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小児アトピー性皮膚炎と神経発達に関連はあるか?

 2歳以前にアトピー性皮膚炎(AD)を発症した子供は、6歳時の発達スクリーニング検査における神経発達障害と有意な関連があることが報告された。Allergology International誌オンライン版2022年9月1日号掲載の報告。 小児におけるADと認知機能障害との関連を報告した研究はほとんどない。韓国・翰林大学校のJu Hee Kim氏らは、小児におけるADと神経発達障害との関連を評価した。 2008~12年に韓国で生まれた239万5,966例の小児を分析した。すべてのデータは、韓国国民健康保険制度のデータベースより用いられた。ADは、生後24ヵ月までに5つ以上の診断を受けたものと定義した。アウトカムは、6歳時の韓国乳幼児発達スクリーニングテストの粗大運動能力、微細運動能力、認知、言語、社会性、セルフケア領域における神経発達障害の疑いであった。陽性対照アウトカムは、注意欠陥多動性障害(ADHD)とした。喘息とアレルギー性鼻炎を調整した順序ロジスティック回帰を用いて関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象小児のうち、8万9,452例が対照群に、3万557例がAD群に割り付けられ、加重データでは、AD群は対照群に比べ、総スコア(加重調整オッズ比:1.10、95%信頼区間:1.05~1.16)、粗大運動能力(1.14、1.04~1.25)、微細運動能力(1.15、1.06~1.25)で神経発達障害の疑いリスクが高いことが明らかにされた。・ADにステロイドを使用した群や入院した群では、神経発達障害の疑いリスクの上昇が認められた。また、AD群ではADHDと同様に精神遅滞、心理的発達障害、行動・情緒障害との有意な関連性が認められた。 ただし、単一時点(6歳時)の結果だけでは全体的な発達の成果を判断することは困難であること、個々の子供の発達速度はまちまちであり、発達遅滞が疑われる子供であっても、最終的には正常な発達を示すことが多いことなどを、研究グループは述べている。 著者らは「この研究により、2歳以前にADを発症した子供は、6歳時の発達スクリーニング検査における神経発達障害と有意な関連があることが示された。さらに、ADのある子供は、ADHD、精神遅滞、心理的発達障害、行動・情緒障害などの神経発達障害のリスクが高いことがわかった。これらの関連性の基礎となるメカニズムは依然として不明であるため、さらなる研究が必要である」と結んでいる。

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妊娠高血圧症候群、出生児は全死因死亡リスクが26%高い/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)、とくに子癇および重症妊娠高血圧腎症の母親から生まれた児は、最長41年間(中央値19.4年)の追跡期間における全死亡、ならびに消化器疾患、周産期に起因する疾患、内分泌・栄養・代謝疾患および心血管疾患による原因別死亡のリスクが高いことが、中国・復旦大学のChen Huang氏らによるデンマークの国民健康登録を用いたコホート研究の結果、示された。HDPは、母体および胎児の発病や死亡の主な原因の1つであるが、母親のHDPが児の出生から青年期以降の長期にわたる死亡に及ぼす影響については明らかになっていなかった。BMJ誌2022年10月19日号掲載の報告。1978~2018年の出生児を対象に解析 研究グループは、デンマークの出生登録(Danish Medical Birth Register)、患者登録(Danish National Patient Register)、死亡登録(Danish Register of Causes of Death)のデータを用い、コホート研究を実施した。 対象は1978~2018年にデンマークで出生した児で、出生日から死亡日、移住日、または2018年12月31日のいずれか早い日まで追跡した。 主要評価項目は死亡登録で確認された全死因死亡、副次評価項目は特定の死因による死亡である。Cox回帰分析を用い、児の性別、単胎出産、経産回数、児の誕生年、母親の年齢、妊娠中の喫煙、居住地、出身国、妊娠前の教育、出産時の所得、妊娠前のBMI、糖尿病歴(有、無)、児の出生前の親の心血管疾患歴などの共変量で調整し、母親のHDPへの曝露と死亡との関連について解析するとともに、その関連が妊娠高血圧腎症の診断時期や重症度、母親の糖尿病歴、母親の教育によって異なるかどうかについても検討した。HDPの母親から生まれた児は全死因死亡リスクが26%高い 解析対象児は243万7,718例で、このうち母親がHDPであったのは10万2,095例(4.2%)で、内訳は6万7,683例が妊娠高血圧腎症、679例が子癇、3万3,733例が高血圧であった。 最長41年間(中央値19.4年、四分位範囲:9.7~28.7)の追跡期間において、母親が妊娠高血圧腎症であった児781例(10万人年当たり58.94)、子癇であった児17例(133.73)、高血圧であった児223例(44.38)、HDPではなかった児1万9,119例(41.99)が死亡した。 全死因死亡の累積発生率は、母親がHDPであった児(2.06%、95%信頼区間[CI]:1.82~2.34)がHDPではなかった児(1.69%、1.65~1.73)より高く、群間差は0.37%(95%CI:0.11~0.64)で、母親のHDPの人口寄与割合は1.09%(95%CI:0.77~1.41)と推定された。全死因死亡リスクは母親がHDPであった児で26%高く(ハザード比[HR]:1.26、95%CI:1.18~1.34)、母親が妊娠高血圧腎症、子癇、高血圧でHRはそれぞれ1.29(95%CI:1.20~1.38)、2.88(1.79~4.63)、および1.12(0.98~1.28)であった。 母親がHDPであった児の原因別死亡のリスクは、消化器疾患(HR:2.09、95%CI:1.27~3.43)および周産期に起因する疾患(2.04、1.81~2.30)で2倍以上に達し、次いで内分泌・栄養・代謝疾患(1.56、1.08~2.27)、心疾患(1.52、1.08~2.13)でそれぞれ56%、52%増加した。 また、全死因死亡のリスク増加は、早期発症かつ重症の妊娠高血圧腎症(HR:6.06、95%CI:5.35~6.86)、HDPと糖尿病歴(1.57、1.16~2.14)、HDPと教育レベルの低さ(1.49、1.34~1.66)を有する母親の児でより顕著であった。

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論文検索で困惑…医療略語が複数存在する疾患【知って得する!?医療略語】第22回

