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中年~晩年期の高血圧症、認知症リスクが増大/JAMA

 中年期~晩年期に高血圧症の人や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の人は、中年期~晩年期に正常血圧の人に比べ、認知症を発症するリスクが約1.5~1.6倍高いことが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のKeenan A. Walker氏らが住民ベースのコホート試験で明らかにした。晩年期の血圧値と認知機能の関係は、過去の高血圧症やその慢性化によると考えられている。また、高血圧が続いた後の晩年期の血圧低下は、不良な認知機能アウトカムと関連している可能性も指摘されていた。JAMA誌2019年8月13日号掲載の報告。4コミュニティの45~65歳を計6回追跡 研究グループは、米国内4ヵ所のコミュニティ(メリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、ミネソタ州ミネアポリス)に住む45~65歳を対象に1987~89年から試験を開始し、3年ごとに、1996~98年まで4回にわたり被験者を対面で診察した。その15年後の2011~13年には5回目の、2016~17年には6回目の診察を行い、詳細な神経認知評価を行った。血圧測定は、1~5回目の診察時にそれぞれ行った。最終追跡は2017年12月31日。 中年期~晩年期の正常血圧、高血圧症(収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg超)、低血圧症(収縮期血圧90mmHg/拡張期血圧60mmHg未満)と、認知症、軽度認知障害、認知機能低下との関連を検証した。 主要アウトカムは、介護者による観察尺度AD8(Ascertain Dementia-8)、電話による6項目スクリーナー、退院サマリーや死亡診断書の診断コード、6回目診察時の神経認知評価に基づく、5回目診察時以降の認知症発症だった。副次アウトカムは、6回目診察時の軽度認知障害だった。中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症、軽度認知障害は1.65倍に 被験者数は4,761例で、そのうち女性は2,821例(59%)、979例(21%)が黒人。5回目診察時の平均年齢は75(SD 5)歳で、1回目診察時の平均年齢範囲は44~66歳、同5回目は66~90歳だった。5回目と6回目の診察の間に認知症を発症したのは、516例(11%)だった。 認知症罹患率は、中年期~晩年期の正常血圧群(833例)は1.31/100人年(95%信頼区間[CI]:1.00~1.72)、中年期に正常血圧で晩年期に高血圧症の群(1,559例)は1.99/100人年(1.69~2.32)、中年期~晩年期に高血圧症の群(1,030例)は2.83/100人年(2.40~3.35)、中年期に正常血圧で晩年期に低血圧症の群(927例)は2.07/100人年(1.68~2.54)、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群(389例)は4.26/100人年(3.40~5.32)だった。 中年期~晩年期に高血圧症の群や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群は、同期間に正常血圧の群に比べ、認知症発症リスクはいずれも高く、ハザード比(HR)はそれぞれ、1.49(95%CI:1.06~2.08)と1.62(1.11~2.37)だった。晩年期の血圧値にかかわらず、中年期の高血圧症の持続と認知症リスクには関連が認められた(HR:1.41、95%CI:1.17~1.71)。 中年期~晩年期に正常血圧の群と比べて、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群では、軽度認知障害のリスクが高かった(患者37例、オッズ比:1.65、95%CI:1.01~2.69)。血圧パターンと晩年期の認知機能変化との有意な関連は認められなかった。

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アルコール摂取が心血管疾患に及ぼす影響

 アルコール使用は、非感染性疾患の予防および修正可能な因子であり、飲酒量によっては心血管系に複雑な影響を及ぼす。英国・バーミンガム大学のEd Day氏らは、アルコール使用と心血管疾患との関連性について検討した。Addiction誌2019年9月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・観察研究やプロスペクティブ研究では、少量のアルコールを摂取する人は、禁酒者と比較し、心血管および全死亡リスクが一貫して低いことが示唆されている(J曲線)。・潜在的なベネフィットの最大値は、女性の場合、標準ドリンクサイズ0.5~1杯/日(純エタノール:7~14g)で全死亡リスクが18%低下(95%信頼区間[CI]:13~22%)、男性の場合、1~2杯/日で全死亡リスクが17%低下(95%CI:15~19%)であった。・しかし、全体的なアルコールの有害作用は有益な効果をはるかに上回り、エタノールの平均消費量10g/日で早期死亡リスクが確実に増加する。・血圧は定期的なアルコール摂取により用量依存的に上昇し、高血圧(140/90mmHg超)の相対リスクは、エタノール50g/日で1.7、100g/日で2.5であった。・わずか1ヵ月の禁酒により、血圧値の低下が期待できる。・過度なアルコール摂取は、心臓の機能が正常な人であっても、急性心臓不整脈の発症と関連が認められる。・心房細動は、慢性的な大量アルコール摂取に関連する最も一般的な不整脈であり、アルコール量が14g/日を超えると、その後1杯(エタノール14g)当たり相対リスクが10%増加する。・エタノールとその代謝物は心筋細胞に毒性を有しており、アルコール性心筋症は非虚血性拡張型心筋症の全体の1/3を占める。 著者らは「アルコール摂取が少量ではない人に対するスクリーニングと簡便な介入により、心血管合併症発症の予防が可能である。心血管疾患を有する人は、アルコール摂取量を減らすことで改善が期待できる。アルコール性心筋症患者では、治療を最適化するため、禁酒を目指すべきである」としている。

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仕事に関連した精神的疲労と不眠症リスク

 ノルウェー科学技術大学のEivind Schjelderup Skarpsno氏らは、仕事に関連した精神的疲労と不眠症状リスクとの将来にわたる関連性を調査し、余暇がこの関連性に影響を及ぼすかについて、検討を行った。Behavioral Sleep Medicine誌オンライン版2019年7月15日号の報告。 対象は、ノルウェーHUNT研究の調査に2回連続で参加した女性8,464人と男性7,480人。1995~97年のベースライン時に、不眠症状の認められない就労者に関する縦断的なデータを調査した。2006~08年のフォローアップ期間において、ベースライン時の仕事に関連した精神的疲労と、余暇の身体活動に関連した不眠症状の調整リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・就労日後、常に精神的疲労を経験していた人は、経験したことがない、またはめったにない人と比較し、不眠症状のRRが女性2.55(95%CI:1.91~3.40)、男性2.61(95%CI:1.80~3.78)であった。・この関連は、余暇の身体活動による強い修正効果は認められなかったが、常に精神的疲労を経験している就労者の不眠症状のRRは、低い身体活動で3.17(95%CI:2.28~4.40)、高い身体活動で2.52(95%CI:1.89~3.39)であった。 著者らは「高認知作業負荷によって引き起こされる仕事に関連した精神的疲労は、不眠症状の強いリスク因子であることが示唆された。余暇の身体活動に明らかな修正効果は認められなかったが、低い身体活動を伴う仕事に関連した精神的疲労を経験した就労者で、不眠症状リスクが最も高かった」としている。

