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細胞培養由来4価ワクチン、小児で良好なインフル予防効果/NEJM

 インフルエンザ流行期の健康な小児/青少年における感染予防では、細胞培養由来4価不活化インフルエンザワクチン(IIV4c、Flucelvax Quadrivalent、英国・Seqirus製)は非インフルエンザワクチンと比較して、インフルエンザワクチン接種歴の有無を問わず良好な有効性が認められ、有害事象の発現は両者でほぼ同様であることが、オーストラリア・メルボルン大学のTerence Nolan氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年10月14日号で報告された。3回の流行期、8ヵ国の無作為化第III/IV相試験 研究グループは、8ヵ国の小児/青少年において、Madin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞株を用いたIIV4c(A/H1N1、A/H3N2、B/Yamagata、B/Victoria)の有効性、免疫原性、安全性の、非インフルエンザワクチン(髄膜炎菌ACWY[A、C、W-135、Y群]ワクチン)との比較を目的に、観察者盲検化層別無作為化第III/IV相試験を行った(Seqirusの助成による)。 3回のインフルエンザ流行期に、8ヵ国(39施設)で参加者(2~<18歳)が募集された。各流行期の参加国は、シーズン1(2017年の南半球の流行期[~2017年12月31日])がオーストラリア、フィリピン、タイ、シーズン2(2017~18年の北半球の流行期[~2018年6月30日])がエストニアとフィンランドで、シーズン3(2018~19年の北半球の流行期[~2019年6月30日])はエストニア、フィンランド、リトアニア、ポーランド、スペインだった。 参加者は、IIV4cまたは髄膜炎菌ACWYワクチンの接種を受ける群(比較群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。全参加者が、試験ワクチンの1回目の接種を受けた。インフルエンザワクチン接種歴がなく、IIV4c群に割り付けられた2~<9歳の小児は、29日目に2回目の接種を受け、比較群に割り付けられた小児にはプラセボが接種された。有効性と安全性に関して、少なくとも180日間の追跡が行われた。 インフルエンザ様疾患に罹患した参加者は、鼻咽頭拭い液を採取され、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法およびウイルス培養でインフルエンザウイルスの有無が確定された。 主要エンドポイントは、2~<18歳の集団における、最終接種から14日以降、流行期最終日までに検査で確認されたA型またはB型インフルエンザの初回発生であった。有効率は、A/H1N1が80.7%、A/H3N2は42.1%、B型は47.6% 3回の流行期に4,514例(平均[SD]年齢8.8±4.1歳、女性48.5%)が登録され、IIV4c群に2,258例、比較群に2,256例が割り付けられた。全体の65.9%がインフルエンザワクチン接種歴を有し、50.7%が2~<9歳であった。 全体のインフルエンザウイルス感染者は、IIV4c群が7.8%(175/2,257例)、比較群は16.2%(364/2,252例)であり、IIV4c群の有効率は54.6%(95%信頼区間[CI]:45.7~62.1)であった。 A型インフルエンザのうちA/H1N1に対するIIV4c群の有効率は80.7%(95%CI:69.2~87.9)、A/H3N2に対する有効率は42.1%(20.3~57.9)であり、B型インフルエンザに対する有効率は47.6%(31.4~60.0)であった。年齢別、性別、人種別、インフルエンザワクチン接種歴の有無別のサブグループで、IIV4c群の有効性(有効率42.1~82.3%)が一貫して認められた。 免疫原性の評価には721例(2~<9歳、IIV4c群364例、比較群357例)が含まれた。IIV4c群における2つの流行期(シーズン2と3)のワクチン接種後の幾何平均抗体価(GMT)は、A/H1N1で283.5から380.7へ、B/Victoriaで45.3から66.8へ、B/Yamagataでは52.8から108.5へと、それぞれ増加した。比較群では、シーズン2と3で接種後のGMT増加は観察されなかった。 接種後6時間~7日までに非自発的に報告された有害事象の割合は、IIV4c群が51.4%、比較群は48.6%であった。発熱(体温≧38.0℃)は、IIV4c群が5.3%、比較群は4.5%にみられ、重度発熱(≧40.0℃)はそれぞれ0.3%および0.2%で発現した。また、重篤な有害事象は、1.1%および1.3%に認められた。担当医によってワクチン関連と判定された有害事象はなく、試験中止の原因となった有害事象もなかった。 著者は、「IIV4cは、卵を使用しないインフルエンザワクチン製造プラットフォームで作製されており、卵馴化変異の回避や、新型のインフルエンザウイルス発生時の対応に要する時間の短縮など、一定の利点を有する」と指摘している。

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第75回 新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省

<先週の動き>1.新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省2.国保、高所得者の保険料上限額を年3万円引き上げへ/厚労省3.主治医による小児アレルギーの情報提供が診療報酬の対象に/中医協4.帝王切開を架空請求、沖縄の産婦人科医院長を逮捕/沖縄県警5.贈収賄事件で製薬企業の会員資格停止、再発防止を/製薬協6.日大背任事件、大学理事長にも6,000万円の資金還流か/特捜部1.新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省厚生労働省は、22日に「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」を開催し、新型コロナウイルスのワクチン接種後に「アナフィラキシー」などを発症した81例について、予防接種との因果関係を審議し、全件を認定した。今回認定された81件のうち、70件が女性で、男女合わせた年齢別では40代が22件ともっとも多く、その次は20代・50代がそれぞれ15件、30代・60代は11件であった。このうちアナフィラキシーが45件、アナフィラキシー様症状が18件として認定された。これにより、新型コロナワクチン接種に関する健康被害の救済認定は計147人となった。(参考)コロナワクチン接種 81人を救済認定 医療費など支給へ 厚労省(NHK)アナフィラキシーなど「接種が原因」、新たに81人認定…国の救済適用計147人に(読売新聞)資料 副反応疑い報告の状況について(第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)2.国保、高所得者の保険料上限額を年3万円引き上げへ/厚労省厚労省は、22日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、国民健康保険の加入者のうち、高所得者の保険料について、財政基盤の安定化、保険料の国民負担に関する公平性の確保のため、高所得者が保険料の賦課限度額までしか負担しない仕組みを改め、保険料の賦課限度額を引き上げるべきとして、保険料上限を現在の年99万円から3万円引き上げ、102万円とする案を示した。引き上げは、2022年度に実施する方針で、2年ぶりとなる。(参考)国民健康保険 高所得者の保険料上限額 引き上げ案了承(NHK)国民保険料の限度額上げ 厚労省案、3万円増え102万円に(日経新聞)資料 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(厚労省)3.主治医による小児アレルギーの情報提供が診療報酬の対象に/中医協厚労省は、22日に開催された中央社会保険医療協議会において、アレルギー疾患を持つ子供の主治医が、生活の注意点などを記載した文書を作り、学校や保育所に提供した場合、新たに診療報酬対象とすることについて提案し、了承された。今後、厚労省は来年4月の診療報酬改定に向け、対象となる学校など施設の範囲、年齢、疾患などの具体的調整を進める。(参考)アレルギー対応保険適用へ 主治医と学校の連携強化 来年4月にも、厚労省(産経新聞)アレルギー疾患の情報提供、診療報酬で評価へ 中医協・総会(CBnewsマネジメント)4.帝王切開を架空請求、沖縄の産婦人科医院長を逮捕/沖縄県警沖縄県警は、帝王切開を行ったように装って診療報酬を受け取った沖縄市内の産婦人科医師を20日に詐欺容疑で逮捕した。この医師は2018年6月に自らが経営する産婦人科医院で、自然分娩の妊婦について、緊急帝王切開術を行ったと偽って診療報酬を請求し、82万円を保険団体から受け取っていた。警察は、関係者からの情報を受け、今年の7月に病院から資料を押収し、捜査を進めて本事件が発覚した。その後の捜査によって、妊婦健康診査でも、実際には診察を行っていないのに、行ったとカルテを偽造し、架空請求を繰り返したことも明らかとなっている。(参考)診療報酬不正で産婦人科医を逮捕 詐欺容疑で沖縄県警(琉球新報)診療報酬だまし取った疑い 沖縄市の産婦人科院長を逮捕(NHK)妊婦健診でも架空請求か 「私一人だけで少なくとも50件」 複数の関係者が証言(沖縄タイムス)5.贈収賄事件で製薬企業の会員資格停止、再発防止を/製薬協日本製薬工業協会は21日の記者会見において、小野薬品工業による資金提供を受けた三重大学の贈収賄事件を受け、再発防止を目的に奨学寄付金の提供の在り方について再徹底するよう通知を発出した。製薬協は、奨学寄付金を自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供の方法として用いないことや、営業部門から独立した組織で利益相反を十分確認のうえ決定することなどの遵守を求めている。日本製薬工業協会は、社員2名が贈賄罪の有罪判決になったのを受け、小野薬品の製薬協の会員資格停止を9月に公表している。(参考)会員会社に対する処分について(製薬協)「処方拡大の見返り」賄賂認定…奨学寄付金の落とし穴(Answers)製薬協 奨学寄附金の在り方再徹底で通知発出 第三者供賄で小野薬品の会員資格停止受け(ミクスonline)6.日大背任事件、大学理事長にも6,000万円の資金還流か/特捜部日本大学附属病院の建て替え工事をめぐって、大学の資金2億円超を流出させた事件で逮捕された大阪の医療法人グループ理事長が、日本大学の理事長に「現金3,000万円を2回渡した」と供述していることが明らかになった。大阪の理事長は、業者選定前に大学側から入手した内部資料を都内の設計事務所に提供したことも明らかになっている。さらに、逮捕された日大元理事が、付属病院の医療機器調達に絡んで大学に約1億5,000万円を不正に支出させた疑いが23日に発覚し、特捜部は真相解明のために捜査を続けている。(参考)日大背任事件 元理事 実態のない契約書作り資金の一部還流か(NHK)「日大理事長に5000万円」複数回提供も供述 理事長は否定(産経新聞)「日大理事長側に6000万円」本人は否定、医療法人元トップ供述(日経新聞)医療機器巡り資金流出か 背任容疑の日大元理事1.5億円、地検解明へ(同)

