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バレニクリン、心血管重大有害イベントの有意な増大との関連認められず:メタ解析

米国・カリフォルニア大学のJudith J Prochaska氏らによるメタ解析の結果、禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)服用による、心血管系の重大有害イベントの有意な増大は認められなかったとの報告が発表された。解析にはこれまで発表された全データが含まれ、服用中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値(summary estimates)を用いて行われた。バレニクリンをめぐっては、心血管系の深刻な有害事象リスクが議論になっているが、その解析手法が適切ではないのではとの指摘があり、米国FDAがさらなる解析を行うことを求めていた。BMJ誌2012年5月12日号(オンライン版2012年5月4日号)掲載報告より。二重盲検プラセボ比較対照試験22試験をメタ解析Prochaska氏らは、Medline、Cochrane Library、オンライン臨床試験レジストリならびに特定論文参照リストをデータソースとして、メタ解析を行った。試験適格としたのは、現に喫煙中の成人を対象にバレニクリン投与と非投与を比較し、有害事象について報告をしていた無作為化試験とした。試験治療下での心血管系の重大有害事象の発現との定義は、薬物療法中または中断後30日以内に起きたもので、虚血性または不整脈性の有害な心血管イベント(心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血管再生、冠動脈疾患、不整脈、一過性脳虚血発作、脳卒中、突然死または心血管関連死、うっ血性心不全)とした。解析対象となったのは22試験で、すべてが二重盲検プラセボ比較対照試験だった。そのうち2試験は現に心血管疾患を有する被験者を対象としたもので、また11試験は心血管疾患の既往があり登録された被験者を含んでいた。イベント発生率の差、臨床的にも統計学的にも有意ではない結果、試験治療下での発現率、心血管重大有害イベントは、バレニクリン群0.63%(34/5,431)、プラセボ群0.47%(18/3,801)だった。全22試験に基づくリスク差の要約推定値は0.27%(95%信頼区間:-0.10~0.63、P=0.15)で、臨床的にも統計学的にも有意ではなかった。1つ以上のイベント発生が認められた14試験に基づく、相対リスク比(1.40、0.82~2.39、P=0.22)、マンテル-ヘンツェル・オッズ比(1.41、0.82~2.42、P=0.22)、ピート・オッズ比(1.58、0.90~2.76、P=0.11)の結果も、バレニクリン群とプラセボ群に有意差は認められなかった。Prochaska氏は、これまで発表された全試験を含み、服薬曝露期間中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値を使用した所見を分析したメタ解析の結果、バレニクリン服用による心血管系の重大有害イベントと有意な増大は認められなかったと結論した上で、希少アウトカムには絶対効果に基づく要約推定値が推奨され、ピート・オッズ比に基づく推定は無効とすべきであると述べた。

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双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める

Slomka氏らは双極性障害患者の気分症状と心血管イベント(CVD)リスクとの関係を調査し、「双極性障害患者のうつ症状は10年後のCVDによる死亡リスクと関連する」ことを報告した。この論文は、J Affect Disord誌2012年5月号(オンライン版2月21日付)に掲載された。VA クリニック の外来を受診している退役軍人 のうち、CVD危険因子を有する双極性障害患者118例を対象にコホート研究をおこなった。本研究では気分症状(抑うつ症状、躁症状)とフラミンガムリスクスコアとの関係および精神症状とCVDリスクファクター(脂質、血圧、体重、喫煙、空腹時血糖)との関係を調査した。主な結果は以下のとおり。 ・対象者は平均年齢53歳(標準偏差:9.9)、男女比=82:17、BMI 30以上が約70%、脂質異常症合併が84%、高血圧合併が70%、糖尿病合併が25%、フラミンガムスコア(10年以内の心血管イベントリスクを示すスコア)が20%を超える割合が19%であった。・うつ 症状を有する患者ではフラミンガムスコアが20%を超える割合が6倍であった(オッズ比:6.1、p=0.03)が、躁症状を有する患者ではフラミンガムスコアとの関係は認められなかった(オッズ比:0.6、p=0.03)。・うつ症状はBMI高値 、空腹時血糖、血圧の上昇との関連が認められた。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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日本人でも早食いは2型糖尿病のリスクに

食べるスピードと日本人男性2型糖尿病発症率との関連を調べた研究結果が発表された。対象は、金属製品工場に勤務する中年層の日本人男性2,050名。参加者を自己申告による食べるスピード別に分類し、評価した。糖尿病発症率は7年間にわたって毎年実施される健康診断の結果を用いて評価した。食べるスピードと糖尿病発症率との関連は、年齢、糖尿病の家族歴、喫煙、飲酒、運動習慣、高血圧・高脂血症の有無といった複数因子の調整を行ったうえで、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。結果、食べるスピードと糖尿病発症率とに関連がみられた。ただし、BMI調整後はこの関連に有意差がなかったことから、早食いが引き起こす体重への影響が関与している可能性が示唆された。食べるスピードは比較的コントロール可能な危険因子であり、ゆっくりと食べることが糖尿病予防にも有用な可能性があるといえる。主な結果は以下のとおり。 ・食べるスピード別に「ゆっくり、普通、早い」の3カテゴリーに分類・BMI 25以上の肥満者の割合は「ゆっくり」で14.6%、「普通」で23.3%、「早い」で34.8%と、食べるスピードが速いほど高い肥満有病率を示した。・試験期間中、177人の参加者が糖尿病を発症した。・各カテゴリーにおける糖尿病発症率(1,000人・年あたり)は「ゆっくり」で9.9、「普通」で15.6、「早い」で17.3であった。・多変量調整ハザード比(95%信頼区間)でみると、「ゆっくり」を1.00とした場合、「普通」で1.68(0.93~3.02)、「早い」で1.97(1.10~3.55)と、食べるスピードは糖尿病発症と関連していた(p= 0.030)。・ただし、BMI調整後、有意な相関は認められなかった。(ケアネット 佐藤 寿美)

