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人工呼吸器未装着COVID-19入院患者、トシリズマブで重症化を抑制/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎入院患者(人工呼吸器は未装着)において、トシリズマブは人工呼吸器装着または死亡の複合アウトカムへの進行を減らす可能性が示されたが、生存率は改善しなかった。また、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCarlos Salama氏らが389例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2021年1月7日号で発表された。COVID-19肺炎ではしばしば強い炎症状態が認められる。COVID-19の発生率には、十分な医療サービスが受けられない人種および民族のマイノリティ集団における不均衡がみられるが、これらの集団のCOVID-19肺炎入院患者について、IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの安全性と有効性は確認されていなかった。高リスク・マイノリティ対象に、安全性と有効性をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、COVID-19肺炎で入院する人工呼吸器未装着の患者を対象に、トシリズマブの安全性と有効性を評価する無作為化試験を行った。 患者を2対1の割合で、標準治療に加えてトシリズマブ(8mg/kg体重を静脈内投与)またはプラセボのいずれかを1回または2回投与する群に、無作為に割り付け追跡評価した。主要アウトカムは、28日目までの人工呼吸器装着または死亡であった。 試験地の選択では、高リスクおよびマイノリティ集団が登録されるように注意が払われた。28日目までの人工呼吸器装着または死亡、トシリズマブ群12.0%、プラセボ群19.3% 389例が無作為化を受け、修正intention-to-treat集団にはトシリズマブ群249例、プラセボ群128例が含まれた。56.0%がヒスパニックまたはラテン系で、14.9%が黒人、12.7%がネイティブ・アメリカンまたはアラスカ・ネイティブ、12.7%が非ヒスパニック系白人、3.7%がその他または人種/民族不明であった。 28日目までの人工呼吸器装着または死亡患者の累積割合は、トシリズマブ群12.0%(95%信頼区間[CI]:8.5~16.9)、プラセボ群19.3%(13.3~27.4)であった(人工呼吸器装着または死亡のハザード比[HR]:0.56、95%CI:0.33~0.97、log-rank検定のp=0.04)。 time-to-event解析で評価した臨床的失敗は、プラセボ群よりもトシリズマブ群で良好であった(HR:0.55、95%CI:0.33~0.93)。 一方で28日目までの全死因死亡の発生は、トシリズマブ群10.4%、プラセボ群8.6%であった(加重群間差:2.0ポイント、95%CI:-5.2~7.8)。 安全性評価集団における重篤な有害事象の発生率は、トシリズマブ群15.2%(38/250例)、プラセボ群19.7%(25/127例)であった。

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新型コロナとインフル、死亡率・症状の違いは?/BMJ

 季節性インフルエンザ入院患者と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者は肺外臓器障害・死亡リスクの上昇(死亡リスクは約5倍)、および医療資源使用(人工呼吸器装着、ICU入室、入院期間など)の増加と関連していることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。研究グループは、先行研究での季節性インフルエンザとCOVID-19の臨床症状や死亡率の比較は、それぞれ異なるデータおよび統計的手法を用いて行われ、「リンゴとリンゴ」での比較ではなかったとして、米国退役軍人省の入院データを用いて評価を行ったという。結果を踏まえて著者は、「本調査結果は、COVID-19と季節性インフルエンザの比較リスクに関する世界的な議論への情報提供になるとともに、COVID-19パンデミックへの継続的な対策に役立つ可能性があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年12月15日号掲載の報告。米国退役軍人の医療データを用いて違いを検証 研究グループは、米国退役軍人省の電子医療データベース(1,255のヘルスケア組織[170の医療センター、1,074の外来クリニックなど]を含む)を用いて、コホート研究を行った。 2020年2月1日~6月17日にCOVID-19で入院した患者(3,641例)と、2017~19年に季節性インフルエンザで入院した患者(1万2,676例)に関するデータを用いて、両者の臨床症状と死亡のリスクの違いを比較した。 主要評価項目は、臨床症状、医療資源の使用(人工呼吸器装着、ICU入室、入院期間)、死亡のリスクで、doubly robust法を用いて傾向スコアを構築し、また、共変量を用いてアウトカムモデルを補正して評価を行った。死亡率の違いは、CKDまたは認知症の75歳以上、黒人の肥満、糖尿病、CKDで顕著 季節性インフルエンザ入院患者と比較してCOVID-19入院患者は、急性腎障害(オッズ比[OR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.37~1.69)、腎代替療法(4.11、3.13~5.40)、インスリン使用(1.86、1.62~2.14)、重度の敗血症性ショック(4.04、3.38~4.83)、昇圧薬使用(3.95、3.46~4.51)、肺塞栓症(1.50、1.18~1.90)、深部静脈血栓症(1.50、1.20~1.88)、脳卒中(1.62、1.17~2.24)、急性心筋炎(7.82、3.53~17.36)、不整脈および心突然死(1.76、1.40~2.20)、トロポニン値上昇(1.75、1.50~2.05)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値上昇(3.16、2.91~3.43)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値上昇(2.65、2.43~2.88)、横紋筋融解症(1.84、1.54~2.18)のリスクが高かった。 季節性インフルエンザ入院患者と比較してCOVID-19入院患者は、死亡(ハザード比[HR]:4.97、95%CI:4.42~5.58)、人工呼吸器の使用(4.01、3.53~4.54)、ICU入室(2.41、2.25~2.59)および入院日数の増加(3.00、2.20~3.80)のリスクも高かった。 COVID-19入院患者と季節性インフルエンザ入院患者100人当たりの死亡率の違いは、慢性腎臓病または認知症の75歳以上の高齢者と、黒人種の肥満、糖尿病または慢性腎臓病で最も顕著だった。

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第39回 より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増/ 重症COVID-19への幹細胞治療の試験結果が判明

