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濾胞性リンパ腫、R-CHOP療法の15年PFS(SWOG S0016)/JAMA Oncol

 濾胞性リンパ腫(FL)に対する、CHOP(シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン/ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン/プレドニゾロン)ベースの化学免疫療法後の長期寛解および治癒の可能性を評価したSWOG S0016試験の15年間の追跡データを、米国・Fred Hutch Cancer CenterのMazyar Shadman氏らが報告した。この2次解析の結果、進行期FL患者の一部がリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)により治癒を達成可能であり、再発率が時間経過とともに低下することが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2026年2月26日号に掲載。 本試験は、全米の大学病院および地域医療機関で実施された多施設共同試験で、未治療の進行期FL患者が登録された。治癒モデリング(治癒した患者の割合を推定するモデル化)は、S0016試験期間中のFL治癒率を推定するため背景死亡率を組み込んで実施した。患者登録は2001年5月~2008年10月、追跡期間中央値は15.5年(四分位範囲:13.6~16.9)、2025年6月に解析した。患者をリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)群またはCHOP後に放射免疫療法(RIT)を追加するCHOP-RIT群に無作為に割り付けた。主要評価項目は15年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)、副次評価項目は治癒モデリングなど。 主な結果は以下のとおり。・最終解析には適格患者531例(女性46%、年齢中央値53歳)が組み入れられ、R-CHOP群267例、CHOP-RIT群264例であった。・15年OSは70%で両群間に有意差はなく、15年PFSは40%(95%信頼区間:36.0~44.7)であった。・15年PFSはCHOP-RIT群が47%でR-CHOP群の34%と比較して優越性を示した(p=0.004)。・治癒モデルでは全体治癒率が42%と推定され、FL国際予後指標スコアが低く、β2ミクログロブリン値が正常な症例で最も高い治癒率が観察された。・再発率は、最初の5年間では6.8%、15~20年では0.6%と、時間経過とともに大幅に減少した。 著者らは、「この知見はFLの理解と治療アプローチにおけるパラダイムシフトを表し、患者との初回相談や将来の研究戦略に影響を与えるもの」としている。

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IgA腎症〔IgA nephropathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgA腎症は、糸球体性血尿や蛋白尿などの検尿異常が持続し、腎生検で腎糸球体メサンギウム領域を中心としたIgA優位の免疫グロブリン沈着を認め、全身性疾患や慢性疾患など明らかな原因疾患を伴わない原発性糸球体腎炎である。確定診断には腎生検が必須である。■ 疫学IgA腎症は、世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎であり、わが国を含む東アジアでとくに多いとされる。わが国では学校検尿や健康診断が普及しているため、無症候性血尿・蛋白尿を契機に若年~中年で診断される例が多い。一方、欧米では症候性の症例や腎機能障害を伴って初めて診断される例が多いとされる。■ 病因病因としては、「粘膜免疫異常により過剰産生された糖鎖異常IgA1が、自己抗体や補体と免疫複合体を形成し、糸球体メサンギウムに沈着して炎症と線維化を惹起する」というマルチヒット仮説が提唱されている。遺伝的素因も関与しており、HLA領域や粘膜免疫関連遺伝子の関連が報告されている。■ 症状多くは自覚症状に乏しく、持続する顕微鏡的血尿・軽度蛋白尿のみである。上気道感染や消化管感染の数日後に肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)を来す例が典型的である。進行例では浮腫、高血圧、倦怠感など慢性腎臓病(CKD)としての症状が出現する。■ 分類組織学的には腎糸球体メサンギウム増多所見が主体であるが、半月体形成、分節性硬化、全節性硬化など多彩な像をとる。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する。■ 予後かつての長期追跡では、診断後20年で約4割が慢性腎不全に至ると報告され、決して良性の腎炎ではないことが明らかとなった。近年では、早期発見・レニンアンギオテンシン(RA)系阻害薬の普及などにより予後は改善しつつあるが、蛋白尿が持続する例や腎機能障害を伴う例では依然としてCKD進行のリスクが高い。国際IgA腎症予測ツール(International IgAN Prediction Tool)により、臨床所見とMEST-Cスコアを組み合わせた予後予測も行われている。2 診断■ 検査1)尿検査持続する顕微鏡的血尿(尿定性検査に加え、尿沈査分析が必要。しばしば赤血球円柱がみられる)程度の異なる蛋白尿(しばしば0.3~1g/日程度から始まり得る)急性上気道炎や消化管感染後の一過性肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)2)血液検査血清クレアチニン、推算糸球体ろ過量(eGFR)で腎機能を評価する。血清IgA値はしばしば高値だが、診断的特異性は高くない。補体価は通常正常であり、低補体血症では他疾患を考慮する。3)腎生検IgA腎症の確定診断には腎生検が必要である。腎生検は、確定診断のみならず予後や治療反応性を予測する上でも重要である。光顕でメサンギウム増殖性糸球体腎炎を示し、免疫蛍光法でメサンギウム優位のIgA沈着(しばしばC3が共に沈着)を認める(図1、2)。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する(表)。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、IgA腎症が疑われる成人で蛋白尿0.5g/日以上が持続する場合、腎生検を考慮することが推奨されている。図1 IgA腎症の代表的な光顕所見画像を拡大する画像を拡大するa:メサンギウム細胞増多(↑)とメサンギウム基質増生(*)b:メサンギウムへの半球状沈着物(↑)c:管内細胞増多を示す糸球体糸球体毛細血管内の細胞数が増加し、管腔が狭小化している(↑)d:係蹄壊死この糸球体では毛細血管基底膜が断裂し(↑)、フィブリンの析出(*)がみられるe:細胞性半月体この糸球体の半月体は、ほとんどが細胞成分で占められているf:線維細胞性半月体この半月体は細胞成分10%以上50%未満で、細胞外基質は90%未満であるg:線維性半月体この半月体は細胞成分10%未満で、細胞外基質が90%以上を占めているh:分節性硬化点線で囲まれた部分に硬化がみられ、硬化はすべての係蹄には及んでいない(参考文献1、2より引用)図2 蛍光抗体法(IgA)画像を拡大する主にメサンギウム領域にIgAが高度に沈着している(参考文献1より引用)表 IgA腎症Oxford分類画像を拡大する■ 鑑別診断IgA腎症と類似する状態として、以下の疾患などと鑑別する必要がある。菲薄基底膜病、アルポート症候群など遺伝性血尿疾患IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病):紫斑、腹痛、関節痛など全身症状を伴う。感染関連糸球体腎炎(とくにMRSA感染に伴うIgA優位の感染関連糸球体腎炎)ループス腎炎など他の自己免疫性腎炎慢性肝疾患に伴う二次性IgA沈着症家族歴を含む臨床背景、血清学的検査、腎生検での所見を総合して診断する。3 治療■ 治療の基本方針治療の第1目標は、蛋白尿をできるだけ低く抑え(目標0.5g/日未満、理想的には0.3g/日未満)、腎機能低下速度を生理的なレベル(年間eGFR低下1mL/分/年未満)に近付けることである。■ 腎保護療法すべての患者に以下の腎保護療法が基本となる。生活習慣介入:減塩(食塩<6g/日が目安)、適正体重の維持、禁煙、適度な運動。血圧管理:目標<130/80mmHg(蛋白尿が多い例ではさらに厳格に)。RA系阻害薬:ACE阻害薬またはARBは蛋白尿減少と腎保護効果のエビデンスがあり、IgA腎症でも第1選択である。SGLT2阻害薬:糖尿病の有無にかかわらずCKD進行抑制効果が示されており、蛋白尿を伴うIgA腎症では追加投与が推奨されている。■ 免疫抑制療法腎保護療法を十分に行っても蛋白尿が持続し、腎機能低下が進行する例では免疫抑制療法を検討する。副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド):わが国のガイドラインでは、中等度以上の蛋白尿や組織学的重症例で、一定期間のステロイド療法が推奨されている。ただし、糖尿病、肥満、感染など副作用リスクが高い症例では慎重な適応判断が必要である。扁摘+ステロイドパルス療法:わが国では、口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法の併用が長年行われており、蛋白尿の寛解や長期予後改善を示す国内データが蓄積している。その他の免疫抑制薬:シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)などについては一定の効果報告もあるが、エビデンスは限定的であり、難治例や特別な状況に限って専門医のもとで検討されるべきである。■ 高リスク例・特殊病型急速進行性糸球体腎炎像(半月体多数、急激なeGFR低下)を示す例では、ステロイド大量療法にシクロホスファミドなどを併用する血管炎に類似した治療が行われるが、エビデンスは限られている。ネフローゼ症候群を呈する微小変化病合併IgA腎症などでは、ステロイド単独でも反応性が良い場合が多い。4 今後の展望■ 新たな診断・予後マーカー血中の糖鎖異常IgA1(galactose-deficient IgA1)やそれに対する自己抗体、補体関連マーカーなどがIgA腎症に特異的なバイオマーカー候補として研究されているが、現時点では診断や治療選択に用いる標準検査としては確立していない。国際IgAN予測ツールや病理MEST-Cスコアを活用したリスク層別化が進み、今後は個々の患者に応じた治療強度の決定に応用されることが期待される。■ 新規治療薬近年、IgA腎症の病態(粘膜免疫・補体・腎保護)を標的とした新規薬剤の開発が急速に進んでいる。標的放出型ブデソニド(Nefecon):回腸末端の腸管関連リンパ組織に到達するよう設計された経口ステロイドで、病的IgA1産生の抑制を目的とする。海外第III相試験では蛋白尿減少とeGFR低下抑制が示され、欧米などで承認されているが、わが国ではまだ使用できない。デュアルET-A/AT1受容体拮抗薬(sparsentan):ARB作用に加えエンドセリン受容体拮抗作用を併せ持ち、蛋白尿減少とeGFRスロープ改善を示している。補体阻害薬:経口補体因子B阻害薬iptacopanをはじめ、C5、C3、レクチン経路などを標的とした薬剤がIgA腎症で検証されており、一部は海外で承認されつつある。B細胞/BAFF・APRIL経路阻害薬:自己抗体産生抑制を目的としたataciceptや他の抗BAFF/APRIL抗体が臨床試験段階にある。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、「病的IgA産生と免疫複合体形成を抑える治療」と「すでに生じたネフロン喪失に伴うCKDの進行を抑える治療」を並行して行う2本立ての治療戦略が提案されている。わが国でも、支持療法にSGLT2阻害薬などを組み合わせつつ、新規薬剤が順次導入されれば、より早期から蛋白尿を強力に抑え、長期腎予後のさらなる改善が期待される。5 主たる診療科腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター IgA腎症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難病治験ウェブ(難病に関する治験情報を簡単検索、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎障害に関する調査研究班 編集. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン 2020. 2020:東京医学社.2)厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業:進行性腎障害に関する調査研究班報告 IgA腎症分科会 IgA診療指針-第3版-補追 IgA腎症組織アトラス.日腎会誌. 2011;53:655-666.3)KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV).公開履歴初回2026年2月27日

