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1961.

次世代CFTR矯正薬、嚢胞性線維症の呼吸機能を改善/Lancet

 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子(CFTR)のF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の治療において、tezacaftor+ivacaftorにelexacaftorを併用すると、tezacaftor+ivacaftorと比較して、良好な安全性プロファイルとともに、呼吸機能が著明に改善することが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのHarry G M Heijerman氏らが行ったVX17-445-103試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年10月31日号に掲載された。CFTR調節薬は、CFTR遺伝子変異に起因する根本的な異常を矯正するとされる。CFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症患者では、CFTR矯正薬(tezacaftor)とCFTR増強薬(ivacaftor)の併用により、健康アウトカムの改善が達成されている。同型の嚢胞性線維症患者の第II相試験において、次世代CFTR矯正薬であるelexacaftorは、tezacaftor+ivacaftorと併用することで、F508del-CFTR機能と臨床アウトカムをさらに改善したと報告されていた。欧米4ヵ国が参加した無作為化実薬対照試験 本研究は、4ヵ国(ベルギー、オランダ、英国、米国)の44施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2018年8月3日~12月28日の期間に患者登録が行われた(Vertex Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上、予測1秒量に対する比率(ppFEV1)が40~90%で、病態が安定したCFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の患者であった。 被験者は、標準治療(tezacaftor+ivacaftor)による4週間の導入期間終了後に、elexacaftor(200mg、1日1回、経口投与)+tezacaftor(100mg、1日1回、経口投与)+ivacaftor(150mg、12時間ごとに経口投与)またはtezacaftor(100mg、1日1回、経口投与)+ivacaftor(150mg、12時間ごとに経口投与)を4週間投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、ベースライン(導入期間の最終評価日)から4週までのppFEV1の絶対変化とした。主な副次アウトカムは、汗中クロライド濃度(CFTR機能のin-vivoマーカー)と、嚢胞性線維症質問票改訂版の呼吸器領域(CFQ-R RD)スコア(0~100点、点数が高いほど呼吸器関連の患者報告QOLが良好)であった。汗中クロライド濃度が診断閾値以下に 導入期間後に107例が登録され、3剤併用群に55例(平均年齢28.8[SD 11.5]歳、女性31例[56%])、2剤併用群には52例(27.9[10.8]歳、28例[54%])が割り付けられ、4週の治療を完了した。 ベースラインの平均ppFEV1は、3剤併用群が61.6(SD 15.4)%、2剤併用群は60.2(14.4)%、平均汗中クロライド濃度はそれぞれ91.4(11.0)mmol/Lおよび90.0(12.3)mmol/L、平均CFQ-R RDスコアは70.6(16.2)点および72.6(17.9)点だった。 ベースラインから4週までのppFEV1の絶対変化の最小二乗平均(LSM)は、3剤併用群が10.4ポイント(95%信頼区間[CI]:8.6~12.2)、2剤併用群は0.4ポイント(-1.4~2.3)であり、両群間のLSM差は10.0ポイント(7.4~12.6)と、3剤併用群で改善効果が有意に優れた(p<0.0001)。 汗中クロライド濃度の絶対変化(LSMは3剤併用群-43.4mmol/L[95%CI:-46.9~-40.0]vs.2剤併用群1.7mmol/L[-1.9~5.3]、LSM差:-45.1mmol/L[-50.1~-40.1]、p<0.0001)およびCFQ-R RDスコアの絶対変化(16.0点[12.1~19.9]vs.-1.4点[-5.4~2.6]、17.4点[11.8~23.0]、p<0.0001)は、いずれも3剤併用群で良好であった。 3剤併用群は、4週後の平均汗中クロライド濃度が、嚢胞性線維症の診断閾値(60mmol/L)を下回っており、平均CFQ-R RDスコアは、安定期の嚢胞性線維症患者における臨床的に意義のある最小変化量である4点を上回っていた。 3剤併用群は良好な忍容性を示し、治療中止例はなかった。ほとんどの有害事象は軽度~中等度であり、重篤な有害事象は3剤併用群が2例(4%、皮疹、肺増悪[嚢胞性線維症の感染性肺増悪])、2剤併用群は1例(2%、肺増悪)で認められた。 著者は、「この治療の進歩は、疾病の自然史を修正する可能性があり、嚢胞性線維症患者の生命に意義のある改善をもたらすとともに、治療の様相に深い影響を及ぼす」としている。

1962.

今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

1963.

新規デング熱ワクチンの有効性、小児で確認/NEJM

 開発中の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、デング熱が風土病化している国での症候性デング熱に対して有効であることが確認された。シンガポールにある武田薬品工業ワクチン部門Takeda VaccinesのShibadas Biswal氏らが、デング熱が風土病となっているアジア、中南米で実施中の3つの無作為化試験のpart1データを公表し、NEJM誌オンライン版2019年11月6日号で発表した。蚊を媒介としたウイルス性疾患のデング熱は、世界保健機関(WHO)が2019年における世界の健康に対する10の脅威の1つに挙げている。4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与 試験では4~16歳の健康な小児と青少年を年齢および地域で層別化し、無作為に2対1の2群に分けて、一方の群には4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与し、もう一方にはプラセボを投与した。 被験者が熱性疾患を発症した際には、血清型特異的RT-PCR法による検査を行い、デング熱をウイルス学的に確認。主要エンドポイントは、あらゆるデングウイルス血清型に起因するウイルス学的に確認されたデング熱の予防についての、全体のワクチン有効性だった。 本論では、主要エンドポイントの解析で120例がウイルス学的デング熱と確認され、また被験者が2回目の接種後12ヵ月間のフォローアップを受けていた時点で終了となったpart1データを分析し発表している。デング熱による入院に対するワクチン有効性は95.4% part1データは、ワクチンまたはプラセボを1回以上接種された2万71例(安全性解析対象)のうち、2回接種を受けた1万9,021例(94.8%)を包含しper-protocol解析を行った。 安全性解析対象における全体のワクチン有効性は80.9%(95%信頼区間[CI]:75.2~85.3)で、デング熱を発症したのはプラセボ群6,687例中199例(2.5件/100人年)に対し、ワクチン群は1万3,380例中78例(0.5件/100人年)だった。 per-protocol解析におけるワクチン有効性は80.2%(同:73.3~85.3)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群149例、ワクチン群61例だった。デング熱による入院に対するワクチンの有効性は95.4%(同:88.4~98.2)で、入院発生はプラセボ群53例に対しワクチン群5例だった。 per-protocol集団のうち、ベースライン時に血清学的陰性だった27.7%の被験者を対象に行った事前規定の探索的解析では、ワクチンの有効性は74.9%(95%CI:57.0~85.4)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群39例に対し、ワクチン群は20例だった。 有効性は、血清型により異なる傾向がみられた。重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群3.8%、ワクチン群3.1%と同程度だった。

1966.

