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第29回 患者を帰す前の一工夫:病状や処方の説明を十分しよう【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)病状説明は、患者さんが陥りがちな点を踏まえた上で、具体的に、わかりやすく行おう!【症例】71歳男性。高血圧以外の特記既往なく、ADLは自立している。来院前日から喉の痛みを自覚した。来院当日起床時から倦怠感、発熱を認めた。別棟に住む孫が2日前に近医小児科で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性診断を受けており、濃厚接触はしていないものの心配になり受診。●受診時のバイタルサイン意識清明血圧148/91mmHg脈拍90回/分(整)呼吸20回/分SpO297%(RA)体温38.1℃所見全身状態は良好で、流行状況も考慮しCOVID-19迅速抗原検査を施行したところ陽性。飲食も可能であり、解熱薬のみの処方で帰宅の判断となった。〔初診外来での会話〕医師「コロナ陽性だったので、薬を出しておきますので、それで対応してください。保健所から連絡があると思うので、あとはその指示に従ってくださいね。お大事に」患者「あ、はい…」翌日、喉の痛みは改善傾向にあるものの、発熱が持続しているため再度受診したが…。COVID-19禍での外来診療みなさん、体調を崩してはいないでしょうか? 私が勤務する救急外来にも連日多くの患者さんが来院し、「コロナ疑いの患者さんもたぁくさん」という、そんな毎日です。なるべくなら自宅で経過をみることが可能な方への受診は控えてもらいたいと思いながらも、その判断って私たちが思っているほど簡単ではありません。まして子を持つ親であれば、子どもの体調には自分以上に心配になりますし、家族内感染の場合には自宅内隔離を実践しようとするも現実は難しく、日毎に症状を認める家族の対応に悩むことが多いでしょう。日本感染症学会、日本救急医学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本臨床救急医学会の4学会から「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」が8月2日に提出され、国民一人一人がこの内容を理解することも大切ですが、受診した患者さんに対しても意識させる必要があります1)。再受診患者を防ぐことはできないか救急外来で帰宅可能と判断した患者さんが数日内に再度受診することは、避けたいところですが珍しくありません。現在、ベッド事情が厳しい病院も多いことから、本来入院で経過をみることが望ましい患者さんを外来でフォローすることも増えているかもしれません。このようなケースは致し方ない部分もあるとは思いますが、なかには再度受診したものの、帰宅可能の判断となる患者さんもいます。その多くがちょっとしたことで防ぐことができるものであり、今回の事例ではその辺りを取り上げたいと思います。ちなみに、状態の悪化によって数日内に救急外来を再受診する患者さんは、そうでない患者さんと比較し、初診時に呼吸数が上昇していることが多く、呼吸数は臨床的悪化の独立した危険因子です2)。帰宅可能と最終判断する前に、呼吸数に着目することをお勧めします。バイタルサインは普段の状況で評価を最近は、呼吸困難を主訴に来院する患者さんが多いように感じます。その際、安静時のバイタルサインのみで帰宅の判断をしていないでしょうか。以前にもこの点は取り上げましたが(第12回 呼吸困難)、バイタルサインは「普段の状況」でも確認することを忘れないようにしましょう。普段歩行可能な方であれば、歩行してもらい、それでも症状の再燃が認められないかを確認しましょう。安静時、SpO2が問題ないから帰宅可能、それではダメですよ。歩いてもらったら、呼吸困難の訴えあり、呼吸数上昇、SpO2低下、そんな場合には再度精査が必要かもしれませんし、入院が必要かもしれませんから。帰宅の判断、その前に高齢者が多い救急外来では、特に表の内容を意識しましょう3)。肺炎や圧迫骨折、診断が正しく安静時に状態は落ち着いていたとしても、自宅では管理が難しいことはいくらでもあります。病気の重症度のみで帰宅or入院の判断ができないことを忘れてはいけません。表 帰宅の判断、その前に-高齢者がERから帰る前に必ず確認すべき8つのこと-画像を拡大するまた、救急外来で診断、治療介入し、その後の治療、経過観察をかかりつけの病院や診療所でフォローしていただくことも少なくありません。その場合も、このように対応する理由を患者さん、家族に理解してもらい、治療方針(ケアプラン)をかかりつけ医と共有する必要があります。紹介状は必須とは思いませんが、患者さんや家族が伝えることが難しい状態であれば、一筆でも簡潔に記載し、その助けとしてもらうのが望ましいでしょう。これを面倒くさいなどと思ってはいけません。薬の説明、ちゃんとしていますか?肺炎に対する抗菌薬や解熱薬、なんらかの痛みに対する鎮痛薬など、救急外来や一般の外来で処方することは日常茶飯事です。その際、薬の説明をどの程度行っているでしょうか?医療者に対して処方する場合には、薬の名前のみ伝えればよいかもしれませんが、一般の患者さんへ処方する際には、当然ながら十分な説明が必要です。みなさんが処方している薬を、患者さんは十分理解しないまま内服していることは少なくないのです。救急外来では、抗血栓薬や利尿薬を内服している患者さんに多く出会いますが、内服理由を確認すると「わからない」と返答されることもしばしばです(みなさんもそんな経験ありますよね?)。表にも「(5)新しい処方箋があれば、薬の相互作用について再確認して理解できているか?」という項目がありますが、救急外来では特に処方に関しては注意が必要です。初診の患者さんも多く、定期内服薬の詳細が把握できないこともあるかもしれません。また、アレルギーの確認を怠ってしまうかもしれません。しかし、それでは困ります。当たり前のことではありますが、きちんと把握する努力を怠らないようにしましょう。解熱鎮痛薬処方の際のポイントは?COVID-19の診断を受けた患者さんや家族から頻繁に相談されるのが、「熱が下がらない」、「喉の痛みが辛い」、「薬が効かない」といった内容です。外来診療中にも電話がかかってくることも多いです。そのような場合に、よくよく話を聞いてみると、病状の悪化というよりも薬の内服方法が不適切なことが少なくありません。薬が効かない? 本当は効いているんじゃない?患者さんが訴える「薬が効かない」、これはまったく効果がないというわけでは必ずしもなく、飲めば熱は下がるけれどもまた上がってきてしまう、その意味合いで使用していることもあるのです。これは薬が効いていないのではなく、薬効が切れただけですよね。つまり、薬の具体的な効果を説明していない、もしくは患者さんが理解していないが故に生じた訴えといえます。薬が効かない? 飲むタイミングの問題では?また、こんなこともあります。頭痛や喉の痛みを訴える患者さんが「薬が効かない」と訴えるものの、よくよく聞いてみると、「薬はあまり飲まない方がよいと思って、なるべく使用しないようにしていた。どうしても痛みが辛いから使用したがあまり効かない」と訴えるものです。なんでもかんでも薬を飲むのはお勧めできませんが、痛みに関してはピークに達してから内服するよりも、痛くなりかけている際に内服した方がピークを抑えることができ、症状はコントロールしやすいでしょう。片頭痛に対する鎮痛薬の内服のタイミングなど有名ですよね。さいごに今回の症例のように、COVID-19で予期される症状に関しては、具体的にいつどのように解熱鎮痛薬を使用するのかをわかりやすく説明する必要があります。「頓服」、この言葉も意外と伝わっていないので要注意です。薬剤師さんが丁寧に教えてくれる場合には問題ないかもしれませんが、市販薬や院内処方の場合には十分な説明がなされないこともありますよね。私は、解熱鎮痛薬を処方する際は、まずは毎食後に定期内服してもらい、症状が改善したら頓服へ切り替えていただくようにお話することが多いです。「今日、明日あたりは食後にこの薬を飲みましょう。朝起きて痛みがない、熱が下がって楽、そのような場合には、朝食後には飲まず、症状が出てきたら飲むようにしましょう」とこんな感じで説明しています。COVID-19の診断は、急性腹症や骨折診療に比べればすぐにつきます。診断に時間がかからないぶん、説明には十分時間をかけ、可能な限り患者さんの不安を取り除きつつ、不要な再受診を防ぐ努力をしていきましょう。1)「国民の皆さまへ 限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」2)Mochizuki K, et al. Acute Med Surg. 2016;4:172-178.3)Southerland LT, et al. Emerg Med Australas. 2019;31:266-270.

