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新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。無症状者への迅速抗原検査プログラムの有効性を検証 Covid-SMARTは、英国政府が実施した無症状者対象の任意の自由参加によるSARS-CoV-2迅速抗原検査プログラム(検査センターにて監視下で自己検体採取)で、2020年11月6日からリバプール市に居住または勤務するすべての人に対し試験的に導入された。 研究グループは、英国国民保健サービス(NHS)Digitalが提供するHospital Episode Statistics(HES)の2020年10月5日~2021年1月17日のデータを用い、リバプール市(一般人口49万8,042人)と、過去のCOVID-19関連入院率や社会人口学的要因が類似するよう重み付けした英国の他の地域(対照地域)を、COVID-19関連入院について合成コントロール法により比較した。 主要評価項目は、2020年11月19日~2021年1月15日におけるCOVID-19関連入院患者数(週間)で、中地域調査区(MSOA)で集計した。MSOAは、地方自治体内の標準的な地理的単位(平均人口7,200人)で、リバプール市は61のMSOAで構成されている。対照地域と比較してコミュニティ検査の導入でCOVID-19関連入院率が低下 リバプール市におけるCovid-SMARTは、英国全土のロックダウンのため2020年11月6日~12月3日の期間は軍の支援により検査が強化された。この期間のCOVID-19関連入院率は、対照地域と比較してコミュニティ検査が導入されたリバプール市で43%(95%信頼区間[CI]:29~57)低かった(p<0.001)。この低下率は絶対数で146例(95%CI:96~192)減少に相当する。 全介入期間(2020年11月6日~2021年1月2日)では、COVID-19関連入院率は対照地域と比較してリバプール市で16%(95%CI:0~27)低かった(p=0.07)。 2020年12月3日~2021年1月2日のCOVID-19段階的制限の地域差を補正した後では、リバプール市のCOVID-19関連入院率は対照地域と比較して25%(95%CI:11~35)低く(p<0.001)、絶対数の減少は239例(95%CI:104~333)と推定された。

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オミクロン株BQ.1.1とXBBに対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 新型コロナウイルス感染症の第8波では、オミクロン株BA.5がまだ主流ではあるものの、主に欧米で見られるBQ.1.1系統(BA.5系統から派生)や、インドやシンガポールなどのアジア諸国で急激に増加しているXBB系統(BA.2系統から派生)の感染例が、国内でも徐々に増加している。河岡 義裕氏らによる東京大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で行った研究において、患者から分離したBQ.1.1とXBBに対して、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、抗体薬はいずれも感染を阻害しなかったが、抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示した。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年12月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 試験薬剤は、抗体薬のソトロビマブ、カシリビマブ/イムデビマブ、チキサゲビマブ/シルガビマブ、bebtelovimab、抗ウイルス薬のレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルである。 今回の試験では、患者から分離したBQ.1.1とXBBに対する治療薬の効果について、新型コロナウイルスの従来株(中国武漢由来の株)、オミクロン株BA.2、BA.5のそれぞれに対する効果と比較した。抗体薬について、FRNT50(ライブウイルス焦点減少中和アッセイで50%のウイルスを中和する血清希釈)を用いて評価した。また、抗ウイルス薬について、ウイルスの増殖を阻害するかどうかを、IC50(50%阻害濃度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。【抗体薬】・BQ.1.1とXBBに対するソトロビマブ、カシリビマブ/イムデビマブ、チキサゲビマブ/シルガビマブの中和活性は、いずれも著しく低かった。・bebtelovimabは、BA.2とBA.5に対して高い中和活性を維持していたが、BQ.1.1とXBBに対する中和活性は著しく低かった。【抗ウイルス薬】・BQ.1.1に対するレムデシビルは、従来株に対する本剤の0.6倍のIC50の値となり、高い効果を示した。モルヌピラビルでは1.1倍、ニルマトレルビルでは1.2倍となり、従来株とほぼ同等のIC50の値を示した。・XBBに対しては、レムデシビルでは0.8倍、モルヌピラビルでは0.5倍のIC50の値となり、従来株より高い効果を示した。ニルマトレルビルでは1.3倍のIC50の値を示した。・これら3種類の抗ウイルス薬のBQ.1.1とXBBに対する効果は、BA.2とBA.5に対する効果を上回るものだった。 抗ウイルス薬のレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビルは、オミクロン株から新たに派生したBQ.1.1とXBBに対して、いずれも高い増殖抑制効果が認められた。また、著者は本結果について、BQ.1.1とXBBが、BA.2とBA.5を含む以前の系統よりも優れた免疫回避力を持っていることが示唆され、オミクロン株の継続的な変異に対して、新たな治療用モノクローナル抗体の必要性が高まっていると指摘している。

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第23回 病院の黙食はいつまで?

緩和された学校の「黙食」コロナ禍の「黙食」って誰が考えたのかな?と思ってGoogleで調べてみました。Wikipediaによると「会食が感染拡大の要因であると槍玉に上げられた飲食店が、苦肉の策として『黙食(もくしょく)』を提唱したことが始まりとされる」と書かれてあり、福岡県の飲食店の店主が考案したらしい、とのことでした。文部科学省は11月29日、学校の給食時に適切な感染対策を講じている場合は「黙食」を求めない方針へ推奨を変更しました。「新型コロナはただの風邪だから、マスク撤廃してウェイウェイ食事しようぜー!」というわけではなく、ゆっくりと日常に戻していきましょうというメッセージと理解しています。しかし、一部の学校では当面「黙食」を継続する方向とのことで、世論はまたもや二分される状態となっています。教育現場にいる知り合いからも「教室内で子供と子供の間隔を2メートル取るというのは不可能なので、結局は黙食継続ということではないか、というのが現場の感覚」というコメントもいただきました。このあたりの現場とのすり合わせ、文科省も頑張ってほしいと思います。濃厚接触者の扱いの是非も含めて、総合的に間引いていかないと現場が混乱しますよね。ゴリゴリにマニュアルを遵守しなければならないような堅苦しさなんて、いっそのこと撤廃するほうが、たぶんやりやすいのでしょうが。日本はもともと「黙食」だった恵方巻きは黙って食べるのはともかくとして、現代の食事というのは会話をしながら…というのが当たり前になっていたように思います。しかし、昔から食事のときは無駄口を叩かないというのがマナーだったという側面もあります。食事中に会話するのは、ちゃぶ台が登場した大正時代が始まりだそうです。伝統的な食卓ではまだ「家」の原理が働いていたので、士族家庭では家父長的色彩が強く、言葉遣いや礼儀作法の教育を食事中に受けたとされています1)。家長中心の食事は非常に厳しいもので、会話などもってのほかだったそうです。なぜ食事中の会話が下品だとしつけられたのかはよくわかりません。昭和時代にテレビが登場し、このあたりから食事中の会話が増えていったようです。しつけや「家」の大切さを教える場ではなくなっていったということですね。一部の私立校などでは、コロナ禍以前から給食中は基本的に黙食で、音楽を流しているところもあります。これは食事中に大声で会話することが、行儀が悪いと考えているからかもしれません。医療現場の食事はどうなる?同じテーブルにいたり、マスクなしで会話したりすると感染しやすくなるというエビデンスはあるのですが、食事中にお話をしながら食べることと、黙食をすることで、感染リスクに差があったかどうかを調べた研究はありません。医学論文大好きマンの私が検索したかぎりの話なので、もしそういう比較試験があったら申し訳ないですが。われわれの医療現場では、黙食が当たり前になっています。もう新型コロナに慣れてしまって、本当にみんな黙食をしているのかどうかグレーな部分はありますが、少なくとも医療従事者は黙食を続けることには、ある程度コンセンサスがあるようです。新型コロナの法的な位置付けがもしダウングレードされても、われわれの「黙食」の文化はしばらく続くかもしれませんね。デリケートな問題なので言及しにくいと思いますが、このあたりは学会なども提言を出してもらえるとありがたいですね。にしても、医療機関ではしばらく「黙食」が続くとなると、忘年会などの飲み会はもう許されないのかもしれない…、とちょっと悲観的な未来を見据えています。参考文献・参考サイト1)岡田みゆき. 食事中の会話の教育的意義一父子の会話の歴史的変遷一. 日本家庭科教育学会誌. 1998;41(3):9-16.

