サイト内検索|page:69

検索結果 合計:1918件 表示位置:1361 - 1380

1361.

膵がんアジュバントにおけるmFOLFIRINOXの可能性(PRODIGE 24/CCTG PA.6)/ASCO2018

 切除後の膵臓がんでは、術後補助化学療法を行ったにもかかわらず、7割の患者が2年以内に再発するとされる。そのため、より良好な成績の術後補助化学療法が求められている。この術後化学療法として、フルオロウラシルのボーラス投与を省いたmodified FOLFIRINOX(mFOLFIRINOX)療法とゲムシタビン単剤療法を比較した第III相試験PRODIGE 24/CCTG PA.6が行われ、その結果をフランス・Institut de Cancérologie de LorraineのThierry Conroy氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験の登録患者はR0、R1切除施行、術後12週間以内の腫瘍マーカーが180U/mL未満で化学療法、放射線療法の治療歴のないPS 0~1の膵がん患者。患者は、mFOLFIRINOX(オキサリプラチン85mg/m2、レボホリナート200mg/m2、イリノテカン180mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m246時間持続投与)を2週間ごと最大12サイクル施行したmFOLFIRINOX群と、ゲムシタビン1,000mg/m2を3または4週間ごとを最大6サイクル施行するゲムシタビン群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)、副次評価項目は毒性、全生存期間(OS)、3年時点のがん特異的生存率(SS)、無転移生存期間(MFS)とした。 2012年4月~2016年10月に493例が登録され、mFOLFIRINOX群は247例、ゲムシタビン群は246例であった。追跡期間中央値は33.6ヵ月。 DFS中央値は、mFOLFIRINOX群が21.6ヵ月(17.7~27.6)、ゲムシタビン群が12.8ヵ月(11.7~15.2ヵ月)と、mFOLFIRINOX群で有意に延長した(HR:0.58、95%CI:0.46~0.73、p

1362.

オラパリブ、BRCA変異陽性乳がんに国内適応拡大

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年7月2日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)が、「がん化学療法治療歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌」を適応症とする製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。 リムパーザの処方は、コンパニオン診断プログラムである「BRACAnalysis 診断システム」による、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異の判定結果に基づき決定される。■関連記事オラパリブ、BRCA変異陽性乳がんにおける全生存期間の最新データを発表/AACR2018オラパリブの乳がんコンパニオン診断プログラムが国内承認FDA、BRCA変異転移乳がんにオラパリブ承認

1363.

ASCO2018レポート 乳がん-1

レポーター紹介2018年ASCOのテーマは、”Deliverling Discoveries:Expanding the Reach of Precision Medicine”であった。その言葉どおり、プレシジョンメディスンの言葉が随所に散りばめられていた。まさに遺伝子解析から治療を選択する時代に突入している。がん種によらず腫瘍の遺伝学的特徴から治療を決めることは当たり前の状況になっていくであろう。それに伴い、胚細胞遺伝子変異、すなわち、遺伝性腫瘍との関わりも重要視されてきており、先駆けて臨床遺伝専門医制度の指導医まで獲得しておいて良かったと思うと同時に、日本家族性腫瘍学会において家族性腫瘍専門医制度が開始されたことも時代の要請だろう。免疫療法の話題も増加している。すでにFDAが複数のがん種においてペムブロリズマブやニボルマブを認可しており、一般病院への影響についてのレクチャーもあったくらいである。乳がんというくくりでは、まだ第III相試験が行われている段階ではある。TAILORx試験最初はなんといってもプレナリーセッションからである。TAILORxは、ER+/HER2-リンパ節転移陰性乳がんに対してOncotype Dxでの中間リスクを、化学療法を追加する群としない群に分けて予後をみた大規模無作為化比較試験である。発表と同時に論文化されている(Sparano JA, et al. N Engl J Med. 2018Jun 3. [Epub ahead of print])。それ以前に低リスクでは、化学療法の追加の意義はなく、内分泌療法だけで良いことが示されている。本研究での中間リスクはリスクスコア11~25としていて、メーカーが設定しているスコアとは範囲が異なることは注意する必要がある。非劣性試験であり、全6,711名の患者が割り付けられた。化学療法はTCが56%でアントラサイクリン含むレジメンは36%であった。63%は腫瘍径1~2cm、57%は腫瘍グレードが中間であった。結果は主要評価項目である浸潤DFS、副次評価項目である遠隔RFIともまったく差はなく、非劣性が証明された。もちろんRFI、OSも非劣性である。発表の中では、探索的分析が行われており、年齢50歳以下では、リスクスコア16~25で2群間の差は浸潤DFS 9%、遠隔再発2%、21~25で浸潤DFS 6%であった。結論として、リスクスコア16~25では50歳以下で化学療法のベネフィットがあるかもしれないと要約している。しかしこれは後付けの解析であることから、さまざまな因子のサブ解析の中で、たまたま年齢だけ差が出た可能性もあり、あくまで参考程度にみておくのが良いだろう。また、化学療法群で18.4%が化学療法を受けておらず、非化学療法群で5.4%が化学療法を受けていたところが気にはなる。ASTRRA試験ASTRRA試験は化学療法後に卵巣機能が残っている方に対して、タモキシフェン(5年)に卵巣機能抑制(2年)を追加することの効果をみたもので、韓国からの報告である。化学療法後2年のうちに卵巣機能が回復したり、生理がある方をそれぞれ無作為に割り付けしている。症例数の蓄積に時間がかかったようで登録期間は2年から5年に延長された。計1,293名が割り付けされた。年齢中央値は40歳で、50%以上がn+であった。またHER2陽性が10%以上存在した。化学療法はAC-Taxaneが50%以上であった。5年DFSは有意に卵巣機能抑制群で優っていた(HR=0.686、0.483~0.972、p=0.033)。サブ解析でも一定の傾向はみられなかった。OSも卵巣機能抑制群で有意に優れていた(HR=0.310、0.102~0.941、p=0.029)。SOFT試験と比較するというより、SOFT試験と組み合わせて治療方針を練ると、卵巣機能抑制の適応をより選択的に決めることであろう。すなわち、化学療法により卵巣機能が抑制されなかった、あるいは抑制されていても2年のうちに回復したハイリスク患者に対してLHRHaを用いる価値があるものと思われる。しかし、問題点はタモキシフェンを使用していると卵巣機能の回復がわかりにくいことであるが、本試験ではFSH<30U/mLを卵巣機能ありとしている。BRCA変異を有する早期乳がん患者における術前タラゾパリブタラゾパリブはPARP阻害剤であり、第III相試験であるEMBRACA試験において、医師選択の化学療法と比較して有意にPFSを延長したことが報告されている。また初期のfeasibility試験においてタラゾパリブは腫瘍量を2ヵ月で88%減少させていた。今回は術前治療としてタラゾパリブを6ヵ月内服し、手術を行った結果が報告された。BRCA1変異が17名、BRCA2が3名であり、TNBCが15例であった。pCRは53%であり、pCRまたはほぼpCRは63%であった。BRCA1か2かにかかわらず、またTNBCかHR+かにかかわらず良い効果を示していた。安全性に関しては貧血、好中球減少が主なもので、非血液毒性はほぼ軽微であった。輸血例も8例いた。9例で減量を要していた。かなり高いnear pCR率であり、早期乳がんの補助療法におけるPARP阻害剤の役割が今後注目を集めていくであろう。本剤の至適使用期間も課題である。PERSEPHONE試験PERSEPHONE試験はHER2陽性乳がんに対して術前術後補助療法としてのトラスツズマブ6ヵ月と12ヵ月を比較する、サンプルサイズ4千例の大規模な非劣性試験である。4年DFSが12ヵ月のトラスツズマブで80%と評価され、非劣性として3%を下回らないことが条件である。片側有意差5%、検出力85%である。実際に4,089例がリクルートされ、4,088例が解析された。ER陽性が69%と高くアントラサイクリンベースが41~42%、アントラサイクリン-タキサンベースが48~49%であった。トラスツズマブのタイミングは同時が47%、逐次投与が53%であった。また、58~60%がリンパ節転移陰性であった。結果は中央値5.4年でDFSが非劣性であった(HR=1.07、0.93~1.24)。予定されていたサブ解析では目立つものはなかったが、タキサンベースまたはトラスツズマブ同時投与で12ヵ月投与が良好であった。もちろんOSも完全に非劣性である。心毒性のためにトラスツズマブを中止したのは6ヵ月投与で4%、12ヵ月投与で8%であった。今まで複数のトラスツズマブ投与期間に関する試験の結果が明らかとなっており、はじめて非劣性が証明された。しかし、今回のPERSEPHONE試験の結果をもって診療が変わるわけではない。ASCO2017の報告でトラスツズマブ1年投与の適応について詳しく述べており、またSABCS2017の報告でメタアナリシスとSOLD試験の結果をまとめているので参照してほしい。

