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2061.

日本における統合失調症に対する抗コリン薬使用の特徴

 統合失調症のさまざまな臨床ガイドラインにおいて、抗コリン薬の長期使用は推奨されていない。福岡大学の堀 輝氏らは、向精神薬使用のパターンおよび病院間での違いを考慮したうえで、統合失調症患者に対する抗コリン薬使用の特徴について、調査を行った。その結果、抗精神病薬の高用量および多剤併用、第1世代抗精神病薬の使用に加え、病院の特性が抗コリン薬の使用に影響を及ぼすことが示唆された。Frontiers in Psychiatry誌2022年5月17日号の報告。統合失調症に対する抗コリン薬処方率は0~66.7%と病院ごとに大きく異なる 日本の医療機関69施設の統合失調症患者2,027例を対象に、退院時治療薬に関する横断的レトロスペクティブ調査を実施。抗コリン薬と向精神薬使用との関連を調査した。各病院を抗コリン薬の処方率に応じて、低、中、高の3グループに分類し、抗コリン薬処方率と抗精神病薬使用との関連を分析した。 統合失調症患者に対する抗コリン薬使用の特徴について調査を行った主な結果は以下のとおり。・抗コリン薬が処方されていた統合失調症患者数は618例(30.5%)であり、抗精神病薬の高用量、多剤併用、第1世代抗精神病薬使用の患者で有意に高かった。・抗コリン薬処方率は0~66.7%と病院ごとに大きく異なり、低・中グループと比較し高グループにおいて、抗精神病薬の単剤治療、多剤併用、標準および高用量使用患者で有意に高かった。・高グループにおける第2世代抗精神病薬単剤治療患者の抗コリン薬処方率も、低・中グループと比較し有意に高かったが、第1世代抗精神病薬単剤治療患者では、有意な差が認められなかった。

2062.

入院うつ病患者の自殺リスクに対する不眠症の影響

 不眠症は、うつ病に関連する重要な症状であり、自殺のリスク因子の1つであるといわれている。いくつかの研究によると、うつ病患者では不眠症と自殺行動との関連が示唆されているが、入院患者の大規模サンプルによる評価は十分に行われていなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のZeeshan Mansuri氏らは、入院うつ病患者を対象に不眠症の有無による自殺リスクの評価を行った。その結果、うつ病患者の不眠症は自殺リスクと有意に関連することが示唆されたことから、不眠症を合併しているうつ病患者では、自殺行動をより注意深くモニタリングする必要があると報告した。Behavioral Sciences誌2022年4月19日号の報告。 ICD-9のコードを用いたNational Inpatient Sample(NIS 2006-2015)データベースより、1次診断時うつ病と診断され、不眠症状を併発していた患者(MDD+I群)のデータを収集した。比較対照を行うため、MDD+I群と1対2でマッチさせた不眠症のないうつ病患者を対照群として設定した。両群間の自殺念慮および自殺企図に関するデータを比較するため、多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析には、MDD+I群13万9,061例と対照群27万6,496例が含まれた。・MDD+I群は、対照群と比較し、より高齢であった(47歳 vs.45歳、p<0.001)。・自殺念慮および自殺企図の割合は、MDD+I群で56.0%、対照群で42.0%であった(p<0.001)。・年齢、性別、人種、境界性パーソナリティ障害、不安症、物質使用障害で調整した後、不眠症は、入院うつ病患者における自殺行動の1.71倍増加と関連することが認められた(オッズ比:1.71、95%CI:1.60~1.82、p<0.001)。

2063.

COVID-19パンデミックによる日本人医学生の座位行動とうつ病との関連

 2019年に発生したCOVID-19により人々の行動が変化し、座りがちな行動の割合が増え、うつ病の増加につながっていることが示唆されている。医学生におけるこのような影響は、今後の医療提供体制に負の作用をもたらす可能性がある。広島大学の田城 翼氏らは、日本人医学生を対象にCOVID-19パンデミック中の座位行動とうつ病との関連を調査した。その結果、COVID-19パンデミック下の日本人医学生のうつ病リスクを減少させるためには、座位時間および余暇でのスクリーンタイムの減少が有効である可能性が示唆された。著者らは、これらの結果に基づき、うつ病の予防や治療を行うための適切な介入の開発が求められると報告している。BMC Psychiatry誌2022年5月20日号の報告。 2021年7月30日~8月30日に匿名アンケートシステムを用いてオンライン調査を実施し、日本人大学生1,000人を対象に社会人口統計学的特性、身体活動、座位行動に関するデータを収集。うつ病は、Patient Health Questionnaire-2(PHQ-2)を用いて評価した。484人の回答者データをステップワイズ法で分析し、モデル1として医学生と非医学生の違いを、モデル2としてうつ病を有する医学生と非うつ病の医学生の違いを評価した。両モデルの群間比較には、社会人口統計学的特性ではカイ二乗検定、身体活動および座位行動ではマン・ホイットニーのU検定を用いた。モデル2では、医学生のうつ病に関連する因子を分析するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・モデル1では、医学生は非医学生と比較し、身体活動時間が短く(p<0.001)、座位時間が長く(p<0.001)、PHQ-2スコアが高かった(p=0.048)。・モデル2では、うつ病医学生は非うつ病医学生と比較し、座位時間が長く(p=0.004)、余暇のスクリーンタイムが長かった(p=0.007)。・潜在的な交絡因子で調整後のロジスティック回帰分析では、座位時間(OR:1.001、p=0.048)と余暇のスクリーンタイム(OR:1.003、p=0.003)が医学生のうつ病と有意に関連していることが示唆された。

2064.

