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mRNAワクチン後のアナフィラキシー、医療者で報告多い?/JAMA

 Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、米国の医療従事者約6万5,000人を対象に、初回接種後の急性アレルギー反応発生状況について調査が実施された。マサチューセッツ総合病院のKimberly G. Blumenthal氏らによる、JAMA誌オンライン版2021年3月8日号リサーチレターでの報告。 2020年12月16日~2021年2月12日(フォローアップは2月18日まで)に、mRNA COVID-19ワクチンの初回投与を受けたMass General Brigham(MGB;ボストンを拠点とする非営利の病院および医師のネットワーク)の従業員が前向きに調査された。ワクチン接種後3日間、従業員は電子メール、テキストメッセージ、電話、スマートフォンアプリケーションのなどを通じて症状を報告した。 報告が求められた急性アレルギー反応の症状には、接種部位以外の発疹またはかゆみ、じんましん、口唇・舌・目・顔の腫脹、喘鳴・胸部圧迫感または息切れが含まれた。報告された症状は、Brighton Criteria2および国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)/食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク(FAAN)基準を使用して評価され、2つのうち少なくとも1つの基準を満たした場合にアナフィラキシーと判定された。 主な結果は以下の通り。・ワクチン初回接種を受けた6万4,900人のうち、2万5,929人(40%)がPfizer-BioNTech社、3万8,971人(60%)がModerna社のワクチンを接種した。・5万2,805人(81%)が1回以上回答した。・自己申告の急性アレルギー反応は、全体で1,365人から報告され(2.10%[95%CI:1.99~2.22%])、Pfizer-BioNTech社と比較してModerna社のワクチンでより頻繁に報告された(2.20%[2.06~2.35%] vs.1.95%[1.79~2.13%]、p=0.03)。・アナフィラキシーは16人で確認された(0.025%[95%CI:0.014~0.040%])。Pfizer-BioNTech社ワクチンでは7例(0.027%[0.011~0.056%])、Moderna社ワクチンでは9例(0.023%[0.011~0.044%])報告された(p=0.76)。・アナフィラキシーが確認された人の平均年齢は41(±13)歳、94%(15人)が女性だった。63%(10人)はアレルギー歴があり、31%(5人)はアナフィラキシー歴があった。・アナフィラキシー発症までは平均17(±28、1~120)分であった。・1人が集中治療室に入り、9人(56%)がエピネフリンの筋肉内投与を受け、全員がショック療法または気管挿管なしで回復した。 著者らは、本コホートで得られたアナフィラキシー発生率(2.47回/1万回ワクチン接種)は、CDCによる受動的サーベイランス(自発的報告)による報告(0.025~0.11回/1万回ワクチン接種)と比較して高いことに言及。それでも、mRNA COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの全体的なリスクは非常に低く、他の一般的な医療行為と同等としている。また、 本コホートの参加者は主に医療従事者であったため、自己申告データの信頼性は高い可能性があると考察している。 また、成人の約5%が重度の食物アレルギー歴、約1%が重度の薬物アレルギー歴を有していることを考慮すると、安全にワクチン接種された人のうち重度の食品または薬物アレルギー歴を持つ約4,000人が含まれている可能性があるとしている。

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第49回 新型コロナ変異株報道が悲劇を生む前に伝えたいこと

最近、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関して、ワクチンと並んで報道量が多いのが、変異株関連である。すでに多くの方がご存じのように日本国内では英国型(B.1.1.7系統:VOC 202012/01)、南アフリカ型(B.1.351系統:VOC 501Y.V2)、ブラジル型(P.1系統)が確認されている。これに加え、最近ではフィリピン型、PCR検査で検出しにくいと言われる仏・ブルゴーニュ型などの報告もある。ただ、先日この変異株に関連したある報道を見て、私はかなり違和感を覚えてしまった。その違和感を紹介する前に、これら変異株についての現時点までの情報を改めて整理しておきたい。現在、日本で一定数の感染者が報告されているのは英国型、南アフリカ型、ブラジル型の3つである。いずれもが感染力が増強するN501Y変異、加えて南アフリカ型、ブラジル型では免疫逃避のE484K変異を持っていることがわかっている。感染性については英国型では最大40%、南アフリカ型では最大50%、ブラジル型では1.4~2.2倍、増強していると報告されている。死亡率に関しては英国型で64%上昇するとの報告があるものの、その他の変異株については不明である。厚生労働省の発表では3月16日時点で、26都道府県の399人の変異株感染事例が判明しており、変異株別では英国型が374人、南アフリカ型が8人、ブラジル型が17人。都道府県別の報告数を見ると、多くの都道府県が英国型のみの報告で兵庫県が94人、大阪府が72人、新潟県が32人、京都府が24人、東京都が14人、北海道が13人、広島県が12人など。また埼玉県は57人が報告され、うち英国型が42人、ブラジル型が15人。神奈川県は28人で、うち英国型が24人、南アフリカ型が4人。岐阜県が南アフリカ型のみ4人、山梨県がブラジル型のみ2人となっている。さて私が疑問に思った報道とは、昨今神奈川県が発表した変異株感染者2人の死亡事例に関してである。国内で初の変異株感染者の死亡例であるため、各紙が一斉に報じた。「コロナ変異株で国内初の死者 神奈川の50代と70代」(朝日新聞)「変異ウイルスに感染、初の死亡事例…神奈川の70代と50代男性」(読売新聞)「コロナ変異株で男性2人死亡 国内で初確認 神奈川県が発表」(毎日新聞)「変異株で国内初の死者 神奈川の男性2人」(産経新聞)「変異ウイルス感染の2人死亡 神奈川県、国内初確認」(日本経済新聞)「変異株で国内初の死者、神奈川 70代と50代の男性」(共同通信)いつもと違い共同通信を加えたのは、地方紙各社などがこの記事を掲載することが多いためだ。さて私見で恐縮だが、この中で私が報じ方として不合格と考えるのが読売新聞と毎日新聞であり、一番高く評価できるのは日本経済新聞。この評価の軸は、死亡した感染者の医学的なバックグラウンドをどれだけ丁寧に報じたかどうかにある。より具体的に説明すると、読売新聞、毎日新聞では報じなかった、死亡者の50代男性は高血圧・脂肪肝の基礎疾患あり、70代男性は基礎疾患なし、さらに日本経済新聞で記述している70代男性は新型コロナの症状で入院に至っていたという情報はいずれも極めて重要である。端的に言ってしまえば、この情報からは、そもそもこの2人は野生株での感染でも重症化や死亡のリスクが高い事例と分かるからである。前述のように変異株での致死性に関しては、英国型で高いとのBMJに掲載された報告があるものの、それ以外は目立った報告はなく、現時点でほぼ不明と言わざるを得ない。ところが新聞報道で基礎疾患の有無などの情報がなければ、「変異株に感染したから死亡した=変異株はただただ恐ろしい」という誤解を与えかねない。この誤解が問題なのは、差別・偏見の温床になるからである。新型コロナパンデミックが始まった当初、感染者や感染者に接する医療従事者に対する差別・偏見事例が数多く報告されたことは記憶に新しい。今でも同様の差別・偏見はなくなっていないが、徐々に減っていると私は感じている。その根拠の一つは例えば匿名性の低いSNSのFacebookでは、最近は感染をカミングアウトする人が増えていることである。それだけ市中感染が広がったということでもあり、誰かが新型コロナウイルスに感染したという事実だけならば、かなりの人が慣れ始めている。ところがそうした状況では、新たに登場した異質なものに多くの人はギョッとする。まさに「変異株」はそうした存在である。余談になるが、慣れっこの世界で新たに感じた異質さは時に悲劇を生む。今は一時休業しているが、私は戦争現場の取材もしている。その中でも最も取材期間が長かった「ボスニア内戦」がまさに新たに感じた異質さが生み出した悲劇の典型である。旧ユーゴスラビアの一構成共和国だったボスニア・ヘルツェゴビナは1992年に独立を宣言するが、その直後から国内では血で血を洗うかのような過酷な内戦が始まった。ボスニア国内の民族宗教に基づく人口構成が、イスラム教徒のボスニャック人が5割強、キリスト教正教徒のセルビア人が3割強、カトリック教徒のクロアチア人が1割という民族宗教のモザイク状態であったため、この3民族が三つ巴戦を繰り広げたというのが内戦に関する通説である。この通説は間違いではないが、私の口からより具体的に説明するならば、「独立を巡って権力闘争を繰り広げた政治家たちが、たまたま民族・宗教の違いを持っており、それぞれが自らを有利にさせるためにその違いを利用して自らの勢力確保と敵対勢力への憎悪をあおり、殺し合いが始まった」となる。短くまとめるなら、民族という皮をかぶった政治家同士の権力闘争である。そしてその実相は、従来はとくに民族や宗教の違いなど意識せずに暮らしてきた者同士が、突如互いが違う、しかも相手は怖いやつらだと宣伝され、顔の見える者同士で殺し合った戦争なのである。私はこの戦争の取材を通じて、「違い」の気づき方次第で人は取り返しのつかない結果を招くという現実を学んだ。話を元に戻すと、変異株については感染性が増強していることはほぼ確実視されている。そのことは正確に伝えなければならず、それだけでも今後感染者の中でも変異株感染者を危険視する風潮が起こる可能性は高い。だが、だからこそ致死性に関しては、意図しなかったものだったとしても過剰な印象を与えるような報道をしてはならない。そのことが実態以上に変異株を危険視させ、差別・偏見を助長させる可能性が高いからである。今回紹介したような「変異株感染者が死亡した」というだけの一部の報道は誤報ではない。しかし、時として解釈のない事実のみを報じることは、正確性を欠く典型事例である。自分もこの報道に接して改めて気を引き締め始めている。最後にこの件に関する地元紙・神奈川新聞の報道は、地元紙という特性も影響したのか、かなり丁寧で正確かつ不安を助長させないよう心がけていると感じた。