1364.

小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018

 ペムブロリズマブは、PD-L1陽性固形がんに対するマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-028で、化学療法歴のある小細胞肺がん(SCLC)に対する有効性と高い忍容性が認められている。このKEYNOTE-028に続く試験として、SCLCを含む10種類とMSI-Hの固形がんを対象としたマルチコホート第II相試験KEYNOTE-158が行われた。そのSCLCの解析結果を、韓国・延世大学医学部延世がんセンターのHyun Cheol Chung氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験に登録されたSCLC患者は107例。患者は、3週ごとにペムブロリズマブ200mgを最大2年間投与された。追跡期間中央値は9.3ヵ月(0.5~22.3ヵ月)。前治療歴は1次治療が42%、2次治療が34%、3次治療以上が23%。PD-L1陽性は39%、陰性が47%、不明が14%であった。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性。 主要評価項目のORRは18.7%(95% CI:11.8~27.4%)。PD-L1発現状況別ORRは、陽性が35.7%(21.6~52.0%)、陰性が6.0%(1.3~16.5%)、MSI-H以外が91%を占めた。 副次評価項目は、全症例でのPFS中央値が2.0ヵ月(1.9~2.1ヵ月)。PD-L1発現状況別では陽性が2.1ヵ月(2.0~8.1ヵ月)、陰性が1.9ヵ月(1.6~2.0ヵ月)。また、全体のOS中央値8.7ヵ月(5.6~12.0ヵ月)、PD-L1陽性では14.9ヵ月(5.6ヵ月~未達成)、陰性が5.9ヵ月(3.3~10.1ヵ月)。DORは未達成。 治療関連有害事象の発現率は60%で、発現率10%以上のものは疲労感(14%)、皮膚掻痒(12%)、甲状腺機能低下症(12%)、食欲不振(10%)、悪心(10%)。Grade3~4の有害事象発現率は12%で、頻度が多かったものは急性膵炎(2%)だった。 ■参考ASCO2018Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

1365.

チオ硫酸Na、シスプラチン誘発難聴予防に有効/NEJM

 標準リスク肝芽腫の小児において、チオ硫酸ナトリウムをシスプラチンによる化学療法終了後に追加投与することで、全生存と無イベント生存に影響することなく、シスプラチン誘発難聴の発生率が低下した。英・Great Ormond Street HospitalのPenelope R. Brock氏らが、シスプラチンによる聴覚障害に対するチオ硫酸ナトリウムの予防効果を検討した評価者盲検無作為化第III相臨床試験(SIOPEL6試験)の結果を報告した。標準リスク肝芽腫の小児に対するシスプラチンと外科手術は有効な治療法であるが、多くの患者に不可逆的な聴覚障害を引き起こすことが知られていた。NEJM誌2018年6月21日号掲載の報告。シスプラチン単独投与とチオ硫酸ナトリウム追加投与で、最小可聴値を評価 研究グループは、2007~14年に12ヵ国52施設において、生後1ヵ月超~18歳未満の標準リスク肝芽腫(肝病変3区域以下、転移なし、α-フェトプロテイン値>100ng/ml)小児116例を登録し、シスプラチン単独投与群(80mg/m2体表面積を6時間以上かけて投与)と、チオ硫酸ナトリウム追加併用投与群(シスプラチン投与終了6時間後に、20g/m2体表面積を15分以上かけて静脈内投与)に無作為に割り付け、いずれも術前4クールおよび術後2クール投与した。 主要評価項目は、最低年齢3.5歳時における純音聴力検査による最小可聴値で、聴覚障害はBrockグレード(0~4、グレードが高いほど聴覚障害が重度)で評価した(中央判定)。主な副次評価項目は、3年全生存および無イベント生存などであった。チオ硫酸ナトリウムの追加投与により、聴覚障害の発生率が半減 登録された116例中113例が無作為化され、不適格症例を除く109例(チオ硫酸ナトリウム追加併用群57例、シスプラチン単独群52例)が解析対象(intention-to-treat集団)となった。 絶対聴覚域値の評価可能症例101例において、Brockグレード1以上の聴覚障害の発生率はチオ硫酸ナトリウム追加併用群33%(18/55例)、シスプラチン単独群63%(29/46例)であり、チオ硫酸ナトリウム追加併用により聴覚障害の発生が48%低下することが確認された(相対リスク:0.52、95%信頼区間[CI]:0.33~0.81、p=0.002)。追跡期間中央値52ヵ月における3年無イベント生存率は、チオ硫酸ナトリウム追加併用群82%(95%CI:69~90)、シスプラチン単独群79%(95%CI:65~88)、3年全生存率はそれぞれ98%(95%CI:88~100)および92%(95%CI:81~97)であった。 重篤な副作用は16例に認められ、このうちチオ硫酸ナトリウムと関連があると判定されたのは8例(Grade3の感染症2例、Grade3の好中球減少2例、Grade3の輸血を要する貧血1例、腫瘍進行2例、Grade2の悪心嘔吐1例)であった。

1366.

EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、1次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は、化学療法歴のない術後再発あるいはStageIIIB~IVでPS 0~2のEGFR変異陽性NSCLCで、エクソン19欠失変異あるいはL858R点突然変異を有する患者。無症候性脳転移を有する症例は登録可能とした。患者は、ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)とエルロチニブ単独連日投与群(E群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 2015年6月3日~2016年8月31日に228例の患者が登録された(BE群、E群ともに114例)。追跡期間の中央値は12.4ヵ月で、PFS解析のデータカットオフ日は2017年9月21日。 主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9カ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3カ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.0157)。 副次評価項目のうち、ORRはBE群が72.3%、E群が66.1%、DCRはBE群が94.6%、E群が96.4%で両群間に有意差はなかった。 Grade3以上の有害事象発現率は、BE群が56.3%、E群が37.7%でBE群のほうが高かった。Grade3以上の有害事象としてはBE群でベバシズマブに関連する高血圧症が22.3%、蛋白尿が7.1%とE群に比べて有意に高い発現率(高血圧症はp<0.001、蛋白尿がp<0.01)だったが、その他はエルロチニブに伴う皮疹(BE群が20.5%、E群が21.1%)などで両群間に差はなかった。また、全GradeではBE群で出血が25.9%と、E群に比べて有意に高い発現率だった(p<0.001)。 これらの結果から、古谷氏は「エルロチニブとベバシズマブの併用療法はエルロチニブ単独に比べ有意にPFSを延長しており、EGFR陽性NSCLCの新たな標準治療と考えられる」との見解を示した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

1367.

