サイト内検索|page:70

検索結果 合計:2114件 表示位置:1381 - 1400

1381.

新型コロナ、第4波の大阪は「これまでとは別世界」~呼吸器科医・倉原優氏の緊急寄稿(2)

 「新型コロナウイルスの感染状況は第4波に入った」。変異株を含め、全国的に感染者が再び急増している現状について、識者らは相次いで明言した。なかでも、1日の新規感染者数が1,000人超を記録している大阪府はとりわけ深刻だ。渦中の医療現場は今、どうなっているのか。CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿でその詳細を明らかにした。大阪府コロナ第4波の現状 以前、大阪府コロナ第3波についての現状をお伝えしましたが1)、あれからいったん落ち着いたものの、現在第4波が到来しています。大阪府は1日の新規感染者数が過去最大規模になっており、医療現場は災害級に混乱しています。第3波と異なるのは、(1)年齢層(2)重症度(3)速度です。(1)年齢層 大阪府フォローアップセンターから入院要請のあるCOVID-19患者さんの年齢が、15歳ほど下押しされています。当院に入院した第1波~3波までの平均年齢(±標準偏差)は68(±17)歳、第4波の平均年齢は53(±19)歳です。直近のデータで、感染者が40代未満である割合が5割弱と引き続き高く、若い世代を中心に感染が広がっていることがわかります。(2)重症度 この第4波、来院して最初に撮影した胸部画像検査で背筋がゾっとすることが多くなりました。糖尿病コントロールが不良で高度肥満があり、SpO2が90%未満の場合、ある程度の覚悟を持って診療に当たることができますが、そこまでの基礎疾患がなく、SpO2が92~93%程度であるにもかかわらず、「エッ!」と声を上げてしまうほど両肺のすべての葉に肺炎が見られるケースが増えています。このパンデミックで、自分より年下のARDSを経験するなんて思いもしませんでした。基本的に中等症IIがメインで、中等症Iならホっとするくらいです。(3)速度 大阪府は、保健所および入院フォローアップセンターが連携して入院病床の管理を行っており、どの病院に入院してもらうかはフォローアップセンターの少数精鋭部隊が担っています(図1)。 第3波の時点で重症病床を約230床確保していましたが、第4波に入る前はかなり病床数を減らしていました。第3波の後半で、すでに重症病床が約60床埋まっている状態がスタートだったため、第4波で軽症中等症病床が埋まるより先に重症病床がパンクしてしまいました。 そのため、緊急増床に踏み切った大阪府の施策は間に合わず、あっという間に第4波の確保病床を超えてしまい、軽症中等症病床で挿管・人工呼吸管理のCOVID-19患者さんを診療する状態になってしまいました。当院でもすでにそういった患者さんが発生しており、重症病床が増えない限り、これが常態化するかもしれません。 「N501Y変異株」の症例が増えているのは確かですが、この病床逼迫の最たる原因なのかはわかりません。緊急事態宣言が緩和され、卒業・入学シーズンで人出が増えた影響もあり、相加相乗的に作用した可能性はあります。ただ、大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料によると、この病床逼迫速度は第3波の約3倍とされており2)、きわめて想定外の事態であったことは間違いありません。また、「N501Y変異株」陽性者の発症から重症化までの日数は従来株よりも約1日早いとされており(表)、これが先述の状況に拍車をかけたのかもしれません。第4波を乗り越えたとしても… 第4波のCOVID-19、第3波までと実はまったく別の疾患なのではないかというくらい、ARDSの頻度が高いです。大阪に続いて東京にも第4波が到来する可能性は十分にあります。 とはいえ、ゴールデンウイークに向けて徐々に減ってくることに期待したいものです。4月5日からの「まん延防止等重点措置」が始まって2週間後にあたる4月19日以降、新規陽性者数が減ってくれば第4波は落ち着くかもしれません(図2)。 しかしながら、第4波を乗り越えたとしても遅滞なくワクチン施策が進まなければ、また7月頃に第5波がやってくる可能性はあります。そうなれば、オリンピック開催時期と完全に被ってしまうことになるでしょう。多方面へのシビアな調整が必要になるため、オリンピックを中止あるいは延期するという選択肢はないのだと思いますが、ハンマー・アンド・ダンスで時間稼ぎをするにも現場の疲弊は限界を迎えつつあり、もはやワクチンに希望を託すしかなさそうです。【倉原 優氏プロフィール】2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て、08年より現職。CareNet.comでは、「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」「Dr.倉原の“俺の本棚”」連載掲載中。

1382.

新型コロナワクチンによるアナフィラキシー、高齢者での管理は?

 COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの発生頻度は10万回に1回~100万回に5回程度と稀であるものの、高齢者のアナフィラキシーの管理はとくに慎重に対応する必要がある。欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)、欧州老年医学会(EuGMS)らは合同のワーキンググループを発足、COVID-19ワクチンによる高齢者のアナフィラキシーの管理に関する公式見解(position paper)を、Allergy誌オンライン版2021年 4月2日号に報告した。 position paperは下記5項目で構成され、それぞれ推奨事項が提案されている。1.COVID-19ワクチンとアナフィラキシー2.高齢者におけるアナフィラキシー症状3.高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子4.高齢者におけるアナフィラキシーの管理5.臨床でのアナフィラキシー反応の予防と管理 本稿では、一部内容を抜粋して紹介する。「COVID-19ワクチンとアナフィラキシー」、頻度や傾向は? 米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)で報告されたデータの最初の分析では、ファイザー社のmRNAワクチン100万回投与当たり11.1例のアナフィラキシーが報告された。続く2021年1月18日のVAERSレポートでは、ファイザー社ワクチン接種者で100万回投与当たり5回、モデルナ社ワクチン接種者100万回投与当たり2.8回のアナフィラキシーが報告されている。ワクチンに使用されているポリエチレングリコール(PEG)がアレルギー反応を引き起こす可能性があると指摘されている。 ファイザー社ワクチンでのアナフィラキシー症例の年齢中央値は40歳(27~60歳)で、報告された症例の90%は女性。アレルギー反応は、常にではないものの、多くの場合、重度のアレルギー反応の既往歴のある人に発生した。 また、mRNAワクチンの臨床試験段階では、痛み、倦怠感、頭痛、発熱などの局所および全身性反応の発生数は、若年者よりも高齢者で少なかった。「高齢者におけるアナフィラキシー症状」、若年者との違い 2019年に報告がまとめられた欧州のアナフィラキシーレジストリでは、昆虫毒や鎮痛薬、抗生物資などによりアナフィラキシーを発症した65歳以上1,123人のデータが解析されている。発現したアナフィラキシー症状は若年成人と高齢者で類似していたが頻度は異なり、高齢者では心血管症状がより頻繁に発生していた(若年成人の75%に対して80%)。 主な心血管症状は意識喪失(33%)で、めまいと頻脈については若年成人に多くみられた。心停止は、高齢者の3%と若年成人の2%で発生。皮膚症状は最も頻繁にみられ、蕁麻疹と血管性浮腫は通常は他の症状の前に現れる。皮膚症状のない高齢患者のアナフィラキシー反応の重症度は、若年成人と比較して増加した。消化器症状は、両方のグループで同様の割合で発生していた。 呼吸器症状、とくに呼吸困難は、高齢者で頻繁にはみられていない(若年成人の70%に対して63%)。ただし、チアノーゼ、失神、めまいは、高齢者のショック発症を高度に予測していた。Ring and Messmer 分類のGrade III(47%)およびGrade IV(4%)を含む重度のアナフィラキシー反応は、65歳以上で多くみられた。 高齢患者の30%でアドレナリンが投与され、60%で入院が必要であり、19%が集中治療室(ICU)で治療された。Grade IIおよびIIIの症例では、若年および中年の成人と比較して、有意に多くの高齢者が入院およびICUケアを必要としていた。「高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子」 高齢者における重度のアナフィラキシーのリスク因子として、「併存疾患」と「服用薬と多剤併用」を挙げている。併存疾患として、上述のレジストリでは高齢であることと肥満細胞症の併存が重度のアナフィラキシーのリスク増加の最も重要な予測因子であった。遺伝性α-トリプトファン血症もリスク因子となる。虚血性心筋症ではアナフィラキシーの重症化および死亡リスクが高くなる。アテローム性動脈硬化症の病変により、アナフィラキシー中の低酸素症および低血圧に対する耐性が低下することも報告されている。レジストリでは、心血管疾患、甲状腺疾患、およびがんが若年成人よりも多くみられた。 服用薬については、レジストリでは重度のアナフィラキシーリスクの補因子となる薬剤(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、アセチルコリン、プロトンポンプ阻害薬など)は、若年成人(18%)よりも高齢者(57%)で有意に多く処方されていた。年齢とは独立して、アレルゲン曝露と近い時期に投与されたβ遮断薬とACE阻害薬は、重度のアナフィラキシー発症リスクとの関連がみられたが、アスピリンとアンジオテンシンII受容体拮抗薬では確認されなかった。 そのほか、抗不安薬、抗うつ薬、催眠薬等中枢神経系に作用する薬で治療されており、アナフィラキシー症状や兆候に対する認識に影響を与えている可能性のある高齢者には、注意を払うことが重要となる。「高齢者におけるアナフィラキシーの管理」、アドレナリン使用の注意点は? EAACI および世界アレルギー機構のガイドラインでは、アナフィラキシーの第一選択療法としてアドレナリンの迅速な筋肉内注射が推奨されており、高齢者においてもアドレナリンが重度のアナフィラキシーに作用することが報告されている。ただし、アドレナリンの多くの心血管系有害事象は血管内経路を介して発生すると考えられ、血管内投与は原則として避ける必要がある。 心血管疾患の併存は、アナフィラキシー発症時のアドレナリンの使用を制限するものではない。これは、この救急措置において他の薬剤が救命効果を発揮しないためである。高齢患者やアナフィラキシーリスクがある心血管疾患のある患者においても、アドレナリン投与に絶対的な禁忌はない。アドレナリン投与後、心室性不整脈、高血圧、心筋虚血などの重篤な副作用は報告されていない。ただし、アナフィラキシー発症の高齢患者では、アドレナリン注射後に有害心イベントを経験する可能性が高く、80歳以上の患者が最もリスクが高いという報告がある。そのため、心血管疾患併存患者がアナフィラキシーを発症した場合、アドレナリン投与のリスクとベネフィットを迅速・慎重に比較検討する必要がある。

1383.