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テゼペルマブ、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応追加/AZ

 アストラゼネカは2026年2月19日、テゼペルマブ(商品名:テゼスパイア)について「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」に対する適応追加の承認を取得したことを発表した。 本承認は、既存治療で効果不十分な18歳以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「WAYPOINT試験」の結果に基づくものである。WAYPOINT試験では、共主要評価項目の鼻茸スコア(NPS)と鼻閉重症度スコア(NCS)が、いずれも有意に改善したことが報告されている。なお、NPSは投与4週時、NCSは投与2週時から改善が認められ、投与52週時まで改善が維持された。 電子化された添付文書の「効能又は効果」「効能又は効果に関連する注意」「用法及び用量」「用法及び用量に関連する注意」「重要な基本的注意」の改訂箇所の記載は、以下のとおり(下線部が追記または変更箇所)。4. 効能又は効果○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)5. 効能又は効果に関連する注意〈気管支喘息〉5.1 最新のガイドライン等を参考に、中用量又は高用量の吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を併用しても、全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪をきたす患者に本剤を追加して投与すること。5.2 本剤は既に起きている気管支喘息の発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないため、急性の発作に対しては使用しないこと。〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉5.3 本剤は全身性ステロイド薬、手術等ではコントロールが不十分な患者に用いること。6. 用法及び用量〈気管支喘息〉通常、成人及び12歳以上の小児にはテゼペルマブ(遺伝子組換え)として1回210mgを4週間隔で皮下に注射する。〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉通常、成人にはテゼペルマブ(遺伝子組換え)として1回210mgを4週間隔で皮下に注射する。7. 用法及び用量に関連する注意〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉本剤による治療反応は、通常投与開始から24週までには得られる。24週までに治療反応が得られない場合は、漫然と投与を続けないよう注意すること。8. 重要な基本的注意〈効能共通〉8.1 本剤投与中の生ワクチンの接種は、安全性が確認されていないので避けること。8.2 本剤の投与によって合併する他のアレルギー疾患の症状が変化する可能性があり、当該アレルギー疾患に対する適切な治療を怠った場合、症状が急激に悪化し、喘息等では死亡に至るおそれもある。本剤の投与中止後の疾患管理も含めて、本剤投与中から、合併するアレルギー疾患を担当する医師と適切に連携すること。患者に対して、医師の指示なく、それらの疾患に対する治療内容を変更しないよう指導すること。8.3 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理のもとで慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。〈気管支喘息〉8.4 本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、医師の診療を受けるように患者に指導すること。

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リツキサン、自己免疫性溶血性貧血の適応追加/全薬工業・中外

 全薬工業および中外製薬は、共同販売を行っている抗CD20モノクローナル抗体のリツキサン点滴静注100mg/同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))について、2026年2月19日、「自己免疫性溶血性貧血」の適応追加の承認を取得したことを発表した。 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)に対する適応追加は、日本血液学会および日本小児血液・がん学会より開発要望が提出され、2025年7月4日の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の評価を経て、同年7月31日の薬事審議会医薬品第一部会で公知申請を行って差し支えないと正式に決定された。これを受け、全薬工業が同年8月29日に公知申請を行い、今回の承認取得に至った。なお、第一部会で決定された7月31日付けで薬事承認を待たずに保険適用となっている。 AIHAは、自己抗体が体温(37℃)近くで反応する温式AIHAと、体温以下の低温条件で反応する冷式AIHA(寒冷凝集素症および発作性寒冷ヘモグロビン尿症)に大別される。温式AIHAでは約80%で副腎皮質ステロイド薬で改善がみられるが、再発が多く、長期投与が必要であり、再発・難治例では脾臓摘出術が行われている。また、寒冷凝集素症では保温が最も基本的な治療法だが、貧血症状、輸血依存、末梢循環障害などの重篤な症状を伴う場合もある。これらの患者に対する治療選択肢の1つとして、国内外の診療ガイドラインではリツキシマブによる治療が推奨されている。 リツキシマブは、造血幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するCD20抗原に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を免疫系を用いて攻撃し細胞を傷害する。AIHAでの自己反応性B細胞の活性化や自己抗体の出現に至る病因は十分に解明されていないが、温式AIHAおよび冷式AIHAのいずれも自己抗体の出現が共通して認められることから、リツキシマブによるB細胞除去を介した治療効果が期待されるという。

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多発性硬化症〔MS:multiple sclerosis〕

1 疾患概要■ 定義多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、脳・脊髄・視神経からなる中枢神経系に炎症性脱髄が生じる慢性疾患である。病変は時間的多発性(再発)と空間的多発性(中枢神経系のさまざまな場所に病変が生じる)であることを特徴とする。自己免疫機序が病態の中心であると考えられているが、近年は神経変性機序の関与も推定されている。■ 疫学MSは若年成人に多く、20~40代で発症することが多い。女性に多く、高緯度地域で発症率が高い(わが国では北海道に多く、沖縄では少ない)。世界中で約300万人の患者が存在すると推定されている。従来は欧米に多い疾患とされてきたが、近年はアジア地域でも患者数が増加しており、わが国でも有病率は上昇している。診断技術の進歩に加え、環境因子の変化が背景にあると考えられている。■ 病因MSは遺伝的要因と環境因子が組み合わさって発症する多因子疾患である。特定の免疫関連遺伝子が発症リスクに関与する一方で、遺伝要因のみで発症が決まるわけではない。環境因子としては、ビタミンD不足、喫煙、肥満などが知られている。近年、Epstein-Barr virus(EBV)感染がMS発症と強く関連することが示され、免疫異常を引き起こす重要な因子と考えられている。■ 症状MSの症状は多彩であり、病変部位によって異なる。代表的な症状には、視力低下や眼痛(視神経炎)、手足のしびれや脱力、歩行障害、ふらつき、排尿障害などがある。また、易疲労感、疼痛、抑うつ、集中力低下など、外見からわかりにくい症状も多く、患者の日常生活や就労に大きな影響を与える。これらは看護師や薬剤師が関わるケアの場面でとくに重要な視点である。■ 分類MSは臨床経過により以下に分類される。1)再発寛解型(RRMS)再発と寛解を繰り返しながら少しずつ後遺症が蓄積する病型で、最も頻度が高い2)2次進行型(SPMS)RRMSの経過の後に、徐々に再発とは無関係の障害進行(progression independent of relapse activities:PIRA)が生じるようになった病型3)1次進行型(PPMS)発症初期からPIRAを認める病型、まれである以上の病型の理解は、治療方針を考えるうえで重要である。■ 予後現在は治療薬の進歩により、MSの長期予後は大きく改善している。しかし、PIRAの治療は開発途上にあるために、早期診断と治療介入が予後改善には重要である。近年は、治療初期から高い有効性を有する薬剤を導入する“early high-efficacy treatment(eHET)”の考え方が広まっている1)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)MSの診断は除外診断が基本である。とくに視神経脊髄炎スペクトラム障害やMOG抗体関連疾患は臨床像が類似するため、鑑別が重要である。ほかにも鑑別すべき疾患は多岐にわたり、悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、脳血管障害、膠原病、神経サルコイドーシスや神経ベーチェット病といった炎症性疾患、感染症(梅毒、進行性多巣性白質脳症など)、さらに頸椎症性脊髄症や脊髄空洞症などの脊髄疾患、ミトコンドリア病、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、脊髄小脳変性症などが挙げられる。診断には臨床経過、MRI検査、脳脊髄液検査を総合的に評価するMcDonald診断基準が用いられる。本基準の本質は「炎症性脱髄病変が時間的・空間的に多発していること」を確認する点にある。2024年改訂では早期診断を支援する内容が加えられたが、診断はあくまで臨床判断を補助するものであり、慎重な運用が求められる2)。3 治療MSの治療は、再発時に行う急性期治療と、再発や進行を予防する病態修飾療法に大別される。急性期には副腎皮質ステロイドの大量静注療法(ステロイドパルス療法)が行われる。効果が不十分な場合には血漿交換療法が選択されることもある。再発や障害進行を抑えるため、維持期には病態修飾薬が使用される。近年では有効性の高い薬剤が増えており、早期から治療を開始することの重要性が強調されている。わが国で承認されている主要な病態修飾薬を表にまとめる。服薬管理、副作用モニタリング、多職種による支援が治療継続に不可欠である。表 MSの主要な病態修飾薬画像を拡大する4 今後の展望現在、新しい作用機序をもつ治療薬や、より精度の高い画像診断・血液バイオマーカーの研究が進行している。また、EBVを標的とした治療やワクチン研究も注目されており、将来的には個別化医療の実現が期待される。近年、MSの診療は、再発抑制を主目的とした治療から、PIRAの抑制を含む長期的な機能予後改善を目指す方向へと大きく変化している。この流れの中で、治療および診断の両面で新たなアプローチが研究・開発されている。治療分野では、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬が新たな病態修飾療法として注目されている。BTK阻害薬は、B細胞の活性化や抗原提示機能を抑制するだけでなく、中枢神経内のミクログリア活性化を抑制する作用を併せ持つ点が特徴である。現在、RRMSに加え、SPMSやPPMSを対象とした第III相臨床試験が進行中であり、既存治療では十分に抑制できなかった進行性病態への効果が期待されている。とくに、PIRAに対する治療選択肢としての位置付けが注目されている。診断分野においては、疾患特異性や病勢評価を高める新たなバイオマーカーの研究が進展している。MRIでは、central vein sign(CVS)やparamagnetic rim lesion(PRL)といった所見が、MSに特徴的な病態を反映する補助的画像指標として注目されている。これらは鑑別診断や慢性活動性病巣の評価に有用である可能性が示されている。一方、体液バイオマーカーとしては、血清・髄液中の神経フィラメント軽鎖(NfL)やκフリーライトチェーン(κFLC)が、疾患活動性や予後予測の指標として臨床応用に近付いている。今後は、これらの新規治療薬および診断技術を組み合わせることで、疾患活動性・進行リスクに基づく層別化医療や個別化治療がより現実的になると考えられる。MS診療は、再発を抑制する医療から、長期的な障害蓄積を最小限に抑える医療へと進化しており、今後も基礎研究と臨床研究の橋渡しが重要となる。5 主たる診療科主な診療科は脳神経内科であるが、眼科、泌尿器科、リハビリテーション科、精神科などとの連携が重要である。看護師・薬剤師を含めた多職種チーム医療が不可欠である。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト診療、研究に関する情報難病情報センター 多発性硬化症/視神経脊髄炎  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本神経学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)医薬品医療機器総合機構(PMDA)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)MSキャビン(MSCABIN)(多発性硬化症の総合情報サイト:情報共有、患者・支援者向け知識ベース)MS International Federation(国際疫学、研究動向、教育・啓発リソースなど医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本多発性硬化症協会(患者とその家族および支援者の会)1)Rotstein D, et al. Nat Rev Neurol. 2019;15:287-300.2)Montalban X, et al. Lancet Neurol. 2025;24:850-865.公開履歴初回2026年2月20日

