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生後6ヵ月~4歳児に、ファイザー2価ワクチン追加接種を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は3月15日、ファイザーの新型コロナウイルスのオミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンについて緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月~4歳の小児において、同社の1価ワクチンの3回接種(初回シリーズ)が完了してから少なくとも2ヵ月後に、2価ワクチンによるブースター接種1回を行うことができることを発表した。 2022年12月に、生後6ヵ月~4歳の小児は、1価ワクチンの初回シリーズの2回目までを接種した者に対して、3回目に2価ワクチンを接種することが承認されていた。今回の生後6ヵ月~4歳への2価ワクチンブースター接種の承認では、上記の3回目に2価ワクチンを接種した小児は対象外となり、初回シリーズをすべて1価ワクチンで3回接種した者のみが対象となる。 FDAは、生後6ヵ月~4歳の小児に対する臨床試験で、ファイザーの1価ワクチンを3回接種し、同社の2価ワクチンのブースター接種を1回受けた60例の免疫応答データを評価した。2価ワクチンのブースター接種から1ヵ月後、被験者はSARS-CoV-2起源株とオミクロン株BA.4/BA.5の両方に対して免疫応答を示した。 安全性のデータは、55歳以上への2価ワクチンのブースター接種、生後6ヵ月以上への初回シリーズ接種、5歳以上への1価ワクチンのブースター接種を評価した臨床試験、1価および2価ワクチンの市販後の安全性データに基づいている。加えて、6ヵ月以上に対して、以下の2つの臨床試験が行われた。 1つの試験では、1価ワクチンを3回接種し、2価ワクチンのブースター接種を1回受けた生後6~23ヵ月の被験者24例において、主な副反応として、イライラ感、眠気、注射部位の発赤、痛みおよび腫脹、食欲低下、疲労感、発熱が報告された。5~11歳の113例の被験者では、主な副反応として、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒、発熱、嘔吐、下痢、注射部位の痛み、腫脹、発赤、注射部位と同じ腕のリンパ節の腫脹などが報告された。 もう1つの試験では、1価ワクチンを2回、1価ワクチンのブースター接種を1回、2価ワクチンのブースター接種を1回受けた12歳以上の316例において、主な副反応は5~11歳の被験者で報告されたものと同じであった。

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9価HPVワクチン「シルガード9」、9歳以上15歳未満の女性への2回接種の追加承認取得/MSD

 MSDは2023年3月8日のプレスリリースで、同日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン[酵母由来])」について、9歳以上15歳未満の女性に対する2回接種の用法および用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。今回の承認により、対象年齢の女性の来院および接種回数を1回減らすことができ、ワクチン接種者や医療関係者をはじめとする接種に関わる人々の負担軽減にもつながることが期待される。 日本では、毎年約1万例の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約約2,900例が亡くなっている1)。また、子宮頸がんは20代、30代の若い女性でも罹るがんで、発症年齢が出産や働き盛りの年齢と重なることもあり、治療によって命を取りとめても女性の人生に大きな影響を及ぼすことが多い疾患である。子宮頸がんの予防方法には、10代からのワクチン接種と20歳になってからの定期的な検診がある。 「シルガード9」は、9歳以上の女性を対象に、子宮頸がんなどの予防を効能または効果として、合計3回接種する用法および用量で、2020年7月21日に製造販売承認を取得している。今回の追加承認は、国内ならびに海外第III相試験の結果に基づくもので、9歳以上15歳未満の女性における2回接種の免疫原性(抗体の産生など免疫反応を引き起こす性質)および安全性は良好であることが確認された。 9価HPVワクチンは、2014年12月に世界で初めて米国で承認されて以来、2023年2月時点で80以上の国または地域で承認されている。また、米国を含む諸外国では、定期接種としておおむね11~13歳を対象に9価HPVワクチンの2回接種が推奨されている2)。 HPVワクチンの接種環境がさらに整うことにより、日本においても子宮頸がんの予防が促進されることが期待される。1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録/厚生労働省人口動態統計)全国がん罹患データ(2019年)/全国がん死亡データ(2021年)2)第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会2022(ワクチン評価に関する小委員会 資料1-1)

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SNS依存が大学生の学業成績に及ぼす影響

 依存症では、身体的または心理的な極度の渇望および没頭を生じるが、近年、若者世代においてソーシャルメディア依存症が問題となっている。エチオピア・Mettu UniversityのAman Dule氏らは、SNSサービスの1つであるFacebookに対する依存状態と大学生の学業成績との相関関係を評価した。その結果、若者のFacebook依存度は高く、このことは学業成績低下だけでなく、精神的ウェルビーイングや自尊心の低下などとも関連していることを報告した。著者らは、学生におけるSNS依存による悪影響を減少させるためにも、大学などの教育機関は、安全な使用促進につながるしっかりとした方針を整備すべきであろうとしている。PLOS ONE誌2023年2月6日号の報告。 2021年12月1日~30日、システマティックランダムサンプリングを用いて募集した大学生422人を対象に、横断的研究を実施した。Facebookに対する依存度はBergen Facebook Addiction Scale(BFAS)、自尊心はRosenberg自尊感情尺度(RSES)、不安抑うつ症状は病院不安抑うつ尺度(HADS)、学習習慣はStudy Habit Questionnaire(SHQ)を用いて評価した。データ分析には、SPSS version 23.0を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象者の平均年齢は23.62±1.79歳、男性の割合は51.6%であった。・対象者の大半にFacebook依存が認められ、Facebook依存と学業成績の低下および不安、抑うつ症状などとの正の相関が認められた。

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2023年度コロナワクチン接種スケジュールを発表/厚労省