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オミクロン流行期、小児コロナ入院患者の症状に変化/国立成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波が全国的に猛威をふるっている。一般報道では第7波の特徴として小児の陽性感染が多いことが指摘され、全国の小児科はいつにも増して診療を待つ患者であふれているという。小児がCOVID-19に感染した場合、症状が軽微とあると従来言われてきたが、実際入院した患者ではどのような特徴があるだろう。 国立成育医療研究センター感染症科の庄司 健介氏らのグループは、国立国際医療研究センターの研究チームと合同で、オミクロン株流行期における小児新型コロナウイルス感染症による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株流行期と比較検討し、その結果を公表した。 この研究は、国立国際医療研究センター運営の国内最大のCOVID-19レジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」利用し、今回初めてわが国の小児COVID-19患者の特徴を、オミクロン株流行期とそれ以前とで比較した大規模な研究となる。 本研究は、デルタ株流行期(2021年8月~2021年12月)、オミクロン株流行期(2022年1月~3月)に、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院例847人(デルタ株流行期:458人、オミクロン株流行期:389人)を対象に実施したもの。その結果、オミクロン株流行期は、デルタ株流行期に比べて2~12歳の患者で発熱やけいれんが、13歳以上の患者では咽頭痛が有意に多かったことが判明した。一方で、6歳以上の患者の嗅覚・味覚障害はオミクロン株流行期には少なかったこともわかった。 また、新型コロナウイルスワクチンの接種歴の有無が入力されていた790名に着目してみると、酸素投与・集中治療室入院・人工呼吸管理などのいずれかを要した「より重症と考えられる患者」43名は、いずれも新型コロナウイルスワクチン2回接種を受けていなかったことからワクチン接種が子ども達を重症化から守る方向に働いている可能性があることも示唆された。オミクロン株流行期では発熱やけいれんが多い【背景・目的】わが国におけるオミクロン株流行期の小児COVID-19の臨床的特徴についての情報の解明【研究概要・結果】研究対象:2021年8月~2021年12月(デルタ株流行期)と2022年1月~3月(オミクロン株流行期)の間にCOVIREGI-JPに登録された18歳未満のCOVID-19患者研究方法:COVIREGI-JPに登録されている、患者の背景や臨床経過、ワクチン接種歴、予後などのデータを集計・分析【研究結果概要】・研究対象となった18歳未満の患者はデルタ株流行期458人、オミクロン株流行期389人。・入院患者の年齢の中央値はデルタ株流行期が8歳、オミクロン株流行期が6歳。オミクロン株流行期の方が若年化している傾向にあった。・オミクロン株流行期は、デルタ株流行期に比べて2~12歳の患者で発熱やけいれんが、13歳以上の患者では咽頭痛が有意に多くあった。一方で、6歳以上の患者の嗅覚・味覚障害はオミクロン株流行期に少なかった。・酸素投与を要した患者はオミクロン株流行期に多かったが、人工呼吸管理や集中治療室入院を要した患者の数、割合には大きな変化はなかった。・新型コロナワクチン2回接種を終えていた患者は、研究対象847人のうち50人(5.9%)だった(接種の有無不明は57人)。この50人は、いずれも軽症だった。・ワクチン接種歴の有無が判明していた790人の中で、酸素投与、集中治療室入院、人工呼吸管理のいずれかを要したより重症と考えられる患者43人のうち、新型コロナワクチン2回接種を受けていた患者はいなかった。ワクチンが重症化から子ども達を守る これらの研究結果を踏まえ庄司氏らは、「発熱やけいれんが増えていたことは、小児COVID-19の診断を考える上で重要な情報と考えられる。また、小児新型コロナワクチン接種者自体が少ない時期の研究なので限界はあるが、ワクチン接種が子ども達をCOVID-19の重症化から守る方向に働いている可能性を示唆している結果であったことは重要な結果と考える。小児COVID-19の特徴はそのときに流行している変異株により変化しうるので、引き続き情報の収集、解析を続けていくことが重要」と今後の展望を述べている。※なお、本研究は、オミクロン株(BA.5)流行前に実施されているためその影響は検討できていないこと、また、それぞれの株が国内の主流であった時期の患者を比較した研究であることなど注意を喚起している。

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オミクロン株感染者の半数以上が自覚していない

 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡の人口の多い都市部で、オミクロン株流行時に抗体陽転が確認された人を対象としたコホート研究において、感染者の半数以上が感染を認識していないこと、また、医療従事者は非医療従事者より認識者の割合が高いが全体としては低いことが示唆された。米国・Cedars-Sinai Medical CenterのSandy Y. Joung氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月17日号に報告。 本研究は、ロサンゼルス郡のCOVID-19血清学的縦断研究に登録された大学病院の医療従事者と患者の記録を分析したもので、参加者は2回以上の抗ヌクレオカプシドIgG(IgG-N)抗体の測定を1ヵ月以上の間隔で行った。1回目はデルタ株流行終了(2021年9月15日)以降、2回目はオミクロン株流行開始(2021年12月15日)以降で、2022年5月4日までにオミクロン株流行時に感染が確認された成人を対象とした。新型コロナウイルス感染の認識は、自己申告の健康情報、医療記録、COVID-19検査データのレビューで確認した。 主な結果は以下のとおり。・血清学的にオミクロン株感染が確認された210人(年齢中央値[範囲]:51[23~84]歳、女性:65%)のうち、44%(92人)が感染を認識しており、56%(118人)が認識していなかった。・認識していない人のうち10%(12人/118人)が何らかの症状があったが、その原因は風邪や新型コロナウイルス以外の感染症であると回答した。・人口統計学的および臨床的特徴を考慮した多変量解析では、医療従事者は非医療従事者よりもオミクロン株感染を認識している可能性が高かった(調整オッズ比:2.46、95%信頼区間:1.30~4.65)。 これらの結果から、著者らは「オミクロン株感染の認識率の低さが地域社会における急速な伝播の要因である可能性が示唆される」と考察している。

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5~11歳へのBNT162b2ワクチンのオミクロン株に対する有効性(解説:寺田教彦氏)

 本論文は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株流行中における5~11歳へのBNT162b2(ファイザー製)ワクチンの2回接種の有効性を報告しており、過去の報告との差異は、2回接種後のCOVID-19関連入院予防効果がより高い可能性が示唆されたことである。 本研究では、シンガポールで5~11歳の25万5,936例を解析対象としており、完全接種(2回接種後7日以上)の小児ではワクチンによるSARS-CoV-2感染の有効率は36.8%(95%CI:35.3~38.2)、COVID-19関連入院の予防が82.7%(95%CI:74.8~88.2)だった。また、ワクチン接種後の重篤な有害事象は0.005%が保健科学庁に報告されたと発表している。 5~11歳へのBNT162b2ワクチンの有効性に関するこれまでの報告を振り返ってみると、米国での1,185例の症例患者と1,627例を対照患者として組み入れたtest-negativeデザインのstudyで、5~11歳の小児の入院予防効果は68%(95%CI:42~82)(Price AM, et al. N Engl J Med. 2022;386:1899-1909.)、イスラエルからの報告では、2回接種後7~21日目で感染予防効果が51%、症候性COVID-19の予防効果は48%(Cohen-Stavi CJ, et al. N Engl J Med. 2022;387:227-236.)、イタリアの296万5,918人の5~11歳を対象にしたレトロスペクティブ分析では、2回接種群でワクチンの有効性は、SARS-CoV-2感染に対して29.4%(95%CI:28.5~30.2)、重症COVID-19に対して41.1%(95%CI:22.2~55.4)(Sacco C, et al. Lancet. 2022;400:97-103.)などがある。成人同様に、オミクロン株が流行株に変化して以降、感染予防効果は低下している。しかし、今回の論文を合わせて考えると、重症化予防効果やCOVID-19関連の入院予防効果はオミクロン株でも期待ができそうである。 さて、5~11歳の小児への新型コロナワクチン接種について2022年8月中旬時点で再考してみる。今回も接種によるメリットとデメリットについて論じる。 メリットとしては、(1)感染予防効果、(2)重症化やCOVID-19関連入院の予防効果、(3)小児多系統炎症性症候群などの重症合併症の予防効果、(4)集団免疫効果などがある。デメリットとしては、副反応などが考えられる。 過去に論じた内容(CLEAR!ジャーナル四天王「オミクロン株流行時期における5~11歳児に対するBNT162b2ワクチンの有効性」)から変化することは、メリットは、本論文を参考にすると、(2)のCOVID-19関連入院を防ぐ効果がより期待できるだろう。しかし、今回の論文の内容以上に臨床現場で変わった重要なポイントとして、オミクロン株流行以降は、小児の感染者が増加しただけではなく、クループ症候群や熱性けいれん患者も増加し、脳症や心筋炎などの重症例も報告されるようになっていることがある。また、入院を要しない患者でも、発熱の頻度は高く、咽頭痛、嘔吐の報告が多く(日本小児科学会.「データべースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019[COVID-19]症例の臨床経過に関する検討」の中間報告:第3報 オミクロン株流行に伴う小児 COVID-19症例の臨床症状・重症度の変化)、当地域でもご家族から病院や保健所への相談が増加していることがある。 オミクロン株が流行している本邦としては、小児でも重症例や入院を要する症例、場合によっては死亡例が報告されるようになった。そして、新型コロナワクチンは、これらのリスクを低下させることが示されており、5~11歳では副反応の報告も低いことからワクチン接種のメリットのほうが大きいだろう。 また、小児の感染経路もデルタ株以前とは変化してきている。感染対策のために、感染経路を調査することがあるが、第7波では、学童や小学校でクラスターとなり、小児が家庭に持ち込む事案が増えているような感覚がある。データベースを参考にすると、小児が感染した経路は、兄弟や両親や祖父母を含めた家族が最多ではあるが、学校関係者や幼稚園・保育園関係者からの症例も多いように感じられる(日本小児科学会.「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019[COVID-19]症例の臨床経過に関する検討」に基づく早期公開情報)。 (4)の集団免疫効果について、小児に対する新型コロナワクチンでは、高齢者や成人を守るための集団免疫効果は期待するべきではない、という議論もあったが、集団免疫効果は成人を含めた社会集団にのみ当てはまることではなく、小児のコミュニティにおいても成立する。新型コロナワクチンの予防接種を受けている子供が増えることで、集団内でCOVID-19が流行するリスクは減らすことができるだろう。メリットとして挙げた(1)の感染予防効果は低くなっているとはいえ、小児の所属する集団で皆がある程度感染予防効果を身に付けることで、(4)の集団免疫効果もある程度は期待できるのではないかと考える。 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会から2022年8月10日付で「5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」が示されており、本文では「日本小児科学会は、5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」としている。 本論文を含めた知見や、昨今の本邦の状況を鑑みても、5~11歳の新型コロナワクチンは私も接種は推奨されると考える。そして、「5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」は、ワクチンに関するメリットとデメリットについて現時点で判明している知見を丁寧にまとめており、これらの資料も参考に、ご両親は子供やかかりつけ医師と新型コロナワクチン接種の是非について相談していただければと考える。

