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睡眠不足だと認知症になりやすいのか

 米国・ミネソタ大学のPamela L. Lutsey氏らは、中年後期の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)や短時間、長時間睡眠が認知症リスクと関連しているかを、15年以上のフォローアップ期間で検討した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年7月21日号の報告。 Atherosclerosis Risk in Communities研究に参加した1,667例を対象に、在宅終夜睡眠ポリグラフィー検査(1996~98年)を実施し、認知症発症のフォローアップを行った。認知症は、入院診断コード(1996~2012年)および包括的な神経認知検査(2011~13年)により定義した。 主な結果は以下のとおり。・OSAおよび睡眠時間は、認知症発症のリスクとの関連が認められなかった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、重度のOSA(無呼吸低呼吸指数:30回以上/時間 vs. 5回未満/時間)は、すべての認知症リスク(RR:2.35、95%CI:1.06~5.18)およびアルツハイマー型認知症リスク(RR:1.66、95%CI:1.03~2.68)の高さと関連が認められたが、心血管のリスク因子の調整によりその関連性は弱まった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、7時間未満の睡眠は、8~9時間の睡眠と比較し、すべての認知症リスクの高さと関連していた(RR:2.00、95%CI:1.03~3.86)。■関連記事「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも不眠症になりやすい食事の傾向就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大

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境界性パーソナリティ障害発症、親子関係が影響

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の病因に関する最新の仮説では、親子関係が中心的な要因であると考えられている。カナダ・モントリオール大学のMarie-Eve Boucher氏らは、BPDと親子関係についてシステマティックレビューを行った。Personality and mental health誌オンライン版2017年8月2日号の報告。 本システマティックレビューでは、(1)BPD患者およびその家族と他の規範的および臨床的グループとの親子関係の違い(2)親子関係のどの側面が成人期のBPD診断ととくに関連しているか(3)レビューされた研究より同定された親子関係要因がBPDの一般病理モデルをどのように解明可能か、について検討した。40の研究は、BPD患者視点、その両親の視点、家族視点の3つのカテゴリに分類された。 主な結果は以下のとおり。・BPD患者では、正常対照者と比較し、一貫して親子関係の障害がより多く報告された。・DSM-IV第1軸(Axis-I)および第2軸(Axis-II)を呈する患者との比較では、一貫性がより少なかった。・BPD患者は、その両親と比較し、親子関係をよりネガティブに評価していた。・両親の不十分なケアや過度なケアは、正常対照者と異なり、BPDおよび他の精神疾患に共通する精神病理学の一般的なリスク因子であると考えられる。 著者らは「BPDにおける特定の親子関係リスク因子候補には、矛盾点があるようにも見えるが、その特異性を確認するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事境界性パーソナリティ障害、性行為とアルコールの関係境界性パーソナリティ障害の自殺リスク、ポイントは睡眠の改善か境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは

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日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。 妊娠12~24週目の20歳以上の妊婦を募集し、そのうちEPDS 9点以上の妊婦に研究への参加を依頼した。EPDSと同時に、うつ病エピソードの診断のために精神疾患簡易構造化面接法(日本語版)を行った。ROC曲線、感度および特異度、EPDSの陽性、陰性反応の予測値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・参加者210例は、妊娠12週の1例を除き、すべて第2三半期であった。・20例がうつ病エピソードと診断された。・カットオフスコアを13点に設定した場合、ROC曲線下面積0.956、感度90.0%、特異度79.0%、EPDS陽性反応予測値54.5%、EPDS陰性反応予測値98.9%であった。 著者らは、「われわれの知る限り、本研究は日本において、妊娠第2三半期での最適なEPDSカットオフ値を明らかにするための、最初の研究である。本知見は、日本における出産前うつ病の適切なスクリーニングに役立つであろう」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。タッチスクリーン式の認知機能検査CANTABを用い認知機能を評価 研究グループは、FOURIER試験の患者を対象に、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い前向きに認知機能を評価した(ベースライン時、24週時、年1回、試験終了時に実施)。 主要評価項目は、実行機能の空間認識作業記憶スコア(範囲:4~28点、スコアが低いほど戦略と計画をより効率的に利用していることを示す)、副次評価項目は作業記憶スコア(範囲:0~279点、スコアが低いほど誤りが少ない)、エピソード記憶スコア(範囲:0~70点、スコアが低いほど誤りが少ない)、および精神運動速度(範囲:100~5100msec、速いほど成績良好)である。解析は、エボロクマブ群とプラセボ群で、空間認識作業記憶スコアのベースラインからの平均変化量を比較し、非劣性マージンをプラセボ群のスコアの標準偏差の20%に設定した。全認知機能評価項目、エボロクマブ併用群とプラセボ併用群で有意差なし 合計1,204例を中央値19ヵ月間追跡した結果、主要評価項目である空間認識作業記憶スコア素点のベースラインからの変化量(平均±SD)は、エボロクマブ群-0.21±2.62、プラセボ群-0.29±2.81であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.85)。 副次評価項目である作業記憶スコア(変化量:エボロクマブ群-0.52、プラセボ群-0.93)、エピソード記憶スコア(変化量:それぞれ-1.53、-1.53)、精神運動速度(変化量:それぞれ5.2msec、0.9msec)は、両群間に有意差はなかった。また、探索的解析の結果、LDL-C値と認知機能の変化との間に関連は認められなかった。 著者は、認知症あるいは軽度認知障害患者が除外されていることや追跡期間が短いことなどを研究の限界として挙げている。なお現在、EBBUNGHAUS試験に参加した患者を対象としたCANTAB評価を含むFOURIER試験の5年間継続投与試験が進行中だという。

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SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