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喘息への活用に期待、『アレルゲン免疫療法の手引き2025』

 アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキを原因とする季節性アレルギー性鼻炎と、ダニなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎に大別される。本邦では2014年頃からアレルゲン免疫療法(以下、AIT)の手軽な手法である舌下免疫療法(以下、SLIT)が臨床導入されたが、近年のエビデンス蓄積により、ダニアレルゲンによって症状が出現しているアトピー型喘息へのダニSLITの有効性が示されているという。2025年6月には日本アレルギー学会より『アレルゲン免疫療法の手引き2025』が発刊され、最新の知見に基づき、治療の意義や位置付けが刷新されたことから、今回、本書の作成委員長を務めた永田 真氏(埼玉医科大学呼吸器内科 教授/埼玉医科大学病院アレルギーセンター センター長)にAITの基礎と推奨される患者像などについて話を聞いた。アレルゲン免疫療法の意義  以前に日本では“減感作療法”とも呼ばれたAITは、「アレルギー疾患の病因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療」と定義付けられ、アレルギー疾患の根本的な体質改善を期待できる唯一の治療法である。本邦オリジナルの手法である皮下免疫療法(SCIT)は諸外国と比べ格段に普及が遅れていた。しかし2014年に舌下免疫療法(SLIT)が承認され、スギ花粉症を中心にその普及が始まった。 『アレルゲン免疫療法の手引き』の2022年版*からの主な改訂ポイントについて、永田氏は「『喘息予防・管理ガイドライン 2024』および『鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版』との整合性を図り、最新の臨床知見を反映した。とくにこれまでの理念を覆す免疫病態や、またAITの新規の効果が近年明らかになってきたため、新たに判明した作用をブラッシュアップしている。たとえば、ダニSLITが喘息患者の呼吸機能を改善させ長期的に維持させ得ることや、重症患者(喘息併存)への生物学的製剤(抗IgE抗体オマリズマブや抗IL-4受容体α鎖抗体デュピルマブなど)との併用効果に関するエビデンスなどを盛り込んだ。さらに、現段階での適応拡大はないが、アトピー性皮膚炎に対しても部分的に効果があることも報告されている。さらに、スギアレルゲンによる治療がヒノキアレルギーに対しても一定の効果を示す可能性が指摘されている」など、治療標的の広がりについても言及した。また、医療経済的な観点として、AITによる医療費抑制効果が確認されていることにも触れた。*2013年に「スギ」「ダニ」別の指針として発刊されていた前身の出版物を統合・刷新したもの AITの機序についてはいわゆる脱感作現象の寄与は極めて限られ、したがって“減感作療法”という呼称は科学的に誤っている。実際には生体にとって有益な免疫応答を能動的に誘導することの寄与が大きいと判明している。同氏は喘息患者において、「AITが気道上皮細胞のインターフェロン産生能力を高め、ウイルス感染に対する抵抗性を増強する作用が報告されている。これは、感染を契機とした増悪を抑制する効果を意味する」と、その免疫学的メリットを強調した。小児期からの介入と喘息発症予防 AITの適応は、IgE依存性アレルギーであることが正確に診断されたダニアレルギーまたはスギ花粉症患者で、とくに重要なことは全身的・包括的な効果を期待して行われる点である。施行にあたっては、「アレルゲン免疫療法に精通した医師」が条件であり、とくにSCITは効果が高いものの、アナフィラキシーあるいは喘息増悪(発作)などに対する迅速な対応が可能な施設においてのみ実施される。 AITの普及状況について、「成人のスギ花粉症治療でのSLITの応用が活発な一方、通年性鼻炎や喘息に影響をもたらすダニアレルギーへの介入は欧米に比べ依然として不十分」と同氏は指摘した。とくに小児においては、小児喘息の多くが難治化のリスクを抱える中、AITの追加が予後改善に寄与することが確認され、『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023』にも5歳以上に対するダニ免疫療法の重要性が示されている。「小児期からの介入は、将来的な喘息の新規発症を予防し、すでに発症済みの小児喘息の改善も期待することができる」と同氏はコメントした。 アレルギー性鼻炎の鑑別疾患としては、非アレルギー性・非感染性の鼻粘膜過敏症(血管運動性鼻炎や好酸球増多性鼻炎、また鼻かぜ[急性鼻炎]など)が挙げられる。このほかの注意点として、同氏は「海外では喘息でダニSLITが適応となる一方で、日本の場合には“適応がない”点は留意したいが、日本人の約8割の喘息患者はアレルギー性鼻炎も併発している」と喘息患者は治療対象となる場合が多い点を指摘した。<処方医が診療時に注意するべきポイント>・リスク管理:アナフィラキシーリスク評価と迅速な対応ができること・禁忌/慎重投与:「自己免疫疾患の合併や既往、または濃厚な家族歴を有する」「%FEV1(1秒量)が70%未満、または不安定な喘息患者」「全身性ステロイド薬の連用や抗がん剤の使用」に関する状況確認・SLITに関する歯科連携: 腔内の傷や炎症、抜歯などの予定は吸収率や局所反応に影響するため、休薬を含めた指導を実施・環境整備:ダニアレルギーの場合、ダニの繁殖を防ぐため、床のフローリング化やこまめな清掃など、また喘息ではとくに完全禁煙を指導治療中断後の再開は?ほかのアレルゲンへの適応は? AITの治療期間について、世界保健機関(WHO)は3~5年を推奨しているが、さらなる長期継続も許容される。患者が中断してしまった場合やいったん中止後に再発した場合の再開基準について、永田氏は次のような見解(私見)を述べた。「スギSLITの場合、投与開始から3年が経過していれば、免疫寛容の誘導が進んでいる時期。一時的に中断しても2年は効果が持続すると判明しているが、中止後の再発に伴う再開に際しては『改めて最低3年』を目標に仕切り直すことを推奨する。」 なお、ほかのアレルゲンへのAITの展開については、ハチ毒でのSCIT、食物アレルゲンでの経口免疫療法、一部の薬剤(NSAIDs、抗酸菌薬など)に対する脱感作療法が存在する。ピーナッツなどの食物アレルギーに対する経口・経皮免疫療法は研究が進んでいるが、現時点で本邦での承認予定はない。そのため、最新の手引きではこれらについての詳細な解説は見送られている。

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併存疾患を有する関節リウマチ患者の疼痛・ADLを処方提案で改善【うまくいく!処方提案プラクティス】第71回

 今回は、関節リウマチの疼痛増悪により日常生活動作(ADL)に支障を来していた慢性骨髄性白血病も併存する患者について、病態と治療を評価して処方提案を行うことで疼痛とADLの顕著な改善を達成した症例を紹介します。慢性骨髄性白血病治療中の患者では、免疫抑制薬の追加・増量は慎重に検討する必要があり、薬剤の特性を理解した処方提案が重要となります。患者情報80歳、女性(外来)、身長147cm、体重46kg基礎疾患関節リウマチ、慢性骨髄性白血病、脂質異常症、不安神経症、高血圧症、腰部脊柱管狭窄症、睡眠障害生活状況独居(近くに娘が居住)ADL障害高齢者の日常生活自立度J1、認知症高齢者の日常生活自立度I検査値Scr 0.71mg/dL(推定CCr>60)、AST 23U/L、ALT 27U/L、Hb 10.9g/dL薬学的管理開始時の処方内容1.プレドニゾロン錠1mg 1錠 分1 朝食後2.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 朝食後3.ロスバスタチン錠2.5mg 1錠 分1 朝食後4.アムロジピンOD錠2.5mg 1錠 分1 朝食後5.デュロキセチンOD錠20mg 2錠 分1 朝食後6アセトアミノフェン錠500mg 疼痛時頓用 1回1錠他科受診・併用薬大学病院にて慢性骨髄性白血病をフォロー中アシミニブ錠40mg 2錠 分1 朝食後本症例のポイント患者は関節リウマチによる疼痛増悪(Numerical Rating Scale[NRS]:9)により、服の着脱も困難な状態でADLが著しく低下していました。施設入居を計画していましたが、疼痛のため外出もできず、このままでは生活の質がさらに低下します。この状況では疼痛管理の強化が急務であり、通常であればMTXなどの免疫抑制薬の追加や服薬中のプレドニゾロンの増量を検討します。しかし、本患者は慢性骨髄性白血病を併存しておりアシミニブを内服中です。免疫抑制薬やプレドニゾロンを追加・増量すると、感染リスクの増大や慢性骨髄性白血病治療に影響する恐れがあるため慎重に検討すべきです。そこで、NSAIDsの導入を提案することにしました。NSAIDsは中等度の活動性を持つ関節リウマチ患者において、痛みや全体的な健康状態を効果的に管理できることが報告されています1)。適切なNSAIDsを選択すれば安全に導入でき、患者のADL制限を解除することができると考えました。医師への提案と経過まず、医師に現状の課題として、患者の疼痛が高度でADLが著しく低下していること、そしてアセトアミノフェン頓用では疼痛コントロールが不十分であることを伝えました。懸念事項として、慢性骨髄性白血病治療中であることから免疫抑制の恐れのある薬剤の追加・増量は慎重に検討すべきであること、そして疼痛管理が不十分なままではADLのさらなる低下や施設入居計画にも支障を来す可能性があることを伝えました。その上で、メロキシカムの追加を提案しました。幸い、患者の腎機能(推定CCr>60)は保たれており、NSAIDsの使用に大きな障壁はありません。すでにボノプラザンが併用されているため胃粘膜保護が図られており、消化性潰瘍の既往もとくにありません。メロキシカムは選択的COX-2阻害薬であり、非選択的NSAIDsと比較して消化管障害のリスクが相対的に低く、1日1回投与のため服用時点を朝食後に統一できることから服薬アドヒアランスの維持も期待できます。医師に提案を採用いただき、翌日からメロキシカム5mg 1錠 分1 朝食後が開始となりました。開始1週間後のフォローアップの電話では、患者から「だいぶ痛みがすっきりしてきた。手先も動くので服の着脱がしやすくなった」とのうれしい報告がありました。NRSは9から4まで改善し、可動範囲が広がり行動制限が解除されました。さらに、入居を希望していた施設の見学にも行けるようになるなど、ADLの顕著な改善を認めました。考察とまとめ本症例では、慢性骨髄性白血病を併存する関節リウマチ患者に対してNSAIDsを適切に選択することで、免疫抑制薬を追加・増量させずに疼痛とADLの改善を達成できました。また、患者の腎機能や消化管リスクなどを総合的に評価し、NSAIDsの中でも消化管リスクが相対的に低いメロキシカムを選択したことで、高齢者でも安全に治療をすることができました。特殊な背景を有する患者では、リスク・ベネフィットバランスを慎重に検討することがとくに重要です。参考文献1)Karateev AE, et al. Mod Rheumatol. 2021;15:57-63.