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第113回 新型コロナの全数把握見直し、定点サーベイランスに移行も検討/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナの全数把握見直し、定点サーベイランスに移行も検討/厚労省2.大学病院医師、時間外労働1,860時間超過が多いのは産婦人科/厚労省3.感染症法改正で、感染症に初期対応する病院に減収の補償へ/厚労省4.抗原定性検査キットは医療機関へ優先供給を/日本医師会5.大学病院のICU医師が一斉退職/東京女子医科大学6.マイナンバー保険証、導入補助金期限に注意/厚労省1.新型コロナの全数把握見直し、定点サーベイランスに移行も検討/厚労省新型コロナウイルス感染者の全数把握について、医療機関側の負担が大きいとする意見が出されているのに対して、特定の医療機関からの報告によって感染状況を監視する「定点把握」を導入することを検討し出したことを厚生労働省は明らかにした。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの座長でもある国立感染症研究所の脇田隆字所長は、18日の記者会見で定点サーベイランスについて厚生労働省や感染症研究所が検討を行っていることを明言した。また、8月19日の衆院厚労委員会の閉会中審査で、加藤厚労大臣は全数把握の見直しについて、時期は明言しなかったが早急に結論を出すと答弁した。(参考)コロナ「定点把握」厚労省が検討 特定医療機関のみ 全数把握見直し(毎日新聞)コロナ感染者の全数把握見直し「早急に」厚労相(日経新聞)新型コロナの全数把握見直し 厚労相「速やかに対応」 8月中に(毎日新聞)2.大学病院医師、時間外労働1,860時間超過が多いのは産婦人科/厚労省厚生労働省は、8月17日に社会保障審議会医療部会を開催し、今年3月から4月に行った「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」の結果を公表した。この中で、大学病院の本院および防衛医科大学校病院のうち、副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間は、82病院中20病院(24%)において把握できているとの結果だった。また、時間外・休日労働時間数が年通算1,860時間相当超の医師数が多い診療科は上から順に外科、内科、産婦人科であり、その割合が多い診療科は産婦人科7.0%、脳神経外科5.8%、外科5.1%の順番だった。2024(令和6)年4月の医師の時間外労働規制の強化を踏まえ、医師労働時間短縮計画の策定を本格化させることが必要としている。(参考)医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果(厚労省)1,860時間超の医師割合、最も高いのは産婦人科 厚労省が大学病院の調査結果を医療部会に報告(CB news)大学病院勤務医、「時間外1,860時間超」は2.4%(日経メディカル)2024年からスタートする「医師の働き方改革」とは?(DIME)3.感染症法改正で、感染症に初期対応する病院に減収の補償へ/厚労省厚生労働省は8月19日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、感染症法改正について提案した。新型コロナウイルス感染症の拡大を反映して、感染症対策を強化することとし、通常医療を制限して感染病床を確保する必要が生じたときに、早期の受け入れなど初期対応を行った医療機関の減収分を補償することとした。これにより、あらかじめ自治体と協定を結んだ公立、公的病院などがスムーズに患者受け入れが行えるようにする。(参考)感染症法の改正について(厚労省)感染症「協定締結医療機関」の減収補償へ 流行初期対応などで、厚労省(CB news)病院減収分を埋め合わせ 感染症の初期対応時 厚労省が制度案(日経新聞)新興感染症「初期」対応する中核病院などに対し、公費や保険料で「減収補填」を行ってはどうか-社保審・医療保険部会(1)(Gem Med)4.抗原定性検査キットは医療機関へ優先供給を/日本医師会日本医師会の松本吉郎会長は8月19日、加藤勝信厚労大臣と面談し、6項目からなる「今後の感染拡大を踏まえた今後の対応に関する要望書」を手渡した。この中で、OTC化をすすめるとしている新型コロナウイルス感染症の抗原定性検査キットにつき、医療機関に優先的に供給するように依頼した。このほか、HER-SYSについては、医療機関の負担軽減のため入力項目削減に加え、重症化リスクが高い患者を捕捉する機能を維持しながら、さらに作業効率化につなげるように改善を求めた。(参考)抗原定性検査キット、医療機関へ優先供給を 日医会長が厚労相に要望書手渡す(CB news)日本医師会 松本会長 加藤厚労相と会談 新型コロナ対策で要望(NHK)今般の感染拡大を踏まえた今後の対応に関する要望書提出について(日医on-line)5.大学病院のICU医師が一斉退職/東京女子医科大学東京女子医科大学病院のICUに勤務する集中治療科の医師9名が一斉に退職したことを文芸春秋社はオンラインで報じた。学校法人 東京女子医科大学は2014年2月に耳鼻咽喉科において、術後に人工呼吸中の小児に禁忌のプロポフォールを大量投与したために死亡した事故をきっかけに、特定機能病院を2015年に取り消されていた。その後、小児集中治療部門の経営強化が行われたが、今年の2月に小児集中治療室(小児ICU)の医師の離職が報道されたばかり。今回のICUの医師の一斉退職については、詳細は不明だが、今後、注目を浴びることになりそうだ。(参考)東京女子医科大学病院のICU医師9人が一斉退職「ICU崩壊状態」で移植手術は中止か(文春オンライン)東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治(同)女子医大が小児治療「最後の砦」解体へ 再発防止誓ったのに、わずか半年で撤退方針(東洋経済オンライン)6.マイナンバー保険証、導入補助金期限に注意/厚労省厚生労働省は、現在、データヘルスの集中改革プランを進めているが、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大のためにマイナンバーを利用を推進しており、これにより電子処方箋のシステム構築や、マイナポータルからの特定健診結果の閲覧も進めている。医療機関に対しては、電子カルテ情報共有のために、来年の4月からオンライン資格確認などシステム導入を原則義務化するとしている。オンライン資格確認などシステム導入が遅れてしまうと、医療機関などでは保険指定が取り消されることになりかねないため、中医協でも診療側医院からは救済措置を求める意見が出されたが、支払側委員からは「やむを得ない事情があるとは言えず、救済措置の対象にすべきでない」と反論が出されるなど、診療機関側は遅滞なく対応することが求められている。(参考)オンライン資格確認等システム導入の経費補助を充実、医療機関などは「早期の申し込み、システム改修」に努めよ-厚労省(Gem Med)電子処方箋モデル事業、4地域で10月末開始 厚労省、日本海総合病院・国保旭中央病院など(CB news)電子処方箋の仕組みの構築について(厚労省)

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診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。専門医の取得数が多い傾向がみられた診療科は? 全体で、専門医取得数を2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。 診療科別にみた専門医取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに専門医取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。消化器外科[n=24]:3.4(3)神経内科[n=26] :3.0(3)消化器内科[n=58]:3.0(3)腎臓内科[n=25]:2.9(3)感染症内科[n=4]:2.8(3)腫瘍科[n=10]:2.7(2.5)外科[n=33]:2.7(2)脳神経外科[n=25]:2.6(3)循環器内科[n=59]:2.5(2)糖尿病・代謝・内分泌内科[n=31]:2.4(2)呼吸器内科[n=34]:2.2(2)心臓血管外科[n=11]:2.1(2)救急科[n=10]:1.9(2)整形外科[n=55]:1.9(2)産婦人科[n=18]:1.9(2)形成外科[n=11]:1.8(1)内科[n=183]:1.7(2)血液内科[n=8]:1.6(2)小児科[n=45]:1.6(2)呼吸器外科[n=4]:1.5(1.5)リハビリテーション科[n=12]:1.5(1)放射線科[n=27]:1.5(1)総合診療科[n=15]:1.5(1)病理診断科[n=9] :1.4(2)耳鼻咽喉科[n=15]:1.3(1)泌尿器科[n=20] :1.3(1)その他[n=21]:1.2(1)麻酔科[n=27] :1.1(1)眼科[n=16]:1.0(1)膠原病・リウマチ科[n=7]:1.0(1)皮膚科[n=22] :0.8(1)精神科[n=76] :0.8(1)臨床研修医[n=59]:0.3(0)58%の医師が持っている専門医をすべて更新予定と回答 現在持っている専門医資格について聞いた質問では、認定内科医が24.5%と最も多く、総合内科専門医(18.8%)、外科専門医(8.4%)が続いた。新専門医制度の基本19領域と認定内科医、総合内科専門医以外の資格(“その他”として自由回答)を持つと回答した医師も14.4%おり、各学会認定の多様な専門医資格を取得している状況がわかる。 今後の更新予定については、現在持っている専門医資格について、58.6%の医師が「資格をすべて更新予定」と回答。「一部は更新しない予定」は3.0%、「すべてを更新しない予定」は1.1%に留まった。専門医取得による給与・待遇の向上があったと回答したのは14% 専門医を取得することによるメリットについては、「知識向上やスキルアップができた」が39.6%と最も多く、「開業時に役立った(15.8%)」「他の医師・スタッフから信頼が得られた(14.6%)」という回答が続いた。「給与や待遇が向上した」と回答したのは14.1%だった。 一方のデメリットについては、「受験料、更新料、学会参加などで費用がかかる」が36.3%と最も多く、「学会での単位取得など、時間的な負担が大きい(31.3%)」「評価システムへの登録等、手続きが煩雑(15.7%)」といった時間・手間等の負担を挙げる声が多く上がった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。会員医師の専門医取得状況は―医師1,000人に聞きました

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いまだに残る小児がんのドラッグラグ、求められる政策の抜本的な改革

