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第54回 予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用

<先週の動き>1.予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用2.高齢者ワクチンの7月終了見込みは全国で85.6%、首都圏に遅れ3.検査キットを病院・介護施設に800万回分無償配布/厚労省4.介護保険料が20年で倍加、全国平均が月額6,000円台に5.ドラッグラグ再燃に懸念、薬価引き下げ制度の見直しを/中医協6.オリンピックの開催中止を求める声明/全国医師ユニオン1.予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用河野 太郎規制改革担当相は、13日の参議院内閣委員会において、厚労省で現在審査中の米・モデルナ並びに英・アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、5月下旬には承認される見通しを明らかにした。さらに、東京都と大阪府に開設された大規模接種会場では、モデルナのワクチンを使用すると説明。モデルナワクチンも2回接種が必要で、接種間隔は4週間。予防効果はファイザー製95%に対して、ほぼ同等の94%とされる。なお、イギリスのオックスフォード大学の研究者らによって、ファイザー製ワクチンとアストラゼネカ製のワクチンを併用すると有害な副反応が増えることが発表されており、今後、接種に際しては注意が必要だ。(参考)モデルナ製ワクチンの有効性、ファイザーと遜色なく 大規模接種で使用(日本経済新聞)ワクチン併用で副反応増加、重症化はせず 英国治験の暫定結果(産経新聞)2.高齢者ワクチンの7月終了見込みは全国で85.6%、首都圏に遅れ総務省と厚労省は、12日に各市区町村における高齢者ワクチン接種の終了見込みを発表した。政府が目標とする7月末までに終了する見込みだと回答した自治体は85.6%で、全国の高齢者人口に占める割合は84.5%。この中で、岩手・新潟・富山・石川・福井・岐阜・京都・兵庫・奈良・和歌山・鳥取・島根・山口・徳島・愛媛・長崎・大分の17府県では、7月末までにすべての市町村で接種が終了する見込み。一方、東京都67.7%、埼玉県73%、千葉県66.7%、神奈川県84.8%と首都圏で遅れが目立ち、最も低かったのは秋田県で56%に留まった。これに対して、菅総理は「1日も早く接種できるように取り組みたい」として、7月末までの接種完了に向けた自治体への支援を強化することを明らかにした。ワクチン接種をめぐっては、当初は供給量が問題とされたが、現時点では人員不足が課題となっており、厚労省は医療人材向けの求人情報サイト「医療のお仕事 Key-Net」で人材募集を支援するなど取り組みを強化している。(参考)高齢者コロナワクチン接種、7月末終了見込みは85.6% 総務省・厚労省が取りまとめ公表(CBnewsマネジメント)資料 高齢者に対する新型コロナワクチン接種について(厚労省)医師・看護師・医療人材の求人情報サイト「医療のお仕事 Key-Net」(同)3.検査キットを病院・介護施設に800万回分無償配布/厚労省政府は、14日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、感染が急速に拡大している地域で、医療提供体制のひっ迫も見られることなどから、N501Y変異株スクリーニング検査の実施や、変異株などの全国的な監視体制を継続することを明らかにした。また、厚労省は同日に「新型コロナウイルス感染症の検査体制整備に関する計画」を発表した。PCR・抗原検査を1日最大77.2万件程度まで充実させるため、コロナウイルス抗原キットを病院や介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどに800万回分を配布し、検査体制の拡充を図る。(参考)PCR・抗原検査、緊急時は1日77万件の分析可能に(読売新聞)厚労省、抗原検査キット配布を「可能な限り早く進める」 介護施設など対象(JOINT)資料 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 5月14日変更(新型コロナウイルス感染症対策本部)4.介護保険料が20年で倍加、全国平均が月額6,000円台に厚労省は14日、介護保険料が今年度より改定され、全国平均が月額6,000円を超えたことを公表した。高齢化とともに介護保険料は年々上昇しており、介護保険制度が発足した2000年度の平均支払額2,911円と比べると2倍以上になっている。現在、65歳以上で介護や支援が必要と認定された人は667万人で、65歳以上の保険者に対する割合は18.7%だが、今後2025年には20.5%、2040年には22.8%と介護費用の増大が推測される。政府は、全世代型社会保障改革について討議を進めており、介護については、保険者の努力支援制度の強化と介護インセンティブ交付金の強化を行うなど、持続可能性の高い介護提供体制の構築を目指している。(参考)介護保険料2.5%上昇 65歳以上で初の6000円超え(日経新聞)資料 第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について(厚労省)5.ドラッグラグ再燃に懸念、薬価引き下げ制度の見直しを/中医協厚労省は、12日に中央社会保険医療協議会薬価専門部会と総会を開催し、2022年度の薬価制度改革に向け製薬団体から意見を聴取した。日本製薬団体連合会からは、新薬の特許期間に市場実勢価格に応じた薬価引き下げが行われており、研究開発投資の削減と競争力低下、日本市場の魅力低下によりドラッグラグが再燃する懸念を挙げ、特許期間中の新薬について薬価を維持する新薬創出等加算の見直しや、薬価引き下げに用いられる市場拡大再算定ルールの見直しを求めた。総会では、年間販売額が350億円を超え、承認時に予測していた基準年間販売額2倍超の要件を満たしたテセントリク、ビンダケルなど医薬品10品目に対し市場拡大再算定を行い、8月1日からの薬価引き下げを了承した。(参考)特許期間中の薬価維持を‐製薬協など新薬加算見直し要望(薬事日報)中医協総会 テセントリク、ビンダケルなど5成分 市場拡大再算定適用で薬価引下げへ(ミクスonline)6.オリンピックの開催中止を求める声明/全国医師ユニオン13日、勤務医らで作る労働組合が東京オリンピック・パラリンピックの中止を訴え、国に要請書を提出した。新型コロナウイルス感染拡大が十分にコントロールされていない中開催することで、新たな変異株の脅威に晒されるなどの懸念を表明した。全国医師ユニオン代表の植山 直人医師は会見で「選手にはつらい話だが、大会中止は誰かが言い出さなければならない。医療従事者は声を上げることが求められていると思うので、あえて要請を行った」と語った。(参考)「東京五輪・パラ中止を」勤務医の組合が国に要請書(NHK)医師ユニオンが五輪中止を要請「新たな変異株生む恐れ」(朝日新聞)要請書 危険な変異株ウイルスを拡散し新たな変異株を生みだす危険性が高い東京オリンピックの開催中止を強く求める(全国医師ユニオン)

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新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか?:Ad26.COV2.S(Janssen)の場合(解説:後藤信哉氏)-1390

 新型コロナウイルス禍の克服の鍵の1つがワクチンである。人類は科学技術の英知を結集して驚くべき速さにて新型コロナウイルスに対するワクチンを複数開発した。予後の悪い疾病に対する治療と異なり、健常人に接種するワクチンには高い安全性が要求される。有効かつ安全なワクチンの開発には一般に長い年月がかかる。複雑精妙な人体の調節系は完全に理解されていない。薬剤であれ、ワクチンであれ、投与後の反応を個別予測する演繹的方法は確立されていない。拡大する新型コロナウイルス感染、感染すれば致死率は2%に至るとされる。人類全体として見ればワクチンによる免疫の獲得は感染の拡大速度を減少させ、医療崩壊を防ぐ効果を期待できる。現在も感染の第4波が拡大し、地域によっては医療崩壊にひんしている日本では感染拡大速度を減少させるワクチンを急速に拡大させたい。集団としての視点から日本国内のワクチン接種に反対するヒトは少ないと思う。しかし、予防介入、治療介入には副作用がある。安全性の高いワクチンであっても、ワクチン接種直後に心筋梗塞、脳梗塞などを偶然発症する場合もある。副作用なのか、偶発症なのか、個別のイベントにおける判断は難しい。 今回JAMA誌に掲載されたのはAd26.COV2.Sワクチン接種後、6~15日にて60歳以下の症例に発症した12例の脳静脈洞血栓症の報告である。脳静脈洞血栓とは聞き慣れない名前である。もともと中年女性に多いとされるが、ワクチン接種の6~15日に起こればワクチン接種と関係がありそうである。ワクチン接種と無関係の偶発症と、ワクチンによる副作用の弁別は困難である。本論文に報告された症例は12例と多くはないが、ワクチン接種との関係性が示唆される。まず、一般社会における静脈洞血栓が少ない。さらに、この12例のうち11例に免疫的血栓症であるヘパリン惹起血小板減少・血栓症の抗体が陽性と報告されている。ヘパリン惹起血小板減少・血栓症も治療困難な疾患である。実際、60歳以下の症例であっても3例が死亡、3例にICU入院が必要となった。 本論文では個別の症例の情報を多く記載している。ワクチンがよいとか悪いとかの結論でもない。ワクチン接種と関連しそうな特殊な血栓症があるので、本質を追求しようと結論している。 繰り返すが人体は複雑精妙な調節系である。筆者はワクチン接種により新型コロナウイルス感染拡大速度の低減に期待している。しかし、人体への介入に対する結果の予測は困難である。個別にはワクチン接種により不可逆的疾病が惹起される個人がいるかもしれない。ワクチン接種による人類全体の長期的反応も未知である。一見不都合に見える結果も公表し、少数ではなく、多数の意見にてベストを見いだそうとする米国の姿勢は筆者には好ましく思える。皆さんはどう思うだろうか?

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ファイザー社ワクチン、無症候性感染も予防か/Lancet

 2020年12月から英国において、ファイザー(BNT162b2mRNA)およびアストラゼネカ(ChAdOx1nCOV-19)の新型コロナウイルスワクチン接種が急速に進められている。今回、SIREN Study Groupに所属するオックスフォード大学のVictoria Jane Hall氏らは、両ワクチンの適用範囲に関する因子を特定することを目的に、無症状で定期的な検査を受けている医療従事者を対象者としてBNT162b2mRNAのワクチン効果を記録した。その結果、BNT162b2mRNAワクチンが症状の有無にかかわらず生産年齢人口の感染を予防できることを明らかにした。また、今回の対象者は変異株B1.1.7流行時にワクチン接種されており、この変異株に対しても有効性を示していた。Lancet誌2021年4月23日号掲載の報告。 SIREN Studyは、英国の公立病院で働くスタッフ(18歳以上)を対象とした前向きコホート研究。参加者は陽性群(抗体陽性または感染歴あり[過去の抗体検査またはPCR検査で陽性])と陰性群(過去の抗体検査またはPCR検査で陰性)のいずれかに割り当てられた。ベースライン時点の危険因子は登録時に収集、臨床経過は2週間ごとに収集された。ワクチン接種の有無は全国予防接種管理システムとアンケートを紐付けて収集した。参加者は隔週で PCR検査と毎月の抗体検査を受け、SIREN以外のすべての検査(症状を有する人の検査を含む)も受けた。フォローアップ期間は2020年12月7日~2021年2月5日だった。 主要評価項目は、ワクチン接種を受けた参加者のワクチン接種範囲の分析結果とPCR検査によるワクチンの有効性の確認だった。 主な結果は以下のとおり。・2万3,324例がこの分析の選択基準を満たし、英国の104サイトに登録された。・参加者の年齢中央値は46.1歳(IQR:36.0~54.1)で、1万9,692例(84%)が女性だった。・分析開始時に8,203例(35%)が陽性群に、1万5,121例(65%)が陰性群に割り当てられた。・総追跡期間は丸2ヵ月で110万6,905人日(ワクチン接種:39万6,318、ワクチン未接種:71万587)だった。・2021年2月5日時点のワクチン接種率は89%、そのうちの94%がBNT162b2ワクチンを接種していた。・ワクチン接種率の低さは、既感染、性別、年齢、民族性、職業、 Index of Multiple Deprivation(IMD:イギリスの各地域の相対的豊かさをデータに基づき数値化した指数)のスコアに関連していた。・フォローアップ中、ワクチン未接種の参加者で977例の新規感染があった(感染発生密度:14例/1万人日あたり)。・ワクチン接種済みの参加者は、最初の投与から21日以上経過の後に新規感染が71例(発生率:8例/1万人日あたり)発生、2回目の投与から7日後に9例が感染(感染発生密度:4例/1万人日あたり)した。・ワクチン未接種の参加者では、543例(56%)が典型的な新型コロナ症状を示し、140例(14%)は無症状もしくはPCR検査14日前の時点で無症状だった。一方で、ワクチン接種済みの参加者では29例(36%)は典型的なCOVID-19症状を示し、15例(19%)が無症状だった。・本研究対象集団において、BNT162b2ワクチンの初回投与から21日後では70%(95%信頼区間[CI]:55~85)、2回の投与では7日後に85%(95%CI:74~96)のワクチン有効性を示した。

