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肺炎への広域抗菌薬使用、オーダーエントリーシステムで減少/JAMA

 肺炎でICU以外に入院した成人患者において、患者特異的な多剤耐性菌(MDRO)の感染リスク推定に基づき、リスクが低い患者に対し標準スペクトラム抗菌薬を推奨するオーダーエントリーシステム(computerized provider order entry:CPOEバンドル)の使用は、通常の抗菌薬適正使用支援の実践と比較し、広域スペクトラム抗菌薬の経験的使用が有意に減少した。ICU転室までの日数および在院期間に差はなかった。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のShruti K. Gohil氏らが、米国の地域病院59施設で実施したクラスター無作為化比較試験「INSPIRE(Intelligent Stewardship Prompts to Improve Real-time Empiric Antibiotic Selection)肺炎試験」の結果を報告した。肺炎は入院を要する一般的な感染症であり、広域スペクトラム抗菌薬過剰使用の主な要因である。MDROの感染リスクは低いにもかかわらず、臨床上の不確実性が最初の抗菌薬選択につながることがよくあり、肺炎患者に対する抗菌薬の経験的過剰使用を抑制する戦略が求められている。JAMA誌オンライン版2024年4月19日号掲載の報告。CPOEバンドル使用施設vs.通常施設、広域スペクトラム抗菌薬の使用を評価 研究グループは参加施設を、CPOEバンドルを使用するCPOE介入群(29病院)と通常の抗菌薬適正使用支援のみを行う対照群(30病院)に無作為に割り付けた。対象は、肺炎で入院した非重症成人(18歳以上)患者である。 CPOE介入群では、通常の抗菌薬適正使用支援に加え、MDRO肺炎の絶対リスクが低い(10%未満)患者には、入院の最初の3日間(経験的治療期間)は広域スペクトラム抗菌薬の代わりに標準スペクトラム抗菌薬を推奨するCPOEプロンプトの提供、ならびに臨床医の教育とフィードバック報告が行われた。 ベースライン期間を18ヵ月(2017年4月1日~2018年9月30日)、段階的導入期間を6ヵ月(2018年10月1日~2019年3月31日)、介入期間を15ヵ月(2019年4月1日~2020年6月30日)とし、ベースライン期間と介入期間のアウトカムを比較した。 主要アウトカムは、入院の最初の3日間における広域スペクトラム抗菌薬による累積治療日数(患者1人当たりに投与された広域スペクトラム抗菌薬の数×日数として算出。たとえば、最初の3日間に2種類の広域スペクトラム抗菌薬を少なくとも1回ずつ投与した場合は6日間とする)。副次アウトカムはバンコマイシンおよび抗緑膿菌薬による経験的治療など、安全性アウトカムはICU転室までの日数、在院期間などであった。CPOE介入により広域スペクトラム抗菌薬による経験的治療が28.4%減少 試験期間に肺炎で入院した非重症成人患者は9万6,451例(ベースライン期間5万1,671例、介入期間4万4,780例)であった。患者背景は、平均(SD)年齢68.1(17.0)歳、男性48.1%、Elixhauser併存疾患指数中央値は4(四分位範囲[IQR]:2~6)であった。 経験的治療日数1,000日当たり患者1人当たりの広域スペクトラム抗菌薬累積治療日数は、CPOE介入群ではベースライン期間613.9日から介入期間428.5日に減少したのに対して、対照群ではそれぞれ633.0日、615.2日であった。 施設および期間別にクラスタリングした率比(RR)は0.72(95%信頼区間[CI]:0.66~0.78、p<0.001)であり、対照群と比較してCPOE介入群では広域スペクトラム抗菌薬による経験的治療が28.4%(95%CI:22.2~34.1、p<0.001)有意に減少した。副次アウトカムも同様の結果であった。 安全性アウトカムについては、介入期間におけるICU転室までの平均日数(対照群6.5日、CPOE介入群7.1日)および在院期間(それぞれ6.8日、7.1日)に両群で差は認められなかった。

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優先度を考えてdecision makingを組み立てる【国試のトリセツ】第39回

§3 decision making優先度を考えてdecision makingを組み立てるQuestion〈109F11〉咽頭痛、喘鳴および呼吸困難を訴える成人が救急外来を受診した際に、バイタルサインを確認しながらまず準備するのはどれか。(a)気管挿管(b)抗菌薬投与(c)動脈血採血(d)鎮痛薬投与(e)胸部X 線撮影

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第192回 マイナンバーカードはデータヘルス改革のキープレーヤー