若年性双極性障害およびうつ病患者における自殺行動~メタ解析

 うつ病または双極性障害の小児および青年における自殺行動の割合や死亡率を評価するため、イタリア・IRCCS Bambino Gesu Pediatric HospitalのGiulia Serra氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、気分障害と診断された若者の死亡率(自殺企図当たりの死亡者数)は、一般的な若者よりも高いものの、成人よりは低いことを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年5月16日号の報告。双極性障害の自殺企図の平均発生率はうつ病より高い 18歳以下の自殺行動に関する報告をシステマティックにレビューし、プールされたデータから自殺行動リスクや1年発生率を評価するため、ランダム効果メタ解析および多変量線形回帰モデルを用いた。 双極性障害またはうつ病の小児および青年における自殺行動の割合や死亡率を評価した主な結果は以下のとおり。・対象は、15ヵ国で検討された研究41件(1995~2020年)より抽出された10万4,801例(うつ病:10万2,519例、双極性障害:2,282例)。自殺行動リスクは0.80~12.5年であった。・メタ解析では、自殺企図の発生率は、双極性障害で7.44%/年(95%CI:5.63~9.25)、うつ病で6.27%/年(95%CI:5.13~7.41)であった。・うつ病および双極性障害の患者群を用いた研究5件のメタ解析では、双極性障害患者はうつ病患者と比較し、自殺企図リスクが有意に高かった(OR:1.59、95%CI:1.24~2.05、p<0.0001)。・6件の研究における若年性気分障害を伴う平均自殺率は、10万人当たり125人/年(56.9~236)であった。この値は成人と同様で、一般的な若者の30倍以上に当たり、年齢が上がるごとにリスクが高まった。・若年性気分障害患者の自殺企図/自殺の比率(A/S)は52.6であり、一般的な若者(A/S≧250)よりも死亡率が高かったが、成人で推定される死亡率(A/S:約30)よりも低かった。・若年性気分障害における自殺企図の平均発生率は10万人当たり6,580人/年であり、うつ病患者よりも双極性障害患者のほうが高く、観察期間が短いほど高かった。

2065.

コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。 また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。退院後、12ヵ月後でも13.6%に何らかの罹患後症状 「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」(研究代表:横山 彰仁氏[日本呼吸器学会/高知大学 教授])は、わが国の中等症以上のCOVID-19の、特に呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とバイオマーカーなどの予測因子を検討するとともに心疾患の影響(潜在性/顕性心筋炎)についても検討したもの。【研究概要】対象:2020年9月~2021年9月にCOVID-19で入院した中等症以上の患者(20歳以上で同意が得られた者)調査施設:全国55施設(n=1,003例)方法:退院後3ヵ月後に受診し、医師の問診(罹患後症状)、アンケート(睡眠、不安・抑鬱、QOL)、肺機能検査、胸部CTを施行。罹患後症状が残る場合はさらに3ヵ月後に受診し、最長12ヵ月間フォロー。【研究の結果】・肺CT画像所見 3ヵ月の時点で画像所見は遷延することが多かったが、12ヵ月の時点で6.3%まで低下していた。胸部CT異常(主治医判定)がある群は無い群と比べて、呼吸困難や筋力低下の割合が多く、肺拡散能も低下していた。・肺機能 肺機能低下の遷延程度は重症度に依存、肺拡散能が障害されやすかった。・自覚症状 筋力低下、呼吸困難、倦怠感の順に多く、時間経過に伴って頻度は低下した。罹患後症状のうち、筋力低下と息苦しさは明確に重症度に依存していた。・心臓への影響(対象31例) 退院3ヵ月後に心臓MRIで評価したところ、42%で心障害を認め、26%で心筋炎の基準を満たした。また、左室心筋の短軸方向の収縮が有意に低下していた。・リスク因子についての検討 3ヵ月後の呼吸器系罹患後症状について、多変量解析で検討したところ、重症度と既存の呼吸器疾患が独立した因子であった。肺機能検査異常に関しては年齢、重症度、バイオマーカーであるセレクチンリガンドを有するKL-6(SLAK)が寄与していた。まとめ 退院後12ヵ月の時点で、何らかの罹患後症状は13.6%、肺機能検査異常は7.1%、胸部CT検査異常は6.3%で残存していた。中年者(41~64歳)には罹患後症状が多い傾向が明らかに 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究」(研究代表者:福永 興壱氏[慶應義塾大学呼吸器内科教授])では、わが国におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握と病態生理の理解のために行われた。【研究概要】対象:2020年1月~2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者調査施設:全国27施設(n=1,200)方法:関連する診療科の専門家の意見を統合した症状に対する問診項目を網羅的に作成し、研究対象から自覚症状について回答を得た。国際的に確立した各種質問票を用いた多面的かつ高精度の調査研究を実施。【研究の結果】・患者背景 男性679例、女性387例と男性が多く、年代は50代以上が多く、わが国のCOVID-19臨床を反映した背景となっていた。・重症度 軽症(無症状含む)が247例、中等症Iが412例、中等症IIが226例、重症が100例であり、軽症および中等症Iの患者を多く含んでいた。・遷延する症状の影響 1つ遷延症状が存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、COVID-19に対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。・遷延症状の経時的経過 代表的な24症状(例:倦怠感、呼吸困難、筋力低下など)の多くは経時的に低下傾向を認めた。・遷延症状の12ヵ月後の経過 12ヵ月後に5%以上残存していた遷延症状は次の通り。疲労感・倦怠感(13%)、呼吸困難(9%)、筋力低下(8%)、集中力低下(8%)、睡眠障害(7%)、記憶障害(7%)、関節痛(6%)、筋肉痛(6%)、咳(5%)、痰(5%)、脱毛(5%)、頭痛(5%)、味覚障害(5%)、嗅覚障害(5%)。・年齢による特徴 中年者(41~64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向を認めた。個別の症状として、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、筋力低下、眼科症状は高齢者に多く、感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く、罹患後症状の分布に世代間での差異を認めた。・性差による特徴 3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害などさまざまな症状が高頻度で認められた。一方、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度となり、全体の頻度としては性差が減少した。・重症度による特徴 入院中に酸素需要のあった重症度の高い患者は酸素需要のなかった患者と比べて3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月といずれの時点でも罹患後症状を有する頻度が高かった。全体での罹患後症状の有症状率は酸素需要有りが45.7% (6ヵ月)、36.1% (12ヵ月) 、酸素需要無しが37.7% (6ヵ月)、31.8%(12ヵ月)であった。重症度による頻度の差は10%未満であった。まとめ 1,000例を超える日本最大規模の罹患後症状に関する研究を実施、臨床の実情を反映したものとして有用性の高い基盤データを構築した。※本研究では、非感染者との比較は行っておらず、結果の解釈には注意が必要である。

