CRP POCT、介護施設入居者の抗菌薬処方を削減/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/11

 

 下気道感染症が疑われる介護施設入居者において、C反応性蛋白(CRP)の臨床現場即時検査(point-of-care testing:POCT)は通常ケアと比較して、完全回復率や全死因死亡率、入院率には差がないものの、抗菌薬の処方を安全に削減することが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのTjarda M. Boere氏らが実施した「UPCARE試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年9月21日号で報告された。

オランダの11施設のクラスター無作為化対照比較試験

 研究グループは、介護施設入居者に対するCRP POCTが、下気道感染症への抗菌薬処方を安全に削減できるかを検証する目的で、実践的なクラスター無作為化対照比較試験を行った(オランダ・保健研究開発機構[ZonMw]の助成による)。

 本試験には、オランダの11の介護施設(平均入居者数400人)が参加し、CRP POCT(QuikRead go、フィンランド・Aidian製)を行う介入群に6施設、CRP POCTを行わずに通常ケアを実施する対照群に5施設が無作為に割り付けられた。これらの施設に所属する医師84人が、2018年9月~2020年3月の期間に、下気道感染症が疑われる参加者241例の診療に当たった。

 初診時(=ベースライン)、1週後、3週後に、臨床的状態や新たな診断結果、管理法のデータが収集された。また、介入群では、診断検査の一環としてCRP POCTを行うかの決定は治療医の裁量に委ねられ、CRP POCTは必須ではなかった。

 主要アウトカムは初診時の抗菌薬処方とされた。副次アウトカムは3週時の完全回復などであった。

初診時抗菌薬の非処方率、介入群は対照群の4.93倍に

 参加者241例(平均年齢84.4歳、女性64%)のうち、162例が介入群、79例は対照群に割り付けられた。全体で慢性閉塞性肺疾患が32%、うっ血性心不全が29%、認知症が29%にみられ、77%は中等度の病態であった。初診時に咳が73%、異常肺音が63%、呼吸困難が60%に認められた。介入群の87.4%でCRP POCTが行われ、ベースラインのCRP値中央値は32.5mg/L(IQR:13~82)だった。

 初診時に抗菌薬が処方されたのは、介入群が84例(53.5%)、対照群は65例(82.3%)であった。治療医とベースラインの背景因子で補正した、初診時の介入群の対照群に対する抗菌薬非処方のオッズは、4.93(95%信頼区間[CI]:1.91~12.73、p=0.001)であった。

 初診からフォローアップ期間(1週後、3週後)のすべての時点での初回抗菌薬処方開始の割合は、介入群が62.5%、対照群は86.1%であり、その差は23.6%であった。

 初診時の抗菌薬の処方率は、CRP値が低い患者では低値(0~20mg/L:6.38%、20~40mg/L:35.00%)であったが、40~60mg/Lの患者(66.67%)で増加し始め、60mg/L以上ではほとんどの患者で処方されていた(60~80mg/L:100%、80~100mg/L:100%、100~200mg/L:96.00%)。

 両群間の3週時の完全回復率(介入群86.4% vs.対照群90.8%、オッズ比:0.49、95%CI:0.21~1.12、p=0.09)の差は4.4%、初診からフォローアップ期間(1週後、3週後)のすべての時点での全死因死亡率(3.5% vs.1.3%、2.76、0.32~24.04、p=0.36)の差は2.2%、すべての時点での入院率(7.2% vs.6.5%、1.12、0.37~3.39、p=0.85)の差は0.7%であり、いずれも有意な差はなかった。

 著者は、「これらの知見により、介護施設におけるCRP POCTの実施は抗菌薬使用の削減に寄与し、抗菌薬耐性の対策として有効となる可能性が示唆される」としている。

(医学ライター 菅野 守)