サイト内検索|page:51

検索結果 合計:3114件 表示位置:1001 - 1020

1001.

医療者が小学生に「がん教育」を行ううえでの“Tips”

 小学生向けの「がん教育」では、到達目標を“がんについて考える「きっかけづくり」”に置くことが大事だという。また「新聞作り」のようなアウトプット機会の提供も有用であるようだ。 今回は、がん教育のワークショップを例に、医療者が小学生にがん教育を行ううえでの、ヒントとなる内容を紹介する。 2023年8月5日、小学生親子向けの夏休み自由研究応援プログラム『がんと「未来」新聞づくり』ワークショップが、都内にて開催された(主催:武田薬品工業)。【クイズ形式や新聞作成で、対話を大切に】 本プログラムでは、クイズ形式や講演内容からの新聞作り、といったいくつかの工夫が見られた。 冒頭の「医師から学ぼう!がんのこと」と題した、渡邊 清高氏(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授)の講演も小学生向けに構成された平易なスライドに加え、クイズを交えた構成が印象的であった。「日本人の何人にひとりが一生のうち、がんになるでしょう?」「がん検診を受けるタイミングは?」「この中でがんの原因にならないものは?」などのクイズに回答しながら、子供たちは「がん」の知識を自然に得られる。 講演後の取材で渡邊氏は、医療者が小学生向けにがん教育を行う際は、つい正しい知識の伝達ばかりに重きを置きがちだが、一方通行の講義ではなく、子供にがんを知ってもらう「きっかけ」を提供する意識が大事だ、と述べた。子供たちの意見を聞きながら、対話形式で取り組むことが望ましく、可能であれば医師だけでなく、患者さん側の体験を共有する機会を設けると、より身近にがんを意識させることができるという。 なお、必ずしも患者さん側からの講演である必要はなく、医師が患者さんと接した際のエピソードの紹介、といった医師の経験談の共有も有用だという。【軍手を使った、化学療法による副作用体験】 今回は実際に、「がん体験者のお話を聞こう」という形で、桜井 なおみ氏(一般社団法人CSRプロジェクト代表理事)の体験が語られた。演台での講義スタイルではなく、会場を歩きながら子供に語りかけるように話す姿が印象的であった。 講演内では、抗がん剤服用で生じる末梢神経障害などの身体変化を体感してもらう目的で、参加者に軍手をはめてもらい、「ペットボトルを開ける」、「お箸を使って物を運ぶ」、「紙をめくる」、などの作業に挑戦してもらい、その感想を聞いた。 「紙がめくれないとイライラする」と述べる子供に、桜井氏は「もし自分のまわりの人が困っていたら、どんなサポートをしてあげたいかな?」と問いかけた。会場からは「ゆっくりでいいよ、と声をかける」「ドアを開けておいてあげる」 といった意見が挙がったのち、桜井氏は「がん患者はいろいろなつまずきがある。そんなときに手を差し伸べてあげてほしい」と伝え、がん患者の困り事がまとまった参考ウェブサイト「生活の工夫カード」(国立がん研究センター 中央病院)を紹介した。 また、「がんだから仕方ない」と患者さんは思ってしまいがち、との桜井氏のコメントに対し、渡邊氏からは医療者として「何か困っていることはないですか?」とアプローチすることも大事だ、との意見も述べられた。 講演後に行われた新聞作りでは、時間を超過しても残って作業を継続する親子が多く、参加者が主体的にワークに取り組む様子が伺えた。【“新聞作り”というアウトプットで学びを深める】 本プログラムを主催した武田薬品工業の馬目氏(日本オンコロジー事業部 ペイシェントアドボカシー&コミュニケーション部 課長代理)にも企画趣旨を取材した。 今回は、小学生にもわかりやすくがんをより身近に感じてもらう目的で、医師および患者さんの両者の視点から講演をしてもらい、子供たちに楽しみながら意見をアウトプットしてもらえる「新聞作り」という形式を考えたという。 学校がん教育の普及には、現在も都道府県での取り組みに差があることや、外部講師の成り手が少ないといった課題がある。武田薬品工業は、今年度初めて募集をかけ、がん教育プログラムを企画した。 本プログラム参加者は40人(家族16組)。事後アンケートでは「がん」に対する理解力の向上とともに「がん患者さんの気持ちを理解できて良かった、学んだことを身近な人に話したい、将来医師になりたい」という子供からのコメントや、保護者からも「親子で一緒に学び、考える時間を持つことができて良かった、患者さん目線で自分事として感じることができた」など多くの温かい感想が寄せられたようだ。 今回のような取り組みは、親子でのヘルスリテラシー向上にもつながると、期待される。

1002.

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現のコツ(5)乗数・累乗の表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第21回

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現のコツ(5)乗数・累乗の表現今回は、使う頻度はやや低くはなりますが、重要な数字表現として「累乗」を紹介します。日常会話で使うことは滅多にないですが、学会発表などではしばしば耳にすることがあるので、ぜひこの機会に覚えてしまいましょう。1)“WBC 5 × 103/μL (= 5 × 109/L)”はどう読む?たとえば、「白血球数」を記載する際には「5×103/μL」もしくは、「5×109/L」の単位を使用することが一般的です。この数字はどのように読めばよいのでしょうか?「乗数」(multiplication)の記号である“×”は“times”と読みます。例外的に、四角形の縦横の辺の長さを表すときなどには、“2 × 2”と表記して、“two by two”と読みます。“103”のような累乗の表示は、exponential (or power) expressionと呼び、右上の小さい数字は指数(exponent)と呼びます。これを読むときは、“ten to the third (power)”となります。この表現は、数学的な意味(103=10×10×10)を考えて、「10という数字が3番目まで掛け算されている」と考えるとわかりやすいでしょう。同様に、109は“ten to the ninth (power)”(=10×10×10×10×10×10×10×10×10)と読みます。どちらの場合も、“five thousand (5,000)”、“five billion (5,000,000,000)”と読むことも可能です。2)“m”、“m2”、“m3”はどう読む?これらは長さ、面積、容積の単位ですが、医学系の発表でも目にする表現です。個人的によく使う場面は、「体表面積」(body surface area)です。発表スライドに“BSA 1.2 m2”と記載したものを、“body surface area is 1.2 square meters”と読み上げます。この応用として、薬剤投与量における“10 mg/m2”は“ten milligram per square meters”となります。また“BMI 20 kg/m2”は、“body mass index is twenty kilogram per square meter-s”となります。講師紹介

1003.

第57回 9月以降の「秋開始接種」の概要は?

XBB.1.5対応1価ワクチンが登場ソコストより使用医療従事者では最多で新型コロナワクチンを6回接種している方がいると思います。私も2023年6月に6回目接種を終えています。現在「令和5年春開始接種」が終盤になっていますが、新型コロナワクチンの接種率がかなり下がってきた印象です。1年以上経過すると、さすがに重症化リスクも上がってくるようなので、前回からの接種期間が空いている人は接種してもよいのではないかと思いますが。65歳以上の高齢者および5歳以上の基礎疾患を有する人やその他重症化リスクが高いと医師が認める方の場合は、基本的に接種が推奨されます。これ以外の健康な人は、予防接種法による接種勧奨・努力義務のいずれの適用もありません。「看護学生がワクチン接種していないと実習に参加できない」問題がわりとSNSで炎上していますが、デリケートな問題ですよね…(遠い目)。さて、9月20日以降使用されるXBB.1.5対応1価ワクチンは、マウスを用いた非臨床試験において、XBB.1.5に対して現行2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されています。XBB.1.5対応1価ワクチンの契約は、モデルナ社とファイザー社を合わせて2,500万回分がすでに済んでいます。数が少し少な目な気がしますが、第一三共の「ダイチロナ」がXBB.1.5対応1価ワクチンとして早期に参入してくるのかどうかは不明です。従来株でのダイチロナ承認となっていますが、変異ウイルス用のものを次々に出してくるのではないかと期待しています。「秋開始接種」の概要9月20日から始まる「秋開始接種」の概要は図のとおりになります。春開始接種では基礎疾患のない12~64歳は接種対象外だったのですが、今回再び対象になっています。とはいえ、「もう接種はいいや」と思っている人がかなり多いので、ヘタするとインフルエンザワクチンよりも打たれないという未来が待っているかもしれません。画像を拡大する図.新型コロナワクチン接種スケジュール(筆者作成)8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンが初回接種可能にところで、あまり報道すらされていませんが、8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンを初回接種できるようになりました。現状流通するのは5歳以上になります。生後6ヵ月~4歳に対するオミクロン株対応2価ワクチンも書面上は接種可能ですが、いずれXBB.1.5対応1価ワクチンを接種することになるため、こちらについては流通させない方針のようです。現在流行しているのはXBB系統ですが、従来型ワクチンと比べるとオミクロン株対応2価ワクチンでは、約7割の死亡予防効果が確認されています1)。そのため、「系統が違うから効かないのでは」と懸念しなくてもよいと思います。参考文献・参考サイト1)Lin DY, et al. Durability of Bivalent Boosters against Omicron Subvariants. N Engl J Med. 2023;388:1818-1820.