2066.

若年性認知症の診断5年前からみられる症状

 若年性認知症には多くの根本的な病因があり、初期症状の不均一性が大きいといわれている。そのため、一般開業医が若年性認知症を発見することは困難である。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の診断前段階でみられる一般的な初期症状の特定を試みた。その結果、若年性認知症患者では診断5年前より異なる症状が認められるが、各症状は他疾患においても認められるため、一般開業医が若年性認知症を鑑別診断することは容易ではないとしながらも、症状カテゴリーの組み合わせにより、若年性認知症を検知できる可能性が示唆されたことを報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年5月13日号の報告。 プライマリケア・レジストリのコホート内ケースコントロール研究として実施した。対象は、若年性認知症患者89例とそれにマッチした若年性認知症でない対照群162例。診断5年前までの症状について、両群間で比較を行った。本研究に含まれた変数は、プライマリケア国際分類のコード、一般開業医のノートより抽出された症状、グループに分類された症状であった。症状の時間的軌跡を分析するため一般化方程式推定を用い、症状カテゴリー数の差を分析するためロジスティック回帰およびROC曲線分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・若年性認知症患者は、対照群と比較し、診断5年前より認知症状、診断4年前より情動症状、診断3年前より社会的症状、診断2年前より行動症状、診断1年前より日常機能障害の発現が多かった。・ROC曲線分析では、一般開業医で2つ以上の症状カテゴリーが報告された場合、若年性認知症の診断正答率が最も高く、感度(85%)、特異度(77%)において最良であることが示唆された。

2067.

統合失調症に対する抗精神病薬の治療継続の意義~メタ解析

 統合失調症治療では、主に抗精神病薬が用いられており、急性期症状の軽減に有効であるとされている。2012年に公表された現在のレビューのオリジナルバージョンでは、統合失調症または統合失調症様障害の患者に対する抗精神病薬の再発予防効果について、ランダム化試験のエビデンスに基づき検討が行われた。イタリア・ASST Spedali CiviliのAnna Ceraso氏らは、寛解とリカバリー率、社会的機能やQOLの変化に着目したいくつかの新たな調査結果に焦点を当て、レビューの更新を行った。その結果、統合失調症患者に対する抗精神病薬による維持療法は、再発および再入院を予防するだけでなく、患者のQOLや機能、持続的な寛解にもベネフィットをもたらすことが示唆された。著者らは、抗精神病薬によるこれらの肯定的な効果は、副作用を背景として比較検討する必要があると報告している。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年5月12日号の報告。 レビューの更新には、1959~2017年に公表された75件のランダム化比較試験(RCT)より、9,145例を含めた。 主な結果は以下のとおり。・バイアスの潜在的ないくつかの原因により全体的な質は制限されたが、統合失調症の維持療法に対する抗精神病薬の有効性は、一連の感度分析に対して明確かつ堅牢であった。・抗精神病薬は、プラセボと比較し、1年後の再発予防(薬物療法:24%、プラセボ:61%、30 RCT、4,249例、RR=0.38、95%CI:0.32~0.45)および入院率減少(薬物療法:7%、プラセボ:18%、21 RCT、3,558件、RR=0.43、95%CI:0.32~0.57)に有効であった。・抗精神病薬治療患者では、QOL(7 RCT、1,573例、SMD=-0.32、95%CI:-0.57~-0.07)および社会的機能(15 RCT、3,588例、SMD=-0.43、95%CI:-0.53~-0.34)も良好であった。・少数の研究データに基づくものの、維持療法は症状寛解達成率(薬物療法:53%、プラセボ:31%、7 RCT、867例、RR=1.73、95%CI:1.20~2.48)を高め、その効果を6ヵ月間維持(薬物療法:36%、プラセボ:26%、8 RCT、1,807例、RR=1.67、95%CI:1.28~2.19)することが示唆された。・リカバリー率に関するデータはなかった。・抗精神病薬治療患者では、運動障害(薬物療法:14%、プラセボ:8%、29 RCT、5,276例、RR=1.52、95%CI:1.25~1.85)や体重増加(薬物療法:9%、プラセボ:6%、19 RCT、4,767例、RR=1.69、95%CI:1.21~2.35、NNTH=25、95%CI:20~50)などの副作用が認められる割合が高かった。

2068.