第16回 その腹痛、重症?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)発症様式に要注意! 安易に胃腸炎と診断するな!2)お腹が軟らかくても安心するな! 血管病変を見逃すな!3)陥りやすいエラーを知り、常に意識して対応を!【症例】66歳女性。来院当日の就寝前に下腹部痛を自覚した。自宅で様子をみていたが、症状改善せず救急外来を受診。担当した医師は、お腹は軟らかいので消化管穿孔はないと判断し一安心。しかし、痛みの訴えが強いためルートを確保し、アセトアミノフェンを点滴から投与し、まずは腹部単純CT検査をオーダーし、ほかの患者を診ることとしたが…。●搬送時のバイタルサイン意識1/JCS血圧148/92mmHg 脈拍102回/分(整) 呼吸24回/分 SpO298%(RA)体温35.9℃ 瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧、脂質異常症内服薬アムロジピン(商品名:アムロジン)、アトルバスタチン(同:リピトール)腹痛診療は難しい!?腹痛は、救急外来、一般外来どちらでも頻度の高い症候です。ところが、問題なく帰宅とした患者さんが再受診することも珍しくありません。救急外来を受診し、72時間以内に再受診した患者のうち、最も頻度の高い症候が「腹痛」であったと報告されています1)。「心窩部痛で来院して、その後虫垂炎と判明した」「胃腸炎だと思ったら糖尿病ケトアシドーシスだった」「急性膵炎だと思ったらアルコール性ケトアシドーシスだった」など、誰もが経験あるでしょう。さらに、急性心筋梗塞、大動脈解離、腹部大動脈瘤切迫破裂、上腸間膜動脈塞栓症、精巣捻転、女性であれば異所性妊娠や卵巣捻転など、見逃してはならない疾患も複数存在するため、心して診療する必要があります。重篤な腹痛の見極め方救急外来など、発症早期に受診する場において、確定診断するのは簡単ではありませんが、目の前の患者が重篤なのか、緊急性が高いのかを判断することは、意外と難しくありません。危険な疼痛を見逃さないために着目するポイントは、表の6つです。腹痛を例に1つずつ確認していきましょう。表 危険な疼痛を見逃すな ―常に意識すべき6つのこと―1)痛みの訴えが強い場合は要注意!患者さんが痛みを強く訴えている場合には、慎重に対応する必要があります。当たり前のようですが、バイタルサインが安定しているケースで、検査で異常を見いだせない場合は、「大げさだなぁ」と思ってしまいがちです。また、発症早期の場合には検査上、異常がないことはよくあることです。さらに、今回の症例のように、単純CT検査ではなかなか腸管や血管の病変の詳細な評価が困難なことは容易に想像がつくでしょう。初療をしつつ、痛みはなるべく早期に取り除くようにしましょう。苦痛を取り除き、詳細な病歴を聴取し、十分な身体所見をとるのです。鎮痛薬を使用することで診断が遅れることはありません。むしろ適切な判断ができるでしょう2,3)。絞扼性腸閉塞、上腸間膜動脈塞栓症は、単純CTや造影CT検査で異常がなく問題なしと判断され、見逃される典型です。患者さんの訴えを重視し、対応しましょう。2)突然発症の疼痛は要注意!Sudden onsetの病歴はきわめて重要です。腹痛では大動脈解離、上腸間膜動脈閉塞症、腹部大動脈瘤切迫破裂などが代表的です。来院時にバイタルサインや痛みが安定しているようでも、発症様式が“突然”であった場合には、注意する必要があることはあらためて理解しておきましょう。大動脈解離や腹部大動脈瘤切迫破裂では、失神を主訴に来院することもあります。失神は瞬間的な意識消失発作でしたね(第13~15回を参照)。どちらの疾患も裂け止まっていると、バイタルサインも症状も落ち着いているものです。発症様式から具体的な疾患を想起し、意識して所見をとりにいきましょう。鑑別に挙げなければ、血圧の左右差を確認することもないですし、腹部の拍動、さらにはエコーで見るべきところを見忘れてしまいます。3)増強する疼痛は要注意!アセトアミノフェンの静注薬が使用可能となり、来院早期から鎮痛薬を使用することが多くなったのではないでしょうか。患者さんの痛みを早期に取り除くことは、望ましい対応ですが、1つ注意点があります。“鎮痛薬の使用は原則1回まで!”、これを意識しておきましょう。使いやすく投与時間が短い(15分)ため、繰り返し使用したくなりますが、一度使用し効果が乏しい場合には、その時点で“まずい”と判断し、対応する必要があります。もちろん、鎮痛薬使用前に評価は行いますが、同時に複数の患者を診ることが多いのが通常でしょうから、痛みは速やかにとりつつ、効果が乏しければ1時間様子をみるなどせず、次のアクションに移りましょう。絞扼性腸閉塞や上腸間膜動脈閉塞症では、痛みが持続し、増強していきます。時間が経てば誰でも判断可能ですが、その前の状態で拾い上げるためには、「経静脈的な鎮痛薬でも効果が乏しい」ということを意識しておくとよいでしょう。4)非典型的な経過は要注意!腹痛で見逃されやすい代表疾患の1つに虫垂炎があります。発症早期で疑いながらも診断へ至らないことも多いですが、胃腸炎と誤診されることも少なくありません。異所性妊娠も同様に胃腸炎と誤診されやすいことも合わせて覚えておいてください。これを防ぐのは意外と簡単です。胃腸炎の典型例を知ること、これだけでだいぶ違うでしょう。胃腸炎には満たすべき条件が3つ存在します。それが(1)嘔吐・腹痛・下痢の3症状あり、(2)上から下の順に(1)の症状が出現、(3)摂取してからの時間経過が合致、です4)。虫垂炎は心窩部痛→嘔気・嘔吐→右下腹部痛が典型的です。異所性妊娠も腹痛の後に嘔吐を認めることが多いでしょう。その他、腸閉塞や急性膵炎、胆管炎や尿管結石などなど、意識すれば拾い上げられる疾患は多岐にわたります。(3)は中毒との鑑別に有用です。食べた物によって消化管の症状が生じるには最低でも30分、通常数時間のタイムラグが生じます。食事中に、または食べてすぐに嘔吐などの症状を認める場合には、中毒を疑い、混入物などに気を配ったほうがいいでしょう。5)Common is common!腹痛を訴える30代の女性が、顔面に蝶形紅斑様、四肢の関節痛の症状を認めたら何を考えるでしょうか。蝶形紅斑とくれば全身性エリテマトーデス(SLE)と考えがちですが、それ以上に頻度の高い疾患が存在します。それが伝染性紅斑、いわゆる「りんご病」です。疫学は非常に重要であり、それを無視してしまうと、診療は複雑化し、さらに患者は不安をあおられます。頻度の高い疾患の非典型的症状と、頻度の低い疾患の典型的症状は、どちらが遭遇する頻度が高いかといえば、一般的には前者です。今回の例でいえば、伝染性紅斑は成人に起こると、発熱、関節痛がメインに出て、小児で認められるようなレース状皮疹を認める頻度は下がります。子供の間で流行していると、そこから接触時間の長い母親や保育士さんへ感染するのです。それに対して、SLEは名前こそ有名ですが、救急外来でSLEの初発症状に出くわすことはまれです。頻度の高い疾患から考え、対応し、確定できれば、重篤な疾患もルールアウトできるのですから、きちんと“common disease”を理解しておくことは重要なのです。「お子さんの学校で、りんご病流行っていませんか?」「息子さん、最近りんご病にかかりませんでしたか?」と問診し、「YES」と回答があればその時点で診断確定でしょう。抗核抗体をとりあえず提出、膠原病の可能性を患者に伝えてしまうと、患者は不安で仕方なくなってしまうでしょう。腹痛患者に皮疹を認める場合には、網状皮斑(livedo)であれば、ショックと考え焦る必要があります。その他、腹痛に加え関節痛、紫斑を認めれば、IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)も考えましょう。6)病歴・身体診察・Vital signsは超重要!病歴(History)、身体診察(Physical)、Vital signs、これらは常に超重要です。Hi-Phy-Vi(ハイ・ファイ・バイ)を軽視し、検査を行うとまず見逃します。意識すべき病歴は前述のとおりであり、ここでは身体診察、Vital signsのポイントをコメントしておきましょう。(1)身体診察診察上、腹膜炎を示唆するカッチカチの腹部所見であれば、悩むことは少ないでしょう。それに対して、本症例のように腹部が軟らかい場合には判断を誤りがちです。漏れているのが消化液の場合(消化管穿孔など)には腹部がカッチカチとなりますが、血液の場合(腹部大動脈瘤切迫破裂や異所性妊娠)には軟らかいままです。腹部が軟らかいのに反跳痛を認める場合には、これらの疾患を積極的に疑い、エコーなど精査を迅速に進めましょう。(2)Vital signs呼吸数、意識にとくに注目しましょう。発熱がないから、頻脈でないから、血圧が保たれているからと、重症度を見誤ることがあります。内服薬の影響、糖尿病・アルコール多飲者・パーキンソン病などでは、自律神経障害の影響などによって、見た目の重症度がマスクされることがあります。呼吸数や意識状態に影響する薬剤を常時内服している人はまれであるため、頻呼吸を認める、意識障害を認める場合には“まずい”サインと認識し、精査を進めましょう。本症例の66歳の女性は、突然発症ではなかったものの、痛みの程度は強く、アセトアミノフェン投与後も症状は大きく変化しませんでした。単純CT検査では明らかな閉塞機転は見いだすことができず、対応に困って研修医から相談があった一例です。エコーでは、初診時に認めなかった少量の腹水を認め、その他腹痛を説明しうる所見が認められなかったため、来院後の経過から「絞扼性腸閉塞の疑い」として外科へコンサルトし緊急手術となりました。検査は以前と比較しオーダーしやすくなりました。しかしそのために、検査で異常を見いだせないと患者の訴えを無視してしまいがちです。Hi-Phy-Viに重きを置き、検査前確率を意識して適切な検査のオーダーと解釈を心掛けましょう。1)Soh CHW, et al. Medicina (Kaunas). 2019;55. pii:E457. doi:10.3390/medicina55080457.2)Ranji SR, et al. JAMA. 2006;296:1764-1774.3)坂本 壮. medicina.2019;56:1620-1623.4)坂本 壮. 見逃せない救急・見逃さない救急. プライマリ・ケア. 2019;4.(in press)

1967.

