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小児・青年に対する抗精神病薬使用と急性ジストニア

 小児および青年における抗精神病薬治療による急性ジストニアの発生率とそのリスク因子について、トルコ・Ankara Yildirim Beyazit UniversityのSelma Tural Hesapcioglu氏らが検討を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年4月7日号の報告。 2015~17年に大学病院の小児および青年期精神科外来を受診し、抗精神病薬による治療を受け、2回以上のフォローアップを受けた患者を対象に、レトロスペクティブチャートレビューに基づくコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬治療を受けた4~19歳の患者は、441例であった。・抗精神病薬治療の理由は、以下のとおりであった。 ●行動障害(21.5%) ●注意欠如多動症(13.2%) ●知的障害を伴う過敏性と攻撃性(12.9%)・急性ジストニアは、30例(6.8%)で発生し、フォローアップ99.5±223.3日(中央値:34日)後に認められた。・急性ジストニアは、1つの抗精神病薬で治療された患者391例中11例(2.8%)、2つの抗精神病薬で治療された患者50例中19例(38.0%)で発生した(p<0.001)。・1つの抗精神病薬で治療された患者における急性ジストニア発症までの期間は、抗精神病薬治療開始後4.0±4.0日、抗精神病薬増量後2.7±2.4日であった。・2つの抗精神病薬で治療された患者における急性ジストニア発症までの期間は、2つ目の抗精神病薬を追加後3.0±2.3日、2つ目の抗精神病薬増量後1.6±0.8日であった。・1つの抗精神病薬で治療された患者における急性ジストニア発生率は、第1世代抗精神病薬(FGA)で10.5%、第2世代抗精神病薬(SGA)で2.2%であった(p=0.037)。・急性ジストニアの発生により、抗精神病薬を変更した患者は急性ジストニアの症例30例中12例(40.0%)であった。・急性ジストニアに関連する独立したリスク因子は、以下のとおりであった。 ●抗精神病薬の多剤併用(p<0.0001) ●入院治療(p=0.013) ●FGA使用(p=0.015) ●統合失調症の診断(p=0.039) ●双極性障害の診断(p<0.0001) 著者らは「小児および青年における急性ジストニアのリスクは、SGAや低力価FGAでは低く、中~高力価FGAでは高かった。急性ジストニアの発生には、積極的な抗精神病薬による治療が関連している可能性がある」としている。

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うつ病から双極性障害への転換に対する早期予測因子~コホート研究

 うつ病と双極性障害は、どちらも主要な気分障害であるが、治療戦略や予後が異なる。双極性障害患者では、初期でみられるうつ症状によりうつ病と診断されうることが、その後の治療結果に影響を及ぼす可能性がある。これまでの研究では、うつ病と診断された患者のうち、時間経過とともに双極性障害を発症する患者が少なくないと示唆されている。このような双極性障害は、治療抵抗性うつ病の一因となる可能性がある。台湾・国立中正大学のYa-Han Hu氏らは、人口ベースのコホート研究を実施し、10年間のフォローアップ期間中にうつ病から双極性障害へ診断が変更された患者の割合およびその危険因子について調査を行った。さらに、うつ病から双極性障害へ転換するリスク層別化モデルの開発を試みた。JMIR Medical Informatics誌2020年4月3日号の報告。 台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2000年1月~2004年12月に新規でうつ病と診断された患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。すべてのうつ病患者を、次のいずれかの条件を満たすまでフォローアップした。(1)精神科医による双極性障害の診断、(2)死亡、(3)2013年12月まで。すべてのうつ病患者を、フォローアップ期間中の双極性障害への転換に従って、転換群または非転換群に振り分けた。うつ病から双極性障害へ転換するリスク層別化モデルを作成するため、最初の6ヵ月間の6つの変数(患者の特性、身体的合併症、精神医学的合併症、ヘルスケアの使用状況、疾患重症度、向精神薬の使用)を抽出し、決定木分析(classification and regression tree:CART法)を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、うつ病患者2,820例。・フォローアップ期間中に双極性障害と診断された患者は536例(19.0%)であった。・CART法により双極性障害転換リスクの有意な予測因子は、以下の5つであった。 ●最初の6ヵ月間で使用された抗精神病薬の種類 ●最初の6ヵ月間で使用された抗うつ薬の種類 ●精神科外来通院の合計回数 ●受診1回当たりに使用されたベンゾジアゼピンの種類 ●気分安定薬の使用・双極性障害への転換に関し、このCART法によるリスクによって、高リスク群、中リスク群、低リスク群に分類可能であった。・高リスク群では、うつ病患者の61.5~100%は双極性障害と診断された。・低リスク群では、うつ病患者の6.4~14.3%のみが双極性障害と診断された。 著者らは「CART法により、双極性障害へ転換する5つの有意な予測因子が特定された。これらの予測因子を用いた単純なプロセスにより転換リスクの分類は可能であり、本モデルは双極性障害の早期診断のために日々の臨床診療に適用可能である」としている。

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SSRI治療抵抗性強迫症に対する抗精神病薬増強療法の比較

 強迫症(OCD)は、人口の2.5%に影響を及ぼす原因不明の慢性的な精神疾患である。強迫症に対する従来の治療は、適切な治療反応が認められている。また、一部の研究において、抗精神病薬、グルタミン酸作動薬、リチウム、buspironeなどの増強療法により、治療反応の改善が報告されている。イラン・Mashhad University of Medical SciencesのAli Talaei氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療抵抗性OCD患者に対する抗精神病薬増強療法としてのアリピプラゾールおよびクエチアピンの有効性、安全性の評価を行った。Canadian Journal of Physiology and Pharmacology誌2020年4月号の報告。 OCD患者には、まずSSRIで12週間の治療を行った。12週間後のYale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)スコアが16以上の場合、アリピプラゾール群またはクエチアピン群のいずれかにランダムに割り付け、さらに12週間の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・研究開始時点での、年齢、性別、教育、婚姻状況、Y-BOCSスコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアに両群間の有意な差は認められなかった(p>0.05)。・両群ともに、1ヵ月後の結果は、2、3、4ヵ月と比較し、有意な差が認められた(p<0.001)。 著者らは「アリピプラゾールおよびクエチアピンは、SSRI治療抵抗性OCD治療において効果的かつ忍容性の高い増強療法である可能性が示唆された。アリピプラゾールは、迅速な治療反応が得られる可能性があり、より効果的であると考えられる」としている。

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苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1