母親の育児ストレスと子供のADHDとの関連~日本の出生コホート研究

 注意欠如多動症(ADHD)は幼児期に発症し、その後、生涯にわたり影響を及ぼす疾患であるが、早期診断や介入により、臨床アウトカムの最適化を図ることができる。長期的または過度な育児ストレスは、ADHDなどの発達障害に先行してみられる乳児の行動の差異に影響している可能性があることから、幼少期の定期的評価には潜在的な価値があると考えられる。東京都医学総合研究所の遠藤 香織氏らは、母親の育児ストレスが子供のADHDリスクのマーカーとして利用可能かを明らかにするため、出産後1~36ヵ月間の母親の育児ストレスとその子供の青年期初期におけるADHDとの関連について、定期的に収集した自己報告を用いて調査を行った。その結果、出産後9~10ヵ月、18ヵ月、36ヵ月での育児ストレスと12歳時点での子供のADHD症状との関連が認められ、自己報告による育児ストレスのデータはADHDリスクの初期指標として有用である可能性が示唆された。このことから著者らは、ADHDの早期発見と介入を促進するためにも、幼少期の健康診断、育児ストレスの評価、家族のニーズに合わせた支援を行う必要があることを報告している。Frontiers in Psychiatry誌2022年4月28日号の報告。 子供の成長プロセスに関する調査「東京ティーンコホート」の人口ベース出生コホート研究から子供2,638人(女児:1,253人)のサンプルを抽出し、その母親には、母子健康手帳を用いた出産後1~36ヵ月間における育児ストレス5回の記録を求めた。9年後、「子供の強さと困難さアンケート(SDQ)」の多動性/不注意のサブスケールを用いて、12歳時点でのADHD症状を評価した。 主な結果は以下のとおり。・出産後36ヵ月間で、育児ストレスを報告していた母親は、約7.5%であった。・12歳時点でADHD症状のカットオフ値を超えていた子供は、6.2%であった。・1ヵ月および3~4ヵ月での育児ストレスと12歳時点での子供のADHD症状との関連は認められなかった。・12歳時点での子供のADHD症状と有意な関連が認められた育児ストレスの時期は、9~10ヵ月(未調整OR:1.42、p=0.047、95%CI:1.00~2.00)、18ヵ月(同:1.57、p=0.007、95%CI:1.13~2.19)、36ヵ月(同:1.67、p=0.002、95%CI:1.20~2.31)であった。・これらの関連には、子供の性別、月齢、世帯収入で調整した後でも、変化は認められなかった。

2069.

チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第211回

チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例pixabayより使用法医学の世界では、自殺や他殺の症例報告がたくさんあります。死因を特定する重要性を啓蒙するためですが、世の中には、自殺に見せかけた他殺であったり、その逆であったりすることがあるため、事実の究明に役立つという側面もあります。さて今日は痛そうなタイトルです…。チェーンソーと首吊りの複合自殺の一例です。え、どういうことでしょうか?Gualco B, et al.An unusual complex suicide involving a chainsaw and a hanging: a case report.J Med Case Rep . 2022 Mar 28;16(1):122.58歳の白人男性が、地下室の天井で首を吊って死んでいるのを妻に発見されました。すでに死後3時間ほどが経過していました。彼は重度のうつ病を罹患し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を定期内服していました。数年前から引きこもりがちになり、いつしか地下室に住むようになったそうです。当初の現場検証では自殺と思われましたが、なぜか首吊り死体の下に多量の血だまりがあったのです。調べてみると、セーターに多量の血液が付着して、腹部に多数の切創があることがわかりました。臍周辺に不規則な広い切開創が広がっており、筋肉・脂肪組織が見えていました。「自殺ではないのかもしれない―――」現場では、そんな思いがよぎったに違いありません。地下室の周辺を調べると、中庭で血痕が付いたチェーンソーが発見されました。チェーンソーの近くには、セーターの切れ端が見つかりました。チェーンソーからは、被害者の指紋のみが検出されました。また、腹部に切り込まれたチェーンソーの角度が不自然であり、自分で傷を付けたとしか考えられないことが判明しました。つまり、チェーンソーで腹部を切ろうとして死にきれず、最終的に首吊り自殺で死を遂げたというのが真実のようです。謎はすべて解けた。さて、チェーンソー自殺については、この連載の第194回で斬首した症例を紹介しました。「キックバック」がとても危ないという話でしたよね。

2070.

ADHD児の不注意重症度と野菜や果物など食事の質との関係

 注意欠如多動症(ADHD)は、米国の小児においては有病率が8~10%といわれる神経発達障害である。ADHDの症状には不注意や多動性/衝動性が認められるが、反抗挑戦性障害および重篤気分調節症などの情動調節不全(ED)症状も頻発する。ADHDの病因は多因子的と考えられ、その症状の重症度は食事療法と関連しているといわれている。米国・オハイオ州立大学のLisa M. Robinette氏らは、小児コホート研究において、食事の質とADHDおよびED症状との関連を調査した。その結果、ADHDやEDを有する子供では、果物や野菜の摂取が少ないと、より深刻な不注意症状が出現する可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2022年5月10日号の報告。ADHDと食事の質との有意な関連は認められなかった 多栄養素の補充に関するRCTに登録された、ADHDおよびED症状を有する6~12歳の子供134例を対象に分析を行った。食事の質は、Healthy Eating Index-2015(HEI-2015)を用いて評価した。ADHDおよびEDの症状は、Child and Adolescent Symptom Inventory-5およびStrengths and Difficulties Questionnaireを用いて評価した。必要に応じ共変量で調整した後、関連性を検討するため、線形回帰モデルを用いた。 食事の質とADHDおよびED症状との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・平均HEI総スコアは63.4±8.8であり、ADHDおよびED症状との有意な関連は認められなかった。全体的な食事の質との関連性が認められなかった要因として、ベースライン時の食事の質が比較的良好、ADHDおよびED症状の重症度が軽度、食事摂取量の推定値からの測定誤差、サンプルサイズの小ささが考えられる。・共変量で調整した後、果物の総摂取量(β=-0.158、p=0.037)および野菜の総摂取量(β=-0.118、p=0.004)のHEIコンポーネントスコアに、不注意症状との負の相関が認められた。

2071.