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不動産ごと引き継いで欲しい!で難易度アップ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第28回

第28回 不動産ごと引き継いで欲しい!で難易度アップ漫画・イラスト:かたぎりもとこ地方の診療所では自宅と診療所が同じ建物にある場合が多く、売り手から「医業承継時に不動産ごと引き継いで欲しい」という希望が寄せられることが多くなります。実際、弊社にお問い合わせいただく案件の3割程度がそうしたケースです。一方、買い手で「最初から不動産を所有して診療所運営を行いたい」という希望者は全体の2割程度です。つまり、「不動産ごと引き継いで欲しい」という条件を付けることで買い手候補が全体の2割に絞られ、承継の難易度が上がってしまうのです。なぜ買い手の8割が「不動産を所有しない(=テナント形式)で開業したい」と考えるのでしょうか?診療所の開業には、新規開業と承継開業の2種類があります。このうち承継開業を選択する主な理由(メリット)は下記の2点です。1)初期投資額を抑えられる2)初期段階から黒字経営が見込める(売り手の患者を引き継げるため)「不動産ごと引き継ぐ」という選択によって、2つのメリットのうち「1)初期投資額を抑えられる」が失われてしまうのです。新規開業をテナント形式で行う場合、初期投資額は高くても1億円程度です。一方、承継開業をテナントで行う場合、初期投資額は4,000万円程度となります。それが「不動産付きの承継開業」となると、初期投資額は新規開業と同レベルの1億円超まで跳ね上がってしまうのです。これが都心の不動産であれば、不動産価格の値上がりを期待して、1億円超でもリスクを取って開業しよう、という買い手が現れるかもしれません。しかし、現実には、このような不動産付きの承継案件の大半は地方にあるのです。買い手候補がそもそも少ない地方において、承継開業のメリットを見いだしにくい不動産付きの承継案件は、なかなか成立しません。弊社では、このようなケースでは「不動産は売却せず、賃貸契約にする」といった方法も提案しています。さらに難易度が高いエリアの場合は診療所の承継を諦め、一般居住用として不動産を売却する、という提案をすることもあります。

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ファイザー製ワクチン後の心筋炎、発症率と重症度/NEJM

 イスラエルの大規模医療システムにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)を1回以上接種した人の推定心筋炎罹患率は2.13/10万人で、16~29歳の男性の罹患率が最も高く、重症度は軽症~中等症だったという。イスラエル・Rabin Medical Center・Beilinson HospitalのGuy Witberg氏らが、1回以上接種者250万人超を調べた結果を報告した。心筋炎発症とCOVID-19のmRNAワクチン接種との関連を示唆する報告がされているが、これまで頻度や重症度について大規模な調査は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。イスラエルで、初回ワクチン接種日から42日までの心筋炎罹患率を分析 研究グループは、イスラエル最大の医療組織(HCO)「Clalit Health Services」のデータベースから、mRNAワクチンBNT162b2を1回以上接種し、心筋炎の診断を受けた患者を抽出した。心筋炎の診断は、米国疾病管理予防センター(CDC)の定義に基づき、循環器専門医が判断した。 患者の電子健康記録から、症状、臨床経過、アウトカムを要約。Kaplan-Meier法で、初回ワクチン接種日から42日までの心筋炎罹患率を分析した。16~29歳・男性の推定罹患率が最も高く10.69/10万人 ワクチン接種をした16歳以上のHCO会員250万人超において、心筋炎の診断基準に適合した症例は54例だった。ワクチン1回以上接種者の推定罹患率は、2.13/10万人(95%信頼区間[CI]:1.56~2.70)だった。推定罹患率が最も高かったのは、16~29歳の男性で、10.69/10万人(6.93~14.46)だった。 心筋炎の重症度は、76%が軽症で、22%が中等症だった。心原性ショックとの関連が認められたのは1例だった。 心筋炎発症後、中央値83日の追跡期間中、病院再入院は1例で、退院後に原因不明の死亡が1例報告された。入院中に心エコー検査で左室機能不全が認められたのは14例で、そのうち退院時点で同機能不全を有していたのは10例、うち5例はその後の検査で正常な心機能が確認された。

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ファイザー製ワクチン後の心筋炎、非接種者と比較した発症率/NEJM

 mRNAワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)接種後の心筋炎の罹患率は、低率だが、とくに若い男性の2回接種者で増大すること、また臨床症状は概して軽症であったことを、イスラエル・Hadassah Medical CenterのDror Mevorach氏らが同国保健省のモニタリングデータを分析して報告した。イスラエルでは2021年5月31日時点で、約510万人がmRNAワクチン・BNT162b2の完全接種を受けている。同国保健省は、有害事象のモニタリングにおいて心筋炎が報告された早期の段階から積極的なサーベイランスを行っていたという。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号掲載の報告。初回接種・2回目接種後のリスク差などを評価 研究グループは2020年12月20日~2021年5月31日のイスラエル保健省のデータベースから、臨床・検査データや退院サマリー、電子カルテを後ろ向きにレビューし、全心筋炎について、Brighton Collaboration定義を用いて分類した。 心筋炎の罹患に関する分析では、ワクチン初回接種後と2回目(21日後)接種後の罹患率を、リスク差を算出して比較。診断確実性とは独立した、ワクチン初回接種後21日以内、2回接種後30日以内の、観察/予測罹患率の標準化罹患率比を算出して評価した。また、2回目接種後30日の率比を、ワクチン非接種者との比較によって求め評価した。2回目接種後の標準化罹患率比は全体では5.34 心筋炎症状が認められた304例のうち、21例は別の診断名が付いていた。それらを除く283例のうち、BNT162b2ワクチン接種後の発症例は142例で、うち136例がdefinitive/probableに分類された。 definitive/probable例のうち129例(95%)が軽症と判断されたが、劇症だった1例は死亡している。 ワクチン1回目と2回目接種後のリスク差は、全体では1.76/10万人(95%信頼区間[CI]:1.33~2.19)で、16~19歳男性で最も差が大きく13.73/10万人(8.11~19.46)だった。 過去のデータに基づく予測値と比較した2回目接種後の標準化罹患比は5.34(95%CI:4.48~6.40)で、16~19歳男性の2回目接種後が最も高く13.60だった(9.30~19.20)。 ワクチン完全接種者の2回目接種後30日の、ワクチン非接種者に対する心筋炎発症に関する率比は2.35(95%CI:1.10~5.02)で、16~19歳男性で8.96(4.50~17.83)と最も高く、6,637人中1人の割合で発症していた。