今回のキーワード世間(主流秩序)集団主義不安(セロトニン不足)受け身(ドパミン不足)「グレートジャーニー促進説」「均一民族促進説」私刑発信者情報開示請求どう日本的なバッシングはユニークなの?進化心理学的に考えると、バッシングには普遍性があることが分かりました。ところが、世界的に見て、日本人によるバッシングは、実はかなりユニークです。そのユニークな点を3つあげてみましょう。キーワードは、「世間」です。(1)内向きである1つ目は、内向きであることです。日本のバッシングのターゲットのほとんどは、国内です。逆に、海外には目が向いていないです。これは、日本のウチ・ソトの文化によるものです。ウチとは、世間(主流秩序)の範囲「内」であるということです。逆に、海外であるソトは、世間(主流秩序)が通用しない別の世界であるととらえられます。この心理は、ソトに対して、良く言えば寛容ですが、悪く言えば無関心です。一方、とくに欧米のバッシングは、ターゲットが国内外を問わず、政治家、王族、ハリウッドのセレブであることが多いです。(2)情緒的である2つ目は、情緒的であることです。日本のバッシングの内容の多くは、犯罪や不倫などの分かりやすい悪に偏っています。逆に、労働、育児、介護、年金、貿易、原発などのまさに実生活にかかわることについては、善悪が分かりにくいため、あまり目が向いていないです。また、バッシングするかどうかは、同じ犯罪や不倫であっても、ターゲットやその時の世間の雰囲気によって極端に変わり、とても流されやすいです。これは、日本の和の文化によるものです。和とは、世間(主流秩序)を乱さないことです。よって、多数派という「安全な場所」から、少数派はバッシングされやすいです。逆に、多数派には逆らわないため、政権の不正へのバッシングは広がりにくいと言えます。一方、とくに欧米のバッシングの内容は、政治経済をはじめとして実生活にかかわることすべてです。また、ターゲットがどれだけズルしたか、自分たちはどれだけ損したかなど、お金についての内容が多く、現実的です。なお、不倫については、社会ではなく個人の問題であるため、そもそもバッシングのターゲットにはならないです。(3)陰湿である3つ目は、陰湿であることです。日本のバッシングのゴールは、「ご迷惑をおかけしました」「お騒がせしました」という世間への謝罪と「もう調子に乗りません」「大人しくします」という反省です。そこに至るまで、または至ったとしても、徹底的に追い詰めて、容赦がないです。親兄弟や職場にも謝罪を求めます。逆に、損害賠償など、合理的な解決を求めることについては、あまり目が向いていないです。これは、日本の疑似家族の文化によるものです。疑似家族とは、価値観が同じであることを前提に、親や兄弟、職場、さらには世間とのつながりを重んじることです。よって、本人だけでなく家族や会社が、世間様(主流秩序)に許しを乞うのは当然という発想になります。これは、バッシングの目的化に至りやすい思考回路でもあります。一方、とくに欧米のバッシングは、価値観が違うことが前提であるため、謝罪や反省ではなく、解決することが一番のゴールであり、とてもドライです。たとえば、違法ドラッグについては、謝罪や反省の是非ではなく、薬物依存症のリハビリテーションをしているかどうかが注目されます。親兄弟は、成人すれば赤の他人であるため、本人のために謝罪をすることはありません。むしろ、大変な思いをしていると周りから同情を寄せられることがあります。また、会社は、個人との単なる労働契約をしている関係にすぎないため、謝罪会見をすることはまずありえないです。なぜ日本的なバッシングはユニークなの?日本人的なバッシングのユニークな点は、ウチ・ソトの文化によって内向きである、和の文化によって情緒的である、疑似家族の文化によって陰湿であることが分かりました。これらは、欧米の個人主義とは対照的な日本独特の集団主義の文化です。それでは、なぜ日本人によるバッシングは、文化的にユニークなのでしょうか? ここから、その原因を、2つの脳内物質の国際比較を通して、脳科学的に解き明かしてみましょう。(1)不安を感じやすい―セロトニン不足1つ目は、日本人は不安を感じやすいことです。これは、先ほどにも触れた「安心ホルモン」であるセロトニンの不足との関係が指摘されています。セロトニンは、脳内でその「リサイクルポンプ」(セロトニントランスポーター)が働くことによって、常に使い回されています。「最後通牒ゲーム」を用いた研究によると、自分が損をしてでも公平性(正義)を重んじる人は、セロトニントランスポーターの密度が低い(働きが悪い)、つまりセロトニン不足であることが分かっています。この密度が低い遺伝子タイプ(SSタイプ)を持つ人の割合の国際比較において、日本人は世界で最も多いことが分かっています。つまり、日本人は不安を感じやすいからこそ、ソト(海外)へのバッシングなんて怖くてできず、内向きなのでしょう。その一方、ウチ(国内)では多数派に流されやすく、情緒的なのでしょう。また、同じ価値観を押し付けて、陰湿なのでしょう。こうして、バッシングによってとりあえず世間が乱れないようにして安心を得ようとするのです。(2)受け身になりやすい―ドパミン不足2つ目は、日本人は受け身になりやすいことです。これは、先ほどにも触れた「快感物質」であるドパミンの不足との関係が指摘されています。ドパミンは、脳内で分解酵素(カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ)が働くことによって、溶かされてなくなります。「同調圧力実験」を用いた研究によると、意思決定が楽しいと感じにくい人(受け身になりやすい人)は、ドパミン分解酵素の活性が高い(溶かす働きが良い)、つまりドパミン不足であることが分かっています。この活性が高い遺伝子タイプを持つ人の割合の国際比較において、日本人は世界でトップレベルであることが分かっています。つまり、受け身になりやすいからこそ、文化の違うソト(海外)まで積極的に目を向けられず、内向きなのでしょう。善悪を自分で考えようとせず、情緒的なのでしょう。解決への働きかけをしようとせず、陰湿なのでしょう。そして、バッシングによって、安易な快感を得ようとするのです。次のページへ >>

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苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 2

