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大人のADHD、自覚の次に必要なのは…

 少しずつではあるが、認識が広まりつつある大人のADHD(注意欠如・多動性障害)。8月5日、都内で日本イーライリリー株式会社がプレスセミナーを開催し、専門医によるADHDをめぐる診療の現状についての講演と、ADHD当事者およびその自覚のある著名人を招いたディスカッションを実施した。ディスカッションには、経済評論家の勝間 和代氏と書道家の武田 双雲氏が登壇。診断こそ受けてはいないものの、日常生活に関連してADHDとみられる特徴を自覚しているという両氏は、仲間のサポートの重要性を強調し、そのためには自身の自覚と共に、周囲への説明と理解を促す努力が不可欠であると訴えた。ADHDとASD、診断の難しさ依然 はじめに「Know Yourself, Know ADHD~成人期のADHDについて」と題して行われた講演では、岩波 明氏(昭和大学医学部精神医学講座 主任教授)が臨床の立場からADHDの概論と診断をテーマに話をした。この中で岩波氏は、ADHDの診断を難しくしている要因の1つとしてASD(自閉症スペクトラム障害)を挙げた。ASDは、広汎性発達障害(PDD)とほぼ同義であり、アスペルガー障害や自閉性障害なども含む。ADHDとASDは、いずれも発達障害の中の分類であるが、両者の症状として現れる特徴はかなり類似しており、臨床的に区別が難しいケースも多いという。岩波氏によると、ADHDの有病率はASDの実に5~10倍にも上るとみられるとのことだが、ADHDは投薬による症状改善の可能性が見込める点でASDと異なるため、両者の正確な診断は非常に重要である。「空気が読めない人」「変わり者」は特性か、症状か? さらに、発達障害をめぐる根強い誤解もADHDの診断を難しくさせている。小児期に症状が顕在化していなかったために確定診断を受けていなくても、成人期になって就職などの場面で社会不適応を自覚して受診した結果、ADHDであると診断されることも実際には少なくないという。 また、発達障害には知的障害を伴うという“思い込み”が鑑別の妨げになっているケースもあり、最近の受診者の多くは正常以上の知的能力を持つ人も少ないという。そのような傾向から、本来はADHDの症状であっても、疾患の発現ではなく単なる「特性」として済まされがちであることも、昨今のADHDをめぐる社会の実情であると岩波氏は述べた。「最も向いていない職業に就いてしまった」(勝間氏)「会社員時代の不適応、今の仕事ではすべてプラスに」(武田氏) 続いて行われたディスカッションでは、岩波氏を進行役に、NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)代表の広野 ゆい氏とNPO法人えじそんくらぶ代表の高山 恵子氏、前述の勝間氏と武田氏の5人が登壇し、ADHD当事者およびその特徴を自覚していることで日常的に困っていることや、その克服法などについて意見を交わした。 経済評論家としてメディアに頻繁に登場する勝間氏は、ADHDの症状の1つである「不注意」について強い自覚があり、日々のスケジュール管理や乗車券の管理などを自身だけでは一切行えないことを告白。19歳で公認会計士試験の2次試験に合格し、金融畑で輝かしいキャリアを積んだものの、本人曰く「ミスが許されない数字を扱うという、最も向いていない職業に就いてしまったという自覚があった」という。 一方、書道家として活躍する武田氏は、大学卒業後に通信会社の営業マンとして働いた後に書道家への転身を果たした異色の経歴。武田氏もまた、ADHDに特徴的な「衝動性」を強く自覚しており、営業マン時代はする事なす事に対し、徹底して叱られ否定される日々だったという。ところが、書道家としてクリエイティブの場に身を置いたことが大きな転機となり、「会社員時代の不適応が、同じ特性を持っていても、今の仕事ではすべてプラスに転化している」と語った。 両氏に共通しているのは、ADHD特有の「不注意」や「多動・衝動性」という特性を持ちながらも、彼らを強力にサポートしてくれる周囲の理解者の存在である。メディアで活躍する彼らには、公私共に支援者が多いため、ADHDに悩む一般の人と同様には考えられないだろう。しかし、支援者の協力や理解を得る前段にある「自身の特性を認め、自覚した」ことと、「困っていることを率直に周囲に打ち明け、理解を促す努力をした」という点については、大いに参考になりうるのではないだろうか。

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難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大

 抗精神病薬治療に起因するドパミン過感受性精神病(DSP)は、治療抵抗性統合失調症(TRS)と関連しているが、その治療法はまだ確立されていない。リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)によりドパミンD2受容体の安定的な占有の維持は、治療のための1つの戦略と考えられる。千葉大学の木村 大氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に対するRLAI補助療法の効果を検討した。Journal of psychopharmacology誌8月号(オンライン版2016年7月1日号)の報告。 RLAIは、経口抗精神病薬から部分的に切り替え、補助薬として用いた。RLAIを用いた治療抵抗性統合失調症患者108例を対象に、1年間のフォローアップを含む2年間の研究を行った。DSP歴を有するDSP群72例とDSP歴のない非DSP群36例について効果の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・両群ともに、フォローアップ期間中のBPRSスコアの有意な改善を示したが、非DSP群よりも、DSP群においてより大きな改善が認められた。・高用量(クロルプロマジン換算850mg超)では、両群ともに研究期間中の有意な変化は認められなかったが、DSP群のみで、遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系副作用の有意な改善が認められた。 著者らは「とくにDSP歴を有する難治性統合失調症患者に対し、RLAIへの部分的切り替えは効果的であることが示された」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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てんかん患者の喫煙率は