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第49回 日本の科学者が見いだしたイベルメクチンは、コロナ治療の新たな希望か

新型コロナウイルスのワクチンを巡り、不安材料が浮上してきた。世界的なワクチン争奪戦の影響などで、米ファイザー製のワクチンが計画通りに供給されない可能性が出てきたり、英アストラゼネカ製のワクチンにおける副反応疑いが報じられたりしているからだ。翻って、ノーベル医学生理学賞受賞者(2015年)の大村 智氏(北里大学特別栄誉教授)の研究を基にした抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、日本発の新型コロナウイルス感染症治療薬として期待する声が上がっている。新型コロナ治療薬としては未承認だが、中南米やアフリカ、中東でオンコセルカ症(河川盲目症)や類縁の感染症の治療薬として毎年約3億人が服用し、約30年間、副作用の報告がほとんどないという。イベルメクチンは2012年から、さまざまなウイルスに対する効果が多数報告されている。ヒトの後天性免疫不全症候群(AIDS)やデング熱ウイルス、インフルエンザウイルス、仮性狂犬病ウイルスなどだ。世界25ヵ国が新型コロナ治療薬に採用北里大学では2020年9月から、新型コロナウイルスに対する治療効果を調べる臨床試験を行っている。すでに医薬品として承認されているため、第I相を飛ばし、第II相の治験が実施されている。日本を含め、世界27ヵ国で91の臨床試験が行われており(2021年1月30日現在)、25ヵ国がイベルメクチンを新型コロナ感染症対策に採用している(2021年2月26日現在)。米国FLCCC(Front-Line COVID-19 Critical Care)アライアンスの会長Pierre Kory氏が2020年12月8日、上院国土安全保障と政府問題に関する委員会に証人として登壇した際は、イベルメクチンを新型コロナに対する「奇跡の薬」と評し、「政府はイベルメクチンの効果を早急に評価し、処方を示すべきだ」と訴えた。強力な支持、一方で効果を問う最新論文も…FLCCCは、2020年春以降、新型コロナ治療薬としてのイベルメクチンに関する臨床試験情報を収集・分析し、Webに公開している。これまでの臨床試験から可能性が示唆されているのは以下の通りだ。(1)患者の回復を早め、軽~中等症の患者の悪化を防ぐ。(2)入院患者の回復を早め、集中治療室(ICU)入室と死亡を回避させる。(3)重症患者の死亡率を低下させる。(4)イベルメクチンが広く使用されている地域では、新型コロナ感染者の致死率が著しく低い。さらにKory氏は、WHOがイベルメクチンを「必須医薬品リスト」に入れたことを強調。NIHやCDC、FDAに対し、イベルメクチンの臨床試験結果を早急に確認のうえ、医療従事者らに処方ガイドラインを示すように求めた。一方で、イベルメクチンが新型コロナ軽症患者に対して改善効果が認められなかったという無作為化試験の結果が今月、JAMA誌に掲載された1)。新型コロナを巡っては、ワクチンも治療薬も現在進行形で研究・開発が進み、エビデンスの蓄積と医療者や世間の期待とのバランスが非常に難しい。イベルメクチンが、コロナ治療における新たな希望になり得るのか、今後の研究の行方を注視したい。参考1)イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

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米国コロナ治療の今:重症コロナ患者へ実施する緩和医療とは【臨床留学通信 from NY】第18回

第18回:米国コロナ治療の今:重症コロナ患者へ実施する緩和医療とはコロナの最大の関心事は、いまワクチンにあると思います。日本でも医療従事者への接種が始まりましたが、こちらアメリカでは2月25日現時点で6,500万人ほどが1回目の接種をしているようです。しかしながら、米国の総患者数はおよそ人口の10%に相当する2,800万人。そして、ついに50万人の死亡が確認されています。ニューヨーク州は、2,000万人ほどの人口で一時期は1日の新規患者数が2万人にのぼる日もありましたが、現在は1万人以下に減っています。しかし、わたしが所属するMount Sinai Beth Israelでは、残念ながらまだコロナの患者さんの数が減っている気配を感じません。マンハッタン郊外にあたるクイーンズ地区やブルックリン地区にはMount Sinaiの関連病院があり、そこで収容できなかった患者さんがひっきりなしに転院搬送されてきます。日本では、大学病院と大学関連病院といっても経営母体が一緒であることはあまりないと思いますが、Mount Sinai Health SystemにはMount Sinai Hospitalという大学病院を中心に6つほどの病院を有しており、グループ間の転院搬送も専用の救急車でスムーズに行われます。病院としても利益をある程度求めなければならず、グループ間での転院搬送であれば問題はないという考えだと思います。電子カルテも統一されているため、受け入れる側も先方のカルテが閲覧できるため、二重の検査は不要で合理的です。そのようなシステムのため、レジデントがグループ内の病院で、2週間単位で研修を受けるということも可能です。さて、このところコロナ治療の最前線にいることが多かったのですが、緩和医療という日本ではあまり馴染みのない科のローテートをすることになりました。緩和というと、日本では主にがん患者さんに対する医療という意味が強いと思いますが、米国ではそれに限らず、集中治療をいくら施しても回復が難しい場合に、患者さんのcomfortを中心に行うことがあります。実は、そのようなケースが、コロナ患者さんで非常にたくさんおり、患者家族とのやりとりを経て、場合によってはpalliative extubationといって、人工呼吸器がないと生きていけない患者さんの気管内チューブを抜くことがあります。そのような、尊厳死と捉えられてもおかしくないような医療行為には賛否両論があると思いますが、国が違えば考えも違う、法律も違う(米国内でも、州ごとに仕組みが異なります)ということなんだと思います。Column3月21日(日)20時~(日本時間)zoomでウェブセミナーを行います。テーマは「米国循環器グループで行う戦略的メタアナリシス」です。ウェブセミナー「米国循環器グループで行う戦略的メタアナリシス」もしよければ覗いてみてください。