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切り傷の縫合処置(表皮縫合)【漫画でわかる創傷治療のコツ】第7回

第7回 切り傷の縫合処置(表皮縫合)《解説》今回は、仕上げの表皮縫合を説明します。ついにキズモンスターをやっつけるぞ!最後に表皮縫合:目的は段差の修正!真皮縫合が終了した時点で創縁は寄っているため、表皮縫合では少しズレている創縁を揃えるように行います。きつく結紮する必要はありません。針糸は角針、非吸収性のモノフィラメント糸を使うことが多いです。太さは真皮縫合と同じか少し細くてもよいです。真皮縫合と同様に、針は皮膚に直角に刺入しますが、その際しっかり皮膚を外反させる必要があります。持針器を持つ手もクイッとしっかり返しましょう!ここまで説明したのは、一般的によく使われる「単純縫合」についてです。縫合の方法にはほかにも種類があり、緊張のかかり方や角質の厚さ等で選択します。水平マットレス縫合:手掌部など硬い皮膚の縫合に使用垂直マットレス縫合:創縁を確実に合わせたい場合に使用また、3つの創縁を寄せるときに使う「三点縫合法」という方法もあります。知っていると便利です!さて、縫合についての基本は確認できましたか。正しい道具と針糸、少しのコツを知るだけで、キズモンスターの発生をかなりの確率で防ぐことができます! 一緒に頑張りましょう!!参考1)波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書I 形成外科の基本手技1. 克誠堂出版;2016.2)菅又 章 編. PEPARS(ペパーズ)123 実践!よくわかる縫合の基本講座<増大号>. 全日本病院出版会;2017.3)上田 晃一 編. PEPARS(ペパーズ)88 コツがわかる!形成外科の基本手技―後期臨床研修医・外科系医師のために―. 全日本病院出版会;2014.4)日本形成外科学会, 日本創傷外科学会, 日本頭蓋顎顔面外科学会編. 形成外科診療ガイドライン2 急性創傷/瘢痕ケロイド. 金原出版;2015.

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 1

今回のキーワードアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)生殖カウンセリングテリング(真実告知)特別養子縁組精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利選択的シングルマザー前回(その2)では、映画「キッズ・オールライト」を通して、精子提供によって生まれた子どもにその事実やそのドナーを知る権利(出自を知る権利)がなかなか認められない原因を突き止め、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにしました。さらに、出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題も考えました。今回(その3)では、それらを踏まえて、その子どもは、そして国はどうすればいいのかを考えます。そこからさらに、「精子ドナーファーザー」という生き方について考えてみましょう。精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいの?まず、「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいのでしょうか? ここから、その取り組みを大きく3つ挙げてみましょう。(1)仲間を作る-自助グループ1つ目の取り組みは、仲間を作る、つまり自助グループです。自分と同じ境遇の人とつながることで、心理的なサポートが得られます。実際に、日本でも精子バンクから生まれた当事者の団体があります。海外では、このような自助グループを介してドナー兄弟(同じ精子ドナーから生まれた兄弟姉妹)が見つかるケースもあります。(2)社会に発信する-コミットメント2つ目の取り組みは、社会に発信する、つまりコミットメントです。自分たちの苦しみや葛藤を世の中に伝えていくことで、出自を知る権利の保障を主張し続けることです。そして、より良い世の中にしたいという使命感を持つことです。そうすることで、自分のことをどこまで知るかは、自分が決めること、親によって隠されるべきではないという考え方が浸透していくでしょう。(3)それでも幸せになれることに気づく-アクセプタンス3つ目の取り組みは、それでも幸せになれることに気づく、つまりアクセプタンスです。確かに、親が精子提供の事実をきちんと教えてくれて、自分の生みの父親(精子ドナー)が分かり、彼が自分を受け止めてくれれば、すばらしいです。しかし、そうでなかったとしても、不幸だと決め付けることはないです。その1でも触れた責任転嫁(認知的不協和)に陥ることもないです。それでも、辛さは辛さとして受け止めつつ、人生を前に進めていくことができることに気づけます。自分自身の生殖の物語を作ることができます。私たちは、苦しいことがあった時、その苦しさの存在自体に苦しく思う、つまり苦しみに苦しむという新たな「苦しみ」を生み出している場合があります。苦しみは苦しみとして気づき、人生の責任転嫁に気づくことで、自分の気持ちに距離を置いて、さらに「苦しみ」を生み出さないというアクセプタンスをすることができます。そのためにも、コミットメントに目を向けることができます。なお、コミットメントとアクセプタンスの詳細については、関連記事1をご覧ください。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 2

国はどうすればいいの?「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもの取り組みを考えました。それでは、国はどうすればいいのでしょうか?ここから、出自を知る権利を保障するために、さらに必要な生殖補助医療法への具体的な法整備を大きく3つ挙げてみましょう。(1)精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付ける1つ目の法整備は、精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付けることです。この目的は、真実告知についての親の理解を得ることです。具体的には、生殖心理カウンセラーによる2段階のカウンセリングが望ましいです。1段階目は、精子提供を受ける前に、精子提供によって生まれた子どもの心理と精子を提供された親の心理を一緒に説明します。そして、最終的な判断は親に委ねるものの、真実告知を推奨することです。2段階目は、精子提供によって妊娠が判明した後に、真実告知のタイミングややり方の情報提供をすることです。たとえば、そのタイミングは、親子の情(愛着)と理解力(知能)が育まれる最中の幼児期よりも後で、親への反抗が始まる思春期よりも前、つまり小学校低学年の学童期が望ましいでしょう。もちろん、もともと父親がいない場合は、幼児期に子どもから質問されるでしょう。その時は、子どもが理解できる言葉で安心感を優先して、ある程度伝える必要があります。また、そのやり方は、最近ではテリングという、より軟らかいニュアンスで、本などで紹介されています。こうして、心の準備が促されます。オプションの3段階目として、実際にテリング(真実告知)をする前に、カウンセリングの中で指導を受けることもできます。この取り組みは、生殖が多様化したことで求められる新たな倫理観を学ぶことであり、生殖への拡大した権利に伴う新たな義務とも言えます。大事なことは、分からなくて不安だから隠すのではなく、オープンにできるように情報提供や心理的サポートの体制を作ることです。積極的に真実を伝えてこそ、親子の本当の信頼関係が得られます。精子提供の事実を伝えたからと言って、信頼関係が揺らぐことはまずないです。実際に、精子提供によって生まれた子どもへのアンケート調査では、真実を教えてくれないほうが良かったという子どもはほとんどいないことが分かっています。なお、子どもにとっての親子の信頼関係の詳細については、関連記事2をご覧ください。なお、この取り組みは、出生前診断における遺伝カウンセリングに似ています。(2)精子提供の事実を戸籍に記載する2つ目の法整備は、精子提供の事実を戸籍に記載することです。この目的は、出自を知る権利を確実に保障することです。いくら真実告知の必要性について親に心理教育をしたとしても、親が実行しない可能性もあります。しかし、戸籍に記載されていれば、いずればれることが明らかであるため、親による告知は必然的に促されるでしょう。また、この法整備は、法的な親子関係を明確にして、精子ドナーが法的な親になれないよう規制することでもあります。この目的は、先ほど指摘しました認知請求のトラブルの懸念を払拭することで、精子提供の法的な安全性がより社会に認知され、より多くの精子ドナーを確保することです。実際に、この映画の舞台となっているアメリカでは、統一親子関係法によって、この規制がすでにあります。なお、特別養子縁組では、これが成立した時点で、子どもと生みの父母との法的な親子関係は終了し、その審判が戸籍に記載されます。(3)精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認める3つ目の法整備は、精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認めることです。これは、子どもが成人したら、子どももドナーもお互いに知ることができるシステムです。この目的は、出自を知る権利をより確実に保障することです。親が真実告知をしないと子どもがわざわざ戸籍を見ない可能性もあります。この規定があることで、子どもが成人した時点で、精子バンクを通して、精子ドナーから子どもに連絡が来る可能性があるため、親はその前に真実告知をすることが必然的に迫られます。告知を法的に強制しないとしたら、最後に親のウソがばれるというこのシステムは、とても理に適っていると言えるでしょう。もちろん、ドナーはこの権利を行使しない可能性もあります。それは、ドナーの自由です。ただ、やはり子どもの出自を知る権利を最優先に考えた場合、ドナーから連絡することも推奨されるべきでしょう。実際に、オーストラリアのヴィクトリア州では、精子提供で生まれた子どもは、その事実が出生登録に記載される上に、ドナーも成人した子どもの同意のもと、子どもの個人情報を得ることができます。この取り組みは、出自を知る権利の保障において、最も先進的であると世界的に注目されています。また、このもう1つの目的は、近親婚を防ぐことです。精子提供で生まれた子ども全員の精子ドナーが特定されていれば、ドナー兄弟が確実に判明します。それは、裏を返せば、近親婚を防ぐことになります。さらに、ほかの目的として、新たなドナー確保につながる可能性があります。匿名希望のドナーは、多くが若い学生でした。やはり「楽して儲かる」という金銭目的や献血レベルの気軽さが見透かされます。一方、非匿名のドナー(オープンドナー)は、ある程度の年齢を経た社会人であることが分かっています。もちろん相応の報酬は必要ですが、その後に生物学的な子どもへのフォローの意識が高いでしょう。ドナーの知る権利として、自分の精子がどう使われ、実際に生物学的な子どもが生まれたかどうか、何人生まれたかを知ることができるシステムにしたら、心の準備ができるため、新たな自覚や目的意識を持ったドナーが集まっていく可能性があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 3