 厚生労働省は3月7日、新型コロナワクチンの2023年4月以降の接種についてスケジュールの方針を発表した。2023年度も、すべての国民に自己負担なしで新型コロナワクチンを接種できる「特例臨時接種」が延長される。 12歳以上については、重症化リスクの高い高齢者(65歳以上)や基礎疾患を有する人、および医療従事者は、5月8日から、オミクロン株対応2価ワクチンの追加接種を開始する。年2回の接種が可能となる。高齢者は春~夏に1回、秋~冬に1回の接種が推奨されている。いずれの対象者も、最終接種からの接種間隔は少なくとも3ヵ月以上となる。 それ以外の12歳以上の者は、2022年度秋接種開始分のオミクロン株対応2価ワクチンの追加接種を5月7日に終了し、9月以降に、年1回の追加接種を再開する。使用するワクチンは再度検討される予定。 5~11歳の小児については、3月8日から、追加接種がオミクロン株対応2価ワクチンとなる。2価ワクチンは、1・2回目接種を完了した者が対象で、最終接種から少なくとも3ヵ月以上間隔をあけて接種する。基礎疾患を有する小児は、5月8日~8月の期間に、さらにもう1回の2価ワクチンの追加接種が可能。 生後6ヵ月~4歳の小児については、初回免疫として従来型の1価ワクチンを随時接種することができる。

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医学生に労働法の知識を!医師や弁護士がモデル講義/厚生労働省

 医師の過重労働の問題が指摘されて久しいが、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制をはじめとした「医師の働き方改革」がスタートする。これを踏まえ、厚生労働省では、今後医師となる医学生に対し、労使関係の基本となる労働法や医師の働き方改革の基本を知ってもらうべく、医師や弁護士を講師としたモデル授業をスタートした。 2022年度からスタートしたこのモデル講義について、大学関係者に対して紹介する「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」が開催され、モデル授業を担当した医師や弁護士が講義内容やその意義を報告した。 関西医科大学などで講義を行った大阪医科薬科大学 消化器外科の河野 恵美子氏は次のように振り返る。 「講義は、医師の働き方改革のあゆみや今後のスケジュールの共有からスタートしました。私は外科医なので日本外科学会が2012年に行ったアンケート結果から、20~30代の外科医の75%近くが週80時間以上の労働時間となっている、という厳しい実態を紹介しました。そして海外と比較した日本の病床数や医師の業務実態などのデータを提供し、働き方の改善策を考えてもらいました。次に私自身のキャリアや育児期の働き方を紹介し、女性外科医のリアルな働き方を知ってもらいました。講義後のアンケートでは約9割の学生から『有意義だった』という感想が寄せられ、自由回答でも『外科は厳しい印象があったが、やり方次第では出産・育児と両立できそうだと感じた』といった声が寄せられました。講義のポイントは、働き方改革の趣旨・目的を伝え、多様な働き方を提示することで学生の内発的モチベーションを向上させることだと感じました」 続いて日本医師会で常任理事を務める神村 裕子氏が自分の講義を振り返った。 「講義の冒頭で1998年の研修医過労死、1999年の小児科医過労自死と、今の働き方改革につながった重大な事件を紹介し、合わせて働き過ぎで肉体、精神がいかに蝕まれるかについての具体的なデータを示しました。私は精神科医なので、精神疾患による労災認定が増えているデータや、ワークライフバランスが崩れている意識がある人は超過労働がうつ病の発症に結びつきやすいというデータも示しました。過重労働が心身に与える影響を理解してもらい、研修医・医師も労働法に守られかつ守る立場であること、自分だけではなく他職種の労働上の権利も尊重すべきであること、という要点を伝えました」 日本赤十字社医療センター産婦人科の木戸 道子氏は「医学生は先輩などから医師になった後の働き方の情報を入手しているが、部分的なものであることが多く、法的根拠を含めた全体的な知識を持つことが重要だ。学生も参加するワークショップ形式にすることで、まだ臨床実習の始まっていない年次の学生でも自分ごととして捉えてもらえる。モデル講義を重ねてブラッシュアップし、今後の医学教育のカリキュラムとして組み込んでいくことが求められる」と話した。 厚生労働省ではモデル講義の導入を検討する医学部関係者に対し、取り組みやモデル授業の概要、実施のステップをまとめた冊子1)を作成して配布、PDFでも公開している。

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ChatGPTが医師の代わりに?抗菌薬処方の助言を求めると…

 人工知能(AI)言語モデルを用いたチャットサービス『ChatGPT』は、米国の医師免許試験において医学部3年生に匹敵する成績を収めるなど、注目を集めている。そこで、抗菌薬への耐性や微生物の生態、臨床情報を複合的に判断する必要のある感染症への対応について、8つの状況に関する質問をChatGPTへ投げかけ、得られる助言の適切性、一貫性、患者の安全性について評価した。その結果、ChatGPTは質問の状況を理解し、免責事項(感染症専門医へ相談することを推奨)も含めて一貫した回答を提供していたが、状況が複雑な場合や重要な情報が明確に提供されていない場合には、危険なアドバイスをすることもあった。本研究は英国・リバプール大学のAlex Howard氏らによって実施され、Lancet infectious diseases誌オンライン版2023年2月20日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 臨床医がChatGPTに助言を求めるという設定で、以下の8つの状況に関する質問を投げかけた。・第1選択薬で効果不十分な蜂窩織炎・腹腔内膿瘍に対する抗菌薬による治療期間・カルバペネマーゼ産生菌に感染した患者の発熱性好中球減少症・複数の薬剤が禁忌の患者における原因不明の感染症・院内肺炎に対する経口抗菌薬のステップダウン・カンジダ血症の患者の次の管理ステップ・中心静脈カテーテル関連血流感染症の管理方法・重症急性膵炎の患者に対する抗菌薬の使用 主な結果は以下のとおり。・ChatGPTによる回答は、スペルや文法に一貫性があり、意味も明確であった。・抗菌スペクトルとレジメンは適切であり、臨床反応の意味を理解していた。・血液培養の汚染などの問題点を認識していた。・基本的な抗菌薬スチュワードシップ(細菌感染の証拠がある場合のみ抗菌薬を使用するなど)が盛り込まれていた。・治療期間については、一般的な治療期間は適切であったが、治療期間の延長の根拠とされる引用が誤っていたり、無視されたりするなど、ばらつきがみられた。・抗菌薬の禁忌を認識していなかったり(Tazocin[本邦販売中止]とピペラシリン/タゾバクタムを同一薬と認識せずに重度のペニシリンアレルギー患者に提案する、カルバペネム系抗菌薬とバルプロ酸ナトリウムの相互作用を認識していなかったなど)、患者の安全性に関する情報を見落としたりするなど、危険なアドバイスが繰り返されることがあった。 本論文の著者らは、ChatGPTを臨床導入するための最大の障壁は、状況認識、推論、一貫性にあると結論付けた。これらの欠点が患者の安全を脅かす可能性があるため、AIが満たすべき基準のチェックリストの作成を進めているとのことである。また、英国・リバプール大学のプレスリリースにおいて、Alex Howard氏は「薬剤耐性菌の増加が世界の大きな脅威となっているが、AIによって正確かつ安全な助言が得られるようになれば、患者ケアに革命を起こす可能性がある」とも述べた1)。