なぜ日本人的なバッシングのユニークさは「ある」の?これまで、日本人によるバッシングがユニークな原因は、不安を感じやすい気質(セロトニン不足)と受け身になりやすい気質(ドパミン不足)によるものであることが分かりました。もちろん、不安を感じやすいからこそ、受け身になりやすいとも言えます。逆に、受け身であり続けるからこそ、受け身ではいられない状況に対して不安を感じやすいとも言えます。この2つの気質は、相互作用している面もあります。それでは、そもそもなぜ日本的なバッシングのユニークさは「ある」のでしょうか?ここから、それぞれの気質の起源を進化心理学的に掘り下げてみましょう。(1)不安を感じやすい気質の起源不安を感じやすい気質の起源には、2つの説が考えられます。a.「グレートジャーニー促進説」約6万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)である私たちの祖先は、生まれたアフリカの大地を出て、大陸大移動(グレートジャーニー)を経て、世界に広がっていきました。定住せずに移住し続けるには、生活共同体(集団)の絆をより強める種(遺伝子)が生き残ったでしょう。それを下支えしていた心理は、つながりが失われることへの不安感であったことが考えられます。つまり、グレートジャーニーが、セロトニン不足を促進していったと考えられます。これが、1つ目の「グレートジャーニー促進説」です。実際に、セロトニン不足(セロトニントランスポーターの密度が低いタイプの割合)の国際比較を高い順に並べると、日本(約80%)、韓国(約80%)、台湾(約75%)、シンガポール(約70%)、中国(約70%)、インド(約60%)、トルコ(約55%)、イスラエル(50%)、イタリア(約50%)、スペイン(約50%)、ロシア(45%)、イギリス(約45%)、フランス(約45%)、ドイツ(約45%)、南アフリカ(約30%)となります。まさに、グレートジャーニーを逆方向に辿っています。また、アメリカ(約45%)、オーストラリア(45%)というデータが出ていますが、これらの国は、もともとヨーロッパからの移民が大多数を占めるので、遺伝的にはヨーロッパ人と同じと解釈します。むしろ、リスクをとってでも移民先に向かった点では、%が低めになるでしょう。なお、この移民とグレートジャーニーは、移住という点では同じです。しかし、移民が一世代の短期的な移住に対して、グレートジャーニーは数万年をかけた超長期的な移住である点で、生存のための心理的な適応戦略がまったく違います。ちなみに、アメリカ先住民やアボリジニ(オーストラリア先住民)は、日本人よりもさらに遠くに行っており、日本人よりも%が高い可能性がありますが、データはありません。b.「自然災害促進説」約3万8千年前に、私たち日本人の祖先はアジア大陸から南方系で日本列島に渡り、定住しました。ところが、日本は、世界でも類を見ない災害大国です。地震、津波、台風、火山などの自然災害という脅威を乗り越えるためには、グレートジャーニーの時と同じく、生活共同体(集団)の絆をますます強める種(遺伝子)が生き残ったでしょう。つまり、自然災害がセロトニン不足をさらに促進していったと考えられます。これが、2つ目の「自然災害促進説」です。(2)受け身になりやすい気質の起源受け身になりやすい気質の起源には、2つの説が考えられます。a.「均質民族促進説」日本の国土が島国で、大陸から一定の距離があるため、他民族からの侵略や混血はほとんどありませんでした。これは、江戸時代の鎖国が後押ししました。民族的に極めて均質性が高くなり、同じ見た目で同じ考え方をするので、意見の違いの妥協点を見いだすために自己主張(意思決定)をする必要はあまりなく、むしろ自己主張しない人が生き残ったでしょう。逆に、自己主張する人は、和を乱すと思われ、村八分(社会的排除)という形でバッシングのターゲットになります。そうなることを怖れて、受け身になったのです。つまり、日本人が、世界的に見て、極めて均質的な民族であり続けたことが、ドパミン不足を促進していったと考えられます。これが、1つ目の「均質民族促進説」です。なお、もちろんアイヌ民族や沖縄民族も一定数います。よって、「単一民族」という表現は、誤解を招くため、避けています。実際に、ドパミン不足(ドパミン分解酵素の活性が高いタイプの割合)の国際比較において、日本は73%です。一方、東アジアで約70%、ヨーロッパは40%強です。ヨーロッパでは、他民族からの侵略が繰り返された歴史があります。そのため、対抗したり妥協するなど積極的に意思決定をする人が生き残ったでしょう。なお、侵略という人災と地震などの天災は災害という点では同じです。しかし、人災は同じ人間であるため自己主張(意思決定)する余地があるのに対して、天災はその余地がほとんどなかった点で(現代は科学の進歩によってありますが)、生存のための心理的な適応戦略がまったく違います。b.「米作促進説」約3千年前に、米作が大陸から伝わり、日本人は米を主食とするようになりました。米作は、麦作と違って、協力するプロセスが多いのが特徴です。米作において、受け身になって集団の意思を尊重する人が生き残ったでしょう。これが、2つ目の「米作促進説」です。実際に、中国の米作地域と麦作地域の比較調査研究によると、同じ中国人であっても、米作地域の方は集団の意思を尊重し、麦作地域の方は合理的な決断をする傾向にあることが分かっています。なお、激動の幕末の日本において活躍したのが、米作に適していない火山地帯の薩摩(鹿児島県)や、米作よりも海運が盛んな長州(山口県西部)の人たちであったことを考え合わせると、とても興味深いです。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part3