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黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。204の国と地域の33の細菌属・種による死亡数を推定 研究グループは、世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019のメソッドと、薬剤耐性の世界疾病負担2019で記述されている特定条件を満たした部分集合データを用いて、2019年に発生した33の細菌属・種による11の感染症に関連する死亡数を推算した。本検討には、1万1,361調査地域年にわたる3億4,300万人の記録と分離株が包含された。 各病原体に関連した死亡数を3段階モデル(感染による死亡、感染症に起因する死亡のうち特定の感染症による死亡割合、感染症に起因する死亡のうち特定の病原体による死亡割合)を用いて推定した。推定値は、2019年における204の国と地域、全年齢、男女について算出。標準的なGBDメソッドに従って、対象の各数量の事後分布から1,000の2.5パーセンタイルと97.5パーセンタイルを抽出し、33の細菌属・種に関連する死亡と感染の最終推定値について95%不確実性区間(UI)を算出した。33細菌属・種の関連死、世界全死亡の約14% 2019年の感染症関連死は推定1,370万人(95%UI:1,090万~1,710万)で、そのうち33の細菌属・種(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)による11の感染症関連死は、770万人(570万~1,020万)だった。 2019年の33細菌属・種の関連死は、世界全死亡の13.6%(95%UI:10.2~18.1)を占め、敗血症関連の全死亡の56.2%(52.1~60.1)を占めると推定された。なかでも黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、肺炎桿菌、緑膿菌の5種の病原菌が、調査対象とした細菌による死因の54.9%(52.9~56.9)を占めた。 死因となった感染症や病原菌は、地域や年齢により異なった。また、調査対象細菌による年齢標準化死亡率は、サハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高く230人/10万人(95%UI:185~285)だった一方、高所得のスーパーリージョンで最も低く52.2人/10万人(37.4~71.5)だった。 黄色ブドウ球菌は、135ヵ国において細菌による死亡の最大の原因で、また、世界的にみて15歳超で最も多く死亡と関連していた。5歳未満の小児では、肺炎球菌が細菌による死亡の最大の原因だった。 2019年に、600万人以上が3種の細菌感染症で死亡しており、200万人超が死亡した感染症は下気道感染症(400万人)と血流感染症(291万人)の2種で、100万人超の死亡は腹膜・腹腔内感染症(128万人)によるものだった。 著者は、「今回調査した33細菌属・種は、世界的な健康ロスの実質的な原因であるが、感染症や地域によって分布にかなりのばらつきがあった。GBDレベル3の根本的な死因と比較すると、これら細菌関連死は2019年の世界で2番目に多い死因に分類される」と述べ、国際保健コミュニティで緊急に介入を優先すべき事項とみなすべきで、対応戦略として、感染予防、抗菌薬の最適使用、微生物学的分析能力の改善、ワクチン開発・改良、利用可能なワクチンのより広範な使用などを提言している。

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葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏でコロナ増悪抑制の可能性/東北大学ほか

 軽症および中等症Iの新型コロナウイルス感染症患者に対し、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を追加投与することで、発熱症状が早期に緩和し、呼吸不全への増悪リスクが低かったことが、東北大学大学院医学系研究科漢方・統合医療学共同研究講座の高山 真氏らの研究グループによる多施設共同ランダム化比較試験で明らかになった。Frontiers in pharmacology誌2022年11月9日掲載の報告。葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を併用したコロナ患者は増悪リスクが低かった 調査は、2021年2月22日~2022年2月16日にかけて国内7施設で行われた。20歳以上の軽症および中等症Iの新型コロナウイルス感染症患者161例を、解熱薬や鎮咳薬による通常治療を行うグループ(対照群、80例)と、通常治療に加えて葛根湯エキス顆粒2.5gと小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒2.5gを1日3回14日間併用するグループ(漢方薬群、81例)にランダムに割り付け、その効果を比較検討した。主要評価項目は1つ以上の風邪様症状の緩和までの日数で、副次的評価項目は各症状が緩和するまでの日数および呼吸不全への増悪であった。 コロナ治療に葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を併用する効果を比較検討した主な結果は以下のとおり。・解析対象となったコロナ患者は、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を併用する漢方薬群70例(男性45例[64.3%]、年齢中央値35歳)、対照群73例(男性47例[64.4%]、年齢中央値37歳)であった。・1つ以上の風邪様症状緩和までの日数は、漢方薬群と対照群で有意差はみられなかった(p=0.43)。・共変量調整後の累積発熱率では、漢方薬群のほうが対照群より有意に回復が早かった(ハザード比[HR]:1.76、95%信頼区間[CI]:1.03~3.01、p=0.0385)。・中等症Iのコロナ患者における呼吸不全への増悪リスクは、漢方薬群のほうが対照群よりも低かった(リスク差:−0.13、95%CI:−0.27~0.01、p=0.0752)。・両群で薬物投与に関連する有害事象に有意な差はみられなかった。

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女性のサル痘感染、性自認や性行為で臨床症状が異なる/Lancet

 2022年5月~11月に、世界で7万8,000人以上のヒトサル痘ウイルス感染が報告されたが、主に男性と性行為を持つ男性で発生している。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJohn P. Thornhill氏らは、今回、15ヵ国のシスジェンダーおよびトランスジェンダー女性と、出生時に女性性を割り当てられたノンバイナリーにおけるサル痘感染の疫学的および臨床的な特性を記述し、リスク因子の特定と理解の向上を目的とする症例集積研究を行った。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月17日号に掲載された。136人のデータを解析、性行為による感染が多い 本研究では、サル痘ウイルス感染の診断件数が多い地域の研究者と連絡を取り、サル痘ウイルス感染が確定された女性およびノンバイナリーのデータを提供するよう依頼した。 参加施設は、匿名化された構造的症例報告スプレッドシートに感染した女性およびノンバイナリーの関心変数のデータを記述したほか、可能性のある曝露、人口統計学的因子、職業、早期の症状、HIVの感染状況、併存する性感染症などを中心に、疑われる感染経路についても尋ねられた。 2022年5月11日~10月4日までに15ヵ国(欧州、北米・南米、アフリカ、イスラエル)でサル痘ウイルスに感染した136人のデータが寄せられた。トランス女性が62人(46%)、シス女性が69人(51%)、ノンバイナリーが5人(4%)であった。ノンバイナリーは数が少ないため、シス女性と合わせて解析が行われた(シス女性/ノンバイナリー74人)。全体の年齢中央値は34歳(四分位範囲[IQR]:28~40、範囲:19~84)だった。 136人中121人(89%)が、男性との性行為を報告した。37人(27%)はHIV感染者で、トランス女性(62人中31人[50%])がシス女性/ノンバイナリー(74人中6人[8%])よりも高率であった。 性行為による感染が疑われたのは、トランス女性が55人(89%、残りは感染経路不明)、シス女性/ノンバイナリーは45人(61%)であった。性行為以外の感染経路は、シス女性/ノンバイナリーでのみ報告され、性行為以外の密接な接触が7人(9%)、家庭が7人(9%)、職場(医療従事者)が4人(5%)だった。診断前誤診が23%、肛門性器の小水疱膿疱性発疹が多い サル痘ウイルス感染の診断の前の誤診が136例中31人(23%)で認められ、トランス女性(62人中6人[10%])よりも、シス女性/ノンバイナリー(74人中25人[34%])で高率であった。 データが得られた集団における症状は、発疹が134人中124人(93%)に認められ、121人中105人(87%)は小水疱膿疱性と記述されていた。また、少なくとも1つの肛門性器病変が129人中95人(74%)にみられた。 病変数中央値は10個(IQR:5~24、範囲:1~200)であった。粘膜病変(膣、肛門、中咽頭、眼球)は119人中65人(55%)で発現した。膣および肛門の性行為は、これらの部位での病変の発生と関連していた。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で検査した14の膣スワブ検体のすべてで、サル痘ウイルスDNAが検出された。 17人(13%)が入院した。入院理由は、病変部の細菌性重複感染が2人、肛門直腸の重度疼痛の管理が3人、嚥下痛が3人などであった。33人(24%)がテコビリマット(tecovirimat)による治療を受け、6人(4%)は曝露後にワクチン接種を受けた。死亡の報告はなかった。 著者は、「女性における診断の遅れや誤診を避けるために、特別な注意を払う必要がある」と指摘し、「トランス女性およびシス女性/ノンバイナリーでは、病変部位は性行為の種類とほぼ一致していた。臨床医は、性自認や性行為によって臨床症状が異なることに留意する必要がある」としている。

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第141回 退院COVID-19患者に抗凝固薬アピキサバン無効