社会保障制度改革にマイナンバーカードは必須新型コロナウイルス感染症が落ち着き、いよいよ団塊の世代のすべてが後期高齢者になる2025年がみえてきました。多くの医療機関にとって、今年の診療報酬改定は賃上げを求められるとともに、厚生労働省が打ち出したさまざまな政策により大きく影響を受けることになります。この中で1番注目すべきは、マイナ保険証の利用促進です。日本健康会議が4月25日に開いた、医療DX推進フォーラム「使ってイイナ!マイナ保険証」には武見 敬三厚労大臣、河野 太郎デジタル大臣、斉藤 健経済産業大臣が参加し、マイナ保険証利用促進集中取組月間のキャンペーンのキックオフを行いました。政府だけでなく、保険者団体、医療界、経済界も一丸となって国民にマイナンバーカード(マイナカード)の普及によって医療DXに取り組む宣言を行っています。マイナカードについては、当初からマイナンバーと健康保険証の紐付けミスが発生したことで批判も多く、国民の半数以上が所有しながらも、4割程度しか常時所持していないことが明らかになるなど、政府の取り組みについて実効性を疑問視する声も挙げられている一方、そのメリットは計り知れないことが国民にはまだ理解されていません。〔マイナンバー保険証によるメリット〕オンライン資格確認医療機関で保険証として直接利用でき、受診時の手続きが迅速化できるセキュリティの向上個人情報の保護が強化され、情報の漏洩リスクを低減できるデータ連携の効率化医療・介護情報がデジタル化され、異なる医療機関間での情報共有がスムーズに行えるこれらの実現によって、医療の質を高め効率的な医療介護連携が促進されることは間違いなく、患者さんが急病になって、意識がなくても救急車内で持病や内服などの情報も確認できるなど、救急医療現場でも利便性や信頼が高まっていくと考えられます。持続性可能な社会保障制度を求めた動きを強化わが国は、少子高齢化が急速に進展するため、2050年には高齢化率が36%に達する見込みであり、国民1人ひとりの健康寿命延伸が望まれる一方、医療・介護費の負担増大も見込まれています。毎年のように報道される過去最高を記録し続ける社会保障費の増大に対して、政府も伸び率の抑制を試みてはいるものの、医療アクセスを維持しながらの医療費抑制は困難です。さらに健康保険組合の財政も厳しく、「健保組合の9割が赤字見通し」「全体の赤字幅、過去2番目6,578億円」といったように社会保障制度の根幹である国民皆保険制度の維持にもかかわっています。このため、政府は後発品への置き換えによる薬剤費の抑制などを行ったものの、1人当たりの医療費や介護費が多く必要となる後期高齢者が増加し、そのスピードに追い付けていません。これに対して、厚労省は2017年1月からデータヘルス改革推進本部を設立し、レセプト(医療情報)、健診結果などのデータ分析に基づいて、PDCAサイクルで効果的、効率的に保健事業へ取り組む「データヘルス改革」に着手をしようとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって実際に動き出せたのが遅れたというのが真相です。データヘルス改革によって、データに基づく質の高い医療を実現させるとしていますが、患者個人の医療情報が、複数の医療機関にまたがって患者の健康情報や治療歴が保管され、医薬品の副作用やワクチンの接種歴などがアナログで参照できない状態では、効率性もさることながら、医療の質が高まらない上に医療安全でも好ましくない状態となっています。「厚生労働省が進めるデータヘルス改革」の今後のデータヘルス改革の進め方によるとゲノム医療・AI活用の推進自身のデータを日常生活改善などにつなげるPHRの推進医療・介護現場の情報利活用の推進データベースの効果的な利活用の推進とあり、この頃からAIの活用も盛り込みながら、医療・介護情報の利活用推進を行っていくことが明らかになっています。具体的には保健医療・介護分野の公的データベースに連結、解析することで、医薬品の安全性のさらなる向上、治療の質の向上や新たなサービスなどの開発など、保健医療介護分野におけるイノベーションを創出地域包括ケアの実現などに向けた保健医療介護分野の効果的な施策の推進などのメリットが得られるとしています。厚労省医政局は、健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループをこれまでに21回開催し、医療・介護情報の利活用についてAction Planをまとめ、実施に向けた準備を取り組んでいます。この中で、来年の4月から本格化する「電子カルテ情報共有サービス」については電子カルテ情報共有サービスの運用開始までのロードマップ(「電子カルテ情報共有サービスにおける運用について」30ページ目)によれば、令和7年度中に稼働が本格的に始まることになります。さらに、政府は介護保険証のマイナカードとの一体運用を2024年度中にデータ基盤が整った自治体から開始し、2026年度に全国規模で運用を目指すことを決定しており、介護保険の介護認定の申請や通知にも利用されるほか、ケアプランの作成や提出だけでなく、主治医意見書などもマイナ保険証を介する可能性があり、医療だけでなく介護現場にもマイナ保険証がますます活用されることになると予想されます。医療・介護情報の連結に必要なのは、実はマイナカードです。来年度には、電子カルテ情報共有サービスが本格的に稼働するなどさらに進むことになります。紙の保険証が、今年12月から発行停止になることで、国民に広がっていく不安を解消するために、医療機関や行政機関はさらに力を入れていく必要があります。医療DXで進む「効率化」と「医療費適正化」医療費適正化については、あまり広くは知られていませんが、厚労省は令和6年度から6年間の第四期医療費適正化計画(2024~2029年度)を開始しています。政府は第4期の計画策定にあたり、2023年7月20日に「医療費適正化に関する施策についての基本的な方針」を定めています。この中には特定健診などの実施率向上実施率目標につき特定健診を70%、特定保健指導を45%後発医薬品の使用促進後発医薬品の数量シェアを80%以上(2023年度末までに全都道府県で)生活習慣病(糖尿病)などの重症化予防重複・多剤投薬の是正のように従来から取り組んできた項目のほか、新たに抗菌薬の適正使用、リフィル処方箋など今年の診療報酬改定につながるような項目が加わっています。政府は、各都道府県に対して医療費適正化計画の策定を求め、PDCAサイクルで医療費の適正化に取り組むように求めていきます。これまでと異なるのは医療・介護データを連結することで解析を行い、目標に近付けるために、各都道府県がよりデータに基づいて、保険者と連携して、医療機関だけでなく国民に働きかけることが増えると思われます。多くの医療機関は、保険償還の範囲の中であれば自由に検査や治療が行っていますが、今後は医薬品の適正使用、医療資源の効果的・効率的な活用のために地域ごとに高額な医療機器の共有なども進められていくほか、新たな地域医療構想に基づいた病床機能の分化・連携の推進が進んでいくように働きかけも強くなっていくと考えられます。今回の診療報酬改定や介護報酬改定では、医療機関や介護サービス事業者に対して補助金を支給するなどマイナカードの普及への協力を求めており、今後のオンライン資格確認や電子処方箋など将来的にも重要な役割を果たすマイナカードに対して、患者さんへの利用の呼びかけなど積極的な協力が求められます。参考1)健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ(厚労省)2)第四期医療費適正化計画(2024~2029年度)について(同)3)医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(同)4)第四期東京都医療費適正化計画(東京都)5)介護保険証もマイナカード一体化検討 24年度にも運用(日経新聞)6)健保組合の9割が赤字見通し 全体の赤字幅、過去最大6578億円に(朝日新聞)

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両下肢の浮腫・発赤への抗菌薬【日常診療アップグレード】第3回

両下肢の浮腫・発赤への抗菌薬問題75歳女性。2年前から両側下肢の腫脹あり。1週間前から両側下腿の浮腫が悪化し、右側に強い発赤を認めている。体温は37.0℃で全身状態は良好である。蜂窩織炎を疑い抗菌薬の点滴投与を検討したが、両側下腿に発赤があることから静脈不全の合併を考え抗菌薬を投与は取りやめた。

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診断を下すには定義が必要となる【国試のトリセツ】第38回

§2 診断推論診断を下すには定義が必要となるQuestion〈108I56〉1歳の男児。発熱、頸部の腫脹および前胸部の皮疹を主訴に母親に連れられて来院した。4日前から38℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹と前胸部の紅斑とに気付いた。体温39.3℃。脈拍148/分、整。両側眼球結膜に充血を認める。顔面下部の写真を次に示す。右頸部に径3cmのリンパ節を1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見赤血球406万、Hb11.2g/dL、Ht35%、白血球19,600(桿状核好中球9%、分葉核好中球72%、好酸球2%、単球4%、リンパ球13%)、血小板39万。血液生化学所見総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.1g/dL、AST40IU/L、ALT80IU/L。CRP7.9mg/dL。初期治療として適切なのはどれか。(a)血漿交換(b)抗菌薬の投与(c)免疫抑制薬の投与(d)生物学的製剤の投与(e)免疫グロブリン製剤の投与

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ダニ咬傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第14回