第2回 「抜歯したら抗菌薬」は本当に必須か【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 先日、歯科医師の友人から、抜歯後に抗菌薬を処方しなかったことで薬剤師からクレームを受けた、という話を聞きました。次のような経緯だったようです。・某日午前、ある女性患者さんの上顎第3大臼歯(親知らず)の残根を抜歯し、術後疼痛対策としてアセトアミノフェンを処方したが、抗菌薬は処方しなかった。・同日夕方、救急外来にこの女性患者さんの旦那さんである薬剤師からクレームの電話が入り、「抜歯したのになぜ抗菌薬を処方しないのか」と言われた。はたして抜歯をする際は感染症を予防するための抗菌薬は必須なのでしょうか。今回は、抜歯時の抗菌薬の有用性について検討したコクランのシステマティックレビューを紹介します。Antibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.論文では、「抜歯処置を受ける患者さんが、術前あるいは術後に抗菌薬を服用すると、抗菌薬なしまたはプラセボ服用に比べて、感染症の発生リスクが下がるか」という疑問が検討されています。本論文で組み入れられた研究では、主にアモキシシリン(±クラブラン酸)、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどが投与されています。なお、日本感染症学会、日本化学療法学会による「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―」でも、歯性感染症ではペニシリン系、リンコマイシン系、マクロライド系などが推奨されています。日本ではルーティンで第3世代セフェム系薬を処方する歯科医師が多いと感じていますが、これらは必ずしも歯性感染症に適するわけではないですし、概して吸収率も高くはありません。抗菌薬を服用すると12例中1例で感染予防さて、システマティックレビューの評価ポイントはいくつかあります。過去の研究を網羅的に集めているか、集めた研究の評価が適切になされているか、それらの研究の異質性は検討されたか、出版バイアスはないか、情報は適切に統合されたか、などの点を確認することが大切です。本論文では1948年~2012年1月25日までにMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CHSSSといったデータベースに登録されている関連論文を網羅的に集めています。集められた試験のデザインはランダム化比較試験で、うち1件はインターバルが6週間以上のクロスオーバーランダム化比較試験です。クロスオーバーは同じ被験者がウォッシュアウト期間を十分に設けた後に、異なる介入を受けることを意味します。そう何回も抜歯をやるの? という疑問もあるかもしれませんが、スプリットマウスデザインという、同一被験者の口内の左右では条件差がさほどないことを利用して、左右の歯でウォッシュアウト期間をおいて抜歯を行ったものと考えられます。出版バイアスの有無はファンネルプロットを用いて検討されていますが、術後および術前・術後におけるプロットが少ないため判定がやや難しいところです。なお、コクランのハンドブックによれば、一般的にプロットの数が10個以下だとファンネルプロットの左右対称性から出版バイアスを見極めることは難しいとされています。集められた各研究の評価は、2人のレビュアーにより独立して行われ、解釈に食い違いが生じた場合には議論のうえで合意を形成しているため、一定の客観性があると考えてよさそうです。なお、レビュアー名を検索したところ、両名とも歯科医師のようです。最終的に、集められた研究のうち、18件(患者合計2,456例)の研究が採用され、15件がメタ解析されています。システマティックレビューの結果は、通常Summary of Findings(SoF)テーブルとフォレストプロットにまとめられているので、ここを真っ先に見るとよいでしょう。エンドポイントに関する結果を紹介します。抗菌薬を投与した場合、プラセボと比較して抜歯後の局所感染症を約70%減らす(相対リスク:0.29、95%信頼区間:0.16〜0.50)とあり、エビデンスの質としては中程度の確信となっています(p<0.0001)。これは、約12例で抗菌薬を服用すれば、1例は感染症を予防できるという割合です。痛み、発熱、腫れには有意差はありませんでした。有害事象に関しては、抗菌薬投与でほぼ倍増(相対リスク:1.98、95%信頼区間:1.10~3.59)しますが、軽度かつ一時的ということ以外の具体的な内容は本文献ではわかりません。抗菌薬の必要性は侵襲性の程度や患者要因で変わりうるシステマティックレビューは既存の知見を網羅的に集めて質的評価を行い、統計学的に統合することから、しばしばエビデンスの最高峰に位置付けられますが、統合することで対象患者などの細かいニュアンスが省略されるため、その結果を応用する際は外的妥当性を十分に考えねばなりません。本結果を素直に解釈すれば、感染予防のベネフィットがややあるものの、抜歯処置の侵襲性の程度や感染症リスクによっては抗菌薬が処方されないことも十分考えられます。もし服用を検討するのであれば、アレルギーや副作用歴がない限りはペニシリン系やクリンダマイシンなどが比較的妥当な選択となりそうです。現実には下痢の頻度や抗菌薬アレルギーのリスク、冒頭の例であれば歯科医師と患者の関係なども抗菌薬が必要かどうかの考慮事項となりうるでしょう。いずれにせよ、短絡的に抜歯=抗菌薬と断定するのではなく、患者の状態や歯科医師の意図をくみ取ったうえで適切なアクションをとりたいものです。画像を拡大するAntibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.

1368.