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統合失調症におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の役割

 統合失調症の病態生理において、ムスカリン受容体機能障害が重要な役割を担っていることが示唆されている。最近、神経伝達物質受容体に対する免疫反応性が、統合失調症のいくつかのケースにおいて、病原性の役割を担う可能性についても明らかとなっている。オーストラリア・クイーンズランド大学のAlexander E. Ryan氏らは、統合失調症におけるムスカリン受容体機能障害のケースをレビューし、この機能障害からムスカリン受容体標的抗体の開発が支持されるかについて検討を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年7月26日号の報告。 統合失調症におけるムスカリン受容体の研究および抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在と潜在的な役割についてレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・ムスカリンシグナル伝達の変化または欠乏が、統合失調症のいくつかの重要な臨床的特徴の根底にあるとのエビデンスが蓄積されている。・統合失調症における抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体について調査した研究は比較的少ないが、このような抗体が一定の割合の患者に存在することが一貫して認められた。・統合失調症において、これらの抗体が病原性作用を有する、または未知の病態生理学的過程に対するバイオマーカーとして存在することが示唆された。 著者らは「高レベルの抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在は、統合失調症患者のサブグループを特定し、病因や臨床症状、治療に役立つ可能性がある。これまでの研究では、とくに抗精神病薬治療を長期にわたり受けている慢性期統合失調症患者を対象としている。抗精神病薬は免疫機能を調整し、受容体濃度を調整するため、今後の研究では、初回エピソード統合失調症患者における抗ムスカリン抗体の存在をスクリーニングすることが推奨される」としている。

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認知機能低下と入院の関連、外科と内科で違いは/BMJ

 手術による2泊以上の入院は、平均的な認知機能の経過(the cognitive trajectory)にわずかながら影響を及ぼしたが、非外科的入院ほどではなかった。重大な認知機能低下のオッズは、外科手術後で約2倍であり、非外科的入院の約6倍よりも低かったという。米国・ウィスコンシン大学のBryan M. Krause氏らが、加齢に伴う認知機能の経過と大手術との関連を定量化する目的で行った前向き縦断的コホート研究の結果を報告した。手術は長期的な認知障害と関連する可能性があるが、これらの関連性を検討した先行研究では、認知機能低下が加齢に伴い加速するという認知機能の経過を考慮しておらず、方法論的な問題のため一貫した結果が得られていなかった。著者は、「本研究の情報は、インフォームドコンセントの際に、手術による健康上の有益性の可能性と比較検討されるべきである」とまとめている。BMJ誌2019年8月7日号掲載の報告。Whitehall IIコホート研究の参加者を対象に19年間追跡 研究グループは、Whitehall II研究において1997~2016年の間に認知機能の評価を5回行った成人7,532例を対象に、Hospital Episode Statistics(HES)データベースを用いて、手術と加齢に伴う認知機能の経過との関連を解析した。 注目した曝露は入院で、追跡期間中の2泊以上の入院を“大きな入院”と定義し、主要評価項目は論理的思考、記憶、音素流暢性(phonemic fluency)、意味流暢性(semantic fluency)を含む認知機能検査一式から得られた全般的認知機能スコア(global cognitive score)とした。 ベイズ線形混合効果モデルを用いて入院後の加齢に伴う認知機能の経過における変化を算出するとともに、手術によって引き起こされた重大な認知機能低下(最初の3回の認知機能評価データに基づく予測経過から標準偏差1.96を超えると定義)のオッズも同様に算出した。重大な認知機能低下のオッズは、外科的入院で約2倍、内科的入院で約6倍 加齢に伴う認知機能の経過を考慮した後でも、大手術(“大きな入院”を要した手術)はわずかな認知機能低下と関連があり、平均して5ヵ月未満の加齢に相当した(95%信用区間[CrI]:0.01~0.73)。一方、内科疾患および脳卒中による入院は、それぞれ1.4年(95%CrI:1.0~1.8)と13年(95%CrI:9.6~16)の加齢と関連していた。 重大な認知機能低下は、非入院患者の2.5%、外科入院患者の5.5%、内科入院患者の12.7%で確認された。“大きな入院”をしていない患者と比較すると、外科的または内科的イベントを伴う"大きな入院"をした患者は、認知機能の予測経過からかなり低下する傾向にあった(外科的入院オッズ比:2.3[95%CrI:1.4~3.9]、内科的入院オッズ比:6.2[95%CrI:3.4~11.0])。 なお、著者は研究の限界として、因果関係は不明で、麻酔投与のデータは限られており、長期的な認知機能の変化における麻酔の影響は評価していないことなどを挙げている。

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うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、うつ薬治療に奏効しなかったうつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法(0.5~3mg/日)の二重盲検ランダム化比較試験を含むシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年7月27日号の報告。 アウトカムは、奏効率(主要)、寛解率(副次)、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS、副次)、シーハン障害尺度(SDS、副次)、臨床全般印象/重症度(CGI-I/CGI-S)、中止率、有害事象とした。6週目のデータにおけるサブグループメタ解析において、2mg/日超または2mg/日以下の投与量でアウトカムの比較を行った(2mg/日が推奨投与量)。 主な結果は以下のとおり。・9試験、3,391例が抽出された。・任意の用量におけるブレクスピプラゾール補助療法は、プラセボと比較し、奏効率(リスク比[RR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.89~0.97、NNT:17)、寛解率(RR:0.95、95%CI:0.93~0.98、NNT:25)、MADRSスコア(標準化平均差[SMD]:-0.20、95%CI:-0.29~-0.11)、SDSスコア(SMD:-0.12、95%CI:-0.21~-0.04)、CGI-I/CGI-Sが優れていた。一方で中止率は高く、アカシジア、不眠、情動不安、傾眠、体重増加が認められた。・投与量が2mg/日超(0.96)では、2mg/日以下(0.89)と比較して奏効率が有意に高かった。さらにプラセボと比較すると、アカシジア(RR:4.58)、傾眠(RR:7.56)の発生率が高く、体重増加ともわずかな関連が認められた(RR:3.14、p=0.06)。 著者らは「うつ薬治療に奏効しなかったうつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法は有効である。6週目において、投与量2mg/日以下は2mg/日超よりも、優れたリスクとベネフィットのバランスが示された」としている。■「ブレクスピプラゾール」関連記事ブレクスピプラゾールのリバウンド現象抑制作用

