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アーミッシュの生活環境が喘息リスクの低下に関与/NEJM

 アーミッシュとフッタライト(いずれもキリスト教の一派で、伝統的な生活様式で農業を営むコミュニティ集団)の子供たちは、生活様式や遺伝的系統が類似しているにもかかわらず喘息有病率が大きく異なっていた。その背景には自然免疫反応の形成や誘導の違いがあり、アーミッシュの生活環境は喘息に対して予防的に働くことが示唆されたという。米国・シカゴ大学のMichelle M. Stein氏らが、ヒトとマウスの研究から明らかにした。アーミッシュは畑仕事や移動に馬を使用するなど伝統的な農業を行っており、フッタライトは工業化された農業技術を用いるという点で、とくに違いがみられる。以前の研究でこの両集団の喘息発症率に顕著な違いがあることが示唆されていたが、その違いに関与する免疫反応については不明であった。NEJM誌2016年8月4日号掲載の報告。アーミッシュとフッタライトで子供の血液とハウスダストを分析 研究グループは、アーミッシュ(インディアナ州)とフッタライト(サウスダコタ州)の小児計60人(各30人、7~14歳)を対象に、環境曝露、遺伝的系統、免疫プロファイルを調査し、アレルゲンおよびエンドトキシンを測定するとともにハウスダストの微生物叢を評価した。 全血を採取して血清IgE値、サイトカイン反応および遺伝子発現を測定し、フローサイトメトリーを用いて末梢血白血球の表現型を解析した。さらに、両集団の住居から採取したハウスダストの免疫および気道反応に対する影響を、アレルギー性喘息マウスモデルで評価した。両者で喘息有病率と免疫プロファイルに大きな差、環境要因の影響をマウスで確認 両集団の遺伝的系統は類似していたが、喘息有病率はアーミッシュが0、フッタライトが20%(6例)で、アーミッシュが低かった。また、一般的なアレルゲン(イヌ、ネコ、チリダニ、ゴキブリ)に対する血清IgE高値(>3.5kUA/L)の小児も、アーミッシュ2例、フッタライト9例と、アーミッシュで少なかった。 一方、ハウスダストのエンドトキシン濃度中央値は、アーミッシュがフッタライトより6.8倍高値であった。両集団のハウスダストでは、微生物叢の違いも観察された。さらに、末梢血白血球については、単球の割合は両集団で類似していたが、アーミッシュはフッタライトと比較して好中球の割合が多く好酸球は少なかった。同様に、自然免疫細胞の表現型や機能についても両集団で大きな差が確認された。 ハウスダストの抽出液をアレルギー喘息マウスに鼻腔内滴下した結果、アーミッシュの住居から採取したハウスダストで気道過敏性、好酸球増加や特異的IgE値増加が有意に抑制された。自然免疫シグナリングに重要な分子であるMyD88およびTrifの両方が欠損しているマウスでは、これらの予防効果は消失した。 なお、著者は、症例数が少なく対象の年齢が7歳以上であったことや、微生物叢の評価に研究の限界があるとしている。

