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3021.

認知症患者の身体的健康の改善に対する介入~メタレビュー

 ベルギー・University Psychiatric Center KU LeuvenのDavy Vancampfort氏らは、認知症患者の身体的健康を対象とした、薬理学的および非薬理学的介入についてのメタ解析を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年2月18日号の報告。 検証済みの評価尺度で認知症と診断された患者を対象とした、システマティックレビューとメタ解析を実施した。2019年10月21日までの文献を、主要なデータベースより検索し、エフェクトサイズ(標準平均差[SMD]、Hedges g、リスク比[RR])の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索の結果、メタ解析4件を含む3,773件がのうち、分析対象31件(1万54例)が抽出された。・メタ解析は、十分に高品質であったが、研究件数はあまり多くなかった。・栄養補助食品のみで、体重増加が認められた(SMD:0.53、95%CI:0.38~0.68、中程度の効果、12件、748例)。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、体重減少リスクの増加との関連が認められた(RR:2.1、95%CI:1.5~3.0、9件、7,010例)。・疼痛治療は、感覚刺激に対する中程度の効果が認められたが(SMD:-0.58、95%CI:-0.99~-0.17、6件、199例)、身体活動にはわずかな影響しか認められなかった(SMD:-0.24、95%CI:-1.06~0.59、2件、75例)。・心理社会的介入は、グループ介入では中程度の効果が認められたが(SMD:-0.55、95%CI:-1.02~-0.09、6件、157例)、個人介入での影響はわずかであった(SMD:-0.27、95%CI:-1.06~0.53、2件、55例)。 著者らは「認知症患者は、高頻度に身体的併存疾患を有するが、この状態を予防および治療するための薬理学的および非薬理学的介入に関する現在のエビデンスは、まだ初期段階であり、さまざまな身体的健康に焦点を当てた大規模な試験が必要とされている」としている。

3022.

双極性障害における強迫症の合併~メタ解析

 双極性障害(BD)患者では、強迫症(OCD)を併発することが多いといわれている。OCD併発のBD患者では、その症状やマネジメントが複雑化する。しかし、BD患者のOCD有病率は、明らかにはなっておらず、研究や最近のメタ解析により大きく異なっていた。ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのPanagiotis Ferentinos氏らは、BDの横断的研究または生涯OCD有病率に関する研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施。推定有病率の決定因子をメタ回帰により評価し、うつ病患者および一般集団との比較を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年2月15日号の報告。 2019年1月までに公表された英語の関連文献を、PubMed、MEDLINEより検索した。有病率は、メタ解析前にFreeman-Tukey double arcsine transformationを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・横断的に有病率を報告した研究は29件(6,109例)、生涯有病率を報告した研究は39件(8,205例)であった(8件は両方の報告)。・変量効果モデルでは、BD患者におけるOCD併発の推定値は以下のとおりであった。 ●生涯有病率:10.9%、95%CI:7.8~14.4 ●横断的有病率:11.2%、95%CI:7.6~15.3・一般集団の推定値は、生涯有病率2.5%、横断的有病率1.6%であった。・研究設定(疫学または臨床)、診断基準、手順、性別、BDサブタイプ、寛解状態は、メタ解析における推定有病率の不均一性に影響を及ぼさなかった。・年齢は、生涯有病率と小さいながらも有意な負の相関が認められた。・BD患者のOCD有病率は、うつ病患者と有意な差は認められなかった。 著者らは「BD患者の生涯OCD有病率は、一般集団の4.4倍であった。横断的有病率も生涯有病率と同様に高く、BD患者のOCD併発は、一般集団よりも慢性的で持続的であった」としている。

3023.

日本人女性の出産前後の抗うつ薬処方

 東北大学の石川 智史氏らは、日本人女性における周産期の抗うつ薬処方率や処方パターンについて、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月1日号の報告。 妊娠前180日~産後180日の抗うつ薬処方率を調査するため、大規模管理データベースを用いて評価した。妊娠開始日および出産日は、アルゴリズムを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、女性3万3,941人。・抗うつ薬が1剤以上処方されていた女性は、妊娠前180日~産後180日の期間で451人(133/1万分娩)、妊娠中では241人(71/1万分娩)であった。・抗うつ薬の処方率は、妊娠初期および中期に減少し、産後に増加した。・妊娠前に抗うつ薬を処方されていた339人中、妊娠中に抗うつ薬を中止した女性は151人(44.5%)であった。・研究期間中に最も頻繁に処方された抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(356人、105/1万分娩)であり、次いで三環系/非三環系抗うつ薬(101人、30/1万分娩)であった。・妊娠初期にパロキセチンを1回以上処方されていた57人中13人(22.8%)は、パロキセチン25mg/日超で処方されていた。・妊娠前180日~産後180日に2種類以上の抗うつ薬を同時に処方されていた女性は、57人(17/1万分娩)であった。・本研究の限界として、処方された抗うつ薬が実際に使用されたとは限らない点、妊娠中に中絶または死産した女性は含まれていない点が挙げられる。 著者らは「日本では、出産前および産後の女性に対し、さまざまな抗うつ薬が処方されていた。また、妊娠した女性の約半数は、妊娠後に抗うつ薬での治療を中止していた。出産可能年齢の女性は、リスクやベネフィットのプロファイルに応じて、適切な抗うつ薬を選択する必要がある」としている。