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日本と米国における認知症ケア選択~横断的観察研究

 日本では、認知症者ができるだけ長く社会に関わっていけるようにするため、国策として「dementia-friendly initiative」を導入した。しかし、家族の介護負担を軽減するために特別養護老人ホームへの入所を選択する人もいる。政策を決定するうえで、介護する場所に対する中年の好みを理解し、それに影響を及ぼす要因を特定することは、「dementia-friendly initiative」の促進に役立つ。東京都医学総合研究所の中西 三春氏らは、認知症を発症した際の、日本と米国の中年におけるケアの好みについて調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年7月7日号の報告。 40~70歳の日本人104人、日系米国人93人、非アジア系米国人104人の合計301人を対象に、インターネットアンケート調査を行い、横断的観察研究を実施した。対象者は、ケアや管理が必要な認知症を発症したという仮定の状況に基づき、アンケートに回答した。 主な結果は以下のとおり。・対象者のケアの好みは、特別養護老人ホームでのケア(29.9%)、専門家によるケア(19.6%)、家族によるケア(17.6%)、病院でのケア(11.3%)の順であった。・日本人は、日系および非アジア系米国人と比較し、専門家による在宅ケアを好む傾向が有意に低かった(調整オッズ比:0.28、95%信頼区間:0.10~0.75)。・ケアの好みにおける民族間の違いは観察されなかった。 著者らは「日本人中年の専門家による在宅ケアへのニーズの低さは、日本特有の長期および認知症介護システムに影響されている可能性がある。政策を決定する際には、認知症者の家族にとってより利用しやすい専門家による在宅ケアサービスを検討すべきである」としている。

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認知症リスクに50歳での心血管健康度が関連/BMJ

 中年期に推奨される心血管健康スコア「ライフ シンプル7」の順守が、晩年における認知症リスク低下と関連していることが明らかにされた。「ライフ シンプル7」では、生活習慣や血糖値、血圧など7つの項目をスコア化し心血管リスクの指標としている。フランス・パリ大学のSeverine Sabia氏らが、約8,000例を約25年間追跡した、前向きコホート試験により明らかにし、BMJ誌2019年8月7日号で発表した。心血管健康スコアの値で3つに分類 研究グループは、ロンドンの公務員を対象に行われたWhitehall II試験(1985~88年に登録)の参加者で、50歳時点における心血管健康スコアのデータがあった7,899例を対象に前向き試験を行った。 心血管健康スコアは、4つの行動指標(喫煙、食事、身体活動、BMI)と3つの生物学的指標(空腹時血糖、血中コレステロール、血圧)を3ポイント尺度(0、1、2)でコード化し、7つの指標(スコア範囲:0~14)の合計から心血管健康が低い(0~6)、中程度(7~11)、最適(12~14)に分類した。 主要評価項目は、2017年までの認知症の発症、入院、精神医療サービスの利用、死亡であった。心血管健康スコア1ポイント増加で認知症リスク1割低減 追跡期間中央値24.7年の間に、347例の認知症が記録された。 心血管健康が低い群における認知症罹患率3.2/1,000人年(95%信頼区間[CI]:2.5~4.0)に対して、中程度群の同罹患率の絶対率差は-1.5/1,000人年(同:-2.3~-0.7)で、最適群の絶対率差は-1.9/1,000人年(同:-2.8~-1.1)だった。 心血管健康スコアの高値は、認知症リスク低下と関連が認められた(心血管健康スコア1ポイント増加当たりのハザード比[HR]:0.89[95%CI:0.85~0.95])。同様の関連は、行動および生物学的サブスケールにおいても認められた(それぞれHR:0.87[95%CI:0.81~0.93]、0.91[0.83~1.00])。 追跡期間中に心血管疾患を発症しなかった人についても、50歳時点での同スコアと認知症リスクとの関連について、同様の傾向が認められた(心血管健康スコア1ポイント増加当たりの認知症HR:0.89[0.84~0.95])。

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万引き家族(後編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 1