ASCO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介本年度の米国臨床腫瘍学会年次総会が、2018年6月1日~5日まで例年どおり米国シカゴで開催された。消化器がん領域における注目演題についてレポートする。とくに胃がん領域においては、本邦より2人もの演者がoralで発表されており、日本人として大変誇らしく感じた。JACCRO GC-07 trial本邦の実臨床に最もインパクトがあった演題として、pStageIII胃がんにおけるドセタキセル+S-1(DS)併用療法のS-1療法に対する優越性が証明されたJACCRO GC-07 trialをまずは報告する。本邦では、pStageIII胃がんに対する術後補助化学療法として、S-1療法1年またはCapeOX療法6ヵ月を行うことが標準治療として位置付けられている。しかしながら、ACTS-GC試験のサブグループ解析では、手術単独群に対するS-1療法群の全生存期間におけるHR(ハザード比)がpStageIIIAで0.67、StageIIIBで0.86と報告されており、いずれも効果が不十分と考えられてきた。そこで、根治切除(胃切除+D2郭清)を行ったpStageIII胃腺がんを対象として、S-1療法に対するDS療法の優越性を検証したJACCRO GC-07 trialが行われた。主要評価項目は3年無再発生存(RFS)であり、S-1療法群の3年RFSを62%、HRを0.78とし、両側検定α=5%、検出力80%を確保するために、必要な症例数は1,100例と算出された。2回目の中間解析において(登録患者915例、イベント数216)、3年RFSがS-1療法群49.5%vs.DS療法群65.9%(HR=0.632、p=0.007)と、DS療法群で有意に良好であったことから、2017年9月に効果安全評価委員会において有効中止の勧告がなされた。登録された両群の患者背景には明らかな差が認められず、また明らかな交互作用は観察されなかった。再発部位は、リンパ節、腹膜、血行性転移いずれもDS療法群で少ない傾向であった。有害事象に関しては、白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症がDS療法で多かったもののマネージメントは十分可能な範囲であった。演者らは、本試験の結果をもって、根治切除後のpStageIII胃がんに対して、DS療法は新たな術後補助療法の標準治療として推奨されると結論付けた。会場では、S-1療法群の成績が従来の本邦からの報告よりやや悪いことが指摘されていた。個人的には、本邦で行われた良質な第III相試験であること、昨年公表された欧州での第III相試験でFLOT療法(DTX+5FU+L-OHP)の有効性が示されていること、エビデンスレベルという点からも、術後DS療法は標準治療として位置付けられると考えられ、今後は実地臨床にも広く用いられることになるだろう。また、用量強度やOSのupdate解析などの報告にも注目したい。KEYNOTE-061試験現在、本邦では胃がん領域においても2017年9月から免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。また、米国においては、ペムブロリズマブが既治療の胃がんに対してFDAで承認を受けている。本試験は、切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける2次化学療法として、ペムブロリズマブ療法とパクリタキセル療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として実施された。当初は、PD-L1発現の有無にかかわらず患者が登録されたが、登録途中でPD-L1陽性(CPS≧1)のみを登録することに変更となった(CPS:combined positive score、PD-L1陽性の細胞数[腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ]/全生存細胞数×100)。主要評価項目は、PD-L1陽性例におけるOSとPFSとし、試験全体の片側α=0.025、OSにおける優越性を示すにはp<0.0135を達成する必要がある統計設計で実施された。登録された患者背景に両群で差は認めなかった。PD-L1陽性例における生存期間中央値(MST)は、ペムブロリズマブ療法9.1ヵ月vs.パクリタキセル療法8.3ヵ月、HR 0.82、片側p=0.042であり、両群で有意差はなかった。ただし、解析時点でペムブロリズマブ群では15例が投与継続(パクリタキセル群は0例)されており、実際に12ヵ月生存割合は39.8%vs.27.1%、18ヵ月生存割合は25.7%vs.14.8%とペムブロリズマブ群で長期生存例が多かった。PD-L1発現別の解析では、CPSが高いほどペムブロリズマブの効果が高まることが示された。また、MSI-High例(全体の5%)では、ペムブロリズマブ療法群でOS、奏効割合がともに良好であった(OSは未達、奏効割合46.7%)。主要評価項目であるPD-L1陽性例におけるOSにおいて、統計学的有意差は示せない結果となった。ただし、今後の進行胃がんの化学療法を考えるうえでは、非常に重要かつ示唆に富む結果が得られたと個人的に感じている。具体的には、先のATTRACTION-2試験(ニボルマブとプラセボを比較した、胃がんにおけるSalvage lineの第III相試験)では、PD-L1発現の有無ではニボルマブの効果予測は困難であったが、CPSというPD-L1陽性の定義を用いると免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ができるかもしれない点や、既報と同様にやはりMSI-Hでは胃がんであっても高い奏効割合、治療効果が示される点などである。ディスカッサントからも指摘があったように、今後は、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法や化学療法との併用療法などの結果が注目され、胃がん化学療法の進歩に期待したいところである。なお、本結果は発表同日にLancet誌に掲載され、インパクトあふれる発表であった。PRODIGE 24/CCTG PA.6試験膵がんの術後補助化学療法は、従来はゲムシタビン療法が標準治療として位置付けられていたが、近年、本邦で実施されたJASPAC-01試験の結果から本邦ではS-1療法が、欧米ではゲムシタビン+カペシタビン療法が確立された。また、遠隔転移を有する膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法(5-FU+LV+イリノテカン+L-OHP)が標準治療として用いられている。そこで、切除後膵がんに対する術後補助療法としてのゲムシタビン療法に対するFOLFIRINOX療法の優越性を検証する第III相試験が計画された。本試験で用いられているFOLFIRINOX療法は、毒性の点からmodified FOLFIRINOX療法(mFFX、5-FU 2,400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+イリノテカン180mg/m2+オキサリプラチン85mg/m2、2週ごと、12サイクル)が採用された。主要評価項目は無病生存(DFS)期間として、3年DFS率のHRを0.74、両側α=0.05、検出力80%として必要な症例数は490例と算出された。なお、開始後30例でGrade3以上の下痢を20%に認めたため、以降はイリノテカンの用量が150mg/m2に変更されている。2012年4月~2016年10月までに493例が登録され、2018年2月に効果安全評価委員会において早期結果公表が勧告されたため、今回、データが発表された。登録された患者背景では、リンパ管腫瘍塞栓のみ群間差を認めたがその他は両群に有意な差は認めなかった。DFS期間の中央値は、mFFX療法群21.6ヵ月、ゲムシタビン療法群12.8ヵ月、HR 0.58(p<0.0001)であり、mFFXで有意に良好であった。OSの中央値は、mFFX療法群54.4ヵ月、ゲムシタビン療法群35.0ヵ月、HR 0.64(p=0.003)であった。有害事象として、好中球減少、発熱性好中球減少に差はなかったが、mFFX療法群でG-SCF使用の割合が有意に高かった。また、非血液毒性として、下痢、末梢性感覚ニューロパチー、疲労、嘔吐、口内炎がmFFX群で有意に高かった。以上から、演者らは、mFFX療法は、毒性が増すものの、全身状態が良好な患者における欧米における標準治療と結論付けている。本邦で行われたという点においては、JASPAC-01試験の結果から、毒性の点から、S-1療法は本邦における標準治療としての位置付けは揺るがないだろう。しかしながら、JASPAC-01試験、本試験ともに大規模第III相試験から得られた結果という点では、同等のエビデンスとも考えられ、すでに転移性の膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法は実地診療で行われている。とくに、本試験のサブグループ解析では、mFFX療法でR1切除、N1切除の成績が良好であったことから、予後不良な症例にはmFFXは期待できるのかもしれない。

1369.

食道がん3次治療、ペムブロリズマブの効果(KEYNOTE-180)/ASCO2018

 現在、進行および転移のある食道がんでは5-FU+シスプラチン併用療法を軸にした治療がスタンダードだが、多くの症例では2~3次治療で治療選択肢が尽き、一般的には予後が悪い固形がんと認識されている。 一方、食道がんでは免疫による攻撃を回避する分子PD-L1の発現が高頻度で認められるため、免疫チェックポイント阻害薬の有効性に注目が集まっている。 こうした中で進行および転移のある食道がんの3次治療として、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を用いた第II相試験であるKEYNOTE-180の結果を、Weill Cornell Medical CollegeのM.A.Shah氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験の対象となったのは、化学療法を2次治療以上まで行った進行および転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、食道胃接合部領域がんの患者。登録された患者では、3週ごとにペムブロリズマブ200mgが投与された。 主要評価項目は全奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)、安全性・忍容性とした。なお、登録した患者では治療前検体で、22C3抗体を用いた免疫組織染色でPD-L1発現を測定。腫瘍細胞CPS(Combined Positive Score;PD-L1で染色された細胞数)10%以上をPD-L1陽性と規定した。 試験には121例の患者が登録され、今回の結果は2017年9月18日をカットオフとした。登録患者の9%にあたる11例では、カットオフ日以降も治療が継続されている。追跡期間の中央値は5.8ヵ月で、登録患者の組織型別割合は扁平上皮がんが52%、腺がんが48%。CPS10%以上が48%、CPS10%未満が52%。登録前の治療歴は2次治療が85%で、3次治療以上は15%だった。 主要評価項目であるORRは10%(CR0%、PR10%)。組織型別のORRは扁平上皮がんが14%、腺がんが5%。PD-L1発現状況別のORRはPD-L1陽性が14%、PD-L1陰性が6%だった。 副次評価項目では全体のPFS中央値が2.0ヵ月(95%CI:1.9~2.1ヵ月)。組織型別のPFS中央値は扁平上皮がんが2.1ヵ月(同2.0~2.4ヵ月)、腺がんが1.9ヵ月(同1.8~2.0ヵ月)。PD-L1発現状況別のPFS中央値はPD-L1陽性が2.0ヵ月(同1.9~2.2ヵ月)、PD-L1陰性が2.0ヵ月(同1.9~2.1ヵ月)となった。 OS中央値は全体が5.8ヵ月(同4.5~7.2ヵ月)。組織型別のOS中央値は扁平上皮がんが6.8ヵ月(同5.4~8.9ヵ月)、腺がんが3.9ヵ月(同3.2~6.3ヵ月)。PD-L1発現状況別のOS中央値はPD-L1陽性が6.3ヵ月(同4.4~9.3ヵ月)、PD-L1陰性が5.4ヵ月(同3.9~6.3ヵ月)だった。なお、DORは未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は12%。有害事象全体として主なものは疲労感、発疹、皮膚掻痒、甲状腺機能低下症、下痢、肺臓炎。治療関連有害事象による死亡例が肺臓炎で1例認められた。 治療効果は組織型の違いやPD-L1発現状況にかかわらず認められており、Shah氏は「今回の結果からは、ペムブロリズマブは進行および転移のある食道がんの3次治療での重要な選択肢となる」との見解を示している。