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未分化大細胞型リンパ腫〔ALCL : anaplastic large cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)は、1985年Steinらによって初めて特徴づけられたaggressive lymphomaである。キール大学で開発されたCD30に対するKi-1抗体によって認識される活性化T細胞由来のリンパ腫で、Ki-1リンパ腫との異名ももっていた。以前「悪性組織球症」といわれていた症例の多くがこのリンパ腫であることが判明し、リンパ球の活性化マーカーであるCD30、CD25のほか、上皮性細胞マーカーであるEMAが陽性となる特徴を有する。腫瘍細胞は胞体が豊かなホジキン細胞様で馬蹄様核をもつhallmark cellが特徴的である(図)。画像を拡大するこの多形芽球様細胞の形態を示すリンパ腫には、全身性ALCLのほか、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のanaplastic variantや病変が皮膚に限局する皮膚ALCLがある。また、豊胸手術後に乳房に発症するALCLも、最近注目されるようになった。ALCLは、あくまで末梢性T細胞リンパ腫の一病型であり、B細胞由来のものは含まれない。ALCLは、インスリン受容体スーパーファミリーの受容体型チロシンキナーゼであるanaplastic lymphoma kinase(ALK)をコードするALK1遺伝子の発現増強を認めるALK陽性ALCLと、発現増強を認めないALK陰性ALCLに分類される。皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは共にALK陰性である。■ 疫学ALCLは、わが国で発症する非ホジキンリンパ腫の中で、3%程度を占めるまれな疾患である。ALK陽性ALCLは、ほとんどが50歳以下で発症し、発症のピークは10代の若年者である。一方、ALK陰性ALCLは、加齢とともに発症頻度が増し、50代に多い。両者ともやや男性に多く発症する。皮膚ALCLと豊胸術後のALCLについては、わが国での頻度は不明である。■ 病因ALK陽性ALCLは、t(2;5)(p23;q35)の染色体異常を80%程度に認める。2番染色体2p23に位置するALK1遺伝子が5q35のNPM遺伝子と結合して融合遺伝子を形成し、その発現増強が腫瘍の発症・維持に重要と考えられている。この転座によって生じるNPM-ALKはホモダイマーを形成し、midkineなどのリガンドの結合なしにキナーゼ活性を亢進させ、PI3KからAkt、STAT3やSTAT5などの細胞内シグナル伝達を活性化させる。ALK1遺伝子はNPM遺伝子以外にも1q21/TPM3などの遺伝子と融合するが、このような場合でもALKのホモダイマー形成が生じ、ALKの構造的活性亢進が起きるとされている。NPMは核移行シグナルをもち、NPM-ALKとNPMのヘテロダイマーは核まで移行するため、t(2;5)異常をもつALCLでは、ALKが細胞質のみならず、核も染色される。一方、ALK陰性ALCLの病因はすべて明らかにされているわけではない。アレイCGHやgene expression profilingによる解析では、ALK陰性ALCLは、ゲノム異常や遺伝子発現パターンがALK陽性ALCLとはまったく異なることがわかっている。ALK陰性ALCLの中には、t(6;7)(p25.3;q32.3)の染色体転座をもち、6p25.3に位置するDUSP22遺伝子の切断による脱リン酸化酵素機能異常が確認されている群がある。6p25には転写因子をコードするIRF4遺伝子も存在するが、末梢性T細胞性リンパ腫・非特定型や皮膚ALCLにおいても6p25転座が認められることがあり、それらとの異同も含めてまだ不確定な部分がある。皮膚ALCLはリンパ腫様丘疹症(lymphomatoid papulosis)との異同が問題となる症例があり、これらは皮膚CD30陽性リンパ増殖性疾患という範疇であって、連続性の疾患と捉える向きもある。豊胸術後のALCLについてはまだ不明な点が多い。■ 症状全身性ALCLは、診断時すでに進行期(Ann ArborシステムでIII期以上)のことが多く、B症状(発熱・体重減少・盗汗)を認めることが多い。リンパ節病変は約半数に認められ、節外病変も同時に伴うことが多い。ALK陽性ALCLでは、筋肉などの軟部組織や骨が多く、ALK陰性ALCLでは皮膚・肝臓・肺などが侵されやすい。皮膚ALCLは孤立性または近い部位に複数の皮膚腫瘤を作ることが多いが、所属リンパ節部位以外の深部リンパ節には病変をもたず、その点が全身性ALCLとは異なる。また、豊胸術後のALCLも80%以上の症例が乳房に限局しており、その中で腫瘤を作らずeffusion lymphomaの病態をとるものもある。両者とも発熱などの全身症状は認められないことが多い(表)。画像を拡大する■ 予後ALK陽性ALCLは、末梢性T細胞リンパ腫の中でも予後のよい病型である。5年の全生存割合は80%程度で、ALK陰性ALCLの40%程度と比べて、CHOP療法などのアントラサイクリン系抗生剤を含む初回化学療法によって、効果が期待できる疾患である。ヨーロッパの小児領域における3つの大規模臨床研究の結果から、(1)縦隔リンパ節病変(2)体腔内臓器浸潤(肺、脾、肝)(3)皮膚浸潤が予後不良因子として重要で、これら1項目でも満たすものを高リスク群とみなす。高リスク群は5年の全生存割合が73%と、標準リスク群の94%に比べて有意に下回る結果を示している。小児領域のALCLは、90%がALK陽性例で占められるが、成人領域と比べるとリスクに応じてかなり強度を上げた治療が施行され、高リスク群の治療成績は比較的良好な結果を示していると思われる。一方、成人例に多いALK陰性ALCLは、aggressive lymphomaで共通する国際予後指標(international prognostic index〔IPI〕: 年齢、performance status、LDH値、節外病変数、臨床病期からスコア化する)が参考となるが、(1)骨髄浸潤(2)β2ミクログロブリン高値(3)CD56陽性なども予後不良因子として認識されている。International T-cell lymphoma projectによる検討では、ALK陰性ALCLの60%程度を占めるIPI 3項目以上の患者群における5年の全生存割合は、CHOP療法主体の治療を受けても30%を下回る結果となっている。ただし、ALK陰性であっても皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは限局例が多く、生命予後はそれほど悪くない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ほかの悪性リンパ腫と同様、ALCLの診断には、(1)組織診断による病型の確定(2)PET-CTなどの画像検査と骨髄検査による正確な臨床病期診断が必須である。また、皮膚に病変がある場合には、全身症状と病変の分布について、しっかりと把握しなければならない。■ 組織診断HE染色による腫瘍の形態観察とhallmark cellの有無を確認する。hallmark cellがあればALK染色によってALK陽性かALK陰性かを明らかにする。まれにsmall-cell variantや反応性の組織球増生が特徴的なlymphohistiocytic variantがあるので注意を要する。これらはALK陽性ALCLのうち、治療反応の乏しい形態学的亜型として注目されている。さらに腫瘍細胞の特定には、CD30、EMA、lineage marker、TIA-1、granzyme Bなどの細胞傷害性分子の発現を免疫染色で評価する。ALK陽性例についてはFISH検査で2p23の転座があるか確認する。■ 臨床病期診断ALCLはFDG-avidな腫瘍であり、FDG-PETを組み込んだPET-CT検査によって臨床病期診断のみならず治療効果の判定が可能である。皮膚に限局しているようにみえても、PETで深部リンパ節病変が指摘された場合には、全身性ALCLとして対応しなければならない。骨髄検査は、リンパ腫細胞の浸潤の有無と造血能の評価を行うことを目的とする。単なる形態診断だけでなく、免疫染色や染色体・FISH検査によって腫瘍の浸潤評価を行う必要がある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述した通り、全身性ALCLは進行期例が多いことから、アントラサイクリン系抗生剤を含む多剤併用化学療法が施行される。ALK陽性ALCLでは、CHOP様レジメンで90%近くに奏効が得られ、再発・再燃の割合もALK陰性ALCLよりも低く、5年の生存割合は70%以上を維持できる。つまり、低リスク群の初回治療はCHOP様レジメンで十分といえる。高リスク群に対し、小児領域では髄腔内抗がん剤投与を含む強度を上げた治療が行われている。成人領域ではなかなか治療強度を上げることが難しいため、自己造血幹細胞移植(autologous hematopoietic stem cell transplantation: ASCT)が考慮される。また、小児領域の治療研究では、ビンブラスチン(商品名:エクザール)が単剤で再燃を延長させる効果をもつことが示されている。高リスク群では、この薬剤をいかに利用して再燃を防ぐことができるのか、今後のレジメン内容を考えるうえでも、さらなる検討が必要である。一方、成人に多いALK陰性ALCLに対しては、現時点で標準化学療法が確立した状況とはいえない。CHOP療法による奏効割合は80%程度期待できるものの、再発・再燃の割合も高く、無増悪生存割合は最終的に20%台まで落ち込んでしまう。成人領域のALCLに対する治療研究は、ほかの末梢性T細胞リンパ腫の病型と同時に含まれて対象とされるため、ALCLに限った治療法が開発されているわけではない。そのため今後も残念ながら、個々の病型に対する標準治療が確立しにくい状況なのである。ALCL患者を対象として多く含む、ドイツの複数の前向き治療研究の解析結果をまとめると、CHOP療法にエトポシド(同:ラステットほか)を加えたほうが完全奏効割合や無イベント生存割合が改善することがわかっている。また、末梢性T細胞リンパ腫全体では、治療強度を上げることが必ずしも全生存割合の向上に寄与しているとは証明されていないが、それは十分な治療効果を生む標準化学療法が確立していないことが背景にあるためと考えられる。全身放射線を前処置として用いないASCTを初回奏効例に施行する、ノルウェーから報告されたNLG-T01試験では、ALK陰性ALCLに対する5年の全生存割合は60%以上を示し、他の病型よりも期待のもてる結果を示している。小児領域のリスクに応じて強度を調節する治療研究の結果も踏まえて考えると、ALK陰性ALCLに対し、治療強度を上げることで生存に有利となる患者群がいることがわかる。こういった問題は、今後も前向き治療研究の場で確定していかなければならない。実地診療において現時点では、CHOPあるいはCHOEP、EPOCHなどのエトポシドを含むCHOP様レジメンが初回治療として選択されることになる。非常にまれな皮膚ALCLや豊胸術後のALCLについての標準治療法は確立されていない。皮膚ALCLは限局性であれば、外科的切除、電子線照射が試みられる。多発性腫瘤の場合には化学療法が行われるが、どのような治療が適切か確固たるエビデンスはない。経験的に少量メトトレキサート、少量エトポシドなどの内服治療が行われている。豊胸術後のALCLも外科的切除で、対応可能な限局期症例の予後は比較的良好であるが、両者とも進行期例に対する治療は全身性ALCLに準ずることになる。4 今後の展望小児領域のヨーロッパ・日本の共同研究で検討された中枢神経浸潤についてみると、全体の2.6%に中枢神経系のイベントが認められ、その半数に脳実質内腫瘤を認めている。ヨーロッパのintergroup(EICNHL)のBFM90試験において、メトトレキサートの投与法が24時間から大量の3時間投与として髄腔内投与を施行しなくとも、中枢神経系のイベントは変わらずに同等の治療効果を生むことが確認されている。Lymphohistiocytic variantでは、比較的中枢神経系イベントが多いとされているが、生命予後の悪い高リスク群患者に対して、いかに毒性を下げて治療効果を生むかという点について、今後も治療法の進歩が期待される。小児領域と成人領域では、治療強度とそれに対する忍容性が異なる。成人領域では治療強度を上げるためには、ASCTを考慮しなければならず、とくに10代後半~20代の患者群に対する治療をどうしていくか、まだまだ解決しなければならない課題は多い。ALK陽性ALCLはALKが分子標的となるため、ALK陽性非小細胞肺がんで効果を示しているALK阻害薬が、今後の治療薬として注目される。クリゾチニブ(同: ザーコリ)は第I相試験が海外で終了しており、今後ALCLに対する有効性の評価がなされていくことになる。わが国ではそれに先立ち、再発・難治性のALK陽性ALCLに対してアレクチニブ (同: アレセンサ) の第II相試験が現在進行中である。また、CD30を標的したマウス・ヒトキメラ抗体のSGN-30は、皮膚ALCLに対する一定の効果は認められたものの、全身性ALCLに対する効果は不十分であったため、SGN-30に微小管阻害薬であるmonomethylauristatin Eを結合させたSGN-35(ブレンツキシマブ ベドチン、同: アドセトリス)が開発された。ブレンツキシマブ ベドチンは再発・難治性のALCL58例に対し、50例(86%)に単剤で奏効を認めており(33例に完全奏効)、再発・難治例に期待できる薬剤である。有害事象として血球減少以外に、ビンカアルカロイドと同様の神経障害が問題となるが、ホジキンリンパ腫でABVD療法と併用した際に肺毒性が問題となっていて、ブレオマイシン(同:ブレオ)との併用は難しいものの、アントラサイクリン系抗生剤やビンブラスチンとの併用が可能であることを考えると、ALCLに対して化学療法との併用の可能性も広がると考えられる。5 主たる診療科血液内科、小児科、皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報European Intergroup for Childhood NHL(欧州で開催された医療従事者向けのフォーラムの内容)患者会情報グループ・ネクサス・ジャパン(悪性リンパ腫患者とその家族の会)1)Savage KJ, et al. Blood.2008;111:5496-5504.2)Kempf W, et al. Blood.2011;118:4024-4035.3)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2012;83:293-302.4)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2013;85:206-215.5)Miranda RN, et al. J Clin Oncol.2014;32:114-120.公開履歴初回2014年03月13日更新2016年08月02日