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生殖医療技術後の先天異常リスク増大に、母胎要因がどこまで関わっているのか

個々のレジストリ研究やメタ解析など研究成果から、体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)は先天異常リスクを増大するというエビデンスは一貫して認められている。オーストラリア・アデレード大学のMichael J. Davies氏らは、これまで検討されていなかった、そうした生殖補助医療技術を受けた後に増大が認められる先天異常リスクが、親の特性とどこまで関連しているかについて調査した。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年5月5日号)掲載報告より。約31万例の出産を対象に、先天異常リスク増大について母親の背景因子別に比較調査研究グループは、南オーストラリア州の生殖補助技術治療の実態調査結果と、妊娠20週以上または出生時体重400g以上での出産と死産に関する登録記録、および先天異常に関するレジストリ(脳性麻痺、全妊娠期間中での異常による中絶を含む)との関連づけを行った。5歳の誕生日までに診断された先天異常のリスクについて、母親が(1)生殖補助医療技術の治療を受けた妊娠のケース、(2)過去に生殖補助医療を受けたことがあるが自然妊娠であったケース(すなわち生殖補助医療を受けたケースではない)、(3)不妊症の既往はあるが生殖補助医療技術の治療を受けていない妊娠のケース、(4)不妊症の既往がない妊娠のケース、で比較検討した。オッズ比は、未補正解析と、多変量補正後解析(母胎年齢、胎児の性別、母親の人種、妊娠中の喫煙など)を算出して検討した。体外受精、卵細胞質内精子注入法後のリスク増大は?調査対象となった出産件数は30万8,974例で、そのうち6,163例が生殖補助医療を受けての妊娠だった。生殖補助医療を受けての分娩例における先天異常は513例(8.3%)で、受けていない分娩での先天異常1万7,546例(5.8%)と比べて、有意なリスク増大が認められた(未補正オッズ比:1.47、95%信頼区間:1.33~1.62)。同リスクについて多変量補正後のオッズ比は1.28(95%信頼区間:1.16~1.41)で、リスクは減弱したが有意なままであった。体外受精での分娩例における先天異常は165例(7.2%)で、未補正オッズ比1.26(95%信頼区間:1.07~1.48)、多変量補正後オッズ比は1.07(同:0.90~1.26)であった。一方、卵細胞質内精子注入法での分娩例における先天異常は139例(9.9%)で、未補正オッズ比1.77(同:1.47~2.12)、多変量補正後オッズ比は1.57(同:1.30~1.90)だった。不妊症の既往がある場合は、生殖補助医療を受けたか否かにかかわらず、先天異常との有意な関連が認められた。これら結果を踏まえてDavies氏は生殖補助医療技術と先天異常リスク増大に関して、「体外受精後の先天異常リスクの増大は、親の背景因子で補正後は減弱し有意ではなくなった。一方、ICSIに関しては、補正後もリスクは増大したままだった。ただしその関連の継続については残余交絡の可能性が排除できない」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は?

精神疾患患者における心血管イベント発症要因の一つとして葉酸が関与しているといわれている。特にメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)やカテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)の異常がリスクを増大させると考えられる。Ellingrod氏らはこれら遺伝子異型が抗精神病薬とメタボリックシンドロームとの関係にどのような影響を及ぼすのかを分析した。抗精神病薬による治療を少なくとも6ヵ月以上受けている統合失調症および双極性障害患者237例をメタボリックシンドロームの有無、MTHFR677C/T、MTHFR1298A/C、COMTVal158Metの各遺伝子型でスクリーニングを行った。主な結果は以下の通り。 1)平均年齢44.7歳(標準偏差:11.7)、男:女=51:49、平均BMI32.6kg/m(標準偏差:8.2)、非定型抗精神病薬投与患者は61%で各遺伝子型間に違いはなかった。2)メタボリックシンドロームの基準を満たした患者98例(41%)。3)メタボリックシンドロームの発症は年齢、喫煙、MTHFR677C/T、COMTVal158allelesとの関連が認められた(χ=34.4、p

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「ACC/AHA末梢動脈疾患診療ガイドライン2011」改訂のポイント

