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東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大

 東日本大震災、とくに福島第一原子力発電所の事故は、住民だけでなく救援労働者にも深刻な心理的影響を与えている。公務員はストレスの高い状況で長期的な救済に非常に有用な役割を担っているが、彼らの精神医学的な特徴については明らかになっていない。福島県立医科大学の前田 正治氏らは、診断インタビューを用い、被災地で働く公務員のうつ病やPTSDの有病率を調査し、彼らの精神状態に影響を及ぼす心理社会的要因を推測した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年6月9日号の報告。 福島県の海沿いにある2つの町に勤務する公務員168人を対象に、診断インタビューと自己記入式のアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・公務員における現在の有病率は、うつ病で17.9%と高く、対照的にPTSDは4.8%と比較的低かった。・自己記入式アンケートと診断インタビューの結果から、住民からの強い苦情や怒りへの頻繁な曝露や職務への葛藤が、うつ病の高い有病率の原因と考えられる。 結果を踏まえ、著者らは「本検討により、福島で働く公務員の深刻な精神状態が明らかとなった。適切な精神医学的介入を行うために、効率的なケアネットワークの確立が急務である」としている。関連医療ニュース 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会” アジアの救急隊員はPTSD発症リスクが高い

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統合失調症の自殺企図、小児期のトラウマが影響

 統合失調症スペクトラム障害患者における生涯自殺企図に対する小児期のトラウマの影響について、カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのAhmed N Hassan氏らが検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月25日号の報告。 統合失調症患者361例を対象に調査を行った。小児期のトラウマは、Childhood Trauma Questionnaire(CTQ)を用い収集した。自殺企図は、主観的評価スケールおよび客観的評価スケールを用いて確認した。観察研究デザインを適用し、傾向スコアを用いて小児期のトラウマ歴の有無により患者をマッチした。人口統計的および既知の自殺リスク因子について調整した、自殺企図に対する小児期虐待の各タイプの影響を推定するために、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・本検討の被験者の39.1%に、生涯自殺企図があった。・2群でマッチし、人口統計的および臨床的交絡因子で調整した後、合計トラウマスコアと小児期虐待サブタイプの大部分は、自殺企図を予測した(OR:1.74~2.49、p値:0.001~0.02)。・本集団において、身体的ネグレクトは、自殺企図との有意な関連が認められなかった(p=0.94)。 著者らは「小児期虐待は、統合失調症患者における自殺企図の強力な独立リスク因子である。リスクは、成人期の抑うつ症状や絶望感により悪化すると考えられる。トラウマ歴のある精神疾患患者に対しては、早期スクリーニングと心理社会的治療の変更が推奨される」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

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自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

 自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHDは、しばしば併存する神経発達障害である。社会的状況、適応機能、実行機能の処理が欠損しているため、いずれか単独の患者よりも併発している患者ではより重篤な障害がみられる。イタリア・メッシーナ大学のMarco Lamberti氏らは、ASDとADHDを併発する患者に対し、ADHD症状を治療するためのリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性、忍容性を評価し、比較することを目的とした24週間のオープンラベルパイロット試験を行った。Paediatric drugs誌2016年8月号の報告。 対象患者44例を、リスペリドン群22例、アリピプラゾール群22例に無作為に割り付け治療を開始した。小児の評価は、治療開始前(T0)、治療開始12週後(T1)、24週後(T2)に行った。各来院時に、2つの薬剤の有効性を評価するため、特定の精神科臨床スケールを実施した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、アリピプラゾール群8.4±2.9歳、リスペリドン群7.8±2.3歳であった。・合計37例(男児:29例、女児8例)が試験を完了した(アリピプラゾール群18例、リスペリドン群:19例)。・アリピプラゾールおよびリスペリドンの有効性、忍容性はわずかな違いはあるものの、同様のベネフィットが認められた。・両群ともに、治療24週間後のADHD症状に有意な改善が認められた(ADHD臨床尺度、Conners Parent Rating Scale-Hyperactivity、CGI-S)。・24週時点での各パラメータは、両群間で有意差は認められなかった。・プロラクチンレベルは、アリピプラゾール群で減少していた。・両群ともに、よい忍容性を示し、重篤な有害事象は認められなかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか

 統合失調症治療において、抗精神病薬に抗うつ薬を追加した際の安全性および有効性をドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のBartosz Helfer氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2015年6月までの複数のデータベースと出版物より、統合失調症に対する抗うつ薬追加とプラセボまたは未治療とを比較したすべての無作為化比較試験を抽出した。抑うつ症状と陰性症状(主要アウトカム)、全体の症状、陽性症状、副作用、精神症状の悪化、レスポンダーレートを調査した。サブグループ分析、メタ回帰分析、感度分析を実施した。また、同様に出版バイアスとバイアスリスクを調査した。 主な結果は以下のとおり。・82件の無作為化比較試験より、3,608例が抽出された。・抗うつ薬の追加は、各症状などに対しより有効であった。  抑うつ症状(SMD:-0.25、95%CI:-0.38~-0.12)  陰性症状(SMD:-0.30、95%CI:-0.44~-0.16)  全体の症状(SMD:-0.24、95%CI:-0.39~-0.09)  陽性症状(SMD:-0.17、95%CI:-0.33~-0.01)  QOL(SMD:-0.32、95%CI:-0.57~-0.06)  レスポンダーレート(RR:1.52[95%CI:1.29~1.78]、NNT:5[95%CI:4~7])・抑うつ症状と陰性症状への影響は、これら症状の最小閾値が包含基準であった際、より堅調にみられた(抑うつ症状[SMD:-0.34、95%CI:-0.58~-0.09]、陰性症状[SMD:-0.58、95%CI:-0.94~-0.21])。・精神症状の悪化、早期中止、少なくとも1つ以上の有害事象を経験した患者数については、抗うつ薬追加と対照群との間に有意な差は認められなかった。・抗うつ薬を追加した多くの患者において、腹痛、便秘、めまい、口渇が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「主要アウトカム(抑うつ症状、陰性症状)の分析では、抗うつ薬補助療法の有用な効果は小さかった。抗うつ薬補助療法は、精神症状や副作用の悪化リスクが低いと考えられる。しかし、2次およびサブグループ解析により慎重に検討すべきである」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは

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ADHDへの補助療法、有酸素運動が有用

 有酸素運動が、ADHDに対する有用な補助療法であるか、カナダ・マギル大学のSivan Klil-Drori氏らが検討を行った。Journal of attention disorders誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 ADHDに関連する有酸素運動の身体的、認知的、心理社会学的側面についてレビューを行い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療のための主要な薬物療法である覚醒薬、有酸素運動はどちらもカテコールアミン経路に作用する。・有酸素運動は、ADHD動物モデルである自然発生高血圧ラットの前臨床試験、またADHD児の臨床試験において、薬物療法の補助療法として有用であることが示されている。・運動はさらに、小児および成人の社会機能や神経認知機能に良い影響を及ぼすことが示唆される。・しかしながら、成人ADHDに対する臨床試験は実施されていない。関連医療ニュース 子供はよく遊ばせておいたほうがよい ADHD児に対するスポーツプログラム うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは

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てんかん患者の携帯電話使用、発作への影響は

 てんかんは、脳内の異常な神経インパルスによる発作が起こる状態である。発作患者における携帯電話の電磁波の影響は知られていない。インド・グントゥール医科大学のSundarachary Nagarjunakonda氏らは、携帯電話使用の有無による患者の発作プロファイルについて比較を行った。Postgraduate medical journal誌オンライン版2016年6月6日号の報告。 2014年9月~2015年9月までにグントゥール医科大学の神経科外来を受診した患者のうち、1年以上発作障害を有していた16~65歳のてんかん患者178例について、レトロスペクティブコホート研究を行った。患者の携帯電話の所持・使用状況に基づき、no mobile群(NMG)、home mobile群(HMG)、personal mobile群(PMG)の3群に振り分けた。発作頻度のデータ、携帯電話使用状況の詳細、抗てんかん薬(AED)治療に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、NMG107例、HMG3例、PMG68例が含まれた。・前年の発作数は、3群間で有意な差はなかった。・PMGは、NMGと比較し、薬剤抵抗性てんかん患者の割合が有意に低かった(3.7% vs.28.2%)。・薬剤反応性てんかん患者は、性別や職業の違いで調整した後、NMGよりもPMGで7.4倍多く見出される傾向があった(95%CI:1.4~39.9、p=0.01)。・本結果より、携帯電話を使用しているてんかん患者では、薬剤抵抗性けいれんを有する可能性が低いことが示された。関連医療ニュース 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか てんかん重積状態に対するアプローチは てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割

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青年期うつ病を予測する小児期の特徴

 カナダ・オタワ大学のMurray Weeks氏らは、16~17歳の抑うつ症状を有する青少年における4~5歳から14~15歳にかけての内在化問題、外在化問題、学力の3つのドメインについて縦断的に調査した。Journal of adolescence誌オンライン版2016年6月8日号の報告。 対象は、小児と青少年の全国縦断研究の一環として年2回フォローされたカナダの小児6,425人。 主な結果は以下のとおり。・内的ドメイン(すなわち、安定性)の影響は中程度であった。・小児期早期の内在化問題と外在化問題の間(正の相関)、および小児期後期、青年期の学力と外在化問題との間(負の相関)で、1時点(すなわち、one-lag cascades)での縦断的クロスドメインの影響を見出した。・また、4~5歳の低い学力と6~7歳の内在化問題の大きさが12~13歳以上の外在化問題を予測し、6~7歳以上の外在化問題が16~17歳以上のうつ病を予測することについて、複数時点(すなわち、multi-lag cascades)でのカスケード効果を見出した。・青年期うつ病への重要な経路は、小児期および青年期の内在化問題を通じた経路の安定性、ならびに適応のすべてのドメインを含む可能性のある複数の経路を含んでおり、これは青年期うつ病の多因子の性質を浮き彫りにするものである。関連医療ニュース 青年期うつは自助予防可能か 成人期まで持続するADHD、その予測因子は 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

 統合失調症治療薬であるパリペリドンパルミチン酸エステル月1回注射剤(PP1M)は、日本や諸外国で承認されている。日本の市販直後調査(EPPV)期間の6ヵ月間に、死亡例が32例報告された。米国・ヤンセンファーマのPhillip Pierce氏らは、PP1M治療患者における致死的な転帰への潜在的な要因を検討した。Current medical research and opinion誌オンライン版2016年6月5日号の報告。 2013年11月19日~2014年5月18日までにEPPVを通じて得られたPP1M使用後の有害事象報告を、グローバル安全性データベースに入力し、これらの事象を分析した。 主な結果は以下のとおり。・EPPV期間中に、日本においてPP1M治療を受けた患者は1万962例と推定された。・日本でのEPPV期間中の死亡報告率(5.84/1,000人・年)は、米国(0.43/1,000人・年)やグローバル(0.38/1,000人・年)でPP1Mが承認された時よりも高率であった。しかし、日本の臨床試験や患者コホート研究で観察された死亡率と一致していた(10.2/1,000人・年)。・日本のPP1MのEPPV期間中に報告された死亡例32例のうち、19例(59.4%)は50歳以上、23例は心血管リスク因子を有し、25例(78.1%)は抗精神病薬の多剤併用が行われていた。 著者らは「日本のPP1MのEPPV期間中に報告された死亡例32例に関する本レビューに基づくと、観察された死亡率は、必ずしも日本人に対するPP1M使用リスクに起因するわけではない」とし「日本における死亡率の高さは、日本独自のEPPVプログラムの死亡報告、高齢者、心血管リスクの高さ、複数の基礎疾患、抗精神病薬の多剤併用といったさまざまな要因に起因すると考えられる」とまとめている。関連医療ニュース 月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大