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不眠症や睡眠薬使用と交通事故~コホート研究

 不眠症や睡眠薬使用に関連する交通事故のリスクおよび、これらのリスク因子が性別や年齢によってどのような影響を受けるか、カナダ・ラヴァル大学のCharles M. Morin氏らが調査と検討を行った。Sleep誌オンライン版2020年2月29日号の報告。 対象は、不眠症の有無を問わない3,413人の成人(平均年齢:49.0歳、女性の割合:61.5%)。対象者の睡眠パターン、睡眠薬の使用、交通事故について、5年間連続して毎年調査した。 主な結果は以下のとおり。・交通事故の重大なリスクは、不眠症(HR:1.20、95%CI:1.00~1.45)および日中の倦怠感(HR:1.21、95%CI:1.01~1.47)で認められた。・不眠症またはその結果として起こる昼間の問題は、報告された交通事故の40%に対し、何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。・睡眠薬の慢性的な使用(HR:1.50、95%CI:1.17~1.91)および定期的な使用(HR:1.58、95%CI:1.16~2.14)は、高い事故リスクと関連していた。同様に、不眠症および日中の過度な眠気を報告した若い女性において関連が認められた。 著者らは「不眠症や睡眠薬の使用は、それらによって残存する昼間の倦怠感や集中力の低下などにより、交通事故の重大リスクと関連している。不眠症や日中の過度な眠気を報告する若い女性では、とくに注意が必要であることが示唆された」としている。

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MADRSとHAMDの新規抗うつ薬の有効性に関する比較~メタ解析

 ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)に基づく有効性の推定は、その貧弱な心理測定特性のために、抗うつ薬の真の治療効果を過小評価している可能性があるといわれている。スイス・Zurich University of Applied SciencesのMichael P. Hengartner氏らは、ゴールデンスタンダードであるMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)とHAMDに基づく有効性の推定値の比較を行った。PLOS ONE誌2020年2月26日号の報告。MADRSとHAMDに基づく抗うつ薬の有効性の推定値に有意な差はない Ciprianiらから提供された急性期における抗うつ薬試験の包括的なデータセットを用いて、メタ解析を実施した。対象研究は、HAMD-17またはMADRSに基づき継続的にアウトカムを測定したプラセボ対照試験とした。エフェクトサイズ推定値の標準化平均差と薬剤とプラセボの生スコアの差を算出し、臨床医の評価による最小改善(臨床的に有意)の閾値を評価した。 MADRSとHAMDに基づく抗うつ薬の有効性の推定値の比較を行った主な結果は以下のとおり。・HAMD-17で評価した109試験(3万2,399例)およびMADRSで評価した28試験(1万1,705例)が抽出された。・サマリ推定値(エフェクトサイズ)は、HAMD-17で0.27(0.23~0.30)、MADRSで0.30(0.22~0.38)であり、その差はわずか0.03であった。サブグループ解析(p=0.47)およびメタ回帰(p=0.44)による統計学的に有意な差は認められなかった。・薬剤とプラセボの生スコアの差は以下のとおりであった。 ●HAMD-17:2.07(1.76~2.37)、最小改善の閾値:臨床医7pt、患者4pt ●MADRS:2.99(2.24~3.74)、最小改善の閾値:臨床医8pt、患者5pt 著者らは「全体として、HAMD-17とMADRSの有意な差が認められなかった。HAMD-17による評価が抗うつ薬の治療効果を過小評価しているわけではない。また、薬剤とプラセボの生スコアの差は、治療効果がわずかであることを示しており、平均的な患者にとって治療効果の重要性が疑わしいことが示唆された」としている。

3026.

認知症患者のせん妄スクリーニングと死亡率

 せん妄は、高齢者の死亡率増加に関連している。英国内のガイダンスでは、すべての認知症入院患者に対してせん妄スクリーニングが推奨されているが、その検討は行われていなかった。英国・South London and Maudsley NHS Foundation TrustのDavid Codling氏らは、認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングの影響について検討を行った。Aging & Mental Health誌オンライン版2020年2月21日号の報告。認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングは死亡率低下と関連 第3次認知症全国調査に参加したイングランドおよびウェールズの199施設に入院した1万47例を対象に、データの2次分析を行った。入院中に死亡した認知症患者に関するデータを、生存している患者のデータと比較した。せん妄スクリーニング、認知機能テストを行った患者の死亡率を算出し、せん妄患者では専門医の臨床レビューを行った。 認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングの影響について検討した主な結果は以下のとおり。・認知症患者の平均年齢は84±7.9歳、男性の割合が40.1%、英国人の割合が82.1%であった。・入院中に死亡した患者は、1,285例(12.8%)であった。・せん妄スクリーニングを実施した認知症患者は4,466例(44.5%)であり、そのうち2,603例(58.6%)が陽性であった。・せん妄スクリーニング(OR:0.79、95%CI:0.69~0.90)および認知機能テスト(OR:0.71、95%CI:0.61~0.82)を実施した認知症患者の死亡率は低かった。 著者らは「認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングおよび認知機能テストの実施は、死亡率の低下と関連していることが示唆された。これらの関連性が因果関係であるかは不明だが、本所見は、認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングのレベル向上のために行われている努力を支持するものである」としている。