 てんかん患者における喫煙率に関するデータはあまり存在しない。スイス・ジュネーブ医科大学のOmar Torriani氏らは、フランス語圏のスイスに在住する成人てんかん患者を対象に調査を行った。Journal of neurology誌オンライン版2016年7月14日号の報告。 対象は、フランス語圏のスイスに在住する成人てんかん患者429例。過去6ヵ月間で少なくても1日1本のタバコの利用を現在喫煙者として定義した。てんかんタイプやタバコの消費量に関する質問が含まれたアンケートは、信頼性の高い診断を確実にするため、神経内科医付き添いのもとプロスペクティブに調査した。調査データは、毎年異なる言語地域におけるスイス人のタバコ利用習慣に関する詳細な情報を調査した「Tabakmonitoring」のデータ収集と比較した。 主な結果は以下のとおり。・てんかん患者の現在喫煙率は、32.1%であった(女性:28.8%、男性:35%)。また、同期間におけるフランス語圏スイス人の一般的な喫煙率は19.0%であった(OR:2.0、CI:1.6~2.5、p<0.001)。・特発性(素因性)全般てんかん患者の喫煙率は44.3%で最も高かった(その他のてんかん患者:27.8%、p=0.03)。・てんかん患者の喫煙率は、有意に高かった。・てんかんとニコチン中毒に共通する遺伝的感受性、てんかんに関連付けられるストレスやうつ病を介する間接的な併存疾患、てんかんに対するニコチンの有益な効果などの因果関係は不明なままであり、さらなる研究が求められる。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 成人てんかんに対するガイドライン準拠状況は てんかん患者の性的問題の現状

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統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大

 統合失調症の病態生理には、カテコールアミン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、サイトカインが関与するといわれている。産業医科大学の堀 輝氏らは、非定型抗精神病薬単独療法で治療された統合失調症患者における認知機能と血清BDNFレベル、血清カテコールアミン代謝物、サイトカインとの関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月13日号の報告。 統合失調症患者146例と年齢、性別をマッチさせた健常対照群の抹消生物学的マーカーおよび神経認知テストを調査した。 主な結果は以下のとおり。・血清BDNFレベルは、言語記憶、注意、処理速度のスコアだけでなく、陰性症状とも正の相関が認められた。・血漿ホモバニリン酸(HVA)レベルと運動機能に負の相関、血漿3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)レベルと注意、処理速度に正の相関が認められた。・インターロイキン6(IL-6)またはTNF-αと認知機能との間に有意な相関は認められなかった。・HVA、MHPG、サイトカインの血漿レベルと臨床症状との間に有意な相関は認められなかった。 統合失調症患者において、言語記憶・注意の減退と血清BDNFレベル、また運動機能と血漿HVAレベル、また注意と血漿MHPGレベルについて、それぞれ相関が認められた。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症治療、ドパミン調節の概念が変わる 統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

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統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか

 長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)または経口抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者における退院後の再入院率について、米国・Precision Health EconomicsのJoanna P MacEwan氏らは検討を行った。Psychiatric services誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 重度な精神疾患により初回入院(2007年10月~2012年9月)し、第1世代または第2世代抗精神病薬を処方された統合失調症患者(18~64歳)の医療費請求を、Truven Health MarketScan Multi-State Medicaid Databaseのデータを基に分析した。統合失調症単独診断患者1,450例、および双極性障害やうつ病を併せて診断された患者を含むすべての統合失調症患者1万5,556例を分析した。初回入院30日後、60日後における全原因による再入院率は、多変量ロジスティック回帰と傾向スコアマッチング(PSM)法を用い評価した。PSMモデルは、LAI群と経口抗精神病薬群で、年齢、LAIまたは短時間作用型注射剤の使用、併存疾患でマッチした。 主な結果は以下のとおり。・LAI群では、経口抗精神病薬群と比較し、統合失調症単独診断患者(調整オッズ比:0.60、95%CI:0.41~0.90)および全患者(調整オッズ比:0.70、95%CI:0.52~0.95)において、60日後の再入院率が有意に低かった。・全患者におけるLAI群の再入院率の絶対差は、経口抗精神病薬群と比較し、60日後で5.0%有意に低かった。関連医療ニュース 統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響 精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

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双極性障害で高率にみられる概日リズム睡眠障害:東医大

 最近の研究によると、双極性障害(BD)と概日リズム睡眠障害との間に病態生理学的関連が認められることが示唆されている。しかし、BD患者における概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)の有病率を明らかにした研究はなかった。東京医科大学の高江洲 義和氏らは、BD患者におけるCRSWDの有病率と関連する要因を調査した。PLOS ONE誌2016年7月21日号の報告。 対象は、寛解期BD外来患者104例。対象者は、人口統計学的変数、BDの臨床経過、精神疾患と自殺の家族歴に関するアンケートに回答した。BDの重症度は、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いて評価した。CRSWDは、睡眠ログと睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)を用い、臨床面接により診断した。 主な結果は以下のとおり。・CRSWD基準を満たした患者は、35例(32.4%)であった。・調査時点とBD発症時点の年齢は、CRSWD群において非CRSWD群よりも低かった。・精神疾患と自殺の家族歴を有する割合は、CRSWD群において非CRSWD群よりも高かった。・多重ロジスティック回帰分析では、CRSWDはBDの若年発症、自殺の家族歴との関連が認められた。・CRSWDの有病率は、BD患者ではきわめて高い可能性がある。関連医療ニュース 双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている 双極性障害、ベンゾジアゼピン系薬の使用実態は 双極性障害の簡便な症状把握のために

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高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