バッシングにどうすればいいの?日本的なバッシングの起源は、歴史的・地理的条件によるものであることが分かりました。もちろん、これらの条件(環境)は、不安や受け身の気質(遺伝子)と相互作用しています。つまり、日本的なバッシングは、これまでの社会に適していたから「ある」のでしょう。ただし、ここで誤解がないようにしたいのは、だからと言って、現在の社会でそのままでいいと言うわけではまったくないです。たとえば、日本人の太りやすさが実は世界でトップレベルであるのは、これまでに粗食でも生き残るように進化した体質です(「倹約遺伝子」[β3アドレナリン受容体の変異])。だからと言って、飽食の現代に食べすぎて肥満や糖尿病になることを私たちは決して良しとはしないです。むしろ逆に私たちは食生活に注意しています。これと同じです。現在の社会は、SNSによって、噂は無制限に知らされ、同時に気軽に発信できて、さらに無責任になれます。そんな社会構造では、バッシングにどう注意すれば良いでしょうか? それは、まずこの根っこにある日本人の不安と受け身の気質に気付くことでしょう。ここから、具体的に気付くポイントを3つ挙げます。以下のこのCMの最後のナレーションをヒントに、一緒に考えてみましょう。「悪意ある言葉が、人の心を傷付けている」「声を荒らげる前に少しだけ考えてみませんか」(1)「悪意」になることに気付くバッシングをしてしまう人たちについての調査研究によると、その属性は、若い男性、家庭あり、高収入に偏っていることが分かっています。彼らは、むしろ「良識がある普通の人」「ルールに忠実な善良な国民」と自覚する人たちです。つまり、彼らによるバッシングは、社会のために良かれと思う、彼らなりの「善意」や「正義」がきっかけになっています。しかし、正義は行きすぎれば、「正義中毒」という快感になるとすでに前編で説明しました。1つ目は、私たちの共通認識として、その「善意」や「正義」が、快感を欲する「悪意」にすり替わってしまう危うさがあることに気付くことです。(2)「傷付けている」ことに気付くバッシングをしてしまう人たちの属性から、彼らは、むしろ知的に高く、社会的に成功している人たちです。つまり、彼らによるバッシングは、社会のために自分が懲らしめて分からせなければならないという、彼らなりの使命感や問題意識がきっかけになっています。そして、それを正当化する彼らのお決まりの言い分は、言論の自由です。しかし、いくら社会のためであっても、個人の権利を侵害する場合は、言論の自由は成り立ちません。具体的な違法性については、すでに前編で説明しました。また、匿名であることによって、暴走しています。逆に言えば、実名であれば、暴走しにくくなるでしょう。前編で触れた発信者情報開示請求という法的手段は、時間と労力がかかりますが、最終的には実名が突き止められます。2つ目は、私たちの共通認識として、その「私的な懲らしめ」(私刑)が「傷付けている」ことになる、つまり違法行為であり、逆に法によって「懲らしめ」られることに気付くことです。つまり、ルールに反すると言っているその人自身が、ルールに反したことをしているという矛盾です。この矛盾に気付いてもらうために、SNSのプロバイダは、バッシングのコメントを発信するユーザーにどういう点で違法行為であるかの具体的な警告文や警告レベルを示すことが望ましいでしょう。そもそも本当に正義を語るつもりであれば、たとえ実名が明るみになっても、誇ることはあっても恥じることはないはずです。(3)ネガティブな心のあり方に気付くバッシングをしてしまう人たちの属性から、彼らはむしろ仕事や家庭生活で忙しい人たちです。にもかかわらず、バッシングのために時間と労力を費やしています。そこまでしてやるわけは、ネガティブな物差し(認知)でしか相手を計ることができない彼らの心のあり方が根っこにあることが考えられます。そして、そのネガティブな物差し(認知)は、相手だけでなく、自分自身にも気付かずに向けているでしょう。こうして、彼ら自身が仕事や家庭での不安感や不足感を自分で煽り、萎縮した生き方をしてしまっています。3つ目は、私たちの共通認識として、ネガティブな心のあり方に気付き、相手の気持ちだけでなく、自分自身の生き方を見つめ直すことです。それは、こそこそと他人のあら探しや社会への不平不満を言い続けるのではないです。自分は本当に何をしたいのか、自分の人生をどう豊かにしていきたいのかに目を向けることです。そうすれば、他人の生き方にも寛容になるでしょう。 苦情殺到に桃太郎は?このCMは、昔話の桃太郎という架空のストーリーをバッシングすることに、おかしさがあります。このあとに生まれてくる桃太郎が退治するのは、バッシングという「鬼」になるのでしょうか? 実際に、このCMに賛同するコメントが多く寄せられた一方で、反論するコメントもまた多く寄せられました。その心理は、「バッシングへのバッシングだ」という正義感です。この記事もそう反論されるのでしょうか? そうなると、もはや「バッシング合戦」です。大事なことは、そのようなネガティブなコミュニケーションのパターンの手には乗らないことです。たとえネガティブなコメントであっても、評価や感想レベルであれば、1つの意見として受け止める心の余裕を持つことです。そのためにも、周りからどう思われるかではなく、自分がどうしたいかをブレずに持つことでしょう。そして、ポジティブに働きかけていくことです。そう考えると、苦情殺到に桃太郎なら、最後のナレーションのメッセージを次のように言い換えるのではないでしょか?「正義ある言葉は、中毒的で、違法行為になるおそれがある」「実名であっても言えるか少し考えてみませんか」「そして、もっと建設的なコミュニケーションをしてみませんか」 << 前のページへ■参考スライド【嗜癖性障害】2020年■関連記事万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 1神様からひと言【なぜクレームするの?どう応じれば良いの?(断るスキル)】

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入眠と中途覚醒を改善するオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第50回

入眠と中途覚醒を改善するオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg」今回は、不眠症治療薬「レンボレキサント(商品名:デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg、製造販売元:エーザイ)」を紹介します。本剤は、わが国で2剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。より自然に近い催眠作用によって、スムーズな入眠と睡眠維持、翌朝の覚醒改善が期待されています。<効能・効果>本剤は不眠症の適応で、2020年1月23日に承認されています。<用法・用量>通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与します。なお、患者の症状により1日1回10mgを超えない範囲で適宜増減できます。本剤とCYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合は、1日1回2.5mgが上限となっています。<安全性>不眠症患者を対象とした国際共同第III相試験において、本剤が投与された884例(日本人155例を含む)中249例(28.2%)に副作用が認められました。主な副作用は、傾眠95例(10.7%)、頭痛37例(4.2%)、倦怠感27例(3.1%)などでした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.本剤は、覚醒と睡眠リズムを調整することで寝つきをよくし、より正常な睡眠の維持を促します。2.このお薬は、食直後を避け、就寝直前に服用してください。入眠後、一時的に起床して活動する必要がある日には服用しないでください。3.眠気や注意力・集中力・反射運動能力の低下など、薬の影響が翌朝以降も続くことがありますので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。4.不眠症の改善は、適度な運動を心掛けるなど、生活習慣を見直すことも大切です。起床時間と就寝時間を一定にし、睡眠リズムを整えましょう。<Shimo's eyes>不眠症治療の中心的薬剤として、ベンゾジアゼピン系薬剤が長年使用されていますが、長期服用時の依存形成や薬物の不適切使用が問題となっています。近年では、より自然に近い睡眠・覚醒リズムを整える薬剤として、2010年にはメラトニン受容体作動薬のラメルテオン(商品名:ロゼレム)、2014年にはオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(同:ベルソムラ)が発売されました。本剤は、国内で2番目のオレキシン受容体拮抗薬で、オレキシン神経伝達に作用して過剰な覚醒状態を抑制するため、より自然な睡眠を促し、中途覚醒時間を短縮することが可能と考えられています。本剤の特徴として、年齢による用量の制限がなく、また調剤時の一包化が可能となっているため、高齢者にも比較的使用しやすい薬剤といえるでしょう。第III相試験においては、入眠と睡眠維持の両方の改善を示し、プラセボと比較して翌日のふらつきや記憶力においても問題となる悪化は認められず、日中機能の改善が確認され、6ヵ月投与した中止後の離脱症状は見られませんでした。なお、<用法・用量>に記載のとおり、相互作用については禁忌ではないものの、肝薬物代謝酵素CYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤と併用する場合には、本剤の投与量を1日1回2.5mgに制限する必要があります。また、中等度肝機能障害の患者に対しては、本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、1日1回5mgが上限となっています。医薬品リスク管理計画書(RMP)における本剤の潜在的リスクとして、ナルコレプシー症状が挙げられています。副作用については、日中の過剰な眠気、睡眠時麻痺、入眠時幻覚がないかなど、細やかな聞き取りを心掛けましょう。参考1)PMDA デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg

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小児ADHDに関連する食事パターン~メタ解析

 注意欠如多動症(ADHD)は、世界中の小児にみられる慢性的な精神疾患である。イラン・Shahid Sadughi University of Medical SciencesのElham Shareghfarid氏らは、小児の食事パターンとADHDとの関連について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Nutrition ESPEN誌2020年4月号の報告。 Google Scholar、SCOPUS、ISI Web of science、PubMedなどのデータベースより2017年6月までの文献を検索し、ADHD児における食事パターンや食物摂取に関する研究を抽出した。達成された相対リスク(RR)およびオッズ比(OR)については、主な食事パターンのアドヒアランスの最大と最小を比較した。異質性は、コクランのQ検定およびI2検定により評価した。 主な結果は以下のとおり。・本システマティックレビューには、6つの食事パターンおよび6種類の食品または栄養素の研究を含めた。・6つの食事パターンの研究(8,816例)についてメタ解析を実施した。・プール解析では、健康的な食事パターン(OR:0.63、95%CI:0.41~0.96)はADHDリスクの有意な減少を示した。一方、西洋食(OR:1.92、95%CI:1.13~3.26、p=0.016)およびジャンクフード(OR:1.51、95%CI:1.06~2.16、p=0.024)の食事パターンはADHDリスクを有意に増加させた。 著者らは「野菜、果物、豆類、魚を多く含む健康的な食事パターンは、ADHDの発症を37%低減させた。さらに、甘味料入りの飲料やデザートを含むジャンクフードおよび赤身肉、精製穀物、加工肉、硬化油などの西洋食の食事パターンは、ADHDリスクを増加させた」としている。

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日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾール切り替えの安全性と有効性

 東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本人統合失調症患者200例を対象に行ったブレクスピプラゾール単剤療法切り替えの試験データを用いて、事後分析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年4月15日号の報告。 試験期間は8週間、4週間の切り替えフェーズと4週間の切り替え後フェーズで構成されている。ブレクスピプラゾールへの切り替えスケジュールは、最初に1mg/日で投与を開始し、第4週目までに2mg/日まで増量した。それまでに使用されていた抗精神病薬は、第3週より徐々に減量し、第4週目までに中止した。ブレクスピプラゾールの投与量は、CGI-I基準に従い、最大4mg/日まで増量可能とした。 主な結果は以下のとおり。・第8週目のブレクスピプラゾールの投与量別の割合は、以下のとおりであった。 ●1mg/日:1.8% ●2mg/日:23.2% ●3mg/日:25.0% ●4mg/日:50.0%・第8週目の治療中止率は、17.0%であった。・主な治療中止理由は、同意の撤回(9.5%)、有害事象の発生(5.5%)、医師の判断(2.0%)であった。・一般的に認められた有害事象は、鼻咽頭炎(13.5%)、統合失調症症状の悪化(9.0%)、不眠症(6.5%)、頭痛(5.5%)、アカシジア(5.5%)であった。・治療中止率と前治療薬との関連では、アリピプラゾールからの切り替えにおける治療中止率は4.9%であったが、ほかの抗精神病薬からの切り替えにおける治療中止率は、25.4%であった。 著者らは「ブレクスピプラゾールへ切り替える際、主要な前治療薬がオランザピンの場合には、治療中止に至る有害事象を考慮し、慎重な切り替えが求められる」としている。

2970.

ADHDとうつ病との関連

 注意欠如多動症(ADHD)は、将来のうつ病との関連が示唆されており、両疾患の間には遺伝的関連があるといわれている。英国・カーディフ大学のLucy Riglin氏らは、ADHDやADHDの遺伝的罹病性がうつ病と関連するかについて、2つの異なる方法を用いて調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年4月6日号の報告。 まず、Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)研究より8,310例を用いて、小児ADHD(7歳)と若年成人の再発性うつ病(18~25歳)との関連を評価した。次に、2サンプルのメンデルランダム化(MR)分析により、ADHDの遺伝的罹病性とうつ病との関連を、公開されているゲノムワイド関連解析(GWAS)データを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・小児ADHDは、若年成人における再発性うつ病リスクの増加と関連が認められた(OR:1.35、95%CI:1.05~1.73)。・MR分析では、ADHDの遺伝的罹病性がうつ病に及ぼす因果関係が示唆された(OR:1.21、95%CI:1.12~1.31)。・うつ病のより広い定義を用いた場合、MR分析の所見と異なり、うつ病に対して弱い影響が示唆された(OR:1.07、95%CI:1.02~1.13)。 著者らは「ADHDは将来のうつ病リスクを高め、ADHDの遺伝的罹病性がうつ病に及ぼす因果関係が示唆された」としている。

2971.

アルツハイマー病在宅ケア患者に対する抗認知症薬使用と有害事象の調査

 東京大学の今井 博久氏らは、抗認知症薬を使用している患者でみられる有害事象について、その種類、発生率、リスク因子を明らかにするため調査を行った。PLOS ONE誌2020年4月6日号の報告。 抗認知症薬を調剤している薬剤師を対象に、アンケート調査を実施した。薬剤師が自宅を訪問し、届けた抗認知症薬を使用している患者に関する設問に回答した。設問内容には、患者の薬剤による副作用経験、患者背景、最初に訪問した際に患者が服薬していた薬剤数、薬剤師による抗認知症薬使用の妥当性の評価が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・全国の薬局1,673施設より、3,712例のデータを収集した。・そのうち、863例に抗認知症薬が使用されていた。・75歳以上の患者は、801例(92.8%)であった。・有害事象が確認された患者は、170例(21%)であった。・最も一般的な有害事象は、興奮/不安(45.1%)であった。・多変量解析では、リスク因子は以下のとおりであった。 ●1日10種類以上の多剤併用(p=0.030) ●不適切な使用(p=0.002) ●不規則な使用(p=0.034) 著者らは「抗認知症薬を使用する際の有害事象を回避するためには、併用薬、抗認知症薬使用の妥当性、薬剤使用を最適にマネジメントする方法を医師および薬剤師で調査する必要がある」としている。

2972.