抗凝固薬は重度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の回復を助けると広く考えられてきましたが、英国での無作為化試験結果によるとどうやらそうとはいえず、むしろ有害かもしれません。英国全域で実施されている無作為化試験HEAL-COVIDの結果、退院COVID-19患者に経口の抗凝固薬・アピキサバン(apixaban)を投与しても死亡や再入院のリスクは残念ながら低下しませんでした1)。COVID-19患者のその病気との戦いは退院して一件落着というわけにはいかず、心臓、肺、循環器がしばしば絡む症状の新たな発生や悪化、俗に言うlong COVIDをおよそ5人に1人が退院後に被ります。命を落とす人も少なくなく、退院したCOVID-19患者の10人に1人を超える12%は半年以内に死亡しています2)。HEAL-COVID試験はCOVID-19患者のそういった長引く症状や死亡を予防するか減らしうる治療に目星をつけ、それらの治療がCOVID-19患者の長期の経過を改善しうるかどうかを調べることを目当てに実施されています。被験者はCOVID-19で入院した患者から募り、自宅へと退院する少し前にアピキサバン投与群か病院それぞれのいつもの退院後治療群(標準治療群)にそれら患者を割り振りました。アピキサバン投与群の患者は同剤を1日2回2週間経口服用しました3)。1年間の追跡の結果、アピキサバン投与群と標準治療群の死亡か再入院の発生率はほとんど同じでそれぞれ29.1%と30.8%であり、アピキサバンの死亡や再入院の予防効果は残念ながら認められませんでした。アピキサバンは抗凝固薬なだけにHEAL-COVID試験でも出血と無縁ではなく、同剤投与群402人のうち数名は大出血により同剤服用を中止しています。COVID-19患者の退院後の手当として有用と広くみなされていた抗凝固薬は実際のところ死亡や再入院を減らす効果はなく、むしろ危険らしいことを示した今回の試験結果をうけてCOVID-19患者への本来不要な同剤投与がなくなることを望むと試験主導医師Mark Toshner氏は言っています。今回の結果は無益な治療で患者に害が及ぶのを断ち切る重要な役割を担うことに加え、COVID-19患者の長い目でみた回復、すなわちlong COVIDの解消を助ける治療を引き続き探していかねばならないことも意味します1)。HEAL-COVID試験でもその取り組みは続いており、コレステロール低下薬アトルバスタチン(atorvastatin)1年間投与の検討が進行中です。同剤は抗炎症作用があり、COVID-19患者にみられる炎症反応を緩和しうると目されています4)。long COVIDは本連載第140回で紹介したとおり英国では230万人、米国ではその10倍の2,300万人に達すると推定されており、その影響は医療に限らず雇用、障害年金、生命保険、家のローン、老後の備え、家計に波及します5)。それらをひっくるめてlong COVID が米国に強いる負担は4兆ドル近い(3.7兆ドル)とハーバード大学の経済学者David Cutler氏は予想しており6)、その額は実にサブプライムローン絡みの2000年代後半の大不況(Great Recession)の負担に匹敵します。目下のところCOVID-19といえば感染してすぐの時期に目が行きがちですが、感染がひとまずおさまった後の長患いの最適な治療をいまや急いで確立する必要があります1)。参考1)Blood thinning drug does not help patients recover from Covid / Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust2)About HEAL-COVID3)HEAL-COVID試験(Clinical Trials.gov)4)Blood Thinner Ineffective for COVID-19 Patients: Study / TheScientist5)Long Covid may be ‘the next public health disaster’ - with a $3.7 trillion economic impact rivaling the Great Recession / CNBC6)Cutler DM.The Economic Cost of Long COVID: An Update

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新型コロナ抗体保有率が高い/低い都道府県は?/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で鈴木 基氏(国立感染症研究所感染症疫学センター長)らのチームが、「献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査」について結果を報告した。 本調査は、わが国における今夏の感染拡大を踏まえた市中での感染状況の把握を目的に、2022年11月6日~13日にかけて行われた。対象は、全国の日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた献血者8,260人で、献血時の検査用検体の残余血液を用いて抗N抗体の有無が調べられた。日本全体および都道府県・男女・年齢群別の抗体保有率が解析されている。 なお、本調査の対象は全血献血または成分献血の基準を満たし、以下のいずれにも該当しない者とされた。・新型コロナウイルス感染症と診断または新型コロナウイルス検査で陽性になったことがあり、症状消失後(無症状の場合は陽性となった検査の検体採取日から)4週間以内・発熱および咳・呼吸困難などの急性の呼吸器症状を含む新型コロナウイルス感染症が疑われる症状や、味覚・嗅覚の違和感を自覚し、症状出現日から2週間以内および症状消失から3日以内・新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者に該当し、最終接触日から2週間以内全国で26.5%が新型コロナ抗体保有、沖縄県が最高、長野県が最低 過去の新型コロナウイルス感染で獲得したとみられる抗N抗体を保有する人の割合は、全国平均で26.5%(95%信頼区間[CI]:25.6~27.5)であった。都道府県別にみると、最高は沖縄県の46.6%(95%CI:41.2~52.1)、最低は長野県の9.0%(95%CI:4.6~15.6)であった。<抗体保有率(95%CI)の高かった都道府県(上位10都道府県)>沖縄県:46.6%(41.2~52.1)大阪府:40.7%(34.7~46.9)鹿児島県:35.2%(28.8~42.0)京都府:34.9%(28.5~41.7)熊本県:32.9%(26.7~39.5)長崎県:31.9%(25.4~39.1)東京都:31.8%(26.1~37.9)神奈川県:31.6%(25.1~38.7)宮崎県:31.3%(25.0~38.0)香川県:30.9%(24.1~38.3)<抗体保有率(95%CI)の低かった都道府県(下位10都道府県)>長野県:9.0%(4.6~15.6)徳島県:13.1%(8.2~19.5%)愛媛県:14.4%(9.1~21.1%)新潟県:15.0%(9.3~22.4)岐阜県:15.5%(10.5~21.8)岩手県:16.5%(10.1~24.8)広島県:17.1%(11.9~23.6)島根県:18.5%(12.6~25.8)秋田県:18.7%(12.2~26.7)山形県:19.5%(12.6~28.0)男女による差はなく、年齢が高いほど抗体保有率が低い傾向 男女別の抗体保有率は、女性26.5%(95%CI:24.7~28.4)、男性26.5%(95%CI:25.4~27.7)で、年齢群別の抗体保有率は以下のとおりであった。<年齢群別の抗体保有率(95%CI)>16~19歳:38.0%(33.5~42.7)20~29歳:35.7%(23.8~38.8)30~39歳:33.6%(31.0~36.3)40~49歳:26.8%(24.9~28.8)50~59歳:21.3%(19.6~23.0)60~69歳:16.5%(14.4~18.8) なお、今回の測定結果には献血ができない15歳以下や70歳以上の高齢者は含まれず、単純集計に基づく速報値であることなどから、結果の解釈には留意が必要としている。

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ソトロビマブ、高リスクCOVID-19で優れた重症化予防効果/BMJ

 オミクロンBA.1およびBA.2変異株が優勢な時期のイングランドでは、重症化のリスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の日常診療において、中和モノクローナル抗体ソトロビマブは抗ウイルス薬モルヌピラビルと比較して、28日以内の重症化の予防効果が優れ、60日の時点でも結果はほぼ同様であったことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBang Zheng氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月16日号で報告された。イングランドのEHRデータを用いたコホート研究 研究グループは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し、COVID-19による重症転帰のリスクが高い患者において、重症化の予防効果をソトロビマブとモルヌピラビルで比較する目的でコホート研究を行った(UK Research and Innovation[UKRI]などの助成を受けた)。 本研究は、OpenSAFELY-TPPプラットフォーム(国民保健サービス[NHS]の電子健康記録[EHR]の解析のための、安全で透明性の高いオープンソースのソフトウエアプラットフォーム)を用いた実臨床コホート研究であり、イングランドの総合診療(GP)施設に登録している2,400万人から、患者レベルのEHRデータが取得された。 2021年12月16日以降に、ソトロビマブまたはモルヌピラビルによる治療を受けた、COVID-19による重症化リスクが高い成人COVID-19患者が対象となった。主要アウトカムは、治療開始から28日以内のCOVID-19による入院およびCOVID-19による死亡であった。さまざまな解析法で、矛盾のないほぼ同様の結果 2021年12月16日~2022年2月10日の期間に、3,331例がソトロビマブ、2,689例がモルヌピラビルによる治療を受けた。全体(6,020例)の平均年齢は52.3(SD 16.0)歳、58.8%が女性、88.7%が白人で、87.6%はCOVID-19ワクチンを3回以上接種していた。 治療開始から28日以内に、87例(1.4%)がSARS-CoV-2感染により入院または死亡した(ソトロビマブ群32例、モルヌピラビル群55例)。 居住地域で層別化したCox比例ハザードモデルでは、人口統計学的因子、高リスクコホート分類、ワクチン接種状況、暦年、BMI、その他の併存疾患で補正すると、ソトロビマブ群はモルヌピラビル群に比べ、COVID-19による入院または死亡のリスクが大幅に低かった(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.33~0.88、p=0.01)。 傾向スコアで重み付けしたCoxモデル(HR:0.50、95%CI:0.31~0.81、p=0.005)および完全ワクチン接種者に限定した解析(HR:0.53、95%CI:0.31~0.90、p=0.02)でも、これと矛盾のない結果が得られた。また、他の因子の有無による層別解析でも、実質的な効果の修正は検出されなかった(交互作用検定のp値はすべて>0.10)。さらに、この結果は、イングランドでオミクロンBA.2が優勢だった2022年2月16日~5月1日の期間に治療を受けた患者の探索的解析でもほぼ同様であった。 治療開始から60日以内(95例[1.58%]がCOVID-19で入院または死亡、ソトロビマブ群34例、モルヌピラビル群61例)の層別Cox回帰分析でも、ソトロビマブ群はモルヌピラビル群よりもCOVID-19による入院・死亡の予防効果が優れた(4つのモデルのHRの範囲は0.46~0.51、すべてp<0.05)。 著者は、「これらの結果は、入院を要さないCOVID-19患者の治療において、モルヌピラビルよりもソトロビマブを優先する現行ガイドラインを支持するものである」としている。