統合失調症患者のクロザピン中止後の臨床アウトカム~システマティックレビュー

 治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン治療は、ゴールデンスタンダードである。しかし、クロザピン治療でも約60%の患者は治療反応が得られず、クロザピン治療中止後の臨床アウトカムについては明らかになっていない。東京・大泉病院の三浦 元太郎氏らは、クロザピン治療中止後のアウトカムを明らかにするため、システマティックレビューを実施した。その結果、クロザピン治療中止後に臨床アウトカムは悪化しており、その後の治療として、クロザピン再投与やオランザピン治療が検討されていることを報告した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2022年5月5日号の報告。 検索キーワードを用いて、MEDLINE、Embaseよりシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・27文献より28件の臨床研究が特定され、システマティックレビューに含まれた。・ランダム化比較試験3件において、精神症状の悪化が報告された。・シングルアーム研究10件において、精神症状の悪化と改善の結果に一貫性は認められなかった。・大規模レトロスペクティブコホート研究1件において、クロザピン治療中止後のクロザピン再投与、オランザピン治療、抗精神病薬の多剤併用は、薬物治療を行わなかった場合と比較し、再入院率が低かった。・その他のレトロスペクティブ研究14件では、クロザピン治療中止後の臨床状態悪化が多く認められた。・クロザピン再投与後の臨床アウトカムに関する研究5件のうち4件では、クロザピン再投与を行った患者の半数以上で臨床状態改善が報告されていた。・残りの研究では、クロザピン治療中止後に再投与を行った群は、再投与を行わなかった群よりも、寛解評価スコアが不良であったと報告されていた。・クロザピン治療不応答患者におけるクロザピン治療中止後のアウトカムは不明なままであり、適切に設計された今後の研究が求められる。

2072.

日本人統合失調症患者におけるQOLと臨床的要因の関係

 徳島・城南病院のYoshimune Ishii氏らは、統合失調症入院患者におけるQOLと臨床的要因の関係を明らかにするため検討を行った。その結果、抑うつ症状の治療が統合失調症入院患者の主観的QOLの改善に影響を及ぼす可能性が示唆された。The Journal of Medical Investigation誌2022年1.2号の報告。 対象は、統合失調症入院患者50例(平均年齢:56.48±11.93歳)。主観的QOLの評価には、統合失調症QOL尺度日本語版(JSQLS)および主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版-日本語版(SWNS-J)を用い、認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)-日本語版を用いた。うつ症状の重症度、精神症状、薬物誘発性錐体外路症状の評価には、それぞれ、カルガリー統合失調症用抑うつ症状評価尺度日本語版(JCDSS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いた。JSQLSおよびSWNS-Jに影響を及ぼす因子を特定するため、段階的回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状の重症度を評価するJCDSSは、主観的QOLを評価するJSQLSの2つのスケールの予測因子であり、同じくSWNS-Jの総スコアと2つのサブスケールの予測因子でもあった。・他の臨床的因子では、JSQLSおよびSWNS-Jとの関連は認められなかった。

2073.

米国における片頭痛治療開始患者に対するフレマネズマブの有効性

 成人の片頭痛予防に承認されている、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を選択的標的としたヒト化モノクローナル抗体(IgG2Δa)フレマネズマブの有効性および忍容性は、ランダム化二重盲検比較プラセボ対照試験で実証されている。リアルワールドでのデータはこれら臨床試験のデータを支持しており、フレマネズマブの臨床的ベネフィットは明らかになっている。オランダ・Teva PharmaceuticalsのMaurice T. Driessen氏らは、実臨床診療に従って治療された成人片頭痛患者の臨床アウトカム改善に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、チャートレビューを実施した。その結果、実臨床において、投与レジメンや過去の片頭痛予防治療の失敗数にかかわらず、最大6ヵ月間のフレマネズマブ治療の有効性が確認されたことを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2022年4月11日号の報告。 米国医師による電子症例報告フォームを用いて、レトロスペクティブ、パネルベースのオンライン医師チャートレビュー研究を実施した。患者の選択基準は、医師による片頭痛の診断、FDA承認後に18歳以上でフレマネズマブ治療を開始、フレマネズマブ治療1回以上、1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)2以上の評価(治療開始前30日間で1、治療開始後1以上)とした。MMD、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、Headache Impact Test 6(HIT-6)スコアのベースラインからの変化を6ヵ月間にわたり評価した。これらのエンドポイントは、全体の母集団とサブグループで、投与レジメンおよび過去の片頭痛予防治療の失敗数で除して評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・臨床医421人が参加し、1,003例の患者データが収集された。・フレマネズマブ治療開始時の平均年齢は、39.7歳であり、多くは女性であった(75.8%)。・母集団全体では、ベースライン時の平均MMDは12.7、平均MHDは14.0であった。・MMDとMHDの平均減少数(割合)は以下のとおりであった。【MMD】1ヵ月:-4.6(36.2%)、3ヵ月-6.7(52.8%)、6ヵ月:-9.2(72.4%)【MHD】1ヵ月:-4.7(33.6%)、3ヵ月:-6.8(48.6%)、6ヵ月:-9.8(70.0%)・MIDASおよびHIT-6スコアの平均値も、ベースラインから1ヵ月および6ヵ月にわたり、減少が認められた。【MIDAS】1ヵ月:-6.2(21.6%)、6ヵ月:-18.1(63.1%)【HIT-6】1ヵ月:-8.4(14.0%)、6ヵ月:-16.2(27.0%)・評価したすべてのサブグループにおいて、6ヵ月間にわたり、これらアウトカムの改善が認められた。