第22回 論文検索で困惑…医療略語が複数存在する疾患ITPの和訳がよく分かりません。教えてください。ITPには現在「特発性血小板減少性紫斑病」「免疫性血小板減少性紫斑病」「免疫性血小板減少症」の3つの和訳が存在するようです。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】    ITP【日本語/英字】特発性血小板減少性紫斑病/idiopathic thrombocytopenic purpura免疫性血小板減少性紫斑病/immune thrombocytopenic purpura免疫性血小板減少症/immune thrombocytopenia【分野】    血液【診療科】   血液内科・小児科【関連】    ―実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。筆者が学生の頃、血小板減少疾患であるITPは、特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)と覚えました。しかし、近年ITPが「免疫性血小板減少性紫斑病:immune thrombocytopenic purpura」と訳されているのを見かけるようになりました。医師国家試験関連の参考書を参照しても、ITPは「免疫性血小板減少性紫斑病」で記載されています。ITPの和訳は変更されたのでしょうか。調べてみると、成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019改訂版1)が存在します。また難病情報センターの登録難病の病名2)も特発性血小板減少性紫斑病となっています。一方、小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン2022年版というものも存在し、小児慢性特定疾病情報センターのサイトを見ると、免疫性血小板減少性紫斑病が告示病名3)となっています。また同サイトによれば、ITPは血小板減少があっても必ずしも紫斑を伴わないため「紫斑病」は除き、免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia: ITP)と表記するとの記載があります。しかし、それぞれの資料で疾患概要を調べてみると、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症は、同一の疾患です。ちなみに厚生労働省保険局が運営する傷病名マスター4)には、「特発性血小板減少性紫斑病」は存在しますが、「免疫性血小板減少性紫斑病」は登録されていません。ITPと同じように、同一疾患(病態)に複数の病名が存在して困惑するのが血球貪食症候群(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HPS)、血球貪食性リンパ組織球症 (hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)です5)。医学的知見の集積で、より適切な病名に変更されていくことに異義はありません。しかし、同一の疾患や病態に複数の病名が併存することは、少なからず混乱を生じます。まず、それぞれの病名で一見すると別疾患のように誤解を生じます。また、学会発表や論文作成をする時にどちらの用語を用いれば良いか迷いますし、症例集積などの臨床研究や文献検索においても支障を来すと考えられます。昨今注目される医療データ活用の観点でも、同一疾患に複数の病名が存在することは、医療データの活用を阻害しかねません。この問題は日本に医療用語の整備、統一病名変更を告知する組織がないことが原因だと思います。学会の垣根を越えて、用語の統一が図られることを切に願います。1)成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド 2019改訂版2)難病情報センター:特発性血小板減少性紫斑病(指定難病63)3)小児慢性特定疾病情報センター:免疫性血小板減少性紫斑病4)厚生労働省保険局:診療報酬情報提供サービス5)熊倉 俊一. 血栓止血誌. 2008;19:210-215.

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2歳児の陰茎が絞扼されていたまさかの原因【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第220回

2歳児の陰茎が絞扼されていたまさかの原因pixabayより使用知り合いの小児科医に原稿を見てもらったところ、この連載の日本語タイトルだけで疾患を当ててしまいました。小児の陰茎絞扼の原因として絶対に押さえておかないといけない疾患ですね。アレですよ、アレ。Baarimah A, et al.Penile Hair Tourniquet Syndrome (PHTS): A Case Report of a Two-Year-Old Boy.Case Rep Urol. 2022;2022:8030934.2歳の男児が3日前から陰茎の腫脹と痛みを訴えていました。近くの小児科医は抗菌薬入りの軟膏と鎮痛剤を処方しましたが、症状は改善しませんでした。次第に尿閉が悪化していたことから、母親と共に救急外来を受診しました。陰茎は浮腫と圧痛がひどく、壊死には至っていないものの、変色が進んでいました。陰茎の基部に、ひどく絞扼されている部位があったそうです。拡大したところ、どうやら髪の毛が巻き付いているのでは…という結論に至りました。紛れもない、「ヘアーターニケット」です。これを読んでいる医師の皆さんは、ヘアーターニケットについてはもうご存じかと思いますが、一応確認しておきましょう。髪の毛や糸が、指先、場合によっては陰茎に巻き付いて、血行を阻害する状態のことです。濡れた髪の毛が体の一部に巻き付いて、乾くことでそれがギュっと引き締まって、このような病態になります。最初は、リンパと静脈の逆流が影響を受け、陰茎遠位部の浮腫と腫脹を引き起こします。これが進行し、最終的には動脈流に影響を及ぼし、陰茎の患部の虚血、最悪の場合、壊死、切断に至ります。陰茎切断はマジ勘弁です。この2歳児のヘアーターニケットの原因となっていた毛髪は、顕微鏡下で切断されました。8Frのカテーテルが通され、尿道が無事であることが確認されました。やれやれ、一安心です。この症例もそうでしたが、一般的にヘアーターニケットの原因となるのは母親の毛髪です。陰茎のヘアーターニケットの場合、赤ちゃんのおむつに毛髪が入り込んで、中で陰茎に巻き付いてしまうことが原因とされています1)。とくに子育て世代の読者の皆さんは、おむつの中に長い髪の毛を落とさないよう、注意が必要です。1)Rawls WF, et al. Case report: penile strangulation secondary to hair tourniquet. Frontiers in Pediatrics. 2020;8(8):477.

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母親の産後うつ病と子供のADHDとの関係~メタ解析

 産後うつ病(PPD)は、出産後、女性のメンタルヘルスや気分に重大な影響を及ぼす。これまでの研究によると、家族にとっての不運な出来事や母親の精神症状の出産後のレベルが、子供の注意欠如多動症(ADHD)と関連していることが示唆されている。ギリシャ・アテネ大学のVasileia Christaki氏らは、母親の産後うつ病と子供のADHDリスクとの関連を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、母親の産後うつ病と子供のADHDとの関連が明らかとなったが、同時にさまざまな地理学的地域におけるさらなる研究が必要であることも示唆された。Journal of Affective Disorders誌2022年12月1日号の報告。産後うつ病と子供のADHDリスク増加との関連が認められた 2021年2月28日までに公表された英語の研究をPsycINFO、PubMed、Google Scholar、Embaseより検索した。分析には、変量効果メタ解析およびメタ回帰分析を用いた。研究デザイン、地理学的地域、調整レベル、研究の設定によりサブグループ解析を実施した。 産後うつ病と子供のADHDリスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・2003~19年に公表されたコホート研究9件とケースコントロール試験2件のうち、8件をメタ解析に含めた。・全体として、母親の産後うつ病と子供のADHDリスク増加との関連が認められた(プールされた相対リスク[RR]:1.69、95%信頼区間[CI]:1.27~2.26)。・サブグループ解析では、コホート研究、多変量解析実施研究、レジストリベース調査において有意な関連が認められた。・有意な出版バイアスが認められた(Egger's test:p=0.035)。・開発途上国での研究は、過小評価されている可能性が示唆された。・本研究のデータは自己報告に依存しており、減少バイアスにより適格研究の妥当性が限界として挙げられる。

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第16回 オンライン診療でインフルエンザと診断してよいか?