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第126回 改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省

<先週の動き>1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省新たな感染症に対応し、医療体制を強化するための感染症法改正案が12月2日に開かれた参議院本会議で与党や立憲民主党などの賛成多数で可決、成立した。改正法では、国や都道府県の権限を強化し、各都道府県は感染症対応の予防計画を医療計画などで定め、入院、発熱外来や検査の実施件数などの目標数値を設定する。また、都道府県が事前に医療機関と協議し、有事の際の病床確保などを約束する協定を締結しておき、感染症拡大時に病床提供を義務付け、守らない場合には、勧告や指示を行い、病院名を公表するなど、協定を守るように求めるもの。施行は第8次医療計画の策定に合わせて、令和6年4月1日となっている。(参考)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案の概要感染症法等の一部を改正する法律案について(参考資料)改正感染症法が成立、公的病院に医療提供義務づけ…従わなければ勧告・指示が可能(読売新聞)中核病院に病床確保義務 改正感染症法成立(産経新聞)地域の医療提供体制強化 改正感染症法など成立 参院本会議(NHK)2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医日本医師会は11月30日の記者会見で、電子処方箋に必須となるHPKIカード(医師資格証)の普及について、これまでの日本医師会の取り組みと、今後、医療機関に向けた支援策について公表した。来年から本格的に開始する電子処方箋の発行時には電子署名が必要となる。このためHPKIカードが必要となるが、医療機関の電子カルテにカードリーダーがなくても電子処方箋を発行できるようにセカンド電子証明書も発行できるように対応するほか、病院単位で一括申請・交付を行うことで、発行の迅速化(最短2週間)をするなど、すべての医師に対して発行を進めていくことを表明した。(参考)電子処方箋運用、HPKIの不安払拭へ 日医、病院向け方針を再周知(Medifax)電子処方箋普及に向けた医師資格証(HPKIカード)の対応について(「日医君」だより)電子処方箋に向けた大学病院含む病院向け医師資格証(HPKIカード)に関する対応方針 (日本医師会)3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省厚生労働省は11月28日に社会保障審議会医療部会を開催し、「かかりつけ医機能」について議論を行った。かかりつけ医機能は「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う」と定義し、外来患者の診療のほか、休日や夜間の対応、在宅医療の提供など対応ができるかを各都道府県に報告し、都道府県が公表する方針を明らかにした。また、かかりつけ医に継続的に通院する患者には医療機関と書面を交わすことなども求めていくことを提案した。今後、さらに議論を重ね、早ければ来年の通常国会に法律の改正案を提出し、かかりつけ医の役割の強化を図りたいとしている。(参考)かかりつけ医機能について(厚労省)「かかりつけ医」の定義、役割を法定化へ(産経新聞 )「かかりつけ医」に求められる役割 法律に明記の方向で検討(NHK)「かかりつけ医機能」報告制度創設へ 厚労省が骨格案、医療法改正も視野(CB news)4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議岸田内閣は経済財政諮問会議を12月1日に開催し、来年度の予算編成に向けた議論を行った。この中で今後大幅な増大が見込まれる社会保障費について意見が交わされた。民間企業などの有識者議員からは、賃金・所得の上昇に加え、さらに社会保障制度改革を行い、現役世代の社会保険料負担の上昇を抑制することが強く求められた。また、医療・介護分野の成長力強化という社会保険制度の外の改革にも取り組むよう求められた。同日、厚生労働省が開催した社会保障審議会医療保険部会でも、現役世代の負担軽減のために、後期高齢者の医療保険の拠出による支援制度を見直し、大企業の健康保険組合の負担を増加させ、代わりに中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を減らす方針を示している。(参考)医療保険制度改革について(厚労省)経済・財政一体改革における重点課題(経済財政諮問会議)岸田首相 現役世代の保険料負担の上昇抑制へ 制度改革など指示(NHK)65~74歳の医療費支援見直し 健保組合の負担増案提示 厚労省(同)削減した財源「すべて現役世代の負担軽減に充当を」被用者保険者間の格差是正で、関係5団体(CB news)5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪1ヵ月前にランサムウエアによるサイバー攻撃によって、電子カルテが使用できなくなった大阪急性期・総合医療センターは、現在も検査や診療に影響が出ている。原因は、外部の給食業者のネットワークセキュリティ機器が、セキュリティ対策が古いまま使用していたため、病院側のサーバ接続時にランサムウエアの攻撃を受け、基幹システムやバックアップデータに影響が及んでいたことが明らかになっている。11月10日から電子カルテの一部参照が可能となったことから、3次救急患者受け入れや小児救急診療の一部を再開しているが、採血や輸血管理システムは復旧していないため手書きでの対応のほか、新規の外来診療の受け付けは停止など診療に影響が出ており、システムの完全復旧は来年1月の見通し。(参考)患者数は通常の「50%」 大阪の病院、サイバー攻撃から1カ月(朝日新聞)サイバー攻撃で病院被害1カ月、影響続く 患者対応は半減 大阪(毎日新聞)大阪の病院は取引業者からランサムウエアがなぜ広がった?「攻撃の横展開」に注意(日経クロステック)6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協厚生労働省は12月2日に中央社会保険医療協議会の薬価専門部会を開催し、令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値を元に、来年度の薬価改定について議論を行った。診療側からは医薬品の安定供給が問題になっている現状を踏まえ、約7.0%の平均乖離率を超えている品目のみ改定として、大幅な引き下げに対して異論が唱えられた。予算を編成する財務省としては薬価の引き下げ対象品目を広げ、患者負担の軽減や医療費の伸びの抑制を目指している。ただ、製薬業界からは、薬価引き下げの対象品目から特許期間中の新薬などを外す意見が出ているため、さらに議論を行われる。今月末の予算編成までに、中医協で薬価改定の幅と対象品目について結論を出し、来年の春に改定が行われる見通し。(参考)令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値(中医協)医薬品の市場価格、公定価格より7%低く 厚労省調査(朝日新聞)市場価格、薬価を7%下回る 23年度引き下げ改定へ(日経新聞)今年の薬価調査、平均乖離率は約7.0%…23年度改定、議論大詰めへ(Answers News)

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SGLT2阻害薬【心不全診療Up to Date】第3回

