サイト内検索|page:2

検索結果 合計:2252件 表示位置:21 - 40

21.

コロナワクチン接種を躊躇する理由を大規模解析についてのコメント(解説:栗原宏氏)

特徴・ワクチン接種に関して「どの階層」が「どんな理由で」ためらったかを明らかにし、経時的な変化と実際の接種行動を調査している。・自己申告ではなく、本当に接種したかまでNHSワクチン記録で追跡している。 本調査は、イギリスの一般住民を対象とした大規模COVID-19モニタリングプログラムに参加した成人113万人を対象として、COVIDワクチンに対する態度(ためらいや拒否など)とその後実際にワクチンを接種したかどうかをNHSワクチン記録と照合して分析したコホート研究である。 この研究のポイントは、ワクチン接種への考え方が変化しやすい群と拒否や不信が強く接種に至りにくい群を、理由・属性と併せて定量的に示した点にある。 多変量ロジスティック回帰の結果では、接種を躊躇する傾向が強いのは、若年層(18~24歳)、女性、白人以外の民族(とくに黒人)、社会経済的な不利、低学歴、失業・非労働人口、COVID既感染、うつ病・不安症、喫煙者であった。最終的に接種しなかったことと関連した要因として・学歴が低い・失業・非労働人口・COVID既感染歴・喫煙者・うつ病、不安症などの精神疾患(自己申告)が挙げられている。未接種の理由としては、・ワクチン全般に反対・COVIDの影響が誇張されていると認識している・ワクチン開発者を信頼していない・COVIDは自分にとってリスクではないと感じているといった回答と強く結びついていた。 COVIDワクチンへの躊躇の多くは「効果」「安全性」「長期的影響」に関する具体的な懸念に由来しており、これらは時間経過、情報提供によって解消されやすい。これに対して、「ワクチン全般への拒否感」「COVIDそのものへのリスク認識の低さ」「政府・専門科・情報への不信」を背景にした人たちは最後まで接種しない傾向が強い。 本研究よりも小規模な調査が日本国内でも実施されており、ほぼ同様に若年層や女性、低学歴・低所得・既感染・不信感の強い層では接種に躊躇する傾向が報告されている。イギリスでの調査ではあるが、日本においても属性による経時的な考えの変化があると推測される。ワクチン接種を推奨するに当たり、一律の情報提供では不十分で、理由・属性ごとに「変わりやすさ」が異なることを踏まえた対応が求められる。

22.

RSV感染症とインフルの症状を比較、RSV感染症の重症化リスク因子は?

 RSウイルス(RSV)とインフルエンザウイルスはいずれも下気道感染症の主要な原因であり、冬から春にかけて流行することが多い。従来RSVは主に乳幼児の感染症として認識されてきたが、近年では、高齢者や基礎疾患を持つ人を中心に、成人においても重篤な下気道感染症や合併症を引き起こすとの報告が相次いでいる。こうした背景から、両ウイルスの臨床的特徴や予後への影響を比較した研究が行われた。中国・国立呼吸器疾患臨床研究センター(北京)のRui Su氏らによる本研究の結果は、International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年1月9日号に掲載された。 本研究は北京市の中日友好病院において、呼吸器疾患の流行期(2023年11月1日~2024年1月30日)に実施された。検査でRSVまたはインフルエンザA型の感染が確認され、入院した全成人患者を対象とした。RSV群、インフルエンザ群、両ウイルスの重複感染群の3群に分類し、臨床的特徴、併存疾患、治療法、合併症、転帰などを比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者538例の内訳は、RSV群162例(30.1%)、インフルエンザ群355例(66.0%)、重複感染群21例(3.9%)であった。重複感染群は最も高齢(中央値72歳)で喫煙者の割合が著しく高く(90.5%)、低酸素血症(71.4%)や呼吸困難(76.2%)を呈する頻度が高かった。・RSV群では痰を伴う咳の頻度が高く(62.3%)、インフルエンザ群は発熱(64.8%)および筋肉痛(14.6%)の頻度が高かった。・抗ウイルス療法の実施率はRSV群で最も低かった(24.1%)。一方で、抗ウイルス療法の実施率が最も高いインフルエンザ群において、合併症発症が最も多かった(99.2%)。・人工呼吸器の使用率は重複感染群で最も高かった(42.9%)ものの、全死亡率およびICU入院率では3群間で差を認めなかった。・RSV群の多変量解析では、喫煙(調整済みオッズ比[aOR]:2.61)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(aOR:2.99)、慢性心不全(aOR:3.71)、肺炎(aOR:3.14)が独立した予後不良因子だった。 研究者らは「RSVおよびインフルエンザウイルス感染症は合併症の負担が大きいという共通点はあるが、臨床的特徴はそれぞれ異なっている。COPD、心不全、肺炎を伴うRSV患者はよりリスクが高く、重複感染は人工呼吸器使用頻度の増加など、重症度をさらに深刻化させる。このため、RSVワクチン接種を含む、個別化された予防・治療戦略が必要である」としている。

24.

コロナワクチン接種を躊躇する理由を大規模解析/Lancet

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMatthew Whitaker氏らは、同国の成人約114万人を対象とした大規模コホート研究において、国民保健サービス(NHS)のCOVID-19ワクチン接種記録データとの連携により、ワクチンの接種率や接種躊躇の要因を分析した。接種躊躇の大半は具体的で対処可能な懸念によるものであり、時間の経過や情報提供の充実によって克服可能であることを明らかにした。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効なワクチンが存在したにもかかわらず、パンデミック期間中、英国の一部集団ではワクチン接種を躊躇する傾向が続き、その割合や動機は人口統計学的グループによって異なっていた。著者らは、「今回の知見は、将来のワクチン接種の展開において、ワクチン受容を促進するのに役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年1月12日号掲載の報告。ワクチン接種を躊躇する理由や、ワクチン接種率を分析 研究グループは、まずベースラインでのワクチン接種躊躇について横断分析を行った後、続いて接種躊躇集団におけるワクチン接種率について縦断分析を実施した。 2020年5月1日~2022年3月31日に、NHSリストを用いて英国の一般診療所の登録患者から無作為に抽出した住民を、SARS-CoV-2ウイルス陽性率および抗スパイク抗体陽性率をモニタリングする「Real-time Assessment of Community Transmission:REACT研究(REACT-1およびREACT-2)」に定期的に招待した。参加者は、人口統計学的情報、併存疾患、行動(喫煙、マスク着用など)、COVID-19既往歴、ワクチン接種状況や接種に対する姿勢を含む詳細な調査に、オンラインまたは郵送で回答した。 COVID-19ワクチンの接種を拒否した、拒否する予定である、または接種するかどうか未定であると回答した参加者を「ワクチン接種躊躇集団」と分類した。自己申告では未接種と回答したものの、NHSの記録では接種済みと確認された参加者は、以降の解析から除外した。 主要アウトカムは、横断分析ではワクチン接種躊躇、縦断分析ではワクチン接種躊躇集団のうち調査後にNHSワクチン接種記録との連携に同意した参加者における調査後のワクチン接種であった。 ワクチン接種躊躇の理由はコンセンサスクラスタリング法を用いて分類し、横断分析および縦断分析ではロジスティック回帰モデルを用いてワクチン接種躊躇およびその後の接種の予測因子となる人口統計学的要因を特定した。ワクチン接種躊躇者の65%はその後にワクチンを接種 REACT研究の全参加者435万4,480人のうち、2021年1月6日~2022年3月31日に調査された18歳以上の成人113万7,927人が解析対象となった。 解析対象集団のうち3万7,982人(3.3%)が調査期間中にワクチン接種躊躇を示した。接種躊躇率は2021年1月の調査では7.9%と高かったが、2022年初頭には1.1%まで低下し、その後2022年2月および3月には再び2.3%に増加した。 ワクチン接種躊躇集団のうちNHSのワクチン接種記録との連携に同意した2万4,229人において、1万5,744人(65.0%)は1回以上のワクチン接種を受けていた。 クラスター分析の結果、ワクチン接種躊躇の理由として、有効性や副作用への懸念、COVID-19のリスクが低いとの認識、ワクチン開発者への不信感、ワクチンや副作用への恐怖など、8つのカテゴリーが特定された。有効性や副作用への懸念に関連する最も一般的な接種躊躇カテゴリーは、調査期間中に大幅に減少し、後のワクチン接種との強い関連性は認められなかった。信頼性の低さ、リスク認識の低さ、一般的なワクチン反対感情に関連する一部の接種躊躇形態はより抵抗性が高く、2022年に再燃し、その後のワクチン接種の可能性の低下と強く関連していた。

25.

