された。心筋ミオシン阻害薬心筋ミオシン阻害薬(Cardiac Myosin Inhibitor:CMI)は、心筋収縮の中心的役割を担うサルコメアを標的とした新規治療薬として注目されている。代表的な薬剤には、初の経口選択的CMIであるマバカムテン(商品名:カムザイオス)および次世代CMIとして米国で承認審査中のaficamtenがある9)。CMIは心筋ミオシン重鎖のATPase活性を抑制し、アクチン-ミオシン間の架橋形成を減少させることで濃度依存的に心筋収縮力を低下させる。これにより、心筋過収縮状態のエネルギー効率を改善し、拡張機能の正常化が期待される10,11)。この薬理作用を基盤として、CMIはHCMや、左室駆出率(LVEF)が正常~亢進した心不全(HF with supranormal EF:HFsnEF)など、心筋の過収縮や拡張障害が病態の中核をなす疾患に対する治療薬として注目され、複数のRCTで検証されてきた(表1)。(表1)心筋ミオシン阻害薬を用いた代表的なRCTs画像を拡大するHCMを対象としたRCTでは、CMIが左室流出路圧較差の有意な改善、NT-proBNPの低下、運動耐容能(peak VO2)や症状(NYHAクラス)の改善など、多面的な臨床効果を示している。また近年では、CMI治療中の病態変化を非侵襲的かつ連続的に評価する手法として、AI技術を応用した心電図解析(AI-ECG)の有用性が報告されている。とくに、標準的な12誘導心電図に対して機械学習を用いてHCMの検出や重症度を定量化するAI-ECGスコアは、新たなバイオマーカーとして注目されており、CMI治療のモニタリングツールとしての活用が期待されている12)。さらに、HCMと同様に心筋の過収縮等が関与するHFsnEFにおいても、CMIの応用可能性が検討されている。HFsnEF患者に対して行われたEMBARK-HFpEF試験においては、マバカムテンがNT-proBNP値や心筋トロポニン値の減少と関連し、治療中にLVEFが持続的に低下することは確認されず、安全性に関する一定の知見が得られたと報告されている(表1)。また、NYHAクラスや拡張機能の改善も報告され、次世代CMIであるMYK-224を用いた現在進行中の第II相AURORA-HFpEF試験(NCT06122779)などの結果が待たれている。なお、マバカムテンの使用にあたっては本連載(第2回)でも触れた通り、 日本循環器学会(JCS)からはマバカムテンの適正使用に関するステートメントも発表されており、その導入には厳格な管理体制が求められる。<マバカムテンの適正使用>本剤は心収縮力を低下させるため、適正使用が極めて重要である。対象はNYHA II/III度の症候性HOCM患者で、投与前にLVEFが55%以上であることの確認が必要である。過度のLVEF低下が重大な副作用であり、心エコーでの頻回なモニタリング下で慎重な用量調節が必須とされる。CYP2C19およびCYP3A4で代謝されるため、併用薬にも注意を要する。本剤の管理には、心不全診療ガイドラインのほか、専門医や施設要件を定めた適正使用ステートメントの遵守が求められる。2. 非閉塞性肥大型心筋症(nHCM)に対する治療LVOTOを認めないnHCMの治療はLVEFによって層別化される。LVEF≧50%の場合: β遮断薬やベラパミルなどによる対症療法が中心となる。LVEF<50%(拡張相HCM)の場合: HFrEFの標準治療(ACE阻害薬/ARB/ARNI、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬)が推奨される。3. 非薬物治療薬物治療抵抗性の症候性HOCMに対しては、外科的中隔心筋切除術(Myectomy)や経カテーテル的中隔アブレーション(ASA)といった中隔縮小術がClass Iで推奨されている。このようにCMIの登場は、HCM治療を対症療法から病態そのものを標的とする新たな時代へと導いた。最新の知見とガイドラインに基づいた適正使用により、個々の患者の予後を最大限に改善していくことが、今後のHCM診療における重要なテーマである。 1) Arbelo E, et al. Eur Heart J. 2023;44:3503-3626. 2) Green JJ, et al. JACC Cardiovasc Imaging. 2021;5:370-377. 3) Ko WY, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:722-733. 4) Desai MY, et al. JACC Clin Electrophysiol. 2025;11:1324-1333. 5) Akita K, et al. Echo Res Pract. 2024;11:23. 6) Fahmy AS, et al. Radiology. 2020;294:52-60. 7) Navidi Z, et al. PLOS Digit Health. 2023;2:e0000159. 8) Ramaker ME, et al. Circ Genom Precis Med. 2024;17:e004464. 9) Chuang C, et al. J Med Chem. 2021;64:14142-14152. 10) Braunwald E, et al. Eur Heart j. 2023;44:4622-4633 11) Hartman JJ, et al. Nat Cardiovasc Res. 2024;3:1003-1016. 12) Siontis KC, et al. JACC Adv. 2023;2:100582.