米国心臓病学会財団(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、2005年に策定した末梢動脈疾患(PAD)の診療ガイドラインを見直し、2011改訂版を公表した。5年間で集積されたエビデンスを基に下記についての見直しが図られ、患者管理と予防の新たな臨床判断の指標とすることを促している。足関節上腕血圧比(ABI)、足趾腕血圧比(TBI)検査にかかる勧告見直し禁煙指導に関する勧告見直し抗血小板療法に関する勧告見直し重症肢虚血に対する勧告見直し腹部大動脈瘤に対する勧告見直しガイドライン2011の特徴は、下肢PAD予防と早期発見の重要性がさらに強調されたことである。まず、PADの過少診断を防ぐため、足関節上腕血圧比(ABI)実施対象患者の見直しが行われた。具体的には、2005年版では、対象者のひとつに「70歳以上」があったが、2011年版では、「65歳以上」に改訂された(クラスI、エビデンスレベルB)。その上で、ABI値について、正常値は1.0~1.4、異常値は0.9以下とし、0.91~0.99は境界値と明確に定義した(クラスI、エビデンスレベルB)。また、治療においては、禁煙指導と抗血小板薬に対する変更があった。禁煙指導については、下肢PAD患者に対する心血管イベントの抑制効果のエビデンスは乏しかったものの、医師の介入による禁煙率の上昇という点を評価し、プライマリ・ケア医による積極的な禁煙プログラムの推奨強化を図っている(表1)。薬物療法については、アスピリンおよびクロピドグレルのクラスIとしての位置づけに変更はなかったが、文言の明確化が図られた。新たな推奨項目として、クラスIIaとIIbが加えられた(表2)。重症肢虚血や腹部大動脈瘤に対する、手術とバルーン血管形成術のアウトカムについては、その一方の優位性を示す長期試験結果がないため、患者の個別の状態に応じ、最も適切な動脈瘤修復の方法を選択すべきであるとされた。なお今回の改定では、腎・腸間膜動脈疾患については、新たなエビデンスが乏しいため、同分野における見直しは行われなかった。表1 禁煙指導に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.喫煙者または喫煙歴のある患者は、毎回の診察時にタバコ使用に関する現状について問診を受けるべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.(喫煙者の)患者には、禁煙のために、薬物療法や(または)禁煙プログラムへの紹介を含む禁煙のための計画策定やカウンセリングを行うべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>3.下肢PADの患者で、タバコや他の種類のタバコを使用する人は、診察を受けるすべての医師から禁煙を勧められ、行動療法や薬物療法の提供を受けるべきである。(エビデンスレベルC)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをBからCに変更>4.患者に禁忌や他のやむにやまれぬ臨床適応がない限り、バレニクリン、ブプロピオン、ニコチン置換療法のうち、1つ以上の薬物療法を提供するべきである。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>表2 抗血小板薬と抗血栓薬に関する勧告【2011年勧告の主な変更ポイント】●クラスⅠ1.抗血小板療法は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する。(エビデンスレベルA)<以前の勧告の変更。文言を明確化>2.アスピリン(一般的には75~325mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する、安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化し、エビデンスレベルをAからBに変更>3.クロピドグレル(75mg/日)は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人を含む、症候性アテローム性下肢PADの患者に対し、心筋梗塞や虚血性脳卒中、血管死リスクを減少するための、アスピリンの代替となる安全で効果的な抗血小板療法として推奨される。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。文言を明確化>●クラスIIa1.抗血小板療法は、ABIが0.90以下の無症候性の人に対し、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少させる可能性がある。(エビデンスレベルC)<新たな勧告>●クラスIIb1.ABIが0.91~0.99の、ボーダーラインの無症候性の人に対する抗血小板療法が、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクを減少する効果があるかどうかについては、まだ立証されていない。(エビデンスレベルA)<新たな勧告>2.アスピリンとクロピドグレルの併用は、間欠性跛行または重症肢虚血、下肢血行再建術歴(血管内ステント留置術または外科的)や下肢虚血による切断術歴のある人で、出血リスクの増大がなく、既知の心血管リスクの高い人を含む、症候性アテローム性下肢PAD患者に対して、心筋梗塞や脳卒中、血管死リスクの減少を目的に考慮しても良い。(エビデンスレベルB)<新たな勧告>●クラスIII(利益なし)1.アテローム性下肢PADの患者に対し、有害心血管虚血イベントのリスク減少を目的に、ワルファリンを抗血小板療法へ追加投与することは、利益がなく、大出血リスクの増大のために、潜在的に有害となる。(エビデンスレベルB)<以前の勧告の変更。エビデンスレベルをCからBに変更>参照Rooke TW, et al. 2011 ACCF/AHA Focused Update of the Guideline for theManagement of Patients With Peripheral Artery Disease (updating the 2005 guideline):a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart AssociationTask Force on Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 2020-2045.

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がんでアルツハイマー病のリスクが低下?

がん患者はアルツハイマー病のリスクが低く、アルツハイマー病患者はがんのリスクが低下するという逆相関の関係がみられることが、米ボストン退役軍人医療センターのJane A Driver氏らの検討で示された。パーキンソン病ではがんのリスクが低減し、がんと神経変性疾患は遺伝子や生物学的経路を共有することが示されている。がんとアルツハイマー病の発症は逆相関することが示唆されているが、この関係はがんサバイバーに限定的な死亡の結果(アルツハイマー病発症年齢に達する前に死亡)なのか、それともアルツハイマー病患者におけるがんの過小診断(重度認知障害患者ではがん症状の検査が少ない)によるものかは不明だという。BMJ誌2012年3月31日号(オンライン版2012年3月12日号)掲載の報告。フラミンガム心臓研究のデータを使用した前向きコホート試験研究グループは、フラミンガム心臓研究のデータを用いてがんとアルツハイマー病のリスクの関連を評価し、アルツハイマー病の有無別のがんのリスクを推定するために、地域住民ベースのプロスペクティブなコホート試験および年齢、性別をマッチさせたコホート内症例対照試験を実施した。対象はベースライン(1986~1990年)時の年齢が65歳以上で、認知症がみられない1,278人とし、がんの既往歴の有無に分けて解析した。アルツハイマー病とがんのリスクのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。喫煙関連がん患者ではアルツハイマー病リスクが約4分の1に低下平均フォローアップ期間10年の間に、221人がアルツハイマー病の可能性ありと診断された。年齢、性別、喫煙状況で調整すると、がんサバイバーは非がん者に比べアルツハイマー病のリスクが有意に低かった(HR:0.67、95%CI:0.47~0.97)。特に、喫煙関連がん患者のアルツハイマー病リスク(HR:0.26、95%CI:0.08~0.82)は、非喫煙関連がん患者(HR:0.82、95%CI:0.57~1.19)に比べ低下していた。このアルツハイマー病のリスク低下とは対照的に、喫煙関連がん患者は脳卒中のリスクが2倍以上に増大していた(HR:2.18、95%CI:1.29~3.68)。コホート内症例対照試験では、アルツハイマー病患者は対照群に比べがんのリスクが有意に約60%低下していた(HR:0.39、95%CI:0.26~0.58)。著者は、「がんサバイバーは非がん者に比べアルツハイマー病のリスクが低く、アルツハイマー病患者はがんのリスクが低下していた」と結論し、「アルツハイマー病のリスクは喫煙関連がん患者で最も低く、これは生存バイアスのみでは十分には説明できない。このパターンはがんとパーキンソン病の関連に類似しており、がんと神経変性疾患には逆相関の関係があることが示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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AHA推奨の健康指標、遵守項目が多いほど死亡リスクは有意に減少

