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新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

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糖尿病性腎症の治療薬としての非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に期待(解説:浦 信行 氏)-413

 JAMA誌に、非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であるfinerenoneの尿アルブミン低減効果が報告された。 現時点では、糖尿病性腎症に対しては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が第1選択薬であるが、ACE阻害薬やARB使用でも尿アルブミン低減が十分でない例が多く、より一層の腎保護効果、尿アルブミン低減効果を期待できる薬物療法が求められていた。ステロイド系MR拮抗薬であるスピロノラクトンやエプレレノンは、降圧効果だけでなく、ACE阻害薬やARBへの併用で一層の尿アルブミン低減効果を示したが、高K血症の誘発や推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を引き起こすことが報告され、エプレレノンは糖尿病性腎症や中等度以上の腎機能障害では禁忌となっている。 ステロイド骨格を持たないMR拮抗薬finerenoneはバイエル薬品で開発されたが、すでにACE阻害薬かARBが使用されている糖尿病性腎症例へのfinerenoneの併用効果が、二重盲検試験で評価された。その結果は、有意な尿アルブミン低減効果が確認され、高K血症は2~3%程度にとどまり、eGFRの有意な変動はなかったというものである。 動物実験ではすでに、同等のNa利尿作用を示す量のエプレレノンに比較して、尿蛋白低減効果が有意に大で、臓器保護効果にも優れていたことが報告されていた。 本研究は多施設共同研究で、糖尿病性腎症においてACE阻害薬やARBとの併用効果をみた初めての試験である。尿アルブミンは最大で38%の減少効果の上乗せがあり、ACE阻害薬やARBは72.7%の例で最少使用量を超える量が使用されている。高K血症は、過去のステロイド系MR拮抗薬では8%や17%などと報告され、多いものでは52%という高い数字が示されている。高K血症が低率であった一因には、eGFRの低下がなかったことが挙げられる。ただし、ほぼ95%に高血圧が合併し、併用前の血圧値は138/77mmHg前後であったが、20mgの最大使用量でも収縮期血圧の低下作用が5mmHg程度にとどまっていた。尿アルブミン低減効果は降圧効果とは関連しないとも結論され、機序としては、ステロイド系MR拮抗薬のような脳内移行による中枢での降圧作用がないことが1つであるとしている。 この研究では、60%以上の例がeGFRで60mL/min/1.73m2以上のCKD1~2であり、もっと広い範囲で一層のデータの集積が必要ではあるが、わが国で新規透析導入の原因疾患の第1位である糖尿病性腎症の薬物療法において、大きな光明をもたらすことを期待する。

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栄養サプリメントは認知機能に影響せず/JAMA

 米国立眼研究所(NEI)のEmily Y. Chew氏らは、加齢黄斑変性(AMD)を有する高齢者を対象とした試験(AREDS2)被験者について、栄養サプリメント[長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)やルテイン/ゼアキサンチンを含む]の認知機能への効果について評価を行った。その結果、プラセボと比較してスコアの年次変化に統計的に有意な差は認められなかったことを報告した。これまで観察的研究データにおいて、食事による飽和脂肪酸の高摂取と野菜の低摂取がアルツハイマー型認知症のリスク増大と関連する可能性が示唆されており、研究グループは今回、本検討を行った。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。LCPUFAやルテイン/ゼアキサンチンの効果を検証 AREDS2は二重盲検無作為化試験で、米国の82の大学および地域医療センターの網膜専門医により2006年10月~2012年12月に、被験者の登録と観察が行われた。被験者は、後期AMD発症リスクを有する患者であった。 5年にわたる試験期間中、年次ごとの眼科検診に加えて、ベースラインと2年ごとに、訓練を受けたスタッフにより電話を介して複数の認知機能テストが行われた。 被験者は要因配置割り付けにより、LCPUFA(1g)またはルテイン(10mg)/ゼアキサンチン(2mg)を投与、もしくはプラセボを投与され、また全員にビタミンC、E、βカロチン、亜鉛のさまざまな組み合わせ投与が行われた。 主要アウトカムは、一連の認知機能テストで確認された複合スコアの、ベースラインからの年次変化であった。ベースラインで年齢、性別、人種、高血圧の既往歴、教育レベル、認知機能スコア、うつ病スコアで補正を行い、治療群と非治療群の複合スコアの差を評価した。複合スコアは、全テストのスコアを提示したもので、範囲は-22~17であり、高スコアほど認知機能は良好であることを示した。プラセボと比較し認知機能スコアの年次変化に有意差なし AREDS2被験者4,203例のうち3,741例(89%)が、付属の認知機能試験に同意し、そのうち93.6%(3,501/3,741例)が各種の認知機能テストを受けた。被験者の平均年齢(SD)は72.7(7.7)歳、57.5%が女性であった。 結果、サプリメント投与群と非投与群でスコア変化について統計的に有意な差はみられなかった。認知機能複合スコアの年次変化は、LCPUFA投与群-0.19(99%信頼区間[CI]:-0.25~-0.13) vs.非投与群-0.18(同:-0.24~-0.12)で、年次差は-0.03(同:-0.20~0.13)であった(p=0.63)。同様の結果が、ルテイン/ゼアキサンチン投与群(-0.18、-0.24~-0.11) vs.非投与群(-0.19、-0.25~-0.13)でもみられた(年次差:0.03、99%CI:-0.14~0.19、p=0.66)。 また、LCPUFA投与とルテイン/ゼアキサンチン投与の相互作用に関する分析でも、有意な差はみられなかった。