今回のキーワード行動遺伝学差別ラベリング理論不平等ストレングスモデルペアレントトレーニング社会的絆理論「不都合な真実」「万引き」は遺伝するの? ―遺伝率「万引き」(反社会的行動)の起源が進化心理学的にわかりました。それでは、「万引き」は遺伝するのでしょうか? その答えを、行動遺伝学的に考えてみましょう。双生児研究において、反社会的行動の一致率は二卵生双生児が50%程度であるのに対して、一卵生双生児は80%へと高率になることが分かっています。ここから、遺伝、家庭環境、家庭外環境の影響の強さの相対的な比率が算出されます。なお、厳密には男女差、年齢差、研究機関の差がありますが、わかりやすくするために、青年期の平均男女のおおむねの数値として示します。(1)遺伝-約60%1つ目として、遺伝の影響(遺伝率)は約60%と算出されます。音楽やスポーツの遺伝率は、80%を超えています。つまり、反社会的行動は、音楽やスポーツほどではないにしても「ネガティブな才能」と言えそうです。遺伝の要素は、先ほどご紹介した抽象的思考の困難さのほかに、共感性欠如、衝動性などが指摘されています。よって、たとえば、万引きを共にしている治と信代の間に、もしも子どもが生まれたとしたら、その子どもが万引きをする可能性は、音楽やスポーツほどではないにしても、一定の可能性があると言えます。(2)家庭環境-約20%2つ目として、家庭環境(共有環境)の影響は約20%と算出されます。なお、養子研究において、犯罪率(反社会的行動)が最大になるのは、実親が犯罪歴(反社会的行動)を持たない子どもよりも持つ子どもが、そして犯罪歴(反社会的行動)を持たない養親よりも持つ養親に育てられた時であることが分かっています。これは、遺伝と環境の相互作用と呼ばれます(G/E相関)。家庭環境の要素は、主に、先ほどご紹介した反社会的行動モデルです。よって、たとえば、先ほどの治と信代の間に生まれた子どもが、一般家庭(反社会的モデルではない家庭)に養子として出されたら、その子どもが万引きをする可能性は低くなると言えます。ちなみに、「祥太」という名は、治の本名である「勝太」から名付けられており、治なりの思いがありました。そんな治と信代という家庭環境の影響があっても、祥太が万引きをしなくなったのは、祥太にはもともと遺伝の影響が少なかったからであると説明できます。なお、実は、家庭環境の影響が一定数あるのは、反社会的行動のほかに、アルコール、タバコ、ドラッグなどの依存症(嗜癖)と語学力です。つまり、幼少期から家庭内で良くも悪くもお手本(モデル)として見てしまうことは、本人の好き嫌い、善し悪しの価値観に影響を与えているようです(家族文化)。逆に言えば、「見ていなければ、ならない、やらない」とも言えるでしょう。(3)家庭外環境-約20%3つ目として、家庭外環境(非共有環境)の影響は約20%と算出されます。家庭外環境の要素は、遺伝と家庭環境を除いた残りの要素になります。これは、友人関係をはじめとして、学校、職場、近所との人間関係、そして結婚相手と築く家族関係などの社会的な環境です。ここで、家庭内環境と家庭外環境を合わせた環境を「水やり」に例えてみましょう。すると、遺伝は「種」です。つまり、「種」に「水やり」をして初めて、ある特定の心理の「芽」が出たり、実際の行動という「花」を咲かせます。たとえば、祥太は、学校に行かせてもらえず、近所付き合いもないという点で、家庭外環境の影響がほとんど0というきわめて特殊な状況でした。祥太にとって初めての家庭外環境の影響が、万引きした駄菓子屋のおじいさんの「妹にはさせるなよ」という一言なのでした。ただ、祥太には、それで十分だったのです。その瞬間に、罪悪感(社会性)の「芽」が出たのです。そして、万引き(反社会性)の「芽」はしぼんでいったのでした。なぜ「万引き」の遺伝は「なかったこと」にしたいの?「万引き」(反社会的行動)が一定の確率で遺伝することがわかりました。ただ、この事実を知らされて不快に思っている人もいるでしょう。この事実を伝えている私自身も、居心地の悪い思いです。できることなら、「なかったこと」にしたいです。それでは、あえて考えてみましょう。なぜ「なかったこと」にしたいのでしょうか? その心理を主に3つ掘り下げてみましょう。(1)差別になると思うから-私たちはもともと「善」である-信頼感先ほど、治と信代の間に生まれた子どもが万引きをするのは、一定の可能性があると説明しました。つまり、その子どもは、万引きを実際にする前から、万引きをする可能性があると指摘することになります。これは、「犯罪者の子ども」という烙印です。1つ目の心理は、犯罪と遺伝の関係を受け入れると差別になると思うからです。確かに、犯罪という「悪の遺伝子」があるとしたら、社会全体で排除しようとする流れになる危うさがあります。それは、かつての「優生思想」につながります。逆に言えば、差別になってはいけないという思いには、私たちはもともと「善」であるという信頼感が根底にあります。信頼感は、原始の時代に進化した社会脳の基盤であることをすでにご説明しました。これは、「生まれながらの犯罪者はいない」という信念です。犯罪が遺伝するとなると、その信念が揺らいでしまうからです。また、犯罪をすると決めつける、レッテル貼りをすることで、犯罪を誘発するという実際的な問題もあります(ラベリング理論)。(2)不平等になると思うから-私たちはもともと「同じ」である-公平感信代を取り調べる女性刑事は、じゅりを誘拐した理由について「あなたが産めなくてつらいのは分かるけどね」「(子持ちが)うらやましかった?」と尋ね、挑発しながらも理解しようとしています。2つ目の心理は、犯罪と遺伝の関係を受け入れると不平等になると思うからです。確かに、反社会的行動が生まれながらにある程度決まっているとしたら、あまりにも残酷です。それは、性格、知能、精神障害などについても言えるでしょう。逆に言えば、不平等になってはいけないという思いには、私たちは、たとえ見た目は違っても、見えない心についてはもともと「同じ」であるという公平感が根底にあります。公平感も、原始の時代に進化した社会脳です。これは、「心は空白の石版である」という信念です。犯罪が遺伝するとなると、その信念が揺らいでしまうからです。(3)懲らしめられなくなると思うから-私たちはもともと「意思」がある-責任感治を取り調べる刑事は、祥太に万引きを教えた理由について「ほかに教えられることが何にもないんです」という治の開き直ったような返答を聞き、怒りを抑えきれません。3つ目の心理は、犯罪と遺伝の関係を受け入れると懲らしめられなくなると思うからです。確かに、犯罪が遺伝子によって突き動かされたとしたら、本人の責任をどこまで問えるのかという懲罰の正当性が曖昧になります。逆に言えば、懲らしめられなくなってはいけない、懲らしめたいという思いには、私たちはもともと「意思」がある、つまり「行動には責任が伴う」という責任感が根底にあります。責任能力は、懲罰において必須事項です。これは、「懲らしめられると思うと罪を犯さない」「懲らしめれば心を入れ替える」という信念です。これは先ほどにご説明した通り、懲罰によって犯罪が抑止され更生されるという考え方です。犯罪が遺伝するとなると、その信念が揺らいでしまうからです。次のページへ >>

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万引き家族(後編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 2