ダニは主に野外に生息し、哺乳類(ヒトを含む)や鳥類、爬虫類から血を吸う節足動物です。農業や林業作業中だけでなく、山登りやハイキングといったレジャーでもダニにかまれることがあります。ダニは日本紅斑熱(JSF)やライム病(LD)などのリケッチア症やボレリア症などの感染症を伝播しますが、ダニ媒介感染症は特定の地域に比較的限定されていて、効果的な抗菌薬もあるため、日本ではダニによる咬害をそれほど恐れない傾向がありました。しかし、2013年に重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)が報告され、にわかに注目を集めています。結果として、ダニによる咬害治療のための来院が急速に増加しているため1)、皆さんの診療所や救急外来にダニにかまれた患者さんが突然受診するかもしれません。今回は、ダニ咬傷の対処法を説明します。日本では咬傷を生じるダニは6種類いて、地域によって異なります。SFTSなどを生じるマダニは主に西日本にいます。これらの詳細を書くととても長くなるので、今回はマダニにかまれて来院した患者さんの対処法を記載します。<症例>75歳男性主訴西日本在住。山菜を採りに山へ入った。当日の入浴時に右前腕に黒い脚が生えている動くダニを発見した。引っ張ってみたりしたが外れないため、救急外来を受診した。(1)ダニを確認するまずは、かんだダニを確認して吸血の有無を判断しましょう。血液を吸っていればお腹が大きく膨らんでいます。本症例は、さほど膨らんでいませんでした。(2)かまれてからの時間を確認かまれてからの時間を確認しましょう。ダニ咬傷はほとんど症状がなく、気付くまで2~3日、長いと1週間ほどかかることがあります。ダニがかみついてから24時間経過すると食いつきが強くなり、攝子では除去が困難になります2)。かまれてから3日以上経過した場合はマダニ媒介感染症のリスクが高くなるため、外科的除去がより強く推奨されます3,4)。本症例は、山に山菜取りに行ったのが久しぶりで、当日にかまれたことが想定されます。よって、24時間以内と判断しました。(3)ダニの除去方法はいくつかありますが、今回は非侵襲的方法2つと侵襲的方法1つを紹介します。a.非侵襲的除去基本的にダニの体には触らないことが理想です、なぜなら、体を押すと病原体や毒が体内に入ったり、体をつまんで除去をしようとするとダニの口が残ってしまったりします。よって1つ目の方法は「無鈎攝子でダニの口器をつかんで除去する」です(図1)。図1 攝子を用いたダニの除去方法2つ目の方法として、もし手元にあれば、Tick twisterという動物用のダニ除去器具を用いるのも手です(図2)。ダニの口は縦方向の力に強いため、攝子で引っ張るにはある程度力がいります。Tick twisterを皮膚とダニの間に挟んで軽く持ち上げながら回転させることで非常に簡便に除去できます。口器を意識せずに使用できるのも利点です。ダニ咬傷を診る機会があれば、1個1,000円程度ですので持っておいてもよいかもしれません。YouTubeで「Tick Twister」と検索すると複数の動画がヒットしますので使用の際は参考にしてください。本症例は攝子で口器をつまんで除去しました。図2 Tick Twisterb.侵襲的処置口が深く入って把持できなかったり、ダニ咬傷となってから3日以上経っていたりする場合は外科的切除が必要になります4)。まずキシロカインで鎮痛し、図3のようにダニの周囲を円錐状に切除して皮膚ごと除去します3)。図3 侵襲的処置(4)除去後の処置まずは創部を洗浄しましょう。抗菌薬はダニにかまれた場合には推奨されていません。というのも、そもそものマダニ媒介感染症のリスクが低いため、抗菌薬の使用によるリスクがベネフィットを上回るためです。しかし例外として、シュルツェマダニにかまれた場合は予防投与の適応となります。シュルツェマダニは北海道、本州中部が生息域と推定されています(参考文献5の図4を参考にしてください)。ダニがシュルツェマダニであり、血液を吸い肥大化している場合、ライム病のリスクが高いため200mgのドキシサイクリン単回投与が推奨されます4)。この場合はダニの種類の同定が必要であり、ダニを保存して専門家へ相談することも必要になります4)。本症例は西日本の患者さんであったため抗菌薬の予防投与は行いませんでした。帰宅時に、マダニ咬傷から4週間以内に発熱、嘔吐、下痢、感覚障害などの神経症状が出現した場合はマダニ媒介感染症を生じた可能性があるので、医療機関を受診するように指導しました。以上がダニ咬傷の対処法です。ダニはなるべく早く除くことが重要ですので、上記手技を使って素早く除去しましょう。1)Inoue Y, et al. 衛生動物. 2020;71:31-38.2)鵬図商事:マダニに刺されてしまったら3)Roupakias S, et al. Wilderness Environ Med. 2012;23:97-99.4)Natsuaki M. J Dermatol. 2021;48:423-430.5) 国立国際研究所:ライム病とは

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肺炎診療GL改訂~NHCAPとHAPを再び分け、ウイルス性肺炎を追加/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版では、肺炎のカテゴリー分類を「市中肺炎(CAP)」と「院内肺炎(HAP)/医療介護関連肺炎(NHCAP)」の2つに分類したが、今回の改訂では、再び「CAP」「NHCAP」「HAP」の3つに分類された。その背景としては、NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なるため、NHCAPとHAPを1群にすると同じエンピリック治療が推奨され、NHCAPに不要な広域抗菌治療が行われやすくなることが挙げられた。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を経て、ウイルス性肺炎の項目が設定された。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドライン関するセッションが開催され、進藤 有一郎氏(名古屋大学医学部附属病院 呼吸器内科)がNHCAPとHAPの診断・治療のポイントや薬剤耐性(AMR)対策の取り組みについて解説した。また、ウイルス性肺炎に関して宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)が解説した。NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なる NHCAPとHAPは「敗血症性ショックの有無の判断」「重症度の判断(NHCAPはA-DROPスコア、HAPはI-ROADスコアで評価)」「耐性菌リスクの判断」を行い、治療薬を決定していくという点は共通している。しかし、耐性菌のリスク因子は異なる。進藤氏は、「この違いをしっかりと認識してほしい」と語った。なお、それぞれの耐性菌リスク因子は以下のとおり。NHCAP:経腸栄養、免疫抑制状態、過去90日以内の抗菌薬使用歴、過去90日以内の入院歴、過去1年以内の耐性菌検出歴、低アルブミン血症、挿管による人工呼吸管理を要する(≒診断時に重度の呼吸不全がある)HAP:活動性の低下や歩行不能、慢性腎臓病(透析を含む)、過去90日以内の抗菌薬使用歴、ICUでの発症、敗血症/敗血症性ショック HAPでは、「重症度が低く、耐性菌リスクが低い(リスク因子が1つ以下)場合」は狭域抗菌治療、「重症度が高い、または耐性菌リスクが高い(リスク因子が2つ以上)場合」には広域抗菌治療を行う。NHCAPでは、外来の場合はCAPに準じた外来治療を行う。また、入院の場合も非重症で耐性菌リスク因子が2つ以下であれば、CAPと類似した狭域抗菌治療を行い、重症で耐性菌リスク因子が1つ以上あるか非重症で耐性菌リスク因子が3つ以上であれば広域抗菌治療を行うという流れとなった(詳細は本ガイドラインp.54図3、p.64図3を参照されたい)。不要な広域抗菌薬の使用は依然として多い 進藤氏は、名古屋大学などの14施設で実施した肺炎患者を対象とした前向き観察研究(J-CAPTAIN study)の結果を紹介した。本研究では、CAP患者をNon-COVID-19肺炎とCOVID-19肺炎に分けて検討した。その結果、Non-COVID-19肺炎患者(1,802例)の10%にCAP抗菌薬耐性菌(β-ラクタム系薬、マクロライド系薬、フルオロキノロン系薬のすべてに低感受性と定義)が検出された。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子としては、過去1年以内の耐性菌検出歴、気管支拡張を来す慢性肺疾患、経腸栄養、ADL不良、呼吸不全(PaO2/FiO2≦200)が挙げられた。これらの項目は本ガイドラインのシステマティックレビューの結果と類似していたと進藤氏は語った。 また、本研究においてNon-COVID-19肺炎患者では、CAP抗菌薬耐性菌の検出がなかった患者の29.2%に広域抗菌薬が使用されていたことを紹介した。AMR対策としては、このような患者における広域抗菌薬の使用を減らしていくことが重要となると進藤氏は指摘する。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子が0個であった患者は、Non-COVID-19肺炎の61.2%を占め、そのうち21.8%で広域抗菌薬が使用されていた結果から、進藤氏は「AMR対策上、耐性菌リスクのない症例では広域抗菌薬の使用を控えることが重要である」と強調した。ウイルス性肺炎は想定以上に多い? 2018~20年に九州の14施設で実施された観察研究では、CAP患者の23.3%にウイルスが検出されており2)、肺炎へのウイルスの関与が注目されている。そこで、宮下氏は本ガイドラインに新たに追加されたウイルス性肺炎について、その位置付けを紹介した。 CAPは、(1)CAPとNHCAPの鑑別→(2)敗血症の有無・重症度の判断(治療場所の決定)→(3)微生物学的検査→(4)マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の推定→(5)抗菌薬の選択といった流れで診療が行われる。この流れに合わせて、ウイルス性肺炎の特徴を考察した。 COVID-19肺炎患者の1年後の身体機能をみると、CAPと比較してNHCAPで予後が不良である3)。したがって、宮下氏は「CAPとNHCAPでは予後がまったく異なるため、治療方針を大きく変えるべきであると考える」と述べた。 本ガイドラインでは、重症度の評価をもとに治療場所を決定するが、CAPで用いられるA-DROPスコアによる評価がCOVID-19肺炎においても有用であった。ただし、COVID-19(デルタ株以前)ではA-DROPスコア1点(中等症、外来治療が可能)であっても、R(呼吸状態)の項目が1点の場合は疾患進行のリスクが高いという研究結果4,5)を紹介し、注意を促した。 前版で細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別に用いられていた鑑別表は、細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別表(本ガイドラインp.32表4)に改められた。実際に、この鑑別表を非定型肺炎であるCOVID-19肺炎に当てはめると診断の感度は不十分であり、マイコプラズマ肺炎と細菌性肺炎の鑑別に用いるのが適切と考えられた。また、今回のガイドラインではレジオネラ診断予測スコアが掲載された(本ガイドラインp.33表5)。この診断スコアを用いた場合、COVID-19はいずれの株でもレジオネラ肺炎との鑑別が可能であった。 最後に、宮下氏はオミクロン株の流行後にCOVID-19肺炎において誤嚥性肺炎が増加し、誤嚥性肺炎を発症した患者の退院後の顕著な身体機能低下が認められていることに触れ、「早期診断・早期治療が重要であり、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンに加えて新型コロナワクチンによる予防も重要であると考えている」とまとめた。