1004.

不要な抗菌薬処方、60歳以上の医師に多く特定の医師に集中か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症には、抗菌薬が無効であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されている実態が報告されている1,2)。ただし、抗菌薬処方に関連する医師や患者の特徴については明らかになっていない。そこで、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士氏らは、本邦の一般開業医を対象としたデータベース(Japan Medical Data Survey:JAMDAS)を用いて、COVID-19の外来受診データを分析した。その結果、本邦の新型コロナのプライマリケアにおいて、抗菌薬の処方は少数の診療所に集中していた。また、60歳以上の医師は抗菌薬の処方が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月25日号のリサーチレターで報告された。新型コロナの抗菌薬処方の傾向についてJAMDASを用いて解析 2020年4月1日~2023年2月28日の期間において、継続観察された843診療所の新型コロナの外来受診データ(JAMDAS)を分析し、抗菌薬処方の傾向について検討した。ロジスティック回帰モデル(月と都道府県で調整)を用いて、患者特性(性、年齢、合併症の有無)や医師特性(性、年齢)と抗菌薬処方の関連を調べた。なお、抗菌薬の処方が適切である可能性のある疾患の診断を有する患者の受診データは除外した。 JAMDASを用いて新型コロナの抗菌薬処方の傾向について検討した主な結果は以下のとおり。・COVID-19患者52万8,676例(年齢中央値33歳[四分位範囲:15~49]、女性51.6%)のうち、4万7,329例(9.0%)に抗菌薬が処方された。・新型コロナで最も多く処方された抗菌薬は、クラリスロマイシン(25.1%)であった。次いで、セフカペン(19.9%)、セフジトレン(10.2%)、レボフロキサシン(9.9%)、アモキシシリン(9.4%)の順に多かった。・新型コロナの抗菌薬処方絶対数の上位10%の診療所で、全体の処方数の85.2%を占めていた。・新型コロナの抗菌薬処方絶対数の上位10%の診療所における抗菌薬の平均処方率が29.0%であったのに対し、残りの90%の診療所における抗菌薬の平均処方率は1.9%であった。・医師が新型コロナに抗菌薬を処方する割合は、44歳以下の医師と比較して、60歳以上の医師で高かった(調整オッズ比[aOR]:2.38、95%信頼区間[CI]:1.19~4.47、p=0.03)。医師の性別によって、抗菌薬の処方に違いはなかった。・新型コロナ患者が抗菌薬を処方される割合は、18歳未満の患者と比較して、18~39歳(aOR:1.69、95%CI:1.37~2.09、p<0.001)および40~64歳(aOR:1.36、95%CI:1.11~1.66、p=0.01)の患者で高かった。・併存疾患のない新型コロナ患者と比較して、併存疾患を有する患者は抗菌薬を処方される割合が高かった(aOR:1.48、95%CI:1.09~2.00、p=0.03)。 本研究結果について、著者らは「本研究の限界として、患者の重症度など、未測定の交絡因子の影響を十分に考慮できないこと、JAMDASに含まれない診療所などへの一般化可能性には限界があることなどが挙げられる」としたうえで、「本研究結果は、抗菌薬の適正使用促進の取り組みに役立つ可能性がある」とまとめた。

1005.

喘息の増悪発生に地域差/AZ

 アストラゼネカ(以下、AZ)は、喘息増悪の発生状況を地域別に検討した「Asthma heatmap研究」を実施し、喘息の増悪発生率に日本国内で地域差があることを初めて明らかにしたと発表した。本研究の結果を基に、地域の実情に即した喘息治療の適正化を目指した活動を実施していくとしている。 日本において、喘息に罹患している患者(小児を含む)は約800万人といわれている。喘息による死亡数は年々減少傾向にあり、2021年では1,038人と報告されている一方で、症状が残存する患者はいまだ残されており、患者の5~10%は従来の治療でコントロールできない重症喘息と推定されている。本研究では、複合アウトカム*で定義した喘息増悪が平均で100人年当たり39.87件生じており、その頻度に地域差があることが示された。都道府県別にみると、複合アウトカムに示された喘息増悪発生率は、最多の地域では最少の地域の6.7倍であった。*複合アウトカムの定義:入院、静注ステロイド、OCS(経口ステロイド:20mg以上/日の処方またはOCS10mg以上/日の増量)のすべて対象:基準日(2018年10月1日以前に喘息と診断され、かつ喘息関連薬を処方された最新の日)以前の1年間に4回以上ICS(吸入ステロイド)またはICS/LABAが処方されたICS継続投与喘息患者2万4,883例方法:保険データベースMedi-Scope(2016年10月1日~2019年12月31日までのデータ)を用いたレトロスペクティブコホート研究。フォローアップ期間(基準日以降の1年間)における地域別の喘息増悪発生率、およびベースライン期間(基準日以前の1年間)における患者背景因子と喘息増悪との関連を解析。 本研究結果から喘息増悪の地域差が明らかになったことを踏まえ、AZは日本呼吸器学会との共催、厚生労働省の後援の下、各地域で医師を対象とし、地域に根差した喘息増悪予防について検討するための講演会を順次実施している。講演会を地域別に行うことで、地域の特性に即した課題が医療関係者に共有され、治療の最適化や地域連携を通じての専門医への紹介等、地域の実情に根差した医療環境がより整うことを期待しているとし、今後、全国においてもオンラインにて全3回の講演会開催を予定している。AZは喘息領域において、適切な増悪予防と症状コントロールによって、患者が健康な人と変わらない生活を送ることを目指し、患者中心の医療へ今後も貢献していくとしている。

1006.

