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環状20番染色体症候群〔ring chromosome 20 syndrome〕

1 疾患概要■ 定義環状染色体は、1本の染色体の長腕と短腕とが融合することで形成される、まれな染色体異常で、どの染色体にも起こりうる。環状20番染色体症候群が特異的であるのは、てんかんとしてきわめて特徴的な臨床像を示すからである。1972年にAtkinsら、Faedら、Uchidaらが20番染色体の環状異常を報告し、1976年にはBorgaonkarらが環状20番染色体を持つ患者に、てんかん、軽度~中程度の精神遅滞、行動異常の特徴があることを報告し、「環状20番染色体症候群」という疾患概念を提唱した。現在では、環状20番染色体症候群は、てんかん発作の症状や脳波所見のユニークさが広く認知されている。■ 疫学正確な患者数は不明であるが、わが国では100人未満と推定されている。文献では世界で140例以上の報告がある。■ 病因環状20番染色体症候群の患者のほとんどはモザイクであり、0.5~100%の確率で環状20番染色体を持つ。症例によっては異常を持つ細胞の割合が低く、環状20番染色体の存在を明らかにするためには、通常よりも多数の細胞における染色体を調べる必要がある。一般に環状染色体では、テロメアおよびその付近の染色体の欠失を伴うことが多いが、環状20番染色体症候群では、テロメア同士が融合しており、明らかな染色体の欠失を認めないのが一般的である。そのため、アレイCGHによって異常を発見することは困難であり、古典的な染色体分析が診断に有用である。環状20番染色体症候群の発症には、何らかの遺伝子が関与していることが推定されるが、現在のところ分子遺伝学的な病因は解明されていない。20番染色体の長腕のテロメアから1.0M塩基以内に、てんかんの責任遺伝子として知られているCHRNA4遺伝子とKCNQ2遺伝子が存在する。しかし、環状20番染色体症候群では、これらの遺伝子の欠失は認めない。また、CHRNA4およびKCNQ2の変異や欠失によるてんかんの表現型は、環状20番染色体症候群の表現型とは大きく異なる。したがって、環状20番染色体症候群がこれらの遺伝子の異常によるとは考えにくい。現在推定される病因としては、テロメア位置効果によってその近傍の遺伝子発現がエピジェネティックに抑制される可能性や、環状構造の不安定性による機能不全などが考えられている。■ 症状てんかんの発症年齢は0~24歳と幅があるが、平均は6歳である。明瞭な男女差はない。てんかんの家族歴や環状20番染色体症候群の家族例はまれである。環状20番染色体症候群の最も重要な特徴は、てんかんの中核症状として非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)を持つことである。NCSEの発症年齢は、平均9.5歳(1~24歳)である。てんかんの発症後早期は運動症状を伴う短い発作が多いが、徐々にNCSEが主体になる。NCSEは意識減損焦点性発作(旧分類の複雑部分発作)であり10~50分持続するが、1時間を超えることはまれである。発作回数は多く、1日のうちに複数回出現することも少なくない。動揺する意識障害が特徴だが、完全な動作停止や無反応に陥ることは少なく、動作緩慢、発語減少、保続、注意散漫などで気付かれることが多い。発作の始まりや終わりがはっきりしていないためNCSEであることに気付かれず、不作法などと誤解されることもある。また、NCSEの最中に眼瞼・口周囲・手足のミオクローヌスや、幻視・興奮・攻撃性などの精神症状を認めることもある。NCSE以外の発作は小児期に多い。自動症や運動症状を伴う意識減損焦点性発作や、強い恐怖感や混迷状態を呈する発作が知られている。夜間には通常の覚醒反応に似た、体をこすったり、伸びをしたり、寝返りをしたりする行動変化を伴う発作(subtle nocturnal seizure)も観察されることがある。環状20番染色体症候群では、脳波所見も重要な特徴で、診断の手掛かりになる。発作間欠期脳波では、背景活動は正常または軽度の徐波化を認め、先鋭なシータ波の群発も高率である。突発波としては、前頭・側頭部に優位な高振幅徐波や鋭波が、単発あるいは連発して出現する。突発波は片側優位のこともあるが、両側に認めることが多い。NCSEの発作時脳波では、前頭部から起始して長時間持続する前頭部優位の高振幅徐波が特徴である。徐波の周波数はNCSEの発作中に変動し、小棘波や棘徐波複合が混在する。環状20番染色体症候群には、特徴的な外表奇形はない。CTやMRIなどの形態的な画像検査では明らかな異常を認めない。■ 分類最近の一塩基多型(SNP)アレイ解析法による詳細な分子遺伝学的検討では、環状20番染色体症候群は2群に分類されると考えられる。1つは、染色体のモザイクを認める群であり、短腕と長腕の融合部に染色体の欠失や重複を認めない。この群では受精後の細胞分裂の過程で、ある1つの細胞に短腕と長腕の融合が起きたことが推定される。もう1つは、染色体のモザイクを認めない群で、減数分裂から受精卵までの間に短腕と長腕の融合が起きたことが推定される。この群では、異常染色体の短腕または長腕に染色体の欠失が存在する。現時点では、この2群間に表現型の相違があるかどうかは明らかになっていない。■ 予後現在まで多数例における長期経過と予後を観察した報告はなく、不明な点も多い。一般には、10歳頃には脳波所見および発作症状はおおむね固定化し、それ以降に進行性となることはないと考えられている。一方、加齢とともに発作が軽減することもない。通常のNCSEは致死的でないが、致死的な経過をたどったNCSEの報告がある。環状20番染色体を持つ細胞の割合が高いほど、てんかんの発症年齢が低く、知的障害が重度であることが報告されている。また、突然死(SUDEP:sudden unexpected death in epilepsy)のハイリスクであると推定される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断基準を以下に示す。A-1、A-2、B-3を満たし、染色体検査で環状20番染色体を認めた場合を確定例とする。環状20番染色体症候群の診断基準A.症状1.非痙攣性てんかん重積状態:動揺性の意識障害や認知障害を示し、口周囲などのミオクローヌスを伴うことがある。1回の持続は数分から数十分で、1時間以上続くことは少ない。発作は頻回でしばしば日に何回もみられる。2.小型または大型の運動発作:小児期には自動症や運動現象を伴う短い複雑部分発作や幻視や恐怖感などがみられることがある。夜間睡眠時に多い。全身痙攣発作がみられることもある。3.精神遅滞や衝動性・攻撃性などの行動障害を呈することもある。特徴的な奇形はなく、あっても軽微である。B.検査所見1.血液・生化学的検査所見:特異的所見なし。2.画像検査所見:特異的所見なし。3.生理学的所見:脳波では高振幅徐波や鋭波が単発あるいは短い連続で頻回に出現し、前頭・側頭部に優位性を示したり、側方性を示すこともあるが、容易に両側化する。小児では比較的脳波異常が乏しいこともあるが、長じるにつれ顕著となる。発作時の脳波は長時間持続する両側性の高振幅徐波であり、その周波数はしばしば変動し、小棘波や棘徐波複合が混在する。4.病理所見:外科的切除標本で異常が指摘されたことはない。C.鑑別診断1.レノックス・ガストー症候群、前頭葉てんかん、非痙攣性てんかん重積状態を示す他のてんかん、非てんかん性心因性発作などを鑑別する。D.染色体検査1.20番染色体の精査を行う。環状染色体は0.5~100%のモザイクのため、多くの細胞を調べないとわからないことがある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)環状20番染色体症候群のてんかん発作は、抗てんかん薬に著しい抵抗性を示し、短い発作はある程度抑制されることが多いが、NCSEのコントロールは困難である。バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン、セレニカ)とラモトリギン(同:ラミクタール)の組み合わせが有効であるとの報告はあるが、個々の症例で治療を検討せざるを得ない。多剤併用にならざるを得ないため、不要な薬剤を整理し、薬剤による認知・行動の問題を起こさないよう留意するべきである。てんかんに対する外科的治療の対象にはなり難く、迷走神経刺激療法も試みられているが有効性は症例によって異なる。4 今後の展望近年の目覚ましい遺伝学的解析技術の進歩から、環状20番染色体症候群の病因が解明されることが期待される。治療については既存の抗てんかん薬には限界があり、有効な抗てんかん薬が新たに開発されることを期待したい。機能画像を用いた研究でドパミン伝達系の異常が推定されており、治療法開発の手掛かりになる可能性がある。5 主たる診療科小児科、小児神経科、神経内科(脳神経内科)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 環状20番染色体症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省 環状20番染色体症候群(指定難病としての情報)琉球大学遺伝性疾患データベース(医療従事者向けの疾患の概要)1)Daber RD, et al. Eur J Med Genet. 2012;55:381-387.2)荒木保清ほか. 日本臨床別冊 神経症候群VI. 日本臨牀社;2014:445-449.3)池田 仁. Epilepsy. 2012;6:107-114.公開履歴初回2019年1月15日

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製薬会社からのボールペン、カレンダーの提供がついに世界的に禁止へ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第16回