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夜尿症推計78万人のうち受診は4万人

 12年ぶりの改訂となる「夜尿症診療ガイドライン2016」(日本夜尿症学会編)の発刊に伴い、7月20日に都内でメディアセミナーが開催された(フェリング・ファーマ株式会社、協和発酵キリン株式会社などの共催)。セミナーでは、ガイドライン改訂の意義、内容、治療の実際について、3名の医師がレクチャーを行った。多くの医療者に使ってほしいガイドライン はじめに金子 一成氏(関西医科大学小児科学教室 主任教授)が、「夜尿症ガイドライン改訂の意義」と題して、夜尿症診療の現状、新しいガイドラインの概要と改訂の意義、今後の展望について説明した。 「夜尿症とは、5歳以上の小児の就寝中の間欠的尿失禁であり(昼間の尿失禁は問わない)、1ヵ月に1回以上の夜尿が3ヵ月以上続くもの」とされる。両親共に夜尿症の既往があると70%の確率で子供にも発生するとされ、小学生では男子に多く、中学生では女子に多いとされる。自然に治る確率は10人に1人と言われるが、治療介入を行った場合は半数が1年以内に治るとされる。 病因はいまだ解明されておらず、主に睡眠中の覚醒障害のほか、尿量の日内変動調節機構の未発達、機能的膀胱容量過少など、さまざまな説明が試みられている。 生命に関わる疾患ではなく、自然に治るものでもあることから、現在でも積極的な治療介入は行われていない。 治療法としては、国際小児禁制学会(ICCS)が提唱する推奨治療である、患児への生活指導、デスモプレシン療法などの薬物治療、夜尿アラーム療法などが行われている。 患児の数は、幼稚園年長児の約15%、小学校3年生で約8%、小学校5~6年生で約5%とされ、わが国の患者数は約78万人と推計されている。夜尿症に関する情報サイト「夜尿症ナビ」が行った保護者(n=563)へのインターネット調査によれば、97%の保護者が夜尿症を治したいと思っているにもかかわらず、過去も含め受診させている保護者はわずか21.5%だった。 夜尿症を放置する弊害として、患児の自尊心低下から生じる内向的性格の形成、種々の学校行事への不参加からくるいじめや不登校、母子関係の悪化、虐待、発達障害の増悪などが指摘されている。そのため、患児の良好な精神発達のためにも、早期の治療介入が期待されるという。 夜尿症の診療を行う医師が不足する中、小児科医のみならず、家庭医として患児を診療している医師にも診療できるようにと、今回ガイドラインが改訂された。新しいガイドラインでは、最新のエビデンスを理解しやすく解説するとともに、具体的な対応法も記載されているため、家庭医の夜尿症診療に役立つと思われる。 「夜尿症は、適切な治療で治る病気であり、健全な患児の成長を促すためにも、積極的に治療に介入してほしい」と期待を述べ、説明を終えた。有効かつ安全な初期治療を提示するガイドライン 続いて、大友 義之氏(順天堂大学医学部附属練馬病院小児科 先任准教授)が、「改訂された『夜尿症診療ガイドライン』」について、今回のガイドライン改訂のポイントを解説した。 前回のガイドラインでは、病型の複雑さにより非専門医の診療があまり進まなかった。また、小児科医と泌尿器科医との間で治療指針の乖離や、諸外国のガイドラインと比較して治療での細かい違い(とくに三環系抗うつ薬の使用)といった問題もあり、ガイドライン自体の普及が進まない事態となっていた。そこで、今回は「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠する形で改訂が行われた。 新しいガイドラインでは、非専門医向けに診療のアルゴリズムを整理し、どこまで非専門医が診療をするのかを明示した。また、クルニカルクエスチョン(CQ)を掲示することで、臨床で遭遇する課題に速やかに対応できるようにした。たとえば、抗利尿ホルモンのデスモプレシン療法は、単独またはアラーム療法(下着にセンサーを留置し、夜尿発生をアラームで警告し、排尿を促す条件付け療法)との併用で記載されているが、推奨グレードは「1A」である。三環系抗うつ薬は、推奨グレード「2A」となり、デスモプレシン療法とアラーム療法でも効果が見られない場合に提案するとしている。 「今回の改訂では、『有効で、かつ、安全な初期治療』を非専門医が行えるように提示した。今後、多くの家庭医に、夜尿症治療に取り組んでいただきたい」と説明を終えた。患児と保護者のケアも治療では大事 次に、中井 秀郎氏(自治医科大学小児泌尿器科 教授)が、「夜尿症治療の実際と患者のメリット」について解説を行った。 夜尿症患児のうち、医療機関への治療を受けているのは全体の20分の1にとどまり、そのうえせっかく医療機関を受診しても「経過観察」で終わっている場合が多いという。 夜尿症は、子供の疾患の中でもアレルギー疾患に次いで多い疾患であり、保護者もこのことを認識するとともに、子供の病気に対する「焦らない」「叱らない」などの接し方、および患児から治すための気力を引き出すことが重要であると説明する。 新しいガイドラインの診療アルゴリズムでは、3つの夜尿症の治療法が示されている。 1)生活習慣の見直し(規則正しい生活、水分・塩分摂取法、就寝前のトイレなど) 2)アラーム療法(夜尿警告機器を使用した条件付け) 3)薬物療法(デスモプレシン、抗コリン薬、三環系抗うつ薬) いずれも夜尿症の非専門医でも治療介入できるものであり、早期の治療介入により早く治せることが期待されている。 最後に夜尿症治療のポイントとして、「前述の治療法だけでなく、治療の際には、患児と保護者の心理的負担もケアする必要があり、患児のやる気を引き出し、“治したい”という気持ちを維持していくこと、患児・家族と話し合い、患児本人にできるだけカスタマイズした方法で治療を続けていくこと、専門医以外の多くの医師(主に小児科医)が診療に携わることで、早期治療につながるように希望する」と語り、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)参考文献はこちらNeveus T, et al. J urol.2010;183:441-447.関連リンク日本夜尿症学会おねしょ卒業!プロジェクト