万引きをしないためにはどうすれば良いの?「万引き」(反社会的行動)の遺伝を「なかったこと」にしたいのは、差別になる、不平等になる、懲らしめられなくなるという私たちの思いがあることがわかりました。そして、その思いの根底にあるのは、私たちはもともと「善」であり、「同じ」であり、「意思」があるという心理でした。ただし、これらの心理は、原始の時代の村で進化してきたものです。その村は、血縁関係でつながり、共通点が多く、お互いのことをよく知っていて、助け合って、信頼できる平等社会です。一方、現代の国家ではどうでしょうか? 多様化して共通点が少なく、お互いのことをよく知らず、直接助け合っておらず、信頼できるかわからない格差社会です。私たちの心はほとんど原始の時代のままなのに、現代の社会構造(環境)があまりにも変わってしまっています。「万引き」(反社会的行動)の「芽」がより出やすくなっているように思えます。だからこそ、私は、犯罪と遺伝の関係という「不都合な真実」を伝える必要があると思います。そして、その「真実」を踏まえてこその対策があると思います。それでは、万引きをしないためにはどうすれば良いでしょうか? 遺伝、家庭環境、家庭外環境にわけてそれぞれ考えてみましょう。(1)遺伝-本人の特性を強みとして生かす-ストレングスモデル家族団らんのシーンで、亜紀の気に入っている客が無口だったと聞いた信代は「あー男は無口なくらいがちょうどいいよ。おしゃべりはダメ」と言って、遠くから治を箸で指し、からかいます。すると、治は、「何?おれのこと呼んだ?」とツッコミを入れて、祥太とじゅりに手品を披露します。ここで分かるのは、治の良さは、おしゃべりでノリが良いこと、観察力があり器用であることです。これは、万引きの手際の良さから言うまでもありません。その後、信代が罪をすべてかぶったため、治は、罰を逃れました。しかし、定職に就くこともなく、一人暮らしをしているようです。治は、これで良いのでしょうか?1つ目の対策は、もともとの本人の特性を強みとして生かすことです(ストレングスモデル)。治は、抽象的思考が苦手なため、相手の指示の意図や段取りがわからないです。よって、建築作業員や事務員などは向いていないと言えます。また、飽きっぽさから、信代がやっていたようなクリーニング工場での単純機械作業も向いていないでしょう。向いているのは、単純な接客など、対人的でその場のやり取りに限定した仕事でしょう。もちろん、知的障害が判明すれば、障害者枠就労も現実的でしょう。もちろん、治に反省を促すことはできます。しかし、すでに説明した通り、抽象的思考が苦手なため、その反省は表面的で一時的でしょう。そもそも治には前科があるということが後に判明します。このように、ポイントは、犯罪歴があり再犯リスクのある個人に対して、懲らしめとして社会から疎外して、ひたすら反省を促すのではありません(ソーシャルエクスクルージョン)。一定の制限は設けつつも、むしろ社会復帰をするリハビリテーションを促すことです(ソーシャルインクルージョン)。行動遺伝学的に言えば、反社会性の「芽」が出てしまっていても、対極の社会性の「芽」には「水やり」をし続けることです。それは、社会への信頼と誇りを育むことです。これをしないと、結局、反社会性の「芽」が出たままで、行動化という「花」をまた勝手に咲かせるかもしれません。つまり、反社会性の「芽」が出てしまっている人にこそ、社会から疎外して放置するのではなく、またその「花」を咲かせないような予防介入をすることが重要になります(個別的予防介入)。そもそも、「万引き」(反社会的行動)をする人たちだけが、その「種」を持っているわけではありません。私たち一人一人の心の中にも、量の差はあれ、その「種」を持っており、あるきっかけで「芽」が出てくるかもしれません。そう考えると、犯罪と遺伝の関係を受け入れても、差別になるという発想は出てこないでしょう。つまり、私たちは、もともと「善」でも「悪」でもないと冷静に理解する必要があります。(2)家庭環境-親が子育てを勉強する-ペアレントトレーニング信代がじゅりに洋服を買ってあげようとした時、じゅりから「叩かない?」「あとで、叩かない?」と繰り返し確認されます。その瞬間、信代は、じゅりの母親が毎回服を買った後に叩いていたことを確信し、「大丈夫、叩いたりしないよ」と優しく言います。じゅりの母親もまた夫からDVを受けており、じゅりの家庭では暴力がコミュニケーションの1つの形になっています。じゅりの母親は、体罰をしつけの一環としており、虐待の自覚がないようです。2つ目の対策は、親が子育てを勉強することです。かつて大家族で、見守ってくれる周りの目がたくさんありました。そして、教えてくれる先輩の親がいました。しかし、現在は、核家族化が進んでおり、見守る目はあまりなく、ママ友はいたとしても、家に一緒にいて教えてくれたり、助けてくれる先輩ママはなかなかいません。すると、子育てが独りよがりになってしまいます。それが、じゅりの家庭の暴力、治と信代の家庭の万引きです。このような反社会的モデルにならないという子育てのやり方をまず親が勉強する社会的な仕組み作りが必要です。たとえば、自閉症やADHDをはじめとする発達障害で、療育に並んで早期に行われる親への心理教育(ペアレント・トレーニング)と同じです。行動遺伝学的に言えば、反社会性の「種」を多く持っている可能性がある子どもにこそ、社会性の「種」への「水やり」を丁寧にする必要があることをまずその親が自覚することが重要になります(選択的予防介入)。そもそも、「万引き」(反社会性)に限らず、私たちは、それぞれ違う「種」を持っています。生まれながらにして、私たちは、心も体も「不平等」です。ただし、生まれてから、教育や福祉によって、将来的になるべく不平等にならないような社会の仕組み作りをすることはできます。そう考えると、犯罪と遺伝の関係を受け入れても、不平等になるという発想は出てこないでしょう。つまり、私たちは、もともと「同じ」ではないと冷静に理解する必要があります。(3)家庭外環境-社会とのつながりを持つ-社会的絆理論刑事は、祥太から「学校って、家で勉強できない子が行くんじゃないの?」と聞かれて、「家だけじゃできない勉強もあるんだ」「(友達との)出会いとか」と答えています。その後、祥太は「国語のテストで8位になった」と喜ぶシーンもあります。祥太の人生が、大きく開けてきています。3つ目は、社会とのつながりを持つことです(社会的絆理論)。祥太にとって、その初めての「出会い」は、駄菓子屋のおじいさんでした。さらに、学校に行くというかかわり(インボルブメント)や勉強や部活動をがんばるという目標(コミットメント)です。さらに、マクロな視点で考えてみましょう。初枝は訪問に来た民生委員を追い払っていました。このように、治、信代、初枝は、こそこそと暮らし、孤立していました。そこには、行き詰まり感も描かれています。つながりの希薄さは、ちょうど非正規雇用、非婚、ひきこもりなどの昨今の社会問題にもつながります。そうではなくて、役所をはじめ、周りに相談し、福祉サービスを受けることです。たとえば、初枝は、治と信代と世帯分離をすれば、持ち家があっても生活保護の受給が可能になります。治は、就労支援や障害者枠雇用が可能になります。信代は、ハローワークを介して再就職が可能になります。このような社会とのつながりや援助によって格差が減ることで、彼らの社会への復讐心は減っていくでしょう。行動遺伝学的に言えば、反社会性の「種」があっても、「芽」が出ていても、「花」が咲かないように、その「水やり」をしない取り組みを社会全体ですることが重要になります(全体的予防介入)。そもそも、「万引き」(反社会性)に限らず、「種」から「芽」が出て、「花」が咲くかどうかは、それまでの「水やり」の加減次第です。そういう意味では、私たちたちの行動は、遺伝だけでなく、やはり環境によっても決まっていると言えます。ある行動に対しての「意思」は、私たちが思っている以上に、周りによって揺れているのかもしれないと思えてきます。つまり、「万引き」(反社会的行動)は、他人事ではないということです。原始の時代は、その極限状況から、「万引き」をした人の排除という手段しか残されていなかったわけです。排除すれば、死んでしまう可能性が高いため、再犯リスクはほぼ0です。しかし、現代は違います。「万引き」をした人は生き続けると同時に、彼らの教育や福祉にコストをかける社会の余裕があります。懲らしめることが全てではないです。そう考えると、犯罪と遺伝の関係を受け入れても、懲らしめられなくなるという単純な発想は出てこないでしょう。つまり、私たちの「意思」は、思っているよりも流されやすいと冷静に理解する必要があります。「本当の社会」とは?刑事が祥太に「本当の家族だったらそういうことしないでしょ」と言うシーンがありました。祥太をはっとさせると同時に、私たちをもはっとさせるインパクトのあるセリフです。同じように考えれば、「本当の社会」だったら、どうでしょうか? その「不都合な真実」と向き合うでしょう。なぜなら、その社会は、本当に「万引き」(反社会的行動)が減ってほしいと願うからです。そして、より良い社会になってほしいと願うからです。これは、すでに行われている犯罪加害者の教育政策や福祉政策を支持するものです。犯罪に対して厳しい目で見たり、排除したくなる気持ちは、私たちの心の中に、もちろんあります。ただし、同時に私たちが、その「不都合な真実」に向き合った時、そして、排除することが次の犯罪を誘発するという逆説に気付いた時、その逆説を踏まえた対策を理解することができるでしょう。その時、「不都合な真実」は「都合がつけられる事実」であったと納得できるのではないでしょうか?■関連記事ムーンライト【マイノリティ差別の解消には?】積木崩し真相アイアムサム【知能】告白【いじめ(同調)】Part 1■参考スライド【パーソナリティ障害】2019年1)万引き家族:是枝裕和、宝島社文庫、20192)犯罪心理学 犯罪の原因をどこに求めるのか:大淵憲一、培風館、20063)遺伝マインド:安藤寿康、有斐閣Insight、20114)言ってはいけない:橘玲、新潮新書、2016<< 前のページへ