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アルツハイマー病の脆弱性と出生した季節との関係

 愛知・国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、高齢のアルツハイマー病(AD)患者において、患者の出生した季節がADの病理学的脆弱性に及ぼす影響を評価するためPETを用いた検討を行った。その結果、秋冬に出生した人は、春夏に出生した人と比較し、タウ蓄積が少ないことが明らかとなった。これは、秋冬に出生した人のタウ病理に対する脆弱性を示唆しており、寒い季節関連のリスク因子による周産期または出生後の脳損傷が影響している可能性があるという。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年4月26日号の報告。 Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiativeのデータセットを分析した。分析対象は、認知機能正常者234例、軽度認知障害患者(MCI)114例、AD患者38例であった。アミロイドβ(Aβ)/タウ蓄積の指標として18F-AV-45および18F-AV-1451の標準化取込値比(SUVR:standardized uptake value ratios)を用い、共分散分析により春夏の出生と秋冬の出生について群間比較を行った。さらに、出生した季節が18F-AV-45および/または18F-AV-1451のSUVRの予測因子であるかを検証し、その差を明らかにするため、多重線形回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・出生した季節の違いは、18F-AV-1451のSUVRの予測因子であった。・タウ蓄積に影響を及ぼす可能性がある年齢、性別、教育年数、ADAS-cogスコアで調整した後、認知機能正常者およびMCI/AD患者いずれにおいても、秋冬に出生した群は春夏に出生した群よりも、18F-AV-1451のSUVRが低値であった。

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機械学習でアルコール使用障害の再発リスクを予測

 機械学習により治療終了後に再発するリスクの高いアルコール使用障害(AUD)患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。米イェール大学医学部精神医学分野のWalter Roberts氏らが実施したこの研究の詳細は、「Alcoholism: Clinical and Experimental Research」に4月14日掲載された。 AUDに対する治療は再発率が高く、多くの患者が治療中や治療後に大量のアルコール飲料を摂取してしまう。そのため、特に重度のAUD患者では、長期にわたる禁酒を成功させるまでに、繰り返し治療を受けることも珍しくない。AUDの再発は、医療費にかける負担が大きいだけでなく、患者の治療に対する意欲を損なう。過去の研究では、治療アウトカムと関連するAUD患者の特徴が特定されているが、これらを体系的に活用して臨床的アウトカムの予測を試みた研究は少ない。 そこでRoberts氏らは、AUDと薬物療法に関する最大の臨床試験であるCOMBINE試験(対象者1,383人)のデータを基に機械学習による予測モデルを構築し、AUD患者の臨床的アウトカムに対する予測能を検証した。同試験の対象患者は、薬物療法、または薬物療法+行動療法など9種類の介入法のうちのいずれかを4カ月間受ける群にランダムに割り当てられていた。予測ターゲットは、治療開始後1カ月以内、治療終了前1カ月間、または隔週で行われる治療セッション間での大量飲酒とされた。なお、大量飲酒は、女性では1日4杯以上、男性では1日5杯以上の飲酒と定義された。 その結果、このモデルは再発リスクの予測に優れ、大量飲酒に舞い戻るリスクが高く、介入を追加することでベネフィットを得られる可能性のある患者を、臨床医よりも正確に特定できる可能性が高いことが明らかになった。 また、AUD再発を予測する上で最も重要な因子は、肝酵素レベル、アルコール依存症が始まった年齢などの他、飲酒行動や精神症状に関連する自記式の調査スコアなどであることが分かった。Roberts氏らは、「これらの因子に関する情報は、AUDの治療中に比較的容易かつ安価に得ることができる」と指摘している。さらに、過去の研究では有害な飲酒と関連を示す因子に性差のあることが示されていたが、今回の研究でもそれらの知見と一致する結果が得られた。 以上のような結果を踏まえた上でRoberts氏らは、「この研究により、定期的に収集された臨床データを用いれば、機械学習によりAUDに対する治療のアウトカムを予測できる可能性のあることが明らかになった。この手法を用いることで、高額で侵襲的な評価方法を使わずとも、臨床上の予測精度を大幅に向上させることができるかもしれない。こうしたモデルをどのように活用するのが最善なのか、さらなる研究で追求する必要がある」と結論付けている。

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双極I型障害における抗うつ薬治療と躁転リスク

 双極性障害の治療において、症状転換は臨床的な問題になることが多い。実臨床では、双極性うつ病の治療に抗うつ薬が用いられることがあるが、そのベネフィットについては議論の余地が残っている。これまで双極性うつ病の躁転に焦点を当てた遺伝子研究はほとんど行われておらず、ゲノムワイド関連解析(GWAS)はなかった。台湾・Chang Gung Memorial HospitalのChih-Ken Chen氏らは、双極I型障害の躁転リスクに対するゲノム研究と抗うつ薬の影響について調査を行った。その結果、抗うつ薬治療とrs10262219は、複合的に双極性うつ病後の躁転リスクを増加させることを報告した。Journal of Personalized Medicine誌2022年4月11日号の報告。 対象は、抗うつ薬治療とアウトカムの完全なデータがあり、複数のうつ病エピソードを有する双極性障害患者1,004例。躁症状とうつ症状の臨床評価は、訓練を受けた精神科看護師および精神科医がSchedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(SCAN)の中国語版を用いて実施した。双極I型障害の診断はDSM-IV基準に従った。躁転は、急性うつ病エピソードの寛解から8週間以内に認められた躁病エピソードと定義した。対象患者の初回うつ病エピソード発症年齢は30.7±12.5歳であり、全患者の56%は女性であった。GWASは746例で実施し、その後255例の独立したグループで複製を行った。 主な結果は以下のとおり。・GWASにおいて、7番染色体上のrs10262219は、躁転リスクと最も強く関連する対立遺伝子であることが示唆されたが(p=0.000000221)、複製では有意性は認められなかった。・抗うつ薬治療は、躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:1.7、95%CI:1.3~2.2、p<0.001)。・ロジスティック回帰分析では、rs10262219のCC遺伝子型(オッズ比:3.0、95%CI:1.7~5.2)および抗うつ薬治療(オッズ比:2.3、95%CI:1.4~3.7)が、複合的な影響を伴う躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:5.9、95%CI:3.7~9.4)。