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肺炎診療ガイドライン改訂~市中肺炎の2024年版での改訂点は?/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版からの約7年ぶりの成人肺炎診療ガイドライン改訂となる。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、成人肺炎診療ガイドライン2024に関するセッションが開催され、岩永 直樹氏(長崎大学病院 呼吸器内科)が市中肺炎(CAP)に関する改訂のポイントを解説した。成人肺炎診療ガイドラインでは非定型肺炎の鑑別を大切にする方針 CAPへの初期の広域抗菌薬投与や抗MRSA薬のエンピリックな使用は予後を改善せず、むしろ有害であるという報告がある。そのため、エンピリックな耐性菌カバーは予後を改善しない可能性がある。そこで、今回の成人肺炎診療ガイドライン2024では、非定型肺炎の鑑別を大切にするという方針を前版から継承し、CAPのエンピリック治療薬の考え方を示している。そこでは、外来患者や一般病棟入院患者では抗緑膿菌薬や抗MRSA薬は使用せず、これらの薬剤は重症例や免疫不全例に検討することとしている(詳細は成人肺炎診療ガイドライン2024のp.34図4を参照されたい)。 近年、CAPではウイルスが検出されることが多いことも報告されている2)。そのような背景から、今後は同時多項目遺伝子検査の活用が重要となってくることが考えられる。そこで、今回の成人肺炎診療ガイドライン2024では、多項目遺伝子検査に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が設定された。多項目遺伝子検査は従来法と比較して原因微生物の同定率が高く(67.5% vs.42.7%)、「行うことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」とされた(CQ19)。なお、多項目遺伝子検査の対象について、岩永氏は「主にCAPがターゲットとなると考えている。とくに免疫不全例では典型的な病像を呈さないことも多いため、これらの症例に有用性があるのではないか」と意見を述べた。成人肺炎診療ガイドライン2024でのCAPのCQとポイント 成人肺炎診療ガイドライン2024でのCAPに関するCQとポイントは以下のとおり。・CAPの重症度評価の方法(CQ1) A-DROPスコアはCURB-65スコアやPSIスコアと同等の予測能を示した。A-DROPスコアによる評価は本邦でよく用いられており、簡便であることから成人肺炎診療ガイドライン2024では「A-DROPスコアによる重症度評価を弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・注射用抗菌薬から経口抗菌薬への変更(スイッチ療法)(CQ2) CAPに対するスイッチ療法は注射用抗菌薬の継続と比較して、同等の肺炎治癒率を示し、副作用発現頻度は有意差がないが減少傾向で、入院期間を有意に短縮した。また、医療費についてはシステマティックレビュー(SR)を実施していないが、3件の無作為化比較試験(RCT)においていずれも低下させる傾向にあった。以上から成人肺炎診療ガイドライン2024では「スイッチ療法を行うことを強く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。・短期抗菌薬治療(CQ3) CAPのアジスロマイシンによる治療とアジスロマイシンを含まない治療のいずれにおいても、短期治療(1週間以内)は標準治療(1週間超)と比較して、死亡率と肺炎治癒率に差がなかった。また、肺炎再燃率や副作用発現率も同等であった。医療費についても、SRは実施していないが、3件のRCTではいずれも低下させる傾向にあった。以上から成人肺炎診療ガイドライン2024では「初期治療が有効な場合には短期治療を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。ただし多くのRCTが軽症〜中等症を対象としており、重症例、集中治療を要する症例、高齢者などは注意が必要である。・β-ラクタム系薬へのマクロライド系薬の併用(CQ4) 重症例では、β-ラクタム系薬にマクロライド系薬を併用することで死亡率と肺炎治癒率の改善が認められた。1件の観察研究でコストは増加する傾向にあったが、耐性菌発生率は変化しなかった。非重症例では、併用療法により死亡率や肺炎治癒率、入院期間、耐性菌発生率のいずれも変化しなかった。また、1件の観察研究でコストは増加する傾向にあった。以上から、成人肺炎診療ガイドライン2024では「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・抗菌薬へのステロイドの併用(CQ5) 全身性ステロイド薬投与は重症例では死亡率を低下させ、非重症例では死亡率を低下させなかった。CAP全体では、併用により肺炎治癒率は変化せず、入院期間が短縮した。以上から、成人肺炎診療ガイドライン2024では「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。

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第93回 「高すぎる自己負担額の話」をする?新型コロナのレムデシビル投与前

当院では、中等症以上の新型コロナを現在も引き受けています。「5類感染症」に移行してからというもの、基本的には自施設で診ていただける感染症と思っていましたが、「新型コロナ陽性になりました、当院では対応は難しいので貴院にてよろしく診療お願い申し上げます」という紹介がチラホラとあります。地域で機能集約していくことはよいことだと思いますが…。しかし、いつになったら「特別な感染症」ではなくなるのか、はなはだ疑問ではあります。ところで、中等症以上の新型コロナで入院になるということは、高確率で肺炎を発症しているわけです。新型コロナ陽性者の肺炎というのは、ウイルス性肺炎だけでなく誤嚥性肺炎や二次性器質化肺炎などいろいろな可能性を考慮する必要があるわけですが、抗菌薬を使用する・しないにかかわらず、抗ウイルス薬が必要になることが多いです。錠剤の内服ができないくらい症状がつらかったり、ADLや嚥下機能が低かったりする患者さんが多いので、基本的には入院例に対しては抗ウイルス薬の点滴であるレムデシビル(商品名:ベクルリー)が適用されることになります。レムデシビル、2024年4月1日から高額になりました。厳密には、これまで自己負担割合に応じて最大9,000円の自己負担で済んでいたものが、そのままガチで負担割合をかけ算した自己負担が生じることになってしまいました。具体的には表のようになります。他の経口抗ウイルス薬と比べると、レムデシビルの点滴が一歩抜きん出ていることがおわかりかと思います。画像を拡大する表. 新型コロナ治療薬の自己負担額(2024年4月1日以降)たとえば、レムデシビルを5日間投与すると、3割負担で約9万円になります。これだと、高額療養費制度の上限に達してしまう患者さんも結構多いのではないでしょうか。自己負担額がこのくらいになる治療を、事前に説明すべきかどうかは診療科や病院によって異なるでしょう。当院では、トラブルにならないように、「4月1日から抗ウイルス薬の自己負担額が高額となっております」という説明をするよう配慮しています。

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第210回 リンパ節にミニ肝臓を作る治療の臨床試験開始/抗菌薬で心不全治療?