第3回 SGLT2阻害薬Key PointsSGLT2阻害薬 栄光の軌跡1)リンゴとSGLT2阻害薬の甘い関係?2)SGLT2阻害薬のエビデンス、作用機序は?3)最も注意すべき副作用は?はじめにSGLTとは、sodium glucose co-transporter(ナトリウム・グルコース共役輸送体)の略であり、ナトリウムイオン(Na+)の細胞内外の濃度差を利用してNa+と糖(グルコース)を同時に細胞内に取り込む役割を担っているトランスポーターである1)。このSGLTにはSGLT1-6のアイソフォームがあり2)、その1つであるSGLT2の活性を阻害するのがSGLT2阻害薬である。SGLT2は、ほぼすべてが腎臓の近位尿細管起始部の管腔側に選択的に発現しており、Na+とグルコースを1:1の割合で共輸送することで、尿糖再吸収のおよそ90%を担っている(残りの10%はSGLT1を介して再吸収)1)。このように、SGLT2阻害薬は、近位尿細管でのグルコース再吸収を阻害し、尿糖の排泄を増やすことから、血糖を下げ、糖毒性を軽減し、糖尿病の病態を改善させる薬剤として当初開発された。しかし現在、この薬は心不全治療薬として脚光を浴びている。本稿ではその栄光の軌跡、エビデンス、作用機序について考えていきたい。1. リンゴとSGLT2阻害薬の甘い関係SGLT2阻害薬はどのようにしてこの世に生まれたのか。そこには日本人研究者が重要な役割を担っていた。SGLT2阻害薬のリード化合物であるフロリジン(ポリフェノールの一種)は、1835年にピーターセン氏(フランス)によって『リンゴの樹皮』から抽出された。その約50年後にフォンメリング氏(ドイツ)によってフロリジンの尿糖排泄促進作用が報告された(Von Mering, J. "Über künstlichen diabetes." Centralbl Med Wiss 22 (1886):531.)。そこから約100年の時を経て、糖尿病モデル動物でのフロリジンの抗糖尿病効果(インスリン作用を介さない血糖降下作用、インスリン抵抗性改善、インスリン分泌能回復)が証明された。また時を同じくして1987年に小腸からSGLT1が発見され、フロリジンがその阻害薬であることが報告された3)。その7年後(1994年)に腎臓からSGLT1と類似した構造を持つSGLT2が同定され4)、創薬に向けた研究が進んでいった。そして1999年ついに田辺製薬(当時)より世界初の経口フロリジン誘導体(T-1095)の糖尿病モデル動物に対する糖尿病治療効果が報告された5)。ただ、フロリジンは小腸にも存在するSGLT1をも阻害するため、下痢等の消化器症状を引き起こす恐れがある6)。こうして誕生したのが現在の“選択的”SGLT2阻害薬であり、『糖を尿に出して糖尿病を治す(turning symptoms into therapy)』という逆転の発想から生まれた実にユニークな薬剤なのである7)。2. SGLT2阻害薬のエビデンスと作用機序1)SGLT2阻害薬のエビデンス 現在・過去・未来上記のとおり、SGLT2阻害薬は当初糖尿病治療薬として開発されたため、有効性を検証するためにまず行われた大規模臨床試験は2型糖尿病患者を対象としたものであった(図1)。最初に実施された心血管アウトカム試験が2015年に発表されたエンパグリフロジンを用いたEMPA-REG OUTCOME[対象:心血管疾患既往の2型糖尿病患者7,020名(二次予防)]であり、その結果は誰も予想しえなかった衝撃的なものであった。まず、主要エンドポイントである3P-MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中の心血管複合エンドポイント)の相対リスクを、エンパグリフロジンがプラセボとの比較で14%有意に減少させ、これは3P-MACEを主要エンドポイントとする2型糖尿病を対象にした試験の中で、初めての快挙であった。その中でもとくに心血管死のリスクを38%減少させ、また心不全入院のリスクも35%減少させることも分かり、さらなるインパクトを与えた。その後同様に、CANVAS試験(2017年)ではカナグリフロジンが、DECLARE-TIMI 58試験(2019年)ではダパグリフロジンが、心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者(一次予防含む)の心血管イベントを減少させるという結果が報告された。つまり、『どうやらSGLT2阻害薬には心保護作用がありそうだ。ただこれらの試験の対象患者の多くは心不全を合併していない糖尿病患者であり、心不全患者を対象とした試験でしっかり検証すべきだ』という流れになったわけである(図1、図2)。画像を拡大する画像を拡大するこのような背景から、まずHFrEF(LVEF≦40%)に対するSGLT2阻害薬の心血管イベント抑制効果を検証するために、ダパグリフロジンを用いたDAPA-HF試験とエンパグリフロジンを用いたEMPEROR-Reduced試験が実施された(図1)。結果は、両試験ともに、標準治療へのSGLT2阻害薬の追加が、糖尿病の有無にかかわらず、心血管死または心不全入院のリスクを26%有意に低下させることが示され8)、さらなる衝撃が走った。そうなると、次に気になるのが、もちろんLVEF>40%の慢性心不全ではどうか、ということであろう。その疑問について検証した試験が、エンパグリフロジンを用いたEMPEROR-Preserved試験とダパグリフロジンを用いたDELIVER試験である(図1)。まず初めに結果が発表されたのが、EMPEROR-Preserved試験で、エンパグリフロジンを心不全に対する推奨療法を受けている患者(LVEF>40%)に追加した結果、心血管死または心不全入院の初回発現がプラセボ群と比較して21%有意に低下していた9)。この効果はLVEF≧50%の症例でも同様であった。この結果をもって、最新の米国心不全診療ガイドラインではHFpEFへのSGLT2阻害薬の投与がClass 2aの推奨となった10)。そして、最近DELIVER試験の結果も発表され、ダパグリフロジンは、LVEF>40%の慢性心不全患者の心血管死または心不全悪化(心不全入院+緊急受診)のリスクを18%有意に抑制させた11)。よって、2つのRCTでHFpEFに対するポジティブな結果が出たため、今後のガイドラインでは、EFに関わらず慢性心不全へのSGLT2阻害薬の投与がClass 1へ格上げされる可能性が高い12)。ただし、これらの試験は、NT-proBNPが上昇しているHFpEF(洞調律では300pg/mL、心房細動では600pg/mL以上)が対象であり、運動負荷検査をして初めてHFpEFと診断されるNT-proBNPがまだ上昇していない症例は含まれておらず、すべてのHFpEFでこの薬剤が有効かどうかは不明である。そして、今後も虚血領域、腎不全領域などで数多くのエビデンスが出てくる予定であり、この薬剤の効果がどこまで広がるのか、引き続き目が離せない(図3)。画像を拡大する2)SGLT2阻害薬はなぜ心不全に有効なのか?SGLT2阻害薬がなぜ心不全に有効なのか。そして今回の本題ではないが、SGLT2阻害薬には腎保護作用もあり、そのような心腎保護作用のメカニズムは何なのか。図4で示したとおり、さまざまなメカニズムが提唱されているが、どれがメインなのかは分かっておらず、それが真実なのかもしれない。つまり、これらのさまざまな心腎保護へ働くメカニズムが複合的に絡み合っての結果であると考えられる。個人的にはこの薬剤の心不全への効果は、腎臓への良い効果が主な理由と考えており、熱く語りたいところではあるが、字数足りずまたの機会とさせていただく。ただ、これは今も議論のつきないテーマであり、今後より詳細なメカニズムの解明が進んでいくものと期待される。画像を拡大する3. 最も注意すべき副作用、それは…注意すべき副作用は、正常血糖ケトアシドーシス(Euglycemic DKA)、尿路感染症、脱水である。とくにケトアシドーシスはかなり稀な副作用(DAPA-HF試験における発現率は、糖尿病患者で0.3%、非糖尿病患者では0%)ではあるが、見逃されると予後に関わることもあり、どのような患者でとくに注意すべきか把握しておかれると良い。まず、日常診療で最も起こりうる状況は、非心臓手術の前にSGLT2阻害薬が継続投与されていた時であろう(そのメカニズムは図5を参照)。術後のケトアシドーシスや尿路感染症のリスクを最小限に抑えるために、手術の少なくとも3日前からのSGLT2阻害薬の中止が推奨されていることはぜひ覚えておいていただきたい13)。また、著明なインスリン分泌低下を認める症例(インスリン長期治療を受けているなど)にも注意が必要であり、体重減少の有無や過度な糖質制限をしていないかなどしっかり確認しておこう。血糖値正常に騙されず、ケトアシドーシスを疑った場合は、速やかに血液ガス分析にてpH低下やアニオンギャップ増加がないかを確認するとともに、血清ケトン濃度を測定し,鑑別を行う必要がある。なお、日本糖尿病学会からその他の副作用も含め『SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」14)が公表されており、ぜひ一読をお勧めしたい。このような副作用もしっかり理解した上で、心不全患者さんを診られた際は、これほどのエビデンスがあるSGLT2阻害薬が投与されているか、されていなければなぜ投与されていないか、を必ず確認いただきたい。画像を拡大する1)Ferrannini E, et al. Nat Rev Endocrinol. 2012;8:495-502.2)Wright EM, et al. Physiol Rev. 2011;91:733-94.3)Hediger MA, et al. Nature. 1987;330:379-81.4)Kanai Y, et al. J Clin Invest. 1994;93:397-404.5)Oku A, et al. Diabetes. 1999;48:1794-800.6)Gerich JE. Diabet Med. 2010;27:136-42.7)Diamant M, Morsink LM. Lancet. 2013;38:917-8.8)Zannad F, et al. Lancet. 2020;396:819-829.9)Anker SD, et al. N Engl J Med. 2021;385:1451-1461.10)Heidenreich PA, et al. Circulation. 2022 May 3;145:e895-e1032.11)Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2022;387:1089-1098.12)Vaduganathan M, et al. Lancet. 2022;400:757-767.13)FDA Drug Safety Communication. FDA revises labels of SGLT2 inhibitors for diabetes to include warnings about too much acid in the blood and serious urinary tract infections.14)日本糖尿病学会. 糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation

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第137回 新型コロナ「5類」引き下げ、今やる3つのデメリット

「またこの議論が出てきたか」と感じている。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の『感染症法上の5類扱い問題』である。加藤 勝信厚生労働大臣は11月30日、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに対して、感染症法上の分類の見直し検討を念頭に現在のウイルスの病原性・感染性などに関するリスク評価を示すよう求めたという。釈迦に説法になってしまうが、改めて新型コロナの感染症法上の分類について触れておくと、現在は「新型インフルエンザ等感染症」に分類され、外出自粛要請や入院勧告が可能で、医療費が全額公費負担なため、法的には感染症法上の2類とほぼ同等となっている。また、これとは別に新型コロナワクチンに関しては予防接種法の臨時接種扱いで、現時点でのワクチン接種は全額公費負担だ。もっとも陽性者報告などは簡略化されたことや、軽症の陽性者が大半を占めるようになり、自主的な自宅隔離や増加した発熱外来での対応止まりも増えたことなども相まって、現状は限りなく5類に近い扱いとも言える。さて個人的にはこの件についてどんな見解かと言うと、「見直し議論は大いにやって良いと思うが、実際の分類変更は多角的かつ慎重に検討すべき」という立場だ。なぜこのように敢えて言及するかと言えば、最近の新型コロナ5類化議論は世論や一部の政治家の主張に押され気味なことに加え、現在の岸田 文雄政権の支持率がかなり低くなっているため、ポピュリズムとも言える安易な判断をしかねない懸念があるからだ。この議論で最も慎重に検討すべきなのは今後の変異株登場の恐れと現在の重症化率についてである。2020年初以来、丸3年のコロナ禍の中で新型コロナでは武漢株→アルファ株→デルタ株→オミクロン株と流行株が入れ替わった。現在のオミクロン株の流行はほぼ丸1年が経過し、国内では最長流行期間を維持している変異株であるのは確かだ。もっともこの間もオミクロン株内の亜系統で流行株が入れ替わっている。これほど流行株が不安定な中で、単純にオミクロン株の特性を基準に法的位置づけを考えるべきかは検討の余地がある。そもそも今回の新型コロナでは、ウイルスの生存原理としての「感染力が強くなれば、重症化率は低下するだろう」というロジックが、武漢株からデルタ株変遷時には“幻想”にすぎなかったことが明らかになった。今の時点でオミクロン株感染者の重症化率が低下しているからと言って、今後もこの状況が続くと考えるのはやや拙速の感がある。感染力の強さゆえに新規感染者が増加し、その過程で強毒の変異株が出現する可能性も十分に考慮に入れなければならない。また、そもそもこの議論では、5類化を支持する一般人を中心に「感染者の数で考えるべきではなく、重症化率で考えるべき」との主張が多い。この手の主張をする人たちの中での最近の流行りは、財務省が各種データからまとめた各感染拡大期の重症化率データの引用である。確かにこのデータを見れば、第6波以降の重症化率や致死率は大幅に低下し、第7波では季節性インフルエンザと同等以下になっているように見える。しかし、この数字は極めて数多くの交絡因子を含んでいる。そもそも第5波と第6波以降での最大の違いはワクチン接種の有無である。第5波時もすでにワクチン接種は進行していたが、重症化率が最も深刻だったと言われる2021年8月は月末時点で全国民の1回目接種率がようやく50%超という状況に留まっていた。現在のオミクロン株の重症化率は2回目までが80%超、3回目までが70%弱の接種率を達成している中でのもの。真の重症化率はワクチン効果でマスクされている可能性がある。5類化議論、もっと言えば季節性インフルエンザとの比較をするならば、ワクチン接種回数や最終接種完了からの経過時間などの層別解析でワクチン接種状況に応じたデータを基に検討しなければ判断を誤る可能性もある。同時に財務省とりまとめの重症化率を基に5類化議論をするならば、それより一足先に始まった新型コロナワクチン接種の無償化終了の是非議論との兼ね合いをどうするかも欠かせない。少なくとも高齢者や基礎疾患保有者では、いまだ油断のならない感染症であることは明白である。5類化するならば、こうした人に対して季節性インフルエンザワクチンのような公費接種(費用の一部に公費負担がある場合)を提供するか否かは明確にしなければならない。というか、それなくして5類化はあまりにも暴論と言える。また一方で、5類化を主張する一般人の多くは、判で押したように「5類にすればどこの医療機関でも診てもらえるようになり、医療逼迫は防げる」というフレーズを口にする。しかし、これは“幻想”に過ぎない。すでに全国で新型コロナ対応を行う発熱外来を有する医療機関は4万軒超に達しているが、これだけ感染力の強い新型コロナでは、院内の導線確保がままならないなどの理由でどうあがいても対応できない医療機関はある。結局、5類化したところで今より発熱外来の対応施設が激増するとはとても考えにくい。そんな中、全国でどのような診療体制を構築するかという議論を棚上げにはできない。同時に整備しなければならないのが、この感染症の特徴ともいえる後遺症対応である。現在はごく一部の後遺症外来対応の医療機関を崖っぷちに立たせたかのような診療体制が続いている。地域ごとの後遺症診療体制の確立は急務だ。さらに検討しなければならないのが治療費の公費負担の在り方である。現在の新型コロナ治療薬は新規の抗体医薬や抗ウイルス薬など製薬企業にとって高額な開発費を要するものばかりで、すべての治療薬が5類という“ありふれた”感染症にしては高薬価である。そのアンバランスさはまるで田んぼのあぜ道をポルシェが疾走するかのごとき状況である。すでに薬価収載されたものでも、自己負担となれば患者は万単位の支払いを迫られることになり、「だったら要らない」という患者も出現するだろう。これら多くの変数を考慮した議論が必要で、およそ1~2ヵ月で結論を出せるものだとは思えない。というか、そもそも感染症法上の1~5類という硬直化した分類の枠内で考えるのもなかなか困難と言ってもいいかもしれない。にもかかわらず、政治の側から5類化議論が比較的安易に飛び出しているように私の目には映る。しかも、日本版CDC創設を根回しなしに突然進めた岸田政権である。正直、この先の行方は気が抜けないと個人的には思っている。

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AIファースト・ヘルスケア―医療現場におけるAIアプリケーションの利用

AIがもたらす医療現場の改善の可能性を知るために新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、医療システムの課題を浮き彫りにしました。本書は医療におけるAIの活用について「AIが現状できることとできないこと、今後の課題」「現状の医療が抱えている問題をAIが解決することができるのか」「医療のデジタルトランスフォーメーション(ヘルスケアDX)をどう実現させるか」「AIを中心とした医療の実現は、患者や医師、経営、テクノロジー企業など多角的な視点から見てどうあるべきか」などをテーマに、AIがもたらす医療現場の将来について論じています。 医師と技術者がともに歩み、AIの可能性を議論しながら医師、IT技術者、利用者、経営者、ビジネスのステークホルダーのためにAIを解説した1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    AIファースト・ヘルスケア ―医療現場におけるAIアプリケーションの利用定価2,640円(税込)判型A5判頁数268頁発行2022年9月著者Kerrie L. Holley、Siupo Becker,M.D.監訳者木村 映善訳者岡 響