新型コロナワクチン対応シリンジが承認取得、1瓶で7回採取可能/ニプロ

 ニプロ株式会社(大阪市北区)は4月12日のプレスリリースで、新型コロナワクチン接種に伴う需要に応えて開発した「ニプロVAシリンジ」について、3月25日付で承認事項一部変更承認を取得したと発表した。 現在、国内で承認され接種可能なファイザー社製の新型コロナワクチンは筋肉注射が前提であることから、同シリンジは筋肉に確実に届くよう針長を25mmとし、薬液吸引および注入時の操作性などを考慮し、25G(0.5mm)の針を採用した。また、針と外筒を一体型にすることでローデッド化を実現。薬液の残るシリンジ先端部分は、従来型通常シリンジの約15分の1(約 0.002mL)程度であり、より残液量の少ないワクチン接種にも対応できる。社内検証では、ファイザー社製ワクチン1瓶から7回分の薬液が採取可能なことを確認したという。来月から国内工場で生産を開始する予定に加え、さらなる承認事項一部変更承認申請により、タイ工場でも製造を進める方針。 併せて同社は、「ニプロシリンジ」の製造ラインを強化したことも発表。ガスケット先端を突起型にしたローデッドモデルで、本製品はあらゆる太さ、長さの針が装着可能という。 これらの生産体制の確立により、ニプロ社における2タイプのシリンジ生産数量は、今年度で合わせて約1億本となる見込みだ。

1384.

認知症患者さんのワクチン接種【コロナ時代の認知症診療】第2回

ワクチンによる副反応と予防効果、まず整理しておきたいこと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2回目の緊急事態宣言が終了したものの、リバウンド現象かと、第4波の始まりを危惧する声も出てきた。昨年2月頃から本格化したこのCOVID-19を抑える術は、現時点(2021年4月)では、予防ワクチン投与しかないとも考えられている。しかしワクチンで本当に予防できるのか? 安全なのか? さらには集団免疫を形成する上で有用なのか等と慎重論、反対意見も強い。医療関係のマスコミなどでもいくつかアンケート調査が行われている。直近ではだいぶ接種に前向きな人が増えてきた印象だが、自分自身が予防注射を、受けたい、受けたくない、どちらともいえない、への回答は見事に3分されていると筆者はみてきた。健常者でも、副反応の危険性が怖いのは当然だが、いわゆる基礎疾患ゆえに、高齢者、とくに認知症があればその恐さは倍増する。ワクチンの国内接種は今年の2月に始まり、1ヵ月余りが経過した。厚労省からこの中間集計が報告されている1)。注目すべきは、アナフラキシーショックもさることながら、一般的な副反応がどのようなもので、どの程度かという点であろう。その結果、発熱・だるさは1回目の投与ではさほどでもないが、2回目に注意が必要だとされる。例えば、37.5度以上の発熱は、1回目は3%、2回目では36%になる。だるさは23%から67%に上がる。インフルエンザワクチンでは、発熱3%、だるさ9%に過ぎないとされる。このような高率はCOVID-19 ワクチンでは、1回目で基礎的な免疫ができ、2回目ではより強い免疫反応が働くからと説明される。なおこうした症状は1週間近く続くようだ。ところでワクチンの予防効果については、筆者もこれまで、相当高いと思ってきた。たとえば国民の6割が接種を受けたイスラエルでは、年齢によらず9割以上の発症予防効果があったとされる2)。だがこの効果の正しい理解には注意がいる。と言うのは、「ワクチンを接種すると90%以上が発症しない」ということではない。例えばワクチン群とプラセボ群、各々1,000名に接種した後、プラセボ群で10例が、ワクチン群で1例が発症すれば、効果(有効性)は90%になる。だから90%がどこまでの効力かについては、インフルエンザ予防注射と同じで、接種されても発病する人もままあると考えるべきだろう。それぞれの“理解ストライクゾーン”を探して、伝え方の工夫認知症患者さんのワクチン接種を考える時、最も注意すべきは、副反応の問題だろう。最近ノルウェーで高齢者における23例の死亡が報告され話題になっている3)。けれどもこの報告は、ワクチンが直接死因となったと述べているわけではない。むしろ副反応としてありがちな発熱や悪心・嘔吐がしばらく続くことで、基礎疾患に更なるダメージが加わって死に至らしめるのではと考察している。それだけに、基礎疾患があり衰弱した高齢者や認知症患者では、接種に慎重さが求められる。つまりワクチンは、発症や重症化を防ぐと期待される反面、こうした危険性またアナフラキシーのような直の危険性もあるという認識が不可欠になる。話が複雑になるだけに、高齢者、とくに認知症のある方にとって受ける、受けない、の決断は難しい。もちろん認知症だから意思決定能力がないわけではない。認知症の程度によっては、十分な意思決定能力を有する人もいる。だが筆者が認知症の人の意思決定において最も危惧することがある。と言うのは、認知症の人は話す日時によって、また相手によって、など状況が異なれば、簡単に意見が変わることがある。次の機会は正反対の発言であることも珍しくない。まず周囲の人が、ワクチン接種の意思を問う際には、上記したようなメリットとデメリットを述べる必要がある。けれどもうこうしたCOVID-19の概況が理解できない場合も少なくはない。認知症の人の意思決定に関しては、「意思決定支援ガイドライン」4)があり、基本原則が挙げられている。最重要なのがご本人の意思尊重であることは言うまでもない。また「認知症の程度にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力があることを前提」、また「意思能力は固定的でない、本人の保たれている認知能力等を向上させる働きかけ」がポイントだろう。これを実際的に述べるならば、「難しいから答えられないだろうと諦めてはいけない。話す状況や話し方を変えるなど工夫をして、その人の理解ストライクゾーンにくるまで何度でも説明しようということ」になる。具体的には、コロナウイルスなどと言わないで「特別怖いインフルエンザ」、副反応やアナフラキシーではなく「ワクチンには毒もある」、さらにクラスターではなく「おじいちゃんがかかれば、家族みんながかかる可能性が大きい」などの表現だろうか。なおこうした話がまったく理解できないケースも想定される、こうした方では、これまでのインフルエンザの予防接種歴やこれに関する過去の発言や態度、さらに終末期医療など死生観に関わる意見などが参考になるかもしれない。参考文献・参考情報1)第54回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第14回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催), 資料2 新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)-健康観察日誌集計の中間報告(2)2)Dagan N, et al. N Engl J Med. 2021 Feb 24. [Epub ahead of print]3)Torjesen I.et al. BMJ.2021 Jan 15;372:n149.4)厚生労働省, 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

1385.