双極性障害とアルコール使用障害

 これまでの研究において、双極性障害(BD)患者のアルコール使用障害(AUD)の合併が報告されているが、BD患者のアルコール使用パターンはよくわかっていない。英国・ウスター大学のKatherine Gordon-Smith氏らは、大規模英国サンプルを用いて、生涯で最も大きい平均週間アルコール消費量の調査を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年4月2日号の報告。 定期的な飲酒経験のある双極I型障害の女性1,203例および男性673例を対象に、半構造化インタビューを実施した。 主な結果は以下のとおり。・現在の英国推奨アルコール摂取ガイドラインの2倍以上定期的に飲酒していた患者は、女性で52.3%、男性で73.6%であった。・男女ともに、生涯アルコール消費量の増加と有意な関連が認められたのは以下の項目であった。 ●自殺企図:女性(OR:1.82、p<0.001)、男性(OR:1.48、p=0.005) ●ラピッドサイクリング:女性(OR:1.89、p<0.001)、男性(OR:1.88、p<0.001)・女性のみで、アルコール消費量の増加と有意な関連が認められたのは以下の項目であった。 ●うつ病エピソード(OR:1.35、p<0.001) ●躁病エピソード(OR:1.30、p<0.004) ●最も悪い躁病エピソード中の機能障害の少なさ(OR:1.02、p<0.001) ●精神科入院の減少(OR:0.51、p<0.001) ●パニック症の合併(OR:2.16、p<0.001) ●摂食障害の合併(OR:2.37、p<0.001) 著者らは「実臨床において、BD患者のアルコール消費量に関する詳細な情報を収集する意義は大きいと考えられる。アルコール消費量が多いからといって、必ずしもAUDの基準に達しているわけではないが、BDの疾患経過、とくに女性の摂食障害の合併を予測するうえで役立つであろう」としている。

2973.

統合失調症に対するドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストの忍容性の比較

 アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineは、ほかの第2世代抗精神病薬と異なり、ドパミンD2/D3受容体に対するパーシャルアゴニスト作用を有している。オーストラリア・モナッシュ大学のNicholas Keks氏らは、3剤のドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストについて比較を行った。CNS Drugs誌オンライン版2020年4月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールとは対照的に、ブレクスピプラゾールは、ドパミンD2活性が低く、セロトニン5-HT1Aおよび5-HT2A受容体親和性が高い。一方、cariprazineは、ドパミンD3受容体親和性が最も高く、半減期も最も長い。・ドパミン受容体パーシャルアゴニスト(DRPA)の主な副作用は、軽度~中等度のアカシジアであり、多くは治療開始数週間のうちにごく一部の患者で認められる。・DRPA間の違いについて、決定的な結論に至るには直接比較研究が必要ではあるが、入手可能なエビデンスによる比較では、アカシジアはブレクスピプラゾールが最も発生率が低く、cariprazineが最も高いと考えられる。・体重増加リスクは、アリピプラゾールとcariprazineは低く、ブレクスピプラゾールは中程度である。・DRPAは、過鎮静、不眠症、悪心のリスクが低かった。・DRPAは、高プロラクチン血症リスクが低く、おそらく性機能障害リスクも低いと考えられる。・一部の患者では、プロラクチン濃度の低下が認められ、とくにDRPA治療開始前にプロラクチンレベルが上昇している患者で認められた。・DRPAは、有害事象による治療中止率は低く、忍容性は良好であった。・アリピプラゾールは、おそらくDRPA活性による病的賭博やほかの衝動制御行動と関連している可能性がある(ブレクスピプラゾールおよびcariprazineでの報告は認められなかった)。・DRPAによる糖尿病および遅発性ジスキネジアリスクは明らかではなかったが、低リスクであると考えられる。 著者らは「DRPAの忍容性は良好であることから、とくに統合失調症の治療初期における第1選択治療として検討すべきである」としている。

2974.

夜間の光曝露と双極性障害患者の躁症状との関連

 これまでの研究において、夜間に寝室を暗く保つことは、双極性障害(BD)患者の躁症状減少と関連することがわかっている。しかし、実際の夜間での光曝露の状況と躁症状との関連は明らかとなっていない。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、夜間の寝室での光曝露とBD患者の躁症状との関連について調査を行った。Chronobiology International誌オンライン版2020年4月2日号の報告。 本研究は、BD外来患者184例を対象とした横断的研究である。夜間の睡眠中の平均光強度は、ポータブル光度計を用いて、7夜連続で測定した。躁症状は、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いて評価し、スコア5以上を「軽躁状態」と定義した。 主な結果は以下のとおり。・YMRSスコアの中央値は2.0(四分位範囲:0~5.0)、軽躁状態が認められた患者は52例(28.2%)であった。・夜間の平均光強度が3ルクス以上の患者は、3ルクス未満の患者と比較し、軽躁状態の有病率が有意に高かった(36.7% vs.21.9%、p=0.02)。・BDタイプ、抑うつ症状、睡眠時間、日中の身体活動で調整した多変量ロジスティック回帰分析では、夜間の平均光強度が3ルクス以上の患者は、3ルクス未満の患者と比較し、軽躁状態のオッズ比(OR)が有意に高かった(OR:2.15、95%信頼区間[CI]:1.09~4.22、p=0.02)。・この関連性は、YMRSスコア6以上のカットオフ値においても有意なままであった(OR:2.51、95%CI:1.15~5.46、p=0.02)。 著者らは「夜間の寝室での光曝露とBD患者の躁症状との有意な関連が示唆された。本結果は、必ずしも因果関係を示唆するものではないが、BD患者への有益な非薬理学的介入および個別化された治療を行ううえで役立つであろう」としている。

2975.