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健康づくり支援薬局 資質ある薬剤師常駐が要件

 7月2日、厚生労働省は第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(座長:昭和薬科大学 学長 西島 正弘氏)を開催した。今回は、健康づくり支援薬局の要件について話し合いが行われ、厚労省の提案に対し、各構成員から大きな反論はなかった。 まず、前回までの議論1)を踏まえ、積極的に健康サポート機能を発揮する薬局の暫定的な略称として、「健康づくり支援薬局」を用いることが提案された。また、健康づくり支援薬局の基盤となる、かかりつけ薬局の機能は主に「薬剤情報の一元管理」「24時間対応、在宅対応」「医療機関との連携」の3つとされた。健康づくり支援薬局の定義としては、一般用医薬品等に関する助言や健康相談応需、受診勧奨を行うことだけでなく、率先して具体的に健康づくりを支援する薬局とされた2)。 健康づくり支援薬局の要件としては、薬剤師の資質、薬局設備、医薬品供給体制、連携体制構築など8項目が検討された。複数の構成員から、住民から信頼されるかかりつけ薬剤師がいることを前提とすべきだという意見が出され、「健康づくり支援薬局に必要なかかりつけ薬剤師の資質」が議論の中心となった。 厚労省からは、必要な資質を、一般用医薬品等の情報提供や相談応需、受診勧奨など求められる機能を発揮するための研修を修了することによって担保することが提案された。これに対し、介護予防の項目や、薬学的な専門性を生かすために「薬と健康」などの項目を入れるべきではという意見が出た。また、厚労省は資質担保の方法として研修制度を想定しており、新たな専門制度などといった資格化は検討していないとした。 日本薬剤師会の森 昌平氏は、機能を発揮するには何が必要なのかを明確にする必要があり、一般目標を設定すべきと提案した。また、日本薬剤師会の生涯学習支援システムJPALS、および薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダードについて触れた。そのうえで、地域住民の健康増進に関する領域においては、今後さらに充実した研修を行い、必要に応じて地域包括ケアに関する項目をプロフェッショナルスタンダードに含めていきたいとした。 設備要件に関しては、個人情報配慮のための個室の設置は難しい場合も考えられるが、音響や消音装置を活用するなど工夫することで、限られたスペースでも対応可能であるという意見が出された。また、健康相談の記録については、要指導医薬品等の販売内容や相談内容を、薬歴等と同様に一定年数保存することを要件に含めるべきという意見が出された。 供給体制については、森氏より一般用医薬品の品目数は、薬効分類の大分類18、中分類80を目安として考慮することが提案された。選択肢を確保するためにも、中分類の各分類の製品をそれぞれ2品目程度そろえることで、地域の最低限のニーズに応えられるのではと説明した。 また、産経新聞社の佐藤 好美氏より、利用者が健康相談をするのは「サプリメントを飲んでみようかな」などと考えるときであるため、ある程度の一般用医薬品やサプリメント、介護用品、衛生材料などをそろえるべきではという意見が出された。とくに、介護食やとろみ調整剤、おくすり服用ゼリーはかかりつけ薬局には必要だという考えを示した。 日本保険薬局協会の二塚 安子氏は品目数だけでなく、気軽に行きやすいかどうかという視点が重要であり、見栄えや見せ方、入りやすさという観点も要件に入れるべきだと提案した。最後に、健康づくり支援薬局は変化する住民の多様なニーズに応えられる薬局になっていく必要があると強調した。【参考】1)かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会2)厚生労働省第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会

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大豆イソフラボン、喘息コントロール効果なし/JAMA

 コントロール不良の喘息患者に対し、1日100mgの大豆イソフラボンを24週間投与したが、喘息症状の改善には結び付かなかった。米国・ノースウェスタン大学のLewis J. Smith氏らが、386例の患者を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。複数の慢性疾患治療において、大豆イソフラボンが用いられているが、使用を裏づけるデータは限定的であった。コンロトール不良の喘息患者については、大豆イソフラボンが有望であることを示唆するいくつかのデータが示されていたという。JAMA誌2015年5月26日号掲載の報告。24週後に、FEV1や喘息コントロールテストのスコアなどを比較 研究グループは、2010年5月~2012年8月にかけて、米国の喘息治療に関する研究ネットワーク(American Lung Association Asthma Clinical Research Centers)に属する19ヵ所の医療機関を通じて試験を行った。症状をコントロールする薬を服用しながらも、喘息症状が認められ、大豆摂取量が少ない12歳以上の患者386例を対象に試験を行った。 同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には総イソフラボン量100mgを含む大豆イソフラボン・サプリメントを、もう一方にはプラセボを、それぞれ毎日24週間にわたり投与した。 主要評価項目は、24週時点における1秒間努力呼気容量(FEV1)だった。副次的評価項目は、症状、喘息のコントロール不良イベント、喘息コントロールテストのスコア、全身・気道の炎症バイオマーカー測定値だった。FEV1、喘息コントロール、コントロール不良イベント数など、いずれも両群で同等 結果、24週後の気管支拡張薬使用前FEV1値は、プラセボ群が0.03L(95%信頼区間:-0.01~0.08)に対し、イソフラボン群は0.01L(同:-0.07~0.07)と、両群で有意差はなかった(p=0.36)。 喘息コントロールテストの変化平均値は、プラセボ群が1.98に対しイソフラボン群が2.20(数値が高いほど症状減少を示す)、喘息のコントロール不良イベント数はそれぞれ3.3回と3.0回、呼気中一酸化窒素の変化量はそれぞれ-3.48ppbと1.39ppbであり、いずれも両群で有意差はなかった。 なお、サプリメントを投与された被験者では、平均血漿ゲニステイン値が4.87ng/mLから37.67ng/mLに有意に上昇していた(p<0.001)。