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第57回 ワクチンの優先接種を強要する人、廃棄対策員に廻ればいいのに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、新型コロナ)のワクチン接種が徐々に本格化している。医療従事者を除く一般国民で最も優先順位が高い接種対象者である高齢者(約3,600万人)への接種がゴールデンウイーク明けから始まった。一個人としても実家で暮らす80代の両親が5月10日に1回目の接種を終え、ほっとしているところだ。そんな最中、嫌なニュースが飛び込んできた。「何とかならないのか」愛知県西尾市の副市長、スギ薬局創業者夫妻の新型コロナワクチン予約枠の優先確保を指示(東京新聞)ドラッグストア業界で売上高国内トップ10に入るスギ薬局創業者で、そのホールディングスカンパニーであるスギHDの会長夫妻の秘書が、夫妻が優先的にワクチン接種できるよう地元の愛知県西尾市に再三要請。最終的に副市長と健康福祉部長が通常の予約申し込み電話とはまったく別に、健康福祉部健康課に電話をすることで予約が成立する便宜を図っていたことが発覚したというものだ。前述の第一報でスギHD広報室は「市に問い合わせは何度かしたが、便宜を図ってもらうよう依頼したことは一切ない」とコメントしていたが、その後の西尾市による記者会見の内容、またスギHDが公表したお詫びコメントを合わせて考えれば、第一報でのスギHD広報室のコメントは虚偽となる。記者目線で見ると、お詫びコメントも非常に往生際の悪いものとなっている。明らかに便宜供与を要求しているにも関わらず、最後まで「問い合わせ」という言葉で誤魔化しているからだ。ちなみにやや口酸っぱく言うと、医療関係の上場企業の中でもこうした往生際の悪さは製薬企業以外ではよく見かける。要は上場企業としての情報開示や危機管理の経験が浅いため、外向き発信(対外的謝罪)であるはずなのに内向き発信(会社防衛・社内への忖度)の姿勢が露骨に滲んでしまうのである。さて今回の一件、正直本当に厄介なことをしてくれたものだと思っている。今後のワクチン接種を推進していく際のイレギュラー時の対応に少なからぬ影響を及ぼしてしまうと個人的には危惧している。そもそも今回のワクチン接種がこれほど注目を集め、さらに現場からさまざまな混乱が伝えられるのには訳がある。医療従事者の皆さんには釈迦に説法だが、第一に必要性が非常に高いにもかかわらず現時点では供給量が限定的なことが挙げられる。が、それ以上にこのワクチンの保管管理が非常に面倒なことが混乱に拍車をかけている。当初の保管管理温度は-70℃前後とされた。もはやホッキョクグマですら生存可能かどうかわからないのではないかと思える温度であり、現在では-20℃前後に緩和されたとはいえ、それでも通常の医療機関で保管管理が容易なものではない。また、1バイアル当たりの接種可能回数は半端な6回(注射器によっては5回)。解凍後の冷蔵保存期間は5日間で再冷凍は不可。接種の準備のため生理食塩水で希釈後は室温では6時間しかもたない。つまるところ、この特性ゆえに何らかの予定変更や接種予定者の体調不良で直前のキャンセルなどが発生すれば、せっかく用意したワクチンが無駄になる可能性が少なからずあるのだ。しかも、現在の優先接種対象である高齢者の場合、若年者と比べれば突発的な体調不良が発生する蓋然性は高い。とにもかくにも、ワクチンの無駄を発生させることなく接種するのは相当大変なことである。すでに予定していた接種のキャンセルなどで余ったワクチンを廃棄した事例も報じられている。そして、こうした場合の対応についてワクチン接種担当を務める河野 太郎・内閣府特命担当大臣は4月13日の記者会見で次のように発言している。「それから、昨日、高齢者の接種の中で、余ったワクチンが若干ではありますが廃棄されることがあったようでございます。余ったワクチンが廃棄されないようにということはお願いしてまいりまして、できれば接種券を持っている高齢者がいれば打っていただき、接種券がなくても年齢的に対象になる方がいれば打っていただき、高齢者がいらっしゃらなければそれ以外の方という、できればそういう順番で対応していただきたいと思っております。他市・他県の方でも一向に構いません。まったく制約はございませんので、ワクチンが破棄されないように現場対応でしっかりと打っていただきたいとお願いをしたいと思います。また、接種券がなくて打った場合には、しっかりと記録をしておいていただきたいと思います。」これに関しては記者会見での質疑応答でも次のようなやり取りがある。質問ワクチンの廃棄に関してなんですが。接種券を持っている人がいればその辺りということなんですが、それはどういうことを想定しているのか。要は近くにいる人に役所が電話して呼び寄せろということなのか、たまたまその辺を接種券を持って歩いている奇特な人を探してくださいということなのか、もう少しわかりやすくイメージできることを教えてください。回答もう現場対応で結構です。質問ワクチンの廃棄に関して、他市・他県の方にも誰にでも現場判断で打って構わないということだったんですが、これは高齢者で接種券を持っている方であれば他市・他県の方でもという意味なのか。それとも、極端に言えば、医療従事者でもないし高齢者でもないという若い方がいて、それでも本当に余っていたらワクチンの廃棄を回避するという観点から希望者は誰にでも打って、現場判断で構わないということですか。回答それで結構です。優先順位から言えば、医療従事者ですとか高齢者、高齢者の中でも接種券を持っている方がいればその方を優先していただきたいと思っておりますが、若い方でもそこで予診をやっていただいて、打って問題ないということであれば打っていただいて、どなたに打ったかしっかり記録すると。ですから、身分証をしっかり確認していただくということは必要になるのかもしれませんけれども、廃棄せずにきちんと対応していただきたいと思います。地方自治体の関係者からすれば「丸投げ」と言えるかもしれないが、いずれにせよ読めば分かる通り、非常時は「無駄にするくらいならば、身分確認の上で誰に接種しても良い」ということなのだ。ただ、規則に従って業務を遂行することが何事でも基本のお役所の担当者はこうした時の柔軟な対応が苦手だ。それに加え今回のスギHD会長夫妻の接種順位割り込み事例のようなケースが明るみに出ると、局面が異なることにもかかわらず、不測の事態でワクチンが余っても公平性の担保について過剰に気を使うプレッシャーがこれまで以上に働く可能性が否定できない。結果、(1)ワクチンが急遽余った→(2)接種券を持つ接種待機高齢者を探せ→(3)基礎疾患を有する人を探せ、という経過をたどり、せっかく河野大臣が「余ったら誰に打っても良い」と公言してくれているのに、タイムオーバーあるいは過剰な懸念でワクチンが廃棄となる可能性がある。ここで原点に戻って考えたい。そもそも今回のワクチン接種は、多くの人に免疫を獲得してもらうことで少しでも早く社会機能を回復するために血税が投入され、全員が無料で接種できる。ただ、現時点では供給量に限りがあることや、マンパワーに基づく接種回数の限界もあるため、便宜上優先接種順位が設定されているに過ぎないと言っても過言ではない。総合的に考えれば、優先順位の順守よりも廃棄を防ぐことのほうがプライオリティーが高いのは明らかである。現在のヒトと新型コロナウイルスの戦いは、まさに囲碁の戦いのようなもの。囲碁では自分が持つ白・黒いずれかの碁石で、相手の碁並べ(連絡網)を分断しながら、自分側の碁並べをつないで相手が入れない自分の陣地を数多く作ることが勝利へとつながる。これをより具体的に例えるならば、ワクチン接種者という白い碁石でつながった陣地が増えれば、ウイルスの伝播と言う黒い碁石の繋がりは切断され、白い碁石の勝利が近づく。白い碁石がつながった陣地が増えることは、集団免疫の獲得に例えられるだろう。とにかく誰であれ接種者を増やすことは、接種者本人だけでなく、非接種者も守られることを意味し、それだけ集団免疫に向かって一歩前進することになる。だからこそ、廃棄が発生する非常時なら、接種を行う自治体担当者や医療従事者の家族やそれらの人とたまたま連絡が付きやすい知人を呼び寄せるなど誰でもいいから接種すべきだ。そのほうが明らかに公益に適っている。とにかく接種を担当する医療従事者や自治体関係者にはそのことを肝に銘じてほしいと思う。もっとも、こうした非常時の対応はどんなに理論武装してもあれこれ言う人はいる。だからこそ、非常時ではない正規の機会が均等に保証されるべき接種予約段階で、冒頭のような残念なケースが発生したことの影響は少なくないと感じてしまうのだ。いずれにせよ非常時にたまたま接種できる人に接種することを医療従事者も自治体関係者も臆する必要はないし、たまたま繰り上がりで接種を受けた人もコソコソする必要はない。その意味でも社会全体として幸運にして接種順位が繰り上がった人が堂々と「たまたま打てたよ」と言え、周囲も「良かったね」と言ってあげられる社会であってほしいと思う。