COVID-19ワクチン(2021年3月現在)【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第8回

ワクチンの特徴(種類と製法)新型コロナワクチンは2020年12月に相次いで3製剤(Pfizer/BioNTech製、Moderna製、AstraZeneca/Oxford製)が治験を終え、米国および英国をはじめ各国で承認され接種が始まった。その後も複数の新規ワクチンが米国、中国、ロシアなどで順次承認され使用されている。わが国では2021年3月現在、Pfizer/BioNTech製の「コミナティ筋注」(以下、「コミナティ」)のみが承認され、医療従事者から順次接種が始まっている。早ければ4月中旬には地域の高齢者にも接種が始まる見込みである。Moderna製、AstraZeneca/Oxford製はいずれも承認申請済みであるものの現在審査中であり、具体的な承認時期は不明である。以下、コミナティに限定して解説する。コミナティの特徴コミナティはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンである。新型コロナウイルスが持つ構造蛋白のうちヒト細胞への侵入のカギとなるのは、スパイク蛋白である。このワクチンは、ウイルス遺伝子からスパイク蛋白の配列部分だけを切り出し、安定化のためにリポ脂質で包んだもの(物質名「トジナメラン」1) )を主成分としている。コロナウイルスは1本鎖プラス鎖RNAウイルスであるため、切り出したウイルス遺伝子がそのままmRNAとして機能する。これを筋肉内に接種すると、ヒト筋細胞はmRNAを読み取って細胞質内でウイルスのスパイク蛋白を大量に生成し、細胞外に放出する。放出されたスパイク蛋白を免疫細胞が認識することで、スパイク蛋白に対する免疫を獲得するという仕組みである2)。mRNAワクチンがヒトで実用化されたのは今回が初めてである。ではなぜ、不活化や弱毒性などの既存製法ではなく、mRNAだったのか? 答えは開発速度にある。不活化や弱毒性その他の既存製法は基本的に、ウイルスそのものを原材料として大量に必要とする。そのためウイルスの適切な培養系の確立が必須となるが、通常は年単位を要する開発作業である。それに対してmRNAは、ウイルスの遺伝子配列さえ既知であれば、遺伝子工学によって迅速に原材料を大量生産できる。実際、Pfizer/BioNTech社は、2020年1月10日に中国保健当局が新型コロナウイルスの全遺伝子配列を発表したその日から開発に着手したとphase 3論文で明言している3)。全世界を覆う未曾有のパンデミックにおいて迅速なワクチン開発は決定的に重要であった。遺伝子工学による新技術がコロナ禍に迅速に希望をもたらしたのである。ウイルス遺伝子を接種することに漠然とした不安があるようだが、杞憂である。分子生物学のセントラルドグマに従い、ワクチンのmRNAがヒトDNAへと逆転写されることはけっして起きない。そもそも一般にウイルス感染のたびにヒト細胞は大量のウイルス遺伝子に晒されるが、レトロウイルスのようなごく一部のウイルスを除いて、ウイルス遺伝子がヒトDNAに直接影響を及ぼすことはないのだ。インフルエンザウイルスに感染しても新型コロナウイルスに感染しても、ヒトDNA自体が変化を受けることはない。よって、ワクチンとして接種した新型コロナウイルス・スパイク蛋白のmRNAが、ヒトDNAに影響を与えることも子孫に継代されることもあり得ないのである。コミナティの効果Phase 3論文で示された効果は、2回目接種完了後7日後以降におけるCOVID発症(発熱などで発症しPCR検査で陽性と確定される患者)が、プラセボ群に比べて95.0%(95%信頼区間90.3-97.6)減少するという驚異的数字であった。発症の減少に伴い、重症COVIDも88.9%(同20.1-99.7)と著しく減少した。世界で最も早く市民への接種が進んだイスラエルにおけるヒストリカルコホート研究4)でも、COVID発症が94%(同87-98)、重症COVIDが92%(同75-100)それぞれ減少した。これらはphase 3とほとんど同等の結果であり、治験内容が裏付けられた。さらに、同研究では無症候性感染に相当するPCR陽性者も90%(同83-94)減少したことも観察され、コミナティが発症のみならず感染自体も予防することが示唆された。一方で、コミナティ接種によって他者への感染伝播を減少するか、すなわち集団免疫の形成に寄与するかは、本稿執筆時点でpeer-reviewed journalに掲載された質の高い研究では示されていない。今後の報告が待たれる。ワクチンの副反応・有害事象懸念された副反応については、治験においては通常のワクチン反応性症状(発熱、倦怠感、接種部位疼痛、腫脹など)しか検出されなかった。これは人体が免疫獲得する際に生ずる自然な炎症反応の現れであり、何ら後遺症を残すことなく1日~数日で自然消失する。ただし、既知のワクチンに比べると頻度は高く、自覚症状も強めのようである。接種翌日には欠勤など、接種しやすくする配慮が望ましいであろう。アナフィラキシーについては、治験では検出されなかったが、市中接種開始後に報告され始めた。米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)に集積された報告の解析によると5)、コミナティは994万接種中47件のアナフィラキシー(ブライトン分類1~3)が生じ、100万接種あたり4.7件の頻度であった。接種から発症までの時間の中央値は10分であり、94%が女性であった。同じ米国VAERSに報告された既存ワクチンによるアナフィラキシーが100万接種あたり1.31件とされている6)のに比べても、極端に高い数字とは言えない。ただし、女性がほとんどを占めていることには注意を要する。もともとアナフィラキシーは女性に多いと報告されており7)、局所麻酔薬アナフィラキシーでも女性が多かったという報告もある8)。一方で、コミナティではmRNAを包むリポ脂質がポリエチレングリコール(PEG)で構成されているが、PEGはアナフィラキシー原因物質として知られる9)と同時に、多くの化粧品に含まれている。コミナティで女性にアナフィラキシーが多いのは化粧品にPEGが含まれていることと関係があるかもしれないが、現時点で詳細はわかっていない。上記以外には、副反応の可能性がある有害事象の報告は現時点ではなく、極めて安全なワクチンと言ってよい。コミナティは3月上旬時点ですでに世界で1億回以上接種されたと見込まれている。仮に100万接種分の1の極めてまれな頻度で生ずる重篤な副反応があったとしても、1億回接種してそれが1件も発生しない確率は、と、あり得ないほど小さな確率である。すなわち、1億回以上接種されたにもかかわらず新しい副反応報告がない時点で、確率100万分の1のような極めてまれな副反応も観察されていないと言ってよい。ただし、特定の人口集団(特定の年齢、特定の疾患患者など)に限定的な副反応は今後発見される可能性が残っている。たとえば、コミナティではなくAstraZeneca製のウイルスベクターワクチンではあるが、55歳以下の若年世代で接種によって血栓症(播種性血管内凝固症候群および脳静脈洞血栓症)が増える可能性が示唆されている10)。ただし、COVID-19感染そのものによって血栓症リスクが明らかに増大するため、接種による感染予防は接種による血栓症リスクを上回ると欧州医薬品局は判断している。ワクチンの保管と輸送の注意点、留意点mRNAは不安定な物質であるため、長期にはマイナス70℃前後の超低温保存が必要である。ただし2021年3月1日付で添付文書が改訂され、最長14日間までならマイナス20℃前後でも保存可能となった11)。解凍からシリンジ分注までは、冷蔵温度(プラス2~8℃)の場合は5日以内に、直接室温に出す場合は2時間以内に行わねばならない。1バイアルを溶解するとちょうど1.8mLとなり、1人分が0.3mLであることから、死腔の少ないシリンジで適切な手技にて吸引すれば1バイアル6人分採取が可能である。何らかの理由で6人分採取できない場合は残量を破棄する。シリンジに分注後は6時間以内に接種せねばならず、それ以上経過した場合は破棄する。またすべての過程において、十分に遮光し続けねばならない。図も参照いただきたい。図 コミナティの取扱い画像を拡大するmRNAが物質として不安定であることから、輸送時には振動を避けることとされている。オートバイのような輸送手段は不適切とされるが、乗用車の座席で丁寧に輸送する程度なら問題はないようだ。被接種者への説明のポイント筆者が確認している限りでは、コミナティその他新型コロナワクチンを不用意に危険と煽るような報道は幸いほとんど目にしていない。しかし、SNSや口コミでさまざまな否定的意見やデマの類が広まっているようである。医療従事者が、被接種者や患者から不安げに質問されたり、限られた情報だけに基づく否定意見を投げられたりするかもしれない。日頃の医療従事者-被接種者(患者)関係に基づいて、丁寧なコミュニケーションを是非ともお願いしたいところである。コミュニケーションのポイントは、下記のように整理できるだろう。効果として、発症、感染を共に90%以上予防できる、優れたワクチンであること。副反応は、世界で1億人以上が接種した時点で、一過性の発熱や痛みとごくまれなアナフィラキシーしか報告されていない、かなり安全なワクチンでもあること。遺伝子工学の発展のお陰で極めて短期間で開発できたが、治験の手順は一切省略されず丁寧に行われ、さらに市中接種開始後も効果と安全性を検証する研究が多数進行中であること。ウイルス遺伝子を体に注入することは自分や子孫の遺伝子に何ら悪影響はないこと。接種によって他人にも感染させないようになる(いわゆる「集団免疫」が付く)のかはまだわかっていないが、少なくとも接種した本人が極めて高い確率で感染から守られるのは確実であること。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)新型コロナワクチンについては下記の各サイトも是非参照いただきたい。新型コロナウイルス感染症 診療所・病院におけるプライマリ・ケアのための情報サイト(日本プライマリ・ケア連合学会)こどもとおとなのワクチンサイト(日本プライマリ・ケア連合学会)新型コロナワクチンについて(厚生労働省)新型コロナワクチンについて(首相官邸)これでわかる!新型コロナワクチン情報(新型コロナワクチン公共情報タスクフォース)こびナビ(保健医療リテラシー推進社中)コロワくんサポーターズ(コロワくんサポーターズ)また、筆者自身もコロナワクチンの医療従事者向け情報を下記サイトで整理している。併せてご参考になれば幸いである。Vaccipediaワクチペディア プライマリケアのためのワクチンリソース1)コミナティ筋注添付文書.2)Pardi N, et al. Nat Rev Drug Discov. 2018;17:261-279.3)Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.4)Dagan N, et al. N Engl J Med. Published online 2021.doi:10.1056/NEJMoa21017655)Shimabukuro TT, et al. Jama. 2021;325:2020-2021.6)McNeil MM, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;137:868-878.7)Jensen-Jarolim E, et al. Allergy. 2008;63:610-615.8)Fuzier R, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2009;18:595-601.9)Stone Jr. CA, et al. J Allergy Clin Immunol Pr. 2019;7:1533-1540.10)EuropeanMedicalAgency. COVID-19 Vaccine AstraZeneca: benefits still outweigh the risks despite possible link to rare blood clots with low blood platelets. 18 March. Published 2021. (2021年3月1日閲覧)11)ファイザー株式会社. COVID-19ワクチン『コミナティ筋注』の日本における添付文書改訂について.(2021年3月1日閲覧) 講師紹介

1386.