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肛門性器疣贅、高用量の酸性化亜硝酸塩クリームで改善

 肛門性器疣贅は、肉体的・精神的な苦痛と医療費を患者に強いる疾患である。英国スコットランド・アバディーン大学のAnthony D. Ormerod氏らは、亜硝酸塩の酸性化による局所への一酸化窒素送達の有効性を検討する目的でプラセボ対照無作為化試験を行い、肛門性器疣贅の治療において亜硝酸ナトリウム6%+クエン酸9%クリーム1日2回塗布はプラセボより有効であることを明らかにした。主な有害事象は局所刺激性であった。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。 研究グループは、2001年12月20日~2003年1月14日に、欧州の泌尿器・生殖器内科クリニック40施設にて無作為化用量設定試験を行った。 対象は2~50個の肛門性器疣贅を有する18歳以上の男女計299例で、プラセボ群と治療群に無作為化し、被験薬を1日2回12週間局所塗布した後、12週間追跡した。治療群は低用量群(亜硝酸ナトリウム3%+クエン酸4.5%クリームを1日2回塗布)、中用量群(プラセボを朝1回塗布、亜硝酸ナトリウム6%+クエン酸9%クリームを夜1回塗布)、高用量群(亜硝酸ナトリウム6%+クエン酸9%クリームを1日2回塗布)の3群。 主要評価項目は標的疣贅の完全消失率、副次的評価項目は標的疣贅領域の減少および安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・12週後の標的疣贅完全消失率は、プラセボ群が74例中10例14%(95%信頼区間[CI]:6~21%)、低用量群が72例中11例15%(95%CI:7~24%)、中用量群が74例中17例23%(95%CI:13~33%)、高用量群が70例中22例31%(95% CI:21~42%)(p=0.01)であった。・標的疣贅領域の減少、消失までの期間、および患者/研究者の評価は、高用量群がプラセボ群より優れていることが示された。・治療に関連する全身性または重篤な有害事象はみられなかったが、治療群では用量増加に関連した肛門性器皮膚のそう痒、疼痛、浮腫および変色が認められた。・治療群全体で21例が有害事象のため脱落したが、プラセボ群ではいなかった。

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エナラプリル+葉酸、脳卒中を有意に低下/JAMA

 降圧薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)単独よりも、葉酸を併用したほうが、高血圧患者の脳卒中初発が有意に低下したことが報告された。中国・北京大学第一病院のYong Huo氏らが、同国高血圧患者で脳卒中または心筋梗塞の既往歴がない2万702例を対象に行った無作為化二重盲検試験CSPPTの結果、報告した。これまで、脳卒中1次予防に関する葉酸の効果については、データが限定的および一貫性がないため不明であった。JAMA誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。中国人高血圧患者2万例超で、vs.エナラプリル単独の二重盲検無作為化試験 研究グループは、中国人高血圧患者の1次予防に関して、エナラプリル単独よりも葉酸サプリメントを併用したほうが、初発の脳卒中発生を抑制する効果が大きいとの仮説について検証するCSPPT(China Stroke Primary Prevention Trial)を行った。 試験は2008年5月19日~2013年8月24日に、江蘇省と安徽省の32地域で行われ、高血圧症で脳卒中または心筋梗塞既往歴のない2万702例が参加した。 被験者を、MTHFR C677T遺伝子型(CC、CT、TT)によって層別化し、1日1回、エナラプリル10mgと葉酸0.8mgを含んだ合剤を投与(1万348例)またはエナラプリル10mg錠剤を投与(1万354例)する群に無作為に二重盲検下で割り付けて追跡した。 主要アウトカムは脳卒中の初発であった。副次アウトカムは、初発の虚血性脳卒中、初発の出血性脳卒中、心筋梗塞、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)、全死因死亡などだった。併用群の初発脳卒中リスクハザード比0.79 治療期間中央値4.5年間で、エナラプリル単独群と比較して、葉酸併用群は、初発脳卒中リスクは有意に低下した(葉酸併用群2.7% vs. エナラプリル単独群3.4%)。ハザード比(HR)は0.79(95%信頼区間[CI]:0.68~0.93)だった。また、初発の虚血性脳卒中(同:2.2% vs. 2.8%、HR:0.76)、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)(同:3.1% vs. 3.9%、HR:0.80)も有意に低下した。 一方、出血性脳卒中(HR:0.93)、心筋梗塞(同:1.04)、全死因死亡(同:0.94)は、両群で有意差はみられなかった。 有害事象の発生頻度については両群間で有意差はなかった。

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アルツハイマー病へのDBS、臨床応用への可能性は

 米国・ペンシルベニア大学のKeyvan Mirsaeedi-Farahani氏らは、アルツハイマー病(AD)に対する脳深部刺激療法(DBS)の費用対効果、臨床効果を標準治療との比較で検討した。その結果、軽度AD患者でDBSの成功率が20%以上であれば費用対効果は高いこと、80%を超えれば臨床効果、費用対効果ともに標準治療より高くなることを報告した。ADは記憶機能の障害を特徴とし、本症状はADの標準治療によりわずかな改善を認める。しかし最近の報告により、DBSが記憶機能を改善する可能性が示唆されていた。Journal of Neurology誌オンライン版2015年3月6日号の掲載報告。 研究グループは本検討に当たり、莫大な機器費用とDBS手術に伴う身体的負担を考慮したうえで、DBSがADの標準治療と同等な効果を示すための臨床的、経済的閾値を設定した。そのうえで、文献レビューによりAD進行の可能性、健康関連QOL、ADの各ステージのコストに関する情報を取得し、5年間の決定分析モデルを用いて検討を行った。質調整生存年(QALY)における累積QOLと標準治療のコストを、既知の合併症発生率およびQOLデータを用い、理論的DBSによるさまざまな成功率と比較した。モデルの基本症例は軽度AD患者とした。DBSによる成功は、「1年目にADが最低ステージへ後退あるいは維持(軽度認知症と非認知症の間)、残りの4年間は自然経過をたどった場合」と定義した。 主な結果は以下のとおり。・標準治療単独群と比べ、軽度AD患者に対するDBSでは、周術期合併症がQOLに与える影響を打ち消すために求められる成功率は3%であった。・軽度AD患者に対して、DBSが20%($200 K/QALY)あるいは74%($50 K/QALY)以上の成功率で実施されるなら、DBSは費用対効果が高いと考えられた。・もしDBSの成功率が80%を超えれば、臨床効果、費用対効果とも標準治療より高くなる。・本研究から、ADに対し費用対効果が高いとされるDBSの臨床的経済的閾値は相対的に低いことが示された。関連医療ニュース 認知症によいサプリメント、その効果は 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる  担当者へのご意見箱はこちら