第297回 前年比20倍を記録!?2025年に最も流行した国内感染症

INDEX2025年に国内で流行した感染症報告件数が増加した感染症ベスト3今年の流行予測は…2025年に国内で流行した感染症2025年も本連載では数々の感染症を取り上げてきたが、そもそも各種感染症の国内動向はどのようになっているのか、ふと気になった。ということで、2025年の各種感染症発生動向について、2024年と単純に比較しやすい全数報告感染症で比較してみた。比較は国立健康危機管理研究機構(JIHS)が発表する感染症発生動向調査週報(IDWR)速報データ第52週までの累計値である。なお、2025年は第52週の最終日が12月28日、2024年は12月29日だが、全体の傾向を見る点では大きな相違はないだろう。2024年比±5%を「不変」、これを超える増減をそれぞれ「増加」「減少」と勝手に定義してみた。以下はその結果だ。画像を拡大するこのうち2024年の報告件数が10例未満のものは、増減が大きく出やすいため、あえて*を付けた。多くはいわゆる輸入感染症である。ただ、このなかで注目すべきは風疹である。2025年の報告件数は11例で、前年の7例からは単純計算で57.1%増となる。しかし、昨年9月26日、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局は、日本が「適切なサーベイランス制度の下、土着株による風疹感染が3年間確認されないこと、または遺伝子型の解析によりそのことが示唆されること」という風疹の排除認定基準を満たしたとして、正式に風疹排除国と認定した。国内での地道な啓発活動などが実を結んだといえるだろう。報告件数が増加した感染症ベスト3では、*の感染症を除き、2024年と比べ、2025年に報告件数が増加した感染症だが、まず第3位は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の191例で、前年比59.1%増で同感染症の年間報告数として過去最多を記録した。SFTSについては過去の本連載でも触れたとおりである。第2位は前年比488.9%増の麻疹の265例であり、これも過去の本連載で触れた。そして2025年に前年比で最も報告件数が増えた“不名誉”な第1位は百日咳である。2025年の累計報告件数は実に8万9,387例。前年が4,054例なので、増加率は2,104.9%と驚異的な数字である。この原因については、さまざまな指摘があるが、複合的な要因とみられる。もっとも私個人が注目しているのは、IDWR第22週の「注目すべき感染症」に記載された百日咳の疫学動向1)である。これを見ると、第21週までの報告件数の58.7%は10代となっている。ざっくりいえば、2006~15年生まれの年代である。日本では1981年から乳児の百日咳ワクチン接種は、副反応の少ない無細胞ワクチンを含む3種混合ワクチン(DTP)が長らく使用されてきた。これが2012年からは不活化ポリオワクチンが加わった4種混合ワクチン(DPT-IPV)、さらに2024年からはこれにインフルエンザ菌b型(Hib)が加わった5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)に変更されてきた。このことを考慮すると、昨年に百日咳が多発した10代は3種混合ワクチンから4種混合ワクチンへの切り替えがあったやや微妙な年代である。しかし、厚生労働省のワクチン接種実施率を見る限りは、この時期のDTPとDPT-IPV実施率(接種率)の合算値は、それほど低い数字とはいえない。一方でこの年齢層に多かった理由の1つとして、「経年によるワクチンの効果減弱」が考えられる。従来から百日咳ワクチンの経年効果減弱を指摘する報告はある。たとえば、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のグループが行ったケースコントロールスタディ2)によると、百日咳ワクチンの有効率は、接種1年以内は80%、接種後1〜3年は84%で維持されるものの、接種4〜7年後は62%、8年以上経過後は41%まで低下すると報告している。この影響を考えれば、10代が百日咳のボリュームゾーンになることはある意味納得できるのだが、免疫減弱がより進行していると思われる20代以降の報告割合が前出のIDWR第21週までの解析で15.2%に過ぎなかったことと、一見すると整合性がないように映る。ただ、一般的に成人の百日咳は軽症で咳が長期間続いても見過ごされることが多いといわれるため、そもそも受診すらしていない可能性が十分に考えられる。その点ではそれほど矛盾は生じていないといえるだろう。今年の流行予測は…一方で、私たちが気になるのは「今年も百日咳の流行が起こるか否か」だ。ちなみにノースカロライナ大学チャペルヒル校のグループによる研究3)では、百日咳罹患による獲得免疫の持続期間は4~20年と報告されており、これを前提にするならば今年は昨年ほどの流行はないとも考えられる。しかし、現時点で公開されている2026年のIDWR第2週までの百日咳の累積報告件数は336例で、前年同期の163例の2倍超となっている点は何とも不気味ではある。これが2025年からの残り火的なものなのか、それともこれから再び本格流行に転じるかは、現時点で何ともいえない。だが、いずれにせよ警戒しておくに越したことはないだろう。 1) 国立感染症研究所:IDWR 感染症週報2025年第22週 2) Schwartz KL, et al. CMAJ. 2016;188:E399-E406. 3) Wendelboeet AM, et al. Pediatr Infect Dis J. 2005;24(5 Suppl):S58-61.

26.

RSVのワクチン接種を受けていた妊婦は約11%/国立成育医療研究センター

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の下気道感染症の主要な原因であり、多大な罹患、入院、医療費の増大を引き起こす。RSV母子免疫ワクチンは近年いくつかの国では公費で提供されているが、わが国では任意接種で高額な自己負担費用がかかるため、実際の接種率や社会経済的背景による差は依然として不明確である。そこで、国立成育医療研究センター社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保 祐輔氏らの研究グループは、妊婦のRSVワクチンの接種率とその決定要因について全国調査を行った。その結果、ワクチン接種を受けていた妊婦は約11%に過ぎないことが判明した。この結果は、Journal of Infection and Chemotherapy誌2026年1月号に掲載された。妊婦のRSVワクチン接種、約9割が費用が高いと回答 研究グループは、2024年7月~2025年8月に出産した女性を対象に全国調査を実施した。質問票では、妊婦のRSVワクチンの接種状況、費用の負担感、ワクチン接種への躊躇に関する5Cモデルを含む関連意識、および人口統計学的特性を評価した。接種率を推定し、多変量修正ポアソン回帰分析を用いて接種に関連する要因を分析した。 主な結果は以下のとおり。・回答者1,279人のうち11.6%が妊婦用RSVワクチンの接種を受けていた。・世帯年収や教育歴が高いほどワクチン接種率が高い傾向が認められた。・関東圏外の地域および経産婦では接種率は低く、不妊治療歴のある妊婦、妊娠中のインフルエンザまたはジフテリア・百日咳・破傷風ワクチン接種歴のある妊婦では高かった。・5C領域では、「自信」と「集団的責任感」が高い接種率と関連し、「計算」は低い接種率と関連していた。・接種者の87.2%が費用を「高い」と評価し、未接種者が接種しなかった理由は「予防効果を知らなかった」(28.9%)と「ワクチンの存在を知らなかった」(27.3%)であり、77.5%が「無料であれば接種をする」と回答した。 研究グループは、「わが国の妊婦向けRSVワクチン接種率は低く、接種率は社会経済的・地域的格差が認められた。主な障壁は認知度の低さと高額な自己負担費用であった。自己負担費用の軽減と医療提供者による推奨の標準化により、接種率向上と不平等緩和が期待される」と結論付けている。

27.