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール持続性注射剤の投与経路変更の受け入れ調査

 統合失調症患者の服薬アドヒアランスを改善するために、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が使用される。しかし、日本ではまだ一般的ではない。現在、アリピプラゾールLAIの投与は、臀部筋肉内に加え三角筋内への投与が可能となっている。名城大学の亀井 浩行氏らは、アリピプラゾールLAIの投与経路を臀部から三角筋へ変更することによる、患者の受け入れ状況について調査を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。 対象は、アリピプラゾールLAIの臀部筋肉内投与を6ヵ月以上行った統合失調症外来患者32例。三角筋内への投与に切り替えた3ヵ月後に、痛みや恥ずかしさの変化について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・投与経路の切り替えは、32例中17例が選択した。・3ヵ月後、9例が満足のいく評価をし、三角筋内への投与を継続していた。・三角筋内投与へ切り替える際の主な理由は、臀部筋肉内投与に関連する注射部の痛みと恥ずかしさであった。・三角筋から臀部筋肉内投与へ戻す際の主な理由は、三角筋内投与で経験する痛みであった。 著者らは「注射部位を選択できることは、アリピプラゾールLAI使用の普及につながるであろう」としている。

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消火器を口腔内に噴射した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第159回

消火器を口腔内に噴射した男性pixabayより使用私は、これまでの人生で一度だけ消火器を使ったことがあります。大学の学園祭で小さなボヤを起こして、消火器を使ったことがあるのです。ホースを持って、レバーをぐっと握るので、そうそう失敗することはないのですが、世の中には珍しい症例報告があるもので。高橋 洋子,他消火薬剤を口腔内に噴射し, 心停止に陥った1例.日本救急医学会雑誌. 2007;18(5):208-215.これは日本救急医学会雑誌の症例報告です。タイトルの通り、消火器を口腔内に噴射してしまったというものです。この症例は68歳の男性でした。統合失調症で入院している最中、施設の消火器を自ら口にくわえて噴射したそうです。直後から全身の発汗と四肢の冷感が出現し、武蔵野赤十字病院救命救急センターへ搬送されました。収縮期血圧が60mmHgのショック状態であり、血清カリウムは10.3mEq/Lまで上昇していたそうです。消火器は40%w/w(純度)の炭酸カリウム水溶液を主成分としており(1mL中に8mEqのカリウムを含有)、これが大量に体内に吸収される可能性があります。この症例も、搬送されてから38分後に心肺停止になったそうです。また消火器はpH11.6という強アルカリ性の溶液が充填されており、強い粘膜障害が予想されます。本症例では幸いにも消化器粘膜に重度の障害はなかったそうですが、気道・食道の両方に腐食障害を起こすリスクがあるので注意が必要です。実際に気道に吸引した重症例が報告されています1)。本症例は、2時間以上にわたって心肺蘇生が行われ、CHDF等の集中治療によって救命できたそうです。ドイツでも消火用パウダーを自殺目的に飲み込み、重度のアシドーシスに陥った症例が報告されており2)、本症例のように精神科疾患がある患者さんや自殺企図のある人では、消火器ですら危険になりうるため注意が必要ですね。1)Morita S, et al. Respiratory failure by inhalation of a fire extinguisher. J Trauma.2005 Aug;59(2):504.2)Becker TS, et al. Life-threatening metabolic acidosis after ingestion of fire extinguisher powder. Anaesthesist.2018 Sep;67(9):674-678.

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長時間作用型アリピプラゾールに関するコホート研究

 アリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の機能およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に対する有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが実臨床での評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月22日号の報告。 本研究は、6ヵ月間の多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、経口薬による治療から9.7(±22.3)ヵ月後にAOMへ切り替えを行い症状が安定した統合失調症患者242例(平均年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55%)。評価項目は、機能の全体的評価尺度(GAF)、患者のウェルビーイング(WHO-5精神健康状態表)、AOMの有効性と忍容性に関する患者および臨床医の評価とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均GAFスコアは47.0±13.9であった。患者は、機能に重大な障害を経験していることが示唆された。・治療中に60.2±17.0へと継続した改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。・ベースライン時において、患者のウェルビーイングは低く、WHO-5の平均スコアは10.6±5.6であった。・治療中に患者のウェルビーイングの継続的な改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。エンドポイントのスコアは15.4±5.5であり、6ヵ月間で4.8±6.9の改善が認められた。・これらの結果を層別化すると、35歳以下の患者でより顕著な効果が認められた(GAF:p<0.05)。・AOMの有効性および忍容性の評価では、患者(89.2%、93.7%)、臨床医(91.4%、96.8%)ともに良好/非常に良好と評価された。・TRAEの発生は、まれであった。 著者らは「統合失調症患者、主に安定している患者に対するAOM治療の開始は、機能やウェルビーイングへの有意な効果を示し、この効果は35歳以下の患者でより顕著であった。実臨床における本結果は、これまでのランダム化試験の結果を支持するものである」としている。

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アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。 嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、対照群にはアロマ成分を添加しないエタノールを用いた。両群ともに、8週間の介入を行い、治療前後の認知機能および行動機能の評価を行った。評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)、Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)、アルツハイマー病評価尺度-認知行動(ADAS-cog)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・介入群は、対照群と比較し、4週目と8週目のNPIスコアおよびJ-ZBIの有意な改善が認められた。・ADAS-cogのスコアでは、有意な差は認められなかった。 著者らは「スギの香りは、アルツハイマー病患者の周辺症状(BPSD)を改善し、介護負担を軽減する可能性がある。この介入は、その有効性に加え、手順がシンプルで侵襲性が低いため、価値のある非薬物療法となりうる可能性が示唆された」としている。

3031.