第158回 コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省

<先週の動き>1.コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省2.膨らみ続ける社会保障給付費、高齢化とコロナ対策で過去最高額に/厚労省3.マイナンバーカード一体化続行、健康保険証の来秋廃止は延期に含み-岸田首相/政府4.診療報酬改定時期が6月に変更、医療機関などの負担軽減を目指す/厚労省5.不正アクセスで患者情報が4万8千件以上流出/福岡6.市民病院が経営難から来年3月に閉院へ/大阪1.コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省厚生労働省は、8月4日に新型コロナウイルス感染症の発生状況(7/24~7/30)を公表した。その結果、5類移行後も11週連続で増加が継続し、直近では全国約5,000の定点医療機関1施設当たり15.91人と前週比1.14倍に増加していた。地域別の新規患者数は、42都府県で前週より増加傾向にあり、沖縄県では7月上旬以降、減少傾向がみられていた(沖縄県、前週比0.78)が、全国の年代別新規患者数は、10歳代を除きすべての年代で前週より増加傾向にある。定点医療機関の報告に基づく過去の推計値と比較すると、全国で感染者が約10万人に上っていた2022年11月中旬と同水準であり、感染症法上の分類が5類に移行したことで、感染者数は8.8倍となっており、とくに西日本で感染が急速に拡大、新規入院者数も増加していることが明らかになっている。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード座長の脇田 隆字氏(国立感染症研究所長)は「今後も感染が拡大する」と見通しを公表し、「冷房中でもなるべく換気するように」と発言した。参考1)第124回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(厚労省)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第116回~)新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況の評価等2)コロナ新規患者報告数、42都府県で増加-厚労省が第30週の発生状況を公表(CB news)3)新型コロナ 感染警戒レベルの基準設定を検討 厚労省(毎日新聞)4)コロナ感染、定点あたり15人超 全国で1日10万人規模か(日経新聞)2.膨らみ続ける社会保障給付費、高齢化とコロナ対策で過去最高額に/厚労省厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、日本の社会保障給付費が2021(令和3)年度に過去最高の138兆7,000億円を記録したことを明らかにした。社会保障給付費の内訳は、年金(55兆8,151億円)、医療(47兆4,205億円)、介護・福祉(35兆5,076億円)。1人当たりの給付費は110万5,500円で、前年度と比べ5万7,400円、5.5%増加していたほか、国内総生産(GDP)比では25.2%と、初めて25%を超えていた。増加の原因として、高齢化による医療費の増加と新型コロナウイルスワクチン接種関連費用などのコロナ対策、子育て世帯への給付金などがあげられている。参考1)令和3(2021)年度 社会保障費用統計の集計結果を公表します(国立社会保障・人口問題研究所)2)社会保障給付費138兆円 コロナ影響で過去最高(産経新聞)3)社会保障給付費138兆円、過去最高 21年度(日経新聞)3.マイナンバーカード一体化続行、健康保険証の来秋廃止は延期に含み-岸田首相/政府岸田文雄総理大臣は、8月4日に記者会見を開き、2024年秋に予定されている健康保険証の廃止は当面は延期せず、マイナンバーカードの問題に対応する施策を続ける考えを示した。しかし、トラブルの総点検の結果によっては廃止を延期する可能性も示した。また、国民の不安を払拭するため、マイナンバーカードと一体化した保険証を持っていない人には「資格確認書」を発行する方針を明らかにした。さらに、デジタル化を進めて国民がメリットを実感できるように広報にも力を入れると述べた。岸田首相は、総点検の中間報告を近く公表する予定。ただ、資格確認書を有資格者全員に交付することについては、多額のコストを要するとして効率化の批判が集まっている。参考1)岸田首相、健康保険証の廃止時期など「適切に対応」-延期に含み(CNET)2)岸田首相会見 “健康保険証廃止は当面維持 不安払拭に努力”(NHK)3)資格確認書、有資格者全員交付は多額のコスト 遠のく効率化(産経新聞)4)保険証、来秋廃止を維持 岸田首相「総点検踏まえ判断」(日経新聞)4.診療報酬改定時期が6月に変更、医療機関などの負担軽減を目指す/厚労省厚生労働省は、8月2日に中央社会保険医療協議会の総会を開き、2024年度以降の診療報酬の改定時期を、従来の4月から6月に変更することを提案し、了承された。診療報酬の改定内容が早く決まることで医療機関などが対応しやすくなるよう準備期間が長くなる。これまで改定の時期は4月で医療機関や薬局、システム改修業者は短期間で準備をしなければならず、負担が大きいとして改善を求める声があったため、厚労省では6月に後ろ倒しすることで負担軽減を図る方針。一方、薬価の改定はこれまで通り4月に実施される予定で、24年度以降も引き続き4月となる見込み。診療側の委員からは、診療報酬と薬価の2回の改定を行うことに対する医療現場への負担や影響についての懸念が示された。参考1)中央社会保険医療協議会 総会[第551回]議事次第(厚労省)2)診療報酬改定、来年度から「6月実施」へ 2カ月後ろ倒し(朝日新聞)3)診療報酬改定6月1日施行、24年度から 薬価改定は4月1日施行を維持(CB news)5.不正アクセスで患者情報が4万8千件以上流出/福岡福岡徳洲会病院は、第三者から不正アクセスを受け、データベースに保存されていた患者の個人情報について、最大で約4万8,983件が流出した可能性を明らかにした。病院の発表によると、流出した情報には、病名や検査値も含まれていたが、悪用は確認されていない。不正アクセスは今年4月4日に、職員が業務用のパソコンで外部のホームページを閲覧していた際に、警告画面に記載された電話番号に連絡して指示に従って操作したところ、パソコンが遠隔操作に切り替わり、金銭を要求されたとしている。同病院はただちにシステムを中止し、より高度なセキュリティー水準のシステムに切り替えている。病院は福岡県警や厚生労働省、個人情報保護委員会へ報告し、専門業者に調査を依頼している。対象の患者には個別に謝罪し、専用の相談窓口を設けて対応しているほか、「再発防止に向けて、管理体制の強化に努める」とコメントしている。参考1)不正アクセスによる個人情報流出の可能性についてお知らせとお詫び(福岡徳洲会病院)2)福岡徳洲会病院、患者情報4万8千件流出か データベースに不正アクセス(産経新聞)3)福岡徳洲会病院 個人情報など5万件余が一時閲覧可能な状態に(NHK)4)福岡徳洲会病院で患者などの個人情報5万件が流出か 不正アクセス受け病名や検査の値も(福岡放送)6.市民病院が経営難から来年3月に閉院へ/藤井寺市民病院大阪府藤井寺市は市立藤井寺市民病院(病床数98床)を、令和6年3月31日で閉院する基本方針案を公表し、市民からの意見を募集している。同病院は厚生労働省から再検証要請対象医療機関に挙げられ、総務省の公立病院改革ガイドラインに基づき、改革(経営)プランを策定してきたが、経常損益も5年度で約8億5千万円、6年度も約9億2千万円の赤字が見込まれている。藤井寺市は平成10年頃から施設の更新を検討してきたが、老朽化も進み、建て替えに多額の費用が必要とされ、さらに医師派遣の減少で診療に制限が出ており、赤字が続くことから、市民病院の経営継続は困難と判断され、閉院が避けられないと結論付けられた。市側は市民説明会を開催し、閉院後の小児科の入院診療機能、災害医療などの機能移転に向けて努めるとしている。なお、「市立藤井寺市民病院のあり方に関する基本方針」に対するパブリックコメントの締め切りは8月16日まで。参考1)「市立藤井寺市民病院のあり方に関する基本方針」(案)についてパブリックコメントを実施します(藤井寺市)2)市民病院を来年3月に閉院案公表 大阪・藤井寺市(産経新聞)3)市民病院、経営難で3月に閉院へ 藤井寺市が方針(朝日新聞)

1007.