 高プロラクチン血症は、抗精神病薬の悪影響として重要な問題でありながら、しばしば見逃されている。いくつかの研究によると、アリピプラゾールへの切り替えや追加により、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症が改善することが報告されている。しかし、これら2つの治療法の有効性、安全性を直接比較した報告はなかった。韓国・NHIC Ilsan HospitalのHui Woo Yoon氏らは、高プロラクチン血症に対するアリピプラゾールの切り替えと追加の効果について比較検討を行った。Clinical neuropharmacology誌オンライン版2016年7月19日号の報告。 対象は、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症を有する患者52例。軽度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL未満)を有する患者にアリピプラゾール投与を行った。重度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL超)を有する患者は、アリピプラゾール追加群(前治療薬にアリピプラゾールを追加)とアリピプラゾール切り替え群(前治療薬からアリピプラゾールへ切り替え)に無作為に割り付けられた。血清プロラクチン値、月経障害、性機能障害、精神病理学、QOLを、0、1、2、4、6、8週目に調査した。 主な結果は以下のとおり。・両群ともに、有意な血清プロラクチン値や月経障害の低下および性機能障害の改善が認められた。・重度の高プロラクチン血症を有する患者において、切り替え群の高プロラクチン血症患者数、月経障害患者数は、追加群と比較し、8週目で有意に低かった。 著者らは「抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症や月経障害、性機能障害を含む高プロラクチン血症に関連する有害事象に対し、アリピプラゾールへの切り替え、追加のどちらでも有効であった。さらに、アリピプラゾールへの切り替えは、追加よりも、統合失調症患者の高プロラクチン血症や関連する有害事象の改善に有効であることが示唆された」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 統合失調症患者、そもそもプロラクチン値が高い

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てんかん患者の運動、その利点と障害とは

 てんかん患者の運動に関する利点と障害について、定量的手段を用いた研究は行われている。しかし、定性的調査を用いての個人的経験の検討は不十分である。英国・ローハンプトン大学のSarah S Collard氏らは、経時的にてんかん患者の運動についてのナラティブを提示し、てんかん患者の運動に対する心理社会的影響をさらに理解するための報告を行った。Epilepsy & behavior誌2016年8月号の報告。 3~4ヵ月に1回、4例(年齢:23~38歳)へのインタビューが1年間実施された。一様ではない発作型とコントロールより、合計16回のインタビューを行った。運動経験の分析には、ナラティブ分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・運動は心理的および身体的ウェルビーイングに良好な効果をもたらすことが示唆された。しかし、医学的アドバイスや再発性発作の結果としての運動による予防は、社会的孤立、不安、自信の欠如、欲求不満、怒りといった負の効果をもたらした。・負の影響を軽減し、運動のルーチン化を維持するためには、運動強度レベルの減少や異なる身体的活動への参加を行う必要がある。・運動生活への順応や感情の周期的な変動に対し、時間が重要な因子であることが示唆された。 著者らは「これらの知見は、てんかん患者の運動に対する心理社会学的な利点や障害、コントロール不能な発作に対処する際の注意、運動ルーチン化に及ぼす影響を理解するうえで重要である。今後の研究において、てんかん患者の運動に対する障害を克服し、より多くのてんかん患者が運動の利点を享受することが望まれる」としている。関連医療ニュース てんかん患者の性的問題の現状 日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学 医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか

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うつ病女性に対する避妊法に関するレビュー

 うつ病や双極性障害の女性は、望まない妊娠をするリスクが高い。米国疾病対策予防センターのH Pamela Pagano氏らは、うつ病や双極性障害女性に対するホルモン避妊法の安全性を検討した。Contraception誌オンライン版2016年6月27日号の報告。 2016年1月までに発表された論文を対象に、うつ病や双極性障害を有する女性のうち臨床的診断またはスクリーニングツールによる検証で閾値レベル以上であった女性における、任意のホルモン避妊法を使用した際の安全性に関する論文を検索した。症状変化、入院、自殺、薬物療法の変更(増量、減量、薬剤変更)をアウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。・2,376件中、6件が選択基準を満たした。・臨床的にうつ病や双極性障害と診断された女性に対する研究は以下のとおり。 1)経口避妊薬(OCs)は、双極性障害女性の月経周期全体にわたって気分を変動させなかった。一方、OCsを使用しなかった女性では月経周期全体にわたって気分が有意に変動した。 2)デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(depot medroxyprogesterone acetate:DMPA)、子宮内避妊用具(IUDs)、不妊手術を用いた女性における精神科入院頻度に有意な差は認められなかった。 3)OCsの使用有無にかかわらず、fluoxetine、プラセボのどちらの治療群においても、うつ病女性のうつ病尺度のスコア増加は認められなかった。・スクリーニングツールでの測定によりうつ病の閾値を満たした女性における結果は以下のとおり。 1)OCsを併用した思春期女性は、プラセボ群と比較し、3ヵ月後のうつ病スコアが有意に改善した。 2)OC使用者は、非使用者と比較し、フォローアップ時にうつでなかった割合は同程度であった。 3)OC併用者では、IUD使用者と比較して、11ヵ月にわたりうつ頻度が少ないことが示唆された。 著者らは「6件の限られた研究から得られた結果によると、OC、レボノルゲストレル放出IUD、DMPAを使用したうつ病または双極性障害の女性では、ホルモン避妊法を使用しなかった女性と比較して、症状の臨床経過の悪化との関連はみられなかった」としている。関連医療ニュース 妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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多面的な心血管リスク対策で認知症を防げるか?/Lancet