「精子ドナーファーザー」という生き方とは?ポールは、ジュールスたちと一緒になるため、恋人として良い関係を築いていたタニアにあっさり別れを告げます。しかし、突然すぎたため、怒った彼女から暴言を吐かれます。その後に、謝罪を口実に、彼は不倫相手のジュールスがいる4人の家に押しかけていきます。しかし、出迎えたジョニから「良い人だと思ってたのに」とがっかりして告げられます。そして、ニックに「あなたは侵入者よ。家族を作りたいなら自分で作って」と言われ、追い返されるのです。このポールの一連の行動から、実は彼の自由気ままさは、彼の無責任さであることに気づかされます。彼は、独身生活が長い分、裏を返せば結婚生活や家庭生活を送ってこなかった分、相手の気持ちに思いを馳せたり、相手とつながるほかの人に配慮したり、時に子どもに厳しい指摘をする責任感が乏しいのでした。これは、最後に、ジュールスがニックたちの前で「結婚生活は、終わりのないマラソンよ。でも私は努力したい(責任を持ちたい)」と説く謝罪の演説とは対照的です。映画の途中までは、ポールが良い人キャラで、ニックとジュールスが悪役のように描かれていました。しかし、最後の最後で、ポールの薄っぺらさが露呈し、一方でニックとジュールスはお互いに欠点がありながらも一生懸命に支え合って生きていこうとしていることに気づかされます。人間関係における責任感という物差しによって、善悪が逆転してしまうのです。ポールのように、もともと結婚生活や家庭生活に向いていない男性はいます。また、結婚生活や家庭生活を望まない男性もいます。そして増えています。いわゆる非婚の心理です。その詳細については、関連記事3をご覧ください。ただし、結婚したくないし子育てもしたくないけれど自分の子どもだけは欲しいという男性はいます。つまり、自分の遺伝子を残したいという思いです。これは、その1でもご紹介した生殖心理です。そんな男性は、優秀な精子を持っていれば、精子ドナーとして打って付けでしょう。そして、先ほどにも触れましたが、だからこそ、そんな男性がドナーとして生物学的な子どもを知る権利を得ることができれば、ドナーが増えていく可能性があります。非婚の男性が増えていることから、ドナーの知る権利を認めることは、ドナー確保のウルトラCの解決策になる可能性があります。彼らは、結婚しないで子育てもしないけれど自分の子どもを持つ生き方をすることになります。名付けるなら「精子ドナーファーザ」です。一方で、結婚したくないけれど子育てはしたいという女性がいます。実際に、結婚しないことを最初から自ら選んで子どもを持つ女性は、選択的シングルマザーと呼ばれ、海外では増えています。精子バンクを利用する選択的シングルマザーと、精子バンクに精子を提供する「精子ドナーファーザー」は、実はそれぞれのニーズがきれいに一致します。これは、男女の協力関係においての社会構造が「しなければならないかどうか」から「したいかどうか」へシフトしつつあるからとも言えます。なお、選択的シングルマザーの心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。「キッズ・オールライト」とは?不倫騒動からしばらく経っても、ニックとジュールスは、ぎすぎすしていました。ラストシーンで、とうとうジョニが大学の寮に引っ越したあと、その帰り道の車の中で、レイザーはニックとジュールスに、ぼそっと「別れちゃだめだよ。だって、二人とも年取りすぎてるから」と言うのです。あまりにも率直な意見で、見ている私たちも、ついクスっと笑ってしまいます。空気が一変して、ニックとジュールスは久々に手をつなぐのでした。この映画のタイトルは「キッズ・オールライト」でした。精子提供で生まれた子どもたちでしたが、それでも「子どもたちは大丈夫」という意味でしょう。同時に、それはそんな子どもたちによって「ペアレンツ・オールライト(親たちは大丈夫)」になることであるとも言えるでしょう。この映画を通して、私たちも「キッズ・オールライト」と言えることを一番に考えた時、より良い生殖補助医療法を、そしてより良い社会を作ることができるのではないでしょうか?1)生殖医療はヒトを幸せにするのか:小林亜津子、光文社新書、20142)精子提供:歌代幸子、新潮社、20123)ルポ生殖ビジネス:日比野由利、朝日新聞出版、20154)生殖医療の衝撃:石原理、講談社現代新書、20165)生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利:才村眞理:福村出版、20086)「子どもの出自を知る権利」について 生殖補助医療法と法:小泉良幸、J-STAGE、20107)「精子売買はグレーマーケットだった」“不妊治療大国”で元証券会社社員が精子バンク日本語窓口を立ち上げたワケ:こみねあつこ、文春オンライン、20218)生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の成立について:法務省<< 前のページへ■関連記事テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】そして父になる(その1)【もしも自分の子じゃなかったら!?(親子観)】私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】

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シロリムス、小児の血管奇形に有効か?