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AZ製ワクチン、血栓症の絶対リスクは?/BMJ

 Oxford-AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1-S」の接種を受けた人では、脳静脈血栓症を含む静脈血栓塞栓症の発生がわずかに増加することが確認された。他の安全性については、血小板減少症/凝固異常と出血イベントの発生がわずかに高かったが、ワクチン接種を受けた人のサーベイランスが強化された影響のためか、大部分は安心してよい結果であったという。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らが、同国とノルウェーで実施したコホート研究の結果を報告した。自発的な有害事象の報告や臨床のケースシリーズにおいて、ChAdOx1-S接種後数日から数週間以内に血小板減少症、出血、動脈/静脈血栓症が発生したことが確認されているが、これらの発生について一般集団での自然発生に基づく予想より過剰かどうかは不明であった。BMJ誌2021年5月5日号掲載の報告。デンマークとノルウェーで初回ワクチン接種者約28万人について、一般集団と比較 研究グループは、2021年2月9日~3月11日にChAdOx1-Sの初回接種を受けた18~65歳の全員(ワクチン接種コホート)と、デンマーク(2016~18年)およびノルウェー(2018~19年)の一般集団を比較コホートとして検討した。 デンマークおよびノルウェーにおける全国患者登録(すべての病院をカバー)からデータを抽出。主要評価項目は、ワクチン接種後28日までに観察された動脈イベント、静脈血栓塞栓症、血小板減少症/凝固異常および出血イベントの発生で、両国の一般集団における年齢別および性別特異的自然発生率に基づく期待数と比較した。 ワクチン接種コホートには、デンマークからの14万8,792例(年齢中央値:45歳、女性80%)と、ノルウェーからの13万2,472例(44歳、78%)の計28万1,264例が含まれた。静脈血栓塞栓症の過剰発生は、ワクチン接種10万人当たり11人 ワクチン接種コホート28万1,264例において、動脈イベントの標準化罹患率比は0.97(95%信頼区間[CI]:0.77~1.20)であった。 静脈血栓塞栓症は、ワクチン接種コホートで59件観察されたのに対し、一般集団の発生率に基づく期待数は30件であり、標準化罹患率比は1.97(95%CI:1.50~2.54)、ワクチン接種10万回当たりの過剰イベント数は11件(95%CI:5.6~17.0)であった。 脳静脈血栓症の発生も期待数より高く、標準化罹患率比は20.25(95%CI:8.14~41.73)で、ワクチン接種10万回当たりの過剰イベント数は2.5件であった。血小板減少症/凝固異常の標準化罹患率比は1.52(0.97~2.25)、出血イベントは1.23(0.97~1.55)であった。死亡は、ワクチン接種コホートで15例確認されたが、予測数は44例であった。 結果を踏まえて著者は、「ChAdOx1-S初回接種後28日間において、静脈血栓塞栓症発生増大のエビデンスは示されたが、絶対リスクは小さかった。示された絶対リスクについては、ワクチンの有効性が実証されていることや、特定の国の一般化には限定的な研究結果であることを考慮して解釈すべきであろう」とまとめている。

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ファイザー製ワクチン、2回接種で種々の変異株に有効か?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)らの研究チームは、ファイザー製新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか流行中のさまざまな変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにした。この研究成果について、同研究者らは5月12日の記者会見で報告した。なお、本研究成果はプレプリント段階であり、今後、学術雑誌に投稿される見込み。 本研究は、日本人のワクチン接種者111例(未感染:105例、既感染6例)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性を中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査。独自の迅速抗体測定システム『hiVNT 新型コロナ変異株パネル』1)を活用して、従来株(D614G)および変異株7種(英国株:B.1.1.7、南アフリカ株:B.1.351、ブラジル株:P.1、インド株:B.1.617、カルフォルニア株:B.1.429、ニューヨーク株:B.1.526、由来不明株:R.1)の計8株に対する中和抗体を測定した。この株の選定理由はCDC(米国疾病予防管理センター)が注意すべき変異株として公表していることに基づく。 今回利用した『hiVNT』システムは、複数の変異株をとりそろえて(パネル化)、それらに対する中和抗体を一括して評価するもの。元来の方法では中和抗体測定に長時間(通常72時間~1週間)を要するが、このシステムが開発されたことで、3時間で測定可能になった。 主な結果は以下のとおり。・評価対象の未感染105例の平均年齢は42歳だった(範囲:24~67歳)。・未感染者でワクチンを2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保 有していた。また、流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90〜94%の人が中和抗体を有していた(従来株[1回目接種後の陽性割合:57%、2回目接種後の陽性割合:99%]、英国株[同:18%、同:94%]、南アフリカ株[同:21%、同:90%]、ブラジル株[同:16%、同:94%]、カルフォルニア株[同:39%、同:97%]、ニューヨーク株[同:55%、同:98%]、由来不明株[同:34%、同:97%])。 ・現在懸念されているインド由来の株に対しても、中和抗体の陽性率が低下するような傾向は見られなかった(同:37%、同:97%)。・未感染者において、計8株すべてが中和抗体陽性であった人は、全体の89%(93/105)だった。・中和抗体の上がり方については個人差が見られた。とくに1回接種のみでは、変異株に 対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。・既感染者は1回目の接種後すぐに十分な量の中和抗体が産生される可能性があるが、追加データによる検証が必要である。 今後も変異株のさらなる出現が予想される。そのため、新たな変異株が登場した際に、それらに対する中和抗体の保有状況を集団レベルですみやかに調べ、既存ワクチンの有効性を評価できる手法が求められる。研究者らは「本研究で使用した中和抗体の迅速測定システム『hiVNT』を社会実装に繋げられるよう、さらなるデータの蓄積を進める予定」とコメントした。

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大阪コロナ風景【Dr. 中島の 新・徒然草】(374)

三百七十四の段 大阪コロナ風景大阪ではコロナの新規感染者数が増えたり減ったり。でも、体感的にはどんどん状況が悪化しています。医療者の悲壮感と外来患者さんの悠長さとのギャップが悲しい!大阪の今の状態をランダムに報告いたします。(いろいろ差し障りのないよう、多少の設定変更あり)その1:老健施設長のA先生A先生「昨日の発熱外来なんか、10人中7人がPCR陽性でした」中島「えっ。先生のところは老健じゃなかったですか?」A先生「併設しているクリニックで発熱外来もやっているんですよ」中島「そりゃ大変ですね」A先生「以前はほとんど陽性が出なかったんでPPEも適当でしたけどね」中島「ウチも以前は滅多に陽性がありませんでした」A先生「今はもう完全武装で診察しています。危ないですから」10人中7人とは、あんまりですね。とはいえ、道を歩いている人の7割が陽性だというわけではなく、発熱や何らかの症状があって受診した人の7割が陽性だったという話です。その2:クリニックのB先生との世間話B先生「ウチの患者さん、もう中等症でも入院待ちの人が多いです」中島「先生は在宅もやっているんですか」B先生「ええ。重症化させないことが大事なんでね」中島「在宅の段階で介入するわけですね」B先生「酸素の手配をしつつ、コルヒチンとステロイド投与をしています」中島「コルヒチンって効くんですか?」B先生「エビデンスが固まるまで待つわけにいかないでしょう」中島「確かにそうですね」B先生「フサンを使っている先生もいるそうですよ」中島「フサン……って、家で点滴を?」B先生「経口の類似薬があるそうなんです」中島「皆さんいろいろ考えるもんですねえ」入院待機の間にもそれぞれに工夫しているのは立派です。その3:道でバッタリ出くわした某病院の看護師さん看護師「あら、中島先生!」中島「ありゃりゃ、何年ぶりかなあ」看護師「私、4月から兵庫県の〇〇病院勤務なんです」中島「コロナ対応はしているわけ?」看護師「中等症対応だったんですけど」中島「皆まで言うな! 重症化しても転送先がないので、なし崩し的に重症コロナ病棟ができてしまったんでしょ」看護師「そうなんですよ」中島「逆のパターンもあるそうよ。重症を治療して中等症に持っていっても転送先がないので、自分ところで中等症病棟を作ったという話」看護師「やっぱり!」中島「コロナ対応のお医者さんも、もう専門は関係なしよね」看護師「でも経営的にはコロナ対応のほうがいいと聞きましたけど」中島「兵庫県も?実は大阪府でもコロナ対応すると一気に黒字化するみたい」看護師「そうだったんですか」中島「あんまり長話するわけにもいかないのでこの辺で。じゃあ気をつけてね」看護師「先生も」地域によるのかもしれませんが、コロナ診療には少なからぬ加算が付きます。その4:同僚のC先生とのヒソヒソ話C先生「〇〇病院でクラスターが出たそうですよ」中島「あそこはコロナ対応していなかったんじゃ?」C先生「最近コロナ病棟を作ったんですけどね、今回の院内クラスターで一気に埋まってしまったようです」中島「あらま」C先生「スタッフにも陽性者が複数出たんですけど、全員ワクチン未接種だったそうです」中島「接種が間に合わなかったのかなあ」C先生「悲しいですね」はからずもワクチンの効果が証明されてしまいました。その5:開業医のD先生との久しぶりの会話D先生「この前、先生に相談させていただいたE先生のことですけど」中島「『僕、死ぬんですかね』って言っておられた先生ですよね。入院先が見つかったってところまでは聞きましたけど」D先生「そのあと重症化して挿管されたんですよ」中島「えええ!ダメじゃん、それ」(泣)D先生「でも、ついに抜管されたそうなんです。昨日メールが来ました」中島「よかったあ。もう他人事とは思えません、僕には!」D先生「明日は我が身です。お互い、気をつけましょう」中島「そうですね」話の流れからバッド・エンドかと心配しましたが、回復できて良かったですね。読者の皆様に私の経験談が少しでもお役に立てば幸いです。それはそうと、前々回に「動物園からヒョウが逃げ出した」というフェイクニュースを流したら人流が減るんじゃないかという提案をしたら、中国では本当に子供のヒョウが3頭、サファリパークから逃げ出したそうです。2頭は捕獲されましたが、1頭がまだ逃げたままなのだとか。パニックが起こることを心配してサファリパークはこのことを公表していませんでした。ひどい話ですね。子供とはいえ映像では結構大きなヒョウでした。一方、日本では横浜市のアパートから全長3.5メートルのアミメニシキヘビが逃走したというニュースが話題になっています。「怖くて外を歩けないじゃないか!」と、飼い主が近所の人に怒られていました。逃げたのは飼育している中で2番目に大きなヘビだそうです。ということは、もっとデカいのが家にいるということですかね。最後に1句ヒョウ逃げて フェイクが ホンマになってもた

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第57回 コロナ患者受け入れ巡り医療機関の怒りは頂点、どこでやり方を間違った?

今年2月の感染症法改正で、厚生労働大臣や知事が医療機関などに求める新型コロナウイルス感染症患者受け入れについて、「要請」から「勧告」に権限が強化された。正当な理由なく勧告に応じなかった場合には、医療機関名などを公表することもできる。感染者の増加で病床が逼迫する大阪府では4月、この改正法に基づき、府下の急性期医療機関に対し受け入れ病床の増床を求める通知を発出した。これを受けて大阪府保険医協会は4月23日、医療現場の実情を踏まえた運用を府に求めるため、府内全病院に対しコロナ病床の実態などを尋ねるアンケートを実施し、97病院から回答を得た(4月30日現在)。このうち42病院が病床確保要請を受けている病院だった。「できない」理由は人員不足と構造上の問題この42病院のうち、府のさらなる受け入れ要請に対し「できる」「一部できる」と回答したのは、24病院(約6割)で、「できない」は16病院(約4割)だった。受け入れ不可の理由としては、「医師・看護師などの人員不足」(16病院)、「個室や動線確保など病棟の構造上の問題」(14病院)が挙げられたほか、受け入れ病床数や通常医療の維持で「限界」との回答もあり、現場の人員不足はきわめて深刻だ。「勧告」「病院名公表」の前に病院の事情を聞くべき大阪府の通知にある「正当な理由」がない場合は「勧告」の対象になるということについての受け止めは、病床確保要請があった42病院のうちおよそ半数の20病院が「事前に病院の事情を聴くべき」と回答。「理由を明確にすべき」「納得いかない」を加えると24病院が府の要請について丁寧な対応を求めており、「“正当な理由”は誰が判断するのか」「病院にばかり負担を強いて現場は不満だらけ」といった意見が寄せられた。「勧告」に応じない場合の「病院名公表」などについては、前述の回答と同様、丁寧な対応を求める回答が半数以上を占めており、「人員の不足、病院の構造上の問題など、協力したいができない理由はさまざまで、それを一緒くたにすべきではない」「コロナ以外で、できるだけ対応するしか、貢献するしかない状況。各病院、それぞれの状況があり、それを否定することは許されない」といった意見が寄せられている。コロナ患者の転院調整が機能していない大阪府の入院調整のために、自院で発生したコロナ患者の受け入れが許可されない病院は8病院あり、条件付きは20病院。「転院調整が機能していない」との回答が多く、受け入れ病床の使用が制限された上に転院調整は受けてもらえないという進退窮まった現状にあることが伺える。また、「不急」の手術などに対して延期要請が出ているが、回答した97病院のうち18病院(うち病床確保要請を受けているのは15病院)は延期実施が「ある」と回答。主な事例としては「整形外科関係が多い」「良性の疾患、がん以外の症例は基本的に延期」「眼科や外科の急を要しない手術」などが挙げられた。コロナ患者の受け入れに加え、医師と看護師はワクチン接種にも対応しなければならず、医療現場の混乱は容易に予測できる。ワクチン接種を巡っては問い合わせが殺到し、すでに日常診療に影響が出ている病院もある。本稿で紹介したのは大阪府の事例だが、当然ながら同じ状況はいまや全国に起きており、喫緊の課題である。各自治体は、医療現場の現状をつぶさに把握した上で、速やかに明確なロードマップを示すことが求められている。これ以上の混乱に対処する時間や余力など、もはや医療者には残っていない。

