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股部白癬、体部白癬の治療エビデンスは?

 オランダ・ライデン大学医療センターのE J van Zuuren氏らは、股部白癬と体部白癬の局所治療の有効性および安全性のエビデンスを評価するコクラン系統的レビューを行った。129試験、被験者1万8,086例を包含し分析した結果、薬剤塗布による積極的治療はいずれも大半は効果的であることが示されたが、臨床意思決定に役立つエビデンスを示すには、さらに質の高い無作為化試験の必要性が判明したと報告している。股部白癬、体部白癬は一般開業医、皮膚科医がいずれも最もよく遭遇する真菌感染症である。British journal of dermatology誌オンライン版2014年10月7日号の掲載報告。 股部白癬、体部白癬の大半は、さまざまな外用抗真菌薬による治療が行われている。 検討は、Cochrane Skin Group Specialised Register、CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、LILACSなどを2013年8月時点で検索して行われた。 主な結果は以下のとおり。・129試験、被験者1万8,086例が参加した無作為化試験を包含して介入評価を行った。・介入の大半は、アゾール系薬によるものであった。・プールできたアウトカムのデータは、2つの治療についてのみであった。・テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)は5試験におけるデータから、プラセボと比較して統計的に有意な臨床的治癒率が認められた(RR:4.51、95%CI:3.10~6.56)。・真菌別の治療データは、不均一性が大きくプールすることができなかった。・真菌学的治癒率は、ナフチフィン1%含有薬(国内未発売)がプラセボと比較して良好であることを支持するデータであった(3試験、RR:2.38、95%CI:1.80~3.14)。しかし、エビデンスの質は低かった。・アゾール+コルチコステロイド系薬は、アゾール系薬単独よりもわずかではあるが効果的であった。しかし、真菌学的治癒率に関する統計的な有意差は認められなかった。・65試験が「不明」であるとの評価を、また64試験は「バイアスリスクが高い」との評価をしていた。被験者は大半が20歳超であり、試験デザインが不十分で、報告も不十分であった。

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子宮移植による生児出産、世界初の成功例/Lancet

 先天的に無子宮の35歳の女性に、61歳の女性の子宮を移植し生児出産に成功したとの報告が、Lancet誌オンライン版2014年10月5日号に掲載された。報告を行ったのはスウェーデン・イェーテボリ大学のMats Brannstrom氏らのチームで、子宮移植後の生児出産としては初めての成功例だという。子宮移植は、無子宮または非機能性子宮に起因する絶対的な不妊の第一選の治療法で、これまでに世界で11件のヒト子宮移植が試みられている。ロキタンスキー症候群女性に閉経後女性の子宮を移植 子宮移植を受けたのは、ロキタンスキー症候群によるミュラー管無発生のため先天的に子宮を欠いた35歳の女性。移植術は、子宮を原因とする絶対的不妊の女性9例を対象とする臨床試験の一環として2013年、イェーテボリ市のSahlgrenska大学病院で行われた。 子宮のドナーは2度の経産歴(26および29歳時に経膣分娩)のある61歳の生存女性(非喫煙者、BMI 20、約7年前に閉経)で、レシピエントとは家族ぐるみの友人であった。 移植に先立って、レシピエントとパートナーによる体外受精が実施され、11個の受精卵(胚)が凍結保存された。 レシピエントとドナーは、移植術後、実質的に無事に回復した。レシピエントは、術後43日目に最初の月経に至り、その後は規則正しい周期(中央値32日、26~36日)で継続した。妊娠31週5日目、妊娠高血圧腎症にて帝王切開 レシピエントは、術後1年目に最初の胚移植(1個の受精卵)を受け妊娠した。免疫抑制薬3剤(タクロリムス、アザチオプリン、コルチコステロイド)の投与が開始され、妊娠期間を通じて継続投与された。子宮頸部生検で、3回の軽度拒絶反応(9日、2ヵ月28日、6ヵ月24日、すべて臨床症状なし)が認められたが、いずれもコルチコステロイド投与で回復した。 胎児発育パラメータ(大腿骨長、児頭大横径、腹部径、体重など)や、子宮動脈および臍帯動脈の血流は、妊娠期間を通じて正常であった。妊娠31週5日目、妊婦は妊娠高血圧腎症[血圧180/120mmHg、軽度頭痛、蛋白尿(尿中アルブミン18mg/L)、血小板数の低下(96×109/L)]を来し同病院産科に入院となった。 入院後10時間頃から陣痛回数が増加し始め、分娩監視装置(cardiotocography)で胎児心拍と陣痛の異常が認められた。その後、異常パターンが繰り返されたため、入院から16時間の時点で帝王切開を行った。 体重1,775g(在胎週数の正常体重)、アプガースコア正常(9、9、10点)の男児が誕生した。新生児の状態は良好で、光線治療のみでroom airにて管理が行われた。母親の状態も良好であり、血圧は自然に正常化しそれ以上の治療を必要としなかった。帝王切開後3日目に退院し、その後は外来通院でフォローアップを行っている。 著者は、「今回の初めての生児出産例は、子宮が原因の絶対的不妊の若い女性に対する治療としての、子宮移植の可能性を世界に向けて開くもの」とする一方で、「不妊治療としての子宮移植の有効性は確立されておらず、この女性も参加した進行中の臨床試験が光明を投じる可能性はあるが、医学的および心理学的なリスクがあることも事実である」と指摘している。

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の内科的治療の選択について(解説:小林 英夫 氏)-261

まず、掲載された本論文の概略にお目通しいただきたい。本論文から読み取るべき点は、どのような薬剤が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として優れているかについてランダム化試験を実施すべきである、という記述に尽きるというのが筆者の印象である。 Gershon氏らが指摘するように、COPDの内科的治療法には複数の選択肢が存在し、いずれも有効性を支持する報告に裏付けられているものの、最適な治療法がどれなのかについては不明なままである。 本報告では長時間作用性β2刺激薬と吸入ステロイド薬(LABA+ICS)併用群とLABA単独群間で、死亡と入院の発生をアウトカムとして検討を行った。約2年半の追跡によりLABA+ICS併用群において軽度良好な結果が示されたが、この記述をそのまま受け入れるには少なからぬ問題点がある。 本論文は約1万2,000例という多数例を基にした解析であり、それなりの意義があることは間違いない。また、本邦で2薬剤の有効性比較試験を多数例で実行することの困難性を想定すれば、本研究から得られる示唆は重要であろう。しかし、本報告を根拠として今後のCOPD治療を変更することは早計に思う。本報告は薬剤効果を比較する試験デザインではないことを意識していただきたい。 以下、本論文の特徴を列記すると、まず、本研究は後ろ向き観察研究であり、2群の優劣を判定するためのランダム化比較試験ではない。次に、症例はadministrative databasesからの抽出であり、COPDの診断の妥当性や精度について検討できていない。その点について、同著者の既報(1 を引用し、診断精度はsensitivity、specificityともに80%以上としている。しかし、1秒量、1秒率、画像所見など検討されていないのである。さらに25%の症例は呼吸機能検査が実施されていない。 同著者は気管支喘息でも同登録データに基づく診断精度を報告し(2、そちらもsensitivity、specificityがそれぞれ約80%としている。この論文でもピークフロー値などの臨床検査は記述されていない。臨床で重要視する項目と疫学的観察における視点には少なからぬ差異が存在するようである。 上記2点に加え、対象COPD群には糖尿病が25%以上、気管支喘息が約30%、高血圧が70%以上に合併していた点は、本邦症例と比すると近似した集団なのであろうか。 4点目として、集計母集団がLABA単独群3,258例、併用群3万4,289例であり、propensity score matchingを導入した後でもLABA+ICS併用群8,712例、LABA単独群3,160例となっており、対等な2群とは評価しがたい大きな開きが存在している。当初から治療選択にバイアスが存在していることが想定される。 5点目として、サブグループとしての気管支喘息+COPD群はLABA+ICS併用により良好なアウトカムが得られたと報告している。そもそも、気管支喘息合併群をLABA単独で治療するという症例が含まれていることが、行政登録データに基づく症例選択の限界であろう。治療法の優劣を判定する目的では、本研究のような後ろ向き解析には限界があることを前提に、本論文を評価していただきたい。 しかし、疾患歴、入院歴、救急受診歴などの医療情報登録システムが構築され、疫学研究に活用できるカナダの体制を知らされると、本邦でも早急にこのような観察研究が可能となる日を願ってやまない。

