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新生児期の飼い犬との触れ合いがアトピーのリスク低下に関与

 デンマーク・コペンハーゲン大学のSunna Thorsteinsdottir氏らは、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood:COPSAC)から2つの独立した出生コホートを用い、生後3年間における室内犬への曝露がアトピー性皮膚炎発症に影響を及ぼすかどうかを検討した。その結果、新生児の室内犬への曝露はアトピー性皮膚炎のリスク減少と強く関連しており、その関連は飼犬頭数に依存的であることを明らかにした。著者は、「機序は不明だが、今回の結果は胎児のときの曝露量がアトピー性皮膚炎のリスクに影響を及ぼす可能性を提起するもので、疾患の経過について早期における環境要因の重要性を強調するものである」とまとめている。Allergy誌2016年12月号(オンライン版2016年8月9日号)掲載の報告。 COPSACは、進行中の前向き出生コホート研究で、研究グループは、COPSAC2000から喘息を有する母親から生まれた児411例と、COPSAC2010から任意抽出した児700例のデータを解析した。 児のアトピー性皮膚炎はHanifin-Rajka基準に従って診断され、親の喘息、皮膚炎または鼻炎の既往歴は自己申告に基づく医師の診断と定義された。8つの吸入性アレルゲンに対する母体の特異血清IgEは、COPSAC2000コホートでは児の出生後、COPSAC2010では妊娠24週に評価された。 Cox比例ハザード回帰モデルを用い、室内犬への曝露とアトピー性皮膚炎との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・COPSAC2000およびCOPSAC2010の両コホートにおいて、アトピー性皮膚炎のリスクは室内犬曝露がある小児で有意に低かった。COPSAC2000コホートの補正ハザード比(HR)は0.46(95%信頼区間[CI]:0.25~0.87、p=0.02)、COPSAC2010は同0.58(0.36~0.93、p=0.03)であった。・COPSAC2010において、アトピー性皮膚炎のリスクは飼犬頭数の増加に伴って減少した(補正後HR:0.58、95%CI:0.38~0.89、p=0.01)。・防御効果は、任意抽出のCOPSAC2010コホートにおいて、アトピー性疾患を有する母親から生まれた児に限定され(補正後HR:0.39、95%CI:0.19~0.82、p=0.01)、アトピー性疾患のない母親から生まれた児ではみられなかった(補正後HR:0.92、95%CI:0.49~1.73、p=0.79)。・父親のアトピー性疾患の状況、アトピー性皮膚炎のリスクによる影響はみられなかった。・両コホートとも、室内犬曝露とCD14のT/T遺伝子型との間に、重要な相互作用は認められなかった(COPSAC2000のp=0.36、COPSAC2010のp=0.42)。

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妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は

 妊娠中のカフェイン摂取や長期的なアウトカム(子供の神経行動など)を評価した研究は、まだ不十分であり、研究結果は一貫していない。ブラジル連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、妊娠中の母親のカフェイン摂取とその子供が11歳時のADHDとの関連を評価するため検討を行った。BMJ open誌2016年12月5日号の報告。 対象は、2004年にブラジルペロタス市で出生したすべての子供。出産時に母親より、妊娠中のコーヒーおよびイェルバ・マテの摂取に関する情報についてインタビューを行った。子供の11歳時点でのADHD評価は、Development and Well-Being Assessment(DAWBA)を用いて、母親より収集した。ADHDの有病率は、95%CIで算出した。カフェイン摂取とADHDとの関連性評価には、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3,485人の子供を分析した。・ADHD有病率は、全体4.1%(95%CI:3.4~4.7%)、男児5.8%(95%CI:4.7~6.9%)、女児2.3%(95%CI:1.5~3.0%)。・妊婦のカフェイン摂取率は、妊娠期間全体で88.7%(87.7~89.7%)、妊娠第1期で86.5%(85.4~87.5%)、妊娠第2期で83.0%(81.8~84.2%)、妊娠第3期で92.3%(91.4~93.1%)であった。・調整、未調整にかかわらず、妊娠期間におけるカフェイン摂取は、ADHDと関連が認められなかった。関連医療ニュース 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 ADHD女児に併存する精神疾患は

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2歳未満の中耳炎、抗菌薬投与期間を短縮できるか/NEJM

 生後6~23ヵ月の急性中耳炎乳幼児において、抗菌薬の投与期間を短縮した場合の予後は標準治療と比較して良好とはいえず、有害事象の発現率低下や抗菌薬耐性の出現率低下も認められなかった。米国・ピッツバーグ大学医療センターのAlejandro Hoberman氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第IIb相試験の結果を報告した。急性中耳炎の小児で抗菌薬の投与期間を制限することは、抗菌薬耐性リスクを低下させ得る戦略と考えられているが、これまで臨床試験でその効果は確認されていなかった。NEJM誌2016年12月22日号掲載の報告。アモキシシリン・クラブラン酸の5日間投与と10日間投与を比較する非劣性試験 研究グループは、2012年1月~2015年9月に、生後6~23ヵ月の急性中耳炎患児520例を、アモキシシリン・クラブラン酸による標準治療群(10日間投与)または短期治療群(5日間投与後、プラセボ5日間投与)のいずれかに無作為に割り付け、臨床効果を評価した。 主要評価項目は、治療失敗率(無作為化後72時間~発症16日目における症状または耳鏡所見の悪化、もしくは投与終了までに急性中耳炎に起因した症状と所見のほぼ完全な消失を認めない)、再発率(16日目以降の症状発現)および鼻咽頭保菌率で、非劣性を検証した。症状はAcute Otitis Media-Severity of Symptoms(AOM-SOS)スコア(0~14点、得点が高いほど重症度が高い)を用いて評価し、統計解析はintention-to-treat解析で行った。標準治療群と比較して、短期治療群の有効性は確認されず 短期治療群は、標準治療群と比較して治療失敗率が高かった(34%[77/229例] vs.16%[39/238例]、絶対差:17%、95%信頼区間[CI]:9~25%)。6~14日目の平均症状スコアは短期治療群1.61、標準治療群1.34(p=0.07)、12~14日目ではそれぞれ1.89および1.20(p=0.001)であった。症状が改善(治療終了時の症状スコアがベースラインから50%超低下)した患児の割合は、短期治療群のほうが標準治療群より低かった(80%[181/227例] vs.91%[211/233例]、p=0.003)。 再発率、有害事象発現率、ペニシリン非感受性菌の鼻咽頭保菌率は、両群で有意差はなかった。治療失敗率は、週に10時間以上小児3人以上と接触した患児のほうがそれより接触時間が短い患児より高く(p=0.02)、また、両耳感染の患児のほうが片耳感染の患児よりも高値であった(p<0.001)。 著者は、本研究は、最も治療を失敗しやすくかつ再発を起こしやすい年齢層の2歳未満を対象としていることが強みであるが、同時に、2歳以上の年齢層には一般化できない点で限定的であると述べている。

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母親のジカウイルス感染時期と児の先天性異常リスク/JAMA