この年末年始に「あれ? カレンダーの数が少ないかも?」と思った薬剤師さんもいるのではないでしょうか。これまでは製薬会社のMRさんが年末や新年のあいさつに来られたときに、カレンダーや手帳などを持ってきてくれることが多くありましたが、2019年1月1日より、製薬会社のプロモーションに関連するルールが変更になり、今後はもらえなくなります。医療用医薬品のプロモーション活動に関する行動基準を示した日本製薬工業協会(製薬協)の「コード・オブ・プラクティス(COP)」の改定版が来年(編集部注:2019年)1月に施行される。(中略)会員企業はCOPを参考にして自社の基準を見直すことになる。今回の見直しで加盟会社は、来年1月以降はカレンダーや付箋紙、マウスパッドなどを医療機関に配れなくなる。(2018年12月19日付 日刊薬業)このコード・オブ・プラクティス(COP)の改定版は年明けからの施行でしたので、年内の配布は制限されていませんでした。しかし、年明けから配布禁止になるとわかっていたため、カレンダーの作製自体をやめた製薬会社もあったと聞きます。これはカレンダーだけでなく、ペン、メモ帳や付箋などでも同様です。すでに製薬協が加盟する国際製薬団体連合会のCOPが見直されており、製薬協のCOPもこれに合わせたということですので、このような医療者への物品提供の禁止は世界的な流れであると言えます。なお、これまで「国民的、文化的または宗教的な行事における贈り物の習慣」として除外されていた香典や供花、月餅の例外規定も今回の改定で削除されています。カレンダーやボールペンがもらえなくなる! ということだけでなく、このルールがどのようなもので、なぜ作られたのか、ということを知ることが大事だと思っていますので、背景を振り返りたいと思います。説明会時のペンやメモの配布は可能COPとは、医療用医薬品のプロモーションのあり方を定めたもので、会員会社である製薬会社のすべての役員・従業員が医療関係者や研究者、患者団体を含めた外部の関係者と接する際の行動基準です。かつては、医薬品購入時にキャッシュバックが行われたり、100錠の注文に100錠をサービスしたりする、というような過剰なサービスがありました。事実上の値引きや付加価値をつけることによって不当な購入を誘引することは問題ですよね。最近ではここまでひどいことは耳にしなくなりましたが、職場で使用するような販促物品や少額物品の提供は許容されていました。今回の改定により、付箋やボールペン、カレンダー、ティッシュなどの販促物品や贈り物の医療者への提供が禁止されますが、製薬会社が開催する説明会や研究会で、メモを取る目的でボールペンやメモ帳を渡すことは今後も可能です。血圧手帳などを製薬会社からもらっている薬局も多いと思いますが、これらも配布を継続できますが、製品名の記載は原則できません。これらの基準は一般的なものですので、外資系企業を中心に、企業によってはもっと厳しい自主ルールを規定するところもあると聞きます。これら規定の対象は主に製薬会社であり、医療者はこれらに拘束されるわけではありませんが、サービスの請求はMRさんに規約違反をさせることになったり、医療業界の信用を失墜させたりする可能性があることを知っておく必要があると思います。MRさんからもらったペンやメモ帳を主に使っている、という方もいると思いますが、自分の身に着けるものを厳選する、というのも作業効率化や自己演出にいいなぁと思っています。私は小児科の処方箋を受ける薬局で勤務していたとき、人気のあるキャラクターがバタバタ動くボールペンでお子さんの興味をよく引いていて、とても役に立っていました。新しい年に心機一転、自身や薬局で使用する物を見直してみてはいかがでしょうか。

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31)リレンザ【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、リレンザの吸入手順を説明します。手順としては、カバーを外し、白いトレーを引き出す→トレーを取り外し、穴に合わせてディスクを乗せる→カチッと音がするまで、トレーを本体に押し込む(ブリスターに穴が開いていないことを確認)→★本体を平らに持ち、フタを垂直に立て、ブリスターに穴を開ける→フタを閉じる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→空気口をふさがないようにする→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回目の吸入は、もう一度白いトレーを引き出し、再びカチッと音がするまで押し込む→ブリスターが回転する→★に戻る→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)→使い終わったディスクをトレーから外し、捨てる→トレーを戻し、吸入口を清掃してカバーを閉める※注意するポイント中の薬がこぼれないように、平らに保ったまま操作してください吸った時に少し甘みを感じても、問題はありません粉が詰まるので、定期的にトレーを外してブラシや布で掃除しましょう汚れがひどいときは、トレーと本体を水洗いして、十分乾かしましょう

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成人のワクチンキャッチアップの重要性

講師2018年、大都市を中心に風疹が流行し、感染者は2,586人(12月12日現在)と報告されています。前回の流行が始まった2012年の2,386人をはるかに超え、2013年は14,344人であったことから、今回の流行も2019年にはさらに拡大することが予測されています。感染者の多くは、風疹ワクチンを受けていない30~50代の男性となっており、予防接種歴は「なし」(648人:25%)あるいは「不明」(1,765人:68%)が93%を占めています1)。現在の風疹の感染拡大を防止するためには、30~50 代の男性に多い感受性者(風疹にかかったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていない者)を早急に減らす必要があり、厚生労働省は 2019年度から3年をかけて、これまで風疹のワクチンを受ける機会がなかった1962年(昭和 37 年) 4 月 2 日~1979年(昭和 54 年) 4 月 1 日生まれの男性(現在 39~56 歳)を対象に、風疹の抗体検査を前置きしたうえで、定期接種を行うことを発表しました。なぜワクチン接種にばらつきがあるのか大人に必要なワクチンは、その理由によって表のように分類できます。風疹はこの(4)「ワクチンはあったが、当時の定期接種スケジュールによって、現在の必要な回数に満たないもの」に該当します。風疹ワクチンの定期接種の歴史は、まず、1977年8月~1995年3月までは中学生の女子のみが対象となり、1989年4月~1993年4月までは、麻疹ワクチンの定期接種の際に、麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(MMR)ワクチンが選択可能となりました(対象は生後12ヵ月以上72ヵ月未満の男女)。1995年4月からは生後12ヵ月以上90ヵ月未満の男女(対象は生後12ヵ月~36ヵ月以下)に変更され、経過措置として12歳以上~16歳未満の中学生男女も定期接種の対象となりました。2001年11月7日~2003年9月30日までの期間に限って、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの男女は経過措置分として定期接種可能に。2006年度からは麻疹・風疹混合(MR)ワクチンが定期接種に導入され、1歳と小学校入学前1年間の2回接種となり、2008~12年度に中学1年生あるいは高校3年生相当年齢を対象に、2回目の定期接種がMRワクチンで行われました。現在は男女共に定期接種2回となっています(図)。今、風疹の予防にはワクチンの2回接種が必要ですが、上記のように、過去の定期接種のスケジュールによって、ワクチン未接種または1回接種のみのために感受性者が多く残っています。これが感染の原因となっているため、感染予防には感受性者を減らすために成人へのワクチンが必要となります。具体例で検討してみると前述の表の例を挙げます。(2)「幼少期にはワクチンがなくて、打つ機会がなかったもの」たとえば破傷風ワクチンが該当します。破傷風ワクチンは1969年4月に定期接種を開始しており、1968年以前の生まれの人は定期接種の機会がなかった世代であり、最近、高齢者の破傷風感染が報告されています。とくに土から感染するため、ガーデニングや水害などで罹患者が増加します。土に触れる機会がある場合は接種推奨が必要です。(3)「幼少期にワクチンがあり、接種の機会もあったが、現在の必要な回数に満たないもの」この例では麻疹ワクチンがあります。ワクチン接種率が上昇して麻疹の罹患者が減ると、ワクチンによってできた免疫が刺激されなくなります。そのため、免疫は徐々に低下し、麻疹の罹患者が増えていきます。2007年の麻疹の流行はこれが原因でした。その結果、定期接種回数が1回から2回に変更されています。風疹も同じ理由のため、接種回数が1回から2回に増えています。(5)「成人のある年齢になってから接種するワクチン」この例では成人肺炎球菌ワクチン(PPSV23)、インフルエンザワクチンが定期接種になっています。また、定期接種にはなっていませんが、50歳以降に帯状疱疹予防のため水痘ワクチンが推奨されています。ワクチンがとくに必要な人ワクチン接種の記録である母子手帳を持っている成人は多くなく、過去の接種歴を確認することは容易ではありません。しかし、定期接種の歴史からみて不足しているワクチンについては、下記の参考サイトをご参照のうえ、必要な人には接種を推奨していただきたいと思います2,3)。とくに妊婦(妊娠を希望する女性)、基礎疾患のある人、医療従事者、海外渡航前などは、ワクチン接種歴を必ず確認する必要があります。不足しているものがあれば接種を推奨し、感染を予防することが肝要です。日本から風疹を排除するためにはじめにも書いたとおり、風疹の感染拡大を防止するためには、30~50代の男性に多い感受性者を早急に減らす必要があり、この世代へのワクチンを徹底するしかありません。政府はこの世代を定期接種にすることを決めましたが、対象者が確実に接種する環境が必要です。今年感染した人のほとんどが会社員でしたが、定期接種で無料になっても、勤務中に抗体検査やワクチンを打ちにいく時間が取れなかったり、MRワクチンは小児の定期接種のため、かかりつけの内科にワクチンが常備されていなくて接種しにくいことが考えられます。そのため、会社の中で接種できたり、仕事中にワクチンを受けにいけたりといった受けやすい環境整備のために企業の協力が必要ですし、内科のような成人を対象とする診療科でもMRワクチンを接種しやすくすることが大事です。ワクチン接種を希望する大人が接種しやすい環境を作ることは、VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)を減らすために、今後ますます必要になってきます。●参考1)国立感染症研究所ホームページ「風疹流行に関する緊急情報:2018年12月12日現在」2)こどもとおとなのワクチンサイト「年齢でみる不足している可能性があるワクチン」3)こどもとおとなのワクチンサイト「全年齢(0歳~成人)ワクチン接種スケジュール」●予告来春より、ワクチン接種に関するコンテンツがスタートします。将来の疾病を防ぐために接種しておくべきワクチンの必要性を、家庭医、感染症専門医など、多彩なエキスパートを執筆陣に迎えお届けします。コンテンツでは、次のサイトと連動して情報をお伝えしていきます。ぜひ、ご参照ください。こどもとおとなのワクチンサイト