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母子手帳アプリ『母子モ』で疾患啓発/AZ

 アストラゼネカは、11月28日付のプレスリリースで、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を11月11日より開始したことを発表した。 RSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓などに疾患を抱える乳児では感染すると重症化しやすいとされている。また、正期産であっても生後6ヵ月未満は感染後重症化するリスクが高いため、該当する年齢の乳幼児を持つすべての保護者に疾患情報や感染対策について知ってもらうことが重要である。 今回の取り組みでは、母子手帳アプリ『母子モ』を通じて、妊娠中もしくは該当する年齢の乳幼児を持つ保護者を対象に、アストラゼネカが作成した早産児やRSウイルス感染症に関する情報を提供する。同アプリは、母子健康手帳との併用により、妊娠から子育てまで切れ目ない子育て支援サービスを受けられることが特徴で、全国47都道府県510の自治体で採用されている(2022年11月時点)。 『母子モ』は、妊婦健診など「妊娠中」メニュー、予防接種管理や乳幼児健診の記録、身体発育曲線などの「子育て」メニューを網羅した母子健康手帳機能のほか、子育てイベントやニュースなど地域の子育て情報機能を利用できる。また、本アプリの開発と運営は、生理日予測をはじめとした女性の健康情報サービス『ルナルナ』(2022年2月時点のアプリ累計ダウンロード数1,800万以上)など、モバイルサイトでヘルスケアサービスを提供するエムティーアイの子会社、母子モ株式会社が行っている。なお、今回の取り組みは、i2.JP(アイツードットジェイピー:Innovation Infusion Japan)―「患者中心」の実現に向けて、医療・ヘルスケア業界はどうあるべきか、といった難題の解決策を探るべく発足―というオープンなコミュニティで検討するなかで、『母子モ』を通じた情報提供が可能となった。 アストラゼネカは、「患者中心」の実現を目指すなか、この活動を通じてRSウイルス感染症の効果的な疾患啓発について検討するとともに、母子手帳アプリ『母子モ』で対象となる保護者へのタイムリーかつ適切な情報提供により、早産児やRSウイルス感染症に関する啓発の輪を一層広げていく、としている。

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12月1日 世界エイズ・デー【今日は何の日?】

【12月1日 世界エイズ・デー】〔由来〕世界レベルのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定。毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動を実施。関連コンテンツHIV感染症患者は新型コロナウイルスに罹りにくいのか?【新興再興感染症に気を付けろッ!】HIV感染と心血管疾患に関連はあるか/JAMA診療に役立つLGBTQsの基礎知識サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?早く治療すれば怖くないHIV感染症

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第22回 電話・FAX・郵送が必要なコロナ治療薬「アナログ処方」の不可解

エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)を使うタイミングは?世間では「ゾコーバすげぇぜ!」みたいな報道が多いですが、有効性については少し落ち着いてみてほしいと思います。新型コロナの診断がついた途端「よっしゃ、ゾコーバや!」というのは適切とは言えません。「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版」(2022年11月22日)では、以下のように記載されています1)。一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができることから、エンシトレルビル等、重症化リスク因子のない軽症~中等症の患者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬については、症状を考慮した上で投与を判断すべきである。また、重症化リスク因子のある軽症~中等症の患者に投与する抗ウイルス薬は、重症化予防に効果が確認されているレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療を検討すべきである。重症化リスクがある軽症者には、その他の抗ウイルス薬がよいとされており、重症化リスクがない軽症者にはそもそも治療が必要なのかどうかという議論になります。とはいえ、いろいろなエビデンスが今後出てくるかもしれませんので、全然ダメじゃんとバッサリ切ってしまうのではなく、もう少し長い目線で見ていくほうがよさそうに思います。抗ウイルス薬処方の手間が多すぎるそれにしても、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)を使い始めた頃から、新型コロナの抗ウイルス薬の処方手続きが煩雑過ぎる問題が解決していません。本当に煩雑で、「処方させたくないのかな」と思うくらいです。ゾコーバも、これまでと同じように登録センターに医療機関と調剤薬局が登録する必要があります。また、処方に際して同意書を書いてもらって、調剤薬局に電話で一報を入れて、その後適格性情報チェックリストと処方箋をFAXして、原本を郵送するという「例の手順」になっています(図1)。画像を拡大する図1. ゾコーバの処方手順(参考資料2より筆者作成)変異ウイルス東京都の変異ウイルスモニタリングを見ていると、BA.5がまだ主流ではあるものの、BQ.1.1、BN.1、BF.7などの変異ウイルスが増えています(図2)。チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)はまだ効果を残していますが、変異ウイルスが出回るとこれも推奨されなくなるかもしれません。図2. 東京都の変異ウイルス(参考資料3より引用)抗体薬の位置付けが下がって、抗ウイルス薬への期待が相対的に高まっているからこそ、エビデンスに基づいてベストな選択肢を選ぶようにしたいものです。参考文献・参考サイト1)日本感染症学会 COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版2)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ゾコーバ錠125mg)の医療機関及び薬局への配分について3)東京都 モニタリング項目の分析(令和4年11月24日公表)

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軽症のコロナ入院患者、ARB上乗せは無益/BMJ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(主にテルミサルタン40mg/日)による治療は疾患重症度に対する有益性がないことが、オーストラリア・シドニー大学のMeg J. Jardine氏らがインドとオーストラリアの17施設で実施したプラグマティックなアダプティブデザインの無作為化比較試験「CLARITY試験(Controlled evaLuation of Angiotensin Receptor blockers for covid-19 respIraTorY disease)」の結果、示された。これまで、ARB未治療の患者を対象とした5件の無作為化臨床試験において、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の主要評価項目に対する中立的効果が報告され、1件では副次評価項目である死亡に対し高用量テルミサルタン(80mgを1日2回14日間投与)の有益性が報告されていた。著者は本試験の結果について、「対象のほとんどがベースラインで酸素吸入を必要としない患者であったため」と述べたうえで、「現在進行中の試験では、より重症患者におけるARBの効果を評価できる可能性があり、ベイジアン・アダプティブ・デザインを用いることで、臨床診療に役立つ確定的かつ効率的な回答が得られる」と述べている。BMJ誌2022年11月16日号掲載の報告。標準治療+ARB(主にテルミサルタン)vs.標準治療のみ(±プラセボ) 研究グループは、ARBによる治療歴がなく、検査による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の確定診断を受け、COVID-19の管理のために入院した18歳以上の患者を、標準治療に加えてARBまたは対照薬を投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回28日間経口投与した。なお、ARBは、インドではテルミサルタン(開始用量40mg/日)、オーストラリアでは担当医の選択とし、対照薬はインドではプラセボ(二重盲検試験)、オーストラリアでは標準治療のみ(非盲検試験)であった。 主要評価項目は、14日目における修正WHO臨床進行スケール(WHO-CPS)(1:退院・活動制限なし~7:死亡)によるCOVID-19の疾患重症度、副次評価項目は28日目のWHO-CPS、死亡率、集中治療室入室、呼吸不全であった。14日目の疾患重症度は両群で同じ 2020年5月3日~2021年11月13日の期間に、2,930例がスクリーニングを受け、787例がARB群(393例、うち388例[98.7%]はテルミサルタン40mg/日)または対照群(394例)に無作為に割り付けられた。787例中、778例(98.9%)がインドから、9例(1.1%)がオーストラリアからの参加であった。 主要評価項目である14日目のWHO-CPS中央値は、ARB群(384例)で1(四分位範囲[IQR]:1~1)、プラセボ群(382例)で1(1~1)であった(補正後オッズ比[OR]:1.51、95%信用区間[CrI]:1.02~2.23、オッズ比>1の確率〔Pr[OR>1]〕:0.98)。 28日目のWHO-CPSは、両群間でほとんど差は認められなかった(補正後OR:1.02、95%CrI:0.55~1.87、Pr[OR>1]:0.53)。 本試験は、事前に設定された無益性の基準を満たし中止となった。

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コロナワクチン追加接種後も重篤なCOVID-19となる患者の特徴(解説:寺田教彦氏)