 無作為に抽出した高齢者において、看護師主導による心血管リスク因子に焦点を絞った多面的な介入は、認知症発症率の減少には至らなかった。オランダ・Academic Medical CenterのEric P Moll van Charante氏らが、The Prevention of Dementia by Intensive Vascular care trial(preDIVA試験)の結果、報告した。先行研究では、心血管リスク因子の改善が認知症を予防する可能性が示唆されていた。今回の研究で介入の効果を確認できなかった理由について著者は、「ベースライン時、すでに軽度の心血管リスクを有し、プライマリケアで高い水準のリスク管理が行われていたことによる」と考察したうえで、未治療の高血圧患者においては介入により臨床的に意味のある効果が得られていることから、「今後は選択された集団で介入の有効性を評価すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月26日号掲載の報告。高齢者約3,500例を6年追跡し、多面的介入と通常ケアの認知症発症率等を比較 preDIVA試験は、オランダにて、26の医療センタービルにある116の一般診療所(家庭医)を拠点に実施された、多施設共同非盲検クラスター無作為化比較対照試験であった。 研究グループは、研究参加者として70~78歳の高齢者を募集し、2006年6月7日~2009年3月12日に、適格基準を満たし研究への同意が得られた3,526例を、看護師主導の多面的な心血管系への介入を6年間行う群(介入群)と通常ケアを行う群(対照群)の2群に診療所単位で無作為化した(介入群:63施設1,890例、対照群:53施設1,636例)。 介入群には、6年間にわたって4ヵ月に1回計18回一般診療所を受診してもらい、看護師が心血管リスク因子(喫煙習慣、食事、運動、体重、血圧)の評価と、動機づけ面接法による生活習慣の指導や支援を行った。 主要評価項目は、6年時の累積認知症発症率および障害スコア(Academic Medical Center Linear Disability Score:ALDS)。副次的評価項目は、心血管疾患の発症率および死亡率などであった。評価者盲検とし、アウトカムデータを入手し得たすべての参加者を解析に組み込んだ。認知症発症率や障害スコアに両群間で有意差なし 主要評価項目の解析対象は3,454例(98%)で、平均追跡期間は6.7年(2万1,341人年)であった。介入群では1,853例中121例(7%)、対照群では1,601例中112例(7%)が認知症を発症した(ハザード比[HR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.71~1.19、p=0.54)。追跡期間中に測定された平均ALDSスコアは、両群間で差は認められなかった(介入群85.7[SD 6.8]、対照群85.7[7.1]、補正平均差:-0.02、95%CI:-0.38~0.42、p=0.93)。 副次的評価項目については、死亡率は対照群16%(269/1,634例)に対し介入群は16%(309/1,885例)であり、両群間に差はなかった(HR:0.98、95%CI:0.80~1.18、p=0.81)。心血管疾患発症率も同様にそれぞれ17%(228/1,307例)および19%(273/1,469例)で差は認められなかった(HR:1.06、95%CI:0.86~1.31、p=0.57)。 サブグループ解析の結果、アドヒアランスが良好であった未治療の高血圧症を有する高齢者の場合、認知症発症率は介入群4%(22/512例)に対し対照群は7%(35/471例)であった(HR:0.54、95% CI:0.32~0.92、p=0.02)。

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統合失調症の維持治療では剤形変更を検討すべきか

 抗精神病薬による維持療法について、長時間作用型注射剤(LAI)と経口剤(AMT)における統合失調症患者の主観的ウェルビーイング、薬物に対する姿勢、QOLの違いを実臨床での証拠を提示するために、イタリア・フィレンツェ大学のF Pietrini氏らは検証を行った。European psychiatry誌オンライン版2016年7月18日号の報告。 対象は、オランザピンまたはパリペリドンを処方された統合失調症外来患者20例。維持療法での経口剤からLAIへの切り替え患者(LAI-AMT群)の選択は、切り替え前に行った。対照群は、主要な社会人口学的、臨床的および治療変数がマッチした、経口AMT治療統合失調症患者20例(経口AMT群)とした。参加者の治療アウトカムは、客観的(PANSS、YMRS、MADRS)および主観的(SWN-K、DAI-10、SF-36)な観点で、ベースライン(T0)と6ヵ月後(T1)に評価した。 主な結果は以下のとおり。・LAI-AMT群は、経口AMT群と比較しPANSS総合精神病理尺度、DAI-10、社会的統合を除くSWN-Kの項目において、有意に高い改善率を示した。・LAI-AMT群では、6ヵ月後の健康関連QOLと日常生活のほぼすべての機能について良好であった。・対照的に経口AMT群では、感情と社会的機能に関する健康関連QOLの悪化が報告された。 結果を踏まえ、著者らは「主観的経験の観点から、統合失調症維持治療におけるLAIの処方は、経口剤を上回る利点を示している」としている。関連医療ニュース LAIを適切に使用するための5つのポイント 錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

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うつ病への認知行動療法 vs.行動活性化療法/Lancet