乳児のRSV関連入院予防、ニルセビマブvs.RSVワクチン/JAMA

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の急性下気道感染症(LRTI)による入院の主因とされる。フランス・EPI-PHAREのMarie-Joelle Jabagi氏らは、ニルセビマブ(長期間作用型抗RSVヒトモノクローナル抗体)による受動的乳児免疫は、RSV融合前Fタンパク質(RSVpreF)ワクチン母体接種後の胎盤を介した抗体移行による乳児免疫と比較して、RSV関連入院を抑制し、重度のアウトカムのリスク低下をもたらすことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年12月22日号に掲載された。フランスのコホート研究 研究グループは、乳児のRSV関連入院の予防におけるニルセビマブによる受動免疫の有効性の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(EPI-PHAREなどの助成を受けた)。解析には、フランスのほぼ全住民の個別データを含むフランス全国保健データシステム(SNDS)のデータを使用した。 RSVpreFワクチンの母体接種は、RSV流行期である2024年9月1日~12月31日にフランス本土で出生した乳児を対象に、妊娠32~36週に実施した。ニルセビマブによる乳児への受動免疫は、退院の前に単回の筋肉内投与で行った。これら2群(RSVpreFワクチン群、ニルセビマブ群)の乳児を、産科病棟退院日、性別、在胎週数、居住地域により、1対1の比率でマッチさせ追跡評価した。 主要アウトカムは、RSV関連のLRTIによる入院とした。 合計4万2,560人の乳児(平均日齢3.7[SD 1.4]日、男児51.7%)を登録した(各群2万1,280人)。母親の出産時年齢中央値は、ニルセビマブ群でわずかに若かった(31歳vs.32歳)。追跡期間中央値は84日(四分位範囲:70~99)だった。ほとんどが細気管支炎で入院 RSV関連のLRTIによる入院(主要アウトカム)は481例で発生した。RSVpreFワクチン群が269例(55.9%)であったのに対し、ニルセビマブ群は212例(44.1%)と有意に少なかった(群間差:-11.8%、95%信頼区間[CI]:-18.1~-5.5、p<0.001、補正後ハザード比[HR]:0.74、95%CI:0.61~0.88)。 全体の入院時の平均日齢は38.9(SD 22.2)日であった。入院の原因となったRSV関連LRTIのほとんどが細気管支炎(464例、96.5%)で、気管支炎(13例)や肺臓炎(4例)はわずかだった。入院期間中央値は両群とも5日であった。 また、RSVpreFワクチン群に比べ、ニルセビマブ群は重度のアウトカムのリスクが低かった(小児集中治療室[PICU]入室:25.9%vs.37.5%、p=0.007、補正後HR:0.58[95%CI:0.42~0.80]、酸素療法:18.4%vs.28.3%、p=0.01、0.56[0.38~0.81]、人工呼吸器:24.1%vs.33.1%、p=0.03、0.57[0.40~0.81])。これは、ニルセビマブにより入院後の疾患進行が抑制されたことを示唆する。ECMO、NO吸入の使用はない 非侵襲的換気(ニルセビマブ群24.1%vs.RSVpreFワクチン群32.0%、p=0.06)や侵襲的換気(0.9%vs.1.5%、p=0.59)の頻度は、両群間に差はなかった。また、体外式膜型人工肺(ECMO)や一酸化窒素吸入療法は使用されなかった。院内死亡の報告はなかった。 サブグループ解析や感度分析は、これら主解析の結果と一貫性を示した。なお、本研究では、安全性の評価は行っていない。 著者は、「追跡期間中にニルセビマブ群で観察されたリスク低減は、RSVpreFワクチン群における母体由来抗体の減衰、あるいは初期の抗体値の不足を反映している可能性がある」「これらの結果は、RSVpreFワクチンの有効性を否定するエビデンスと解釈すべきではない。接種の条件や環境によっては、ワクチンがより現実的な場合があり得る」「本試験の知見は、フランス本土において、これらの免疫戦略を用いた最初のRSV流行期の状況を反映しており、今後の研究では、この戦略の再評価を行う必要がある」としている。

28.

HPVワクチンは1回接種で十分な有効性がある可能性(解説:前田裕斗氏)

 本研究はコスタリカで12〜16歳の女子2万330人を対象とし、2価および9価HPVワクチンの1回接種が2回接種に対して非劣性かを検証した二重盲検RCTである。5年間の追跡の結果、2価・9価ワクチンいずれにおいても1回接種は2回接種に対して非劣性であり、HPV16/18型に対するワクチン有効率は全群で97%以上であった。この結果は試験開始後0、6ヵ月目の検査両方でHPV陰性であった人のみを新規感染の評価対象とした場合である。試験に組み入れられた女子のうち約13.2%が登録時点ですでに性的活動を開始していたと報告されており、これらの女子を含めた解析でもすべての群で92%以上の有効性を示していた。 日本において本研究結果を適用するためには、当然まず日本人における短期間の有効性について検討が必要である。一方で日本は勧奨接種が中止されていた時期があったこともあり接種率が依然低いことから、1回接種により免疫が十分つく可能性が示唆されたのは大変心強い結果といえるだろう。

29.

HPVワクチン、導入からの17年間で集団レベルでの高い有効性と集団免疫を確認

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが初めて導入された2006年から17年が経過した2023年までの調査を解析した結果、性交渉の経験がある若年女性においても、1回でも接種していれば、集団レベルでの高い有効性と明確な集団免疫が認められることが、「JAMA Pediatrics」に9月29日掲載された研究で明らかにされた。 米シンシナティ小児病院医療センターのAislinn DeSieghardt氏らは、2006年から2023年までに実施された6回の横断的な調査のデータを用いて、性交渉経験のある13〜26歳の若年女性2,335人(平均年齢18.9歳)を対象に、ワクチンの有効性および集団免疫について評価した。これら6回の調査は、2006〜2007年、2009〜2010年、2013〜2014年、2016〜2017年、2018〜2021年、および2021〜2023年に実施された。16および/または18型の感染を2価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18型のうち1種類以上の感染を4価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18・31・33・45・52・58型の1種類以上の感染を9価ワクチンのタイプの感染とそれぞれ見なし、接種者(1回以上接種)を未接種者と比較することでワクチンの有効性と集団免疫を評価した。各調査回の参加者の背景の違いは、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて調整した。 2,335人の参加者のうち1,195人(51.2%)に性感染症の既往があり、1,843人(78.9%)は、これまで性的パートナーとして経験した男性の数が2人以上だった。2006年から2023年にかけて、ワクチン接種率は371人中0人から402人中330人(82.1%)に増加した。接種者における傾向スコアで調整した各タイプのHPV陽性率は、2価ワクチンでは2006年の27.7%から2023年の0.4%へ、4価ワクチンでは35.4%から2.1%へ、9価ワクチンでは48.6%から11.8%へ、それぞれ減少した。同様に、未接種者における陽性率も、25.8%から7.3%、25.3%から6.1%、42.7%から31.1%にそれぞれ減少した。ロジスティック回帰モデルにより、2価および4価ワクチンのタイプの感染を起こす調整オッズ比(aOR)を推定したところ、全体では0.03(95%信頼区間〔CI〕0.01〜0.07)および0.06(同0.03〜0.10)、接種者では0.01(同<0.01〜0.05)および0.04(同0.02〜0.08)、未接種者では0.23(同0.08〜0.63)および0.19(同0.07〜0.52)と、いずれも有意な低下が見られたが、低下の幅は接種者の方が大きかった。9価のタイプの感染では全体(aOR 0.22、95%CI 0.16〜0.31)および接種者(同0.14、0.09〜0.21)において有意な低下が見られた。 論文の共著者の一人である米アルバート・アインシュタイン医科大学のJessica A. Kahn氏は、「今回の結果から、性交渉経験があり、かつ3回接種を完了していない若年女性においても、HPVワクチンは感染を予防できる力があると思われ、究極的にはこの世界から子宮頸がんを撲滅できるのではないかと考えている」と述べている。 なお、一人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報、2人の著者が関連特許を保有していることを明らかにしている。

30.