家族性高コレステロール血症患児へのスタチン、成人期の心血管リスク低減/NEJM

 小児期にスタチン治療を開始した家族性高コレステロール血症患者は、成人期の頸動脈内膜中膜肥厚の進行が抑制され、心血管疾患のリスクが低減することが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのIlse K. Luirink氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年10月17日号に掲載された。家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロール値の著しい増加と心血管疾患の早期発症を特徴とする。小児へのスタチン治療の短期的効果は確立されているが、心血管疾患リスクの変動を評価した長期的な追跡研究は少ないという。20年後に、患児を非罹患同胞および罹患親と比較 研究グループは、家族性高コレステロール血症小児患者へのスタチン治療に関する20年間の追跡調査の結果を報告した(オランダAMC Foundationの助成による)。 過去に、プラバスタチンの2年投与の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(1997~99年、単施設)に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(98%は遺伝学的に確認)に対し、同症に罹患していない同胞95例とともに、追跡調査への参加を依頼した。 参加者は、質問票に回答し、血液検体を提供し、頸動脈内膜中膜肥厚の測定を受けた。家族性高コレステロール血症患者の心血管疾患の発生率を、同症に罹患している親156例と比較した。39歳時の心血管イベント:患者1% vs.罹患親26%、心血管死:0% vs.7% 当初の試験に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(平均年齢13.0±2.9歳、男性47%)のうち、試験開始から20年の時点で追跡調査に応じたのは184例(86%)(31.7±3.2歳、48%)で、非罹患同胞は95例(12.9±2.9歳、53%)のうち77例(81%)(31.6±3.0歳、56%)が調査に参加した。 214例の患者のうち、203例(95%)で心血管イベントのデータが、214例(100%)で心血管系の原因による死亡のデータが得られた。追跡調査時に、184例のうち146例(79%)がスタチンを使用していた。 患者の平均LDLコレステロール値は、237.3mg/dLから160.7mg/dL(6.13mmol/Lから4.16mmol/L)に低下し、ベースラインからの低下率は32%であった。治療目標(LDLコレステロール値<100mg/dL[2.59mmol/L])は37例(20%)で達成され、このうち8例は<70mg/dLに低下していた。一方、非罹患同胞の平均LDLコレステロール値は、98.5mg/dLから121.9mg/dL(2.55mmol/Lから3.15mmol/L)に増加し、増加率は24%だった。 全追跡期間における頸動脈内膜中膜肥厚の進行の平均値は、家族性高コレステロール血症患者が0.0056mm/年、同胞は0.0057mm/年であった(性別で補正後の平均差:-0.0001mm/年、95%信頼区間[CI]:-0.0010~0.0008)。 39歳時の心血管イベント累積発生率は、家族性高コレステロール血症患者が、罹患している親よりも低かった(1% vs.26%、性別と喫煙状況で補正後の無イベント生存率のハザード比[HR]:11.8、95%CI:3.0~107.0)。また、39歳時の心血管系の原因による死亡の累積発生率も、家族性高コレステロール血症患者のほうが罹患親よりも低かった(0% vs.7%)。 著者は、「LDLコレステロールは、アテローム硬化性心血管疾患をもたらす経路における主要な因子と考えられ、LDLコレステロール値を低下させる治療は、アテローム硬化性心血管疾患の進行の予防あるいは緩徐化において重要であることが明らかとなった」としている。

1968.

日本で広域抗菌薬が適正使用されていない領域は?

 抗菌薬の使用量は薬剤耐性と相関し、複数の細菌に作用する広域抗菌薬ほど薬剤耐性菌の発生に寄与する。日本の抗菌薬使用量は他国と比べ多くはないが、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドといった経口の広域抗菌薬の使用量が多い。AMR臨床リファレンスセンターは9月24日、11月の「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」を前にメディアセミナーを開催。日馬 由貴氏(AMR臨床リファレンスセンター 薬剤疫学室室長)、具 芳明氏(同 情報・教育支援室室長)らにより、最新の使用量データや市民の意識調査結果が報告された。2020年までに“経口の広域抗菌薬半減”が目標 国主導の「AMR対策アクションプラン」は、2013年比で2020年までに(1)全体で抗菌薬を33%減少、(2)経口の広域抗菌薬を半減、(3)静注薬を20%減少、を目標として掲げている1)。実際の使用量データをみると、人口千人当たりの1日抗菌薬使用量は、2013年と比較して2018年で10.6%減少している。このうち、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドはそれぞれ17~18%ほど減少がみられる。 一方で、内服用抗菌薬と静注用抗菌薬に分けてみると、この減少は内服用抗菌薬によるもので、静注用抗菌薬の使用量は全く減っていない。日馬氏は、「全体として目標達成にはさらなる努力が必要だが、とくに静注用抗菌薬の使用削減については今後の課題」とし、その多くが高齢者で使用されていることを含め、効果的な介入方法を探っていきたいと話した。本来不要なはずの処方にかかる費用の推計値は年10億円超 非細菌性急性上気道炎、いわゆるかぜには本来抗菌薬は不要なはずだが、徐々に減少しているものの、2017年のデータでまだ約3割の患者に処方されている。セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドがその大部分を占め、費用に換算すると年10億円を超えると推定される2)。非細菌性急性上気道炎への抗菌薬処方率を患者の年齢別にみると、19~29歳で43.26%と最も高く、次いで30~39歳が42.47%であった。日馬氏はまだ推測の域を出ないとしたうえで、「就労世代でとくに使われがちということは、仕事を休めないなどの事情から患者側からの求めがあるのかもしれない」と話した。 もう1領域、課題として挙げられたのが急性膀胱炎に対する抗菌薬使用だ。2016年のデータで、急性膀胱炎に対する抗菌薬処方はフルオロキノロンが52.4%と最も多く、第3世代セファロスポリンが38.9%と、広域抗菌薬がほとんどを占める2)。実際、日本のガイドラインではフルオロキノロンが第1選択になっている。しかし、欧米ではST合剤などが第1選択で、フルオロキノロンは耐性への懸念から第1選択薬としては推奨されていない。同氏は、「使用期間は長くないものの患者数が多いため、広域抗菌薬全体の使用量に対する寄与が大きい」とし、「必ずしも欧米との単純比較ができるものではないが、日本でも広域抗菌薬から狭域抗菌薬にスイッチしていく何らかの方策が必要ではないか」と話した。薬剤耐性=体質の変化? 患者との認識ギャップを埋めるために AMR臨床リファレンスセンターでは、毎年市民を対象とした抗菌薬に関する意識調査を行っている。2019年はEU諸国でのデータとの比較などが行われ、具氏が最新の調査結果を解説した。「抗菌薬・抗生物質はかぜに効果がある」という項目に対して「あてはまらない」と正しく回答した人は35.1%、「あてはまる」と誤った認識を持っている人が45.6%に上った。EU28ヵ国で同様の質問をした結果は正しい回答が66.0%となっており、日本では誤った認識を持つ人が多いことが明らかとなった。 「今後かぜで医療機関を受診した場合にどんな薬を処方してほしいですか?」という問いに対しては、31.7%の人が「抗菌薬・抗生物質」と回答。「だるくて鼻水、咳、のどの痛みがあり、熱は37℃、あなたは学校や職場を休みますか?」という問いには、24.4%が「休まない」、38.5%が「休みたいが休めない」と答えており、働き方改革が導入されたとはいえ、休みたくても休めない実情が明らかになっている。 また、薬剤耐性という言葉の認知度について聞いた質問では、50.4%が「薬剤耐性、薬剤耐性菌という言葉を聞いたことがない」と回答している。「薬剤耐性とは病気になる人の体質が変化して抗菌薬・抗生物質が効きにくくなることである」という誤った回答をした人も44.3%存在した。具氏は、AMR臨床リファレンスセンターのホームぺージ上で患者説明用リーフレットの公開がはじまったことを紹介。「抗菌薬は必要ないと判断した急性気道感染症の患者に、医師が診察室で説明に用いることを想定したリーフレットなどを公開しているので活用してほしい」と話して講演を締めくくった。

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医師の認知症リスク~コホート研究

 より良い医療知識を多く有している医師は、認知症リスクが低いのではないだろうか。この疑問を明らかにするため、台湾・Chi-Mei Medical CenterのLi-Jung Ma氏らが検討を行った。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2019年8月19日号の報告。 医師2万9,388人、一般集団5万人、医師以外の医療従事者3万446人を含む、全国規模の人口ベース調査を実施した。2006~12年の病歴を追跡し、3群間および医師のサブグループ間で認知症有病率の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、頭部外傷、甲状腺機能低下、高血圧、糖尿病、脳卒中、血管疾患、心房細動、高コレステロール血症、うつ病、アルコール依存症で調整した後、医師は、一般集団と比較し、認知症有病率が低かった(調整オッズ比[AOR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.47~0.67)。・医師以外の医療従事者は、一般集団と比較し、認知症有病率が低かった(AOR:0.46、95%CI:0.36~0.60)。・医師と医師以外の医療従事者における認知症有病率に有意な差は認められなかった(AOR:0.98、95%CI:0.71~1.36)。・認知症有病率の高かった医師のサブグループは、高齢、小児科専門医、地方病院およびクリニック勤務であった。 著者らは「医師の認知症有病率は、一般集団よりも低かった。医師の中でも、特定のサブグループにおいて認知症有病率が高いことから、さらなる研究が必要とされる」としている。