 米国のジカウイルス感染妊婦の胎児および乳幼児の6%に、ウイルス感染関連の先天性異常を認め、感染が妊娠初期の場合は11%に上り、とくに脳異常や小頭症が多いことが、米国疾病対策予防センター(CDC)のMargaret A Honein氏らUS Zika Pregnancy Registry Collaborationの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年12月15日号に掲載された。妊娠初期のジカウイルス感染妊婦の胎児/乳幼児における小頭症のリスクは、仏領ポリネシアのデータでは約1%、ブラジル・バイア州では1~13%と報告されている。2009~13年に米国で実施されたジカウイルス感染がない妊婦の調査では、小頭症の発症率は生児出産1万人当たり約7件であったが、感染妊婦におけるリスクの程度は知られていなかった。感染妊婦442例で先天性異常のリスクを検討 研究グループは、母親の妊娠中のジカウイルス感染時期別の、胎児/乳幼児における先天性異常の発症率および母親の症状を調査した。 US Zika Pregnancy Registry(USZPR)に、2016年1月15日~9月22日にアメリカ大陸とハワイ島から登録された、ジカウイルス感染が検査で確認された母親とその胎児、乳幼児のデータを解析した。 ジカウイルス関連の先天性異常として、小頭症を伴う脳異常、これを伴わない脳異常、神経管欠損および他の早期脳形成異常、眼異常、他の中枢神経系異常について検討を行った。 ジカウイルス感染が確認された442例の妊婦が解析の対象となった。年齢中央値は28歳(範囲:15~50歳)だった。271例(61%)は無症状で、167例(38%)に症状が認められたが、4例(1%)は症状に関する情報が得られなかった。症状の有無でリスクに差ない、妊娠中期~後期感染で発症なし ジカウイルス関連の先天性異常は26例(6%、95%信頼区間[CI]:4~8%)の胎児/乳幼児に認められた。このうち、21例が395例の生児出産の乳幼児、5例が47例の妊娠損失の胎児であった。また、16例(6%、95%CI:4~9)は271例の妊娠中に無症状の妊婦、10例(6%、95%:3~11)は167例の有症状の妊婦の胎児/乳幼児であった。 26例の先天性異常を有する胎児/乳幼児のうち、4例は小頭症で、神経画像検査は行われていなかった。また、14例は小頭症を伴う脳異常、4例は小頭症を伴わない脳異常であった。脳異常には、脳内石灰化、脳梁異常、皮質形成異常、脳萎縮、脳室拡大、水頭症、小脳異常が含まれた。 小頭症は、全体で4%(18/442例)の乳幼児に認められた。母親に症状がみられるか、妊娠初期(第1三半期および妊娠前後)にウイルスに曝露した85例の胎児/乳幼児のうち、先天性異常が認められたのは9例(11%、95%CI:6~19%)であった。また、妊娠中のウイルス曝露が妊娠第2、3三半期の母親では、胎児/乳幼児に先天性異常はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、ジカウイルスに曝露したすべての妊婦に対するスクリーニングの重要性を支持するもの」としている。

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成人ADHD、世界の調査結果発表

 WHO世界精神保健(WMH)調査において、初めの10ヵ国よりADHDの国際間疫学調査が報告された。現在、成人のADHDに関するデータを収集した全国的または地域的なWMH調査は、20件にまで拡大している。レバノン・Institute for Development, Research, Advocacy and Applied CareのJohn Fayyad氏らは、WMH調査における成人ADHDの疫学調査をレポートした。Attention deficit and hyperactivity disorders誌オンライン版2016年11月19日号の報告。 高所得、中高所得、低所得/中低所得国への調査では(平均回答率68.5%)、2万6,744例より複合国際診断インタビュー(CIDI)が実施された。 主な結果は以下のとおり。・現在のDSM-IV/CIDIの成人ADHD有病率は、平均2.8%であった。高所得(3.6%)、中高所得国(3.0%)の有病率は、低所得/中低所得国(1.4%)と比較し、高かった。・最新の成人ADHDの罹患条件は、小児例で平均57.0%、小児サブスレッショルド例で平均41.1%であった。・成人ADHDは、男性、既婚者、低学歴と有意な関連が認められた。・成人ADHDは、DSM-IV/CIDIの不安、気分、行動、物質障害と高頻度に併存しており、併存疾患を管理する際のrole impairment(役割の欠如、認知障害、社会的交流)と有意な関連が認められた。・すべての国において、ADHD治療を求めることは少なく、併存疾患に焦点が当てられていた。 著者らは「成人ADHDは蔓延している重度な障害であり、併存疾患を有することが多い。しかし、国や文化によって認識は異なり、治療が不十分である」としている。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 成人期まで持続するADHD、その予測因子は 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係

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離乳期早期からの加熱卵摂取は卵アレルギーを予防/Lancet

 積極的なアトピー性皮膚炎治療と併用し、離乳期早期から加熱した卵を少量ずつ段階的に摂取することで、ハイリスク乳児の鶏卵アレルギーを安全に予防できることが明らかとなった。国立成育医療研究センターの夏目統氏らが、アトピー性皮膚炎の乳児を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「卵アレルギーの発症予防研究(Prevention of Egg Allergy with Tiny Amount Intake:PETIT研究)」の結果を報告した。近年、食物アレルギーの予防戦略として、摂取を遅らせるより早期摂取のほうが有効であるとのエビデンスが増えてきている。このような固形食物の早期摂取によりアレルギー反応が引き起こされることもあったが、著者は、「今回の研究で、食物アレルギーによって引き起こされるアレルギー発症の第二の波を克服する実用的な方法が開発された」とまとめている。Lancet誌オンライン版、2016年12月8日号掲載の報告。生後6ヵ月から、加熱卵粉末 vs.プラセボ(カボチャ粉末)摂取で検討 PETIT試験は国内の2施設で、アトピー性皮膚炎を有する生後4~5ヵ月の乳児を対象に実施された。在胎37週未満の出生児、鶏卵・卵製品の摂取歴、鶏卵に対する即時型アレルギーの既往歴、特定の食物に対する非即時型アレルギーの既往歴、重篤な併存疾患のある乳児は除外した。 対象乳児を生後6ヵ月から、加熱全卵粉末を含むカボチャ粉末を摂取する「卵群」と、カボチャ粉末のみの「プラセボ群」に1対1の割合で、二重盲検法により割り付けた(4ブロックのブロックランダム化:施設および性別で層別化)。卵群は、加熱全卵粉末50mg/日(ゆで卵0.2g相当)から開始し、生後9ヵ月以降は加熱全卵粉末250mg/日(ゆで卵1.1g相当)を摂取した。なお、全例、登録時および介入期間中、積極的にアトピー性皮膚炎の治療を行い、増悪することなくコントロールされた。 主要評価項目は、生後12ヵ月時点における経口負荷試験(加熱全卵粉末7g:ゆで卵32g相当)で確認した卵アレルギー発症率であった。生後12ヵ月時点、卵群の卵アレルギー発症率は約80%減少 2012年9月18日~2015年2月13日に、乳児147例が割り付けられた(卵群73例、プラセボ群74例)。 本試験は、100例の中間解析において2群間に有意差が確認されたため、早期終了となった。卵アレルギー発症率は、卵群9%(4/47例)に対し、プラセボ群38%(18/47例)で、リスク比は0.222(95%信頼区間[CI]:0.081~0.607、p=0.0012)であった。 主要評価項目解析対象集団(試験終了による中止例と介入を実施できなかった症例を除く)において、卵アレルギー発症率は、プラセボ群38%(23/61例)に対して卵群8%(5/60例)であった(リスク比:0.221、95%CI:0.090~0.543、p=0.0001)。 有害事象については、入院率について両群に差が認められた(卵群10%[6/60例]vs.プラセボ群0例、p=0.022)。試験粉末摂取後に急性イベントが、卵群9例(15%)において19件、プラセボ群11例(18%)において14件発生したが、急性のアレルギー反応は認められなかった。