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クエチアピン徐放製剤とオランザピンの日本人双極性うつ病に対する有効性の違い

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本人双極性うつ病患者におけるクエチアピン徐放製剤300mg/日(QUEXR300)とオランザピン5~20mg/日(OLZ)との有効性および安全性の違いについて、比較検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。クエチアピンとオランザピンの双極性うつ病患者への有効性に有意差なし 日本におけるQUEXR300とOLZの第III相臨床試験のデータを用いて、ベイズ分析を行った。アウトカムは、寛解率(主要)、奏効率、Montgomery Asbergうつ病評価尺度および17項目のハミルトンうつ病評価尺度スコアの改善、中止率、有害事象発生率とした。連続データと二値データについて、標準化平均差(SMD)、リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)をそれぞれ算出した。 クエチアピン徐放製剤とオランザピンの日本人双極性うつ病患者における有効性の違いを比較した主な結果は以下のとおり。・有効性に関して、QUEXR300とOLZでは有意な差は認められなかった。・安全性に関しては以下のとおりであった。 ●QUEXR300はOLZよりも、傾眠の発生率が高かった(RR:5.517、95%CI:1.563~19.787)。 ●OLZはQUEXR300よりも、体重増加が重度で(SMD:-0.488、95%CI:-0.881~-0.089)、血中プロラクチン濃度が高かった(SMD:-0.642、95%CI:-1.073~-0.213)。 ●OLZはQUEXR300よりも、HDLコレステロールレベルの減少がより大きかった(SMD:-0.408、95%CI:-0.785~-0.030)。 著者らは「両剤の有効性に違いは認められなかったが、OLZはメタボリックシンドロームのリスクを、QUEXR300は傾眠リスクを上昇させた。本結果を確認するためには、日本人双極性うつ病患者に対する両剤の直接比較試験が必要である」としている。

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日本のプライマリケア医における認知症診断の開示に関する調査

 日本の認知症患者は、2025年には700万人に達すると予測されている。現代の倫理学者たちの結論では、認知症診断を完全に開示することが患者にとって最善の利益につながるとされているが、この関連性は、日本ではまだ研究されていない分野である。浜松医科大学のMichiko Abe氏らは、認知症診断の開示の実践に対するプライマリケア医の見解について調査を行った。BMC Family Practice誌2019年5月23日号の報告。 このqualitatively driven mixed methods projectでは、農村部と都市部別のサンプルを用いて、プライマリケア医24人を対象に、半構造化面接を行った。すべてのインタビューは、言葉どおりに記録し、テーマ別に分析を行った。研究チームは、テーマが飽和に達するまで、コンセプトを繰り返し議論した。サマリーは参加者に配布し、フィードバックを最終分析に組み込んだ。 主な結果は以下のとおり。・プライマリケア医24人の内訳は、農村部12人、都市部12人であった。・認知症診断を患者に開示するか、疾患名を明確に伝えるか、予後の程度について伝えるかにおいて違いがみられた。・開示の実践に慣れている医師は、患者や家族とともにコミュニケーションをとっており、開示に慣れていない医師は、患者の気持ちを心配し、潜行性の疾患進行を考慮すると、否定的な認識を持っていた。 著者らは「プライマリケア医は、認知症診断の開示やコンフォートレベルにおいて個人差が認められた。この問題に関するさらなる議論や認知症診断の開示に自信が持てないプライマリケア医を育成するためのトレーニングが必要だと考えられる」としている。

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日本における不眠症のためのインターネットベース認知行動療法に関する調査