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認知症かてんかんか、診察時のポイント【コロナ時代の認知症診療】第15回

「てんかん」についての認識ギャップ普通の人にとって、アルツハイマー病が高齢者の病気なら、てんかんは子供の病気だというのはいわば常識のようだ。またてんかんとけいれんは同義語だと思っている人は多いようだ。だから、「実はてんかんは高齢者に一番多い」と説明すると驚く人がほとんどである。さらに、「多くの高齢者てんかんでは、けいれんがみられない」と言うと「それ、本当!?」という反応が普通である。確かに小児期のてんかんも多いが、ご存じのように初老期以降に、てんかんの発症率も有病率も増加する。この様子を仮に図示するなら右に引っ張り上げられたU字型になる。さて初老期以降のてんかんでは、複雑部分発作が多い。多くは数十秒から数分の発作が起こり、普通は1時間以内のもうろう状態が続いてから元に戻る。その後で健忘を残す。ところがいずれのステージにおいても、多くはけいれんがみられない。しかも歩いたり食べたりは勿論、自転車やバイクの運転までできてしまうこともある。それだけに普通の人がてんかんだと思いもしないのも当然かもしれない。どうもこのような人では、認知症を疑われて、もの忘れ外来を受診する例が少なくない。というのは、本人にも周囲の人にも健忘が主症状だからである。つまり発作中とその後の記憶がないのはある意味当然だ。まわりの人には、「心ここにあらずの虚ろな目でおかしなことをしていた」などと映るが、後からそう言われても本人の記憶はまさにプッツンしている。だから周囲は、「これはボケの症状だな?」とみなすので、もの忘れ外来受診につながるようだ。認知症?てんかん?鑑別のポイントさて診察の場で、てんかんを疑うポイントがある。多いのはこのプッツン体験、つまりどうにもつながらない時間があるので、ここに強いこだわりと不安を訴えられるケースである。次に発作中でも動けるので、とんでもないことをやってしまうこともある。だがそんな自分が信じられない、「なぜこの私がこんなことを」と強い自責を示す方がある。筆者の記憶に残るのは、社長の実印を発作中に机の下のごみ箱に捨ててしまい、会社を上げて大騒ぎになった例である。類似例では、スーパーでの買い物の際に、てんかんを生じたためレジを通らずに商品を籠に入れたまま店を出ようとして警察沙汰になった例もある。この例では、取り調べに「どうしても自分が万引きしたとは思えない」と断固否定し続けたので受診に至ったのである。やっかいなのは、エピソディックな健忘事件だけでなく、「この頃、ずっと記憶が良くない」と述べる例が少なくないことである。確かに認知症にてんかんが合併と診断することもある。しかし「サブクリニカルな発作がしばしば起きているのだな」と考える例が多い。サブクリニカルというのは、第3者におかしいと思われるレベルではないし、本人もプッツンしたとは思わないのだが、脳内で軽度の異常放電が生じている状態という意味である。脳内でこうした異常放電を生じていれば、記憶をインプット(記銘)してもおそらく歩留まりは低下すると思われる。以上のような症状を、「プッツンのときは何の記憶もないし、普段でも記憶力は以前の80~90%程度に落ちた」と簡潔に表現した当事者がある。なおこうした方の脳波検査に際して、棘波のような診断的意味のある所見は必ずしも得られないことに注意が求められる。最終的にてんかんありの診断をして、抗てんかん薬により改善した症例において初回脳波検査で異常を捉えられる確率はせいぜい50%程度かなという個人的な印象がある。症状の多くは抗てんかん薬で改善する、ただし注意点もさて高齢になって初発するてんかんの背景には、老化と関連する諸要因、とくに脳神経学的な問題、例えば動脈硬化や脳出血・梗塞、脳外傷や認知症があると言われる。どれくらいてんかんが多くなるかについて、ナーシングホームの高齢者では在宅高齢者の7倍以上だが、これに神経学的な異常が重なると7~30倍にまだ高まるとした最近のレビューがある1)。自験例では、レビー小体型認知症、次いでアルツハイマー病の前駆期から初期に初発した人の割合がかなり高いという認識がある。なおてんかん症状の多くは抗てんかん薬で改善し、プッツンも80~90%程度におちた記憶も改善する。だから職場で上司から「見違える、蘇った」という称賛をもらう人も少なくない。もっとも認知症が基盤にある人では、緩徐に認知障害は進行していくようだ。終わりに抗てんかん薬の副作用への注意は言うまでもない。それらの中で最も注意が必要なのは、致命的な可能性もある皮膚疾患スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson症候群)だろう。100万人に数人とされるが、指定難病として医療費助成制度もあるだけに、いかなる抗てんかん薬であっても油断は禁物である。参考1)Birnbaum AK,et al. Neurology. 2017 Feb 21;88:750-757.