 小児の低流速血管奇形(slow-flow vascular malformation)に対しシロリムスは有効なのか。シロリムスは、その有効性のエビデンスが不足しているにもかかわらず、さまざまな血管奇形の治療に用いられるようになっている。フランス・トゥール大学のAnnabel Maruani氏らは、観察フェーズの無作為化試験「PERFORMUS試験」によって、6歳以上の子供にシロリムス療法を開始する際の患児および家族の目標を明確にすることができたと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。シロリムスは小児の複合奇形で疼痛、ウージング、出血を有意に低減 PERFORMUS試験は、低流速血管奇形児に対するシロリムスの有効性と安全性を評価し、治療の適応症をより明確に描出することを目的とし、多施設非盲検にて行われた。 対象は、低流速血管奇形を有する6~18歳の患児で、2015年9月28日~2018年3月22日にフランスの3次医療センター11施設で59例が集められた。 被験者は、観察期間を経た後、介入期間に切り替えられ、経口シロリムス(血清目標値4~12ng/mL)の投与を受けた。介入期間の切り替え時期は、4ヵ月時から8ヵ月までに無作為に割り付けられた。各患者の全試験期間は12ヵ月間とした。 2019年12月4日~2020年11月10日にintent-to-treatベースで統計解析を実施。主要アウトカムは、単位時間当たり(すなわち、介入期間と観察期間の間)のMRIで検出された血管奇形容量の変化で、副次アウトカムは、主観的評価項目(疼痛、出血、ウージング、QOLなど)および安全性であった。 シロリムスの小児の低流速血管奇形に対する有効性と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・被験者(女児35例[59.3%]、平均年齢11.6[SD 3.8]歳)において、22例(37.3%)がpure静脈奇形、18例(30.5%)が嚢胞性リンパ管腫、19例(32.2%)が複合奇形であった(症候群型を含む)。・MRIで検出された期間と関連する血管奇形容量のばらつきには、全体的に有意差は認められなかった。介入期間と観察期間の差は、すべての血管奇形については平均-0.001(SD 0.007)、静脈奇形は0.001(0.004)、複合奇形は0.001(0.009)であった。・一方でpure静脈奇形について、小児における有意な容量減少が観察された(平均群間差:-0.005[SD 0.005])。・全体に、シロリムスは、とくに複合奇形における疼痛、および、出血、ウージング、自己評価の有効性、QOLにポジティブな影響があった。・シロリムス治療期間中、56例の患者が231件の有害事象を経験した(5件が重篤有害事象、命に関わる有害事象は0件)。最も頻度の高い有害事象は、口腔潰瘍(患者29例[49.2%])であった。・リンパ管腫、ウージング、出血が減少しQOLは向上したというエビデンスから、pure静脈奇形がシロリムス治療の最適症例であることが示唆された。・複合奇形では、シロリムスは疼痛、ウージング、出血を有意に減少させた。・症状に基づいた場合は、その他2つのサブグループよりもpure静脈奇形のほうが、ベネフィットは低いようだった。

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税理士の先生の紹介だから安心…、それホント?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第27回

税理士の先生の紹介だから安心…、それホント?漫画・イラスト:かたぎりもとこ診療所の売買に仲介業者を利用する意味はこの連載で何度もお伝えしてきましたが、気になるのは仲介手数料ではないでしょうか。ズバリ、医業承継の仲介手数料の相場は譲渡価格×10% ※最低報酬500~550万円程度です。また、着手金は掛からないことが一般的です。一方、一般の事業会社の承継案件の場合、仲介手数料の相場は大きく異なり「最低報酬2,000万円程度」とする仲介業者が多くなります。そして、一般の事業会社の承継をメインに事業を行っている仲介業者の場合、医業承継においても事業会社の基準に合わせて「最低報酬1,000~2,000万円」と設定するケースが大半です。またこのような仲介業者の場合、着手金を50万円程度で設定することも多いようです。経済合理性を考えれば、同じ働きをする仲介業者ならば、仲介手数料は安価なほうがよいに決まっています。それなのに、倍以上する手数料が必要となる仲介業者に依頼する医師がいるのはなぜでしょうか?ケアネットが行ったアンケート調査によると、全体の4割の開業医が「医業承継を検討する際に、まず税理士に相談した」という結果が出ています。売り手の開業医からすれば、長年の付き合いのある税理士が紹介する会社であれば大丈夫、という心理が働き、他社と比較検討することなくそのまま依頼してしまう、という構造があるようです。下記のコラムでは、仲介業者を選ぶ際のポイントを解説しています。知っておきたい!医業承継コンサルティング会社を選定時のポイント今回は税理士からの紹介でしたが、ほかにも開業医と関連する薬剤卸の事業者などが仲介業者と連携しており、承継が成約したらマージンが支払われる、という契約をしているケースもあります。このような構造も知ったうえで、仲介業者は自らの目で選定されることをお勧めします。

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切り傷の縫合処置(皮下縫合・真皮縫合)【漫画でわかる創傷治療のコツ】第6回

第6回 切り傷の縫合処置(皮下縫合・真皮縫合)《解説》さて、道具も準備できたことですし、いよいよ縫合処置に入りましょう。まずは皮下縫合:目的は死腔をなくすこと!皮下縫合では、真皮縫合より太い糸(3-0か4-0)、大きな針を選ぶことが多いです。脂肪組織は脆弱で組織を大きくつかまないとすぐに裂けてしまうため、3−5号の針(できれば丸針)、持針器もマチュー型のようにしっかり把持できるものがいいです。糸について、皮下縫合では吸収糸を主に使いますが、感染リスクが低いのはモノフィラメント糸、組織の緊張が強い場合に緩まず縫合しやすいのはマルチフィラメント糸です。しかし実際のところ、外来での縫合処置のために道具をたくさん用意することは難しく、真皮縫合と皮下縫合で同じ縫合糸や針を使うことが多いです(よって、へガール型持針器とモノフィラメント縫合糸がよく使われます)。ポイントとしては、組織が裂けやすいので適切な力加減で縫合すること。きつく結び過ぎると血行障害を起こし、脂肪壊死から融解が起こってしまいます。死腔がなくなる程度の結紮に留め、死腔の残存が懸念される場合はドレナージ吸引装置(通称:サクションドレーン)などの使用を検討しましょう。※吸引圧で死腔がなくなるため、皮下縫合の必要もなくなり有用ですが、通院での処置が困難次に真皮縫合:目的は減張!真皮縫合では、通常吸収性のモノフィラメント合成糸や非吸収性のナイロン糸が使われます。術後6週間がコラーゲン形成のピークであり、この時点までしっかり抗張力(糸の張力)が保たれていることが大切です。吸収糸は時間の経過とともに抗張力が減少していきますし、表皮縫合の抜糸後にも緊張がかかり傷の幅が徐々に開くので、傷の程度に応じて糸の種類を選択しましょう。また、真皮の浅い部分に糸をかけると後で露出してくることもあるので注意が必要です。真皮は組織が強固で硬いので、針は角針を用いることが多いです。一般的には針付き縫合糸(針と糸がくっ付いているもの)を使用します。外来の縫合では、針と糸が別々の弾機針などはほぼ使いません。また、意外に教わる機会がありませんが、糸の太さは体幹・四肢では5−0、顔面では5−0から6−0が目安です。針も小さいので、持針器はへガール型や丹下式を用います。鑷子も小さめのもの(アドソンなど)や、外反しやすいスキンフックが使いやすいです。針を刺す前に皮膚を外反させるのは重要ですが、その際に皮膚をガッチリつかまないようにしましょう。参考1)波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書I 形成外科の基本手技1. 克誠堂出版;2016.2)菅又 章 編. PEPARS(ペパーズ)123 実践!よくわかる縫合の基本講座<増大号>. 全日本病院出版会;2017.3)上田 晃一 編. PEPARS(ペパーズ)88 コツがわかる!形成外科の基本手技―後期臨床研修医・外科系医師のために―. 全日本病院出版会;2014.4)日本形成外科学会, 日本創傷外科学会, 日本頭蓋顎顔面外科学会編. 形成外科診療ガイドライン2 急性創傷/瘢痕ケロイド. 金原出版;2015.