リンパ節にミニ肝臓を作る治療の臨床試験開始末期肝疾患(ESLD)患者の肝臓機能を担うことを目指してリンパ節を肝臓化する治療が第IIa相試験(Ph2a試験)で初めてヒトに施されました1,2)。初めて投与されたのはLyGenesis社のLYG-LIV-001という名称の開発品です。LYG-LIV-001は寄付された肝臓から段階を追って念入りに単離された肝細胞です。1つの肝臓から多ければ75例に移植できる量を製造できます3)。Ph2a試験はESLD患者12例を募っています。今回、その最初の患者の肝臓近くのリンパ節に超音波と内視鏡を使って肝細胞5千万個を含むLYG-LIV-001が投与されました。肝臓近くのリンパ節に投与するのは肝臓の助けを借りるためです。肝臓は再生能を有する唯一の臓器であり、たとえ損傷しても再生のための増殖因子やその他の分子を放ちます。肝臓の近くでLYG-LIV-001はそれらの信号を受け取って肝臓構造を形成します。そうしてLYG-LIV-001はリンパ節に根付き、増殖して肝臓の役割を担うことを目指します。LYG-LIV-001投与患者は1年間観察され、安全性や治療の許容のほどの検討に加えて、ESLDの症状や状態への効果も調べられます。LyGenesis社の臓器再生技術は肝臓にとどまらず、胸腺、腎臓、膵臓などの他の臓器の再生にも応用できそうです。実際、老齢胸腺、末期腎不全(ESRD)、1型糖尿病(T1D)の臓器再生細胞治療の前臨床開発に同社は取り組んでいます。LYG-LIV-001を含むLyGenesis社の開発品は遺伝的加工を含まないのでより短期間でより安く作ることができます。また、遺伝的加工につきものの害の心配もありません。米国で1万例弱が肝臓移植の待機者リストに名を連ねています。多くは移植までに数ヵ月から長ければ数年待たねばなりません。また、移植に至る前に死んでしまう患者も多く、待機者リストの患者の12%ほどが毎年亡くなっています。LYG-LIV-001が有効なことが裏付けられれば肝疾患治療が一新するかもしれません。LyGenesis社の技術の実用化によってわずか数年のうちに肝臓移植の待機者リストが不要になりうると同社の舵を取る最高経営責任者(CEO)Michael Hufford氏は言っています2)。抗菌薬で心不全治療?薬による臓器再生の研究でも進展があり、承認済みの意外な薬2つの心臓再生作用が、大型動物ブタを含む実験で示されました。Meis1とHoxb13と呼ばれる協調する2つの転写因子を省くことで成体の心筋細胞の細胞周期停止が解除され、心筋梗塞マウスの左心室機能が向上することが、米国のテキサス大学南西医療センター(UTSW)のHesham Sadek氏らの先立つ研究で示されています4)。よってMeis1やHoxb13の転写活性阻害による心筋細胞の増加は心臓再生手段として有望です。Sadek氏らのさらなる研究5,6)で見付かったのが、Meis1とHoxb13の転写活性を阻害してどうやら心臓再生を促す米国FDA承認薬2つです。2つともアミノグリコシド系抗菌薬で、1つはパロモマイシン、もう1つはネオマイシンです。Hoxb13はMeis1を介添えし、Meis1を細胞の核内へと運ぶ役割を担います7)。パロモマイシンとネオマイシンはどちらもMeis1に結合します。結合領域はHoxb13と相互作用する部位の近くです。成体のマウスやブタの心筋梗塞(心虚血/再潅流障害)後にそれら2つとも投与したところ心筋細胞が増え、左心室機能が改善し、瘢痕を減らすことができました。Sadek氏らの今回の成果は臨床試験での検討をより現実的なものにしており6)、心筋梗塞後に高頻度で生じる心不全をパロモマイシンとネオマイシンで治療できる日がもしかしたら来るかもしれません8)。参考1)LyGenesis Announces First Patient Dosed in its Phase 2a Clinical Trial of a First-in-Class Regenerative Cell Therapy for Patients with End-Stage Liver Disease / PRNewswire 2)Therapy that turns lymph nodes into livers gets first human trial / (NewScientist)3)This Bag of Cells Could Grow New Livers Inside of People / WIRED4)Nguyen NUN, et al. Nature. 2020;582:271-276.5)Ahmed MS, et al. Nature Cardiovascular Research. 2024;3:372-388.6)Heart Regeneration Induced by FDA-Approved Antibiotics / Genetic Engineering & Biotechnology News7)Helping the heart heal itself / Eurekalert8)Common antibiotics can regenerate heart cells in animals / NewScientist

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C. difficile 感染のリスク【1分間で学べる感染症】第1回

画像を拡大するTake home messageC. difficile 感染のリスクを大まかに高リスク・中リスク・低リスクに分類して理解しよう。広域抗菌薬、とくに嫌気性菌をカバーする抗菌薬はリスクが高い。C. difficile 感染を引き起こすリスクのうち、最も重要なものが抗菌薬によるものです。それでは一体どのような抗菌薬が、リスクが高いのでしょうか。一般的には、広域抗菌薬、とくに嫌気性菌をカバーする抗菌薬はリスクが高いとされています。具体的には、上記のように、メロペネム、イミペネム、モキシフロキサシン、第3世代・第4世代セファロスポリンなどが最もリスクが高いとされ、次にシプロフロキサシン、レボフロキサシン、クリンダマイシンなどが続きます。一方、アモキシシリン、第1世代セフェム系、アジスロマイシン、アズトレオナム、ダプトマイシン、リネゾリド、テトラサイクリンなどはリスクが低いとされています。C. difficile 感染のリスクをできるだけ最小限にするために、可能な限り狭域な抗菌薬にde-escalationできないか、常に検討しましょう。1)Di Bella S, et al. Clin Microbiol Rev. 2024 Feb 29. [Epub ahead of print]

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亜鉛欠乏症、日本人の特徴が明らかに

 亜鉛欠乏症*は、免疫機能の低下、味覚障害、嗅覚障害、肺炎、成長遅延、視覚障害、皮膚障害などに影響を及ぼすため、肝疾患や慢性腎臓病などをはじめとするさまざまな疾患を管理するうえで、血清亜鉛濃度の評価が重要となる。今回、横川 博英氏(順天堂大学医学部総合診療科学講座 先任准教授)らが日本人患者の特徴と亜鉛欠乏との相関関係を調査する大規模観察研究を行った。その結果、日本人の亜鉛欠乏患者の特徴は、男性、入院患者、高齢者で、関連する病態として呼吸器感染症や慢性腎臓病などが示唆された。Scientific reports誌2024年2月2日号掲載の報告。*「亜鉛欠乏症」は亜鉛欠乏による臨床症状と血清亜鉛値によって診断されるとされている。これに対し、「低亜鉛血症」は亜鉛欠乏状態を血清亜鉛値から捉えたもの。 研究者らは2019年1月~2021年12月の期間、メディカル・データ・ビジョン(MDV)が保有する日本全国のレセプトデータベースを使用して、遡及的かつ横断的観察研究を実施した。研究母集団のうち、20歳未満の患者、亜鉛含有薬剤の処方後に血清亜鉛濃度が評価された患者を除く、外来および入院患者1万3,100例の血清亜鉛データを解析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は69.0歳、男性は48.6%であった。・血清亜鉛濃度の平均値±SDは65.9±17.6μg/dLで、4,557例(34.8%)が亜鉛欠乏症(60μg/dL未満)に、5,964例(45.5%)が潜在性亜鉛欠乏(60~80μg/dL)に該当した。・亜鉛欠乏症との有意な関連がみられたのは、男性(オッズ比[OR]:1.165)、高齢者(OR:1.301)、入院患者(OR:3.367)だった。男性の亜鉛欠乏症の割合は50代を境に高くなったが、80代では男女共に40%以上が亜鉛欠乏症であった。・亜鉛欠乏症の割合が高い併存疾患について、年齢と性別による多変量解析後の調整オッズ比(aOR)は、肺臓炎で2.959、褥瘡や圧迫で2.403、サルコペニアで2.217、新型コロナウイルス感染症で1.889、慢性腎臓病で1.835だった。・また、亜鉛欠乏症と有意な関連がみられた薬剤のaORは、スピロノラクトンが2.523、全身性抗菌薬が2.419、フロセミドが2.138、貧血治療薬が2.027、甲状腺ホルモンが1.864、と明らかになった。

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乳がん免疫療法中の抗菌薬投与が予後に影響?