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新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。 今回のリリースによると、イスラエルMoHが2021年1月17日~3月6日の匿名化されたデータを使用し、Pfizer社/BioNTech社が製造したワクチンの2回目の接種から2週間後の時点での健康状態を非接種者と比較したという。この当時、イスラエルではB.1.1.7株が流行していた。 ワクチンの有効性は年齢、性別、および検体が収集された週の変動などで調整し、6項目―新型コロナウイルス感染(症状のあり/なし いずれも含む)、無症候性のみ、 症候性のみ、新型コロナによる入院(重度:呼吸困難、毎分30回以上の呼吸、室内空気の酸素飽和度<94%、および/またはP/F比(PaO2/FiO2比)<300mmHg、入院期間の評価(機械的換気、ショック、および/または心臓、肝臓、腎臓機能の障害)、新型コロナによる死亡―から接種者と非接種者に対する予防効果を決定したという。 なお、この内容は現在プレプリント段階であり、近々、査読付き論文として公表予定とのこと。

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新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。 COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。 接種部位の発赤、腫脹、硬結、疼痛、熱感、かゆみのほか、体温(37.5度以上)、頭痛、倦怠感について接種1回目、2回目それぞれの7日後まで各日の報告数が公開されており、性別や年代別の詳細も閲覧することができる。

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オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。 「開催の賛否」を聞いた設問では、「賛成」290人(29%)、「反対」585人(57%)、「わからない/どちらとも言えない」145人(14%)と、反対が賛成のほぼ倍、という結果となった。2021年1月時点で共同通信が一般人を対象に行ったアンケートでは80%が反対または再延期すべきと回答しており、緊急事態宣言が延長された1月7日時点では国内の新規感染者数が7,639人/日だったのに対し、3月9日は1,127人/日といったんの落ち着きを見せていること、医療者に対してワクチン接種が開始したこと等を背景に、賛成とする人が増えたようだ。 「賛成」「反対」の両者に、「どんな制限・条件が必要か」を聞いた設問(複数回答可)では、既に決定路線との報道も出ている「海外からの観客受け入れなし」が363人で最多となり、「完全無観客での開催」が288人、「会場の入場者数制限(現在の屋内イベントの制限に準じる)」が167人となった。さらに、「海外選手・関係者の入国後2週間隔離」149人、「海外選手・関係者のPCR陰性証明書提出を義務付け」133人といった、いわゆる水際対策がこれに続いた。一方で、「どのような条件があっても開催すべきでない」との回答者も228人いた。 オリンピックへの意見を自由回答で聞いたところ、賛成の回答者からは「今さら止められない」「経済損失を避けるべき」といったやや消極的な声が多かった一方で、反対の回答者からは「招致時点から反対。開催する意味をまったく感じない」「中止決定こそが日本の存在感を上げるはず」「ただのスポーツ、人命の危険を冒す権利はない」といった強い言葉が並んだ。ほかに「医療者を無償で招集するのはあり得ない」「オリンピック予算をコロナ対策と東北支援に充ててほしい」といった医療者の立場からの声も上がっていた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「東京オリンピック・パラリンピックの開催に賛成ですか?反対ですか?」

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第46回 ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省

<先週の動き>1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省12日、厚生労働省が各自治体に対して行った説明会において、医療者を対象としたワクチン投与開始初期の重点的調査(前向きコホート)の中間報告があった。2月25日までに1回目の接種を済ませた1万9,808例(内訳:医師16.7%、看護師46.6%、薬剤師、臨床検査技師各3%、理学療法士、介護系職種各2%、事務職11%、その他12%/男性33.8%、女性66.2%)が登録され、第1回接種後8日目以降に回収した1万7,138例(全体の86.5%)の健康観察日誌によると、発熱(37.5℃以上)は3%であり、接種翌日がもっとも多かった。また、90%を超える接種者が接種翌日までに痛みを自覚したが、中等度以上の疼痛でも3日後にはおおむね軽快することがわかった。このほか、16%が接種翌日に全身倦怠感を自覚していた。なお、接種30分以内に失神を伴わない血管迷走神経反射や動悸、紅斑、痛みなど88例(0.44%)を認めたが、アナフィラキシーは発現しなかった。接種後の副反応疑いとしては5例がPMDAに報告された。今回の結果を、2009年に行われたNHOによるH1N1インフルエンザワクチン2万人調査と比較すると、接種部位の疼痛の頻度が明らかに高く、全身症状がやや多かった。(参考)資料 1回目接種後健康観察日誌集計の中間報告 第4回 新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会より抜粋(厚労省)2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」厚労省が12日、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂版(2.1版)を通知した。前回2月の改訂に続き、「居宅サービス等」「ワクチンの移送」「地方公共団体が設ける診療所」「接種体制構築に係る市町村間の連携」「接種券」「住所地外接種」についての内容が追記されている。なお、今後の検討状況により随時更新される。(参考)資料 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(厚労省)3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設厚労省は、接種希望者への案内と予約受付をスムーズに行うため、一般公開サイト「コロナワクチンナビ」の開設を発表した。ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)に入力された医療機関情報をもとに、実施医療機関、ワクチンの種類、予約受付状況などの情報を提供する。予約受付は原則として各医療機関で行うことになるが、これを活用するためには、予約状況をV-SYS上で更新する必要がある。(参考)新型コロナワクチンの接種を行う医療機関へのお知らせ(厚労省)資料 V-SYSについて4(同)4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も医療従事者に対する接種に続いて、4月12日以降に開始される高齢者へのワクチン接種に向け、各自治体は接種の実施計画を立てている。厚労省は、各自治体の準備状況について、12日時点で823自治体によるシミュレーション実施など状況をまとめているが、今後も情報提供を進めていく予定。一方、ワクチン接種をめぐって、一部の自治体で接種のピーク時に必要な医師の確保が間に合わない可能性が出ている。日経新聞の報道によると、集団接種会場で実際に接種する医師について、主要都市で計画の6割しか確保できていない状況であり、医師不足に直面した自治体は医師や看護師など人員拡充を進めていく。(参考)新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等(厚労省)高齢者のコロナワクチン接種、医師確保6割どまり 主要都市本社調査、「派遣看護師ら活用」8割(日本経済新聞)5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ近年、高齢で妊娠した母親の血液から胎児の染色体異常を推定する出生前遺伝学的検査(NIPT)が普及しているが、日本産婦人科学会の指針で認められない性別や全遺伝子検査が行われる例、産婦人科以外の医師が検査を実施する例など、カウンセリングが不十分で適切な対応ができないなどの問題が指摘されている。厚労省は「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」を19年10月に立ち上げ、無認可施設での検査トラブルや高額検査などについて検討を重ね、先月2月10日に報告書が公開された。これによると、遺伝カウンセリングの内容など質の担保を求めており、今後、出生前診断の施設の認証制度に国が関与する制度に向け着手することになった。(参考)母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ報告(厚労省)新型出生前診断 国が実施施設認証に関与 厚労省方針案明らかに(毎日新聞)6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪東京都立墨東病院は、医師と看護師ら職員5人が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。研修医と看護師、放射線技師らが、都内の居酒屋と医師の自宅でマスクをしないまま長時間の飲食を行い、数日後、そのうち2人に発熱ならびに味覚障害が発症。病院側の調査により会食が発覚した。なお、都立墨東病院においては昨年4~5月にかけて患者並びに職員43名にのぼるクラスター感染が発生しており、救命救急センターの新規入院受け入れ中止など、診療体制の縮小を強いられた。報道陣の取材に対し、上田 哲郎院長は「患者に不安な思いをさせて申し訳なく思っている。自らの軽率な行動が患者や同僚、家族を巻き込むことにつながることをあらためて自覚させる」と謝罪した。(参考)都立墨東病院医師ら5人感染 居酒屋と医師宅でマスクせず会食(毎日新聞)都立病院の研修医や看護師ら5人感染…居酒屋で会食後に2次会も、院長「軽率」と謝罪(読売新聞)