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インフルエンザ報告数、前週から倍増

 2018年第50週(12月10~16日)のインフルエンザ報告数が、21日、厚生労働省より発表された。全国約5,000の定点当たり報告数は3.35(患者報告数1万6,589人)となり、前週(1.70)のほぼ2倍となった。 都道府県別では、北海道(9.59)が最も多く、愛知県(8.41)、香川県(7.13)、奈良県(5.20)、三重県(5.04)と続き、46都道府県で前週の報告数より増加した。警報レベルを超えている保健所がある都道府県は3府県(北海道、兵庫県、大分県)であった。 定点医療機関の報告を基に全国の医療機関を受診した患者数を推計すると約11.8万人となった(前週は約6.3万人)。年齢別では、5~9歳が約3.5万人と最も多く、0~4歳が約1.4万人、10~14歳が約2.1万人、15~19歳が約0.5万人、20代が約0.8万人、30代が約0.9万人、40代が約1.1万人、50代が約0.6万人、60代が約0.4万人、70代以上が約0.3万人。 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数も、147例と前週(88例)から大幅に増加した。 直近の5週間(2018年11月12日~12月16日)に国内で検出されたインフルエンザウイルスは、AH1pdm09、AH3亜型、B型の順に多かった。■参考国立感染症研究所:インフルエンザ流行レベルマップ

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第20回 小児科クリニックからの セフカペンピボキシル の処方(後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1患児の保護者に確認することは?Q2疑義照会しますか?Q3 抗菌薬について説明することは?今は必要ないかもしれないが、必要になる可能性もあると説明 中堅薬剤師さん(薬局)提示された情報から、ウイルス性感冒(ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎など)の可能性は高いと思われますが、溶連菌感染症の可能性もあり、フロモックス®の必要性は否定できません。医師との関係性を壊したくない思いを尊重し、フロモックス®を服用するかどうかの選択も残したいと思います。「今は必要ないかもしれないが、今後、必要になる可能性もある」と説明し、調剤は受けてもらい、フロモックス®以外の対症療法薬で経過観察をするよう助言します。対症療法薬で軽快しないようであれば、溶連菌感染症の可能性があるので、耳鼻咽喉科に相談することを勧めます(小児科には行きにくいでしょうから・・・)。そして、フロモックス®は使わずに残してあることを伝えた上で、今後の対処を相談してもらいます。鑑別が難しいこと、重症化のリスク 奥村雪男さん(薬局)処方医と患児家族の関係を損なわぬよう、「ウイルスが原因となる初期の風邪だと思うが、患児は2歳未満であり、今後咳がひどくなって細気管支炎になると重症化するリスクがある。その場合、ウイルス性か細菌性か明確に鑑別するのが難しいので、効率は良くないが、慣行として抗菌薬をあらかじめ処方することがある」と説明します。低血糖の危険性 中西剛明さん(薬局)未熟児で生まれた子は、筋肉量が少ないことが多く、健常児より低血糖を起こしやすいと言われています。フロモックス®はピボキシル基を有する抗菌薬なので、低血糖の危険があります。出生時体重を参考に、未熟児であれば低血糖の危険について説明します。散剤の与薬の仕方 わらび餅さん(病院)小児病棟で、赤ちゃんへうまく薬を飲ませられない母親を何人も見てきました。理論通りではうまくいかない、赤ちゃんの機嫌に合わせた工夫も必要です。赤ちゃんが9カ月なら、母親の与薬経験が未熟な可能性があるので、薬を飲ませられるか聞いて、それに応じて散剤の与薬の仕方を説明します。フロモックス®は、マクロライドなどに比べるとひどい味ではないですが、飲み残しがないように食前に飲ませていいこと、たくさんの水で溶かないことなどです。鼻水や痰を除去すること JITHURYOUさん(病院)本人が苦しいばかりでなく、細菌の二次感染の引き金になる可能性があるので、鼻水や痰などはできるだけ取るように説明します。Q4 その他、気付いたことは?医療関係者でも知識に乏しいことがある ふな3さん(薬局)発熱(のおそれ)+咽頭炎ということで、溶連菌の疑いがあっての抗菌薬投与なのか、額面通り「二次感染予防」なのか微妙です。それ故、飲ませないという保護者の希望を後押しするかどうか悩ましいところです。「医療関係者」という言葉の範囲には、医師、看護師、薬剤師などの専門職から、受付事務まで非常に幅広く含む場合があります。たとえ医師でも、専門分野以外については知識が浅い場合もあります。こちらが「これくらいは知っているだろう。説明しなくてもいいな」と考えていても、実は相手は、説明を聞きたい、相談したい、と思っている可能性もあります。会話をしながらその辺りの「雰囲気」をくみ取ることは、さじ加減が難しいですが大切だと思います。また「医療関係者」である場合に、「薬歴管理料を算定するか?」という問題も同時に発生します。その医師と完全にツーカーの間柄で、飲み方の指示などを受けているようなら薬歴料は算定しませんし、前述のような「相談したい」というような雰囲気であれば、算定すると思います(今回のケースは患者負担はゼロなので、お会計には影響ないのですが・・・)。フォローアップがあるとすれば、さり気なく保護者に「どちらの病院にお勤めですか?」とか、医師との面会時に「○○さんとは、親しいんですね!」などと、お互いの関係性に"探り"を入れておくと、今後の展開が違うかも・・・と思います。薬剤師も同じ「医療関係者」です。「医師との信頼関係」と同時に、「薬剤師との信頼関係」が築けたらいいな、と思います。Von Harnack表を活用 奥村雪男さん(薬局)フロモックス®の1日量は9mg/kg、ムコダイン®の1日量は30mg/kgで、いずれも体重に比してやや少ないように思います。その他の薬剤は、Von Harnack表※より、6カ月で成人量の1/5、1歳で成人量の1/4なので、概ね妥当な用量だと思います。※成人量を1としたとき、それぞれの年齢での用量の目安。になっている。未熟児新生児6カ月1歳3歳7歳半12歳1/101/81/51/41/31/22/3VON HARNACK GA. Monatsschr Kinderheilkd 1956; 104(2): 55-56.ペリアクチンの副作用 柏木紀久さん(薬局)9カ月というとハイハイやつかまり立ちをする頃なので、ペリアクチンの傾眠によるケガなども心配です。痙攣の閾値も下がるので、鼻水や発赤疹がなければペリアクチンが疑義の対象になると思います。薬剤師も一般への啓発を 荒川隆之さん(病院)私は学校薬剤師として、何度か保護者に「風邪に抗菌薬は不要」という話をしております。北欧やオランダなど薬剤耐性菌の少ない国では、耐性菌に関する国民の知識がしっかりしていると聞きます。日本においても薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなど国がようやく動き出したところですから、我々薬剤師もそれぞれにできることを少しずつやっていくことが大切なのでは、と考えます。1回で飲ませきれない量では 中西剛明さん(薬局)ペリアクチンが処方されていることが気になります。抗ヒスタミン薬を使うと痙攣の閾値が下がるので、発熱している場合は熱性けいれんも含め、痙攣の危険が高まります。数ある抗ヒスタミン薬の中でペリアクチンを選んだ意図がわかりません。加えて、近隣の小児科医は「抗ヒスタミン薬で鼻水が固くなって、鼻づまりが解消しにくくなり困る」と言っていました。あと、7種類の薬剤は出しすぎでは?1回で飲ませ切れない「かさ」になってしまっています。症状に合わせて用量を調節 児玉暁人さん(病院)ムコダインDSの量が少ないですが、症状に合わせているのだろうと考え、これに関しては疑義照会しません。医師の処方意図を理解しておくべき JITHURYOUさん(病院)医師に処方意図の確認が必要だと感じます。抗菌薬が必要ならば薬剤の処方の必要性を患者家族にもきちんと説明しなければいけません。服用しないならば、症状が悪化するリスクもあります。さまざまな可能性のリスク回避をしておきたいという医師の考えがあるのかもしれません。なぜ抗菌薬処方をしたのか、その医師の処方傾向をできれば把握したいです。調剤するだけではなく患者さんと向き合うこと 中堅薬剤師さん(薬局)私は「医師の治療方針に同意していない患者さん」には調剤をしない方針です。ただ、簡単に「調剤をしない」としてしまうと、後で治療する機会を奪うことにもなるので、十分な説明の上、患者さんの意向を尊重して調剤するかどうか決定します。私の経験ですが、「喘息ではないのに吸入を強要された」と言う患者さんがいました。医師法第二十三条に基づいて考えると、処方医は患者が納得する十分な医学的指導をしていない可能性があり、その結果、治療に対して強い拒否を示していると推察しました。ただ、咳喘息の可能性は否定できないので、「使ってみて改善しなければ、呼吸器科以外の医師に相談することをお勧めしたい」と助言しました。治療前から否定するのではなく、治療をしてから継続の可否を判断する方がよいのではないか、と患者さんに話したのです。その後、患者さんから感謝の言葉をいただきました。「医師よりも私の治療に向き合ってくれた気がする」と。同時に、医師はどうして患者側に寄り添って治療を考えてくれないのか、という不満も打ち明けてくれました。ですから、今回の症例は薬剤師はただ調剤すればいいというものではないと、考えさせられる症例だと感じました。医師法第二十三条・・・医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。担当した薬剤師の対応フロモックス®の量が少ないことを疑義照会し、添付文書上の用量まで増量した。また、患児の保護者から、処方箋提出時に「抗菌薬だけ別包にしてほしい」と言われたので、別包にて調剤した。[PharmaTribune 2017年9月号掲載]