 うつ病女性において標準的な治療では十分な効果が得られないことがある。クレアチン水和物や5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)による従来の抗うつ薬治療の増強療法は、女性のうつ病に関連するセロトニン産生や脳の生物学的因子の欠損を補正し、相乗的な効果をもたらす。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、SSRIまたはSNRI単独療法で効果不十分なうつ病女性に対する、5-HTPおよびクレアチン増強療法に関するオープンラベル試験を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年8月5日号の報告。 SSRIまたはSNRIを十分に服用し、現在もうつ症状が残存している女性15例(HAM-D17スコア16点以上)を対象に、クレアチン水和物5g/日と5-HTP 100mg 1日2回による増強治療を8週間行い、4週間フォローアップした。主要アウトカムは、平均HAM-Dスコアの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・平均HAM-Dスコアは、前処置時の18.9点(SD:2.5)から7.5点(SD:4.4)に低下し(p<0.00001)、60%の減少が認められた。・治療に関連した重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「SSRIまたはSNRI治療抵抗性のうつ病女性に対するクレアチンと5-HTP併用療法は、効果的な増強戦略であると考えられる。本研究は、小規模なオープンラベル試験であるため、今後は無作為化プラセボ対照試験により明らかにする必要がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

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ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

 ニーマンピック病C1型の患者に対し、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を髄腔内投与は、病状進行を遅らせる可能性があるようだ。またその安全性については、中間~高周波の聴力損失が認められたほかは、重篤な有害事象は認められなかった。米国・ワシントン大学のDaniel S. Ory氏らが行った、第I-IIa相の非盲検用量漸増試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月10日号で発表した。ニーマンピック病C1型は進行性の神経変性によって特徴づけられるライソゾーム病に含まれる先天性代謝異常症の一種。HPβCDはマウスとネコモデルを用いた前臨床試験で、小脳のプルキンエ細胞消失を顕著に遅らせ、神経症状の進行を遅らせて寿命を延伸させたことが示されていた。ニーマンピック病C1型患者14例をHPβCDの開始投与量で分類 研究グループは2013年9月21日~2015年1月19日に米国国立衛生研究所(NIH)から登録・適格基準を満たした、ニーマンピック病C1型で神経症状のある患者14例を対象に試験を行った。 被検者は、HPβCDの開始投与量が50mg/月(3例)、200mg/月(3例)、300mg/月(3例)、400mg/月(3例)、900mg/月(2例)の髄腔内投与を受ける群に非無作為に順次分類された。 HPβCD治療開始1年間で、2例がgrade 1毒性のため1回の投与(2ヵ月目)を中断したものの、被験者14例全員について、12ヵ月時点の評価を行った。12~18ヵ月では、1例が原発性肝細胞がんのため17ヵ月で投与を中止。また1例が、ケア提供者の苦痛から、2回の投与(14、15ヵ月目)について中断した。さらに1例が乳様突起炎で1回の投与(18ヵ月目)を中止した。18ヵ月時点での評価は11例について行った。 また、2013年12月~2014年6月にラッシュ大学医療センターでニーマンピック病C1型患者3例の被験者を登録して、2週ごとHPβCD投与について評価する検討を行った。被験者を非無作為に2群に分け、一方にはHPβCDの開始投与量を200mg/隔週(2例)で、もう一方には同400mg/隔週(1例)で髄腔内投与を行い、18ヵ月後に評価を行った(中断例なし)。 コレステロール値の変化の指標として、神経細胞コレステロール恒常性の指標である血漿24(S)-ヒドロコレステロール(24(S)-HC)値を測定した。症状の進行については、ニーマンピック病神経重症度スコア(NNSS)を用いて、同年代のHPβCD非投与のニーマンピック病C1型患者21例(対照群)と比較した。ニーマンピック病神経重症度スコアによる臨床症状の進行がHPβCD投与で遅延 血漿24(S)-HC値のROC曲線下面積は、HPβCDを900mgまたは1,200mg投与後に対照群と比較して有意に増加した(p=0.0063、p=0.0037)。また、3例の患者は、髄液24(S)-HC値が、HPβCDを600mgまたは900mg投与後に、約2倍に上昇した(p=0.0032)。 薬剤関連の重篤な有害事象は認められなかった。有害事象として予測されていた中間~高周波の聴力損失は全被験者で認められたが、補聴器を使うことで日常コミュニケーションに支障はなかった。 臨床症状に関する総ニーマンピック病神経重症度スコアは、対照群は年間2.92点の増加だったのに対し、HPβCDを投与した14例の増加は年間1.22点にとどまった(p=0.0002)。具体的には、歩行(p=0.0622)、認知(p=0.0040)、言語(p=0.0423)の項目で障害進行の遅延が確認された。

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魔法ってないのかな?(解説:岡村毅氏)-718

 私たちの「こころ」や「意識」と呼ばれるものが形而上のものなのか、形而下のものなのかという問題はさておき、脳という電気活動の集合が関与していることは明らかであり、外部からの電気刺激が影響を与えるであろう。  本論文は、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct-current stimulation以下tDCS)のうつ病に対する効果を抗うつ薬(SSRI)およびプラセボと比較した報告である。プラセボに比べると有意に効果はあるものの、SSRIに比べると弱いようだ。  はじめに述べておくと、tDCSはわが国の精神医学においては保険診療で認められていない。世界的にもまだ非常にマイナーな手法である。ただし、脳梗塞後の麻痺などでの臨床実績、体表に電極を置いて微弱な電流を流すだけという安全性を考えると、今後精神科領域で使われる可能性はないとは言えず、アンテナを張っている読者諸兄におかれては頭の隅に入れておいてもよいかもしれない。  少し突き放して書いたのは、「きっと誰も知らない、自分の主治医も知らない治療法があるのだ」とか「週刊誌に素晴らしい治療法が書いてあったのに自分の主治医は自分に隠しているのだ」とか、さまざまなことをおっしゃる患者さんがいるからで、この治療法は標準から離れた異端に飛びつく人に好かれそうだなあと感じたからである。  うつ病の治療法は、(1)精神療法、(2)環境調整、(3)薬物療法等に大きく分けられる。  ひどいうつ状態で、考えることも休むこともできない状態のときは、(3)薬物治療等は効果的である(こういうときに精神療法だけでいくというのは、患者さんにとっては大変つらいだろう)。ここには、SSRIをはじめとする新規抗うつ薬、経験値がないと使いにくいが効果も大きな古典的抗うつ薬、非定型抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、漢方薬などが含まれる。(3)の中の極めて狭い領域に、電気的脳神経刺激としてmECT(modified electroconvulsive therapy)やrTMS(repetitive transcranial magnetic stimulation)が含まれる。前者は全身麻酔が必要だが効果は絶大、後者は外来でできるが高い機材が必要でまだ臨床実績が不十分という長短がある。ここに安価なtDCSが加わる可能性があるかもしれないということである。  会社でうつになった人のうつ状態を良くして会社に送り返しても、そこがブラック過ぎたらすぐに再発するだろう。さまざまな社会資源につなげるなど(2)環境調整は実は薬物治療よりも重要かもしれない。  そもそもうつ病になる過程には本人のものの見方・考え方が関わっている可能性も高いので、そこに働きかける(1)精神療法こそが、本人の幸せにつなげる精神医学の本質ともいえよう。  そういうわけで、本論文は偽tDCSを施行するなど妥当な方法論に基づいたきちんとした論文ではあるものの、臨床への影響は限定的だ。東京都西之島では噴火により新たな島が生成し、日本の面積がいくらか増大したというが、日本全体の面積と比べれば微々たるものであろう。臨床医としては、本論文はその程度(西之島分)のエビデンスの付与であるように個人的には思う。でもそれは価値があることなのだ。