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ハチミツでなくとも甘くてトロリとしたものなら鎮咳効果がある?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第229回

ハチミツでなくとも甘くてトロリとしたものなら鎮咳効果がある?Pixabayより使用ハチミツって咳をおさめる効果があるとされる唯一の食材なのですが、実はかなり議論の余地があります。私はハチミツの味が苦手なので使いませんが、子供の咳に対して有効とする報告はこれまでいくつもあります。たとえば、就寝前に「スプーン1杯(2.5mL)のハチミツを取るグループ」、「咳止めを飲むグループ」、「何もせず様子をみるグループ」のいずれかにランダムに割り付けた研究では、ハチミツを与えられた患児で、有意に咳が減少することが示されました1)。コクランレビューでも2018年の時点では、急性の咳に対するハチミツは、何もしないよりは咳止めの効果があり、「既存の咳止めと大差がないほど効果的だ」という結論になっています2)。Nishimura T, et al.Multicentre, randomised study found that honey had no pharmacological effect on nocturnal coughs and sleep quality at 1-5 years of age.Acta Paediatr. 2022 Nov;111(11):2157-2164.これは上気道炎による急性咳嗽を呈した1~5歳児を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。日本国内の複数の小児科クリニックから患児を登録しました。参加者には、ハチミツまたはハチミツ風味のシロップ(プラセボ)を2晩連続で、眠前1時間のタイミングで摂取してもらいました。夜間咳嗽と睡眠について、7段階のリッカート尺度で評価しました。161人が登録され、78人がハチミツ群、83人がプラセボ群にランダム化されました。この分野ではかなり多い登録数だと思います。結果、確かに夜間の咳嗽の改善はみられたのですが、ハチミツ群とプラセボ群の有意差が観察されなかったのです。つまり、ハチミツによる有効性はプラセボ効果をみているのか、あるいはシロップのような甘いものであれば鎮咳効果があるのか、どちらかの可能性が高そうです。過去の研究が正しいとするなら、後者のほうが妥当な解釈かなと思います。となると、甘くてトロリとしたものであれば、ハチミツでなくてもよいのかもしれませんね。1)Paul IM, et al. Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents. Arch Pediatr Adolesc Med. 2007 Dec;161(12):1140-1146.2)Oduwole O, et al. Honey for acute cough in children. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 10;4(4):CD007094.

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第149回 今の日本の医療IoT、東日本大震災のイスラエル軍支援より劣る?(後編)