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第19回 小児科クリニックからのセフカペンピボキシルの処方(前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 患児の保護者に確認することは?熱の有無や熱性けいれんの既往など ふな3さん(薬局)発熱の有無は、アセトアミノフェン坐剤の処方意図(すぐに使用するか予備か)やペリアクチン®による熱性けいれん誘発リスクの推測にも利用できるため、必ず確認します。他に、熱性けいれんやてんかんの既往、副作用歴、併用薬、発疹の有無も確認したいです。検査したかどうか 清水直明さん(病院)アレルギー歴は必ず確認します。もしA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌、S.pyogenes )だったら抗菌薬が必要だと思うので、「何か検査はされましたか」と確認します。セフェム系抗菌薬のアレルギーや過去1カ月以内に抗菌薬を使用したか 奥村雪男さん(薬局)患児の性別や、特にセフェム系抗菌薬に対してアレルギーはないかを確認します。他にも過去1カ月以内に抗菌薬を使用したか、いつから症状があったか、全身状態はどうか、咳や鼻水などの症状、アデノウイルスなどの迅速検査や血液検査を行っているかも確認します。可能なら検査結果や白血球数やCRPなどの検査値、肺炎球菌、ヒブなどのワクチンを接種しているかも聞きます。Q2 疑義照会しますかする・・・7人フロモックス®の用量 キャンプ人さん(病院)フロモックス®細粒は1日9mg/kgですので、少し量が少ないのでは? と照会します。そのときに、抗菌薬の処方を望まれていないことを「母親が伝え忘れた」として医師へ伝えます。もちろん母親にそのように照会してよいか確認しておきます。普段から風邪に抗菌薬は不要と医師に示し続ける 荒川隆之さん(病院)保護者がなぜ抗菌薬の処方を望んでいないのか、よく聴き取りを行います。風邪に抗菌薬は不要ということで望んでいないのならば、疑義照会を行ってよいか、保護者と話をします。そして、フロモックス®の投与量がやや少ないことで疑義照会するついでに、風邪に抗菌薬は不要ではないか確認します。最初は、保護者がそのように希望していると言わず、医師から保護者の意志を聞かれた場合に回答します。ただし、この疑義照会は、医師と薬剤師のそれまでの関係も大きく関係すると思います。普段から風邪に抗菌薬は不要というスタンスを医師に示し続ける必要があります。抗菌薬は必要? 柏木紀久さん(薬局)患児の主症状が発熱と咽喉頭炎なので、あまり抗菌薬の必要性を感じません。3日後の再診時に抗菌薬の投与を考慮してもいいのではないかと思います。体重9kgでアセトアミノフェン坐剤が処方されており、発熱の期間が長い、または日内変動が強い状態でぐずったり、食欲がなかったりして状態がよくないことも考えられます。この場合、説明通り二次感染が考えられ抗菌薬処方の妥当性を感じますが、食欲や水分摂取が少なくなっている場合は、低カルニチン血症も気になります。保護者が医師に言えなかったことを薬剤師に打ち明けているので、照会してみると思います。溶連菌の可能性も 児玉暁人さん(病院)フロモックス®の投与量が少ないので確認します。ウイルス性の単なる風邪では抗菌薬は不要です。ただトランサミン®散の処方、のどの発赤から溶連菌の可能性も捨てきれず、その場合は抗菌薬が必要です。溶連菌の合併症予防を風邪の二次予防と受け取ってしまったなど、知識があるだけにややこしくしている可能性もありえます。保護者には、投与量と処方意図の再確認をしたい旨を伝え、納得と了承を頂いてから疑義照会します。あとは、疑義照会への返答内容にもよりますが、抗菌薬を服用する/しない場合のメリット・デメリットを伝えて、服用するかどうかを保護者に判断してもらうかと思います。ですので、疑義照会時に「服用を保護者の判断に任せてよいか」と確認しておきます。容態が悪化したら飲ませるつもりなら、疑義照会する ふな3さん(薬局)処方を望んでいないという意味では、疑義照会しません。医師との関係を気にしているなら、あえて蒸し返す必要はないと考えます。また、調剤の際に下記のように3種に分包して、フロモックス®だけ(もしくはラックビー®Rも)は服用しなくて済むようにできます。(1)フロモックス®(2)ラックビー®R(3)トランサミン® /ペリアクチン® /アスベリン® /ムコダイン® 混合この患者さんに限らず、普段から対症療法用の薬剤(症状改善したら中止)と、抗菌薬・整腸剤(処方日数飲みきり)は別包にしています。これらの対応をした上で、「望んではいない」と言いながらも、「容態が悪化したら飲ませるかも」と考えている場合、フロモックス®の添付文書上用量(3mg/kg)に満たないため、0.81g(~0.9g程度)/日への増量を提案するため疑義照会をします。保護者自身の風邪であれば「抗菌薬は飲まずに治せる」と簡単に割り切れると思いますが、発話できない乳児で急な発熱であれば、「この子のためにできることは?」「やっぱり抗菌薬を飲ませるべきかも」と頭をよぎるのが親心だと思います(だからこそ、小児科医も抗菌薬処方を簡単には止められないのでしょうが...)。その意味合いも含めて、抗菌薬は適切な量に修正した上で、「飲み始めたら飲みきる」の条件の下、お渡ししておきたいと思います。抗菌薬は感染が起きたと推定されるときに服用する JITHURYOUさん(病院)当然、医師の指示通りに調剤しなければならないのですが、その話をしてもなお服薬拒否ということになるのならば、医師に確認したいですね。連鎖球菌による咽頭炎でも、フロモックス®ではなくペニシリンが第一選択なので、この場合処方変更の必要性があるのではと考えます。二次感染予防目的の抗菌薬処方だとしても、臨床経過を勘案して疑義照会したいところです(遷延していたら細菌による二次感染の可能性=抗菌薬適応)。となると、症状の変化などで感染が起きたと推定されるときに服用する方がベストのような感じがします。フロモックス®はそういう場合に服用していただく方が耐性菌を増やさないという観点でも必要ではないかと考えます。よって、調剤は別包装にすべきではないでしょうか。母親の気持ちを聞き取った上で わらび餅さん(病院)フロモックス®が1日量9mg/kgではないので、疑義照会はします。また、母親からどうして抗菌薬を希望しないのかを聞きます。二次感染予防の必要性を感じてない、風邪という診断に納得してない、赤ちゃんだからあまり薬を飲ませたくないなど、理由によって対応も変わってきます。しない・・・4人処方医は不要なリスクを避けたいと考える 奥村雪男さん(薬局)抗菌薬以外の処方内容からは、典型的なウイルス性の上気道炎に見えます。全身状態が悪くないのであれば、抗菌薬なしで数日の経過観察後、悪化した場合に細菌性肺炎などの診断がついた時点で、それに応じた抗菌薬を選択するのが理想的だと思います。ただ、実際には疑義照会しないと思います。ウイルス性上気道炎に第三世代セフェムを処方するのは現在の日本の慣行であり、慣行と異なる行為はリスクを伴います。仮に抗菌薬なしの経過観察中に細菌性肺炎を発症すれば、最悪の場合、訴訟問題に発展するかもしれません。処方医は不要なリスクを負うことは避けたいと考えるはずです。遠回りのようですが、ウイルス性上気道炎に抗菌薬を処方した場合の治療必要数※などのエビデンスを国民に提示し、抗菌薬の二次感染予防は効率の悪い治療行為であることを一般常識とすることが、疑義照会に優る方法だと思います。※治療必要数NNT(number needed to treat)のこと。死亡や病気の発症などのイベント発生を1人減らすために、何人の患者を治療する必要があるか、という疫学の指標。例えばNNTが100なら、1人の患者のイベント発生を減らすためには100人に治療を行う、ということになる。フロモックス®は別包に 清水直明さん(病院)抗菌薬をどうしても持ち帰りたくないと言うのであれば、そのことを説明して取り消してもらうことも可能でしょうが、医師が必要としたものを不要と説得するだけの材料が弱いかなと思います。風邪との診断であるならば、それほど重症感はなさそうです。抗菌薬を服用させたくないのであれば、親の責任の範囲でそれでもいいと思います。フロモックス®は別包とします。そもそも、このぐらいの年齢から保育園・幼稚園ぐらいまでのお子さんは、よく風邪をひきます。これからも外界と接する機会が増えるにつれて、いろいろな感染症を拾ってくることでしょう。もし、本当に抗菌薬が必要な感染症に罹ったとき、ちゃんと効いてくれないと大変です。風邪をひくたびに予防的に抗菌薬を飲んでいたら、耐性菌のリスクは上がってしまうと思います。フロモックス®など多くの抗菌薬には二次感染予防という適応はないし、そのことがよく分かっている親御さんであるならば、飲ませるか飲ませないかの判断は任せていいと思います。ただし、薬剤師の指導としては微妙ですが・・・後編では、抗菌薬について患者さんに説明することは?その他気付いたことを聞きます。