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J&J新型コロナワクチンによる脳静脈洞血栓症例、初期症状に頭痛/JAMA

 米国で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S COVID-19」(Janssen/Johnson & Johnson製)を接種後、血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)という深刻なイベントを呈した当初の12例について、その臨床経過や検査結果、臨床アウトカムが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のIsaac See氏らが、ワクチン有害事象報告制度(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)の報告書などを基にケースシリーズを行い明らかにしたもので、12例は年齢18~60歳未満で、全員が白人女性、接種から発症までの期間は6~15日で、11例の初期症状が頭痛だった。調査時点で、3例が死亡している。Ad26.COV2.Sワクチンは、2021年2月、米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得て、4月12日までに約700万回が接種された。そのうち6例で、血小板減少症を伴うCVSTが確認されたことを受け、4月13日に接種が一時的に中止されている。JAMA誌オンライン版2021年4月30日号掲載の報告。VAERS報告書や診療録、医師への聞き取りを基に調査 血小板減少症を伴うCVSTの発生は、欧州において、チンパンジーのアデノウイルスベクターを用いたChAdOx1 nCoV-19ワクチン(Oxford/AstraZeneca製)接種後の、まれで重篤な症状として報告されており、そのメカニズムは自己免疫性ヘパリン起因性血小板減少症と類するものが提唱されている。 研究グループは、Ad26.COV2.Sワクチンを接種後、血小板減少症を伴うCVSTを呈し、2021年3月2日~4月21日にVAERSに報告のあった12例について、その臨床経過や画像・臨床検査結果、アウトカムについて、VAERS報告書や診療録を入手し、また医師への聞き取りを行い調査した。12例中7例に1つ以上のCVSTリスク因子あり 12例は米国内11州から報告され、年齢は18~60歳未満で、全員が白人女性だった。うち7例に、肥満(6例)、甲状腺機能低下症(1例)、経口避妊薬服用(1例)といった1つ以上のCVSTリスク因子があった。全例で、ヘパリン投与歴はなかった。 Ad26.COV2.Sワクチン接種から症状が現れるまでの期間は6~15日で、11例の初発症状が頭痛であった。残る1例は当初は腰痛を、その後に頭痛症状を認めた。 12例中7例に脳内出血が、また8例に非CVST血栓症が認められた。 CVSTの診断後、6例が初回ヘパリン治療を受けた。血小板最小値は9×103/μL~127×1033/μLだった。また、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)スクリーニングを受けた11例全例で、ヘパリン血小板第4因子HIT抗体が陽性だった。 12例全例が入院し、うち10例は集中治療室(ICU)で治療を受け、4月21日時点で3例が死亡、3例がICUで治療継続中、2例が非ICUで入院治療を継続、4例が退院した。 研究グループは、「このケースシリーズは、米国におけるAd26.COV2.Sワクチンの接種再開時の臨床ガイダンスに役立つと同時に、Ad26.COV2.Sワクチンと血小板減少症を伴うCVSTとの潜在的な関連性の調査に役立つだろう」と述べている。

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新型コロナワクチン初回投与で入院リスク大幅減、スコットランドの全国調査/Lancet

 現在、世界中でCOVID-19ワクチンの接種プログラムが進められており、ワクチンが及ぼす臨床効果の研究は急務である。今回、英スコットランド・エディンバラ大学のEleftheria Vasileiou氏らが、BNT162b2 mRNAワクチン(商品名:コミナティ、Pfizer/BioNTech)およびChAdOx1 nCoV-19(別名:AZD1222)ワクチン(Oxford/AstraZeneca)の大規模接種とCOVID-19入院との関連を調査した。その結果、COVID-19ワクチンの大規模な初回接種は、スコットランドにおけるCOVID-19入院リスクの大幅な減少と関連していた。Lancet誌2021年5月1日号に掲載。 研究者らは、COVID-19-EAVEIIデータベースの早期パンデミック評価と強化サーベイランスを使用して、前向きコホート研究を実施した。データベースには、940の一般診療所で登録された540万人(スコットランド人口の約99%)のワクチン接種、プライマリケア、リアルタイムRT-PCR検査、および入院患者記録などが紐付けられている。COVID-19入院は、COVID-19を主な原因とする入院、または調査期間中にSARS-CoV-2陽性が判明してから28日以内の入院として評価された。なお、調査期間前に陽性と診断された患者は分析から除外された。 主な結果は以下のとおり。・2020年12月8日~2021年2月22日の調査期間中に、18歳以上の成人133万1,993例(30%)がワクチンの初回接種を受けた。平均年齢は65.0歳(SD:16.2)だった。・3万3,834例が、期間中にワクチンの2回目接種を受けた。・ワクチン接種率は併存疾患の数と共に増加し、併存疾患なしの接種率21.2%に対し、5つ以上の場合は80.0%に増加した。・ワクチン接種後28~34日でのCOVID-19入院に対する効果推定値は、BNT162b2 mRNAワクチンの初回接種を受けた患者では91%(95%CI:85~94)、AZD1222ワクチンの場合は88%(95%CI:75~94)であり、分析を80歳以上に限定した場合でも同様の結果(BNT162b2 mRNAワクチン88%[95%CI:76~94]、AZD1222ワクチン81%[95%CI:72~89])だった。・両ワクチンのプール分析での年齢層別の効果推定値は18~64歳で92%(95%CI:82~97)、65~79歳で93%(95%CI:73~98)、80歳以上では83%(95%CI:72~89)だった。 研究者らは、「今回の結果から、BNT162b2 mRNAまたはAZD1222ワクチンの初回接種が、COVID-19による入院リスクの大幅な減少に関連していることがわかった。これは、われわれの知る限り、ワクチンがCOVID-19入院に及ぼす影響を評価する最初の全国的な人口レベルの研究だ」と結論している。

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ケアネットDVD 2021年6月以降のお取り扱い商品につきまして【2024年3月14日 更新】