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ヒブ(Hib)ワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第10回

今回は、ワクチンで予防できる疾患、VPD(vaccine preventable disease)としてヒブを取り上げる。ヒブ(Hib)は、“Haemophilus influenzae type b”(インフルエンザ菌b型)の頭文字をとった呼称で、髄膜炎などにより多くの子供たちの命を奪ってきた病原体の1つである。しかし、2008年にワクチンが国内に導入されてからHib感染症の報告数は激減し、2014年以降、5歳未満のHib侵襲性感染症は報告されていない。あまりに目覚ましい発症予防効果のため、Hib感染症そのものが忘れ去られつつある今、本稿では改めてこの疾患の特徴と疫学、成人におけるワクチンの活用について取り上げる。ヒブワクチンで予防できる疾患Hibは気道を介して感染する(飛沫感染と接触感染)。乳幼児の上気道に定着し、ほとんどの場合は無症状である。ワクチンが導入される前の保菌率は、15歳以下の17%、16~30歳の5.1%であった。しかし、気道から血流感染を起こすと、図に示すように髄膜炎、肺炎、敗血症、喉頭蓋炎、中耳炎などさまざまな臓器に侵襲性感染症を起こす。なかでもHib髄膜炎の致死率は5%と高く、4人に1人にてんかん、難聴、発育障害などの後遺症を残す1)。1996~1998年の調査ではHib髄膜炎は年間約600人で、罹患リスクの高い生後2ヵ月~5歳までの間に2,000人に1人の割合で罹患していると推測されていた。インフルエンザ菌による侵襲性感染症は感染症法において、第5類感染症全数届出疾患となっている2)。図 ワクチン導入前のHib感染症の病型画像を拡大する細菌学的にみるとHibはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の1つで、インフルエンザ菌はa~f型の6つの莢膜菌型と、これらに該当しない型別不能の菌(Non-typable H. influenzae:NTHi)に分かれる。感染防御にあたって最も重要な宿主因子は莢膜多糖体(PRP/polyribosylribitol phosphate)に対する抗体である。通常は5歳以上になるとワクチン未接種であっても抗PRP抗体価が自然に上昇するため、感染リスクが低くなる。逆に乳児は感染リスクが高く、実際にワクチン導入前の侵襲性感染症の93%が5歳未満で、ピークは生後8ヵ月であった。このことから、生後早期に免疫を獲得しておくことが重要であるとわかる。ワクチンの概要表 ワクチンの概要と接種スケジュール画像を拡大する1)開発、普及の歴史ヒブワクチンは1980年代に開発が進んだ。はじめに開発されたのは莢膜多糖体(PRP)を抗原としたワクチンで、18ヵ月以上の小児を対象として導入されたが、効果は限定的で、また最も侵襲性感染症のリスクが高い2歳未満の小児への免疫原性が弱かった。その後、2歳未満の小児への免疫原性が改善された、PRPにキャリア蛋白を結合させた結合型ワクチン(conjugate vaccine)が開発され、現在わが国ではこのワクチンが採用されている。2006年、WHOが乳児期のワクチンとして推奨し、日本では2008年12月に販売開始となった。2010年11月には「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」により多くの自治体で公費助成の対象となり、さらに2013年4月からは定期接種(A型疾病)が開始された。2)効果発症予防効果は90%以上と高い。米国ではワクチン導入5年で、5歳未満の侵襲性感染症の罹患率が99%減少したと報告されている。日本でも1道9県における疫学調査により、公費助成後のHib髄膜炎の減少率は100%と示されている3,4)。3)副反応ワクチン接種による一般的な副反応のみで、特異的な副反応は報告されていない。複数回の接種により、副反応の発現率が上昇することはない。4)注意点ヒブワクチンによるアナフィラキシーを起こしたことがある場合には禁忌である。日常診療で役立つ接種ポイント【5歳以上のワクチンについて】無脾症、待機的脾摘手術予定者、脾機能低下症、造血幹細胞移植者において、ヒブワクチンの接種が推奨される。前述の通り通常5歳以上では、ワクチン未接種であっても抗RPR抗体が上昇するため、ワクチン接種が不要である。しかしながら、上記のハイリスク群では、ワクチンによって十分な抗体価を維持する必要がある。米国の予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)では、ヒブワクチン未接種の無脾症、待機的脾摘手術予定者では1回接種(脾摘術の場合は、術前14日前に接種)、造血幹細胞移植者ではヒブワクチン接種歴に関わらず移植後6~12ヵ月からの3回接種を推奨している。今度の課題、展望ヒブワクチンは、侵襲性Hib感染症の発症予防効果が非常に高く、Hib髄膜炎は今や過去の病気になりつつある。しかしながら臨床で遭遇することが減ったのは、高いワクチン接種率の恩恵であることを忘れてはならない。今後も肺炎球菌ワクチンと共に、ヒブワクチンの重要性を伝え、乳児期および高リスク者への接種を推奨してもらいたい。Hib感染症の減少とともに、非b型のインフルエンザ菌および無莢膜型(non-typable H. infuenzae:NTHi)による侵襲性感染症の増加が報告されている。2019年度感染症流行予測調査では、検討された58株のうち、3株がe型、4株がf型、その他の51株はNTHi であった。臨床診断名では26名が肺炎で最も多く(45%)、NTHiによる高齢者の肺炎が課題となっている。現在NTHiに対する複数のワクチン開発が進んでおり、今後の実用化が期待される。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト日本ワクチン産業協会 予防接種に関するQ&A集2020.インフルエンザ菌b型(Hib)感染(pdf)1)Plotkin SA, et al(eds). Plotkin's Vaccines (Seventh Edition).Elsevier.2018.2)国立感染症研究所. 令和元年度(2019年度)感染症流行予測調査報告書.(最終アクセス2021.7.15)3)厚生労働科学研究費補助金. 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業 Hib、肺炎球菌、HPV及びロタウイルスワクチンの各ワクチンの有効性、安全性並びにその投与方法に関する基礎的・臨床的研究 平成26年度 総括・分担研究報告書 庵原俊昭、「小児細菌性髄膜炎および侵襲性感染症調査」に関する研究(全国調査結果)(厚生労働科学研究成果データベース閲覧システム)4)菅秀. ワクチンの実地使用下における有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的 ・ 臨床的研究 平成28年度 委託研究開 発成果報告書(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)(最終アクセス2021.7.27)5)CDC. MMWR. 2014;63:1-14.講師紹介

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キッズ・オールライト(その2)【そのツケは誰が払うの? その「不都合な真実」とは?(生殖ビジネス)】Part 1

