サイト内検索|page:1

検索結果 合計:439件 表示位置:1 - 20

1.

診療科別2026年上半期注目論文5選(糖尿病・代謝・内分泌内科編)

Orforglipron for maintenance of body weight reduction: the double-blind, randomized phase 3b ATTAIN-MAINTAIN trialArrone LJ, et al. Nat Med. 2026 May 13. [Epub ahead of print]<ATTAIN-MAINTAIN>:orforglipronは、チルゼパチド・セマグルチドによる減量維持に有用SURMOUNT-5研究(糖尿病のない肥満症者対象)でチルゼパチド・セマグルチドにより5%以上減量した人を対象に、注射薬から経口GLP-1受容体作動薬orforglipronへ切り替えたところ、52週後の減量維持率はプラセボ群より有意に高く、体重リバウンド予防への有用性が示されました。一方で消化器系副作用の多さが今後の課題です。Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and ObesityMalhotra A, et al. N Engl J Med 2024;391:1193-205.<SURMOUNT-OSA>:チルゼパチドは閉塞性睡眠時無呼吸を改善する肥満(BMI≧27)を伴う中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸患者において、52週間のチルゼパチド投与により体重が最大約20%減少しAHIが最大約29回/時間減少しました。2026年5月にチルゼパチドが本邦でも閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療薬としても承認されました。本論文は2024年発行ですが、保険適用に伴い改めて取り上げました。処方条件については最適使用推進ガイドラインを確認しましょう。Finerenone in Type 1 Diabetes and Chronic Kidney DiseaseHeerspink HJL, et al. N Engl J Med 2026;394:947-57.<FINE-ONE>:フィネレノンは1型糖尿病の腎症進展抑制に有用1型糖尿病で微量~顕性アルブミン尿期の腎症を合併している患者において、フィネレノンは6ヵ月間で尿中アルブミン/クレアチニン比を顕著に減少させました。ただし、短期間の介入であること、代用エンドポイントを指標としていることから長期的な臨床効果や安全性(とくに高カリウム血症のリスク)の評価は今後の課題です。Intensive LDL Cholesterol Targeting in Atherosclerotic Cardiovascular DiseaseLee YJ, et al. N Engl J Med 2026;394:1365-75.<Ez-PAVE>:心血管疾患合併者では、LDL-Cの超厳格管理により心血管リスクが低減する心血管疾患を有する韓国人では、LDL-Cの目標値を55mg/dL未満に設定すると、70mg/dL未満を目標とした場合よりもイベントリスクがさらに低下しました。ただし、非盲検試験であるため効果が過大評価されている可能性がある点と、低リスク者における有効性は未確立である点に注意が必要です。Histological efficacy of anti-diabetic agents in MASH and the mediating role of weight loss: A network meta-analysisBanerjee M, et al. Diabetes Obes Metab. 2026;28:287-295.<ネットワークメタアナリシス>:SGLT2阻害薬とインクレチン関連薬はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)を改善するSGLT2阻害薬およびインクレチン関連薬は生検で確定診断されたMASHにおいて線維化を改善することが示されました。その効果には体重減少が大きく寄与していることが示唆されましたが、それ以外の直接的な作用の可能性も想定されています。2026年6月にセマグルチドが日本初のMASH治療薬として承認されました。処方条件については最適使用推進ガイドラインを確認しましょう。

2.

日中の過度の眠気と入眠潜時延長、高血圧リスクの警告サインか

 日中に過度の眠気(excessive daytime sleepiness;EDS)を感じることは、高血圧の警告サインである可能性があり、特に入眠に時間を要する場合はその可能性が高まる――そんな研究結果が、米ペンシルベニア州立大学医学部の研究グループにより報告された。EDSを有する成人は、高血圧を有しているか、将来的に高血圧を発症するリスクが高いことが示されたという。この研究は、米国睡眠医学会(AASM)および睡眠研究学会(Sleep Research Society)が共同で設立した米国睡眠関連学会連合(APSS)の年次総会(SLEEP 2026、7月14〜17日、米ボルチモア)で発表予定であり、要旨が「Sleep」5月増刊号1に掲載された。 研究グループの一員であるペンシルベニア州立大学医学部睡眠研究治療センターのAlexandros Vgontzas氏は、「EDSがあり、さらに入眠潜時の延長が認められる成人は、心血管リスクが有意に高い明確なサブグループである可能性が示された。EDSのみ、あるいは入眠潜時の延長のみでは、両方を有する群で見られたような高血圧リスクの増加は認められなかった」と述べている。 研究の背景情報によると、EDSは有害な心血管アウトカムと関連することが報告されている。この研究では、EDSと高血圧との関連が、客観的に評価した睡眠障害の有無によって変わるのかが検討された。対象者である成人1,741人のベースライン時の高血圧有病率を算出し、またベースライン時に高血圧のなかった786人を平均7.5年間追跡して、高血圧の発症率を調査した。全ての対象者に8時間の睡眠ポリグラフ(PSG)検査を実施し、入眠潜時の延長(30分以上)を睡眠障害や過覚醒の指標として用いた。 その結果、EDSを有する対象者は、EDSも入眠潜時の延長も認めない対照群と比べて、すでに高血圧を有するオッズが有意に高く(オッズ比1.52、95%信頼区間1.01~2.27、P=0.044)、また、将来的に高血圧を発症するオッズも有意に高かった(同1.74、1.05~2.87、P=0.030)。さらに、EDSと入眠潜時の延長の両方を有する群では、対照群と比べて、高血圧を有するオッズは約2倍(同2.34、1.18~4.63、P=0.015)、将来的に高血圧を発症するオッズは約3倍であった(同3.43、1.58~7.41、P=0.002)。 研究グループは、「これらの知見は、日中の強い眠気を訴える患者を評価する際には、睡眠時無呼吸だけに注目するのではなく、より幅広い視点で診察すべきことを示唆している」と述べている。