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双極性障害患者の自殺念慮、予測パターンは

 自殺念慮は、双極性障害患者で頻繁に認められるが、その経過や経年変化はよくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、双極性障害患者の自殺念慮について、6ヵ月間の追跡調査を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年7月20日号の報告。 Bipolar CHOICE研究では、双極性障害外来患者482例を、他の向精神薬を含む6ヵ月間のリチウムまたはクエチアピンベースの治療群に無作為に割り付けた。対象者は、Concise Health Risk Tracking scaleを用いて自殺念慮を9回調査した。自殺念慮の軌跡を経験的に特定するため、潜在成長混合モデル分析を行った。軌跡と潜在的な予測因子との関連を推定するため、多項ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・4つの異なる軌跡が同定された。・中程度の安定群(Moderate-Stable)は11.1%で、一定の自殺念慮により特徴づけられた。・中程度の非安定群(Moderate-Unstable)では、より変動的な自殺に関する持続的な思考を伴う割合が2.9%であった。・持続的に低い群(Persistent-low:20.8%)と持続的に非常に低い群(Persistent-very-low:65.1%)では、自殺念慮が低かった。・うつ病スコアの上昇と自殺企図歴は、中程度の安定群の予測因子であったが(有意ではない傾向)、無作為化治療ではその限りではなかった。・本研究の限界として、自殺念慮に対する特別な治療は含まれておらず、また自殺念慮は数年間続く可能性がある。 著者らは「双極性障害を有する成人外来患者10人に1人以上において、6ヵ月間の薬物治療中に自殺念慮の増加がある程度認められた。同定された予測因子は、臨床医が自殺念慮に対する治療が必要である患者を特定するのに役立つであろう。今後の研究において、薬理学的および非薬理学的な標的治療が、持続的な自殺念慮の経過を改善するかを調査する必要がある」としている。■関連記事双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は

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認知スペクトラム障害、入院患者の有病率と死亡率

 入院中の高齢者では、さまざまな認知機能障害が一般的にみられるが、これまでの研究では高度に選択された群の単一条件に焦点を当てており、アウトカムとの関連性を調査することはまれであった。英国・スターリング大学のEmma L. Reynish氏らは、65歳以上の救急入院患者を対象とした大規模で非選択的なコホート研究において、認知機能障害の有病率およびアウトカムを調査した。BMC medicine誌2017年7月27日号の報告。 対象は、2012年1月~2013年6月までに総合病院急性期病棟へ入院し、構造化された専門看護師による評価を受けた65歳以上の患者1万14例。せん妄、既知の認知症、Abbreviated Mental Test(AMT)スコア10点中8点未満の組み合わせを「認知スペクトラム障害(CSD)」と定義した。入院期間、死亡率、再入院に関するデータとアウトカムとの関連性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・CSDは、65歳以上の全入院患者の38.5%で認められ、85歳以上では半数以上であった。・内訳は、せん妄のみ16.7%、既知の認知症に併発したせん妄7.9%、既知の認知症のみ9.4%、不特定の認知機能障害(AMTスコア8点未満、せん妄なし、既知の認知症なし)4.5%であった。・認知症患者の45.8%は、せん妄を併発していた。・CSD患者は、非CSD患者と比較し、アウトカムが悪化していた(入院期間:25.0日 vs.11.8日、30日死亡率:13.6% vs.9.0%、1年死亡率:40.0% vs.26.0%、1年死亡または再入院:62.4% vs.51.5%、いずれもp<0.01)。・CSDタイプによる差は比較的小さかったが、認知症にせん妄を併発した患者では入院期間が最も長く、認知症患者の1年死亡率は最も高かった。 著者らは「CSDは高齢入院患者では一般的に認められ、アウトカムの悪化とかなり関連しており、CSDのタイプによる差はほとんどない。医療システムは、医療における緊急事態とみなされたCSD高齢患者のケア手法を体系的に検討し開発すべきであり、認知症もしくはせん妄だけといったような特定の症状にのみ焦点を当てることは避けるべきである」としている。■関連記事せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているかせん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価

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ベルソムラによる「せん妄予防」

 順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の八田耕太郎氏らは、高齢救急患者における、就寝前に不眠症治療薬「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」投与によって、安全にせん妄を予防できることをJournal of Clinical Psychiatry誌に発表した。研究者らは本結果について、今まで実効性がなかったせん妄の療法に、薬物療法による新たなせん妄予防の道を拓いたもので、せん妄診療を治療から予防にパラダイムシフトさせる意義があるものとしている。ベルソムラ群はせん妄出現率が有意に低かった 研究グループは、ICUまたは一般病棟に入院する65~89歳の救急患者のうち、薬剤の経口摂取が可能で48時間以上の入院が見込まれる患者72例が対象に、ベルソムラ15mgを就寝前に1日1回3日間投与するベルソムラ群(n=36)と、プラセボを就寝前投与するプラセボ群(n=36)に封筒法で無作為に割り付け、せん妄の出現率について4日間観察した。 主な結果は下記のとおり。・DSM-IVに基づいてせん妄の出現を評価した結果、プラセボ群では17%の患者にせん妄が出現したのに対し、ベルソムラ群でせん妄を出現した患者はなく、ベルソムラ群はせん妄出現率がプラセボ群に比べ有意に低かった(p=0.025)。・日本語版せん妄評価尺度98年度改訂版(DRS-R-98-J)の睡眠覚醒サイクル障害(項目#1)評点の推移は、ベルソムラ群で低い傾向が観察された(p=0.053)。