 成人うつ病患者に対し、認知行動療法(cognitive behavioural therapy:CBT)よりも簡便な行動活性化療法(behavioural activation:BA)で、CBTに劣らない効果が得られることが、英国・エクセター大学のDavid A Richards氏らによる無作為化対照非劣性試験の結果、明らかにされた。CBTは最もエビデンスに優れた治療だが複雑でコストを要する。今回の結果を踏まえて著者は、「うつ病の効果的な治療は、コストを要せずとも、また高度な訓練を受けた専門家でなくても実施可能なようだ」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月22日号掲載の報告。行動活性化療法と認知行動療法を12ヵ月時点のPHQ-9によるうつ病重症度で比較 研究グループは、英国のデヴォン、ダラム、リーズ各都市のプライマリケアおよび精神科治療サービス部門でDSM-IVの大うつ病性障害の基準を満たした18歳以上成人を対象に試験を行った。精神科治療を受けている人、アルコール/薬物依存症の人、直近2ヵ月で自殺企図/未遂を図った人、認知障害、双極性障害、精神病/精神病性障害の人は除外した。 被験者を、コンピュータを用いて無作為に1対1の割合で2群に割り付け、一方には精神療法の専門的訓練を受けていない下級の精神保健従事者(junior mental health workers)による行動活性化療法を、もう一方には心理セラピスト(psychological therapists)による認知行動療法を行った。なお割り付け時に、Patient Health Questionnaire 9(PHQ-9)スコアで評価したうつ病重症度別(スコア19未満群と19以上群)の層別化も行った。無作為化は研究者にはマスキングされ、治療は非盲検下で行われたが、アウトカム評価者には知らされなかった。 主要アウトカムは、12ヵ月時点のPHQ-9で評価したうつ症状だった。解析は、無作為化を受け完全データが揃っていたすべての人を対象に(修正ITT[mITT])、また、割り付けを受け完全データが揃っていた8セッション以上治療を受けた人(per protocol[PP])について行った。安全性はmITT集団で評価した。非劣性マージンはPHQ-9スコアで1.9ポイントとした。行動活性化療法の認知行動療法に対する非劣性が示された 2012年9月26日~2014年4月3日にかけて、BA群に221例(50%)、CBT群に219例(50%)を無作為に割り付けた。mITT集団(主要アウトカム)評価が可能だったのは、BA群175例(79%)に対してCBT群189例(86%)だった。PP集団はそれぞれ135例(61%)に対して151例(69%)だった。 結果、行動活性化療法の認知行動療法に対する非劣性が示された。mITT解析でのPHQ-9スコアはCBT群8.4(SD 7.5)ポイント、BA群8.4(SD 7.0)ポイント、平均差0.1ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.3~1.5、p=0.89)だった。PP解析では、CBT群7.9(SD 7.3)ポイント、BA群7.8(SD 6.5)ポイント、平均差0.0ポイント(95%CI:-1.5~1.6、p=0.99)だった。 試験に関連しない死亡が2例(1%)(多剤毒性によるBA群1例[1%]、がんによるCBT群1例[1%])、うつ病関連の治療に関連していない重篤有害事象15件(BA群3件、CBT群12件)が報告された。15件は、BA群の被験者3例(2%)(過剰摂取2例[1%]、自傷行為1例[1%])、およびCBT群8例(4%)(過剰摂取7例[4%]、自傷行為1例[1%])で発生したものだった。

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不眠症になりやすい食事の傾向

 不眠症は、いくつかの健康上有害なアウトカムと関連している。これは、小規模な臨床研究により、不十分な栄養状態が関連していることが示唆されているが、住民ベースコホート研究による大規模な検討は行われていない。米国・ペンシルベニア州立大学のFeon W Cheng氏らは、不眠症の疑い例や不眠症状例のエネルギー摂取量と2年後の食事指数(AHEI)を用いて評価した食事の質について調査した。その結果、不眠症疑い例では、総エネルギー、トランス脂肪酸、ナトリウムの高摂取および野菜の低摂取との関連が認められたことを報告した。The American journal of clinical nutrition誌2016年8月号の報告。 対象は、2004年に不眠症状に関する情報が報告された医療従事者フォローアップ研究に参加した、がん、心血管疾患、糖尿病でない米国男性1万5,273人(年齢:58~93歳)。食物摂取は、2002年と2006年に食品摂取頻度調査を用いて評価した。対象者と2004年に不眠症疑いなし例について、不眠症状に関連する共変量を調整しながら、2006年の総エネルギー摂取量の調整後平均差、AHEI成分スコア、95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・主要な慢性疾患やその他の潜在的交絡因子により制御された2002年の食事摂取後において、不眠症疑いの男性は、平均より35.8kcal/日消費が高く(95%CI:17.4~54.1kcal/日)、3つのAHEI要素(トランス脂肪酸、野菜、ナトリウム)で低スコアを示した。これは、トランス脂肪酸とナトリウムの消費量が多く、野菜の摂取量が少ないことを示している(すべてにおいてp≦0.01)。・個々の不眠症状については、ノンレム睡眠と中途覚醒は、高いエネルギー摂取と関連していた(p-trend≦0.007)。・入眠障害を有する男性においても、同様な傾向が確認された(p-trend=0.007)。・入眠の困難さと2年後のAHEI低スコアとの間に有意な関連が認められた(p-trend=0.004)。関連医療ニュース 不眠の薬物療法を減らすには 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

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うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略

 米国・マウントサイナイ医科大学のCharles H Kellner氏らは、うつ病高齢者に対する寛解延長を評価したthe Prolonging Remission in Depressed Elderly(PRIDE)研究のフェーズ2において、フェーズ1でECT成功後のうつ病高齢患者を対象として継続ECTと薬物療法併用の有効性と忍容性を、薬物療法単独と比較し、評価した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 PRIDEは、2相マルチサイト研究である。フェーズ1は、右片側性刺激でのultrabrief Pulse ECTとベンラファキシン増強の急速コースであった。フェーズ2では、薬物治療単独群(ベンラファキシンとリチウムを24週間)とECTに薬物治療併用群(4連続ECTを1ヵ月以上、必要に応じて追加、アルゴリズムベースの長期的ECT [STABLE] アルゴリズム、ベンラファキシンとリチウムを継続)の2つの無作為化治療群を比較した。intention-to-treat集団は、フェーズ1における寛解例120例を含んでいた。有効性の主要評価項目は、24項目ハミルトンうつ病評価尺度スコア(HAM-D)とし、副次的有効性評価は、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)とした。ほかで報告された神経認知パフォーマンスにより測定された忍容性は、MMSEのような包括的認知機能尺度である大規模試験バッテリーを用いて評価した。有効性や包括的認知機能アウトカムをECTと薬物療法併用群と薬物治療単独群を比較するため、長期混合効果反復測定モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・24週時点で、ECTと薬物療法併用群は、薬物療法単独群よりも統計学的に有意に低いHAM-Dスコアを示した。・試験終了時点での調整平均HAM-Dスコアの差は4.2(95%CI:1.6~6.9)であった。・ECTと薬物療法併用群では、薬物療法単独と比較し、CGI-Sで「まったく病気ではない」と評価された患者が有意に多かった。・MMSEスコアは、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった。・追加ECT後の寛解は、多くの患者の気分改善を維持するうえで有益であった。関連医療ニュース うつ病へのECT、ケタミン併用の検討が進行 精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能か 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