軟骨無形成症〔ACH:achondroplasia〕

1 疾患概要■ 定義軟骨無形成症(achondroplasia:ACH、MIM100800)は四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表である。成人身長は男性で約130cm、女性で約124cmと低く著明な四肢短縮のため、患者は日常生活でさまざまな制約をうける。脊柱管狭窄のため中高年になると両下肢麻痺を呈したり、下肢アライメントの異常による変形性関節症を発症し、歩行障害を生じたりすることが少なくない(指定難病)。■ 疫学ACHの頻度は出生10,000~30,000に1人と報告されている。■ 病因ACHの97%以上に、染色体4p26.3に位置するFGFR3遺伝子のGly380Arg病的バリアント(ほとんどがc.1138G>A、ごく一部がc.1138G>C)を認め、遺伝型としての均質度は高い。遺伝様式は常染色体顕性遺伝であるが、約80%は新規突然変異によるものとされる。変異FGFR3は恒常的に活性化された状態にあり、軟骨細胞の分化、軟骨基質の産生および増殖が抑制される。軟骨組織を介して骨が形成される軟骨内骨化が障害されるため、長管骨の伸長不良、頭蓋底の低形成などが生じると考えられている。■ 症状ACHでは、近位肢節により強い四肢短縮型の著しい低身長、特徴的な顔貌、三尖手などがみられる(表)。成長とともに低身長が目立つようになる。思春期の成長スパートがみられず、この間にも相対的に低身長の程度が悪化する。成人身長は男性130cm程度、女性124cm程度である。顔貌の特徴は出生時からみられる。乳幼児期(3歳頃まで)に問題となるのは、大後頭孔狭窄および頭蓋底の低形成による症状である。大後頭孔狭窄では延髄や上位頚髄の圧迫により、頚部の屈曲制限、後弓反張、四肢麻痺、深部腱反射の亢進、下肢のクローヌスがみられ、中枢性無呼吸、脊髄症、水頭症、突然死の原因となる。ACHの脳室拡大は、2歳までに生じる可能性が最も高く、一般的には交通性であり、真の水頭症(神経症状を伴う脳室拡大)はまれであるが、重篤な合併症の1つである。上気道閉塞はよくみられ、10~85%の患者が睡眠時無呼吸や慢性呼吸障害の治療が必要とされる。胸郭の低形成が高度な場合、拘束性肺疾患や呼吸器感染症の反復、重症化も問題になる。中耳炎の罹患も多く、ACHの約90%で2歳までに発症する。多くは慢性中耳炎に移行し、30~40%で伝音性難聴を伴う。脊柱管狭窄は必発であり、幼児期に症状が発現することはまれであるが、成長とともに狭窄が増強し、しびれ、脱力、間欠性跛行、下肢麻痺、神経因性膀胱による排尿障害などを呈することが多い。40歳までに約7%の患者が手術を受けると報告されている。胸腰椎後弯、内反膝をよく認め、腰痛、下肢痛もしばしばみられる。乳児期に運動発達の遅延はあるが、知能は正常である。このほか、咬合不整、歯列不整がみられる。表 軟骨無形成症の診断基準A.症状1.近位肢節により強い四肢短縮型の著しい低身長(−3SD以下の低身長、指極/身長<0.96の四肢短縮)2.特徴的な顔貌(頭蓋が相対的に大きい、前額部の突出、鼻根部の陥凹、顔面正中部の低形成、下顎が相対的に突出):頭囲>+1SD3.三尖手(手指を広げたときに中指と環指の間が広がる指)B.検査所見単純X線検査1.四肢(正面)管状骨は太く短い、長管骨の骨幹端は幅が広く不整で盃状変形(カッピング)、大腿骨頸部の短縮、大腿骨近位部の帯状透亮像、大腿骨遠位骨端は特徴的な逆V字型、腓骨が脛骨より長い(腓骨長/脛骨長>1.1、骨化が進行していないため乳幼児期には判定困難)。2.脊椎(正面、側面)腰椎椎弓根間距離の狭小化(椎弓根間距離L4/L1<1.0)(乳児期には目立たない)、腰椎椎体後方の陥凹。3.骨盤(正面)坐骨切痕の狭小化、腸骨翼は低形成で方形あるいは円形、臼蓋は水平、小骨盤腔はシャンパングラス様。4.頭部(正面、側面)頭蓋底の短縮、顔面骨低形成。5.手(正面)三尖手、管状骨は太く短い。C.鑑別診断以下の疾患を鑑別する。骨系統疾患(軟骨低形成症、変容性骨異形成症、偽性軟骨無形成症など。臨床症状、X線所見で鑑別し、鑑別困難な場合、遺伝子診断を行う)D.遺伝学的検査線維芽細胞増殖因子受容体3型(FGFR3)遺伝子のG380R変異を認める。<診断のカテゴリー>DefiniteAのうち3項目+Bのうち5項目すべてを満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。または、Probable、PossibleのうちDを満たしたもの。ProbableAのうち2項目以上+、Bのうち3項目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。PossibleAのうち2項目以上+Bのうち2項目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。(出典:難病情報センター 軟骨無形成症)■ 予後積極的な医学的評価を行わない場合、乳幼児期に約2~5%の突然死が生じる。突然死の原因は主に無呼吸であると考えられている。大半が知能面では正常であり、平均余命も正常であるとされる。脊柱管狭窄に伴う両下肢麻痺や下肢のアライメント異常による下肢変形が経年的に増加する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)上記の症状と下記の骨単純X線所見と合わせて診断する(表)。骨X線所見にて、太く短い管状骨、長管骨の骨幹端は幅が広く不整で盃状変形(カッピング)、脛骨より長い腓骨、腰椎椎弓根間距離の狭小化、腰椎椎体後方の陥凹、坐骨切痕の狭小化などがみられる(表)。新生児期には、扁平椎を認めることがある。鑑別疾患として軟骨低形成症、変容性骨異形成症、偽性軟骨無形成症などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 成長ホルモン(GH)治療ACHのヒトGH治療開始時の適応基準として、3歳程度以上、現在の身長が同性、同年齢の標準値-3SD以下、手術的治療を考慮するほどの大後頭孔狭窄、脊柱管狭窄、水頭症、脊髄・馬尾圧迫などの合併症がMRI ・CT所見上認められないこと。また、これらのための圧迫による臨床上問題となる神経症状が認められないことなどがある。GH治療の身長に対する短期的な効果はいくつか報告されている。5年間に身長SDSが低用量で1.3SD、高用量で1.6SD改善したという報告や、治療開始前に比べて成長速度が1年目に2.6cm/年、2年目に0.7cm/年増加したという報告がある。一方、3年間のGH治療で身長SDSの改善が0.3SDにとどまったという報告もある。成人身長の検討では、男性で0.6SD(3.5cm)の増加、女性で0.5SD(2.8cm)の増加がみられたと報告されている。■ C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ治療ACHに対してCNPアナログであるボソリチド(商品名:ボックスゾゴ)が2022年に製造販売承認された。国際多施設共同治験においてボソリチド群ではプラセボ群に比べて、52週において1.57cm/年の成長促進効果を認めたことが報告された。この成長促進効果は104週でも維持されていた。今後の中長期的な効果の検討が必要である。なお、ボソリチドは3歳未満の患者でも投与可能である。■ 四肢延長術:ACHの低身長、四肢短縮の改善のため実施されることが多い。創外固定器を用いた下肢延長術は長期の治療期間、高頻度の合併症がみられるため、脚延長術開始の意思決定は患者自身で行うことが望ましい。下肢延長術では8.4~9.8cmの平均獲得身長とされている。後遺症として、尖足、腓骨神経麻痺の残存、膝関節・足関節の外反変形、骨折、股関節の拘縮などが報告されている。上腕骨延長術も施行されているがまとまった報告は少ない。4 今後の展望新規治療として以下の第II相臨床試験が行われている。TransCon CNP(CNPアナログ/週1回注射)、Infigratinib(FGFR阻害薬/経口投与)、塩酸メクリジン(抗ヒスタミン薬/経口投与)、RBM-007(FGF2 アプタマー/1~4週間隔注射)。今後、成長障害や他の症状により有効な治療法が実施可能となることが期待される。5 主たる診療科小児科、整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 軟骨無形成症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 軟骨無形成症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「先天性骨系統疾患の医療水準と患者QOLの向上を目的とした研究」(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報つくしんぼ-軟骨無形成症と骨疾患低身長の会(患者とその家族および支援者の会)つくしの会:軟骨無形成症患者・家族の会(患者とその家族および支援者の会)1)軟骨無形成症診療ガイドライン-日本小児内分泌学会2)GeneReviewsJapan:軟骨無形成症3)Hoover-Fong J, et al. Pediatrics. 2020;145(6):e20201010.4)Savarirayan R, et al. Nat Rev Endocrinol. 2022;18:173.公開履歴初回2023年8月7日

1008.