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自閉症スペクトラム障害児に即興音楽療法は有用か/JAMA

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児の治療では、強化標準治療に即興音楽療法を追加しても症状の重症度は改善しないことが、ノルウェー・Uni ResearchのLucja Bieleninik氏らが行ったTIME-A試験で明らかとなった。研究の成果はJAMA誌2017年8月8日号に掲載された。音楽療法は、ASD患者の社会的相互作用(social interaction)、共同注意(joint attention)、親子関係を改善することが無作為化試験で示されている。即興音楽療法は、患児と訓練を受けた音楽療法士が自発的に歌ったり、演奏したり、体を動かすことで音楽を創造する患児中心のアプローチで、音楽療法士は患児の関心や行動、好奇心に着目してこれに従うことで社会コミュニケーション技法の発達を促す。9ヵ国が参加した国際的無作為化試験 本研究は、ASD児の総合的な社会コミュニケーション技法に及ぼす即興音楽療法の効果を評価する無作為化臨床試験である(Research Council of Norwayの助成による)。 対象は年齢4~6歳11ヵ月のASD児(国際疾病分類第10版[ICD-10]の判定基準に準拠)で、9ヵ国の10施設が参加した(アジアからは韓国が参加)。2011年11月~2015年11月に患者登録を行い、2012年1月~2016年11月にフォローアップを実施した。 被験者は、強化標準治療のみを行う群または強化標準治療+即興音楽療法を行う群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、後者はさらに即興音楽療法を週3回行う群(高強度群)または週1回行う群(低強度群)に割り付けられた。治療期間は5ヵ月であった。 セッションは1回30分で、クリニック、幼稚園あるいは家庭で患児と30人の有資格の音楽療法士(女性が21人、平均年齢34.7歳[範囲:23~55歳]、音楽療法士としての平均経験年数7.3年[範囲:0~30年])が1対1で行った(可能な場合は家族も参加)。評価担当者には、個々の患者の割り付け情報が知らされなかった。 主要評価項目は5ヵ月時の症状の重症度とし、自閉症診断観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule:ADOS)のsocial affectスコア(0~27点、点数が高いほど重症度が高い、臨床的に意義のある最小変化量:1点)で評価した。2および12ヵ月時にも評価を行った。ほとんどの探索的副次評価項目にも有意差はなし 364例が登録され、強化標準治療群に182例が、即興音楽療法群にも182例(高強度群90例、低強度群92例)が割り付けられた。全体の平均年齢は5.4歳で、男児が83%を占めた。主要評価項目の解析は314例(86%)で行われた。 5ヵ月間で、即興音楽療法群は中央値で19回の音楽療法を受け、3回の両親へのカウンセリングが行われ、36回のその他の治療セッションを受けた。強化標準治療群は、両親へのカウンセリングが3回、他の治療セッションは45回であった。 ADOSの平均social affectスコアは、即興音楽療法群がベースラインの14.08点から5ヵ月時には13.23点に、強化標準治療群は13.49点から12.58点に改善し、両群に有意な差は認めなかった(平均差:0.06、95%信頼区間:-0.70~0.81、p=0.88)。即興音楽療法群の高強度群と低強度群にも有意差はみられなかった。 また、20項目の探索的副次評価項目のうち17項目には有意な差はなかった。2および12ヵ月時のsocial affectスコア、2、5、12ヵ月時の対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)の総スコアにも差はみられなかった。 著者は、「有意差を認めた数少ない探索的副次評価項目もその差は小さく、臨床的な意義はないと考えられた」としている。

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糖分控えめでうつ病リスク低下

 いくつかの集団において、甘い食物や飲料および添加された糖類の摂取は、抑うつ症状と関連していると報告されている。英国・ロンドン大学のAnika Knuppel氏らは、甘い食物や飲料摂取と一般的な精神疾患(CMD)、うつ病との間の系統的、横断的およびプロスペクティブな関連性について調査した。また、その因果関係についても調査した。Scientific reports誌2017年7月27日号の報告。 Whitehall II studyからの反復測定を、ランダム効果回帰を用いて分析した(2万3,245人観察)。food frequency questionnaire(食物摂取頻度調査票)、validated questionnaireを用いて飲食、気分を評価した。 主な結果は以下のとおり。・横断的分析では、正の関連が認められた。・プロスペクティブ分析では、甘い食物や飲料からの糖類摂取が三分位で最も高かった男性において、5年後のCMD発症率が23%増加した(95%CI:1.02~1.48)。これは、健康行動、社会人口統計、食事関連要因、肥満、他疾患とは独立していた。・再発うつ病のオッズは、三分位の最も高い両性において増加していたが、食事関連要因がモデルに含まれていた場合には統計学的に有意ではなかった(OR:1.47、95%CI:0.98~2.22)。・CMD、うつ病ともに、摂取量の変化を予測しなかった。 著者らは「長期間の心理的健康に対し、甘い食物や飲料からの糖類摂取の悪影響が確認された。糖類摂取量の低下は、より良い心理的健康に関連する可能性が示唆された」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病になりやすいのは、太っている人、痩せている人?抗うつ薬投与下での運転、その安全性は