妊娠前・中のコロナワクチン接種、母体の重症化および早産リスク低下/JAMA

 妊娠前および妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の診断前)は、変異株の流行時期にかかわらず母体の重症化リスクおよび早産リスクの低下と関連することが、カナダで行われたサーベイランスプログラムで示された。同国ブリティッシュ・コロンビア大学のElisabeth McClymont氏らCANCOVID-Preg Teamが報告した。COVID-19およびワクチン接種が妊娠アウトカムに及ぼす影響については、知見が不足していた。JAMA誌オンライン版2025年12月15日号掲載の報告。COVID-19関連入院、CCU入室および早産のリスクを解析 研究グループは、カナダのサーベイランスプログラム「CANCOVID-Preg」を用い、9つの州・準州にて2021年4月5日(デルタ株流行期開始およびカナダにおける妊娠中ワクチン接種推奨開始日)~2022年12月31日に診断されたSARS-CoV-2感染妊婦およびその乳児を特定し、2023年まで母体・周産期アウトカムの追跡調査を実施した。 主要アウトカムは、COVID-19関連入院、クリティカルケアユニット(CCU)入室および早産で、ワクチン接種の有無で分類して解析した。ワクチン接種で、入院、CCU入室および早産のリスクが低下 特定されたSARS-CoV-2感染妊婦2万6,584例のうち、ワクチン接種状況が判明していた1万9,899例が解析対象となった。大半は30~35歳(46.3%)および白人(55.9%)で、1万4,367例(72%)はCOVID-19診断前に少なくとも1回ワクチンを接種しており、未接種は5,532例(28%)であった。 ワクチン接種例のうち、80%(1万1,425例)は妊娠前に、20%(2,942例)は妊娠中に接種を受けており、接種からCOVID-19診断までの期間の中央値は18週(四分位範囲:11~25)であった。また、全対象のうち6,120例はデルタ株流行期、1万3,799例はオミクロン株流行期の症例であった。 ワクチン接種はCOVID-19関連入院リスクの低下と関連していた。デルタ株流行期における入院率は、ワクチン接種者4.8%、未接種者13.5%で、相対リスク(RR)は0.38(95%信頼区間[CI]:0.30~0.48)、絶対リスク差(ARD)は8.7%(95%CI:7.3~10.2)であった。オミクロン流行期ではそれぞれ1.5%と5.3%、0.38(0.27~0.53)、3.8%(2.4~5.2)であった。 CCU入室も同様の傾向を示し、デルタ株流行期ではRRは0.10(95%CI:0.04~0.26)、ARDは2.4%(95%CI:1.8~2.9)であり、オミクロン株流行期ではそれぞれ0.10(0.03~0.29)、0.85%(0.27~1.44)であった。 早産率は、ワクチン接種者(7.2%)と比較し未接種者(9.6%)で有意に高かった。デルタ株流行期ではRRは0.80(95%CI:0.66~0.98)、ARDは1.8%(95%CI:0.3~3.4)であり、オミクロン株流行期でそれぞれ0.64(0.52~0.77)、4.1%(2.0~6.2)であった。 多変量解析の結果、併存疾患を補正後もワクチン接種は両変異株流行期においてCOVID-19関連入院リスクの低下と関連していた。ワクチン接種者と比較し未接種者の補正後入院RRは、オミクロン株流行期で2.43(95%CI:1.72~3.43)、デルタ株流行期で3.82(2.38~6.14)であった。

31.

ナーシングホームでの感染症対策に関する新ガイダンスが公表される

 高齢者や病気からの回復期にある人、あるいは長期的な健康問題を抱えて暮らす人が多いナーシングホームでは、感染症が大きな懸念事項となっている。薬剤耐性菌、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどは、このような環境では急速に広がり、入居者の命を脅かす可能性がある。 こうした中、2008年に発行された、ナーシングホームにおける感染予防・管理(IPC)に関する国の推奨事項に代わるものとして、米国医療疫学学会(SHEA)や米国感染症学会(IDSA)など5つの主要学会や専門団体が共同で作成・承認した新しいガイダンスが、「Infection Control & Hospital Epidemiology」に10月28日公表された。 ガイダンスの筆頭著者である米ミシガン・メディシンの老年医学専門医であるLona Mody氏は、「ナーシングホームでの感染予防に特効薬はない。われわれが推奨する介入は全て複数の要素から成っている。全体的な効果は部分の総和よりも大きいからだ」とニュースリリースで述べている。 このガイダンスでは、重要な変更点の一つとして、全てのナーシングホームに感染予防を専門で担う職員を少なくとも1人配置することを求めている。規模が大きな施設の場合、この役割を担う職員が複数必要になる可能性がある。 また、以下のような取り組みも推奨されている。・臨床スタッフの教育を継続的に行うこと。・職員・患者・訪問者に対してワクチンの重要性を教育し、接種を受けやすい環境を整えること。また、清掃員やIT担当者などの医療従事者以外のスタッフを、手指衛生などの感染予防活動に参加させること。・感染症例が出た場合には、地域の病院や公衆衛生機関との連携を強化すること。・感染拡大時でも、訪問や社会的な活動、ケアやリハビリを含む日常的な活動を許可し、その間に患者、スタッフ、訪問者を保護するための予防措置を講じるなど、ナーシングホームの「家庭」としての側面を維持し、感染を予防しながら入居者の社会的孤立を防ぐこと。 さらにガイダンスでは、「スーパーバグ」と呼ばれる多剤耐性菌(MDRO)が増大し、問題となっていることを強調している。研究によれば、これらの細菌は病院からナーシングホームまで患者とともに移動するケースが多く、個室を越えて共有のジムや食堂にまで広がる可能性があるという。 Mody氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、ナーシングホームが医療制度にとっていかに重要か、また、適切な保護措置が取られなければ入居者がいかに脆弱になり得るかが明らかになった。入院患者をナーシングホームに入居させれば全てがうまくいくと考えるわけにはいかない。ナーシングホームの中でも、入居者を保護することが必要だ」と強調している。 現在、多くの患者は、入院後すぐにナーシングホームに入居するようになり、これまで以上に複雑なケアが必要とされている。それに伴い、感染症のリスクも高まっている。Mody氏は、「感染症を防ぐことは患者とスタッフ双方にとって正しいことであり、長期的にはコスト削減にもつながる」と述べている。

32.