DVDインデックスページへ戻る日頃よりケアネットDVDをご愛顧いただきありがとうございます。このたび弊社では、ケアネットDVDの個人向けの販売方法を変更する運びとなりました。2021年6月以降につきましては、Amazon.co.jpにて販売させていただきます。なお、一部商品につきましてはDVD販売が終了となるものもございますので、詳細は下記をご参照ください。DVD販売が終了した商品も、臨床医学チャンネル『CareNeTV』にて引き続きオンデマンド配信(有料)を行っておりますので、こちらをぜひご利用ください。今後ともCareNeTV、ケアネットDVDをご愛顧のほどお願い申し上げます。本件に関する問い合わせは、お問い合わせフォーム までお願いいたします。※下記の一覧は、2024年3月14日時点のものです。※販売を継続するタイトル一覧にある商品でも、弊社の在庫がなくなりしだい販売終了となる場合がございます。何卒ご了承ください。販売を継続するタイトル  販売を終了するタイトル販売を継続するタイトルCND0002 平本式 皮膚科虎の巻<上巻>CND0003 平本式 皮膚科虎の巻<下巻>CND0008 Dr.東田の今さら聞けない病態生理<上巻>CND0009 Dr.東田の今さら聞けない病態生理<下巻>CND0010 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第1巻>CND0011 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第2巻>CND0012 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第3巻>CND0013 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第4巻>CND0014 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第5巻>CND0015 明解!Dr.浅岡の楽しく漢方 <第6巻>CND0019 チャレンジ!超音波走査<上巻>CND0020 チャレンジ!超音波走査<下巻>CND0028 マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>CND0030 マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>CND0033 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科<下巻>CND0039 Dr.林の笑劇的救急問答 1 <上巻>CND0044 もう迷わない!好きになる心電図<下巻>CND0045 Dr.岩田の感染症アップグレード<第1巻>CND0046 Dr.岩田の感染症アップグレード<第2巻>CND0047 Dr.岩田の感染症アップグレード<第3巻>CND0048 Dr.岩田の感染症アップグレード<第4巻>CND0049 Dr.さわやまの心音道場<上巻>CND0052 Step By Step!初期診療アプローチ<第1巻>/疼痛(前編)CND0053 Step By Step!初期診療アプローチ<第2巻>/疼痛(後編)CND0054 Dr.古谷の実践!ザ・診察教室<上巻>CND0055 Dr.古谷の実践!ザ・診察教室<下巻>CND0056 Dr.林の笑劇的救急問答 2 <上巻>CND0057 Dr.林の笑劇的救急問答 2 <下巻>CND0058 Dr.林の笑劇的救急問答 3 <上巻>CND0059 Dr.林の笑劇的救急問答 3 <下巻>CND0060 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第1巻>CND0061 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第2巻>CND0063 mの字走査法で出来る!乳腺超音波手技大原則CND0064 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第1巻>CND0065 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第2巻>CND0066 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第3巻>CND0067 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第4巻>CND0068 Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!<第5巻>CND0071 Step By Step!初期診療アプローチ<第3巻>/神経(前編)CND0072 Step By Step!初期診療アプローチ<第4巻>/神経(後編)CND0082 Dr.夏井の創傷治療大革命CND0088 Dr.岸本の関節ワザ大全<第1巻>CND0089 Dr.岸本の関節ワザ大全<第2巻>CND0090 Dr.岸本の関節ワザ大全<第3巻>CND0101 Dr.須藤のやりなおし輸液塾<上巻>CND0102 Dr.須藤のやりなおし輸液塾<下巻>CND0103 Step By Step!初期診療アプローチ<第5巻>/呼吸器CND0104 Step By Step!初期診療アプローチ<第6巻>/消化器CND0105 Dr.林の笑劇的救急問答 4 <上巻>CND0106 Dr.林の笑劇的救急問答 4 <下巻>CND0107 Dr.鈴木の眼底検査完全マスターCND0114 内科医のための精神科的対応“自由自在”<上巻>CND0115 内科医のための精神科的対応“自由自在”<下巻>CND0123 Step By Step!初期診療アプローチ<第7巻>/マイナー症候CND0129 Dr.林の笑劇的救急問答 5 <上巻>CND0130 Dr.林の笑劇的救急問答 5 <下巻>CND0134 出直し看護塾<第1巻>CND0135 出直し看護塾<第2巻>CND0140 Dr.坂根のなるほど!納得!ダイエット!CND0143 ワクワク ! 臨床英会話<上巻>CND0144 ワクワク ! 臨床英会話<下巻>CND0150 Dr.林の笑劇的救急問答 6 <上巻>CND0151 Dr.林の笑劇的救急問答 6 <下巻>CND0154 聖路加GENERAL 【心療内科】CND0155 聖路加GENERAL 【神経内科】CND0156 聖路加GENERAL 【がん検診】CND0157 聖路加GENERAL 【一般診療に役立つ腫瘍内科学】CND0158 聖路加GENERAL 【内分泌疾患】<上巻>CND0159 聖路加GENERAL 【内分泌疾患】<下巻>CND0161 人のハいで読める! Dr.山口の胸部写真読影 免許皆伝<上巻>CND0162 人のハいで読める! Dr.山口の胸部写真読影 免許皆伝<下巻>CND0164 Dr.林の笑劇的救急問答 7 <上巻>CND0165 Dr.林の笑劇的救急問答 7 <下巻>CND0167 “かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患CND0168 聖路加GENERAL 【腎臓内科】CND0169 聖路加GENERAL 【Dr.香坂の循環器内科】CND0170 聖路加GENERAL 【Dr.大曲の感染症内科】CND0171 聖路加GENERAL 【Dr.仁多の呼吸器内科】CND0173 Dr.林の笑劇救急シリーズ1.脳に異常あり?<神経内科疾患>編CND0174 Dr.林の笑劇救急シリーズ2.おなかが痛い!<内科・胃腸科>編CND0175 聖路加GENERAL 【Dr.小林の消化器内科】CND0176 聖路加GENERAL 【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】 <上巻>CND0177 聖路加GENERAL 【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】 <下巻>CND0178 ドクター力丸の人工呼吸管理のオキテCND0179 Dr.香坂の循環器診療 最前線<第1巻>CND0180 Dr.香坂の循環器診療 最前線<第2巻>CND0181 Dr.香坂の循環器診療 最前線<第3巻>CND0183 Dr.清水のおいしい栄養療法CND0184 Dr.林の笑劇的救急問答 8 <上巻>CND0185 Dr.林の笑劇的救急問答 8 <下巻>CND0186 聖路加GENERAL 【Dr.石松の帰してはいけない患者症例】<上巻>CND0187 聖路加GENERAL 【Dr.石松の帰してはいけない患者症例】<下巻>CND0188 直伝!Dr.守屋の素人独学漢方<上巻>CND0189 直伝!Dr.守屋の素人独学漢方<下巻>CND0190 Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND<上巻>CND0191 Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND<下巻>CND0192 こどものみかた<上巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~CND0193 こどものみかた<下巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~CND0196 Dr.前野のスペシャリストにQ!【循環器編】 CND0197 Dr.林の笑劇的救急問答 9 【小児診療編】CND0198 Dr.香坂の循環器診療 最前線<第4巻>CND0203 ここから始めよう!みんなのワクチンプラクティスCND0205 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科2CND0206 Dr.林の笑劇的救急問答 10 <上巻>CND0207 Dr.林の笑劇的救急問答 10 <下巻>CND0208 産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」CND0211 Dr.みやざきの鼠径ヘルニア手術テクニックコレクションCND0212 Dr.野原のナルホド!摂食・嚥下障害マネジメントCND0214 Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】CND0216 Sedation for All ―安全で確実な鎮静・鎮痛プログラム― CND0217 Dr.小川のアグレッシブ腹部エコー<肝臓編>CND0218 ネッティー先生のわかる!見逃さない!CT読影術CND0220 Dr.たけしの本当にスゴい症候診断CND0223 Dr.林の笑劇的救急問答 11 <上巻>CND0224 Dr.林の笑劇的救急問答 11 <下巻>CND0225 ナベちゃん先生のだれでも撮れる心エコーCND0226 ナベちゃん先生のだれでも読める心エコーCND0227 Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action! CND0228 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【消化器編】CND0229 スーパー服薬指導<第1巻>CND0230 スーパー服薬指導<第2巻>CND0231 スーパー服薬指導<第3巻>CND0232 スーパー服薬指導<第4巻>CND0233 Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2CND0235 フィーバー國松の不明熱コンサルトCND0236 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.1CND0237 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.2CND0238 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3CND0239 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4CND0240 感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!?感染対策CND0243 イワケンの「極論で語る感染症内科」講義CND0244 Dr.加藤の「これだけ眼科」CND0245 Dr.林の笑劇的救急問答 12 <上巻>CND0246 Dr.林の笑劇的救急問答 12 <下巻>CND0247 Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス CND0248 Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】CND0249 スーさんの急変エコー 裏ワザ小ワザCND0250 Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」までCND0251 Dr.たけしの本当にスゴい症候診断3 CND0252 Dr.宮本のママもナットク!小児科コモンプラクティス CND0253 Dr.水野のうたう♪心音レクチャー CND0258 救急エコー最速RUSH! CND0262 Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)CND0263 Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)CND0265 Dr.林の笑劇的救急問答 13<上巻>CND0266 Dr.林の笑劇的救急問答 13<下巻>CND0267 Dr.徳田のすぐできるフィジカル超実技CND0268 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【整形外科編】CND0269 Dr.志賀のパーフェクト!基本手技 CND0270 志水太郎の診断戦略エッセンス CND0271 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.1CND0272 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2CND0273 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.3CND0274 Dr.長尾の胸部X線クイズ 初級編 CND0275 Dr.長尾の胸部X線クイズ 中級編 CND0276 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.1CND0277 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.2CND0278 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.3CND0279 Dr.小松のとことん病歴ゼミCND0282 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上下巻2枚組)CND0283 肩腰膝の痛みをとる Dr.究のあなたもできるトリガーポイント注射 CND0284 Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡 CND0285 Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 CND0286 志水太郎の診断戦略ケーススタディCND0287 Dr.林の笑劇的救急問答 14<上巻>CND0288 Dr.たけしの本当にスゴい高齢者身体診察CND0289 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】CND0290 Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編CND0291 Dr.林の笑劇的救急問答14<下巻>CND0292 毎日使える 街場の血液学CND0293 Dr.白石のLet's エコー 運動器編CND0294 一発診断CND0295 Dr.林の笑劇的救急問答15<上巻>CND0296 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編CND0297 Dr.飯島の在宅整形CND0298 岡田正人のアレルギーLIVECND0299 Dr.皿谷の肺音聴取道場CND0300 Dr.林の笑劇的救急問答15<下巻>CND0301 Dr.増井の心電図ハンティングCND0302 Dr.長門の5分間ワクチン学CND0303 Dr.安部の皮膚科クイズ 中級編CND0304 プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!【糖尿病・内分泌疾患編】CND0305 Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルトCND0306 Dr.飯村の英語の発音が劇的に変わるトレーニングCND0307 Dr.田中和豊の血液検査指南 総論・血算編CND0308 脳血管内治療STANDARDCND0309 Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編CND0310 Dr.安部の皮膚科クイズ 上級編CND0311 Dr.須藤の輸液大盤解説CND0312 総合内科専門医試験オールスターレクチャー アレルギーCND0313 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液CND0314 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器CND0315 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経CND0316 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 内分泌・代謝CND0318 Dr.林の笑劇的救急問答16<下巻> 皮膚科救急編CNPA003 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【糖尿病編】CNPA004 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【循環器編】1CNPA005 Dr.東田の病態生理学 自由自在!【循環器編】2ページTOPへ販売を終了するタイトルCND0006 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ/高脂血症篇 <上巻>CND0007 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ/高脂血症篇 <下巻>CND0026 Dr.箕輪の実戦救急指南CND0027 実践!Dr.鳥谷部の How to ラップ療法-注目の新しい褥創治療-CND0029 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ <ルーチンの落とし穴>CND0032 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科<上巻>CND0035 激辛!伊賀流心臓塾<第2巻>CND0036 激辛!伊賀流心臓塾<第3巻>CND0037 小三J読影法でわかる!Dr.佐藤の胸部写真の楽しみ方<上巻>CND0038 小三J読影法でわかる!Dr.佐藤の胸部写真の楽しみ方<下巻>CND0041 みんなの症候診断<上巻>CND0042 みんなの症候診断<下巻>CND0043 もう迷わない!好きになる心電図<上巻>CND0050 Dr.さわやまの心音道場<下巻>CND0051 Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ <必ず遭遇する壁>CND0062 "の"の字2回走査法で出来る!超音波手技大原則<第3巻>CND0069 亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ<上巻>CND0070 亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ<下巻>CND0073 Dr.岩田のスーパー大回診<上巻>CND0074 Dr.岩田のスーパー大回診<下巻>CND0077 褥創治療最前線!Dr.鳥谷部の超ラップ療法CND0078 激辛!伊賀流心臓塾<第4巻>CND0079 ケイコ先生の肺ガン読影講座CND0081 ジェネラリストのための他科診療エッセンスQ&A II―整形外科、心療内科CND0083 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第1巻>CND0084 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第2巻>CND0085 Dr.岡田のアレルギー疾患大原則<第3巻>CND0086 Dr.齋藤のハワイ大学式スーパートレーニング<上巻>CND0087 Dr.齋藤のハワイ大学式スーパートレーニング<下巻>CND0091 ジェネラリストのための内科外来Q&A -不整脈-CND0092 ジェネラリストのための内科外来Q&A -脳梗塞-CND0093 ジェネラリストのための内科外来Q&A -腎疾患-CND0094 ジェネラリストのための内科外来Q&A -消化性潰瘍-CND0095 カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>CND0096 カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>CND0097 Dr.須藤のビジュアル診断学<第1巻>CND0098 Dr.須藤のビジュアル診断学<第2巻>CND0099 Dr.須藤のビジュアル診断学<第3巻>CND0108 USA発!関節X線ASBCD<上巻>CND0109 USA発!関節X線ASBCD<下巻>CND0110 Dr.岡田の膠原病大原則<第1巻>CND0111 Dr.岡田の膠原病大原則<第2巻>CND0112 Dr.岡田の膠原病大原則<第3巻>CND0113 一般医療機関における暴言・暴力の予防と対策CND0116 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第1巻>CND0117 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第2巻>CND0118 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第3巻>CND0119 T&A 動きながら考える救急初療<上巻>CND0120 T&A 動きながら考える救急初療<下巻>CND0124 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第1巻>CND0125 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第2巻>CND0126 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第3巻>CND0127 Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線<第4巻>CND0128 Dr.岡田のみんなの関節リウマチ診療CND0131 リウマチ膠原病セミナー<第1巻>CND0132 リウマチ膠原病セミナー<第2巻>CND0133 リウマチ膠原病セミナー<第3巻>CND0138 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第4巻>CND0139 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第5巻>CND0141 Dr.能登のもう迷わない!臨床統計ここが知りたい!!<上巻>CND0142 Dr.能登のもう迷わない!臨床統計ここが知りたい!!<下巻>CND0145 外傷治療ベーシックCND0146 Dr.安田のクリアカット腎臓学<上巻>CND0147 Dr.安田のクリアカット腎臓学<下巻>CND0152 北米式☆プレゼンテーション上達ライブCND0153 北米式臨床力強化プログラム Vol.1CND0160 プライマリケアでよく見る精神症状の診方と対応のコツCND0163 Dr.中野のこどものみかたNEOCND0166 リウマチ膠原病セミナー<第4巻>CND0172 チーム医療レベルアップ 糖尿病セミナー<第6巻>CND0182 激辛!伊賀流心臓塾<第1巻> 増補改訂版CND0194 さわやま流 音楽的聴診術<上巻>CND0195 さわやま流 音楽的聴診術<下巻>CND0199 Dr.山中の攻める問診<上巻>CND0200 Dr.山中の攻める問診<下巻>CND0201 CliPS -Clinical Presentation Stadium- @TOKYO2013CND0204 Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術CND0209 Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり<早期介入編>CND0210 Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり<長期罹患編>CND0215 ひと・身体をみる認知症医療CND0219 Dr.山田のゆるい糖質制限 -医学的根拠と実践方法-CND0234 Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療CND0241 総合内科専門医試験対策 【アップデート問題はココが出る!】 2016CND0242 総合内科専門医試験対策 【“苦手”科目をクイック復習】 2016CND0254 無敵の研修医ストレスマネジメントCND0255 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1CND0256 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.2CND0257 長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3CND0264 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017(2枚組)CND0280 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(上巻) CND0281 Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 市中感染症編(下巻)ページTOPへ

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第59回 新型コロナウイルスの配列が感染細胞ゲノムに紛れ込む?