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遅発性ジスキネジア治療に期待される薬剤は

 遅発性ジスキネジア(TD)は、ドパミン受容体アンタゴニストによる抗精神病薬治療を受けている患者で起こりうる。TDは、その有病率と患者の生活への悪影響にもかかわらず、確立された治療法がなく、薬理学的治療の比較対照試験によるエビデンスも限られている。米国・ペンシルベニア大学のStanley N. Caroff氏らは、TDまたは薬物誘発性運動障害の治療に関する文献レビューを行った。Expert review of neurotherapeutics誌オンライン版2017年7月31日号の報告。 2007~16年に発表されたTDに関する英語論文を、PubMedから“tardive dyskinesia”(TD)もしくは“drug-induced movement disorder”(薬物誘発性運動障害)および“treatment”の語句で検索した。選択したのはTD治療のための薬理学的作用を評価した研究で、合計26件(メタ解析:5件、RCT:12件、オープンラベル:9件)をレビューした。 専門家の主な解説は以下のとおり。・TDの治療には段階的なアプローチが必要である。・TD治療前に、抗精神病薬の最適化を検討すべきである。・いくつかの最近の研究データからは、抗精神病薬の切り替え、またはアマンタジン、レベチラセタム、piracetam、ゾニサミド、プロプラノール、ビタミンB6、特定の規制されていない漢方薬の使用でTD改善の可能性が示されているが、これらの改善意義は不明であり、RCTによるさらなる検討が必要である。・また、新規の小胞モノアミントランスポーター2阻害薬の第III相試験による最近のエビデンスでは、TD症状の重症度に対する有意な効果が認められ、これらの薬剤が、今後のTD治療を変える可能性があることを示唆している。■関連記事遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学統合失調症のEPS発現にカルバマゼピン処方が関連

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認知症患者、PPIで肺炎リスクが9割上昇

 台湾・中山医学大学のSai-Wai Ho氏らの後ろ向きコホート研究により、認知症患者においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用により肺炎発症リスクが89%上昇したことが報告された。Journal of the American Geriatrics Society誌2017年7月号に掲載。PPI使用群で肺炎の発症率が高かった 著者らは、台湾国民健康保険研究データベースを用いて、新規にPPIを使用した認知症患者786例およびこれらの患者とマッチさせた PPI使用のない認知症患者786例について肺炎の発症を調べた。肺炎リスクはCox比例ハザードモデルを用いて推定し、defined daily dosage(DDD:成人の想定平均1日用量)を用いて、PPIの累積用量-反応関係を評価した。 PPIを使用した認知症患者の肺炎の発症を調べた主な結果は以下のとおり。・肺炎の発症率はPPI使用群で高かった(調整ハザード比[HR]:1.89、95%CI:1.51~2.37)。・Coxモデル解析により、以下の因子が肺炎の独立した危険因子であることが示された。 年齢(調整HR:1.05、95%CI:1.03~1.06) 男性(調整HR:1.57、95%CI:1.25~1.98) 脳血管疾患の既往(調整HR:1.30、95%CI:1.04~1.62) 慢性呼吸器疾患(調整HR:1.39、95%CI:1.09~1.76) うっ血性心不全(調整HR:1.54、95%CI:1.11~2.13) 糖尿病(調整HR:1.54、95%CI:1.22~1.95) 抗精神病薬の使用(調整HR:1.29、95%CI:1.03~1.61)・コリンエステラーゼ阻害薬およびH2受容体拮抗薬の使用は、肺炎リスクを減少させることが示された。

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精神疾患患者の死亡率は減少しているのか

 双極性障害や統合失調症は、一般集団と比較して死亡率の増加と関連している。国際的には、この死亡率を減少させることに重点が置かれている。英国・ロンドン大学のJoseph F. Hayes氏らは、双極性障害および統合失調症患者と一般集団の死亡率の差が減少したかを調査した。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年7月6日号の報告。 本研究は、2000~14年のプライマリケア健康医療電子記録を用いて、双極性障害または統合失調症と診断されたすべての患者と一般集団を比較したコホート研究。主要アウトカムは、全死因死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者(調整HR:1.79、95%CI:1.67~1.88)および統合失調症患者(調整HR:2.08、95%CI:1.98~2.19)の死亡率は、上昇していた。・双極性障害患者の調整HRは、2006年から14年にかけて0.14/年(95%CI:0.10~0.19)増加した。・統合失調症患者の調整HRは、2004年から10年にかけて0.11/年(95%CI:0.04~0.17)と徐々に増加し、2010年以降0.34/年(95%CI:0.18~0.49)と急速に増加した。 著者らは「双極性障害および統合失調症患者と一般集団の死亡率の差は、拡大している」としている。■関連記事抗精神病薬使用は長期死亡リスクに悪影響なのか統合失調症患者の突然死、その主な原因はうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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早期改善が最も期待できる抗うつ薬は

 抗うつ薬治療の最初の2週間でうつ症状を早期に改善することは、うつ病患者のその後の良好な治療アウトカムを予測するレジリエンスシグナルであるといわれている。しかし、早期改善の予測値は研究間で異なっており、異なる抗うつ薬の使用が影響している可能性がある。ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのStefanie Wagner氏らは、うつ病患者における将来の治療反応や寛解に対する早期改善の予測値を評価し、早期改善の可能性が最も高い抗うつ薬を特定するため検討を行った。Journal of psychiatric research誌オンライン版2017年7月4日号の報告。 うつ病患者に対する早期改善効果について、抗うつ薬とプラセボまたは他の抗うつ薬との単独療法を比較したランダム化比較試験17件より、成人うつ病患者1万4,779例を抽出した。治療2週間後に20%/25%超の症状改善を早期改善と定義した。 主な結果は以下のとおり。・早期改善は、抗うつ薬群で62%(範囲:35~85%)、プラセボ群で47%(範囲:21~69%)であった。・早期改善は、高感度(85%、95%CI:84.3~85.7)および低~中等度の特異性(54%、95%CI:53.1~54.9)で、治療5~12週間後の治療反応および寛解を予測した。・早期改善患者は、非改善者と比較し、エンドポイントにおける治療反応率が8.37倍(6.97~10.05)高く、寛解率は6.38倍(5.07~8.02)高かった。・早期改善率が最も高かった薬剤は、ミルタザピンおよび三環系抗うつ薬であった。 著者らは「本知見は、抗うつ薬治療の初期段階における治療決定に重要である。早期治療決定の有効性を検討する試験をさらに行うべきである」としている。■関連記事うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とはうつ病の寛解率、職業で差があるかうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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抗精神病薬に関する知識は治療効果に影響するか:慶應義塾大