1370.

ペムブロリズマブ、進行胃がんの2次治療の初回解析/Lancet

 化学療法施行後に病勢が進行した胃・食道胃接合部がん患者のアウトカムは不良である。国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏らは、PD-L1陽性の進行胃・食道胃接合部がんの2次治療において、抗PD-1抗体製剤ペムブロリズマブは標準治療のパクリタキセルと比較して、全生存(OS)を改善しないことを示した(KEYNOTE-061試験)。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月4日号に掲載された。米国食品医薬品局(FDA)は、PD-L1の発現がみられ、プラチナ製剤またはフッ化ピリミジン系薬を含む化学療法、あるいはHER2/neu標的療法による2ライン以上の治療で病勢が進行した局所再発進行または転移を有する胃・食道胃接合部がんの患者の治療において、ペムブロリズマブの迅速承認を認可している。日本を含む30ヵ国148施設に592例を登録 KEYNOTE-061試験は、プラチナ製剤およびフッ化ピリミジン系薬による1次治療で病勢が進行した進行胃・食道胃接合部がん患者における、ペムブロリズマブの有用性をパクリタキセルと比較する非盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp & Dohmeの助成による)。 被験者は、ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最長35サイクル(約2年間)静脈内投与する群、またはパクリタキセル80mg/m2を、4週を1サイクルとしてDay 1、8、15に投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、PD-L1 combined positive score(CPS)≧1の患者における全生存(OS)および無増悪生存(PFS)であった。CPSは、PD-L1陽性細胞数(腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ)を総腫瘍細胞数で除して100を乗じた数値と定義した。安全性は、CPSにかかわらず全例で評価した。OSは、p=0.0135(片側)を有意差の閾値とした。 2015年6月4日~2016年7月26日の期間に、日本を含む30ヵ国148施設に592例が登録され、ペムブロリズマブ群に296例(年齢中央値:62.5歳、男性:68%)、パクリタキセル群にも296例(60.0歳、70%)が割り付けられた。このうち395例がPD-L1 CPS≧1であり、ペムブロリズマブ群が196例、パクリタキセル群は199例だった。OS中央値:9.1 vs.8.3ヵ月、安全性プロファイルは良好 2017年10月26日時点で、追跡期間中央値は全症例が7.9ヵ月、PD-L1 CPS≧1の集団は8.5ヵ月であった。PD-L1 CPS≧1の集団のうち326例が死亡し、死亡率はペムブロリズマブ群が77%(151/196例)、パクリタキセル群は88%(175/199例)であった。 PD-L1 CPS≧1の集団におけるOS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が9.1ヵ月、パクリタキセル群は8.3ヵ月であり、両群に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.66~1.03、片側検定:p=0.0421)。また、PFS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が1.5ヵ月、パクリタキセル群は4.1ヵ月であった(HR:1.27、95%CI:1.03~1.57)。 奏効率はペムブロリズマブ群が16%(31/196例)、パクリタキセル群は14%(27/199例)であった。奏効期間中央値はそれぞれ18.0ヵ月、5.2ヵ月であり、ペムブロリズマブ群のほうが持続的であった。 全症例における治療関連有害事象の発生率は、ペムブロリズマブ群が53%(155/294例)、パクリタキセル群は84%(232/276例)であった。Grade3~5の治療関連有害事象は、それぞれ14%(42例)、35%(96例)に認められ、治療中止は3%(9例)、5%(15例)だった。 有害事象プロファイルは、両群とも予想どおりであった。最も頻度の高いGrade3~5の有害事象は、ペムブロリズマブ群で貧血(2%)、疲労(2%)、パクリタキセル群では好中球数の減少(10%)、好中球減少(7%)であった。Grade3~5のとくに注目すべき有害事象として、ペムブロリズマブ群では肝炎が4例、下垂体炎が2例、肺臓炎が2例にみられた。 著者は、「長期の追跡に伴ってペムブロリズマブのベネフィットが明らかとなり、12ヵ月時および18ヵ月時の推定OS率は、それぞれ40%(パクリタキセル群:27%)、26%(同:15%)と、臨床的に意義のあるものであった。また、全身状態(ECOG PS)が良好、PD-L1発現レベルが高度、腫瘍組織のマイクロサテライト不安定性が高度の患者では、ペムブロリズマブの効果が高い可能性が示唆された」とし、「良好な安全性プロファイルとともに、これらのデータは、ペムブロリズマブ単剤療法のベネフィットを得る可能性の高い患者を同定するための探索の継続と、現在進行中の併用レジメンの開発を支持するものである」と指摘している。

1371.

扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法でPD-L1発現問わずOS、PFS改善(KEYNOTE-407)/ASCO2018