2月6日に発生したトルコ・シリア大地震のニュースを見て村上氏は東日本大震災時のイスラエル軍の救援活動を思い出します。後編の今回は、現在の日本が顔負けのIoTを駆使したイスラエル軍の具体的な支援内容についてお伝えします。前編はこちら 仮設診療所エリアには内科、小児科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、整形外科、産婦人科があり、このほかに冠状動脈疾患管理室(CCU)、薬局、X線撮影室、臨床検査室を併設。臨床検査室では血液や尿の生化学的検査も実施できるという状態だった。ちなみにこうした診察室や検査室などはそれぞれプレハブで運営されていた。一般に私たちが災害時の避難所で見かける仮設診療所は避難所の一室を借用し、医師は1人のケースが多い。例えて言うならば、市中の一般内科クリニックの災害版のような雰囲気だが、それとは明らかに規模が違いすぎた。当時、仮設診療所で働いていたイスラエル人の男性看護師によると、これでも規模としては小さいものらしく、彼が参加した中米・ハイチの地震(2010年1月発生)での救援活動では「全診療科がそろった野外病院を設置し、スタッフは総勢200人ほどだった」と説明してくれた。この仮設診療所での画像診断は単純X線のみ。プレハブで専用の撮影室を設置していたが、完全なフィルムレス化が実行され、医師らはそれぞれの診療科にあるノートPCで患者のX線画像を参照することができた。ビューワーはフリーのDICOMビューアソフト「K-PACS」を使用。検査技師は「フリーウェアの利用でも診療上のセキュリティーもとくに問題はない」と淡々と語っていた。実際、仮設診療所内の診療科で配置医師数が4人と最も多かった内科診療所では「K-PACS」の画面で患者の胸部X線写真を表示して医師が説明してくれた。彼が表示していたのは肺野に黒い影のようなものが映っている画像。この内科医曰く「通常の肺疾患では経験したことのない、何らかの塊のようなものがここに見えますよね。率直に言って、この診療所での処置は難しいと判断し、栗原市の病院に後送しましたよ」と語った。ちなみに東日本大震災では、津波に巻き込まれながらも生還した人の中でヘドロや重油の混じった海水を飲んでしまい、これが原因となった肺炎などが実際に報告されている。内科医が画像を見せてくれた症例は、そうした類のものだった可能性がある。診療所内の薬局を訪問すると、イスラエル人の薬剤師が案内してくれたが、持参した医薬品は約400品目にも上ると最初に説明された。薬剤師曰く「持参した薬剤は錠剤だけで約2,000錠、2ヵ月分の診療を想定しました。抗菌薬は第2世代ペニシリンやセフェム系、ニューキノロン系も含めてほぼ全種類を持ってきたのはもちろんのこと、経口糖尿病治療薬、降圧薬などの慢性疾患治療薬、モルヒネなども有しています」と説明してくれ、「見てみます?」と壁にかけられた黒いスーツカバーのようなものを指さしてくれた。もっとも通常のスーツカバーの3周りくらいは大きいものだ。彼はそれを床に置くなり、慣れた手つきで広げ始めた。すると、内部はちょうど在宅医療を受けている高齢者宅にありそうなお薬カレンダーのようにたくさんのポケットがあり、それぞれに違う経口薬が入っていた。最終的に広げられたカバー様のものは、当初ぶら下げてあった時に目視で見ていた大きさの4倍くらいになった。この薬剤師によると、イスラエル軍衛生部隊では海外派遣を想定し、国外の気候帯や地域ブロックに応じて最適な薬剤をセットしたこのような医薬品バッグのセットが複数種類、常時用意されているという。海外派遣が決まれば、気候×地域性でどのバッグを持っていくかが決まり、さらに派遣期間と現地情報から想定される診療患者数を割り出し、それぞれのバッグを何個用意するかが即時決められる仕組みになっているとのこと。ちなみに同部隊による医療用医薬品の処方は南三陸町医療統轄本部の指示で、活動開始から1週間後には中止されたという。この時、最も多く処方された薬剤を聞いたところ、答えは意外なことにペン型インスリン。この薬剤師から「処方理由は、糖尿病患者が被災で持っていたインスリン製剤を失くしたため」と聞き、合点がいった。ちなみにイスラエルと言えば、世界トップのジェネリックメーカー・テバの本拠地だが、この時に持参した医薬品でのジェネリック採用状況について尋ねると、「インスリンなどの生物製剤、イスラエルではまだ特許が有効な高脂血症治療薬のロスバスタチンなどを除けば、基本的にほとんどがジェネック医薬品ですよ。とくに問題はないですね」とのことだった。この取材で仮設診療所エリア内をウロウロしていた際に、偶然ゴミ集積所を見かけたが、ここもある意味わかりやすい工夫がされていた。感染性廃棄物に関しては、「BIO-HAZARD」と大書されているピンクのビニール袋でほかの廃棄物とは一見して区別がつくようになっていたからだ。大規模な医療部隊を運営しながら、フリーウェアやジェネリック医薬品を使用するなど合理性を追求し、なおかつ患者情報はリアルタイムで電子的に一元管理。ちなみにこれは今から11年前のことだ。2020年時点で日常診療を行う医療機関の電子カルテ導入率が50~60%という日本の状況を考えると、今振り返ってもそのレベルの高さに改めて言葉を失ってしまうほどだ。

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3月3日 耳の日【今日は何の日?】

【3月3日 耳の日】〔由来〕 「3(み)月3(み)日」との語呂合わせ、数字の「3」が耳の形にみえること、電話の発明家で音声学と聾唖教育で活躍したグラハム・ベルの誕生日であることから、日本耳鼻咽喉科学会の提案により1956(昭和31)年に制定。同会では、都道府県ごとに難聴で悩んでいる方々の相談のほか、一般の方にも耳の病気や健康な耳の大切さの啓発活動を行っている。関連コンテンツ難聴と認知症【外来で役立つ!認知症Topics】耳鳴りがするときの症状チェック【患者説明用スライド】コロナにやられて耳が聞こえない!【Dr. 中島の 新・徒然草】医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(言語聴覚士視点)フクラアカリガエル氏高齢者における難聴とうつ病との関係~メタ解析

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日本人・小中高校生の頭痛有病率~糸魚川紅ズワイガニ研究

 新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、小児および青年期の頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛の有病率を調査するため、小学校から高校までの日本人学生を対象に、学校ベースのオンラインアンケートを実施した。また、片頭痛を引き起こすトリガーについて調査するとともに、頭痛頻度に対するCOVID-19パンデミックの影響も併せて検討を行った。その結果、小児および青年期において、頭痛による生活への支障は大きいことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、頭痛の臨床診療におけるアンメットニーズを修正する必要があるとしている。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2023年1月20日号の報告。 2022年4月~8月に、新潟県糸魚川市内の小中高の学生(6~17歳)に対しオンラインアンケートを実施した。片頭痛および薬物乱用頭痛の定義には、国際頭痛分類第3版を用いた。片頭痛を引き起こすトリガーを調査するため、因子分析およびクラスタリングを実施した。頭痛頻度へのCOVID-19パンデミックの影響についての回答も収集した。 主な結果は以下のとおり。・有効回答数2,489例のうち、頭痛は907例(36.44%)、片頭痛は236例(9.48%)、薬物乱用頭痛は11例(0.44%)で認められた。・頭痛の回答者の最大70%は日常生活への支障を訴え、約30%は医師に相談していた。・片頭痛のトリガーは、因子分析により5つの因子にグループ化され、因子に対する片頭痛患者の感受性は、3つのクラスターに分類された。 ●クラスター1は、さまざまなトリガーに対し強い感受性を示していた。 ●クラスター2は、天気、スマートフォン、ビデオゲームに対し敏感な反応がみられた。 ●クラスター3は、トリガーに対する感受性が低かった。・クラスター2は、片頭痛による支障が非常に大きいにもかかわらず、医師の診察を受けていない傾向が認められた。・COVID-19パンデミック下では、頭痛の回答者の10.25%で頭痛の発作が増加し、3.97%で減少していた。

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第34回 経鼻インフルワクチン使いますか?