 「開発された薬があるなら、日本にも届けてもらいたい」小児がん患者家族の代表である鈴木 隆行氏は訴える。小児がんは日本の小児の死亡原因トップで、年間500名が亡くなる。それにもかかわらず、日本の小児がんの治療薬開発は諸外国に比べ、きわめて少ない。患者団体や医療者で作る団体「小児がん対策国民会議」は2022年8月、都内でシンポジウムを開き、小児がんの新薬承認の現状を訴えた。日本の小児がん患者は海外で治験が行われていても参加できない 前出の鈴木氏の長男は生後6ヵ月でラブドイド腫瘍を発症する。その時期、米国ではラブドイド腫瘍の分子標的薬であるtazometostatの小児国際共同治験が行われていた。日本は参加していなかったため、従来の手術・化学療法・放射線を組み合わせた集学的治療を受ける。治療の合併症で日常生活に障害が残ったものの、がんは寛解に至り、一時は退院する。鈴木氏はその後もtazometostatの治験参加を模索するが実現せず、個人輸入で薬剤を手配した。ところが、5年後再発しtazometostatを使うことなく鈴木氏の長男は他界してしまう。小児がん治療薬のドラッグラグは拡大している 小児がん対象の日本の臨床試験数は38、それに対し米国では300以上、EUは160以上行われている。日本の件数は、中国と比べても4分の1、オーストラリアの約半分で、諸外国に比べ圧倒的に少ない。 小児がんの年間発症は2,000〜2,500人だが、がん種が多いため、それぞれのがんは希少がんになる。なかには50人程度の患者しかいない疾患もある。 希少疾患であるため、臨床試験の患者確保が難しい、比較試験が組めない、など小児がん治療薬の臨床試験デザインは難しい。対象患者の少なさからコスト回収が厳しく、散剤や液剤化など小児用製剤の製造コストが高い、がんが多種にわたり企業の経験が蓄積できない、など開発も簡単ではない。さらに、少量でも安定供給が求められる、薬価が下がっても販売中止できない、治療が長期に及ぶ中での全例調査など承認後も小児がん治療薬の開発企業の負担は重い。 政府は小児がん治療薬の開発促進のため、再審査期間延長、小児薬価加算といった政策を講じてはいるが、依然として日本でのドラッグラグは拡大している。 「政策はあるが、開発促進につながる有効な打ち手となっていない。従来の制度ベースではなく、抜本的な改革が必要」と小児がん対策国民会議運営委員であり国立がん研究センター中央病院の小川 千登世氏は訴える。小児がん治療薬の開発促進に新たな政策で実績をあげる諸外国 小児がんは希少疾患であり、開発の難易度が高いという条件は諸外国でも同じである。なぜ日本以上に小児がん治療薬の開発促進が進んでいるのか。 米国を例にとると、成人の分子標的薬を開発する際に小児の開発も義務づける「ICH-E11」が2000年代に採択された。さらに2017年、ICH-E11でカバーできない小児特有のがんについての研究法が「RACE(Research to Accelerate Cure and Equity) for Children Act」として開発企業に義務づけられた。RACE成立後の小児がんの承認薬は4製品から27品に飛躍的に増えている。中国は民族的要因の差異がないと判断すれば、自国での臨床試験なしに承認申請を可能にする制度を設けた。この制度により、神経芽腫の治療薬dinutuximab βは、開発権取得から2年未満で承認されている。 このように新たな政策で小児がん治療薬の開発・承認の促進の実績をあげている。小児がんドラッグラグが解消されず世界に取り残される? 小児がんの治療薬の開発企業は、日本法人のない新興ベンチャー企業が多い。新興ベンチャーにとって、ビジネスが予見できるかどうかは重要だ。結果として、予見性が立てやすい米国での開発が優先される。中国の前述の制度もこの点では有利に働くと考えられる。 「ビジネスの予見性が立てづらい日本には振り向かない可能性もある」と小児がん対策国民会議運営委員であり大原薬品工業の早川 穣氏は述べる。このままの状態では今後もドラッグラグは解消されず、世界に取り残される事態にもなりかねない。小児がんのドラッグラグ解消に制度の抜本的見直しが必要 小児がんは現在7〜8割は治ると言われるが、ドラッグラグのために命を落としてしまう患者がいるのも事実である。諸外国は有効な政策で課題に対応し、少ない毒性で効果を発揮する分子標的薬を次々に承認している。 しっかりと現状を把握しながら、制度を抜本的に見直し、小児がんのドラッグラグを解消していく必要が、いまの日本にはあるだろう。

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心筋炎リスクを天秤にかけても新型コロナワクチンは接種したほうがよいようだ(解説:甲斐久史氏)

 感染力は強いものの重症化率が低いとされるオミクロン株が主流となったことで、正常な社会経済活動と新型コロナウイルスが共存するWithコロナ時代が本格的到来かと思われた。しかし、オミクロン株BA.5による感染拡大第7波は、8月に入ってもピークアウトすることなく、3年ぶりの行動制限のない夏休み・お盆休みを迎えた。感染者も小児〜若年者中心から後期高齢者も含めた全年齢層に拡大し、重症者数・死亡者数も着実に増加している。加えて、多くの医療従事者が感染者あるいは濃厚接触者となることで出勤停止となり、その結果、コロナ診療のみならず一般医療・救急医療はこれまでにない逼迫した状況に直面している。そのような中、60歳以上の高齢者に加えて、急遽、医療従事者および高齢者施設等の従事者への新型コロナワクチン第4回目接種が進められることとなった。わが国における3回目接種率は60歳以上では80%以上であるのに対して、12〜19歳では36%、20〜30歳代では50%前後にとどまっている。若者ほどワクチン接種後の高熱や倦怠感といった副反応が強いことに加え、若者には実感しにくい重症化予防効果はさておき、目に見える感染予防効果がオミクロン株において低下していることもその背景にあろう。依然、若年者、とくに若年男性には新型コロナワクチン接種後心筋炎の危惧もある。 本研究は、新型コロナmRNAワクチン接種後心筋炎の大規模なケースレポート/サーベイランスの包括的検索による総説である。2020年10月から2022年1月までの間にmRNAワクチン(ファイザー社製コミナティ、モデルナ社製スパイクバックス)接種後、心筋炎約8,000例(一部、心膜炎・心筋心膜炎)が報告されていた。従来の報告どおり、mRNAワクチン接種後心筋炎は思春期から青年期の男性に最も多く認められ、その発生頻度は12〜17歳で50〜139例/100万人、18〜29歳で28〜147例/100万人であった。コミナティと比較してスパイクバックスで発症率が高かった。18〜29歳女性の発症率は20例/100万人未満であった。5〜11歳男女においてはコミナティのデータしかないが、発症率は20例/100万人未満であった。30歳以上の男女、12〜17歳の女性については、若年男性より明らかに発症は少ないが、バラツキが大きく統計的信頼度が不十分なため発症率を提示できなかったという。興味深いことに、1回目と2回目の接種間隔は31日以上で発症が少なく、とくに18〜29歳男性では56日以上で明らかな低下がみられた。発症後の経過は従来の報告どおり、症状は軽微で自然軽快し、入院期間も2〜4日間、薬物治療もおおむね非ステロイド系抗炎症薬による対症療法であった。本研究では、心筋炎発症の危険因子、長期予後、発症機序についても検討されたが、いずれも評価に耐えるエビデンスは得られなかったという。また、3回接種の影響については、40歳以上の男性では発症率20例/100万人未満であろうという確実性の低い結果以外に、われわれが最も知りたい若年男性を含めた他のグループについてのエビデンスは現時点で存在しないとのことであった。 結局のところ、一般の心筋炎の発症頻度が80〜100例/100万人であり、新型コロナウイルス罹患後の心筋炎発症率が約800例/100万人であることを考えると、高齢者や重症化高リスク群はもとより、12〜29歳の男性においても、mRNAワクチン接種のメリットは、ワクチン接種後心筋炎の発症リスクを上回っている。これからも引き続き、このコンセンサスを踏まえて、本人(または保護者)に説明し納得してもらうことになる。せめて、12〜29歳男性に対しては、任意にコミナティを選択できるようにしたいものである。