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血栓溶解療法後の早期tirofiban、脳梗塞の予後を改善/NEJM

 軽症~中等症の非心原性脳梗塞患者で、血栓回収療法が適応とならず、発症後4.5時間以内に静注血栓溶解療法を受けた患者において、その後1時間以内にプラセボを投与した群と比較して血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体拮抗薬tirofiban投与群は、36時間以内の症候性頭蓋内出血のリスクがわずかに増加したものの、90日後の修正Rankinスケールで評価した機能的アウトカムが有意に改善されたことが、中国科学技術大学のChunrong Tao氏らASSET-IT Investigatorsが実施した「ASSET-IT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年7月4日号で報告された。中国の第III相無作為化プラセボ対照比較試験 ASSET-IT試験は、脳梗塞における静注血栓溶解療法後の早期tirofiban投与の有効性と安全性の評価を目的とする第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2024年3月~9月に中国の38施設で参加者を登録した(Fundamental Research Funds for Central Universitiesの助成を受けた)。 年齢18歳以上、急性期非心原性脳梗塞と診断され、血栓回収療法が適応ではなく、NIHSSスコアが4~25点で、発症(または最終健常確認時刻)から4.5時間以内に静注血栓溶解療法(アルテプラーゼまたはtenecteplase)を受けた患者を対象とした。 これらの患者を、静注血栓溶解療法終了から1時間以内にtirofibanまたはプラセボを24時間で静注する群に無作為に割り付けた(静注血栓溶解療法終了から55分以内に無作為化を行い、無作為化から5分以内に投与を開始)。 有効性の主要アウトカムは、90日の時点での優れた機能的アウトカム(修正Rankinスケールスコアが0[まったく症状がない]または1[何らかの症状はあるが、日常的な活動はすべて行える]点と定義)の割合とした。安全性の主要アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血(修正SITS-MOST基準で評価)および90日以内の死亡であった。90日以内の死亡に差はない 832例(年齢中央値69歳[四分位範囲[IQR]:59~76]、女性301例[36.2%]、NIHSSスコア中央値6点[IQR:5~9])を登録し、tirofiban群に414例、プラセボ群に418例を割り付けた。血栓溶解薬は、患者の75%でアルテプラーゼ、25%でtenecteplaseが使用された。 また、健常確認時刻から静注血栓溶解療法開始までの時間中央値は、tirofiban群155分(IQR:111~206)、プラセボ群170分(129~220)、静注血栓溶解療法終了から無作為化までの時間中央値は、それぞれ29分(12~47)および30分(13~47)だった。プラセボ群の1例が90日経過前に追跡調査から脱落した。 90日の時点で修正Rankinスケールスコア0/1点を達成した患者の割合は、プラセボ群が54.9%(229/417例)であったのに対し、tirofiban群は65.9%(273/414例)と有意に優れた(リスク比:1.20[95%信頼区間[CI]:1.07~1.34]、p=0.001)。 36時間以内の症候性頭蓋内出血は、tirofiban群で1.7%(7/414例)に発現し、プラセボ群では0%であった(リスク差:1.71[95%CI:0.45~2.97])。90日以内の死亡は、それぞれ4.1%(17/414例)および3.8%(16/417例)に認めた(リスク比:1.07[0.55~2.09])バーセルインデックス95~100点達成割合も良好 副次アウトカムである90日時の修正Rankinスケールスコア0~2(2点:軽度の障害[発症前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える])点の達成割合は、tirofiban群80.4%(333/414例)、プラセボ群72.7%(303/417例)であった(リスク比:1.11[95%CI:1.03~1.19])。 また、90日時のバーセルインデックス(0~100点)が95~100点(日常的な活動に支障を来す障害がない)の達成割合は、それぞれ77.1%(319/414例)および70.5%(294/417例)だった(リスク比:1.09[1.01~1.19])。 著者は、「本試験の知見は、プラセボに比べtirofibanは出血リスクを増加させる可能性があるものの、全般的な安全性プロファイルは血栓溶解療法を受ける患者で予想される範囲内であることを示唆する」「これらの結果の一般化可能性を制限する可能性のある要因として、(1)中国のみで実施された試験、(2)比較的軽症の脳卒中患者を登録、(3)心房細動の既往歴を有する患者を除外、(4)脳卒中の既往歴を有する患者の割合が高い、(5)適格例のかなりの数が試験への参加を拒否したため選択バイアスが生じた可能性がある点が挙げられる」としている。