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降圧薬に認知症予防効果は期待できるのか

 慢性高血圧、とくに中年期の高血圧は、認知機能低下や認知症のリスク増加と関連することが知られている。しかし、降圧薬の予防効果についてはあまり解明されていなかった。フランス・INSERMのLaure Rouch氏らは、システマティックレビューを行い、カルシウム(Ca)拮抗薬やレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は認知機能低下および認知症の予防に有効である可能性を示した。ただし、「今回の知見を確認するためには、認知症を主要評価項目としたより長期の無作為化試験が必要」とまとめている。CNS Drugs誌2015年2月号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、Embase、the Cochrane Libraryを用い、高血圧、降圧薬、認知機能低下、認知症に関する1990年以降の論文を検索した。 結果は以下のとおり。・検索論文1万251件から、縦断的研究18件、無作為化試験11件、メタ解析9件、計38件の研究が特定され解析に組み込んだ(合計134万6,176例、平均年齢74歳)。・認知障害あるいは認知機能低下に対する降圧薬の作用を評価した7件の縦断的研究において、降圧薬は有効であることが示唆された。・認知症の発症に対する降圧薬の作用を評価した11件の縦断的研究において、有意な予防効果が認められなかったのは3件のみであった。・降圧薬は、血管性認知症だけでなくアルツハイマー病のリスクも減少できることが示された。・4件の無作為化試験において、降圧薬が認知機能低下または認知症の発症予防効果を有する可能性が示された。 - SYST-EUR(Systolic Hypertension in Europe Study)IおよびII:認知症のリスクが55%低下(3.3 vs 7.4例/1,000人年、p<0.001)。 - HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation):脳卒中関連の認知機能低下が41%減少(95%CI:6~63)。 - PROGRESS(Perindopril Protection against Recurrent Stroke Study):認知機能低下が19%減少(95%CI:4~32、p=0.01)。・メタ解析による本検討は、研究デザイン、対象、曝露因子、評価項目および追跡期間が均一でないなど方法論的な問題が原因で矛盾した結果が示され、限定的なものである。関連医療ニュース 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか 認知症によいサプリメント、その効果は 認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか  担当者へのご意見箱はこちら

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献血後のHb回復に鉄サプリが有効/JAMA

 献血後の低用量鉄分サプリメント服用は、非服用と比較して、ヘモグロビン値の80%回復までの期間を短縮することが、米国・輸血医療研究所(Institute for Transfusion Medicine、ピッツバーグ)のJoseph E. Kiss氏らによる非盲検無作為化試験の結果、示された。服用群の回復までの期間中央値は76日だった。また期間の短縮は、試験のベースラインで層別化したフェリチン値低値(26ng/mL以下)群または高値(26ng/mL超)群ともにみられたという。米国では献血の間隔を8週間空けることとされているが、献血者のヘモグロビン値標準値(12.5g/dL)への回復が遅れる頻度が高く、一部の献血者では貧血になることがみられるという。研究グループは、献血後の鉄分貯蔵状態への鉄サプリ服用の効果を調べるため本検討を行った。JAMA誌2015年2月10日号掲載の報告より。全血献血後24週間、鉄サプリ服用vs. 非服用で検討 試験は2012年、米国内4地域の輸血センターで行われた。被験者は、過去4ヵ月以内に全血または赤血球の献血歴のなかった18~79歳の215例で、フェリチン値、性別、年齢で層別化して検討した。 被験者を、全血1単位(500mL)を献血後24週間、経口グルコン酸第一鉄(元素鉄37.5mg含有)を毎日服用する群または服用しない群に、非盲検下で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ヘモグロビン値の献血後低下から80%回復までの期間、およびフェリチン値のベースライン値回復までの期間とした。鉄分貯蔵状態の回復までにかかった期間中央値、服用群76日、非服用群は168日超 ベースライン時の平均ヘモグロビン値は、鉄分補充群と非補充群で類似していた。 同値は、フェリチン低値群は、13.4(SD 1.1)g/dLから献血後は12.0(1.2)g/dLに、同高値群は14.2(1.1)g/dLから12.9(1.2)g/dLにそれぞれ低下していた。 ヘモグロビン値80%回復までの期間は、鉄サプリ服用群が非服用群と比較して、フェリチン低値群(補充群32日[IQR:30~34] vs. 非補充群158日[126~>168])、高値群(31日[29~33] vs. 78日[66~95])ともに短縮が認められた。 フェリチン値のベースライン値回復までの期間中央値は、フェリチン値低値群・鉄サプリ服用群では21日(IQR:12~84)であった。一方、同低値群・非服用群の回復は168日より長期間を要した(同:128~>168)。フェリチン値高値群・鉄サプリ服用群は107日(同:75~141)、同非服用群は168日より長期(同:>168~>168)であった。 鉄サプリを服用した全被験者の鉄分貯蔵状態の回復までにかかった期間中央値は、76日であった(IQR:20~126)。一方、非服用者は、168日より長期間を要し(同:147~>168)、有意差が認められた(p<0.001)。非服用群では、67%が、168日までに鉄分貯蔵状態が回復しなかった。