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「新型コロナワクチン接種に伴う重度の過敏症の管理・診断・治療」を公開/日本アレルギー学会

 新型コロナウイルスワクチンが特例承認され、2月から医療関係者を対象とした接種が始まっている。現時点でアナフィラキシー発症頻度が従来のワクチンよりも高いことが報告されているが、いずれも適切な対処により回復している。ワクチン接種に際してはその益と害のバランスを考えることが必要であり、副反応に対する過度な懸念や対応は社会に大きな損失と負担をもたらす。日本アレルギー学会では、新型コロナウイルスワクチン接種に伴う副反応のうち、とくに重度の過敏反応(アナフィラキシー等)を起こし得る危険因子、管理、診断および治療について現時点の情報を整理し、適切にワクチン接種を行うための指針として、「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」を作成し、3月1日学会ホームページに公開した。3月12日に改訂版が公開されている。 本指針には、副反応の種類と頻度、副反応の機序、ワクチン接種の対象(不適格者、要注意者)、アレルギー反応/アナフィラキシー対策(準備体制、アレルギー反応/アナフィラキシーの診断と対応、アナフィラキシー類似の症候・疾患の鑑別と初期対応)がまとめられている。ワクチン接種を実施する際の具体的な対応として、ワクチン接種後の観察時間、アレルギー反応が見られたときの対応方法、アナフィラキシーの診断基準、アナフィラキシー発症時の対応方法のほか、アナフィラキシー類似症状を起こしうる症状(血管迷走神経反射、パニック発作、喘息発作、過換気症候群、てんかん)の対応方法も解説している。

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第48回 病院は格好のターゲット、コロナ過で急増するサイバー攻撃の狙いは?

コロナ禍で世界的に増えているサイバー攻撃。医療関連機関を狙った攻撃も増えている。時に患者の命に関わる危険もある攻撃に対し、どう立ち向かうべきか。NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストの松原 実穂子氏が2月1日、都内で行ったセミナー(主催:株式会社新社会システム総合研究所)において、サイバー攻撃の傾向と対策を語った。なぜ医療機関が狙われるのかイスラエルのサイバーセキュリティ企業チェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーズによると、医療機関に対する攻撃は、昨年11月から今年1月までの間だけで45%も増えたという。攻撃の1つは、コロナワクチンや治療薬等の研究成果を盗むスパイ目的だ。2つ目は、身代金要求型ウイルスを使った金銭目的の業務妨害だ。身代金要求型ウイルスに感染すると、ファイルが暗号化され、ITシステムが使えなくなり、業務が中断されかねない。たとえば、患者の治療法や健康状態の入ったデータベースにアクセスできなくなれば、治療や投薬、入退院の手続きに支障が出る。最悪の場合、患者の命が危険に晒されることも考えられる。そのため、身代金を支払ってでも暗号を解く鍵を入手しようという窮地に追い込もうと、病院を狙った攻撃が続いているのだ。UCSFもターゲットに、1億2,000万円の被害米国では、2020年だけで約560もの医療機関が身代金要求型ウイルスによる攻撃を受けた。昨年10月、バーモント大学の医療部門のITシステムがウイルス攻撃によりダウンした際には、患者の治療を続けることが困難になった。このトラブルにより、同大学は医療スタッフ300人を一時解雇するまでに追い込まれた。被害額は、1日当たりで1億5,500万円近くにも上ったという。昨年6月に被害を受けた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部では、研究に不可欠な情報がサイバーウイルスにより暗号化され、最終的に約1億2,000万円の身代金を支払った。なぜ医療機関に対するサイバー攻撃が増えているのか。松原氏は以下の3つを挙げる。1つは、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合が低いこと。例えば、サイバーセキュリティ対策に注力してきた金融業界の場合、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合は6〜14%だが、医療機関の場合は3〜4%程度だという。2つ目は、サイバーセキュリティ対策が不足していること。サイバー攻撃で最も多く使われる手口の1つが「なりすましメール」だが、米保険会社Corvusによると、最も基本的なサイバーセキュリティ対策であるメールのスキャニング・フィルタリングツールでさえ、医療機関の86%以上が未導入なのが現状だ。なりすましメールが医療スタッフに対して届きやすい状況を生んでいるのは明白である。3つ目は、コロナ禍における医療資源の逼迫だ。コロナ禍以前ですら、サイバーセキュリティ対策が遅れていたのに、新型コロナウイルスの収束が見えない中、さらに対策が取りにくくなっている。NTT Ltd.がまとめた医療機関の地域別サイバーセキュリティ成熟度によると、アジア太平洋地域はほかの地域に比べて圧倒的に低い。南米大陸と比べても評点は3分の1程度で、欧州や同じアジア太平洋地域の豪州と比べても半分ほどだという。セキュリティ対策甘い日本の医療機関は格好のターゲット米サイバーセキュリティ企業CrowdStrikeによると、昨年4月以降、日本の複数のワクチン開発機関に対して断続的にサイバー攻撃が行われた。なりすましメールに新型コロナ関係のファイルが添付されていたという。同社は、中国のハッカー集団が行ったのではないかと推測している。身代金要求型ウイルスによる被害は、日本企業でも発生している。読売新聞によると、身代金要求型ウイルスに感染した塩野義製薬の台湾現地法人では、医療機器の輸入許可証や社員在留許可証がダークウェブで公開された。通常のブラウザではアクセスできない匿名性が高いサイトで、ドラッグや個人情報等違法取引が横行しているという。米国ではギリアド・サイエンシズが2020年4月、イランと見られるハッカー集団からのサイバー攻撃を受けた。モデルナも昨年7月、中国人とみられるハッカー集団に狙われている。コロナワクチンには低温物流が必要だが、ここに狙いをつけたのか、昨年後半から低温物流企業に対しても、知的財産を狙ったサイバー攻撃が行われ、国家の関与が指摘されている。低温物流世界2位のAmericold Realty Trust(米ジョージア州アトランタ)には2020年11月、身代金要求型ウイルスによる攻撃が行われ、業務が一時停止する事態に陥った。ワクチンの承認機関も攻撃を受けている。昨年12月、米ファイザーと独ビオンテック、モデルナが、欧州医薬品庁に承認を受けるために提出したワクチン情報が、サイバー攻撃で不正アクセスされてしまった。情報が文脈を無視した状態でオンライン上に流出し、同庁は「ワクチンの信頼性を損ねかねない」と懸念を表明した。動き出した各国政府・国際機関・企業の対応こうした状況に各国政府や国際機関は警告や非難声明を出している。事態を重く見た各国のサイバーセキュリティの専門家が立ち上がり、政府機関や司法機関と協力しつつ、医療機関を狙ったサイバー攻撃の手口やサイバーセキュリティ対策の取り方についての情報を無料で提供する枠組みを複数立ち上げた。一部の企業からも、被害を受けた医療機関へのサイバーセキュリティツールやコンサルティングサービスの無料提供が行われている。松原氏は、医療サプライチェーン関連組織の経営層に対し、サイバーセキュリティ強化を訴えた。医療業界では、医療ISAC(Information Security and Analysis Center)という情報共有の枠組みなどを通じ、攻撃の手口や対策についての情報共有が進められ、被害の最小化に努めている。世界を巻き込んだコロナ禍は、ウイルスとの闘いであると共に、サイバー攻撃との闘いまで強いられているのである。