CKD高齢者への高用量インフルワクチン、肺炎などの入院を減少

 高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの入院予防効果を検証したDANFLU-2試験の結果、高用量インフルエンザワクチンは標準用量と比較してインフルエンザまたは肺炎による入院を有意に低下させなかったことが報告されている。今回、事前に規定された慢性腎臓病(CKD)の有無別のサブグループ解析において、CKD患者では高用量インフルエンザワクチンがインフルエンザまたは肺炎による入院リスクを有意に低下させたことを、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のKatja Vu Bartholdy氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2025年12月23日号掲載の報告。 DANFLU-2試験は、デンマークの直近3回のインフルエンザ流行期(2022~23年、2023~24年、2024~25年)に、65歳以上の高齢者を高用量または標準用量の4価インフルエンザ不活化ワクチンの接種を受ける群に無作為に割り付けた非盲検ランダム化比較試験。主要エンドポイントはワクチン接種後14日目から翌年5月31日までに発生したインフルエンザまたは肺炎による入院の割合で、副次エンドポイントはインフルエンザによる入院・肺炎による入院・心肺系疾患による入院・あらゆる入院・全死因死亡であった。事前に規定されていたサブグループ解析として、CKDの有無による相対ワクチン有効率を評価した。 主な結果は以下のとおり。・DANFLU-2試験に参加した33万2,438例(平均年齢73.7±5.8歳、女性48.6%)のうち、4万6,788例(14.1%)がベースライン時にCKDを有していた。そのうち2万3,486例が高用量群、2万3,302例が標準用量群に無作為に割り付けられた。・主要エンドポイントである肺炎またはインフルエンザによる入院は、CKD集団では4万6,788例中708例(1.5%)、非CKD集団では28万5,641例中1,640例(0.6%)に発生した(リスク比:2.6、95%信頼区間[CI]:2.4~2.9)。CKD集団ではすべての副次エンドポイントのリスクも高かった。・CKD集団における肺炎またはインフルエンザによる入院に対する相対ワクチン有効率は16.9%(95%CI:3.4~28.5)だったのに対し、非CKD集団では0.6%(95%CI:-9.6~28.5)であった(相互作用のp=0.046)。・CKD集団におけるインフルエンザまたは肺炎による入院の絶対リスクは、高用量群で1.3%、標準用量群で1.7%であり、絶対リスク減少率は-0.29%(95%CI:-0.50~0.058、治療必要数[NNT]=359)であった。・インフルエンザによる入院に限ると、CKD集団における高用量インフルエンザワクチンの相対ワクチン有効率は68.6%(95%CI:46.7~82.3、NNT=561)で大きな効果が認められたのに対し、非CKD集団では30.6%(95%CI:7.2~48.3、NNT=3,953)であった(相互作用のp=0.0079)。・心肺系疾患、心血管疾患、心不全、検査で確認されたインフルエンザによる入院については、CKDの有無による効果の差は認められず、同様の効果が示された(すべての相互作用のp>0.05)。 これらの結果より、研究グループは「DANFLU-2試験のCKD患者を対象とした事前規定のサブグループ解析において、高用量インフルエンザワクチンは標準用量と比較してインフルエンザまたは肺炎による入院、およびインフルエンザによる入院を減少させた。これらの結果は、リスクの高い集団において、高用量インフルエンザワクチンが標準用量よりも臨床的に意義のあるベネフィットを有することを示唆している」とまとめた。

33.

新生児に対するビタミンK投与を拒否する親が増加傾向

 米国では、1961年に全ての新生児に対するビタミンKの筋肉内投与が開始されて以来、ビタミンK欠乏性出血症がほぼ解消された。ビタミンKは、血液凝固を助ける目的で投与される薬剤であり、ワクチンではない。しかし新たな研究で、近年、新生児へのビタミンK注射を拒否する親が増えていることが明らかにされた。研究グループは、注射の拒否により新生児が深刻な出血リスクにさらされる可能性があると警告している。米フィラデルフィア小児病院の新生児専門医であるKristan Scott氏らによるこの研究結果は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」に12月8日掲載された。 この研究でScott氏らは、2017年から2024年の間に米国50州にある403カ所の病院で、妊娠35〜43週で生まれた509万6,633人の新生児の医療記録を調べた。その結果、全体の3.92%に当たる19万9,571人がビタミンKの注射を受けていないことが明らかになった。注射を受けていない新生児の割合は、2017年の2.92%から2024年の5.18%へと有意に増加しており、特に新型コロナウイルス感染症パンデミック以降に急増していた。この結果についてScott氏は、「増加自体は驚くことではないが、増加の大きさには驚いた」とNBCニュースに語っている。 新生児のビタミンK体内濃度は非常に低い。米疾病対策センター(CDC)によると、ビタミンKの投与を受けない場合、危険な出血を起こす可能性が80倍以上高くなるという。出血は、生後6カ月までの間にあざや内出血などの形で現れる可能性があり、最も重篤な場合には障害や死亡につながる脳出血が生じることもある。 このことを踏まえてScott氏は、「われわれは、出血リスクのある新生児の集団を作り出しているに等しい。本当に心配なのは脳出血、つまり脳卒中だ。脳出血が起こると、最終的には死に至る可能性がある」と話している。 専門家らは、オンライン上の誤情報やビタミンK注射とワクチンの混同が、こうした傾向の根底にあるのではないかと疑っている。この研究には関与していない米テキサス小児病院の新生児科医であるTiffany McKee-Garrett氏は、「親は、ビタミンK注射をワクチン接種と同等に捉えている」とNBCニュースに語っている。 一部の国では、新生児に経口ビタミンKを投与している。しかし医師らは、経口ビタミンKは信頼性が低く、場合によっては複数回投与する必要があるのに対し、ビタミンKの注射は1回の投与で効果があるとしている。 米NYC Health + Hospitalsの新生児科医であるIvan Hand氏は、「ビタミンK欠乏性出血症は予防可能であり、そもそも発生していること自体が問題だ」と話す。医師らは、現状のようなビタミンK投与が拒否される状態が続けば、出血イベントの発生数が増加する可能性が高いとの見方を示している。Hand氏は、「ビタミンK投与は極めて効果的であるが、人々はそのことを十分に理解していない。重度の出血を起こした乳児を見たことがないため、そのようなことは起こらないと思っているのだ。しかし、それが見られないのは、われわれがそうした乳児の治療をしているからだ」と話している。

34.

mRNAインフルエンザワクチンが「速い」「安い」「確実」を実現するかもしれない(解説:栗原宏氏)

革新性 不活化ワクチンの鶏卵由来のタイムラグと変異(卵馴化)を克服し、流行株に「ジャストフィット」させる可能性を示した。臨床的意義 A型流行下において既存ワクチンに勝る有効性を実証。1シーズン限定だが、mRNAのポテンシャルを証明した。普及の壁 不活化ワクチンより高い副反応(発熱など)の受容性。とくに「病気を防ぐためのワクチンで発熱する」ことへの心理的抵抗。今後の焦点 重症化リスクの高い高齢者・基礎疾患保有者でのデータ。およびB型株に対する改良。 不活化ワクチンの生産は、鶏卵への接種からワクチン原液の製造まで約6ヵ月を要し、従来のインフルエンザワクチンは次シーズンに流行する株を予測して生産するという、いわば「博打」のような状況である。それに加えて卵馴化による変異を起こすという不確定要素もある。実際に、過去10年をみると2014-15シーズンは予測したワクチン株と実際の流行株でミスマッチとなり、ワクチンの効果がかなり小さかったとされている。 一方、mRNAワクチンは遺伝子配列から化学合成が可能であり、約1ヵ月程度で製造が可能とされている。流行直前まで見極めることで、精度の高いワクチン生産が可能になると推測される。理論上のmRNAワクチンの有意点に対し、実際の調査においても1シーズンのみではあるが、既存の不活化ワクチンに対する非劣性、優位性を示した意義は大きいと思われる。 今後のmRNAワクチンの普及を考えるうえでは、軽症・中等症かつ一過性ながら既存のワクチンよりも副反応が多かった点が問題になるかもしれない。最も頻度の高い全身性イベントは倦怠感と頭痛とされ、発熱(≦40.0℃)に関してはmRNAワクチン群で5.6%、対照群で1.7%と4倍ほど多かった。とくに健康な若年世代にとっては、ワクチン自体でインフルエンザのような症状が出て、日常生活に支障が出るとすればワクチンのメリットが感じにくいかもしれない。 本調査の対象は、年齢18~64歳の健康な成人であるため、実際に最も問題となる高齢者、基礎疾患を有する患者での調査結果が待たれる。インフルエンザBでは非劣性を示せていないが、B型ウイルス特有のタンパク質構造が、mRNAワクチンによる免疫誘導と相性が悪かったためと分析されており、今後の改良が期待される。

35.