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月1回の注射で重症喘息患者の経口ステロイド薬が不要に?

 重症喘息があり、発作予防のために毎日、経口コルチコステロイド薬(以下、経口ステロイド薬)を使用している人は少なくない。しかし、経口ステロイド薬には重い副作用を伴うことがある。 こうした中、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)呼吸器免疫学臨床教授のDavid Jackson氏らが、治療へのテゼペルマブの追加が重症喘息患者の症状と経口ステロイド薬の必要性にもたらす効果を調べる第3b相臨床試験を実施。その結果、この抗体薬により対象患者の90%で毎日の経口ステロイド薬の使用量を減らすことができ、約半数で経口ステロイド薬の使用を完全に中止することができたことが示された。テゼペルマブは、免疫系の一部を標的とするよう設計された抗体薬で、肺の炎症を軽減する働きがある。製薬企業のAstraZeneca社とAmgen社の資金提供を受けて実施されたこの臨床試験の結果は、英国胸部疾患学会(BTS)冬季学術集会(BTS Winter Meeting 2025、11月26~28日、英ロンドン)で発表されるとともに、「Lancet Respiratory Medicine」に11月26日掲載された。 喘息患者を支援する非営利団体Asthma + Lung UKのリサーチ・ディレクターで、この臨床試験には関与していないSamantha Walker氏は、「これは将来の喘息治療に向けた極めて有望な進展であり、重症喘息患者の人生を大きく変える可能性がある」と話している。 重症の喘息は消耗性で、命に関わることもある。患者は多くの場合、症状を抑えるために毎日経口ステロイド薬を使用するが、この薬は骨粗鬆症や糖尿病、感染症の発症リスクを高める可能性があることが知られている。  今回の臨床試験には、11カ国の68の臨床施設で登録された298人(女性69.1%)の重症喘息患者が参加した。患者は4週間に1回、210mgのテゼペルマブの注射を最長で52週間にわたって受けた。また、喘息の症状や服薬に関する質問票に回答した。主要評価項目は、喘息コントロールを悪化させることなく経口ステロイド薬の処方用量を1日5mg以下に削減できた参加者の割合、および経口ステロイド薬を中止した参加者の割合とし、試験開始から28週目と52週目(試験終了時)に評価した。ベースラインにおける経口ステロイド薬の平均維持用量は1日10.8mgであった。 その結果、喘息コントロールを悪化させることなく経口ステロイド薬の処方用量を5mg/日以下に削減できた参加者の割合は、28週目で88.9%(265人)、52週目で89.9%(268人)であった。また、経口ステロイド薬の使用を中止できた参加者の割合は、28週目で32.2%(96人)、52週目で50.3%(150人)であった。さらに、52週間にわたる試験期間中、患者の約3分の2(66.9%)では喘息発作が発生しなかったことも確認された。 論文の筆頭著者であるJackson氏は、今回の臨床試験の結果について、「重症度が最も高いタイプの喘息の患者にとって重要な前進だ」とKCLのニュースリリースの中で述べている。同氏は、「テゼペルマブはアレルギー関連症状を抑えることや、慢性副鼻腔炎の改善をもたらすことも明らかにされている。したがって、この臨床試験の結果は、特に上気道症状と下気道症状の両方がある重症喘息患者にとって有望な結果である」と付け加えている。  なお、テゼペルマブは、喘息治療に導入された最初の抗体薬ではない。研究グループによると、昨年実施されたKCLの別の試験では、すでに承認されている別の抗体薬のベンラリズマブでも同様の有効性が報告されているという。

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アトピー性皮膚炎患者に最適な入浴の頻度は?

 アトピー性皮膚炎患者にとって入浴は判断の難しい問題であり、毎日の入浴が症状の悪化を引き起こすのではないかと心配する人もいる。こうした中、新たなランダム化比較試験で、入浴の頻度が毎日でも週に1~2回でも、入浴がアトピー性皮膚炎の症状に与える影響に違いはないことが明らかになった。 この試験を実施した英ノッティンガム大学臨床試験ユニットのLucy Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎の人でも自分に合った入浴頻度を選べることを意味するこの結果は、アトピー性皮膚炎の症状に苦しむ人にとって素晴らしい知らせだ」と述べている。この臨床試験の詳細は、「British Journal of Dermatology」に11月10日掲載された。 アトピー性皮膚炎は、皮膚の水分保持力の低下や外的刺激や病原体から体を守る力(バリア機能)の低下により、皮膚の乾燥、かゆみ、凹凸などが生じる疾患である。今回の試験では、438人のアトピー性皮膚炎患者(16歳未満108人)を対象に、入浴の頻度が症状に与える影響が検討された。入浴は、シャワーだけを浴びる場合とバスタブに身体を浸す場合の双方を含めた。対象者は、4週間にわたり、週に1〜2回入浴する群(220人)と毎日(週に6回以上)入浴する群(218人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、週に1回、POEM(patient oriented eczema measure)を使って患者が報告したアトピー性皮膚炎の症状であった。 その結果、ベースライン、および1、2、3、4週目の平均POEMスコアは、毎日入浴した群でそれぞれ14.5点、11.7点、12.2点、11.7点、11.6点、週1〜2回入浴した群ではそれぞれ14.9点、12.1点、11.3点、10.5点、10.6点であった。両群間の4週間の平均POEMスコアの調整差は−0.4(95%信頼区間−1.3~0.4、P=0.30)であり、有意な差は認められなかった。 共著者の1人であり、自身もアトピー性皮膚炎に罹患しているノッティンガム大学Centre of Evidence Based Dermatology(CEBD)のAmanda Roberts氏は、「この研究結果には非常に安心した」と話す。同氏は、「日常生活の中にはアトピー性皮膚炎の症状に影響する可能性があるものがたくさんある。そのため、入浴やシャワーの頻度はそこに含まれないと知っておくのは、心配事が一つ減って喜ばしいことだ」と話している。 研究グループは次の研究で、アトピー性皮膚炎の再発の治療において、ステロイド薬をどのくらいの期間使用すべきかを調べる予定だという。Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎患者と緊密に協力しながらこの研究を共同設計できたことは素晴らしい経験だった。われわれは、これまでの研究では十分に注目されてこなかった、アトピー性皮膚炎患者の生活にまつわる疑問に答えを見つけ始めたところだ」と述べている。

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成人期発症ネフローゼ症候群、リツキシマブで再発抑制/JAMA

 成人期発症の頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)またはステロイド依存性ネフローゼ症候群(SDNS)患者において、リツキシマブはプラセボと比較し49週時の再発率を有意に改善し、再発予防にリツキシマブが有用であることが示された。大阪大学大学院医学系研究科の猪阪 善隆氏らが、国内13施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。FRNSまたはSDNSの成人患者におけるネフローゼ症候群再発に対するリツキシマブの有効性は不明であった。JAMA誌オンライン版2025年11月5日号掲載の報告。リツキシマブまたはプラセボを、1週時、2週時、25週時に投与、1年間追跡 研究グループは、2020年9月1日~2022年6月28日に、直近の再発に対するステロイド治療開始後の尿検査で尿蛋白<0.3g/gCrを2回以上認めたFRNS(6ヵ月間に2回以上再発するネフローゼ症候群)またはSDNS(ステロイド薬を減量・中止後に再発を2回以上繰り返し、ステロイド薬を中止できないネフローゼ症候群)の成人患者を登録した。適格患者をリツキシマブ群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、375mg/m2/回を1週時、2週時および25週時に静脈内投与し、49週間追跡した(最終追跡調査日2024年3月15日)。 主要アウトカムは、49週時点でネフローゼ症候群の再発が認められなかった患者の割合とした。再発は、尿蛋白1g/gCr以上を連続2回測定した場合と定義した。49週時の無再発率はリツキシマブ群87.4%、プラセボ群38.0% 計72例がリツキシマブ群(36例)とプラセボ群(36例)に無作為化された。患者背景は、平均年齢47.9歳、女性56.1%であった。このうち、66例(92%)が少なくとも1回試験薬を投与され、解析対象集団に含まれた。 49週時の無再発率は、リツキシマブ群で87.4%(95%信頼区間[CI]:69.8~95.1)、プラセボ群で38.0%(95%CI:22.1~53.8)であった(p<0.001、片側log-rank検定)。層別Coxモデルでは、リツキシマブ群のプラセボ群に対する再発のハザード比は0.16(95%CI:0.05~0.46;p<0.001)であった。 無再発期間中央値は、リツキシマブ群で>49.0週(範囲:4~≧50)、プラセボ群で30.8週(2~≧51)であった。 最も発現頻度が高い有害事象はインフュージョンリアクション(リツキシマブ群13例[40.6%]、プラセボ群1例[2.9%])であった。Grade3の有害事象は、リツキシマブ群で15.6%(5/32例)、プラセボ群で5.9%(2/34例)に認められた。

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鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、テゼペルマブの日本人データ(WAYPOINT)/日本アレルギー学会