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新型コロナワクチン接種完了者の行動指針を見直し/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)は2021年3月8日、新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に行動指針を見直した。この中では接種完了者同士であれば、マスクを着用せず、小規模な集まりが可能とされている。 「接種完了」の定義としては、ファイザーもしくはモデルナ製の2回接種ワクチンは2回目の接種から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)製の単回接種ワクチンは接種から、それぞれ2週間後としている。 接種完了者に対して、変更された行動指針は以下のとおり。・接種完了者同士であれば、マスクを着用せずに屋内で会うことが可能。・接種完了者は、COVID-19重症化リスクが高い同居人がいない場合には、マスクを着用せずに、ほかの1世帯のワクチン未接種者と屋内で集まることが可能(全員が同居する親戚を訪問する、など)。・接種完了者は、COVID-19感染者と接触しても、症状が出ない限り、他人との接触を避けたり、検査を受けたりする必要はない(ただし、クラスター発生リスクの高い環境[刑務所・拘置所、高齢者施設等]に居住し、COVID-19感染者との接触歴がある場合には、無症状であっても14日間の隔離と検査を受ける)。 接種完了者に対しても、引き続き推奨される行動指針は以下のとおり。・公共の場、複数世帯のワクチン未接種者との集まり、重症化や死亡リスクが高い、またはリスクの高い人と同居するワクチン未接種者と会う場合には、マスク着用・他人と2m以上距離をとる・人ごみや換気の悪い場所を避ける、といった従来の感染予防策を行う。・中~大規模の集まりを避ける。・国内および海外旅行は延期する。・COVID-19の症状を確認する。とくに周囲に体調の悪い人がいる場合は検査を受け、他人との接触を避ける。・職場のガイダンスに従う。

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BRACE-CORONAにより“COVID-19とRA系阻害薬問題”はどこまで解決されたか?(解説:甲斐久史氏)-1360

 2020年9月、欧州心臓病学会ESC2020で発表され、論文公表が待たれていたBRACE-CORONAがようやくJAMA誌に報告された。COVID-19パンデミック拡大早期から危惧された「レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が、新型コロナウイルス感染リスクおよびCOVID-19重症化・死亡に悪影響を与えるのではないか?」というクリニカル・クエスチョンに基づく研究である。2020年4月から6月の間に、ブラジル29施設に入院した軽症および中等症COVID-19患者のうち、入院前からアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用していた659例がRA系阻害薬中止群(他クラスの降圧薬に変更)と継続群にランダム化され、入院後30日間の臨床転帰が比較検討された。主要評価項目は、30日間の生存・退院日数。副次評価項目は、入院日数、全死亡、心血管死亡、COVID-19進行(COVID-19悪化、心筋梗塞、心不全の新規発症または増悪、脳卒中など)であった。主要評価項目およびいずれの副次評価項目についても両群間に差はなかった。また、年齢、BMI、入院時の症状・重症度などのサブグループ解析でも主要評価項目に差はみられなかった。以上から、軽症/中等症COVID-19入院患者において、RA系阻害薬をルーチンとして中止する必要はないと結論付けられた。 本研究は、“COVID-19とRA系阻害薬問題”に関する初めての多施設ランダム化臨床試験(RCT)である。これによって、何らかの症状を有した急性期COVID-19の重症化・予後悪化に関してのRA系阻害薬悪玉説は否定されたと考えてもよいだろう。ただし、本研究の対象は高血圧患者で、心不全は約1%(1年以内に心不全入院を有するものは除外)、冠動脈疾患は約4.5%しか含まれないことには注意したい。とはいえ、心不全や冠動脈疾患はCOVID-19重症化・予後悪化の危険因子であり、また、パンデミック下での臨床経験から重症COVID-19による心不全治療においてもRA系阻害薬は有用とされる。したがって、これらの病態を対象に、あえてRA系阻害薬を中止するRCTを行う必要は、理論的さらには倫理的観点からもないであろう。一方、ARB新規投与がCOVID-19入院患者および非入院患者の急性期予後を改善するかについて、感染拡大早期からそれぞれRCTがなされていた。今年2月にようやく症例登録が終了したようである。RA系阻害薬善玉説の観点からの検討であり、その公表が待たれる。 しかし、われわれが最も知りたいことは、このような急性効果ではない。高血圧、腎疾患、さらには心不全や冠動脈疾患といった心疾患に対して、日頃から長期間処方しているRA系阻害薬により、患者さんを感染や重症化のリスクに曝していないかということである。ワクチンや抗ウイルス薬とは異なり、従来の大規模な多施設RCTによる検証は、RA系阻害薬長期服用の感染予防・重症化予防に関してはなじまないであろう。この命題に関しては、中国での感染拡大初期から、単施設や小規模コホートでの後ろ向き登録研究が多くなされた。中にはRA系阻害薬の有用性を強調した報告もみられる。しかし、欧州・米国さらにわが国からの大規模な後ろ向きおよび前向き登録研究、それらを含めた観察研究のメタ解析が次々に報告され、感染確認前のRA系阻害薬服用は、SARS-CoV-2検査陽性、COVID-19重症化や死亡のリスクを増大させることも抑制させることもなく、明らかな影響を与えないことが示されている。有用性評価には依然検討の余地があるが、RA系阻害薬は感染性増大や重症化・予後悪化といった有害事象を増加させないという点では、コンセンサスが得られるのではなかろうか。 そもそも、“COVID-19とRA系阻害薬問題”は、ACE2に関する基礎研究において、「RA系阻害薬がACE2発現を増加させる」「SARSなど急性肺障害モデルにおいてRA系阻害薬が臓器保護的に働く」といった一部の報告が強調され、それぞれ、悪玉説と善玉説の根拠とされている。しかしながら、別稿で詳述したように、これまでの基礎研究を網羅的かつ詳細に検討すると、いずれの主張もその根拠はどうも薄弱なようである(甲斐. 心血管薬物療法. 2021;8:34-42.)。急性期COVID-19に関しては、両仮説ともその妥当性から見直す必要があるかもしれない。最近、急性期に無症候性であった患者も含めて、味覚・嗅覚異常、脱毛、倦怠感、brain fogといった精神症状、息切れなどの症状が数ヵ月間持続するlong COVIDに注目が集まっている。心臓MRIで慢性的な心筋炎症がみられるなど、long COVIDには全身の慢性心血管炎症が関与する可能性が示唆されている。今後、long COVIDの発症予防・治療に対するRA系阻害薬を含めスタチンなどの薬剤の有用性についてRCTを含めた検証を進める意義があろう。 “COVID-19とRA系阻害薬問題”を通じて、質の高い観察研究・ビッグデータ解析の必要性が痛感された。実際にCOVID-19パンデミックをきっかけに、電子診療データやAIを活用したデータの収集、スクリーニング、解析などの各分野に目覚ましい革新が引き起こされている。災い転じて、臨床疫学によるエビデンス構築の新時代を迎えようとしているようである。ちなみに、BRACE-CORONAは、ブラジル全国規模のCOVID-19 registryに基づくregistry-based RCTである。電子診療データなどのリアルワールドデータシステムの枠組み内にRCTを構築することにより、膨大かつ検証可能なデータプールから、自動的に対象症例を抽出し、経時的にデータを収集することができるのみならず、1つのシステム内に複数のRCTを走らせることも可能となる。わが国も遅れをとらないように、情報インフラ・診療情報データベース構築を推し進めなければならない。