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第7回 どこまで進むか小児新型コロナワクチン

小児COVID-19の問題点「子供にとって、COVID-19はただの風邪」という意見もよく耳にします。実際にほとんどが風邪症状で終わっていますが、感染者がとても多い年齢層であることから、ワクチン未接種が感染拡大に影響していることはほぼ間違いないとされています。最近、日本の小児COVID-19に関する研究が2つ報告されています。1つ目は、デルタ株優勢期(2021年8月1日~12月31日)とオミクロン株優勢期(2022年1月1日~3月31日)の疫学的・臨床的特徴を比較検討したものです1)。国立国際医療研究センターが運営している国内最大の新型コロナウイルス感染症のレジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を用いて、国立成育医療研究センターの医師らが解析したものです。これによると、オミクロン株優勢期では、2~12歳で発熱やけいれんが多く観察されることが示されています。また、ワクチン接種歴の有無が判明していた790例に絞ると、酸素投与・集中治療室入院・人工呼吸管理などのいずれかを要した43例は、いずれも新型コロナウイルスワクチン2回接種を受けていないことがわかりました。オミクロン株の113例とオミクロン株前の106例の小児を比較した、もう1つの国立成育医療研究センターの研究では、0~4歳の患者において、咽頭痛と嗄声はオミクロン株のほうが多く(それぞれ11.1% vs.0.0%、11.1% vs.1.5%)、嗄声があったすべての小児でクループ症候群という診断が下りました。また、5~11歳の小児において、嘔吐はオミクロン株のほうが多いことが示されました(47.2% vs.21.7%)2)。オミクロン株になって軽症化しているのは、ワクチンを接種した成人だけであって、小児領域では基本的に症状が強めに出るようです。重症例がおおむねワクチン未接種者で構成されているというのは、驚くべき結果でした。小児の新型コロナワクチン接種率現在、5歳以上の小児には新型コロナワクチン接種が認められていますが、ほかの年齢層と比べると、その接種率は非常に低い状況です(表)。実際私の子供の周りでも、接種していないという小学生は結構多いです。それぞれの考え方がありますので、接種率が低い現状について親を責めようという気持ちはありません。表. 8月15日公表時点でのワクチン接種率(首相官邸サイトより)日本小児科学会の推奨さて、小児におけるCOVID-19の重症化予防のエビデンスが蓄積されてきました。オミクロン株流行下では、確かに感染予防効果はこれまでの株と比べて劣るものの、接種によって、小児多系統炎症性症候群の発症を約90%防げることがわかっています3)。そのため、受けないデメリットのほうが大きいと判断され、5~17歳の小児へのワクチン接種は「意義がある」という表現から、「推奨します」という表現に変更されました4)。子供のワクチン接種率は、親の意向が如実に反映されてしまいます。「とりあえず様子見」という親が多いので、日本小児科学会の推奨によって接種率が向上するのか注目です。参考文献・参考サイト1)Shoji K, et al. Clinical characteristics of COVID-19 in hospitalized children during the Omicron variant predominant period. Journal of Infection and Chemotherapy. DOI: 10.1016/j.jiac.2022.08.0042)Iijima H, et al. Clinical characteristics of pediatric patients with COVID-19 between Omicron era vs. pre-Omicron era. Journal of Infection and Chemotherapy. DOI: 10.1016/j.jiac.2022.07.0163)Zambrano LD, et al. Effectiveness of BNT162b2 (Pfizer-BioNTech) mRNA Vaccination Against Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Among Persons Aged 12-18 Years - United States, July-December 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71(2):52-8.4)日本小児科学会 5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

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耳介の外傷(耳介血腫)の処置【漫画でわかる創傷治療のコツ】第11回

第11回 耳介の外傷(耳介血腫)の処置《解説》今回は、柔道など格闘技の選手によく起こる耳介の外傷「耳介血腫」の処置について解説します。耳介は側頭面より聳立(しょうりつ)しているため、とくに外傷を受けやすい部位です。構造も複雑で、一度変形を生じると再建が困難となるため、適切な初期治療が求められます。耳介軟骨は軟骨膜によって血液が供給されているため、鈍的外力により耳介が外傷を負うと、軟骨膜下の血腫を引き起こすことがあります。血腫の排液に失敗したり、治療をせず放置したりすると、血腫は吸収されずに器質化し、不可逆的な耳介変形を引き起こすので迅速に対処しましょう!処置の前に行う洗浄や局所麻酔については、以前の記事を参考にしてください。耳介ブロックも知っていると便利です。画像を拡大する(1)耳介血腫の処置耳介血腫は、耳介前面の軟骨膜下に血液が溜まった状態です。耳介前面の上半部(舟状窩)に起こりやすいです。単なる穿刺吸引では再発するので、絶対に固定を行ってください!!!急性期であれば、血腫を穿刺吸引後に脱脂綿、ガーゼなどを使用して耳介の凸凹に合わせて枕縫合(漫画参照)を行い、血腫腔(つまり血が溜まるスペース)を残さないようにします。縫合はドレナージが効くように、あえて間隔を空けてナイロン糸で縫合します。ペンローズドレーンも有効です。2~3日経過したものは切開をやや広くして内部を掻爬(そうは)し、血腫とフィブリンを除去した後、同様に固定します。再発性のものや凝固してしまっている血腫については、耳介後面から皮膚軟骨を切開して血腫を排出し、同様に圧迫固定するか形成外科外来に紹介してください。(2)耳介裂傷の処置耳介裂傷のうち、耳介軟骨が露出していない耳輪辺縁のみの軽傷例であれば保存的治療でも治癒しますが、多くは縫合が必要です。血行は良好なので、受傷後24時間以内であれば一次縫合が可能であるとされています。しかし、耳介から完全に、または部分的に剥離してしまった組織片がある場合は、受傷後数時間以内に縫合を行わないと生着率が低下してしまうので、速やかに形成外科等に紹介しましょう。縫合は、漫画にあるように前後の皮膚と耳介軟骨の3層をそれぞれ行います。軟骨は裂けやすいため、しっかり縫合するというよりも正しい位置に戻すというイメージです。参考波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書III 創傷外科. 克誠堂出版;2015.福田 修、荻野 洋一編著. 耳介の形成外科. 克誠堂出版;2005.市田 正成著. スキル外来手術アトラス. 第3版. 文光堂;2006.岡 正二郎監訳. ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード. 羊土社;2019.

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埼玉県の熱中症リスクを把握する

 埼玉県環境科学国際センターは、GIS(地理情報システム)ソフトウェア国内最大手の ESRIジャパンのクラウドサービス ArcGIS Online を利用した暑さ指数(WBGT)の公開を開始した。県内20ヵ所の観測地点から約10分ごとに得られたデータはPCなどで簡単に見られるように地図化してウェブサイトで公開している。 埼玉県は全国的に見ても夏季に高温になる地域で、熱中症リスクが高まる。しかし、県内の熱中症のリスクには地域差がある。そこで、同センターが独自開発した暑さ指数計を用い、暑さ指数観測データをウェブサイトに掲載して、熱中症リスクを県内の地域ごとに把握できるようにしたもの。 ウェブサイトで簡単に熱中症リスクを把握できるようにするために、暑さ指数を観測し、インターネット経由でリアルタイムに情報収集が可能な観測装置(進化する百葉箱)を独自開発。進化する百葉箱で観測した暑さ指数を同センターのウェブサイト(PC 用とスマートフォン用)で公開している。ウェブサイトではWeb マップに各観測地点の現在の暑さ指数を表示する。また、PC 用のウェブサイトでは各観測点を選択するとその地点の暑さ指数の時間変化が表示される。情報提供期間は、2022年8月5日から9月中旬を予定している。

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幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の幼児がいる成人では、家に幼児がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の幼児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加することから、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、コロナ重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。幼児のいる成人に比べコロナによる入院率が子供不在群は有意に高かった 本調査の対象は、2019年2月1日~2021年1月31日にKPNCデータベースに登録されていて、2020年2月1日時点で18歳以上の成人312万6,427人。家に0~5歳(最年少の子の年齢)の幼児がいる成人(27万4,316人)を研究群とし、対照群を6~11歳の子供がいる成人(21万1,736人)、12~18歳の子供がいる成人(25万7,762人)、家に子供のいない成人(238万2,613人)とした。研究群と3つの対照群をそれぞれ1:1に割り付け、年齢・糖尿病や高血圧の有無・BMIなどのCOVID-19重症化リスク因子で調整した。主要評価項目は、PCR検査によるSARS-CoV-2感染の確認、COVID-19による入院、COVID-19によるICU利用で、フォローアップは2020年2月1日~2021年1月31日まで行われた。 幼児のいる成人のコロナ重症化リスクを評価した主な結果は以下のとおり。・各群の子供の年齢が上がるほど、成人の平均年齢は上昇し(幼児群:36.2歳、6~11歳群:41.4歳、12~18歳群:44.6歳、子供不在群:50.8歳)、高血圧と糖尿病の有病率も上昇した。BMIは各群で同程度であった。・コロナ重症化リスク因子による傾向分析において、幼児群に比べ、6~11歳群および12~18歳群のSARS-CoV-2感染率は高かった(6~11歳群の発生率比[IRR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.05~1.12、p<0.0001、12~18歳群のIRR:1.09、95%CI:1.05~1.13、p<0.0001)。一方、SARS-CoV-2陽性者の入院率およびCOVID-19によるICU利用率に有意差は認められなかった。・幼児群に比べ、子供不在群のSARS-CoV-2感染率は低かった(IRR:0.85、95%CI:0.83~0.87、p<0.0001)。一方、SARS-CoV-2陽性者の入院率およびICU利用率は有意に高かった(入院率のIRR:1.49、95%CI:1.29~1.73、p<0.0001、ICU利用率のIRR:1.76、95%CI:1.19~2.58、p=0.0043)。 Solomon氏らは、本調査の結果により、SARS-CoV-2以外のコロナウイルス曝露による交差免疫は、COVID-19の重症化を抑制する可能性があるとまとめている。