 不眠症に対する認知行動療法(CBT)は、インターネットを用いることにより、低コストで普及できる可能性がある。しかし、インターネットベースのCBTによる不眠症治療へのニーズは、十分に調査されていない。千葉大学の佐藤 大介氏らは、不眠症治療へのニーズを評価するため、匿名のオンライン調査を実施した。JMIR Formative Research誌2019年5月15日号の報告。不眠症に対する認知行動療法のやり方はネットと対面式の選択割合が半々 関東地方に在住する600人が、オンライン調査を通じて集められた。参加者は、薬物治療をしている不眠症患者200人、薬物治療をしていない不眠症患者200人、非不眠症200人の3つのサブグループに分類された。調査内容は、アテネ不眠尺度を用いた不眠症重症度、睡眠薬の使用頻度および使用満足度、CBTに関する知識、薬物治療前の不眠症に対するCBTの治療選択ニーズ、薬物治療と比較したCBTの治療選択ニーズ、対面式CBTと比較したインターネットベースでのCBTの治療選択ニーズとした。 不眠症に対する認知行動療法のやり方についてのニーズを調査した主な結果は以下のとおり。・600人中、薬物治療前にCBTを受けていた参加者は47.7%(286例)であり、薬物治療よりもCBTを選択した参加者は57.2%(343例)であった。・対面式CBTよりも、インターネットベースのCBTを選択した参加者は47.0%(282例)であった。・インターネットベースのCBTへのニーズは、薬物治療をしている不眠症患者では比較的低く(40.5%、81例)、薬物治療をしていない不眠症患者でより高かった(55.5%、111例)。 著者らは「本調査では、約半数の参加者が薬物治療よりも不眠症に対するCBTを選択すると回答した。また、インターネットベースのCBT、対面式CBTの選択割合も半々であった」としている。

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妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病リスク

 これまでの研究において、妊娠中の抗うつ薬使用に関連する妊娠糖尿病について中程度のリスクが観察されている。しかし、これは適応症による交絡の可能性も考えられる。米国・ワシントン大学のPaige D. Wartko氏らは、交絡を考慮したうえで、妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病との関連性および血糖値の評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年7月12日号の報告。 電子健康データとリンクしたワシントン州の出生記録を用いて、Kaiser Permanente Washington(総合医療提供システム)に登録されている女性のうち妊娠前6ヵ月間で抗うつ薬を処方されていた女性を対象に、2001~14年の間に単胎児出生のレトロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠中も抗うつ薬を使用していた女性を継続群(1,634例)、使用していなかった女性を中止群(1,211例)とした。妊娠糖尿病の相対リスク(RR)およびスクリーニング時の血糖値の平均差を算出するため、治療重み付け逆確率を用いた一般推定式を使用した。ベースライン特性にはメンタルヘルス状態および重症度の指標が含まれる。 主な結果は以下のとおり。・中止群と比較し、継続群の妊娠糖尿病リスク(RR:1.10、95%CI:0.84~1.44)および血糖値(平均差:2.3mg/dL、95%CI:-1.5~6.1mg/dL)は、同程度であった。・特定の抗うつ薬についてもほぼ同様の結果が観察された。セルトラリン(RR:1.30、95%CI:0.90~1.88)およびベンラファキシン(RR:1.52、95%CI:0.87~2.68)に関連する妊娠糖尿病リスクの潜在的な影響が認められたが、いずれも統計学的に有意ではなかった。 著者らは「妊娠中に抗うつ薬を使用している女性では、妊娠糖尿病や高血糖リスクが高いわけではないことが示唆された。セルトラリンとベンラファキシンについては、さらなる研究が必要かもしれない」としている。

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トラックドライバーの日中の眠気とアルコール消費との関係

 商用車ドライバーの交通事故の主な原因として、日中の過度な眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)が挙げられる。アルコール消費は、睡眠に直接的な影響を及ぼし、翌日の注意力やパフォーマンスに悪影響を及ぼす。順天堂大学のRonald Filomeno氏らは、日本の商用トラックドライバーにおけるアルコール消費とEDSとの関係および、このことが公衆衛生に及ぼす影響について横断的研究を実施した。Occupational Medicine誌オンライン版2019年7月2日号の報告。 対象は、東京都および新潟県の商用車ドライバー。対象者は、年齢、BMI、アルコール消費量、エプワース眠気尺度(ESS)、タバコ消費量の詳細を含む自己管理型アンケートに回答した。対象者の酸素飽和度低下指数は、対象者が自宅に持ち帰ったパルスオキシメーターで評価された。 主な結果は以下のとおり。・全日本トラック協会に登録されている20~69歳の男性ドライバー1,422人が回答した。・43歳未満のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整オッズ比(OR)は、軽度飲酒者で0.81(95%CI:0.47~1.40)、中等度飲酒者で0.93(95%CI:0.51~1.70)、大量飲酒者で0.61(95%CI:0.21~1.79)であった。・43歳以上のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整ORは、軽度飲酒者で1.42(95%CI:0.59~3.45)、中等度飲酒者で1.53(95%CI:0.63~3.75)、大量飲酒者で3.37(95%CI:1.14~9.96)であった(P for interaction=0.05)。 著者らは「ESSとアルコール摂取との関連について、アルコール消費量の増加とともにEDSレベルが上昇することが示唆され、とくに43歳以上ではその関連がより顕著である」としている。

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精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサント1週間投与のオープンラベル試験

 精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサントの有効性および安全性に関する報告は、これまで行われていなかった。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、精神疾患患者を対象に、不眠症に対するスボレキサントの1週間プロスペクティブ臨床試験を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。 試験開始の前週に不眠症状(総睡眠時間[TST]6時間未満、入眠時間[TSO]30分以上、入眠後2回以上の中途覚醒エピソードのいずれか)を4夜以上経験した精神疾患患者57例を対象に、スボレキサント固定用量による1週間の単一群プロスペクティブ臨床試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は49.4±17.3歳、女性の割合は54.4%、うつ病患者49.1%、試験完了率77.2%であった。・スボレキサント投与は、ベースラインスコア(試験開始前2日間の平均スコア)と比較し、1週目のTST、TSO、中途覚醒、患者睡眠満足度の有意な改善と関連が認められた。・有害事象が発現した患者は43.9%であった。主な有害事象は、眠気(28.8%)、疲労感(11.5%)、悪夢(5.8%)、頭痛(3.8%)、めまい(3.8%)、嘔吐(1.9%)であった。 著者らは「スボレキサントは、精神疾患患者の不眠症治療に有用な薬剤である。しかし、本研究は短期間であり、対象患者数も少数であったことから、より大規模な長期試験が必要とされる」としている。