第55回 透析しながらフィットネス/血栓症をAZ社ワクチン副作用と欧州が判断

透析中の自転車漕ぎ運動で心臓の調子が改善透析患者は年々増えており、2019年の調査では日本人のおよそ1,000人に3人(100万人当たり2,732人)が慢性透析患者でした1)。それら透析頼りの患者の死亡原因で最も多かったのは心不全であり、死亡原因の22.7%を占め、心不全に加えて脳血管障害と心筋梗塞も含む心血管疾患全般は死亡原因の約1/3の32.3%を占めました。慢性疾患患者の心血管疾患予防には運動が良いことが報告されています。血液透析頼りの末期腎疾患(ESRD)患者はとくにじっとしていがちであり、運動で心血管機能や体調の改善が期待できるでしょう。とはいえ透析に出向いて4時間透析を受けて帰宅することを多くの場合週に3回繰り返す患者がその他のことをする時間は非常に限られています2)。ではその長い透析の最中に運動してもらったらいいじゃないかということで実施されて好成績を収めた無作為化試験の結果が国際腎臓学会(ISN)発行のKidney International誌に掲載されました3)。試験は英国の血液透析センター3ヵ所で実施され、130人が参加しました。半数の65人は週3回の透析中に30分間自転車漕ぎ運動をしてもらい、残り半数はいつもの治療を受けました。6ヵ月後のMRI写真を調べたところ自転車漕ぎ運動をした患者の心臓の大きさは正常化しており、心臓の瘢痕が減っていました。血管にも良い影響を及ぼしたらしく大動脈硬化の指標が改善しました。また、自転車漕ぎ運動をした患者の入院はより減り、1人当たりの6ヵ月間の医療費はそうしなかった患者に比べて諸費用・装置導入や人件費(理学療法士の給与)差し引きで1,418ポンド少なくて済みました4)。透析の都度自転車漕ぎ運動をすれば否が応でも運動習慣を身につけることができ、長い透析がより有意義なものになるでしょう2)。透析中の自転車漕ぎ運動は心血管の調子を改善するようであり、果ては生存改善につながるかどうかを今後の試験で調べる必要があると著者は言っています。血栓症をAZ社ワクチンの非常に稀な副作用と欧州が判断~J&Jワクチンでも同様の血栓症が発生血小板減少を伴う普通じゃない血栓症をAstraZeneca社COVID-19ワクチンVaxzevria(AZD1222)の非常に稀な副作用と欧州医薬品庁(EMA)が結論しました5,6)。およそ2,500万人がAstraZenecaワクチン接種済みの欧州地域から主に自主的に3月22日までに報告された脳静脈洞血栓症(CVST)62例と内臓静脈血栓症(splanchnic vein thrombosis)24例を詳しく調べてEMAはその結論に至りました。欧州連合(EU)の薬剤安全性データベースEudraVigilanceに集まったそれら86例のうちおよそ5例に1例(18例)は死亡しています。その約2週間後の4月4日時点でのEudraVigilanceへのCVST報告数は3月22日までより3倍近い169例、内臓静脈血栓症は2倍以上の53例に増えています。とはいえ血小板減少を伴う血栓症は非常に稀であり、AstraZenecaワクチンのCOVID-19予防効果は副作用リスクを上回るとEMAは依然として考えています。先週紹介したヘパリン起因性血小板減少症(HIT)様の免疫反応を原因の一つとEMAは想定しています。心配なことにJ&JのCOVID-19ワクチンでも同様の血栓症が発生してEMAは調査を開始しています7)。また、AstraZenecaワクチンの別の安全性懸念・毛細管漏出症候群の調査も始まっています。毛細管漏出症候群は血管の液漏れを特徴とし、組織を腫らして血圧低下を招きます。参考1)新田孝作ほか. 透析会誌. 53:579~632,2020 2)Cycling study transforms heart health of dialysis patients / Eurekalert 3)Matthew P.M.et al. Kidney International. April 08, 2021. [Epub ahead of print]4)Daniel S. M.et al.Kidney International. April 08, 2021.[Epub ahead of print]5)AstraZeneca’s COVID-19 vaccine: EMA finds possible link to very rare cases of unusual blood clots with low blood platelets / EMA6)Blood Clots a Very Rare Side Effect of AstraZeneca Vaccine: EMA / TheScientists7)Meeting highlights from the Pharmacovigilance Risk Assessment Committee (PRAC) 6-9 April 2021 / EMA

1387.

ファイザー社ワクチン6ヵ月後も有効、南ア変異株にも

 米国・Pfizer社は4月1日付のプレスリリースで、同社とBioNTech(ドイツ)が開発した新型コロナウイルスワクチン(BNT162b2、商品名:コミナティ筋注)について、第III相臨床試験で観察されたワクチンの有効性に関する最新の分析結果を発表した。それによると、2回目のワクチン接種から6ヵ月後までの有効性は91.3%であり、南アフリカにおいて流行が確認されている変異株B.1.351系統のCOVID-19症例の予防に対しても有効性を示したという。 発表によると、第III相臨床試験には4万6,307例が参加。2回目のワクチン接種後7日から6ヵ月までのCOVID-19罹患状況を調べたところ、927例が確認された。このうち77例がBNT162b2群(ワクチン接種)、850例がプラセボ群(ワクチン未接種)で、ワクチンの有効性は91.3%であった(95%信頼区間[CI]:89.0~93.2)。 また、SARS-CoV-2変異株B.1.351系統が流行している南アフリカの参加者800例では9例のCOVID-19が確認されたが、いずれもプラセボ群であり、ワクチン有効性は100%を示した(95%CI:53.5~100.0)。探索的分析では、9例中6例がB.1.351系統(南アフリカ変異株)であり、本データは、BNT162b2が南アフリカ変異株に対する強い中和抗体応答を誘導したことを実証した従来の試験結果を、引き続き支持するものであった。 2回目の投与から6ヵ月までの試験参加者については、深刻な安全上の懸念は認められなかった。副作用は、一般的に以前に報告された結果と一致していた。ワクチンの安全性については、現在16歳以上の4万4,000例以上の参加者で評価され、1万2,000例以上の予防接種参加者が2回目の接種後少なくとも6ヵ月のフォローアップを受けており、さらなる長期的なフォローアップと分析が進められる見通しだ。

1390.

第50回 今日から高齢者ワクチン接種、医師・看護師不足は解消される?

<先週の動き>1.今日から高齢者ワクチン接種、医師・看護師不足は解消される?2.医療者・高齢者のワクチン供給に目途、6月末までに3.75歳以上の自己負担2割に引き上げ、衆議院にて審議開始4.新型コロナの影響は周産期医療にも、出生数激減5.相次ぐジェネリック問題、信頼回復に向けた取り組みを1.今日から高齢者ワクチン接種、医師・看護師不足は解消される?65歳以上の高齢者3,600万人を対象とする新型コロナワクチン接種が本日(12日)開始される。政令指定都市と東京都特別区の計43市区を対象とした日本経済新聞の調査によると、6割の自治体が高齢者向けワクチン接種のピーク時に必要な医師・看護師の確保が間に合っていない。全国知事会では、新型コロナウイルス緊急対策本部会議を4日に開催し、厚生労働省に対して緊急提言を行った。離島やへき地での接種に必要な医療従事者の確保に向け、潜在看護師の掘り起こしや各団体に派遣の働きかけ、僻地や離島以外でも医師や看護師の派遣を可能とするなど、国に必要な支援を求めている。看護師不足に対して、厚労省は4月1日付で、へき地の医療機関への看護師派遣を解禁しており、僻地以外への全国的な看護師派遣の解禁についても労働政策審議会へ提案している。(参考)高齢者ワクチン接種、主要都市6割で医師不足の懸念(日経新聞)第4波の到来を受けた今後の新型コロナウイルス感染症対策についての緊急提言(全国知事会)ワクチン接種の特設会場、2割が「看護師不足」…厚労省が派遣解禁を提案(読売新聞)2.医療者・高齢者のワクチン供給に目途、6月末までに新型コロナワクチン接種について、9日の閣議後の記者会見で、河野 太郎規制改革相が、6月末までに1億580万回分のワクチンを供給できる見通しを明らかにした。現在実施している医療従事者480万人と高齢者3,600万人のワクチンは、6月末までに全国に配送を完了し、一部は持病のある患者に対しても供給が可能になる見込み。欧州連合からのワクチン輸出承認を前提としながらも、供給体制は整ってきたことを説明した。未定の自治体もある一般向けの接種開始時期を明確にできるような供給体制が引き続き求められる。(参考)6月中、確保見通し 高齢者のコロナワクチン 河野担当相(朝日新聞)河野氏「高齢者へのワクチン供給にメド」…6月中に4,500万回分確保の見通し(読売新聞)3.75歳以上の自己負担2割に引き上げ、衆議院にて審議開始8日、年収200万円以上の後期高齢者の医療費の窓口負担割合を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案が衆議院本会議にて審議開始された。一方、7日に開催された財務省の財政制度分科会では、悪化した国の財政健全化に向けた意見を取りまとめるため、今後の社会保障費の伸びをどう抑制していくかなどについて議論している。今後、保険料の引き上げなど持続可能な制度設計を行うとみられ、国民の負担感が増す中で、実効性のある対策の検討が望まれる。(参考)医療費2割負担法案が審議入り 首相「能力応じ負担を」衆院本会議(日経新聞)社保費抑制へ議論開始 財制審、75歳以上の急増が課題(同)財政制度分科会(令和3年4月7日開催)資料一覧(財務省)4.新型コロナの影響は周産期医療にも、出生数激減新型コロナ感染拡大の影響が周産期医療に影響を及ぼしていることが明らかとなった。厚労省がまとめた人口動態統計速報によれば、今年1月の出生数は前年同月に比べ、14.6%減の6万3,742人であり、死亡者数は前年に比べ6.2%増の14万844人と、人口7万7,102人の純減となっている。なお、妊娠届の件数は昨年の5月から減少している。東京都でも5年連続で出生数が減少し、歯止めがかからないため、産後ケア事業など子育て支援の充実を急いでいる。(参考)人口動態統計速報(令和3年1月分)1月の出生数急落、14%減 コロナ禍で出産控え加速(朝日新聞)都内の出生数10万人割れ寸前 自治体、育児支援手厚く(日経新聞)5.相次ぐジェネリック問題、信頼回復に向けた取り組みを最近、ジェネリック医薬品の回収や出荷停止が立て続けに発生しており、後発品への信頼性を揺るがす事態が生じている。厚労省の林経済課長は、これまで医療費削減のため、後発品の安定供給に主軸を置いてきたが、質確保への転換が必要としている。調剤薬局では、他社製品への切り替えや、患者側から先発品への変更希望を受けるなどの対応事例が続いている。今後、厚労省は後発品メーカーに対する指導を強化し、供給と品質の改善を求め、信頼回復を働きかけていくことになる。(参考)「日医工から他社へ」8割 都内の薬局、強い不信感(朝日新聞)厚労省・林経済課長「後発医薬品の安心を取り戻すことが振興策」 今夏にも流通改善GL見直しに着手(ミクスOnline)

1391.