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統合失調症患者は血栓症リスク大

 オーストラリア・シドニー大学のVincent Chow氏らによる検討の結果、統合失調症患者について、静脈血栓塞栓症のリスク増大に寄与する可能性がある、複数要因から成る凝固亢進状態および線溶低下状態を有するとのエビデンスが示された。これまで、同患者では静脈血栓塞栓症のリスク増大がみられていたが、その機序についてはほとんどわかっていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年1月26日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において、血液凝固能が亢進状態にあるのか否かを調べるため、総合的止血能(OHP)アッセイを用いて、総合的凝固能(OCP)、総合的止血能(OHP)、総合的線溶能(OFP)を評価した。アッセイは、抗精神病薬治療を長期間受けている統合失調症患者からクエン酸添加血漿を採取し、血漿に組織因子および組織プラスミノーゲンアクチベータを添加した後、フィブリン形成および分解の時間的経過を分光分析法(405nmの吸光)により測定し、年齢、性別をマッチさせた健常対照と比較した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者90例(抗精神病薬治療期間15.9±9.7年)と、対照30例が登録された。・統合失調症患者では、喫煙率と炎症マーカーの値が健常対照と比較して高かった(高感度CRP、好中球/リンパ球比)。・D-ダイマー、フィブリノゲン、血小板数については、統合失調症患者と健常対照の間に差はなかった。・しかし、統合失調症患者において、OCP(54.0±12.6 vs 45.9±9.1、p=0.002)およびOHP(12.6±5.8 vs 7.2±3.7、p<0.001)が高く、OFP(76.6±9.8% vs 84.9±6.4%、p<0.001)は低いことが示された。これらの結果から、統合失調症患者において凝固亢進状態と線溶低下状態の両方が存在することが示唆された。・さらに、総合的な凝固異常が、プラスミノーゲンアクチベータ‐1、フィブリノゲン、血小板数、炎症マーカー、血漿トリグリセリドの各数値により独立して予測された点は重要な知見であった。すなわち原因となる因子は複数あることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 統合失調症の心血管リスク、その出現時期は 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

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温泉療法でうつや睡眠も改善

 12日間の温泉治療プログラムにより、健康な高齢者の疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態が有意に改善したことが示された。スペイン・ハエン大学のPedro Angel Latorre-Roman氏らが、52例の高齢者を対象に試験を行った結果、報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2014年12月16日号の掲載報告。 検討は、スペイン国内の複数の地域から高齢者52例を集め、政府機関Elderly and Social Services(IMSERSOとして知られる)が作成した水治療(hydrotherapy)プログラムに参加してもらい評価を行った。参加者に、12日間の温泉治療プログラムを提供し、疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態について評価した。疼痛は視覚的アナログスケールを用いて、気分状態はProfile of Mood Statusを用いて、睡眠はOviedo Sleep Questionnaire、抑うつ状態はGeriatric Depression Scaleを用いて評価した。 温泉治療プログラムは、スペイン・ハエンにある温泉付きホテルBalneario San Andresで行われた。同温泉は、スペインミネラル水ハンドブックによると、低温(20℃以上)に分類され、重炭酸塩、硫酸塩、ナトリウム、マグネシウムを豊富に含む中硬水のアルカリイオン水であった。 主な結果は以下のとおり。・参加者52例の内訳は、男性23例(年齢69.74±5.19歳)、女性29例(同:70.31±6.76歳)であった。・温泉療法は、全被験者のすべての変数(疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態)を有意に改善した(p<0.05)。・疼痛の改善については性差がみられた。治療後、男性では有意な改善(p<0.01)がみられたが、女性ではみられなかった。・気分状態の改善についても性差がみられた。女性では抑うつ症状と疲労感の両者で有意な改善(p<0.05)がみられたが男性ではみられなかった。・12日間の温泉治療プログラムは、健康高齢者の疼痛、気分、睡眠の質、抑うつ状態にポジティブな効果をもたらすことが示唆された。関連医療ニュース うつ病患者で重要な食事指導のポイント うつになったら、休むべきか働き続けるべきか ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるか

 ビタミンD欠乏症は、統合失調症の発症に関与する病因の1つである。多くの統合失調症研究において、血清ビタミンD値が低い症例が報告されているが、疾患活動性と血清ビタミンD値との関連性は明らかになっていなかった。トルコ・Ankara Numune Egitim ve Arastirma HastanesiのRabia Nazik Yuksel氏らは、統合失調症とビタミンD欠乏症との関連を明らかにするため、寛解期および急性期の統合失調症患者の血清ビタミンDレベルを健常対照と比較検討した。その結果、急性期統合失調症患者の血清ビタミンD値は、寛解期の患者および健常対照に比べ有意に低いことを報告し、急性期統合失調症とビタミンD欠乏との関連を示唆した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2014年12月号の掲載報告。 研究グループは、疾患活動性の異なる2つの統合失調症グループの総ビタミンD量を比較し、血清総ビタミンD値と疾患活動性の関係を調べた。検討は、寛解期、急性期の統合失調症患者、および年齢と性別でマッチした重大な精神症状を認めない対照例を対象に行われた。疾患活動性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)およびCGI-S(臨床全般印象・重症度尺度)を用いて評価し、年齢、性別、民族、体重、肌の色、日光曝露時間、栄養評価が網羅された人口統計データを使用した。すべての患者および対照者から血液標本を採取し、総ビタミンD(D2+D3)、カルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、寛解期統合失調症患者41例、急性期統合失調症患者40例、健常対照40例であった。・急性期患者のビタミンD値(中央値7.18)は、寛解期患者(同15.03)および健常対照(同15.02)に比べ、有意に低かった(p<0.001)。・ビタミンD値とCGIスコア(r=-0.624、p<0.001)、ビタミンD値とPANNSスコア(r=-0.508、p<0.001)の間に中等度の逆相関が認められた。・各群間で、血清P値、Ca値、PTH値について有意な差は認められなかった(それぞれp=0.099、p=0.943、p=0.762) 。・1週間当たりの日光曝露時間、肌の色、民族、栄養状態による、総ビタミンD値への有意な影響はみられなかった。・ビタミンD合成に関連する重要な因子に相違は認められなかったが、寛解期の患者と比べて急性期の患者では深刻なビタミンD欠乏症が認められ、寛解期の患者と有意な違いを認めた。・ビタミンD欠乏症は急性期エピソードの結果なのか、あるいは原因なのか? 本研究結果から、経路は不明ながら、ビタミンD欠乏症と統合失調症が相互に影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。・現時点のデータでは、ゲノムレベルでの影響の可能性を指摘するにとどまった。・今後、臨床試験による長期フォローアップにより、これらの関係を調べることができると思われた。とくに、長期に治療を継続している統合失調症患者の血清ビタミンD値の状況が期待される。・ビタミンDを豊富に含むサプリメントおよび食事を加味した、適切な治療を考慮すべきと思われた。関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学 ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