米国心臓協会(AHA)が推奨する7項目からなる心血管健康基準について、6項目以上を満たしている人は、1項目以下しか満たしていない人に比べ、全死亡リスクは半分以下、心血管疾患死や虚血性心疾患死リスクは3分の1以下に減少することが示された。米国疾病管理予防センター(CDC)のQuanhe Yang氏らが、約4万5,000人の成人データを調べて明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月28日号(オンライン版2012年3月16日号)で発表した。ただしYang氏は、同基準7項目すべてを満たしている人は、1~2%とごくわずかであったことについても言及している。同基準7項目を満たすのは、1~2%とごくわずか研究グループは、全米健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey ;NHANES)の、1988~1994年、1999~2004年、2005~2010年の3つの調査データを用い、20歳以上成人4万4,959人について調査を行った。被験者について、AHAが推奨する「非喫煙」「運動をしている」「血圧値正常」「血糖値正常」「総コレステロール値正常」「標準体重」「健康な食事を摂取」の7項目からなる心血管健康基準の適用度合いと、全死亡と、心血管疾患や虚血性心疾患による死亡リスクとの関連を分析した。結果、被験者のうち、同基準7項目をすべて満たしていたのは、1988~1994年群で2.0%、2005~2010年群で1.2%と、ごくわずかだった。追跡期間は中央値14.5年。その間に、全死亡2,673人、心血管疾患死1,085人、虚血性心疾患死が576人、それぞれ発生した。6項目以上達成群、1項目以下達成群に比べ、全死亡リスクは半分以下同基準項目のうち1項目以下しか満たしていない人の、年齢・性別標準化絶対死亡リスクは、全死亡が14.8、心血管疾患死が6.5、虚血性心疾患死が3.7だった(いずれも1,000人・年当たり)。一方、同基準を6項目以上満たしていた人では、全死亡が5.4、心血管疾患死が1.5、虚血性心疾患死が1.1だった。6項目以上達成群の1項目以下達成群に対する補正後ハザード比は、全死亡が0.49(95%信頼区間:0.33~0.74)、心血管疾患死が0.24(同:0.13~0.47)、虚血性心疾患死が0.30(同:0.13~0.68)だった。補正後集団寄与比率は、全死亡59%、心血管疾患死64%、虚血性心疾患死63%だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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PPI常用により、閉経後女性の大腿骨頸部骨折リスクが増大

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用により、閉経後女性の大腿骨頸部骨折のリスクが35%増大し、喫煙歴がある場合は50%以上高いことが、米マサチューセッツ総合病院のHamed Khalili氏らの検討で示された。米国では、PPIは2003年に処方箋なしの店頭販売が認可されて以降、胸焼け、胃食道逆流症、消化性潰瘍の治療薬としてその使用量が劇的に増加した。これまでのPPI使用と大腿骨頸部骨折の関連を検討した研究では相反する結果が報告されているが、これらの試験の多くはライフスタイルや食事という影響の大きい因子に関する情報が限られていたという。BMJ誌2012年2月25日号(オンライン版2012年1月31日号)掲載の報告。PPI常用と大腿骨頸部骨折の関連を前向きコホート試験で検証研究グループは、Nurses’ Health Studyに登録された女性を対象に、PPIの常用と大腿骨頸部骨折の関連を検証するプロスペクティブなコホート試験を実施した。Nurses’ Health Studyは1976年に開始された大規模なコホート試験で、米国の人口の多い11州からに30~55歳の女性が登録され、ライフスタイルや食事に関する詳細な情報が収集された。今回の検討では、2000年から2008年6月1日まで2年に1回のフォローアップで、PPI使用と他のリスク因子のデータを提供した閉経後女性7万9,899人における大腿骨頸部骨折の発生状況について解析した。骨折リスクが35%増加、喫煙歴があると50%以上に56万5,786人・年のフォローアップ期間中に、893件の大腿骨頸部骨折が発生した。1,000人・年当たりの大腿骨頸部骨折の絶対リスクは、PPI常用者が2.02件、非使用者は1.51件であった。2年以上PPIを常用していた女性の大腿骨頸部骨折のリスクは、非使用者に比べ35%高く(年齢調整ハザード比[HR]:1.35、95%信頼区間[CI]:1.13~1.62)、使用期間が長くなるに従ってリスクが増大した(傾向性検定:p<0.01)。この関連性は、体格指数(BMI)、運動、カルシウム摂取などを含めたリスク因子の調整を行っても大きくは変化せず(HR:1.36、95%CI:1.13~1.63)、PPI使用の理由を考慮しても変わらなかった。PPI使用と骨折の関連は喫煙歴の有無で差がみられた(交互作用検定:p=0.03)。喫煙者および喫煙歴のあるPPI使用者は、多変量解析による骨折のHRが1.51(95%CI:1.20~.191)であり、骨折リスクが50%以上増加した。これに対し、生涯非喫煙者ではPPI使用は骨折とは関連がなかった(HR:1.06、95%CI:0.77~1.46)。これらの結果と過去の10試験のメタ解析を行ったところ、PPI使用と大腿骨頸部骨折の統合オッズ比は1.30(95%CI:1.25~1.36)だった。著者は、「PPIの常用により、大腿骨頸部骨折のリスクが増大した。骨折リスクは喫煙歴のある女性で特に高かった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。CHD死低下の要因をモデル研究で評価研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示すポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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プライマリ・ケアで有用な卵巣がん患者早期発見のアルゴリズム開発