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)に対し、生物学的製剤の適応拡大が進んでいるが、生物学的製剤使用患者の約40%は全身性ステロイド薬を用いていたという報告があるなど、依然としてコントロール不十分な患者が存在する。そこで、抗TSLP抗体薬のテゼペルマブのCRSwNPに対する有用性が検討され、国際共同第III相試験「WAYPOINT試験」において、テゼペルマブは鼻茸スコア(NPS)と鼻閉重症度スコア(NCS)を有意に改善したことが、NEJM誌ですでに報告されている1)。本試験の結果を受け、テゼペルマブは米国およびEUにおいて2025年10月にCRSwNPに対する適応追加承認を取得した。 そこで、WAYPOINT試験の日本人集団の解析結果について、櫻井 大樹氏(山梨大学大学院総合研究部医学域 耳鼻咽喉科・頭頸部外科講座)が第74回日本アレルギー学会学術大会(10月24~26日)で発表した。本解析の結果、日本人集団においてもテゼペルマブの有効性・安全性は全体集団と一貫していたことが示された。試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験対象:既存治療でコントロール不十分(NPS 5以上、各鼻腔のスコア2以上)の18歳以上のCRSwNP患者408例(日本人33例)試験群(テゼペルマブ群):テゼペルマブ210mgを4週に1回皮下投与+鼻噴霧用ステロイド薬※ 203例(日本人17例)対照群(プラセボ群):プラセボ+鼻噴霧用ステロイド薬※ 205例(日本人16例)評価項目:[共主要評価項目]投与52週時のNPSのベースラインからの変化量、投与52週時のNCSのベースラインからの変化量[副次評価項目]鼻茸に対する手術決定/全身性ステロイド薬投与までの期間、嗅覚障害重症度スコア、22項目の副鼻腔に関する評価質問票(SNOT-22)合計スコア、LMKスコア(副鼻腔混濁度の指標)、全症状スコア(TSS)、喘息合併患者における気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)など※:日本人集団では併用を必須としない 日本人集団における主な結果は以下のとおり。・日本人集団の患者背景は、性別を除いて両群間でバランスがとれていた。日本人集団は65歳以上の割合が多い(テゼペルマブ群23.5%、プラセボ群25.0%)、BMI(kg/m2)が低い(25.8、25.4)、手術歴ありの割合が少ない(52.9%、56.3%)、総IgE(IU/mL)が高い(260.8、362.6)、アレルギー性鼻炎の合併が多い(29.4%、37.5%)などの特徴があった。・ベースライン時のNPS(平均値±標準偏差)は、テゼペルマブ群6.2±1.0、プラセボ群6.5±1.3であった。同様に、NCSはそれぞれ2.5±0.6、2.5±0.5であった。・NPSの改善は初回評価時点(投与4週時)から認められ、投与52週時のNPSのベースラインからの変化量(平均値)は、テゼペルマブ群-2.30(全体集団:-2.46)、プラセボ群-1.24(同:-0.38)であった(群間差[最小二乗平均値]:-1.063、95%信頼区間[CI]:-2.315~0.190)。・投与52週時のNCSのベースラインからの変化量(平均値)は、テゼペルマブ群-1.63(全体集団:-1.74)、プラセボ群-1.08(同:-0.70)であった(群間差[最小二乗平均値]:-0.548、95%CI:-1.097~0.002)。・日本人集団においても、テゼペルマブ群はプラセボ群と比較して、嗅覚障害重症度スコア、SNOT-22合計スコア、LMKスコア、TSSが改善していた。各スコアの投与52週時のベースラインからの変化量の群間差(95%CI)は以下のとおり。 嗅覚障害重症度スコア:-0.652(-1.176~-0.128) SNOT-22合計スコア:-20.300(-36.152~-4.448) LMKスコア:-5.524(-7.444~-3.604) TSS:-3.512(-7.040~0.015)・日本人集団では、テゼペルマブ群で手術決定/全身性ステロイド薬投与に至った患者は0例であった(プラセボ群は2例)。・投与52週時の喘息合併患者の気管支拡張薬投与前のFEV1のベースライン時からの変化量(平均値±標準偏差)は、テゼペルマブ群369±544mL、プラセボ群-57±197mLであった。同様に、6項目の喘息コントロール質問票(ACQ-6)スコアの変化量は、それぞれ-0.94±1.415、-0.46±1.172であった。・有害事象はテゼペルマブ群58.8%、プラセボ群68.8%に発現した。両群とも投与中止に至った有害事象や死亡に至った有害事象は認められなかった。 本結果について、櫻井氏は「WAYPOINT試験で得られた日本人集団の結果は、日本人CRSwNP患者におけるテゼペルマブの良好なベネフィット・リスクプロファイルを支持するものであった」とまとめた。

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免疫性血小板減少症への新治療薬による診療戦略/Sobi Japan

 希少・難治性疾患治療に特化し、ストックホルムに本社を置くバイオ医薬品企業のSwedish Orphan Biovitrum Japan(Sobi Japan)は、アバトロンボパグ(商品名:ドプテレット)が新たな適応として「持続性および慢性免疫性血小板減少症」の追加承認を取得したことに合わせ、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、免疫性血小板減少症(ITP)の診療に関する講演や同社の今後の展望などが説明された。約2万例の患者が推定されるITP はじめに「免疫性血小板減少症について」をテーマに、加藤 亘氏(大阪大学医学部附属病院輸血・細胞療法部 部長)が、本症の概要を説明した。 出血時の止血に重要な役割を担う血小板は、巨核球が血管内に行くことで血小板となり、体内で約7~10日間活動する。正常15~35万/μLの血小板数があり、10万/μL以下で血小板減少症、1万/μL以下では重篤な出血症状を呈する。そして、ITPは血液中の血小板が免疫により減少する疾患である。症状としては、皮膚の紫斑、粘膜出血などの出血症状の繰り返しがあり、健康な人よりもわずかに高い死亡率となる。 また、近年の研究からITPは血小板に対する自己抗体によって起こる自己免疫疾患とされ、「特発性」という言葉から「免疫性」に変更された。 わが国には約2万例の患者が推定され、毎年約3,000例が新規発症しており、その半数は高齢者である。本症は、指定難病であり、小児慢性特定疾患であるが、医療費助成の対象はステージ2以上の比較的重症の患者となっており、特定医療費受給者証所持者数は2023年時点で約1万7,000人となっている。 難病申請データに基づくITPの出血症状としては、紫斑が88.2%、歯肉出血が26.8%、鼻出血が18.1%の順で多く、その症状は血小板減少の程度、年齢と相関する。とくに血小板数1~1.5万/μL、60歳以上では重篤な出血リスクが増大するといわれている1)。 ITPの治療戦略としては、(1)リンパ球による抗血小板自己抗体の産生抑制、(2)破壊される以上に血小板を多く産生する、の2つがあり、治療の流れとしては『成人特発性血小板減少性紫斑病 治療の参照ガイド 2019改訂版』により治療が行われる(わが国独自の治療にピロリ菌除去療法がある)。 治療目標は、血小板を正常に戻すことではなく、重篤な出血を予防することであり、治療薬の副作用による患者QOLの低下を考慮し、過剰な長期投与は避けることとされている。 本症の1次療法としては、副腎皮質ステロイド療法が行われる。次に1次療法で効果がみられない場合、2次療法としてトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)、リツキシマブ、脾臓摘出術などが考慮される。2次療法については大きな優劣はなく、ただ、近年では脾臓摘出術はほぼ行われていない。 わが国でのITP治療薬の使用状況について、2015~21年で比較すると、TPO-RAが35.71%から61.37%へと増加し、リツキシマブも0%から3.3%へと増加したという報告がある2)。 多く使用されているTPO-RAは奏効率は高いものの、長期使用の場合は肝機能障害などの副作用の課題もある。治療の選択では、各治療の特徴を踏まえ、患者の希望・背景に合わせた治療選択が望まれる。 また、現在、解決が必要とされる課題として5つが指摘されている。(1)治療薬の使い分け、併用法(2)完治を目指す治療の開発(3)妊娠中、出産時の血小板数コントロール(4)出血症状、血小板数の改善のみではなく、症例ごとのQOLに配慮した治療・薬剤選択(5)ITP診断の改善(特異的な診断法開発の必要性)約6割のITP患者に投与8日以内で反応あり 今回、アバトロンボパグは新たな適応である「持続性および慢性免疫性血小板減少症」の承認を2025年8月25日に取得した。適応追加に係るわが国での第III相試験は、慢性ITPの患者19例を対象に、26週間の投与期間中に救援療法なしに血小板反応(血小板≧50×109/L)が得られた累積週数を主要評価として行われた。試験対象者の平均年齢は56.0歳で、女性が78.9%だった。 試験の結果、血小板反応(≧50×109/L)について、26週間の投与期間中、臨床的に意義のある累積週数の基準(閾値:8.02週)を達成し、患者の63.2%が8日以内に反応を示した。安全性では、治療に関係する重篤な有害事象はなく、一般的な有害事象として、新型コロナウイルス感染症、上気道感染症、鼻咽頭炎などが報告された。 最後に加藤氏は、「アバトロンボパグは慢性ITPを有する日本人成人患者に対し有効であった。安全性・忍容性も良好で、海外の主要な第III相試験3)および中国の患者の第III相試験4)と同様の血小板反応を日本人でも示した。長期的な有効性と安全性は、現在進行中の延長期で評価をする予定」と展望を述べ、講演を終えた。 同社では、今後新たに5つの希少疾患に対する製品の上市を目指しており、「これらの薬剤を早く日本の患者さんに届けられることを使命とし、希少疾患薬におけるドラッグラグやドラッグロスという問題の解決の一助となるようにしていきたい」と抱負を語っている。