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薬剤耐性菌の拡大を防ぐ「かぜ診療」最前線

 薬剤耐性(AMR)の問題は、これに起因する死亡者数が2050年には1,000万人に上ると推定されている喫緊の課題だ。2018年12月8日、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは抗菌薬の適正使用を目指し「かぜ診療ブラッシュアップコース」を都内で開催した。患者は抗菌薬ではなく、症状を緩和する薬を求めている 「適切なかぜ診療を行う際に知っておきたいこと」と題し、藤友結実子氏(国立国際医療センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)が、一般市民の抗菌薬に関する意識調査の結果を紹介した。抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがある割合は94.2%だが、効果に関しては、71.9%が「細菌が増えるのを抑える」と正しく認識している一方、40.9%「熱を下げる」、39.9%が「痛みを抑える」とも回答している。 抗菌薬がどのような病気に有用か尋ねた質問には、49.9%が「かぜ」、49.2%が「インフルエンザ」と回答しており、ウイルス性疾患に抗菌薬が効くと誤解している一般市民は多いことが伺える。その一方で、かぜで受診したときに処方してほしい薬は、咳止め(61.9%)、解熱剤(59.8%)、鼻水を抑える薬(53.0%)が上位に挙がり、抗菌薬は30.1%であった。 また、2018年2月に実施したアンケート調査では、一般市民の57.6%は不必要に抗菌薬を飲んではいけないという情報を知らなかったが、59.4%が情報提供によって抗菌薬の使用可否についての考えが変わったと回答した。これらの結果から、患者が求めているのは抗菌薬ではなく症状を緩和する薬剤であるということを踏まえた正しい情報提供の重要性を強調した。「かぜ」は急性気道感染症の4つに分けるが、ほとんどの場合に抗菌薬不要 黒田 浩一氏(亀田総合病院 感染症科)は、抗菌薬使用を減らすために「かぜ」と訴える患者の中から細菌感染症を見分け、必要な人にのみ処方することが肝要であると述べ、「急性気道感染症の診断」について抗微生物薬適正使用の手引き第1版に則って解説を行った。 患者が申告する 「かぜ」は急性気道感染症だが、その90%以上はウイルス感染症であり、基本的に抗菌薬は不要だ。抗菌薬が必要なのは、中等症または重症の急性副鼻腔炎、A群連鎖球菌が検出された急性咽頭炎のみ。これらを確実に見つけるために、急性気道感染症の4病型‐感冒・急性副鼻腔炎・急性咽頭炎・急性気管支炎それぞれについて、特徴や対応を解説。ピットフォールとして、高齢者はかぜをひきにくく、かぜをひいたと言って受診した場合、細菌感染の可能性が高いという点にも触れた。抗菌薬の第1選択はアモキシシリン。第3世代セファロスポリンは極力避けて では抗菌薬が必要となった場合にどの薬を選択すべきなのか、山本 舜悟氏(京都大学医学部附属病院 臨床研究教育・研修部)が、細菌性副鼻腔炎、細菌性咽頭炎いずれも原則としてアモキシシリンが推奨される点を解説。その理由として腸管からの吸収に優れ、中耳や副鼻腔などへの移行性が良好であるなどの根拠を提示した。注意点として経口第3世代セファロスポリンはバイオアベイラビリティが低く、薬剤耐性菌を増加させる可能性があるため、原則として使用しないよう注意喚起を行った。手引きでは抗菌薬以外の対症療法薬について豊富な情報が記載されており、こちらも参考になるだろう。抗菌薬の代わりに説明の処方を 第1部で紹介されたように正しい情報提供によって患者の行動は変わりうるという点を踏まえて、かぜ受診で抗菌薬を求める患者に対する説明のロールプレイが行われた。実際に説明をしてみると患者が納得するように説明するのは難しいとの感想が会場から上がった。説明する際のポイントとして、患者の解釈・気になっていること・医療機関への期待を確認することが新規処方薬の少なさと関連する点に言及し、「抗菌薬の代わりに説明の処方を」と呼びかけセミナーは終了した。 同センターではセミナーを全国各地で行っており、来年も継続予定とのこと。■参考抗微生物薬適正使用の手引き第一版薬剤耐性AMR情報サイト各種啓発用ツールAMR臨床リファレンスセンター■関連記事Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー

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30)リレンザ【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、リレンザの吸入手順を説明します。手順としては、カバーを外し、白いトレーを引き出す→トレーを取り外し、穴に合わせてディスクを乗せる→トレーを本体に押し込む→★本体を平らに持ち、フタを垂直に立て、ブリスターに穴を開ける→フタを閉じる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回目の吸入は、もう一度トレイを引き出し、そのまま再びカチッと音がするまで押し込む→★から繰り返す→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)→使い終わった薬をトレーから外し、捨てる→トレーを戻し、カバーを閉める

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自閉スペクトラム症における非感情性精神病性障害や双極性障害のリスク

 自閉スペクトラム症(ASD)を有する患者では、非感情性精神病性障害(NAPD)および双極性障害(BD)のリスクが高いといわれている。しかし、ASDとNAPDまたはBDの併発を検討したこれまでの研究では、診断バイアスや選択バイアスは考慮されていなかった。オランダ・マーストリヒト大学のR. Schalbroeck氏らは、オランダの精神医学的症例レジストリからの縦断データを用いて、ASD患者のNAPDまたはBDリスクを評価し、これまでのオランダ人集団における研究結果との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2018年11月21日号の報告。 ASD患者1万7,234例を対象に、16~35歳までフォローアップ調査を行った。NAPDまたはBDリスクは、カプランマイヤー法を用いて算出した。バイアスを減少させるために、16歳までにASDと診断された患者8,337例の分析を含めた個別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ASD患者のうち、35歳までにNAPDと診断された患者は23.50%(95%信頼区間[CI]:21.87~25.22)、BDと診断された患者は3.79%(95%CI:3.06~4.69)であった。・一般集団における診断率は、NAPDで0.91%(95%CI:0.63~1.28)、BDで0.13%(0.08~0.20)であった。・リスク推定値は、おおむね低値だったが、一般集団と比べると高値だった。16歳までにASDと診断された患者に限定すると、25歳までに1.87%(95%CI:1.33~2.61)がNAPDと診断され、0.57%(95%CI:0.21~1.53)がBDと診断された。・一般集団における上記の診断率は、NAPDで0.63%(95%CI:0.44~0.86)、BDで0.08%(95%CI:0.05~0.12)であった。 著者らは「ASD患者のNAPDまたはBD発症リスクは高かった。この結果には、診断バイアスや選択バイアスは影響していないと考えられる」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は自閉スペクトラム症におけるうつ病や自殺念慮のリスクと保護因子自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

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学校全体への介入、いじめの抑制に有効/Lancet

 生徒間のいじめや攻撃行動、暴力は、最も重大な公衆衛生上の精神面の問題の1つとされる。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のChris Bonell氏らは、“Learning Together”と呼ばれる学校全体への介入により、いじめに対しては小さいものの有意な効果が得られたが、攻撃行動の改善は有意ではなかったとの研究結果を示し、Lancet誌オンライン版2018年11月22日号で報告した。Learning Togetherは、単なる教室ベースの介入ではなく、学校全体の方針やシステムの修正を目指す全校的な介入法である。修復的実践(restorative practice)を活用し、社会情動的スキル(social and emotional skills)を身に付けることで、生徒に学校環境の修正を図るよう促すという。3年後のいじめと攻撃行動を評価するクラスター無作為化試験 研究グループは、南東イングランドの中等学校において、3年間のLearning Togetherによる介入の経済および作業評価を目的に、クラスター無作為化試験「INCLUSIVE試験」を実施した(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 Learning Togetherは、修復的実践におけるスタッフの育成、学校活動グループの招集と活動の促進、生徒の社会情動的スキルに関する教育課程から成る。2014~17年に40の中等学校が登録され、Learning Togetherを行う群(20校)または標準教育を行う対照群(20校)に無作為に割り付けられた。ベースラインの生徒の年齢は11~12歳、フォローアップ終了時は14~15歳だった。 主要アウトカムは、36ヵ月時の自己申告によるいじめ被害および攻撃行動の経験であった。いじめはGatehouse Bullying Scale(GBS:他の生徒からのからかい、うわさ、仲間外れ、身体的脅威、実際の暴力などがあり、対面およびインターネットを介する場合が含まれる)、攻撃行動はEdinburgh Study of Youth Transitions and Crime(ESYTC)school misbehaviour subscaleを用いて評価した。費用は1人当たり58ポンド増加 40校で7,121例の生徒が登録され、ベースラインのデータは6,667例(93.6%、介入群:3,320例、対照群:3,347例)から、36ヵ月時のデータは7,154例中5,960例(83.3%)で得られた。 36ヵ月時の平均GBSいじめスコアは、介入群が0.29(SE 0.02)、対照群は0.34(SE 0.02)であり、補正平均差に有意差が認められ、介入群で良好であった(補正平均差:-0.03、95%信頼区間[CI]:-0.06~-0.001、p=0.0441、補正効果量:-0.08)。 36ヵ月時の平均ESYTCスコアは、介入群が4.04(SE 0.21)、対照群は4.33(SE 0.20)であり、両群間に有意な差はみられなかった(補正平均差:-0.13、95%CI:-0.43~0.18、p=0.4199、補正効果量:-0.03)。 24ヵ月時の平均GBSいじめスコア(p=0.1581)および平均ESYTCスコア(p=0.7206)には有意差はなかった。 費用については、介入群の生徒は対照群に比べ1人当たり58ポンド負担が大きかった。重篤な有害事象は、介入群が8件(自殺2件、自傷の可能性のある行為4件、刺殺事件2件)、対照群は7件(強姦の可能性のある行為6件、身体障害/長期の病気1件)発生した。 著者は、「学校全体の環境を修正することで生徒の健康を促進する介入は、小児および若者と密接に関連したリスクや、健康アウトカムへの取り組みとして最も実行性が高く、効果的な方法の1つとなる可能性がある」とまとめ、「このような介入に修復的実践を含めることで、若者のいじめや、攻撃性の高い集団の攻撃行動が低減される可能性がある」と指摘している。