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広汎性発達障害に日本で使用されている薬剤は:東北大学

 日本において、広汎性発達障害(PDD)に適応を有する薬剤は、ピモジドだけである。いくつかの抗精神病薬は、日本でも適応外で使用されているが、これら薬剤の処方および使用に関する詳細は不明な点が多い。東北大学の佐藤 倫広氏らは、日本のPDD児における薬物治療の実態を明らかにするため調査を行った。World journal of pediatrics誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2005~10年に新規でPDD(ICD-10:F84)と診断された18歳未満の小児3,276例のデータを、日本医療データセンターの請求データより抽出した。処方率は、それぞれの薬剤が処方されたPDD患者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2010年以前には、ATC分類で神経系に属する薬剤のうち、非定型抗精神病薬、他の抗精神病薬、精神刺激薬、他のすべての中枢神経系作用薬、抗けいれん薬、非バルビツール酸系薬、パーキンソン病/症候群薬の処方が有意に増加していた(trend p≦0.02)。・リスペリドンの処方率は一貫して増加しており、2010年には6.9%に達していた(trend p<0.0001)。これは、調査対象の抗精神病薬のうち最も高かった。・アリピプラゾールの処方率も増加しており、2010年には1.9%に達していた(trend p<0.0001)。・ピモジドの処方率には変化がなく、2010年は0.4%と低率であった。 著者らは「ピモジドと比較し、リスペリドン、アリピプラゾール、他の向精神薬の処方率が増加している。日本人小児に対するこれら薬物の安全性データは十分でないため、今後の安全性評価が必要とされる」としている。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

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中枢神経系作用薬による高齢者入院リスクは

 認知障害に対する中枢神経系(CNS)作用薬の効果を評価したほとんどの研究は、個々の薬剤使用に焦点を当ててきた。他のCNS作用薬を追加した際の認知機能への影響は、よくわかっていない。南オーストラリア大学のLisa M Kalisch Ellett氏らは、CNS作用薬の併用薬剤数および標準用量(1日用量)の増加と高齢患者における錯乱、せん妄、認知症による入院リスクとの関連を検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2016年6月1日号の報告。 2011年7月~2012年6月までのhealth claimsデータを用いた、後ろ向きコホート研究。対象は、試験開始前に少なくとも年1回はCNS作用薬を使用した、65歳以上のオーストラリア住民7万4,321例。錯乱、せん妄、認知症、緩和ケアを受けるための入院歴のある患者は除外された。主要アウトカムは、錯乱、せん妄、認知症による入院とした。 主な結果は以下のとおり。・1年間の研究期間中、401例が錯乱、せん妄、認知症のために入院した。・調整後の分析による入院リスクは、CNS作用薬未使用患者と比較し、2剤使用していた患者では、2.4倍(発生率比[IRR]:2.39、95%CI:1.79~3.19、p<0.001)、5剤以上使用していた患者で19倍以上(IRR:19.35、95%CI:11.10~33.72、p<0.001)であった。・同様に、入院リスクは、未使用患者と比較し、標準1日用量が1.0~1.9(IRR:2.64、95%CI:1.99~3.50、p<0.001)および2.0~2.9(IRR:3.43、95%CI:2.07~5.69、p<0.001)で有意に増加していた。 著者らは「CNS作用薬の多剤併用または高用量での使用は、錯乱、せん妄、認知症による入院リスク増加と関連していた。専門医は、錯乱やせん妄を呈した患者におけるCNS作用薬の影響を考慮し、治療負担を軽減しうる治療戦略を検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 注意が必要、高齢者への抗コリン作用

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各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較

 非定型抗精神病薬がマクロプロラクチンとプロラクチンの血清レベルを上昇させるか、またマクロプロラクチンレベルは非定型抗精神病薬の種類により異なるのかを、韓国・仁済大学のYoung-Min Park氏らが検討を行った。Psychiatry research誌2016年5月30日号の報告。 6病院より、連続登録方式で合計245例が抽出された。血清プロラクチンおよびマクロプロラクチンレベルは、抗精神病薬単独療法の単一ポイントで測定した。 主な結果は以下のとおり。・マクロプロラクチンレベルを含めた平均総血清プロラクチン値は、アリピプラゾール11.91ng/mL、ブロナンセリン20.73 ng/mL、オランザピン16.41 ng/mL、パリペリドン50.83 ng/mL、クエチアピン12.84 ng/mL、リスペリドン59.1 ng/mLであった。・マクロプロラクチンは、アリピプラゾール1.71ng/mL、ブロナンセリン3.86 ng/mL、オランザピン3.73 ng/mL、パリペリドン7.28 ng/mL、クエチアピン2.77 ng/mL、リスペリドン8.0 ng/mLであった。・パリペリドンおよびリスペリドンの総プロラクチン、マクロプロラクチンレベルは、他の抗精神病薬の中央値と比較し、有意に高かった(p<0.01)。・プロラクチンとマクロプロラクチンの血清レベルとの間に強い正の相関が認められた。・性機能不全は、全体の35.5%(87/245例)で認められた。・しかし、総プロラクチンレベルは、女性化乳房を除く性機能不全の有無との間に有意な差はなかった。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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未成年者への抗うつ薬は有益か?14薬剤のメタ解析/Lancet

 大うつ病急性期治療における抗うつ薬のリスク・ベネフィットを考えた場合、小児および思春期青少年には明らかな利点はないようだとの見解を、英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、ネットワークメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「薬物治療が必要な場合のベスト選択肢は、おそらくfluoxetineだろう」と述べている。大うつ病は、小児・思春期青少年において最もよくみられる精神疾患であるが、同集団に薬物治療による介入を行うべきかどうか、どのような薬物を処方すべきかは、なお議論の的となっている。研究グループは、プラセボとの比較による抗うつ薬のランク付けを意図し本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。ネットワークメタ解析で、14の抗うつ薬に関するプラセボ比較試験結果を分析 検討は、関連試験から直接比較および間接比較によるエビデンスを集約するためネットワークメタ解析法を用いた。PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Embase、CINAHL、PsycINFO、LiLACSなどを介して、公表・未公表両者を含む二重盲検無作為化対照試験を検索した。2015年5月31日時点で、小児および思春期青少年における大うつ病急性期治療について評価した、アミトリプチリン、citalopram、クロミプラミン、desipramine、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、イミプラミン、ミルタザピン、nefazodone、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンに関する試験を適格とした。難治性うつ病、治療期間が4週未満、被験者10例未満の試験は除外した。 事前規定のデータ抽出シートを用いて発表された報告から情報を入手し、バイアスリスクは、Cochraneバイアスリスクツールを用いて評価した。 主要アウトカムは、有効性(うつ症状の変化)および忍容性(有害事象による治療中断)であった。ランダム効果モデルを用いてペアワイズメタ解析を行い、その後にベイズ法でランダム効果ネットワークメタ解析を行った。それぞれのネットワークに関連したエビデンスの質はGRADEフレームワークを用いて推算した。統計的に有効性が有意であったのはfluoxetine 34試験が適格基準を満たし、被験者5,260例、14の抗うつ薬治療に関するデータを包含した。質的エビデンスは、大半の比較で「非常に低い」と判定された。 有効性に関しては、fluoxetineのみがプラセボと比較して統計的に有意な効果が認められた(標準化平均差:-0.51、95%信用区間[CrI]:-0.99~-0.03)。 忍容性に関しても、fluoxetineは統計的に良好であることが示された。デュロキセチンと比較してのオッズ比(OR)0.31(95%CrI:0.13~0.95)、イミプラミンとの同0.23(0.04~0.78)。 イミプラミン、ベンラファキシン、デュロキセチンを投与されていた患者は、プラセボを投与されていた患者との比較において、有害事象による治療中断が有意に高率であった。それぞれ5.49(1.96~20.86)、3.19(1.01~18.70)、2.80(1.20~9.42)。 不均一性に関しては、全体的に有効性のI2値は33.21%、忍容性は0%であった。