8月7日 鼻の日【今日は何の日?】

【8月7日 鼻の日】〔由来〕「は(8)な(7)」の語呂合わせから、鼻の病気を減らすことを目的に、1961年に日本耳鼻咽喉科学会が制定。同会では、この日に全国各地で専門医の講演会や無料相談会などを行っている。関連コンテンツ耳鼻科の手技 その2【一般内科医が知っておきたい他科の基本処置】鼻が詰まったときの症状チェック【患者説明用スライド】花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい重症度に関係なく残る罹患後症状は倦怠感、味覚・嗅覚異常/大阪公立大学コロナによる嗅覚・味覚障害が長期持続する人の割合~メタ解析/BMJ

1009.

小児の16%にコロナ後遺症、多くみられる症状は?~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験した小児でも、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、long COVID)の報告が増加している。19歳以下の小児におけるSARS-CoV-2感染の長期的な臨床的特徴を明らかにするために、カナダ・トロントのThe Hospital for Sick ChildrenのLi Jiang氏らによって系統的レビューとメタ解析が実施された。その結果COVID-19小児患者の16.2%がコロナ後遺症を経験し、男児よりも女児に特定の症状が発生するリスクが高いことなどが判明した。Pediatrics誌オンライン版2023年7月21日号掲載の報告。女児は男児よりも睡眠障害や頭痛のコロナ後遺症を発症するリスクが高い 本研究では、2019年12月~2022年12月に発表された論文およびプレプリントの論文で、小児および青年(0~19歳)でSARS-CoV-2感染が確認されてから3ヵ月以降に新たに発生、再発、または持続する徴候、症状、検査所見を検討した研究が対象となった。使用したデータベースは、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、WHO COVID-19 Research Database、China National Knowledge Infrastructure Database、WanFang Database、Latin American and Caribbean Health Sciences Literature、Google Scholar、medRxiv、bioRxiv、ChinaXiv。27 件のコホート研究(前向き19件、後ろ向き8件)と4件の横断研究が最終的な統計的レビューに含まれた。これらの研究から、2値転帰について加重平均有病率と95%信頼区間(CI)を算出した。転帰に関して複数の測定法が報告されている場合は、最も一般的に報告されている測定法を使用した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、異質性はI2統計量、χ2検定、フォレストプロットを用いて評価した。 小児におけるコロナ後遺症の特徴を明らかにするために実施したメタ解析の主な結果は以下のとおり。・19件の前向きコホート研究で、COVID-19と診断されてから少なくとも3ヵ月以上の追跡調査を受けた小児および青年の総数は1万5,000例以上だった。追跡期間の範囲は3~12ヵ月以上とさまざまだった。地域別に、ヨーロッパ13件、イラン2件、オーストラリア1件、中国1件、米国1件。・COVID-19の持続的症状の絶対数を報告した12件の前向きコホート研究(6,000例以上)をメタ解析したところ、COVID-19と診断された小児および青年の16.2%(95%CI:8.5~28.6)が、3~13ヵ月の追跡期間中に1つ以上の持続的症状を経験していた。・この集団において、COVID-19の長期的な症状として多かったのは、咽頭痛(n=3,106、統合推定値14.8%[95%CI:4.8~37.5])、持続的な発熱(n=5,128、10.9%[2.4~38.2])、睡眠障害(n=697、10.3%[4.9~20.4])、疲労(n=6,110、9.4%[4.1~20.2])、筋力低下(n=196、8.7%[5.5~13.6])、咳嗽(n=5,890、6.8%[2.4~17.7])、頭痛(n=5,809、4.6%[1.2~16.2])、呼吸困難(n=5,560、4.3%[1.1~15.1])、腹痛(n=3,718、3.7%[2.3~5.8])、下痢(n=3,564、3.5%[1.3~8.9])。・バイアスリスクの低い研究2件と中程度の研究5件から感度分析を行ったところ、長期的な症状として多かったのは、持続的な発熱(n=559、統合推定値7.9%)、疲労(n=5,654、7.4%)、嗅覚/味覚の変化(n=5,433、6.1%)、呼吸困難(n=5,560、4.3%)、頭痛(n=5,493、3.9%)であった。・追跡期間別のサブグループ解析では、3~6ヵ月で一般的な持続症状は、咽頭痛、持続的な発熱、筋力低下、疲労、咳嗽。6~12ヵ月では、睡眠障害、体重減少、持続的な発熱、疲労、筋力低下。12ヵ月以上では、疲労、動悸、関節痛、筋肉痛。・5件の研究をメタ回帰分析し、コロナ後遺症の潜在的なリスクを調べたところ、女児は男児よりも、COVID-19の長期的な症状として睡眠障害や頭痛を発症するリスクが高かった(p<0.01)。 著者は小児におけるコロナ後遺症の解析結果について「COVID-19小児患者は3ヵ月以上症状が持続することが一般的であり、症状は広範囲に及ぶ。今後も適切な管理のもと質の高い前向き研究が必要だ」と述べている。

1010.

小児の急性副鼻腔炎、鼻汁の色で判断せず細菌検査を/JAMA

 急性副鼻腔炎の小児において、鼻咽頭から細菌が検出されなかった患児は検出された患児に比べ抗菌薬による治療効果が有意に低く、その有意差を鼻汁の色では認められなかったことが、米国・ピッツバーグ大学のNader Shaikh氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。急性副鼻腔炎とウイルス性上気道感染症の症状の大半は見分けることができない。そのため小児の中には、急性副鼻腔炎と診断されて抗菌薬による治療を受けても有益性がない集団が存在することが示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「診察時に特異的な細菌検査をすることが、急性副鼻腔炎の小児における抗菌薬の不適切使用を減らす戦略となりうる」とまとめている。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。急性副鼻腔炎の持続・増悪患児約500例を、抗菌薬群とプラセボ群に無作為化 研究グループは2016年2月~2022年4月に、米国の6機関に付属するプライマリケア診療所において、米国小児科学会の臨床診療ガイドラインに基づいて急性副鼻腔炎と診断された2~11歳の小児で、急性副鼻腔炎が持続または増悪している症例515例を、アモキシシリン(90mg/kg/日)+クラブラン酸(6.4mg/kg/日)投与群(抗菌薬群)またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、1日2回10日間経口投与した。 割り付けは、鼻汁の色の有無(黄色または緑色と透明)によって層別化した。また、試験開始前および試験終了時の来院時に鼻咽頭スワブを採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌およびモラクセラ・カタラーリスの同定を行った。 主要アウトカムは、適格患者(症状日誌の記入が1日以上あり)における診断後10日間の症状負荷で、小児鼻副鼻腔炎症状スコア(Pediatric Rhinosinusitis Symptom Scale:PRSS、範囲:0~40)に基づき判定した。また、鼻咽頭スワブ培養での細菌検出の有無、ならびに鼻汁色でサブグループ解析を行うことを事前に規定した。副次アウトカムは、治療失敗、臨床的に重大な下痢を含む有害事象などとした。診断時の鼻咽頭からの細菌検出の有無で治療効果に有意差あり 無作為化後に不適格であることが判明した5例を除く510例(抗菌薬群254例、プラセボ群256例)が試験対象集団となった。患者背景は、2~5歳が64%、男児54%、白人52%、非ヒスパニック系89%であった。このうち、主要アウトカムの解析対象は、抗菌薬群246例、プラセボ群250例であった。 平均症状スコアは、抗菌薬群9.04(95%信頼区間[CI]:8.71~9.37)、プラセボ群10.60(10.27~10.93)であり、抗菌薬群が有意に低かった(群間差:-1.69、95%CI:-2.07~-1.31)。症状消失までの期間(中央値)は、抗菌薬群(7.0日)がプラセボ群(9.0日)より有意に短縮した(p=0.003)。 サブグループ解析の結果、治療効果は細菌が検出された患児(抗菌薬群173例、プラセボ群182例)と検出されなかった患児(それぞれ73例、65例)で有意差が認められた。平均症状スコアの群間差は、検出群では-1.95(95%CI:-2.40~-1.51)に対し、非検出群では-0.88(95%CI:-1.63~-0.12)であった(交互作用のp=0.02)。 一方、色あり鼻汁の患児(抗菌薬群166例、プラセボ群167例)と透明の鼻汁の患児(それぞれ80例、83例)では、平均症状スコアの群間差はそれぞれ-1.62(95%CI:-2.09~-1.16)、-1.70(95%CI:-2.38~-1.03)であり、治療効果に差はなかった(交互作用のp=0.52)。 なお、著者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により試験登録が中断され症例数が目標に達しなかったこと、重症副鼻腔炎の小児は除外されたことなどを研究の限界として挙げている。

1011.