より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増英国ケント州やロンドンでの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の増加を受けて同国の保健行政組織Public Health England(PHE)がいっそうの注意を傾けて調べたところ新たなSARS-CoV-2変異体が急速に広まっていることが判明し、VUI - 202012/01と名付けられたその変異体の感染例1,108人が先週13日までに確認されました1)。その1週間後のこの週末19日の記者会見でBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)英国首相はロンドンやイングランド南部/東部でのCOVID-19急増は13日発表の新たな変異株のせいらしいとの見解を示しました2)。変異株感染は重病や死に至りやすいという謂われはいまのところないが、他のSARS-CoV-2感染よりも次から次にどうやら感染しやすいらしいと示唆されています。PHEが他と協力しての調査は進行中ですが、いまのところ重症度、抗体反応、ワクチン効果へのVUI - 202012/01の影響は示唆されていません3)。今年2月の遅くに南欧で見つかって今や世界で最も幅を利かせる先着のSARS-CoV-2変異株4)がスパイクタンパク質に614Gという変異を有するのに似て新参のVUI - 202012/01もスパイクタンパク質にN501Yという変異を有します。世界を席巻しているその614G変異ウイルスもVUI - 202012/01と同様に感染を広めやすいらしいことがNatureに最近発表された培養実験やハムスター実験で裏付けられています5)。その実験で614G変異ウイルスは培養気道上皮細胞や気道を模す3次元組織でより増えて居座ることができ、より感染力が高いと示唆されました。続いて614G変異株をハムスターに感染させたところ鼻の拭い液や気管で盛んに増えており、その結果は614G変異ウイルスが上気道により集まるという感染者所見に見合うものであり、どうやらより感染しやすいことを示唆しています。目下のCOVID-19予防ワクチンは614G変異ウイルスに先立つウイルス(614Dウイルス)を起源としており、614Dウイルス感染で生じる抗体が614G変異ウイルスも中和できるならワクチンは614G変異ウイルスにも通用しそうです。そこで研究者は614Dウイルスを感染させたハムスターの血清が614G変異ウイルスの細胞感染を防げるかどうかを調べました5)。その結果、血清は幸いにも614G変異ウイルスの細胞侵入や複製を防ぐ中和活性を発揮し、614G変異は目下のCOVID-19ワクチンの守備範囲にあると示唆されました4,5)。 英国で広まる新たな変異株VUI - 202012/01のCOVID-19ワクチン等の効果への影響はいまのところ示唆されていませんが、確実な答えを得る研究が進行中であると英国の最高医学責任者(CMO)・Chris Whitty氏は14日の声明で述べています6)。COVID-19の幹細胞治療remestemcel-Lの試験は残念な結果になった本連載の第6回で紹介した急性呼吸窮迫症候群(ARDS)合併COVID-19患者へのMesoblast社の間葉系幹細胞(MSC)薬remestemcel-L(レメステムセル-L)の第III相試験が途中解析され、残念ながら主要評価項目・30日間の死亡減少の達成は不可能と判断されました7)。すでに組み入れ済みの233人全員の計画に沿った検討が済むまで試験は続けられ、追跡期間最終の60日時点での人工呼吸器なしでの生存日数・生存率・集中治療日数・入院期間・心臓/神経/肺損傷の結果が後に判明します。先月の終わりにノバルティス社はCOVID-19やその他の病気に伴うARDS へのremestemcel-Lの用途の権利を得る合意を発表しています。同社は残りの試験結果をMesoblast社と共に解析し、有意義な情報を見つけ出してremestemcel-Lの今後の開発方針に役立てることを目指します。参考1)PHE investigating a novel strain of COVID-19/GOV.UK2)Prime Minister's statement on coronavirus (COVID-19): 19 December 2020 /GOV.UK 3)COVID-19 (SARS-CoV-2): information about the new virus variant/GOV.UK4)Baric RS. N Engl J Med. 2020 Dec 16. [Epub ahead of print] 5)Plante JA,et al . Nature. 2020 Oct 26.[Epub ahead of print]6)Statement from Chief Medical Officer, Professor Chris Whitty about new strain of Covid-19/GOV.UK7)Mesoblast Update on COVID-19 ARDS Trial/ Mesoblast

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医療マンガ大賞2020 「心がふるえたエピソード(医師視点)」入選作品

「おんぶ―息子のぬくもり」今から9年程前、腎臓内科医としてやっと中堅に差し掛かった頃、元々は近医に高血圧などで通院していた70代女性の方(Aさん)が、発熱、呼吸困難などで他院に入院し、腎機能障害が生じたため、当時私が勤めていた病院に転院してきました。精査の結果、顕微鏡的多発血管炎があり、その後、呼吸状態の悪化などで、同じ病院のICUに入室しました。この病気で併発する肺出血が生じたようで、気管挿管して人工呼吸器管理となりました。同じくこの血管炎の特徴である急性腎不全があったため、血液透析も行っていて、意識は清明であるものの、かなり重症でした。Aさんの息子さんは熱心に面会に来ていましたが、私はよくない病状ばかり説明せざるを得ませんでした。ある時、一時的に呼吸状態が改善し、抜管できる時期がありました。Aさんは、もう自分は長くないと悟っていたのか、細かな経緯は忘れてしまいましたが、看護師に「息子におんぶしてもらえないか?」と、かわいらしいお願いをしました。後から考えれば、無機質なICUで闘病する中、愛する息子のぬくもりを少しでも多く感じたかったのではないかと思います。最初は、ICUのベッドから降りておんぶなんて、まず血圧が下がるでしょうし、危険すぎる! と思い、逡巡していました。「先生、お願い。たった1度でいいから」、Aさんは訴えます。危ない道を何度も通りながらも闘病を続けてきたAさんにお願いされ、一瞬だけでもそれに応えてあげたいと思っている自分がその時いました。点滴のチューブや酸素マスクなど、いろんなものがAさんにつながっていましたが、看護師の協力の下、面会に来た息子さんになんとかおんぶしてもらい、久々の笑顔を見せてくれました。周りにいた私達はみんな拍手し、温かい気持ちになりました。その後、数日のうちに、Aさんの病状が悪化し、連絡を受けましたが、私は出張先から帰って来るところで、亡くなられる時には間に合わず、死亡確認に立ち会えませんでした。すごく思い入れのあった患者さんだったので、いろいろ手を尽くしても助けることができなかったこと、最期を見ることができなかったこと、様々な想いが溢れてきて、ICUで人目をはばからずに泣いてしまったことを覚えています。息子さんも初めは打ちひしがれていたと思いますが、「また、こんな患者が運ばれてきても、がんばってくださいね!」という激励の言葉まで下さり、看護師さんからも「Aさんが亡くなられた時、先生がそばにいらっしゃった気がしました」と慰めの言葉をいただき、また頑張ろうと気を引き締めた若き日でした。原作:そらじろー氏(40代・腎臓内科)バックナンバー

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日本人のCOVID-19による血栓症発症率は?

 合同COVID-19関連血栓症アンケート調査チームによる『COVID-19関連血栓症に関するアンケート調査』の結果が12月9日に発表された。それによると、日本人での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連血栓症の発症率は、全体では1.85%であることが明らかになった。 この調査は、COVID-19の病態の重症化に血栓症が深く関わっていることが欧米の研究で指摘されていることを受け、日本人COVID-19関連血栓症の病態及び診療実態を明らかにすることを目的として行われたもの。2020年8月31日までに入院したCOVID-19症例を対象とし、全国の病院399施設のうち109施設からCOVID-19患者6,082例に関する回答が寄せられた。なお、合同調査チームは厚生労働省難治性疾患政策研究事業「血液凝固異常症等に関する研究」班、日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会の3組織合同によるもの。 主な調査結果は以下のとおり。・Dダイマーは症例全体の72%で測定され、入院中に基準値の3~8倍の上昇を認めたのはそのうちの9.5%、8倍以上の上昇を認めたのは7.7%と、多くの症例で血栓傾向がみられた。・血栓症は1.85%(血栓症に関する回答のあった5,687例のうち105例)に発症し、発症部位は(重複回答を可として)、症候性脳梗塞22例(血栓症症例の21.0%)、心筋梗塞7例(同6.7%)、深部静脈血栓症41例(同39.0%)、肺血栓塞栓症29例(同27.6%)、その他の血栓症21例(同20.0%)であった。・血栓症は、軽/中等症の症例での発症が31例(軽/中等症症例の0.59%)、人工呼吸器/ECMO使用中の発症が50例(人工呼吸/ECMO症例まで要した重症例の13.2%)であった。・症状悪化時に血栓症を発症したのは64例だったが、回復期にも26例が血栓症を発症していた。・抗凝固療法は、76病院で6,082例のうち880例(14.5%)に実施された。治療法の主な内訳は、未分画ヘパリン591例(880例中の67.2%)、低分子量ヘパリン111例(同13.0%)、ナファモスタット234例(同26.6%)、トロンボモジュリンアルファ42例(同4.8%)、前述の薬剤併用138例(同15.7%)、直接経口抗凝固薬[DOAC]91例(同10.3%)、その他42例(同4.8%)だった。・予防的抗凝固療法の実施について回答した49施設によると、予防的投与を行った患者背景として、Dダイマー高値、NPPV(非侵襲的陽圧換気)/人工呼吸患者、酸素投与患者などが挙げられた。