 プライマリ・ケアでの卵巣がん患者を見出すアルゴリズムが、英国・ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らによって開発された。同アルゴリズムを用いることで、リスクが最も高い人を早期に発見し、検査受診に結びつける可能性が認められたという。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月4日号)掲載報告より。2年間の30~84歳女性の卵巣がん発症・診断を予測可能か、特定のリスク因子で検証 Hippisley-Cox氏らのアルゴリズムは、年齢、卵巣がんの家族歴、卵巣がん以外のがんの既往、BMI値、喫煙、飲酒、社会的階層、食欲不振、体重減少、腹痛、腹部膨満、直腸出血、閉経後出血、頻尿、下痢、便秘、疲労、貧血の有無や状態をリスク因子とするものであった。 アルゴリズムについて、開発のために、大規模プライマリ・ケアデータベースのQResearchに登録する英国およびウェールズの開業医375人からのデータを、および検証のために189人からのデータを得て構成したコホート集団について検討した。 被験者は、2000年1月1日~2010年9月30日の間に登録されていた30~84歳の女性で、基線では卵巣がんと診断されておらず、また食欲不振、体重減少、腹痛、腹部膨満、直腸出血、閉経後出血もなかった。対象者について、2年間での卵巣がん発症・診断を主要評価項目として、Cox比例ハザードモデルを用いて検討した。予測能に優れる年腹部膨満、家族歴、腹痛、閉経後出血など独立予測リスク因子を特定 203万人・年のデータからなる開発コホート群での卵巣がん発症は976例であった。それらに対する独立予測因子は、年齢、卵巣がんの家族歴(リスクが9.8倍高い)、貧血(同2.3倍)、腹痛(同7倍)、腹部膨満(同23倍)、直腸出血(同2倍)、閉経後出血(同6.6倍)、食欲不振(同5.2倍)、体重減少(同2倍)であった。 検証解析の結果、リスク予測因子を用いることによる卵巣がんへの適時診断への変動値(R2統計値、高値ほど価値が高い)は57.6%だった。ROC統計値は0.84、D統計値は2.38だった。 最も高い予測リスクを有する女性の10%が、2年間の全卵巣がん患者の63%を占めていた。 以上を踏まえてHippisley-Cox氏は、「開発したアルゴリズムは、卵巣がんの最大リスク群を早期に検査受診へと誘導できる可能性を持っている。さらなる研究で、最適なアルゴリズム実施の時期、費用対効果、実施による健康アウトカムへの影響などを検討する必要がある」と結論している。

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心血管疾患の生涯リスクの差は、リスク因子の違いによる

心血管疾患の生涯リスクについて、黒人および白人の全年齢階層にわたって幅広く検討した結果、そのリスクの顕著な差は、個々人のリスク因子プロファイルの違いによるもので、人種や出生コホート群を問わず一貫したものであることが明らかにされた。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのJarett D. Berry氏らが、18の試験に参加した25万7,000人余のデータについて行ったメタ解析の結果、報告したもので、NEJM誌2012年1月26日号で発表された。黒人・白人の男女計25万7,384例のデータを基にメタ解析Berry氏らが解析対象としたのは、米国で過去50年間に行われた長期疫学コホートの被験者データを収集した「Cardiovascular Lifetime Risk Pooling Project」に組み込まれた参加者の個人データで、18試験の黒人・白人の男女計25万7,384例のデータであった。被験者は心血管疾患のリスク因子に関して、45、55、65、75歳時に測定を受けていた。それらデータから血圧値、コレステロール値、喫煙状況、糖尿病状態を用いて、参加者を5つのリスク因子プロファイルカテゴリー(全リスクが至適、至適でないリスク因子が1つ以上、上昇したリスク因子が1つ以上ある、重大リスク因子が1つある、重大リスク因子が2つ以上ある)に分類し、残る余生に推定される心血管イベントの生涯リスクを、45、55、65、75歳の各年齢カテゴリー群別に算出した。心血管疾患生存例は競合イベントとして処理された。人種や出生コホート群を問わず傾向は同じ結果、リスク因子プロファイルの全カテゴリーにわたり、心血管疾患生涯リスクについて顕著な差が認められた。55歳群において、リスク因子プロファイルが至適であった群(総コレステロール<180mg/dL、血圧:収縮期<120/拡張期<80、非喫煙、非糖尿病)は、重大リスク因子が2つ以上ある群と比べて、心血管疾患死のリスクが80歳まで大幅に低かった(男性間:4.7% vs. 29.6%、女性間:6.4% vs. 20.5%)。至適リスク因子プロファイルを有する群は、致死性冠動脈心疾患または非致死的心筋梗塞の生涯リスク(男性間:3.6% vs. 37.5%、女性間:<1% vs. 18.3%)、また致死的・非致死的脳卒中の生涯リスク(男性間:2.3% vs. 8.3%、女性間:5.3% vs. 10.7%)も低かった。同様の傾向は、黒人コホートおよび白人コホート、また多様な出生コホートを問わず認められた。

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40歳以上は2.4倍、血液型AB型は2倍など、死産リスクが明らかに:米国SCRN調査