フルミストが承認へ厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2月27日、第一三共の経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻液(以下フルミスト)」の承認を了承しました。3月に承認される見通しです。フルミストは、鼻に噴霧するインフルエンザワクチンです。「これまでにない剤型でナウい!」と思われるかもしれませんが、2003年にアメリカで承認されており、日本は20年遅れの承認となっています。2016年あたりに承認に向けた話し合いが進められたのですが、事務的な手続きやら何やらで、いろいろと後ずれしてしまったそうです。フルミストは、2013/14シーズン以降ワクチン効果の低下を指摘されており、米国疾病予防管理センター(CDC)でも一時推奨リストから取り下げられていました。そのため、現在も「いまいちかも…」と思っている医師は多いかもしれません。A型インフルエンザ(H1N1)の流行時に、小児で有効性が検証されています1)。この研究では、不活化ワクチンに非劣性という結果が得られています。具体的には、調整済みの有効性(VE)が、H1N1に対してフルミスト69%(95%信頼区間[CI]:56~78%)、不活化ワクチン79%(95%CI:70~86%)、H3N2に対してそれぞれ36%(95%CI:14~53%)、43%(95%CI:22~59%)、B型インフルエンザに対してそれぞれ74%(95%CI:62~82%)、56%(95%CI:41~66%)という結果でした。現在CDCはフルミストをインフルエンザワクチンの選択肢の1つとして位置づけています2)。CDCの推奨と接種対象国際的には2~49歳へ接種が可能ですが、日本国内はおそらく2~19歳未満に限定されることになります。ほぼ子供のワクチンと言えるでしょう。2歳未満で喘鳴が増えた経緯があり、接種対象外となっています。上述しましたが、CDCはインフルエンザワクチン全般について、不活化ワクチンとそれ以外のどちらがよいか、断言していません3)。ただ、フルミストについては接種対象が限定されており、それには注意すべきと書いています。生ワクチンなので、喘息発作の既往が1年以内にある人、免疫不全者、妊婦では接種を回避する必要があります。また、自宅に免疫不全者がいる場合も避けるべきとされています。なお、卵アレルギーについてはそこまで懸念しなくてよいとされています2)。CDCの推奨は「卵アレルギーの既往歴があり、蕁麻疹のみを経験したことがある人は、インフルエンザワクチンの接種は可能。蕁麻疹以外の症状(血管浮腫、呼吸困難、ふらつき、再発性嘔吐など)があったり、アドレナリン(エピネフリン)投与を要したりした人についても、年齢や健康状態に応じたワクチン接種を受けることが可能」となっています。インフルエンザワクチンと卵アレルギーの関係については、堀向 健太先生がYahoo!のニュース記事に詳しくまとめられているので、そちらを参考にするとよいでしょう3)。フルミストは弱毒生ワクチンなので、接種後、鼻汁や咳などの症状が出ることがあります。とはいえ、低温馴化された弱毒化されたものを使っていますので、基本的にはそこまで問題にならないでしょう。おそらく国内では、来シーズンから経鼻インフルワクチンが使われることになると予想されます。参考文献・参考サイト1)Buchan SA, et al. Effectiveness of Live Attenuated vs Inactivated Influenza Vaccines in Children During the 2012-2013 Through 2015-2016 Influenza Seasons in Alberta, Canada: A Canadian Immunization Research Network (CIRN) Study. JAMA Pediatr. 2018;172:e181514.2)Grohskopf LA, et al. Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices - United States, 2022-23 Influenza Season. MMWR Recomm Rep. 2022;71:1-28.3)インフルエンザワクチン製造時に鶏卵を使用 卵アレルギーの子どもは予防接種できる?

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5~11歳へのファイザーBA.4/5対応2価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は2月28日、5~11歳を対象としたファイザーの新型コロナウイルスmRNAワクチン「販売名:コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」について、追加接種(追加免疫)として承認したことを発表した。本剤は、5~11歳の初回免疫に使用することはできない。 本剤の追加免疫の用法および用量は、同社製の5~11歳用1価ワクチンと変わらず、添付文書に以下のように記されている。6. 用法及び用量本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。追加免疫として、1回0.2mLを筋肉内に接種する。7. 用法及び用量に関連する注意7.1 本剤の使用本剤は追加免疫に使用する。初回免疫には使用しないこと。7.2 接種対象者過去に初回免疫又は追加免疫としてSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のある5歳以上11歳以下の者。SARS-CoV-2の流行状況や個々の背景因子等を踏まえ、ベネフィットとリスクを考慮し、追加免疫の要否を判断すること。7.3 接種時期通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種することができる。7.4 コミナティ筋注5~11歳用(起源株)以外のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した際の有効性及び安全性は確立していない。  今回の5~11歳用ファイザーBA.4/5対応2価ワクチン承認は、同年齢層に対する本剤の有効性および安全性についての臨床試験の成績は得られていないが、12歳以上のコミナティRTU筋注(起源株/オミクロン株BA.4-5)の試験成績や、5~11歳のコミナティ筋注5~11歳用(起源株)の試験成績に基づいている。製造販売後、副作用情報などの本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集し、臨床試験の結果が得られた際には、速やかに情報を提出し、最新の情報を医療従事者および被接種者が入手可能となるように措置を講じるとしている。なお本剤は、米国では2022年10月に承認されている。 また、厚生労働省は同日、武田薬品工業(ノババックス)の組換えコロナウイルスワクチン「販売名:ヌバキソビッド筋注」について、追加免疫の対象者が18歳以上だったものを、12歳以上に拡大したことも発表した。