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ファイザーの新型コロナワクチン副反応疑い、2回目に多い?/CDC

 2021年2月時点の米国での新型コロナウイルスワクチン(以下、新型コロナワクチン)の有害事象について、Pfizer/BioNTech社とModerna社のワクチンに関する有害事象を収集した結果、ワクチン副反応報告システム(VAERS)に報告されたレポートの90%超は非重篤なものであった。また、分析期間中のアナフィラキシーの発生は、接種100万回あたり4.5例で、インフルエンザワクチン(100万回あたり1.4例)、肺炎球菌ワクチン(100万回あたり2.5例)の範囲内であることも明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月19日にMMWR Early Releaseとして発表した。 米国では、食品医薬品局(FDA)が2020年12月11日にPfizer/BioNTech ワクチンを、同年12月18日にModernaワクチンに対して、緊急使用許可(EUA)を発行した。両ワクチンとも接種回数は2回で、まず医療従事者および介護施設(LTCF)の居住者に投与が行われた。 CDCはこれらの安全性モニタリングに、VAERS、有害事象自発報告システム(SRS)、V-safe*などのアクティブな監視システムを使用し、接種の最初の期間(2020年12月14日~2021年1月13日)の安全性データの記述的分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・期間中、1,379万4,904回のワクチンが接種された。このうち843万6,863回(61.2%)は女性に接種された。・VAERSは有害事象に関する6,994例のレポートを受信した。これは非重篤6,354例(90.8%)、重篤640例(9.2%)に区分された。113例(1.6%)が死亡したが、うち78例(65%)はLTCF居住者だった。・VAERSに報告された症例の年齢中央値は42歳(範囲:15~104歳)で、最も報告された症状は、頭痛(22.4%)、倦怠感(16.5%)、めまい(16.5%)だった。・死亡診断書、病理解剖報告、診療記録、およびVAERSと医療者からの報告によると、これらの死亡とワクチン接種に因果関係は示唆されなかった。・アナフィラキシーの報告は62件で、Pfizer/BioNTechは46件(74.2%)、モデルナは16件(25.8%)だった。・V-safeに報告された有害事象のうち、Pfizer/BioNTechワクチンを接種していた症例では、1回目より2回目投与後のほうが多く、発熱と悪寒の割合は2回目の投与後のほうが1回目よりも4倍以上高かった。 研究者らは「アナフィラキシーの出現頻度は他のワクチン接種後に報告されたものと同等の割合で稀なことから、今回の報告は医療提供者ならびに市民に対し安全性の促進に一役買うのでは」と言及している。*:V-safeとは、 CDCが新型コロナワクチン接種プログラムのために特別に確立した安全監視システム。ワクチン接種後の個々の健康状態を把握するため、テキストメッセージとWebで調査するためのスマートフォンベースのツール。ワクチン接種後の最初の週に、登録者は局所注射部位と全身反応に関する調査を毎日行う。登録者は、欠勤の有無、日常生活の可否、症状が出現した場合に医療者からケアを受けたかなどを尋ねられる。

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薬剤師がコロナワクチンを希釈・充填 手技は大丈夫?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第64回

いよいよ新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりましたね。今はまだ医療者の先行接種の段階ですが、高齢者や一般の方に接種が広がった場合の「どこで?」「どのように?」というのはワイドショーなどでも取り上げられて話題になっています。そんな中、2月16日に、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」を発出しました。現時点で想定されているワクチンは「コミナティ筋注(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)」で、一般の方々に接種する場合の準備や手順などが記載されています。この中で薬剤師に関する記述がありましたので、紹介します。「医療機関以外でワクチン接種を行う場合」接種方法や会場の数、開設時間の設定により、必要な医師数や期間が異なることから、地域の実情に合わせて、必要な医療従事者数を算定する。具体的な医療従事者などの数の例:予診・接種に関わる者として、予診を担当する医師1名、接種を担当する医師または看護師1名、薬液充填および接種補助を担当する看護師または薬剤師1名を1チームとする接種後の状態観察を担当する者を1名置く(接種後の状態観察を担当する者は、可能であれば看護師などの医療従事者が望ましい)検温、受付・記録、誘導・案内、予診票確認、接種済証の発行などについては、事務職員などが担当するこれはあくまでも一例ですが、このようなことを想定していますよ、という感じで記載されています。しかしながら、「やば! 薬液充填わからん…」という薬剤師も少なくないのではないでしょうか。そのような不安をくみ取ったのか、地域によっては薬剤師会などでワクチンの希釈・充填の研修がすでに始まっています。薬剤師もワクチン接種に協力しますよ!という積極的なアピールにもなり、とてもいい動きですね。具体的にどのような業務を行うかは地域のワクチン接種の運営方法によると思いますが、まずは得意な領域である添付文書を読んで副反応を想定し、その対処としてエピペン(一般名:アドレナリン注射液)などの在庫や使い方を確認しておくとよいのではないでしょうか。その知識はワクチン接種に不安を抱いている方のサポートにもなると思います。今後の学会などでは、ワクチン接種への薬剤師サポートに関する報告が多数行われるのではないかとワクワクしているうさこでした。参考1)「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」厚生労働省

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第50回 COVID-19ワクチン接種後数日してからの皮膚反応