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ステップ4の気管支喘息患者にできればステロイドを内服させたくない(解説:倉原 優 氏)-258

外来で診ている最重症の気管支喘息患者では、ステロイドの経口投与やIgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)を使うことがある。それでもコントロールができない患者は多く、さらなる武器に期待している呼吸器内科医は少なくないだろう。その1つが、モノクローナル抗体を用いた抗体医薬品である。メポリズマブは、インターロイキン-5をターゲットとしている。 本試験の登録患者は、少なくとも半年間、ステロイドの全身投与をプレドニゾロン換算で1日当たり5~35mg内服している。すなわち、ステップ4の中でも“やむなく”経口ステロイドを使わざるを得なかった患者が対象となっている。 ご存じの通り、経口ステロイドを長期に続けていると、数々の副作用を起こすだけでなく、日和見感染症によって呼吸器疾患が急性増悪することがしばしばある。そのため、喘息治療においては、できる限り経口ステロイドを減らしたいというのが呼吸器内科医の総意であろう。 今回の結果、メポリズマブによる経口ステロイドの減量効果が認められた。半数以上の患者が50%以上の減量に成功しているが、ただしプラセボにおいても3割の患者が50%以上の減量に成功している。統計学的に有意な差とはいえ、ベースラインとして、本当に経口ステロイドが必要なステップ4の患者だったのかどうか疑問は残る。 ちなみに、ゾレアにもステロイド減量効果があると言われているが、現時点ではまだ結論は出ていない1)。

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Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり~まずは触ってみる~ <早期介入編>

第1回 関節リウマチ診療の現在     ~T2Tとはなんだ~第2回 早期診断のコツ     ~ぐっと握ってRAを疑う~第3回 関節リウマチの良し悪し     ~疾患活動性を評価する~ 第4回 抗リウマチ薬の使い方     ~寛解目指して一直線(1)~ 第5回 関節注射の勘どころ     ~寛解目指して一直線(2)~ 第6回 生物学的製剤の使い方     ~寛解目指して一直線(3)~ 関節リウマチ診療は近年大きな変貌を遂げ、「治らない疾患」から「寛解が可能な疾患」となりました。重要なのは疾患の早期発見・早期介入。関節リウマチを早期に診断し寛解へ導くには、プライマリ・ケア医の役割がとても大きいのです。一方で、何十年と長期で関節リウマチを患っている患者は、近年の著しい関節リウマチ医療進展の恩恵を受けていません。しかしながら、長期罹患患者も現在の関節炎の程度と身体障害の程度を適切に評価し、可能な限り疾患活動性を低くする治療を行えば、患者のQOLを高めることができます。つまり長期罹患患者に対しても、プライマリ・ケア医ができることはたくさんあります。この番組は、関節リウマチの診療の最新知見を「早期介入編」と「長期罹患編」に分け、プライマリ・ケア医が臨床上必要なリウマチ診療に関する知識と手技を、楽しい小噺を交え、手とり足とり解説します。第1回 関節リウマチ診療の現在 ~T2Tとはなんだ~ プライマリ・ケア医にとってはとっつきにくいイメージのある関節リウマチ。しかし近年、治療法が格段に進歩し、今では早期発見・介入し寛解を目指すのが常識となっています。この世界的な新しい関節リウマチ治療方針がTreat to Target(T2T)。その鍵を握っているのは、プライマリ・ケア医です。早期介入編第1回は「関節リウマチ診療の現在」と題して、まずリウマチ診療の昨今の激変を概観し、一般医にもできるリウマチ診療の道筋を示します。講師は、リウマチ専門医の若きホープDr.ハギーこと萩野昇先生。落語家に扮したリウマチ小噺を交え、わかりやすく、楽しくリウマチ診療の今をレクチャーします。第2回 早期診断のコツ ~ぐっと握ってRAを疑う~ 関節リウマチ診療において、早期診断は極めて重要です。そのために知っておかなければならないのは確定診断のための診断基準ですが、それ以前にプライマリ・ケア医にとって大事なのは、まず症状が軽微なうちからリウマチを疑う姿勢。そこで役立つのが「スクイーズテスト」です。第2回「早期診断のコツ」では、関節リウマチと診断する際の基準についての説明と、「ぐっと握って関節リウマチを疑う」スクイーズテスト、そして関節診察の実演を、まさに手とり足とりお伝えします。第3回 関節リウマチの良し悪し ~疾患活動性を評価する~ 関節リウマチは、『これさえ診ておけばよい』というスタンダードの検査値が存在しないため、疾患活動性の評価が難しいとされています。現在では、その指標のひとつに、膝から上の28関節を評価する「DAS(Disease Activity Score)28」と呼ばれるスコアが主に使用されています。28ヵ所の関節を押して圧痛・腫脹の有無を確認し、炎症反応などを加えてスコアリングし算出するものです。実演では、関節のどの部分にどのくらいの力加減で圧痛の有無を確認するか、丁寧にご説明します。ただし、膝から下の関節についての評価がすっかり抜けているので、足の診察も行いましょう。疾患活動性評価の一番の基本は診断と同じく、「まずは触ってみる」こと。患者の関節に触って、腫れや痛みを診ることが大切です。第4回 抗リウマチ薬の使い方 ~寛解目指して一直線(1)~ 抗リウマチ薬の中で非常に大きな成果を得た薬剤に「メトトレキサート(MTX)」があります。日本ではなかなか十分な量を処方できなかったMTXですが、2011年より最大量1週間に16mgまで使用できるようになりました。ただし、効き目があるからといってMTXをやみくもに使っていては寛解に導くことはできません。用量や増量スケジュール、どんな副作用があって投与方法はどうするか?今回は、MTXを中心とした抗リウマチ薬を手とり足とり解説します。禁忌がなければMTX。MTXを制する者は関節リウマチを制すると言っても過言ではありません。第5回 関節注射の勘どころ ~寛解目指して一直線(2)~ 関節リウマチ患者の関節の痛みを改善させる治療法の中で、とくに即効性があり、安価で副作用の少ない方法は関節腔内への注射療法ではないでしょうか。関節腔内・筋骨格軟部組織へのステロイド注射の手法は決して難しくなく、非専門医でも施行できます。ぜひ日常診療に取り入れて患者の悩み・痛みをピンポイントで解決してください。第5回「関節注射の勘どころ」では実演を織り交ぜて、関節腔内注射の準備・手順、そして関節へのアプローチまでをまさに手とり足とりお伝えします。第6回 生物学的製剤の使い方 ~寛解目指して一直線(3)~ 生物学的製剤はリウマチ診療にとってなくてはならないものになりつつあります。日本では10年以上の使用経験があり、すでに一般的治療となっている生物学的製剤ですが、どの患者にどの生物学的製剤が効果があるかなどを予想する方法は、実はまだ確立されていません。しかし現時点では、生物学的製剤を使用する前に潜在性結核に罹患しているかを確かめることが一番大切です。そのためにはどんなスクリーニングが必要か?潜在性結核のほかに必要な検査とは?Dr.ハギーが手とり足とり解説する生物学的製剤の基本ついて、プライマリ・ケア医もここまでは押さえておきましょう。