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2月28日 世界希少・難治性疾患の日【今日は何の日?】

【2月28日 世界希少・難治性疾患の日】〔由来〕世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day)は、より良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者生活の質の向上を目指し、スウェーデンで2008年から始まった活動。わが国でもこの趣旨に賛同し、2010年から2月最終日にイベントを開催している。4年に1度の閏日の2月29日が最も「まれな日」として象徴的に定められ、閏年以外は2月の最終日とされている。関連コンテンツ希少疾病ライブラリ希少疾病・難治性疾患特集 2021第139回 情報過多でも希少疾病の患者が孤立する理由【バズった金曜日】Withコロナにおける希少疾病診療希少がんのオンライン・セカンドオピニオンを開設/国立がん研究センター

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5歳未満へのコロナワクチン、3回接種の発症予防効果73.2%/NEJM

 生後6ヵ月~4歳児に対する新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」3μgの3回接種は安全で免疫原性があり、症候性COVID-19に対し有効であることを、米国・Baylor College of MedicineのFlor M. Munoz氏らが、約4,500例を対象とした試験の結果を報告した。3回目接種後1ヵ月時点の、免疫ブリッジング成功基準も満たし、反応原性イベントの大部分が軽度~中等度で、Grade4のイベントは認められなかった。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。接種後1ヵ月時点の免疫応答を評価 研究グループは、6ヵ月~11歳の健康な小児を対象にBNT162b2ワクチンの第I相用量設定試験を完了し、現在第II~III相の安全性・免疫原性・有効性試験を行っている。 本稿では、6ヵ月~2歳未満と2~4歳の小児について、データカットオフ日(安全性と免疫原性については2022年4月29日、有効性については2022年6月17日)までの結果について報告した。 第II~III相試験では、被験者を無作為に2対1の割合で2群に割り付け、一方にはBNT162b2の3μgを2回接種し、もう一方にはプラセボを接種した。3回目接種については、2回目接種後8週間以上空け、免疫原性の予備的結果に基づいて3μg接種を2022年1月から開始した。同時期に、B.1.1.529変異株(オミクロン株)が出現した。 6ヵ月~2歳未満、2~4歳の小児の、2、3回目接種後1ヵ月時点における免疫応答について、ピボタル試験でBNT162b2(30μg)接種を受けた16~25歳の2回目接種後の応答と免疫ブリッジングして評価した。3回目接種後1ヵ月時点の免疫ブリッジング成功基準、6ヵ月~4歳児で達成 第I相用量設定試験では、BNT162b2(3μg)を6ヵ月~2歳未満の小児16例と、BNT162b2(3μgまたは10μg)を2~4歳の小児48例に21日間隔で2回接種した。 第II~III相試験では、3μg用量を採用し、BNT162b2を6ヵ月~2歳未満の小児1,178例と、2~4歳の小児1,835例に接種し、プラセボをそれぞれ598例、915例に接種した。 3回目接種後1ヵ月時点での幾何平均比と血清反応に基づく免疫ブリッジングの成功基準は、両年齢群で達成した。 BNT162b2の反応原性イベントの大部分は軽度~中等度で、Grade4のイベントは認められなかった。接種後の発熱の頻度は低く、両群とも同程度で、BNT162b2群では6ヵ月~2歳未満が7%、2~4歳が5%、プラセボ群ではそれぞれ6~7%と4~5%だった。 6ヵ月~4歳の、症候性COVID-19に対するワクチンの全体的有効性の34症例に基づく観察値は、3回目接種後7日以降で73.2%(95%信頼区間[CI]:43.8~87.6)だった。

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第33回 オミクロン株とインフルエンザ、どちらが強い?

小波で終わるか?インフルエンザの流行、どうやら小波で終わりそうです。ピークが後ずれする可能性はありますが、3年前の水準をやや下回る程度の定点医療機関あたりの報告数に落ち着いています(図)。2月17日速報分で、全国平均で12.91人、沖縄県も30.25人と少しピークアウトし、落ち着いてきたみたいです。反面、石川県と福井県が40人以上と多い状況です。いずれの3県も「警報レベル」を超えているため、注意が必要です。とはいえ、さすがに3月にピークが来るとは思ってないので、過去のインフルエンザの波よりは低く終わると予想しています。予想が外れたらごめんなさい。画像を拡大する図. 定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数(参考資料1より作成)インフルエンザvs.オミクロン株インフルエンザとオミクロン株、どちらにも感染したくないのですが、どのくらい公衆衛生学的なインパクトがあるかを比較した論文が出ています2)。スイスの15医療機関で実施された研究で、2022年1月15日~3月15日に入院したオミクロン株優勢時期の入院COVID-19例と、2018年1月1日~2022年3月15日までの入院インフルエンザ例を比較検討したものです。それぞれの院内死亡率とICU入室率を評価項目としています。3,066例のCOVID-19と2,146例のインフルエンザが登録されました。解析の結果、オミクロン株例はインフルエンザ例よりも死亡率が高いことがわかりました(7.0% vs.4.4%、調整ハザード比:1.54、95%信頼区間:1.18~2.01、p=0.002)。ICU入室率はオミクロン株8.6%、インフルエンザ8.3%と有意差はありませんでした。ハザード比もこれについては上昇していません。どちらにも感染したくないですが、やはり新型コロナのほうが公衆衛生学的なインパクトはまだ大きいのかなと思っています。参考文献・参考サイト1)インフルエンザに関する報道発表資料 2022/2023シーズン2)Portmann L, et al. Hospital Outcomes of Community-Acquired SARS-CoV-2 Omicron Variant Infection Compared With Influenza Infection in Switzerland. JAMA Netw Open. 2023 Feb 1;6(2):e2255599.