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PDE4阻害薬軟膏、小児・成人のアトピー性皮膚炎に有用

 アトピー性皮膚炎に対し、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、有効性のすべての評価項目を改善し良好な安全性プロファイルを示したことが報告された。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが行った、アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第III相の2試験において示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版7月7日号の掲載報告。 研究グループは、crisaborole軟膏の有効性および安全性を評価する2件の第III相試験(AD-301試験[NCT02118766]、AD-302試験[NCT02118792])を実施した。 2試験とも試験デザインは同じで、軟膏基剤を対照とした二重盲検試験。医師による全般重症度評価(Investigator's Static Global Assessment:ISGA)で軽症~中等症のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児および成人患者を、crisaborole群と軟膏基剤塗布群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、28日間塗布した。 主要評価項目は、29日目のISGAスコア改善(症状消失[0]/ほぼ消失[1]、かつベースラインからのスコアが2グレード以上改善)であった。また、ISGAスコア改善までの期間、症状消失/ほぼ消失の患者の割合、アトピー性皮膚炎症状の重症度の低下、およびそう痒の改善までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・2試験ともに、ISGAスコア改善を達成した患者の割合は、crisaborole群が軟膏基剤群より高かった。AD-301試験(32.8% vs.25.4%、p=0.038)、AD-302試験(31.4% vs.18.0%、p<0.001)。・同様に症状消失/ほぼ消失の患者の割合も、crisaborole群が高かった。AD-301試験(51.7% vs.40.6%、p=0.005)、AD-302試験(48.5% vs.29.7%、p<0.001)。・crisaborole群では、軟膏基剤群よりISGAスコアの改善ならびにそう痒の改善が、より早期に達成された。・治療関連有害事象はまれで、有害事象の重症度は軽度~中等度であった。・なお結果は、試験期間が短く、限定的である。

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循環器内科 米国臨床留学記 第11回

第11回 循環器内科における男女間の仕事内容や給与の違い米国でも女性医師がますます増えています。2012年に米国医科大学協会が発表したデータでは、レジデントやフェローの半数近く(46.1%)が女性でした。なかでも産婦人科医は、80%以上が女性です。実際、どこの病院でも産婦人科のフェローはほとんどが女性という印象を受けます。同じデータによると、われわれ循環器内科で女性が占める割合は22.2%でした。内分泌科やリウマチ科、小児科のように、約7割が女性という診療科もある中で、この数字は内科の中で最低です。循環器内科に女性が少ない原因はいろいろあると思いますが、大きな原因の1つにワーク・ライフ・バランスが挙げられます。米国で医学部を卒業し内科の研修を終えるのは、順調にいっても29歳です。結婚や出産を考える年齢であり、当直が多く放射線被曝量も多い循環器に進むのをためらう女性のレジデントが多くみられます。私が所属する大学でも、新婚の女性のレジデントが循環器フェローに応募する際、ワーク・ライフ・バランスを心配して、われわれに相談に来ました。最終的に、女性のプログラムディレクターにも相談し、一般循環器内科なら当直も少なくワーク・ライフ・バランスも内科とそれほど変わらないという説明を受け、彼女は循環器フェローに応募しました。今年、Journal of American College of Cardiology誌に発表された論文によると、実際、女性の循環器内科医は冠動脈インターベンションなどの手技を行わない一般循環器内科医になる傾向が強いようです。このデータは全米の161施設から選ばれた2,679人の循環器医(229人の女性と2,450人の男性)を対象としたものですが、女性の53.1%は一般循環器(冠動脈インターベンションと不整脈を除く非侵襲的な循環器)であり、男性の28.2%を大きく上回ります。逆に、冠動脈インターベンションを専門にしていたのは、女性11.4%に対して、男性39.3%と大きな違いがみられました。雇用形態や仕事内容に関しては、女性循環器医はフルタイム勤務の医師、オンコール対応を行う医師の割合が男性循環器医と比べて少なく、ペースメーカーや冠動脈インターベンションなどの侵襲的な手技を行う割合も低いという結果でした。その影響もあってか、女性循環器医の平均年収が40万ドルと、男性の51万ドルと比べて低かったようです。報告者らは、さらに統計解析で仕事内容などの因子を調整してもなお、性別が給与の独立した予測因子であったという結論を示しています。つまり、同じ仕事をしていても、女性の給与が不当に低いのではないかという疑問を投げかけているわけです。ただし、この論文に対するEditorial Commentでは、サンプルが全米の循環器医を反映していない、ほかにも給料に寄与する因子があるはずだとして、そうした結論を導くには詳細な研究が必要だと指摘しています。循環器内科は命に直結する心臓を扱う診療科である以上、急変なども避けては通れませんが、非常にやりがいのあるスペシャルティです。幾つかサブスペシャルティがあり、循環器内科に進んだ後でもワーク・ライフ・バランスに応じて、ある程度働き方を変えることができます。興味がある方は、性別を問わず積極的に挑戦してもらいたいと思っています。