政府から示されたオンラインスキームインフルエンザ流行るぞ!という意見が台頭してきましたが、未来のことは誰にもわかりません。しかし、新型コロナ第8波とインフルエンザ流行がかぶると、発熱外来の逼迫は必至です。そのため、政府としても、医療が必要な人以外はできるだけ病院に来ないよう策を講じる必要がありました。ここで示されたのが、「新型コロナ自己検査+インフルエンザオンライン診断」の流れです1)。病院に来なくても、新型コロナとインフルエンザが診断できる「かもしれない」、というスキームです。具体的には図のようになります。オンライン診療というのが結構カッコイイ感じになっていますが、Zoomなどの診療を整備している施設は少数派で、実際には電話診療が多いと思います。電話って個人的には「オンライン」じゃなくて「オフライン」だと思っているのですが…。まあいいでしょう。画像を拡大する図. 新型コロナ・インフルエンザ同時流行時のスキーム(筆者作成:イラストは看護roo!、イラストACより使用)遠隔でインフルエンザ診断さて、このフローで気になるのは、検査なしでオンライン診療によるインフルエンザの確定診断が可能という点です。必要があれば、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬を遠隔で処方することができます。確かにインフルエンザは、(1)突然の発症、(2)高熱、(3)上気道炎症状、(4)全身倦怠感などの全身症状がそろっていれば、医師の判断でそうであると診断することができるので、検査が必須というわけではありません。インフルエンザだと典型的な症状で類推できるとは思いますが、新型コロナ陰性ならインフルエンザだ!というロジックです。オンライン診療という名の電話診察だけでも抗ウイルス薬を処方してしまってよいのか、少しモヤモヤが残ります。限られた医療資源で対応していくしかないのでしょうが、どんどんフローが複雑化していき、一体病気になった時どこに連絡していいのかわからないという患者さんが増えていくのではないかという懸念もあります。インフルエンザ治療薬の考え方日本は医療資源が潤沢ですから、インフルエンザと診断されれば抗ウイルス薬がほぼルーティンで投与されます。今シーズン(2022年10月~2023年3月)の供給予定量(2022年8月末日現在)は約2,238万人分とされています2)。タミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩 中外製薬)約462万人分オセルタミビル(一般名:オセルタミビルリン酸塩 沢井製薬)約240万人分リレンザ(一般名:ザナミビル水和物 グラクソ・スミスクライン)約215万人分イナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 第一三共)約1,157万人分ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル 塩野義製薬)約137万人分ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物 塩野義製薬)約28万人分現状、インフルエンザの特効薬のような位置付けになっていますが、合併症のリスクが高くない発症48時間以内に治療を行ったとしても、有症状期間が約1日短縮される程度の効果であることは知っておきたいところです。■オセルタミビル20試験・ザナミビル46試験を含むレビューでは、オセルタミビルは成人インフルエンザの症状が緩和されるまでの時間を16.8時間(95%信頼区間[CI]:8.4~25.1)、ザナミビルは0.60日(14.4時間)(95%CI:0.39~0.81)短縮した3)。■バロキサビル マルボキシルまたはプラセボによる治療を受けた12歳以上の外来のインフルエンザ2,184例を含んだランダム化試験において、バロキサビル マルボキシル治療は症状改善までの期間を中央値で29.1時間(95%CI:14.6~42.8)短縮した4)。参考文献・参考サイト1)厚生労働省 新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース2)厚生労働省 令和4年度 今冬のインフルエンザ総合対策について3)Jefferson T, et al. Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in adults and children. Cochrane Database Syst Rev . 2014 Apr 10;2014(4):CD008965.4)Ison MG, et al. Early treatment with baloxavir marboxil in high-risk adolescent and adult outpatients with uncomplicated influenza (CAPSTONE-2): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Infect Dis. 2020 Oct;20(10):1204-1214.

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不整脈チームで試練の1ヵ月!【臨床留学通信 from NY】第39回

第39回:不整脈チームで試練の1ヵ月!先月は主に不整脈チームに配属されて、病棟のコンサルテーションを担当しました。米国では、心房細動にアミオダロンが使えるところが日本と大きく異なり、それ以外に、dronedarone、dofetilideといった聞きなれない薬も使用したりします。私は大学病院にいた期間が実は短かったため、不整脈研修も短く、大学関連病院にいた際にはアブレーションが可能な施設ではなかったこともあり、心血管インターベンションの素地はあっても、不整脈の専門的な薬剤、植込み型除細動器(ICD)などのデバイスチェックなどは非常に苦手な分野のため、ある意味、試練の1ヵ月でした。たとえば術後の心房細動などは、過去の研究からはリズムコントロールとレートコントロールに差がないこと1)は知ってはいましたが、それでもリズムコントロールを推し進めるのを好む不整脈医もいます。そして日本と比べると、すぐに除細動をするのも多い印象で、とりあえず1回依頼があったら心房細動罹患期間が長くてもトライしたり、逆に、抗不整脈薬を導入する時は、訴訟対策なのか、経食道心エコーなどで左心耳の血栓をかなり慎重に確認したりすることも多いです。米国の医療システム、とくに外来は、日本に比べてはるかに貧弱です。心房細動の頻脈で心不全を来していないような比較的軽症例でも、外来では治療できず、救急外来からほぼ入院となってしまう背景があるため、早めのリズムコントロールをより好むのかもしれません(ただし、早めのリズムコントロールが好ましい、というデータは昨今出てきてはいます2))。私は今、一般循環器内科(general cardiology)フェローの身分ですので、電気生理学(electrophysiology)を選べば、米国で華麗に不整脈医に転身することもできますが、やはり苦手なのでやめておこうと思います。しかし、改めて不整脈を少しかじると、薬物治療ではほかの循環器医がタッチしにくい治療をしたり、増え続ける心房細動のアブレーション、重症心不全のCRT(心室再同期療法)、致死的な心室性不整脈のアブレーション、リードレスペースメーカー、突然死の1次・2次予防のICD、皮下植込み型除細動器(S-ICD)など多彩な仕事があったり、かつカテーテル治療医に比べて夜間に働く必要性が低いことから、本当に魅力的な領域だと思います。参考1)Gillinov AM, et al. Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery. N Engl J Med. 2016;374:1911-1921.2)Kirchhof P, et al. Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2020;383:1305-1316.Column最近私のグループから、妊娠中のコロナワクチン接種に関するメタ解析がJAMA Pediatrics誌に掲載されましたのでご覧ください。筆頭著者の先生から、1年前に直接私のメールアドレスをたどって連絡をいただきました。米国の集中治療(critical care)志望ということで、コロナ関連なら何か指導ができると考えました。そして指導してから3つ目でJAMA系とは、素晴らしいです。私は主にコンセプトと方法論を担当しました。共同筆頭著者の先生は、大学時代のテニス部のダブルスパートナーで小児科医のため、内容のサポートを頼みました。まさにダブルスペーパーと言えると思います。Watanabe A, Yasuhara J, Kuno T, et al. Peripartum Outcomes Associated With COVID-19 Vaccination During Pregnancy: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2022 Oct 3. [Epub ahead of print]

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FDA、小児へのモデルナとファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は10月12日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、小児への単回追加接種の対象年齢を拡大したことを発表した。モデルナの2価ワクチンは、これまで18歳以上だったものが6~17歳にも承認され、ファイザーの2価ワクチンは、12歳以上だったものが5~11歳にも承認された。それぞれ初回シリーズから最低2ヵ月の接種間隔を経て接種が許可されている。 今回の小児への2価ワクチン承認拡大に伴い、ファイザーの従来の1価ワクチンは、5~11歳に対する追加接種としての使用ができなくなる。ただし、モデルナおよびファイザーの1価ワクチンは、初回シリーズとして、生後6ヵ月以上を対象とした接種は引き続き承認されている。 今回のFDAによる承認は、両社のBA.1対応2価ワクチンの成人における追加接種の臨床試験で評価された免疫反応と安全性に関するデータに依拠している。また、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン単回追加接種の安全性については、12~17歳(約1,300例)、6~11歳(約1,300例)が参加した同社の1価ワクチンの臨床試験に基づいている。追加接種後に最も多く報告された副反応は、注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、注射した腕のリンパ節腫脹、悪心/嘔吐、発熱などがあり、BA.4/5対応2価ワクチン接種者も、これと同様の副反応を経験する可能性がある。ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンについても、同社の1価ワクチン接種者と同様の副反応を経験する可能性があるとしている。 日本においては、ファイザーの日本法人が、10月13日付のプレスリリースにて、5~11歳の小児に対するBA.4/5対応2価ワクチンについて、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。

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基礎疾患がある若年者、コロナワクチン後の抗体陽性率高い/成育医療研究センター