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2018年西日本豪雨がベンゾジアゼピン使用に及ぼした影響

 自然災害は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼす。2018年7月の西日本豪雨は、日本で発生した最大級の洪水災害の1つである。広島大学の岡崎 悠治氏らは、災害前後のベンゾジアゼピン処方の変化について評価を行った。その結果、被災者における災害後のベンゾジアゼピン処方率が上昇し、その影響は1年以上継続していたことを報告した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2022年4月26日号の報告。 西日本豪雨による洪水被災地における、2017年7月~2019年6月のレセプト情報データベースに基づき、レトロスペクティブコホート研究を実施した。被災地域住民を、地方自治体の認定により被災者と非被災者に分類した。次に、災害前のベンゾジアゼピン使用状況に基づき、非使用者、頓服使用者、継続使用者の3群に分類した。災害前後のベンゾジアゼピン処方状況を比較し、被災地域住民における災害の影響を推定するため、ロジスティック回帰モデルを用いた差分の差分法(DID)分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・被災地域住民500万129人中、3万1,235人が被災者であった。・災害前後のベンゾジアゼピン平均処方率は、被災者で11.3%から11.8%へ上昇し、非被災者では8.3%から7.9%に低下した。・DID分析では、被災者のベンゾジアゼピン処方は、災害直後から有意な上昇が認められ(調整オッズ比:1.07、95%CI:1.05~1.11)、その影響は災害後1年間継続していた(同:1.20、95%CI:1.16~1.24)。

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片頭痛患者の最も厄介な症状

 片頭痛の急性期治療の臨床試験において、最近、最も厄介な症状が主要なエンドポイントとして推奨されるようになっている。ほとんどの臨床試験や観察研究は欧米で実施されているが、最も厄介な症状として挙げられているのは羞明である。台湾・国立成功大学のYi-Hsien Tu氏らは、台湾の片頭痛患者の大規模サンプルにおける最も厄介な症状の分布、臨床的関連、治療反応について調査を行った。その結果、台湾の片頭痛患者における最も厄介な症状は、悪心、音声恐怖、羞明の順であったが、最も厄介な症状と片頭痛の治療反応率は類似しており、片頭痛の急性期治療のアウトカム指標と最も厄介な症状が関連していることが報告された。Headache誌オンライン版2022年4月25日号の報告。 対象は、台北栄民総医院の頭痛専門外来で新規に片頭痛と診断された患者。すべての患者に対し、最も厄介な症状を含む頭痛プロファイルのアンケートを実施した。最も厄介な症状とこれまでの急性期治療に対する反応率との臨床的関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は1,188例(女性の割合:79.4%、平均年齢:39.0±12.1歳)。・最も一般的かつ厄介な症状は悪心(729例、61.4%)であり、次いで音声恐怖(280例、23.6%)、羞明(122例、10.3%)であった。・症状の順位は、性別、年齢で違いが認められなかった。・前兆のある片頭痛は、前兆のない片頭痛と比較し、羞明との関連が認められた(調整オッズ比[aOR]:2.97、95%CI:1.76~5.0、p<0.001)。・慢性片頭痛患者では、最も厄介な症状として音声恐怖との関連が認められた(aOR:1.51、95%CI:1.13~2.01、p=0.005)が、悪心は可能性が低かった(aOR:0.68、95%CI:0.53~0.88、p=0.004)。・最も厄介な症状が異なる患者では、これまでの急性期治療と同様の治療反応が認められており、全体的な治療反応率は52.2%であった(1,053例中550例)。

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アルツハイマー病に対する抗認知症薬の安全性・有効性の比較~ネットワークメタ解析

 カナダ・トロント大学のAreti Angeliki Veroniki氏らは、アルツハイマー病(AD)のマネジメントにおいて、患者の特徴による抗認知症薬の有効性および安全性について、比較検討を行った。その結果、抗認知症薬の治療選択において、患者の特徴を十分に考慮する必要があることを報告した。BMJ Open誌2022年4月26日号の報告。 システマティックレビューおよび患者個々のデータ(IPD)を集めたネットワークメタ解析(NMA)を実施した。MEDLINE、Embase、Cochrane Methodology Register、CINAHL、AgeLine、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した(~2016年3月)。成人AD患者2万1,138例を含む80件のRCTおよび6,906例のIPDを含む12件のRCTが抽出された。治療内容は、抗認知症薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン)の単独または他の抗認知症薬やプラセボとの併用であった。著者、スポンサー、データ提供プラットフォームにIPDの提供を依頼した。IPDが利用できない場合には、集計データを用いた。研究の質の評価には、Cochraneのバイアスリスクツールを用いた。2段階ランダム効果IPD-NMAを実施し、結果の評価にはCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)を用いた。主要アウトカムおよび副次アウトカムは、ミニメンタルステート検査(MMSE)による認知機能の評価および有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・本IPD-NMAでは、プラセボを含む9種類の治療法について比較を行った。・ドネペジル(平均差[MD]:1.41、95%CI:0.51~2.32)およびドネペジル+メマンチン(MD:2.57、95%CI:0.07~5.07)による治療は、プラセボ群と比較し、MMSEスコアの改善が認められた(56 RCT、1万1,619例、CINeMAスコア:中)。・Pスコアによると、経口リバスチグミン(OR:1.26、95%CI:0.82~1.94、Pスコア:16%)およびドネペジル(OR:1.08、95%CI:0.87~1.35、Pスコア:30%)の安全性プロファイルは最も不良であったが、プラセボと比較した場合、推定治療効果はいずれも十分に正確ではなかった(45 RCT、1万5,649例、CINeMAスコア:中~高)。・中等度~重度のADでは、ドネペジル、メマンチン、ドネペジル+メマンチンによる治療が最も有効であった。・軽度~中等度のADでは、ドネペジルと経皮吸収型リバスチグミンによる治療が最も有効であった。・ベースライン時のMMSEの差を調整すると、経口リバスチグミンとガランタミンによる治療でMMSEスコアの改善が認められたが、併存疾患を調整した場合は、経口リバスチグミンのみが有効であった。・認知機能にとって臨床的に重要な指標である1.40 MMSEポイントを超えるMDは、経口リバスチグミン、ガランタミン、メマンチンの単独療法を除くすべての治療レジメンにおいて認められたが、その不確実性は高かった。・本研究の限界として、公開されたRCTの3分の2が不完全なアウトカムデータに対するバイアスリスクの高さと関連していた点、IPDが利用できたのは包含されたRCTの15%のみであった点が挙げられる。

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