子宮頸がん検診の選択肢に自己採取HPV検査を支持/米国がん協会

 子宮頸がんの定期検診の新たな選択肢に自己採取によるヒトパピローマウイルス(HPV)検査が加わることが、「CA: A Cancer Journal For Clinicians」に12月4日に発表された米国がん協会(ACS)の改訂ガイドラインで示された。専門家らは、膣鏡診なしで女性が自分で検体を採取できる検査を選べるようになることで、一般女性の検診に伴うストレスの軽減につながる可能性があるとの見方を示している。 米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター行動科学准教授のJane Montealegre氏は、「HPVのスクリーニングは、子宮頸がんのスクリーニングを意味している。これは女性の選択肢を広げることにつながる」と米NBCニュースに対して語った。 子宮頸がんのほとんどは、HPVが原因とされている。HPVは子宮頸がんを強く予測する要因であるため、現在は従来のパップテスト(細胞診)よりもHPV検査の方がスクリーニング方法として優先されている。 米国では2024年以降、米食品医薬品局(FDA)により3種類の自己採取HPV検査が承認されている。このうち2つは医療機関で膣スワブを用いて行うもの、残る1つは自宅で採取した検体を検査機関に郵送する検査である。米国では、検診とHPVワクチンの普及により子宮頸がんの発症率は数十年にわたって低下している。それでも、2022年に「JAMA Network Open」に掲載された研究によると、20%以上の女性が最新の検診を受けていない。 ACSがん早期発見部門の疫学者でシニア・バイス・プレジデントであり、今回発表された改訂ガイドラインの上席著者でもあるRobert Smith氏は、NBCニュースに対し、「自己採取による検査では、女性は、渡されたキットを使って診察室やトイレなど好きな場所で自分の検体を採取できる」と説明している。 医療従事者の採取による検査の場合には、HPV検査を5年ごとに受け、陽性の場合は追加検査を受けることが、ACSと米予防医学専門委員会(USPSTF)により推奨されている。一方ACSは、平均的なリスクの女性であれば、FDAによる承認を得た方法による自己採取HPV検査を受け、結果が陰性であれば3年ごとに検査を受けることを支持している。また、HPV検査を従来のパップテストと組み合わせて3年ごと、または5年ごとに行う方法も提示されている。 ACSとUSPSTFの推奨内容の違いは、HPV検査の開始年齢である。ACSでは25歳から開始することを推奨しているが、USPSTFでは30歳からの開始とし、21~29歳ではパップテストのみによる検診を3年ごとに受けることを推奨している。保険適用は、医療保険制度改革法(ACA)のもとで継続される見込みで、専門家らは医療機関で行われる自己採取検体も対象に含めるべきだとの見方を示している。 今回改訂されたACSのガイドラインでは、検診をいつまで受けるべきかについても明確な時期が示されている。それによると、65歳以上の平均的なリスクの女性は、60歳と65歳に受けたHPV検査がともに陰性であるか、または同じ年齢で実施したHPV検査とパップテストの併用検査がともに陰性であれば、子宮頸がん検診を中止してもよいとされている。 Smith氏は、「65歳まで定期的に検診を受けることの重要性について明確な推奨があるにもかかわらず、実際に受けている女性は極めて少ない。子宮頸がん検診をやめても安全であることを示す65歳までの記録が必要であることを女性たちに認識してもらうことが重要だ」と話している。 一方、今後、さらに検査間隔が延長される可能性があるとの見方を示す研究者もいる。米ミシガン大学産婦人科学・家庭医学教授のDiane Harper氏は、NBCニュースの取材に対し、「ワクチン接種率が高い集団では10年ごとの検査でも十分であるというデータがあるが、米国はその点で後れをとっている」と話している。

36.

HIV、免疫療法により抗ウイルス薬を中断可能か

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長期的なコントロール、そして将来的には治癒につながる可能性に期待が高まる研究結果が報告された。HIV感染者10人を対象にした研究において、数カ月にわたる免疫療法の後に抗レトロウイルス療法(ART)を中断したところ、6人の患者で数カ月が経過してもウイルスが緩やかにしか増加せず、1人では18カ月以上にわたりウイルス抑制が維持されたことが示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部教授のSteven Deeks氏らによるこの研究結果は、「Nature」に12月1日掲載された。 世界保健機関(WHO)によると、HIV感染者数は世界中で約4000万人に上る。ARTは非常に効果的だが、生涯にわたって薬を服用する必要がある。この研究では、ARTを受けている10人のHIV感染者に対して、次の3段階の免疫療法が実施された。まずHIVのGag保存エレメント(CE)を標的としたDNAワクチンにIL(インターロイキン)-12を併用して初回接種(プライム)を行った後にMVAワクチンでブースト(強化)。次いで、ART継続中に2種類の広域中和抗体bNAb(10-1074、VRC07-523LS)とToll様受容体〔TLR〕9作動薬を投与。最後に、ART中断時に再びbNAb投与するというものであった。 2022年の動物実験では、同様の治療法を受けたサルのほとんどでサル版のHIVを抑制できたことが報告されている。この研究を率いた米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのDan Barouch氏は、「この手法は、ウイルスに対する免疫学的制御を強化すれば、ART中止後のウイルスの再増殖を防いだり遅らせたりできる可能性があるという考えに基づいている」と説明している。 Deeks氏は、「この結果は刺激的であり、30年にわたって治療中断の研究を続けてきた私にとっても、これまでに類を見ない予想外の結果だった」とワシントン・ポスト紙に語っている。他の専門家も、この研究結果には期待が持てることに同意しているが、対照群を使ったさらなる研究が必要だと指摘している。メルボルン大学(オーストラリア)ドハティ研究所所長のSharon Lewin氏は、「この研究結果に非常に興奮している。小規模研究ではあるが、この分野に新たな方向性を与えるだろう。それは、この分野が切実に求めているものだ」と同紙宛てのメールの中で述べている。 今回の研究参加者の1人であるTom Perraultさん(60歳)は、研究参加前の2005年からHIV治療薬を毎日服用していた。ワシントン・ポスト紙の報道によると、Perraultさんは本研究の治療を受けた後、2021年7月に毎日の薬の服用を中止した。Perraultさんは、「7月も、8月も、9月も、10月も、ウイルスが増殖することはなかった。ふと、『自分の体がウイルスを抑えている。治療がうまくいっているんだ。これは、研究者の予想を上回る結果だ』と思った」と同紙に語っている。 その後、秋にウイルスの再増殖が認められたが、この経験が彼に希望を与えた。Perraultさんは、「あのときに感じた感動の深さに驚いた。突然、希望を抱く勇気が湧いてきた。誰だって、希望は持ちたいものだ。もしこの治療法が現実となれば、世界にとってどれほど素晴らしい贈り物になることか」と語った。 本研究ではまた、ART中止後にウイルスが再び増え始めた際、早い段階で活性化したCD8陽性T細胞の増加量が多かった参加者ほど、ピーク後のウイルス量が低く抑えられていたことが示された。論文の上席著者であるUCSFのRachel Rutishauser氏は、「これらの人の体内では、ウイルスが出現するとすぐにCD8陽性T細胞が対応する準備ができていたということだ」と説明している。同氏は、「われわれは、これが臨床で導入すべき治療法だと主張しているわけではない。この研究を踏まえ、次に考えるべきは、T細胞をどうすればさらに強化できるのかということだ」と強調している。

37.