 転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1発現50%以上において、化学療法と比較して、有意に全生存期間(OS)を延長した。この有効性は扁平上皮、非扁平上皮ともに認められている。一方、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1発現状況にかかわらず、化学療法単独に比べ、有意なOS延長効果が認められている。この有効性が確認されているのは非扁平上皮においてのみであり、扁平上皮がんにおける、ペムブロリズマブと化学療法の併用の評価は次の課題といえる。 そのようななか、扁平上皮NSCLCへの化学療法に対するペムブロリズマブの上乗せ効果を比較する第III相試験であるKEYNOTE-407の結果をスペイン・Hospital Universitario 12 De OctubreのLuis G. Paz-Ares氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は未治療のStageIV扁平上皮NSCLC患者。登録患者は無作為にペムブロリズマブ200mg 3週ごと+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルあるいはnab-パクリタキセル)群とプラセボ+化学療法(パクリタキセル群と同一レジメン)群に割り付けられた。 いずれの群も治療を4サイクル実施後、ペムブロリズマブ+化学療法群ではペムブロリズマブ、化学療法単独群ではプラセボを単独で最大31サイクルまで維持療法として実施した。なお、化学療法単独群では試験実施中に病勢進行(PD)となった場合、ペムブロリズマブ200mgの3週ごとをオプションクロスオーバーとした。 主要評価項目はOS、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性。なお、KEYNOTE-407の試験計画では1~3次中間解析と最終解析が予定されており、今回の結果はデータカットオフを2018年4月3日とした2次中間解析であり、主要評価項目として初めてPFSとOSを評価した(1次中間解析の主要評価項目はORR)。 登録患者数は559例で、ペムブロリズマブ+化学療法群が278例、化学療法単独群が281例。追跡期間中央値は7.8カ月。 主要評価項目のOS中央値はペムブロリズマブ+化学療法群が15.9ヵ月(13.2ヵ月~評価不能)に対し、化学療法単独群は11.3ヵ月(9.5~14.8ヵ月)で、ペムブロリズマブ+化学療法群が有意な延長効果を示した(HR:0.64、p=0.0008)。 PD-L1発現によるOSの層別解析では、TPS<1%がHR0.61、TPS1~49%がHR0.57、TPS≧50%がHR0.64と、PD-L1発現状況にかかわらず、ペムブロリズマブ+化学療法群が良好な結果を示した。 PFS中央値についてもペムブロリズマブ+化学療法群が6.4ヵ月(6.2~8.3ヵ月)、化学療法単独群が4.8カ月(4.3~5.7ヵ月)で、ペムブロリズマブ+化学療法群で有意な延長効果を示した(HR:0.56、p<0.0001)。 またPD-L1発現によるPFSの層別解析では、TPS<1%がHR0.68、TPS1~49%がHR0.56、TPS≧50%がHR0.37であり、OSと同じくPD-L1発現状況にかかわらず、化学療法単独群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群が良好だった。 副次評価項目ではORRでペムブロリズマブ+化学療法群が58.4%、化学療法単独群が35.0%(p=0.0004)、DOR中央値でペムブロリズマブ+化学療法群が7.7ヵ月、化学療法単独群が4.8ヵ月。 Grade3以上の有害事象発現率は、ペムブロリズマブ+化学療法群が69.8%、化学療法単独群が68.2%。ペムブロリズマブ+化学療法群で有害事象による治療中止率や免疫関連有害事象発現率が高い傾向があったものの、確認された有害事象はいずれも各薬剤で既知のものであり、新たな安全性の問題は認められなかった。 Paz-Ares氏は「PD-L1発現にかかわらず、ペムブロリズマブ+化学療法群が化学療法群に優越性を示しており、この併用療法は転移のある扁平上皮NSCLCの1次治療で新たな標準治療となるべきものである」との見解を示した。

1372.

非扁平上皮肺がんの1次治療、アテゾリズマブ追加でPFS、OS延長/NEJM

 前化学療法歴のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(non-Sq NSCLC)の治療において、標準治療のベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加すると、標準治療単独に比べ、PD-L1の発現やEGFR変異、ALK変異の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)が改善することが、米国・フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏らが実施した「IMpower150試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年6月14日号に掲載された。抗PD-L1抗体製剤アテゾリズマブは、前化学療法歴のない患者において、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法との組み合わせで有望な有効性と許容可能な安全性プロファイルを有することが報告されている。また、アテゾリズマブのがん細胞殺傷特性は、ベバシズマブによる血管内皮増殖因子(VEGF)介在性の免疫抑制の遮断作用によって増強される可能性があるという。3群のうちABCP群とBCP群の比較の結果を報告 研究グループは、VEGF遮断は免疫療法の有効性を増強するか、免疫療法と化学療法の併用は有効かという2つの課題に答えるための検討を行った(F. Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。今回は、前者の課題に関して、PFSの最終解析およびOSの中間解析の結果を報告した。 前化学療法歴のない転移を有する再発non-Sq NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0~1の患者を対象とした。被験者は、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ACP)、ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(BCP)、アテゾリズマブ+BCP(ABCP)を3週ごとに4または6サイクル投与後に、アテゾリズマブまたはベバシズマブ、あるいは双方による維持療法を行う群に、無作為に割り付けられた。 2つの主要エンドポイントは、1)野生型(WT)のintention-to-treat(ITT)集団(WT集団[EGFR変異およびALK変異を有する患者は除外])と、腫瘍のエフェクターT細胞(Teff)の遺伝子シグニチャーが高発現のWT集団(高Teff WT集団)における治験担当医の評価によるPFS、2)WT集団における治験担当医の評価によるOSであった。ACP群とBCP群の比較に先だって、ABCP群とBCP群の比較を行った。 2015年3月~2016年12月の期間に、日本を含む26ヵ国240施設に1,202例(ITT集団)が登録され、ACP群に402例、ABCP群に400例(年齢中央値:63歳、<65歳:53.8%、男性:60.0%)、BCP群に400例(63歳、56.5%、59.8%)が割り付けられた。WT集団は1,040例(86.5%)で、ACP群が348例、ABCP群が356例、BCP群は336例だった。追加により死亡リスクが22%低減 WT集団におけるPFS期間中央値は、ABCP群が8.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月に比べ有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.001)。1年PFS率は、ABCP群が36.5%であり、BCP群の18.0%の約2倍であった。 また、高Teff WT集団のPFS期間中央値は、ABCP群が11.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月と比較して有意に長かった(0.51、0.38~0.68、p<0.001)。EGFR変異、ALK変異例を含む全体のITT集団でも、PFS期間中央値はABCP群がBCP群よりも優れ(8.3 vs.6.8ヵ月、層別化HR:0.61、95%CI:0.52~0.72)、PD-L1が低発現または陰性の患者(8.0 vs.6.8ヵ月、非層別化HR:0.68、0.56~0.82)やTeff遺伝子シグネチャー低発現例(7.3 vs.7.0ヵ月、非層別化HR:0.76、0.60~0.96)、肝転移例(7.4 vs.4.9ヵ月、非層別HR:0.42、0.26~0.66)も同様であった。 WT集団におけるOS期間中央値は、ABCP群が19.2ヵ月と、BCP群の14.7ヵ月に比し有意に延長した(死亡のHR:0.78、95%CI:0.64~0.96、p=0.02)。客観的奏効率は、ABCP群が63.5%、BCP群は48.0%であった。 ABCP群の安全性プロファイルは、個々の薬剤の既報のリスクと一致していた。Grade 3/4の治療関連有害事象は、ABCP群が55.7%、BCP群は47.7%に発現し、頻度の高いものとして、ABCP群では好中球減少(13.7%)、好中球数の減少(8.7%)、発熱性好中球減少(8.4%)が、BCP群では好中球減少(11.2%)、好中球数の減少(6.3%)、高血圧(6.3%)がみられた。Grade 5の有害事象として、ABCP群で発熱性好中球減少が3例に認められた。 著者は、「Teff遺伝子シグネチャーは、PD-L1発現および既存の免疫能のサロゲートマーカーとされ、その高発現は優れたPFSベネフィットをもたらしたが、ベネフィットの程度はPD-L1高発現の場合と同等であった」と指摘している。

1373.

EGFR変異肺がん1次治療、ゲフィチニブと化療併用でPFS、OSともに延長(NEJ009)/ASCO2018

 EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療においては、EGFR-TKIと化学療法を十分に使用することで、さらなる全生存期間(OS)の改善が期待できると考えられる。NEJ005試験では、ゲフィチニブとカルボプラチン+ペメトレキセドの併用が有効性を示した。とくに、両者の逐次使用に比べ、同時使用は、30.7ヵ月に対し、41.9ヵ月とOSを改善した。 未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIV非扁平上皮NSCLCにおいて、ゲフィチニブと化学療法の併用とゲフィチニブ単剤治療を比較した第III相無作為化比較試験NEJ009の結果が、仙台厚生病院 中村 敦氏により、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。・対象患者:未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIVの非扁平上皮NSCLC・試験薬群:ゲフィチニブ+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)→ゲフィチニブ+ペメトレキセド・対照群:ゲフィチニブ→プラチナベース化学療法・評価項目:複合主要評価項目はPFS1(初回治療によるPDまで)、PFS2(後治療による2度目のPDまで)、OS。副次評価項目は奏効率(ORR)、安全性、QOL。PFS2解析は、ゲフィチニブ単剤群のPFS2とゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群のPFS1で比較。 主な結果は以下のとおり。・登録患者は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群170例とゲフィチニブ単剤群172例に無作為に割り付けられた。・PFS1中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤群11.2ヵ月であった(HR:0.494、p<0.001)。・PFS2は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤(→プラチナベース化学療法後治療)群20.7ヵ月であった(HR:0.966、p<0.774)。・OS中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群52.2ヵ月、ゲフィチニブ単剤群38.8ヵ月であった(HR:0.685、p=0.013)。・PD1後の生存期間はゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群19.3ヵ月、ゲフィチニブ単剤群23.0ヵ月と、ゲフィチニブ単剤群ではプラチナベース化学療法を受けているにもかかわらず同等であった(HR:1.037、p=0.812)。・全有害事象発現率は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群95.9%、ゲフィチニブ単剤群98.3%。好中球減少、貧血、血小板減少といった血液毒性は併用群で多くみられた。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

1374.