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乾癬とうつ病はどう関連する?

 乾癬は、うつ病のリスク因子である。うつ病もまた、乾癬のトリガーや悪化要因となる可能性があるが、乾癬とうつ病との関係は、いまだ完全には明らかにされていない。そこで米国・ニューヨーク大学のCohen BE氏らでは、米国民における乾癬と大うつ病の関係性を調査した。JAMA Dermatology誌2016年1月号に掲載の報告。 本研究は2009~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者を対象とした集団ベース研究である。大うつ病の診断はPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いた。  主な結果は以下のとおり。・研究対象となった米国市民1万2,382人のうち、351例(2.8%)が乾癬、968例(7.8%)が大うつ病と診断された。・351例の乾癬患者のうち58例(16.5%)が大うつ病の診断基準を満たした。・乾癬の既往患者は、乾癬の既往がない患者と比較して平均PHQ-9スコアが有意に高かった(4.54 [5.7] vs.3.22 [4.3]、p<0.001)。・性別、年齢、人種、BMI、身体活動、喫煙歴、アルコール摂取、心筋梗塞(MI)の既往、脳梗塞の既往、糖尿病の既往の調整後においても、乾癬と大うつ病との間に有意な関連性があることが認められた(オッズ比[OR] 2.09 [95%CI:1.41~3.11]、p<0.001)。・乾癬の既往と心血管イベントの既往(とくにMIまたは脳梗塞)を有する患者との相互作用項を含む解析においては、相乗的な大うつ病のリスク上昇は示されなかった(乾癬とMI: OR 1.09 [95 % CI:0.28~3.60]、p=0.91;乾癬と脳卒中:OR 0.67 [95%CI:0.12~3.66]、p=0.63)。・多変量調整モデルにおける大うつ病のリスクは、限局型の乾癬と汎発型の乾癬の患者間で有意差は認められなかった(OR 0.66 [95%CI:0.18~2.44]、p=0.53)。 以上の結果より、自己申告に基づく乾癬の既往は、併存疾患による差の調整後においても、評価ツール(PHQ-9)による大うつ病の診断との間に独立した相関関係が認められた。ただし、心血管イベントの既往は乾癬患者の大うつ病リスクを増加させなかった。また、乾癬の重症度は、大うつ病のリスクとは無関係であった。したがって重症度に関係なく、乾癬を有するすべての患者は、大うつ病のリスクを有する可能性があると考えられる。

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子供の運動能力とADHDは相関するのか

 運動能力と過体重/肥満との重要な関連が示唆されている。運動困難な多くの子供たちは、ADHD症状を経験し、それは過体重/肥満と関連している。これまでの研究では、過体重/肥満との関連を調査する際、ADHDと運動能力の両方について考えられていなかった。ブラジル・サンパウロ大学のJuliana B Goulardins氏らは、子供の運動能力とADHD症状、肥満との関連を調査した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年5月20日号の報告。 6~10歳児189例について、横断的研究を行った。ADHD症状は、SNAP-IV評価尺度を用いて評価した。運動障害(MI)は、Movement Assessment Battery for Children-2(M-ABC-2)を用いて評価した。身体組成は、WHOのChild Growth Standardsに基づいたBMIから推定した。 主な結果は以下のとおり。・性別やADHDで調整した後、BMIと関連した唯一の運動技術はバランスであった。・グループ間比較では、過体重ADHD児の割合は、過体重コントロール群や過体重MI群と比較し有意に低かった。また、低体重ADHD児の割合は、低体重MI児の割合より有意に高かった。 結果を踏まえ、著者らは「ADHD症状と運動困難の両方を考慮し、ADHDや運動問題を有する子供たちの身体健康アウトカムに対する評価や介入を行うことが重要である」としている。関連医療ニュース 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 子供はよく遊ばせておいたほうがよい 小児ADHD、食事パターンで予防可能か

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私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】