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏らによって、免疫抑制状態を含む基礎疾患を有する12~25歳の患者における新型コロナワクチン接種後の安全性と抗体価が調査された。その結果、基礎疾患のある患者であっても、ワクチン2回接種後の抗体陽性率は高く、その抗体価は12~15歳の患者のほうが16~25歳の患者よりも高いことが明らかになった。これまでの新型コロナワクチンに関する調査は主に健康な人を対象としており、基礎疾患を有する小児や青年での安全性や抗体価の情報は限られていた。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2022年9月21日掲載の報告。 本調査の対象は、何らかの基礎疾患のある12~25歳の患者で、2021年7~10月にBNT162b2(ファイザー製ワクチン)を2回接種した429例であった。年齢中央値は15.0歳(四分位範囲:13.0~18.0歳)、12~15歳が241例(56.2%)、16~25歳が188例(43.8%)、男性が204例(47.6%)であった。最も多かった基礎疾患は遺伝/染色体疾患/先天奇形(67例、15.6%)で、内分泌/代謝疾患(55例、12.8%)、神経疾患(47例、11.0%)、肝疾患(43例、10.0%)と続いた。なお、基礎疾患が複数ある場合は、主たる基礎疾患を研究者が1つ選択した。免疫抑制状態の患者は138例(32.2%)であった。 安全性は、接種後1週間以内の副反応を紙媒体もしくはウェブを用いたアンケートによって調査し、接種後1ヵ月以内の入院を要する副反応は電子カルテを用いて調査した。抗体価は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体をワクチン接種2週間~4ヵ月後に測定した。年齢(12~25歳、16~25歳)や免疫不全の有無などで比較検討を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン2回接種後、1週間以内の38℃以上の発熱は、12~15歳では35.7%、16~25歳では28.0%であった。免疫機能が正常な患者では36.2%、免疫抑制状態の患者では24.1%であった。・重篤な副反応で入院を要したのは、1回目接種後は0例、2回目接種後は12~15歳で1例(0.4%)、16~25歳で2例(1.1%)であった。いずれの患者も回復して退院した。・ワクチン2回接種後の抗体陽性率は、抗体価を測定した397例中393例(99.0%)であった。12~15歳では552例中221例(99.5%)、16~25歳では175例中172例(98.3%)、免疫機能が正常な患者では264例中264例(100%)、免疫抑制状態の患者では133例中129例(97.0%)であった。・抗体価の幾何平均抗体価は、12~15歳が1603.3 U/mL(95%信頼区間[CI]:1321.8~1944.7 U/mL)、16~25歳が949.4 U/mL(同:744.2~1211.1 U/mL)であった。免疫機能が正常な患者では2106.8 U/mL(同:1017.5~2314.7 U/mL)、免疫抑制状態の患者では467.9 U/mL(同:324.4~674.8 U/mL)であった。・ステロイドや生物学的製剤などの複数の免疫抑制薬を服用している患者では、より低い抗体価を示す傾向があった。 同氏らは、「BNT162b2は、基礎疾患のある小児や青年において、許容可能な安全性を有しつつ免疫原性を高めた。この集団におけるワクチン接種後のまれな副反応を評価するためにはさらに大規模な調査が必要である」とまとめた。

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診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回

第43回 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント医業承継とは、後継者不在の開業医が、診療所を第三者に承継・譲渡する取り組みです。最近、医業承継が注目されている背景には、国内で急速に進む少子高齢化があります。開業医の平均年齢は60歳を超えて上がり続けており、子供が医師でない、医師ではあっても診療所を引き継ぐ予定はない、という開業医にとって、第三者への承継は大きな選択肢です。ケアネットのグループ会社、ケアネットワークスデザインは、2020年に医業承継サービスを開始しました。医業承継は売り手、買い手、患者、スタッフそれぞれにメリットがある「四方良し」の取り組みです。売り手:譲渡対価が得られる。患者やスタッフが継続して通院、継続して勤務できる環境を残すことができる。買い手:患者を引き継ぐことができ、開業資金を抑えられるためリスクの少ない開業ができる。患者:通い慣れた診療所に継続して通院できる。診療記録も引き継がれる。スタッフ:慣れた職場に継続して勤務できる。今回、CareNet.com上で連載した医業承継の実際がわかるマンガコラム「ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソ」が冊子にまとまりました。マンガと解説で、売り手・買い手の医師双方の立場から、陥りやすい失敗や注意すべきポイントをわかりやすくまとめています。医業承継を詳しく知りたい医師の方に無償でお配りしておりますので、ご希望の方は下記のフォームより、必要事項を記入のうえ、お申し込みください(先着30名様)。▼申込みURLはこちらhttps://career.carenet.com/lp/221012/※締め切り:2022年10月21日(金)※結果は発送をもって替えさせていただきます。

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育児期の母親の超加工食品摂取で子の肥満リスク増/BMJ

 育児期の母親の超加工食品摂取は、母親および子のライフスタイルリスク因子とは関係なく、子の過体重や肥満のリスク増加と関連するという。米国・マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部のYiqing Wang氏らが、3つの前向きコホート試験データを解析して示した。著者は、「さらなる研究を行い、今回示された所見を確認し、根底にある生物学的メカニズムおよび環境決定要因を解明する必要がある」と述べるとともに、「いずれにせよ今回のデータは、子の健康を守るために、妊娠可能年齢の女性の食事に関する推奨事項の重要性と、栄養を改善するためのプログラム開発を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2022年10月5日号掲載の報告。母子1万9,958組について母親の超加工食品摂取と子の過体重/肥満の関連を調査 研究グループは、周産期および育児期の母親の超加工食品摂取と、小児期・思春期の子の過体重/肥満の関連を調べるため、米国で行われたNurses' Health Study II(NHS II)と、Growing Up Today Study(GUTS IおよびII)の3つの住民ベースコホート試験のデータを解析した。 対象者は、子供が18歳または過体重/肥満を発症するまで中央値4年間(IQR:2~5)の追跡評価を受けた1万9,958組の母親と子(男子45%、登録時年齢7~17歳)。母子2,925組の周産期の食事に関する情報が、サブサンプルとして入手可能であった。 一般化された推定方程式と交換可能な相関構造を備えた多変数調整対数二項モデルを用いて、きょうだい間の相関関係を評価するとともに、国際肥満タスクフォースによって定義された子の過体重または肥満の相対リスクを推定した。最多摂取グループは最少摂取グループと比べ、子の過体重/肥満リスク1.26倍 完全解析コホートにおいて、過体重/肥満を発症した子は2,471例(12.4%)であった。確定されている母親のリスク因子と子の超加工食品摂取、身体活動度、座位時間、母親の育児期の超加工食品摂取について補正後、母親の超加工食品摂取が最も多いグループ(グループ5)は、最も少ないグループ(グループ1)と比べて、子の過体重/肥満リスクが26%高かった(相対リスク[RR]:1.26、95%信頼区間[CI]:1.08~1.47、傾向のp<0.001)。 周産期の食事に関する情報が得られたサブサンプルでは、同様にグループ5のリスクがグループ1と比べて高かったが、周産期の超加工食品摂取と子の過体重/肥満リスク増大(発症者845例[28.9%])との関連は有意ではなかった(グループ5 vs.グループ1のRR:1.17、95%CI:0.89~1.53、傾向のp=0.07)。 これらの関連には、年齢、性別、出生時体重、妊娠期間または母体体重などによる影響はみられなかった。

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世界初・日本発、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」治療薬で患者QOLの早期改善に期待/マルホ