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向精神薬継続のカギは「薬への不安と期待のバランス整調」にあり

 精神疾患における薬物療法で課題となるのが、抗うつ薬のアドヒアランス低下にどう対処するかであり、医療者が少なからず頭を悩ませるところである。先月、日本精神神経学会が都内で開いたプレスセミナーにおいて、向精神薬の現状と課題をテーマに専門医3氏が講演を行った。本稿では、菊地 俊暁氏(杏林大学神経科学教室)による講演「薬物療法にまつわる患者の気持ち~患者が抱く期待と不安~」を取り上げる。期待と不安に揺れる患者の心理 精神疾患に対する薬物療法は、目に見える形で効果を実感しづらい。だからこそ患者は薬に対する期待と不安がない交ぜになるのだ、と菊地氏は語る。症状が良くなったことで服薬を中止するのならばやむを得ないが、実際にはそうではない理由で中止するケースが多いのだという。2009年の国内研究によると、初診のうつ病患者367人のアドヒアランスを追跡したところ、抗うつ薬を服用して6ヵ月の時点で、約5~6割の患者は、治療途中にもかかわらず服薬を中止していることがわかった。 なぜ服薬をやめてしまうのか。菊地氏はフィンランドの研究データ(2005年)を引いて説明する。それによると、抗うつ薬のアドヒアランス低下の理由として最も多かったのが「薬物依存への恐怖心」(43%)であり、次いで「副作用への恐怖心」(41%)が多くを占めた。アドヒアランス低下の3因子 さらに別の研究データによると、アドヒアランス低下の理由には、大きく3つの因子が考えられるという。すなわち、(1)病気の否定(病識の欠如、疾病の否認、自責・自己否定)、(2)治療継続の負担(服薬習慣やモチベーション維持、服薬スケジュールの順守、副作用や治療コスト、周囲の援助の欠如など)、(3)治療への不安(依存や副作用・治療効果への不安、家族の否定的な捉え方、不調な患者-医師関係)、である。なかでも、治療への不安の背景には、服薬をめぐる医師と患者のコミュニケーションのずれがある。医師と患者のコミュニケーションは、アドヒアランスを大きく左右するカギとなっているが、「医師が思うほど患者には説明が十分に伝わっていない」という認識のずれは、アドヒアランス低下の見過ごせない要因であるという。 JAMA 誌2002年9月号に掲載された論文によると、うつ病患者538人とその担当医師に対する調査で、72%の担当医師が「服薬が少なくとも6ヵ月以上は必要であることをその都度説明している」と報告しているのに対し、「医師からそのように説明を受けた」と認識している患者は34%(137人)にとどまり、56%(228人)については「何も説明を受けていない」と答えている。この認識のずれが、適切なコミュニケーションにより是正されれば、患者の不安軽減につながり、ひいては治療継続につながるため非常に重要なポイントである。プラセボにも“一定の効果”あり 一方で、薬に対する患者の期待が大きいことも事実である。菊地氏は、過去の臨床試験からみる薬の治療効果について、興味深いデータを紹介した。それによると、抗うつ薬服用群とプラセボ服用群で比較すると、治療開始から40日経過後、抗うつ薬服用群では約8割で治療効果がみられ、プラセボ服用群においても約6割で好転反応がみられたという。この結果からわかることは、うつ病治療の臨床では、治療において薬の効果とそれ以外の効果が少なからずあるということである。また、このプラセボ効果は、薬物療法のみならず精神療法でも期待できるのだという。 菊地氏は、「医療者は、患者が抱える不安と期待のバランスをいかに整えていくかが非常に重要。適切なコミュニケーションにより不安を和らげ、期待を適切な状態に保つことが、アドヒアランスの向上および治療継続のカギになる」と述べた。

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アルツハイマー病の味覚障害は老化によるものか:滋賀医大

 アルツハイマー型認知症(AD)は、病理学的に脳内の大規模なニューロン損失により特徴づけられ、味覚野が影響を受けると考えられる。しかし、AD患者における味覚機能に関する報告は少なく、この研究結果は矛盾していることから、滋賀医科大学の小河 孝夫氏らが、プロスペクティブ研究により検討を行った。Auris, nasus, larynx誌オンライン版2016年7月11日号の報告。 本プロスペクティブ研究では、連続した軽度~中等度のAD患者22例(平均年齢:84.0歳)、対照群として認知症のない高齢ボランティア49例(平均年齢:71.0歳)が登録された。対照群は年齢に応じて、若年者群28例(平均年齢:68.5歳)と高齢者群21例(平均年齢:83.0歳)の2群に分類された。味覚機能は、ろ紙ディスク法(FPD)および電気味覚検査(EGM)を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・AD患者では、年齢をマッチさせた対照群と比較して、FPDによって測定された味覚機能の有意な低下が認められた。このような差異は、若年者群と高齢者群との間では認められなかった。・一方、EGMの閾値に関しては、AD患者と年齢をマッチさせた対照群との間に差はなかった。 著者らは「AD患者においては老化とは別に、FPD法により味覚機能の低下が認められたが、EGMの閾値に関しては差がなかった。これらの結果から、AD患者では周辺味覚系における味覚伝達障害ではなく、脳における味覚処理の減退が示唆される」としている。関連医療ニュース 認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 家庭の味が認知症ケアには必要 日本食は認知症予防によい:東北大