寝室の環境と不眠症との関係~RHINE-IIIの横断研究

 交通騒音は睡眠障害リスクを高めるといわれているが、不眠症状に対する交通関連の大気汚染の影響については、あまり知られていない。スウェーデン・ウプサラ大学のEmma Janson氏らは、交通への近接状況および交通騒音と不眠症との関連について調査を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2020年2月5日号の報告。 対象は、Respiratory Health in Northern Europe(RHINE)研究に含まれる、1945~73年に北欧州の7つの医療センターで生まれた男女からランダムに選択された。寝室での交通騒音、寝室の窓からの交通近接状況、不眠症状についての情報を、自己報告により収集した。交通関連の大気汚染への曝露は、寝室の窓からの交通近接状況を代替として用いた。不眠症状は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒について評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者は、1万2,963例であった。・交通騒音は、3つの不眠症状と正の相関が認められた。 ●入眠障害 OR:3.54、95%CI:1.85~6.76 ●中途覚醒 OR:2.95、95%CI:1.62~5.37 ●早朝覚醒 OR:3.25、95%CI:1.97~5.37・交通騒音を伴わない交通への近接は、入眠障害(OR:1.62、95%CI:1.45~1.82)との関連が認められた。 著者らは「不眠症のリスク因子として、交通騒音の影響がさらに認められた。騒音がなくとも交通への近接状況は、入眠障害リスクの増加との関連が認められた。不眠症が、交通騒音や交通関連の大気汚染の両方と関連している可能性が示唆された」としている。

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急性期病棟から退院した統合失調症患者の再入院リスク因子

 予定外の再入院率は、精神科医療におけるケアの質を評価するうえで、重要な指標である。しかし、統合失調症スペクトラム障害患者を対象とした、再入院を予測するためのリスクモデルはなかった。中国・Castle Peak HospitalのKeith Hariman氏らは、精神科急性期病棟から退院した統合失調症スペクトラム障害患者における、退院後28日間の事故や救急受診での予定外の再入院を予測するための臨床リスク予測モデルについて検討を行った。BJPsych Open誌2020年1月28日号の報告。 対象は、香港のすべての精神科病棟から5年以内に退院した成人統合失調症スペクトラム障害患者。社会経済的背景、医学的および精神学的病歴、現在の退院エピソード、アウトカム評価(Health of the Nation Outcome Scales:HoNOS)のスコアに関する情報は、ロジスティック回帰を用いて、リスクモデルの予測変数として導き出された。サンプルは、derive(1万219例)とvalidate(1万643例)にランダムに分割した。 主な結果は以下のとおり。・予定外の再入院率は、7.09%であった。・予定外の再入院のリスク因子は、過去の入院数の多さ、物質乱用の併存、暴力歴、退院時にHoNOSの項目である過活動/攻撃のスコアが1以上であった。・保護因子は、高齢、クロザピン使用、退院後の家族や親族との生活、条件付きの退院であった。・derivation and validationデータセットに関するc統計量は、0.705および0.684であり、中程度の識別力が認められた。 著者らは「患者それぞれの再入院リスクの特定は、この好ましくないアウトカムを予防するための高リスク患者に対する治療を調整することができる」としている。

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成人社交不安症に対する薬物療法~メタ解析

 社交不安症(SAD)に対する薬物療法について、治療薬の有効性や忍容性、介入効果、エビデンスの質についての評価を含めた情報をアップデートするため、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のTaryn Williams氏らは、システマティックレビューとメタ解析を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2020年2月10日号の報告。 SAD治療における薬理学的介入またはプラセボと比較したRCTを、Common Mental Disorder Controlled Trial Registerおよび2つのトライアルレジスターより検索した。ランダム効果モデルを用いて標準的なペアワイズメタ解析を、統計解析ソフトRを用いてネットワークメタ解析を実施した。また、エビデンスの質も評価した。 主な結果は以下のとおり。・67件のRCTをレビューし、21件(45の介入)についてネットワークメタ解析を実施した。・パロキセチンはプラセボと比較し、症状の重症度を軽減させる効果が最も高かった。・優れた治療反応が得られた薬剤は、パロキセチン、brofaromine、ブロマゼパム、クロナゼパム、エスシタロプラム、フルボキサミン、phenelzine、セルトラリンであった。・ドロップアウト率は、フルボキサミンでより高かった。・有害事象によるドロップアウト率がプラセボより高かった薬剤は、brofaromine、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、プレガバリン、セルトラリン、ベンラファキシンであった。・オランザピンの治療効果は比較的高く、あらゆる原因によるドロップアウト率はbuspironeで高かった。 著者らは「パロキセチン治療によって症状の重症度が有意に減少したことを除き、プラセボと比較した薬物療法の効果は小さかった。SADの第1選択薬には、パロキセチンが推奨されるであろう」としている。

3034.