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選択的グルココルチコイド受容体拮抗薬はプラチナ抵抗性卵巣がんに有効も、日本ではレジメン整備に課題(解説:前田裕斗氏)

 グルココルチコイド受容体(GR)活性化は、化学療法抵抗性を誘導する。本研究はGR選択的拮抗薬であるrelacorilantとnab-パクリタキセルの治療効果をnab-パクリタキセル単独と比較した初のPhase3試験である。無増悪生存期間(Progression-free survival:PFS)が規定の評価基準を満たした(6.54ヵ月vs.5.52ヵ月)ため、全生存期間の最終解析を待たずに論文化となった。 プラチナ抵抗性の卵巣がんは予後不良で知られており、今回新たな機序で効果的な化学療法が登場したことは臨床的に価値がある。日本ではnab-パクリタキセルは卵巣がん適応外である。薬理学上は当然パクリタキセルとの併用でもいいわけだが、前処置でも用いるステロイド製剤の効果を減弱してしまうため、そう簡単にはいかないだろう。relacorilant自体は経口で化学療法3日前より連日の内服になるため使用は簡便だが、これを活かしたレジメンの整備が日本における課題となる。

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PPI・NSAIDs・スタチン、顕微鏡的大腸炎を誘発するか?

 顕微鏡的大腸炎は、高齢者における慢性下痢の主な原因の1つであり、これまでプロトンポンプ阻害薬(PPI)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、スタチンなどの一般的に用いられる薬剤との関連が指摘されてきた。しかし、スウェーデンで実施された全国調査の結果、これらの薬剤のほとんどは顕微鏡的大腸炎のリスクを増加させない可能性が示唆された。本研究は、Hamed Khalili氏(米国・マサチューセッツ総合病院)らの研究グループによって実施され、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2025年7月1日号で報告された。 研究グループは、スウェーデンの65歳以上の住民280万例超の処方、診断、生検データなどを用いて本研究を実施した。本研究ではtarget trial emulationのデザインを用いて、顕微鏡的大腸炎との関連が指摘されているPPI、NSAIDs、SSRI、スタチン、ACE阻害薬、ARBの各使用群と非使用または代替薬使用群を比較した。主要評価項目は12ヵ月、24ヵ月時点における顕微鏡的大腸炎の累積発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・すべての群において、12ヵ月、24ヵ月時点の顕微鏡的大腸炎の累積発症率は0.5%未満であった。・PPI(vs.非使用)、NSAIDs(vs.非使用)、スタチン(vs.非使用)、ACE阻害薬(vs.カルシウム拮抗薬)、ARB(vs.カルシウム拮抗薬)の使用は、顕微鏡的大腸炎の発症リスクを上昇させなかった。・12ヵ月時点における顕微鏡的大腸炎の発症リスクは、SSRI群がミルタザピン群と比較してわずかに高かった(リスク差:0.04%、95%信頼区間:0.03~0.05)。ただし、SSRI群は大腸内視鏡検査の施行率が高く、サーベイランスバイアスの可能性が示唆された。 本研究結果について、著者らは「顕微鏡的大腸炎の引き金となることが疑われてきた薬剤の大半について、因果関係を示すエビデンスは得られなかった」と述べている。

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