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がん疼痛緩和治療にステロイドがもたらすもの

 オピオイド治療中のがん患者で、その痛みに炎症が重要な役割を占めると考えられる場合、抗炎症効果を期待して、コルチコステロイドを用いることが多い。しかし、そのエビデンスは限られている。そこでノルウェー大学のOrnulf Paulsen氏らは、メチルプレドニゾロンの疼痛緩和効果の評価を行った。試験は、ステロイドの進行がん患者を対象とした疼痛緩和効果の評価としては初となる、多施設無作為二重盲検比較で行われた。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号の掲載報告。 対象は、中等度から重度の疼痛でオピオイド治療を受けている18歳以上、直近24時間の平均NRSスコア4点以上のがん患者。登録患者は、メチルプレドニゾロン32mg/日群(以下MP群)とプラセボ群(以下PL群)に無作為に割り付けられ、7日間治療を受けた。 主要評価項目は7日時点の平均疼痛強度(NRSスコア、範囲0~10)。副次的評価項目は鎮痛薬使用量(経口モルヒネ換算)、疲労感および食欲不振 、患者満足度である。 主な結果は以下のとおり。・592例がスクリーニングされ、そのうち50例が無作為に割り付けられ、47例が解析対象となった。・患者の平均年齢は64歳、Karnofsky スコアの平均は66であった。・主ながん種は前立腺がん、肺がん、胃・食道がん、婦人科がんであった。・ベースラインのオピオイド使用量(経口モルヒネ換算)は、MP群269.9mg、PL群は160.4mgと差があった。・7日時点の平均疼痛強度はMP群3.60、PL群3.68と両群間で差は認められなかった(p=0.88)。・ベースラインからのオピオイド使用量の変化はMP群1.19 、PL群 1.20と両群間に差はなかった(p=0.95)。・疲労感はMP群では17ポイント改善、PL群で3ポイント悪化と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・食欲不振はMP群で24ポイント減少、PL群では2ポイント増加 と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・患者の全体的な治療満足度はMP群5.4ポイント、 PL群2.0ポイントと、MP群で有意に良好であった(p=0. 001)。・有害事象は両群間に差は認められなかった。 当試験では、メチルプレドニゾロン32mg/日によるオピオイドへの疼痛緩和追加効果は認められなかった。しかしながら、コルチコステロイド治療を受けた患者は、臨床的に有意な疲労感軽減、食欲不振の改善が認められ、患者満足度も高かった。今回の試験は、両群患者のベースラインにおいて、とくにオピオイド使用量に違いがあり、サンプルサイズも小さいものであった。今後は長期的な試験で臨床的利点を検証すべきであろう。

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LABA/ICS vs. LABAの長期有効性を観察/JAMA

 66歳以上慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした住民ベースの長期コホート試験の結果、とくに喘息を有しており長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の治療を受けていない患者で、長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)組み合わせ投与はLABA単独投与と比べて、死亡またはCOPD入院の複合アウトカムの発生リスクが有意に低かったことが示された。カナダ・サニーブルックヘルスサイエンスセンターのAndrea S. Gershon氏らが報告した。JAMA誌2014年9月17日号掲載の報告より。66歳以上住民コホートを2.7年、2.5年追跡 LABA/ICS組み合わせ治療の長期ベネフィットを、LABA単独投与と比較した検討は、2003~2011年に、カナダのオンタリオ州で行われた。健康管理データでCOPD症例定義を満たしていた66歳以上の住民を対象とした。傾向スコア適合後、新規投与開始のLABA/ICS治療群8,712例を中央値2.7年、同じく新規LABA単独治療群3,160例を同2.5年、それぞれ追跡した。 主要評価項目は、死亡およびCOPD入院の複合アウトカムだった。LABA/ICS群で死亡・COPD入院リスクが低下 主要アウトカムは、LABA/ICS群5,594例、LABA単独群2,129例について観察された。結果、LABA/ICS群では、死亡3,174例(36.4%)、COPD入院2,420例(27.8%)、LABA単独群では死亡1179 例(37.3%)、COPD入院950例(30.1%)が観察された。 新規LABA/ICS群は新規LABA単独群と比べて、わずかだが死亡・COPD入院のリスクが減少した(5年時点の複合アウトカム差:-3.7%、95%信頼区間[CI]:-5.7~-1.7%、ハザード比[HR]:0.92、95%CI:0.88~0.96)。 両群差は、喘息疾患が併存している患者(同:-6.5%、-10.3~-2.7%、0.84、0.77~0.91)、LAMA治療を受けていない患者で大きかった(同:-8.4%、-11.9~-4.9%、0.79、0.73~0.86)。 著者は、「COPDは管理が可能な呼吸器疾患であるが、世界の主要な死因で3番目に多い。どの処方薬が、COPD患者の健康アウトカム改善に最も効果があるのかを知っておくことが、健康アウトカムを極限まで増すための基本となる」と述べるとともに、今回の所見について無作為化試験で確認すべきであるとまとめている。

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神経根障害への硬膜外ステロイド注射の費用対効果

 腰仙部神経根症(神経根障害)では、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根周辺の炎症に起因した腰痛や坐骨神経痛を伴うが、これら疼痛に対する医療費は国にとって大きな財政的負担となっている。オランダ・フローニンゲン大学のAntje Spijker-Huiges氏らが行った実践的な無作為化単盲検比較試験によれば、神経根障害に対する分節性の硬膜外ステロイド注射は、疼痛や機能障害の改善効果は小さいながら費用対効果に優れることが示された。著者は同治療について「追加の治療選択肢として考慮されてもよいと考えられる」とまとめている。 Spine誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。 対象は、開業医を受診している急性神経根障害患者63例であった。 介入群には通常治療に分節性の硬膜外ステロイド注射(トリアムシノロン80mg)を1回追加し、対照群は通常治療のみとした。 2、4、6、13、26、52週間後に郵送によるアンケート調査を行い、疼痛、身体障害および費用を調査するとともに費用対効果を解析した。 主な結果は以下のとおり。・平均総費用は介入群4,414ユーロ/5,985ドル(USドル、以下同)、対照群5,121ユーロ/6,943ドルで、両群の差は主に生産性の低下に起因した。・増分費用効果比(ICER)の点推定値は、-730ユーロ/-990ドルであった。・すなわち1年間で患者1人の腰痛が数値的評価スケールで1ポイント減少により、730ユーロまたは990ドルの削減効果が認められた。・ブートストラップ法による95%信頼区間は、-4,476~951ユーロ/-6,068〜1,289ドルであった。・費用対効果受容曲線(CEAC)により、追加費用なしで硬膜外ステロイド注射が費用効果的である確率は80%以上であることが示された。

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新規抗IL-5抗体薬が重症喘息のステロイド低減/NEJM

 喘息コントロールについて経口ステロイド薬を必要とする重症患者に対して、新たな抗IL-5抗体薬メポリズマブは、有意に経口ステロイド薬の服用を節減し、急性増悪の低下および喘息症状を改善したことが、オランダ・アムステルダム大学のElisabeth H. Bel氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。メポリズマブについてはこれまでに、重症の好酸球性喘息患者において、急性増悪を低下したことは示されていた。NEJM誌オンライン版2014年9月8日号掲載の報告より。重症の好酸球性喘息患者135例を対象に経口ステロイド薬併用の低減効果を検討 研究グループが行ったのは、多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検並行比較にデザインした第IV相試験であった。 重症の好酸球性喘息患者135例を無作為に、メポリズマブ(100mg用量)またはプラセボを投与群に割り付け、4週ごとに20週間皮下注にて投与し、ステロイドの節減効果について比較検討した。 主要アウトカムは、ステロイド用量低下の程度で、90~100%減少、75~90%未満減少、50~75%未満減少、0~50%未満減少、または減少せず、喘息コントロール不良で評価した。評価は、20~24週間または治療中止時に行った。 そのほかに、急性増悪、喘息コントロール、安全性の割合についても評価した。ステロイド用量低下の可能性はプラセボの2.39倍 結果、ステロイド用量低下の可能性は、メポリズマブ群がプラセボ群よりも、有意に2.39倍(95%信頼区間[CI]:1.25~4.56、p=0.008)高かった。 ベースライン時からの割合の減少中央値は、プラセボ群は減少なしであったのに対し、メポリズマブ群は50%(95%CI:20.0~75.0%)であった(p=0.007)。 ステロイド用量が減少したメポリズマブ群の患者について、プラセボ群と比較して、急性増悪の年間発生率は32%減少(1.44対2.12、p=0.04)、喘息症状(喘息コントロール質問票5[ACQ 5]で評価、臨床的に意味のある差は最小で0.5ポイント)に関しては0.52ポイントの減少(p=0.004)であった。 安全性プロファイルは、メポリズマブとプラセボで同等だった。