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皮下埋め込み型ブプレノルフィン、舌下製剤に非劣性/JAMA

 オピオイド依存症維持治療薬としてのブプレノルフィン(商品名:レペタン)について、同薬の皮下埋め込み型製剤(buprenorphine implants)は従来の舌下製剤との比較において、レスポンダー維持の尤度は劣らなかったことが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のRichard N. Rosenthal氏らによる無作為化試験の結果、示された。米国ではオピオイド依存症が社会的問題となっている。それに対して心理社会的介入やプラセボ投与よりも、薬物療法によって依存症を安定的に維持するほうが、不適切なオピオイド使用や死亡などの低下に結び付くことが示され、現在3種の薬物の使用が承認されている。ブプレノルフィンはその1つだが、アドヒアランス改善などのため治療薬としての革新が求められていた。JAMA誌2016年7月19日号掲載の報告。舌下製剤投与に対する非劣性を検討 研究グループは、オピオイド依存症維持治療薬としてのブプレノルフィンについて、オピオイドの節制使用を保つ患者において、6ヵ月間の皮下埋め込み型製剤使用が毎日服用の舌下製剤に比べて非劣性であるかを調べた。 2014年6月26日~2015年5月18日に米国内21地点で、外来患者を対象に実薬対照二重盲検ダブルダミー法による無作為化試験を行った。6ヵ月以上にわたり毎日服用の舌下ブプレノルフィン処方を受けており、同薬8mg/日以下の服用で90日間以上オピオイドの安定的使用が維持され、担当医によって臨床的に安定していることが確認されている患者を対象とした。 被験者を、舌下ブプレノルフィン+プラセボ皮下埋め込み型製剤4個を埋設する群(舌下投与群)、または舌下ブプレノルフィン+塩酸ブプレノルフィン皮下埋め込み型製剤80mgを4個埋設する群(24週間の有効性を期待して、皮下埋め込み群)に無作為に割り付け検討した。 主要エンドポイントは、両群のレスポンダーの割合の違いで、オピオイド尿検査(月1回および無作為に4回)結果陰性が6ヵ月のうち4ヵ月以上であること、および自己報告で評価した。非劣性の確認は、95%信頼区間(CI)の下限値が-0.20より大きい場合(p<0.025)とした。 副次エンドポイントは、オピオイド尿検査の陰性、節制使用の累積割合、およびオピオイドの不適切使用の初回発生までの期間などであった。安全性は、有害事象報告で評価した。レスポンダーの両群差8.8%、皮下埋め込み群の非劣性を確認 被験者177例(平均年齢39歳、女性40.9%)のうち、87例が皮下埋め込み群に、90例が舌下投与群に無作為化された。試験を完了したのは165例(93.2%、皮下埋め込み群81例、舌下投与群84例)だった。 主要解析には、皮下埋め込み群84例、舌下投与群89例が組み込まれた。レスポンダーは、皮下埋め込み群は81/84例(96.4%)、舌下投与群は78/89例(87.6%)で、両群差は8.8%(片側検定97.5%CI:0.009~∞、非劣性のp<0.001)であった。 6ヵ月にわたってオピオイドの節制使用が維持されたのは、皮下埋め込み群72/84例(85.7%)、舌下投与群64/89例(71.9%)であった(ハザード比:13.8、95%CI:0.018~0.258、p=0.03)。 埋め込み手技に非関連および関連した有害事象の報告は、皮下埋め込み群でそれぞれ48.3%、23%、舌下投与群で52.8%、13.5%であった。 なお結果について著者は、「対照群でも予想以上にレスポンダーが高率であった」と指摘し、より幅広い集団による他の設定で有効性を評価するさらなる試験が必要だと述べている。

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第32回 精神科領域の巡回看視義務の範囲は?