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行政・学校・病院が連携して行う疾患啓発~糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン

 頭痛は、一般的な公衆衛生上の問題である。その負荷を軽減するためには、頭痛に関する意識を高め、急性症状の管理や予防可能な薬剤を適切に使用することが求められる。しかし、一般の人々における頭痛に関する意識向上の研究は、これまでほとんど行われていなかった。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、2021年8月~2022年6月に、2つの介入による「糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン」をプロスペクティブに実施し、有効性の評価を行った。著者らは、本キャンペーンの実施により一般の人々の頭痛に関する認知率が向上したとし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でほぼすべての住民が集まるワクチン集団接種会場や、学校を基盤とした対面のないオンデマンドe-ラーニングでの疾患啓発活動は、きわめて効果的な方法であると報告している。Headache誌オンライン版2023年1月27日号の報告。 15~64歳の一般の人々を対象に、次の2つの介入を実施した。介入1では、COVID-19ワクチン接種会場で頭痛に関するリーフレットの配布および紙面アンケートを実施。介入2では、学校を通じたオンデマンドe-ラーニングおよびオンライン調査を実施した。これらの介入は、『頭痛の診療ガイドライン2021』に記載されている、一般の人々にとって重要な6つのトピックで構成した。2つの介入のそれぞれの回答は実施の前と後に収集し、キャンペーン前後の6つのトピックの認知度を評価した。 主な結果は以下のとおり。・糸魚川市の生産年齢人口2万458人中6,593人(32.3%)が、2つの介入のいずれかに参加した(介入1:ワクチン接種を受けた6,382人のうち有効回答が得られた4,016人、介入2:高校生1,085人のうち594人と保護者3,699人のうち1,983人を含む2,577人)。・6つのトピックは以下のとおりであった。 Topic1:頭痛による経済損失は大きい Topic2:アブセンティズム(頭痛による欠勤・欠席)よりプレゼンティズム(頭痛によるパフォーマンス低下)のほうが損失は大きい Topic3:頭痛の治療は可能かつ必要 Topic4:月に2回以上の片頭痛があれば受診する Topic5:頭痛の治療は急性期治療薬と予防治療の2本立てである Topic6:薬剤の使用過多による頭痛がある・6つのトピックの認知率は、介入前は6.6(39/594)~40.0%(1,606/4,016)の範囲であったのに対し、介入後は64.1(381/594)~92.6%(1,836/1,983)の範囲へ有意な増加が認められた(すべて、p<0.001)。【介入1(対象:ワクチン接種会場4,016人)】 Topic1:介入前:27%→介入後:70% Topic2:介入前:25%→介入後:72% Topic3:介入前:40%→介入後:84% Topic4:介入前:33%→介入後:80% Topic5:介入前:27%→介入後:75% Topic6:介入前:27%→介入後:72%【介入2(対象:高校生594人)】 Topic1:介入前: 7%→介入後:64% Topic2:介入前:11%→介入後:69% Topic3:介入前:28%→介入後:79% Topic4:介入前:23%→介入後:76% Topic5:介入前:24%→介入後:76% Topic6:介入前:19%→介入後:75%【介入2(対象:保護者1,983人)】 Topic1:介入前: 7%→介入後:80% Topic2:介入前: 8%→介入後:84% Topic3:介入前:35%→介入後:90% Topic4:介入前:32%→介入後:92% Topic5:介入前:24%→介入後:93% Topic6:介入前:34%→介入後:92%

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キラキラネームから親が子供を思う気持ちを考えてみる【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第57回

第57回 キラキラネームから親が子供を思う気持ちを考えてみる法務大臣の諮問機関である法制審議会が、戸籍の氏名の読み仮名の振り方について基準を設ける、戸籍法改正の案をまとめたというものがありました。一般的には「キラキラネームに制限」といったタイトルで報じられていました。漢字本来の意味から外れた読み方をするいわゆる「キラキラネーム」に一定の制限を設ける内容で、読み仮名は「一般に認められている」ものに限るとの規定を設けるそうです。受理できない読み仮名の例として、「太郎」と書いて「マイケル」とする読み仮名がこれに当たると例示しています。たしかに驚きの命名です。今日の話題は、キラキラネームを批判したいわけでも肯定したいわけでもありません。どの名前にも、親の気持ちが込められているということです。自分の友人に、名前が「元気」という医師がいます。読み仮名は直球で「げんき」です。「元気」先生は患者さんに自分の名前を告げると、かなりの確率で「先生のご両親の気持ちが伝わってきますね、良い名前ですね」と反応があるそうです。患者の立場となり入院し、一層と健康への願望が高まるからかもしれません。実は「元気」先生の命名には背景があるそうです。彼は長男として扱われ、周りからもそう見られています。しかし正確には、戸籍上は次男です。長子は胎児性白血病で夭折していたのです。どのような気持ちで、彼の両親が「元気」と命名したのかが伝わってきます。死別の悲しみは深いものです。なかでも、わが子を失う悲しみはとくに深いとされます。その理由は3つあります。1つ目は、ほとんどの場合、心の準備ができていないからです。交通事故や溺死などの事故死が多いからです。2つ目は、子供を失うと自分の一部を失ったように感じるからです。3つ目は、自責の念にさいなまれるからです。事故なら「私が目を離さなかったら…」、病気なら「私が丈夫に産んでやれなかったから」、などと自分を責め苦しむのです。どんな悲しみも、時間とともに和らいでくるものです。心が落ち着くまでに、1年かかる人、5年、10年と要する人もあるでしょう。表現は難しいですが、さらに悩みが深い方もいます。わが子に障がいがある方は、自分がいなくなった後、残された障がい者はどうなるのだろうと、将来についての悩みや不安をお持ちです。障がいのある子が、「親亡き後」に困らないために今できることは何なのだろうか。親の死後、わが子は一人でちゃんと生きていけるのか。お金、生活、制度など、障がいがある子の親にとっての不安や心配は尽きません。子供に長生きしてほしいと親は願います。障がいのある子が天寿を全うした次の日に、親である自分がポックリと逝くことを願っている方を知っています。ここで、今回は論文を紹介する代わりに、『終末のフール』という連作短編集を紹介したいと思います。2007年の本屋大賞第4位の作品で、著者の伊坂 幸太郎は翌2008年に『ゴールデンスランバー』で本屋大賞を得ております。非常に興味深い内容で、一気読みしてしまうことを約束します。少しネタバレ気味に紹介します。8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう宣言されてから5年が過ぎた頃の仙台が舞台です。3年後みんな死んでしまうことはわかっているなかで、人は何をするのか、何をするべきなのか、生きる意味はあるのか、を問う作品です。滅亡まで3年とはいえ、子供を産むという選択をした夫婦、ボクシングの練習を日々続けているボクサー、自殺することをやめた家族…8つの短編で構成されています。そのなかで自分が一番共感したのが、土屋という30歳過ぎの男性の登場人物です。ストーリーの主役ではなく端役です。しかし、「すげえ幸せなんだよ」と語る土屋に打たれました。土屋には、進行性の病気で身体が不自由な娘がいます。彼は、生きている限り面倒を見るつもりですが、先に自分が死んで、娘を一人残していくことが不安でならなかったのです。しかし、3年で皆死んでしまうなら、 娘と一緒に死ねることになり、そんな心配から解放されることになる。だから、今とても幸せだと言う。生き方、死に方、重いテーマにもかかわらず、静かで温かく読みやすい1冊です。生命について考えることの多い医療関係者であるからこそ、感情移入もしやすいと思います。今回は重いテーマで書いたので猫さまの登場はありません。正解のない問題です。午前零時を過ぎています。そろそろ焼酎のお湯割りを一杯ひっかけて就寝したいと思います。おやすみなさい。