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次世代の気管支喘息治療、重症喘息患者に希望の光となりうるか(解説:倉原 優 氏)-248

気管支喘息の治療においてヒト化モノクローナル抗体といえば、IgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)が知られており、とくにステップ4の気管支喘息患者においては私も使用することがある。決して切れ味がよいとは思っていないが、いくばくかの効果が出る患者もいる。 インターロイキンをターゲットとした喘息治療は数多く報告されているが、その中でもインターロイキン-4に対するヒト化モノクローナル抗体であるデュピルマブ1)、インターロイキン-5に対するヒト化モノクローナル抗体であるメポリズマブ2)の治療効果がとくに期待されている。 今回は、そのうちのメポリズマブのプラセボ対照比較試験である。適格基準は、持続的な好酸球炎症による繰り返す喘息発作を有する患者で、高用量の吸入ステロイド薬でもコントロールが困難なケースである。すなわち、実臨床において「コントロールしにくい」と感じる、われわれが最も治療に難渋するケースを想定している。 この試験の結果で特筆すべきは、増悪の頻度がほとんど半減している点である。また、同号に掲載されたもう1つのメポリズマブの研究においても経口ステロイドの減量効果が認められており3)、今後の重症気管支喘息患者の治療選択肢が広がるだけでなく、経口ステロイドを使いにくい患者群での喘息コントロールに有効な選択肢になりえよう。 治療選択肢の限られた重症患者において、細胞内シグナル伝達系や転写因子に対する分子標的治療薬のさらなる報告を個人的に期待している。ただ、実現したとしても、抗体医薬品の高い薬価が患者にとって大きなハードルになることは否めない。

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高齢者のNSAIDs使用実態が明らかに

 オーストラリア・シドニー大学のDanijela Gnjidic氏らによる調査の結果、高齢者において、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は適切に使用されていない可能性が報告された。シドニー在住の高齢男性を対象に横断的に調査したところ、その使用実態が、NSAIDsを高齢者に安全に使用するための臨床ガイドラインと一致していないことが明らかになったという。著者は「ガイドラインの勧告と現実世界で起きていることの差異をさらに検討しなければならない」とまとめている。Pain誌2014年9月号(オンライン版2014年6月20日号)の掲載報告。 研究グループは、シドニー在住の70歳以上の男性1,696例を対象に、疼痛有病率、NSAIDsの使用パターンや使用期間、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用、薬物相互作用の発生などについて調査した。 主な結果は以下のとおり。・NSAIDsを定期的に使用していた(NSAIDs常用者)は8.2%(139例)、必要に応じて使用していた(頓用者)は2.9%(50例)であった。・NSAIDs常用者の平均治療期間は4.9年で、ガイドラインで推奨されている使用期間(短期使用)より長いことが示された。・ガイドラインではPPIの併用が推奨されているが、NSAIDs常用者における併用率は25.2%にすぎなかった。・NSAIDs常用者は頓用者と比較して、オピオイド鎮痛薬を使用している傾向が有意に高かった(p<0.0001)。・NSAIDs常用者は頓用者と比較して、慢性疼痛(p<0.0001)、最近の疼痛(p=0.0001)、慢性の侵入的な疼痛(p<0.0001)を有している可能性が有意に高かった。

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デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布

 9月16日、厚生労働省より全国の地方公共団体の衛生主管部局宛てに「デング熱診療ガイドライン(第1版)」が配布された。本ガイドラインは、全国で131名(9月17日現在)の患者が確認されている中で、一般医療機関への問い合わせも多いことから、9月3日に公開された診療マニュアルの内容を刷新し、あらためて作成されたものである。■妊婦、乳幼児、高齢者は重症化のリスク因子 ガイドラインは、デング熱の概要、症状・所見、診断、治療、予防、参考文献、図表の順で記載されている。 すでに多くのメディアで報道されているように、デング熱の臨床経過について通常は1週間前後の経過で回復すること、典型症状は急激な発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などであることなどの説明が記されている。 注意すべきは、一部の患者が経過中に重症型デングを呈することである。とくにリスク因子としては、妊婦、乳幼児、高齢者、糖尿病、腎不全などがあり、これらの患者では、経過観察でショック、呼吸不全、出血症状、臓器障害がないかどうかの注意が必要となる(なお1999年以降、日本国内で発症した同疾患での死亡者は記録されていない)。■解熱剤はアセトアミノフェンを推奨 デング熱では上記の症状のほか、血液検査で血小板減少、白血球減少が認められる。確定診断では、ウイルス分離やPCR法によるウイルス遺伝子の検出などが用いられるのは、既知のとおりである。症状を認めた時点で、必要に応じ、適切な治療が可能な医療機関への紹介が必要となる。 また、治療では、有効なウイルス薬はなく、輸液などによる対症療法が行われる。その際に投与する解熱剤について、アスピリンは出血傾向やアシドーシスを助長するため使用するべきでなく、同じくイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も胃炎、出血を助長するために使用すべきではないとされている。投与する解熱剤としては、アセトアミノフェンなどが推奨されている。■医療者は診療時にも注意 デング熱には現時点で有効なワクチンがないため、有効な予防対策は蚊に刺されないことである。外出の際は、露出の少ない服装で虫よけスプレーなどによる対策を講じることになる。 1つ注意が必要なことは、患者診療時の医療者への感染である。疑わしい患者の診療時に針刺し事故などの血液曝露で感染する危険があるため、十分に注意するよう促している。 また、患者が出血を伴う場合には、医療従事者は不透過性のガウンおよび手袋を着用し、体液や血液による眼の汚染のリスクがある場合にはアイゴーグルなどで眼を保護する、としている。詳しくは厚生労働省 報道発表資料デング熱、患者さんに聞かれたら・・・

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糖尿病患者のCOPD増悪、ステロイドで血糖値は?

 COPD増悪を起こした2型糖尿病患者にステロイドを投与しても、血糖値の有意な上昇は認められなかったことを、イスラエル・Nazareth病院のGeorge Habib氏らが明らかにした。Respiratory Medicine誌2014年8月22日号の掲載報告。 ステロイドの投与によって、血糖値の上昇が起こることは知られている。しかし、これまで、COPD増悪を起こした2型糖尿病患者のHbA1cに対するステロイドの影響を検討した研究はなかった。 本研究ではCOPD増悪により入院した2型糖尿病患者をグループ1、対照群として増悪以外の理由で入院したCOPDを有する2型糖尿病患者(年齢・性別により調整)をグループ2とした。両グループとも入院時とその3ヵ月後にHbA1cを評価し、人口統計学的および臨床検査項目の変化、ステロイド総投与量を検討した。 両グループのパラメーターの比較には、Mann-WhitneyのU検定と、カイ二乗検定/Fisherの正確確率検定を用い、入院時と3ヵ月後のHbA1cの比較には、Wilcoxonの符号順位検定を用いた。また、多変量線形回帰分析により、グループ1におけるHbA1cの変化の予測因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・グループ1は23例、グループ2は21例であり、全44例中39例が男性であった。・平均年齢は66.2±8.2歳で、両グループとも糖尿病の治療が強化されていた。・グループ1ではHbA1cに有意な変化は認められなかったが(p=0.416)、グループ2では有意な減少が認められた(p=0.032)。・ステロイド総投与量は、グループ1におけるHbA1c増加の予測因子であった(p=0.026)。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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結核性心膜炎でのステロイドや免疫療法を検証/NEJM