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蕁麻疹に外用薬は非推奨、再確認したい治療の3ステップ

 かゆみを伴う赤みを帯びた膨らみ(膨疹)が一時的に現れて、しばらくすると跡形もなく消える蕁麻疹は、診察時には消えていることも多く、医師は症状を直接みて対応することが難しい。そのため、医師と患者の間には認識ギャップが生まれやすく、適切な診断・治療が選択されない要因となっている。サノフィは9月25日、慢性特発性蕁麻疹についてメディアセミナーを開催し、福永 淳氏(大阪医科薬科大学皮膚科学/アレルギーセンター)がその診療課題と治療進展について講演した。 なお、蕁麻疹の診療ガイドラインは現在改訂作業が進められており、次改訂版では病型分類における慢性(あるいは急性)蕁麻疹について、原因が特定できないという意味を表す“特発性”という言葉を加え、“慢性(急性)特発性蕁麻疹”に名称変更が予定されている。蕁麻疹の第1選択は経口の抗ヒスタミン薬、外用薬は非推奨 慢性特発性蕁麻疹は「原因が特定されず、症状(かゆみを伴う赤みを帯びた膨らみが現れて消える状態)が6週間以上続く蕁麻疹」と定義され、蕁麻疹患者全体の約6割を占める1)。幅広い世代でみられ40代に患者数のピークがあり1)、女性が約6割と報告されている2)。医療情報データベースを用いた最新の研究では、慢性特発性蕁麻疹の推定有病割合は1.6%、推定患者数は約200万人、1年間の新規発症者数は約100万人と推計されている3)。 蕁麻疹診療ガイドライン4)で推奨されている治療ステップは以下のとおりで、内服の抗ヒスタミン薬が治療の基本だが、臨床現場では蕁麻疹に対してステロイド外用薬が使われている事例も多くみられる。福永氏は「蕁麻疹に対するステロイド外用薬はガイドラインでは推奨されておらず、エビデンスもない」と指摘した。[治療の3ステップ]Step 1 抗ヒスタミン薬Step 2 状態に応じてH2拮抗薬*1、抗ロイコトリエン薬*1を追加Step 3 分子標的薬、免疫抑制薬*1、経口ステロイド薬*2を追加または変更*1:蕁麻疹、*2:慢性例に対しては保険適用外だが、炎症やかゆみを抑えることを目的に、慢性特発性蕁麻疹の治療にも使われることがある分子標的薬の登場で、Step 3の治療選択肢も広がる 一方で、Step 1の標準用量の第2世代抗ヒスタミン薬による治療では、コントロール不十分な患者が60%以上いると推定されている5,6)。Step 2の治療薬はエビデンスレベルとしては低く、国際的なガイドラインでは推奨度が低い。エビデンスレベルとしてはStep 3に位置付けられている分子標的薬のほうが高く、今後の日本のガイドラインでの位置付けについては検討されていくと福永氏は説明した。 原因が特定されない疾患ではあるが、薬剤の開発により病態の解明が進んでいる。福永氏は、「かゆみの原因となるヒスタミンを抑えるという出口戦略としての治療に頼る状況から、アレルギー反応を引き起こす物質をターゲットとした分子標的薬が使えるようになったことは大きい」とした。約4割が10年以上症状継続と回答、医師と患者の間に生じている認識ギャップ 症状コントロールが不十分(蕁麻疹コントロールテスト[UCT]スコア12点未満)な慢性特発性蕁麻疹患者277人を対象に、サノフィが実施した「慢性特発性じんましんの治療実態調査(2025年)」によると、39.0%が最初に症状が出てから現在までの期間が「10年以上」と回答し、うち27.8%は現在も「ほぼ毎日症状が出続けている」と回答した。福永氏は、「蕁麻疹は誰にでも起こりうるありふれた病気として、時間が経てば治ると思っている患者さんは多い。しかしなかには慢性化して、長期間症状に悩まされる患者さんもいる」とし、診療のなかでその可能性についても説明できるとよいが、現状なかなかできていないケースも多いのではないかと指摘した。 また、慢性特発性蕁麻疹をどのような疾患だと思うかという問いに対しては、「治療で完治を目指せる病気」との回答は5.1%にとどまり、コントロール不十分な慢性特発性蕁麻疹患者の多くが完治を目指せるとは思っていないことが明らかになった。福永氏は、「治療をしてもすぐには完治しないが、症状が出ていないときも治療を継続することが重要」とした。 原因を知りたいから検査をしてほしいという患者側のニーズと、蕁麻疹との関連が疑われる病歴や身体的所見がある場合に検査が推奨される医療者側にもギャップが生じることがある。福永氏は、「必ず原因がわかる病気ではなく、原因究明よりも治療が重要ということを説明する必要がある」と話し、丁寧な対話に加え、患部の写真撮影をお願いする、UCTスコアを活用するといった、ギャップを埋めるため・見えないものを見える化するための診療上の工夫の重要性を強調して講演を締めくくった。■参考文献1)Saito R, et al. J Dermatol. 2022;49:1255-1262.2)Fukunaga A, et al. J Clin Med. 2024;13:2967.3)Fukunaga A, et al. J Dermatol. 2025 Sep 8. [Epub ahead of print]4)秀 道広ほか. 蕁麻疹診療ガイドライン 2018. 日皮会誌. 128:2503-2624;2018.5)Guillen-Aguinaga S, et al. Br J Dermatol. 2016;175:1153-1165.6)Min TK, et al. Allergy Asthma Immunol Res. 2019;11:470-481.

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アブレーション後の再発予防、スタチンが最適か~ネットワークメタ解析

 心房細動(AF)はアブレーションや薬物療法を実施しても再発率が高く、大きな臨床課題となっている。AFの再発リスクには炎症が影響しているともされ、抗炎症作用を有する薬剤が再発抑制の補助療法として注目されている。今回、米国・ユタ大学のSurachat Jaroonpipatkul氏らは、コルヒチンとスタチンが炎症と心房リモデリングの軽減における潜在的な役割を担い、アブレーション後早期での最も有望な治療法であることを示唆した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2025年7月9日号掲載の報告。 本研究では、アブレーション後のAF再発予防における抗炎症作用の有効性を評価するため、アブレーション後のAF再発を検討したランダム化比較試験に対し、PRISMA-NMAガイドラインに基づくシステマティックレビューとネットワークメタ解析を実施した。対象試験で投与されていたのは、コルヒチン、スタチン(アトルバスタチン)、コルチコステロイド(メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン)、ACE阻害薬(ペリンドプリル)、アスコルビン酸であった。今回、直接比較と間接比較を統合させ、治療成績の順位付けは累積順位曲線下面積(Surface Under the Cumulative Ranking、SUCRA)を、エビデンスの質はCINeMA(Confidence in Network Meta-analysis)を用いて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・21試験群を対象とした13研究の2,283例が解析対象となった。・プラセボと比較し、コルヒチンとスタチンはAF再発率を有意に減少させ(コルヒチンのリスク比[RR]:0.59[95%信頼区間:0.46~0.77、p<0.001]、スタチンのRR:0.57、[同:0.38~0.86、p=0.008])、スタチンはSUCRAランキングで最高の評価を得た。・コルヒチンは、CRPやIL-6などの炎症マーカーを抑制させることで、早期再発率を顕著に減少させる有効性を示した。・コルチコステロイドとACE阻害薬は再発率に有意な影響を与えず、アスコルビン酸には効果が認められなかった。・対象研究間の異質性は最小限であり、感度分析により堅牢性が確認された。 なお、本研究の限界として、研究間でのAF再発定義のばらつきや治療エビデンスが少ない試験を対象とした点などがあった。

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未治療のマントル細胞リンパ腫、イブルチニブ+リツキシマブがPFS改善/Lancet

 未治療のマントル細胞リンパ腫において、イブルチニブ(BTK阻害薬)+リツキシマブ(抗CD20抗体)の併用療法は免疫化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、英国・University Hospitals Plymouth NHS TrustのDavid J. Lewis氏らENRICH investigatorsが行った無作為化非盲検第II/III相優越性試験「ENRICH試験」の結果で示された。イブルチニブは、初回治療の免疫化学療法に上乗せすることでPFSの延長が示されている。ENRICH試験では、60歳以上の未治療のマントル細胞リンパ腫患者を対象に、化学療法を併用しないイブルチニブ+リツキシマブ併用療法と、標準的な免疫化学療法(R-CHOP療法[リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン]またはリツキシマブ+ベンダムスチン)を比較した。著者は、「本検討はわれわれが知る限り、イブルチニブ+リツキシマブ併用の有効性を実証した初の無作為化試験である」としたうえで、「マントル細胞リンパ腫の高齢患者の初回治療として、イブルチニブ+リツキシマブ併用を新たな標準治療と見なすべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年10月3日号掲載の報告。英国、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの66施設で評価 ENRICH試験は、英国、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの66施設で行われた。60歳以上で未治療のマントル細胞リンパ腫(Ann-Arbor分類StageII~IV、ECOG-PSスコア0~2)の患者を、イブルチニブ+リツキシマブ群(介入群)またはリツキシマブ+免疫化学療法群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。試験担当医師が選択した免疫化学療法で層別化した。 介入群の被験者は、無作為化前に選択された免疫化学療法の適合スケジュール(R-CHOP療法21日ごと、またはリツキシマブ+ベンダムスチン療法28日ごと)に基づき、イブルチニブ560mgを1日1回経口投与+各サイクル初日にリツキシマブ375mg/m2の静脈内投与を6~8サイクル投与した。 R-CHOP療法は、21日サイクルの初日にシクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2を投与、各サイクル1~5日目にプレドニゾロン100mgを投与した。リツキシマブ+ベンダムスチン療法は、各サイクル1日目と2日目にベンダムスチン90mg/m2を投与し、各サイクルの1日目にリツキシマブ375mg/m2を投与する組み合わせで構成された。 導入期終了時に反応を示した両群の全患者は、8週ごと2年間、リツキシマブの維持投与を受けた。また介入群に割り付けられた患者は、疾患進行または許容できない毒性が出現するまでイブルチニブの投与が継続された。 主要評価項目は、試験担当医師の評価に基づくPFSで、選択した免疫化学療法で層別化を行い、ITT集団で解析が行われた。追跡期間中央値47.9ヵ月のPFS中央値、リツキシマブ+免疫化学療法よりも優れる 2016年2月15日~2021年6月30日に、397例が無作為化された。このうちR-CHOP療法の無作為化前選択は107例(27%)、リツキシマブ+ベンダムスチン療法の無作為化前選択は290例(73%)であった。 全体で、199例が介入群に、198例が対照群(R-CHOP療法53例、リツキシマブ+ベンダムスチン療法145例)に無作為化された。年齢中央値は、介入群74歳(四分位範囲:70~77)、対照群74歳(70~78)であった。296例(75%)が男性、101例(25%)が女性であり、人種に関するデータは収集されなかった。 追跡期間中央値47.9ヵ月の時点で、PFS中央値は介入群が対照群よりも有意に優れることが示された(補正後ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.52~0.90、p=0.0034)。また、介入群のR-CHOP療法群に対するHRは0.37(95%CI:0.22~0.62)、同リツキシマブ+ベンダムスチン療法に対するHRは0.91(0.66~1.25)であった。 導入期および維持期を通じて、Grade3以上の有害事象が報告されたのは、介入群67%、対照群70%であった。

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下垂体性ADH分泌異常症〔Pituitary ADH secretion disorder〕