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「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。「BA.1対応型」ワクチンの導入が了承された背景 ファイザー社およびモデルナ社では、「オミクロン株対応ワクチン」(オミクロン株のスパイクタンパクを成分として含んだワクチン、従来型ワクチンとの2価ワクチンを含む)を開発中であり、6月28日のFDA諮問委員会に臨床試験等の結果を報告している。ただし、これらの結果はBA.1の成分を含むワクチンについてであり、FDAはBA.4/5の成分を含む2価の追加接種用ワクチンの開発を検討するよう、両社に勧告している。 これらの状況を受け7月22日、「新型コロナワクチンの製造株に関する検討会」が立ち上げられ、本邦での導入にむけた同ワクチンの構成について議論がなされた結果、まずはいち早く利用可能となる「BA.1対応型」を選択すべきではないかとの見解が示された。その理由として、現在の主な流行株はオミクロン株となっていることから、利用可能なオミクロン株対応ワクチンによる接種になるべく早く切り替えることが妥当であると考えられること、現在までに示されたデータの範囲内では、従来型ワクチンと比較して、ワクチンに含まれる成分と異なる亜系統のオミクロン株に対しても中和抗体価の高い上昇が見られ、オミクロン株に対するより高い有効性が期待されることなどが挙げられた。 「BA.1対応型」ワクチンについて、現時点で報告されている臨床試験結果は以下のとおり。ファイザー社・18~55歳対象、BA.1対応単価ワクチン(30μg) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.75倍※1・56歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(15μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.56倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価はBA.1に対する上昇よりは低い・56歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(30μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.97倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価はBA.1に対する上昇よりは低いモデルナ社・18歳以上対象、従来株+BA.1対応2価ワクチン(25μgずつ) BA.1に対する中和抗体価(従来型と比較して)1.75倍※1 BA.4/5に対する中和抗体価(接種前と比較して)5.44倍※2※1:幾何平均比、※2:幾何平均上昇倍率 なお、ファイザー社は8月8日のプレスリリースにおいて、従来株+BA.1対応2価ワクチンの承認申請を行ったことを発表した。同ワクチンは生理食塩水での希釈が不要なRTU 製剤とされている。小児に対する有効性・安全性のエビデンスが蓄積、「努力義務」へ 小児(5~11歳)に対する新型コロナワクチンの本邦での取り扱いについて、前回議論された2月10日時点では、小児におけるオミクロン株の感染状況(感染者、重症化の動向)が確定的でないことや、オミクロン株についてはエビデンスが必ずしも十分ではないことから、努力義務の規定は小児について適用しないこととされていた。しかし、この半年の間に海外および国内でのエビデンスが蓄積されている。 有効性について新たに報告されたデータとしては、オミクロン株流行下における、小児に対するワクチンの発症予防効果としては、2~4週間後 60.1%、5~8週間後には28.9%との報告があり、入院予防効果については、2回接種後約60日までで約80%の有効性を認めたとの報告がある。 安全性については、米国での約1,600万回の接種についての大規模解析において、安全性に関する懸念は認められておらず、2回目接種後7日間の追跡で認めた副反応は12~15歳よりも頻度が少なく、接種後の心筋炎の報告率は、12~15歳および16~17歳の男性における報告率より低いと報告されている。国内においても、約270万回の接種について、重大な懸念は認められていない。 複数の委員から「努力義務」という言葉の意味(義務とは異なり接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも本人が納得した上での判断を促すもの)を丁寧にわかりやすく示す必要があるという指摘があったが、そのうえで、「努力義務」に変更することが了承された。

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あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回

第42回 あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?漫画・イラスト:かたぎりもとこ私たちが承継のお手伝いをしていく中で、「とにかく多くの物件を見ているのに、最終決断ができない」という方が一定数いらっしゃいます。このような方に共通するのは「自分にとっての成功・失敗の定義ができていない」ことです。このために不安に支配されてしまい、決断ができないのです。私たちはこうした方には「成功・失敗を数値で定義してみる」ことをお勧めしています。たとえば、下記のようなイメージです。自分にとっての成功:3年以内に年収を現在(勤務医時代)の2,000万円に戻し、5年以内に2,500万円にすること。自分にとっての失敗:3年以内に初期投資額である4,000万円を返済できないこと(3年間は年収1,500万円を維持する前提)。または、開業の軸として経済合理性以外の軸が重要である場合には、下記のようなものでも良いでしょう。自分にとっての成功:現在の年収1,500万円を下回ることなく、週のうち半分以上は家族と夕食を共にできる働き方を維持する。自分にとっての成功:年収1,000万円を下回ることなく、一人ひとりの患者さんに丁寧な診療(具体的には1人10分以上の診察時間を持てるような診療)を実現する。開業3年目までに実現できていれば成功。多くの物件を見ても意思決定できない方は、上記を整理・言語化できていない場合がほとんどです。これは本来ならば物件を見るより前に、自分の頭で一度整理してみるしかないことです。「決められない病」になってしまった方は、ぜひ「成功・失敗を定義する」という取り組みをしてみてください。

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10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。 12~18歳の思春期女性733人を対象に横断的研究を実施した。食事摂取量の評価には、147項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。地中海式食事スコアを、修正モデルとして0~9ポイントの範囲で算出した。不眠症の評価には、検証済み不眠症重症度質問票(ISI)を用いた。修正済み地中海式食事スコアと不眠症との関連を評価するため、線形回帰(crude model、adjusted model)を用いた。モデルIではエネルギー摂取量で調整、モデルIIでは身体活動、両親の教育レベルでさらに調整、完全調整モデル(モデルIII)では年齢、BMI、腹部肥満で調整した。 主な結果は以下のとおり。・線形回帰(crude model)では、地中海式食事スコアと不眠症スコアとの間に有意な逆相関が認められた(β=-0.091、95%CI:-0.392~-0.046、p=0.013)。・交絡因子で調整した各モデルにおいても同様の結果が認められた。 ●モデルI:β=-0.098、95%CI:-0.423~-0.045、p=0.015 ●モデルII:β=-0.092、95%CI:-0.410~-0.029、p=0.024 ●モデルIII:β=-0.082、95%CI:-0.385~-0.006、p=0.044

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第111回 限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会

<先週の動き>1.限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会2.紙レセ医療機関等以外はオンライン資格確認システムを義務化、早めの申し込みを/厚労省3.医療機関の宿日直許可申請についてFAQを都道府県に通知/厚労省4.コロナ感染の発生届け一部項目を簡略化、抜本的改正は秋の国会後に/厚労省5.子宮頸がん9価ワクチンの定期接種は問題なし/厚労省6.インフレで電気代3割増、ガス代6割増/四病協1.限りある医療資源を有効活用するため、発熱外来のガイダンス発表/4学会新型コロナウイルス感染症(第7波)が全国へ急速に拡大しているため、多くの医療機関において救急外来・発熱外来の逼迫、救急車の受け入れ困難事例の多発している状況を改善させるために、関連4学会(日本プライマリ・ケア連合学会、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会)では厚生労働省とも意見交換を行った上、医学的な立場から救急外来/救急車の利用および発熱外来受診にあたっての指針を発表した。この中で、症状が軽い場合は、65歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ、あわてて検査や受診をする必要はなく、自宅療養とし、医療機関を受診することは避ける。また救急車の利用の目安については「救急車利用リーフレット(高齢者版、成人版、子供版)」を活用することも求めている。厚生労働省は8月4日、各自治体に対し、日本感染症学会など4学会が軽症なら受診を控えるよう呼びかけた緊急声明を参考にするよう通知した。(参考)「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」公表にあたって(日本感染症学会)発熱外来「パンク状態」 受診の目安は? 医療逼迫改善へ例示(東京新聞)コロナ感染、厚労省も「軽症なら受診控えて」 学会声明を追認、自治体に通知 「37.5度4日以上」の目安は除外(同)「65歳未満で軽症・基礎疾患なし」は受診控えて 厚労相(日経新聞)2.紙レセ医療機関等以外はオンライン資格確認システムを義務化、早めの申し込みを/厚労省厚生労働省は、顔認証付きカードリーダーの2023年4月からの原則義務化を決めた。現在、医療機関・薬局に無償配布しており、全医療機関・薬局の61%が申し込み済み(7月24日時点)となっている。まだ対応していない約4割の医療機関・薬局について、2023年4月からの原則義務化に対応するためには、カードリーダーのメーカーは受注生産であり、申し込みから配送までに4ヵ月程度が必要なため、「遅くとも9月ごろまでに、顔認証付きカードリーダーを申し込む必要がある」とした。(参考)オンライン資格確認カードリーダー、9月までに申し込みを 厚労省、23年4月からの義務化に向け(CB news)オンライン資格確認等システム、2023年4月から紙レセ医療機関等以外は「原則、導入義務」へ-中医協総会(2)(Gem Med)3.医療機関の宿日直許可申請についてFAQを都道府県に通知/厚労省厚生労働省は、医療機関の宿日直許可申請について8月1日に全国の都道府県や病院団体に向けて「医療機関の医師の宿日直許可に関する取扱いについて」とする事務連絡を行った。これは令和6年度から医師に対する時間外労働の上限の適用について、各医療機関が医師の宿日直許可の申請をするにあたって必要な情報として提供をした。内容には宿日直許可された事例や申請前のチェックリストなど含んでおり、医師の時間外労働規制について対応が必要な医療機関は参考にされたい。(参考)医療機関の宿日直許可申請、「FAQ」を都道府県に周知 厚労省(Medifax)医療機関の医師の宿日直許可に関する取扱いについて(厚労省)4.コロナ感染の発生届け一部項目を簡略化、抜本的改正は秋の国会後に/厚労省新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関や保健所で業務が逼迫しているとして、全数把握を見直す意見が上がっているが、後藤茂之厚生労働相は5日の閣議後会見で、秋の国会以降になるとの見通しを示した。また、厚労省は、現場の負担軽減のため、重症化リスクが低い患者の発生届では、患者の診断日、ワクチン接種回数などの入力項目を削除すると発表したが、「健康フォローアップセンター」などを都道府県の設置が条件であり、根本的な改正にはまだ時間がかかる見込み。(参考)コロナ発生届け出簡略化、診断日など不要に 現場の負担軽減へ、厚労省(CB news)コロナ患者の全数把握見直し、厚労相「法改正して」 秋の国会以降か(朝日新聞)患者の全数把握、医療現場を圧迫 政府、簡素化で急場しのぎ(毎日新聞)5.子宮頸がん9価ワクチンの定期接種は問題なし/厚労省子宮頸がんなどを起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の9種類の遺伝子型に対応した「9価ワクチン(商品名:シルガード9)」の定期接種化について、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、科学的に問題はないとする結論を出した。今後、専門部会でワクチンの開始時期や対象などを議論し、実施していく見通し。(参考)第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会子宮頸がん9価ワクチン、科学的に「問題なし」 厚労省(日経新聞)9価ワクチン定期接種「問題なし」 厚労省小委、HPVめぐり結論(中日新聞)6.インフレで電気代3割増、ガス代6割増/四病協四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)は8月3日、会員病院を対象に調査を実施し、その中間報告を発表した。ウクライナ情勢などにより、電気代やガス代が高騰し、前年同期に比べて電気料金の1キロワットアワー当たりの単価が約3割上昇し、都市ガス料金の単価も57.5%も上がり、病院経営に影響を与えているとした。これより先だつ6月23日に四病院団体協議会、可及的速やかな財政措置の充実を求める要望書を萩生田光一経済産業相に「医療機関における光熱費(電気・ガス・燃料)に関する要望」を提出した。(参考)3-5月の電気料約3割増、四病協調べ 都市ガス料金は約6割増(CB news)病院の光熱費、使用量の減少・微増にもかかわらず、前年に比べ「2-6割のコスト増」に-四病協(Gem Med)「医療機関における光熱費(電気・ガス・燃料)に関する要望」