 結核性心膜炎患者に対し、補助的プレドニゾロン治療またはM. indicus pranii免疫療法のいずれも、有意な効果は認められなかったことが示された。南アフリカ共和国のケープタウン大学のBongani M Mayosi氏らが報告した。結核性心膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有している患者の頻度が高く、抗結核治療にもかかわらず有病率や死亡率が高いことが報告されている。また、補助的グルココルチコイド療法の効果については、死亡率の減少などが報告されていたが、HIV感染症患者についてはがんリスクを増大するといった報告が寄せられ、その使用について国際ガイドラインでは相反する勧告が示されている。研究グループは、補助的プレドニゾロンについてHIV感染症患者を含む結核性心膜炎に対し効果があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。1,400例対象に、プレドニゾロンvs. M. indicus pranii免疫療法vs. プラセボ 検討は無作為化2×2要因試験にて、結核性心膜炎と診断または疑われた患者1,400例を対象に行われた。6週間のプレドニゾロンまたはプラセボを投与する群と、3ヵ月間で5回注射投与するM. indicus pranii免疫療法またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付けた。 被験者のうち3分の2がHIV感染症を有していた。 主要有効性アウトカムは、死亡・心タンポナーデ・収縮性心膜炎の複合とした。主要複合アウトカムに有意差なし、がんリスク増大 結果、主要アウトカムの発生について、プレドニゾロン投与群(23.8%)とプラセボ投与群(24.5%)との間に有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.77~1.18、p=0.66)。また、M. indicus pranii免疫療法群(25.0%)とプラセボ投与群(24.3%)との間にも有意差はみられなかった(同:1.03、0.82~1.29、p=0.81)。 一方で、プレドニゾロン治療はプラセボと比較して、収縮性心膜炎の発生(4.4%対7.8%、HR:0.56、95%CI:0.36~0.87、p=0.009)、入院(20.7%vs. 25.2%、HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)を有意に減少したことが示された。 しかし、プレドニゾロン治療およびM. indicus pranii免疫療法とも、それぞれプラセボと比較して、がん発生の有意な増大と関連しており(1.8%vs. 0.6%、HR:3.27、95%CI:1.07~10.03、p=0.03/1.8%vs. 0.5%、同:3.69、1.03~13.24、p=0.03)、主としてHIV関連のがん増大によるものであった。

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変形性膝関節症の痛み、男女差が明らかに

 米国・アイオワ大学のNatalie A Glass氏らは、変形性関節症(OA)およびそのハイリスク患者を対象とした多施設変形性関節症研究MOST(Multicenter Osteoarthritis Study)の解析から、Kellgren-Lawrence(KL)グレードに関係なく女性は男性より膝痛が強く、とくに膝蓋大腿OAで性差が大きいことを明らかにした。また、膝痛の性差には広範痛(widespread pain:WSP)が大きく影響しており、中枢性痛覚過敏の関与が示唆されたという。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年8月号(オンライン版2014年7月4日号)の掲載報告。 研究グループは、X線学的変形性膝関節症(膝OA)が同等の場合、男性より女性のほうが膝痛の重症度が大きいかどうかを調べることを目的とした。 対象は、膝関節置換術または最近ステロイド注射を行っていない膝OA患者2,712例(60%が女性)であった。 一般化推定方程式を用い、年齢、鎮痛剤の使用、BMI、施設、併存疾患、うつ病スコア、教育、人種および広範痛(WSP)について調整後または未調整時の、疼痛強度(視覚アナログスケール[VAS]および西オンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数[WOMAC]による)の性差をKLグレードごとに評価した。 主な結果は以下のとおり。・VASスコアは、すべてのKLグレードで未調整時(効果量[d]=0.21~0.31、p<0.0001~0.0038)およびWSPを除く全共変量で調整後(d=0.16~0.22、p<0.0001~0.0472)も、女性が大きかった。・VASスコアの性差はWSPで調整すると減少したが、KLグレードが≦2(p=0.0015)および2(p=0.0200)で有意であった。・WSPなしと比較して有りの場合、全KLグレードで膝痛が有意に大きかった(d=0.32~0.52、p<0.0001~0.0008)。・VASスコアの性差は各KLグレードにおいて膝蓋大腿OA患者で大きく(d=0.45~0.62、p=0.0006~0.0030)、共変量で調整後も全KLグレードで有意差がみられた(d=0.31~0.57、p=0.0013~0.0361)。・WOMACによる評価でも結果は同様であった。