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脱ワクチン後進国を目指して

 「ワクチンの日(7月6日)」を記念し、在日米国商工会議所(ACCJ)は、7月11日に「日本の予防接種率向上に向けた課題と取組み」をテーマに、都内で講演会を開催した。講演会では、ワクチン接種に関するわが国の課題や、世界的なワクチン開発の動向などが広く語られた。なぜ、ワクチンのベネフィットは報道されない!? はじめに、森内 浩幸氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 新興感染症病態制御学系専攻 感染分子病態学講座 感染病態制御学分野 教授)が、わが国のワクチン接種の現状と、とくにHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンをめぐる諸課題について解説した。 日本では、1990年代頃よりワクチンの副反応への懸念などから接種率が向上せず、ワクチン後進国として位置してきた。しかし、2008年から小児領域でHib(インフルエンザ)ワクチンが任意接種となり、以降、米国とのギャップを埋めるべくHPV1ワクチン、PCV7(肺炎球菌)ワクチンなど接種できる種類が増やされ、定期・任意接種と幅広く接種できるようになった。しかし、ここに来て、HPVワクチンについて副反応、副作用が広く報道され、その接種が定期接種から任意接種となったことを受けて、現在では接種がほとんど行われていない状況だという。 ワクチンのリスクについて米国では、子供に重症アレルギー反応を起こす確率は100万分の1とされている。これは落雷に遭う(1万2,000分の1)、億万長者になる(76万6,000分の1)確率よりも低いとされているが、マスコミは、このまれなケースを取り上げて報道していることが多いと指摘する。また、HPVワクチンに関しては、世界保健機関(WHO)からの勧告や関連学会からの声明、全国の地域での独自調査報告など、さまざまな科学的な検証が行われ、ワクチンの有用性が示されているにもかかわらず、依然としてベネフィットに関する報道は少ないという。 今後も検証が必要だが、HPVワクチンの不定愁訴では、接種と因果関係のないものが散見され、明確に接種を中止すべきエビデンスがない以上、接種しないことで起こる将来の子宮頸がん(毎年約3,000人の患者が死亡)や性感染症でQOLを損なう患者が増えることに憂慮すべきという。 最後に、森内氏は「WHOなどの基準からすれば、わが国は今でもワクチン後進国であり、定期接種に向けてさらに働きかけを行う必要がある。また、疾病予防が評価対象とされていないことも問題ではないか」と課題を提起し、講演を終えた。医療費を抑えるならワクチンは武器になる 続いて、マイケル・マレット氏(サノフィ株式会社サノフィパスツールワクチンビジネスユニット執行役員/ジェネラルマネジャー)が、ワクチンメーカーの視点から開発の現状と今後の展開について講演を行った。 ジェンナーの天然痘ワクチンから始まる開発の歴史を振り返り、ワクチンの効果について、ポリオを根絶しつつあることを一例に挙げて説明した。 次に、ワクチン接種の経済的ベネフィットとして、コスト効果が高いことを挙げた。ワクチン接種により、重症化による医療費増大、疾病による経済損失リスクなどを避けることができるという。また、日本のような超高齢社会では、医療コストが増大する中、予防接種により少しでもその上昇を抑えることが重要であると指摘した。さらに、日本では小児・成人ワクチン接種が増加しているが、まだ未導入のワクチンもあり、早急な導入を望むとも述べた。 世界的なワクチン開発の現状をみると、前臨床試験でジカウイルス感染症が、I/II相試験でノロウイルス、C型肝炎、III相試験でマラリア、エボラ出血熱、承認段階ではデング熱などの開発が進められている。そのうえで、大切なことは、完成したワクチンが確実に患者さんの元に届くことであり、新しいワクチンの供給には約3年が必要となることから、ワクチンがスムーズに安定供給されるために、今後も政府・産業・医療のパートナーシップが不可欠となる、と見解を述べた。 最後に「現在、ワクチンは20疾患で供給され、毎年600万人の命を救っている。これは公衆衛生上の大成果であり、今後も社会貢献のために産業、学術が手を取り合って開発・供給を行っていく」と講演を終えた。

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日本人未成年者のぶどう膜炎の臨床的特徴

 若年者のぶどう膜炎の多くは、両眼性であり、全身性疾患との関連はないことが、東京の3次医療施設における調査で示された。杏林大学の慶野 博氏らが、杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎若年患者の臨床的特徴、全身疾患との関連、治療および視力予後を分析したもの。眼炎症のコントロールに全身療法を要した患者は5分の1のみで、視力予後はほとんどの患者で良好であった。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年6月22日号の掲載報告。 研究グループは、2001~13年に杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎患者のカルテを後ろ向きに調査した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は64例で、受診時の平均年齢は12.9歳(4~19歳)、女性(70%)ならびに両眼性(81%)が多数を占めた。・平均追跡調査は、46ヵ月(3~144ヵ月)であった。・前部ぶどう膜炎が56.3%、汎ぶどう膜炎が28.1%、後部ぶどう膜炎15.6%で、中間部ぶどう膜炎の患者はいなかった。・最も頻度が高い病型は、分類不能ぶどう膜炎(57.8%)であった。・全身疾患との関連は10.9%で観察されたが、若年性特発性関節炎と診断された患者はいなかった。・眼合併症は71.9%で観察された:視神経乳頭充血/浮腫40.6%、硝子体混濁23.4%、虹彩後癒着18.7%、眼圧上昇17.1%、白内障14.1%。・6例は眼手術を受けた:水晶体摘出5例、緑内障手術2例。・12例(18.7%)は、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤または生物学的製剤のいずれかの全身投与を受けた。・視力が1.0以上の患者の割合は、ベースライン時87.1%、6ヵ月後91.3%、12ヵ月後89.6%、36ヵ月後87.5%であった。

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未成年に抗うつ薬は処方すべきか~長い論争の果てに(解説:岡村 毅 氏)-562

 若年者のうつに対して抗うつ薬を使用すべきかどうかという、長い長い論争(と膨大な文献)における、最新の報告である。端的には、fluoxetine以外の抗うつ薬は、有効性を明確に示せなかったということが報告されているが、論争は続くだろう。 fluoxetineのみが有効性を示した事に関してであるが、言うまでもなく、そもそも本邦では承認されていない。加えて、性格を明るくするハッピードラッグなどと言われたり、“Prozac Nation”などという有名な本もあり、米国文明批評をする言説の標的となっている感もあり、なんともコメントしづらい。いや、臨床医としては、自分が処方したことがない以上、この薬剤についてコメントしてはならないだろう。 なお、fluoxetineは、FDAが未成年への使用を承認した唯一の抗うつ薬であり、したがって、本論文でも圧倒的に多くの報告が組み込まれている。このことは、結果にどのような影響を与えているのだろうか。 誤解のないように付記するが、もともと若年者には抗うつ薬が初めから処方されることはなく、2004年のFDA警告(子供の自殺リスクを増やす可能性、ただし、いまだに論争あり)を踏まえれば、むしろ処方しないに越したことはなく、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトでも、まず心理療法(認知行動療法や対人関係療法)がなされるべきだと明記している。しかし、それでも症状が改善しない場合にどうするか。未成年においてもさまざまな報告がある以上、本論文のようなメタアナリシスの重要性を否定するつもりはないが、社会的要因(恵まれた家庭の子息では抗うつ薬よりも心理療法が効果的)を示す報告(ref※)もあり、十把一絡げの解析を盲目的に信じるのも抵抗がある。 最後に、高齢者を専門とする臨床医として感想を一言述べたい。高齢者においては「うつ病エピソード」はさまざまな理由で起こりうるが、表面的な現象であることも多い。外来に「うつです」と来院される年配の方は多いが、初期のアルツハイマー型認知症のために仕事の失敗が増えて、当然の反応として抑うつ的になっている方や、レビー小体型認知症(DLB)の一症状としてのうつという方も多い。中枢神経の変性疾患の方に、抗うつ薬を処方すると有害事象が生じやすく、とくにDLBでは非常に危険なのである。また、高齢期はさまざまな環境変化(多くは別れと喪失)の時期でもあり、抗うつ薬で治るようなものではない。結果的に、私はほとんど抗うつ薬は処方しないが、しばしば純粋なうつ病の方には処方し、著効する。しかし、世間では、認知症なのに表面的な操作診断に基づいて抗うつ薬を処方されている方は多いようだ。児童思春期・高齢期は、心の成長期・収穫期という違いはあるが、安定した成人期の前・後という点では共通点も多いように感じている。エビデンスは重要だが、この論争にはなかなか決着はつかないのではないか、と思う次第である。参照文献※ Curry J, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2006;45:1427-1439. 