高齢者における難聴とうつ病との関係~メタ解析

 高齢者における難聴とうつ病との関連を報告した研究では、結果に矛盾がみられている。このことから、西オーストラリア大学のBlake J. Lawrence氏らは、関連エビデンスのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Gerontologist誌2020年4月2日号の報告。 MEDLINEなどの学術データベースの検索およびOpenGreyなどでの灰色文献の検索を行い、2018年7月17日までの関連記事を抽出した。横断的研究またはコホート研究を含めた。アウトカムの効果は、オッズ比(OR)として算出し、ランダム効果メタ解析を用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究は35件(14万7,148例)であった。・横断的研究が24件、コホート研究が11件であった。・難聴は、高齢者におけるうつ病オッズの大きさと有意な関連が認められた(OR:1.47、95%信頼区間[CI]:1.31~1.65)。・研究デザインで層別化した場合、横断的研究(OR:1.54、95%CI:1.31~1.80)およびコホート研究(OR:1.39、95%CI:1.16~1.67)のいずれにおいても、難聴はうつ病オッズの大きさと関連していた。また、研究デザイン間で、効果の推定値に差は認められなかった(Q=0.64、p=0.42)。・難聴とうつ病の関連に対する補聴器の使用などのモデレーター変数の影響は認められなかったが、これらの調査結果は注意して解釈する必要がある。・出版バイアスは認められなかったが、全体的な効果の推定値の確実性は「低」に分類された。 著者らは「高齢者では、難聴に関連するうつ病のオッズ増大がみられる可能性があり、この関連は、研究や研究参加者の特性による影響を受けないと考えられる」としている。

2976.

SSRI治療抵抗性うつ病に対するボルチオキセチン補助療法

 うつ病の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は基本となる。しかし、SSRIでは治療反応が得られないこともあり、多くの場合、併用戦略が必要となる。イタリア・University "G. D'Annunzio" ChietiのDomenico De Berardis氏らは、SSRI治療抵抗性うつ病患者に対する併用療法としてのボルチオキセチンの有効性を評価した。Revista Brasileira de Psiquiatria誌オンライン版2020年3月9日号の報告。 8週間以上のSSRI治療で治療反応が得られなかった外来の成人うつ病患者36例を対象とし、レトロスペクティブにレビューした。対象患者に対し、現在のSSRIにボルチオキセチン(5~20mg/日)を追加し、8週間の治療を行った。主要アウトカムは、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計スコアのベースラインからの変化量と治療反応率(HAM-Dスコアの50%以上減少およびエンドポイントでの臨床全般印象度の改善度[CGI-I]スコアが1または2)とした。HAM-Dスコア7以下を寛解と定義した。追加アウトカムの指標は、Snaith-Hamilton Pleasure Scale(SHAPS)、Scale for Suicide Ideation(SSI)とした。 主な結果は以下のとおり。・8週間の治療を完了した患者は32例であった。・8週間後、HAM-Dスコアの有意な減少が認められた(p≦0.001)。・治療反応率は41.7%、寛解率は33.3%であった。・SHAPSおよびSSIの有意な減少も認められた(各々p≦0.001)。 著者らは「本研究は、サンプルサイズが小さく、無作為化および対照研究ではなく、レトロスペクティブデザインであることを考慮する必要がある」としながらも、「治療抵抗性うつ病に対する最初の治療として、ボルチオキセチン補助療法は有用性および忍容性が高いと考えられる」としている。

2977.

新型タバコ肺傷害の死亡例、喘息、心疾患、精神疾患が高率/NEJM

 電子タバコやベイピング製品使用に関連する肺傷害(EVALI)による致死症例および非致死症例について全米調査を行ったところ、致死症例は非致死症例に比べ、喘息や心疾患、精神疾患の併存割合が高いことが明らかになったという。米国疾病管理予防センター(CDC)のAngela K. Werner氏らが報告した。2020年1月7日時点でCDCに報告されたEVALI入院患者の非致死症例は2,558例、致死症例は60例であるという。NEJM誌2020年4月23日号掲載の報告。臨床現場でのハイリスク患者の同定能向上を目的に調査 研究グループは、2020年1月7日時点でCDCに報告のあった致死・非致死EVALI入院患者について、解析を行った。臨床現場におけるハイリスク患者の同定能の向上を目的とした検討で、致死症例と非致死症例の患者の特徴を比較した。 各州の保健当局は2019年8月から、CDCにEVALI症例の報告を行っており、可能な限り、患者の医療記録データや聞き取り調査の内容も併せて入手し解析に反映した。また、EVALIで死亡した3例の患者について、共通する臨床的特徴を明らかにする検討も行った。致死症例の過半数が肥満症 EVALI患者の多くが男性で、その割合は致死症例では53%(32/60例)、非致死症例では67%(1,666/2,498例)だった。人種・民族別に見ると、致死・非致死症例ともに非ヒスパニック系白人の割合が高く、それぞれ80%(39/49例)、61%(1,104/1,818例)だった。35歳以上の患者の割合は、致死症例では73%(44/60例)と高く、非致死症例では22%(551/2,514例)と低かった。 病歴が入手可能だった患者において、喘息罹患者の割合は致死症例で23%(13/57例)に対し非致死症例では8%(102/1,297例)であり、心疾患はそれぞれ47%(26/55例)、10%(115/1,169例)、精神疾患は65%(32/49例)、41%(575/1,398例)と、いずれも致死症例で高率だった。 致死症例の52%(26/50例)に肥満症が認められた。また、致死症例の46%(25/54例)が、入院・死亡前に外来受診歴があった。

2978.

COVID-19に対応する医療者のためのメンタルケアガイドを公開

 日本赤十字社は、感染が拡大する新型コロナウイルスによる感染症に対応する医療者に向けて、心の健康を保つために知っておくべきこと、やるべきことをまとめたガイドを作成し、サイトで公開している。 この「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」では、冒頭に感染症の影響を「ウイルスによって引き起こされる疾病そのもの」(生物学的感染症)、「見えないこと、治療法が確立されていないことで生じる強い不安や恐れ」(心理的感染症)、「不安や恐怖が生み出す嫌悪・差別・偏見」(社会的感染症)に分類し、とくに医療従事者に関連する心理的感染症と社会的感染症に対するケアが重要とする。 さらに「COVID-19対応者のメンタルヘルスの特殊性」を「避けられない不安」「得られにくい承認」「孤独感や孤立感」「立たない見通し」とし、こうした困難な状況で働く職員がこころの健康を維持するために必要な4要素として「職務遂行基盤(スキル、知識、安全)」「個人のセルフケア」「家族や同僚からのサポート」「組織からのサポート」を挙げている。そして、4要素と本人・家族・上司・管理者の立場を掛け合わせたうえで、具体的にすべきことを紹介している。  添付資料として、ストレス度の把握に使う「COVID-19対応者のためのストレスチェックリスト」や、自宅待機や隔離中の一般患者に向けた「感染症流行期にこころの健康を保つために」というハンドブックも用意され、ダウンロード可能となっている。日本赤十字社/新型コロナウイルス感染症対応に従事されている方のこころの健康を維持するために

2979.