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咽頭・扁桃炎へのペニシリンV、1日4回×5日間の効果/BMJ

 A群レンサ球菌に起因する咽頭・扁桃炎のペニシリンVによる治療について、現在推奨されている1日3回×10日間療法に対して、1日4回×5日間療法が臨床的アウトカムに関して非劣性であることが示された。再発と合併症の発生数は、両群間で差はみられなかったという。スウェーデン公衆衛生局のGunilla Skoog Stahlgren氏らが行った無作為化非盲検非劣性試験の結果で、著者は「ペニシリンVの1日4回×5日間療法は、現在の推奨療法に代わりうるものとなるかもしれない」とまとめている。抗菌薬への耐性増加と新しい抗菌薬の不足もあり、既存の抗菌薬の使用を最適化することの重要性が強調されている。咽頭・扁桃炎はプライマリケアで最も頻度の高い感染症の1つで、スウェーデンおよび欧州諸国の処方薬に抗菌薬が占める割合はかなり高いという。研究グループは、ペニシリンVの総投与を、臨床的有効性を十分に維持したまま低減できるか調べるため本検討を行った。BMJ誌2019年10月4日号掲載の報告。1日4回×5日間(計16g)vs.1日3回×10日間(計30g) 試験は2015年9月~2018年2月に、スウェーデン国内の17のプライマリ医療センターで行われた。対象は、6歳以上で、A群レンサ球菌による咽頭・扁桃炎を呈し、Centor criteria(発熱38.5度超、圧痛を伴うリンパ節腫脹、白苔を伴う扁桃腺炎、咳の欠如)を3または4つ満たす患者とした。 被験者は、ペニシリンV 800mgを1日4回5日間(計16g)投与する群(5日間療法群)、または同1,000mg用量を1日3回10日間(計30g)投与する群(10日間療法群)に無作為に割り付けられ、追跡評価が行われた。 主要アウトカムは、抗菌薬療法終了後5~7日間の臨床的治癒(主要な残存症状や咽頭扁桃炎または再発症候性の臨床的所見がみられない完治と定義)の達成率。非劣性マージンは10ポイントと事前に規定した。副次アウトカムは、細菌の消滅、症状軽減までの期間、再発・合併症・扁桃腺炎の発現頻度、および有害事象パターンなどであった。主要アウトカムの臨床的治癒率、5日間療法群の非劣性を確認 433例が無作為に、5日間療法群(215例)または10日間療法群(218例)に割り付けられた。修正intention-to-treat集団には422例が包含され、各群の年齢中央値は30.0歳、31.0歳で、女性の割合が65.1%、62.9%であった。また、per protocol集団は397例が包含された。 per protocol集団当たりでの臨床的治癒率は、5日間療法群89.6%(181/202例)、10日間療法群93.3%(182/195例)であった(両群差:-3.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-9.7~2.2)。 細菌消滅の割合は、5日間療法群80.4%(156/194例)、10日間療法群90.7%(165/182例)だった(両群差:-10.2ポイント、95%CI:-17.8~-2.7)。1ヵ月以内の再発はそれぞれ8例と7例(0.6、-4.1~5.3)、追跡3ヵ月までの合併症は0例と4例(-2.1、-4.7~0.5)、同じく新たな扁桃腺炎は6例と13例(-3.8、-8.7~1.0)であった。症状軽減までの期間は、修正intention-to-treat集団、per protocol集団における検討のいずれにおいても、5日間療法群のほうが有意に短期であった(log rank検定のp<0.001)。 有害事象は主に下痢、悪心、外陰膣炎で、10日間療法群で発生率が高く、事象期間が長期であった。

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自然呼吸で吸入可能な1回完結型インフル治療薬「イナビル吸入懸濁用160mgセット」【下平博士のDIノート】第35回

自然呼吸で吸入可能な1回完結型インフル治療薬「イナビル吸入懸濁用160mgセット」今回は、長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害薬「ラニナミビル(商品名:イナビル吸入懸濁用160mgセット)」を紹介します。本剤は、吸入力が弱く、既存の吸入粉末薬の使用が困難だった小児や高齢者などにも使える1回完結型のインフルエンザ治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年10月25日より発売される予定です。なお、既存の吸入粉末薬とは異なり、予防投与としては使用できません。<用法・用量>成人および小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与します。<副作用>国内で実施された第III相試験において、安全性評価対象症例441例中9例(2.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、下痢・嘔吐が各2例(0.5%)、便秘・悪心・虚血性大腸炎が各1例(0.2%)でした。インフルエンザ異常行動・言動に該当する有害事象は1例(気分変化)に認められましたが、本剤との因果関係は「関連なし」と判定されています。なお、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、気管支攣縮、呼吸困難、異常行動、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、多形紅斑(いずれも頻度不明)が吸入粉末薬で認められている重大な副作用として注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることで、インフルエンザの症状を緩和します。2.吸入時は、吸入マスクを口元にあててリラックスしながら、深く口で呼吸してください。3.小児が泣いたり暴れたりして吸入の継続が困難になった場合、いったん機械を止めて、落ち着いてから吸入を再開してください。霧が出なくなったら終了です。4.インフルエンザにかかった時は、薬の有無や種類を問わず飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあります。発熱から少なくとも2日間は、窓の鍵を確実にかけるなど、転落などの事故に対する防止対策を徹底してください。<Shimo's eyes>同成分の既存の剤形として吸入粉末薬がありますが、今回ネブライザで吸入するタイプの製剤が発売されます。本剤は、吸入力が弱い小児や高齢者でも十分量の吸入が期待できます。ジェット式ネブライザを使用して吸入するため、通常は吸入用機器(コンプレッサー)を設置している病院で使用されることが想定されます。凍結乾燥製剤の溶解に用いる生理食塩水、シリンジ、注射針などは、医療施設で用意する必要があります。吸入粉末薬と異なる点として、添加剤に乳糖が含まれないので、乳糖不耐症や乳製品アレルギーなどの患者に対しても使用できます。また、年齢に応じた用量の設定はありません。本剤は、従来の吸入容器による吸入手技を必要としないため、医療機関の感染予防対策にも有効と考えられます。

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ムコ多糖症I型〔MPS I : Mucopolysaccharidosis I〕