 ペムブロリズマブによる術前治療中のHER2陰性高リスク早期乳がん患者において、抗菌薬の投与と高い残存腫瘍量(RCB)との関連が示唆された。これまで、免疫療法中の抗菌薬への曝露が、さまざまな種類のがんにおいて臨床転帰に悪影響を与えることが報告されている。米国・ミネソタ大学のAmit A. Kulkarni氏らは、ISPY-2試験でペムブロリズマブが投与された4群について、抗菌薬への曝露がRCBおよび病理学的完全奏効(pCR)へ与える影響について評価した2次解析の結果を、NPJ Breast Cancer誌2024年3月26日号に報告した。 ISPY-2試験では、ペムブロリズマブの4サイクル投与と同時にパクリタキセルを12週間投与し、その後ドキソルビシンとシクロホスファミドを2~3週間ごとに4サイクル投与した。免疫療法(IO)と同時に少なくとも1回の抗菌薬の全身投与を受けた患者が抗菌薬曝露群に、それ以外のすべての患者が対照群に割り付けられた。 RCBインデックスとpCR率は、t検定とカイ二乗検定、線形回帰モデルとロジスティック回帰モデルを使用してそれぞれ両群間で比較された。 主な結果は以下のとおり。・66例が解析に含まれ、うち18例(27%)が抗菌薬投与を受けていた。・免疫療法中の抗菌薬の投与は、より高い平均RCBスコア(1.80±1.43 vs.1.08±1.41)および低いpCR率(27.8% vs.52.1%)と関連していた。・抗菌薬の投与とRCBスコアについて、多変量線形回帰分析においても有意な関連がみられた(RCBインデックス係数:0.86、95%信頼区間:0.20~1.53、p=0.01)。 著者らは、より大規模なコホートでの検証が必要としている。

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市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。 ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。 不適切な診断は、市中肺炎の徴候または症状が2つ未満または胸部画像検査が陰性の患者への抗菌薬投与と定義した。不適切な診断のリスク因子を評価し、不適切な診断とされた患者については30日間の複合アウトカム(死亡率、再入院、救急外来受診、C. difficile感染、および抗菌薬関連有害事象)を記録した。交絡因子および治療傾向を調整し、抗菌薬の完全投与(3日超)と短期投与(3日以下)に層別化して評価した。 主な結果は以下のとおり。・市中肺炎の治療を受けた入院患者1万7,290例のうち、不適切な診断の基準を満たしたのは2,079例(12.0%)だった。2,079例の年齢中央値は71.8(IQR:60.1~82.8)歳、女性が1,045例(50.3%)で、このうち1,821例(87.6%)が抗菌薬の完全投与を受けた。・患者全般と比較して、不適切な診断を受けた患者は高齢であり(10年当たりの調整オッズ比[AOR]:1.08、95%信頼区間[CI]:1.05~1.11)、認知症(AOR:1.79、95%CI:1.55~2.08)、または来院時の精神状態の変化(AOR:1.75、95%CI:1.39~2.19)を有する可能性が高かった。・不適切な診断を受けた患者において、抗菌薬の完全投与と短期投与の30日複合アウトカムに差はなかった(25.8% vs.25.6%、AOR:0.98、95%CI:0.79~1.23)ものの、完全投与は抗菌薬の有害事象リスクと関連していた(31/1,821例[2.1%] vs.1/258例[0.4%]、p=0.03)。 研究者らは「このコホート研究において、市中肺炎で入院した患者では、高齢、認知症、精神状態に変化がみられた患者では不適切な診断のリスクが高く、不適切な診断がされた患者は抗菌薬の投与が長期になり、それが抗菌薬の有害事象と関連することが示唆された」とした。

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相手が退屈しない話し方をするには?【もったいない患者対応】第2回