第52回 40~50代は必見!ワクチンオタクの筆者が薦める新型コロナ以外のワクチン4選

コロナ禍の影響で私自身が週刊誌などから新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、新型コロナ)について取材を受ける機会が増えている。もちろん週刊誌なども最初はいわゆる「大御所」の医師にあの手この手でコンタクトを取ろうとするのだが、こうした医師たちは多忙なことに加え、取材を受ける場合でも新聞、テレビなどの大手メディアに予定を押さえられていることが多く、捕まえにくい。そんなことで第2候補、第3候補としてコロナ禍でのさまざまなテーマで取材依頼が舞い込んでくる。まあ、同じメディアに身を置くゆえに頼みやすいことも影響しているのだろう。先日もある取材依頼があったのだが、それは珍しく直接的にコロナに関連するものではなかった。たまたま、SNSのFacebookに書いた私の投稿に知人の編集者が目を止めて、取材をさせてほしいと連絡があったのだ。その投稿とは私のワクチン接種歴である。3月半ば、私は国立国際医療研究センターで国内未承認のダニ脳炎ウイルスに対する3回目のワクチン接種を完了。これにより過去約2年で20種類のワクチン接種を終了した。以下はこの間に私がワクチン接種を完了した感染症である。A型肝炎B型肝炎麻疹風疹ポリオジフテリア破傷風百日咳おたふく風邪帯状疱疹腸チフス狂犬病コレラヒトパピローマウイルス髄膜炎(B群も含む)インフルエンザダニ脳炎黄熱病肺炎球菌日本脳炎現在私は51歳。この年齢と照らし合わせておやっと思うものもあるだろう。たぶん、その筆頭は麻疹・風疹ではないだろうか。私の場合、どちらも罹患歴もなく、これまでワクチン接種歴もなかった。風疹に関しては男子がワクチン接種対象となっていなかった年代、なおかつたまたま罹患したことがなかった。麻疹は私の世代でも1歳時にワクチン接種を受けるはずだが、ある事情によりワクチン接種をスキップしてしまった。それは生後3ヵ月の頃、当時4歳だった姉が麻疹を発症、姉か私のいずれかを隔離するわけにもいかず、かかりつけ医が私に免疫グロブリンを注射。当時こうしたケースは1歳時点でのワクチン接種で抗体が作られにくいと考えられ、通常の接種をスキップされてしまっていたのである。また、学生時代にバックパッカーだったこともあり、当時は抗体価持続期間10年と言われていた黄熱病ワクチンを接種したことがある。現在では抗体持続期間は生涯とされている。しかし、当時のイエローカードは10年経過した段階で無効と思い廃棄してしまっていた。そんなこんなで再接種した次第である。そもそも、なぜこんなにワクチンを打ったのか? きっかけは2つある。最初のきっかけは2018年2月4日にさかのぼる。この日は語呂合わせで「風疹の日」で、たびたび流行していた風疹のワクチン接種を呼びかけるイベントが成田空港で行われていた。その取材に赴き、妊娠中に風疹に感染し、先天性風疹症候群の娘さんを出産した「風疹をなくそうの会『hand in hand』」共同代表の可児 佳代氏の講演を聞いた。可児氏の娘・妙子(たえこ)さんは先天性風疹症候群により生まれつき目、耳、心臓に重い障害を持ち、闘病の末に18歳で短い命を終えていた。妙子さんの写真を手に話す可児氏の姿に衝撃を受け、その後しばらくぼーっとしたまま空港内を徘徊したのを覚えている。この時のイベントで実施していた無料抗体検査を受け、後日郵送で届いた結果で私にはやはり抗体がないことが判明した。そこで知人の医師に相談し、麻疹・風疹混合ワクチンを接種した。多くの方がご存じのように、かつては麻疹も風疹もワクチン接種は1回のみだったが、その後ワクチン接種での抗体獲得状況に関する研究が進み、2回接種で抗体獲得がほぼ確実になることが分かった。今では麻疹、風疹ともワクチン接種は2回が原則となっている。この時は知人の医師と2回目をどうしようか話し合ったが、医師からは「流行地域に行くならばまた来月接種するというのもありかもしれないが、そうでなければ1~2年後でいいのではないか?」と提案され、そのようにすることになった。そうこうするうちに2019年に家族と南アジアのブータンを旅行することになったのが第2のきっかけだ。このとき渡航前に調べたところ、現地では狂犬病、腸チフス、日本脳炎、コレラといった感染症のリスクがあることが分かった。たまたま前述の知人の医師のところでは国内未承認のものも含め、これらのワクチンがすべて接種できることがわかり、早速接種することにした。その際に知人医師のところではかなり数多くのワクチンを接種できることが分かった。経歴にもある通り、私は災害現場や海外の紛争地の取材などもする。その意味では数多くのワクチンを接種しておいて損はない。ということで、次々に接種し始めたのである。知人医師のところで接種できなかったダニ脳炎、髄膜炎B群、帯状疱疹(シングリックス)は国立国際医療研究センターのトラベルクリニックで接種した。ちなみにこのうちヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関しては、接種を申し出た際に知人医師からは「もういいんじゃないの?」と笑われた。そりゃ50代の不活発なおじさんにはほぼ不要である。ただ、ご存じのようにHPVワクチンに関してはさまざまな問題が噴出している。その報道にかかわる際にこのワクチンに懐疑的な人たちから「じゃあ、あなたは接種したんですか?」と問われて、接種していないと答えればそれだけで揚げ足を取られかねない。ということで、少しでも説得力を付けるために接種したというのが実際だ。さて前置きが長くなったが、ではどんな取材を受けたかというと、端的に言えば「新型コロナをきっかけにワクチンに関する関心が高まっている今、一般の人に接種をお薦めするワクチンを教えて欲しい」というテーマだった。ちなみに取材依頼元の週刊誌のメイン購読層は40~50代の男性である。そこで私がお薦めしたのが麻疹・風疹ワクチン、HPVワクチン、おたふく風邪ワクチン、破傷風ワクチンである。麻疹・風疹ワクチンを薦めたのは、私のような公的に風疹ワクチンを接種する機会がなかった1962年4月2日~1979年4月1日に生まれた男性は、近年の風疹流行の媒介者であることが明らかなため、国が2019年~2022年3月末までの3年間は無料で抗体検査と予防接種を受けられるクーポンを発行しており、一部の男性にとっては確実にお得だからだ。しかも、このクーポンで抗体がないと判定されてワクチンが接種される際は、基本的に麻疹・風疹混合ワクチンが選択される。つまり、主に空気感染し一度流行すると厄介な麻疹の阻止にもつながるという接種者個人はもちろん、社会全体にとっても「2度おいしい」のである。HPVに関しては、ご存じのように性感染症であり、男性ではオーラルセックスなどをきっかけに中咽頭がんに罹患するおそれがある。中咽頭がんは胃がんや大腸がんのように定期健診もなく、見つかった段階でかなり進行しているケースも少なくない。そして手術や化学放射線療法の合併症である発声困難や味覚障害でQOLが著しく低下するケースもあるほか、最悪は死に至る。それがワクチン接種で大幅にリスクを低下させることができる。おたふく風邪ワクチンは睾丸炎による男性不妊の予防、破傷風ワクチンは災害ボランティア活動などで比較的感染の機会が多いというのが推奨理由である。まあ、この辺は本サイトの読者である医療者の方々からは異論があるかもしれないが、少なくとも個人的には大きく外れてはいないと思っている。ちなみにこれまでこの接種にかかった費用は約40万円。もはや趣味の域であると言っても差し支えなく、私自身も最近では「趣味はワクチン接種」と公言している。実際、趣味の域を極めるべく、将来的には国内で接種が不可能なEU承認のエボラワクチン、中国のみで承認のE型肝炎ワクチン、アメリカのみで承認の炭疽菌ワクチンもコロナ禍終息後に機会があれば接種してみたいところ。これは冗談ではなく真面目な話。もちろん飛行機に乗って接種しに行きますので、何らかの情報や伝手がある方は編集部にご一報ください(笑)。ちなみにどの雑誌に掲載されるかというと、一部では男性でも購入しにくいと言われる数少ないカタカナ名の男性週刊誌である。まあ、どんな反応があるか、それともまったく反応がないのか、個人的にもちょっと興味がある。

1392.

ワクチン・パスポート」、制度導入にあたっての論点/NEJM

 世界中で新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が進むにつれ、ワクチン接種済みの証明書を発行し、国内外の移動やイベント参加時などに提出を義務付ける制度、いわゆる「ワクチン・パスポート」に関する議論が生じている。現時点で考えられる論点が、NEJM誌オンライン版2021年3月31日号Perspectiveに掲載された。 ワクチン・パスポートは、既に米国、英国、EUが導入を検討しているほか、オーストラリア、デンマーク、スウェーデンが導入を表明しており、国民1人当たりのワクチン接種数で世界トップのイスラエルでは、すでにワクチン接種を受けた住民に「グリーンパス」を発行し、ホテル、ジム、レストラン、劇場、音楽会場など、入場制限が行われている場への立ち入りを許可する際に使われている。ニューヨーク州が発行する電子ワクチン・パスポート「エクセルシオール・パス」は劇場、イベント会場、大規模な結婚式などへの参加を許可する際に使われている。 これらのプログラムの基本的な考え方は、自由や社会的価値のある活動を限定する公衆衛生上の制限は、検証可能なリスクに合わせて調整されるべき、というものだ。 しかし、COVID-19のワクチン・パスポートによる制限調整には、いくつかの重大な懸念事項に基づく反対意見がある。それは以下のようなものだ。1)ワクチン供給に制限がある時期に、早期にワクチン接種を受けた幸運な人を優遇にするのは、道徳的に問題がある。2)ワクチン供給の制限が緩和されても、人種的マイノリティや低所得者層の接種率は不均衡に低いままだと考えられる。3)ワクチンの有効率、特に新たな変異株に対する有効性はまだ十分に検証されておらず、ワクチン接種者の再感染の可能性を否定できない。4)ワクチン接種者を優遇することは、宗教的または哲学的理由からワクチン接種に反対する人にペナルティを与えることになる。5)ワクチン接種を正確に証明するためのコンセンサスが得られていない。 国民の間でもワクチン・パスポート導入は賛否が分かれ、政府の公式な政策として採用するのは早いだろう。一方、私たちは提起された異論は、ワクチン・パスポートを一切禁止することを正当化するには至らない、と考える。ワクチン接種数は急増しており、不利な立場にある人々の接種に対しても特別な努力が払われている。ワクチン接種の正確な証明手段については主要テクノロジー企業が開発に取り組んでおり、ワクチン接種を拒否する人々に何らかの負担をしてもらうことは、集団免疫に与える影響から見て一定の公平性があると思われる。 重要な出発点は、ワクチン・パスポートと義務化を区別することだ。政府が、ワクチン・パスポートを仕事や教育などの重要な活動への参加条件とするならば、それは本質的にワクチン接種の義務化となる。 「パスポート」の概念が最も現れるのは旅行だ。現在、連邦および州当局は、州または国境を越える人に隔離を強制しており、ほとんどの場合にはワクチン接種者も例外ではない。しかし、いくつかの州では例外にすることを検討しており、米国疾病予防管理センター(CDC)はワクチン接種者に対する隔離の除外と、既感染者の入国制限解除を承認している。ワクチン・パスポート保有者にも同様の方針が適用されるのは時間の問題だろう。 ワクチンの渡航政策を主導するには、政府はまず予防接種を受けたことを確実に証明する基準づくりからはじめるべきだろう。このような基準づくりは、旅行業界との官民連携によって比較的スムーズにでき、その後はイベント等の他領域に拡大するだろう。こうしたケースは政府による管理の必要性は低く、スポーツ試合、コンサート会場、クラブ、レストラン・バーなどで、顧客のワクチン接種状況に応じて入場可否を決定することは合理的であり、ワクチン接種の促進にも役立つだろう。 政府には、ワクチン・パスポートを使った違法な差別を含む、民間に対する基準づくりと、ワクチン接種プログラムの推進が求められる。とくに、ワクチン・パスポートが雇用に影響を与える場合、規制は重要となる。宗教上の理由でワクチンを受けない人や障害者への差別にあたらないよう、雇用主のワクチン接種への方針は、労働者や顧客の健康に対する実際のリスクに基づく必要がある。 政府のもう一つの重要な役割は、ワクチン・パスポート制度の設計者が、ワクチンの有効性と限界に関する最新情報に容易にアクセスできるようにすることだ。そして、柔軟な適応が重要となる。過去1年間の経験から、ある月には賢明な感染対策も1ヵ月後には再考する必要があることがわかっている。合理的かつ倫理的なワクチン・パスポート制度は、ワクチンの入手可能性が高まり、集団免疫獲得が近づき、ワクチンの有効性や限界に関する科学的証拠が増えるにつれ、定期的に変更される可能性がある。