オピオイド中止によって増大するリスクとは?/BMJ

 オピオイド治療を受けている退役軍人保健局の患者では、処方の中止により過剰摂取または自殺による死亡リスクが増大し、治療期間が長い患者ほど死亡リスクが高いことが、米国退役軍人局精神保健自殺予防部のElizabeth M. Oliva氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月4日号に掲載された。米国では、オピオイドの過剰摂取やオピオイド使用障害による死亡の増加に伴い、オピオイド処方関連リスクの軽減戦略が求められており、リスクがベネフィットを上回った時点での治療中止が推奨されている。その一方で、長期の治療を受けている患者では、治療中止後の有害事象(過剰摂取による死亡、自殺念慮、自傷行為、薬物関連イベントによる入院や救急診療部受診)の増加が報告されている。約140万例の観察研究 研究グループは、オピオイド治療の中止またはオピオイド治療の期間と、過剰摂取または自殺による死亡の関連を評価する目的で、観察研究を行った(米国退役軍人局精神保健自殺予防部の助成による)。 対象は、2013~14年の会計年度(2012年10月1日~2014年9月30日)に、米国の退役軍人保健局の施設を受診し、オピオイド鎮痛薬の外来処方を受けた退役軍人の患者139万4,102例であった。過剰摂取の薬物には、オピオイドのほか、鎮静薬、アセトアミノフェン、その他の薬物中毒が含まれた。オピオイド治療を中止した患者と、継続した患者を比較した。 多変量Cox非比例ハザード回帰モデルを用いて、過剰摂取または自殺による死亡(主要アウトカム)を評価し、主な共変量としての治療期間別(30日以下、31~90日、91~400日、400日以上)のオピオイド中止の交互作用を検討した。開始後と中止後最低3ヵ月間は、リスク低減の取り組み強化 全体の平均年齢は約60歳、女性が約8%で、ほぼ半数が既婚者、61%が都市部居住者であった。また、半数強が3つ以上の医療診断を受けており、アルコール使用障害の診断は約10%、ニコチン使用障害の診断は約22%の患者が受けていた。最も頻度の高い精神疾患は、うつ状態と心的外傷後ストレス障害だった。 79万9,668例(57.4%)がオピオイド治療を中止し、59万4,434例(42.6%)は治療を継続した。2,887例が、過剰摂取(1,851例)または自殺(1,249例)により死亡した。オピオイド治療の期間が30日以下の患者は32.0%、31~90日は8.7%、91~400日は22.7%、400日以上は36.6%であった。 オピオイド治療中止と治療期間には交互作用が認められ(p<0.001)、治療期間が長い患者ほど治療中止後の過剰摂取または自殺による死亡リスクが高いことが示唆された。治療を中止した患者における過剰摂取または自殺による死亡リスクのハザード比(他のすべての共変量を参照値として比較)は、治療期間30日以下が1.67、31~90日が2.80、91~400日が3.95、400日以上は6.77であった。 過剰摂取または自殺による死亡リスク増加の他の独立の関連因子として、長時間作用型/短時間作用型オピオイドの処方(トラマドールとの比較)、医療診断数、精神疾患の診断、薬物使用障害(ニコチンを除く)などが挙げられた。一方、高齢、女性、既婚は低リスクの独立の関連因子だった。 また、生命表の記述的データでは、過剰摂取または自殺による死亡はオピオイドの開始と中止の双方の直後に増加し、発生率が低下するまで約3~12ヵ月を要すると示唆された。 著者は、「オピオイド治療の開始後および中止後は、それぞれ少なくとも3ヵ月間は、リスク軽減の取り組み(患者モニタリング、自殺および過剰摂取の防止)を強化する必要がある」と指摘している。

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早期発症統合失調症のアウトカム予測因子~10年間のフォローアップより

 早期発症統合失調症(EOS)のアウトカム不良の予測因子は、発症年齢の若さであると考えられているが、これを裏付ける疫学データは十分ではない。中国・北京大学のLingzi Xu氏らは、発症年齢に焦点を当て、EOS患者の長期的アウトカムと機能障害の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月14日号の報告。 2006年に入院したEOS患者118例(ベースライン時の平均年齢:13.3±2.3歳)を連続登録した。インタビューを完了した患者は、65例であった。ベースラインデータを、入院患者のカルテより収集し、フォローアップ調査を、主に患者家族への電話インタビューを通じて実施した。フォローアップ時の全体の機能測定には、WHODAS 2.0を用いた。アウトカムには、教育、雇用、婚姻、身体的健康、その後の診断と治療、患者機能を含めた。単変量および多変量回帰モデルを用いて、アウトカムの予測因子を評価し、機能的アウトカムに対する発症年齢の影響を分析する際の交絡調整には、傾向スコアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップデータを入手できた65例中3例は、フォローアップ時に死亡した。・治療中止は、5例(8%)であった。・診断の安定性は、76%であった。・フォローアップ時にクロザピンを使用した患者の割合は、24%であった。・過体重は、男性で61%、女性で55%に認められた。・肥満は、男性で29%、女性で32%に認められた。・経済的に自立していた患者は16例(26%)、仕事をしていなかった患者は34例(55%)であった。・結婚歴があった患者は、13例(21%)であった。・WHODASスコアの中央値は15(IQR:2~35)であり、標準値(population norms)の78パーセンタイルにほぼ相当していた。・より良い機能の予測因子は、外交的な性格(p=0.01)、疑い深い性格(p=0.02)、高い教育レベル(p=0.001)であった。・発症年齢は、いずれの機能とも関連が認められなかった(単変量モデル:p=0.24、多変量モデル:p=0.17、最終リスク因子モデル:p=0.11、または交絡因子を調整するために傾向スコアを用いた場合)。 著者らは「EOS患者の長期的な機能アウトカムは、一般的に考えられていたよりも影響が少なかった。統合失調症の発症年齢は、EOS患者の長期的な機能アウトカムを予測するものではない」としている。