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中等度COVID-19へのトシリズマブ、挿管・死亡リスク低減せず/NEJM

 これまで明らかになっていなかった、人工呼吸器を要しない中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対するIL-6受容体遮断薬トシリズマブの有効性について、挿管または死亡のリスクを低減しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、COVID-19入院患者243例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。ただし、有効性比較の信頼区間(CI)値が幅広く、一部の有益性と有害性は排除できないとしている。NEJM誌オンライン版2020年10月21日号掲載の報告。トシリズマブを単回投与し、挿管または死亡アウトカムを比較 研究グループは、COVID-19による過剰炎症反応期(38度超の発熱、肺浸潤、酸素飽和度92%超の維持のための酸素補充療法を必要とする、これらのうち2つ以上を認める)243例を対象に試験を行った。 被験者を2対1の割合で2群に分け、標準治療に加えて、一方にはトシリズマブ(8mg/kg体重)を、もう一方にはプラセボをそれぞれ単回投与した。 主要アウトカムは挿管または死亡で、time-to-event解析で評価した。有効性に関する副次アウトカムは、臨床的増悪および、ベースラインで酸素補充療法を行っていた患者における同療法の中止で、いずれもtime-to-even解析で評価した。臨床的増悪リスクに有意差なし 被験者243例のうち、男性は141例(58%)、女性は102例(42%)、年齢中央値は59.8歳(範囲:21.7~85.4)だった。ヒスパニック系または中南米系の患者が45%を占めた。 挿管または死亡に関する、トシリズマブ群のプラセボ群に対するハザード比(HR)は0.83(95%CI:0.38~1.81、p=0.64)、臨床的増悪のHRは1.11(0.59~2.10、p=0.73)で、いずれも有意差はなかった。14日時点で増悪が認められたのは、トシリズマブ群18.0%、プラセボ群14.9%だった。 酸素補充療法中止までの期間中央値は、それぞれ5.0日と4.9日で同等だった(p=0.69)。また、14日時点で酸素補充療法を受け続けていたのは、トシリズマブ群24.6%、プラセボ群21.2%だった。 なお、Grade3以上の重篤な感染症発生率については、プラセボ群17.1%に対し、トシリズマブ群は8.1%と有意に低率だった(p=0.03)。

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第30回 東京女子医大麻酔科医6人書類送検、特定機能病院の再承認にも影響か

「厳重処分」意見付きで書類送検こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、米国MLB(メジャーリーグ)のワールドシリーズをテレビ観戦して過ごしました。今年のMLBのポストシーズンは、新型コロナ感染症対策のため、対戦するチームがそれぞれの本拠地球場を行き来する従来の方式ではなく、各チームとは関係ない都市に集まり、試合以外は選手全員がホテルに缶詰めとなって全試合を戦うバブル方式(まとまった泡の中で開催する、という意味)で行われています。ロサンゼルス・ドジャースとタンパベイ・レイズが対戦しているワールドシリーズの舞台は、テキサス・レンジャースの本拠地、テキサス州アーリントンに今年オープンしたばかりのグローブライフ・フィールドです。レイズには今シーズン、横浜DeNAベイスターズから移籍した筒香 嘉智選手がいるのですが、シーズン成績は打率1割9分7厘、本塁打8、打点24と低調に終わりました。ワールドシリーズも第5戦までの出場機会は代打でわずか3回。二ゴロ、三振、左飛に倒れ、来季についてはマイナー落ちの噂も出ています。日本であれだけ活躍した筒香選手の現実を見て、今後MLBを目指す日本の野手は減るかもしれません。さて、先週、またまた東京女子医大(東京都新宿区)が世間を騒がせました。東京女子医大病院で2014年2月、鎮静剤プロポフォールの投与を受けた男児(当時2歳)が死亡した事故について、警視庁が10月21日、当時の集中治療室(ICU)の実質的な責任者だった同大元准教授(60)ら男性麻酔科医6人を業務上過失致死容疑で東京地検に書類送検したのです。起訴を求める「厳重処分」の意見も全員に付けられています。なお、手術を担当した耳鼻咽喉科の医師らは「術後の処置への関与が薄い」として立件は見送られました。事件当初、「禁忌」の解釈が問題に新聞報道等によると、書類送検容疑は、6人が2014年2月18~21日、頸部嚢胞性リンパ管腫の手術後にICUで人工呼吸器を付けて経過観察中だった男児に、漫然と約70時間にわたってプロポフォールを投与。心電図や尿量に異常があったにもかかわらず、投与を中止してほかの薬剤に変更するなどの安全管理を怠り、副作用に伴う急性循環不全で21日夜に死亡させたというものです。病院が設けた事故調査委員会の報告書(2015年5月公表)によると、男児が死亡する前日の20日午前中、医師1人が心電図の異常に気付き、昼ごろにほかのICU担当医らに報告しています。しかし、詳しい検査は行われず、投与は21日午前まで計約70時間にわたって続けられました。投与量は成人の許容量の2.7倍に達していました。事故当時、プロポフォールはICUで人工呼吸器をつけた子供への投与は添付文書上「禁忌」でした。「禁忌」にも関わらず投与したことがクローズアップされましたが、実際の臨床現場では、「禁忌」であっても医師の裁量で薬剤が使用されるケースは少なくありません。厚生労働省も添付文書の「禁忌」については、薬剤投与の使用を法令上禁ずるものではない、としています。安全管理を怠ったことによる業務上過失致死容疑事故直後の2014年7月、厚労省は小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静目的でのプロポフォール使用に関して見解を示しています。それによれば「禁忌であるため、投与すべきではない」としつつも、医師が治療に必要な医療行為として使用する場合には「特段の合理的な理由が必要」としています。つまり、「禁忌はあくまでも原則」というのが公式見解でした。そうした経緯から、今回の書類送検にあたり、警視庁はプロポフォールの投与自体は過失としておらず、安全管理を怠ったことに焦点をあてています。投与開始から48時間を超えると副作用のリスクが高まることが文献などで指摘される中、男児への投与量が成人許容量の約2.7倍にも達していたことから、医師らが重い副作用が出る可能性を認識できたにもかかわらず、投与を中止してほかの薬剤に変更するといった安全管理を怠ったことが業務上過失致死容疑にあたる、としているのです。2014年の事故調査委員会の報告書も、ICUの医師らが人工呼吸器を装着した小児に対してプロポフォールを投与する知識が十分でなかった、と指摘しています。ICUの小児にも緊急事態などでは使用なお、プロポフォールについては、手術時の全身麻酔や術後管理時の鎮静効果が高いことなどメリットも多く、現在も成人だけでなく、小児においても短時間の手術では使われています。「禁忌」とされているICUの小児に対しても、緊急事態などでは使用されているようです。10月22日付の日本経済新聞によれば「事故から約4年後の18年の日本臨床麻酔学会で開かれた総合討論では、参加して回答した医師ら60人のうち6割は使用を認めた」とのことです。この記事では、プロポフォールの小児に対する有効性に言及、単純に添付文書上で「禁忌」とし続けるのではなく、これまでの投与実績を調査して適用や用法を改善し、小児により使えるようにすべきだと訴えています。患者減や特定機能病院の再承認など経営にも影響か東京女子医大病院は10月21日、田邉 一成・病院長名で「ここに改めて亡くなられた患者様のご冥福をお祈りし、患者様のご遺族の方々に心よりお詫び申し上げます。当院は、本件を重く受け止め、薬剤処方の厳格な審査システムの採用等の再発 防止策を講じてきているところであり、今後も病院全体として患者様の安心安全の確保に努めてまいります」とのコメントを出しています。本連載、7月15日付の「第15回 凋落の東京女子医大、吸収合併も現実味?」でも書いたように、東京女子医大病院は、この事件をきっかけとして2015年に特定機能病院の承認を取り消されています(現在も取り消し中)。取り消しにあたっては、2009~2013年に同病院で死亡した男児以外の人工呼吸中の小児患者63人にもプロポフォールを投与、12人が死亡していたことも判断材料となっています。同病院の特定機能病院の承認取り消しはこの時が2回目でした。1回目は2002年で、この時は2001年に起こった日本心臓血圧研究所(心研、現在の心臓病センター)の医療事故がきっかけでした(2007年に再承認)。2014年の事故から6年以上経ってからの書類送検、しかも起訴を求める最も厳しい意見である「厳重処分」付きです。処分意見には法的拘束力はありませんが、起訴の可能性は十分に高いと考えられます。報道等の影響による患者減に加え、書類送検や起訴等が特定機能病院の再承認にも影響を及ぼす可能性もあります。東京女子医大の経営的な苦境はまだしばらく続きそうです。一方で、民事訴訟も現在進行中です。男児の遺族は2016年12月、耳鼻咽喉科医2人に損害賠償を求めて提訴。その後、麻酔科医らも提訴しています。これらの民事訴訟は2021年にいずれも結審予定とのことです。1つのうっかり、1つの事故が、人の命を奪ってしまうだけでなく、大学病院という巨大組織の命運も決めるかもしれません。東京女子医大の凋落に歯止めがかかる日は果たして来るのでしょうか。