接種後の遅れ馳せ(Delayed)の皮膚反応への心づもりが必要新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質を作るmRNAが成分のModerna(モデルナ)社のワクチンmRNA-1273を接種した12人に接種後すぐではなく何日か(4~11日;中央値8日)してから生じた遅れ馳せの皮膚反応を米国ボストン市の著名病院・Massachusetts General HospitalのチームがNEJM誌に報告し1)、皮膚感染症と混同して抗生物質で無闇に治療してはいけないと注意を促しています2)。提供:Massachusetts General Hospital腫れ、痒み、痛みなどを伴う上の写真のようなそれら皮膚反応は接種後すぐの局所や全身の症状が解消した後に注射部位近くに広く生じ、5人の病変の直径は10cm以上ありました。主に冷やすか抗ヒスタミン薬で治療され、何人かにはステロイド(グルココルチコイド)が使われました。また1人は蜂巣炎と推定されて抗生物質が投与されました。症状は発生から2~11日(中央値6日)で解消しました。そのような皮膚反応が遅延型かT細胞を介した過敏反応らしいとの著者等の見立ては報告された12人と同様に遅れ馳せの広域皮膚反応を呈した別の1人の皮膚検体の解析で支持されています。検体の表層血管周囲や毛胞周囲には好酸球や肥満細胞(マスト細胞)を含むリンパ球浸潤が認められました。遅延型過敏反応や注射部位反応を呈した人への2回目接種は禁忌ではないことから12人には2回目の接種を案内し、全員が2回目の接種を済ませました。2回目の接種後に半数の6人は1回目と同様か1回目より軽度の反応を再び被りました。2回目の接種後の皮膚症状はより早く、接種から1~3日(中央値2日)後に発生しています。mRNA-1273ワクチンへの遅れ馳せの局所反応に心づもりができていない医師がいるかもしれませんが、今回の報告はそれらの反応がおよそ恐れるに足るものではないことを改めて示しています2)。著者によると遅れ馳せの皮膚反応は免疫が良好に働いていることをどうやら意味しており、ワクチン接種の妨げにはなりません。今回の報告が不必要な抗生物質使用を減らしてワクチン接種の全うを助けることを著者は望んでいます。皮膚病変はSARS-CoV-2感染でも生じうるワクチンのみならずCOVID-19と種々の皮膚異変の関連も示唆されており、たとえば足のつま先によく生じる3)ことから”COVID toes”として知られる凍瘡(しもやけ)様病変がCOVID-19流行に伴って小児や若い成人患者にとくに多く認められています4)。COVID toes患者の鼻や喉の拭い液のPCR検査でSARS-CoV-2が検出されることは少なく4)、まったく検出できなかった報告5,6)ではSARS-CoV-2感染との関連はなさそうと結論されています。しかし組織を生検した幾つかの試験ではSARS-CoV-2スパイクタンパク質が検出されており、それらの断片が皮膚の内皮細胞のACE2に結合して取り込まれて血管内皮炎を誘発するのかもしれません7)。スパイクタンパク質はPfizerやModerna 社のワクチンが体内で作り出す成分でもあり、スパイクタンパクと内皮細胞のACE2の相互作用がどういう顛末をもたらすのかをさらに調査する必要があります。参考1)Blumenthal KG,et al. N Engl J Med. 2021 Mar 3. [Epub ahead of print]2)MGH researchers call for greater awareness of delayed skin reactions after Moderna COVID-19 vaccine / MGH3)Magro CM, et al.Br J Dermatol . 2021 Jan;184:141-150. 4)Colmenero I, et al.Br J Dermatol. 2020 Oct;183:729-737. 5)Herman A, et al. JAMA Dermatol. 2020 Sep 1;156:998-1003.6)Roca-Gines J, et al. JAMA Dermatol.2020 Sep 1;156:992-997.7)Ko CJ, et al. J Cutan Pathol. 2021 Jan;48:47-52.

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mRNAワクチン、新型コロナ感染歴のある人は単回でも有効か/JAMA

 COVID-19ワクチンの不足から、一部の専門家から単回接種レジメンが提案されている。一方、COVID-19に感染すると少なくとも6ヵ月は免疫があると考えられているが、リコール応答も最適なワクチン投与レジメンも検討されていない。今回、米国・メリーランド大学のSaman Saadat氏らが医療従事者を対象に、COVID-19のmRNAワクチンを単回接種して結合価および中和力価を調べたところ、血清学的検査でCOVID-19感染歴が確認された人は、感染歴のない人よりも抗体価反応が高いことが示された。JAMA誌オンライン版2021年3月1日号リサーチレターでの報告。 2020年7~8月にメリーランド大学医療センターで実施された病院全体の血清調査研究に登録していた医療従事者を、SARS-CoV-2 IgG抗体陰性(抗体陰性)、IgG陽性の無症候性COVID-19(無症候性)、IgG陽性の症候性COVID-19(症候性)の3群に層別化し、無作為に連絡した。登録した参加者は、2020年12月~2021年1月に個人の好みや入手の可能性によりPfizer-BioNTechもしくはModernaのいずれかのワクチンの接種を受け、接種0日目(ベースライン)、7日目、14日目に採血し、50%結合価とID99ウイルス中和力価(0、14日目のみ)を調べた。50%結合価は最大結合の50%となる希釈濃度の逆数、ID99ウイルス中和力価は99%の細胞を保護できる最大の希釈濃度の逆数で表される。 主な結果は以下のとおり。・3,816人のうち無作為に151人に連絡し、59人が登録された(抗体陰性群17人、無症候性群16人、症候性群26人)。年齢中央値は、抗体陰性群38歳、無症候性群40歳、症候性群38歳で、女性の割合は、抗体陰性群71%、無症候性群75%、症候性群88%だった。・50%結合価の中央値は、抗体陰性群(0、7、14日目の順に、<50、<50、924)と比較し、無症候性群(208、29,364、34,033)および症候性群(302、32,301、35,460)で高かった(それぞれp<0.001)。・ID99ウイルス中和力価の中央値は、抗体陰性群(0、14日目の順に、<20、80)と比較し、無症候性群(80、40,960)および症候性群(320、40,960)で高かった(それぞれp<0.001)。 なお、本研究の限界としては、サンプルサイズが小さいこと、ワクチンの効果が示されていないこと、登録者が母集団を代表していないことによる潜在的なバイアスが挙げられる。この結果から、著者らは「現在の世界的なワクチン不足を考えると、COVID-19感染歴がある人を単回接種にしたり、優先接種リストの後方にしたりすることが提案される」としている。

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第45回 接種後アナフィラキシー例はすべて女性、欧米の先行報告と合致