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【寄稿】GERDとの鑑別が必要な好酸球性食道炎

概説好酸球性食道炎は、食道上皮に好酸球を中心とした炎症が持続することによって、嚥下困難や食事のつかえ感などの症状を生じ、食道の運動・知覚異常、狭窄などを合併する慢性アレルギー疾患である。原因として食物や気道抗原に対する過剰な免疫応答が想定されているが、まだ原因や病態については十分に解明されていない。欧米では1990年代以降、急激な増加傾向を示しており、最近の報告では、年間の発症率が人口10万人あたり10人に達し、有病率も人口10万人あたり50人程度となっている。一方、本邦では欧米に比して非常にまれな疾患と考えられていたが、ここ数年、成人例での報告例が増加している。本疾患は胸焼けを主訴とすることもあり、胃食道逆流症(GERD)との鑑別が重要となる。内視鏡的には縦走溝・リング・白色滲出物といった特徴的な所見を呈し、逆流性食道炎に見られる粘膜傷害(mucosal break)とは異なる。確定診断には食道上皮からの生検を行い、高倍率視野で15~20個以上の好酸球浸潤を証明することが必要である。プロトンポンプ阻害薬(PPI)治療によってもGERD症状が改善しない症例の1割弱には、好酸球性食道炎が含まれていると報告されており、治療抵抗性GERDの鑑別疾患として念頭に置く必要がある。疫学本疾患は1970年代に初めて報告され、1990年代前半までは、まれな疾患と考えられていたが、その後、欧米において急激な有病率・罹患率の増加が認められるようになった。また、当初は小児に多い疾患と考えられていたが、最近では成人例の報告が目立つようになっている。最近の米国の報告では有病率は人口10万人あたり50人を超している1)。一方、本邦では、2006年に初めて成人例において本疾患が報告された2)。当時は非常にまれな疾患と考えられていたが、ここ数年、とくに成人例での報告例が増えてきている。2011年に内視鏡約5,000例あたり1例の頻度で好酸球性食道炎が認められることが報告された3)が、最近では、さらにその頻度は増加していると考えられる。われわれの最近の検討では、食事のつかえ感や胸焼けなどの症状を主訴として内視鏡検査を施行した319例について、食道からの生検を行い、8例(2.5%)に15個以上/高倍率視野の食道好酸球浸潤が認められた4)。疫学的な特徴として、30~50代に多く、70~80%が男性であることが示されている5)。また、患者の半数以上に喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の合併が見られる。PPI治療に抵抗を示すGERD症例に含まれる好酸球性食道炎の頻度に関する調査では、0.9~8.8%が好酸球性食道炎であったと報告されている6)。大規模な検討はなく、頻度にばらつきはあるが、PPI抵抗性GERDの1割弱に好酸球性食道炎が含まれていることが示されている。病態食物や空気中の抗原をアレルゲンとして食道上皮局所において過剰な免疫応答(アレルギー)が生じ、好酸球を中心とした慢性的な炎症が惹起されると想定されている。本疾患では、IgEを介する即時型アレルギー反応よりも、Tリンパ球を中心とした細胞性免疫の作用による非即時型のアレルギー反応が重要であることが示されている。最近の研究から、アレルギー機序に関与するいくつかの遺伝子の多型が発症に関連することが明らかにされつつある7)。症状本疾患は小児および成人で特徴的な症状が異なる。乳幼児期では、哺乳障害や発育の遅れが見られる。学童期から青年期においては、腹痛、嘔気、嘔吐などの非特異的な症状を伴うことが多い。成人例では嚥下障害や食事のつかえ感を生じることが多く、food impactionと呼ばれる食物塊の食道への嵌頓を生じる例も見られる。しかし、胸焼けや呑酸などGERDに典型的な症状を主訴とすることもあり、症状のみから、GERDと鑑別することは困難である。最近、人間ドックなどの無症状者の検診例において、典型的な好酸球性食道炎の内視鏡像を呈し、生検で食道好酸球浸潤を認めるケースも見られるようになっている。診断本疾患の診断は、食道に起因するさまざまな症状を有する例に上部消化管内視鏡検査を行い、食道に特徴的な内視鏡所見を確認し、生検で食道上皮への好酸球浸潤(高倍率視野で15~20個以上)を認めることによってなされる。本邦で作成された診断基準(案)を表1に示す6)。胸部CTで食道壁の肥厚を指摘されることが診断の契機となることもある。末梢血の好酸球増多を示すことは少ない。末梢血IgEは約70%の症例で増加を認めるが、併存するアレルギー疾患の関与によるものが大きいと考えられ、本疾患に特異的なものではない8)。内視鏡で特徴的に認められる所見は縦走溝、リング、白色滲出物である。このうち、縦走溝は本疾患において最も典型的な画像所見であり、逆流性食道炎の際に認められる粘膜傷害(mucosal break)と鑑別可能である(図1)。以前の報告では約30%の症例では内視鏡的な異常を示さないと報告されていたが、最近の報告では90%以上の症例で上記のいずれかの内視鏡所見を示すことが報告されている9)。生検時の注意点として、食道粘膜における好酸球の分布は不均一であり、生検1個での診断感度は50%程度とされ、ガイドラインでは2~4個の生検が必要と示されている。表1を拡大する図1を拡大する米国のガイドラインによる好酸球性食道炎の診断プロセスを図2に示す10)。生検で食道好酸球浸潤を認めた場合、まず、薬剤性や感染性など二次性の原因を除外する。好酸球性食道炎は、消化管のうちで食道のみに好酸球浸潤を来すことが特徴であり、好酸球浸潤が食道のみでなく、胃や小腸へも認められた場合は、好酸球性胃腸炎と診断される。したがって、診断には胃・十二指腸からの生検も必要となる。次のステップとして、PPIの有効性の評価が行われる。高用量PPIの2ヵ月間投与後に再度、内視鏡検査・病理検査を行い、改善の認められた症例はPPI反応性食道好酸球浸潤と診断され、好酸球性食道炎とは区別されて扱われる。したがって、好酸球性食道炎の診断には、PPIが無効であることが含まれている。一方、本邦では、好酸球性食道炎がまれな疾患であり、多くの場合、PPIが有効であることから、PPIの有効性によって診断の区別をしていない。今後、疾患のより詳細な解析を踏まえて、新たな診断基準の作成が必要である。図2を拡大する治療食事療法と薬物療法が中心となる。食事療法としては、原因となる食物アレルゲンを除去することが有効であるとされており、欧米では成分栄養食やアレルゲンとなる頻度の高い6種類(牛乳、小麦、卵、大豆、ナッツ類、魚介類)の食品を除いた6種抗原除去食(six food elimination diet: SFED)が治療に用いられている。最近の食事療法に関するシステマティックレビューによると、成分栄養食で90.8%、SFEDで72.1%の症例で有効であったことが報告されている11)。一方、血清中の抗原特異的IgEや皮膚のプリックテストやパッチテストによって同定されたアレルゲンに対する食事療法は有効でないことが示されており、SFEDが有効であった場合は、1種類ずつ再開し、時間をかけて原因となる食物を同定する必要がある。また、入院中は食事療法が奏効しても、退院後の継続性に問題があることが指摘されている。日本人を対象とした有効性に関する報告はまだなされていない。上述のように、欧米のガイドラインでは好酸球性食道炎はPPIが無効であることが診断基準に含まれている。しかしながら、最近の検討ではPPIが酸分泌抑制効果以外に、免疫調節作用を有しており、食道への好酸球浸潤の誘導を抑制する効果を持つことが報告されている。また、酸性条件下では、病態に関与するサイトカイン(IL-13)の作用が増強することが示されており、PPIが好酸球性食道炎の病態改善に寄与することが推測されている。したがって、食道好酸球浸潤症例の治療にはPPIを第一選択として使用すべきと考えられる(保険適用外)。PPIが無効の場合は、ステロイド投与を行う。投与方法として、気管支喘息の治療に用いられる局所作用ステロイドであるフルチカゾンやブデソニドを吸入ではなく、口腔内に投薬し、唾液と共に嚥下させる方法による治療が行われている(保険適用外)。この方法は、内服による全身投与に比して、副作用の面からも有効であると考えられるが、その効果は必ずしも十分でないとする報告もある。局所作用ステロイドで十分な効果が得られない場合は、プレドニゾロンなどの全身作用ステロイドの投与が行われる(保険適用外)が、投与開始量や減量方法などについて、十分なコンセンサスは得られていない。投与の際は、副作用についての十分な注意が必要である。その他、抗アレルギー薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの治療成績が報告されているが、効果は限定的と考えられている。予後一般に、軽快と増悪を繰り返し、完全に治癒することは少ないとされる。これまでに悪性化の報告はなく、比較的予後は良好であると考えられているが、長期経過に関する報告はまだ少ないため、自然史については不明な点も多い。GERDとの鑑別のポイントGERDと好酸球性食道炎の臨床像の特徴を表2に示す。好酸球性食道炎は中年男性に好発し、アレルギー疾患の合併を半数以上に認め、食事のつかえ感が主訴となることが最も多いが、胸焼けや呑酸を訴えることもある。好酸球性食道炎では90%以上に内視鏡的に特徴的な所見を認めることが最近の報告で示されており、本疾患を念頭に置いて食道を詳細に観察することが重要である。また、GERD症状に対してPPIが有効でない症例においては、食道からの生検を行い、好酸球浸潤の有無を評価すべきである。GERDと好酸球性食道炎はオーバーラップすることもある(図3)。PPIはどちらの病態に対しても有効に作用することが示されており、PPI治療は第一選択となる。現在の欧米のガイドラインではPPI無効例のみを好酸球性食道炎と定義しているが、好酸球性食道炎とPPI反応性食道好酸球浸潤を症状、内視鏡像、病理像から鑑別することは困難であることが報告されており、疾患概念の見直しの必要性が指摘されている。表2を拡大する図3を拡大する引用文献1)Dellon ES, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2014;12:589-596.2)Furuta K, et al. J Gastroenterol. 2006;41:706-710.3)Fujishiro H, et al. J Gastroenterol. 2011;46:1142-1144.4)Shimura S, et al. Digestion. 2014(in press).5)Kinoshita Y, et al. J Gastroenterol. 2013;48:333-339.6)木下芳一ほか. 日本消化器病学会雑誌. 2013;110:953-964.7)石村典久ほか. 分子消化器病. 2013;10:157-165.8)Ishimura N, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2013;28:1306-1313.9)Ishimura N, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2014(in press).10)Dellon ES, et al. Am J Gastroenterol. 2013;108:679-692.11)Arias A, et al. Gastroenterology. 2014;146:1639-1648.