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第28回 研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向

<先週の動き>1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに1.研修医マッチング、大学病院より地域の臨床研修病院が選ばれる傾向22日に今年度の医師臨床研修マッチング結果が発表された。2004年度から新たな臨床研修医制度となり、臨床現場に立つ前に医師は2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化され、研修医はマッチングシステムを通して研修病院を選ぶことになっている。今年の全体のマッチ率は92.1%と前年度(92.4%)とほぼ変わらないが、大学病院にマッチしたのは38.1%と前年度(38.9%)からさらに低下した。発足当時には大学病院が55.8%と半数以上を占めていたが、年々大学病院を選ぶ学生が減り、地域の臨床研修病院で研修を希望する研修医が増えている。また、大都市部と地方における医師の需給格差の問題を背景に、東京都などでは募集定員を削減したため、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は減少していることが明らかとなった。(参考)令和2年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(厚労省)2.新型コロナ受け入れ病院は全体の2割、多くは実績のある医療機関厚生労働省は、新型コロナウイルス感染患者の入院を受け入れた病院が全体の2割に止まっていることを21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で明らかにした。全国8,280医療機関のうち、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)で回答した7,307医療機関において、受け入れ可能と回答したのは23%、そのうち実績ありは19%だった。全体の4%が人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う重症患者を扱っていた。新型コロナ患者の受け入れ状況は、医療機関の病床規模が大きいほど割合が大きくなる傾向があり、100床未満の病院では5%程度だった。また、感染患者の受け入れ可能あるいは実績のある医療機関の数は、「公的等」が最も多く、「公立」と「民間」は同程度だった。人口20万人未満の地域医療構想区域では「公立」の割合が最多であり、20万人以上100万人未満の区域では「公的等」、100万人以上では「民間」がそれぞれ最も多いこともわかった。厚労省は、2025年を見据えた5疾病5事業を中心に二次医療圏での医療機関の再編を進めているが、今回の新型コロナ感染拡大を踏まえ、見直しの声が高まっている。(参考)患者受け入れ病院2割のみ 中小で17〜5% 厚労省、病院再編統合を再検討(毎日新聞)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について(第27回 地域医療構想に関するワーキンググループ 資料)3.医師免許などの国家資格、マイナンバーでの活用検討厚労省は、「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の第1回を20日に開催した。今後、医療・介護分野での人材不足に対して、国家資格を有する人材の確保などの観点から、ITを活用した有資格者等の掘り起こしや再就職の支援を行うため、各種免許・国家資格、教育などについての情報をマイナンバーに紐付けて、届け出の簡易化を通して効果的な就労支援を目指す。対象とされるのは医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師など31職種。今後、各職能団体に対してマイナンバー制度利活用に関する意向調査を行い、提言を取りまとめる予定。(参考)社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会(第1回) 資料(厚労省)4.マイナンバーカードの健康データ、医療・介護研究などへ活用厚労省は、21日に「第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会」「第3回 医療等情報利活用WG」「第2回 健診等情報利活用WG」の合同会議を開催し、新型コロナの感染拡大を反映して、新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて討議を行った。2020年7月のデータヘルス改革に関する閣議決定により、次世代型行政サービスの強力な推進するため、マイナンバーカードを活用して、生まれてから生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組み、さらに健康データの医療・介護研究等への活用に向け検討を行った。今回は「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのACTIONについて、2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年度中に運用開始を目指し、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進めることを確認した。(参考)第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会、第3回 医療等情報利活用WGおよび第2回 健診等情報利活用WG 資料データヘルスの集中改革プラン、3つの項目で論点整理 厚労省(ケアマネタイムス)5.オンライン診療の普及促進、デジタル技術を用いた新たな技術導入へ政府・規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは、19日に第1回目を開催した。初回のテーマは「新規領域における医療機器・医薬品の開発・導入の促進」で、SaMD(Software as a Medical Device)の普及促進についてルールの整備などであったが、21日に開催された第2回では「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及促進」について話し合われ、患者の受診機会の確保・医療サービスの効率的な提供を実現する手段としてのオンライン診療・服薬指導の普及・定着に取り組むための議論を行った。これからデジタル技術を使い、医療・介護サービスの充実のために新たな技術導入が進むとみられ、今後の議論展開に注目される。(参考)第1回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(内閣府)第2回 医療・介護ワーキング・グループ 議事次第(同)6.保健所などで働く公衆衛生医師不足があらわに新型コロナウイルスの拡大に伴い、全国の保健所では医師不足に直面している。2018年末に行政機関に勤める医師は全体の0.6%(1,835人)だが、全国469保健所の所長の1割は兼務であるなど、現場でのニーズは高い。一方、一般病院の臨床医に比べると、給与など待遇面がよくないため、これまであまり注目されていなかった。2017年に始動した社会医学系専門医制度を通して、キャリアパスの周知徹底並びに若手育成を進めている。専攻医の希望者も初年度から100人を超える応募があり、2019年度には350人が研修プログラムに参加しているなど、今後の活躍が期待される。(参考)保健所の医師不足、3割が空席・兼務 学生に認知度低く(朝日新聞)一般社団法人 社会医学系専門医協会 理事長 宇田 英典先生インタビュー(マイナビRESIDENT)