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高安動脈炎〔TAK : Takayasu Arteritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義高安動脈炎(Takayasu Arteritis:TAK)は、血管炎に属し、若年女性に好発し、大動脈および大動脈1次分枝に炎症性、狭窄性、または拡張性の病変を来し、全身性および局所性の炎症病態または虚血病態により諸症状を来す希少疾病である。1908年に金沢医学専門学校(現・金沢大学医学部)眼科教授の高安 右人氏(図1)により初めて報告された。画像を拡大する呼称には、大動脈炎症候群、高安病、脈なし病などがあるが、各学会において「高安動脈炎」に統一されている。2012年に改訂された血管炎のChapel Hill分類(図2)1)により、英文病名は“Takayasu arteritis”に、略語は“TAK”に改訂された。画像を拡大する■ 疫学希少疾病であり厚生労働省により特定疾患に指定されている。2012年の特定疾患医療受給者証所持者数は、5,881人(人口比0.0046%)だった。男女比は約1:9である。発症年齢は10~40代が多く、20代にピークがある。アジア・中南米に多い。TAK発症と関連するHLA-B*52も、日本、インドなどのアジアに多い。TAK患者の98%は家族歴を持たない。■ 病因TAKは、(1)病理学的に大型動脈の肉芽腫性血管炎が特徴であること、(2)特定のHLAアレル保有が発症と関連すること、(3)種々の炎症性サイトカインの発現亢進が報告されていること、(4)ステロイドを中心とする免疫抑制治療が有効であることから、自己免疫疾患と考えられている。1)病理組織像TAKの標的である大型動脈は中膜が発達しており、中膜を栄養する栄養血管(vasa vasorum)を有する。病変の主座は中膜の外膜寄りにあると考えられ、(1)外膜から中膜にかけて分布する栄養血管周囲への炎症細胞浸潤、(2)中膜の破壊(梗塞性病変、中膜外側を主とした弾性線維の虫食い像、弾性線維を貪食した多核巨細胞の出現)、これに続発する(3)内膜の細胞線維性肥厚および(4)外膜の著明な線維性肥厚を特徴とする。進行期には、(5)内膜の線維性肥厚による内腔の狭窄・閉塞、または(6)中膜破壊による動脈径の拡大(=瘤化)を来す。2)HLA沼野 藤夫氏らの功績により、HLA-B*52保有とTAK発症の関連が確立されている。B*52は日本人の約2割が保有する、ありふれたHLA型である。しかし、TAK患者の約5割がB*52を保有するため、発症オッズ比は2~3倍となる。B*52保有患者は非保有患者に比べ、赤沈とCRPが高値で、大動脈弁閉鎖不全の合併が多い。HLA-B分子はHLAクラスI分子に属するため、TAKの病態に細胞傷害性T細胞を介した免疫異常が関わると考えられる。3)サイトカイン異常TAKで血漿IL-12や血清IL-6、TNF-αが高値との報告がある。2013年、京都大学、東京医科歯科大学などの施設と患者会の協力によるゲノムワイド関連研究により、TAK発症感受性因子としてIL12BおよびMLX遺伝子領域の遺伝子多型(SNP)が同定された2)。トルコと米国の共同研究グループも同一手法によりIL12B遺伝子領域のSNPを報告している。IL12B遺伝子はIL-12/IL-23の共通サブユニットであるp40蛋白をコードし、IL-12はNK細胞の成熟とTh1細胞の分化に、IL-23はTh17細胞の維持に、それぞれ必要であるため、これらのサイトカインおよびNK細胞、ヘルパーT細胞のTAK病態への関与が示唆される。4)自然免疫系の関与TAKでは感冒症状が、前駆症状となることがある。病原体成分の感作後に大動脈炎を発症する例として、B型肝炎ウイルスワクチン接種後に大型血管炎を発症した2例の報告がある。また、TAK患者の大動脈組織では、自然免疫を担当するMICA(MHC class I chain-related gene A)分子の発現が亢進している。前述のゲノムワイド関連研究で同定されたMLX遺伝子は転写因子をコードし、報告されたSNPはインフラマソーム活性化への関与が示唆されている。以上をまとめると、HLAなどの発症感受性を有する個体が存在し、感染症が引き金となり、自然免疫関連分子やサイトカインの発現亢進が病態を進展させ、最終的に大型動脈のおそらく中膜成分を標的とする獲得免疫が成立し、慢性炎症性疾患として確立すると考えられる。■ 症状1)臨床症状TAKの症状は、(1)全身性の炎症病態により起こる症状と(2)各血管の炎症あるいは虚血病態により起こる症状の2つに分け、後者はさらに血管別に系統的に分類すると理解しやすい(表1)。画像を拡大する2)合併疾患TAKの約6%に潰瘍性大腸炎(UC)を合併する。HLA-B*52およびIL12B遺伝子領域SNPはUCの発症感受性因子としても報告されており、TAKとUCは複数の発症因子を共有する。■ 分類1)上位分類血管炎の分類には前述のChapel Hill分類(図2)が用いられる。「大型血管炎」にTAKと巨細胞性動脈炎(GCA)の2つが属する。2)下位分類畑・沼野氏らによる病型分類(1996年)がある(図3)3)。画像を拡大する■ 予後1年間の死亡率3.2%、再発率8.1%、10年生存率84%という報告がある。予後因子として、(1)失明、脳梗塞、心筋梗塞などの各血管の虚血による後遺症、(2)大動脈弁閉鎖不全、(3)大動脈瘤、(4)ステロイド治療による合併症(感染症、病的骨折、骨壊死など)が挙げられる。診断および治療の進歩により、予後は改善してきている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査1)各画像検査による血管撮影TAKは、生検が困難であるため、画像所見が診断の決め手となる。(1)画像検査の種類胸部X線、CT、MRI、超音波、血管造影、18F-FDG PET/PET-CTなどがある。若年発症で長期観察を要するため、放射線被曝を可能な限り抑える。(2)早期および活動期の画像所見大型動脈における全周性の壁肥厚は発症早期の主病態であり、超音波検査でみられる総頸動脈のマカロニサイン(全周性のIMT肥厚)や、造影後期相のCT/MRIでみられるdouble ring-like pattern(肥厚した動脈壁の外側が優位に造影されるため、外側の造影される輪と内側の造影されない輪が出現すること)が特徴的である。下行大動脈の波状化(胸部X線で下行大動脈の輪郭が直線的でなく波を描くこと)も早期の病変に分類され、若年者で本所見を認めたらTAKを疑う。動脈壁への18F-FDG集積は、病変の活動性を反映する(PET/PET-CT)。ただし動脈硬化性病変でもhotになることがある。PET-CTはTAKの早期診断(感度91~92%、特異度89~100%)と活動性評価の両方に有用である(2016年11月時点で保険適用なし)。(3)進行期の画像所見大型動脈の狭窄・閉塞・拡張は、臨床症状や予後と関連するため、CTアンギオグラフィ(造影早期相の3次元再構成)またはMRアンギオグラフィ(造影法と非造影法がある)で全身の大型動脈の開存度をスクリーニングかつフォローする。上行大動脈は拡張し、大動脈弁閉鎖不全を伴いやすい。従来のgold standardであった血管造影は、血管内治療や左室造影などを目的として行い、診断のみの目的では行われなくなった。(4)慢性期の画像所見全周性の壁石灰化、大型動脈の念珠状拡張(拡張の中に狭窄を伴う)、側副血行路の発達などが特徴である。2)心臓超音波検査大動脈弁閉鎖不全の診断と重症度評価に必須である。3)血液検査(1)炎症データ:白血球増加、症候性貧血、赤沈亢進、血中CRP上昇など(2)腎動脈狭窄例:血中レニン活性・アルドステロンの上昇■ 診断基準下記のいずれかを用いて診断する。1)米国リウマチ学会分類基準(1990年、表2)4)6項目中3項目を満たす場合にTAKと分類する(感度90.5%、特異度97.8%)。この分類基準にはCT、MRI、超音波検査、PET/PET-CTなどが含まれていないので、アレンジして適用する。2)2006-2007年度合同研究班(班長:尾崎 承一)診断基準後述するリンクまたは参考文献5を参照いただきたい。なお、2016年11月時点で改訂作業中である。画像を拡大する■ 鑑別診断GCA、動脈硬化症、血管型ベーチェット病、感染性大動脈瘤(サルモネラ、ブドウ球菌、結核など)、心血管梅毒、炎症性腹部大動脈瘤、IgG4関連動脈周囲炎、先天性血管異常(線維筋性異形成など)との鑑別を要する。中高年発症例ではTAKとGCAの鑑別が問題となる(表3)。GCAは外頸動脈分枝の虚血症状(側頭部の局所的頭痛、顎跛行など)とリウマチ性多発筋痛症の合併が多いが、TAKではそれらはまれである。画像を拡大する3 治療■ 免疫抑制治療の適応と管理1)初期治療疾患活動性を認める場合に、免疫抑制治療を開始する。初期治療の目的は、可及的に疾患活動性が低い状態にすること(寛解導入)である。Kerrの基準(1994年)では、(1)全身炎症症状、(2)赤沈亢進、(3)血管虚血症状、(4)血管画像所見のうち、2つ以上が新出または増悪した場合に活動性と判定する。2)慢性期治療慢性期治療の目的は、可及的に疾患活動性が低い状態を維持し、血管病変進展を阻止することである。TAKは緩徐進行性の経過を示すため、定期通院のたびに診察や画像検査でわかるような変化を捉えられるわけではない。実臨床では、鋭敏に動く血中CRP値をみながら服薬量を調整することが多い。ただし、血中CRPの制御が血管病変の進展阻止に真に有用であるかどうかのエビデンスはない。血管病変のフォローアップは、通院ごとの診察と、1~2年ごとの画像検査による大型動脈開存度のフォローが妥当と考えられる。■ ステロイドステロイドはTAKに対し、最も確実な治療効果を示す標準治療薬である。一方、TAKは再燃しやすいので慎重な漸減を要する。1)初期量過去の報告ではプレドニゾロン(PSL)0.5~1mg/kg/日が使われている。病変の広がりと疾患活動性を考慮して初期量を設定する。2006-2007年度合同研究班のガイドラインでは、中等量(PSL 20~30mg/日)×2週とされているが、症例に応じて大量(PSL 60 mg/日)まで引き上げると付記されている。