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ADHD、同学年では早生まれの児童で診断率が高い/NEJM

 米国において、注意欠如・多動症(ADHD)の診断率と治療率は、幼稚園入園基準日を9月1日とする州では、基準日に近い同年の8月生まれの児童が、前年の9月生まれよりも高いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のTimothy J. Layton氏らが、2007~09年に生まれた小児約40万人の調査で明らかにした。米国の大半の州では公立学校への入学基準を時期で区切っており、同学年でも誕生日が基準日に近い児童では、ほぼ1年の年齢差がある。そのため、同一学年のコホートにおいて、より年齢が低い(いわゆる早生まれ)児童は、より年齢が高い(遅生まれ)児童と比べて、年齢の違いによる行動がADHDと診断される可能性があると考えられていた。著者は、「今回の結果は、学年または学校クラス内の行動状況が、ADHDの診断に影響するという仮説と一致する」とまとめている。NEJM誌2018年11月29日号掲載の報告。同学年(9月入学)の9月生まれと8月生まれのADHD診断率と治療率を調査 研究グループは、大規模保険請求データベースの2007~15年のデータを用い、9月1日時点で5歳になっている児童は幼稚園に入園しなければならない州とそれ以外の州で、同じ学年の9月生まれ(遅生まれ)と8月生まれ(早生まれ)の児童のADHD診断率を比較した。ADHDの診断は、ICD第9版の診断コードに基づくものとした。また、同様に9月生まれと8月生まれの児童のADHD治療率を比較するために、処方記録も使用した。 解析対象は、2007~09年に米国全州で生まれた40万7,846人で、2015年12月まで追跡調査した。診断児の絶対差、入園基準日あり州21.5/1万例、なし州8.9/1万例 9月1日を基準日とする州では、保険請求で確認したADHDの診断率は、8月生まれの児童で85.1/1万例(309/3万6,319例、95%信頼区間[CI]:75.6~94.2)、9月生まれで63.6/1万例(225/3万5,353例、95%CI:55.4~71.9)であり、絶対差は21.5/1万例(95%CI:8.8~34.0)であった。一方、9月1日を基準日としない州では、絶対差は8.9/1万例(95%CI:-14.9~20.8)であった。 また、ADHDの治療率は、8月生まれの児童で52.9/1万例(192/3万6,319例、95%CI:45.4~60.3)、9月生まれで40.4/1万例(143/3万5,353例、95%CI:33.8~47.1)で、両者の絶対差は12.5/1万例(95%CI:2.43~22.4)であった。これらの差は、他の月における前月との比較では観察されず、基準日を9月1日としていない州でも観察されなかった。 また、9月1日を基準日とする州において、8月生まれと9月生まれの児童で、喘息、糖尿病、肥満の割合に有意差は確認されなかった。 なお、著者は、ADHD診断の適正や治療に関連した転帰は評価できず、メディケイド加入児童や保険未加入の児童は除外されていることなどを研究の限界として挙げている。

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新規抗インフルエンザ薬の位置付け

 インフルエンザの流行期に備え、塩野義製薬が「インフルエンザ治療の最前線」と題したメディアセミナーを都内にて開催した。本講演では、廣津 伸夫氏(廣津医院 院長)が、「抗インフルエンザウイルス薬『ゾフルーザ(一般名:バロキサビル)』の臨床経験を通じた知見」について語り、「従来の治療薬と同等の立場で選択されるべき治療薬だ」との見解を示した。既存のNA阻害薬と新規作用機序のバロキサビル はじめに、最新のインフルエンザ治療に関する自身の研究成果が紹介された。本人・家族における過去のインフルエンザ感染既往は、ワクチン接種後の抗体価上昇に良好に影響し、ウイルスの残存時間を短縮するという。既存の抗インフルエンザウイルス薬であるノイラミニダーゼ(NA)阻害薬は、薬剤によってウイルスの残存時間への影響が異なり、ウイルス残存時間が短いNA阻害薬ほど、家族内感染率を下げたと報告された。 次に、2018年3月に発売されたバロキサビルについて解説された。バロキサビルは、新規作用機序をもつ抗インフルエンザウイルス薬であり、インフルエンザウイルス特有の酵素であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を選択的に阻害し、ウイルスのmRNA合成を阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。 廣津氏は、第II相、第III相、および小児の治験から得られた、バロキサビルの利便性、抗ウイルス効果、安全性についての結果と、自ら携わった治験での臨床経験を語った。バロキサビルはインフルエンザの罹病期間を短縮する バロキサビルの、成人および青少年(12歳以上65歳未満)の患者を対象とした国際共同第III相試験において、A型および/またはB型インフルエンザウイルス感染症患者1,064例を対象とした結果、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群(80.2時間、95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)と比較して、バロキサビル群(53.7時間、95%CI:49.5~58.5)で有意に短かった(p<0.0001)。 また、副次評価項目であるウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間の中央値は、オセルタミビル群(72.0時間、95%CI:72.0~96.0)と比較して、バロキサビル群(24.0時間、95%CI:24.0~48.0)で有意に短く(p<0.0001)、インフルエンザ罹患時にバロキサビルを服用すると、体内のインフルエンザウイルスが早くいなくなる可能性が示唆された。 しかし、オセルタミビルとの比較試験では、主要評価項目の基準となったインフルエンザの7症状(咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさまたは悪寒、筋肉または関節の痛み、疲労感)の消失を基準にした罹病期間はほとんど変わらなかったが、「何よりも治療を受けた患者さんたちの『楽になった』との自覚症状の改善が印象的」と語った。低年齢の小児では、治療後に変異ウイルス発現の可能性 続けて小児(6ヵ月以上12歳未満)のA型および/またはB型インフルエンザウイルス感染症患者104例を対象とした国内第III相試験について、成人を対象とした試験と同様にインフルエンザの罹病期間の中央値を評価したところ、バロキサビル群で44.6時間(95%CI:38.9~62.5)と良好な結果が得られた。 一方で、小児では治療後にバロキサビルに対する感受性低下を示す可能性のある変異ウイルスが観察されており、低年齢(とくに5歳未満)で変異率が高くなるという報告がある。しかし、臨床効果への影響についてはまだわかっていないため、今後の検討が必要であるという旨の提言が日本感染症学会インフルエンザ委員会から出されている。これに対しては、抗体価が高いと、変異のリスクを低下させる可能性があるという治験での結果から、ワクチン接種の効果も期待できるとの見解が示された。 最後に、同氏は「インフルエンザ患者の初診時に、効果、安全性、利便性を考えたうえでの薬剤選択が必要。バロキサビルという新薬の登場で、インフルエンザ診療に新たな選択肢が増えた。バロキサビルの単回経口投与という利便性と、高い有効性と安全性から、従来の薬にとって代わる薬剤になるのではないかと思っている。ただし、変異ウイルスに関しては、今後も十分な観察・注意が必要だ」と講演を締めくくった。

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29)イナビル【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、イナビルの吸入手順を説明します。手順としては、使用開始時にアルミ包装を開封する→薬を立てて持ち、軽く叩いて薬を下に集める→薬剤1番を右にスライドさせる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く(底の空気口をふさがないよう注意)→吸入口をしっかりくわえる(口角があかないように)→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→呼吸を整え、薬剤2番を左にスライドさせる→もう一度、同様に吸入を行う→吸い残しがないよう、1番と2番の薬をもう一度吸入する→(10歳以上の患者さんは、2本目を吸入する)→うがいをする(口の中3回、喉の奥3回)※注意するポイント薬剤トレーは止まるまで確実にスライドさせ、そのあとは叩かないでください吸っても感じないくらい細かい粒子が気管に入っていきます正確に操作ができていれば、お薬は出ていますので心配しないでください吸い込みの練習はトレーナーを使用し、主治医に確認してもらいましょう

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ローランドてんかんに対するレベチラセタムと従来薬の有効性比較

 レべチラセタム(LEV)はカルバマゼピン(CBZ)やバルプロ酸ナトリウム(VPA)と比較して、良性ローランドてんかんにおけるローランド発射(RD)を抑制する効果が優れていることが、山梨大学の金村 英秋氏らの研究によって明らかになった。Seizure誌2018年11月号に掲載。 中心・側頭部に棘波をもつ良性ローランドてんかんは、小児の特発性部分てんかんの1つである。本研究では、小児における非定型進化を予防するためのLEVの有効性を、従来の抗てんかん薬(AED)と比較するために、小児の良性ローランドてんかんにおける発作間脳波(EEG)上のRDの低減における、従来薬であるCBZおよびVPAとLEVの有効性を比較した。 患者は最初の単剤治療に基づいてCBZ群、VPA群、LEV群に分けられた。CBZ群とVPA群については後ろ向き研究、LEV群については前向き研究が実施され、RDの出現数をカウントし、発射頻度を計算した。ベースラインと比較して、AED処方時のEEG応答を完全消失と反応(RDの頻度が50%以上減少)に分類した。各AED治療群について、EEG反応者において完全消失または反応を達成するのに要する時間を評価した。 主な結果は以下のとおり。・奏効例の割合は、CBZ群で11.2%(10/89例)、VPA群で56.2%(41/73例)、LEV群で71.4%(25/35例)であった。・EEG応答の達成までに要した平均時間は、CBZ群で36.3ヵ月、VPA群で23.1ヵ月、LEV群で14.7ヵ月であり、CBZ群(p<0.001)またはVPA群(p<0.005)よりもLEV群で有意に速く達成された。・痙攣コントロールは、検討した3種類の薬剤すべてで有意差はなかった。