ワクチン接種率の低下により世界で麻疹患者が急増

 世界保健機関(WHO)は11月28日、麻疹(はしか)排除に向けた世界の進捗状況をまとめた報告書を発表した。それによると、2000年から2024年の間に、世界の麻疹による死亡者数は88%減少し、およそ5800万人の命が救われた。一方で、かつて麻疹排除を目前にした国々で再び感染が広がっている事実も明らかにされた。これは、麻疹ワクチンの定期接種を受けていない小児が増えていることを示唆している。報告書では、「世界的な麻疹排除の達成は、依然として遠い目標だ」と指摘されている。 2024年には、米州を除く全てのWHO地域(アフリカ、南東アジア、欧州、東地中海、西太平洋)の59カ国で麻疹の大規模または深刻な流行(アウトブレイク)が59件発生した。これらのうち、23件(39%)がアフリカ地域、20件(34%)が欧州地域、10件(17%)が東地中海地域、5件が西太平洋地域、1件が南東アジア地域で報告された。麻疹のアウトブレイク数は、2021年には21件、2022年には37件であり、2024年のアウトブレイク数は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生以降では最多で、2003年以来2番目に多かった。 WHOは、麻疹ワクチンの定期接種や感染監視体制がパンデミック以降、十分に回復していないことが、これまでの成果を危うくしていると警告している。 米国は2000年に麻疹排除を達成した。これは、「12カ月間以上、伝播を継続した麻疹ウイルス(国内由来、国外由来を問わず)が存在しない状態」と定義されている。しかし、米疾病対策センター(CDC)は今年、1,798件の麻疹確定症例を報告した。これは、排除達成以降で最多である。WHOは現在、米国やカナダをはじめ、かつて麻疹排除を達成したにもかかわらず感染が再燃している国々を注視している。 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、「麻疹ウイルスは、依然として世界で最も感染力の強いウイルスだ。有効で低コストのワクチンがあるにもかかわらず、ウイルスは接種率のすき間を突いて広がる」とCNNに対して語っている。 WHOで予防接種プログラムを統括するDiana Chang Blanc氏によると、2024年に麻疹ウイルスに対する免疫が十分でなかった小児は、世界で3000万人以上に上ったという。2024年の世界全体での麻疹ワクチンの初回接種率は84%であり、ワクチンの効果を95%まで高めるために必要な2回目の接種率は76%でしかなかった。 一方で、前進も見られている。今年、カーボベルデ、セイシェル、モーリシャスがアフリカ地域で初めて麻疹排除を達成した。さらに、太平洋地域の21の島嶼国では、麻疹と風疹の両方の排除を達成した。 Blanc氏は、「麻疹排除に向けて確かな進展があるのは事実だ。それでも、症例数と死亡者数は今なお容認できないほど高水準だ」と話す。同氏は、麻疹による死亡はワクチンの2回接種を受けることで全て予防可能であることを強調する。 WHOによると、接種率低下の背景には、パンデミック中の接種機会の喪失やワクチンに関する誤情報、紛争地域などワクチンを届けることが困難な地域の存在、資金減少が要因だとしている。さらにWHOは、麻疹・風疹実験室ネットワークへの支援縮小など、近年のグローバルヘルス分野における資金削減により免疫ギャップが拡大し、今後さらに大規模なアウトブレイクが発生する可能性があると警告している。

38.

化学療法中のワクチン接種【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第6回

化学療法中のがん患者は、化学療法の影響や原疾患により免疫力が低下しているため、感染症に罹患しやすく重症化しやすい傾向があります。国内のガイドラインやASCOガイドラインおいても、がん患者の治療やケアにおいて適切なワクチン接種がもたらす良い影響が述べられています。今回は固形がん化学療法中の患者を想定した、5つの主なワクチンの特徴や効果、推奨される接種時期についてお話しします。1)インフルエンザワクチン背景がん患者がインフルエンザに罹患した場合、死亡のリスクが高いことが複数の研究から報告されています。とくに肺がんや血液腫瘍患者はより重症化するリスクが高いことが知られています。インフルエンザワクチンは、A型(H3N2・H1N1)とB型の3株を含む混合ワクチンであり、世界的流行株とWHO推奨株に基づき毎年選定されるため、毎年の接種が推奨されます。健康な人における有効性は70~90%程度とされていますが、流行株との一致度により変動します。予防効果と安全性複数の研究から、血清学的な反応は健康な人と比較して劣る可能性はあるものの、予防医学的な意義は明らかであることがメタアナリシスにより示されています。近年、高用量インフルエンザワクチン(商品名:エフルエルダ筋注)が承認され、米国では65歳以上のがん患者に高用量ワクチン接種が推奨されています。化学療法中のインフルエンザワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。注意点リツキシマブやオファツムマブ、オビヌツズマブなどの治療後は、少なくとも半年間はワクチン効果が期待できない可能性があります。また、免疫抑制薬を服用中の患者でも効果が低い場合があります。接種時期インフルエンザワクチンは10~12月までの接種が推奨されています。化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種するのが理想ですが、治療中に流行期を迎える場合は接種時期を調整する必要があります。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。2)肺炎球菌ワクチン背景日本の成人市中肺炎では、肺炎球菌が最も頻度の高い起炎菌です。65歳以上や糖尿病・心不全などの基礎疾患を有する場合には、重症感染症を起こしうるため、肺炎球菌ワクチン接種が推奨されています。国内データでは、侵襲性肺炎球菌感染症の死亡率は約19%と高く、患者の約7割は65歳以上です。また、固形がん患者や脾摘患者が肺炎球菌感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが高いことが報告されています。予防効果と安全性肺炎球菌ワクチンによる抗体価の上昇は、化学療法中であっても健康な人と同等であると報告されています。化学療法中の肺炎球菌ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。ワクチンの特徴ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス[PPSV23]:定期接種)と結合型ワクチン(キャップバックス[PCV21]、プレベナー20[PCV20]、バクニュバンス[PCV15])の2種類があります。免疫力をつける力(免疫原性)はPCV21/20/15のほうがPPSV23より高いです。日本ワクチン学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会では、がん患者へのPCV20の1回接種もしくはPCV15とPPSV23の連続接種を推奨しています。画像を拡大する接種時期肺炎球菌感染症は1年を通して発生するため、季節を問わず接種が可能です。化学療法開始前(少なくとも2週間前)に接種、もしくは化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。3)帯状疱疹ワクチン背景水痘帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス3型)初感染は水痘として発症し、感染後に後根神経節に不活性状態で長期間潜伏します。その後、加齢・疲労・病気などで免疫が弱まるとウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症します。症状は片側に帯状に広がる発疹と刺すような痛みが典型的で、約10%の症例で帯状疱疹後神経痛が発生し、QOLを低下させる原因になります。免疫不全のない患者と比較して、固形がん患者は約5倍、血液がん患者は約10倍帯状疱疹の頻度が高いことが報告されています。画像を拡大する安全性化学療法中の帯状疱疹ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。生ワクチンは、免疫低下患者(がん薬物療法中やステロイド使用中)には接種不可です。接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。4)新型コロナ(COVID-19)ワクチン背景がん患者はCOVID-19に罹患すると重症化しやすいため、ワクチン接種の利益は大きいです。そのため、基本的には接種を検討すべきとされています。ただし、がんの種類や治療内容、免疫状態により、効果や副反応が異なる可能性があります。治療のタイミングにより接種時期を調整したほうがよい場合もあります。副反応が治療の有害事象と区別しにくい場合があるため注意が必要となります。総じて、患者ごとの状況に応じて主治医と相談して判断することが重要と考えられます。予防効果と安全性ワクチンを接種したがん患者約3万例を対象とした観察研究が報告されており、がん患者であってもCOVID-19ワクチンを2回接種することで感染リスクが低下することが示されています。一方でワクチンの感染リスク低下効果は58%(非がん患者:90%以上)であり、がん患者ではワクチンの効果が減弱する可能性が示唆されています。とくにワクチン接種前6ヵ月以内に化学療法を受けた場合はワクチンの効果が低いことが報告されています。定期的な追加接種が推奨され、感染時は早期の受診と抗ウイルス薬治療が重要となります。接種時期基本的に最新の推奨スケジュールに従った接種が推奨され、明確な最適時期はまだ不明ですが化学療法の開始前に接種して、化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期を避けて接種することが望ましいです。抗CD20抗体(リツキシマブやオビヌツズマブなど)治療後半年以内はワクチンの効果が乏しいことが示されています。注意事項ワクチン接種により、接種側の腋窩・鎖骨上窩・頸部リンパ節の腫大が報告されており、PETでも集積を認めることがあり、転移との鑑別が必要になる場合があります。画像検査の際にはワクチン接種歴と部位の情報を得ておくことが望ましいです。5)RSウイルスワクチン背景高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患、がんなど)、免疫機能が低下している人は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高く、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。また、RSウイルス感染症は、喘息、COPD、心疾患などの基礎疾患の増悪の原因となることもあり、日本では約6万3,000例の入院と約4,500例の院内死亡が推定されています。米国での大規模データ研究では、がん患者がRSウイルス感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが2倍以上高いことが報告されています。画像を拡大する接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。1)Kamboj M, et al. JCO Oncol Pract. 2024;20:889-892. 2)日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会. 新型コロナウイルス感染症とがん診療について(医療従事者向け)Q&A:2021.3)国立がん研究センター:がん情報サービス4)日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン2022年版. 金原出版:2022.5)アレックスビー筋注用添付文書6)アブリスボ筋注用添付文書講師紹介