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コロナ禍にゲームが与えた影響【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第215回

コロナ禍にゲームが与えた影響pixabayより使用コロナ禍に入り、うちの子供は友達と遊ぶ時間が減って、勉強時間も増えたものの、ゲーム時間も増えています。時間があれば、「マインクラフト」をやりまくっています。小学生男子にはマインクラフトのほうが人気かと思うのですが、「どうぶつの森」シリーズも根強い人気があります。この精神的な効果を調べた研究があります。Yee A, et al.Animal Crossing and COVID-19: A Qualitative Study Examining How Video Games Satisfy Basic Psychological Needs During the Pandemic.Front Psychol. 2022 Apr 1;13:800683.具体的にはプレイヤーにインタビューをするもので、18~34歳までの17人が登録されました。ほとんどがシンガポール人でした。参加者にコンタクトを取って、Zoomでインタビューを試みました。「あつ森」をプレイすると、コロナ禍という物理的な孤独の中で、自由や逃避の感覚を得ることができ、また、友人や見知らぬ人と人間的なつながりができるといった欲求が満たされることがわかりました。また、ゲームの中の自分にアイデンティティを重ねることができ、それによって自己肯定感を維持することができました。反面、コロナ禍であっても外的な活動によってこれらが満たされると、プレイしなくなる現象があることもわかりました。以下、インタビューを受けたプレイヤーの意見です。「ロックダウンの間、誰も旅行なんてできなかったでしょう。でも、このゲームでは、空港に行って、飛行機に乗って、空を飛ぶというのがリアルに感じられるんです。空を飛んでいるような感覚になるので、そういう体験が嬉しいですね」「5歳の子供と一緒にプレイすることで、彼の心の中に入り込み、彼が何を考え、何を楽しみ、何を楽しまないかを理解することができました」いやゲームもほんと捨てたもんじゃありませんね。しかしうちの子供はマイクラをやり過ぎなんだよなーと思ってPubMedを調べてみたら、マイクラが記憶パフォーマンスの向上に寄与するのではないかという報告がありました1)。いやゲームもほんと捨てたもんじゃありませんね!1)Stark C, et al. Playing Minecraft Improves Hippocampal-Associated Memory for Details in Middle Aged Adults. Front Sports Act Living. 2021 Jul 5;3:685286.

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第120回 滋賀医大生3人を強制性交で逮捕・起訴、“エリート”たちがいつまでたってもパーティーを止めない理由とは?

全国知事会、新型コロナを「2類相当」から引き下げるよう訴えこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。日本のオールスターゲームもコロナ感染による出場辞退が続出しものの、なんとか無事終わりました。個人的に楽しめたのは、7月27日に松山で行われた第2戦に登場した日本ハムファイターズの伊藤 大海投手です。伊藤投手は全パの8番手として8回から登板、スピードガンでも計測不能の超スローボールを投げ球場を沸かせました。とくに3人目に対戦した中日ドラゴンズの主砲ダヤン・ビシエド選手には、3球連続でスローボールを投げ、最後は見事レフトフライに打ち取りました。伊藤投手はオールスター選出時、千葉ロッテマリーンズの佐々木 朗希投手の超豪速球を意識してか、「オールスター“最遅”を狙う」と予告していたそうです。マウンドが白煙で見えないくらいになる、マシマシのロジンバックでも有名な伊藤投手の後半戦での好投に期待したいと思います。ちなみに、かつて超スローボールでMLBと日本球界を沸かせた多田野 数人投手は現在、伊藤投手の所属する日ハムで2軍投手コーチを務めています。そんなオールスターが終わったら案の定、「第118回 ランサムウェア被害の徳島・半田病院報告書に見る、病院のセキュリティ対策のずさんさ」でも書いたように、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いを「2類相当」から「5類」に引き下げようという議論が本格化してきました。7月28日から奈良市で始まった全国知事会では、複数の知事が新型コロナウイルスについて感染症法上の分類を「2類相当」から引き下げるよう訴えました。神奈川県の黒岩 祐治知事は「いつまでも2類相当なら保健所は入院調整や健康観察などをやらねばならない。社会経済活動が止まろうとしている」と述べ、北海道の鈴木 直道知事も「オミクロン型は大半が軽症か無症状。感染者の全数把握について(見直しの)議論を進めることが重要だ」と訴えたとのことです。全国知事会は29日、新型コロナウイルスの感染防止策の緊急提言をまとめ、感染症法上の扱いを見直す方向を示す「ロードマップを早期に示すこと」を政府に求めました。こうした動きを受け、岸田 文雄首相は7月31日、感染症法上の分類を季節性インフルエンザの「5類」に近い扱いへ変える案について、時期や変異の可能性を見極めたうえで「2類(相当)として規定される項目について丁寧に検討していく」と述べました。第7波収束後の2類相当への見直しは、規定路線になりそうです。全国ニュースになりやすい医師のわいせつ事件さて今回は、医師や医学生によるわいせつ事件について書いてみたいと思います。厚生労働省は7月21日、刑事事件で有罪判決を受けるなどした医師と歯科医師計25人の処分を決め、公表しました。医道審議会の答申を受け決定したもので、1人を免許取り消し、計13人を業務停止3年~3ヵ月としました。最も重い免許取り消しの岡山市の医師(70)は非現住建造物等放火罪で既に有罪判決を受けています。医道審議会の処分には例年わいせつ関連の事件を起こした医師が入っていますが、今回は業務停止3年の処分を受けた4人のうち1人が準強制わいせつなどで有罪となった福岡市の医師(46)でした。最近もいくつかのわいせつ関連事件で医師が逮捕されています。警視庁新宿署は7月7日までに、強制性交の疑いで東京・歌舞伎町のクリニック院長で精神科医(52)を再逮捕しています。報道等によれば、20代の女性患者にわいせつな行為をしたとのことです。この精神科医は別の女性患者への傷害罪などで既に起訴されており、逮捕は6回目とのことです。また、7月25日には岡山市で内科・小児科を標榜するクリニックの院長(47)が、小学校でも盗撮をしていた疑いで再逮捕されています。この院長は中学校での健康診断中に女子生徒を盗撮したとして逮捕・起訴されていました。報道等によりますと、押収されたカメラなどからは児童・生徒約280人分の盗撮とみられる動画が見つかったとのことです。ちなみに再逮捕の罪状は、岡山県迷惑行為防止条例違反と、児童ポルノ禁止法違反の疑いです。こうしたニュースを読んで思うのは、医師がこうしたわいせつ事件を起こす比率は非医師に比べ決して高いわけではないのに、いったん事件を起こしてしまえば大きなニュースになるということです。聖職とまでは言いませんが、相当な税金を使って養成される医師ゆえに、世間が求める倫理観や高潔さも高いということなのでしょう。滋賀医大生3人が集団レイプ、一部始終を動画撮影医師になり時間が経つにつれ、その倫理観や高潔さが徐々に損なわれていくのはなんとなく理解できますが、医師の卵(医学生)の段階から高潔さが微塵もないのは大きな問題と言えます。2022年5月には国立大学法人・滋賀医科大学でこんな事件が起きました。滋賀県警大津署は2022年5月19日、滋賀医科大学・医学部6年生のA容疑者(24)と同6年生のB容疑者(24)が、知人の女子大生(21)に強制性交をした疑いで逮捕しました。同月26日には同大学6年生C容疑者(26)も強制性交をした疑いで逮捕しました。その後、大津地方検察庁は6月9日、容疑者3人を女子大生に集団で性的暴行を加えたとして起訴しました。起訴状によると、3人は共謀して女子大生に性的暴行を加え、さらにその一部始終をスマートフォンで動画撮影していたとのことです。役割分担などから事前の計画性が疑われる産経新聞などの報道によれば、事件のあらましは以下のようなものでした。3人は2022年3月15日夜、ほかの大学に通う女子大学生2人と飲食。その後、飲み直すためA被告の自宅マンションに向かいました。途中、B被告と女子大学生1人が飲み物などを買い出しに行きました。2人が買い出しに店に向かったあとの同日午後11時44分ごろ、A被告の自宅マンションのエレベーター内で、被害に遭った女子大学生にA被告が性交に応じるように脅迫。その様子をC被告が携帯電話で動画撮影していたとのことです。さらに、A被告は拒否する女子大学生に対し「身体および自由にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して脅迫し」(起訴状記述)、室内に連れ込んで性的暴行を加え、その様子もC被告が動画撮影していたとのことです。買い出しに行っていた2人が戻り、その後、もう一人の女子大学生がA被告のマンションを離れた後も、翌16日午前2時半ごろまで3人の卑劣な犯行は続いたとのことです。報道では、被害者が警察に届け出て、犯行が明らかになったとのことです。また、3人の被告の役割分担などが行われていることから、事前の計画性が疑われるとしています。ちなみに、滋賀医大の3人の学生の容疑である強制性交罪は、かつて強姦罪と呼ばれていたものです(2017年6月に性犯罪に関する刑法の大幅改正で名称変更)。この時の改正で被害者の告訴がなくても起訴することができるようになり(非親告罪化)、法定刑の下限は懲役3年から5年に引き上げられています。滋賀医大はホームページで3度のお詫び滋賀医大は、学生2人の逮捕後、もう1人の逮捕後、そして3人の起訴後の計3回、ホームページに上本 伸二学長のコメントを掲載しています。起訴後の6月9日のホームページのコメントは以下のようなものです。被害に遭われた方とそのご家族、関係の皆様には、あらためて深くお詫び申し上げます。また、学生及び保護者、卒業生、本学関係者の皆さまにおかれましても、ご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。本学は、引き続き、司法手続に全面的に協力する所存です。また、本日起訴された本学学生3名につきましては、規程に則り、すでに謹慎処分に付し、調査委員会による調査を進めているところであり、今後、裁判の動向を注視しながら、確認できた事実に基づき厳正に対処いたします。本学は、今回の事件を極めて重く受け止めており、二度とこのような事件が起きないよう、再発防止の徹底に全力を挙げて取り組んで参ります。しかし、その後、2ヵ月近く経ちますが、調査委員会による調査結果や再発防止策は公表されていません。常識的に考えれば、謹慎どころか退学処分が妥当と考えられますが、果たして滋賀医大が今後どんな正式処分を下すのか、注目されます。繰り返される医学生による集団レイプ事件それにしてもひどい事件です。この事件については、週刊女性が2022年6月14日号で『起訴状で発覚した“動画撮影” 滋賀・医大生3人が21歳女子大生に性的暴行!エリートたちの「裏の顔」』のタイトルで詳細をレポートしています。同記事よれば、A被告の父親は医師、B被告の両親も医師とのことです。エリート層の子弟の医学生が犯した同様の犯罪ということで思い出したのが2016年に起こった千葉大医学部レイプ事件です。2016年9月に起こったこの事件では、千葉大学医学部5年生(当時)の3人が飲み会で酩酊した女性に集団で性的暴行を加えたとして、集団強姦致傷容疑で逮捕されました。後日、彼らを指導すべき立場だった千葉大学附属病院の研修医も準強制わいせつ容疑で逮捕されています。この事件は、彼らが超有名進学校出身であったことや、犯人の1人が4代続く弁護士家系の出身者だったこともあり、世間の注目を集めました。翌2017年1月に千葉地方裁判所で大学生3人の初公判が開かれ、5月には集団強姦罪で起訴された2人の大学生に懲役4年の有罪判決、準強姦罪で起訴された1人の大学生に懲役3年の有罪判決、準強姦罪で起訴された研修医に懲役2年執行猶予3年の有罪判決が言い渡されています。その後、千葉大学は3人の大学生を放学処分としています。『彼女は頭が悪いから』を学生のテキストに医学部生による類似の事件は慶應義塾大学医学部(1995年)、三重大学医学部(1999年)、東邦大学医学部(2016年)などでも起こっています。刑事事件として表沙汰になったのがこれだけあるということは、被害者が泣き寝入りしたり、お金で解決したりした事件はもっとあるに違いありません。医学部のエリートたちはなぜ、このような事件を繰り返すのでしょう。あるいは医学部だから事件が大きく報じられているのでしょうか。仮にそうだとしても、医学部生による強制性交(強姦)事件は、相当数起こっているのは事実です。「俺たちは女の子にモテて当然の医学部生」というエリート意識が、繰り返されるおぞましいパーティーの根底に流れているのかもしれません。医学部入試の小論文などで、医の倫理に関する問題をいくら出題しても、面接で人柄を見極めようとしても、邪悪で驕り高ぶったこうした若者を完全に排除することは不可能でしょう。滋賀医大が今回の事件を機に、同大で学ぶ医学生に向けて今後どのような教育や指導を行うかわかりませんが、一案として、姫野 カオルコ氏の小説『彼女は頭が悪いから』(文藝春秋)をテキストにするというのはどうでしょう。2016年に起きた東大生5人による強制わいせつ事件をモチーフにしたこの小説は、差別意識の強い東大生の若者たちが、自分より「下位」とみなす女性になぜ性暴力をふるうに至ったかを克明に描いています。若者たち一人ひとりの問題というより、そうした若者を生み出している社会の構造や背景を細かく描いているのが印象的です。滋賀医大の上本学長だけでなく、全国の医学部の学長の皆さんも、ぜひご一読されることをおすすめします。ちなみに姫野氏は滋賀県の出身です。