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予後が改善されつつある難病LAL-D

 アレクシオンファーマ合同会社は、6月23日都内において、5月25日に発売されたライソゾーム酸性リパーゼ欠損症治療薬「カヌマ点滴静注液20mg」[一般名:セベリパーゼ アルファ(遺伝子組み換え)]に関するプレスセミナーを開催した。「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症」(以下「LAL-D」と略す)は、遺伝子変異が原因でライソゾーム酸性リパーゼという酵素活性が低下または欠損することで発症するまれな代謝性疾患であり、患者の多くが肝硬変から肝不全、死亡へと至る予後不良の希少疾患である。セミナーでは、本症の最新知見について2人の研究者が講演を行った。「ちょっと気になる脂肪肝」への意識が大事 はじめに、「LAL-Dの疾患概要と自験例紹介」というテーマで、村上 潤氏(鳥取大学医学部附属病院 小児科 講師)が、診断の視点から自験例を交え、レクチャーを行った。 通常「脂肪肝」は、栄養性、薬剤性、先天代謝異常症などが原因で起こり、腹部エコーやCT、MRI、肝生検などで詳しく診断が行われる。しかし、小児の脂肪肝では、一定頻度で先天性代謝異常が存在し、注意が必要であるという。たとえば、小児で肥満がなく、肝腫大の程度が強く、体重増加不良、低血糖、発達遅滞などの症状や、乳酸、アンモニア高値などを伴う脂肪肝を見かけたら、先天代謝異常症を疑う必要がある。 この先天代謝異常症の一つにLAL-Dがあり、LAL-DにはLAL活性が完全欠損している乳児型のWolman病(WD)と、部分欠損している遅発型のコレステロールエステル蓄積症(CESD)の2つの表現型がある。 WDでは、顕著な肝・脾腫大や肝不全を観察し、持続性の嘔吐・下痢、腹部膨満、腸管の吸収不良、胆汁うっ滞などの症状があり、急速進行性で致死的である。一方、CESDでは、同じく肝・脾腫大が観察され、一般に肥満はないとされる。臨床所見では、ALT>正常上限の1.5倍以上、LDL-C≧182mg/dL、HDL-C<50mg/dLなどが見られ、肝生検では、小滴性脂肪沈着も観察される。患者の89%が12歳未満で発症、50%が21歳未満で死亡している。 LAL-Dの正確な罹患率は、疫学調査が行われていないため不明であるが、2013年までに全国でWDが12例、CESDが13例報告されている。 自験例として、11歳・男児について、小学校の健診で高脂血症を指摘されたことで精査へとつながり、LAL-Dと診断された例を紹介した。一見、一般的な脂肪肝と見なしがちで、臨床検査や画像診断ではなかなか見分けがつきにくいところが、本症の診断の難しい点であるという。 本症のスクリーニングについては、肝臓関連所見では持続性肝腫大、原因不明のトランスアミナーゼ値上昇、顕著な小滴性脂肪沈着、潜在性肝硬変、インスリン耐性がないメタボリックシンドロームと思われる患者が挙げられ、脂質関連所見では、高LDL-C値および/または低HDL-C値、家族歴不明の家族性高コレステロール血症(FH)疑い、LDLR、APO BおよびPCSK9をコードする遺伝子の検査結果陰性のFH疑いが挙げられる。 確定診断は、非侵襲的で簡便な方法である血中酵素活性測定によって診断される。 補充療法が予後を改善 続いて、「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の臨床像と治療」と題して、天野 克之氏(東京慈恵会医科大学附属病院 消化器肝臓内科 診療医長)が、治療の視点から本症と新治療薬について解説を行った。 従来、LAL-Dは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などと同じ治療法で、支持療法が行われてきた。また、臓器移植を行ってもその治療効果は弱いものであったという。 今回、本症の治療薬として発売されたセベリパーゼ アルファ(商品名:カヌマ)は、遺伝子組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼ製剤であり、細胞内に取り込まれた後、ライソゾームに運ばれ、コレステロールエステル(CE)およびトリグリセリド(TG)を加水分解する作用を持つ。これにより脂肪量の減少、LDL-CやTGの低下、HDL-Cの上昇、脂質減少による成長障害の改善が期待されている。 臨床試験は、2歳未満の小児(n=9)と4歳以上の小児/成人(n=66)に分かれて実施され、報告された。 2歳未満の小児では、カヌマを週1回、最大5mg/kgまでを最長208週間投与した結果、生後12ヵ月で9例中6例が生存していたほか、ALT/ASTの顕著な減少、体重増加、リンパ節腫脹、血清アルブミン値の改善が認められた(II/III相試験)。 4歳以上の小児/成人では、30例をプラセボに、36例をカヌマ(1mg/kg、2週に1回投与)に割り付けて、20週の効果を比較した。その結果、ALTの正常化が認められた患者がプラセボ7%に対し、カヌマでは31%、同様にASTでプラセボ3%に対し、カヌマでは42%だった。また、肝脂肪量の減少(ベースラインからの平均変化率)では、プラセボ-4%に対し、カヌマでは-32%だったほか、LDL-C低下、脂質プロファイルの改善なども見られた(III相試験/20週後はオープンラベルで実施)。ALTのベースラインからの平均変化率推移では、投与後4週までに急激に下がり、肝機能が改善されることで以後はフラットに維持される。報告された有害事象は、尿路感染症、アナフィラキシー反応、不安症などで、いずれも重篤なものではないが、投与1年後までみられる場合があるという。 自験例として21歳・女性の例を紹介し、13歳でLAL-Dと診断されて以降、高脂血症などの対症療法が行われてきたが、カヌマによる治療で速やかに肝機能、脂質異常が改善し、対症療法の常用薬の中止も検討されていることを報告し、レクチャーを終えた。関連コンテンツ待望の治療薬登場、希少疾患に福音新薬情報:カヌマ点滴静注液20mg

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自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

 自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHDは、しばしば併存する神経発達障害である。社会的状況、適応機能、実行機能の処理が欠損しているため、いずれか単独の患者よりも併発している患者ではより重篤な障害がみられる。イタリア・メッシーナ大学のMarco Lamberti氏らは、ASDとADHDを併発する患者に対し、ADHD症状を治療するためのリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性、忍容性を評価し、比較することを目的とした24週間のオープンラベルパイロット試験を行った。Paediatric drugs誌2016年8月号の報告。 対象患者44例を、リスペリドン群22例、アリピプラゾール群22例に無作為に割り付け治療を開始した。小児の評価は、治療開始前(T0)、治療開始12週後(T1)、24週後(T2)に行った。各来院時に、2つの薬剤の有効性を評価するため、特定の精神科臨床スケールを実施した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、アリピプラゾール群8.4±2.9歳、リスペリドン群7.8±2.3歳であった。・合計37例(男児:29例、女児8例)が試験を完了した(アリピプラゾール群18例、リスペリドン群:19例)。・アリピプラゾールおよびリスペリドンの有効性、忍容性はわずかな違いはあるものの、同様のベネフィットが認められた。・両群ともに、治療24週間後のADHD症状に有意な改善が認められた(ADHD臨床尺度、Conners Parent Rating Scale-Hyperactivity、CGI-S)。・24週時点での各パラメータは、両群間で有意差は認められなかった。・プロラクチンレベルは、アリピプラゾール群で減少していた。・両群ともに、よい忍容性を示し、重篤な有害事象は認められなかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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小児・若者の心臓突然死の原因、遺伝子検査で判明/NEJM