なんとも不気味で良いのか悪いのか現時点ではわかりませんが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノム配列は場合によるとレトロトランスポゾンの働きでヒト感染細胞のゲノムに紛れ込めるようです1)。ヒトゲノムに存在する可動領域・レトロトランスポゾンはほとんどの細胞で発現が抑制されています。しかし、SARS-CoV-2を含むコロナウイルスに感染した細胞ではレトロトランスポゾンの発現が亢進します2)。RNAウイルスの幾つかはそのレトロトランスポゾンに繋がり、連れ立って感染細胞のゲノムに収まりうることが10年以上前から示唆されています3,4)。そして最近の研究によるとSARS-CoV-2のゲノム(RNA鎖)の断片もレトロトランスポゾンと連結可能です2)。SARS-CoV-2のゲノム断片は数あるレトロトランスポゾンの1つ・LINE1ととくに融合体(キメラ)を形成しやすく2)、LINE1を過剰発現したヒト細胞にSARS-CoV-2を感染させたところSARS-CoV-2のゲノム配列が感染細胞のゲノムから検出されました5)。すなわちSARS-CoV-2のRNAゲノムの一部はLINE1が過剰発現しているとDNAに置き換わってヒトゲノムに紛れ込めるようです。これらの結果は培養細胞での実験に基づくものです。今後の課題として感染患者の細胞ではどうなのかを検討する必要があります。そのような研究で感染者のゲノムからSARS-CoV-2のゲノム配列が確かに検出されたら次はその意義が調べられるでしょう。たとえばヒトゲノムに紛れ込んだSARS-CoV-2ゲノムの欠片は感染患者に認められている自己免疫病態・ギラン・バレー症候群6)などの長引く後遺症の引き金になっているのかもしれません5)。一方、悪いことばかりではなさそうで、ヒトゲノムに納まったウイルスDNAは感染防御を引き出してくれる可能性があります。20年以上前のNatureに掲載された報告ではリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のRNAがDNAに置き換わってマウス体内に長く存在し続けることが示されており、著者はそういうウイルス起源DNAがワクチンのような働きをするのではないかと推測しています7)。もしヒトゲノムに統合されたSARS-CoV-2の配列が発現して抗原の役割を担うなら免疫が絶えず刺激され続けて感染防御の砦を築けるかもしれません5)。しかしそれは諸刃の剣で、上述したような自己免疫疾患などの事態の火種になる恐れもあります。参考1)Further evidence supports controversial claim that SARS-CoV-2 genes can integrate with human DNA / Science.2)Yin Y,et al.Front Cell Infect Microbiol.2021 Feb 25;11:609160.[Epub ahead of print]3)Horie M,et al. Nature. 2010 Jan 7;463:84-7.4)Geuking MB, et al.Science.2009 Jan 16;323:393-6.5)Zhang L, et al.Proc Natl Acad Sci USA.2021 May 25;118:e2105968118.[Epub ahead of print]6)Dalakas MC,et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2020 Jun 9;7:e781.[Epub ahead of print]7)Klenerman P, et al. Nature. 1997 Nov 20;390:298-301.

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AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。23例の1回接種後の臨床的特徴、検査値を評価 研究グループは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後6~24日の期間に血栓症と血小板減少症(ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症[VITT])を発症した患者の臨床的特徴と検査値に基づき、これらの病態の新たな基本的発症機序を検討し、その治療上の意義について評価した。 23例が登録された。平均年齢は46歳(範囲:21~77歳)、16例(70%)が50歳未満であり、14例(61%)が女性であった。深部静脈血栓症の既往歴のある1例と、配合経口避妊薬を服用している1例を除き、血栓症を引き起こす可能性のある病態や薬剤の使用歴のある患者はいなかった。 全例が、血栓症と血小板減少症の発症前6~24日(中央値12日)に、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの1回目の接種を受けていた。23例中22例が、急性血小板減少症を伴う血栓症(主に脳静脈血栓症)で、残りの1例では孤立性の血小板減少症を伴う出血性症状が認められた。23例中22例で抗PF4抗体陽性 全例が、発症時のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による検査でSARS-CoV-2陰性であった。また、血清学的検査用の検体が得られた10例は、いずれもヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体が陰性であったことから、最近、SARS-CoV-2に曝露された可能性は低いと考えられた。 全例で、発症時のフィブリノゲンは低~正常値で、Dダイマー値は急性血栓塞栓症患者で予測される値に比べ大きく上昇していた。また、血栓性素因やその原因となる前駆的要因の証拠はなかった。 全例で、ヘパリンベースの治療の施行前に採取された検体を用いてELISA法によるPF4に対する抗体検査が実施され、23例中22例が陽性(1例は不確定)、1例は陰性であった。また、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の検査を受けた9例は、全例が陰性だった。 著者は、「これらの患者で観察された病態生理学的特徴に基づき、血栓性症状の進行のリスクがあるため、血小板輸血治療は回避し、血栓性症状の初回発現時には、非ヘパリン系抗凝固薬と、免疫グロブリンの静注を検討することが推奨される」としている。

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第53回 時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省

<先週の動き>1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省厚労省は、7月末までに希望する高齢者全員に接種を完了できるよう、ワクチン接種を行う医師・看護師等を確保するため、時間外・休日の接種について、被接種者1人当たりのワクチン接種対策費負担金2,070円に、診療報酬上の時間外等加算相当分の上乗せを行うと発表した。また、医師が不足すると都道府県が判断した地域に対しては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」により、接種会場に時間外・休日の医師・看護師等を派遣した医療機関に対しても、財政支援が実施される。(参考)ワクチン接種要員派遣、医療機関に財政支援 医師1人1時間ごと最大7,550円、時間外・休日(CBnewsマネジメント)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)における「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」について(事務連絡 令和3年4月30日)2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に厚労省は7日、新型コロナ患者の受け入れをスムーズに行う目的で、初診・再診の後、その患者がただちに入院した場合、「医科外来等感染症対策実施加算」と「入院感染症対策実施加算」の同時算定で1日あたり10点が加算できるとの事務連絡を発出した。ただし、算定に当たっては、院内感染予防策を実施した上で、患者あるいは家族等に対して、十分な対応を行っている旨を説明することが求められている。この加算は、2021年4月から9月診療分までであり、2月26日に発出された通知に対するQ&Aの形で発出されている。(参考)初・再診後の入院も10点加算 感染予防策が前提、新型コロナ臨時措置(CBnewsマネジメント)初・再診から直ちに入院した場合、【医科外来等感染症対策実施加算】と【入院感染症対策実施加算】を併算定可―厚労省(Gemmed)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その44)(事務連絡 令和3年5月7日)3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める昨年、新型コロナウイルス感染症が原因の労働災害の発生件数は、全業種で合計6,041件、うち医療保健業(病院など)の発生が2,961件、社会福祉施設での発生が1,600件に上ることが明らかとなった。これは、2020年1月1日~12月31日までに新型コロナウイルス感染による労災(休業4日以上の休業や死亡)について、厚労省が報告したもの。これより、医療機関や福祉施設における感染防御がより重要だと言える。(参考)コロナ労災、昨年1年間で6,041人…医療・福祉関係者らが計75%(読売新聞)資料 令和2年労働災害発生状況の分析等(厚労省)4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か菅 義偉首相は、新型コロナワクチン接種について、1日100万回を目標とする方針を7日に明らかにした。24日に東京と大阪で大規模接種センターを開設し、6月末には高齢者の5割、7月末には全員の接種完了を目指す。なお、厚労省の4月時点の調査では、集団接種を行う2割の自治体で医師や看護師の不足が課題とされており、地方自治体の中には、高齢者ワクチンの配送が急増しても、接種を行う医療従事者の確保が十分でない現状。また、医師・看護師で2回目の接種を終えている者はまだ2割前後であり、ワクチン接種を受ける前にワクチン接種に従事することになるなど、医療従事者側にも混乱が見られる。今後、これらの課題を対応しつつ、7月末までの接種完了に向けた取り組みが強化されるだろう。(参考)新型コロナ 接種従事、医師にリスク 8割ワクチン未完了(毎日新聞)新型コロナワクチンの高齢者向け接種の前倒しについて(事務連絡 令和3年4月30日)5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし全国医学部長病院長会議は、新型コロナウイルス感染症に関する昨年度の大学病院の経営状況について発表した。アンケート結果によると、第3波のコロナ患者増加の中で、収支状況についても落ち込みが見られ、初診外来患者数は前年度に比べて19%減少、入院延べ患者数、新入院患者数は前年度に比べて9.9%減少、2021年1月末時点の2020年度の医業収益率は8.4%(2,196億円)減収となり、依然として厳しい経営状況にある。大学病院が通常の重症患者の医療も維持しながらコロナへの対応を果たしていくために、医療連携体制の構築や一層の財政支援を要望している。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に関する大学病院の経営状況調査(1月度)(全国医学部長病院長会議)コロナ入院1人につき診療報酬500万円減 京大推計(朝日新聞)6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収日本医師会は、新型コロナウイルス感染症による2021年1月までの診療所経営への影響に関する調査結果を公表した。これによると、「入院外(外来と在宅医療)総件数の対前年同月比」で、総件数は2020年5月を底として6月以降改善傾向だったが、11月に再び大きく落ち込み、2021年1月の対前年同月比は、小児科38.5%減、耳鼻咽喉科25.1%減と受診控えが再び見られたことが明らかとなった。また、2020年4月~2021年1月の10か月で、1施設当たり医業収入の増減額の累計は、有床診療所で573万8,000円減、無床診療所で1,091万7,000円減であった。(参考)新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響-2020年11月~2021年1月分-(日本医師会)

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新型コロナワクチン接種で注目の副反応、SIRVAとは?