 統合失調症患者における、処方された抗精神病薬の知識について、データは非常に限られている。また、処方された抗精神病薬に関する患者の知識が、服薬アドヒアランスに及ぼす影響についてはよくわかっていない。慶應義塾大学の長井 信弘氏らは、これらの関連について検討を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2017年7月4日号の報告。 対象は、統合失調症(ICD-10)と診断された日本人外来患者81例。本研究のために開発した複数選択アンケートより、治療効果、種類および関連する神経伝達物質の観点から、患者に処方された主要な抗精神病薬に関する知識を評価した。各カテゴリにおいて、正確に回答した患者とそうでなかった患者の薬剤所有率(Medication Possession Ratios:MPR)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・正確に回答した患者の割合は、抗精神病薬の効果30.9%、抗精神病薬の種類30.9%、関連する神経伝達物質7.4%と低かった。・正確に回答した患者とそうでなかった患者のMPRに差は認められなかった。 著者らは「この予備的結果から、抗精神病薬に関する患者の知識不足が示唆された。さらに、統合失調症患者において、処方された抗精神病薬に関する知識は、実際の服薬アドヒアランスに直接的に影響しない可能性を示唆している」としている。■関連記事統合失調症、服薬アドヒアランス研究の課題とは抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのかうつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

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抗うつ薬投与下での運転、その安全性は

 ドイツ・ルートヴィヒマクシミリアン大学のAlexander Brunnauer氏らは、抗うつ薬の自動車運転パフォーマンスへの影響に関する実験的および臨床的研究をレビューした。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2017年7月17日号の報告。 PubMedデータベースより、1980~2016年に発表された研究をシステマティックに検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・本レビューには、28研究が抽出されたが、抗うつ薬投与患者の自動車運転パフォーマンスを調査した研究は5件のみであった。・ミアンセリンを除く大部分の三環系、四環系抗うつ薬は、自動車運転パフォーマンスに重大な悪影響を及ぼし、亜慢性期後の使用で減弱した。・SSRIおよびベンラファキシンやミルナシプランなどのSNRIは、自動車運転パフォーマンスに影響を及ぼさなかった。・トラゾドンは、用量依存的に急性の影響を有すると考えられる。・ミルタザピンの急性期使用は、夜間投与を行った場合に影響が認められたが、低用量または反復投与後の場合、健常被験者においては認められなかった。・アルコールによる付加的効果は、鎮静系の抗うつ薬において最も顕著であった。・多くの患者において、自動車運転技術に対する新規抗うつ薬治療のメリットが認められると考えられる。 著者らは「自動車運転パフォーマンスに関して、どの抗うつ薬治療が患者にとって最も有用かという課題を解明するためには、より多くの患者による研究が必要である」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