モデルナとファイザーのコロナワクチン、対象年齢や初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナおよびファイザーは、8月2日に各社のプレスリリースにて、ワクチンの接種対象年齢や初回免疫について一部変更承認を取得したことを発表した。 モデルナ・ジャパンのプレスリリースによると、同社の新型コロナワクチン「スパイクバックス筋注」について、これまで接種対象年齢が12歳以上だったものを、6歳以上に引き下げ、6~11歳の用法用量を変更する承認事項の一変承認を取得した。今回の一変承認は、「スパイクバックス筋注(1価:起源株)」の6~11歳における初回免疫、および「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」と「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の6~11歳における追加免疫を対象としている。 ファイザーとビオンテックの新型コロナワクチンについては、今回の一変承認で2価ワクチンも初回免疫に使用することができるようになった。ファイザーのプレスリリースによると、初回免疫に関わる製造販売承認事項の一変承認を取得した。対象のワクチンは、これまで追加免疫のみに適応だった「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」、「コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」。 また、「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用(1価:起源株)」の追加免疫、および「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の初回免疫と追加免疫に関わる一変承認も今回取得したが、並行して2023年7月7日に厚生労働省にオミクロン株XBB.1.5系統対応の1価ワクチンに関わる製造販売承認事項一部変更を申請している状況を踏まえ、日本国内において供給の予定はないという。

1012.

マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第6回

マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?講師富山大学医学部 小児科 病院特別助教 村上 将啓 氏【今回の症例】38歳の男性。既往歴は特記事項なし。3ヵ月前にアナフィラキシーのため医療機関を受診したが、原因食物は特定されず、対症療法のみで経過観察されていた。以降も夜に呼吸困難感、蕁麻疹を生じる発作を起こすことがあった。何回かの発作を経験するうちに、大豆製品は日常的に摂取しているものの、納豆を朝食に摂取した日の夜に症状が出現していることに気付き、精査目的に受診した。1.次に行う検査として、診断において最も有効なのはどれか?a)尿検査b)皮膚テストc)血液検査d)運動誘発試験2.当症例は、次のどれと関連が深いと考えられるか?a)魚介類アレルギーb)卵アレルギーc)クラゲ刺傷d)花粉症

1013.

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現(4)単位の頻用表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第20回

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現(4)単位の頻用表現英語で数字を表現する際に、「単位」の表現を学ぶことは欠かせません。薬剤量や検査値などを議論する時にはいろいろな単位が使われ、その伝達ミスは致命的になるからです。また、口語コミュニケーションでは、重要な単語や数字は「強調する(ストレスアクセント)」ために比較的ゆっくり、明確に発声されることが多く、聞き慣れない表現でも、音として聞き取りやすくなります。一方、単位の表現が強調されることはあまりなく、英語の聞き取りに不慣れな人には、とくに聞き取りが困難になります。また文脈から判断できないことも多いので、一般的な読み方を覚えることが重要です。1)薬剤投与量:mg、mg/kg、mg/m2薬剤投与量の一般的な単位は“mg”、“mg/kg”、“mg/m2”です。これらは日本語でも同様にアルファベットで記載されるため、視覚的には一目瞭然です。しかし、口語表現になると、その読み方に十分に慣れていない人も多いかもしれません。“mg”は普通に読むと“milligram”で日本語と同様ですが、発音には少し注意が必要です。発声の際は、[mil-i-gram]のように3音節で最初の音節が強調されます。また、第1音節は“L”、第3音節は“R”の音であるため、混同しないように意識的に発音する必要があります。“mg/kg”の“/”は“per”(パー)と発音されます。また、医療者同士の議論においては、“mg/kg”は“em gee per ke gee” (エム・ジー・パー・ケー・ジー)のように、そのままアルファベットで発音されることもよくあります。さらには、“meg per keg”(メグ・パー・ケグ)と発音されることもあります。個人的には、このような読み方は日本では聞いたことがなかったので、初めて聞いた時には驚きました。“m2”は“square meter”です。これは、省略されたり変則的になったりすることはまれで、そのまま読まれることが多い印象です。2)米国式vs.それ以外の世界各国:Imperial vs.Metric unit systems英語での単位の話で避けて通れないのが“Imperial unit system”です。米国の日常生活では、重量をオンス・ポンド、距離をインチ・フィートで表現する“Imperial system”が標準です。実はこの“Imperial system”は世界的にきわめてまれで、現在では米国、リベリア、ミャンマーの3ヵ国でしか使用されていないようです。米国の医療現場では、薬剤投与量などはすべて“Metric system”を使用するため、医療界全体で“Metric system”を使用することが一般的です。しかし、米国人には“Imperial system”のほうが直感的に理解できるため、医療者でも議論となると“Imperial system”が使われることがしばしばあります。学会発表などで自主的に使用すべきではありませんが、米国の発表者・質問者が使用した際にある程度理解できるとよいでしょう。十進法ではないこともあり、日本人には感覚的にわかりづらい単位です。講師紹介

1014.

第55回 コロナ後遺症、どんな子供に多い?

スウェーデンの大規模研究Unsplashより使用小児におけるCOVID-19は、多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)を除くと、成人ほど医学的な影響は大きくないため、感染症としては比較的軽視されています。そのため、新型コロナワクチン接種率は非常に低いところでプラトーに達しています。最新のデータによると、2回目まで接種した児は23.4%、3回目の接種を受けている児はわずか9.8%です1)。さて、スウェーデンの集団ベース研究において、小児におけるCOVID-19罹患後症状(後遺症)が評価されました2)。この研究は、スウェーデンの2つの地域に居住する6~17歳の小児を対象とし、2020年1月31日~2022年2月9日のCOVID-19の症例を組み入れました。後遺症は、感染後28日以上経過してから発生したものとしました。合計16万2,383人の小児(男児8万1,789人、女児8万594人)が感染を経験し、本コホートに登録されました。平均年齢は12.0±3.5歳で、入院に至った症例はわずか529例(0.3%)でした。日本においても小児のCOVID-19入院のみならず、後遺症で入院に至ることは非常にまれですよね。性別・年齢・親の教育水準などで差結果、後遺症と診断されたのは、326例(0.2%)だけでした。女児における後遺症の発生率は男児よりも高いことが示されました(100人年あたり0.19[95%信頼区間[CI]:0.16~0.22]vs.0.12[95%CI:0.10~0.14])。また、6~11歳より12~17歳のほうが後遺症の発生率は高いという結果でした(12~17歳:100人年あたり0.19[95%CI:0.17~0.22]vs.6~11歳:0.11[95%CI:0.09~0.14])。さらに、当然ではありますが、入院COVID-19例のほうが非入院例よりも後遺症は多かったようです(100人年あたり1.25[95%CI:0.62~2.23]vs.0.15[95%CI:0.13~0.17])。興味深いことに後遺症の発生は親の教育水準によって異なっていました。初等教育卒業水準と比べて高等教育卒業水準のほうが、後遺症が多かったのです(高等教育卒業水準:100人年あたり0.15[95%CI:0.13~0.18]vs.初等教育卒業水準:0.10[95%CI:0.04~0.19])。そして、両親のいずれかが後遺症と診断された場合、児の後遺症発生が5倍多いことが示されました(100人年あたり0.70[95%CI:0.49~0.97]vs.0.14[95%CI:0.13~0.16])。教育水準が高い集団は医療アクセスが速やかなので、後遺症の診断につながりやすいという側面もあります。また、自身の後遺症の経験から子供の長引く症状に対して懸念を抱く両親が多いためと考えられます。考察では遺伝的影響もありうると書かれています。参考文献・参考サイト1)新型コロナワクチンについて(首相官邸)2)Bygdell M, et al. Incidence and Characteristics in Children with Post-COVID-19 Condition in Sweden. JAMA Netw Open. 2023 Jul 3;6(7):e2324246.