米国で、妊娠診断時に入手した情報と死産との関連を調べた結果、母親が40歳以上だと同リスクは2.4倍、血液型がAB型だとO型に比べ2.0倍であることなどが明らかにされた。人種との関連では、黒人は白人と比べ死産リスクが2.1倍であることなども明らかになった。米国立小児保健発育研究所(NICHD)が死産という重大な公衆衛生問題に取り組むため組織した「The Stillbirth Collaborative Research Network」(SCRN)が、死産を経験した女性約600人についてケースコントロール研究を行い報告したもので、JAMA誌2011年12月14日号で発表した。黒人、死産経験あり、糖尿病などの独立リスク因子が判明SCRNは、2006年3月~2008年9月の間に全米59の3次救急を担う地域中核病院で登録された妊娠20週以降に死産した女性614人と、その対照群として生児出産をした女性1,816人について調査を行い、死産のリスク因子を分析した。結果、以下の独立した関連が認められた。母親が黒人の場合の、白人と比較した補正後オッズ比は2.12(95%信頼区間:1.41~3.20)だった。経産婦で死産・流産の経験がない人と比較して、死産経験がある人は5.91(同:3.18~11.00)、妊娠20週未満での流産経験がある未経産婦は3.13(同: 2.06~4.75)、妊娠20週未満での流産経験がない未経産婦は1.98(同:1.51~2.60)だった。また糖尿病の人は糖尿病でない人と比べ、同オッズ比が2.50(同:1.39~4.48)だった。BMI値30~34では1.72倍、シングルマザー1.62倍母親の年齢が40歳以上だと、20~34歳に比べ、死産発生に関する補正後オッズ比は2.41(同:1.24~4.70)だった。母親の血液型がAB型でのリスク増大が認められ、O型に比べた同オッズ比は1.96(同:1.16~3.30)だった。このほか、薬物嗜癖歴がある人2.08(同:1.12~3.88、ない人との比較)、妊娠3ヵ月以前の喫煙者(1日10本未満)1.55(同:1.02~2.35、非喫煙者との比較)、BMI値30~34の人1.72(同:1.22~2.43、BMI値18.5~24.9の人との比較)、シングルマザー1.62(同:1.15~2.27、入籍しパートナーと同居している人との比較)、多胎児妊娠4.59(同:2.63~8.00、単胎児妊娠との比較)であることなども明らかにされた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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動脈硬化性疾患の主な症状と危険因子は? 家族の「動脈硬化」に関する意識調査より

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは12月27日、全国の20代から50代の男女800名を対象に行った「動脈硬化に関する意識」調査を2011年12月上旬に実施し、調査結果を発表した。調査は、国内に居住する男女800名(20~50代、各セグメント100名)を対象に、インターネット上で行われた。同社はこの調査結果から、動脈硬化についての認知度や理解度、また、家族の健康への関心度についてをまとめた。概要は以下の通り。狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性の心臓病がある場合、その他の血管にも動脈硬化が起こっている可能性があることを知っていると回答した人は約5割(55.4%)であった。また、全身の動脈硬化が重症化した場合の主な症状について調査したところ、サンプルにあげた「心筋梗塞」「脳梗塞」「足切断」「失明」「腎不全」「麻痺」「言語障害」に対する認知度は、「心筋梗塞」が92%と最も高く、続いて「脳梗塞」91%、「言語障害」65.6%となり、最も低い「足切断」でも42.9%の人が知っていると回答した。その一方で、代表的な動脈硬化性疾患について、その症状などについて調査したところ、どの疾患についても約8割が知らないと回答した。また、家族の動脈硬化性疾患の危険因子について調査したところ、父母、祖父母ともにあてはまるリスクの1位に「高血圧」が、3位に「糖尿病」があげられた。あてはまるリスクの2位は、父・祖父では「喫煙習慣があること」で、母では「肥満」であった。さらに祖母においては「過去に狭心症・心筋梗塞や脳卒中を起こしたこと」が2位となり、これは父母・祖父にあてはまるリスクの4位にもあがっていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.jnj.co.jp/jjmkk/press/2011/1227/index.html

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初発の心筋梗塞後の院内死亡率、冠動脈心疾患リスクが少ないほど増大

 心筋梗塞を初めて発症し、それ以前に心血管疾患歴のない人の院内死亡リスクについて、5つの主要な冠動脈心疾患リスクの数との関連を調べた結果、リスクが少ないほど高くなる逆相関の関連がみられることが大規模試験の結果、示された。米国フロリダ州にあるWatson ClinicのJohn G. Canto氏らが、約54万人を対象とした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月16日号で発表した。これまで地域ベースでの急性心筋梗塞の冠動脈心疾患リスク因子数とアウトカムとの関連について、調査されたことはほとんどなかった。全米心筋梗塞レジストリ54万2,008人について調査 研究グループは、1994~2006年の全米心筋梗塞レジストリから、心筋梗塞を初めて発症し、それ以前に心血管疾患歴のない54万2,008人について調査を行った。 冠動脈心疾患の主要リスク因子である、高血圧、喫煙、脂質異常症、糖尿病、冠動脈心疾患の家族歴の5つと、院内総死亡リスクの関連について分析を行った。 被験者の平均年齢は66.3歳、うち女性は41.4%だった。そのうち、来院時に冠動脈心疾患のリスク因子が全く認められなかったのは14.4%、1~3個のリスク因子があったのは81%、4~5個のリスク因子があったのは4.5%だった。リスク因子0の人は、5つを有する人に比べ院内死亡リスクが1.54倍 リスク因子の数は、年齢が増すほど増加し、リスクがまったく認められなかった群の平均年齢は56.7歳だったのに対し、5つすべてが認められた群の平均年齢は71.5歳だった(傾向に関するp<0.001)。 被験者のうち、院内総死亡数は5万788人だった。補正前の院内死亡率は、同リスク因子が少ないほど高率で、リスク因子総数0群14.9%、同1群10.9%、同2群7.9%、同3群5.3%、同4群4.2%、同5群3.6%だった。 年齢とその他臨床的リスク因子を補正後、主要な冠動脈心疾患リスク因子の数と、院内総死亡率との間には逆相関の関連が認められた。同リスク因子総数0群の、同5群に対する同死亡に関するオッズ比は1.54(95%信頼区間:1.23~1.94)だった。