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謝罪の王様【どう謝る?なぜ許す?】Part 1

今回のキーワード社会脳謝罪宥和理論不可抗力アンダードッグ効果レッドフェイス効果見える化セルフハンディキャッピング参照点の操作みなさんは、謝ってほしいことはありますか? そこまで謝られると許したいと思うことはありますか? 大企業のトップ、政治家、有名人などの謝罪会見はテレビでますますよく見かけます。昨今の情報化した社会では、謝らなければ「炎上する」という事態も起きています。また、日本人が謝罪に敏感で、謝罪好きであることは、以前から国際的にも知られています。その一方で、病院などの医療機関や役所などの公的機関では、謝りにくい風潮がありそうです。また国同士では、謝ることに慎重になる傾向があるようです。謝るとは何でしょうか? なぜ謝らないのでしょうか? 一方で、謝られたらなぜ許すのでしょうか? これらを踏まえて、どううまく謝ることができるでしょうか? その疑問に答えるため、今回は2012年の映画「謝罪の王様」を取り上げます。この映画を通して、謝ることと許すことを進化心理学的にも掘り下げてみましょう。謝るとは?主人公の黒島は、東京謝罪センターの所長。謝罪のテクニックを駆使して、依頼主の謝罪をサポートするプロの「謝罪師」です。ヤクザの車への衝突事故から、セクハラ訴訟、芸能人の謝罪会見、はては国際問題まであらゆるトラブルを謝罪によって解決していきます。謝るとは、端的に言うと、「すいませんでした」と伝えることです。これには、主に3つの心理が必要です。それは、誠意、責任、償いです。映画のシーンに照らし合わせながら、詳しく見ていきましょう。(1)誠意黒島は「謝罪の第一歩は、相手に誠意を見せることです」と言っています。1つ目は、誠意です。これは、真心を込めて後悔や反省を伝えることです。逆に、相談者の典子は、ヤクザの車にぶつけておきながら、なかなか謝らずに、最後になって「なんかすいません」と人ごとのように言ってしまい、気持ちを逆なでしていました。その後、黒島は「そちら様の大事なお車に傷を付けてしまい大変に申し訳ありませんでした」と額をこすりつけて土下座をします。このように、謝ることで大切なことは、土下座をするほどではないにしても、相手が心理的にもダメージを受けて悔いている気持ちを共感的に伝えることです。(2)責任かつて黒島は、ラーメン屋で湯切りのお湯を飛ばしたスタッフに謝罪を求めます。しかし、代わりに経営者が謝罪にやってきます。黒島は、「あなたは何も悪くないでしょう?」「おれはただ舟木ってやつ(お湯を飛ばしたスタッフ)に謝ってほしいだけ」と指摘しています。2つ目は、責任です。これは、自分に責任があることを認めることです。確かに、組織の責任者が代理で謝ることはよくあります。しかし、責任の所在は薄まります。また、本人が謝るにしても、例えば「しょうがなかったんです」「湯切りで多少の水滴は飛んでしまうものなんです」と言い訳(弁解)をして自分の責任を曖昧にしたり、完全に責任を認めなかったら、相手の許しが得られにくくなります。このように、謝ることで大切なことは、責任者も謝るにしても、二度と同じことを繰り返さないことを分かってもらうために、本人が自分のせいであることを素直に伝えることです。(3)償い黒島に謝罪を求められたラーメン屋の親会社は、お見舞い金による償いをしようとしたり、「絶対にお湯が飛ばない湯切り」などを開発します。3つ目は、償いです。これは、相手の被害への弁償だけでなく、今後の改善策を示すことです。逆に、これらの努力をできる限りしていなければ、謝ることはうわべだけのものになっていると相手に見透かされてしまい、許しが得られにくくなります。このように、謝ることで大切なことは、相手との信頼関係を維持するために、経済的にも身体的にも心理的にも償うことです。なぜ謝らないの?それでは、逆になぜ謝らないことがあるのでしょうか?その心理は、主に3つあります。それは、プライド、パワーバランス、コストです。映画のシーンに照らし合わせながら、詳しく見ていきましょう。(1)プライド黒島にお湯を飛ばした舟木は5年の歳月を経て再び黒島の前に現れます。そして、「もっと早くあの日のうちに謝れば良かったのですが、おれも若くてかっこつけちゃって」と言います。1つ目は、プライドです。プライドが高ければ高いほど、自分のやっていることを過信して、自分が間違いをするはずがないと思い込んでしまいます。そして、その間違いを認めたがらなくなります。ちなみに、それが極端な状態は、自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれます。また、病院などの医療機関や役所などの公的機関が謝りにくいのも、医師の威厳や医療機関の権威から間違いがあってはならないという前提があるからです。そして、地位や評判を落としたくないという理由も相まって、隠蔽工作がなされることもあります。よって、謝るためには、まず自分のプライドが邪魔していないかを客観視する必要があります。(2)パワーバランス国際弁護士の箕輪は、「一度だけ(3歳の時の)娘に手を上げてしまった」「私は自分が許せない。自分が親として」「仮にも法律に携わる人間として」「いかなる理由があろうと」と言います。しかし、そう言いつつも、娘を目の前にするとどうしても謝れないでいます。2つ目は、パワーバランスです。立場が上であればあるほど、尊敬されていればいるほど、自ら卑屈な立場に身を置くと、今までの力関係が変わってしまうと思い込んでしまいます。上司と部下の関係、師弟関係、親子関係だけでなく、夫婦関係においても、一方がなかなか謝らないのも、これが原因となっています。よって、謝るためには、もともとパワーバランスが邪魔していないかを客観視する必要があります。(3)コスト国際弁護士の箕輪も「海外では『とりえあず謝っとけ』みたいな考え方は命取りです」「罪を認めた時点で訴訟に不利になります」と言っています。3つ目は、コストです。謝れば謝るほど、許してくれないのではないかと不安になり、償いのコストが高くなってしまうと思い込んでしまいます。実際に、世の中には「当たり屋」や「クレーマー」がいるのは確かです。ヤクザに下手に謝ってしまった典子は、多額の示談金を請求されています。謝られることを逆手に取って、なかなか赦さないことでより多くの補償や慰謝料を引き出すという心理戦略も確かに存在します。また、国際的に謝る場合は、国益を損ねるという外交的な理由もあるでしょう。しかし、時代は変わってきました。箕輪が言う通り、確かにかつてのアメリカでは謝った方が莫大な慰謝料を要求されるという訴訟社会でした。これは、謝罪が責任の証拠そのものとして扱われていたからです。しかし、現在では、「アイムソーリー法」が各州に広まっています。これは、事故が起きて「アイムソーリー」と言っても、自分の責任を認めたことにはならないという画期的な法律です。この法律によって、お互いに謝ることができるようになり、気持ちが通じ合えて、むしろ訴訟が減っていったのでした。つまり、法整備が整い、情報化したこれからの時代は、コストが理不尽にならないように、個人間では警察や司法、監視カメラなどによる第三者の目を入れることができます。また、国家間では国際社会による第三国の目を入れることもできるでしょう。もはや「クレーマー」の心理戦略は時代遅れになってきていると言えます。よって、謝るためには、コストへの意識が邪魔していないかを客観視する必要があります。次のページへ >>