今回のキーワード出自を知る権利(子どもの権利条約7条)人格的自律権(憲法13条)子どもへの支配ドナー確保認知の請求遺産相続のトラブル前回(その1)では、映画「キッズ・オールライト」を通して、精子提供によって生まれた子どもの心理、精子を提供された親の心理、さらには精子ドナーの心理を掘り下げました。今回(その2)では、彼らのぞれぞれの心理から、その子どもにその事実やそのドナーを知る権利(出自を知る権利)がなかなか認められない原因を突き止めます。そして、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにします。さらに、出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題も考えてみましょう。なんで精子提供によって生まれた子どもに出自を知る権利がなかなか認められないの?すでにその1でもご説明しましましたが、精子提供によって生まれた子どもの心理は、真実をきちんと教えてほしい(信頼関係)、自分のもう半分のルーツを知りたい(アイデンティティ)、生みの親にも自分の存在を認めてほしい(自尊心)という3つの思いです。つまり、子どもが精子を提供された事実やそのドナーを知る権利は、出自を知る権利(子どもの権利条約7条)として、そして人格的自律権(憲法13条)として極めて重要なことであることが分かります。実際に、海外の多くの先進国でこの権利が認められています。にもかかわらず、日本では、この出自を知る権利がなかなか認められません。それは、なぜでしょうか? ここから、精子を提供された親と精子バンクの2つの立場に分けて、その原因を突き止めます。そして、その「不都合な真実」を明らかにしてみましょう。(1)精子を提供された親が反対する-子どもへの支配すでにその1でもご説明しましましたが、精子を提供された親の心理は、精子提供はなかったことにしたい(保守的な認知)、その事実を伝えたとしても精子ドナーを知らないでほしい(親アイデンティティ)、精子ドナーを知ったとしても関わって欲しくない(子育ての私物化)という3つの思いです。実際に、日本での彼らへの調査(2001)において、そもそも真実告知をしないと答えた人は夫と妻ともに80%以上でした。1つ目の原因は、精子を提供された親が反対するからです。親の心理は、出自を知りたいと思う子どもの心理に真っ向から対立しています。よって、出自を知る権利が法的に明文化されずにうやむやになっている限り、とりあえず親は真実告知の責務から解放されます。しかし、それはあくまで親のエゴイスティックな視点です。子どもの視点に立った時、まったく違って見えてきます。それは、子どもは親のペットではないということです。出自を知りたいという子どもの気持ち(人権)をないがしろにする親は、やはり子どもを支配していると言えます。そして、そんな親が日本ではいまだに多いということです。(2)精子バンクが反対する-ドナーの確保すでにその1でもご紹介しましましたが、精子ドナーの心理は、楽して儲かる(外発的動機づけ)、人の役に立てる(利他性)、自分の遺伝子を残せる(生殖心理)という3つの思いです。しかし、現在は、日本産婦人科学会が「プライバシー保護のため精子ドナーは匿名とする」としつつも、「ただし精子ドナーの記録を保存するものとする」との見解を出したことで、専門の医療機関の精子バンクでドナーが激減し、ほとんどで精子提供が休止の状態になっています。この見解は、精子ドナーが将来的に自分の生物学的な子どもによって身元を辿られる可能性をほのめかしており、ドナーたちは、人の役に立てて自分の遺伝子を残せるとしても、まったく「楽」なわけではなくなったからです。その代わりに、SNSを介して、精子の譲り渡しを匿名で行う自称「精子バンク」のボランティアが増えており、危うい状況になっています。2つ目の原因は、精子バンクが反対するからです。精子バンクとしては、ドナーの確保は切実です。出自を知る権利が法的に明文化されずにうやむやになっている限り、とりあえず民間の精子バンクは匿名を条件にドナーを確保することができます。また、そのほうが「闇取引」をする事態になるよりまだマシである(被害を減らせる)という理屈(ハームリダクション)に後押しされている面もあるでしょう。実際に、海外の精子バンクでは、匿名のドナーと非匿名のドナー(オープンドナー)を選べるようになっています。日本でも、2021年5月に国内初の民間の精子バンクの運営が始まりましたが、同じ方式をとっています。映画の中の精子バンクも、ポールに「当バンクはドナーの同意なしに身元について明かすことはありません」「あなたの精子で生まれた女性が連絡を取りたいと言っていますが」と伝えています。つまり、最初にポールに同意を得る形をとっています。逆に言えば、ポールが同意しなかったら、ジョニとレイザーは出自を知る権利が得られなかったことになります。つまり、子どもの出自を知る権利は、親のあえてのオープンドナーの選択と真実告知に委ねられており、必ずしも保障されていないことが分かります。しかし、これはあくまで精子バンクのビジネスとしての視点です。生まれてくる子どもの視点に立った時、まったく違って見えてきます。それは、精子提供は、ただの献血とは違い、新しい人間(人格)が生まれるということです。精子バンクは、ドナー確保を優先するあまり、この点をないがしろにすることで、一大ビジネスになっています。つまり、生殖ビジネスの「不都合な真実」とは、精子を提供される親と精子提供を斡旋する精子バンクの利害がきれいに一致していることです。そして、精子提供によって生まれる子どもが、そのビジネスのツケを払わされていることです。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その2)【そのツケは誰が払うの? その「不都合な真実」とは?(生殖ビジネス)】Part 2

出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題は?出自を知る権利が認められた場合、精子提供から約20年の時を経て、その子どもは精子ドナーを特定できることになります。ということは、親も精子ドナーを知る可能性があります。さらに、精子ドナーがその子どもや親を知る可能性もあります。すると、ある法的な問題が顕在化します。ここから、映画の登場人物を通して、起こりうるトラブルを大きく3つ挙げてみましょう。(1)子どもが精子ドナーに認知を求めるポールは、もともと家庭を持つ気がなく、独身の人生を楽しく送ってきました。精子バンクから連絡があった時も、面倒にはかかわりたくないという思いから、最初は戸惑っていました。ところが、生物学的な子どもであるジョニとレイザーとかかわっていくうちに、ポールは変わっていきます。普通の父親のように、子どもたちの生き方にあれこれ口出しするようになるのです。そして、子どもたちもまんざらでもない様子なのです。1つ目のトラブルは、子どもが精子ドナーに認知を求めることです。これは、精子を提供された親が受け入れないでしょう。日本では、生殖補助法が成立したとは言え、あくまで理念にすぎず、精子ドナーが法的な親になれないとする規制は明文化されていません。さらに、精子ドナーの死後に認知が請求された場合には、精子ドナーから生まれた子どもと遺族の間に遺産相続のトラブルを引き起こす可能性もあるということです。(2)精子ドナーが子どもの認知を求めるポールは、やがてジョニの母親であるニックから「口出ししないで」と言われてしまいます。さらにややこしいことに、ポールはレイザーの母親のジュールスと不倫関係になるのでした。実は、ジュールスはバイセクシャルであり、ニックとは倦怠期を迎えていたからです。やがて、ジュールスはニックに不倫がばれてしまい、2人は離婚の危機を迎えます。そんな中、ポールは、ジュールスに「一緒になろう。俺が子どもたちを引き取るから」と言い出し、勝手に家に押しかけてくるのです。2つ目のトラブルは、精子ドナーが子どもの認知を求めることです。これも、精子を提供された親が受け入れないでしょう。先ほどにも触れた規制が日本にはないため、精子ドナーの気が変わった場合、認知を請求し、親権を求めるトラブルに発展する可能性があるということです。厳密には、親権は、ジョニのように成人した子どもへはないですが、レイザーのように未成年の子どもへはあります。(3)精子を提供された親が精子ドナーに子どもの認知を求める精子を提供されたニックとジュールスは、精子ドナーであるポールと関わりたいとは思ってきませんでした。これは、生まれたジョニとレイザーが健康で優秀であるという前提があります。もしもジョニやレイザーが遺伝疾患を発症したり知的障害が判明したら、どうでしょうか? その治療や養育に多額の費用がかかるとしたら、どうでしょうか? その遺伝的な原因となっている精子ドナーに責任を問いたくならないでしょうか?3つ目のトラブルは、精子を提供された親が精子ドナーに子どもの認知を求めることです。これは、精子ドナーが受け入れないでしょう。なお、精子バンクは、障害の発症については免責事項を設けています。先ほどにも触れた規制が日本にはないため、障害の発症によって多額の治療費や養育費がかかる場合、精子を提供された親の気が変わって、その費用を負担してもらうために、精子ドナーに認知を請求するトラブルに発展する可能性があるということです。<< 前のページへ

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ポンぺ病の新治療薬が製造販売承認を取得/サノフィ

 サノフィ株式会社は、2021年9月27日にポンペ病の効能または効果でアバルグルコシダーゼアルファ(商品名:ネクスビアザイム点滴静注用100mg)が製造販売承認を取得したと発表した。同社では、ポンペ病(糖原病II型)において、乳児型ポンペ病および遅発型ポンペ病の新たな標準治療となる可能性に期待を寄せている。ポンペ病は呼吸や運動機能に影響を及ぼす遺伝性の難病 ポンペ病は、ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の異常によりGAA活性の低下または欠損が原因で生じる疾患で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積する。このグリコーゲンの蓄積が、不可逆的な筋損傷を引き起こし、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響を及ぼすことで運動機能や呼吸機能の低下をもたらす希少疾患。世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定され、乳児期から成人後期のいずれの時期においても発症する可能性がある。ポンぺ病の新治療薬ネクスビアザイムは歩行距離を延長 ポンぺ病の新治療薬となるネクスビアザイムは、筋細胞の中にあるライソゾームにGAAを送り届けてグリコーゲンの分解を促すことで、ポンペ病がもたらす重大な症状である呼吸機能、筋力・身体機能(運動能力など)をアルグルコシダーゼアルファよりも改善させる目的で開発された。ポンペ病で生じるグリコーゲン蓄積を低下させるためには、筋細胞の中にあるライソゾームにGAAを送り届ける必要がある。そのため筋細胞内のライソゾームにGAAを送り届ける効率を高めるための手段として、GAAの輸送に大きな役割を果たすマンノース6リン酸(M6P)受容体を標的とする研究が行われ、ネクスビアザイムが開発された。ネクスビアザイムは、アルグルコシダーゼアルファと比較してM6Pレベルを約15倍増加させた分子として設計され、細胞内への酵素の取り込みを向上、標的組織において高いグリコーゲン除去効果を得る目的で開発された。 今回の承認では、2つの臨床試験で得られた肯定的な結果に基づき行われ、ピボタル第III相二重盲検比較試験である「COMET試験」では、遅発型ポンペ病の患者を対象としてネクスビアザイムの安全性と有効性を標準治療薬であるアルグルコシダーゼアルファと比較した。また、第II相Mini-COMET試験では、アルグルコシダーゼアルファの投与経験のある乳児型ポンペ病患者を対象にネクスビアザイムの安全性を主に評価するとともに、探索的に有効性の評価を行った。 その結果、COMET試験では、ネクスビアザイムが、アルグルコシダーゼアルファに比べ、第49週時点における努力肺活量(%FVC)が2.4ポイント改善し、主要評価項目である非劣性が示された。また、6分間歩行試験では、ネクスビアザイム投与群は、標準治療薬であるアルグルコシダーゼアルファ群に比べ、歩行距離が30m延長した。一方、重篤な副作用については、ネクスビアザイム投与群に高頻度、頭痛、そう痒(かゆみ)、悪心、蕁麻疹と疲労が認められた。 なお、ネクスビアザイムは、日本では2020年11月27日に希少疾病用医薬品に指定され、米国食品医薬品局は2021年8月に承認したほか、英国の医薬品・医療製品規制庁はネクスビアザイムを有望な革新的医薬品に指定している。