2)減量速度クリーブランド・クリニックのプロトコル(2007年)では、毎週5mgずつPSL 20mgまで、以降は毎週2.5mgずつPSL 10mgまで、さらに毎週1mgずつ中止まで減量とされているが、やや速いため再燃が多かったともいえる。わが国の106例のコホートでは、再燃時PSL量は13.3±7.5mg/日であり、重回帰分析によると、再燃に寄与する最重要因子はPSL減量速度であり、減量速度が1ヵ月当たり1.2mgより速いか遅いかで再燃率が有意に異なった。この結果に従えば、PSL 20mg/日以下では、月当たり1.2mgを超えない速度で減量するのが望ましい。以下に慎重な減量速度の目安を示す。(1)初期量:PSL 0.5~1mg/kg/日×2~4週(2)毎週5mg減量(30mg/日まで)(3)毎週2.5mg減量(20mg/日まで)(4)月当たり1.2mgを超えない減量(5)維持量:5~10mg/日3)維持量維持量とは、疾患の再燃を抑制する必要最小限の用量である。約3分の2の例でステロイド維持量を要し、PSL 5~10mg/日とするプロトコルが多い。約3分の1の例では、慎重な漸減の後にステロイドを中止できる。4)副作用対策治療開始前にステロイドの必要性と易感染性・骨粗鬆症・骨壊死などの副作用について十分に説明し、副作用対策と慎重な観察を行う。■ 免疫抑制薬TAKは、初期治療のステロイドに反応しても、経過中に半数以上が再燃する。免疫抑制薬は、ステロイドとの相乗効果、またはステロイドの減量効果を期待して、ステロイドと併用する。1)メトトレキサート(MTX/商品名:リウマトレックス)(2016年11月時点で保険適用なし)文献上、TAKに対する免疫抑制薬の中で最も使われている。18例のシングルアーム試験では、ステロイド大量とMTX(0.3mg/kg/週→最大25mg/週まで漸増)の併用によるもので、寛解率は81%、寛解後の再燃率は54%、7~18ヵ月後の寛解維持率は50%だった。2)アザチオプリン(AZP/同:イムラン、アザニン)AZPの位置付けは各国のプロトコルにおいて高い。15例のシングルアーム試験では、ステロイド大量とAZP(2mg/kg/日)の併用は良好な経過を示したが、12ヵ月後に一部の症例で再燃や血管病変の進展が認められた。3)シクロホスファミド(CPA/同:エンドキサン)CPA(2mg/kg/日、WBC>3,000/μLとなるように用量を調節)は、重症例への適応と位置付けられることが多い。副作用を懸念し、3ヵ月でMTXまたはAZPに切り替えるプロトコルが多い。4)カルシニューリン阻害薬(2016年11月時点で保険適用なし)タクロリムス(同:プログラフ/報告ではトラフ値5ng/mLなど)、シクロスポリン(同:ネオーラル/トラフ値70~100ng/mLなど)のエビデンスは症例報告レベルである。■ 生物学的製剤関節リウマチに使われる生物学的製剤を、TAKに応用する試みがなされている。1)TNF-α阻害薬(2016年11月時点で保険適用なし)TNF-α阻害薬による長期のステロイドフリー寛解率は60%、寛解例の再燃率33%と報告されている。2)抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(同:アクテムラ/2016年11月時点で保険適用なし)3つのシングルアーム試験で症状改善とステロイド減量効果を示し、再燃はみられなかった。■ 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)免疫抑制治療により疾患活動性が落ち着いた後も、虚血病態による疼痛が残りうるため、病初期から慢性期に至るまでNSAIDsが必要となることが多い。腎障害・胃粘膜障害などに十分な注意と対策を要する。■ 抗血小板薬、抗凝固薬血小板薬は、(1)TAKでは進行性の血管狭窄を来すため脳血管障害や虚血性心疾患などの予防目的で、あるいは、(2)血管ステント術などの血管内治療後の血栓予防目的で用いられる。抗凝固薬は、心臓血管外科手術後の血栓予防目的で用いられる。■ 降圧薬血圧は、鎖骨下動脈狭窄を伴わない上肢で評価する。両側に狭窄がある場合は、下肢血圧(正常では上肢より10~30mmHg高い)で評価する。高血圧や心病変に対し、各降圧薬が用いられる。腎血管性高血圧症にはACE阻害薬が用いられる。■ 観血的治療1)術前の免疫抑制治療の重要性疾患活動性のコントロール不十分例では、再狭窄、血管縫合不全、吻合部動脈瘤などの術後合併症のリスクが高くなる。観血的治療は、緊急時を除き、原則として疾患活動性をコントロールしたうえで行う。外科・内科・インターベンショナリストを含む学際的チームによる対応が望ましい。術前のステロイド投与量は、可能であれば少ないほうがよいが、TAKの場合、ステロイドを用いて血管の炎症を鎮静化することが優先される。2)血管狭窄・閉塞に対する治療重度の虚血症状を来す場合に血管バイパス術または血管内治療(EVT)である血管ステント術の適応となる。EVTは低侵襲性というメリットがある一方、血管バイパス術と比較して再狭窄率が高いため、慎重に判断する。3)大動脈瘤/その他の動脈瘤に対する治療破裂の可能性が大きいときに、人工血管置換術の適応となる。4)大動脈弁閉鎖不全(AR)に対する治療TAKに合併するARは、他の原因によるARよりも進行が早い傾向にあり、積極的な対策が必要である。原病に対する免疫抑制治療を十分に行い、内科的に心不全コントロールを行っても、有症状または心機能が低い例で、心臓外科手術の適応となる。TAKに合併するARは、上行大動脈の拡大を伴うことが多いので、大動脈基部置換術(Bentall手術)が行われることが多い。TAKでは耐久性に優れた機械弁が望ましいが、若年女性が多いため、患者背景を熟慮し、自己弁温存を含む大動脈弁の処理法を選択する。4 今後の展望最新の分子生物学的、遺伝学的研究の成果により、TAKの発症に自然免疫系や種々のサイトカインが関わることがわかってきた。TAKはステロイドが有効だが、易再燃性が課題である。近年、研究成果を応用し、各サイトカインを阻害する生物学的製剤による治療が試みられている。治療法の進歩による予後の改善が期待される。1)特殊状況での生物学的製剤の利用周術期管理ではステロイド投与量を可能であれば少なく、かつ、疾患活動性を十分に抑えたいので、生物学的製剤の有用性が期待される。今後の検証を要する。2)抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)2016年11月時点で国内治験の解析中である。3)CTLA-4-Ig(アバタセプト)米国でGCAおよびTAKに対するランダム化比較試験(AGATA試験)が行われている。4)抗IL-12/23 p40抗体(ウステキヌマブ)TAK3例に投与するパイロット研究が行われ、症状と血液炎症反応の改善を認めた。5 主たる診療科患者の多くは、免疫内科(リウマチ内科、膠原病科など標榜はさまざま)と循環器内科のいずれか、または両方を定期的に受診している。各科の連携が重要である。1)免疫内科:主に免疫抑制治療による疾患活動性のコントロールと副作用対策を行う2)循環器内科:主に血管病変・心病変のフォローアップと薬物コントロールを行う3)心臓血管外科:心臓血管外科手術を行う4)脳外科:頭頸部の血管外科手術を行う6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報1)2006-2007年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン(ダイジェスト版)(日本循環器学会が公開しているガイドライン。TAKについては1260-1275ページ参照)2)米国AGATA試験(TAKとGCAに対するアバタセプトのランダム化比較試験)公的助成情報難病情報センター 高安動脈炎(大動脈炎症候群)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報大動脈炎症候群友の会 ~あけぼの会~同講演会の講演録(患者とその家族へのまとまった情報)1)Jennette JC, et al. Arthritis Rheum. 2013;65:1-11.2)Terao C, et al. Am J Hum Genet. 2013;93:289-297.3)Hata A, et al. Int J Cardiol. 1996;54:s155-163.4)Arend WP, et al. Arthritis Rheum. 1990;33:1129-1134.5)JCS Joint Working Group. Circ J. 2011;75:474-503.主要な研究グループ〔国内〕東京医科歯科大学大学院 循環制御内科学(研究者: 磯部光章)京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学(研究者: 吉藤 元)国立循環器病研究センター研究所 血管生理学部(研究者: 中岡良和)鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 小児診療センター 小児科(研究者: 武井修治)東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(研究者: 石井智徳)〔海外〕Division of Rheumatology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA. (研究者: Peter A. Merkel)Department of Rheumatology, Faculty of Medicine, Marmara University, Istanbul 34890, Turkey.(研究者: Haner Direskeneli)Department of Rheumatologic and Immunologic Disease, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.(研究者: Carol A. Langford)公開履歴初回2014年12月25日更新2016年12月20日