1393.

医師がマスコットとしてSNSで発信する理由 コロワくん×コム太の犬対談

日米欧で活躍する日本人医師ら10人が、新型コロナワクチンに関する一般市民の不安や疑問を解決するために結成した「コロワくんサポーターズ」。代表は山田 悠史氏(米国内科専門医)が務め、LINEボット「コロワくんの相談室」などの情報提供プロジェクトを手掛ける。今回、プロジェクトの公式マスコット「コロワくん」と、ケアネットの公式マスコット「コム太」の対談が実現。ワクチンに関する真面目な話から、SNSで犬として発信する裏話まで、2人(匹)で語り合った。コロワくん「コロワくんサポーターズ」の公式マスコット。LINEボット「コロワくんの相談室」では、寄せられた疑問に日々真面目に答えている。秘めたる思いがあり、コム太に今回の対談を申し込んだ。好物は大福餅。コム太ケアネットの公式マスコット。主にTwitterに生息しているが、本サイトではとくに推されていない。バナーでの汎用性がウリで、社内に熱狂的なファンが数人いる。好物はサーロインステーキ。※いずれも、中の人は内科医ですが、この対談ではマスコットキャラクターになりきって話をしています。「コロワくんサポーターズ」公式HP副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット医師が主体のプロジェクトにマスコット犬がいる理由 コロワくんはじめまして、コム太さん!「コロワ」というワン。SNSで活躍している先輩として、尊敬しているワン!! 今日はよろしくワンワン!!  コム太こちらこそよろしくだわん!センパイだなんて照れるわん。コロワくんにさっそく質問なんだけど、「コロワくんサポーターズ」は医師たちのプロジェクトなのに、どうしてマスコットキャラクターがいるの? コロワくんそれはですね、一般的な注射やワクチンって、痛い、怖い、とがっている…など、どうしてもマイナスなイメージがありませんか?このプロジェクトでは、「注射やワクチンに対する不安の緩和につながるような、あたたかい存在が必要なんじゃないか」という話になったワン! コム太なるほど。それでマスコットキャラとして、コロワくんが生まれたわんね!でも、なんで犬なの? コロワくん実は、先に「コロワ」っていう名前が決まったワン。新型コロナワクチン…コロナワクチン…コロワ、みたいな。それで、「コロワ」っぽいキャラクターは犬だろうって、連想ゲーム的な発想で生まれたワン。コム太センパイは、なんで犬のアカウントになったワン? コム太コム太は実は最初から犬だったわけではなくて、3年前に中の人が変わって、「研修医や若い世代にもリーチできるように」って方針になったわんけど、アカウント自体はニンゲンで、最初は全然うまくいかなかったわん。 コロワくんどんな感じだったんですかワン? コム太キャラ作りに思いっきり迷走して、最初は「魁!!◯塾」の江◯島平八みたいなテイストにしてた時期もあったわん。「これが研修医にオススメなのである!見るべし!」みたいな。これがまぁ刺さらなくて…。そもそも世代的に合うわけがないわんけど(笑)。 コロワくん大変な時代もあったんですワンね。そこから犬アカウントに行き着いたのは? コム太キャラをつかみかねた結果、上から「昔作った犬のキャラがあるんで、今後はこれで」って、言われるがまま犬になったわん。だから、コロワくんみたいに、「不安を和らげよう」という立派な志があったわけではなく、要するに社内事情だわんね。 コロワくん「ケアネットの犬コム太」っていうアカウント名の裏事情を垣間見た気がしますワン…(笑)。 コム太幸運なことに、犬キャラがハマって、そこからフォロワー数が伸び始めたわん。まさに「自然体でのアカウント運営が一番よい」って、SNS運用ノウハウ本とかに書かれがちなとおりになったわん。とりあえず「〜わん」をつけておけば丸く収まるみたいなとこもあって助かってるわん(笑)。ところで、コロワくんの活動は順調ですかわん? コロワくんはい!! ありがたいことに、LINEボット「コロワくんの相談室」は、NHKをはじめとするテレビや朝日新聞などの全国紙、さらには米国のCNNやワシントン・ポスト、英国のBBC、ロイターなど海外のメディアでも紹介されたんですワン。 コム太すでに海外からも注目されているマスコット犬とは…!ところで、コロワくんは何犬なのかわん? コロワくん柴犬です!! 誕生当初、犬種は決まっていなかったのですが、Twitterで柴犬愛好家の方のアカウントにフォローされて(笑)、それから柴犬ということになりましたワン。CNNの記事にも「Corowa-kun is a Shiba Inu-inspired chatbot」と書かれています。参考Why Japan took so long to start Covid-19 vaccinations, even with the Olympics looming(CNN) コロワくん別の取材では、代表の山田先生に対して、「この犬はあなたをモチーフにしたの?」と聞かれたこともあります。イメージして作ったわけではないのですが、山田先生からは「毎日向かい合っているからか、だんだん似てきている気がする」って言われてちょっとうれしかったですワンワン! コム太「犬は飼い主に似る」ってことわざを体現しているわんね(笑)。ちなみにコム太の犬種は“純血種の社畜”って設定にしてるわんけど、愛好家の方にフォローしていただけるなら、今日から柴犬ってことでもいいかもしれないわん…!そういえば、先日、本の表紙でコロワくんを見つけたわん!2021年4月22日発売!! コロワくんそうなんです!! LINEボットやSNS公式アカウントには、日々たくさんの新型コロナワクチンに関する疑問が寄せられるので、その一部を一問一答形式でまとめましたワン。これをきっかけに、普段LINEを使わない人にも、正しい情報が届くといいなと思っています。LINEボットでは答えきれないことも書いているので、すでに使ってくださっている人にも役立つ内容になっていますワン!! コム太めちゃくちゃ社会貢献活動してるわん…!SNSでは、誰かを不用意に傷つけない発信が大前提 コロワくんコム太さんは、もう3年ほどTwitterをやっているそうですが、SNSでのキャラクター作りで気を付けていることはありますかワン? コム太そうだわんねぇ…。一番大事にしてるのは、言いたいことを言うために、そうではない物事を否定しないこと。安易な「二項対立」にしないようにしてるわん。その分、表現がふんわりしてシャープさに欠けることもあるわんけど、傷つく人がなるべく少ない切り口を模索してるわん。 コロワくんそれって、日常的な患者さんとの対話で気を付けていることとも通じて、なんだか染みますワンね。僕も広く受け入れてもらえるキャラを目指していますが、ワクチン反対派からは辛辣なコメントがつくこともあって…。その言葉に僕たちが傷つくだけならまだいいのですが、「ワクチンを打とう」という前向きな気持ちを持っている人たちに対しても、ネガティブに響いてしまったらどうしようと思ってしまいますワン。 コム太ワクチンもそうだけど、人はそもそも「わからないもの」に対して不安を抱きやすいわん。確かに、そうやって不安が連鎖して、ワクチンの接種率が下がってしまうと困るけど、それに対する反論がストリクト(厳格)過ぎるのもよくないと思ってて。なぜなら、不安を抱えている人に正論を掲げても、わかり合えることってほとんどないからだわん。 コロワくんそうですよね。今の活動では、理論的なことやエビデンスを機械的に投げかけるようなことはしないように心掛けていますワン。 コム太うんうん。情報の正しさはもちろんだけど、相手の不安やいろんなネガティブな感情を理解しようとすることも同じくらい大事で、それがその先の相互理解につながる第一歩だと考えているわん。だから、コロワくんの活動にはとっても共感できるわん!まるっこいフォルムもやわらかいイメージにピッタリだわん!! コロワくんありがとうございます!!あと、これもぜひ聞いておきたいのですが、これまでSNSをやっていて、苦しい局面に出合ったことはありますかワン? コム太うーん、「これ絶対おもしろいだろ!」っていう渾身のボケツイートに、まったく「いいね」がつかなかったときだわん…(笑)。 コロワくん(苦笑) コム太幸い、これまで大きな炎上経験もなく、たまにコム太のイラストを描いてくれる人もいて、フォロワーさんとのコミュニケーションは今のところうまくいってると思えているわん。ときには、「この情報古いですよ」ってご指摘を頂くこともあるわんけど、すぐに謝罪・訂正ツイートで対応して、ツイ消しはしないようにしてるわん。 コロワくん勉強になりますワン!! コム太逆に、公式アカウントで犬キャラをやっていると、個人アカウントでもつい「わん」って言っちゃって、焦ったことは何度もあるわん(笑)。 コロワくんわかります!!以前、僕も個人アカウントで「ワン」をつけてつぶやいてしまって、慌てて消したのですが、数人には見られてしまいました(汗)。 コム太あるある(笑)。それでは最後に、今後の目標を聞かせてもらってもいいかわん? コロワくんLINE友達は数万人いるのに、Twitterのフォロワーが少ないので、SNS上での活動もしっかりやっていきたいと思っていますワン。今は時期的にもワクチン関係の活動に注力していますが、今後ワクチン接種が進んで活動が一段落したら、SNS上などでデマや誤情報が拡散されてしまうところにどうアプローチするかなど、もう少し手を広げて長期的な視野で考えていきたいと思っていますワンワン。 コム太いやぁ、大きくて素晴らしいビジョンだわんね!夢があるわん。コム太の目標はねぇ、そういう大きいのじゃなくて、まず「年内にフォロワー7,000人」っていう具体的な数値目標を果たさないと、中の人がクビになってしまうわん…(涙)。 コロワくん世知辛いですワン…。 コム太でも、今日の対談がとっても楽しかったから、これからも、このアカウントをきっかけに面白い人と対談する機会があればいいなと思うわん。仲良くなった証しに、顔交換するアプリで写真撮ろうわ〜ん! コロワくんいいですね!犬同士盛り上げていきましょう!! 今日はありがとうございましたワン!参考Why Japan took so long to start Covid-19 vaccinations, even with the Olympics looming(CNN)2021年4月22日発売!!SNSでは、誰かを不用意に傷つけない発信が大前提