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視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。中等度から重度の視覚障害は認知症の潜在的な予測因子である可能性 ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。 視力低下と認知症発症率との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・6万8,904人年以上のフォローアップ期間中に、1,349例が認知症を発症した。・ベースライン時の視力低下は、人口統計、健康上の問題、ライフスタイルで調整した後でも、また3年以内の認知症発症を除外した場合でも、6年後の認知症発症率の高さと関連が認められた。・正常な視力の高齢者と比較した、視力低下の重症度別の認知症ハザード比は、以下のとおりであった。 ●軽度視力低下の認知症ハザード比:1.19(p=0.31) ●中等度視力低下の認知症ハザード比:2.09(p<0.001) ●重度視力低下の認知症ハザード比:8.66(p<0.001) 著者らは「中等度から重度の視覚障害は、認知症の潜在的な予測因子およびリスク因子である可能性がある。臨床的な観点から、視力が低下している高齢者に対する認知症リスク評価のさらなる必要性が示唆された」としている。

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東日本大震災プロスペクティブ研究:事前のソーシャルサポートと災害後のうつ病予防

 国立保健医療科学院の佐々木 由理氏らは、2011年の東日本大震災による高齢者の抑うつ症状を緩和するために、災害前のソーシャルサポートが有効であったかについて検討を行った。Scientific Reports誌2019年12月19日号の報告。 対象は、災害の7ヵ月前に日本老年学的評価研究の一環としてベースライン調査を完了した岩沼市在住の65歳以上の高齢者3,567例。フォローアップ調査は、災害から2.5年後に実施した。分析対象者2,293例の災害前のソーシャルサポート(emotional & instrumental help)の授受を4つの項目を用いて測定した。抑うつ症状は、GDS(カットオフ値4/5)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・災害前にソーシャルサポートの授受があった高齢者は、授受がなかった高齢者と比較し、災害後に抑うつ症状を発症する可能性が有意に低かった(ARR:0.70、95%CI:0.56~0.88)。・災害による被害を受けた高齢者における抑うつ症状の発症リスクは、ソーシャルサポートの授受があった高齢者で1.34(95%CI:1.03~1.74)、授受がなかった高齢者で1.70(95%CI:1.03~2.76)であった。 著者らは「災害からの心理的回復力を養うために、ソーシャルサポートの強化が役立つ可能性がある」としている。

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マザーゲーム(後編)【女性同士の人間関係、どうすればいいの?(「女心」へのコミュニケーションスキル)】Part 1

今回のキーワードオキシトシン選ばれる性多様性人間関係の流動化バウンダリー「共感の押し付け」人間関係の目的化集団のルールの緩和化「女心」はなぜ「ある」の?-女性性の進化心理「女心」(女性性)とは、つながりやすさ(共感性)、気付きやすさ(感受性)、受け身になりやすさ(安全性)という3つの心理があることが分かりました。それでは、そもそも「女心」はなぜ「ある」のでしょうか? 「女心」の3つの心理に重ねながら、その起源を進化の歴史から探ってみましょう。私たちの体が原始の時代から進化してきたのと同じように、実は私たちの脳、つまり心も進化してきました。ここから、「女心」の進化を、3つの段階に分けてみましょう。(1)子育てする性-共感性約2億年前に誕生した哺乳類は、母親が子どもを哺乳する、つまりお乳を与えて育てるというメカニズムを進化させました。もともとお乳を出しやすくするオキシトシンというホルモンは、その後に、母親がお乳を欲する子どもの気持ちになる働きもするようになりました。これが、共感性の起源です。「女心」の進化の1つ目の段階は、子育てする性になったことです。(2)選ばれる性-感受性約700万年前に誕生した人類は、男性が獲った食料を女性にプレゼントして、そのお返しとして、女性がその男性とセックスして、生まれた子どもを育てるように進化したことです(性別役割分業)。オキシトシンは、お乳を欲する子どもの顔色だけはでなく、プレゼントをくれる男性たちの顔色や自分の格付けにも敏感になる働きもするようになりました。こうして、ある女性が選ばれるということは、それ以外の女性、つまり自分は選ばれなかったことになり、傷付くわけです。これが、感受性の起源です。「女心」の進化の2つ目の段階は、選ばれる性になったことです。(3)家を守る性-安全性約300万年前の人類は、男性(父親)と女性(母親)とその子どもたちの家族が血縁によっていくつも集まって、共同生活をするように進化しました(生活共同体)。オキシトシンは、男性(父親)たちが狩りに出かけて家を空けている数日間に、子どもたちを守るために、女性(母親)たちの近所付き合いがスムーズになる働きもするようになりました。そのために、危険になりうる異質なものをできるだけ排除しようとするわけです。これが、安全性の起源です。「女心」の進化の3つ目の段階は、家を守る性になったことです。 「女心」にどうすればいいの?-「女心」へのコミュニケーションスキル「女心」(女性性)の起源は、子育てする性、選ばれる性、家を守る性という3つの進化の段階があることが分かりました。つまり、「女心」は、そもそも「ある」ものです。ただし、ここで誤解がないようにしたいのは、だからと言って、そのままでいいと言うわけではないです。たとえば、私たちが甘いものをつい口にしてしまうのは原始の時代に生存のために進化した嗜好です。だからと言って、飽食の現代に甘いものを食べ過ぎて糖尿病になることを私たちは決して良しとはしないです。むしろ逆に私たちは食生活を意識しています。これと同じです。原始の時代と違って、豊かで安全で個人の自由が認められた現代の社会構造では、必ずしも、女性が男性に選ばれて、子育てをして、家を守る必要はなくなりました。男性も女性に選ばれて、子育てをして、家を守る選択肢があります。そんな多様性の時代に、「女心」にどうすれば良いでしょうか? どんなコミュニケーションを意識すれば良いでしょうか? 希子がまさにお手本になります。彼女のコミュニケーションスキルを参考にしながら、3つのポイントに分けて、一緒に考えてみましょう。 次のページへ >>