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早期診断が重症化を遅らせるゴーシェ病

 11月29日、サノフィ株式会社は、都内において「ゴーシェ病」に関するメディアセミナーを開催した。セミナーでは、疾患の概要ならびに成人ゴーシェ病患者の症例報告が行われた。ゴーシェ病とは、ライソゾーム病の1つで、先天性脂質代謝に異常を起こすまれな疾患である。小児から成人まで、あらゆる年齢で発症する可能性があり、肝脾腫、貧血、出血傾向、進行性の骨疾患など重篤な全身性の症状を引き起こす。脾腫が触れ、血小板減少がみられたら想起して欲しい はじめに井田 博幸氏(東京慈恵会医科大学 小児科学講座 主任教授)が、「ゴーシェ病の診断と治療」と題し、疾患概要について説明を行った。 ゴーシェ病は、ライソゾーム病の1種であり、疫学的にはユダヤ人で多く報告されている(450~4,000人に1人)。わが国では、50~100万人に1人と非常にまれな疾患であるが、進行性かつ重症化する例が多い疾患であるという。 病型は、慢性非神経型のI型、急性神経型のII型、亜急性神経型のIII型の3型に分類され、とくに乳児に発生するII型は予後不良となる。わが国では、この3形態がほぼ同等数で発症している(他国では90%以上がI型発症)。 主な症状としては、肝脾腫、腹部膨満、貧血、出血傾向などの全身症状、ゴーシェ細胞の骨髄浸潤、骨量減少、骨壊死などの骨症状、精神運動発達遅滞・退行、後弓反張、咽頭痙攣などの神経症状(II型、III型)がある。 そして、診断では、スクリーニング検査として血液検査(血小板減少やヘモグロビン値低下)、画像診断(MRI所見で骨髄のまだら様所見など)、骨髄穿刺(ゴーシェ細胞の確認)が行われ、GBA(グルコセレブロシダーゼ)活性測定検査で活性低下、遺伝子検査で変異が確認されれば確定診断となるが、遺伝子検査は施設数の都合でほとんど行われていない。乳幼児発症例では、重症例が多いために疾患に比較的気付きやすいが、成人発症例では血液検査での血小板減少などで気付く場合が多い。「もし外来で肝脾腫や血小板減少を診断したら、本症も想起して欲しい」と井田氏はいう。 本症の治療としては、酵素補充療法と基質合成抑制療法が主に行われている。酵素補充療法では、イミグルセラーゼ(商品名:セレザイム)とベラグルセラーゼ(同:ビプリブ)の両剤が保険適用となっており、患者は2週間ごとに点滴を受ける。効果としては、肝脾腫の改善、貧血症状の改善、骨痛の改善などが認められる。たとえばイミグルセラーゼの効果をみてみると、肝脾腫では24週くらいから減少が認められ、96週時点で平均減少率は肝臓31%(n=15)、脾臓59%(n=16)となった。また、血液についてヘモグロビン値は、24週で平均値が12.2g/dLまで改善し、以降、400週以上にわたり良好な状態を維持しているほか、血小板数も16週で平均値が正常範囲16.1×104/mm3に達し、同じく400週以上にわたり良好な状態を維持している1)。 基質合成抑制療法は、エリグルスタット(同:サテルガ)が保険適用となっており、こちらは経口薬として同じく肝脾腫の改善、貧血症状などを改善する。その他、中枢神経症状の治療に向けて、シャペロン療法の研究が進められている。 最後に井田氏は、「ゴーシェ病は、多彩な症状を示すために、診断が遅れ、その結果病態が進行することがある。本症には、治療法があるので、早期診断、早期治療の意義をくんでもらいたい」とレクチャーをまとめた。ゴーシェ病の早期診断のために 次に原田 浩史氏(昭和大学藤が丘病院 血液内科 准教授)が、「血液内科が経験した成人ゴーシェ病患者」と題し、症例と血液内科の視点から本症の診断ポイントなどを解説した。 症例は、3歳でゴーシェ病(III型)を発症し、18歳のときに脾腫で受診した女性。このときに脾臓を摘出し、経過観察では骨病変が進行傾向であり、イミグルセラーゼ投与前は肝臓触知、両側難聴、両眼の外転障害、股関節痛の歩行障害、高γグロブリン血症など多彩な症状を呈していた。 その後、イミグルセラーゼ投与後、肝腫大、臨床検査所見の改善がみられたが、脾臓摘出のために大腿骨骨折などの骨病変の進行は続いた。早期に治療介入がなされていれば、虚血性骨壊死のリスクを低下させる2)ことが示唆された。 次に血液内科における、本症診療の現状について説明した。全世界の血液内科医/腫瘍内科医(n=406)に肝脾腫や血小板減少などの一定の症例を示し、どのような疾患を想起するかアンケートをとったところ、本症想起はわずか20%しかなかったという。多くは、白血病、リンパ腫を想起し、血液内科でも見逃し例が多いのではないかと示唆を与えた。実際、脾腫と血小板減少で血液内科を受診した成人男性196例を対象とした本症有病数調査によれば、7例(3.6%)がゴーシェ病と診断されたという3)。 最後に原田氏は、「ゴーシェ病は血液疾患と症状が似ているために、まだ診断されずにいる患者も推測される。患者に脾腫と血小板減少の症状がみられたら本症を考慮し、早期診療につなげてもらいたい。血液内科医の役割は重要である」とレクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)参考文献1)井田博幸ほか. 小児科診療. 2013;76:1325-1334.2)Mistry PK, et al. Br J Haematol. 2009;147:561-570.3)Motta I, et al. Eur J Haematol. 2016;96:352-359.関連サイトLysoLife (ライソライフ)  参考サイト希少疾病ライブラリ ゴーシェ病

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科学的検証の重要性(解説:岡 慎一氏)-622

 妊婦、とくに母子感染予防に関するランダム化比較試験(RCT)は、なかなかやりにくいというのが定説であった。事実、HIV母子感染予防に関しても、AZT単剤の時代およびAZT+3TC+LPV/rが広く使われてきた時代においても、RCTのエビデンスに基づく結果からは少なく、主としてアフリカでの使用経験からの推奨であった。 WHOは、2015年改訂の治療ガイドラインで、妊婦も含めTDF/FTC/EFVの合剤を使用するよう推奨した。WHOガイドラインの途上国に対するインパクトは絶大なものがあり、おそらく感染妊婦の多いアフリカやアジアの国々では、今後この組み合わせによる母子感染予防が行われると考えられる。これに対し、今回の研究では、AZT単剤、AZTをベースとする併用療法(もっともよく使用されてきたもの)、TDFをベースとする併用療法(今後増える可能性がある)の3群でRCTを行った結果の報告である。 今回のRCTによる科学的な研究の結果は、TDFベースの予防は、感染予防には効果が高いが、乳児死亡率は高く、トータルでの有効性・安全性はAZT単剤群と同等であった。この研究が、今後どのように位置付けられるのか非常に興味深い。

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9価HPVワクチン、9~14歳への2回接種は男女とも有効/JAMA