 2022年9月15日、マルホ主催によるプレスセミナーが開催され、同年8月に発売されたアトピー性皮膚炎(AD)のかゆみの治療薬、抗IL-31受容体A抗体ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)について、京都大学医学研究科の椛島 健治氏が講演を行った。かゆみは、AD患者の生活の質(Quality of Life:QOL)を著しく低下させる。椛島氏は、「これまでADのかゆみを有効に抑えることが困難だった。かゆみを改善し、ADを早期に良くしていくことが本剤の狙いであり、画期的ではないか」と述べた。 ADは、増悪・寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を特徴とする慢性の皮膚疾患である。その病態は、皮膚バリア機能異常、アレルギー炎症、かゆみの3要素が互いに連動し、形成される(三位一体病態論)。国内には推計約600万人のAD患者がおり、年々増加傾向にある。このように身近な疾患であるADは、治療法も確立されているかのように見える。しかし、AD患者の悩みは深刻だ。かゆみで「眠れない」「集中できない」悩めるAD患者 AD患者は、蕁麻疹、乾癬、ざ瘡や脱毛症患者の中でQOLが最も障害されている。その要因の1つに、かゆみ症状が挙げられる。かゆみに伴う掻破行動は、皮膚症状の悪化を招くだけでなく、さらにかゆみを増強させる悪循環(イッチ・スクラッチサイクル)を引き起こす。ADのかゆみは強く、かゆみ閾値の低下、抗ヒスタミン薬が効きにくい、嗜癖的掻破行動、夜間の強いかゆみ、増悪因子が多数あるなどの特徴があり、治療に難渋する医師も多いという。実際、医師のアンケート調査において、13歳以上のAD患者の約30%はかゆみコントロールが不十分であるとされている。 AD患者にとって、治療目標の最たるものは「かゆみをなくしたい」である。AD患者は、とくに夜~就寝後の時間帯でかゆみを強く感じる。約半数がかゆみによって寝付けず、途中で目覚めるともいわれ、睡眠が大きく障害されていることがわかる。さらに、仕事への影響も深刻であり、約30%が「仕事ができない」という。それにもかかわらず、AD患者に薬物治療で不満な点を尋ねると、「かゆみが十分に改善されない」が最も多く、「皮膚症状が十分に改善されない」よりも多かった。かゆみの対策は、長く臨床上のアンメットニーズとなっていた。アトピー性皮膚炎のかゆみメディエーター IL-31の登場 IL-31は、かゆみを誘発するサイトカインであり、ADに伴うかゆみの発生に深く関与している。ADの病態において、活性化Th2細胞から産生されたIL-31は、神経細胞などに発現するIL-31受容体Aに結合し、神経伝達を介して脳にかゆみを伝える。同氏らは、十数年前よりIL-31に着目し、抗IL-31受容体A抗体ミチーガの創製元である中外製薬および、製造販売元であるマルホと共に開発を行ってきた。ミチーガは早期からかゆみを改善 ミチーガは、IL-31受容体Aを競合的に阻害することでかゆみの抑制作用を示す、世界初の抗体医薬品である。全国69施設が参加した国内第III相臨床試験において、既存治療を実施したにもかかわらず中等度以上のそう痒を有するAD患者を対象に、有効性と安全性が検討された。 主要評価項目である投与開始16週後のそう痒VAS※変化率は、プラセボ群(72例)で-21.39%、ミチーガ群(143例)で-42.84%であり、ミチーガ群で有意にかゆみが改善した。かゆみの改善は初回投与の1日後から観察され、「かゆみを抑える効果が非常に早い」(同氏)。そのほか、睡眠やQOLも有意に改善したことが示された。一方、主な副作用は、皮膚感染症(18.8%)、AD(18.5%)であった。同氏は、本剤使用時の留意点として「かゆみが治まってもしっかり塗り薬は続けてほしい」ことを患者に伝えるべき、とした。 従来の治療法は炎症抑制作用を主なターゲットとする一方、本剤は、患者の主訴であるかゆみに着目した薬剤である。かゆみに対する新たな治療選択肢が広がることにより、AD患者の早期のかゆみ改善およびQOL改善に寄与することを期待したい。 なお、本剤は最適使用推進ガイドライン対象品目となっている。※そう痒VAS(Visual Analogue Scale):0をかゆみなし、100を想像されうる最悪のかゆみとして患者が評価

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デュピルマブ、6歳未満のアトピー性皮膚炎にも有効/Lancet

 6歳未満のアトピー性皮膚炎患児の治療において、インターロイキン(IL)-4とIL-13を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体デュピルマブはプラセボと比較して、皮膚症状や徴候を有意に改善し、安全性プロファイルも許容範囲であることが、米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが実施した「LIBERTY AD PRESCHOOL試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年9月17日号に掲載された。北米と欧州の第III相無作為化プラセボ対照比較試験 LIBERTY AD PRESCHOOL試験は、中等症~重症のアトピー性皮膚炎の幼児におけるデュピルマブの有効性と安全性の評価を目的とする第II/III相試験であり、今回は第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験の結果が報告された(SanofiとRegeneron Pharmaceuticalsの助成を受けた)。本研究は、北米と欧州の31施設で行われ、2020年6月30日~2021年2月12日の期間に参加者が登録された。 対象は、生後6ヵ月~<6歳の中等症~重症のアトピー性皮膚炎で、糖質コルチコイドによる局所治療の効果が不十分な患児であった。被験者は、low-potencyの糖質コルチコイド(酢酸ヒドロコルチゾン1%含有クリーム)による局所治療に加え、デュピルマブまたはプラセボを4週ごとに16週間、皮下投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、16週時のInvestigator’s Global Assessment(IGA)スコア0~1点(皮膚症状が消失またはほぼ消失)とされた。主要エンドポイント:28% vs.4% 162例(年齢中央値4.0歳、男児61%)が登録され、デュピルマブ群に83例、プラセボ群に79例が割り付けられた。それぞれ82例(99%)および75例(95%)が、試験薬の投与を完遂した。 16週時に、IGAスコア0~1点を達成した患児は、デュピルマブ群が23例(28%)と、プラセボ群の3例(4%)に比べ有意に優れた(群間差:24%、95%信頼区間[CI]:13~34、p<0.0001)。 主な副次エンドポイントであるEczema Area and Severity Index(EASI)のベースラインから16週までの75%以上の改善(EASI-75)を達成した患児は、それぞれ44例(53%)および8例(11%)であり、デュピルマブ群で有意に割合が高かった(群間差:42%、95%CI:29~55、p<0.0001)。 また、EASIのベースラインから16週までの変化率(デュピルマブ群-70.0% vs.プラセボ群-19.6%、群間差:-50.4%、95%CI:-62.4~-38.4、p<0.0001)および最悪の痒み/掻破の数値評価尺度(NRS)スコアのベースラインから16週までの変化率(-49.4% vs.-2.2%、-47.1%、-59.5~-34.8、p<0.0001)は、いずれもデュピルマブ群で有意に良好だった。 16週の投与期間中に、1つ以上の治療関連有害事象を発現した患児は、デュピルマブ群が83例中53例(64%)、プラセボ群は78例中58例(74%)であり、両群で同程度であった。とくに注目すべき有害事象として、デュピルマブ群で結膜炎が3例(4%)に認められた(プラセボ群は0例)。デュピルマブ関連の有害事象では、アトピー性皮膚炎のフレアによる治療中止が1例みられたが、重篤な有害事象は発現しなかった。 著者は、「これらの結果は、アトピー性皮膚炎の幼児におけるデュピルマブの有効性に関する重要な臨床データであり、世界中の臨床現場に有益な情報を提供し、変化をもたらす可能性がある」としている。

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アジア人の小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの長期的な有用性