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胸部X線による肺がん検診、肺がん死亡率低下に効果なし

胸部X線による年1回の肺がん検診は、肺がん死亡率を低下しないと結論する報告が発表された。米国・ミネソタ大学のMartin M. Oken氏らが、15万人超を対象に行われた、がんスクリーニング無作為化比較試験「PLCO」から肺がんスクリーニング4年間の追跡結果を解析した結果で、JAMA誌2011年11月2日号(オンライン版2011年10月26日号)で発表した。胸部X線による肺がん検診の死亡率に対する有効性は、これまで明らかにされていなかった。追跡期間13年間で、肺がん死亡率、肺がん罹患率などを分析PLCOは前立腺、肺、大腸、卵巣の4つのがんスクリーニングを対象とする試験。被験者は毎年スクリーニングを受ける群と、通常の医療ケアを受ける群に割り付けられフォローアップが行われた。研究グループは、それら被験者の胸部X線による肺がんスクリーニングの死亡率の影響を調べた。1993~2001年にかけて、55~74歳の15万4,901人が無作為に割り付けられ、一方の群(7万7,445人)には年1回の胸部X線正面像撮影による肺がんスクリーニング検査が4年間にわたり行われた。もう一方の群(7万7,456人)には通常の医療ケアが行われた。スクリーニング検査の陽性結果に対するフォローアップについては、被験者とその医師らによって決定した。主要アウトカムは肺がん死亡率、副次アウトカムは肺がん罹患率と診断目的の処置による合併症、総死亡率とされた。追跡期間は13年、または2009年末時点までのいずれかで、先に到達した時点までで調査が行われた。累積肺がん罹患率、肺がん死亡率ともに両群で有意差なし検診群における肺がん検診実施率は、初回が86.6%、1~3年後は79~84%だった。対照群における検診実施率は、11%だった。追跡期間中の累積肺がん罹患率は、1万人・年当たり、検診群20.1、対照群19.2と、両群で有意差はなかった(累積肺がん罹患率比:1.05、95%信頼区間:0.98~1.12)。同期間中の肺がん死亡数も、検診群1,213人、対照群1,230人と、両群で同等だった(肺がん死亡率比:0.99、同:0.87~1.22)。肺がんの組織学的状態や病期についても、両群で有意差は認められなかった。また、大量喫煙者3万人超について6年間追跡して行ったサブグループ分析でも、検診群と対照群で、肺がん死亡率に有意差はなかった(肺がん死亡率比:0.94、同:0.81~1.10)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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現在・元ヘビースモーカーへの低線量CT肺がんスクリーニングで、COPD検出可能

現在および以前にヘビースモーカーであった人に対する、低線量CT肺がんスクリーニングは、感度63%、特異度は88%と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を検出可能であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのOnno M. Mets氏らが、1,140人を対象に行った前向き横断試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年10月26日号で発表した。50~75歳、1日16本、25年間喫煙といったヘビースモーカーを対象研究グループは、2007年7月~2008年9月にかけて、50~75歳の現在または過去の喫煙者男性、1,140人について試験を行った。被験者は、1日16本以上の喫煙を25年以上、または11本以上を30年以上などのヘビースモーカーだった。研究グループは被験者に対し、同一日に行う吸・呼気CT検査で、気管支拡張薬服用前の肺機能検査を行った。肺気腫の定義は、FEV1/FVCが70%未満だった。感度63%、特異度88%、陽性適中率76%、陰性適中率79%その結果、肺気腫が認められたのは、全体の38%にあたる437人だった。CTによる肺気腫や空気とらえ込み現象の検出、BMI、喫煙量(パック・年)、喫煙状況などで補正を行った結果、CT検査によるCOPD検出モデルのROC曲線下面積は0.83(95%信頼区間:0.81~0.86)だった。同モデルによって、COPD陽性と判定されたのは274人で、うち85人が偽陽性だった。COPDの同モデルによる検出感度は63%(同:58~67)、特異度は88%(同:85~90)、陽性適中率は76%(同:72~81)、陰性適中率は79%(同:76~82%)だった。被験者で症状のある人については、ROC曲線下面積は0.87(同:0.86~0.88)、症状のない人については0.78(同:0.76~0.80)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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喫煙は世界的な結核症例を増大し、死亡を増大する

喫煙は、将来的な結核症例数および死亡例を相当に増大することが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSanjay Basu氏らが行った数理モデル解析の結果、報告された。現在、喫煙者は世界で約20%だが、その割合は多くの貧困国で上昇すると予測されている。喫煙喫煙者自身の結核感染および死亡のリスク増大と結びついているが、これらリスクが集団へ及ぼす影響については明らかにされていなかった。BMJ誌2011年10月8日号(オンライン版2011年10月4日号)掲載報告より。現在の傾向で喫煙者が増えていけば2050年までに結核1,800万人、死亡4,000万人過剰に発生研究グループは、2010年から2050年までのWHO加盟国における結核の発生率、有病率、死亡率を算出し、喫煙傾向、症例の検出、治療の成功、HIV有病率により推定値がどう変化するかを推計した。結果、もし現在の趨勢で喫煙者が増えていけば、2010~2050年の間に、結核症例は1,800万症例(標準誤差:1,600万~2,000万)過剰に発生し、結核による死亡は4,000万人(同:3,900万~4,100万)過剰に生じることが予測された。積極的喫煙コントロールで、結核死亡例を2,700万例回避し得る喫煙による結核症例は、喫煙を原因としなかった場合と比べて7%上昇(2億7,400万vs. 2億5,600万)、同比較の死亡は66%上昇(1億100万vs. 6,100万)することが推計された。また喫煙は、1990年から2015年までに結核死亡率を半減するという国連のミレニアム開発目標を遅らせることも予測された。一方で推計モデルから、積極的な喫煙コントロールの介入(喫煙が根絶するまで1%/年ずつ喫煙有病者の割合を減らしていく)が、2050年までの喫煙を起因とする結核による死亡を、2,700万例回避し得ることが示された。しかし、もし喫煙者成人の割合が50%まで増大したら(喫煙率の高い国で認められたとして)、2050年までの結核による死亡はさらに3,400万例起こり得ると推計された。