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新型コロナウイルス、マスクによる拡散・吸い込み抑制効果を実証―東京大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫やエアロゾルが感染経路であり、感染拡大を防ぐためのマスク着用は、もはや日常生活に必須となっている(ただし乳児などを除く)。しかし、浮遊するウイルスに対するマスクの防御効果は不明である。今回、東京大学の河岡 義裕氏ら研究グループが実際にSARS-CoV-2を用いてマネキンに装着したマスクを通過するウイルス量を調べたところ、SARS-CoV-2の空間中への拡散および吸い込みの双方を抑える効果が確認された。一方、医療従事者が頻用するN95マスクについては、高い防御性能を示したものの、マスク単体ではウイルスの吸い込みを完全には防げないこともわかった。本研究についての論文は、mSphere誌オンライン版2020年10月21日号に掲載された。サージカルマスクの効果でウイルスの吸い込み量が約50%まで抑えられた 本研究では、空中に浮遊するSARS-CoV-2に対してマスクの防御効果を検証するため、感染性のSARS-CoV-2を用いてウイルスの空気伝播をシミュレーションできる特殊チャンバーを開発。2体のマネキン頭部を向かい合わせに設置し、一方のマネキンにはネブライザーが繋がれ、SARS-CoV-2を飛沫やエアロゾルとしてヒトの咳と同等の速度で口元から放出し、チャンバー内に拡散する。もう一方のマネキンには人工呼吸器が繋がれており、吸い込んだウイルス粒子がウイルス回収装置に捕集される仕組みだ。 ウイルスを吸い込む側のマネキンに各種マスク(布、サージカル、N95)を装着し、ウイルスの吸い込み量を調べたところ、布マスクでは、マスクなしと比べウイルスの吸い込み量が60~80%に抑えられ、サージカルマスクでは約50%、N95マスクでは10~20%まで抑えられることがわかった。ただし、N95マスクは十分にフィッティングをしなければ防御効果は低下し、隙間を完全に塞いでもなお一定量のSARS-CoV-2がマスクを透過することがわかった。さらに、ウイルスを吐き出す側のマネキンに布マスクまたはサージカルマスクを装着させ、吸い込む側のマネキンにも各種のマスクを装着させると、相乗効果でウイルスの吸い込み量が20~30%程度まで減少することがわかった。 一方で、ウイルスの遺伝子はいずれのマスク着用時においても検出されたという。著者らは、「実際の感染者から吐き出されたウイルスがマスクを通過して感染を引き起こすのか否かについては今後の更なる解析が必要だが、マスクのみでは浮遊するSARS-CoV-2の吸い込みを完全には防げないことを示唆している」と述べ、適切なマスクの着用法を徹底すると共に、マスクの防御効果を信頼し過ぎず、ほかの感染拡大防止措置との併用を考慮すべきとしている。

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ロピナビル・リトナビルはCOVID-19死亡リスクを下げない/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者において、ロピナビル・リトナビルによる治療は28日死亡率、在院日数、侵襲的人工呼吸器または死亡のリスクを低下しないことが、無作為化非盲検プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果、明らかとなった。英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループが報告した。ロピナビル・リトナビルは、in vitro活性、前臨床試験および観察研究に基づいてCOVID-19の治療として確立されていたが、今回の結果を受けて著者は、「COVID-19入院患者の治療として、ロピナビル・リトナビルの使用は支持されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年10月5日号掲載の報告。通常治療単独群とロピナビル・リトナビル併用群で28日死亡率などを比較 RECOVERY試験は、COVID-19入院患者を対象にさまざまな治療と通常治療を比較する試験で、英国の176施設にて進行中である。同意が得られた適格患者を、通常の標準治療群、通常治療+ロピナビル(400mg)・リトナビル(100mg)または他の治療(ヒドロキシクロロキン、デキサメタゾンまたはアジスロマイシン)群のいずれかに、ウェブシステムを用いて無作為に割り付け(非層別)、10日間または退院まで経口投与した。割り付けは、通常治療群対実薬群を2対1(実薬群が2群の場合は、2対1対1)の割合とした。 主要評価項目は28日全死亡率で、無作為に割り付けられた全患者を対象とするintention-to-treat解析を実施した。両群で28日死亡率、生存退院までの期間、28日以内の生存退院率に有意差なし 2020年3月19日~6月29日の期間で、ロピナビル・リトナビル群に1,616例、通常治療群に3,424例が割り付けられた。 28日以内にロピナビル・リトナビル群で374例(23%)、通常治療群で767例(22%)が死亡した(率比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.91~1.17、p=0.60)。事前に規定されたサブグループ解析でも、すべてのグループで同様の結果であった。 生存退院までの期間(両群とも中央値は11日間、四分位範囲:5~>28)、および28日以内の生存退院率(率比:0.98、95%CI:0.91~1.05、p=0.53)も、両群で有意差はなかった。入院時に侵襲的人工呼吸器を使用していない患者における、侵襲的人工呼吸器装着または死亡した患者の割合も、両群間に有意差は認められなかった(リスク比:1.09、95%CI:0.99~1.02、p=0.092)。 なお、著者は、非重篤の有害事象や治療中止の理由に関する詳細な情報は収集されていないこと、経口投与が困難な挿管患者がわずかながら登録されていたことなどを研究の限界として挙げている。

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COVID-19、18~34歳の臨床転帰と重症化因子

 米国や日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の若年者における感染が拡大している。しかし、COVID-19は高齢者に影響を及ぼす疾患として説明されることが多く、若年患者の臨床転帰に関する報告は限られる。米国・ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJonathan W. Cunningham氏らは、COVID-19により入院した18~34歳の患者約3,000例の臨床プロファイルと転帰について、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年9月9日号リサーチレターで報告した。 2020年4月1日から6月30日に、米国の1,030病院を含む病院ベースのPremier Healthcare DatabaseでICD-10に基づきCOVID-19による入院が記録された18~34歳の患者が対象。COVID-19による最初の入院のみが含まれた。対象者のうち、妊婦(1,644例)は除外された。併存症および入院中の転帰については、診断、診療行為、ICD-10の請求コードにより定義された。集中治療の有無は、集中治療室の利用あるいは人工呼吸管理の請求コードにより定義された。 死亡または機械的換気の複合アウトカムに関連する独立因子は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて特定した。両側検定p<0.05で有意と設定された。  主な結果は以下の通り。・2020年4月1日~6月30日の間に退院した78万969例のうち、6万3,103例(8.1%)がCOVID-19のICD-10コードを保有しており、そのうち3,222例(5%)が妊娠していない若年患者(18~34歳)で、米国の419病院に入院していた。・平均(SD)年齢は28.3(4.4)歳。1,849例(57.6%)は男性で、1,838例(57.0%)は黒人またはヒスパニック系であった。・1,187例(36.8%)は肥満(BMI≧30)、789例(24.5%)は高度肥満(BMI≧40)、588例(18.2%)は糖尿病、519例(16.1%)は高血圧を有していた。・入院中、684例(21%)が集中治療を、331例(10%)が機械的換気を必要とし、88例(2.7%)が死亡した。・217例(7%)で昇圧薬または強心薬、283例(9%)で中心静脈カテーテル、192人(6%)で動脈カテーテルが使用された。・入院期間中央値は4日(四分位範囲:2~7日)。・生存例のうち、99例(3%)が急性期後、ケア施設に退院した。・高度肥満(調整オッズ比[OR]:2.30、95%信頼区間[CI]:1.77~2.98、vs. 肥満なし;p<0.001)および高血圧(調整OR:2.36、95%CI:1.79~3.12、p<0.001)の患者のほか、男性(調整OR:1.53、95%CI:1.20~1.95、p=0.001)患者は、死亡または機械的換気を要するリスクが高かった。・死亡または機械的換気のオッズは、人種や民族によって大きく変化しなかった。・死亡または機械的換気を必要とした患者のうち140例(41%)に高度肥満があった。・糖尿病患者は、単変量解析で死亡または機械的換気を要するリスクが高かった(OR:1.82、95%CI:1.41~2.36、p<0.001)が、調整後に統計学的有意差に達しなかった(調整OR:1.31、95%CI:0.99~1.73、p=0.06)。・複数の因子(高度肥満、高血圧、糖尿病)のある患者は、これらのない8,862例のCOVID-19中高年(35~64歳)患者(非妊娠)と同等の死亡または機械的換気を要するリスクを有していた。 著者らは、2.7%という院内死亡率は、COVID-19の高齢患者と比較すれば低いが、急性心筋梗塞の若年者の約2倍であるとし、この年齢層のCOVID-19感染者の増加率を考慮すれば、若年者における感染防止対策の重要性を強調する結果だとしている。