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マザーゲーム(後編)【女性同士の人間関係、どうすればいいの?(「女心」へのコミュニケーションスキル)】Part 2

(1)複数の人間関係を持つ-人間関係の流動化希子は、幼稚園のママ友だけではなく、お店の仕事を通して、お客さんや助言をしてくれる人などさまざまな人と人間関係を築いています。一方、ママ友たちはママ友集団という1つの人間関係しかありません。1つ目のコミュニケーションスキルは、仕事、地域活動、趣味などでママ友以外の複数の人間関係を持つことです。これは、人間関係の流動化です。逆に言えば、人間関係を固定化させないことです。このメリットは主に3つあります。1つ目のメリットは、群れる暇がなくなることです。それぞれの人間関係に忙しくて、1つの人間関係で群れている暇はなくなります。逆に言えば、暇を持て余すので、群れるのです。2つ目のメリットは、格付けにとらわれなくなることです。それぞれの人間関係の違いを知ることで、集まる目的によって格付けの基準が変わってくる、つまり格付けの物差しは1つとは限らないことに気付くようになります。逆に言えば、さまざまな格付けを知らないので、1つの格付けにとらわれるのです。3つ目のメリットは、逃げ道ができることです。いろんな人間関係で居場所があることで、1つの人間関係の居場所にこだわらなくなります。逆に言えば、1つの人間関係の居場所にこだわるので、逃げ道がなくなり、排除することにもされることにも敏感になるのです。このようなメリットから、相手からのお誘いは無理して合わせず、断ることができます。距離をとるために、時々あえて断るのも1つのやり方です。その時は、「お誘いうれしいです。ただ…」と感謝しつつ、「義母が急に来ることになって」「近所の当番で」と自分ではどうしようもない理由付けをすれば良いでしょう。(2)自分と相手の縄張りをはっきりさせる-人間関係の透明化希子は、ママ友トラブルが起きると、毎回、「はっきり言わせていただきます」と決めゼリフを言い、率直に建設的な提案をしています。一方、ママ友たちは、「はっきり言わない」コミュニケーションが暗黙の了解になっています。2つ目のコミュニケーションスキルは、率直さ、明るさ、前向きさによって、自分と相手の縄張り(バウンダリー)をはっきりさせることです。自分の縄張りに踏み込ませないと同時に、相手の縄張りに踏み込まないように、縄張りの境界線を意識することです。これは、人間関係の透明化です。「人は人、自分は自分」という考え方です。逆に言えば、その境界が曖昧になると、相手の感情に巻き込まれ、つい格付けや陰口に付き合ってしまいます。たとえば、あなたがほかの女性の友達と一緒にいると、不機嫌になる別の女性の友達にはどうしましょうか? 彼女はきっと「どうして私のことを選んでくれないの?」という「女心」が芽生えているでしょう。その時には、「あなたは大切な友達だよ。私が誰と一緒にいたってそれは変わらないよ」とオープンに答えることです。また、このような女性から「それもうほかの人に話したの?(なぜ自分に一番に話してくれないの?)」と言われたら、「うん、○○さんに話したよ」とさっぱりと答えることができます。そして、「一番に報告できなかったけど、あなたが大切だということは変わらないよ」と温かく言いましょう。その瞬間に選ばれなくても、あなたには価値があることを一貫して伝えることが大切です。では、「あなたの子どもがかわいそうよ(ママはそんなに好き勝手にしちゃだめ)」と言ってくるママ友にはどう答えましょうか? その時は「そうか、そういう考え方(感じ方)があるのね。勉強になった」「そう思ってがんばっているんだね、あなたは本当に良いお母さんだね」とポジティブに答えましょう。「かわいそう」と思うかどうかは、相手の心の問題(縄張り)であり、自分の問題(縄張り)ではないことに気付くことです。同じように、「うまくいってない人の気持ちも考えて(うまくいってるからって幸せそうにしないで)」と「共感の押し付け」をする人には、「そういうふうに考えられるの、すばらしいね。参考にさせてもらいます。ありがとう」と肯定も否定もせずに答えることができます。配慮や自粛をするかどうかは、こちらが決める問題です。あくまで大人同士の参考意見として受け止め、お互いの考え方(縄張り)を尊重する意識を持つことです。また、誰かの陰口を言う人にはどうしましょうか? その時は、「話をするのは苦手なの。でも、聞いてると悩みも似ていて、自分が癒される感じがする」と明るく答えることです。習い事の口出しには、「辞めたほうがいいと思うんだね。考えとくね」「私のこと思って言ってくれて嬉しい。ありがとう」と答えましょう。しつこく勧められたら、「私、ずぼらだからそういう新しい習い事、本当にだめなの。あなたはすごいですね」「私、今いっぱいいっぱいで。せっかく教えてくれたのにごめんなさない」と留めることができるでしょう。ただし、複数の人間関係を持って、自分と相手の縄張りをはっきりさせるというこれまで紹介した2つのコミュニケーションスキルを使うと、ママ友集団から距離をとられて浮いてしまうことはありえます。このデメリットをどう受け止めれば良いでしょうか? その答えが、3つ目のコミュニケーションスキルになります。(3)自分はどうしたいかを考える-人間関係の目的化希子は、お店の仕事に一生懸命です。自分の仕事にやりがいやプライドを持っているだけに、周りからどう見られるかをあまり気にしていません。また、彼女は、ママ友たちの嫁姑問題や夫婦問題での困りごとには、何とか解決しようと働きかけてもいます。彼女は積極的でポジティブです。そこから、友情も生まれています。一方、ママ友たちは、いつも同じメンバーで表面的なやり取りにとどまっています。そして、日々あら探しをして、どう見られるか気にしてネガティブです。3つ目のコミュニケーションスキルは、積極性やポジティブさによって、自分はどうしたいかを考えることです。これは、周りからどう思われるかではなく、自分はどう思うか、どうしたいかをまず一番に置くことです。自分の目標や自分の価値観(格付け)を持って、相手と一緒にいる目的を考える、つまり人間関係の目的化です。逆に言えば、「一緒にいるためだけに一緒にいない」ようにすることです。たとえば、先ほどに触れたように、ママ友集団からの疎外感から、「一人でいると、友達がいないように見える」「誰にも選ばれなかった」という気分に自分が陥りそうになったら、どうしましょうか? その時は、仲間がいないと不安になると思い込んでいる自分の心のあり方をまず見つめ直すことです。そして、自分は何に価値を置いているかという原点に返ることです。これもやはり自分の心の問題です。何かを選ぶということは別の何かを選べなくなることに気付くことです。自分は選ばれる側ではなく、選ぶ側になったことに価値を見いだすことです。そう考えると、「自立した人間として生きている証」「自立した女性はかっこいいという文化を発信していく自分」と思うこともできるでしょう。ママ友以外の人間関係があれば、「誰にも選ばれなかった」わけではないことに気付くことができますし、そもそも「選ばれている」かどうかを気にもしなくなるでしょう。さらに、あなたの陰口を言ってくる人にはどうしましょうか? もしかしたら「子どもが人質」という考え方から、子どもがいじめに遭うと思うかもしれません。これも、自分の心の問題です。よくよく考えると、子どもは子ども同士の世界があります。実際は子どもに実害がほとんどないことに気付きます。さらに、「ほら、私、ちょっと変わってるから」「空気を読んだりするの苦手だから」「そういうの苦手なの」と言って、普段からあえてちょっと変わった人を演じて、先手を打つのも1つでしょう。 << 前のページへ | 次のページへ >>