 1~35歳の小児・若年成人における心臓突然死の原因について、剖検に加えて遺伝子検査を行うことで、特定できる事例が大幅に増加でき、冠動脈疾患に次いで遺伝性心筋症が多いことが判明した。また、原因不明例について遺伝的解析を行った結果、心疾患関連遺伝子の変異が3割弱で検出されたという。オーストラリア・シドニー大学のR.D. Bagnall氏らが、心臓突然死した小児・若年成人490例について前向きに調査し明らかにしたもので、NEJM誌2016年6月23日号で発表した。原因不明事例について59種以上の心臓関連遺伝子変異を分析 研究グループは、2010~12年にオーストラリアとニュージーランドで心臓突然死した1~35歳の小児・若年者490例について、臨床記録、人口統計学的情報、剖検情報を前向きに調査し、その原因を追求した。 毒物学的・病理組織学的調査を含む包括的な剖検の結果、原因が特定できなかった心臓突然死については、少なくとも59種類の心臓関連遺伝子の解析を行い、臨床的意義のある心臓関連遺伝子変異の特定を行った。原因不明心臓突然死のリスク因子は「31歳未満」と「夜間死亡」 調査対象とした1~35歳の心臓突然死の年間発生率は、10万人当たり1.3例で、男性は72%だった。 心臓突然死の発生率は31~35歳で最も高く、10万人当たり3.2例/年だった。また原因不明の心臓突然死の発生率は16~20歳で最も高く、10万人当たり0.8例/年だった。 解剖の結果明らかになった心臓突然死の原因は、冠動脈疾患が24%と最も多く、次いで遺伝性心筋症が16%だった。被験者のうち31~35歳群では、心臓突然死の原因として冠動脈疾患が最も多かったが、それ以外の年齢群では、原因不明の心臓突然死が最も多く、全体の40%を占めていた。多変量解析の結果、性別と年齢を補正後、「31歳未満」と「夜間死亡」が、原因不明の心臓突然死の独立したリスク因子だった。 また、原因不明の心臓突然死で遺伝子検査を行った113例のうち、臨床的意義のある心臓関連遺伝子の変異が31例(27%)で認められた。さらに、原因不明の心臓突然死が見つかった症例の家族について調べた結果、13%で遺伝性心疾患の臨床的診断がついていたことが明らかになった。

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ADHDへの補助療法、有酸素運動が有用

 有酸素運動が、ADHDに対する有用な補助療法であるか、カナダ・マギル大学のSivan Klil-Drori氏らが検討を行った。Journal of attention disorders誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 ADHDに関連する有酸素運動の身体的、認知的、心理社会学的側面についてレビューを行い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療のための主要な薬物療法である覚醒薬、有酸素運動はどちらもカテコールアミン経路に作用する。・有酸素運動は、ADHD動物モデルである自然発生高血圧ラットの前臨床試験、またADHD児の臨床試験において、薬物療法の補助療法として有用であることが示されている。・運動はさらに、小児および成人の社会機能や神経認知機能に良い影響を及ぼすことが示唆される。・しかしながら、成人ADHDに対する臨床試験は実施されていない。関連医療ニュース 子供はよく遊ばせておいたほうがよい ADHD児に対するスポーツプログラム うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは

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青年期うつ病を予測する小児期の特徴

 カナダ・オタワ大学のMurray Weeks氏らは、16~17歳の抑うつ症状を有する青少年における4~5歳から14~15歳にかけての内在化問題、外在化問題、学力の3つのドメインについて縦断的に調査した。Journal of adolescence誌オンライン版2016年6月8日号の報告。 対象は、小児と青少年の全国縦断研究の一環として年2回フォローされたカナダの小児6,425人。 主な結果は以下のとおり。・内的ドメイン(すなわち、安定性)の影響は中程度であった。・小児期早期の内在化問題と外在化問題の間(正の相関)、および小児期後期、青年期の学力と外在化問題との間(負の相関)で、1時点(すなわち、one-lag cascades)での縦断的クロスドメインの影響を見出した。・また、4~5歳の低い学力と6~7歳の内在化問題の大きさが12~13歳以上の外在化問題を予測し、6~7歳以上の外在化問題が16~17歳以上のうつ病を予測することについて、複数時点(すなわち、multi-lag cascades)でのカスケード効果を見出した。・青年期うつ病への重要な経路は、小児期および青年期の内在化問題を通じた経路の安定性、ならびに適応のすべてのドメインを含む可能性のある複数の経路を含んでおり、これは青年期うつ病の多因子の性質を浮き彫りにするものである。関連医療ニュース 青年期うつは自助予防可能か 成人期まで持続するADHD、その予測因子は 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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広汎性発達障害に日本で使用されている薬剤は:東北大学

 日本において、広汎性発達障害(PDD)に適応を有する薬剤は、ピモジドだけである。いくつかの抗精神病薬は、日本でも適応外で使用されているが、これら薬剤の処方および使用に関する詳細は不明な点が多い。東北大学の佐藤 倫広氏らは、日本のPDD児における薬物治療の実態を明らかにするため調査を行った。World journal of pediatrics誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2005~10年に新規でPDD(ICD-10:F84)と診断された18歳未満の小児3,276例のデータを、日本医療データセンターの請求データより抽出した。処方率は、それぞれの薬剤が処方されたPDD患者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2010年以前には、ATC分類で神経系に属する薬剤のうち、非定型抗精神病薬、他の抗精神病薬、精神刺激薬、他のすべての中枢神経系作用薬、抗けいれん薬、非バルビツール酸系薬、パーキンソン病/症候群薬の処方が有意に増加していた(trend p≦0.02)。・リスペリドンの処方率は一貫して増加しており、2010年には6.9%に達していた(trend p<0.0001)。これは、調査対象の抗精神病薬のうち最も高かった。・アリピプラゾールの処方率も増加しており、2010年には1.9%に達していた(trend p<0.0001)。・ピモジドの処方率には変化がなく、2010年は0.4%と低率であった。 著者らは「ピモジドと比較し、リスペリドン、アリピプラゾール、他の向精神薬の処方率が増加している。日本人小児に対するこれら薬物の安全性データは十分でないため、今後の安全性評価が必要とされる」としている。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

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上海の小児の8.5%がアトピー性皮膚炎、そのリスク因子とは

 中国・上海の3~6歳児のうち、8.5%がアトピー性皮膚炎(AD)を有しており、そのリスク因子として、家の改築/改装、新調した家具や室内のカビ、都心の住宅、遺伝的素因、食物アレルギーが考えられることを、復旦大学のFeng Xu氏らが報告した。アンケート断面調査の結果であるという。上海の就学前小児においてADの頻度が高いことは知られていたが、研究グループは今回、発症のリスク因子を特定することを目的に本調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2016年5月27日号の掲載の報告。 断面調査は2010年4~6月に上海にて行われ、AD児のリスク因子を、住居環境、人口統計学および両親・祖父母のAD歴の観点から調査した。ADの診断は、U.K. Working Party's(UKWP)基準に則った。 6地区(都市2、郊外/地方都市4)で、就学前の小児の両親または保護者にアンケート協力を求め、最終的に、小児6,624例(男児51.3%)のデータを収集。多重ロジスティック回帰法にて、補正後オッズ比(AOR)と95%信頼区間(CI)値を求め分析した。 主な結果は以下のとおり。・ADを有していた小児は、8.5%であった。・約10.2%の母親が、新しく改築/改装した家(NRDH)に、胎生期(妊娠中または妊娠前1年)に住んでいた。また9.5%が同じく胎生期に家具を新調(NHF)していた。・小児にADが多かったのは、母親が胎生期にNRDHに住んでいる(AOR:1.41、95%CI:1.03~1.93)、現在住居に室内カビがある(2.00、1.48~2.70)、両親祖父母がAD(3.85、3.05~4.87)、小児自身に食物アレルギーがある(3.40、2.63~4.40)、小児が都市に住んでいる(1.52、1.18~1.96)であった。・ADとNRDH、NHFおよび室内のカビとの関連は、両親祖父母にAD歴がない場合のみ、有意であった。・両親祖父母のAD歴とNRDHには、交互作用効果が認められた(p<0.05)。