 9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(メルク社製)の免疫原性について、9~14歳の男女児への2回投与(6または12ヵ月間隔で)は16~26歳の若年女性への3回投与(6ヵ月間で)に対し非劣性であることが、ノルウェー・ベルゲン大学のOle-Erik Iversen氏らによる非盲検非劣性免疫原性比較試験の結果、報告された。HPV感染は性器・肛門がん、疣贅を引き起こす。9価HPVワクチンは、子宮頸がんの90%に関与する高リスクの7つの型、および疣贅の90%に関与する2つの型のHPVに予防効果を示し、従来の2価および4価のHPVワクチンよりもカバー範囲が広い。JAMA誌オンライン版2016年11月21日号掲載の報告。16~26歳の若年女性への3回投与と比較 検討は、15ヵ国52の外来ケア施設で行われた。2013年12月16日にスタートし、被験者登録が締め切られたのは2014年4月18日、被験者への最終評価は2015年6月19日に行われた。 次の5つのワクチン接種コホートに被験者を登録し、免疫原性について評価した。(1)9~14歳の女児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(2)9~14歳の男児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(3)9~14歳の男児・女児に12ヵ月間隔で2回投与(301例)、(4)9~14歳の女児に6ヵ月間で3回投与(301例)、(5)16~26歳の若年女性に6ヵ月間で3回投与(314例、標準対照群)。 主要エンドポイントは、事前に規定した最終接種後1ヵ月(4週)時点で、競合的免疫検定法で評価したHPV各型(6、11、16、18、31、33、45、52、58)の免疫獲得についてだった。(1)~(3)の3つの2回投与群を標準対照群と比較し、各HPVの幾何平均抗体価(GMT)の率比を算出。非劣性マージンを両側95%信頼区間(CI)(=片側97.5%CI下限値)0.67として評価した。男児・女児、6ヵ月または12ヵ月間隔で2回接種について非劣性を確認 全被験者1,518例は、女児が753例(平均年齢11.4歳)、男児が451例(同11.5歳)、若年女性は314例(同21.0歳)であった。1,474例が試験投与を完了し、データが得られた1,377例について解析した。 最終接種後4週時点で、2回投与の男女児のHPV免疫獲得は、標準対照群に対し非劣性であった(HPV各型のp<0.001)。標準対照群との比較によるHPV各型のGMT率比の片側97.5%CI下限値は、(1)群では1.36(HPV-52)~2.50(HPV-33)、(2)群では1.37(HPV-45)~2.55(HPV-33)、(3)群では1.61(HPV-45)~5.36(HPV-33)にわたっていた。なお、上限値はすべて∞であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、免疫獲得の持続性と臨床的アウトカムへの効果を評価する必要がある」と述べている。

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キウイ栽培地ではキウイアレルギーは多いのか

 キウイは食物アレルギーの一因としてよく知られているが、このアレルギーに関する有病率の研究はあまり報告されていない。 そこで、本研究ではキウイが多く栽培されている地域(トルコ黒海地方、リゼ県)の児童(6~18歳)におけるIgE依存性キウイアレルギーの有病率と臨床的特徴を調査した。 Pediatric Allergy and Immunology誌オンライン版2016年10月12日号の掲載の報告。 試験対象は無作為に抽出した6~18歳の児童2万800人(トルコ、リゼ県在住)。試験期間は2013年の1年間とした。自己記入質問票に児童自身と両親が記入し、キウイアレルギーの疑いがあり、同意を得られた児童には皮膚プリックテスト(SPT)および経口負荷試験(OFC)を行った。 キウイアレルギー疑いの児童には、キウイ(市販アレルゲンエキス、生のキウイを使用したプリック-プリックテスト)と事前に指定されていた関連アレルゲンのパネル(バナナ、アボカド、ラテックス、ゴマ、シラカバ、チモシー(牧草)、ハシバミ、ネコ、ヤケヒョウヒダニおよびコナヒョウヒダニ)のSPTを行った。SPTでキウイに陽性を示したすべての児童にOFCを行い、キウイアレルギーの有病率を決定した。 主な結果は以下のとおり。・アンケートの回答率は75.9%(1万5,783/2万800人)であった。・親が推定した児童のキウイアレルギー有病率は0.5%(72/1万5,783人)(95%信頼区間[CI]:0.39~0.61%)であった。・72人の児童のうち、52人(72.2%)がSPTを受けた。そのうちの17人(32.7%)が市販のキウイアレルゲンエキスと生のキウイ、両方に陽性を示した。・キウイにSPT陽性を示した児童において多く報告されたのは、皮膚症状(n=10、58.8%)で、胃腸症状(n=6、35.3%)と気管支症状(n=4、23.5%)がそれに続いた。・口腔症状は6人(35.3%)の児童に認められた。・キウイにSPT陽性を示した児童全員がOFCでも陽性であった。・リゼ県在住の児童におけるキウイアレルギーの有病率は、OFCの結果から0.10%(17/1万5,783)(95%CI:0.06~0.16)と確定した。 以上の結果から、確認されたキウイアレルギーの有病率(0.10%)は親の認識(0.5%)とは一致しなかった。予想に反して、キウイ栽培が盛んで消費量も多い地域にもかかわらず、キウイアレルギー有病率は、低い値を示した。

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小児/青年ICU患者の急性腎障害、重症度と死亡リスク/NEJM

 小児集中治療室に入院中の重症小児・若年成人において、急性腎障害(AKI)の発症頻度は高く、死亡率増加など予後不良と関連している。米国・シンシナティ小児病院のAhmad Kaddourah氏らによる、国際共同前向き疫学研究(Assessment of Worldwide Acute Kidney Injury, Renal Angina, and Epidemiology:AWARE)の結果、明らかになった。結果を踏まえて著者は、「ICU入室時には急性腎障害の系統的な検査が必要である」と強調している。小児および若年成人におけるAKIの疫学的特徴は、これまで単施設および後ろ向き研究で示されてきたが、AKIの定義や重症度などが異なり一貫した結果は得られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年11月18日号掲載の報告。ICU入室の小児・若年成人を前向きに追跡しAKI発症を調査 研究グループは、2014年の連続した3ヵ月間に、アジア、オーストラリア、欧州、北米の小児ICU、32施設に、48時間以上入室した生後3ヵ月~25歳の全例について前向きに調査した。AKIの確定診断には、Kidney Disease:Improving Global Outcome criteria(KDIGO診断基準)を使用し、ステージ2および3(血清クレアチニンがベースラインの2倍以上、もしくは尿量0.5mL/kg/時未満が12時間以上持続)を重症AKIと定義して、ICU入室の最初の7日間におけるAKIを評価した。 主要評価項目は28日死亡率、副次的評価項目はICU在室期間、人工呼吸器使用の有無および期間、腎代替療法の実施などであった。ICU入室後7日間で27%がAKIを発症、重症AKIでは死亡リスクが約2倍に 解析対象は4,683例で、このうち1,261例(26.9%、95%信頼区間[CI]:25.6~28.2)がAKIを発症した。 重症AKIは543例(11.6%、95%CI:10.7~12.5)で発症が認められた。16の共変数を補正後、重症AKIは28日までの死亡リスクを有意に増加させることが確認された(補正オッズ比:1.77、95%CI:1.17~2.68、p<0.001)。死亡は、重症AKI患者で543例中60例(11.0%)に対し、非重症AKI患者では4,140例中105例(2.5%)であった(p<0.001)。 重症AKIは、人工呼吸器や腎代替療法の利用増加とも関連していた。また、AKIの重症度に応じて、28日死亡率が段階的に増加した(log-rank検定によるp<0.001)。尿量減少患者の67.2%は、血清クレアチニン値のみによるAKIの評価ではAKIと診断できなかった。

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意外に多い重病小児急性腎障害の発症―尿量チェックが大事―(解説:浦 信行 氏)-619