 2022年11月末、新型コロナウイルス患者は増加傾向となり、「第8波」への対応が問題となっている。「第1波や第2波」の頃と比較すると、新型コロナワクチンの普及や、重症化リスクの高いCOVID-19患者への抗ウイルス薬処方が可能になるなど治療の選択肢が増えており、これらの適切な活用が求められている。 本論文の執筆者であるUtkarsh Agrawal氏は、過去に新型コロナワクチン初回接種完了後も重症化する患者(COVID-19関連入院またはCOVID-19関連死)についてスコットランドで検討しており、高齢(80歳以上)、5つ以上の併存疾患、過去4週間以内の入院歴、新型コロナウイルスに接触するリスクの高い職業、行動(10回以上の検査歴)、介護施設入居者、社会的弱者、男性、前喫煙者でリスクが高いことを報告していた(Agrawal U, et al. Lancet Respir Med. 2021;9:1439-1449.)。 当時と今回の論文で異なる点は、流行株がアルファ株からオミクロン株に変化した点と、新型コロナワクチンの接種回数が以前の研究では2回接種者を対象としていたが、本研究ではワクチン2回接種後に追加接種をした患者を対象としている点である。 「第8波」を迎える本邦の環境としても、流行株はオミクロン株と考えられ、ワクチンの接種も3回目以降の追加接種済みの患者が増えていることから、この論文を参考にしやすい状況と考えられる。 本論文の概要は「ブースター接種後もコロナ重症化リスクが高い人は?/Lancet」にまとめられており、ブースター接種後も高リスク患者の特徴は、高齢者(aRR:3.60[95%信頼区間[CI]:3.45~3.75])、5つ以上の併存疾患(aRR:9.51[95%CI:9.07~9.97])、免疫抑制状態(aRR:5.80[95%CI:5.53~6.09])、慢性腎臓病(aRR:3.71[95%CI:2.90~4.74])等である。※aRR:人口統計学的、臨床的因子と重症COVID-19との関連についてワクチン接種後の時間で調整した率比 本研究の結果を参考にできる臨床場面の1つは、執筆者の指摘どおり、抗コロナ薬の処方の判断がある。以前オミクロン株流行中のニルマトレルビルによるCOVID-19の重症化予防に関する報告がされていた(オミクロン株流行中のニルマトレルビルによるCOVID-19の重症化転帰(解説:寺田 教彦 氏)-1570)。本研究で特定された、ブースター接種後もCOVID-19重症化リスクの高い患者層に対して、ニルマトレルビル等の抗ウイルス薬の処方をすることでCOVID-19重症化リスクが低下するか否かのエビデンスは今後の報告を待つ必要はあるが、現時点でのエビデンスとしては、これらの患者に対して抗ウイルス薬の処方を検討することは妥当だろう。 また、筆者は、重症化リスクの高い人々には、2回目接種以降のブースター接種を優先的に行うことも提案している。新型コロナウイルスワクチンのブースター接種により重症化率等の低下は認められており、本邦においてもブースター接種が未実施の場合は適切なタイミングでの接種が望ましいだろう。 ただし、ワクチンのブースター接種の実施に関しては、メリット(感染予防効果、重症化予防効果、集団免疫効果など)とデメリット(費用、副反応など)は継続して考えていく必要がある。本論文のように、新型コロナウイルスワクチン接種後もCOVID-19が重症化するリスクの高い患者層を特定するとともに、健康成人や重症化リスクの高い患者層それぞれに対して、ワクチンを追加接種する適切なタイミングを考察するための研究も望まれる。

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難治性心室細動、新たな除細動法が生存退院率を改善/NEJM

 院外心停止で難治性心室細動が認められる患者において、二重連続体外式除細動(DSED)およびベクトル変化(VC)除細動は標準的な除細動と比較して、いずれも生存退院率が高く、修正Rankin尺度スコアで評価した良好な神経学的転帰の達成はDSEDで優れたものの、VC除細動には差がなかったことが、カナダ・トロント大学のSheldon Cheskes氏らが実施した「DOSE VF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年11月24日号で報告された。カナダのクラスター無作為化クロスオーバー試験 DOSE VF試験は、カナダの6つの救急医療サービス(合計約4,000人の救急隊員)が参加した3群クラスター無作為化対照比較クロスオーバー試験であり、2018年3月~2022年5月の期間に行われた(カナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けた)。 6施設は、救急隊員がDSED(2つの除細動器により、急速に連続してショックを与える)、VC除細動(1つの除細動器で、身体前面と背面に装着した電極パッドを切り換えてショックを与える)、標準的除細動のいずれかを行う群(クラスター)に無作為に割り付けられ、6ヵ月ごとにクラスターのクロスオーバーが行われた。 対象は、年齢18歳以上、院外心停止中に心因性と推定される難治性心室細動を呈した患者であった。 主要アウトカムは、生存退院とされた。副次アウトカムは、心室細動の停止、心拍再開、退院時の良好な神経学的転帰(修正Rankin尺度スコア2以下)であった。 本試験は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行による救急隊員の不足に関連して、救命処置に要する時間が延長する可能性への懸念から、データ安全性監視委員会により早期中止が勧告された。DSEDは心室細動停止率、心拍再開率も良好 早期中止の前に登録された405例(平均年齢63.6歳、男性84.4%)が解析に含まれた。355例(87.7%)が割り付けられた除細動を受けた。DSED群に125例(30.9%)、VC除細動群に144例(35.6%)、標準的除細動群に136例(33.6%)が割り付けられた。 生存退院率は、標準的除細動群の13.3%に比べ、DSED群が30.4%(補正後相対リスク[aRR]:2.21、95%信頼区間[CI]:1.33~3.67)、VC除細動群は21.7%(1.71、1.01~2.88)であり、いずれも高率であった(3群の比較でp=0.009)。 心室細動停止率は、標準的除細動群の67.6%に対し、DSED群は84.0%(aRR:1.25、95%CI:1.09~1.44)、VC除細動群は79.9%(1.18、1.03~1.36)であり、心拍再開率は、標準的除細動群が26.5%に対し、DSED群は46.4%(1.72、1.22~2.42)、VC除細動群は35.4%(1.39、0.97~1.99)であった。 また、良好な神経学的転帰の達成率は、標準的除細動群の11.2%に比べ、DSED群が27.4%(aRR:2.21、95%CI:1.26~3.88)と優れたのに対し、VC除細動群は16.2%(1.48、0.81~2.71)であり、差はみられなかった。 著者は、「薬剤投与のタイミングや、エピネフリンおよび抗不整脈薬の平均投与量は、3群ともほぼ同様であり、これらの薬物療法による試験結果への治療上の影響に差があったとは考えにくい」と指摘し、「結果はDSEDが良好であったが、救急医療サービスのなかには2台目の除細動器の補給が困難な施設もある可能性がある。標準的除細動よりもVC除細動のほうが生存率が高いことから、院外心停止時に2台目の除細動器が用意できない場合に、1台の除細動器でVC除細動を行うことは、難治性心室細動の代替治療の方法として有効と考えられる」としている。

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4回目接種後、医療者での抗体価推移と有効性の持続期間/NEJM

 4回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価は2・3回目接種後と比較して違いはあるのか。そしてコロナワクチンによって上がった抗体価はどのくらいの期間、持続するのか。イスラエル・Sheba Medical CenterのMichal Canetti氏らは、同国の医療従事者における4回目接種後6ヵ月間の液性免疫応答とワクチン有効性を評価。2回目および3回目接種後と比較した。NEJM誌オンライン版2022年11月9日号のCORRESPONDENCEに掲載の報告より。コロナワクチン4回目接種後の抗体価の推移を2回目および3回目と比較 SARS-CoV-2検査および血清学的フォローアップ検査によって感染歴がないことが確認され、4ヵ月以上前に3回目接種を受けていたコロナワクチン4回目接種者が対象。4回目接種後の液性免疫応答(IgGおよび中和抗体の測定によって評価)を、2回目および3回目の投与後と比較した。 コロナワクチンの有効性は、以下の期間(4回目の接種後7~35日、36~102日、または103~181日)ごとに4回目接種を受けた参加者の感染率を、3回接種者の感染率と比較することによって評価された。Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、年齢、性別、および職業により調整し、経時的な感染率の違いを説明するための時間スケールとして暦時間が使用された。死亡や追跡不可となった参加者はいなかった。 コロナワクチン4回目接種後の抗体価の推移を調べた主な結果は以下のとおり。・SARS-CoV-2感染歴のない参加者のうち、6,113人(年齢中央値48[37~59]歳)が液性免疫応答の分析に含まれ、1万1,176人(年齢中央値49[36~65]歳)がコロナワクチン有効性の分析に含まれた。・抗体反応はコロナワクチン接種後約4週間でピークに達し、13週間までに4回目接種前に見られたレベルまで低下し、その後安定していた。・コロナワクチン4回目接種後6ヵ月の追跡期間を通じて、週ごとに調整されたIgGおよび中和抗体レベルは、3回目接種後と同等であり、2回目接種後に観察されたレベルと比較すると著しく高かった。・コロナワクチン3回接種者と比較して、4回接種者ではSARS-CoV-2感染に対する保護効果が強化された。全体のワクチン有効性は41%(95%信頼区間[CI]:35~47)だった。・ワクチンの有効性は接種後の時間とともに低下し、接種後最初の5週間では52%(95%CI:45~58)だったのに対し、15~26週間では-2%(95%CI:-27~17)に低下した。 著者らは今回の結果について、「コロナワクチン3回目接種が2回目接種と比較して、免疫応答の改善と持続をもたらしたのに比較すると4回目接種の追加の免疫学的利点ははるかに小さく、ワクチン接種後13週までに完全に弱まった。この結果は、4回目接種を受けた患者のコロナワクチン有効性の低下と相関しており、接種後15~26週においては3回目接種後と比較した実質的な追加効果は見られなかった」とした。そのうえで、「これらの結果は、インフルエンザワクチンと同様に、4回目の接種および将来の追加接種を、流行の波に合わせて、または季節的に利用できるように賢明なタイミングで行う必要があることを示唆している」とまとめている。

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