相手が退屈しない話し方をするには?登場人物僕はどうしても話がくどくど長くなりがちで、患者さんに退屈そうにされてしまうので困っています。それは困ったねぇ。どうすれば最後までちゃんと相手に話を聞いてもらえるんでしょうか?話にメリハリをつける必要があるね。どんなに話の上手な人でも、話が一辺倒だと誰もついていけないからね。ふむふむ。ポイントがいくつかあるので、わかりやすく説明しよう。長い話は退屈なもの医師は患者さんに、専門的な内容を噛み砕いて説明しなければなりません。ときには、20分、30分と長時間一方的に話し続けてしまうこともあるでしょう。患者さんの身になってみると、これはなかなかつらいものです。たとえば、私たちが車を買いにディーラーに行き、店員から30分ぶっ通しで車の性能に関する話を聞く場面を想像してみてください。相当車に興味があって、背景知識が豊富にある場合を除いては、徐々に集中力が切れてくるのが自然ではないでしょうか。いくら自分が満足する車を買いたいと思っていても、そのうち、「もうよくわからないので、店員さんのおすすめの商品にします」と言いたくなってくるかもしれません。しかし、医療現場では患者さんが医師の話をきちんと理解していないと、大きなトラブルにつながるおそれがあります。では、集中力を切らさず、最後まで話を聞いてもらうにはどうすればいいのでしょうか?疑問を「先回り」するまず1つ目の方法として「先回り」があります。患者さんへの説明を繰り返し行っていると、患者さんが疑問に感じやすいポイントや、誤解しやすいポイントが次第にわかってきます。これを上手に先回りして伝えるのがコツです。たとえば、風邪で救急外来を受診した患者さんに対して、「風邪は抗生物質(抗菌薬)では治りません」「風邪薬は風邪の症状を抑える薬で特効薬ではありません」「解熱薬は 38℃以上の熱が出たときを目安に飲んでください」という3点を伝えたいとします。このまま情報を羅列して伝えてもよいのですが、疑問や誤解を「先回り」して、「抗生物質で風邪が治ると思っている人がいるのですが、実は治らないんです」「風邪薬は風邪の特効薬だと誤解している人がいますが、症状を抑えるだけなんですよ」「解熱薬はどのくらいの熱が出たときに飲めばいいのか、と疑問に思う人が多いので、私はいつも38℃以上を目安にするようお伝えしています」といった具合に説明します。前半の「疑問」「不安」「誤解」の部分で聞き手の共感を得られるので、患者さんの興味を一層引きつけることができるのです。風邪の場合はシンプルな説明で済みますが、複雑な話のときは、とくにこの方法が有効です。たとえば私なら、胆石症の手術前に、「胆石症は手術が必要です」「胆石症の手術は胆嚢自体を切除する手術です」「胆嚢を切除しても日常生活に支障はありません」と話したいときに、あえて、「胆石を薬で治せないのか? と疑問に思う人がいますが、実は手術でしか治せないんです」「胆嚢を取らずに胆石だけ取ったらダメなのか? と思う方が多いんですが、実は胆石だけを取ることはできないので胆嚢自体を切除するんです」「胆嚢は取ってしまって大丈夫かと不安になる人がいますが、心配はいりません。胆嚢はなくても困らない臓器なんですよ」といった形で抑揚をつけて話すようにしています。重要性の高低を伝える仮に30分間、病状説明をするとしても「すべての内容が同じくらい重要」というわけではないと思います。少なくとも、「最も重要でぜひ覚えておいてほしいところ」や「専門的なので必ずしも覚えなくてもいいところ」といった“重要性の高低”はあるでしょう。これを、話す前に逐一伝えておくのがコツです。たとえば、少し専門性の高い話題で「医師として患者さんに説明はしなければならないものの必ずしも覚えておく必要はない」という程度の内容であったときには、「いまから話すことは少し難しいので、覚えなくても大丈夫なんですが…」と言ったり、説明文を見せながら説明するときに、「ここは少し専門的なので、サラッと読み流していただいてもいいのですが…」と前置きを入れたりします。学生時代を思い出してみてください。学校や塾の授業で、最初は意気込んで話を聴き始めたのに、途中で難しい話が続くと途端に集中力を維持するのが難しくなった経験があるでしょう。患者さんも、私たちの説明を聞きながら常に100%の集中力を維持しておくことはできません。そこで、「ここの重要性は低いですよ」と事前に伝えることで、少し“息抜き”をしてもらうわけです。一方で、必ず理解しておいてほしい重要なことを説明するときは、「ここからは非常に重要な話になりますので、しっかり聞いていてくださいね」と前置きを入れることも大切です。ここで前項の“アウトライン”を使って、「ここから非常に重要な話を3つお伝えします」と話し始めてもよいでしょう。短い話であれば、話し始める前に、「今日お話しすることは10分くらいで終わる簡単な内容です」というように、長さの目安を伝えるのも有効です。たとえば、私たちが何か専門的なことを調べようとGoogle検索したときに、「3分でわかる! ○○の仕組みと使い方」というタイトルがあれば、クリックしたくなりませんか?知らないことを知ろうとするときは、誰しも「難しい話で理解できなかったらどうしよう」とストレスを感じています。最初の敷居を下げ心理的ストレスを軽くできれば、スムーズに話を聞き始めてもらえるということです。質問は最後にまとめて病状説明の際に、途中で患者さんに質問されて話を何度も遮られた、という経験をお持ちの方は多いと思います。あまりに頻繁に話を遮られるので、「いま私が話しています。私の話をまず聞いてください」と怒ってしまった医師を見たこともあります。ただ、どちらかというと「話を遮る勇気のある患者さん」のほうが少ないのが現実でしょう。医師に一方的に話されて、途中で疑問を抱いても、「話を遮るのは悪い」と思って聞き続け、「結局わからないことだらけだった」という思いで病院を後にする人は多いからです。そこで、途中で、「ここまでの話で何か疑問はありますか?」と伝えるか、途中で遮られずに話すべき内容だと思ったときは、事前に、「質問は最後に聞きますので、まず私の話を聞いてくださいね」と伝えるのが得策です。あるいは、途中で遮られても話の構成上とくに問題ないというケースであれば、「質問があれば途中で遮っていただいても大丈夫です」とお伝えするのもよいでしょう。こうすることで、患者さんはどのタイミングで質問すればいいのかが事前にわかるため、安心して話を聞くことができるのです。

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英語で「予防」は?【1分★医療英語】第123回

第123回 英語で「予防」は?《例文1》Do you recommend initiating antibiotic prophylaxis?(抗菌薬での予防を開始したほうがいいと思いますか?)《例文2》The oncology team has decided to use neutropenia prophylaxis.(腫瘍チームが好中球減少症の予防をすることを決めました)《解説》「予防」を示す英単語は、“prevention”と習ったかと思います。患者さんとの会話の際は一般的なこの表現を使いますが、医療者同士では“prophylaxis”(プロフィラクスィス:[病気の]予防)が使われることが多く、臨床ガイドライン等でもこちらが採用されています。“PrEP”(pre-exposure prophylaxis=曝露前予防)、“PEP”(post-exposure prophylaxis=曝露後予防)など、HIV曝露前後に予防として抗HIV薬を服用する意味の単語にも使われています。“prophylaxis”は少し長いので、カルテ等では略語の“ppx”と書くこともあります。同じ薬であっても、治療目的と予防目的では異なる用量で処方することも多く、注意が必要です。“therapeutic dose”は「治療目的の用量」、“prophylactic dose”は「予防目的の用量」を指します。薬のオーダーをするときや、スタッフとの会話の際に、間違いや勘違いがないよう気を付けてください。講師紹介

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市中誤嚥性肺炎、嫌気性菌カバーは必要?

 誤嚥性肺炎の治療において、本邦では嫌気性菌カバーのためスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)などが用いられることがある。しかし、海外では誤嚥性肺炎の0.5%にしか嫌気性菌が認められなかったという報告もあり1)、米国胸部学会/米国感染症学会(ATS/IDSA)の市中肺炎ガイドライン2019では、嫌気性菌カバーは必須ではないことが記載された2)。また、2023年に実施されたシステマティックレビューにおいて、嫌気性菌カバーの有無により、誤嚥性肺炎患者に転帰の差はみられなかったことも報告されている3)。しかし、本レビューに含まれた論文は3本のみであり、サンプルサイズも小さく、結論を導くためには大規模研究が必要である。そこで、カナダ・クイーンズ大学のAnthony D. Bai氏らは、約4千例の市中誤嚥性肺炎患者を対象とした多施設後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、嫌気性菌カバーは院内死亡リスクを低下させず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させた。本研究結果は、Chest誌オンライン版2月20日号で報告された。嫌気性菌カバーで院内死亡率は改善せずにC. difficile大腸炎リスクが上昇 研究グループは、カナダの18施設において市中誤嚥性肺炎で入院した患者のうち、入院から48時間以内に抗菌薬が投与された3,999例を対象とした後ろ向き研究を実施した。セフトリアキソン、セフォタキシム、レボフロキサシンが投与された患者を非カバー群(2,683例)とした。アモキシシリン・クラブラン酸※、モキシフロキサシンが投与された患者、非カバー群の薬剤とクリンダマイシンまたはメトロニダゾールが併用された患者を嫌気性菌カバー群(1,316例)とした。主要評価項目は院内死亡、副次評価項目はC. difficile大腸炎の発現、治療開始後のICU入室であった。なお、両群間の背景因子を調整するため、傾向スコアオーバーラップ重み付け法を用いて解析した。※:本研究が実施されたカナダではSBT/ABPCが使用できないため、SBT/ABPCに相当するものとした。 市中誤嚥性肺炎治療で嫌気性菌カバーの有無による転帰の差を評価した主な結果は以下のとおり。・市中誤嚥性肺炎患者の入院期間中央値は非カバー群6.7日、嫌気性菌カバー群7.6日であった。・市中誤嚥性肺炎患者の院内死亡率は非カバー群30.3%(814例)、嫌気性菌カバー群32.1%(422例)であった。・傾向スコアによる背景因子の調整後の院内死亡リスクの群間差は1.6%(95%信頼区間[CI]:-1.7~4.9)であり、両群間に有意差は認められなかった。・C. difficile大腸炎の発現率は非カバー群0.2%以下(5例以下)、嫌気性菌カバー群0.8~1.1%(11~15例)であった。・傾向スコアによる背景因子の調整後のC. difficile大腸炎の発現リスクの群間差は1.0%(95%CI:0.3~1.7)であり、嫌気性菌カバー群で有意にリスクが高かった。・治療開始後のICU入室率は非カバー群2.5%(66例)、嫌気性菌カバー群2.7%(35例)であった。 著者らは、本研究には抗菌薬を必要としない誤嚥性肺炎患者が含まれる可能性があること、院外死亡や再入院の評価ができなかったこと、多くの患者で肺炎の原因菌が特定できていなかったことなどの限界が存在することを指摘しつつ、「誤嚥性肺炎において、嫌気性菌カバーは院内死亡率を改善せず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させることから不要である可能性が高いと考えられる」とまとめた。