1015.

コロナ禍において、5歳児に4ヵ月の発達遅れ/京大ほか

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、学校や保育施設が閉鎖され、多くの乳幼児・子供が影響を受けた。これまで手薄だった未就学児を対象として、コロナ禍の影響を調査した京都大学医学研究科助教・佐藤 豪竜氏らによる研究結果が、JAMA Pediatrics誌オンライン版2023年7月10日号に掲載された。 研究者らは新型コロナ流行前から行っていた研究対象を再調査することで、コロナの影響を調べた。首都圏のある自治体の全認可保育所(小規模含む)に通う1歳または3歳の乳幼児887例に対し、2017~19年に1回目の調査、2年後に2回目の調査を行った。データは2022年12月8日~2023年5月6日に解析された。 追跡期間中にコロナ禍を経験した群とそうでない群の間で、3歳または5歳時(各年4月1日時点の年齢)の発達を比較した。乳幼児の発達は「KIDS乳幼児発達スケール」1)を用いて保育士が評価した。分析では、子供の月齢、性別、1回目調査時の発達、保育園の保育の質、保護者の精神状態、出生時体重、家族構成、世帯所得、登園日数などの影響が考慮された。 主な結果は以下のとおり。・5歳時点でコロナ禍を経験した群は、そうでない群と比べて平均4.39ヵ月の発達の遅れが確認された。一方、3歳時点で経験した群では明確な発達の遅れはみられず、むしろ運動、手指の操作、抽象的な概念理解、対子供社会性、対成人社会性の領域では発達が進んでいた。また、コロナ禍で、3歳、5歳ともに発達における個人差・施設差が拡大していることも明らかになった。・質の高い保育を提供する保育園に通っていた子供は、コロナ禍においても3歳時点の発達が良い傾向にあった。一方、保護者が精神的な不調を抱える家庭の子供は、コロナ禍における5歳時点の発達の遅れが顕著だった。 研究者らは、本研究で3歳と5歳で対照的な結果が示された点について、コロナ禍で保護者の在宅勤務が増え、より幼い年齢の子供は大人とのやり取りを通してさまざまなことを学ぶため、大人との1対1のコミュニケーションが発達において重要であり、在宅勤務によって保護者が子供と密に接する時間が増えたことで、コロナ禍が3歳児の発達にポジティブな影響を与えた可能性がある。一方、5歳児は発達段階において社会性を身に付ける時期で他者との交流が重要であり、コロナ禍によって保護者以外の大人やほかの子供と触れ合う機会が制限されたことが発達に負の影響を与えた可能性がある、とコメントしている。 また研究の限界として、一自治体のみのデータであること、観察できていない違いがあった場合には結果にバイアスが生じている可能性があることを挙げている。さらに、今回の研究でみられた発達の遅れはあくまで一時的なものであり、長期的な影響に関してはさらなる調査が必要だ、とまとめている。

1016.

標準治療に不応・不耐の若年性特発性関節炎、バリシチニブが有効/Lancet

 標準治療で効果不十分または不耐の若年性特発性関節炎患者の治療において、JAK1/2阻害薬バリシチニブはプラセボと比較して、再燃までの期間が有意に延長し、安全性プロファイルは成人のほかのバリシチニブ適応症で確立されたものと一致することが、英国・ブリストル大学のAthimalaipet V. Ramanan氏らが実施した「JUVE-BASIS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月6日号で報告された。20ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 JUVE-BASISは、日本を含む20ヵ国75施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年12月~2021年3月に患者の登録が行われた(Incyteのライセンス下にEli Lilly and Companyの助成を受けた)。 対象は、年齢2~<18歳で、若年性特発性関節炎(リウマトイド因子陽性の多関節型、リウマトイド因子陰性の多関節型、進展型少関節炎型、付着部炎関連関節炎型、乾癬性関節炎型)と診断され、1剤以上の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)または生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による少なくとも12週間の治療で効果不十分、または不耐の患者であった。 安全性/薬物動態の評価を行う期間(2週間)に年齢に基づくバリシチニブの用量(1日1回)が確定され、非盲検下の導入期間(12週間)として全例に成人(4mg)との等価用量のバリシチニブ(錠剤、懸濁剤)の投与が行われた。 導入期間の終了時に、若年性特発性関節炎-米国リウマチ学会(JIA-ACR)の30基準を満たした患者(JIA-ACR30レスポンダー)が、二重盲検下に同一用量のバリシチニブを継続投与する群またはプラセボに切り換える群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、疾患が再燃するか、二重盲検期間(最長32週[バリシチニブは導入期間と合わせて44週])が終了するまで投与した。 主要エンドポイントは、二重盲検期間中の疾患再燃までの期間であった。また、二重盲検期間中の有害事象の曝露補正発生率を算出した。健康関連QOLも良好 220例(年齢中央値14.0歳[四分位範囲[IQR]:12.0~16.0]、女児152例[69%]、診断時年齢中央値10.0歳[IQR:6.0~13.0]、診断後の経過期間中央値2.7年[IQR:1.0~6.0])が登録された。このうち219例が非盲検下の導入期間にバリシチニブの投与を受け、12週時に163例(74%)がJIA-ACR30基準を満たした。二重盲検期間に、81例がプラセボ群、82例がバリシチニブ群に割り付けられた。 二重盲検期間中の疾患再燃例(最小二乗平均)は、プラセボ群が41例(51%)、バリシチニブ群は14例(17%)であった(p<0.0001)。また、再燃までの期間は、バリシチニブ群に比べプラセボ群で短く(補正後ハザード比[HR]:0.241、95%信頼区間[CI]:0.128~0.453、p<0.0001)、再燃までの期間中央値はプラセボ群が27.14週(95%CI:15.29~評価不能[NE])、バリシチニブ群はNE(95%CI:NE~NE)(再燃例が50%未満のため)だった。 疾患活動性(JADAS-27など)や健康関連QOL(CHQ-PF50、CHAQ疼痛重症度スコア[視覚アナログ尺度])に関する有効性の副次エンドポイントも、プラセボ群に比べバリシチニブ群で良好であった。 バリシチニブの安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に、220例中6例(3%)で重篤な有害事象が発現した。二重盲検期間中には、重篤な有害事象はバリシチニブ群の82例中4例(5%)(100人年当たりの発生率:9.7件、95%CI:2.7~24.9)、プラセボ群の81例中3例(4%)(10.2件、2.1~29.7)で報告された。 治療関連の感染症が、安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に220例中55例(25%)で発現し、二重盲検期間中にはバリシチニブ群の31例(38%)(100人年当たりの発生率:102.1件、95%CI:69.3~144.9)、プラセボ群の15例(19%)(59.0件、33.0~97.3)で報告された。また、重篤な有害事象として二重盲検期間中にバリシチニブ群の1例で肺塞栓症が報告され、試験治療関連と判定された。 著者は、「バリシチニブによるJAKシグナルの阻害は、若年性特発性関節炎に関連する複数のサイトカイン経路を標的とし、既存の治療法に代わる1日1回投与の経口治療薬となる可能性がある」としている。

1017.