 従来より、種々の疾患で重病の状態にある患者は急性腎障害(AKI)を合併しやすく、これが生命予後を脅かすとの指摘がなされている。重病小児におけるAKIの生命予後に関する研究は2つあり、生命予後予測に関して一定の有用性が示されていたが、単一施設後ろ向き観察研究のみに限られていた。本研究は国際的な大規模前向き疫学研究であり、集中治療室(ICU)での治療を要する重病小児~若年成人の4分の1以上の26.9%がAKIを発症し、11.6%の重症のAKIでは死亡リスクの増加を招くことがNEJM誌に報告された。 同研究では、2014年の3ヵ月間にアジア、オーストラリア、欧米の小児ICU 32施設のいずれかに48時間以上滞在した、生後3ヵ月~25歳の4,683例を前向きに調査した。2012年のKidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)基準に従い、ICUに入室後7日間のAKIの発症頻度と重症度(ステージ)を評価し、ステージ2~3(血清Cr値がICU入室前3ヵ月間の最低値の2倍以上に上昇、または12時間以上の尿量が0.5mL/kg/時未満)のAKIを重症とした。主要評価項目は28日間の死亡率、副次評価項目の1つは腎代替療法の適用であった。ICU入室前3ヵ月以内の血清Cr値、およびICU入室後7日間と28日後の臨床および検査記録を取り、解析を行った。その結果、ICU入室7日以内にAKIを発症したのは1,261例(26.9%)で、543例(11.6%)が重症AKIと診断された。また、28日死亡率は、重症AKIの患者で11.0%と、その他(非AKIおよびステージ1のAKI)の患者の2.5%に比べ有意に高く、多変量解析の結果、重症AKIは28日以内の死亡を増加させる有意なリスクであった(オッズ比1.77、95%CI:1.17~2.68、p<0.001)。このほかに、腎代替療法の適用も強い因子だった(同3.38、1.74~6.54、p<0.001)。さらに、尿量の減少からAKIと診断された患者の67.2%は、血清Cr値が診断基準を満たしておらず、血清Cr値のみでの急性腎障害診断では患者を見落とす危険性があることが示された。 以上の結果は、成人を対象とした成績や、重病小児の2つの後ろ向き研究とほぼ一致するが、前向きで多施設国際共同試験での結果に大きな意義がある。試験プロトコルに関しては、KDIGOの診断基準(Cr値と尿量評価および判定期間が48時間ではなく7日間)がほかの基準(RIFLEやAKIN)より、生命予後を評価項目とした場合の感度が高かったとする先行研究の結果から、好ましいものである。ただし、細部に関しては、さらに検討を要することもある。 KDIGOの基準データの血清Cr値はJaffe法によるものであり、酵素法の値とは0.2 mg/dL程度差がある。また、KDIGOでの小児の基準に関しては、3ヵ月以上の小児は成人の基準とまったく同じである。しかし、小児の腎機能において、尿濃縮能が完成するのは1~2歳である。したがって、2歳まではやや希釈された尿しか作れないので、尿量の基準が同じでよいか、という疑問が残る。3ヵ月~2歳までの対象(4分位範囲の結果から少なくとも1,200例以上いるはず)のサブ解析があってもよいのではないか。また、ステージ3の腎機能評価の1項目に、eGFR 35mL/min/1.73m2以下とあるが、わが国では体格の違いなどから計算方法が違うので、そのままの値ではやや評価がずれる可能性がある。 しかし、以上のようなことを考慮しても、この研究結果の重要性はほぼ変わりないと考える。

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バスオイルは本当に乾燥肌に効く?

 乾燥肌(皮膚乾燥症)は、日常生活や保健・介護に関連する健康問題として認識されつつある。乾燥肌は、バスオイルなどの入浴剤の使用により軽減されることが知られているが、その効果を示す経験的エビデンスは限られている。 そこで本研究では、市販のバスオイルと入浴・シャワー用の非オイル系スキンクレンザーにおいて皮膚バリア機能および乾燥肌の改善効果を比較、調査した。International Journal of Nursing Studies誌オンライン版2016年10月26日号の掲載の報告。<試験デザイン> 単一施設、無作為化、観察者盲検、実用的並行群間試験<方法> 試験対象は軽度~中程度の乾燥肌を有する健康な小児および成人60人(ベルリン市在住)。 対象者をバスオイル使用群、普段使用している非オイル系スキンクレンザーの継続使用群に無作為に割り付けた。どちらも試験期間28日中、1日おきの使用とした。 皮膚バリアパラメーターと乾燥皮膚の重症度は、臨床研究センターの訪問(初回と2回のフォローアップ訪問)によって評価された。主要評価項目は経皮水分蒸散量(TEWL)とした。 主な結果は以下のとおり・60人の参加者全員が試験を完了した。・対象者の年齢の中央値は32.5歳(四分位範囲:8.3~69)であった。・試験終了時のTEWLは、バスオイル群で有意に低かった(非オイル系スキンクレンザー群との平均差-1.9g / m2 /時[95%信頼区間:-3.1~-0.8])。・試験終了時の角質層の水和は、バスオイル群において非オイル系スキンクレンザー群と比較し、有意に高かった。・皮膚表面のpHおよびきめの粗さは、両群で同程度であったが、両群ともに皮膚乾燥症状の改善傾向を示した。 今回の試験から、バスオイルの定期的使用で軽度~中程度の乾燥肌を有する小児および成人の皮膚バリア機能が改善することが示された。また、広範囲に及ぶ乾燥肌の基礎ケアとしても、バスオイルの使用が支持されることも示唆された。

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医師が選んだ「2016年の漢字」TOP5!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例となっている日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』。今年も漢字の日である12月12日に発表されますが、CareNet.comでは一足先に医師会員に募集してみました。その結果、2016年を言い表す漢字、1位に選ばれたのは「震」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。発表に当たって、今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位震4月に発生した熊本地震、そして10月の鳥取地震と、同じ年に強い地震が2つも発生したことを、この字を選んだ理由に挙げる先生がとても多くいらっしゃいました。また、地震以外にも「世の中を震撼させる」「心が震える」出来事が多かった1年であった、そういう思いも込められての選出でした。 「震」を選んだ理由(コメント抜粋)地震もあるし、震撼するような事件も多いため。(50代 腎臓内科医/石川県)熊本市で熊本地震を実際に被災した経験と、その後の支援のありがたさに心が震える思いをしたから。(40代 精神科医/熊本県)熊本、鳥取の地震も含めて、世の中が「震」えたから。(30代 皮膚科医/秋田県)地震(熊本、鳥取等)もあり、東京オリンピックの問題や、築地移転問題等震える事柄が多かった。(60代 内科医/福島県)地震、噴火、爆発などが相次ぎ、大地が震えるというイメージがあった1年でした。(60代 小児科医/茨城県)2位災1位と同じく熊本地震と鳥取地震、そして阿蘇山噴火、台風の影響による東北と北海道での浸水被害など、地震以外の自然災害が複数起きたことも含めてというのが主な選出理由でした。また、築地市場の豊洲移転問題、不安定な世界情勢によって繰り返される戦闘なども、「災」の字を選んだ理由に挙げられています。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)熊本や鳥取の地震や台風による被害など大きな自然災害が目立った。(50代 整形外科医/群馬県)天災が多い年だった。(20代 臨床研修医/兵庫県)地震、豊洲問題、かけつけ警護を必要とする戦闘状態などの問題が印象深いので。(50代 小児科医/愛媛県)熊本に住んでいて、予想だにできなかった地震でした。世界を見ればIS、シリア、ソマリアなどの紛争も解決の道筋が見えません。(50代 腎臓内科医/熊本県)熊本地震、阿蘇山噴火、鳥取地震、北海道洪水被害など自然災害が目立った。(60代 小児科医/北海道)3位乱昨年のCareNet.comのアンケートで1位だった「乱」は、今年は3位にランクイン。まさに混乱した世相を表す漢字です。国内だけでも、2020年の東京オリンピック開催場所にまつわる問題、築地市場の豊洲移転に伴ってさまざまな問題が噴出したこと、また海外に至ってはいまだ予断を許さない状況が続くなど、世の中が相変わらず混乱していることを、この字に当てはめての選出です。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)気候、世界情勢、国内でいろいろあり。(60代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/宮城県)異常気象や女性新都知事の種々の既存組織への乱入(挑戦?)(50代 内科医/京都府)混乱した世相を反映して。(30代 精神科医/大分県)オリンピック関連で開催場所の変更、築地市場でのゼネコンの問題等これからもいろいろ出てきそうなので。(40代 循環器内科医/京都府)地震や台風などの天災で日本中が乱れ、中東ではシリア問題で乱れ、ヨーロッパでは移民問題からイギリスのEU離脱問題で足並みが乱れ、アメリカでは大統領選挙がお互いの中傷合戦で乱れているから。(50代 内科医/岡山県)4位金リオ五輪が開催された今年、まず「金」の字のイメージとしてオリンピックの金メダルを挙げる方が多いと思います。今回の五輪での日本のメダル獲得数は、41個と過去最多を記録しました。閉会式では安倍首相がマリオの姿で登場するというサプライズも、閉幕から3ヵ月余りたった今も記憶に新しいと思います。ほかには、2020年の東京五輪の費用問題、舛添前都知事の政治資金問題、日銀のマイナス金利政策など、喜べない「金」の話題もあり、両方の意味を含めての選出です。 「金」を選んだ理由(コメント抜粋)オリンピック・パラリンピックイヤー。(50代 循環器内科医/福井県)オリンピックの金、舛添の金、金利マイナス。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/大阪府)オリンピックの金メダルと、総額3兆円超といわれる東京五輪費用問題を引っ掛けて。(60代 内科医/東京都)リオ五輪の金メダルと、東京五輪のお金の問題。(40代 放射線科医/兵庫県)5位倫この漢字一文字が、芸能人の不倫報道をはじめ、精神保健指定医資格の大量取り消し問題など、倫理観を問う問題が一年を通じて世間を賑わせ続けていたことを物語るかのような一文字です。余談ですが、本家の今年の漢字の予想では、同じ理由で(文春砲の)「砲」も挙がっているようです。12日の発表がどうなるか楽しみですね。 「倫」を選んだ理由(コメント抜粋)医療倫理、政治倫理、不倫など、倫理観の変化がみられる。(50代 内科医/東京都)公務員倫理や芸能界の不倫が話題になったから。(30代 精神科医/埼玉県)倫理的に問題なことが多かった。(40代 外科医/愛媛県) アンケート概要アンケート名 :『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2016年10月24日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :524件