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090)お薬を多めに飲んじゃう患者さん!?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第90回 お薬を多めに飲んじゃう患者さん!?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆先日外来で、前の週に切開排膿した炎症性粉瘤の患者さんを、処置室で診察しました。切開部位まわりの炎症もなく、きれいになっており、あとは傷がふさがるのを待つだけ、という状態。傷がふさがるまで創部のガーゼ交換だけ続けてもらい、先週処方した抗菌薬の内服は飲みきり終了でよい旨、お伝えしました。すると、患者さんから、漫画に描いたような返答が…。「いつも多めに飲んじゃうみたいで、もう2日前には終わってしまったんですよ~!」(笑顔)とのこと。内服薬で「飲み忘れがあり、余っている」というのはよく聞きますが、「多めに飲んでしまって、早く終わってしまう」というパターン(?)もあるとは…!?たくさん飲むと安心するのか? はたまた、飲んだことを忘れて、また飲んでしまうのか…?? そう言えば以前にも、「効き目が増すだろうと思って(自己判断で)倍の量を飲んでいました」という患者さんがおられました(そのときはたしか、鎮痛薬)。あらためて、「いろんなタイプの人がいるものだなあ」と思った次第です。お薬は用法用量を守って、正しくお使いください…!?それでは、また次の連載で。

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レジオネラ症治療、キノロン系抗菌薬・マクロライド系抗菌薬・2剤併用で比較

 レジオネラ症は、レジオネラ肺炎を引き起こす。レジオネラ肺炎は市中肺炎の1~10%を占め、致死率は6.4%という報告もある1)。『JAID/JSC感染症治療ガイド2023』では、第1選択薬として、キノロン系抗菌薬(レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ラスクフロキサシン、パズフロキサシン)、マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン)が推奨されている2)。しかし、これらの薬剤による単剤療法や併用療法の有効性の違いは明らかになっていない。そこで、忽那 賢志氏(大阪大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授)らの研究グループは、DPCデータを用いて、レジオネラ症に対するキノロン系抗菌薬単独、マクロライド系抗菌薬単独、これらの併用の有効性を比較した。その結果、併用療法と単剤療法には有効性の違いがみられなかった。本研究結果は、International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2024年2月15日号で報告された。レジオネラ症治療でキノロン系・マクロライド系抗菌薬を併用しても有意差なし 研究グループはDPCデータを用いて、2014年4月1日~2021年3月31日までにレジオネラ症により入院した3,560例の患者情報を分析した。対象患者を入院から2日以内に投与された抗菌薬に基づき、キノロン系単独群(2,221例)、マクロライド系単独群(775例)、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用群(564例)に分類した。傾向スコアを用いた逆確率重み付け法により、併用群を対照として院内死亡率、入院期間、入院費用を比較した。 レジオネラ症に対するキノロン系抗菌薬単独、マクロライド系抗菌薬単独、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用の有効性を比較した主な結果は以下のとおり。・調整後のレジオネラ症患者の院内死亡率は、キノロン系抗菌薬単独群4.6%、マクロライド系抗菌薬単独群3.1%、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用群4.5%であり、併用群と各単独群との間に有意差は認められなかった。・調整後のレジオネラ症患者の入院期間は、それぞれ12日、11日、13日であり、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用群と各単独群との間に有意差は認められなかった。・調整後のレジオネラ症患者の入院費用は、それぞれ53万4千円、50万9千円、55万7千円であり、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用群と各単独群との間に有意差は認められなかった。 著者らは、本研究結果について「レジオネラ症の治療において、キノロン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬を併用しても、単独療法と比較して大きな利点がないことが示唆された。副作用が増加する可能性を考慮すると、併用療法を選択する際には慎重な検討が必要である」とまとめた。

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単純性尿路感染症、新規経口抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 世界219施設で実施された単純性尿路感染症の女性患者を対象とする無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「EAGLE-2試験」および「EAGLE-3試験」において、新規経口抗菌薬gepotidacinはnitrofurantoinと比較し、治療成功率に関して非劣性(EAGLE-2試験)および優越性(EAGLE-3試験)が検証された。ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian Wagenlehner氏らが報告した。gepotidacinは、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、他の抗菌薬とは異なる作用機序と独自の結合部位により細菌のDNA複製を阻害し、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。著者は、「gepotidacinは、臨床的に重要な薬剤耐性菌を含む一般的な細菌性尿路病原体に対して有効な新規クラスの経口抗菌薬として、患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年2月24日号掲載の報告。gepotidacin群とnitrofurantoin群に無作為化、1日2回5日間経口投与 EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験の対象は、出生時女性で妊娠しておらず、12歳以上かつ体重40kg以上であり、排尿困難、頻尿、尿意切迫感、下腹部痛の症状のうち2つ以上を有し、さらに、亜硝酸塩または膿尿(白血球数>15/HPF、白血球エステラーゼ3+または強陽性)が認められた単純性尿路感染症患者。 対象者を、gepotidacin群(1,500mgを1日2回5日間経口投与)またはnitrofurantoin群(100mgを1日2回5日間経口投与)に、年齢区分(18歳未満、18~50歳、50歳以上)および再発歴で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、治療開始10~13日後の治癒判定(Test-Of-Cure:TOC)のための来院時における治療成功(細菌学的消失と臨床的消失の複合)であった。解析対象集団は、nitrofurantoin感受性の細菌性尿路病原体(≧105CFU/mL)を有し、試験薬を少なくとも1回投与された患者とした。非劣性マージンは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)のガイダンスに従って10%(片側p=0.025)とした。安全性は、無作為に割り付けられた試験薬を少なくとも1回投与された全患者を対象に評価した。10~13日後の治療成功率、gepotidacin群50.6~58.5%、nitrofurantoin群43.6~47.0% EAGLE-2試験は2019年10月17日~2022年11月30日、EAGLE-3試験は2020年4月23日~2022年12月1日に実施され、それぞれ1,531例および1,605例が無作為に割り付けられた(EAGLE-2試験:gepotidacin群767例、nitrofurantoin群764例、EAGLE-3試験:805例、800例)。両試験は中間解析の結果、有効中止となった。したがって、本報告の主要解析集団には、中間解析のデータカットオフ時点でTOC来院を満たした、または、TOC来院までに治療効果が得られなかったことが判明した患者のみが含まれた。 治療成功が得られた患者の割合は、EAGLE-2試験でgepotidacin群50.6%(162/320例)、nitrofurantoin群47.0%(135/287例)(補正後群間差:4.3%、95%信頼区間[CI]:-3.6~12.1)、EAGLE-3試験でそれぞれ58.5%(162/277例)、43.6%(115/264例)(補正後群間差:14.6%、95%CI:6.4~22.8)であった。gepotidacinは、両試験においてnitrofurantoinに対し非劣性であることが示され、EAGLE-3試験では優越性が示された。 主な有害事象は、gepotidacin群が下痢(発現率:EAGLE-2試験14%[111/766例]、EAGLE-3試験18%[147/804例])、nitrofurantoin群が悪心(発現率:4%[29/760例]、4%[35/798例])であった。ほとんどは軽度または中等度で、生命を脅かすまたは致死的な有害事象は認められなかった。

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