 韓国・Severance HospitalのByoung-Uk Kim氏らは、6~17歳のアジア人小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの長期的な改善効果と安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果、アリピプラゾールは、小児期自閉スペクトラム症患者の問題行動や適応機能を改善し、その効果は治療開始から1年近くまで持続しており、忍容性も良好であることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌2022年9月号の報告。 自閉スペクトラム症患者に対する12週間のアリピプラゾール治療の有効性および安全性を評価した先行研究の後に、52週間の非盲検フレキシブルドーズ(2~15mg/日)による延長試験を実施した。有効性の評価には、異常行動チェックリスト(ABC)、臨床全般印象度(CGI)、子供のYale-Brown強迫尺度(CY-BOCS)、Vineland適応行動尺度(VABS)、PSI育児ストレスインデックスショートフォーム(PSI-SF)を用いた。安全性および忍容性の評価には、有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査、体重、錐体外路症状(EPS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・52週間の治療期間中に、ABC、CGI、CY-BOCS、VABS、PSI-SFのスコアを含むすべての有効性の改善が認められた。・安全性では、治療による有害事象(TEAE)を経験した患者の割合は、58.62%(58例中34例、75件)であった。・最も一般的なTEAEは、鼻咽頭炎20.69%(58例中15例)であり、発生率10%以上のTEAEは体重増加(18.97%、58例中11例)であった。・薬剤性副作用は27.59%(58例中16例、28件)で認められ、体重増加(15.52%、58例中9例)が最も多かった。・重篤な有害事象の発生率は5.17%(58例中3例、3件)で認められた。発現した骨端線離開、発作、自殺企図は、薬剤性の副作用ではなかった。・EPSの評価においては、臨床的に有意な変化は観察されなかった。

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ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチン、6ヵ月~4歳用1価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は10月5日、ファイザーのオミクロン株BA.4/5に対応した追加接種用の新型コロナウイルス2価ワクチンについて承認事項の一部変更の特例承認をしたこと、および同社の生後6ヵ月~4歳用の新型コロナウイルス1価ワクチンを特例承認したことを発表した。コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5) 接種対象者が12歳以上であるオミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンの販売名は「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」となる。一部変更承認の概要として、起源株およびオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む2価ワクチンが追加され、有効成分のトジナメランはSARS-CoV-2の起源株を、リルトジナメランはオミクロン株BA.1を、ファムトジナメランはオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAだとしている。9月12日に承認された「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」の有効成分はトジナメランおよびリルトジナメラン、今回承認された「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の有効成分はトジナメランおよびファムトジナメランとなっている。 本剤の用法・用量は、追加免疫として、1回0.3mLを筋肉内に接種する。なお、接種間隔については、通常、前回の接種から少なくとも5ヵ月経過した後に接種を行うことができるとしているが、接種間隔の短縮について現在検討が成されており、10月下旬までに結論を得るという。 本剤の添付文書によると、変異株に対する中和抗体生産能として、マウスに1価(起源株)製剤を21日間隔で2回投与し、その1ヵ月後に1価(起源株)製剤、2価(起源株・オミクロン株BA.1)製剤または2価(起源株・オミクロン株BA.4/5)製剤を1回投与したところ、3回目投与から1ヵ月後、いずれの群でも起源株、デルタ株およびオミクロン株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1およびBA.4/5)に対する中和抗体産生が認められ、オミクロン株BA.4/5に対する中和抗体価は、1価(起源株)製剤群および2価(起源株・オミクロン株BA.1)製剤群よりも2価(起源株・オミクロン株BA.4/5)製剤群で高値を示したとしている。コミナティ筋注6ヵ月~4歳用 生後6ヵ月~4歳用1価ワクチンの一般名は「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(有効成分名:トジナメラン)」、販売名は「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用」となる。用法・用量は、本剤を日局生理食塩液2.2mLにて希釈し、1回0.2mLを合計3回、筋肉内に接種する。2回目は通常、3週間の間隔で、3回目は2回目の接種から少なくとも8週間経過した後に接種するとしている。 本剤の添付文書によると、6ヵ月~4歳の小児(6~23ヵ月群:82例、2~4歳群:143例)を対象としたC4591007試験第II/III相パートにおいて、本剤3μgを3回目接種後1ヵ月のSARS-CoV-2血清中和抗体価を評価した結果、6~23ヵ月群の幾何平均抗体価(GMT):1,406.5(両側95%信頼区間[CI]:1,211.3~1,633.1)、2~4歳群のGMT:1,535.2(95%CI:1,388.2~1,697.8)となり、本剤30μgを2回接種した16~25歳群に対して免疫ブリッジングの成功基準を満たしたとしている。また、6~23ヵ月群1,776例、2~4歳群2,750例が参加した安全性の評価では、治験薬接種後7日間の主な副反応の発現状況として、6~23ヵ月群では注射部位圧痛、食欲減退、傾眠、易刺激性、発熱(38.0℃以上)、2~4歳群では注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱(38.0℃以上)が報告されている。 なお、オミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンについては、10月5日に、モデルナ・ジャパンも同社の「mRNA-1273.222」を、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことをプレスリリースにて発表した。

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第14回 インフルエンザが流行すると、結局発熱外来が逼迫する構図

インフルエンザシーズンにおける混乱さて、インフルエンザシーズンとCOVID-19の第8波がやって来るのかどうかが、喧々囂々と議論が交わされています。もちろん、波がやって来ないに越したことはないのですが、どの専門家も「来るだろう」と言っています。次に到来するウイルスが、BA.5程度の変異株であれば、広くワクチン追加接種を行うことで、死亡者数を少なくすることができると思われます。諸外国のように、さらに感染者が増えてくると、ハイブリッド免疫を有する人が多くなるので、そこまでインパクトのない波になるかもしれません。現在多くの自治体では、新型コロナの自己検査を行い、その結果が陽性なら陽性者登録センターに連絡する形になっていますが、インフルエンザシーズンにおいて新型コロナが陰性であれば、皆さんどうするでしょうか?引き続き高熱が出ていたら、インフルエンザの検査をしたいと思う人が多いかもしれません(個人的には、このあたりをどうガイダンスするかだと思っていますが…)。COVID-19の自己検査が陰性であった場合、熱がある人はおそらく発熱外来に通されることになるでしょう。インフルエンザとCOVID-19の交差が起こってしまいますが、この動線を分離できる医療機関はほとんどないと思います。インフルエンザの抗原検査キットのOTC化を現場として1つ問題提起したいのは、インフルエンザの自己検査ができるようにしてほしいという点です。抗原定性キットをドラッグストアなどで購入できるよう、是非とも解禁していただきたい。COVID-19の抗原定性検査キット市販は特例的に承認されたものですが、インフルエンザ抗原検査キットを承認しないというのは、いささか不自然です。2つとも同じ検査法ですから、患者さんにとってテクニカルに検査がしにくいということもありません。自己検査は十分可能でしょう。また、現在は抗原定性検査に、COVID-19とインフルエンザの両方が測定可能な同時検査キットが登場しており、すでに薬事承認を受けています(表)1)。これが一般的に広く普及すれば、1回のぬぐい液で2つのウイルスを調べることが可能です。画像を拡大する表. COVID-19とインフルエンザの両方が検査可能な薬事承認抗原定性検査(参考文献1より筆者作成)規制改革推進会議 第8回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループでは、厚生労働省とこのようなやり取りが行われています(一部日本語表現を変更)2)。「冬を念頭に置く中で、今度はインフルエンザのほうも出てくる可能性があるのではないかと思っております。インフルエンザについても抗原検査キットと一緒に検査できるようなキットも考えうるところだと思います。コロナに比べると、現時点では感染症法上の位置付けとしても、エビデンス上もインフルエンザのほうがまだリスクが低いということだと思います。そうであるとすると、インフルエンザに関してもOTC化をすることも考えられるのではないかと思いますが。」という専門委員の質問に対して、厚労省(厚生労働省大臣官房審議官)は、以下のような回答をしています。「今回のコロナの検査キットOTC化というのは現下のパンデミックの状況に鑑み、特例的に対応を進めております。インフルエンザのキットのOTC化というのは、現時点で予定はしておりません。」参考文献・参考サイト1)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報2)内閣府 規制改革推進会議 第8回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ 議事概要