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高齢腰痛患者の7割強が受診前から鎮痛薬を服用

 高齢の腰痛患者は一般開業医(GP)を受診することが多い。その際、鎮痛薬を処方される可能性が高いが、オランダ・エラスムス大学医療センターのWendy T M Enthoven氏らによる前向きコホート研究(BACE研究)の結果、GPを受診した高齢腰痛患者の7割強は、すでに受診前から鎮痛薬を使用していることが明らかになった。追跡期間中に鎮痛薬の使用は減少したが、3ヵ月後および6ヵ月後もまだかなりの患者が鎮痛薬を使用していたという。Pain Medicine誌オンライン版2014年8月4日号の掲載報告。 研究グループは、腰痛を主訴にGPを受診した55歳超の患者を対象に、ベースライン時、3ヵ月後および6ヵ月後の鎮痛薬の使用状況を評価した。 過去3ヵ月以内に腰痛のために薬剤を使用していた場合、薬剤名、使用量、使用頻度、および処方薬かOTCの別を質問した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象675例中、484例(72%)がベースライン時に鎮痛薬を使用していた。・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(57%)が、パラセタモール(以下、アセトアミノフェン)(49%)より高頻度であった。・アセトアミノフェンの多くがOTC(69%)、NSAIDsはほとんどが処方薬(85%であった。・ベースラインで重度の疼痛(数値的評価尺度で7ポイント以上)を有していた患者は、アセトアミノフェン、オピオイドおよび筋弛緩薬の使用が多かった。・慢性疼痛(3ヵ月超の腰痛)を有する患者は、アセトアミノフェンを使用することが多かったのに対して、疼痛の期間が短い患者はNSAIDsが多かった。・追跡期間中、薬剤の使用は全体的に減少したが、3ヵ月後および6ヵ月後もそれぞれ36%および30%の患者が依然として鎮痛薬を使用していた。

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【寄稿】難治性GERDの治療

はじめに胃食道逆流症(GERD)は、食道裂孔ヘルニアや食道胃運動機能障害により、胃酸を含んだ胃内容物が食道内に逆流停滞するために発症する疾患であり、定型症状は胸やけ、呑酸である。食道にびらん・粘膜障害があれば、びらん性GERD(逆流性食道炎)、食道にびらんが認められない場合は、非びらん性胃食道逆流症(NERD)と定義される。GERDに対する治療の中心は薬物療法であり、強力な酸分泌抑制力を持つプロトンポンプ阻害薬(PPI)が、GERDの第一選択薬としてGERD診療ガイドラインで推奨されている。PPIの治療効果は非常に高く、PPI投与後8週間の時点での逆流性食道炎の治癒率は、80~90%と報告されている。しかし8週間のPPI投与でも治癒が得られない逆流性食道炎も存在し、このような難治性の逆流性食道炎が臨床上問題となっている。また、NERD患者においても、PPI投与にてGERD症状のコントロールが困難なケースが多く存在する。本稿では、難治性GERDの要因について考察を加え、治療法を含めて概説する。CYP2C19遺伝子多型GERDの難治化の要因の1つとしてまず考慮しなければならないのは、CYP2C19遺伝子多型の問題である。PPIは主に肝の代謝酵素CYP2C19で代謝を受ける。このCYP2C19には遺伝子多型が存在することが報告されており、その酵素活性が遺伝子型により異なり、代謝活性の高い順にhomo extensive metabolizer(EM)、hetero EM、poor metabolizer(PM)の3群に分類されている。すなわち、PPIの酸分泌抑制効果は、代謝の遅いPMでは強く、代謝の早いhomo EMでは弱くなることが推察され、実際に24時間胃内pHモニタリングの結果から、このことが証明されている。このCYP2C19遺伝子多型のばらつきは、欧米白人に比較して日本人で大きいことが明らかになっており、実際の逆流性食道炎患者の検討で、homo EMではPMに比較して初期治療における治癒率が有意に低く(図1)、維持療法においてもhomo EMのほうが有意に再発しやすいこと(図2)が報告されている。すなわち、逆流性食道炎の難治化の要因の1つとしてPPI投与時のCYP2C19遺伝子多型の影響が挙げられる。しかしながら、CYP2C19遺伝子多型の判定が保険診療で認められているわけではないので、日常臨床においては逆流性食道炎が難治の場合に、CYP2C19遺伝子多型の影響を受けにくいPPI(ラベプラゾールやエソメプラゾール)への変更を考慮するといった対応を行うのが現実的である。図を拡大する図を拡大するPPI製剤の特徴GERDの難治化のもう1つの要因としてPPI製剤の特徴が挙げられる。PPIは酸と接触すると失活してしまう特性があり、PPIはすべて腸溶製剤となっている。よって、PPIの作用発現には、薬剤が速やかに胃を通過して小腸に達する必要がある。逆に言うと、潰瘍瘢痕などによる胃の変形や幽門部狭窄などのために胃排出遅延がある症例では、PPIが胃内に長時間停滞するために失活してしまい、その酸分泌抑制効果が減弱する可能性が容易に想像される。このような症例の場合、逆流性食道炎が難治となることをしばしば経験する。この場合は、PPI注射剤の投与のほか、PPIをH2受容体拮抗薬(H2RA)に変更、もしくはPPIの剤形を錠剤から顆粒や細粒製剤に変更してみるのも1つの方法である。GERD診療ガイドラインでは、常用量のPPIの1日1回投与にもかかわらず食道炎が治癒しない、もしくは強い症状を訴える場合には、PPIの倍量投与など、投与量・投与方法の変更により、食道炎治癒および症状消失が得られる場合があると記載されている。すなわち、標準量のPPI治療に反応しない患者でも、PPI倍量投与により食道炎治癒および症状消失が得られるとする報告がみられ、常用量のPPIの1日1回投与でGERDに対する十分なコントロールが得られない場合の対応として推奨されている。また、倍量投与の際に、朝・夕と分割投与したほうが、酸分泌抑制効果が高いとの報告があり、分割投与を考慮するのも1つの方法である。さらに、PPIは、食事により活性化するプロトンポンプを阻害するという作用機序、酸性環境のほうが酸分泌抑制効果が強いこと、錠剤の場合は空腹時強収縮により胃より小腸に速やかに薬剤が移行し効果が出現することから、PPIは食前投与のほうが、その酸分泌抑制効果が速やかに発現する。わが国の場合、ほかの薬剤と一緒にPPIを内服することを考慮し、食後にPPIを投与することも多いが、難治性GERDの場合は、食前投与にて症状が良好にコントロールされることをしばしば経験する。nocturnal gastric acid breakthroughさらに、GERDの難治化の要因の1つとして、PPI投与中にもかかわらず夜間の酸分泌が抑制されない例の存在が指摘されている。これはnocturnal gastric acid breakthrough(NAB)と呼ばれるもので、PPI投与中にもかかわらず夜間の胃内pHが4.0以下になる時間が1時間以上連続して認められる現象である。このNABに対して就寝前にH2RAを追加投与することにより、夜間の酸分泌が抑制されることが報告されており、PPIで効果不十分な難治性GERD患者の治療として選択されることがある。NERD、機能性胸やけびらん性GERDよりNERDにおいて、PPIの症状改善率が低い傾向にあることが報告されている。このことは、NERD患者では酸以外の逆流要因がある症例が多く含まれている可能性を示唆している。このような場合、消化管運動賦活薬投与が有効な場合がある。また、逆流と関連のない胸やけ症状は、機能性胸やけ(functional heartburn:FH)とされ、精神的な要因と判断されれば、抗うつ薬の投与などを検討することもある。機能性消化管粘膜障害(functional gastrointestinal disorders:FGID)の研究グループであるRome委員会が提唱するRome IIIによる定義では、FHは、食道内酸逆流が証明できず、病理組織学的に確認しうる食道粘膜障害がないこと、そしていわゆる「胸やけ」症状のあること、なおかつ、この症状が6ヵ月以上前から慢性的に出現していること、とされている。FHの診断にあたっては、除外診断を行う必要がある。すなわち、(1)食道内pHモニタリング検査で食道内への明らかな酸逆流のあるもの、(2)pHモニタリング検査で酸逆流と自覚症状の発現との間に関連がみられるもの、(3)PPI投与で症状改善があるもの―は、NERDと診断されるので、それ以外をFHと診断することができる。日常臨床では、PPI投与で症状が改善するものをNERD、PPI投与による症状改善がないものをFHと診断することも多いが、PPI投与により症状が改善しないNERDはPPI抵抗性NERDとしても扱われており、PPI抵抗性NERDのなかにFHと診断するべき病態が含まれていることを認識する必要がある。近年、pH測定に加えて多チャンネルの食道内インピーダンスを測定することにより、胃酸以外の逆流を評価することが可能となってきた。とくにPPI抵抗性NERDの診断には、pHモニタリング検査による胃酸逆流の評価のみでは不十分である。すなわち、現在は保険適用にはなっていないものの、多チャンネルインピーダンス・pHモニタリング検査を施行し、逆流と胸やけ症状の関連性を検討することにより、PPI抵抗性NERDとFHを鑑別することが可能となる。難治性NERDの場合は、病態をきちんと診断し、適切な治療法を選択する必要がある。外科的治療難治性GERDの場合、外科手術の選択も積極的に考慮してよいと思われる。外科的治療が有効だった症例を提示する(図3)。PPI投与にて逆流性食道炎は治癒するも、著明な食道裂孔ヘルニアのために、前かがみになると食物が口まで逆流してきてしまうという症例であるが、腹腔鏡下噴門形成術を施行し、食道裂孔ヘルニアが改善しGERD症状が消失した。図を拡大する内視鏡的バルーン拡張重度の逆流性食道炎の場合、食道狭窄を来すことがあるが、内視鏡的バルーン拡張術が有効なこともある。図4に症例を提示する。図を拡大する難治性GERDと鑑別すべき疾患難治性GERDと診断されている症例のなかで、実際はGERDではないにもかかわらず、漫然とPPI投与が継続されている症例にしばしば遭遇する。難治性GERDと鑑別すべき疾患をきちんと認識しておくことは、臨床上きわめて重要である。1)食道運動異常食道には、食道アカラシア、びまん性食道痙攣(diffuse esophageal spasm:DES)、ナッツクラッカー食道(nutcracker esophagus)などの機能性疾患が存在し、GERDとの鑑別が必要となる。これらの疾患のいずれも、その治療に亜硝酸薬やカルシウム拮抗薬が有効とされているが、GERD患者では下部食道括約筋圧を低下させ、逆流を増悪させることがあるため注意が必要である。2)好酸球性食道炎好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)は、嚥下困難、food impaction(食物塊の食道嵌頓)などを主訴とし、食道上皮の好酸球浸潤を特徴とする原因不明の疾患である。EoEの診断で最も重要なものは、内視鏡検査および生検による病理診断である。縦走溝、輪状溝、カンジダ様の白斑、白濁肥厚した粗造粘膜が、特徴的な内視鏡所見である(図5)。病理診断では、一般に400倍の強拡大で15ないし20個以上の好酸球浸潤を少なくとも1視野に認める場合、EoEと診断される。EoEの治療に関しては、プレドニゾロンの内服や、吸入用ステロイド薬であるプロピオン酸フルチカゾン(商品名:フルタイド)の咽頭噴霧後の嚥下による食道内局所投与の有効性などが報告されている(いずれも保険適用外)。なお、PPIが有効な症例が存在し、PPIを投与しても症状が持続する場合に難治性GERDとの鑑別が必要となることがある。EoEに対する認識がないと診断に苦慮することとなる。図を拡大する機能性ディスぺプシア上腹部痛や胃もたれなどの症状が、主に胃や十二指腸に由来していると考えられる患者のうち、各種検査を行っても症状を説明しうる器質的疾患がない場合は、機能性ディスぺプシア(functional dyspepsia:FD)と診断される。Rome III基準ではFDは「つらいと感じる食後のもたれ感、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感の4項目のうち1つ以上の症状が、6ヵ月以上前からあり、最近の3ヵ月間は症状が続いている」と定義されているが、GERD症状とFD症状はオーバーラップすることが多いとされている。すなわちGERD患者では、胸やけや呑酸症状以外に、胃もたれ、胃の痛み、胃の張りなどの症状がみられ、げっぷ、吐き気、食欲不振といった症状も高い頻度で認められる。なお、PPI投与でGERD症状は軽快したものの上腹部のさまざまなFD症状が軽快しない場合、PPI抵抗性NERDとして診療されていることもあるが、症状をきちんと聴取しFDと診断したほうがよいと思われる。しかし、実際にはGERDの定型的症状である「胸やけ」と「心窩部痛」、「心窩部灼熱感」を厳密に区別することは難しい。一般的には、GERD症状は剣状突起より頭側の胸骨下部で、FDでは剣状突起より肛門側の心窩部領域で認めることで鑑別を行っている。おわりに難治性GERDの原因およびその治療法、難治性GERDの鑑別疾患について概説した。難治性GERDの治療には、適切な診断と薬剤の特性を認識した薬物療法および適切なタイミングでの薬物以外の治療法の選択が必要である。参考文献1)日本消化器病学会編.胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン. 南江堂;2009.2)Kawamura M, et al. Aliment Pharmacol Ther. 2003;17:965-973. 3)Kawamura M, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2007;22:222-226.4)Ariizumi K, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2006;21:1428-1434.5)小池智幸ほか.医学と薬学. 2014;71:519-525.6)Galmiche JP, et al. Gastroenterology. 2006;130:1459-1465.7)Abe Y, et al. J Gastroenterol. 2011;46:25-30.