1394.

ワクチン接種者、検査・隔離なしで旅行が可能に/CDC

 2021年4月2日、米国疾病予防管理センター(CDC)はガイドラインを更新し、新型コロナワクチン接種を完了した人は、PCR検査の陰性証明や隔離期間なしに米国内を旅行できるとした。これまでのガイドラインではワクチン接種者であっても国内外の旅行を控えるよう呼びかけていたが、ワクチン接種者が急激に増加し、ワクチンの有効性に関するデータも集積されてきたことを受け、今回の変更が行われた。ワクチン接種完了の定義は、最後の接種を受けてから2週間経過後とされており、今回追加された項目は下記のとおり。・ワクチン接種完了者は、海外の目的地で必要とされない限り、旅行前に検査を受ける必要はなく、帰国後の隔離の必要もない。・ワクチン接種完了者は、米国へのフライトの搭乗前にCOVID-19検査を受けて陰性である必要があり、帰国後3~5日以内に再度検査を受ける必要がある。・ワクチン接種完了者は、海外旅行中もマスクやソーシャルディスタンスの確保といった感染予防策をとる必要がある。 米国では1日300万件あまりのワクチン接種が行われており、4月3日時点で65歳以上の74%が少なくとも1回の接種を受け、52%が接種を完了。計1億人近い国民が少なくとも1回の接種を受け、5,600万人が接種を完了している。

1395.

AZ製ワクチン、英国型変異株に有効率70.4%/Lancet

 新型コロナワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新たな変異株であるB.1.1.7系統への中和活性は同系統以外の変異株との比較において低いことがin vitroにおいて示されたが、変異株B.1.1.7に対する臨床的有効率は70.4%で有効であることが示された。なお、同系統以外のウイルスに対する有効性は81.5%だった。英国・オックスフォード大学のKatherine R. W. Emary氏らが同国で行った、約8,500例を対象とした第II/III相無作為化試験の事後解析の結果で、Lancet誌オンライン版2021年3月30日号で発表した。変異株B.1.1.7は2020年11月以降、英国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主因を占めるようになっていた。NAAT陽性サンプルをシークエンシング 試験は18歳以上のボランティアを登録して行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはChAdOx1 nCoV-19ワクチンが、もう一方の対照群には髄膜炎菌結合型ワクチン(MenACWY)が投与され、上気道スワブ検査を毎週実施、または咳や37.8度以上の発熱といったCOVID-19症状を呈した際にも実施された。 採取したスワブについては、SARS-CoV-2に関する核酸増幅検査(NAAT)を行い、陽性サンプルは、COVID-19ゲノム英国コンソーシアムでシークエンシングを行った。生ウイルス・マイクロ中和抗体測定法によりB.1.1.7系統ウイルスに対する中和抗体反応と、標準的な非B.1.1.7系統ウイルス(Victoria)に対する中和抗体反応を測定した。 有効性の解析では、血清反応陰性でNAAT陽性者の、ワクチン2回目接種後14日以降の症候性COVID-19などが評価された。被験者が接種を受けたワクチン別の解析も実施。ワクチン有効性については、ポアソン回帰モデルを用いて算出した1-相対リスク(ChAdOx1 nCoV-19群vs.MenACWY群)で評価した。実験室でのウイルス中和活性、B.1.1.7系統は非B.1.1.7系統より低値 有効性コホートの被験者は2020年5月31日~11月13日に集められ、同年8月3日~12月30日に2回目のワクチン接種を受けていた。主要有効性コホートの被験者数は8,534例で、うち6,636例(78%)が18~55歳、5,065例(59%)が女性だった。 2020年10月1日~2021年1月14日に、520例がSARS-CoV-2感染を呈した。これら感染者から1,466個のNAAT陽性スワブが採取され、401個のスワブ(311例)について、シークエンシングに成功した。 実験室でのワクチン誘導抗体に対するウイルス中和活性は、Victoria系統よりもB.1.1.7系統は低値だった(幾何平均値の比:8.9、95%信頼区間[CI]:7.2~11.0)。 症候性NAAT陽性感染者に対する臨床的ワクチン有効性は、B.1.1.7系統で70.4%(95%CI:43.6~84.5)、非B.1.1.7系統では81.5%(67.9~89.4)だった。

1397.

ワクチン接種の経済価値は10年間で50兆円―英国調査

 COVID-19ワクチン接種による集団免疫獲得は経済にどのような影響をもたらすのか。英国において年齢構造化感染モデルと経済モデルを使った試算が行われた。The Lancet Infectious Diseasesオンライン版3月18日号掲載の報告。 研究者らは、今後10年間に渡る英国のワクチン接種プログラムについて、さまざまなシナリオを検討した。【ワクチン接種率】15歳以上の75%にワクチンを接種(および15〜64歳の50%と65歳以上の75%に毎年再接種)と、ワクチン接種なしを比較。【ワクチンの有効性】ワクチンの有効性50%もしくは45週間の感染防止効果(最悪のシナリオ)と、ワクチンの有効性95%と3年間の感染防止効果(最良のシナリオ)を比較。自然免疫は45週間以内に消失すると仮定した。【フィジカルディスタンス】ワクチン接種がフィジカルディスタンスへ与える影響についても検討し、最初のロックダウン後に自発的にフィジカルディスタンスをとる、あるいは感染者増による最初のロックダウン後にフィジカルディスタンスが義務付けられる、と想定した。 QALYs(Quality-Adjusted Life-years:質調整生存年)による利益と、医療費負担者と国民経済の両方に対するコストを考慮した。将来のコストとQALYsを毎年3~5%で割り引き、QALYあたりの金銭的価値を2万ポンド(約300万円)、ワクチン接種1回あたりの長期的なコストを15ポンド(約2,300円)と想定した。 初期ロックダウン、ワクチン接種、およびフィジカルディスタンス増加がないシナリオでは、今後10年間で1億4,800万(95%信頼区間:4,850万~1億9,880万)人が感染し、310万(84万~450万)人が死亡する、という推計だった(英国の人口は約6,800万人)。 最良のシナリオでは、将来のフィジカルディスタンスの増加がなくても、ワクチン接種によって感染数は最小限に抑えられたが、最悪のシナリオでは、COVID-19は年2回定期的に流行する感染症となった。 最良のシナリオでは、ワクチン接種プログラムによって、今後10年間に120億~3,347億ポンド(約1兆8,200億~50兆8,700億円)、最悪のシナリオでも11億~569億ポンド(約1,670億~約8兆6,400億円)の正味貨幣価値が増加する、との試算だった。ただし、フィジカルディスタンスの増加による正味貨幣価値の増分は、国民経済の損失が持続的で大きい場合には、社会的観点からはマイナスとなる可能性がある。 研究者らは、この調査結果は、ワクチン接種プログラムの健康上および経済上の大きな価値を裏付けるものだとしている。

1398.

がん関連3学会、がん患者への新型コロナワクチン接種のQ&A公開

 2021年3月29日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A―患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版―」を公開した。昨年に公開された新型コロナとがん診療に関するQ&Aに付随した「ワクチン版」となる。 「Q1:がん患者はワクチンを受けた方がよいのですか」 「A:前向きに検討しましょう。ベネフィットとリスクを理解し、主治医の先生と相談して判断することが大切です」 ワクチン開発段階の臨床試験では、がん患者が対象に組み入れられることは少なかったが、世界各国で接種が進み、がん患者に関するエビデンスが集まりつつある現状を紹介。現状国内で承認された唯一のワクチンであるファイザー製のワクチン(BNT162b2)について、「イスラエルで実際に多くの人にBNT162b2が接種され、60万人と非接種者60万人と比較し報告されていますが、両群にはがん患者さんが2%、約12,000人が含まれています1)。全体として90%以上の発症予防効果示され、併存疾患に関する検討では、がん患者さんだけのデータは示されていませんが、3つ以上の併存疾患を有する場合の予防効果は86~89%でありその差はごくわずかです」と解説している。 「COVID-19ワクチンには予防効果というベネフィットと様々な副反応が生じるかもしれないというリスクがあります。がん患者さんのワクチン接種のベネフィットとして、発症や重症化の予防、検査やがん治療を遅滞なくより安全に進められることがあります」としたうえで、「がん患者さんにおける副反応についての調査や報告はありませんが、がん患者さんにおける重症化の可能性を考慮すると、ベネフィットがリスクを上回ると思われ接種が推奨されます。がん患者さん一人一人がそのベネフィットとリスクを正しく理解して、主治医の先生と相談して、接種するかどうかを自分で判断することが必要です」としている。 その他、放射線や薬物など治療ごとに考慮すべき点や、接種後の注意点などがまとめられている。

1399.