ムコ多糖症I型のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 概念・定義ムコ多糖症(mucopolysaccharidosis:MPS)は細胞内小器官のリソゾーム内でムコ多糖の一種であるグリコサミノグリカン(GAG)を加水分解する酵素の異常により、リソゾーム内にGAGが蓄積し、種々の臨床症状を引き起こす先天代謝異常症である。ムコ多糖症I型(MPS I型)は、1919年にGertrud Hurlerにより報告されHurler症候群と呼ばれていたが、1962年にHarold Scheieが軽症型を報告し、1970年代に欠損酵素がα-L-イズロニダーゼ(α-L-iduronidase)であることが明らかとなり、両者ともにMPS I型に分類されるようになった。現在では、重症型はHurler症候群(MPS I H)、中間型はHurler-Scheie症候群(MPS I H-S)、軽症型はScheie症候群(MPS I S)に分類されている。MPS I型は、リソゾーム酵素の1つであるα-L-イズロニダーゼの異常によりリソゾーム内にGAGの一種であるデルマタン硫酸とヘパラン硫酸が異常に蓄積するため、慢性で進行性の多様な臨床症状を呈する。MPS I型は常染色体劣性遺伝形式をとるためII型と異なり男女共に認められる。■ 疫学MPSの頻度は人種により異なり、欧米では2万4千人に1人と多いが、わが国では5~6万人に1人とされ、MPS I型の頻度はその約15%程度である。■ 病因リソゾーム酵素の1つである、α-L-イズロニダーゼをコードする遺伝子の変異に基づく遺伝性の疾患で、この酵素の欠損はリソゾーム内にGAGの一種であるデルマタン硫酸とヘパラン硫酸が異常に蓄積するため、MPS I型では慢性で進行性の多様な臨床症状を呈する。デルマタン硫酸の蓄積は、骨の変形に関与し、ヘパラン硫酸の蓄積は精神運動発達遅滞の原因となる。■ 症状リソゾームはほとんどすべての細胞に存在するため、障害も多臓器に及ぶ。新生児期からヘルニアや蒙古斑の多発が認められる。その後、ガルゴイ様と呼ばれる粗野な顔貌、関節拘縮、骨変形、肝脾腫、心弁膜症、精神運動発達遅滞、角膜混濁、網膜変性、滲出性中耳炎、難聴、閉塞性呼吸障害、低身長などが出現する。重症型のMPS I Hではこれらの症状が6ヵ月頃から出現するのに対して、軽症型のMPS I Sでは出現が遅く、軽度の関節拘縮や心臓弁膜症を認めても、ガルゴイ顔貌、低身長や精神発達遅滞などを示さず、成人まで診断されない場合もある(表)。画像を拡大する■ 分類(表)重症型はHurler症候群(MPS I H)、中間型はHurler-Scheie症候群(MPS I H-S)、軽症型はScheie症候群(MPS I S)に分類される。■ 予後無治療の場合、重症型では小児期に死亡することが多いが、治療法の進歩により生命予後はかなり改善している。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断ヘルニアや蒙古斑のほか、粗野な顔貌や関節拘縮を認めた場合、全身骨のX線撮影、頭部CT、眼科、耳鼻科の受診を行う。1)胸部X線正面画像:肋骨のオール状変形が認められる。2)腰部X線側面画像:上部腰椎の卵状変形、下部腰椎椎体の下部が前方に突出する所見が認められる。3)手のX線画像:指の骨の弾丸状変形が認められる。4)頭部CT:水頭症5)眼科診断:角膜混濁6)耳鼻科診断:滲出性中耳炎■ 生化学診断:尿中ムコ多糖分析1)尿中ウロン酸定量値が高値である。2)ウロン酸分画:デルマタン硫酸とヘパラン硫酸の増加が認められる。■ 酵素診断:イズロニダーゼ活性の測定白血球のイズロニダーゼ活性の低下を認める。■ 遺伝子診断確定診断に必須の検査ではないが、保因者診断や出生前診断には有用である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 対症療法1)中耳炎・難聴:鼓膜チューブ挿入や補聴器など耳鼻科的処置を行う。2)角膜混濁:角膜移植など眼科的手術を行う。3)骨変形:整形外科的手術を行う。4)睡眠時無呼吸症候群:耳鼻咽喉科的手術や経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行う。5)心弁膜症:弁置換術など心臓外科的手術を行う。6)水頭症:シャント術など脳外科的手術を行う。■ 造血幹細胞移植1)現在は移植によるリスクがかなり軽減しているため、最も勧められる治療法である。2)肝脾腫の縮小、関節拘縮の軽度改善、心弁膜症の進行抑制、粘膜の肥厚の改善などが認められるが、骨変形や精神発達の退行を防ぐことは難しい。3)2歳未満でIQが70以上の患児には、かなりの効果が期待される。■ 酵素補充療法1)人工的に合成されたイズロニダーゼ酵素(一般名:ラロニダーゼ、商品名:アウドラザイム)を毎週点滴静注により補充する治療法である。2)診断後すぐに治療が開始できるため、造血幹細胞移植を施行するまでのつなぎの治療として有効である。3)血流が豊富な組織:粘膜の肥厚の改善による呼吸状態の改善、肝臓や脾臓の縮小、皮膚・関節拘縮の軽減などの効果が認められる。4)血流が豊富でない組織:角膜・骨の改善は困難である。5)血液脳関門が存在する中枢神経への効果は期待できない。4 今後の展望リソゾーム酵素は、作られた細胞からいったん分泌され血流により全身の臓器に運ばれた後、各臓器組織に取り込まれ、リソゾームに移行し作用する性質がある。このため、移植された細胞から分泌された正常の酵素か、あるいは人工的に作られた酵素を点滴で血液中に注入すると、各臓器組織に取り込まれて症状の改善が認められる。しかしながら、この治療法は、各臓器組織における血流に依存するため、血流の豊富でない骨や血液脳関門の存在する脳などの重要な臓器での症状の改善が認められないという問題点がある。今後これらの臓器組織への移行を改善した酵素補充療法の開発が期待される。5 主たる診療科先天代謝異常症であるため主たる診療科は小児科であるが、全身の臓器に異常が生じるため、該当するいくつかの診療科と並行して受診と治療が必要となる。また、20歳を超えた成人症例には小児科の入院は難しいため、必要となる診療科に入院し、小児科が共同で観察することが重要である。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター ムコ多糖症I型(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本ムコ多糖症患者家族の会(患者とその家族の会)ムコ多糖症支援ネットワーク(患者とその家族の会)1)Neufeld EF, Muenzer J. et al. The Mucopolysaccharidoses. In. Scriver CR, Beaudet AL et al editors. The Metabolic & Molecular Bases of Inherited Disease vol. III 8th Edition. New York: McGraw-Hill; 2001. p.3421-3452.2)Neufeld EF, Muenzer J. The Mucopolysaccharidoses. In Valle D, et al edts. The Online Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. DOI: 10.1036/ommbid.165.3)遠藤文雄総編集 奥山虎之ほか専門編集.先天代謝異常ハンドブック. 中山書店; 2013. p.190-191.4)奥山虎之. 小児疾患の診断治療基準 第4版. 小児内科 2012; 44(増刊号): 168-169.公開履歴初回2013年10月03日更新2019年10月08日

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医師も学会も「発信体質」になろう【Doctors' Picksインタビュー】第4回