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腰椎椎間板ヘルニアに有効な局所麻酔薬

 腰椎椎間板ヘルニアまたは神経根痛に対する硬膜外注射の投与経路には椎間孔、椎弓間および仙骨部があるが、最近のシステマティックレビューではこれら3つの投与経路で有意な差はないことが報告されている。米国・ルイビル大学のLaxmaiah Manchikanti氏らは、経椎間孔硬膜外注射による局所麻酔薬の有効性を検討する無作為化二重盲検比較試験を行った。その結果、椎間板ヘルニアまたは神経根炎を有する患者において局所麻酔薬の経椎間孔硬膜外注射はステロイドの有無にかかわらず有効で、ステロイド併用の優越性はないことが明らかになったと報告している。Pain Physician誌2014年7・8月号の掲載報告。 慢性腰痛および下肢痛を有する椎間板ヘルニアおよび神経根炎患者120例を、次の2群に無作為化した。 局所麻酔薬単独群:防腐剤無添加1%リドカイン1.5mL+塩化ナトリウム0.5mL ステロイド併用群:1%リドカイン+ベタメタゾン3mgまたは0.5mL 主要評価項目は、疼痛(数値的評価スケールによる)および機能(オスウェストリー障害指標[ODI 2.0]による)の有意な改善(スコアの50%以上改善)であった。 主な結果は以下のとおり。・2年後に有意な改善がみられたのは、局所麻酔薬単独群65%、ステロイド併用群57%であった。・投与後初期に3週間以上の症状緩和が得られた反応者のうち、局所麻酔薬単独群では80%が有意な改善を認めた。一方でステロイド併用群では73%であった。

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肺ノカルジア症 進行リスクはCOPD

 COPDは肺ノカルジア症を進行させるリスクファクターとなることをイタリアのサン・ドナート病院のClaudia Maggiorelli氏らが明らかにした。さらに、COPDが危険因子となる原因はCOPDによる肺の防御機構の低下や長期にわたるステロイド療法である可能性にも言及している。Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease誌オンライン版2014年8月5日号の掲載報告。 ノカルジアは日和見感染病原体であり、肺ノカルジア症患者の半数以上は免疫抑制状態であることが報告されている。COPDは肺ノカルジア症を有する免疫抑制患者の合併症として最も頻度の高い疾患の1つである。  今回の研究は、1999年~2012年の間に肺ノカルジア症で入院したすべての患者の臨床症状、治療成果、合併症を検討したものである。 6,545例の入院患者のうち、肺ノカルジア症と診断された患者は、4例で、この4例のうち3例はCOPDを合併していた。また診断が遅れた患者も観察された。特異的な抗肺ノカルジア療法を1ヵ月行った後には、すべての患者で臨床の放射線学的な改善が認められていた。 著者は「われわれの経験では、肺ノカルジア症は免疫抑制状態にある患者で多いものの、正常な免疫反応を有する患者でも疑うべき希少疾患であるといえる」とまとめている。

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