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第25回 新型コロナ治療薬の治験結果が続々、選択の軸となる意外な条件とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話ばかりが続いて恐縮だが、この1週間で新型インフルエンザ治療薬のアビガン(一般名:ファビピラビル)、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体で抗リウマチ薬のアクテムラ(同:トシリズマブ)に関して、それぞれCOVID-19を対象とした企業治験(第III相試験)の結果が公表された。いずれも公表ベースではポジティブな結果である。主要評価項目を達成したアクテムラまず、9月18日にスイス・ロシュ社がアクテムラの第III相試験「EMPACTA」を公表した。試験の対象となったのは新型コロナウイルスへの感染が確認され、人工呼吸器管理を必要としない酸素飽和度(SpO2)94%未満の18歳以上の入院患者389例。試験デザインは無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験である。主要評価項目は28日目までの死亡または人工呼吸器の装着を必要とする患者の累積割合で、アクテムラ投与群が12.2%、プラセボ群が19.3%となった。ハザード比(HR)は0.56 (95%信頼区間[CI]:0.32~0.97、p=0.0348)となり、死亡・人工呼吸器装着に至るリスクはアクテムラ群で44%有意に低下した。ちなみに副次評価項目の一つである28日目までの死亡率は、アクテムラ群10.4%、プラセボ群8.6%(p= 0.5146)で有意差は認められず、そのほかの副次評価項目である28日目までの退院準備期間、臨床的改善に要した期間、臨床的悪化までの期間も有意差は認められていない。つまりアクテムラの投与では、少なくとも人工呼吸器の装着を避けられる可能性はあるということだ。なおアクテムラ投与群での有害事象は、便秘が5.6%、不安が5.2%、頭痛が3.2%などで従来のアクテムラ投与と比べて新たな有害事象は確認されていない。非重篤例で有意に症状改善したアビガンアビガンに関しても9月23日付で治験結果の一部が公表された。こちらの対象は非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者で、解析対象156例の無作為化単盲検プラセボ対照比較試験である。主要評価項目は発熱、SpO2、胸部画像といった症状の軽快かつウイルス陰性化までの期間で、公表された結果ではこの期間がアビガン投与群で11.9日、プラセボ投与群では14.7日となり、調整後HRは1.593 (95%CI:1.024~2.479、p=0.0136) となり、アビガン投与群で有意に症状を改善する可能性が示された。安全性については新たな有害事象は確認されていないと述べるにとどまっている。一方、アビガンに関しては過去に本連載でも触れた藤田医科大学での無症候・軽症者のCOVID-19に対する臨床研究では、ウイルス消失率で有意な差は認めていない。今後の各社対応あれこれちなみにロシュ側は今回のEMPACTA試験の結果を受けて米・FDAなどの規制当局と結果を共有するとし、富士フイルムは10月中に国内で承認申請するとしている。アクテムラの場合は、既に欧米でCOVID-19による重症肺炎患者を対象に実施した第III相試験「COVACTA」で主要評価項目とした臨床状態の改善、死亡率のいずれもプラセボと比較して有意差が認められなかったと発表している。その一方で、現在、COVID-19による重症肺炎患者を対象に、日本国内では承認を受けている抗ウイルス薬のベクルリー(同:レムデシビル)との併用療法をプラセボ対照で比較する無作為化二重盲検の第III相試験「REMDACTA」など複数の治験が進行中である。この点は、過去のがん領域でのアバスチン(同:ベバシズマブ)で見せた、途中でネガティブな結果が出ようとも、さまざまながん種で単剤から併用療法まで数多くの治験を行ってきたロシュらしい周到さがにじみ出ている。ここで今回の企業治験で示された結果を持って、アクテムラとアビガンが承認された場合を仮定して国内でどのような状況になるかを考えてみたい。その場合、使える治療薬は既存のベクルリー、ステロイド薬のデキサメタゾンに加えて4種類となる。少なくとも死亡率低下が認められているのはデキサメタゾンのみであることや、残る3種類では死亡率低下効果が示せていない点を考えると、重症肺炎例で選択肢となるのはデキサメタゾンのみとなる。また、3種類に関しては治験の対象患者群などから考えると、いずれも公表されている「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第3版」での重症度分類にある「中等症I呼吸不全なし」(93%<SpO2<96%)に適応となることが予想される。ただ、率直に言えば、3種類の治験結果は「どんぐりの背比べ」と言っても過言ではないだろう。では、臨床での使い分けはどのようになるだろうか?この場合、選択肢の軸となりうるものが個人的には2つ思い浮かぶ。1つは供給量である。3種類の中でもっとも供給量に不安があるのは、今回のCOVID-19パンデミックで初めて世に出たベクルリーである。これに加え製薬会社の地理的条件や製造労力を考えると、供給量はベクルリー<アクテムラ<アビガンとなる。もう1つは安全性である。製造が比較的容易とは言え、アビガンによる催奇形性や尿酸値上昇の副作用が指摘されている以上、妊娠・挙児を希望する若年の男女、高齢者を中心とする尿酸値が高めの患者には使いにくい。アクテムラはこれまでの症例蓄積などから肝炎ウイルスキャリアや心血管疾患のある人、ベクルリーは腎機能低下例には不向きである。こうしてみると、臨床現場としては使い分けがやや悩ましいのではないだろうか、と勝手に想像している。

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COVID-19関連肺炎へのアクテムラ、第III相試験で主要評価項目達成/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は9月18日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎における有効性を評価する第III相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したことを発表した。 EMPACTA試験は、新型コロナウイス(SARS-CoV-2)感染が確認され、SpO2<94%で、非侵襲的または侵襲的な機械的換気を必要としない、18歳以上の入院患者が対象。米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーから389例が登録された。 主要評価項目は、28日目までに死亡または機械的換気が必要となった患者の累積比率。副次評価項目は、28日目までの死亡率、退院または退院準備までの期間、臨床的成功期間(死亡、機械的換気、ICU入室、脱落のいずれか早く起こった事象までの期間)とされた。 今回発表された結果は以下の通り。・アクテムラと標準治療を受けた患者は、プラセボと標準治療を受けた患者と比較して、機械的換気または死亡に至るリスクが44%低下した(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.32~0.97、ログランク検定p=0.0348)。・28日目までに人工呼吸または死亡に至った患者の累積比率は、アクテムラ群で12.2%、プラセボ群で19.3%であった。・28日目までの退院または退院準備までの期間に有意差はなかった(中央値:アクテムラ6日 vs.プラセボ7.5日、HR:1.16、95%CI:0.90~1.48、ログランク検定p=0.2456)。・28日目までの臨床状態の改善までの期間に有意差はなかった(中央値:6日vs.7日、HR:1.15、95%CI:0.90~1.47、ログランク検定p=0.2597)。・28日目までの臨床的成功期間は、プラセボ群と比較してアクテムラ群で長かった(中央値:推定不可(NE)vs. NE、HR:0.55、95%CI:0.33~0.92、ログランク検定p=0.0217)。 ただし、他の主要な副次的評価項目が満たされていないため、この差は統計的に有意であるとはみなされない。・28日目までの死亡率に統計的有意差はみられなかった(10.4% vs. 8.6%、差:2.0%[95%CI:-5.2%~7.8%]、p=0.5146)。・28日目までの感染症発生率は10% vs. 11%、深刻な感染症発生率は5.0% vs. 6.3%であった。 アクテムラ群で多くみられた有害事象は、便秘(5.6%)、不安(5.2%)、頭痛(3.2%)であった。EMPACTA試験では、アクテムラの新しい安全性信号は確認されていない。 EMPACTA試験の結果は、今後査読付きジャーナルに掲載される予定。