今回のキーワード生涯未婚率「仮氏理論」「ライフ・イズ・ビューティフル理論」「ツッコミマスター」進化心理学・進化精神医学社会的知能(SQ)社会的コミュニケーション障害(DSM-5)なぜ結婚しなくなったの?みなさんは、もう結婚しているでしょうか? またはこれから結婚するでしょうか? 1990年までの日本では、結婚する人が、男女ともに変わらず95%以上でした。ところが、現在はどうでしょうか? 統計的には、男女とも90%近くが、「いずれ結婚するつもり」と考えています。しかし、2010年の生涯未婚率は男性20%超、女性10%超で、急激に上がってきています。このまま行けば、2035年には男性30%、女性20%と予測されています。また、離婚率も生涯未婚率と同じく上がってきています。一体、何が起きているのでしょうか? どうしてこうなったのでしょうか? そして結婚するにはどうしたら良いでしょうか? さらには結婚を続ける、つまり離婚しないにはどうしたら良いでしょうか? これらの問いに答えるためのキーワードは、コミュニケーション能力です。このコミュニケーション能力の理解のために、今回、ドラマ「私 結婚できないじゃなくて、しないんです」を取り上げます。主人公の39歳女医のみやびが、恋愛スペシャリストを自称する十倉からスパルタ指導の下で、独身アラフォーを抜け出そうとするラブコメディーです。このドラマでは、十倉が「仮氏理論」「ライフ・イズ・ビューティフル理論」「ツッコミマスター」という3つの独自理論を説いています。これらを通して、コミュニケーション能力を高めるやり方やあり方をアカデミックに解説します。また、現代の結婚をしない心理について、進化心理学・進化精神医学の視点で探っていきます。さらに、DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引第5版)への改定に伴い、新しく登場した「社会的コミュニケーション障害」も解説します。仮氏理論―誰でも良いから彼氏をつくるみやびは、「好きになれる人じゃないと」「好きになれる人がいない」と言います。そして、これまでずっと仕事を優先してきました。理想の相手がいないことと時間がないことを理由に、長期間「彼氏がいない状態」になっています。そんなみやびに対して、十倉は「仮氏理論」を説きます。「仮氏」とは仮の彼氏という造語で、仮氏理論とはどんな男でも良いからまず彼氏をつくり、「彼氏がいない状態」から抜け出すことです。この仮氏は、かつての「キープ君」に似ています。この仮氏をつくることによって、労力や時間を注ぐデメリットを上回って得られるメリットが3つあると十倉は説きます。1つ目は、心の余裕です。十倉は、「最悪あいつがいると思える」と言います。これは、「仮氏」というバックアップがある(いる)からこそ、心の余裕が生まれ、焦らなくなるというわけです。余裕とは、うまく行かなくなっても、いざという時の保険があるということです。2つ目は、魅力の水増しです。十倉は「彼氏はいるんだけど・・・と含みを持たせて」「彼氏を踏み台に本命の男にジャンプ」と言います。女性は誰かのものであるというだけで、男性にとって魅力が増すという心理を利用しています。3つ目は、トレーニングになることです。十倉は、「理想の結婚相手はエベレスト」であり、「仮氏は高地トレーニング」であると言います。つまり、恋愛を含むコミュニケーションには、トレーニングが必要であるということです。これは、最も重要なことです。なぜなら、実際に理想の彼氏ができるというチャンスが巡ってきても彼氏いない歴が長すぎれば、「何をして良いか分からない」「何から始めれば良いか分からない」という事態が起きてしまうからいです。つまり、もったいないのは、本命じゃない相手とのデートの時間ではなく、逆に大本命に絞って一本釣りするデートの時間であるということです。コミュニケーションはダンスと同じです。練習すれば、リズムに合わせてキレのある動きができて、だんだん上手になります。逆に、止めてしまうと、リズムに合わずキレのない動きになり、だんだん下手になります。しかも、恋愛は、仕事、友人、家族などの他のコミュニケーションと比べて、より高い能力と経験が求められます。つまり、本命の彼氏を射止めるために、「仮氏」はダンスの練習台であり踏み台であるということです。そして、それは男女お互い様であるということです。ちなみに、この「仮氏理論」の発想は、心理療法の1つであるブリーフセラピーのスケーリング・クエスチョンによる目標設定に当てはまります。ライフ・イズ・ビューティフル理論―デートを楽しむみやびは、本命の桜井君とのデートで張り切りますが、うまく行きません。その後、十倉の教えに従って、「仮氏」とデートをしますが、楽しくありません。そして、その相手のイケてないところを女子会のガールズトークでこき下ろして盛り上がります。みやびは「デートが楽しくない」と言っています。なぜでしょうか? 原因が3つあります。1つ目は、自分の良いところばかりを見せようとして緊張していることです。その心理は、結婚という目的に囚われ、デートがその手段となり、仕事となり、苦行となっています。2つ目は、相手の悪いところばかりを見てしまい幻滅することです。その心理は、結婚という目的に囚われ、相手の値踏みばかりをして、婚活の面接官になっています。3つ目は、デートを楽しむ経験を積んでいないことです。そもそもデートを楽しんだことがあまりないと、その楽しみ方が分からないということです。みやびは、美人で医師という最高のキャリアを持っており、デートを楽しんでいそうなイメージがあります。しかし、だからこそ彼女は「恋愛弱者だ」と十倉は言います。そのわけは、勉強や仕事、友人関係で自分の思い通りになってきた人は、逆に必ずしも自分の思い通りにならない恋愛には免疫力がなく、弱いということです。自分だけでなく、結婚や相手にも完璧さを求めて、そうならないことへのいら立ちや不安をつのらせるばかりで、楽しむのが下手だということです。そんなみやびに十倉は、「ライフ・イズ・ビューティフル理論」を説きます。「ライフ・イズ・ビューティフル」とは、主人公の父親が最愛の幼い息子に、戦争による過酷な運命をポジティブに伝え続けるという感動の映画です。まさにこの映画のように、十倉は「全ての物事にはプラス面とマイナス面がある」「物事の二面性をみろ」「デートは常にプラス思考」「デートを楽しめ」「魔法の言葉は『逆に楽しい』」と言います。何があっても、「逆に楽しい」面を見つけ出すことです。たとえ結婚したとして、その後の結婚生活で、必ずしも相手の欠点がないわけではありません。相手の欠点に目が行ってしまった時、その良さ(プラス面)に目を向け、バランスをとり、トータルで相手を見ることができるかが大切になります。みやびのような女性の言い分は「好きじゃないと楽しめない」です。逆です。「楽しめていないから好きになれない」です。つまり、どんな相手でも状況でも楽しめるということは、それ自体がとても大事なコミュニケーション能力であるということです。