子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーする「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」【下平博士のDIノート】第71回

子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーする「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」今回は、「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス(HPV)様粒子ワクチン(商品名:シルガード9水性懸濁筋注シリンジ、製造販売元:MSD)」を紹介します。本剤は、子宮頸がんなどの原因となる7つのHPV型と、尖圭コンジローマなどの原因となる2つのHPV型の感染を予防する9価のHPVワクチンです。<効能・効果>本剤は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52および58型の感染に起因する以下の疾患の予防の適応で、2020年7月21日に承認され、2021年2月24日より発売されています。なお、本剤の予防効果の持続期間は確立していません。子宮頸がん(扁平上皮細胞がんおよび腺がん)およびその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍[CIN]1、2および3ならびに上皮内腺がん[AIS])外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2および3ならびに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2および3尖圭コンジローマ<用法・用量>9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回(2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後)、筋肉内に注射します。1年以内に3回の接種を終了することが望ましいですが、2回目は初回から少なくとも1ヵ月以上、3回目は2回目から少なくとも3ヵ月以上の間隔を置いて接種することとされています。9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔をおいた合計2回の接種とすることができます(2023年3月改訂)。9歳以上15歳未満の女性に合計2回の接種をする場合、13ヵ月後までに接種することが望ましいとされています。なお、医師が必要と認めた場合には、他ワクチンと同時に接種することができますが、本剤と他ワクチンを混合して接種することはできません。<安全性>日本人を含む後期第II相/第III相国際共同試験(001試験)において、注射部位の副反応は、本剤接種後5日間で7,071例中6,414例(90.7%)に認められ、主なものは疼痛6,356例(89.9%)、腫脹2,830例(40.0%)、紅斑2,407例(34.0%)、そう痒感388例(5.5%)、内出血137例(1.9%)、腫瘤90例(1.3%)、出血69例(1.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間で7,071例中2,090例(29.6%)に認められ、主なものは頭痛1,033例(14.6%)、発熱357例(5.0%)、悪心312例(4.4%)、浮動性めまい211例(3.0%)、疲労166例(2.3%)、下痢87例(1.2%)、口腔咽頭痛73例(1.0%)、筋肉痛69例(1.0%)でした。日本人を対象とした国内第III相臨床試験(008試験)では、注射部位の副反応は、本剤接種後5日間で100例中95例(95.0%)に認められ、主なものは疼痛93例(93.0%)、腫脹42例(42.0%)、紅斑33例(33.0%)、そう痒感4例(4.0%)、出血3例(3.0%)、熱感3例(3.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間で100例中14例(14.0%)に認められ、主なものは発熱3例(3.0%)、頭痛2例(2.0%)、悪心2例(2.0%)、感覚鈍麻2例(2.0%)、腹痛2例(2.0%)でした。なお、重大な副作用として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(いずれも頻度不明)が設定されています。国内外の臨床試験における安全性検討対象1万3,408例では、過敏症3例および蕁麻疹20例が副反応として報告されています。ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病およびADEMは臨床試験において認められていませんが、本剤と同一の有効成分を含むワクチン(商品名:ガーダシル)と同様に設定されました。<患者さんへの指導例>1.ワクチン接種により、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの原因となる9つのHPV型に対する抗体ができ、今後の感染を予防します。2.接種後に血管迷走神経反射として失神が現れることがあります。接種後30分程度は、背もたれや肘掛けのある安全ないすに座っていてください。3.本剤接種後に、注射部位だけでなくほかの部位に激しい痛み(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛みなど)やしびれ、脱力などが現れて長時間持続する場合は、速やかに医師に相談してください。4.十分な予防効果を得るために、必ず本剤を3回接種してください。通常の接種スケジュールは、初回接種の2ヵ月後に2回目、初回接種の6ヵ月後に3回目となります。<Shimo's eyes>わが国において、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、毎年約2,900人が死亡しています。患者数・死亡者数ともに近年増加傾向にあり、子宮頸がん発症のピークが出産年齢と重なることが問題となっています。子宮頸がんの95%以上はHPV感染が原因で、感染経路は主に性的接触です。性交渉の経験がある女性のうち、50~80%が生涯で一度以上の感染を経験すると推計されていて、そのうちの一部が将来的に高度前がん病変や子宮頸がんを発症します。本剤は、わが国で3番目に発売されたHPVワクチンです。いずれの製剤も筋肉内注射で、計3回接種が必要です。既存薬の1つである2価ワクチン(商品名:サーバリックス)は、子宮頸がんの主な原因となるHPV16型と18型の感染を予防します。もう1つの既存薬である4価ワクチン(同:ガーダシル)は、上記に加えて尖圭コンジローマなどの原因となる6型と11型の感染も予防します。4価ワクチンは、2020年12月に男性も接種が可能となりました(公費助成の対象外)。本剤は、2021年2月に発売された9価ワクチンで、前述の4つのHPV型に加えて、31型・33型・45型・52型・58型の5つのHPV型のウイルス様粒子も含有することで、約90%の子宮頸がんを予防することが期待されています。既存2剤は定期接種の対象で、小学6年生~高校1年生相当の女子は公費助成によって無料で接種を受けることができます。発売当初は本剤は任意接種でしたが、2023年4月から本剤についても定期接種の対象となりました。HPVワクチンは、今後のHPVの感染を予防するものであり、すでにHPVに感染している細胞からのウイルス排除や進行抑制には効果はありません。したがって、性交渉を経験する前に接種することが最も効果的ですが、性交渉の経験があっても、予防対象のHPV型に感染していなければ効果が期待できます。HPVワクチンについては、過去に疼痛や運動障害などの副反応が大きく報道され、2013年6月に厚生労働省より「積極的な勧奨の一時差し控え」が発表されました。世界では接種完遂率が80%を超える国もある中、わが国の接種率は0.3%と非常に低い水準にとどまっています。一方で、2017年11月に、厚生労働省専門部会は、HPVワクチン接種後に報告された多様な症状とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されていないと発表しています。近年、国が地方自治体に定期接種対象者への周知を徹底するよう求めるなど、接種率向上に向けた動きがみられています。※2023年8月、厚生労働省の情報などをもとに、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 シルガード9水性懸濁筋注シリンジ2)子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために(日本産科婦人科学会)3)海外のHPVワクチンの現状(MSD)

1400.

着々と広がるコロナワクチン接種、一方で接種忌避やアクセス困難者も【臨床留学通信 from NY】第19回

第19回:着々と広がるコロナワクチン接種、一方で接種忌避やアクセス困難者もこちら米国では、COVIDワクチンが徐々に行き渡りつつあります。私の外来に来る人たちも、50歳以上もしくは糖尿病などの合併症があればワクチンを勧めることができ、1月中旬から高齢者を中心に、すでにワクチンを接種し終えている人も相当数います。米国では、3月25日時点のワクチン接種がトータルで1億6,900万回を超えている状況ですが、同時点のニューヨーク州における感染者数は1日7,000人ほどで、依然として減る兆しがありません。変異株の影響も心配されます。3月30日から30歳以上が、4月6日からは16歳以上が接種対象となり、一段とワクチン接種が加速する見通しですが、皆がワクチン接種を望んでいるわけではないのはどこの国も同じで、合併症があって、医学的に勧められても接種に前向きでない人も一定数います。また、単回接種で済むジョンソン&ジョンソン社製がより行き渡るのを待ちたい、という人もいます(Mount Sinaiで接種できるのは、現時点ではファイザー社製のみ)。ワクチンへのアクセス困難者を訪問診療でカバーさて、米国レジデントは通常のプライマリケア外来のみならず、Geriatric、すなわち老年学の勉強のため、Geriatric serviceの外来ローテーションを経験する必要があります。超高齢化社会はどこの先進国も同様であり、90歳を超えてもピンピンしている人もいれば、70歳代で合併症を抱えて、歩くのもままならない人もいます。そういった超高齢化社会に対応するのがGeriatricです。現在はコロナの影響でTelephone visit, Video visitもしていますし、Visiting doctorsとして訪問診療をすることもあります。日本では通常大きな病院が訪問診療をすることはないと思いますが、こちらでは大学病院の事業の一貫として、必要な患者さんを訪問していくわけですが、マンハッタン全域をカバーしているため移動がなかなか大変です。また家で採血、さらにはワクチンが受けられるようにセッティングするのですが、そういった方々には確かにジョンソン&ジョンソンの1回で済むワクチンが良いのかもしれません。またそういった方々の介護をしているHome aidの人に対しても、ワクチンが接種できるように手配の手助けもしています。Home aidの人がコロナに罹患して、抵抗力の弱い年配者に感染が広がると大変なので、先手の予防策は理に適っています。日本ではまだ医療従事者の段階ではありますが、システム作りの得意な米国には見習うところがあると思います(コロナの流行拡大で世界最大の感染者数を出している点はさておき)。Column画像を拡大する3月中旬のレジデントのマッチの結果が出て、7月からの次年度の当院のメンバーも決まったようです。早いもので、私のレジデント生活もあと少しで終わろうとしています。コロナのPandemicの中心にいた昨年4月を含め、激動の3年間でした。現在の職場で、コロナ関連の研究などやれることをできるだけやって、次のステップに進みたいと思います。ニューヨークは、3月上旬は-4℃くらいまで冷え込む日もありましたが、下旬には20℃を超えてきています。写真は、見頃を迎えた花の並木道を撮ったもの。春の訪れを感じます。

検索結果 合計:2114件 表示位置:1381 - 1400