閉経前乳がん術後、卵巣機能抑制の上乗せ効果/NEJM

 閉経前の乳がん患者に対する内分泌療法では、タモキシフェン単独に比べ、タモキシフェン+卵巣機能抑制により、無病生存率と全生存率が改善することが示された。無病生存率はタモキシフェン単独に比べ、エキセメスタン+卵巣機能抑制でも改善が認められた。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A.Francis氏らが、閉経前乳がん患者への内分泌療法について行った2つの無作為化試験、SOFT試験とTEXT試験の最新の結果をまとめたもので、NEJM誌オンライン版2018年6月4日号で発表した。タモキシフェンとエキセメスタンの内分泌療法を5年間実施 SOFT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に3群に分け、内分泌療法としてタモキシフェン、タモキシフェン+卵巣機能抑制、エキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。また、TEXT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に2群に分け、タモキシフェン+卵巣機能抑制とエキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。無作為化については、化学療法の有無によって層別化した。 これまでに行われた両試験の分析では、タモキシフェン+卵巣機能抑制よりもエキセメスタン+卵巣機能抑制で、5年時の乳がん再発率が有意に低減したことが報告されている。今回Francis氏らは、2試験の最新の結果を報告した。8年無病生存率、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2% SOFT試験において8年無病生存率は、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群85.9%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.009)。 8年全生存率は、タモキシフェン単独群91.5%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群93.3%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群92.1%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.01)。また、化学療法後の閉経前乳がん患者の全生存率はそれぞれ85.1%、89.4%、87.2%だった。 化学療法を受けたHER2陰性患者の8年遠隔転移率は、エキセメスタン+卵巣機能抑制群がタモキシフェン+卵巣機能抑制群に比べ有意に低率だった(SOFT試験では7.0ポイント、TEXT試験では5.0ポイント)。 Grade3以上の有害事象は、タモキシフェン単独群で24.6%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群で31.0%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群で32.3%報告された。

1375.

扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018

 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 IMpower131試験は、化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルまたはパクリタキセル)の併用と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独の有効性および安全性を比較検討する、オープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為に割り付けた1,021例が登録された。・対象患者:化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLC・試験薬群 ・A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP) ・B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(Atezo+CnP)・対照群 ・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)・主要評価項目:B群対C群の治験担当医評価によるITT集団における無増悪生存(PFS)およびITT集団における全生存期間(OS)。今回はB群対C群のPFSの発表。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、Atezo+CnP群6.3ヵ月に対し、CnP群5.6ヵ月(HR:0.71、p=0.0001)、12ヵ月PFS率はそれぞれ24.7%と12.0%であった。・PD-L1サブグループによるPFS  PD-L1高発現(TC3またはIC3)では、Atezo+CnP群10.1ヵ月に対し、CnP群5.5ヵ月であった(HR:0.44)。  PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)では、それぞれ6.0ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.70)。  PD-L1発現陰性(TC0かつIC0)では、それぞれ5.7ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.81)。・奏効率は、Atezo+CnP群49%に対し、CnP群41%であった。・奏効期間は、Atezo+CnP群7.2ヵ月に対し、CnP群5.2ヵ月であった。・全有害事象発現率は、Atezo+CnP群99%に対し、CnP群97%。各治療法における既知の事項と同様であった。 OSベネフィットは次回の中間解析で発表される。■参考ASCO2018 AbstractIMpower131試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

1376.

進行肺がん1次治療へのアテゾリズマブ併用療法 、OSハザード比0.78(IMpower150)/ASCO2018

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。 本試験では、1,202例の患者を以下の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg) 主要評価項目は、EGFRまたはALKの遺伝子変異陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFS、およびITT-WT におけるOS。 主な結果は以下のとおり。・A群に349例、B群に359例、C群に337例、ITT-WTの患者が組み入れられた。年齢中央値は63歳、62%が男性、85%が現在あるいは過去の喫煙者で、42%がECOG PS:0であった。・データカットオフ(2018年1月22日)の追跡期間中央値は約20.0ヵ月。・B群とC群の比較において、OS期間中央値は、B群が19.2ヵ月と、C群の14.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.64~0.96、p=0.0164)。 ・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3;136例)のOSは、B群25.2ヵ月、C群15.0ヵ月 (HR:0.70)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2;226例)のOSは、それぞれ 20.3ヵ月と16.4ヵ月(HR:0.80)、発現なし(339例)のOSは、それぞれ 17.1ヵ月と14.1ヵ月(HR:0.82)であった. ・EGFR/ALK遺伝子変異陽性患者(104例)のOSは、B群NE、C群 17.5ヵ月であった(HR:0.54)。 ・ITT-WT集団のうちベースライン時に肝転移のあった患者(94例)におけるOSは、 B群13.2ヵ月、C群9.1ヵ月であった(HR:0.54)。・A群とC群の比較において、OSは、A群が19.4ヵ月と、C群14.7ヵ月に比べ延長傾向が確認された(HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.2041)。・全患者において、Grade3以上の治療関連有害事象発現率は、A群43%、B群57%、C群49%であった。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ASCO2018 AbstractSocinski MA, et al.N Engl J Med. 2018 Jun 4.[Epub ahead of print]■関連記事アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

1377.

胃がん術後化療、S-1+ドセタキセルがプラクティス変える?(JACCRO GC-07)/ASCO2018

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられるが、Stage IIIにおけるアウトカムは十分とはいえない。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、名古屋大学医学部附属病院の小寺 泰弘氏が、Stage III の上記患者に対するS-1/ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較したJACCRO GC-07(START-2)試験の結果を発表した。S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法 同試験は、本邦の138施設が参加した第III相ランダム化比較試験。対象はD2リンパ節切除症例のうちR0手術後のStage III治癒切除胃がん患者で、施設、Stage(IIIA、IIIB、またはIIIC)および組織型(分化または未分化)によって層別化され、S-1/ドセタキセル併用療法群(併用群)とS-1単独療法群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、併用群における3年無再発生存期間(RFS)の7%増加(ハザード比[HR]:0.78、2-sidedα=0.05、β=0.2)で、その検出に必要な症例数は1,100例とされた。副次評価項目は、全生存期間(OS)、治療成功期間(TTF)、および安全性であった。 両群のレジメンは以下のとおり。・S-1/ドセタキセル併用群 サイクル1(3週間):S-1(80mg/m2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬 サイクル2~7(3週間ずつ):ドセタキセル(40mg/m2)を各サイクル初日に投与 し、S-1(80mg/m2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬 サイクル8以降(6週間ずつ):S-1(80mg/m2)を1日2回、28日間連日投与し、 14日間休薬 → 手術1年後まで繰り返す・S-1 単独療法群 S-1(80mg/m2)を1日2回、28日間連続投与し、14日間休薬を1サイクル (6週間)として手術1年後まで繰り返す 2017年4月に実施された、あらかじめ計画されていた2回目の中間解析の時点で、S-1/ドセタキセル併用群456例、対照群459例が本試験に組み入れられた。中間解析の結果、S-1/ドセタキセル併用群の3年RFSは対照群と比較して有意に良好であった(HR:0.632、95%信頼区間[CI]:0.400~0.998、p=0.0007)。そのため、独立の効果安全性評価委員会により、試験の有効中止が勧告された。S-1/ドセタキセル併用群では対照群と比較して、血行性、リンパ性および播種性を含むすべてのタイプで再発を抑制した。 Grade3以上の有害事象は、白血球減少症と好中球減少症、発熱性好中球減少症について併用群で頻度が高かったが、全体として、S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法といえる。※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

1378.

肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移を有するPD-L1陽性のNSCLC患者において、標準治療のプラチナベース化学療法とペムブロリズマブ単剤治療を比較する国際無作為化オープンラベル第III相試験。対象患者:PD-L1発現1%以上の局所進行または転移を有するNSCLC患者(いずれの組織型も含む)試験薬:ペムブロリズマブ3週ごと35サイクル対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと6サイクル評価項目:主要評価項目は全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単剤治療またはプラチナベース化学療法に1:1で無作為に割り付けられた。・2年OS率は、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群44.7%に対して化学療法群30.1%(HR:0.69、p=0.0003)、20%以上では40.5%対29.6%(HR:0.77、p=0.0020)、1%以上では39.3%対28.0%であった(HR:0.81、p=0.0018)。・探索的研究での、TPS1~49%の2年OS率は、ペムブロリズマブ群34.6%に対して化学療法群26.5%であった(HR:0.92)。・2年PFS率はTPS50%以上では、ペムブロリズマブ群37.4%に対して化学療法群27.3(HR:0.81、p=0.017)、20%以上では32.4%対28.8%(HR:094)、1%以上では28.0%対26.6%であった(HR:1.07)。・ORRは、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群39.5%に対して化学療法群32.0%、20%以上では33.4%対28.9%、1%以上では、27.3%対26.5%であった。・治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群62.7%に対して化学療法群89.9%、免疫関連有害事象発現は、27.8%対7.2%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療群は、PD-L1発現NSCLCの1次治療において、PD-L1の発現の程度にかかわらず、化学療法群に比べOSを有意に改善した。■参考ASCO2018 AbstractKEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

1380.

Stage III 肺がん、化学放射線療法+免疫療法が期待される理由

 2018年5月25日、第11回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「肺がんの早期治療における免疫治療への期待」が開催された。山本 信之氏(和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授)、髙山 浩一氏(京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 教授)が登壇し、Stage III切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)治療における課題と免疫療法による可能性、およびこれまでほとんど明らかにされてこなかった、Stage III肺がん患者の心理的負担感をテーマに講演した。化学放射線療法と免疫療法の併用による可能性 はじめに山本氏は、NSCLC患者の約2割を占めるStage IIIの患者に対する治療では、根治を目指し、化学療法と根治的胸部放射線療法の併用が標準治療として推奨されていることを説明。第2世代レジメン(MVP)から、第3世代レジメン(カルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+ドセタキセル等)へと新しい抗がん剤が登場しているものの、放射線と併用したときの生存期間延長という意味では、約20年間ほぼ治療の進歩がないことを指摘した。 一方、標準治療が化学療法のみとなるStage IVでは、分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬による治療の進歩が著しい。このうち分子標的治療薬については、「放射線との併用でベネフィットがある可能性はゼロではないが、薬剤性肺炎のリスクがあることから、大規模な臨床試験を実施してその効果を確かめることは難しい」と山本氏は語った。 そこで期待されるのが、免疫チェックポイント阻害薬だ。山本氏は、Stage IV肺がん患者対象の複数の試験で、腫瘍のPD-L1発現率が高いほど免疫チェックポイント阻害薬の奏効率が高いと確認されていること(KEYNOTE-0011)、CheckMate017/0572))、マウスによる実験段階ではあるが、放射線治療によりPD-L1発現が高まり、抗PD-L1抗体と放射線療法を併用すると、各単独療法よりも生存期間が延長すると示唆されていること3)から、「放射線療法が免疫療法の効果を高める可能性がある」と話した。 続いて山本氏は、放射線療法と免疫療法の併用により、放射線照射部位のみでなく、遠方の転移巣においても抗腫瘍免疫反応が活性化される“アブスコパル効果”について言及。悪性黒色腫に対する試験では、イピリムマブ+放射線療法によるアブスコパル効果が確認され、放射線を照射していない部位でも腫瘍縮小効果が確認されている4)という。免疫療法そのものの効果も、早期でより高い? 「腫瘍量が少ないほど免疫療法による治療効果が高いと示唆されていることも5)、Stage IIIでの免疫療法に期待ができる理由の1つ」と山本氏。より早期でより腫瘍量の少ない、手術適応の肺がん患者に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬を投与した結果、ほぼ全例で腫瘍縮小効果が確認されたデータ6)を紹介し、「早期の腫瘍量の少ない病変や微小転移に対し、免疫療法の効果はStage IVよりもさらに高いのではないかと期待される」と話した。心理的な不安感、進行期よりもStage IIIの患者でより強い傾向 続いて髙山氏は、インターネットによる患者調査の結果7)を基に、Stage III肺がん患者における心理的負担感について講演した。「進行期であるStage IVの患者さん対象の調査は行われてきたが、Stage IIIの患者さんの心理的負担感についてはほとんどわかっていなかった」と髙山氏。本調査では、心理的ストレスを数値化するための尺度として、HADS質問票を使用。この質問票は、不安7項目、抑うつ7項目の計14項目からなり、それぞれの状態を点数化して評価する。 調査の結果、化学放射線療法を受けた肺がん患者は、薬物療法を受けた肺がん患者と比較してHADSスコアが高くなる傾向がみられ、特に不安の度合いが高いことが確認された。なかでも、“だんだんと不安が大きくなっていくように感じた”という項目で化学放射線療法を受けた患者の負担感が高かったことに髙山氏は着目。「分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われるStage IVよりも、従来の抗がん剤が使われるStage IIIの治療でより副作用による負担が大きい場合があること、また放射線療法後半における、食事摂取への影響などが背景にあるのではないか」と推察した。 さらに、「Stage IIIでは、初回治療後に無治療で経過観察をする期間が続く。いつ再発するかという不安を抱えながら、“何もしない”ことは大変なストレスだろう」と話し、「免疫療法を含め、このタイミングで何らかの治療の選択肢が生まれれば、心理面でも大きなプラスなのではないか。そしてもちろん、生存期間延長につながる治療法の登場が、病気と治療に直面する患者さんたちにとって、何よりの励みになると期待している」と結んだ。■参考1)Garon EB, et al. N Engl J Med.2015;372;2018-2028.2)Felip E, et al. ESMO 2017.3)Dovedi SJ, et al. Cancer Res.2014;74:5458-5468.4)Postow MA, et al. N Engl J Med.2012;366;925-931.5)Huang AC, et al. Nature.2017;545;60-65.6)Forde PM, et al. N Engl J Med. 2018;378;1976-1986.7)アストラゼネカ株式会社プレスリリース

検索結果 合計:1918件 表示位置:1361 - 1380