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喫煙の冠動脈心疾患リスクへの影響、女性のほうが大きい

喫煙が冠動脈心疾患リスクの上昇に及ぼす影響は男性よりも女性で大きいことが、米国・ミネソタ大学のRachel R Huxley氏らの検討で示された。現在、世界の喫煙者数は11億人にのぼり、その5分の1が女性である。たばこを直接的原因とする死亡数は、毎年、500万人以上に達し、そのうち150万人が女性だという。この状況を放置すれば、2030年までにたばこで死亡する女性は250万にまで増加すると予想されている。喫煙は冠動脈心疾患のリスク因子だが、女性における喫煙の影響が男性と同じかは不明であった。Lancet誌2011年10月8日号(オンライン版2011年8月11日号)掲載の報告。前向きコホート試験のメタ解析研究グループは、喫煙が女性の冠動脈心疾患のリスクに及ぼす影響を男性との比較において検討することを目的に、文献を系統的にレビューしメタ解析を行った。1966年1月1日~2010年12月31日までに発表され、冠動脈心疾患や喫煙の相対リスクを男女別に検討したプロスペクティブなコホート試験を対象とした。データはinverse variance weightingによる変量効果モデルを用いて統合し、男女間の相対リスク比を推算した。若年女性の喫煙率が高い国は対策を86試験(391万2、809人、冠動脈心疾患イベント6万7、075件)に関する26論文が抽出された。冠動脈心疾患以外の冠動脈リスク因子で調整した75コホート(240万人)について総合解析を行ったところ、非喫煙者との比較における喫煙者の冠動脈心疾患リスクは、男性よりも女性で有意に高かった(相対リスク比:1.25、95%信頼区間:1.12~1.39、p<0.0001)。このアウトカムは出版バイアスで調整後も変化せず、試験間の大きな不均一性も確認されなかった(p=0.21)。追跡期間が1年長くなるごとに、相対リスク比は2%ずつ大きくなり、これは有意な変化であった(p=0.03)。53試験の統合データでは、喫煙経験者と非喫煙者の相対リスクに男女差は認めなかった(相対リスク比:0.96、95%信頼区間:0.86~1.08、p=0.53)。著者は、「冠動脈心疾患リスクにおける性差の基本的なメカニズムが、生物学的な要因によるのか、喫煙行動の男女差に関連するものなのかは不明」とし、「特に若年女性の喫煙率が上昇している国では、女性を対象とする喫煙管理プログラムの実施を考慮すべき」と提言している。(菅野守:医学ライター)

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旧社会主義国生まれの禁煙補助薬シチシンの有効性と安全性

1964年にブルガリアで発売され、40年以上にわたり旧社会主義国で商品名Tabexとして流通してきた禁煙補助薬シチシンについて、英国・ロンドン大学のRobert West氏らが、有効性と安全性に関する単施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。一部の禁煙補助薬には寿命保持への費用対効果が認められるが、国によってはその治療コストが喫煙コストよりも非常に高くつく(たとえば中国では、8週間課程ニコチン補充療法230ドルに対しタバコ20本約73セント、15セントのものもあるという)。シチシンは、2004年にEU加入後も発売を続けるポーランドでは15ドル、またロシアではOTC薬として6ドルほどで入手でき、研究グループはその低コストに着目した。NEJM誌2011年9月29日号掲載報告より。25日間治療終了後、12ヵ月の継続禁煙を評価シチシンは、α4β2ニコチンアセチルコリン受容体と高親和性に結合する部分的作動薬で、至適用量についての検討をはじめ現在標準に適合した治験は行われていない。研究グループは、比較的短期治療(25日間)および最低限の医療専門家との接触でとの設定で、ポーランドのワルシャワにあるSklodowska-Curie記念がんセンターで被験者を募り行った。1,542例がスクリーニングを受け、740例が登録され、シチシン投与群(370例)とプラセボ投与群(370例)に無作為化に割り付けられた。シチシン投与は、2004年にEUに加盟した国で許可されている方法に従い、1~3日は1日6錠(2時間ごとに1錠服用)、4~12日は同5錠、13~16日は同4錠、17~20日は同3錠、21~25日は同2錠のスケジュールで行われた。両群被験者は治療期間中4回のカウンセリング[0、0~7(電話)、7、28日目]を受け、投与終了後6ヵ月の間に2回、さらにその後6ヵ月の間に2回のフォローアップを受けた。主要評価項目は、投与終了後12ヵ月間の化学的に確認された継続禁煙とされた。世界的な禁煙促進の安価な治療薬と成りえる被験者登録は2007年12月10日に開始され、フォローアップ最終は2010年9月2日だった。結果、投与終了後12ヵ月継続禁煙の割合は、シチシン群8.4%(31例)、プラセボ群2.4%(9例)だった(格差:6.0ポイント、95%信頼区間:2.7~9.2、P=0.001)。最終12ヵ月時点フォローアップ前週の禁煙達成者は、シチシン群13.2%、プラセボ群7.3%だった(P=0.01)。両群計10例以上が報告された消化器系、精神医学的、神経系、皮膚・皮下組織の4区分の有害事象のうち、シチシン群の頻度が最も高かったのは消化器系イベントで、プラセボ群との格差は5.7ポイント(95%信頼区間:1.2~10.2)だった。研究グループは、「この単施設試験において、シチシンはプラセボより有効だった。他の禁煙療法と比べて安価であるシチシンは、禁煙を世界的に促進させるために手に入れやすい治療と成りえる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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