新型コロナワクチン接種による副反応疑いとして「ワクチン投与関連肩損傷(ワクチン投与関連肩損傷)」「ワクチン接種部位疼痛」などが報告されている。しかし、これはワクチン成分自体による副反応ではなく、接種手技により避けられる可能性がある。これらの発症予防のための必要な知識について、プライマリ・ケア連合学会の動画監修にも関わった仲西 康顕氏(奈良県立医科大学整形外科・臨床研修センター 講師)を取材し、末梢神経を損傷してしまう原因や実際の症状、注意点について伺った。末梢神経障害やSIRVAとは、その症例数や日本での認知度はどのくらいでしょうか?筋肉注射の手技が原因で生じる問題には、不適切な部位への接種による腋窩神経や橈骨神経などの末梢神経損傷とSIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)があります。三角筋への筋肉注射によるワクチン接種が一般的ではない日本においては、医原性末梢神経障害を専門とする私でも、筋肉注射に関わる症例には数例しか関わったことがありません。近年、整形外科医のなかで問題視されているSIRVAは、「ワクチン接種に関連した肩関節障害」と訳され、三角筋下滑液包内への不適切な薬剤注入が原因で生じる肩の急性炎症(肩関節周囲炎、滑液包炎、腱板炎など)のことです。米国で2010年頃に報告されたのをきっかけに徐々に報告数も増えていますが、2016年時点での米国での年間報告数はわずか200例超1)と世界的にもまだまだ稀な疾患です。そのため、整形外科医以外には聞き慣れない病名だと思います。しかし、これらの合併症はワクチン接種後の患者さんのQOLを損なう恐れがあり、新型コロナワクチンの安全な投与のための手技マニュアル作成には重要だと考え、プライマリ・ケア連合学会の動画「新型コロナワクチン より安全な新しい筋注の方法 2021年3月版」の監修にも携わらせてもらいました。また、マニュアルと同時に作成した、われわれの筋肉注射手技の根拠に関する論文2)は、現在、オンラインで一般公開されています。私たちが提示した安全な手技に従って注射した場合、神経損傷やSIRVAについて避けることが可能です。ただし、ワクチン接種現場でこれらの合併症の診断方法や治療方法まで医療関係者の一人一人が“深く理解しておく必要性はない”というのが個人的な意見です。今回は従来の手技によって生じる可能性のある副反応について解説しますが、神経損傷とは関係なくワクチン接種後に生じる手の違和感などへの実際の対応については別稿で述べたいと思います。末梢神経障害やSIRVAを予防するための対策を教えてください筋肉注射に関する多くの手技解説には、穿刺部位について「肩峰から3横指下(5cm)」と書かれていますが、その部位には三角筋を支配し肩関節の外転を司る腋窩神経が走行しています。また、橈骨神経は上腕骨に螺旋状に巻き付くように走行しているため、腕の肢位によっては神経の走行を推測しにくく誤った穿刺を起こしかねないんです。さらに、前述のSIRVAは三角筋下滑液包へのワクチンの注入が原因と考えられますが、高齢者では症状がなくても腱板の広範囲断裂や滑液包内の液体貯留は珍しいことではなく3)、滑液包の形状が変化するこれらの疾患では肩峰より5cm以内の接種は滑液包内への誤注入のリスクがより高くなると推測されます(図1)。(図1) 正常の肩関節と腱板断裂、滑液包水腫画像を拡大する広範囲腱板断裂では、正常よりも末梢まで三角筋下滑液包が拡張することがある。さらに水腫がある場合、滑液包内への誤注入の可能性は高くなる。高齢者ではこれらの変化は症状を伴っていないことも稀ではない。われわれ整形外科医はこれらの神経損傷に必ず注意を払って手術に臨むわけですが、ワクチン接種現場の報道映像では “腰に手を当てて上腕後方を差し出す姿勢”のように神経損傷を招く可能性のある手技が多く見受けられました。これらの神経損傷を避けるために、整形外科では髄内釘のスクリューや創外固定のピンを安全に上腕骨に刺入することのできる部位について、永年蓄積されてきたノウハウがあります。当院では過去の複数の文献報告なども踏まえて、新しく筋肉注射を行うためのマニュアルを作成しました。ですが、“従来の手技での合併症の発生頻度”も“新たな接種方法による予防効果“も高いエビデンスを示すことのできる臨床研究はこれまで行われておらず、まだまだ議論の余地は残っています。<現時点で仲西氏らが提案する新たな接種方法>上腕が内旋しないように力を抜き、肘は自然に伸ばして腕をおろしてもらう肩峰から下ろした垂線と前腋窩線の頂点・後腋窩線の頂点を結ぶ線の2つの線が交わる点に穿刺する接種者、被接種者が共に腰掛けた状態で接種する末梢神経損傷やSIRVAを生じた患者が訴える症状、その対処法を教えてください腋窩神経損傷では穿刺時も含めて痛みや痺れもなく、数日後に肩を挙上しにくいと気付いたとの症例報告があります。診断するには、両肩を十分に露出した上で部分的な三角筋の収縮力の低下がないか観察する必要があるでしょう。しかし、腋窩神経損傷は比較的自然に治りやすく、おそらく医療従事者に十分認識されないまま治ってしまうことも多々あると思われます。一方、橈骨神経損傷は受傷後の比較的早期に手の甲から親指や人差し指にかけての痺れ、手首や指の動かしにくさを訴えることが多いようです。一言で神経損傷と言ってもその度合いにより、自然回復が見込めるか、あるいは何らかの外科的な治療を検討すべきかで治療方針は異なります。筋肉注射によって生じた重度の橈骨神経麻痺症例を経験したことがありますが、日常生活や就労に大きく影響する後遺症が残りました。もし橈骨神経損傷を疑った場合は、自然回復を待つのではなく早期に手の外科を専門に行っている整形外科あるいは形成外科医に相談すべきと考えます。正確な神経学的評価に加えて、近年では末梢神経の超音波による観察が診断に有用です。SIRVAに関しては、まだまだ日本では報告されている症例は多くありません。海外の報告を見ると、ワクチン接種後数時間から2日程度の間に肩関節の強い自発痛を生じ、自然に改善しないことが多いようです。新型コロナワクチンの2回目の接種では、三角筋の強い痛みを生じることがしばしばあるようなので、発症早期に診断することは難しいかもしれません。ワクチン接種から数日経っても安静時に軽減することのない強い肩の痛みが続く場合は、肩関節の単純MRIが有用と考えます。接種された三角筋ではなく、肩関節の滑液包を中心として広範囲に炎症を示す所見があれば、より積極的にSIRVAを疑うことができます。治療としては、初期には滑液包内へのコルチコステロイド投与が検討されますが、早めに整形外科へ紹介することをお勧めします。ワクチン接種部位に関する問題の背景を踏まえ、今後の手技の標準化についてはどのように考えますか?実は整形外科医の中でも、前医とのトラブルをしばしば抱えて受診される「医原性末梢神経損傷」の患者さんを積極的に診ようという医師は多くありません。また、筋肉注射の手技自体が全体的に少なく、さらには医療トラブルへの対応に慎重になるあまり、まとまった症例の検討や論文による知識の共有が行われにくかった背景があるのではと思います。そのために厚生労働省を含めて安全なワクチンの接種方法を検討する内科、小児科の医師の間には神経損傷が現実的な問題として認識されてこなかったのではないでしょうか。今回、当院のパンフレット公開後に日本プライマリ・ケア連合学会の中山 久仁子先生、守屋 章成先生から連絡があり、専門性を越えて議論した結果、整形外科医の声に耳を傾けていただき、一旦公開した筋肉注射手技の動画を再度撮影し公開するという決断まで下されました。おそらく、この動画で新しい手技を知った方がとても多いのではと思います。神経損傷やSIRVAといった問題が発生した際、実際に治療にあたるのは整形外科医ですが、コロナ禍で筋肉注射についての問題が注目を集めています。整形外科医の中にも、私が尊敬する名古屋大学の平田 仁教授をはじめとして、真剣に医原性末梢神経損傷の問題に取り組んでいる医師がおります。今後、筋肉注射の手技について検討する際には、ぜひ整形外科医の持つ知識も参考に、さらに安全性を高めるための建設的な議論に結びつくことを期待しています。現時点では筋肉注射の推奨接種部位について、各団体間で統一されていません。しかし、これからもワクチン接種に関わる医療者にも、接種を受ける多くの人にも安心してもらえるように取り組み、新型コロナウイルス感染症対策に貢献していきたいと思っています。次回「ワクチン接種後の手のしびれ、痛みをどう診るか」に続く。(インタビュー:2021年4月20日、聞き手・構成:ケアネット 土井 舞子)参考1)Hesse EM, et al. Vaccine. 2020;38:1076-1083.2)仲西 康顕ほか. 中部整災誌. 2021;64:1-9.3)Minagawa H, et al. J Orthop. 2013;10:8-12.*奈良県立医科大学附属病院臨床研修センターのサイトに「Q&A」などを掲載中厚生労働省予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について(令和3年2月17日から令和3年4月4日報告分まで)

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ファイザー社ワクチン、英国・南ア変異株に対する有効率は?/NEJM

 有効率95%と報告されているファイザー/ビオンテック社製COVID-19ワクチン(BNT162b2)だが、英国で確認された変異株(B.1.1.7)および南アフリカで確認された変異株(B.1.351)に対する実社会での有効率はどの程度なのか? カタール・Weill Cornell MedicineのLaith J. Abu-Raddad氏らが、変異株への感染および重症化に対する同ワクチンの有効性を検証したコホート研究結果を、NEJM誌オンライン版2021年5月5日号のCORRESPONDENCEに報告した。 カタールでは、2月23日~3月18日にゲノム解析された症例の50.0%がB.1.351、44.5%がB.1.1.7により引き起こされていた。また3月7日以降はゲノム解析されたほぼすべての症例が、B.1.351またはB.1.1.7のいずれかへの感染であった。同ワクチンの接種は2020年12月21日に開始され、2021年3月31日時点で計38万5,853人が少なくとも1回のワクチン接種を受け、26万5,410人が2回の接種を完了している(訳注:カタールの総人口は約280万人)。 ワクチン接種状況、PCR検査結果、および臨床的特徴に関するデータは、流行開始以来蓄積されている全国的なCOVID-19データベースより抽出された。 主な結果は以下のとおり。・B.1.1.7への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で89.5%(95%信頼区間[CI]:85.9~92.3)であった(ワクチン2回接種群:PCR陽性50例 vs. PCR陰性465例、ワクチン非接種群:16,354例 vs.15,939例)。・B.1.351への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で75.0%(95%CI:70.5~78.9)であった(ワクチン2回接種群:179例 vs. 698例、ワクチン非接種群:19,396例 vs.18,877例)。・B.1.1.7およびB.1.351への感染が優勢である中、SARS-CoV-2感染による重症、重篤、および致命的な病態に対する2回目接種後14日以上における有効率は非常に高く、97.4%(95%CI:92.2~99.5)であった(ワクチン2回接種群:3例 vs.109例、ワクチン非接種群:1,692例 vs.1,586例)。・全国コホートの抗体陰性者の感染率と比較したnegative case-control designによる有効率は、B.1.1.7に対して87.0%(95%CI:81.8~90.7)、B.1.351に対して72.1%(95%CI:66.4~76.8)と推定され、上記結果が確認された。 著者らは、B.1.1.7およびB.1.351が国内で優勢の状況の中で、BNT162b2は感染および重症化に対して有効であったとまとめている。ただし、とくにB.1.351への感染に対する有効率は同ワクチンの臨床試験やイスラエル・米国からの実社会での報告(>90%)よりも約20%低かったと指摘。カタールでは、3月31日時点で、ワクチンを1回接種した6,689例と、2回接種した1,616例でブレークスルー感染が確認されている。また、ワクチン接種者におけるCovid-19による死亡も7例報告されている(1回接種後5例、2回接種後2例)。そのうえで、B.1.351感染に対しても、入院または死亡につながる最も深刻な感染に対する有効率は90%を超える強力なものであったとしている。

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第56回 コロナ禍で個人情報を晒す困窮者も、今こそ地域密着医療の出番では?