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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツアトピー性皮膚炎診療の最新知見【診療よろず相談TV】その症状もアナフィラキシーですよ!【Dr.山中の攻める!問診3step】じんましん【患者説明用スライド】IgEってなあに?【患者説明用スライド】アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

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小児の点滴ルート確保時の疼痛を減らすまさかの方法【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第228回

小児の点滴ルート確保時の疼痛を減らすまさかの方法Pixabayより使用奇抜なタイトルの論文だったので、まさかトップジャーナルとは思っていませんでした。読んだ後に気付きました、すいません。この連載では、私もあえて「誰も知らないマイナー医学雑誌」の論文を読みあさっているワケではないので、誤解なきよう。Lee HN, et al.Effect of a Virtual Reality Environment Using a Domed Ceiling Screen on Procedural Pain During Intravenous Placement in Young Children A Randomized Clinical Trial.JAMA Pediatr. 2023;177(1):25-31.VRゴーグルのゲームってやったことあります? 私は一度、家電量販店でVRゴーグルをかけて崖の上に立ったことがあるのですが、後ろから妻に押されて「殺す気か!」と思ってしまいました。没入感がすごいですよね。そんなVRの世界に入っているタイミングで小児の点滴ルートを確保したら、疼痛が少なくなるんじゃないか、あわよくばバレないんじゃないか、という研究立案をしたのがこの研究です。実際に、小児の気をそらすということが効果的であることは示されていて、VRはその最有力候補だったのです1)。かといって、小児にVRゴーグルを着用してもらうことは困難なので、ドーム型の天井スクリーンを使ったVR環境を実現するというなかなか大掛かりなランダム化比較試験です。対象となったのは、静脈ルート確保が必要な生後6ヵ月~4歳の小児です。主要評価項目は、ベッドに寝かせた後から針が皮膚を貫通するまでの4時点における疼痛スコアとしました。スケールはFLACCという小児用の疼痛スコアを用いました。88人の小児のうち、44人がVR環境、44人が非VR環境にランダム化されました。針を貫通した時点のFLACCスコアの中央値は介入群6.0(四分位範囲:1.8~7.5)、対照群7.0(5.5~7.8)という結果でした。中央値にはさほど差がないように見えますが、順序ロジスティック回帰モデルではVR介入群のほうが疼痛が少ないことが示されました(オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.28~0.99、p=0.046)。SNSなどで、子供の気をそらしながらワクチンを一瞬で接種する小児科医の動画を見かけますが、これも同じロジックです。というわけで、小児救急でどんどんVR環境を広めていきましょう!1)Litwin SP, et al. Virtual Reality to Reduce Procedural Pain During IV Insertion in the Pediatric Emergency Department: A Pilot Randomized Controlled Trial. Clin J Pain. 2021 Feb 1;37(2):94-101.

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妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。生後6ヵ月未満児約8,800例について、母親の妊娠中のワクチン接種との関連を解析 研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。 乳児8,809例が適格基準を満たし、症例群はデルタ株99例、オミクロン株1,501例、対照群はそれぞれ4,365例、4,847例が含まれた。妊娠中の2回接種、乳児のオミクロン株感染/入院に対する有効率は45~53% 母親が妊娠中にワクチンを2回接種した場合の有効率は、乳児のデルタ株感染に対して95%(95%信頼区間[CI]:88~98)、デルタ株感染による入院に対して97%(73~100)であり、オミクロン株感染に対しては45%(37~53)、オミクロン株感染による入院に対しては53%(39~64)であった。 また、妊娠中のワクチン3回接種の有効率は、オミクロン株感染に対して73%(95%CI:61~80)、オミクロン株感染による入院に対して80%(64~89)であった。 乳児のオミクロン株感染に対するワクチン2回接種の有効率は、妊娠第1期(47%、95%CI:31~59)または第2期(37%、24~47)と比較して、妊娠第3期で最も高かった(53%、42~62)。また、出生~生後8週までは57%(44~66)であったが、生後16週以降には40%(21~54)へ低下していた。

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