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未成年者の肥満、過去20年の動向/JAMA

 米国の小児・思春期青少年(2~19歳)の肥満の有病率は、2011~14年は17.0%であり、極度の肥満(extreme obesity:年齢性特異的BMI値が95パーセンタイル以上の120%以上)の割合は5.8%であることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCynthia L. Ogden氏らにより報告された。1988~94年から2013~14年の動向を調査した結果で、肥満の有病率は、2~5歳児では2003~04年までは上昇、以降は減少したことや、6~11歳児では2007~08年までは上昇し、以降は横ばい、12~19歳では調査期間中は上昇していたという。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。1988~94年から2013~14年の米国民健康・栄養調査の2~19歳のデータを分析 調査は、1988~94年から2013~14年の米国民健康・栄養調査で体重と身長を測定した2~19歳の小児と思春期青少年を対象に行われた。2011~14年の肥満および極度の肥満の有病率を示すとともに、調査期間中の動向を明らかにすることが目的であった。 主要評価項目は、肥満で、性別にみたCDCの発育期BMI評価チャートで95パーセンタイル以上と定義した。極度の肥満は、同95パーセンタイルの120%以上と定義した。詳細推定値は2011~14年について算出し、有病率の線形・二次傾向の分析は、9つの調査対象期間(1988~94、1999~2000、2001~02、2003~04、2005~06、2007~08、2009~10、2011~12、2013~14年)で行った。また、2005~06年と2013~14年の間の動向も分析した。2011~14年の有病率は17.0%、極度の肥満5.8% 分析には、4万780人の小児・思春期青少年が含まれた。平均年齢は11.0歳、女子が48.8%であった。 2~19歳において、2011~14年の肥満有病率は17.0%(95%信頼区間[CI]:15.5~18.6)であり、極度の肥満は5.8%(同:4.9~6.8)であった。 2~5歳の有病率は、1988~94年の7.2%(同:5.8~8.8)から2003~04年は13.9%(同:10.7~17.7)に上昇し(p<0.001)、その後2013~14年の9.4%(同:6.8~12.6)へと減少(p=0.03)がみられた。 6~11歳では、1988~94年の11.3%(95%CI:9.4~13.4)から2007~08年19.6%(同:17.1~22.4)へと上昇したが(p<0.001)、その後は変化がみられず、2013~14年は17.4%(同:13.8~21.4)であった(p=0.44)。 12~19歳では、1988~94年10.5%(95%CI:8.8~12.5)から2013~14年20.6%(同:16.2~25.6%)まで上昇が認められた(p<0.001)。 極度の肥満については、6~11歳は1988~94年3.6%から2013~14年4.3%に上昇(p=0.02)、12~19歳は同2.6%から9.1%へと上昇(p<0.001)していた。 なお、2005~06年と2013~14年の間について有意な変化の傾向はみられなかった(p値範囲0.09~0.87)。

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未成年者への抗うつ薬は有益か?14薬剤のメタ解析/Lancet

 大うつ病急性期治療における抗うつ薬のリスク・ベネフィットを考えた場合、小児および思春期青少年には明らかな利点はないようだとの見解を、英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、ネットワークメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「薬物治療が必要な場合のベスト選択肢は、おそらくfluoxetineだろう」と述べている。大うつ病は、小児・思春期青少年において最もよくみられる精神疾患であるが、同集団に薬物治療による介入を行うべきかどうか、どのような薬物を処方すべきかは、なお議論の的となっている。研究グループは、プラセボとの比較による抗うつ薬のランク付けを意図し本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。ネットワークメタ解析で、14の抗うつ薬に関するプラセボ比較試験結果を分析 検討は、関連試験から直接比較および間接比較によるエビデンスを集約するためネットワークメタ解析法を用いた。PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Embase、CINAHL、PsycINFO、LiLACSなどを介して、公表・未公表両者を含む二重盲検無作為化対照試験を検索した。2015年5月31日時点で、小児および思春期青少年における大うつ病急性期治療について評価した、アミトリプチリン、citalopram、クロミプラミン、desipramine、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、イミプラミン、ミルタザピン、nefazodone、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンに関する試験を適格とした。難治性うつ病、治療期間が4週未満、被験者10例未満の試験は除外した。 事前規定のデータ抽出シートを用いて発表された報告から情報を入手し、バイアスリスクは、Cochraneバイアスリスクツールを用いて評価した。 主要アウトカムは、有効性(うつ症状の変化)および忍容性(有害事象による治療中断)であった。ランダム効果モデルを用いてペアワイズメタ解析を行い、その後にベイズ法でランダム効果ネットワークメタ解析を行った。それぞれのネットワークに関連したエビデンスの質はGRADEフレームワークを用いて推算した。統計的に有効性が有意であったのはfluoxetine 34試験が適格基準を満たし、被験者5,260例、14の抗うつ薬治療に関するデータを包含した。質的エビデンスは、大半の比較で「非常に低い」と判定された。 有効性に関しては、fluoxetineのみがプラセボと比較して統計的に有意な効果が認められた(標準化平均差:-0.51、95%信用区間[CrI]:-0.99~-0.03)。 忍容性に関しても、fluoxetineは統計的に良好であることが示された。デュロキセチンと比較してのオッズ比(OR)0.31(95%CrI:0.13~0.95)、イミプラミンとの同0.23(0.04~0.78)。 イミプラミン、ベンラファキシン、デュロキセチンを投与されていた患者は、プラセボを投与されていた患者との比較において、有害事象による治療中断が有意に高率であった。それぞれ5.49(1.96~20.86)、3.19(1.01~18.70)、2.80(1.20~9.42)。 不均一性に関しては、全体的に有効性のI2値は33.21%、忍容性は0%であった。

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子供の運動能力とADHDは相関するのか

 運動能力と過体重/肥満との重要な関連が示唆されている。運動困難な多くの子供たちは、ADHD症状を経験し、それは過体重/肥満と関連している。これまでの研究では、過体重/肥満との関連を調査する際、ADHDと運動能力の両方について考えられていなかった。ブラジル・サンパウロ大学のJuliana B Goulardins氏らは、子供の運動能力とADHD症状、肥満との関連を調査した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年5月20日号の報告。 6~10歳児189例について、横断的研究を行った。ADHD症状は、SNAP-IV評価尺度を用いて評価した。運動障害(MI)は、Movement Assessment Battery for Children-2(M-ABC-2)を用いて評価した。身体組成は、WHOのChild Growth Standardsに基づいたBMIから推定した。 主な結果は以下のとおり。・性別やADHDで調整した後、BMIと関連した唯一の運動技術はバランスであった。・グループ間比較では、過体重ADHD児の割合は、過体重コントロール群や過体重MI群と比較し有意に低かった。また、低体重ADHD児の割合は、低体重MI児の割合より有意に高かった。 結果を踏まえ、著者らは「ADHD症状と運動困難の両方を考慮し、ADHDや運動問題を有する子供たちの身体健康アウトカムに対する評価や介入を行うことが重要である」としている。関連医療ニュース 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 子供はよく遊ばせておいたほうがよい 小児ADHD、食事パターンで予防可能か

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