■今回のテーマのポイント1.精神科疾患で1番訴訟が多いのは統合失調症、次いでうつ病であり、ともに約1/3を占めている2.統合失調症に関する訴訟では、巡回・看視義務が主として争われている3.統合失調に関する訴訟は、器質的疾患に関する訴訟と比し、原告勝訴率が低いことが特徴である■事件のサマリ原告患者Xの遺族被告Y病院争点不当拘束、診療の不措置、注意義務違反などによる死亡の損害賠償責任結果原告敗訴事件の概要36歳女性(X)。平成7年5月頃より、幻聴、独語、空笑などが出現したため、Y病院に入院し、以後も、情動不安定で興奮状態になることがあり、平成13年までの間に計6回入院して治療を受けていました。平成15年10月14日、被告病院を受診した際、急に暴れだして錯乱状態に陥ったことから、医療保護入院となり、保護室において身体拘束を実施されて治療を受けることとなりました。Xは点滴加療を受けていたものの、状態は不安定で、興奮も見られたことから、Xに対する身体拘束は継続されていました。身体拘束中、Xに対しては、看護師による約30分おきの巡回が行われていました。同月26日午前1時30分ころに行われた巡回時には、特に異常は認められなかったのですが、午前1時52分ころに看護師が巡回した際、Xは心肺停止の状態で発見されました。直ちに蘇生措置がとられ、救急病院への転送がなされましたが、結局、1度も心拍が再開することなく、午前2時55分に死亡が確認されました。これに対しXの遺族は、不必要な身体拘束をしたこと、肺動脈血栓塞栓症に対する予防措置をとるべきであったこと、および、巡回観察義務違反などを理由にY病院に対し、8,425万円の損害賠償請求をしました。事件の判決「約30分おきに臨床的観察等を実施すべき義務の違反」について原告らは、被告病院の担当医師又は担当看護師において、Xに対し、約30分おきに臨床的観察等をすべき義務があったのに、これを怠り、25日午後8時ころのA医師による回診以降、臨床的観察を実施しなかった旨主張する。しかし、上記認定事実によれば、本件において、上記回診以降も約30分おきに臨床的観察は実施され、26日の午前0時30分ころ、午前1時ころ及び午前1時30分ころの観察では異常は発見されず、午前1時52分ころの観察で異常が発見されたと認められるから、約30分おきの臨床的観察が法的に義務づけられるとしても、被告病院の担当の医師又は看護師においてその義務に違反したとはいえない。なお、Xは呼吸停止状態で発見されたこと、別紙知見によれば、呼吸停止後に人工呼吸を開始した時間が2分後だと約90パーセントの救命率があるが、3分後だと75パーセント、5分後だと25パーセント、8分後にはほとんどゼロとなるとされていることを踏まえると、本件において30分おきの観察によってXの異常を救命可能な段階で発見できたと認めるに足りる証拠はないというべきであり、そうすると、30分おきの観察とXの救命との間に相当因果関係を認めることはできない。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年8月31日)ポイント解説■精神科疾患の訴訟の現状今回は精神科疾患です。精神科疾患で最も訴訟が多いのは、統合失調症、次いでうつ病となっており、2疾患ともに約1/3を占めています。また、その後は境界性人格障害、アルコール依存症などと続いています(表1)。画像を拡大する精神科疾患に関する訴訟の特徴として、患者が疾患により希死念慮や自殺企図を抱き、その結果、入院・外来治療中に自殺したといったケースが多く見られること、そして、平均年齢が若いことから請求額および認容額が高額となることが挙げられます。その一方で、被害妄想や好訴妄想といった疾患自身の症状から訴訟に到ることがあるため、代理人を介さない本人訴訟の割合が高く、その結果、原告勝訴率が低くなっています(表2)。画像を拡大する■統合失調症に関する訴訟統合失調症に関する訴訟において最も多く争点となるのは、巡回・看視義務であり、次いで、薬剤の説明義務、救命措置、救急搬送と続いています(表3)。統合失調症に関する訴訟では、その多くで入院患者が自殺ないし突然死したことを受けて生じているため、これらの争点が多くなっているのです。画像を拡大するしかし、巡回監視義務違反が争われた11事例中、義務違反が認められた事例は3件ありますが、平成14年以降は、1度も巡回看視義務違反は認められていません。それは、そもそも本判決において示されているように、いくら定期的に巡回看視を行ったとしても、それによって自殺や突然死を回避することができないためです。巡回看視義務が争われる類型の1つに「転倒、転落」がありますが、転倒、転落に関する判決においても、「過失があると認められるためには、過失として主張される行為を怠らねば結果を回避することができた可能性(結果回避可能性)が認められることが必要であるところ、転倒はその性質上突発的に発生するものであり、転倒のおそれのある者に常時付き添う以外にこれを防ぐことはできないことからすると、被控訴人の動静を把握できないという上記職員らの行為がなければ本件事故を回避できたものと認めることはできない。(中略)…よって、職員らに、被控訴人の動静の把握を怠ったことを内容とする過失があったということはできない」(福岡高判平成24年12月18日)と本判決と同様の論理構成によって棄却する判断がなされています。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年8月31日福岡高判平成24年12月18日:この判例については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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成人てんかんに対するガイドライン準拠状況は

 臨床実践ガイドライン「first epileptic seizure and epilepsy in adulthood」が、2008年に発表された。ドイツ・Gesundheitsforen LeipzigのJulia Ertl氏らは、2008~14年に新規に診断されたてんかん患者における、本ガイドラインの実施状況を検討した。Seizure誌オンライン版2016年7月11日号の報告。 本レトロスペクティブ研究は、ドイツの公的健康保険より得た被保険者410万人のデータを用い、集団ベース分析を行った。成人における有病症例や発症例は、階層的診断選択アルゴリズムを使用し、ICD-10コードに基づき同定された。新規に診断されたてんかん患者における最初の抗てんかん薬は、臨床実践ガイドラインに照らして検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・成人の年間粗有病率は、0.946~1.090%、発症率は10万人当たり156人以上であった。・焦点てんかん症候群患者において、ガイドラインに準拠した単剤療法の有意な増加がみられた。一方、特発性全般てんかん患者では、ガイドラインに準拠しない単剤療法のシェアが増加していた。・新規に治療を受けたすべての患者におけるレベチラセタム処方は、2008年の19.6%から2014年の58.9%へと増加しており、これが両方の変化に影響を及ぼしている可能性がある。・全体として、酵素誘導性抗痙攣薬の処方は、2008年20.7%、2014年4.3%と有意に減少した(p<0.001)。・非酵素誘導性抗てんかん薬の処方傾向は、2008年に比べ2014年で5.82上昇した(95%CI:4.62~7.33)。 著者らは「焦点てんかんに対する初期単独療法は、現在の臨床実践ガイドラインに沿っており、主にレベチラセタムの処方が適用されている。今後、ガイドラインに沿った治療を受けた患者が、そうでない患者に比べて良好なアウトカムが得られるかどうかについて評価がなされるべきである」としている。関連医療ニュース てんかん患者の性的問題の現状 難治性てんかん重積状態への有用な対処法 てんかん患者の携帯電話使用、発作への影響は

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