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ピーナッツアレルギーに有効な新経口免疫療法薬/NEJM

 開発中のピーナッツ由来の生物学的経口免疫療法薬AR101は、高度ピーナッツアレルギーの小児・若年者において、プラセボと比較し試験終了時の食物負荷試験で用量制限を要する症状を伴わず高用量のピーナッツ蛋白の摂取が可能となり、ピーナッツ曝露中に発現する症状の重症度が低下することが認められた。米国・エモリー大学医学校のBrian P. Vickery氏らが、AR101の有効性と安全性を検証した第III相試験「Peanut Allergy Oral Immunotherapy Study of AR101 for Desensitization:PALISADE」の結果を報告した。ピーナッツアレルギーは、生命を脅かすこともある、予測不能なアレルギー反応のリスクがあるが、現状では承認された治療選択肢はない。NEJM誌2018年11月18日号掲載の報告。主要有効性解析対象は4~17歳のピーナッツアレルギー保有者 PALISADE試験の対象は、4~55歳のピーナッツアレルギー保有者で、登録時に二重盲検プラセボ対照食物負荷試験を行い、ピーナッツ蛋白100mg(ピーナッツの実の約3分の1)以下の負荷量で用量制限を要するアレルギー症状の有無をスクリーニングし、症状を認めた場合を適格者として、AR101群またはプラセボ群に3対1の割合で無作為に割り付けた。 用量漸増期(0.5~6mg)の後、増量期(2週間ごとに3~300mgまで増量)を経て、維持期として300mg/日を24週間投与する約1年のプログラムを行い、完遂した被験者を対象に試験終了時に再び食物負荷試験を行った。 主要評価項目は、用量制限を要する症状を伴わず600mg以上の負荷量を摂取することができた4~17歳被験者の割合であった。統計解析にはFarrington-Manning検定を使用した。AR101の1年間投与により約7割がピーナッツ蛋白600mg以上を摂取可能に 842例がスクリーニングを受け、551例がAR101群またはプラセボ群に割り付けられた。このうち、主要評価項目の解析対象である4~17歳は496例であった(AR101群372例、プラセボ群124例)。 4~17歳集団で終了時食物負荷試験において用量制限を要する症状を伴わずピーナッツ蛋白600mg以上を摂取することができたのは、AR101群250例(67.2%)、プラセボ群5例(4.0%)であった(群間差:63.2ポイント、95%信頼区間[CI]:53.0~73.3、p<0.001)。 終了時食物負荷試験中に認められた症状の重症度は、最も多かったのが中等度でAR101群25%、プラセボ群59%であり、重度はそれぞれ5%、11%であった。 4~17歳集団における有害事象は、全投与期間においてAR101群で98.7%、プラセボ群で95.2%に認められ、軽度がそれぞれ34.7%、50.0%、中等度が59.7%、44.4%、重度が4.3%および0.8%であった。 なお、18~55歳の被験者における有効性は副次評価項目であったが、用量制限を要する症状を伴わず600mg以上の負荷量を摂取することができた被験者の割合について、AR101群とプラセボ群で有意差は認められなかった。

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医師が選んだ"2018年の漢字"TOP5! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例、12月の発表に向けて日本漢字能力検定協会が募集している「今年の漢字」。CareNet.comでは、一足早く会員の先生方に今年の漢字を選んでいただきました。「今年1年の世相を漢字1文字で表すとしたら、何を思い浮かべますか?」という質問に対し、ダントツで選ばれたのは、自然災害を連想させる「災」でした。それでは、「2018年の漢字」トップ5を発表します。発表にあたって、今年はケアネットの新入社員が筆を執りました。書を持つ5人も新入社員です。1位災第1位は群を抜いて多かった「災」2018年は、豪雪に始まり、各地での地震、西日本豪雨、酷暑、台風被害など、さまざまな自然災害が記憶に残る1年でした。なかには、被災した方からのコメントもあり、これを機に、医療現場や家庭での対応策を見直すべきなのかもしれません。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)今年は、地震、台風、土砂崩れなど自然災害が多かった。(60代 内科医/兵庫県)西日本豪雨災害にショックを受けたのと、他にも日本各地で地震、台風など多くの災害があった年だと思うから。(50代 内科医/広島県)今年1年、西日本豪雨、北海道地震、台風など自然災害続きで多くの方が被害に遭われた。そのことを忘れたくはないので。(50代 血液内科/福岡県)まさか自分も被災者になるとは思わなかった。(40代 内科/広島県)2位変昨年初登場し、今年は第2位にランクアップ。年号が変わることを筆頭にした国内の変化、トランプ大統領の動向など世界の変化、そして異常気象やプライベートの環境変化など、さまざまな「変」に対するコメントが寄せられました。平成が終わり、次の年号は何に決まるのでしょうか。 「変」を選んだ理由(コメント抜粋)いろいろと変化が大きかった。世界も安定しておらず、紛争、米国のトランプ大統領など、変化が大きかった。(60代 内科/新潟県)豪雪、猛暑などの気候等も含め「今までの常識だけでは対応できない」ことによく遭遇したという意味で。自身が臨機応変に対応できればという願いも込めて選びました。(50代 内科/福井県)初の米朝首脳会談、築地市場移転、平成最後の年など、変化する世の中であったから。(40代 消化器内科/福岡県)3位嘘第3位は4年ぶりに再登場の「嘘」。政治、マスコミ、教育、メーカーにおける虚偽に関するコメントが多く寄せられました。とくに、東京医大の入試減点問題は印象に残る先生も多かったのではないでしょうか。 「嘘」を選んだ理由(コメント抜粋)政治家の虚偽発言や、フェイクニュースの話題が多かった。(60代 神経内科/東京都)入試不正が印象に残ったから。(30代 精神科/福島県)日本をはじめ各国の指導者が平気で嘘をつき過ぎる。官僚や一流企業・大学も改竄、隠蔽、不正のオンパレード。(50代 皮膚科/東京都)4位乱第4位の「乱」は4年連続のランクイン。国内だけでなく、世界情勢も含めて「乱れている」「混乱している」という印象が強いようです。なかには、渋谷でのハロウィン騒ぎを連想させるコメントもありました。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)今の世の中あらゆるものが乱れている。(60代 外科/大分県)天災や不祥事などいろいろな騒動が目に付いたから。(30代 循環器内科/福岡県)天候、気象、災害、犯罪、秩序、政治などすべての分野で常識から外れた、乱れた出来事が多過ぎたから。(50代 総合診療科/青森県)5位暑第5位は、初登場の「暑」。7月半ばから8月にかけては気温40度超えの観測地点数が過去最多となり、各地で熱中症患者が多発しました。東京オリンピックに向けた暑さ対策も検討されており、納得のランクインです。 「暑」を選んだ理由(コメント抜粋)今年の夏が非常に暑かったから。(50代 泌尿器科/岐阜県)とにかく猛暑だった。(60代 リハビリテーション科/熊本県)猛暑で大変だった。(40代 小児科/静岡県)アンケート概要アンケート名 :『2018年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2018年11月8日~15日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :526件