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皮膚科医が知っておくべき抗凝固薬と抗血小板薬の特性

 米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のDeanna G. Brown氏らは、皮膚科臨床で新規の抗凝固薬や抗血小板薬を服用する患者と遭遇する機会が増えているとして、皮膚科医および皮膚科形成外科医が知っておくべき、従来および新規の抗凝固療法および抗血小板療法についてレビューを行った。Journal of American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年12月6日号の掲載報告。 レビューでは、抗凝固薬や抗血小板薬をサプリメントとともに服用している従来および新規の抗凝固療法および抗血小板療法の、薬物動態、薬効、副作用を概説することを目的とした。 「アスピリン」「ワルファリン」「クロピドグレル」「ダビガトラン」「リバーロキサバン」「アピキサバン」「プラスグレル」「チカグレロル」をキーワードにPubMed検索を行い、経口抗凝固薬または抗血小板薬の周術期投与が強調されている最近のレビュー論文または出版物を選択した。さらに「皮膚科(dermatology)」「皮膚科手術(dermatologic surgery)」「皮膚手術(cutaneous surgery)」と「出血(hemorrhage)(bleeding)」「血栓症(thrombosis)」を関連させた検索も行った。 主な知見は以下のとおり。・アスピリン、クロピドグレル、ワルファリンは、投与量、モニタリング、有効性に関する情報が不十分である。・複数の試験で、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンは、ワルファリンと比較して有効性は優っており、出血リスクは同等あるいは抑制することが示されている。・プラスグレルとチカグレロルは、出血リスクの増大と関係している可能性がある。・多くの店頭で販売されている薬物にも、出血リスクと関連する無視することができない抗凝固特性がある。・本検討は、デイサージャリー患者に対する新規の経口抗凝固薬の効果を評価している出版物がほとんどない点で限定的である。・これらの所見を踏まえて著者は、「新規の抗凝固薬、抗血小板薬は、心血管疾患の治療に革命をもたらしている。これらの薬物使用がより一般的になるにつれて、皮膚科医と皮膚科形成外科医は、日常診療において出血リスクが常に存在することを心に留めておかなければならない」とまとめている。

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過食性障害薬物治療の新たな可能性とは

 過食性障害に対する薬理学的アプローチについて、米国・ノースカロライナ大学のKimberly A. Brownley氏らが現状を紹介している。これまでに、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する神経伝達物質を標的とした検討が行われており、なかでもグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した研究に新たな可能性があることを示唆している。Drugs誌オンライン版2014年11月27日号の掲載報告。 Brownley氏らによれば、米国において、過食性障害は最も頻度の高い摂食障害で、生涯有病率は成人女性で最大で3.5%、成人男性で2.0%、思春期で1.6%と報告されているという。過食性障害は、過食を制御できないという感覚を伴う頻繁な暴食症状を特徴とし、その結果として著しい心理的苦痛を患者に与える。また、過食性障害は肥満そしてうつ病などの精神医学的症状を高頻度に併発し、実質的な役割障害と関連する。 現在、米国FDAにより認可された過食性障害治療薬はない。一方で、動物およびヒトを対象とした研究により、脳の報酬系領域内のドパミン、オピオイド、アセチルコリン、セロトニンが神経回路において調節異常を来している可能性が示唆されており、今日に至るまで、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する複数の神経伝達物質を標的としたさまざまな薬剤の有効性が、過食性障害治療の分野で研究されてきているという。 これまでに得られている主な知見は以下のとおり。・抗うつ薬、抗けいれん薬の中に、過食症状の発生抑制に有効なものがあったが、治療の主要目的である食欲抑制を達成できた患者は限られていた。・臨床的に意味のある体重減少、あるいはプラセボに比べ有意な体重減少の達成に関しても、効果の高いもの(トピラマート)から低いもの(フルボキサミン)まで、ばらつきがあった。・全体的にみて、過食性障害に対する薬理学的アプローチに関する文献は限られており、適切なフォローアップによる多面的検証試験(multiple confirmatory trials)が実施された薬剤は非常に少なく、年齢、性別、多人種の患者集団からなる大規模サンプルを用いて評価された薬剤はほとんどない。・さらに、これまでの研究は、試験デザインや本疾患の患者集団に共通して認められるプラセボに対する高い反応性により、適切に実施されてこなかった。・いくつかの新しい薬剤がさまざな研究段階にあるが、扁桃体と外側視床下部をつなぐグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した最近の動物実験により、新しい研究や薬剤開発の可能性が示唆されている。・新しくFDAに認可された長期肥満治療薬の研究、食欲や気分に影響を与える成分を含有するサプリメントや栄養食補助食品のさらなる開発も、有意義な取り組みになると思われる。関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証 情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加:オランザピンのメタ解析  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症によいサプリメント、その効果は