――ご自身のブログ「肺癌勉強会」で新たな研究結果を紹介しているほか、FacebookやTwitterでも頻繁に情報を発信していらっしゃいます。多忙の中ここまでされる理由をお聞かせください。私が勤務している川崎市立 川崎病院は公立の総合病院なので、肺がんだけでなく、喘息やCOPD、肺炎などの一般的な呼吸器の疾患も診ています。しかし昨年のデータでは、呼吸器内科で受け持った約1,500人の入院患者のうち、約半数は肺がんでした。地域の中核病院ですから、紹介で来院されるがん患者さんは多く、がんは肺炎などの呼吸器疾患より求められる専門性が高いので、それに応える必要があります。この病院に来たころから、自分の肺がん治療への知識不足を感じるようになりました。どの疾患も日々治療法は進化しており、日々の勉強が大事なのは同じですが、肺がん領域はとくにその変化が激しい。日々論文が発表され、ガイドラインの変更も多く、昨年勉強した治療のストラテジーがもう使えなくなる。この変化の大きさが、喘息や肺炎とは大きく異なる点だと思います。こと肺がんに関しては、自分に負荷を課して勉強しないと診療に当たれない、目の前の患者さんを助けられない、という切迫感がありました。それが5年ほど前のことです。そこから、肺がん関連の論文を片っ端から読みはじめました。PubMedで肺がん関連の気になる単語を検索し、上から順に読むのです。あまりに大量なので、自分の中で整理するために各論文の要点をメモにまとめたことがブログのスタートになりました。自分の勉強の記録を残すツールにすぎなかったものが、こんなに続くとは思っていませんでしたし、ほかの方に見てもらえるとはさらに思っていなかったですね。――ブログのほかにもFacebookやTwitterを使われ、まめに更新されています。毎日の負荷は相当だと思うのですが、どんな風にサイクルを回しているのでしょうか?勉強することはインプットに当たりますが、それを自分の頭に保持するにはアウトプットが重要です。「人に教えたこと」や「文章に書いたこと」は忘れにくい、というアレです。よって、私の中でインプットとアウトプットは完全にセットです。ベストセラーになった、樺沢 紫苑先生の『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版. 2018年)やマイクロソフト日本法人元社長の成毛 眞氏の『黄金のアウトプット術』(ポプラ社. 2018年)などにも、「インプットだけでなくアウトプットの重要性」が書かれていて納得しました。これらの本で気付いたというよりは、「自分なりにずっとやってきたことを再確認した」という感覚です。――実際に論文を読む時間は、どうやって確保されているのでしょう?1本の論文を読み込むのにかかる時間はトータルで2時間ほど。病院への通勤時間、電車の中で読むことが一番多いですね。とはいえ、一度に連続した2時間はとれないので、スキマ時間をかき集めています。具体的には、平日の勤務後や週末の時間を使い、PubMedで気になるキーワードを入れて論文を検索します。そうして集めた論文はすべてPDF化してプリントアウトし、クリアファイルに挟んでおきます。出勤時にはそこから数枚取り、手帳などに挟んでおくのです。また、手帳だけでなく、かばんや白衣のポケットなどあちこちに挟んでおき、休憩時間や勤務中のエレベーターの待ち時間などで30秒程度あればさっと目を通すのです。気になったところにマーカーを引き、再び夜や週末に見返してブログなどにアップする、という流れです。読み込みを始めた当初は、最初から最後まで和訳していたのですが、次第に時間的に厳しくなり、かつ意味も薄いことがわかったので、最近はAbstract、ポイントになるfigure、discussionの部分を中心に見ています。筆者はどんな点に着目してこのデータを解析したのかという部分が大事なので、そこは落とさず確認するようにしています。――読むべき論文は、どのように選んでいるのでしょう?ブログを始めた当初はLancetやNEJMなど一流誌を中心に読んでいたのですが、やっていくうちに気付いたのは、こうした主要誌の論文は日本の医療雑誌やサイトがすぐ翻訳し、高名な先生が解説も付けてくれるのです。それらと速さで張り合っても意味がないので、一流誌はそちらで目を通しつつ、いま現在の私は、医療メディアがあまり取り上げない、最先端というよりは明日の臨床で活かせる本邦での研究やリアルワールドな論文を中心に探しています。たとえば、高齢者に対象を絞っている研究、間質性肺炎の併存症のある症例、がん性髄膜炎や脳転移のある症例を集めた研究であったりします。大規模スタディには載らないセッティングや、小規模であっても日本で行われたデータが臨床の場では貴重なので、こうしたものに目を光らせているのです。私は英語がネイティブではなく、肺がんを専門に勉強したこともなかったので、最初は用語を調べるのにかなりの時間を要しました。それでも、数年も続けていれば人は慣れます。今ではずいぶん速く読めるようになりましたし、読みはじめて興味がなければゴミ箱へ、面白いと思ったものだけを熟読する、といった判別もすぐにつくようになりました。――ブログ、Facebook、Twitterなど、ツールごとの使い分けはどうされているのでしょう?自分のブログは、医療者・専門家が見ることを前提に専門性の高い内容にしています。「EGFR」「複合免疫療法」などの用語も注釈なしでそのまま使っています。Facebookはつながりのある人との少し狭いコミュニティなので、「ブログにこんなことを書いた」「こんな面白い記事があった」といった活動や情報をシェアする場として使っています。Facebookでは読んだ本の書評も書いているのですが、肺がんを患われた医師がご自身の病期について書かれた本1)に感銘を受けて感想を上げたところ、ご本人から直接メッセージをいただくことができました。こうしたつながりがSNSの面白さであり、楽しさですね。Twitterの場合は匿名性が高く、自分のフォロワーが誰なのか、すべては把握できません。看護師や薬剤師などの医療関係者ともつながっていますし、患者さんやご家族もいるかもしれません。拡散力が高いのも特徴なので、より一般的な話題を、わかりやすい言葉で発信することを意識しています。このほかにも医療者向けSNS2)やメディアでも発信しているので、1つの論文をいくつか切り口を変えて取り上げることも多いですね。――医療者の情報発信についてどうお考えですか?今の時代、ネットに医療情報はあふれかえっており、患者さんは病院や自身の疾患について膨大な量の情報に接して来院されます。それなのに、医師サイドはまだまだ情報弱者が多い。ごくごく限られた医師が多大な労力を払って発信を続けている、というのが現状でしょう。Twitter上には多くの有名医師の方々がいますが、パパ小児科医(ぱぱしょー)先生(@papa_syo222)、アレルギーご専門のほむほむ先生(@ped_allergy)は長く続けられているだけあって、一般の方が興味を持つネタや言葉の選び方が上手で参考になります。一般の読者やフォロワーが増えると、自分の発言にはとくに気を付けねばならなくなります。私はどのツールでも名前や立場をオープンにしているので、発言は「医師が発信している情報」として見られます。質の低い情報を発信することは許されません。医療情報をアップするときは、慎重に見直すようにしています。医療者のネットリテラシー向上のためには、学会から変わるといいのでは、と思います。私がTwitterを本格的に始めたのは、2019年の呼吸器学会がきっかけでした。一緒に参加した親しい医師と「Twitterで学会中のトピックスをツイートしてみよう」という話になったのです。思い立ったのは学会の2週間前と時間はなかったのですが、学会事務局に連絡して快諾をいただきました。ハッシュタグをつくり、知り合いの製薬会社の方に呼び掛けたり、母校のメーリングリストで告知するなど、急ごしらえながら準備をしました。会期中のツイートは全部で200ツイート程度でしたが、リツイートも多く、当事者としては大きな満足感がありました。そこまで関心を持っていない発表であっても「伝えなければ」と思えば本腰を入れて聴講しますし、ポイントを捉えようとします。「新しい学会の楽しみ方」という感じがありました。また、ツイートしている同士で同じ演題への見方・捉え方が違うなどの点も、興味深いものがありました。さまざまな知見がたまったので、また別の学会でも取り組みたいと考えています。欧米の学会では、アプリやネットに上がった抄録からすぐに感想をツイートし、発表者自身もキースライドを即時に投稿して世界中から反応が集まる、という時代になっています。日本の研究者・学会も、どんどん情報発信をしないと世界から置いていかれてしまうでしょう。電話帳のような学会抄録とはお別れし、講演スライドも公開したり販売したりすればいい。知見はシェアすることでさらに入ってくる時代になっているのですから。1)『Passion(パッション)~受難を情熱に変えて~』(前田恵理子/著. 医学と看護社. 2019年)2)Doctors’Picksこのインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!私のPICKした記事悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブの本邦での効果と安全性中皮腫に対するニボルマブの投与は、日本においては2018年に適応拡大が承認され、まさに今、実臨床で使われはじめたところです。本研究の広島大学・岡田 守人先生をはじめ、全国で症例を集めている途上にあります。呼吸器を専門とする医師であれば、誰もが注目するトピックスでしょう。私が重視する「明日の臨床に役立つデータ」だと判断し、発表後すぐに自分のブログで取り上げ、多くの方の目に留まるようDoctors'PicksでもPickしました。

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インフルエンザ発症リスクは喫煙者で5倍超

 喫煙者は、非喫煙者と比較してインフルエンザの発症リスクが高い可能性が示唆された。英国・ノッティンガム大学のLawrence Hannah氏らは、喫煙とインフルエンザ感染との関連をシステマティックレビューで調査し、結果をthe Journal of Infection誌2019年8月26日号に報告した。 研究グループは、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、Web of Scienceのデータベースを、それぞれ創刊から2017年11月7日までの期間検索し、関連するランダム化比較試験、コホート研究および症例対照研究を特定した。臨床症状からインフルエンザを定義した研究6件と、検査でインフルエンザウイルスが確認された研究3件が対象とされた。 研究の質は、Newcastle-Ottawa Scaleを使用して評価され、プールされたオッズ比(OR)は、ランダム効果モデルを使用して推定された。 主な結果は以下のとおり。・9つの研究、4万685例の患者についてレビューを行った。・インフルエンザ様症状を報告した6つの研究において、現在の喫煙者は非喫煙者よりも、発症リスクが34%高かった(OR:1.34、95%信頼区間[CI]:1.13~1.59)。・検査で発症が確認された3つの研究において、現在の喫煙者は、インフルエンザ発症リスクが非喫煙者の5倍を超えていた(OR:5.69、95%CI:2.79~11.60)。

1976.

東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早く

 東京都が9月26日付でまとめた、都内のインフルエンザ定点医療機関からの第38週(9月16~22日)の患者報告数が、流行開始の目安となる定点当たり報告数1.0を超えた。インフルエンザは、例年12月から3月にかけて流行しているが、昨年と比べても11週早い。今シーズンの異例ともいえる速さでの流行開始に、都は早めの注意と対策を呼び掛けている。 都内419ヵ所のインフルエンザ定点医療機関から報告された第38週の患者報告数は、定点当たり1.06人。今シーズン(9月2日以降)において、都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザと思われる集団感染事例は、22日までに55件報告されている。 定点当たりの患者報告数が1.0人/週を超えた保健所は、都内31ヵ所中12ヵ所。報告数が多い順に、多摩小平(4.05人)、中央区(1.80人)、文京・渋谷区(1.57人)、杉並(1.53人)、世田谷(1.46人)、中野区(1.40人)、板橋区(1.38人)、江戸川(1.37人)、八王子市(1.33人)、北区(1.18人)、西多摩(1.14人)。

1977.