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血管腫・血管奇形ガイドラインが5年ぶりに改訂

 第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会(2022年9月16~17日)において、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン改訂について」(科研製薬共催)と題したセミナーが開催され、秋田班ガイドライン改訂統括委員長を務める新潟大学大学院小児外科学分野の木下 義晶氏が解説した。 今回のガイドラインは、第1版である「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」、第2版である「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」に次いだ第3版となり、名称は「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」となる見込みという。本ガイドラインの作成は2020年から開始され、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017に則して作成されている。 第2版では33個のクリニカルクエスチョン(CQ)が採用されていたが、本ガイドラインでは内容が拡充され38個のCQが採用される。そのうち、第2版から継続されたCQが20個、改訂されたCQが6個、第2版以前にはなく新たに設定されたCQが12個となる。約3分の1が新しいCQであり、とくに形成外科医により設定されたCQが多く増える見込みとなる。新しいCQの中には、リンパ管奇形に対する漢方薬の有効性に関する内容や乳児血管腫に対するプロプラノロールの使用時期に関する内容などが含まれる予定となる。また、前版からの大きな違いとして、一般向けのサマリーが各CQの解説文に追加され、患者にとってもわかりやすい言葉で記載され理解を促すことができるという。 現在はパブリックコメントの募集、ガイドラインの英文化を進めており、2022年中に公開が予定されている。

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英語で「母乳と粉ミルク」は?【1分★医療英語】第48回

第48回 英語で「母乳と粉ミルク」は?How much do you breastfeed and formula feed?(母乳と人工乳の量はどのような感じですか?)Recently, I give my baby formula only.(最近は粉ミルクしか飲ませていません)《例文》医師Do you have any trouble breastfeeding?(何か母乳のトラブルなどの心配はありますか?)患者I feel like I do not produce enough breastmilk.(母乳の量が少ないような気がします)《解説》今回は小児患者さんにおける特有の表現をお伝えします。「母乳」と「人工乳(粉ミルク)」をそれぞれ“breastmilk”、“formula”というのですが、母乳、粉ミルクを与える行為のこと(母乳栄養/人工乳栄養)のことはそれぞれ“breastfeeding”、“formula feeding”と表現します。“breastfeeding”は一語ですが、“formula feeding”はなぜか2語です。“formula feeding”はほかにも“bottle-feeding”という言い方もあり、これは文字の通り「哺乳瓶」での“feeding”であり、「粉ミルクを与える行為一般」を指します。こちらに関してはなぜか“bottle”と“feeding”の間にハイフンを入れるのが一般的です(表記がそれぞれ違って混乱しますが、あまり気にしなくて大丈夫です)。“formula”という言葉はあまり日本人には馴染みがないので、とっさに言葉が出てこない際は“bottle-feeding”を使えば、問題なく患者さんに理解してもらえるかと思います。関連する用語として「授乳」は“lactation”で表現でき、《例文》 の「授乳に関して心配事はありますか?」であれば、“Do you have any concerns about breastfeeding / lactating?”と、両方の言い方が可能です。ちなみに米国では、一般に飲み物の量は“oz”(ounce)で表現します。日本で一般的な“ml”(milliliter)はあまり使われません。患者さんも“My baby drinks 3oz of formula every 2-3 hours.”「私の娘/息子は2~3時間ごとに粉ミルクを3オンス飲みます」といった言い方をしますので、“ml”に慣れている私は変換に困ることがよくあります。1ozはほぼ30mlですので、私はいつも頭の中で変換しながら会話しています。医療者の間では、輸液量の単位などでmlを使うので問題ありません。赤ちゃんのミルクに関する表現だけでも、さまざまなバリエーションがあって奥深いですね。講師紹介

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オープンソースの自動インスリン伝達システム、1型DM血糖コントロールを改善/NEJM

 7~70歳の1型糖尿病患者において、オープンソースの自動インスリン伝達(AID)システムはセンサー付きインスリンポンプと比較して、24週時に血糖値が目標範囲にある時間の割合が有意に高く、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間は3時間21分延長したとの研究結果が、ニュージーランド・オタゴ大学のMercedes J. Burnside氏らが実施した「CREATE試験」で示された。研究結果は、NEJM誌2022年9月8日号で報告された。ニュージーランドの無作為化対照比較試験 CREATE試験は、1型糖尿病患者におけるオープンソースAIDシステムの有効性と安全性のデータの収集を目的とする非盲検無作為化対照比較試験であり、2020年9月~2021年5月の期間に、ニュージーランドの4施設で参加者の登録が行われた(ニュージーランド保健研究会議[HRC]の支援を受けた)。 対象は、年齢7~70歳、1型糖尿病の診断を受けてから1年以上が経過し、インスリンポンプ療法を6ヵ月以上受け、糖化ヘモグロビンの平均値<10.5%(91mmol/mol)の患者であった。 被験者は、オープンソースAIDシステムまたはセンサー付きインスリンポンプ(対照)を使用する群に無作為に割り付けられた。また、年齢7~15歳が小児、16~70歳は成人と定義された。 AIDシステムは、AndroidAPS 2.8(標準的なOpenAPS 0.7.0アルゴリズムを使用)の修正版で、試作段階のDANA-iインスリンポンプとDexcom G6持続血糖モニター(CGM)を組み合わせて用いた。ユーザーインターフェースは、Androidスマートフォンアプリケーション(AnyDANA-Loop)だった。 主要アウトカムは、155~168日目(試験の最後の2週間[23~24週])に、血糖値が目標範囲(70~180mg/dL[3.9~10.0mmol/L])にある時間の割合とされた。年齢による治療効果に差はない 97例が登録され、AID群に44例(小児21例[年齢中央値14.0歳、女児11例]、成人23例[40.0歳、15例])、対照群に53例(27例[11.0歳、13例]、26例[38.0歳、15例])が割り付けられた。ベースラインの平均糖化ヘモグロビン値は小児が7.5%、成人は7.7%だった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合の平均値(±SD)は、AID群がベースラインの61.2±12.3%から24週時には71.2±12.1%へ上昇し、これに対し対照群は57.7±14.3%から54.5±16.0%へと低下しており、有意な差が認められた(補正後平均群間差:14.0ポイント、95%信頼区間[CI]:9.2~18.8、p<0.001)。また、AID群は、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間が、対照群よりも3時間21分長かった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合が70%以上で、かつ範囲外(<70mg/dL)にある時間の割合が4%未満の患者は、AID群が52.0%であったのに対し、対照群は11.0%であった(補正後平均群間差:36.9ポイント、95%CI:25.9~48.5)。また、年齢による治療効果の差はみられなかった(p=0.56)。 小児では、AID開始から2週間以内には介入効果が認められ、24週の試験期間中も維持された。また、AID群は、夜間(午前0時~午前6時)の血糖値が目標範囲にある時間の割合が76.8±15.8%と、日中(午前6時~午後12時)の64.3±11.7%に比べて高かった。対照群は、それぞれ57.2±21.4%および50.9±17.4%であった。成人のAID群も小児と同様に、夜間が85.2±12.7%と高かったのに対し日中は70.9±12.7%であった。対照群は、それぞれ53.5±20.1%および57.5±14.4%であり、夜間と日中で同程度だった。 重度の低血糖および糖尿病性ケトアシドーシスは両群とも発現せず、インスリン投与のアルゴリズムおよび自動制御に関連した有害事象もみられなかった。また、重篤な有害事象は、AID群で2件(輸液セットの不具合に起因する高血糖による入院と、糖尿病とは無関係の入院)、対照群で5件(インスリンポンプの不具合による高血糖が1件、糖尿病とは無関係のイベントが4件)認められた(いずれも小児)。 著者は、「この試験の参加者は、多くの実臨床研究に比べ、より典型的な1型糖尿病であり、オープンソースAIDの使用経験がなかったことから、さまざまな1型糖尿病患者が、このシステムから利益を得る可能性があることが示唆される」としている。