コロナ禍で2度目、しかも一部地域では緊急事態宣言発出中となるゴールデンウイーク(GW)は、多くの国民にとって過ごしにくかったに違いない。コロナ禍でたまりにたまった1年分の鬱憤を晴らしたくとも晴らす機会すらないのだから。かく言う私は、そもそもGWがあってないような立場に従来からおかれている。仕事を引き受けても、その一部を誰かに割り振ることができないフリーの立場にとっては、世間一般の長期休暇で仕事関係先から連絡が激減するGW、お盆休み、年末年始は溜まった仕事を片付けるための好機となる。実際、4月29日のGW入り以降、出かけた範囲は最も遠くても電車で20分以内の場所に限られている。また、GWは前述のように仕事関係先から連絡がこないので仕事をしながらも比較的普段よりはのんびり時間が過ごせる。ということで仕事の合間に仕事場周辺をトボトボ散歩することが増える。そんな散歩の道すがら、電柱に張られたある張り紙が目に留まった。それを見て「ああ、またか」と思った。同じような張り紙はちょうど昨年の第1回目の緊急事態宣言発令中にも目にしている。1回目の張り紙にはこう書いてあった。「お仕事探してます。特別なことはできませんが買い物の同行、散歩の同行お手伝いします。車椅子の方でも同行のお手伝いします。その他の事はそちらの方で決めてくださいよろしければ電話ください。090-○○○○-○○○○ ×(個人名)」正直、メディアで仕事をしているとさまざまな人に会い、さまざまなシーンに出くわすので、一般の人と比べ、何かに驚くことは明らかに少ない。しかし、これを見た時は正直かなり驚いた。私の場合、個人情報は守っても限界があるという認識がある上に、職業柄どうしても個人情報を一定程度さらさなければならないことが多く、自分の個人情報の開示に一定の耐性がある。しかし、一般人にとっては明日の生活がかかっていても個人の携帯電話番号や名字だけとはいえ、名前を不特定多数の人に晒すことはかなり勇気がいることだと思う。ちなみに余談になるが自身の個人情報開示については30代前半の頃、やややり過ぎの行動をし、周囲からたしなめられたことがある。それは取材相手とトラブルになった時のことだ。トラブルとは相手の発言をほぼ忠実にテープ起こしをして掲載したにもかかわらず、相手から電話があり、「そんなことは一言も言っていない」といきなり激怒されたのである。明確な言いがかりで録音音声もあるので、「お会いしてお聞かせしますよ」と言ったのだが先方はそれを無視。そうこうするうちにいきなりブログを開設し、私の名指し批判(というか中傷)投稿をし始めた。投稿の中には「この男の住所などの個人情報を集めております。提供していただいた方には謝礼5万円を差し上げます」との記述が。ちなみに私がこの相手に渡した名刺には住所は記載済み。まあ、放っておけばよかったのだが、若気の至りで自分の免許証の写メを添付し、「この通り情報提供しましたので謝礼をお振込みください」とご丁寧に銀行口座まで記載したメールを相手に送信したのだが返信はなかった。ちなみにこのメール送信の2日後にはブログそのものが消え失せていた。今ならば当然こんなことは決してしない。誠に若気の至りである。余談が長くなってしまったが、今回新たに見かけた張り紙はこう書いてある。「高齢者一人暮らしの方のお手伝い致します。日常生活で困ったこと掃除・洗濯電気等の交換・自転車の修理買い物の代行・買い物のお供その他いろいろお手伝いいたします。お気軽にご連絡して下さい090-○○○○-○○○○ ×(個人名)」電話番号と氏名は前回と同じで完全な同一人物だ。この地域には10年以上暮らしているが、こうした張り紙を見たのはこの2回だけである。やや極端を思うかもしれないが、この2回の張り紙だけでも、コロナ禍が社会全体に深刻なダメージをもたらしている証左の一部になると考えている。その意味で今回のコロナ禍がもっとも直撃した業種は、飲食業、宿泊業、医療・福祉業に代表される。前者2つの業種は、感染拡大阻止に伴う人と人の接触減、移動減の影響をまともにかぶった業種であり、医療・福祉業はまさに感染者発生などの対応でマンパワーが要求され、オーバーキャパシティとなった業種である。そして前述の張り紙を見て改めて調べた中で出てきたのが、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部企画課が過去に作成した資料である。約10年前のものでやや古いが、今でも一定の傾向は示せていると思う。私が注目したのは、この12ページ目にある業種別非正規雇用労働者の割合である。今回、負の影響が直撃した飲食、宿泊業での非正規雇用の割合が突出しているのである。つまり今回のコロナ禍で前年比5割以上の売上減などはもはや当たり前となっている飲食・宿泊業では、もともと経済・社会基盤がぜい弱な単身者・女性などを中心とする非正規雇用者が多く、これらの人が収入減や雇用調整などの影響を大きく受けていると想像できる。コロナ禍はもともと存在していた弱者を、さらに過酷な環境をもたらすことによって社会全体により強く印象付けているとも言える。こう書くと一見医療とは何も関係ないではないかと言われてしまうかもしれない。しかし、医療の世界でもこうした残酷な可視化はより進行しているはずである。たとえばちょっと考えただけでも次のような問題が浮かび上がってくる。ひとり親家庭での親側、老老介護夫婦家庭でのどちらか一人が新型コロナに感染したら、残された家族を誰がどうケアするのか?独居の認知症高齢者が感染したら、きちんと行動自粛をしてくれるだろうか?軽度認知障害の人が外出自粛を長期間続けたら症状の進行が加速しないだろうか?生活のリズムを整えることが重要な精神疾患患者が突然在宅ワークになったら悪影響はないだろうか?このようなことは挙げればキリがないはずだ。もちろんこれらの問題は現場の医療者だけで解決できることは少ない。ただ、行政や民間などとの連携で解決に導くとしても数多くの局面で医療者はゲートキーパーとならなければならない。まだ早いと言われるかもしれないが、ワクチン接種率が上昇し、今回のパンデミックが一定の収束を見せた時に、どのように行政や民間、あるいはつかみどころのない「地域」との連携を深めていくかは、今から各医療者に考えておいて欲しいことだと思い始めている。街角の張り紙一枚から「大仰な」と言われてしまうかもしれないが、敢えてこのようなことを言ったのはこの件をきっかけに過去数年間、医療の世界でよく耳にするある言葉に対する違和感を改めて思い出してしまったからだ。その言葉とは「地域密着」「地域包括ケア」の2つである。最近では新規のクリニックが開業するとほぼ即日インターネット上のホームページもオープンしていることが少なくない。そこでクリニックの院長の「ご挨拶」ページに行くと、多くは「地域に密着した」というキーワードが使われている。一方、「地域包括ケア」はご存じのように官製用語と言ってもよく、「医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される」仕組みを指す。どちらの言葉も聞こえは良く、そのことを誰も否定はできない。その分、気軽すぎるほど多用されている。意味のあいまいなままに、いかにも新しい内容を伝えているかのように思わせる言葉を指す「プラスチック・ワード」に該当するとさえ、個人的には思っている。ただ、ここまで使われてしまったものだからこそ、単なる「プラスチック・ワード」で終わらせず、より価値のある「プラチナ・ワード」とでも言うべきものに徐々に転換させていく必要があるのではないかと考えている。まさにそのため今回の方策の一つが、コロナ禍により医療者の目に映った弱者情報の発信と周囲との連携によるその対策の立案とだと考えている。そしてそれを支えるための情報発信がメディア側に求められているとも思うのだ。繰り返しになるが、このことは本来はポスト・コロナ・パンデミック期に考えるべきこと、さらに問題に対するより明確な対策やアイデアを伴ってすべきことと言われればそうである。ただ、このコロナ禍が近現代まれに見る事態であるがゆえに、ポストコロナ期になってからでは、反動でこれらの問題が一時的に忘れ去られ、そのまま一気に忘れ去られてしまうのではないかとの危惧も持ってしまう。そんなこんなを街角の張り紙から考えながらGWを過ごしている。結局のところ自分の蚊のような微々たる脳ミソもまったく休まらない日々となっている。

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COVID-19のmRNAワクチン、妊婦の安全性に問題認めず/NEJM

 米国疾病予防管理センター(CDC)のTom T. Shimabukuro氏らは、米国の3つのワクチン安全性モニタリングシステムのデータを用いて初期調査を行い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの接種を受けた妊婦において、明らかな安全性の問題は認められなかったことを報告した。ただし、著者は「母体、妊娠および新生児の転帰について情報提供するためには、妊娠初期にワクチン接種を受けた妊婦を含むより多くの妊婦の長期的な追跡調査が必要である」とまとめている。米国ではすでに多くの妊婦がCOVID-19に対するmRNAワクチンの接種を受けているが、妊娠中のワクチン接種の安全性に関するデータは限定的であった。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。3つのワクチン安全性モニタリングシステムのデータを解析 研究グループは、“v-safe after vaccination health checker”サーベイランスシステム(v-safe)、v-safe pregnancy registry、およびワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)の3つのワクチン安全性モニタリングシステムを用い、2020年12月14日~2021年2月28日の期間にワクチンを接種し、かつ妊娠していることが確認された妊婦を対象に解析した。 v-safeは、COVID-19ワクチン接種プログラムのために開発された新しいCDCのスマートフォンによる積極的サーベイランスシステムで、登録は任意となっている。v-safe登録者のうち、妊娠中または受胎前後にワクチン接種を受けた18歳以上の女性を対象に、希望者をv-safe pregnancy registryに登録し、妊娠、出産、乳児について追跡調査を行った。VAERSは、自発的な報告システムで、CDCと米国食品医薬品局(FDA)が運用している。妊婦と非妊婦で有害事象は同程度 v-safeにおいて、16~54歳の3万5,691例が妊婦と確認された。非妊婦と比較して妊婦では、注射部位疼痛の頻度は高かったが、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱の頻度は低かった。 v-safe pregnancy registryに登録された妊婦は3,958例で、このうち妊娠を完了したのは827例であった。827例中、712例(86.1%)が生児出産(このうち98.3%は妊娠第3期にワクチン接種)、104例(12.6%)が自然流産、1例(0.1%)が死産、10例(1.2%)が人工妊娠中絶および子宮外妊娠であった。 新生児の有害アウトカムとしては、早産が9.4%(60/636例)、在胎不当過小児が3.2%(23/724例)、先天異常が2.2%(16/724例)報告されたが、新生児死亡は認められなかった。 また、VAERSに報告された妊娠関連有害事象は221件で、このうち最も多く報告された事象は自然流産(46例)であった。 著者は先行研究の結果等を踏まえて、「直接比較ではないが、COVID-19 mRNAワクチン接種を受け妊娠を完了した妊婦における妊婦/新生児有害事象の発現率は、COVID-19パンデミック前に実施された妊婦を対象とする研究で報告された発現率と同程度であった」と考察している。

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