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大手術時の術中換気、低容量vs.従来換気量/JAMA

 大手術を受ける成人患者において、術中の低容量換気(low-tidal-volume ventilation)は従来の1回換気量と比較し、同一の呼気終末陽圧(PEEP)下では、術後7日以内の肺合併症の有意な減少は認められなかった。オーストラリア・オースティン病院のDharshi Karalapillai氏らが、単施設での評価者盲検無作為化臨床試験の結果を報告した。手術中の人工換気は旧来、超生理学的1回換気量が適用されてきたが、低容量換気に比べ有害で術後合併症を引き起こす懸念が高まっている。しかし、手術中に人工呼吸器を使用する患者における理想的な1回換気量は不明であった。JAMA誌2020年9月1日号掲載の報告。手術予定患者1,236例で手術中の低容量換気と従来の1回換気量の有効性を比較 研究グループは、2015年2月~2019年2月にオーストラリア・メルボルンの三次医療機関において、2時間以上の全身麻酔下で大手術(心臓胸部手術、頭蓋内手術を除く)を受ける予定の40歳以上の患者1,236例を登録し、低容量換気群(1回換気量が予測体重1kg当たり6mL)または従来換気群(1回換気量が予測体重1kg当たり10mL)に無作為に割り付け、2019年2月17日まで追跡調査した。両群とも、すべての患者でPEEPは5cmH2Oとした。 主要評価項目は、肺炎、気管支痙攣、無気肺、肺うっ血、呼吸不全、胸水、気胸、予定外の術後の侵襲的/非侵襲的人工換気などを含む術後7日以内の術後肺合併症である。副次評価項目は、入院中の肺塞栓症、急性呼吸促迫症候群を含む術後肺合併症、全身性炎症反応症候群、敗血症、急性腎障害、創傷感染(表層部/深部)、術中昇圧剤の必要率、予定外の集中治療室(ICU)入室、院内迅速対応チーム呼び出し、ICU在室期間、入院日数、院内死亡率とした。術後7日以内の術後肺合併症の発生は両群とも38~39%で有意差なし 無作為化された患者1,236例のうち、1,206例(低容量換気群614例、従来換気群592例)が試験を完遂した。平均年齢は63.5歳、女性が494例(40.9%)、腹部外科手術が681例(56.4%)であった。 主要評価項目である術後7日以内の術後肺合併症は、低容量換気群で608例中231例(38%)、従来換気群で590例中232例(39%)に発生した(群間差:-1.3%[95%信頼区間[CI]:-6.8~4.2%]、リスク比:0.97[95%CI:0.84~1.11]、p=0.64)。また、いずれの副次評価項目も、両群間に有意差は確認されなかった。 なお、著者は研究の限界として、単施設の試験で、治療の特性上盲検化できなかったこと、両群の患者数がわずかに不均衡であったこと、胸部X線画像が体系的に評価されていないことなどを挙げている。

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ALS、フェニル酪酸ナトリウム+taurursodiolが機能低下を遅延/NEJM

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者へのフェニル酪酸ナトリウム+taurursodiol投与は、24週間の機能低下をプラセボよりも遅らせる可能性があることが、米国・ハーバード大学医学大学院のSabrina Paganoni氏らによる、ALS患者137例を対象とした多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。フェニル酪酸ナトリウムおよびtaurursodiol投与は、実験モデルでは神経細胞死を抑制することが示されていたが、ALS患者に対する2剤併用の有効性と安全性は明らかになっていなかった。今回の試験では、副次アウトカムについて2群間で有意差は認められず、結果を踏まえて著者は、「有効性と安全性を評価するには、より長期かつ大規模な試験を行う必要がある」と述べている。NEJM誌2020年9月3日号掲載の報告。 24週間のALSFRS-Rスコア低下率を比較 研究グループは2017年6月~2019年9月にかけて、米国25ヵ所の医療機関を通じ、ALSの確定診断を受けた発症後18ヵ月以内の患者を登録して試験を行った。 被験者を無作為に2対1の割合で無作為に割り付け、一方にはフェニル酪酸ナトリウム-taurursodiolを投与(フェニル酪酸ナトリウム3g+taurursodiol 1gを1日1回3週間、その後は1日2回)、もう一方の群にはプラセボを投与した。 主要アウトカムは、24週間の「筋萎縮性側索硬化症機能評価スケール改訂版」(ALSFRS-R、0~48点でスコアが高いほど機能良好)の合計スコアの低下率だった。 副次アウトカムは、等尺性筋力・血漿中リン酸化軸索ニューロフィラメントHサブユニット濃度・静的肺活量それぞれの低下率と、死亡・気管切開・永続的人工呼吸器の使用までの期間、死亡・気管切開・永続的人工呼吸器の使用・入院までの期間だった。スコア低下幅、プラセボ群-1.66点/月に対し実薬群-1.24点/月 ALS患者177例について試験適格スクリーニングを行い、137例をフェニル酪酸ナトリウム-taurursodiol群(89例)またはプラセボ群(48例)に無作為に割り付けた。 修正intention-to-treat解析の結果、ALSFRS-Rスコアの平均変化率は、プラセボ群-1.66点/月に対し、実薬群-1.24点/月だった(群間差:0.42点/月、95%信頼区間:0.03~0.81、p=0.03)。 副次アウトカムについては、2群間で有意差は認められなかった。実薬による有害事象は、主に消化器系に関連したものだった。