39.

帯状疱疹ワクチン、認知症予防だけでなく進行も抑制か/Cell

 認知症の発症と進行には神経炎症が関連しており、神経向性ウイルスが認知症の発症や進行の一因となっている可能性が指摘されている。今年に入って、帯状疱疹ワクチンが認知症発症を予防する可能性があるとの報告1)があったが、同じ米国・スタンフォード大学の研究グループが、帯状疱疹ワクチン接種と軽度認知障害発症、さらにすでに認知症を発症した人の死亡リスクとの関連について調査を行い、結果がCell誌オンライン版2025年12月2日号に掲載された。 研究者らは、ウェールズのプライマリ診療所の電子カルテのデータから1925年9月1日~1942年9月1日生まれの30万4,940例を抽出、うち認知障害歴のない28万2,557例を軽度認知障害(MCI)発症リスクの解析対象とし、すでに認知症と診断された1万4,350例を認知症関連死亡の解析対象とした。ウェールズでは帯状疱疹ワクチン接種プログラム開始時にワクチンの数に限りがあったため、開始直後に80歳の誕生日を迎えた人は1年間ワクチン接種対象となったのに対し、直前に誕生日を迎えた人は生涯にわたって対象外となり、ワクチン接種率に大きな差が出たことを利用し、接種資格の有無と、実際の接種の有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中にMCI発症リスク解析対象の7.3%(2万712例)がMCIと診断された。ワクチン接種資格あり群(資格あり群)ではMCI発症が1.5パーセントポイント減少し、実際にワクチンを接種した群(接種群)は3.1パーセントポイント減少した。・認知症関連死亡解析対象の49.1%(7,049例)が認知症関連で死亡した。資格あり群では認知症関連死が8.5パーセントポイント低下し、接種群は29.5パーセントポイント減少した。全死亡率においても資格あり群は6.5パーセントポイント、接種群は22.7パーセントポイント低下した。・MCI発症リスクおよび認知症関連の死亡リスク低減効果は、女性において有意差が認められた。一方で男性では統計学的な有意差は認められなかった。・認知症の病型別では、混合型認知症において、ほかの認知症(アルツハイマー型や血管性)よりも相対的な効果が高い傾向が示唆された。 研究者らは「この研究は、帯状疱疹ワクチンが、早期のMCIから認知症の最終段階である死亡に至るまで、認知症のリスクと進行を抑制する可能性を示した初のエビデンスである。今回は生ワクチンが対象だったが、近年では組み換えワクチンが普及しており、これらが同様の認知保護効果を持つかは今後の研究で明らかにする必要がある。また本研究は、交絡因子や制度的バイアスの可能性は完全には排除できず、今後の大規模ランダム化比較試験が待たれる」とした。

40.

HPVワクチンのHPV16/HPV18感染予防効果、1回接種vs.2回接種/NEJM

 2価または9価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの1回接種は2回接種に対して、HPV16またはHPV18感染への予防効果が非劣性であることが示された。米国国立がん研究所のAimee R. Kreimer氏らが無作為化試験の結果を報告した。HPVワクチンの複数回接種は有効であるが、世界的には接種が十分に行われていない。最新データでは、単回接種による予防が可能であることが示唆されているが、1回接種で2回接種と同等の予防効果が得られるのかは明らかになっていなかった。NEJM誌2025年12月18日号掲載の報告。2価または9価HPVワクチンについて評価 研究グループは、2017年11月29日~2020年2月28日にコスタリカの200地区以上で被験者を募り、HPVワクチン1回接種の2回接種に対する非劣性を検証する無作為化試験を行った。本試験では、12~16歳の女子を、2価HPVワクチンを1回接種または2回接種、9価HPVワクチンを1回接種または2回接種する4群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。なお、コスタリカでは本試験の対象である年齢層の女子に対して、政府はHPVワクチンを提供していなかった。 主要エンドポイントは、接種後12ヵ月目~60ヵ月目に発生し、少なくとも6ヵ月間持続したHPV16またはHPV18の新規感染であった。事前に規定した非劣性マージンは、被験者100人当たりの感染例が1.25件とした。 また、試験に参加した女子と非無作為化サーベイの登録女性の、HPV16またはHPV18感染の比較も行った。両ワクチンともHPV16/HPV18感染予防に関して1回接種が2回接種に対し非劣性 合計2万330人が試験に登録・無作為化された。また、ワクチン非接種の3,005人がサーベイに登録された。 非劣性解析において、HPV16またはHPV18感染の予防に関して1回接種は2回接種に対して非劣性であることが示された。1回接種と2回接種の感染率差は、2価HPVワクチンでは-0.13件/100人(95%信頼区間[CI]:-0.45~0.15、非劣性のp<0.001)、9価HPVワクチンでは0.21件/100人(95%CI:-0.09~0.51、非劣性のp<0.001)であった。 ワクチンの有効性は4群ともに97%以上であった。安全性に関する懸念は認められなかった。

検索結果 合計:2252件 表示位置:21 - 40