エヌトレクチニブ発売、脳転移へのベネフィットに注目

 臓器横断的ながん治療薬として本邦で2剤目となる低分子チロシンキナーゼ阻害薬エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)が販売開始したことを受け、9月5日、都内でメディアセミナー(主催:中外製薬)が開催された。吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科長)が登壇し、同剤の臨床試験結果からみえてきた特徴と、遺伝子別がん治療の今後の見通しについて講演した。 エヌトレクチニブは、2018年3月に先駆け審査指定を受け、2019年6月に「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を適応症とした承認を世界で初めて取得した。すでに承認・販売されているMSI-H固形がんへのペムブロリズマブの適応が、標準的治療が困難な場合に限られるのに対し、NTRK融合遺伝子陽性固形がんであれば治療歴および成人・小児を問わないことが特徴。遺伝子検査にはコンパニオン診断薬として承認されたFoundationOne CDxがんゲノムプロファイルを用いる。がん種ごとの陽性率は? NTRK融合遺伝子陽性率をがん種ごとにみると、成人では唾液腺分泌がん(80~100%)1,2)、乳腺分泌がん(80~100%)3-6)などの希少がんで多く、非小細胞肺がん(0.2~3.3%)7,8)や結腸・直腸がん(0.5~1.5%)7,9-10)、浸潤性乳がん(0.1%)7)などでは少ない。しかし患者の絶対数を考えると、1%であっても相当数の患者がいるという視点も持つ必要があると吉野氏は指摘した。 一方、小児では、乳児型線維肉腫(87.2~100%)11-14)、3歳未満の非脳幹高悪性度神経膠腫(40%)15)など陽性率の高いがん種が多く、同氏は「小児がんへのインパクトはとくに大きい」と話した。治療開始後“早く・長く効く”こと、脳転移への高い有効性が特徴 今回の承認は、成人に対する第II相STARTRK-2試験および小児に対する第Ib相STARTRK-NG試験の結果に基づく。STARTRK-2試験は、NTRK1/2/3、ROS1またはALK遺伝子陽性の局所進行/転移性固形がん患者を対象としたバスケット試験。このうち、とくにNTRK陽性患者で著明な効果が確認され、今回の迅速承認につながった経緯がある。 NTRK有効性評価可能集団は51例。肉腫が13例と最も多く、非小細胞肺がん9例、唾液腺分泌がんおよび乳がんが6例ずつ、甲状腺がんが5例、大腸がん・膵がん・神経内分泌腫瘍が3例ずつと続く。また、何らかの治療歴がある患者が約6割を占めていた。主要評価項目である奏効率(ORR)は56.9%、4例で完全奏功(CR)が確認された。本試験結果だけでは母数が少ないが、がん種ごとに有効性の大きな差はないと評価されている。吉野氏は、とくに奏効例のスイマープロットに着目。初回検査の時点で奏効が確認された症例、治療継続中の症例が多く、「奏功例では早く長く効くことが特徴」と話した。また、ベースライン時の患者背景として、脳転移症例が11例含まれることにも言及。評価対象となった10例での成績は、頭蓋内腫瘍奏効率50%、2例でCRが確認されている。 Grade3以上の有害事象は多くが5%以下と頻度が低く、貧血が10.7%、体重増加が9.7%でみられた。同氏は、「総じて、副作用は非常に軽いといえる」と述べた。3学会合同、臓器横断的ゲノム診療のガイドラインを発行予定 小児・青年期対象のSTARTRK-NG試験においても、エヌトレクチニブの高い有効性が確認されている(ORR:100%)。5例はCNS原発の高悪性度の腫瘍で、うち2例でCRが確認された。周辺組織への浸潤が早い小児がんにおいて、非常に大きなインパクトのある治療法と吉野氏は話し、「どのタイミングで、どんな患者に検査を行い、薬を届けていくかを標準化していく必要がある」とした。 今回の承認を受け、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本小児血液・がん学会は合同で、『成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン(案)』をホームページ上で公開、パブコメの募集を行った。同ガイドラインは、今回のエヌトレクチニブ承認を受け、2019年3月公開の『ミスマッチ修復機能欠損固形がんに対する診断および免疫チェックポイント阻害薬を用いた診療に関する暫定的臨床提言』を改訂・進化させた内容となっている。「NTRK融合遺伝子の検査はいつ行うべきか?」など、NTRK融合遺伝子の検査・治療についてもCQが設けられ、実践的な診断基準として知見が整理される。 最後に、同氏はこれまで消化器がん・肺がん領域を対象として行ってきたSCRUM-Japanのがんゲノムスクリーニングプロジェクトが、2019年7月からすべての進行固形がん患者を対象に再スタートしたことを紹介(MONSTAR-SCREEN)16)。リキッドバイオプシーおよび便のプロファイリング(マイクロバイオーム)を活用しながら、臓器によらないTumor-agnosticなバスケット型臨床試験を実施していくという(標的はFGFR、HER2、ROS1)。承認申請に使用できる前向きレジストリ研究を推進させ、全臓器での治療薬承認を早めていきたいと語り、講演を締めくくった。■参考1)Skalova A, et al.Am J Surg Pathol. 2016;40:3-13.2)Bishop JA, et al.Hum Pathol. 2013;44:1982-8.3)Del Castillo M, et al. Am J Surg Pathol. 2015;39:1458-67.4)Makretsov N, et al. Genes Chromosomes Cancer. 2004;40:152-7.5)Tognon C, et al. Cancer Cell. 2002;2:367-76.6)Lae M, et al. Mod Pathol. 2009;22:291-8.7)Stransky N, et al. Nat Commun. 2014;5:4846.8)Vaishnavi A, et al. Nat Med. 2013;19:1469-1472.9)Ardini E, et al. Mol Oncol. 2014;8:1495-507.10)Creancier L, et al. Cancer Lett. 2015;365:107-11.11)Knezevich SR, et al. Nat Genet. 1998;18:184-7.12)Rubin BP, et al. Am J Pathol. 1998;153:1451-8.13)Bourgeois JM, et al. Am J Surg Pathol. 2000;24:937-46.14)Chiang S, et al. Am J Surg Pathol. 2018;42:791-798.15)Wu G, et al. Nat Genet. 2014;46:444-450.16)国立がん研究センターSCRUM-Japan/MONSTAR-SCREEN

1978.

インフルエンザ予防効果、N95マスクvs.医療用マスク/JAMA

 外来医療従事者(HCP)におけるN95マスクと医療用マスク装着によるインフルエンザ予防効果を調べた結果、インフルエンザの罹患率について有意差は認められなかったことが示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のLewis J. Radonovich Jr氏らが、米国の7医療センター・137外来部門で行ったクラスター無作為化プログマティック効果比較試験の結果で、JAMA誌2019年9月3日号で発表した。両マスクの効果については結論が出ていなかった。インフルエンザ予防効果を無作為にN95または医療用マスクに割り付けて比較 研究グループは2011年9月~2015年5月にかけて、米国内7医療センターの外来部門137ヵ所を通じて試験を行い、HCPがN95マスクまたは医療用マスクを装着した場合の、インフルエンザおよびウイルス性呼吸器感染症の予防効果を比較した。最終フォローアップは2016年6月だった。 4年間の試験期間中、毎年、ウイルス性呼吸器感染症の発症率がピークとなる12週間に、各医療センター内の外来部門を被験者数や患者数などでマッチングした。被験者は、無作為にN95マスク群と医療用マスク群に割り付けられ、呼吸器感染症の患者に近づく際には割り付け指定されたマスクを装着した。 主要アウトカムは、検査で確定したインフルエンザの罹患率。副次アウトカムは、急性呼吸器疾患、検査確定の呼吸器感染症、検査確定の呼吸器疾患、インフルエンザ様疾患の各罹患率などだった。また、介入アドヒアランスも評価した。インフルエンザ罹患率、N95マスク群8.2%、医療用マスク群7.2% N95マスクと医療用マスク装着によるインフルエンザ予防効果を調べた被験者数は2,862例で、平均年齢は43歳、女性は82.8%だった。N95マスク群は189クラスター(1,993例、延べ2,512HCPシーズン)、医療用マスク群は191クラスター(2,058例、延べ2,668HCPシーズン)だった(1被験者の複数シーズン参加あり)。 検査確定のインフルエンザ感染症は、N95マスク群207例(HCPシーズンの8.2%)、医療用マスク群193例(同7.2%)で、両群間に有意差は認められなかった(群間差:1.0ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.5~2.5、p=0.18、補正後オッズ比:1.18、95%CI:0.95~1.45)。 副次アウトカムについても両群で有意差はなく、急性呼吸器疾患はN95マスク群1,556例vs.医療用マスク群1,711例(群間差:-21.9/1,000HCPシーズン、[95%CI:-48.2~4.4]、p=0.10)、検査確定の呼吸器感染症は679例vs.745例(同:-8.9[-33.3~15.4]、p=0.47)、検査確定の呼吸器疾患は371例vs.417例(同:-8.6[-28.2~10.9]、p=0.39)、インフルエンザ様疾患は128例vs.166例(同:-11.3[-23.8~1.3]、p=0.08)だった。 マスクの装着について、「いつも」または「時々」と回答した人の割合は、N95マスク群89.4%に対し、医療用マスク群90.2%だった。

1979.