さらには、このコミュニケーション能力を高めるには、ダンスと同じように、普段から楽しんでいることです。楽しむことで相手を好きになります。つまり、人を好きになるのも、それ自体がとても大事なコミュニケーション能力であるということです。もう1つ魔法の言葉をご紹介しましょう。これは、特に失恋など結果的にうまくいかなかった時点で役立ちます。それは、「良い勉強になった」「経験値が上がった」です。失恋は、避けて通りたいと多くの人は思いがちです。よくよく考えると、失恋のようにうまく行かない相手や状況は、コミュニケーション能力を高めるためには必要なことです。失敗は成長の肥やしです。そして失恋は結婚の肥やしです。うまく行かないことは、マイレージのようなもので、どんどん経験値として貯まっていくことで、将来的にその経験値が生かされ、その後により遠くへ、より高みへ飛べるようになります。ちなみに、この「ライフ・イズ・ビューティフル理論」の発想は、心理療法の1つである認知行動療法の二面性による認知再構築やナラティブセラピーのオルタナティブストーリーに当てはまります。ツッコミマスター―相手を楽しませるみやびは、本命の桜井君とのデートで張り切りますが、全て裏目に出てしまいます。挙句の果てに、捨身の告白をしてフラれます。その理由は、「私を選んで」と自分が気に入られることばかりに必死になり、ぎこちなくて気持ち悪かったからでした。そして、みやび自身はもちろん楽しんでいないですし、何より相手を楽しませてもいなかったからでした。そんなみやびに十倉は、「ツッコミマスターになれ」を説きます。ツッコミマスターとは、相手の言動に盛り上がるツッコミを入れることです。会話が、楽しいキャッチボールになることです。みやびがやっていたのは、言いなりのイエスマンです。会話は、受け身で退屈な一方通行です。ツッコミマスターになるには、3つの力を鍛える必要です。1つ目は観察力です。これは、興味を持ち相手をよく観察するだけでなく、普段から世の中のことをよく観察して、相手と結び付けることです。良い例は「例えツッコミ」です。2つ目は、行動力です。これは、ツッコミという本音や毒を会話に投げ込むリスクを負う行動を積極的にすることです。ツッコミには、デメリットとして予定調和を崩すことで相手の気を悪くさせるリスクがあります。そこには、安心感はありません。しかし、それを上回るメリットとして、予定調和を崩すことで生まれる笑いがあり、楽しさがあります。気まずくならないための保険として、「思い切って言っちゃうけど」などの前置きをして、相手がツッコミされる心の準備をしてもらうこともできます。3つ目は、包容力です。これは、相手を心から楽しませたいと思うことです。たとえそのツッコミがどぎつくなったとしても、悪気はないと思われるほど、声のトーンや表情などの雰囲気(非言語的コミュニケーション)は温かみがあるのがポイントです。コミュニケーションとは、ダンスと同じように、自分がわがままで相手を疲れさせず、自分が言いなりで相手を飽きさせず、息を合わせて自分も楽しみ相手も楽しませることであると言えます。そして、このコミュニケーション能力を高めるには、普段から相手を楽しませていることです。その相手が、恋人だけでなく、友人や家族やご近所などのプライベートな関係から、同僚や部下、さらには上司などの仕事関係、さらにはエレベーターで乗り合わせた人などの何でもない関係まで広がれば広がるほど、それが積み重なれば積み重なるほど、この能力は高まります。また、たとえ結婚したとして、その後の結婚生活で、必ずしも相手とうまく行くことばかりではありません。うまく行かない時、意見が合わなかったりケンカになりかけた時、わがまま(攻撃)でもなく言いなり(非主張)でもない、折り合いを付けるツッコミが良い関係を保つ大きな力になるということです。コミュニケーション能力とは、我慢してけんかしない能力ではなく、たとえけんかしても仲直りできる能力であると言えます。ちなみに、この「ツッコミマスター」の発想は、心理療法の1つであるアサーションとユーモアに当てはまります。結婚をしない心理とは?これまで、「仮氏理論」「ライフ・イズ・ビューティフル理論」「ツッコミマスター」を通して、コミュニケーション能力を高めるやり方やあり方をアカデミックに解き明かしてきました。しかし、それにしても、現在、なぜ結婚しない人がこれほど急に増えたのでしょうか?そもそも、なぜデートもしない人が増えたのでしょうか?その謎を解くために、私たちが人間となり体と心(脳)を適応させていった数百万年前の原始の時代の狩猟採集社会に目を向けてみましょう。なぜなら、この時代に私たちの心(脳)の原型が形作られたからです。一方、現代の農耕牧畜社会から始まる文明社会は、たかだか1万数千年の歴史しかなく、体や心(脳)が進化するにはあまりにも短いからです。原始の時代、男性(父親)は日々食糧を確保し、女性(母親)は日々子育てをして、性別で役割を分担し、家族をつくりました。さらに、これらの家族が血縁によっていくつも集まって100人から150人の大家族の生活共同体(村)をつくり、つながって協力しました。そして、そうする種が生き残りました。その子孫が現在の私たちです。逆に、そうしない種は、子孫を残さないわけですから、理屈の上ではこの世にほぼ存在しないと言えます。それが、日本で1990年までの結婚する人が、男女ともに変わらず95%以上であったことを表しています。ところが、1990年代以降の現代はどうでしょうか? 実は、原始の時代と違う現代の社会構造こそが、結婚をしない心理を生み出していると言えます。その主な3つの心理を探ってみましょう。(1)「自由がなくなる」―個人主義化―自己愛の心理1つ目は、「自由がなくなる」という心理です。高度経済成長期を過ぎた1970年代から、世の中は物質的には豊かになっていきました。生活の余裕ができて、個人の選択の自由が重んじられるようになり、個人主義化していきました。女性も社会参加するようになりました。女性は仕事を持つ、男女ともに余暇活動を楽しむ、自分の趣味や習い事をするなど生き方の選択肢が増えていきました。いわゆる「自分磨き」「リア充(リアル生活充実)」「意識高い系」という流行り言葉がそれを表しています。また、結婚についても、お見合いなどによって親(社会)が決めるやり方から、恋愛によって個人同士が決める自由が重んじられるようになりました。本人の意思が尊重されることで、周り(社会)よりも自分を大切にする気持ちが高まります(自己愛)。一見、結婚を選ぶ自由があることは良いように見えますが、ここには落とし穴があります。それは、相手を選ぶ自由があるということは、一方で、相手から必ずしも選ばれない「不自由さ」という責任があるということです。自分が相手を好きだからと言ってどんなに努力しても、必ずしも相手が自分を好きになるという保証がないということです。ここが仕事や友人関係との大きな違いです。