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ミズイボに、一酸化窒素放出ゲル剤の有効性・安全性を確認

 伝染性軟属腫(MC)の治療として、新規塗布薬の一酸化窒素(NO)放出薬である10.3%berdazimerゲル剤が、良好な有効性と安全性を示し有害事象の発現頻度は低率だったことを、米国・Texas Dermatology and Laser SpecialistsのJohn C. Browning氏らが第III相無作為化試験の結果、報告した。MCは伝染性軟属腫ウイルス(molluscipoxvirus)によって引き起こされる、日常診療でよくみかける持続性で伝染性の高い皮膚感染症で、自然治癒することが多いとされる一方、数ヵ月から数年続く可能性も否定できない。米国では年間約600万人が症状に悩まされ、1~14歳の子供の発生が最も多いと報告されているが、米国FDA承認薬はいまのところないという。わが国でも同様に子供に多く、治療方針は自然治癒を待つものから冷凍凝固療法など外科的処置まで柔軟に選択されている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年7月13日号掲載の報告。 研究グループは、MC治療としての10.3%berdazimerゲル剤の有効性と安全性を評価する第III相多施設共同溶剤対照二重盲検無作為化試験「B-SIMPLE4試験」を、2020年9月1日~2021年7月21日に米国内55クリニック(大半が皮膚科と小児科)で行った。適格被験者は、月齢6ヵ月以上で、3~70個の病変を有するMC患者。性感染によるMCやMCが眼周囲のみに認められる患者は除外した。 患者は、10.3%berdazimerゲル剤または溶剤の塗布治療を受ける群に無作為に割り付けられ、すべての病変表面薄層に1日1回、12週間塗布を受けた。 主要有効性エンドポイントは、12週時点の全MC病変の完全消失であった。安全性と忍容性の評価には、有害事象の頻度と重症度、および局所皮膚反応と瘢痕の評価が含まれた。データ解析は2021年8月31日~9月14日に行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は計891例で、berdazimer群に444例(平均年齢6.6歳[範囲:0.9~47.5]、男性228例[51.4%]、白人種387例[87.2%])、溶剤群に447例(平均年齢6.5歳[範囲:1.3~49.0]、女性234例[52.3%]、白人種382例[85.5%])が無作為に割り付けられた。・12週時に、intention-to-treat(ITT)集団において病変カウントを行ったのは、berdazimer群88.5%(393例)、溶剤群88.8%(397例)であった。・12週時にMCの完全消失が認められたのは、berdazimer群は32.4%(144例)、溶剤群19.7%(88例)であった(絶対群間差:12.7%、オッズ比[OR]:2.0、95%信頼区間[CI]:1.5~2.8、p<0.001)。・12週時点で、MC消失により治療を中断していた被験者割合は、berdazimer群14.4%(64例)、溶剤群8.9%(40例)であった。・有害事象の発現頻度は低率であった。最も頻度の高い有害事象は、塗布部の痛みと紅斑であったが、大半が軽症であった。・治療中断につながった有害事象の発現頻度は、berdazimer群4.1%(18例)、溶剤群0.7%(3例)であった。・最も多かった局所皮膚反応は、軽症~中等症の紅斑であった。

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英語で「自然によくなります」は?【1分★医療英語】第39回

第39回 英語で「自然によくなります」は?My daughter has got chickenpox.(娘が水疱瘡にかかりました)Please be assured that it will resolve itself without any treatment.(治療せずに自然によくなりますので安心してください)《例文1》Most of the common colds are self-limiting.(ほとんどの風邪は自然によくなります)《例文2》The pain in your arm after the injection will get better by itself.(注射後の腕の痛みは自然によくなります)《解説》治療を行わなくても自然に回復する疾患を“a self-limiting disease”といいます。これらの疾患が「自然に回復する」と説明したい場合には、「そのままで回復する」という意味で“resolve itself” “go away on its own” “get better by itself”などの言い方をします。“Tonsilitis tends to go away on its own.”(扁桃腺炎は自然によくなることが多いです)といった具合です。自然に回復する疾患や状態が落ち着いている場合、「治療せずに経過を見ましょう」「様子を見ましょう」と伝える場合には、“wait and see”を使って、“Let’s wait and see as it often resolves on its own.”(自然軽快することが多いので様子を見ましょう)ということができます。また、もっとしっかり経過を見守る必要がある場合には、“We’ll keep an eye on the patient.”(その患者さんを注意深く観察します)という言い方をします。講師紹介

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