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マザーゲーム(後編)【女性同士の人間関係、どうすればいいの?(「女心」へのコミュニケーションスキル)】Part 3

「女心」に集団としてどうすればいいの?舞台となる幼稚園では、当初の運営方針として、保護者をセレブな専業主婦に限定して、入園するママたちを均質化させていました。そして、園の活動を頻繁にさせて、人間関係を固定化させていました。さらに、「プレゼント禁止」などのコミュニケーションのルールを厳格化していました。そうやって同調性を高めていたほうが、お受験という1つのゴールに向かってまとまります。そして、お受験の成果が上がれば上がるほど、ますます園の人気が出て、利益も上がるでしょう。さらに、ママ同士のトラブルはあっても、園に対してのクレームやトラブルを抑えられて都合が良いでしょう。しかし、園長先生は、お受験ママたちとは異質の希子親子をあえて入園させました。その理由は、ママたちや園のためではなく、園児たちのためだったのでした。実際に、園ママたちは最初に動揺しますが、希子と分かり合うことで、影響を受けて、生き生きとしていきます。すると、大人しかった園児たちも、生き生きとするようになったのでした。それでは、幼稚園という集団として、「女心」にどうすれば良いでしょうか? 対策を主に3つ挙げてみましょう。1つ目は、多様なメンバーを受け入れることです。これは、集団のメンバーの多様化です。逆に言えば、均質化させないことです。実際に、園長先生は、希子を見て、ワーキングママを今後にもっと増やそうと考えます。シングルファーザーも良いでしょう。2つ目は、関係者をどんどん出入りさせることです。これは、集団のメンバーの流動化です。逆に言えば、固定化させないことです。希子は、仕事で幼稚園の活動に参加できない時、おじいちゃんに代わりをお願いします。ママ以外に、パパ、祖父母、ベビーシッターなどさまざまな人が良いでしょう。さらに、そもそも園での保護者の活動時間を短くして、一緒にいる時間や労力を減らすことです。3つ目は、メンバーのさまざまな考え方をルールで縛らないことです。言い換えれば、それぞれの考え方を尊重することです。これは、集団のルールの緩和化です。逆に言えば、厳格化させないことです。「プレゼント禁止」などの「共感の押し付け」のルールをなくすことです。そして、園長先生が「子どもが人質になることはない」という運営方針をオープンに伝えていくことです。 「マザーゲーム」とは?「マザーゲーム」というタイトルは、ママ友付き合いを皮肉っぽく名付けています。この「ゲーム」のゴールは、ママたちにとってはもちろんお受験合格という手柄でした。そして、幼稚園にとっては、その実績でした。このドラマを通して、相手の「女心」に気付くことで、自分自身の「女心」に気付くことができます。そうすると、女性同士のコミュニケーションのパターンを「ゲーム」として俯瞰するという意味合いも見いだせます。また、園長先生の運営方針の転換を通して、その「ルール」を変えることができるという視点で見ることもできるでしょう。その時、女性だけではなく男性も含めて、私たちは、同調、比較、排除する人間関係の危うさを知ることができるのではないでしょうか? そして、そうならないように、流動化、透明化、目的化する人間関係のあり方の大切さを見つめ直すことができるのではないでしょうか? << 前のページへ■関連記事告白【いじめ(同調)】Part 1泣かないと決めた日【フレネミー(操作性)】

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