恋愛は理不尽なのです。そして、「面倒は嫌だ」「時間がもったいない」という理由付けによって、拒絶されたり裏切られることがない仕事や趣味、友達関係やペットで、人生を満たそうとします。または、アイドルの追っかけをしたり、二次元(仮想現実)の恋人をつくることで、思い通りになる擬似的な恋愛で欲求を満たそうとします。つまり、「自由であり続けたい」「我慢したくない」ということです。こうして、自分の自由さに目が行くばかりで、恋愛のコミュニケーションの機会が減り、その能力が高まらないままなのです。これが、「自由がなくなる」という心理の根っこにあるものです。(2)「コスパが悪い」―効率化―損得勘定の心理2つ目は、「コスパ(コストパフォーマンス)が悪い」という心理です。世の中は、さらにとても便利で効率化していきました。女性は経済的に自立するようになり、男性も家事労働的に自立できるようになりました。そして、個人主義化と相まって、それまでの三世帯の大家族よりも、未婚の男性や女性がその親と同居するのみの核家族や独り暮らしが増えていきました。もはや、女性が必ずしも結婚して経済的に男性に依存する必要がなく、男性も必ずしも結婚して女性の家事労働に依存する必要がなくなりました。いわゆる男女の役割のフラット化です。逆に、結婚すると、親と別居することになるため、男性も女性も自分の親の経済や家事労働に依存できなくなり、さらに女性が離職して家事労働や子育てに専念する場合は男性が自分の経済を女性や子どもと共有することになり、結果的に生活水準は下がってしまいます。効率化という社会の価値観によって、「自由がなくなる上に損をする」という損得勘定の発想(外発的動機付け)が強まり、つながる必要がないという心理に陥ってしまいます。そこには、「相手を楽しませたい」「幸せにしたい」というコミュニケーション本来の発想(内発的動機付け)が貧しくなっています。こうして、結婚して失うものばかりに目が向き、得るものには目が向かないため、恋愛のコミュニケーションの機会が減り、その能力が高まらないままなのです。これが、「コスパが悪い」という心理の根っこにあるものです。(3)「好きな人がいない」―情報化―受け身の心理3つ目は、「好きな人がいない」という心理です。1990年代から、インターネットの普及により情報化が一気に加速しました。物だけでなく、情報までも人と直接かかわらなくても手に入るようになりました。つまり、生きていくために、苦労して人とコミュニケーションをして何かを手に入れる体験を子どもの頃からしなくても良くなってきたのです。言い換えれば、より受け身でも生きてはいけるということです。そして、この受け身の心理で恋愛をするようになったのです。デートをしても、男女がお互い受け身なので、楽しくなくて盛り上がらず、好きになれないので、次につながらないのです。つまり、厳密には、「好きな人がいない」のではなく、「好きになる経験を積んでいない」ということです。また、人と深くかかわり好き好かれるコミュニケーションの体験を積み重ねていないので、人からどう思われるか不安になりやすく、「人見知り」「対人恐怖」に陥りやすくなります。そして、ますます恋愛に臆病になります。悪循環です。情報が溢れる中、不安をなくそうと情報収集ばかりして、頭でっかちになり、ますます不安になっています。とても「結婚は勢い」というふうには思えなくなっています。さらに、情報化は、相手を商品のように細かくランク付け(価値付け)する意識を強めます。いわゆる「スペック」です。この心理によって、相手のだめなところばかりに目が行きやすくなり、好きになれないのです。好きになるのは、スペックなどの情報によるものではなく、生身のコミュニケーションそのものによるものです。つまり、「好きな人がいない」というのは、相手の問題ではなく、自分の心の問題であるといことです。こうして、相手の欠点に目が行くばかりで、恋愛感情を深めるコミュニケーションの機会が減り、その能力が高まらないままなのです。これが、「好きな人がいない」という心理の根っこにあるものです。なぜコミュニケーション能力が注目されるの?結婚をしない心理の3つの要素のどれも、コミュニケーション能力が絡んでいます。実際に、結婚における魅力について、男性は経済力で女性は容姿であるのは昔からではありますが、昨今はコミュニケーション能力のウェートがますます高まっています。なぜでしょうか? もう一度、進化心理学・進化精神医学の視点で考えてみましょう。生きていくために必要な能力は、狩猟採集社会の原始の時代や農耕牧畜社会の近代までは主に身体能力でした。ところが、産業革命が起きた19世紀以降、身体能力を必要とする肉体労働は、機械が代わりにやってくれるようになりました。むしろ、その機械を操作するための記憶力や分析能力などの知的能力(IQ)が重要視されるようになりました。ところが、情報化が進んだ1990年以降、記憶力や分析力を必要とする頭脳労働はコンピューターが代わりにやってくれるようになりました。そして、むしろ機械やコンピューターができないコミュニケーション能力が重要視されるようになったのです。つまり、魅力とは、その時代を生きていくために必要な能力であるといえます。そして現在では、このコミュニケーション能力は、いかに人とうまくやっていけるかという社会的知能(SQ:social quotient)として注目されています。だからこそ、逆にコミュニケーション能力が低い人も目立つようになっていきました。そして、精神障害の1つとして認知されるようになったのです。それが、2013年のDSM-5への改定で新しく登場した社会的コミュニケーション障害です。もともと、軽症の自閉症やアスペルガー障害と診断されていましたが、あまりに増えてしまったため、新しい疾患概念として提唱されたのです。精神障害が、いかにその時代の社会構造によって決められてしまうのかがよく分かります。極端な話、未来の時代に、歌唱力やダンスが生きるために必要な能力と見なされたら、「歌唱障害」や「ダンス障害」という病名が存在しうるということです。コミュニケーション能力を高めるには?このドラマは、女性向けの恋愛指南のスタイルをとっています。いわば「男たらし」になる術です。ただ、恋愛とは、コミュニケーション能力が最も発揮される瞬間であることを踏まえると、このドラマで説かれた「仮氏理論」「ライフ・イズ・ビューティフル理論」「ツッコミマスター」は、女性だけでなく男性にも、そして恋愛だけでなく、仕事、友人、家族、子育てなど広く人間関係に使える理論であるとも言えます。つまり、私たちは、このドラマから学んだ理論を通して、よりよいコミュニケーションをする「人たらし」になることができるのではないでしょうか?1)水野敬也:スパルタ婚活塾、文響者、20142)週間東洋経済「生涯未婚」、東洋経済新報社、2016年5/143)山田昌弘:家族難民、朝日新聞出版社、20144)岡田尊司:夫婦という病、河出書房新社、2016