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第7回 意識障害 その6 薬物中毒の具体的な対応は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)ABCの安定が最優先! 気管挿管の適応を正しく理解しよう!2)治療の選択は適切に! 胃洗浄、血液浄化の適応は限られる。3)検査の解釈は適切に! 病歴、バイタルサイン、身体所見を重視せよ!【症例】42歳女性の意識障害:これまたよく遭遇する症例42歳女性。自室のベッド上で倒れているところを、同居している母親が発見し、救急要請。ベッド脇には空のPTP(press through pack[薬のシート])が散在していた。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:200/JCS血圧:102/58mmHg 脈拍:118回/分(整) 呼吸:18回/分 SpO2:97%(RA)体温:36.9℃ 瞳孔:3/3mm +/+この症例、誰もが急性薬物中毒を考えると思います。患者の周りには薬のシートも落ちているし、おそらくは過量に内服したのだろうと考えたくなります。急性薬物中毒の多くは、経過観察で改善しますが、ピットフォールを理解し対応しなければ、痛い目に遭いかねません。「どうせoverdose(薬物過量内服)でしょ」と軽視せず、いちいち根拠をもって鑑別を進めていきましょう。重度の意識障害で意識することは?(表1)このコーナーの10's Ruleの「1)ABCの安定が最優先!」を覚えているでしょうか。重度の意識障害、ショックでは気管挿管を考慮する必要がありました。意識の程度が3桁(100~300/JCS)と重度の場合には、たとえ酸素化の低下や換気不良を認めない場合にも、確実な気道確保目的に気管挿管を考慮する必要があることを忘れてはいけません。薬物中毒に伴う重度の意識障害、出血性ショック(消化管出血、腹腔内出血など)症例が典型的です。考えずに管理をしていると、目を離した際に舌根沈下、誤嚥などを来し、状態の悪化を招いてしまうことが少なくありません。来院時の酸素化や換気が問題なくても、バイタルサインの推移は常に確認し、気管挿管の可能性を意識しておきましょう。●Rule1 ABCの安定が最優先!●Rule8 電解質異常、アルコール、肝性脳症、薬物、精神疾患による意識障害は除外診断!画像を拡大する薬物中毒のバイタルサイン内服した薬剤や飲酒の併用の有無によってバイタルサインは大きく異なります。覚醒剤やコカインなど興奮系の薬剤では、血圧や脈拍、体温は上昇します。それに対して、頻度の高いベンゾジアゼピン系薬に代表される鎮静薬ではすべて逆になります。飲酒もしている場合には、さらにその変化が顕著となります。瞳孔も重要です。興奮系では一般的に散瞳し、オピオイドでは縮瞳します。救急外来では明らかな縮瞳を認める場合には、脳幹病変以外にオピオイド、有機リン中毒を考えます。「目は口ほどにものを言う」ことがあります。自身で必ず瞳孔所見をとることを意識しましょう。薬物中毒の基本的な対応は?急性薬物中毒の場合には、意識障害が遷延することが少なくないため、内服内容、内服時間をきちんと確認しましょう。内服してすぐに来院した場合と、3時間経過してから来院した場合とでは対応が大きく異なります。薬物過量内服においても初療における基本的対応は常に一緒です。“Airway、Breathing、Circulation”のABCを徹底的に管理します。原因薬剤が判明している場合には、拮抗薬の有無、除染・排泄促進の適応を判断します。拮抗薬など特徴的な治療のある中毒は表2のとおりです。最低限これだけは覚えておきましょう。除染や排泄促進は、内服内容が不明なときにはルーチンに行うものではありません。ここでは胃洗浄の禁忌、血液透析の適応を押さえておきましょう。画像を拡大する胃洗浄の禁忌意識障害患者において、確実な気道確保を行うことなしに胃洗浄を行ってはいけません。誤嚥のリスクが非常に高いことは容易に想像がつくでしょう。また、酸やアルカリを内服した場合も腐食作用が強く、穿孔のリスクがあるため禁忌です。胃洗浄を行い、予後を悪くしてはいけません。意識状態が保たれ、内服内容が判明している場合に限って行うようにしましょう。もちろん薬物が吸収されてしまってからでは意味がないため、原則内服から1時間を経過している場合には適応はないと考えておいてよいでしょう。CTを撮影し薬塊などが胃内に貯留している場合には、胃洗浄が有効という報告もありますが、薬物中毒患者全例に胸腹部CTを撮影することは現実的ではありません1)。エコー検査で明らかに胃内に貯留物がある場合には、考慮してもよいかもしれません。活性炭の投与もルーチンに行う必要はありません。胃洗浄の適応症例には、洗浄後投与すると覚えておけばよいでしょう。血液透析の適応となる中毒体内に吸収されたものを、体外に除去する手段として血液透析が挙げられますが、これもまたルーチンに行うべきではありません。多くの薬物は血液透析では除去できません。判断する基準として、分布容積と蛋白結合率を意識しましょう。分布容積が小さく、蛋白結合率が低ければ透析で除去しえますが、そういったものは表3のような中毒に限られます。診療頻度の高いベンゾジアゼピン系薬や非ベンゾジアゼピン系薬(Z薬)、三環系抗うつ薬は適応になりません。ベンゾジアゼピン系薬、Z薬の過量内服は遭遇頻度が高いですが、それらのみの内服であれば過量に内服しても、きちんと気道を確保し管理すれば、一般的に予後は良好であり透析は不要なのです。画像を拡大する薬物中毒の検査は?1)心電図心電図は忘れずに行いましょう。QT延長症候群など、薬剤の影響による変化を確認することは重要です。内服時間や意識状態を加味し、経時的に心電図をフォローすることも忘れてはいけません。以前の心電図の記録が存在する場合には、必ず比較し新規の変化か否かを評価しましょう。2)血液ガス酸素化や換気の評価、電解質や血糖値の評価、そして中毒に伴う代謝性アシドーシスを認めるか否かを評価しましょう。3)尿中薬物検査キットトライエージDOAなどの尿中薬物検査キットが存在し、診療に役立ちますが、結果の解釈には注意しなければなりません。陽性だから中毒、陰性だから中毒ではないとはいえないことを覚えておきましょう。偽陽性、偽陰性が少なくないため、病歴と合わせ、根拠の1つとして施行し、結果の解釈を誤らないようにしましょう。薬物中毒疑い患者の実際の対応“10's Rule”にのっとり対応することに変わりはありません。Ruleの1~4)では、重度の意識障害であるため、気管挿管を意識しつつ、患者背景を意識した対応を取ります。薬物過量内服患者の多くは女性、とくに20~50代です。また、薬物過量内服は繰り返すことが多く、身体所見では利き手とは逆の手にリストカット痕を認めることがあります。意識しておくとよいでしょう。バイタルサインがおおむね安定していれば、低血糖を否定し、頭部CTを撮影します。この場合には、脳卒中の否定以上に外傷検索を行います。薬物中毒の患者は、アルコールとともに薬を内服していることもあり、転倒などに伴う外傷を併発する場合があるので注意しましょう。また、採血では圧挫に伴う横紋筋融解症*を認めることもあります。適切な輸液管理が必要となるため、CK値や電解質、腎機能は必ず確認しましょう。アルコールの関与を疑う場合には、浸透圧ギャップからアルコールの推定血中濃度を計算すると、診断の助けとなります。詳細は、次回以降に解説します。*急性中毒の3合併症:誤嚥性肺炎、異常体温、非外傷性圧挫症候群急性薬物中毒の多くは、特異的な治療をせずとも時間経過とともに改善します。また、繰り返すことが多く、再来した場合には軽視しがちです。そのため、確立したアプローチを持たなければ痛い目をみることが少なくないのです。外傷や痙攣、誤嚥性肺炎の合併を見逃す、アルコールとともに内服しており、症状が遷延するなどはよくあることです。根拠をもって確定、除外する意識を常に持ちながら対応しましょう。症例の経過本症例では空のPTPの存在や40代の女性という背景から、第一に薬物過量内服を疑いながら、Ruleにのっとり対応しました。母親から病歴を聴取すると、来院3時間前までは普段どおりであり、その後患者の携帯電話の記録を確認すると、付き合っている彼氏とのメールのやり取りから、来院2時間ほど前に衝動的に薬を飲んだことが判明しました。内服内容もベンゾジアゼピン系の薬を中心としたもので致死量には至らず、採血や頭部CTでも異常がないことが確認できたため、モニタリングをしながら、家族付き添いの下、入院管理としました。時間経過とともに症状は改善し、翌日には意識清明、独歩可能となり、かかりつけの精神科と連携を取り、退院となりました。本症例は典型的な薬物中毒症例であり、基本的なことを徹底すれば恐れることはありません。きちんと病歴や身体所見をとること、バイタルサインは興奮系か抑制系かを意識しながら解釈し、瞳孔径を忘れずに確認すればよいのです。次回は、アルコールによる意識障害のピットフォールを、典型的なケースから学びましょう。1)Benson BE, et al. ClinToxicol(Phila). 2013;51:140-146.

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小児のアトピー性皮膚炎、慢性化の関連因子が判明

 小児のアトピー性皮膚炎(AD)の慢性化に関する因子はよくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のSunna Thorsteinsdottir氏らは、ADに関与する既知の遺伝子変異、父親の喘息およびADの既往、社会的地位の高さ、診断時のHanifin & Rajka診断基準の基本項目と小項目、ならびに発症時の重症度が、13歳まで持続したADに関連していることを明らかにした。著者は、「これらの所見は、個々の患者で疾患の経過を評価するための臨床診療に適用可能である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年11月14日号掲載の報告。 研究グループは、ADの慢性化と関連する遺伝的素因、環境および臨床因子について明らかにする目的で、Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood 2000(COPSAC2000)による出生前コホート研究において、1998年8月~2015年6月の期間に、喘息を有する母親から生まれた子411例を13歳になるまで追跡調査した。7歳までは年2回、その後13歳時に受診したデータを2015年8月~2018年1月に分析した。 ADは、Hanifin & Rajka診断基準に従って前向きに診断し、親への問診により、親の既往歴、社会的地位、および環境因子に関するデータを収集した。ADの重症度は、Scoring Atopic Dermatitis(SCORAD)指標(スコアの範囲:0~83、高値ほど重症)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・411例中、男児が203例(49.4%)、13歳以前にADと診断されたのは186例(45.3%)であった。・13歳時点で、166例中40例(24.1%)はADが持続しており、このうち126例(76.0%)は寛解を経験していた。・13歳まで持続するADに関連する因子として、遺伝、環境曝露、喘息およびアレルギー感作、診断時の臨床所見、Hanifin & Rajka診断基準の小項目、およびSCORADに基づくAD重症度があった。・ADの慢性化リスク増加との関連は、AD遺伝リスクスコアの高さ(多変量オッズ比[OR]:1.8、95%信頼区間[CI]:1.1~2.9、p=0.02)、父親の喘息(OR:3.7、95%CI:1.2~11.5、p=0.02)、父親のAD(OR:6.2、95%CI:1.17~23.2、p=0.007)、社会的地位の高さ(OR:1.6、95%CI:1.0~2.5、p=0.05)に認められた。・診断時の特定の臨床所見は、Hanifin & Rajka診断基準の特定の小項目(Dennie-Morgan徴候および前頸部皺襞、白色皮膚描記症、羊毛に対する不耐性、発汗時そう痒、皮膚感染症を発症する傾向、食物不耐症、食物アレルギー)(OR:2.6、95%CI:1.1~6.2、p=0.03)、ならびに診断時の重症度の悪化(OR:1.1、95%CI:1.0~1.1、p=0.007)とも関連していた。

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