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認知症の有無によるせん妄の影響

 せん妄エピソード後の機能や認知機能の低下および死亡率に対し、認知症の有無が影響を及ぼすかについて、オランダ・Meander Medical CentreのSofie van Roessel氏らが、レビューを行った。Maturitas誌2019年7月号の報告。 認知症およびせん妄について、MEDLINE、EMBASEよりシステマティックに検索を行った。研究結果をスクリーニングした後、関連性および妥当性を評価し、データを抽出した。認知機能低下は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの低下と定義した。機能低下は、バーセル尺度(BI)、手段的日常生活動作(IADL)スコアの低下または施設入所と定義した。 主な結果は以下のとおり。・潜在的に関連する研究5,092件より、8研究がレビューに含まれた。・1年死亡率は、認知症患者で11~45%、非認知症患者で22~44%、全体絶対率は34%(95%CI:0.32~0.36)であった。・プールされたデータに、グループ間で有意な差は認められなかった。・MMSEスコアとBIは、6ヵ月後に両群において改善が認められたが、IADLスコアの減少が認められた。・しかし、認知症患者は非認知症患者と比較し、すべての時点におけるスコアが有意に低かった。・さらに、せん妄発症後の施設入所リスクは、非認知症患者が20%であったのに対し、認知症患者は33%であった(95%CI:0.06~0.20)。 著者らは「せん妄後の1年死亡率は34%と高く、これは認知症の有無にかかわらず有意な差が認められなかった。認知症患者では、機能や認知機能のスコアが有意に低く、せん妄後の施設入所リスクが高かった。患者および介護者は、この情報を共有すべきであり、事前のケア計画にも役立つ可能性がある」としている。

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統合失調症患者の自殺企図の頻度~観察研究のメタ解析

 自殺企図は、自殺および将来の潜在的な死亡リスクに影響を及ぼす重要な指標である。しかし、自殺企図の有症率は、研究間でばらつきがある。中国・マカオ大学のLi Lu氏らは、統合失調症患者の自殺企図の有症率を調査するため、メタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 各データベース(Embase、PsycINFO、PubMed、Web of science、Cochrane)よりシステマティックに検索を行った。統合失調症患者の自殺企図の有症率に関するデータを、ランダム効果モデルを用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、35研究、統合失調症患者1万6,747例であった。・自殺企図のプールされた生涯有症率は26.8%(95%CI:22.1~31.9%、I2=97.0%)であり、発症後1年間、1ヵ月、全体の自殺企図の有症率は、それぞれ3.0%(95%CI:2.3~3.7%、I2=95.6%)、2.7%(95%CI:2.1~3.4%、I2=78.5%)、45.9%(95%CI:42.1~49.9%、I2=0%)であった。・自殺企図の有症率の有意な高さと関連していた因子は、早期発症(Q=4.38、p=0.04)、高所得国(Q=53.29、p<0.001)、北米、ヨーロッパ、中央アジア(Q=32.83、p<0.001)であった。 著者らは「統合失調症患者の自殺企図は、とくに発症年齢が若く、高所得の国や地域で生活する人に多く見られる。臨床ケアの一部として、定期的なスクリーニングや効果的な予防法が実施されるべきである」としている。

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日本における青年期うつ病のマネジメント

 日本において、小児うつ病患者に対し承認されている抗うつ薬治療は、今のところ存在しない。北海道大学の齊藤 卓弥氏らは、日本で治療を受けている青年期うつ病の有病率を推定し、その際に使用される薬理学的治療、さらに小児うつ病治療の専門医の中で満たされていないニーズについて調査を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2019年7月3日号の報告。 本調査は、臨床診療における医師間のインターネット調査として、2014年11月に実施した。青年期うつ病患者を治療する可能性のある医師731人と、過去12ヵ月間で青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人を対象とした。青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人の内訳は、内科医60人、精神科医73人、日本児童青年精神医学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会のいずれかの認定専門医28人であった。対象者は、うつ病患者、薬物療法、処方薬に関するアンケートに回答した。 主な結果は以下のとおり。・有病率データの推定では、日本には異なる医療専門分野に約55万人の青年期うつ病患者がおり(うつ病患者全体の10%)、これらの患者の約64%が薬物療法を受けていた。・青年期うつ病に対する薬物療法は、主に精神科医により行われていた(62%)。・最も一般的な第1選択薬は、セルトラリン(23%)であり、次いで抗不安薬(17%)、フルボキサミン(13%)であった。また、抗精神病薬は7%であった。 著者らは「日本における青年期うつ病の有病率は、高いことが示唆された。青年期うつ病患者は多くの医療分野で診察されており、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬を含むさまざまな薬物療法が一般的に行われている。日本人青年期うつ病に対し承認された治療法の医学的ニーズがあると考えられる」としている。

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重度の日本人アルコール依存症に対するナルメフェンのランダム化比較試験(第III相試験)

 アルコール摂取量を減らすことは、アルコール依存症患者にとっての治療アプローチの1つである。東京慈恵会医科大学の宮田 久嗣氏らは、飲酒リスクレベル(drinking risk level:DRL)が高い、または非常に高い日本人アルコール依存症患者を対象に、ナルメフェンの多施設共同ランダム化二重盲検比較試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年7月12日号の報告。 対象患者は、心理社会的治療と併せて、必要に応じてナルメフェン20mg群、10mg群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、24週間治療を行った。主要評価項目は、大量飲酒日数(heavy drinking day:HDD)のベースラインから12週目までの変化とした。副次的評価項目は、総アルコール摂取量(total alcohol consumption:TAC)のベースラインから12週目までの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・12週目の主要評価項目の分析対象症例数は、ナルメフェン20mg群206例、ナルメフェン10mg群154例、プラセボ群234例であった。・ナルメフェン群は、プラセボ群と比較し、12週目のHDDの有意な減少が認められた(20mg群:-4.34日/月[95%CI:-6.05~-2.62、p<0.0001]、10mg群:-4.18日/月[95%CI:-6.05~-2.32、p<0.0001])。・同様に、ナルメフェン群は、プラセボ群と比較し、12週目のTACの有意な減少が認められた(p<0.0001)。・治療に起因する有害事象の発生率は、ナルメフェン20mg群87.9%、ナルメフェン10mg群84.8%、プラセボ群79.2%であった。これらの重症度は、ほとんどが軽度または中程度であった。 著者らは「ナルメフェン20mgまたは10mgは、DRLが高い、または非常に高い日本人アルコール依存症患者に対し、アルコール摂取量を効果的に減少させ、忍容性も良好であった」としている。

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