第15回 薬剤投与後の意識消失、原因は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)アナフィラキシーはいつでも起こりうることを忘れずに!2)治療薬はアドレナリン! 適切なタイミング、適切な投与方法で!3)“くすりもりすく”を常に意識し対応を!【症例】62歳女性。数日前から倦怠感、発熱を認め、自宅で様子をみていたが、食事も取れなくなったため、心配した娘さんと共に救急外来を受診した。意識は清明であるが、頻呼吸、血圧の低下を認め、悪寒戦慄を伴う発熱の病歴も認めたため、点滴を行いつつ対応することとした。精査の結果、「急性腎盂腎炎」と診断し、全身状態から入院適応と判断し、救急外来で抗菌薬を投与し、病床の調整後入院予定であった。しかし、抗菌薬を投与し、付き添っていたところ、反応が乏しくなり、血圧低下を認めた。どのように対応するべきだろうか?●抗菌薬投与後のバイタルサイン意識10/JCS血圧88/52mmHg脈拍112回/分(整)呼吸28回/分SpO297%(RA)体温38.9℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧内服薬アジルサルタン(商品名:アジルバ)、アトルバスタチン(同:リピトール)アナフィラキシーの認識本症例の原因、これはわかりやすいですね。抗菌薬投与後に血圧低下を認める点から、アナフィラキシーであることは、誰もが認識できると思いますが、「アナフィラキシーであると早期に認識すること」が非常に大切であるため、いま一度整理しておきましょう。アナフィラキシーとは、「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性のアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過剰反応」と定義されます。また、アナフィラキシーショックとは、それに伴い血圧低下や意識障害を伴う場合とされます1)。アナフィラキシーの診断基準は表1のとおりですが、シンプルに言えば、「食べ物、蜂毒、薬などによって皮膚をはじめ、複数の臓器に何らかの症状が出た状態」と理解すればよいでしょう。表2が代表的な症状です。皮膚症状は必ずしも認めるとは限らないこと、消化器症状を忘れないことがポイントです。そして、本症例のような意識消失の原因がアナフィラキシーであることもあるため注意しましょう。表1 アナフィラキシーの診断基準画像を拡大する表2 アナフィラキシーの症状と頻度画像を拡大するアナフィラキシーの初期対応-注射薬によるアナフィラキシーは「あっ」という間!アナフィラキシー? と思ったら、迷っている時間はありません。とくに、抗菌薬や造影剤など、経静脈的に投与された薬剤によってアナフィラキシーの症状が出現した場合には、進行が早く「あっ」という間にショック、さらには心停止へと陥ります。今までそのような経験がない方のほうが多いと思いますが、本当に「あっ」という間です。万が一の際に困らないように確認しておきましょう。一般的に、アナフィラキシーによって、心停止、呼吸停止に至るまでの時間は、食物で30分、蜂毒で15分、薬剤で5分程度と言われていますが、前述のとおり、経静脈的に投与された薬剤の反応はものすごく早いのです4)。アドレナリンを適切なタイミングで適切に投与!アナフィラキシーに対する治療薬は“アドレナリン”、これのみです! 抗ヒスタミン薬やステロイドを使う場面もありますが、どちらも根本的な治療薬ではありません。とくに、本症例のように、注射薬によるアナフィラキシーの場合には、重症化しやすく、早期に対応する必要があるため、アドレナリン以外の薬剤で様子をみていては手遅れになります。ちなみに、「前も使用している薬だから大丈夫」とは限りません。いつでも起こりうることとして意識しておきましょう。日本医療安全調査機構から『注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析』が平成30年1月に報告されました。12例のアナフィラキシーショックによる死亡症例が分析されていますが、原因として多かったのが、造影剤、そして抗菌薬でした。また、どの症例もアナフィラキシーを疑わせる症状が出てからアドレナリンの投与までに時間がかかってしまっているのです5)。アドレナリンの投与を躊躇してしまう気持ちはわかります。アドレナリンというと心肺停止の際に用いるもので、あまり使用経験のない人も多いと思います。しかし、アナフィラキシーに関しては、治療薬は唯一アドレナリンだけです。正しく使用すれば恐い薬ではありません。どのタイミングで使用するのか、どこに、どれだけ、どのように投与するのかを正確に頭に入れておきましょう。アドレナリンの投与のタイミングアドレナリンは、皮膚症状もしくは本症例のように明らかなアレルゲンの曝露(注射薬が代表的)があり、そのうえで、喉頭浮腫や喘鳴、呼吸困難感などのairwayやbreathingの問題、または血圧低下や失神のような意識消失などcirculationの問題、あるいは嘔気・嘔吐、腹痛などの消化器症状を認める場合に投与します。大事なポイントは、造影剤や抗菌薬などの投与後に皮膚症状がなくても、呼吸、循環、消化器症状に異常があったら投与するということです。アドレナリンの投与方法アドレナリンは大腿外側広筋に0.3mg(体型が大きい場合には0.5mg)筋注します。肩ではありません。皮下注でも、静注でもありません。正しく打てば、それによって困ることはまずありません。皮下注では効果発現に時間がかかり、静注では頻脈など心臓への影響が大きく逆効果となります。まずは筋注です!さいごに抗菌薬、造影剤などの薬剤は医療現場ではしばしば使用されます。もちろん診断、治療に必要なために行うわけですが、それによって状態が悪化してしまうことは、極力避けなければなりません。ゼロにはできませんが、本当に必要な検査、治療なのかをいま一度吟味し、慎重に対応することを心掛けておく必要があります。救急の現場など急ぐ場合もありますが、どのような場合でも、常に起こりうる状態の変化を意識し、対応しましょう。1)日本アレルギー学会 Anaphylaxis対策特別委員会. アナフィラキシーガイドライン. 日本アレルギー学会;2014.2)Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006;117:391-397.3)Joint Task Force on Practice Parameters, et al. J Allergy Clin Immunol. 2005;115:S483-523.4)Pumphrey RS. Clin Exp Allergy. 2000;30:1144-1150.5)日本医療安全調査機構. 医療事故の再発防止に向けた提言 第3号 注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析. 日本医療安全調査機構;2018.

1980.

後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦、計画出産は有益か/Lancet

 後期早産・妊娠高血圧腎症の女性における計画出産は、待機的管理と比較して、母体の障害発生や重症高血圧の頻度は低い一方で、新生児治療室への入室が多いことが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが行ったPHOENIX試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年8月28日号に掲載された。後期早産・妊娠高血圧腎症の女性では、母体の疾患進行に関連する制約と、新生児の合併症とのバランスをとる必要があり、至適な分娩開始時期は不明だという。英国の46施設が参加した無作為化試験 研究グループは、後期早産・妊娠高血圧腎症女性では、計画された早期の出産開始が、待機的管理(通常治療)と比較して、新生児/乳幼児の転帰を悪化させずに、母体の有害な転帰を抑制するかどうかを検証する目的で、多施設共同非盲検無作為化対照比較試験を実施した(英国国立衛生研究所[NIHR]健康技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、妊娠期間が34~<37週で、単胎または2絨毛膜2羊膜双胎の妊娠高血圧腎症または加重型妊娠高血圧腎症の女性であった。被験者は、48時間以内に計画的に出産を開始する群または待機的管理を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 母体の主要評価項目は、障害発生(fullPIERSモデルの転帰:母体死亡、中枢神経系・心肺・血液・肝臓・腎臓の障害、胎盤早期剥離)と、割り付け後の収縮期血圧≧160mmHgの複合とし、優越性の評価を行った。周産期の主要評価項目は、出産から7日以内の新生児の死亡と、新生児の退院前の新生児治療室への入室の複合とし、非劣性の評価を行った(非劣性マージンは10%)。 2014年9月29日~2018年12月10日の期間に、イングランドとウェールズの46の産科施設で参加者の登録が行われた。分娩時期の共同意思決定のために、転帰のトレードオフを説明すべき 901例の女性が登録され、計画出産群に450例、待機的管理群には451例が割り付けられた。intention-to-treat(ITT)解析の対象は、計画出産群が448例の女性(平均年齢30.6[SD 6.4]歳)と471例の乳幼児、待機的管理群は451例の女性(30.8[6.3]歳)と475例の乳幼児であった。 母体の複合アウトカムの発生率は、計画出産群が65%(289例)と、待機的管理群の75%(338例)に比べ有意に低く、優越性が確認された(補正後相対リスク[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.94、p=0.0005)。 一方、周産期の新生児の複合アウトカムの発生率は、計画出産群は42%(196例)であり、待機的管理群の34%(159例)と比較して有意に高かった(補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47、p=0.0034)。per-protocol(PP)解析でも、同様の結果が示され(1.40、1.18~1.66、p<0.0001)、周産期の複合アウトカムに関して、計画出産群は待機的管理群に劣ると判定された。 副次評価項目である母体の障害発生(計画出産群15% vs.待機的管理群20%、補正後RR:0.76、95%CI:0.59~0.98)および収縮期血圧≧160mmHg(60% vs.69%、0.85、0.77~0.94)はいずれも計画出産群が優れ、重症妊娠高血圧腎症への進行(64% vs.74%、0.86、0.79~0.94)も計画出産群のほうが良好だった。 死産、出産後7日以内の新生児の死亡、退院前の新生児の死亡は、両群とも認められなかった。新生児治療室への入室は、計画出産群で頻度が高かった(42% vs.34%、補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47)。また、母親と新生児を合わせた医療費は計画出産群のほうが安価だった(p=0.00094)。 重篤な有害事象は、計画出産群の9例、待機的管理群の12例で認められた。このうち両群2例ずつが介入に関連する可能性があり、待機的管理群の1例は介入に関連する可能性が高いと判定された。 著者は、「この母体と新生児の転帰のトレードオフについては、分娩時期に関する共同意思決定(shared decision making)のために、後期早産・妊娠高血圧腎症女性と話し合う必要がある」と指摘している。

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