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謝罪の王様【どう謝る?なぜ許す?】Part 2

謝られたらなぜ許すの?黒島は、セクハラで訴えられている沼田に、「(相手女性は)もう許してるかもしれないけどね。謝ってほしいってことは基本的には許したいってことでしょ」「引っ込み付かないだけでもう終わりにしたいというのが本音なんですよ」と言っています。つまり、私たちは、謝ることと許すことのやりとりを通して、お互いに人間関係をスムーズにしたいという思いがあります。逆にそうしなければ、いつまでも心に引っかかって、もやもやした不快な気持ちになってしまいます。それでは、そもそもそういう心理はなぜ「ある」のでしょうか? これを、私たちヒトが体と同じく心(脳)を進化させていった数百万年間の歴史から掘り下げてみましょう。300万年前に、ヒトはアフリカの森からサバンナの草原に出ていきました。この時、草原で猛獣などの天敵から身を守り、より大きな獲物を仕留めて生き残るために、ヒトは群れをつくって協力するようになりました。そして、より大きな群れ(集団)をつくるように脳が進化していきました(社会脳)。20万年前に、喉の構造が進化して、言葉が使えるようになり、抽象的な思考もできるようになりました。この頃から、協力をし続けるために、謝る心理や許す心理などの社会的感情を器用に使いこなすようになり、人間関係をよりスムーズにしていくことができるようになったでしょう。なぜなら、そうする種、そうしたいと思う種、そうしないと不快と思う種が、集団(社会)の一員でい続けられるため、生存に有利になるからです。その子孫が現在の私たちです。逆に、そうではない種は、生存に不利になり、集団の一員で居続けられなくなるため、生き残りにくくなってしまうというわけです。よって、私たちはそもそも謝られると、苦痛や相手への怒りが減って「胸がすっと」して(感情宥和効果)、相手の印象が良くなり(印象改善効果)、罰や償いを減らすようになります(罰軽減効果)。これら3つの要素をまとめると、私たちは相手に謝られると、寛容になり許したくなるという心理をもともと持っているというわけです(謝罪宥和理論)どううまく謝るの? ―表1それでは、許したいとより思われるためには、どううまく謝ることができるでしょうか? 先ほどの謝るための3つの心理と謝りたくない3つの心理を踏まえて、そのコツを大きく3つに整理してみましょう。そのキーワードは、不可抗力、優越感、そして”Be 土下座”です。(1)不可抗力黒島は、寝坊して遅刻したのに、待っていた相談者の沼田に「遅くなりました」「また人身事故で電車止まっちゃって」と言います。沼田が「あ、最近多いですもんね」と言ったところで、黒島は「ね。電車の事故は不可抗力だから、30分ぐらい仕方ないと思ったでしょ」と打ち明けます。1つ目は、自分の責任を認めつつも、それがたまたま不可抗力であったことと仕立て上げて、しょうがないという気持ちにさせることです。そのポイントは、病気、不慮の事故、他人のトラブルの巻き込まれなど、なるべく自分のコントロールが及ばない状況であることです(制御不能性)。また、黒島は「自分の責任じゃないのに、誠心誠意謝る」「謝らなくて良い時の謝罪ほど効果的なんです」と言います。つまり、理性的には責任がないように相手に思わせておいて、感情的には責任を感じて謝っているという演出が大事なのです。さらに、黒島は「目上の人間に立ち会ってもらう」「上司や先輩などあなたをよく知る人にあなたの長所や人間的魅力をアピールしてもらう」と言います。自分たちよりも立場が上の人の意見による保証を得ることで、もともと自分は過ちをする人ではなく、やはり不可抗力であったと相手に印象付けることができます(権威付け)。これらが、謝った時に許される決め手になります。不可抗力の事態により許す理由があると思わせることが重要です。(2)優越感黒島は、セクハラ訴訟を抱えている沼田に「相手が怒りをぶちまけ終えたら、次はほめまくる」「白々しくて全然良いの。100%お世辞でも褒められたら嬉しくなるのが人間なんだよ」とアドバイスします。また、黒島は、典子の「兄」の謝罪の一貫として、しばらく住み込みでヤクザの舎弟になり、献身的なサービスをして、親分から気に入られています。2つ目は、優越感を抱かせて気持ち良くさせて、許したくなる気持ちにさせることです。そのポイントは、相手を持ち上げることです。例えば「○○さんをとても頼りにしていただけに、なおさら申し訳ないです」「がんばってる○○さんだからこそ」とさりげなく褒めることです。また、「今回の件は今後の教訓になりました」「良い勉強になりました」「○○さんのおかげです」と感謝することです。逆に、相手を持ち上げるために、自分を引き下げる、つまり下手(したて)になることもできます(アンダードッグ効果)。例えば、「ええ~!?そんなことになっちゃったんですか!?」と慌てふためいてみっともないくらいの演出をすることです。遅刻した時などは、はあはあ息を切らして、汗を垂らしている方が許しを得やすいでしょう(レッドフェイス効果)。実際に、黒島は、ヤクザに謝罪をする時、顔面血まみれになり、けがをしているのに謝罪に来たという偽装をします。そうすることで、そこまでして相手が大切であるという思いが相手に伝わります。また、あえてつらい謝罪にすることです。黒島は、「大事なものを犠牲にする」「言葉や態度だけでは誠意が伝わらない場合、あなたにとっても大事なものを犠牲にすることで許しを請う」と沼田にアドバイスしています。つらい謝罪は、あえて大勢の前で謝罪することにも通じます。例えば、それが、有名人の謝罪会見です。また、自分の上司などの監督者に叱られている姿をあえて相手に見せることも効果的です(見える化)。さらに、謝ることに時間をかけることも重要です(コスト)。共感性が高い女性が相手の場合は、親身になり、傷付いた気持ちを癒やすことに重きを置くのが良いでしょう。一方、理屈っぽい男性が相手の場合は、原因の詳細化や数値化、今後の対策の説明に重きを置くのが良いでしょう。ちなみに、こちらが時間をかけることは、同時に相手にも時間を使わせていることになります。その時間が無意味なものに終わらせたくないという相手の心理を利用することにもなります。これらが、謝った時に許される強力な後押しになります。得られた優越感により許す価値があると思わせることが重要です。(3)”Be 土下座”黒島は、”Be together”を文字った”Be 土下座 ”をスローガンにしてます。帰国子女の典子から「Beじゃなくて、Doじゃないですか?」「するはDoだから”Do 土下座 ”じゃないですか?」と突っ込まれています。しかし、別のシーンで、黒島は典子に「むしろぶつける前(トラブルが起きる前)に謝る気持ちじゃないと」とも言っています。つまり、土下座は「する」ものではなく、「ある」ものであるという黒島ならではの発想です。3つ目は、トラブルが起きる前から土下座をしているような心のあり方で、謝る前からすでに許されている状況をつくっていることです。誤解がないようにしたいのは、実際に土下座するのではないです。日々、人と接する時は、相手を敬い、信頼関係を築こうとする心のあり方を「土下座」というユーモラスな言葉を使っています。そのポイントは、例えば「私はもともとせっかちなところがあります。それで迷惑なことがあったらごめんなさい」とあらかじめ謝っておくことです。これは、許しのハードルを下げることができます(セルフハンディキャッピング)。逆に、真面目で几帳面でミスしない優秀な人であると期待されてしまうと、いざミスして謝る時は、「ミスしないはずなのにしている」とがっかりされ、許しのハードルが上がってしまいます。自分が「ミスをしないロボット」ではなく、「ミスもする生臭い人間」であるという前提を日々強調しておくとが重要です(参照点の操作)。これらが、謝る時に許される土壌をつくります。許されている雰囲気があると最初から思われていることが重要です。「あやまる時、人は誰でも主人公」黒島は、「あやまる時、人は誰でも主人公」との座右の銘を掲げます。謝ることは、仕方なく嫌々やるものではなく、「主人公」として主体的に積極的にやるものであるということを私たちに教えてくれます。それは、プライド、パワーバランス、コストばかりを気にして、「謝ったら損をする」というネガティブな発想ではありません。それは、相手と分かり合える、仲良くなれるなどの信頼関係を強めることに目を向けて、「謝ったら得をする」というポジティブな発想です。つまり、謝ることは、重要なコミュニケーションの手段の1つであるということです。その大切さを理解した時、私たちは、「謝罪の王様」になることができるのではないでしょうか?<< 前のページへ1)大渕憲一:謝罪の研究―釈明の心理とはたらき、東北大学出版会、20102)内藤誼人:「人たらし」のブラック謝罪術、だいわ文庫、20093)間川清:うまい謝罪、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2011

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