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治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は

 小児、青年における治療抵抗性強迫症(OCD)に対するSSRIとアリピプラゾール増強療法について、トルコ・Denizli State HospitalのUlku Akyol Ardic氏らが評価を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年11月3日号の報告。 2種類以上のSSRIおよび認知行動療法(CBT)による治療に反応しなかった小児治療抵抗性OCD患者48例(女児14例、男児34例)を対象に、12週間のアリピプラゾール増強療法を行った。治療アウトカムの評価には、小児OCD評価尺度(CY-BOCS)、CGI-S、CGI-Iを用いた。 主な結果は以下のとおり。・CY-BOCS総スコアは33.3±7.5から11.7±9.3に減少(p<0.001)、CGI-Sスコアは6.3±0.9から2.7±1.6に減少(p<0.001)、CGI-Iスコアは4.3±0.6から2.2±1.1に改善した(p<0.001)。・SSRI漸増を伴わない29例におけるアリピプラゾール増強療法の感度分析は、改善効果が依然として有意であることが明らかとなった。CY-BOCSスコアは、34.2±7.9から13±10.3に改善(p<0.001)、CGI-Sは6.4±1.0から3.0±1.7に改善(p<0.001)、CGI-Iは4.4±1.0から2.3±1.1に改善した(p<0.001)。・分析では、アリピプラゾール増強療法は、有意な臨床的改善を示すことが明らかとなった。 著者らは「SSRIとアリピプラゾール増強療法は、小児および青年の治療抵抗性OCDに対する有望な治療戦略である」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か 難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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HIV母子感染予防への抗レトロウイルス療法の有用性/NEJM

 妊娠期間中の抗レトロウイルス療法(ART)は、ジドブジン単独療法と比較してHIVの母子感染率を有意に低下させたが、母親と新生児の有害転帰リスクの増加も認められた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学医学部のMary G. Fowler氏らが、無症候性HIV感染妊婦を対象としたThe Promoting Maternal and Infant Survival Everywhere (PROMISE)試験の結果、報告した。ARTはHIV母子感染の予防に有効であるが、妊娠の転帰に悪影響を及ぼすことが示された研究も散見される。CD4高値のHIV感染妊婦における、ジドブジン+ネビラピン単回投与とARTの、母子感染予防効果と安全性を比較した無作為化試験は十分ではない。NEJM誌オンライン版2016年11月3日号掲載の報告。約3,400例の無症候性HIV感染妊婦で、母子感染率と母子の安全性を評価 PROMISE試験は、7ヵ国14施設において、CD4高値の無症候性HIV感染妊婦を対象に妊娠期間中のARTの有効性と安全性を検討した無作為化非盲検比較試験である。 研究グループは、妊娠14週超でCD4数350/mm3以上のHIV感染妊婦3,490例(登録時妊娠期間中央値26週[四分位範囲:21~30]、CD4数中央値530/mm3)を、ジドブジン+ネビラピン単回投与+出産後テノホビル・エムトリシタビン1~2週間投与群(ジドブジン単独療法群)、ジドブジン+ラミブジン+ロピナビル・リトナビル投与群(ジドブジン併用ART群)、テノホビル+エムトリシタビン+ロピナビル・リトナビル投与群(テノホビル併用ART群)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、生後1週時の新生児HIV感染および母子の安全性とし、intention-to-treat解析を実施した。ART群で有意に低下するも、低出生体重児や早産が増加 新生児HIV感染率は、ART群(両ART群の併合)でジドブジン単独療法群より有意に低下した(0.5% vs.1.8%、絶対差:-1.3ポイント、反復信頼区間:-2.1~-0.4)。 一方、母親における有害事象(Grade2~4)の発現率は、ジドブジン単独療法群よりジドブジン併用ART群で有意に高かった(17.3% vs. 21.1%、p=0.008)。また、Grade2~4の血液検査異常値の発現率は、ジドブジン単独療法群よりテノホビル併用ART群で高かった(0.8% vs.2.9%、p=0.03)。血液検査値異常の有害事象に関して、両ART群に有意差は認められなかった(p>0.99)。 出生時体重が2,500g未満の新生児の割合は、ジドブジン単独療法群と比較し、ジドブジン併用ART群(12.0% vs.23.0%、p<0.001)ならびにテノホビル併用ART群(8.9% vs.16.9%、p=0.004)で多く、妊娠37週未満の早産の割合もジドブジン単独療法群と比較し、ジドブジン併用ART群で多かった(13.1% vs.20.5%、p<0.001)。テノホビル併用ART群は、ジドブジン併用ART群と比較して妊娠34週未満の超早産率(6.0% vs.2.6%、p=0.04)、ならびに早期新生児死亡率(4.4% vs. 0.6%、p=0.001)が高かったが、ジドブジン単独療法群とは差はなかった(それぞれp=0.10、p=0.43)。 HIV非感染生存率は、ジドブジン併用ART群の新生児が最も高かった。 なお、WHOが推奨するART(テノホビル+エムトリシタビン+エファビレンツ)が本試験のレジメンより有害事象が少ないかどうかの評価はできていないことを、著者は研究の限界として挙げている。

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小児の弱視治療にiPadゲーム療法は有効か

 近年、不同視弱視や斜視弱視の治療について両眼アプローチが提唱され、小規模試験で有望との結果が示されている。それを受けて米国・メイヨークリニックのJonathan M. Holmes氏らは、大規模無作為化試験により、弱視小児の視力改善について、両眼アプローチとしてiPadを用いたゲーム療法と、従来の定時的なアイパッチ療法を比較する検討を行った。その結果、弱視眼の視力改善はいずれの療法でもみられ、とくに弱視治療歴のない年少児(5~7歳未満)で認められた。しかし主要非劣性解析の結果は、割付治療のアドヒアランスの問題などもあり、確定には至らなかった。また、事後解析では、両眼iPad治療は1日2時間のアイパッチ療法ほど弱視眼の視力改善は良好ではないことが示唆されている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年11月3日号掲載の報告。 研究グループは、2014年9月16日~2015年8月28日にコミュニティクリニックで、多施設共同非劣性無作為化試験を行った。試験には、斜視または不同視、もしくは両者により弱視(20/40~20/200、平均20/63)を有する5~13歳未満の小児385例が参加した。 385例は、1日1時間の両眼iPadゲーム療法を行う群(両眼群190例)、または1日2時間の両眼アイパッチ療法を行う群(パッチ群195例)に無作為に割り付けられ、それぞれ16週間治療を受けた。 主要評価項目は、ベースラインから16週時点までの弱視眼の視力の変化であった。試験期間中、4、8、12、16週時にフォローアップ受診の予定が組まれ、16週間の試験治療を完了した被験者を組み込んで修正intent-to-treat解析を行い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者385例の特性は、女児187例(48.6%)、平均年齢(SD)8.5(1.9)歳であった。・16週時点で、弱視眼視力の平均改善値は、両眼群1.05 lines(0.105 logMAR)(両側95%信頼区間[CI]:0.85~1.24)、パッチ群1.35 lines(同:1.17~1.54)であった。・補正後両群差は0.31 linesで、パッチ群を支持する結果であった。片側95%CIの上限値は0.53 linesであり、事前規定の非劣性の制限値0.5 linesを上回った。・しかしながら、両眼群に無作為化されログファイルデータが入手できたのは39/176例(22.2%)のみであり、それら被験者の両眼療法の実行率は75%超(中央値46%、四分位範囲:20~72%)であった。・より年少(5~7歳未満)で、弱視治療歴のない小児では、弱視眼の視力改善の平均値(SD)は、両眼群で2.5(1.5)lines、パッチ群2.8(0.8)linesであった。・有害事象(複眼など)はまれであり、発現頻度は両群で同程度であった。

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