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12~17歳でのmRNA-1273ワクチンの安全性と有効性を考える(解説:田中希宇人氏、山口佳寿博氏)

 COVID-19の小児例は成人例に比べ症例数も少なく、ほとんどが無症状や軽症例であることがわかっている。COVID-19の臨床像を小児も含めた年齢層別に検討したイタリアからの報告では入院率、重症例の割合は年齢を重ねるごとに増加し、無症状例や軽症例は年齢とともに減少していた。3,836例の小児例の解析では約40%が無症状であり、ごく軽症や軽症を含めると95%以上という結果であった。ここで報告されている4例の小児死亡例は全例が6歳以下で、心血管系や悪性腫瘍の基礎疾患を併存している症例のみであり、新型コロナウイルスが原因とは考えられていなかった(Bellino S, et al. Pediatrics. 2020;146:e2020009399. )。本邦でも国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの共同研究『COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)』を利用したCOVID-19の小児例が報告されている(Shoji K, et al. J Pediatric Infect Dis Soc. 2021 Sep 6. [Epub ahead of print] )。1,038例の18歳未満のCOVID-19例では約30%が無症状であり、症状を認めた730例のうち酸素投与まで必要となってしまう小児は15例(2.1%)であったとの報告である。 新型コロナワクチンの小児に対する報告はすでにファイザー製mRNAワクチンBNT162b2において安全性や有効性が示されている(Frenck RW Jr, et al. N Engl J Med. 2021;385:239-250. )。この研究では12~15歳の若年者2,260例が試験に参加しており、そのうち1,131例がBNT162b2ワクチンを接種している。副反応は一過性かつ軽度~中等度であり、注射部位の疼痛(79~86%)、疲労感(60~66%)、頭痛(55~65%)の頻度が高かったとの結果であった。またワクチン2回目接種後にCOVID-19を発症した症例はプラセボ群では1,129例中16例で認めたのに対し、BNT162b2ワクチン接種群では1例も認められずワクチン有効率は100%とされ、小児においても新型コロナワクチンの高い効果が示された結果となった。 本論評で取り上げた米国DM Clinical ResearchのAli氏らの論文『Teen COVE試験:Teen Coronavirus Efficacy trial』は2020年12月9日~2021年2月28日における12~17歳の健康な若年者3,732例を対象にモデルナ製新型コロナワクチンmRNA-1273ワクチンの安全性と有効性を確認するために行われた試験の中間解析結果を報告した。結果は12~17歳の若年者においても良好な安全性と18~25歳の若年成人と非劣性の免疫反応を示したとのことであった。 本研究に参加した若年者3,732例はmRNA-1273ワクチン接種群2,489例とプラセボ接種群1,243例に2対1でランダムに割り付けられ、28日間隔で2回接種された。主要評価項目は安全性と18~25歳の若年成人を対象にした臨床試験との免疫反応の非劣性を示すこととされ、副次評価項目としてはCOVID-19の発症予防やコロナウイルスの無症候性感染に対する有効性などが調査された。 まずワクチン接種の安全性としては局所の副反応として注射部位の疼痛が1回目の接種後93.1%、2回目の接種後92.4%、全身性のさまざまな副反応全体としては1回目の接種後68.5%、2回目の接種後86.1%が報告され、なかでも頭痛(1回目44.6%、2回目70.2%)、疲労感(47.9%、67.8%)、筋肉痛(26.9%、44.6%)、悪寒(18.4%、43.0%)が頻度の高い副反応として挙げられた(Ali K, et al. N Engl J Med. 2021 Aug 11. [Epub ahead of print])。ワクチン接種群の局所および全身性の副反応は約4日続き、1週間を越える局所での副反応はワクチン群でより高く、1回目接種後のほうが2回目接種後よりも頻度が高かった。また『COVE試験』(Baden LR, et al. N Engl J Med. 2021;384:403-416. )での18~25歳の若年成人と比較して、局所および全身性の副反応の頻度はほぼ同等の結果であったが、皮膚の紅斑は若年者のほうが高かった。本研究では小児多系統炎症性症候群(MIS-C)や死亡、そして心筋炎や心膜炎など特記すべき有害事象は認められなかった。 ワクチンの効果は若年成人に対する血清中和抗体の幾何平均力価比、応答率の差で評価され、それぞれ1.08(95%信頼区間:0.94~1.24)、0.2%(若年群98.8%、若年成人群98.6%)であり若年成人と同等の免疫原性が示された形となった。 Ali氏らは若年者に対する新型コロナワクチン接種は若年成人と同様の安全性を示し、免疫原性も非劣性であると述べているが、小児は重症化率や死亡者数が少なく正確な有効性を評価することは困難だとしている。小児では重症化率や死亡者数が少なく、無症状や軽症例が多いことは上記の本邦の報告でも同様の結果であり、小児に対するワクチンのメリットは成人者のそれとは異なることを理解する必要がある。また本研究が行われたのは2020年12月~2021年2月であり、現在本邦で問題になっているデルタ株を含めた変異株に対する有効性は評価することができない。 今回論評で取り上げたAli氏らの論文が解析された時点では、心筋炎・心膜炎の副反応は報告されていない。しかしながら英国ではBNT162b2ワクチン100万回接種当たり2.6件の心筋炎、2.0件の心膜炎、mRNA-1273ワクチン100万回接種当たり8.2件の心筋炎や心膜炎の発症が報告されている(厚生労働省「副反応疑い報告の状況について」 2021年7月21日)と発表している。本邦においてもBNT162b2ワクチン100万回接種当たり0.5件の心筋炎・心膜炎、mRNA-1273ワクチン100万回接種当たり0.6件の心筋炎・心膜炎の発症が報告されている。いずれもmRNAワクチン接種との因果関係は現時点では不明とされているが、年齢別にはmRNA-1273ワクチンでは10代の男性が症例は限られているものの100万回接種当たり17.1件と最も頻度が高い結果となっている(第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会「副反応疑い報告の状況について」)。BNT162b2ワクチン接種後の小児で心筋炎を発症した15例のケースシリーズでは、93%が男性、全例で胸痛と血清トロポニン値の上昇を認め、20%で心エコー上の心拍出量の低下を認めたが、死亡例は認められず良好な経過をたどったと報告している(Dionne A, et al. JAMA Cardiol. 2021 Aug 10. [Epub ahead of print] )。 現在2021年9月末で第5波は収束しつつある状況にあるが、学校における児童を発端としたクラス内感染や児童間での感染伝播の報告が散見された。またデルタ株流行下においては小児から家庭内に感染が広がるケースも認められた。ワクチンに対する感染予防効果や発症予防効果を考えれば、小児で影響の強いCOVID-19パンデミック下でのストレスや学校閉鎖などを防ぐために重要と捉えることができる。ただし成人のCOVID-19と比べると圧倒的に無症状や軽症例の多い小児において、きわめてまれなワクチン接種後の副反応であったとしても慎重に対応せざるを得ないと考える。

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