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ARDSを伴うCOVID-19、デキサメタゾンが有効な可能性/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)を伴う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の治療において、標準治療にデキサメタゾンを併用すると、標準治療単独と比較して、治療開始から28日までの人工呼吸器非装着日数(患者が生存し、かつ機械的換気が不要であった日数)が増加することが、ブラジル・Hospital Sirio-LibanesのBruno M. Tomazini氏らCOALITION COVID-19 Brazil III Investigatorsが実施した「CoDEX試験」で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。COVID-19に起因するARDSは、実質的に死亡率や医療資源の使用を増大させることが知られている。デキサメタゾンは、ARDSを伴うCOVID-19患者の肺障害を軽減する可能性が示唆されている。41のICUが参加、試験は早期中止に 本研究は、ブラジルの41の集中治療室(ICU)が参加した医師主導の非盲検無作為化試験であり、2020年4月17日~6月23日の期間に患者登録が行われた(Coalition COVID-19 Brazilの助成による)。最終フォローアップ日は2020年7月21日だった。予定された登録患者数350例に達する前に、関連試験の論文が発表され、本試験は早期中止となった。 対象は、年齢18歳以上のCOVID-19確定例または疑い例で、PaO2/FIO2比≦200の中等症~重症ARDSの基準を満たし、48時間以内に機械的換気を受けていた患者であった。ARDSの診断はベルリン定義の基準に準拠した。 被験者は、標準治療に加え、デキサメタゾン10mgまたは20mgを1日1回、5日間あるいはICUを退室するまで静脈内投与する群、または標準治療のみを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、治療開始から28日間における人工呼吸器非装着日数とし、患者が生存かつ機械的換気が不要であった日数と定義された。副次アウトカムは、15日の時点での6段階順序尺度(1[非入院]~6[死亡]点)による臨床状態、48時間・72時間・7日の時点でのSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア(0~24点、点数が高いほど臓器機能不全が高度)などであった。非装着日数:6.6日vs.4.0日、7日時SOFAスコア:6.1点vs.7.5点 299例(平均年齢61[SD 14]歳、女性37%)が登録され、全例がフォローアップを完了した。 治療開始から28日の時点における平均人工呼吸器非装着日数は、デキサメタゾン併用群が6.6日(95%信頼区間[CI]:5.0~8.2)と、標準治療単独群の4.0日(2.9~5.4)に比べ有意に増加した(群間差:2.26、0.2~4.38、p=0.04)。 また、7日時点のSOFA平均スコアは、デキサメタゾン併用群は6.1点(95%CI:5.5~6.7)であり、標準治療単独群の7.5点(6.9~8.1)と比較して有意に低かった(群間差:-1.16点、95%CI:-1.94~-0.38、p=0.004)。48時間時点と72時間時点のSOFA平均スコアについては、両群間に有意な差はなかった。 15日の時点での6段階順序尺度による臨床状態、28日の時点での全死因死亡・ICU非滞在日数・機械的換気日数には、両群間に有意差はみられなかった。 デキサメタゾンの併用による有害事象の有意な増加は認められなかった。重篤な有害事象は、デキサメタゾン併用群5例(3.3%)、標準治療単独群9例(6.1%)でみられた。28日までに新規に診断された感染症は、デキサメタゾン併用群33例(21.9%)、標準治療単独群43例(29.1%)、人工呼吸器関連肺炎はそれぞれ19例(12.6%)および29例(19.6%)、カテーテル関連血流感染症は10例(6.6%)および8例(5.4%)で発現した。 著者は、「治療開始から28日間における人工呼吸器非装着日数は、既報の非COVID-19のARDS患者に比べ低かったが、疾患重症度が確定されたARDSを伴うCOVID-19患者を対象とした以前の研究の結果と一致していた」としている。

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COVID-19の急性呼吸不全、ヒドロコルチゾンは有効か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性呼吸不全を呈した重症患者に対し、低用量ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、21日時点の死亡を含む治療不成功率を有意に低減しなかった。フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らが、149例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果が発表された。ただし同試験は、別の試験でデキサメタゾンがCOVID-19による死亡率などを減少することを示す結果が出たことを受けて、早期に中止されており、著者は、「主要アウトカムについて、統計的および臨床的に意義のある差異を見いだすための検出力が不足していた可能性がある」と、結果の妥当性について疑義を呈している。JAMA誌オンライン版2020年9月2日号掲載の報告。21日時点での治療不成功率をプラセボと比較 研究グループは、フランスで2020年3月7日~6月1日にかけて、COVID-19による急性呼吸不全でICUでの治療を要した患者を対象に、多施設共同無作為化二重盲検逐次試験(患者50例ごとに中間解析を行う)を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には低用量ヒドロコルチゾンを14日間(200mg/日を7日間、100mg/日を4日間、50mg/日を3日間)持続点滴静注投与し、もう一方にはプラセボを投与した。最終フォローアップは2020年6月29日だった。 主要アウトカムは、21日時点での治療不成功(死亡、人工呼吸器または高流量酸素療法への継続的依存のいずれかと定義)であった。また、事前に規定した副次アウトカムは、ベースラインで気管挿管のない患者の気管挿管、腹臥位セッション・体外式膜型人工肺(ECMO)・一酸化窒素吸入療法の21日目までの累積実施率、P/F比(PaO2/FiO2、測定:1~7日、14日、21日)、ICU入室中の2次感染発生患者の割合などだった。治療不成功、ヒドロコルチゾン群42%、プラセボ群51% 同試験は、290例登録を意図していたが、データ・安全監視委員会の勧告を受けて、被験者149例(ヒドロコルチゾン群76例、プラセボ群73例)登録後に中止された。登録被験者の平均年齢は62.2歳、女性30.2%、人工呼吸器を要した患者は81.2%だった。148例(99.3%)が試験を完了し、そのうち治療不成功は69例で、死亡はヒドロコルチゾン群11例、プラセボ群20例だった。 21日時点での治療不成功率は、ヒドロコルチゾン群42.1%(32/76例)、プラセボ群50.7%(37/73例)、両群で有意差はなかった(発生率群間差:-8.6%、95.48%信頼区間:-24.9~7.7、p=0.29)。 また、事前に規定した4つの副次アウトカムについても、有意差はみられなかった。試験治療薬に関連した重篤有害事象の発生もなかった。

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ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

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ケアネットDVD サンプル動画リンク集(2020年9月版カタログ掲載)

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COVID-19に有効な薬剤は?RCT23報のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への薬物治療の有効性について比較検討したところ、グルココルチコイド投与は標準治療と比べて、死亡率および人工呼吸器リスクを減少する可能性が示されたという。カナダ・マックマスター大学のReed A. C. Siemieniuk氏らが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。なお、有症状期間を短縮する可能性がある薬物治療として、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、ロピナビル・リトナビルが挙げられたが、著者は、「ほとんどの試験が小規模でエビデンスの質は低く、治療薬の有効性については確定できないままだ」と述べている。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。7月20日時点でのシステマティック・レビュー 研究グループは2020年7月20日時点で、電子データベース25件と中国のデータベース6件を含む、CDCのCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。COVID-19の疑いや可能性が高い患者、また確定診断を受けた患者を対象に、薬物治療と標準治療、またはプラセボ投与を比べた無作為化比較試験を抽出した。 2人組のレビュアーによってデータが抽出。重複データを削除後、ベイズ変量効果ネットワークメタ解析を行った。各試験のバイアスリスクは改訂版コクラン・バイアスリスク2.0ツールを用い、エビデンスの質(確実性)は、GRADEシステムでそれぞれ評価した。グルココルチコイドは標準治療と比べて死亡を37/1,000人減 2020年6月26日までに行われた23件の無作為化比較試験を包含しメタ解析が行われた。試験が盲検化されていないというバイアスリスクのために、ほとんどの治療薬の比較に関するエビデンスの確実性は非常に低かった。 その中で唯一、グルココルチコイドによる治療は標準治療に比べ、死亡および人工呼吸器リスクを減少することに関してエビデンスが得られた。死亡リスクの群間差は37/1,000人(95%信頼区間[CI]:63~11/1,000人)、人工呼吸器リスクは同31/1,000人(47~9/1,000人)だった(いずれも中等度の確実性)。これらの予測値は、直接的エビデンスに基づくもので、ネットワーク・エビデンスでは異質性により同予測値の正確性は低下した。 また、有症状期間を短縮する可能性があった治療薬(標準治療との比較において)は、ヒドロキシクロロキン(平均群間差:-4.5日、低度の確実性)、レムデシビル(-2.6日、中等度の確実性)、ロピナビル・リトナビル(-1.2日、低度の確実性)だった。 ヒドロキシクロロキンはその他の薬物治療と比べ、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。レムデシビルは、おそらく投与を中断するに至る有害事象リスクは、実質的に増大しないと考えられることが示された。その他については、投与の中断に結びつく有害事象について解釈するだけの十分な患者が試験に組み込まれていなかった。

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