 大豆レシチンより生成したホスファチジルセリン(PS)とホスファチジン酸(PA)を配合したサプリメントは、高齢者において記憶、気分、認知機能を改善すること、アルツハイマー病(AD)患者の日常機能や感情に対して有益な影響を及ぼすことが明らかにされた。ドイツ・Analyze & realize GmbHのMargret I. More氏らによる検討の結果、示された。Advances in Therapy誌オンライン版2014年11月21日号の掲載報告。 研究グループは、大豆レシチンより生成したPS 100mgとPA 80mgを配合した脳の健康を保つための食物サプリメントの有用性を検討するため、早期パイロットスタディを実施した。同様の検討はこれまで行われていない。 はじめに、健常ボランティアにおいてPS+PA単回摂取後の血清分析を実施。次に、機能障害や抑うつを認めないが記憶に問題のある高齢者(記憶および気分に及ぼす影響をウエクスラー記憶検査とうつ症状リストを用いて評価)を対象とし、3ヵ月間の二重盲検プラセボ対照試験にて、PS+PA 3カプセル/日(300mg PS+240mg PA/日)とプラセボの有用性を比較評価した。さらに、AD患者を対象とした2ヵ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、PS+PA 3カプセル/日(300mg PS+240mg PA/日)とプラセボの、日常機能、メンタルヘルス、感情、自己報告による全身状態に及ぼす影響を比較評価した。 主な結果は以下のとおり。・血清中PS濃度は、摂取後90分でピークに達し、180分後にベースライン値に回復した。・高齢者において、PS+PA群(per protocol[PP]のn=31)ではプラセボ群(PPのn=26)と比べて記憶力の有意な改善が認められ、摂取前後の比較において冬季うつ病(ウインターブルー)の抑制が認められた。・AD患者において、PS+PA群(PPのn=53)では日常生活機能(日常生活における7つの活動)が維持されていたが、プラセボ群(PPのn=39)では5.62から4.90へと低下し(p=0.035)、有意な群間差を認めた(p=0.021)。・日常生活機能について、PS+PA群では悪化が3.8%、安定が90.6%であったのに対し、プラセボ群ではそれぞれ17.9%、79.5%であった(p=0.066)。・PS+PA群では、自己報告による全身状態の改善を認めた患者は49%であったが、プラセボ群では26.3%にとどまった(p=0.084)。・PS+PA群では、試験後もサプリメント摂取(二重盲検期間中)を継続した患者が約43%いたが、プラセボを受けた患者はいなかった。ネガティブな副作用は認められなかった。・以上のことから、PSは、経口摂取により効果的に吸収されることが示された。また、高齢者を対象とした試験により、PS+PAの記憶、気分、認知機能に対する有益な効果が示された。AD患者に対する短期間のPS+PA摂取は、日常機能、感情、自己報告による全身状態に対し、安定した効果を示した。・本パイロット研究の結果は、AD患者そして記憶や認知機能に問題のある高齢者に対するPS+PAの長期試験の実施を促すものであった。関連医療ニュース 認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか アルツハイマーに有用な生薬はコレ 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較  担当者へのご意見箱はこちら

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推奨される食事

【関節リウマチ】食事では、筋肉をつくるタンパク質 を積極的にとろう!メモ関節リウマチでは、全⾝の筋肉量が落ちやすいので、良質なタンパク質(肉、⿂、卵、⼤⾖製品など)をとる。・動物性タンパク質は貧血予防にも効果的。・タンパク質を中心に、ビタミン、ミネラルをバランスよく。監修:慶應義塾大学医学部リウマチ内科 ⾦⼦祐⼦⽒Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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肺がん患者と医療者の乖離を埋める―WJOG

 「患者さんのためのガイドブック よくわかる肺がんQ&A(第4版)」(編集:NPO法人西日本がん研究機構、以下WJOG)の発行を記念して、「肺がんの最新治療に関するセミナー~分子標的薬の登場で肺癌治療は大きく変わった~」が2014年11月28日、都内にて行われた。当日は、中川和彦氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授)、本書の編集を行った澤 祥幸氏(岐阜市民病院 がん診療局長)が講演した。 中川氏の講演では、肺がん診療の最新情報が紹介された。講演の中で、中川氏は次のように述べた。肺がんの治療は最近の20~30年で大きく進歩している。とくに2002年のEGFR–TKIゲフィチニブの登場以降、ALK阻害薬、第2世代EGFR-TKIが次々に登場している。今後も第3世代EGFR-TKI、PD-1やPD-L1など新たな免疫療法なども治療選択肢として加わってくると考えられ、肺がん治療は大きく変化していくことが予想される、と述べた。また、このように新たな臨床試験が数多く出てくる中、EBMや診療ガイドラインを踏まえ、肺がんについての正しい情報を研究者から一般社会に伝えることが重要であるとも述べた。 続いて、澤 祥幸氏が、肺がん患者の疑問とその対応に関して次のように述べた。がん患者は告知の際、医療者に対し自分自身の不安を解決するため希望的回答を期待している。しかし、がんであるという事実は最悪の知らせである。将来への見通しを根底から否定的に変えてしまうため、冷静な状態ではいられない。担当医にしてみれば、しっかり説明したのに理解してもらえない。一方、患者も家族も真剣に説明を聞いていたはずなのに覚えていないという事態に陥る。また、希望的回答への期待を裏切られたことが医療者への不信を招き、診療への否認行動をとるなど、その後のトラブルにつながることもある。さらに、悪い知らせを聞いた後、一部の患者は適応障害やうつ病に陥る。がん患者の自殺率は健康人の4倍との報告もあり、これも大きな問題である。 がんと診断された後、がん患者・家族はどのような情報を求めているのか? 肺がんの種類・進行度、標準治療といった情報を伝えようとする医療者とは乖離があるようだ。WJOGはその乖離を明らかにするため、各地で開催する市民講座の際、患者・家族の疑問や質問を収集した。その結果、患者の疑問・質問の上位は、「もっといい病院・医者は?」「抗がん剤治療が不安」「補完代替医療、免疫療法」「術後の痛み」「がん告知の問題」などであった。実際にサプリメントや高額な民間療法に頼る患者、治療拒否により手遅れになる患者、医療費控除制度を知らず経済的不安から治療を拒否するケースも少なくないと、澤氏は言う。 「よくわかる肺がんQ&A(第4版)」は、このように収集した疑問・質問をまとめる形で、本年(2014年)11月7日に発行された。Q&A は119項目からなり、医師向けのガイドラインにはない、補完代替医療の説明、不安・衝撃へのアドバイス、医療費といった項目も含まれる。今版は市民の要望に応え、書店でも購入可能である。価格帯も市民が気軽に買えるよう2,200円(+税)に設定。今後はwebフリーダウンロードの予定もある。amazon リンク:「患者さんのためのガイドブック-よくわかる肺がんQ&A(編集;西日本がん研究機構-WJOG)」はこちら。