早期認知症発症のリスク因子~剖検による確認

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)は、混在している場合が多く、それらのリスク因子を明確にすることは難しい。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのJeff Schaffert氏らは、剖検で確認されたAD、DLB、ADとDLBの混合型(AD+DLB)における認知症発症のリスク因子について検討を行った。Alzheimer's & Dementia誌2020年3月号の報告。 剖検で確認されたAD(647例)、AD+DLB(221例)、DLB(63例)における早期認知症発症の6つのリスク因子について、National Alzheimer's Coordinating Centerのデータを用いた多重線形回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ADおよびAD+DLBでは、男性およびアポリポ蛋白E(APOE)ε4対立遺伝子は2~3年の早期発症を予測し、うつ病は3年の早期発症を予測した。・DLBでは、高等教育は早期発症を予測し、うつ病は5.5年の早期発症を予測した。 著者らは「男性およびAPOE ε4対立遺伝子は、ADの早期発症リスクを上昇させるが、DLBの早期発症リスクには影響を及ぼさなかった。うつ病は、AD、DLB、AD+DLBの早期発症リスクを上昇させるが、その経過、治療、重症度を評価するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

2980.

苦情殺到!桃太郎(前編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1

今回のキーワード炎上向社会性制裁(サンクション)「相対的獲得感」名誉毀損罪「過剰制裁」(オーバーサンクション)嗜癖性障害(アディクション)フリーライダー皆さんは、SNSのバッシングが目に余ると感じたことはありませんか? とくに、有名人による不正、不倫、不謹慎は、格好のターゲットになっています。バッシングとは、叩く、つまり過激に非難すること。そして、バッシングが大人数で殺到すれば、袋叩き、炎上と呼ばれます。なぜバッシングをするのでしょうか? なぜバッシングは「ある」のでしょうか? そして、なぜ日本的なバッシングはユニークなのでしょうか? どうすれば良いでしょうか? これらの答えを探るために、今回は、ACジャパンのCM「苦情殺到!桃太郎」を取り上げます。昔話の桃太郎をパロディ化して、ネットモラルの大切さをユーモラスに描いています。このCMを通して、バッシングの心理を脳科学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、より良いコミュニケーションのあり方を一緒に探っていきましょう。なぜバッシングをするの?このCMは、次のように始まります。「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが幸せに暮らしていました」「ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ、どんぶらこと大きな桃が(流れてきました)」。そして、「その桃を拾い上げると」というナレーションの後に、ツイッターのリプライが次々と画面上に流れていき、「批判の声が殺到しました」と続きます。ここから、その「批判の声」を3つの特徴に分けて、バッシングをする心理を脳科学的に解き明かしてみましょう。(1)正したい―正義感「窃盗だろw」「警察に届けないの?」「子供が真似したらどうするんだ」「ていうか、川で洗濯するなよ」「衛生上どうなの?」「雑菌だらけでしょ」「でも確かに美味しそうな桃ではある」「桃のステマじゃない?」1つ目の特徴は、正したいという心理です。確かに、コメント自体は正論です。それにしても、なぜそこまで正論を言いたがるのでしょうか? それは、世の中を良くしたい、世直ししたいという正義感が根っこにあるからです。この場合の正しさとは、社会秩序を維持するための正しさです。決して個人の自由を認める正しさではありません。確かに、このような監視の目によって、社会が一定の秩序を保ち、人と人がつながっている面はあるでしょう。脳科学的に考えると、この正義感(向社会性)は、オキシトシンという脳内物質との関係が指摘されています。オキシトシンは、もともと授乳を促す女性ホルモンですが、男性にもあることが分かっており、母子だけでなく、家族、共同体の絆を強めることが分かっています。(2)許せない―不安感「通報!通報!」「懲役何年?」「桃の気持ちを考えたことがあるのか!」「桃がカワイソス(´・ω・)」「桃農家さんのためにも抗議だ!」「電話で抗議しよう」「ほかにも何か悪いことしてるんじゃない?」「常識なさそうだもんね。」2つ目の特徴は、許せないという心理です。確かに、架空のおばあさんにそこまで許せないと憤るのは、滑稽です。これが、このCMのユーモラスな点です。しかし、たとえばこれが有名人の違法ドラッグや不倫などの現実の出来事だったら、どうでしょうか? きっとこれらのコメントで生々しく炎上するでしょう。それでは、なぜそこまで許せないのでしょうか? そのことで、自分に直接被害がないにもかかわらずです。そして、コメントして自分に得にならないにもかかわらずです。むしろ、自分が労力(コスト)をかけている点で損をしているにもかかわらずです。それは、世の中が乱れる、つながりが失われることへ不安感が根っこにあるからです。脳科学的に考えると、この不安感は、セロトニンという脳内物質との関係が指摘されています。セロトニンが不足すると、不安だけでなく、間違いへとらわれ(強迫)、マイナス思考(うつ)を強めます。さらには、不安定な状況やリスクへの敏感さをも強めることが分かっています。(3)裁きたい―快感「謝罪会見マダー」「早く謝ってください」「謝っても許さないけどね」3つ目の特徴は、裁きたいという心理です。本来裁くのは、個人ではなく、社会システムである司法のはずです。または、当事者同士の話し合いで解決するはずです。そもそも裁くこと自体も労力(コスト)がかかります。それなのに、なぜ裁きたいのでしょうか? それは、「世の中を乱す人」を捕まえて懲らしめることへの快感が根っこにあるからです。これは、制裁(サンクション)と呼ばれています。制裁は、集団の中で協力しない人や裏切る人に対して、ほかの誰かが自己犠牲を払ってでも罰を与える行動です(利他的懲罰)。これは、自分の得にはならないですが、自分以外のすべての人(社会)にとっては、得になります。脳科学的に言えば、この快感は、ドパミンという脳内物質との関係が指摘されています。ドパミンが増加して快感(報酬)を得るのは、美味しいものを食べた時だけでなく、周り(社会)に褒められた時、さらには社会の役に立ったと自覚した時でもあることが分かっています。次のページへ >>

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