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 2

学歴社会を推し進めるのは?厳密に言えば、先ほどの動物の選り好みは、その遺伝子が集団に広がっていくために長い年月がかかります。一方で、人間の学歴への選り好みは、比較的短期間で広がっています。一体何が推し進めているのでしょうか?それは、文化です。人間がほかの動物と決定的に違うのは、環境を変えられることです。そして、変えられたその環境からまた影響を受けるという相互作用を起こすことです。その環境の代表が文化なのです。このようにある行動をする遺伝子がその集団に広がっていく遺伝子進化と同じように、ある行動をする文化がその集団に広がっていくことを、文化進化と呼んでいます6)。この文化の起源は、私たち人類が部族をつくった約300万年前です。当時から、人類は狩りや育児の仕方を次世代に伝えるようになりました。これは、部族(集団)としては文化であり教育です。部族メンバー(個人)としては経験であり学習です。そして、これが、行動遺伝学における「環境」の起源と言えるでしょう。つまり、約300万年前以降の人類のほとんどの行動は、本能(遺伝)+文化(環境)から成り立っていると言えます。逆に言えば、約300万年以前の人類やほかのすべての動物の行動は、ほぼ本能(遺伝)だけとも言えます。なお、定住して家を作るようになった約1万数千年前から、人類は、部族だけでなく、家族単位でも生活圏(縄張り)を区切るようになりました。こうして、コミュニケーションの癖、生活習慣、好みなどの嗜癖の多様化がさらに進んだのでした。これは、家族文化とも言えます。これが、行動遺伝学における「家庭環境」の起源と言えるでしょう。この点でも、飲酒習慣や素行などは、本能(遺伝)+家族文化(家庭環境)+文化(家庭外環境)と言えるでしょう。なお、中編でも触れましたが、家族文化(家庭環境)は知能と収入に当初は影響を与えます。しかし、その影響力は、成人して最終的になくなるか、あったとしてもとても限られたものになります。学歴社会の行き着く先は?人間は、環境を変え、そして変えられた環境(文化)から影響を受けると、今度は長い時間の中で、人間(遺伝子)が淘汰されていくという相互作用も起こります。つまり、遺伝子進化と文化進化は共進化しています。ここから、共進化の例を3つ挙げます。そして、学歴社会が私たち人間に与える影響、つまり学歴社会の行き着く先を予測してみましょう。(1)調理する文化数十万年前に、人類が火を使うようになってから、食べ物を調理することで、消化しやすくなりました。このような環境では、消化能力が強くない人も生き残れます。すると、消化能力が弱い人類が増えていき、ますます調理をする文化が広がっていきます。こうして、現在のほとんどの人間は、生肉や腐ったものを食べるとお腹を壊すようになったのです。言い換えれば、調理の文化(環境)から影響を受けて、消化能力が強い遺伝子が淘汰され、なくなっていったのでした。(2)牛乳を飲む文化実は、世界中の成人の70%近くは、牛乳を飲んでも吸収できないです。もちろん、母親のおっぱいを飲む乳児は、牛乳も吸収できます(ただし推奨年齢は1歳を過ぎてから)。しかし、5歳を過ぎると、母親のおっぱいに含まれる乳糖(牛乳の成分と同じ)を分解する酵素がつくられなくなるため、牛乳を飲んでも吸収できなくなるのです。場合によっては、腹痛や下痢を起こします(乳糖不耐症)。一方で、残りの30%強の人は、大人になっても牛乳を吸収できて栄養にすることができます。そのわけは、約1万数千年前に農耕牧畜が広がってから、その人たちの祖先が、その家畜の搾乳を栄養として利用する地域にいたからです。先ほどの調理をする文化と同じように、牛乳を飲んで栄養にして生きていく文化の淘汰圧がかかったために、大人になっても牛乳を飲んで吸収できる遺伝子を持つ人が増えていったのでした。なお、チーズやヨーグルトなどの乳製品は、加工の過程で乳糖の割合が減っていくため、食べて吸収できる人が増えます。これは、牛乳が飲めない人たちが生きて行くための新たな文化的な適応であったと言えます。(3)お酒を飲む文化哺乳類の多くは、腐った果実(=果実酒)を食べると、分解する能力が低いためすぐに酔っ払います。ところが、ゴリラとチンパンジーはなかなか酔っ払わないことが分かっています。このことから、もともとの約1千万年前のゴリラとチンパンジーと人類との共通の祖先は、当時から「アルコール」を分解して栄養にすることができたと考えられています。そのわけは、彼らは、木から下りて地上で長い間を過ごすようになっていたため、地上に落ちて腐った果実(アルコール)も貴重な食料源として分解して消化するような遺伝的な適応をしたからでしょう。その後、約数万年前に、人類はアルコールを作るようになりました。同時に、当時からアルコール依存症が問題になっていたことが考えられます。すると、アルコールを飲まない(あまり飲めない)人が仕事仲間として、そして結婚相手としてより選ばれていくことが推測されます。このような当時の文化の淘汰圧によって、飲んだアルコールを分解できない遺伝子を持つ人が再び増えていったのでしょう。実際に、お酒があまり飲めない人は、とくに東アジアで多いのです。お酒を飲んで出てくる赤ら顔は「オリエンタルフラッシュ(東洋人の赤ら顔)」とも呼ばれます。そのわけは、もともと東アジアで稲作が盛んで、早くから米酒が醸造されていたことで、アルコール依存症が当時から社会問題になっていたからであると考えることができます。この詳細については、関連記事をご参照ください。以上を踏まえて、学歴社会の行き着く先が見えてきます。それは、学歴を重んじる文化の淘汰圧がかかると、知能が高くなる遺伝子を持つ人が増えていくことです。そして、牛乳(またはお酒)が飲める人と飲めない人がそれぞれいるのと同じように、知能の高い人と高くない人の集団が二極化していくことです。これは、知能における「遺伝格差」が広がることを意味します。一見、知能が高い人が増えるのはそれ自体むしろ良いことのように思われます。しかし、その知能とは、試験問題を解くことに特化した「知能」(情報処理能力)です。何か新しいものを生み出す創造性ではありません。AI化が進む私たちの日常生活にも共感的なコミュニケーションが求められる社会生活にも役に立つとは限らない、時代遅れの「知能」です。さらに問題なのは、その知能の高い人が高くない人を搾取する社会の仕組み(学歴社会)は変わらないどころか、強化される危うさもあるということです。この状態を前編では学歴階級社会とご説明しました。これは、牛乳が飲める人が飲めない人を搾取するのと大差ないくらい、実は不公平なものに思えてきます。この点で、中編でも触れた教育格差の名の下に、これまでの大学への助成金に加えて今後の学生への大学無償化を進めてしまえば、国は教育をする側だけでなく受ける側も含めた両方に資金援助をして、ますます教育ビジネス(前編を参照)に加担することになります。そればかりか、このように収入格差を縮めようと良かれと思って教育格差を是正しようとする取り組みは、皮肉にも、逆に学歴インフレ(前編を参照)を引き起こし、学歴を重んじる文化の淘汰圧を高めることになります。こうして、知能における「遺伝格差」をますます広げ、結果的に収入格差が広がった学歴階級社会をさらに「発展」させてしまうことになります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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