1 疾患概要■ 定義抗利尿ホルモン(ADH)であるバソプレシン(AVP)は、視床下部の視索上核および室傍核に存在する大細胞性AVPニューロンで産生されるペプチドホルモンである。血漿浸透圧の上昇または循環血漿量の低下に応じて下垂体後葉から分泌され、腎集合管における水の再吸収を促進することで体液恒常性の維持に重要な役割を果たす。下垂体性ADH分泌異常症には、AVP分泌不全により多尿を呈する中枢性尿崩症と、低浸透圧環境下にも関わらずAVP分泌が持続し低ナトリウム血症を呈する抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)が含まれる。■ 疫学わが国における中枢性尿崩症の患者数は約5,000~1万人程度と推定されている1)。一方、SIADHの患者数は不明であるが、低ナトリウム血症は電解質異常の中で最も頻度が高く、全入院患者の2~3%で認められる。軽度の低ナトリウム血症を呈する患者を含めると、とくに高齢者では相当数に上ると推定されている1)。■ 病因中枢性尿崩症とSIADHの主な病因をそれぞれ表1および表2に示す。特発性中枢性尿崩症は視床下部や下垂体後葉に器質的異常を認めないが、一部はリンパ球性漏斗下垂体後葉炎に由来する可能性がある。続発性中枢性尿崩症は視床下部や下垂体の腫瘍や炎症、手術、外傷などによりAVPニューロンが障害され、AVP産生および分泌が低下することで発症する。SIADHの原因としては、中枢神経疾患、肺疾患、異所性AVP産生腫瘍、薬剤などが挙げられる。表1 中枢性尿崩症の病因特発性家族性続発性(視床下部-下垂体系の器質的障害):リンパ球性漏斗下垂体後葉炎胚細胞腫頭蓋咽頭腫奇形腫下垂体腫瘍(腺腫)転移性腫瘍白血病リンパ腫ランゲルハンス細胞組織球症サルコイドーシス結核脳炎脳出血・脳梗塞外傷・手術表2 SIADHの病因中枢神経系疾患髄膜炎脳炎頭部外傷くも膜下出血脳梗塞・脳出血脳腫瘍ギラン・バレー症候群肺疾患肺腫瘍肺炎肺結核肺アスペルギルス症気管支喘息腸圧呼吸異所性バソプレシン産生腫瘍肺小細胞がん膵がん薬剤ビンクリスチンクロフィブレートカルバマゼピンアミトリプチンイミプラミンSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)■ 症状中枢性尿崩症では、口渇、多飲、多尿を認め、尿量は1日1万mLに達することもある。血液は濃縮され高張性脱水に至り、上昇した血漿浸透圧により渇中枢が刺激され、強い口渇が生じて大量の水を飲むことになるが、摂取した水は尿としてすぐに排泄される。SIADHでは、頭痛、悪心、嘔吐、意識障害、痙攣など低ナトリウム血症に伴う症状が出現する。急速に血清ナトリウム濃度が低下した場合には重篤な症状が早期に出現するが、慢性の低ナトリウム血症では症状が軽度にとどまることがある。■ 予後中枢性尿崩症は、妊娠時や頭蓋内手術後の一過性発症を除き自然回復はまれであるが、飲水が可能な状態であれば生命予後は良好である。一方で、渇感障害を伴う場合や飲水が制限される場合には高度の高張性脱水を呈し、重篤な転機をたどることがある。実際、渇感障害を伴う尿崩症患者はそうでない患者に比べ、血清ナトリウム濃度150mEq/L以上の高ナトリウム血症の発症頻度が有意に高く、さらに重症感染症による入院や死亡率も有意に高いと報告されている2)。続発性中枢性尿崩症やSIADHの予後は、原因となる基礎疾患に依存する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」3)に記載された診断の手引きを表3および表4に示す。表3 中枢性尿崩症の診断の手引きI.主症候1.口渇2.多飲3.多尿II.検査所見1.尿量は成人においては1日3,000mL以上または40mL/kg以上、小児においては2,000mL/m2以上2.尿浸透圧は300mOsm/kg以下3.高張食塩水負荷試験(注1)におけるバソプレシン分泌の低下:5%高張食塩水負荷(0.05mL/kg/分で120分間点滴投与)時に、血漿浸透圧(血清ナトリウム濃度)高値においても分泌の低下を認める(注2)。4.水制限試験(飲水制限後、3%の体重減少または6.5時間で終了)(注1)においても尿浸透圧は300mOsm/kgを超えない。5.バソプレシン負荷試験(バソプレシン[ピトレシン注射液]5単位皮下注後30分ごとに2時間採尿)で尿量は減少し、尿浸透圧は300mOsm/kg以上に上昇する(注3)。III.参考所見1.原疾患の診断が確定していることがとくに続発性尿崩症の診断上の参考となる。2.血清ナトリウム濃度は正常域の上限か、あるいは上限をやや上回ることが多い。3.MRI T1強調画像において下垂体後葉輝度の低下を認める(注4)。IV.鑑別診断多尿を来す中枢性尿崩症以外の疾患として次のものを除外する。1.心因性多飲症:高張食塩水負荷試験で血漿バソプレシン濃度の上昇を認め、水制限試験で尿浸透圧の上昇を認める。2.腎性尿崩症:家族性(バソプレシンV2受容体遺伝子の病的バリアントまたはアクアポリン2遺伝子の病的バリアント)と続発性[腎疾患や電解質異常(低カリウム血症・高カルシウム血症)、薬剤(リチウム製剤など)に起因するもの]に分類される。バソプレシン負荷試験で尿量の減少と尿浸透圧の上昇を認めない。[診断基準]確実例:Iのすべてと、IIの1、2、3、またはIIの1、2、4、5を満たすもの。[病型分類]中枢性尿崩症の診断が下されたら下記の病型分類をすることが必要である。1.特発性中枢性尿崩症:画像上で器質的異常を視床下部-下垂体系に認めないもの。2.続発性中枢性尿崩症:画像上で器質的異常を視床下部-下垂体系に認めるもの。3.家族性中枢性尿崩症:原則として常染色体顕性遺伝形式を示し、家族内に同様の疾患患者があるもの。(注1)著明な脱水時(たとえば血清ナトリウム濃度が150mEq/L以上の際)に高張食塩水負荷試験や水制限試験を実施することは危険であり、避けるべきである。多尿が顕著な場合(たとえば1日尿量が1万mLに及ぶ場合)は、患者の苦痛を考慮して水制限試験より高張食塩水負荷試験を優先する。多尿が軽度で高張食塩水負荷試験においてバソプレシン分泌の低下が明らかでない場合や、デスモプレシンによる治療の必要性の判断に迷う場合には、水制限試験にて尿濃縮力を評価する。(注2)血清ナトリウム濃度と血漿バソプレシン濃度の回帰直線において傾きが0.1未満または血清ナトリウム濃度が149mEq/Lのときの推定血漿バソプレシン濃度が1.0pg/mL未満(中枢性尿崩症)。(注3)本試験は尿濃縮力を評価する水制限試験後に行うものであり、バソプレシン分泌能を評価する高張食塩水負荷試験後に行うものではない。なお、デスモプレシンは作用時間が長いため水中毒を生じる危険があり、バソプレシンの代わりに用いることは推奨されない。(注4)高齢者では中枢性尿崩症でなくても低下することがある。表4 SIADHの診断の手引きI.主症候脱水の所見を認めない。II.検査所見1.血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。2.血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。3.低ナトリウム血症、低浸透圧血症にもかかわらず、血漿バソプレシン濃度が抑制されていない。4.尿浸透圧は100mOsm/kgを上回る。5.尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。6.腎機能正常7.副腎皮質機能正常8.甲状腺機能正常III.参考所見1.倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある。2.原疾患の診断が確定していることが診断上の参考となる。3.血漿レニン活性は5ng/mL/時間以下であることが多い。4.血清尿酸値は5mg/dL以下であることが多い。5.水分摂取を制限すると脱水が進行することなく低ナトリウム血症が改善する。IV.鑑別診断低ナトリウム血症を来す次のものを除外する。1.細胞外液量の過剰な低ナトリウム血症:心不全、肝硬変の腹水貯留時、ネフローゼ症候群2.ナトリウム漏出が著明な細胞外液量の減少する低ナトリウム血症:原発性副腎皮質機能低下症、塩類喪失性腎症、中枢性塩類喪失症候群、下痢、嘔吐、利尿剤の使用3.細胞外液量のほぼ正常な低ナトリウム血症:続発性副腎皮質機能低下症(下垂体前葉機能低下症)[診断基準]確実例:IおよびIIのすべてを満たすもの。中枢性尿崩症では、多尿の鑑別診断として、浸透圧利尿(尿浸透圧300mOsm/kgH2O以上)と低張性多尿(尿浸透圧300mOsm/kgH2O以下)を区別する必要がある。実臨床では、糖尿病に伴う浸透圧利尿の頻度が高い。低張性多尿の場合は、高張食塩水負荷試験、水制限試験およびバソプレシン負荷試験、デスモプレシン試験により、中枢性尿崩症、腎性尿崩症、心因性多飲症を鑑別する。SIADHでは、低ナトリウム血症と低浸透圧にもかかわらずAVP分泌の抑制がみられないことが診断上重要である。血清総蛋白や尿酸値の低下など血液希釈所見を伴うことが多い。SIADHは除外診断であり、低ナトリウム血症を呈するすべての疾患が鑑別対象となる。とくに続発性副腎皮質機能低下症は、SIADHと同様に細胞外液量がほぼ正常な低ナトリウム血症を呈し臨床像も類似するため、両者の鑑別は極めて重要である。3 治療中枢性尿崩症の治療にはデスモプレシンを用いる。水中毒を避けるため、最小用量から開始し、尿量、体重、血清ナトリウム濃度を確認しながら投与量および投与回数を調整する。その際、少なくとも1日1回はデスモプレシンの抗利尿効果が切れる時間帯を設けることが、水中毒による低ナトリウム血症の予防に重要である。SIADHの治療では、血清ナトリウム濃度が120mEq/L以下で中枢神経症状を伴い迅速な治療を要する場合には、3%食塩水にて補正を行う。ただし、急激な補正は浸透圧性脱髄症候群(ODS)の危険性があるため、血清ナトリウム濃度を頻回に測定しつつ、補正速度は24時間で8~10mEq/L以下にとどめる。血清ナトリウム濃度が125mEq/L以上の軽度かつ慢性期の症例では、1日15~20mL/kg体重の水分制限を行う。水分制限で改善が得られない場合には、入院下でAVPV2受容体拮抗薬トルバプタンの経口投与を検討する。4 今後の展望わが国においてAVP濃度は従来RIA法で測定されているが、抗体が有限であること、測定のためにアイソトープを使用する必要があること、さらに結果判明まで数日を要することなど、複数の課題を抱えている。近年、質量分析法によるAVP測定が試みられており、これらの課題を克服できるのみならず、高張食塩水負荷試験の所要時間短縮につながる可能性が報告されており4)、次世代の検査法として期待されている。一方、SIADHの治療においては、ODSの予防を重視した安全な低ナトリウム血症治療を実現するため、機械学習を用いた治療予測システムの開発が進められている5)。現在は社会実装に向けた精度検証が進行中であり、将来的には実臨床における安全かつ効率的な治療選択を支援するツールとなることが期待される。5 主たる診療科内分泌内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 下垂体性ADH分泌異常症(指定難病72)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)間脳下垂体機能障害に関する調査研究(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報中枢性尿崩症(CDI)の会(患者とその家族および支援者の会) 1) 難病情報センター 下垂体性ADH分泌異常症(指定難病72) 2) Arima H, et al. Endocr J. 2014;61:143-148. 3) 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班. 日内分泌会誌. 2023;99:18-20. 4) Handa T, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2025 Jul 30.[Epub ahead of print] 5) Kinoshita T, et al. Endocr J. 2024;71:345-355. 公開履歴初回2025年10月17日

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副作用編:副腎不全(irAE)【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第5回