乳児の遺伝子検査、迅速全ゲノムvs.標的遺伝子/JAMA

 遺伝的疾患が疑われる乳幼児の遺伝子検査として、迅速全ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子パネルの分子診断率および結果が得られるまでの時間は同等なのか。米国・Women and Infants Hospital of Rhode IslandのJill L. Maron氏らは、400例を対象に多施設共同前向き比較試験「Genomic Medicine for Ill Neonates and Infants(GEMINI)試験」を行い、ゲノムシークエンスの分子診断率は高率だが、臨床に有用な結果が得られるまでの時間は標的乳幼児遺伝子シーケンス検査よりも遅かったことを示した。乳幼児への遺伝子検査は医療上の決定を導き健康アウトカムの改善を可能とするが、分子診断率や結果が得られるまでの時間が同等なのかについて明らかになっていなかった。JAMA誌2023年7月11日号掲載の報告。1歳未満児400例に両検査を行い、分子診断率と結果発表までの時間を評価 研究グループは2019年6月~2021年11月に米国の6病院で、入院中の1歳未満児とその保護者400例を対象に、ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子シーケンス検査のアウトカムを比較した。 試験登録された患児に、ゲノムシークエンスと標的乳幼児遺伝子シーケンス検査を同時に実施。それぞれの検査室で、患児の表現型に関する知識に基づく解釈が行われ、臨床ケアチームに結果が伝えられた。家族には、両検査からの遺伝学的所見に基づき、臨床管理と提供する治療の変更、ケアの方向性の転換が伝えられた。 主要エンドポイントは、分子診断率(病的バリアントが1つ以上または臨床的意義が不明[VUS]のバリアントを有する患児数と関連する割合で定義)と結果が返ってくるまでの時間(患児の検体を受け取ってから最初の所見が発表されるまでの時間と定義)、臨床的有用性とした。臨床的有用性は、患者への医学的、外科的および/または栄養学的管理の変化や治療目標の変化と定義し、記録担当医(集中治療担当医または遺伝学者)が5ポイントのリッカート尺度(1[まったく無用]~5[非常に有用])で測定評価した。検査室間のバリアント解釈の違いに留意が必要 分子診断上の変異は、51%の患児(204例)で同定された。297個のバリアントが同定され、そのうち134個は新規バリアントであった。 分子診断率は、ゲノムシークエンス49%(95%信頼区間[CI]:44~54)vs.標的乳幼児遺伝子シーケンス検査27%(23~32)であった。標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で検出されたがゲノムシークエンスで報告されなかったバリアントは19個であった。一方で、ゲノムシークエンスで診断されたが標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で報告されなかったバリアントは164個であった。標的乳幼児遺伝子シーケンス検査で同定されなかったバリアントには、構造的に1kb超のもの(25.1%)や、検査から除外された遺伝子(24.6%)が含まれていた(McNemarオッズ比[OR]:8.6[95%CI:5.4~14.7])。 検査室間のバリアントの解釈は、43%で違いがみられた。 結果が返ってくるまでの時間中央値は、ゲノムシークエンスは6.1日、標的乳幼児遺伝子シーケンス検査は4.2日であった。なお緊急症例(107例)では、それぞれ3.3日、4.0日だった。 臨床ケア変更への影響は、患児の19%でみられた。 76%の臨床担当医が、診断にかかわらず、臨床上の意思決定に遺伝子検査は有用またはとても有用と見なしていた。 これらの検討結果を踏まえて著者は、「研究室でのバリアント解釈が、分子診断率の違いに寄与し、臨床管理に関する重要なコンセンサスに関係する可能性があるようだ」と指摘。また、「今回の検討では、分子診断率の違いが臨床アウトカムの改善につながるかどうかの正式な評価を行っていないことを含め、いくつかの限界がある。分子診断率の統計学的優越性の検討は行っておらず、将来の研究で良性であることが明らかになる可能性のあるVUSバリアントも含まれたことが分子診断率の上昇に寄与した可能性もある」と述べている。

1018.

ウイルス感染時の発熱による重症化抑制、腸内細菌叢が関係か/東大ほか

 これまで、ウイルスに感染した場合に外気温や体温が重症度に及ぼす影響は明らかになっていない。そこで、東京大学医科学研究所の一戸 猛志准教授らの研究グループは、さまざまな温度条件で飼育したマウスに対し、ウイルスを感染させた場合の重症度を解析した。その結果、体温の上昇によりウイルスに対する抵抗性が高まり、血中胆汁酸レベルが上昇した。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の血液についても解析した結果、軽症患者は中等症患者と比較して血中胆汁酸レベルが高かった。これらのことから、発熱により腸内細菌叢が活性化し、2次胆汁酸産生を介してウイルス感染症の重症化が予防されることが示唆された。本研究結果は、Nature Communications誌2023年6月30日号に掲載された。 外気温や体温がウイルス感染後の重症度に及ぼす影響を解析するため、マウスを4℃、22℃、36℃条件下で7日間飼育した。このマウスにインフルエンザウイルスまたは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経鼻的に感染させ、体温、体重、生存などへの影響を検討した。また、22℃、36℃で飼育したマウスの血清メタボローム解析を実施した。さらに、COVID-19患者を重症度で分類し(軽症、中等症I/II)、血液を解析した。 主な結果は以下のとおり。・36℃条件下で飼育したマウスの基礎体温は、38℃を超えた。・36℃条件下で飼育したマウスは、4℃、22℃条件下で飼育したマウスと比較して、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2に対して高い抵抗性を示し、感染後の生存率が有意に改善した。・36℃条件下で飼育したマウスは、4℃、22℃条件下で飼育したマウスと比較して、1次胆汁酸のコール酸、2次胆汁酸(腸内細菌によって産生)のデオキシコール酸(DCA)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の血中濃度が有意に高かった。・22℃条件下で飼育したマウスに、通常の水道水またはDCA、UDCAを添加した水道水を与え、インフルエンザウイルスを経鼻的に感染させたところ、DCAやUDCAを与えた群では、肺のウイルス量や好中球数が減少し、感染後の生存率が有意に改善した。・COVID-19中等症I/II患者は、軽症患者と比較して、血漿中の重症化マーカーであるフィブリノーゲン濃度が有意に高かった。一方、胆汁酸の一種であるグリシン抱合型コール酸(GCA)について、中等症I/II患者は軽症患者と比較して、血漿中濃度が有意に低かった。 著者らは、「発熱による腸内細菌叢の活性化は、血中および腸内の胆汁酸レベルを上昇させ、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2感染後のウイルス複製および有害な炎症反応を抑制することが示された。COVID-19中等症I/II患者の血漿において、特定の胆汁酸が減少するという知見は、症状発現の差異に関する洞察を与え、COVID-19の転帰を緩和するためのアプローチを可能とするかもしれない」とまとめた。また、「これらの知見を活かして、今後は高齢者がインフルエンザやCOVID-19で重症化しやすくなるメカニズムの解明や、宿主とウイルスの共生メカニズムの解明、胆汁酸受容体を標的としたウイルス性肺炎の重症化を抑える治療薬の開発に向けた研究を推進する予定である」としている。

1020.

食物アレルギー既往の患児、「学校生活管理指導表」に記載すべきは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第5回

食物アレルギー既往の患児、「学校生活管理指導表」に記載すべきは?講師長野県立病院機構 長野県立こども病院 小児アレルギーセンター長伊藤 靖典 氏【今回の症例】6歳の男児。小学校入学にあたり、食物アレルギーに関する「学校生活管理指導表」の記載について主治医に相談があった。乳児期に鶏卵、小麦、クルミのアレルギーと診断されていた。現在、小麦はうどんやパンなど、制限なく摂取できている。鶏卵は食物経口負荷試験にて加熱鶏卵1個は摂取可能であることを確認したが、非加熱鶏卵は食べていない。クルミは特異的IgE抗体が陽性のため、除去を指導され、食べたことがない。特異的IgE抗体検査結果小麦:5.6 UA/mL、卵白:3.2 UA/mL、オボムコイド:<0.1 UA/mL、クルミ:56 UA/mL、Jug r 1:45.3 UA/mL学校給食で配慮(除去)が必要となる、「学校生活管理指導表」に記載するべき食品はどれか。1.小麦2.鶏卵3.クルミ4.上記すべて

検索結果 合計:3114件 表示位置:1001 - 1020