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精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント

 重篤な精神疾患患者において、雇用がその後の精神科入院にどのように影響するかは不明である。米国・デューク大学のAlison Luciano氏らは、重篤な精神疾患を有する失業中の患者を対象に雇用獲得後の精神科入院経験について検討を行った。Psychiatric services誌オンライン版2016年6月1日号の報告。 2次分析は、メンタルヘルス治療研究からのデータで行った。成人の統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者2,055例について、2年間の雇用状況と精神科入院アウトカムを調査した。雇用と精神科入院との関連について、time-lagged modelingを用い、マルチレベル回帰により分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性(以前の入院や自己申告による身体的健康を含む)で調整後、雇用は、その後3ヵ月間の精神科入院リスクの低さと関連していた(OR 0.65、95%CI:0.50~0.84)。・重篤な精神疾患を有する無職の外来患者では、雇用獲得後、精神科入院を経験する傾向が低かった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症の再発、リスク因子とその対策 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

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うつ病の寛解率、職業で差があるか

 うつ病は、仕事のストレスにより悪化し、職場における障害の主な原因である。有効な治療を行っても、最初の治療で寛解する患者は全体の3分の1に過ぎず、約半数は治療に反応しない。職業レベルは、一般集団における健康アウトカムの確かな予測因子であるといわれている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、大規模国際サンプルを用い、うつ病の治療反応と職業レベルの潜在的な関連について調査した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年5月19日号の報告。 うつ病患者654例を、職業レベル別に階層化した(高、中、低)。現在エピソードに対する直近の治療反応や治療抵抗性うつ病(2つ以上の適切な治療に対し非応答)は、アウトカム変数で考慮された。 主な結果は以下のとおり。・高職業レベルのうつ病患者は、学業成績のレベルが高かった。・高職業レベルは、低寛解率であった直近の治療に対する反応が有意に低く、その他の職業レベル群よりも治療抵抗性が多かった。・また、高職業レベルは、セロトニン再取り込み阻害薬による治療が少なかった。・潜在的な交絡因子は、主効果に影響を及ぼさなかった。 結果を踏まえ、著者らは「本知見により、高職業レベルの仕事に従事する患者は、うつ病の薬物療法に対する治療反応不良の危険因子であることが示された。臨床医や患者だけでなく雇用者や公共政策のためにも、今後のさらなる研究が重要である」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 重症うつ病の寛解率、治療法により違いがあるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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視覚・聴覚とも障害があると認知障害になりやすい?

 認知障害は視覚・聴覚の両方の障害のある人で最も多くみられ、この二重の感覚障害と認知障害のある人では死亡率が高いことが、人間環境大学(愛知県)の三徳 和子氏らの集団ベースのコホート研究で示された。BMC geriatrics誌2016年5月27日号に掲載。 高齢者では視覚と聴覚の障害が多く、また認知障害も懸念される。著者らは、介護保険受給者において、視覚および聴覚障害が認知機能障害と死亡率に関連するかどうかを評価した。 著者らは、郡上市介護保険データベースにおける65歳以上の1,754人(平均追跡期間4.7年)のデータを分析した。訓練を受け認定された研究者が国の評価ツールを使用して感覚障害や認知障害を評価し、また視覚障害と聴覚障害を5段階のスケールで測定した。認知機能はコミュニケーション/認知と問題行動で評価した。視覚・聴覚障害と認知障害との関連について、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定するためにロジスティック回帰分析を行い、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて死亡率のハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・高齢者1,754人のうち、773人(44.0%)は感覚機能が正常であり、252人(14.4%)は視力障害、409人(23.3%)は聴覚障害、320人(18.2%)は二重の感覚障害があった。・潜在的交絡因子調整後において、感覚機能正常者と比べた認知障害のオッズ比は視力障害者で1.46(95%CI:1.07~1.98)、聴覚障害者で1.47(同:1.13~1.92)、二重の感覚障害者で1.97(同:1.46~2.65)であった。・感覚機能と認知機能が正常な人と比べ、二重の感覚障害と認知障害のある人の全死亡率の調整HRは1.29(同:1.01~1.65)であった。

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ビタミンDで抗精神病薬誘発性高血糖が低減か:京都大学

 非定型抗精神病薬は、高血糖リスク増加と関連しているため、臨床使用が制限される。京都大学の長島 卓也氏らは、抗精神病薬誘発性高血糖の根本的な分子メカニズムについて検討を行った。Scientific reports誌2016年5月20日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・FAERS(FDA Adverse Event Reporting System)データベースにおける薬剤の組み合わせを検索したところ、非定型抗精神病薬の高血糖リスクを低減した併用薬として、ビタミンD類似体との組み合わせが、クエチアピン誘発性糖尿病関連有害事象の発生を有意に減少させることが示された。・マウスを用いた実験検証では、クエチアピンは急性インスリン抵抗性を引き起こすことが認められ、これは、コレカルシフェロールの食事補充により軽減された。・シグナル伝達経路や遺伝子発現に関連するデータベース解析では、インスリン受容体の下流で働く重要な遺伝子であるPik3r1のクエチアピン誘発性のダウンレギュレーションを予測した。・PI3Kシグナル伝達経路に焦点を当て、Pik3r1 mRNAの発現低下は、骨格筋のコレカルシフェロール補充により逆転することが認められた。C2C12筋管へのインスリン刺激グルコースの取り込みは、クエチアピン存在下で阻害され、これは、PI3K依存的に付随するカルシトリオールにより逆転した。 結果を踏まえ、著者らは「ビタミンDの同時投与は、PI3K機能のアップレギュレーションにより、抗精神病薬誘発性高血糖およびインスリン抵抗性を防ぐことが示唆された」としている。関連医療ニュース オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体

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「バースデー・ブルー」で自殺が1.5倍に:大阪大学

 誕生日に自殺が増える「バースデー・ブルー」の仮説が日本人にも当てはまることを裏付ける統計結果が発表された。大阪大学の松林 哲也氏と米国・シラキュース大学の上田 路子氏は、1974~2014年に自殺や事故(交通事故、転落事故、溺死、窒息死など)により死亡した日本人207万3,656人の死亡記録をポアソン回帰分析を用いて検討した。その結果、自殺や事故による死亡者数が他の日と比べて誕生日に多いことが明らかになった。Social Science & Medicine誌オンライン版2016年4月29日号掲載の報告。 主な結果は以下のとおり。・自殺による死亡者数が、誕生日はそれ以外の日と比べて50%多かった。・誕生日に死亡する人が増加する傾向は、性別、配偶者の有無、死亡時の年齢のサブグループに関係なくみられた。・高齢者では、食事に出かけるなどの誕生日のお祝いに関連する特別な行動が事故死急増の一因になっていることが示された。対照的に、20代では誕生日の交通事故による死亡者数が著しく増加しており、報告者らによると、これは誕生日のお祝いでのドライブや飲酒に起因する可能性があるという。

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