<先週の動き>1.接種後アナフィラキシーはすべて女性、欧米の先行報告と合致2.ワクチン供給不足で4月の高齢者優先接種は計画見直しか?3.救急車の出動件数が各地で減少、受診控えに注意4.旭川医大・学長への解任請求、第三者調査委員会設置へ5.糖尿病患者が減少、健康日本21の効果?NDB分析で明らかに/日医総研1.接種後アナフィラキシー例はすべて女性、欧米の先行報告と合致厚生労働省は、新型コロナワクチン接種の開始後に発生した副反応疑い報告について、情報公開を行っている。事例一覧によると、3月5日から8日にかけて、20~50代の女性8例でアナフィラキシーと疑われる症状が発生し、いずれも処置によって改善したことが明らかになっている。これに対し、森尾 友宏氏(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会長)は、「すべての症例が女性であることは、欧米での先行報告と合致している。4万6,000人接種の時点では、欧米の報告に比して頻度が高い印象であるが、事例の蓄積で日本におけるアナフィラキシーの頻度を明らかにし、発症者の背景などについて解析することが重要になる」などとコメントしている。これらの事例と、先月26日に接種を受けた3日後にくも膜下出血による死亡が報告された60代女性について、今後さらに情報を収集した上で、次回の審議会にて、ワクチンとの因果関係や接種後の対応方法などが検討・評価される見込み。画像を拡大する(参考)資料 新型コロナワクチン接種後にアナフィラキシーとして報告された事例の一覧(令和3年2月17日から令和3年3月8日までの報告分)(厚労省)新型コロナワクチンの接種後のアナフィラキシーとして報告された事例について(1例目)(同)国内2例目、ワクチン接種の20代女性にアナフィラキシー(読売新聞)ワクチン接種で3例目のアナフィラキシー…30代女性に息苦しさ・のど違和感(同)2.ワクチン供給不十分で4月の高齢者優先接種は計画見直しか?高齢者向けの新型コロナワクチン優先接種は4月以降に開始されることになっていたが、供給量が不十分となる見通しで、実施計画見直しの報道が相次いでいる。厚労省によると、高齢者向けのワクチン供給は4月1週目に100箱(各都道府県2箱、東京・神奈川・大阪は4箱)、2週目と3週目は500箱(各都道府県10箱、東京・神奈川・大阪は20箱)、4週目には1,741箱(すべての市区町村に1箱)と徐々に拡大され、6月末までに高齢者約3,600万人分(2回接種)を配布できる見込みで、接種体制の拡充が急がれる。現在行われている医療従事者の接種分については、5月前半までに約480万人に2回分の配布を完了する予定。なお、現時点で国内承認されているのは、米・ファイザーと独・ビオンテックのワクチンのみだが、すでに米・モデルナと英・アストラゼネカの2製品も厚労省に承認申請しており、早ければ5月に承認される見込み。(参考)ファイザー社の新型コロナワクチンの供給の見通し(厚労省)資料 新型コロナワクチン配送スケジュール(令和3年3月5日時点)(同)今知りたい新型コロナワクチン接種 さまざまな疑問にできる限り答えます(東京新聞)3.救急車の出動件数が各地で減少、受診控えに注意2020年の救急車の出動件数は、各地で前年に比べ減少の報告がされている。新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言による外出自粛による交通事故の減少などが要因とみられるが、「受診控え」による影響の可能性もあり、専門家は注意喚起している。また、神奈川循環器救急研究会によれば、昨年1~3月と4~12月までの期間で、患者が病院に到着してから手術までにかかった時間を調べた結果、3月までは中央値64分だったのに対し、4月以降は中央値72分と延長傾向だったという。同研究会は、現場は感染対策と緊急対応のせめぎ合いであることから、「(救急車の)受け入れ準備などには一定の時間がかかるので、心筋梗塞などが疑われるときはなるべく早く受診してほしい」と呼び掛けている。(参考)救急車の出動、一転減少 昨年、コロナ下で受診控えか「体の異変迷わず通報を」(日本経済新聞)宮崎県内救急出動9年ぶり減 20年、コロナ外出自粛影響か(Yahoo!ニュース)心筋梗塞 病院到着から手術までの時間延びる傾向に コロナ影響(NHK)4.旭川医大・学長への解任請求、第三者調査委員会設置へ大学病院でのコロナ患者受け入れを進言した病院長を解任した国立旭川医科大学において、同大の教授らが設立した「旭川医科大学の正常化を求める会」による学長の解任請求が、2月24日、同大学の学長選考会議に提出された。これを受け、同大学の学長先行会議が3月5日に開催され、審議を開始することが明らかになった。また、審議を公平なものとするため、3月末までに第三者による調査委員会も設置することが決定された。同大学の学長を巡っては、昨年11月に学内の会議において、新型コロナウイルス感染のクラスターが発生した病院について不適切な発言を行い、さらに感染患者の受け入れを進言した当時の病院長を解任したことにより、学長の職務停止の要請を全教職員の過半数が署名し、同大学の学長選考会議に要請されるなどが繰り返し報道されていた。同大学の元病院長については、復帰を求める1万5,000人の署名が3月3日に大学側に提出されており、地域医療の最後の砦となる大学病院をめぐって、住民も強い関心を持っているのがうかがえる。(参考)学長の辞職・解任を求める署名活動にご協力下さい(旭川医科大学の正常化を求める会)旭川医大 学長解任、適否審査 選考会議、教授ら署名受け/北海道(毎日新聞)5.糖尿病患者が減少、健康日本21の効果?NDB分析で明らかに/日医総研日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が、糖尿病や脳梗塞の治療状況などについて、NDBデータを用いた解析結果をワーキングペーパーにまとめた。これによると、糖尿病の治療を受けている患者数は2010年に比べて、2016年は減少傾向であることが明らかとなった。また、人工透析に至った症例の割合もいずれの年齢階級においても減少しており、厚労省の健康日本21による糖尿病重症化予防への取り組みが、効果を上げていることがうかがえる。40〜64歳の糖尿病患者の場合、脳梗塞のリスク比は11倍以上、急性心筋梗塞のリスク比は13倍以上であり、働く世代における糖尿病コントロールの重要性を示している。また、脳梗塞の治療状況における2010年と2016年の比較では、経皮的選択的脳血栓・塞栓溶解術や経皮的脳血栓回収術といった急性期脳梗塞治療の割合が増加しており、都道府県間の均てん化が進んでいる。(参考)日医総研ワーキングペーパー No.451(日医総研)糖尿病治療患者の人工透析割合が大幅減少、0.88% 日医総研がNDBデータ解析、脳梗塞・認知症リスクは高い(CBnewsマネジメント)

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新型コロナワクチンを拒む一般人の割合と特徴-米国の場合

 米国では2月8日の時点で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン5,930万回分が配布され、少なくとも3,160万人が1回目のワクチン接種を行った。ワクチン開始前に実施された全米世論調査では、多くの人が新型コロナワクチンの接種をためらっていたが、2020年9月から12月にかけて、ワクチンを接種したいと回答した割合は、全体的に39.4%から49.1%に増加し、接種する「可能性が低い」と回答した割合は38.1%から32.1%に減少していたことが明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月12日に発表した。 CDCは新型コロナワクチンに対する認識と接種意思を調査する目的で、2020年9月と12月に18歳以上の米国人を代表する3,541人に対し確率に基づくサンプル(Ipsos KnowledgePanel)を用いてインターネットパネル調査を実施し、18~64歳(基礎疾患あり/なし)、65歳以上、エッセンシャルワーカー従事に分類した。“もし、新型コロナワクチンを今日無料で接種できるとしたら、接種する可能性はどのくらいありますか?”との質問内容に対し、回答選択肢を「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」「可能性がやや高い」「可能性が低い」と定めた。接種の可能性について“必ず”または“非常に高い”という回答は意思があるとし、“可能性が低い”という回答は意思がないとした。 主な結果は以下のとおり。・「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」の回答は、エッセンシャルワーカー*で8.8ポイント(37.1%→45.9%)、65歳以上で17.1ポイント(49.1%→66.2%)、基礎疾患**を有する18~64歳で5.3ポイント(36.5%→41.8%)と、9月から12月にかけて増加した。・「可能性が低い」との回答は、エッセンシャルワーカーで4.8ポイント(40.2%→35.8%)、65歳以上で11.1ポイント(29.8%→18.7%)、基礎疾患を有する18~64歳で2.1ポイント(40.4%→38.3%)減少した。・また、基礎疾患を持たずエッセンシャルワーカーではない18~64歳の場合、「必ず受ける/受ける可能性が非常に高い」の回答は9.5ポイント(38.0%→48.7%)増加し、「可能性が低い」との回答は7.6ポイント(39.8%→32.2%)減少した。・若年成人、女性、非ヒスパニック系黒人、居住区域が首都圏外、低学歴、低収入世帯(年収:3万5,000〜4万9,999ドル)、健康保険未加入の層がワクチンを接種する「可能性が低い」と最も多く回答していた。*:エッセンシャルワーカー:医療者ほかインフラ整備に必要不可欠な建設作業員など**:慢性腎臓病、心不全、COPDなどを有する者 研究者らは「新型コロナの罹患率と死亡率のリスクが高い集団の健康を保護し、健康の不平等を減らすためにもワクチン接種は重要である。国民の信頼をさらに高める戦略を実施するため、追加の取り組みが必要」としている。

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