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「便秘」は病気という自覚が大事

 2014年11月11日、アボットジャパン株式会社は「働く女性の活躍と腸内トラブル~慢性便秘症の治療でQOLの向上を~」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。 便秘症は女性を悩ます身近な病気の一つであり、日常でありふれているが故に、なかなか診療に結び付かない疾患である。 セミナーでは便秘症に関し、同社が行ったWEBアンケートの結果報告や便秘に悩む女性の声と生活実態が報告されたほか、便秘症の概要とその治療法についてコンパクトにレクチャーが行われた。 「便秘症とその治療方法、労働生産性とQOLの低下」をテーマに、本郷 道夫氏(東北大学名誉教授/公立黒川病院管理者)が、現在便秘症に行われている診療と治療について解説した。 便秘症は規定することが難しく、排便回数やブリストール便形状スケールによる便の状態、患者の主訴(排便がつらいかどうか)などを総合して診断されている。便秘症の患者分布としては、20~40代の女性と70代以上の高齢者に多い。また、便秘症患者は傾向的に市販薬を常用して、胃腸薬や便秘薬の服用の結果、下痢を起こし、さらに下痢止めを服用するといった負のスパイラルを繰り返しているケースも多いと指摘した。また、便秘症により身体的、精神的にQOLが低下し、日常活動や労働生産性も低下しているという海外論文のデータ※も紹介された。 では、なぜ便秘症患者が医師の診療を受けないのかについて、患者アンケート(n=170)では「便秘症を病気とは考えていない」(50%)、「受診するのが億劫/面倒」(46%)という回答が多くを占めた。また、患者が行っている便秘症状への対応の調査(n=2万9,161)では、「水分摂取」(50%)、「市販薬」(31%)、「健康食品/サプリメント」(33%)、「食生活改善」(33%)という回答が多く、「医師への受診」(15%)はわずかであったことが報告された。 便秘症による医師への受診の目安として、市販薬を使用して排便がつらいときには診療を受けたほうがよく、診療の際にはっきりと医師に便秘について治療の意向を伝えるべきであるとアドバイスした。また、便秘症の患者の中には、拒食症やうつ傾向を持つ患者も散見されるため、診療時に注意が必要とのことであった。 さらに、本郷氏は治療法について言及した。わが国で保険適用のあるエビデンスグレードAの治療としては「排便障害時のバイオフィードバック療法」と「ルビプロストン(商品名:アミティーザ)」の2つがあり、前者はモニタリングができる施設が必要となる一方で、後者は1日2回摂取の経口治療薬であると説明した。とくにルビプロストンは、小腸粘膜上皮細胞にあるクロライドチャネルを活性化することで、腸管内への水分分泌を促し、排便を促進する。慢性便秘症患者への臨床試験では、1日48μg/日でほぼ1日1回の排便を促し、便の形状もブリストール便形状で3~5の形状に改善するとされている。 これから冬にかけて、運動不足による便秘が増加すると予想されるなかで、本郷氏は「ひとりで便秘に悩まず、病気と認識して医師に相談し、便秘症は“治療で改善できる”ことを広く知ってもらいたい」とまとめた。※Sun SX, et al. Dig Dis Sci. 2011; 56: 2688-2695.

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てんかんに効くサプリメント、低用量EPA+DHAが発作を抑制

 低用量の魚油(EPA+DHA 1,080mg[3カプセル/日])は、てんかん発作を抑制し、その改善効果は薬剤抵抗性てんかん(DRE)における抗てんかん薬に関する最近の試験結果と同程度であったことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のChristopher M DeGiorgio氏らによる低用量と高用量をプラセボと比較した第II相無作為化クロスオーバー試験の結果、報告された。高用量魚油に関する試験はこれまでにも行われているが、その効果は示されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「低用量魚油はてんかん発作を抑制し、てんかん患者の健康を改善することが示された」と述べ、「DREにおける低用量魚油(1,080mg/日未満)の大規模な無作為化試験の実施が正当化された」とまとめている。Journal of Neurol Neurosurg Psychiatry誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。低用量魚油でてんかん発作頻度が33.6%低下 n-3脂肪酸は、神経興奮性を抑制し、てんかん発作を抑制することが動物モデルにおいて示されている。これまで、高用量魚油投与について、DREにおける2件の無作為化試験が行われたが、いずれもネガティブな結果が示されていた。 本検討で研究グループは、低用量と高用量の魚油の第II相無作為化クロスオーバー試験を行い、低用量または高用量魚油、てんかん発作を抑制もしくは心血管系を改善するかどうかを調べた。 試験は、24例のDRE患者を対象とし、低用量または高用量の魚油vs. プラセボ(コーン油、リノール酸)で検討。クロスオーバー期間は3期を設定し、試験は投与期間3期(各10週間)とウォッシュアウト期間2期(各6週間)の計42週間にわたって行われた。全被験者は、二重盲検下で無作為化され、異なるシーケンスでプラセボ、高用量、低用量の投与を受けた。主要アウトカムは、全てんかん発作頻度の割合変化であった。 低用量または高用量魚油がてんかん発作を抑制するかどうかを調べた主な結果は以下のとおり。・低用量魚油は、プラセボと比較して、てんかん発作頻度を33.6%低下した。・また、低用量魚油は、血圧を緩やかだが有意に低下した。・高用量魚油は、てんかん発作の抑制についてプラセボとの差がみられなかった。心血管リスク因子の改善も認められなかった。関連医療ニュース どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か

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