今回は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中の「副腎不全」についてです。副腎不全はICIにより引き起こされる内分泌関連の免疫関連有害事象(irAE)の1つです。副腎不全が進行すると倦怠感、食欲不振、低血圧、低Na血症などを呈し、場合によっては急性副腎クリーゼに至ることもあります。治療機関が遠方の場合には、自宅近くのクリニックを受診するケースもあります。今回は、副腎不全で受診された際に有用な鑑別ポイントや、患者さんへの対応にフォーカスしてお話しします。【症例1】65歳、男性主訴倦怠感、食欲低下病歴進行胃がんに対し、SOX+ニボルマブ療法を開始。3コース終了後より、全身倦怠感、食欲低下を自覚し、かかりつけ医(クリニック)を受診。バイタルサイン血圧 92/60mmHg、脈拍 96/分、体温 36.3℃身体所見皮膚冷感あり、軽度の脱水徴候を認める。ステップ1 鑑別と重症度評価は?抗がん剤治療中の倦怠感や食欲不振のほとんどが使用中の抗がん剤によるものですが、ICI使用時はさまざまなirAEを念頭におく必要があります。他の要因も含めて押さえておきたいポイントを挙げます。(1)倦怠感や食欲不振の原因服用中または直近に投与された抗がん剤の種類と投与日を確認。他の原因(感染、腫瘍進行、代謝性疾患ほか)との鑑別。倦怠感以外の症状やバイタルの変動を確認。鑑別疾患とポイント画像を拡大する(2)症状からirAEを推察する(逆引きマニュアル)クリニックなど一次診療の場では、詳細な画像検査や内分泌・免疫関連の特殊検査を行うことは困難です。そのため、まず症状から「もしかするとirAEかもしれない」と推測することが大切になります。たとえば、倦怠感や食欲不振といった一見よくある症状でも、その背景に副腎不全や甲状腺のトラブルといった免疫関連の副作用が隠れていることがあります。以下の表は症状から想定されるirAEを逆引きマニュアルとして作成しました。逆引きマニュアル画像を拡大するステップ2 対応は?では、冒頭の患者さんの対応を考えてみましょう。来院時は倦怠感が強く、血圧も低下傾向でした。化学療法はSOX+ニボルマブ療法をすでに3コース実施していましたが、詳しく問診すると最初の2コースはそれほどの倦怠感や食欲不振はありませんでした。わずかに冷汗もあり、血糖測定を実施したところ低値であったため、グルコースを含んだ輸液を行い、治療機関へ救急搬送を行いました。搬送先の病院で精査が行われ、下垂体前葉機能低下による副腎皮質機能低下症(irAE)と診断されました。ホルモン補充療法を実施され、現在も化学療法を継続中です。副腎皮質機能低下症患者における急性副腎不全(副腎クリーゼ)の対応急性副腎不全(副腎クリーゼ)は、副腎ホルモンが急激に不足し、放置すれば致死的となる緊急病態です。主な原因は、(1)慢性副腎不全患者に感染や外傷などのストレスが加わり、必要量が急増した場合、(2)長期ステロイド治療中の患者で不適切な減量・中止を行った場合、の2つが多いです。発症の誘因としては、とくに胃腸炎などの感染症の頻度が高く、そのような場合は通常量の1.5~3倍のヒドロコルチゾン(コートリル)の補充が必要となります。もし、コルチゾール補充療法を行っている患者が発熱などを主訴に来院した場合は、副腎クリーゼの可能性を勘案し、医療機関の指示どおり手持ちのコートリルを通常用量より多く内服したか確認を行い、直ちに治療機関へ受診もしくは連絡するよう指導いただければ幸いです。1)柳瀬 敏彦. 日本内科学会雑誌.2016;105:645-646.2)日本肺癌学会. 肺癌. 2021;61.講師紹介

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喘息合併の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、デュピルマブvs.オマリズマブ(EVEREST)/ERS2025

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と喘息は、病態の中心に2型炎症が存在することが多く、両者の合併も多い。また、合併例は重症例が多く全身性ステロイド薬による治療が必要となる場合もある。そこで、喘息を合併する鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に、デュピルマブとオマリズマブ(本邦で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎への適応を有するのはデュピルマブのみ)を比較する海外第IV相無作為化二重盲検比較試験「EVEREST試験」が実施された。その結果、デュピルマブがオマリズマブと比較して鼻茸スコア(NPS)や嗅覚障害などを改善した。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Enrico Marco Heffler氏(イタリア・IRCCS Humanitas Research Hospital)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月27日号に同時掲載された1)。試験デザイン:海外第IV相無作為化二重盲検比較試験対象:低~高用量のICSを用いてもコントロール不良(喘息コントロール質問票[ACQ]スコア1.5以上)の喘息を有し、NPS 5以上の両側性鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者360例試験群:デュピルマブ300mgを2週に1回皮下投与(181例)対照群:オマリズマブを試験実施国の承認用量で投与(179例)投与方法:4週間のrun-in期間にモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、2群に無作為に割り付けた。無作為化後は割り付けられた治療を24週間実施した。24週間の治療期間中もモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、全身性ステロイド薬の使用や手術による救済治療も可能とした。評価項目:[主要評価項目]投与24週時のNPS、ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT)スコアのベースラインからの変化量[副次評価項目]投与24週時の嗅覚障害重症度スコア、鼻閉重症度スコアなど 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群間でバランスがとれており、全体集団の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の罹病期間(平均値)は13.3年、手術歴を有する割合は79.4%であった。ベースライン時のICSの用量は低用量が35%、中/高用量が65%であった。非ステロイド性抗炎症薬過敏喘息の病歴を有する割合は40%であった。・主要評価項目である投与24週時のNPSのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-2.65、オマリズマブ群-1.05であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:-1.60、95%信頼区間[CI]:-1.96~-1.25、p<0.0001)。・もう1つの主要評価項目である投与24週時のUPSITスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群12.7、オマリズマブ群4.7であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:8.0、95%CI:6.3~9.7、p<0.0001)。なお、デュピルマブ群のUPSITスコア(平均値)は無嗅覚の閾値である18を超えて改善した。・投与24週時の嗅覚障害重症度スコアのベースラインからの変化量、鼻閉重症度スコアのベースラインからの変化量もデュピルマブ群が有意に改善した(いずれもp<0.0001)。・投与24週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群0.29L、オマリズマブ群0.14Lであった(群間差:0.15L、95%CI:0.05~0.26、名目上のp=0.003)。・投与24週時のACQ-7スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-1.92、オマリズマブ群-1.44であった(群間差:-0.48、95%CI:-0.65~-0.31、名目上のp<0.0001)。・安全性に関して、両群に差はみられなかった。 本試験結果について、Heffler氏は「本試験は呼吸器領域で初の生物学的製剤の直接比較試験である。本試験において、事前に規定した階層的検定のすべての評価項目で、デュピルマブがオマリズマブと比較して改善を示した。この結果は、2型炎症を伴う呼吸器疾患を併存する患者におけるデュピルマブの有効性を支持するものである」とまとめた。

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BUD/GLY/FOR配合薬が喘息にも有効(KALOS/LOGOS)/ERS2025

 吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)でコントロール不良の喘息において、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として用いられるブデソニド・グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物(BUD/GLY/FOR)のトリプル製剤が有効であることが示された。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Alberto Papi氏(イタリア・フェラーラ大学)が、国際共同第III相試験「KALOS試験」および海外第III相試験「LOGOS試験」の統合解析の結果を報告した。KALOS試験・LOGOS試験のデザイン(両試験とも同様のデザインで実施)試験デザイン:第III相無作為化二重盲検比較試験対象:中~高用量のICS/LABAでコントロール不良(7項目の喘息コントロール質問票[ACQ-7]スコア1.5以上)の12~80歳の喘息患者4,311例(有効性解析対象4,304例)試験群1:BUD/GLY/FOR 320/28.8/10μgを1日2回(高用量群:1,179例)試験群2:BUD/GLY/FOR 320/14.4/10μgを1日2回(低用量群:725例)対照群1:BUD/FOR(エアロスフィア製剤)320/10μgを1日2回(1,208例)対照群2:BUD/FOR(タービュヘイラー製剤)320/9μgを1日2回(1,192例)投与方法:4週間のrun-in期間にBUD/FOR(エアロスフィア製剤)320/10μgを1日2回投与し、4群に無作為に割り付けた。無作為化後は割り付けられた治療を24~52週間実施した。評価項目:[主要評価項目]投与24週時のトラフ1秒量(FEV1)値のベースラインからの変化量[主要な副次評価項目]投与24週時の投与0~3時間後のFEV1値の曲線下面積(FEV1 AUC0-3)[統合解析の主要解析]重度の喘息増悪の年間発現率 試験実施国によって解析計画が異なるが、今回は欧州での解析計画に基づいて報告された(対照群1および2を統合して解析)。主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の投与24週時のトラフFEV1値のベースラインからの変化量は、KALOS試験ではBUD/GLY/FOR高用量群が対照群と比べて有意に改善し、LOGOS試験では高用量群および低用量群のいずれも対照群と比べて有意に改善した。対照群に対するトラフFEV1値の群間差(95%信頼区間[CI])、p値は以下のとおり。 <高用量群> KALOS試験:56mL(31~82)、p<0.001 LOGOS試験:97mL(70~123)、p<0.001 統合解析:76mL(57~94)、名目上のp<0.001 <低用量群> KALOS試験:25mL(-7~56)、p=0.126 LOGOS試験:103mL(73~134)、p<0.001 統合解析:65mL(43~88)、名目上のp<0.001・投与24週時のFEV1 AUC0-3値のベースラインからの変化量は、いずれの試験においてもBUD/GLY/FOR高用量群および低用量群が対照群と比べて改善した。対照群に対するFEV1 AUC0-3値の群間差(95%CI)およびp値は以下のとおり。 <高用量群> KALOS試験:69mL(44~94)、p<0.001 LOGOS試験:112mL(87~138)、p=0.001 統合解析:90mL(72~108)、名目上のp<0.001 <低用量群> KALOS試験:45mL(15~76)、名目上のp=0.003 LOGOS試験:115mL(85~145)、p<0.001 統合解析:81mL(60~103)、名目上のp<0.001・重度の喘息増悪の年間発現率(回/人年)は、対照群が0.63であったのに対し、BUD/GLY/FOR高用量群0.54(レート比:0.86、95%CI:0.76~0.97、p=0.01)、低用量群0.53(同:0.84、0.73~0.97、p=0.02)であり、BUD/GLY/FOR高用量群および低用量群が改善した。・治験薬との関連が否定できない有害事象の発現割合は、対照群が3.6%であったのに対し、BUD/GLY/FOR高用量群5.4%、低用量群4.6%であった。治験薬の中止に至った有害事象の発現割合は、それぞれ0.9%、1.1%、1.2%であった。 本試験結果について、Papi氏は「ICS/LABAでコントロール不良の喘息患者において、BUD/GLY/FORの単一デバイスによる3剤併用療法は、呼吸機能の改善および重度の喘息増悪の改善について、ICS/LABAに対する優越性を示した。BUD/GLY/FORの安全性プロファイルはBUD/FORと同等であった」とまとめた。

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