3.

閉塞性睡眠時無呼吸症候群、女性は男性より症状負担が大きい

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の女性では、OSAの重症度の指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)は男性よりも低いものの、頭痛、悪夢、夜間頻尿などの症状負担は男性よりも大きい傾向があることが、新たな研究で示された。米ピッツバーグ大学の睡眠医学研究者であるStuti Vaidya氏らによるこの研究は、米国睡眠関連学会連合(APSS)の年次総会(SLEEP 2026、7月14〜17日、米ボルチモア)で発表予定であり、要旨は「Sleep」5月増刊号1に掲載された。APSSは、米国睡眠医学会(AASM)および睡眠研究学会(Sleep Research Society)が共同で設立した組織である。 この研究では、中等度から重度のOSAと診断され、CPAP(持続陽圧呼吸療法)を開始した407人を対象に、症状負担の男女差を比較した。対象者は女性38%、男性62%で、平均年齢は女性50±14歳、男性48±15歳であった。視覚アナログ尺度(VAS)でいびき、睡眠中の喘ぎ、鼻閉(鼻づまり)、夜間頻尿、頭痛、悪夢、胃酸逆流を評価し、また、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)で睡眠障害、睡眠関連の機能障害、認知機能、抑うつ、不安、怒り、疲労感、社会的役割に対する満足度を評価した。 OSAの重症度評価に用いられるAHIは、女性で平均25、男性で平均35であり、女性の方が統計学的に有意に低かった(P<0.001)。それにもかかわらず、女性では、夜間頻尿(5.6点対4.9点)、頭痛(4.3点対3.0点)、悪夢(2.6点対1.9点)のVASスコアが男性よりも有意に高かった。また、PROMISによる評価では、睡眠障害(58.7点対56.6点)、睡眠関連の機能障害(62.0点対59.3点)、不安(54.9点対52.4点)、怒り(54.6点対51.4点)、疲労感(61.3点対56.5点)、認知機能(40.8点対37.2点)、社会的役割に対する満足度(40.8点対44.0点)のスコアにも有意差が認められた。一方、いびき、睡眠中の喘ぎ、鼻閉、胃酸逆流、抑うつについては、有意な男女差は認められなかった。 Vaidya氏は、広範囲にわたる非典型的な症状において、女性は一貫してより大きな症状負担を報告していたことを指摘した上で、「今回の結果は、臨床現場で使われているOSAの診断・治療アルゴリズムが依然として典型的な症状に焦点を当てており、女性が経験し得る他の多様な症状を十分に考慮していない可能性を示唆している」とニュースリリースで述べている。 Vaidya氏はまた、「今回の結果は、女性が男性と同程度の典型的なOSA症状を示すようになるまでOSAの診断や治療が行われない可能性を示しており、それが診断の遅れにつながっている可能性がある」と説明している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

4.

テゼペルマブで重症喘息患者のステロイド減量が可能に

 最近承認された喘息治療薬テゼペルマブ(商品名テゼスパイア)により、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイドの使用量を減らせる可能性が、臨床試験で示された。テゼペルマブ群では、喘息コントロールを維持しつつ日常的なステロイド使用量をより大きく減らせるオッズがプラセボ群の約3倍であったという。米National Jewish HealthにあるCohen Family Asthma Institute所長であるMichael Wechsler氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Respiratory Medicine」6月号に掲載された。Wechsler氏は、「長期的な経口コルチコステロイドの使用は、糖尿病、骨粗鬆症、心血管疾患などの健康被害をもたらす可能性があり、生活の質(QOL)にも重大な影響を与え得る」と述べている。 米食品医薬品局(FDA)は2021年に、重症喘息の維持療法としてテゼペルマブを承認した。喘息患者は本剤を月1回自己注射する。テゼペルマブは、炎症誘発性サイトカインの一種である胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を阻害することにより喘息発作を抑制する。 今回の第3相臨床試験は、12カ国、63施設で、18〜80歳の重症喘息患者122人を対象に実施された。対象者は、テゼペルマブ210mgを4週間ごとに28週間投与する群(83人)とプラセボを投与する群(39人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、喘息コントロールを維持したまま、28週時点における経口ステロイド使用量のベースラインからの変化量であった。 最終的に、90人(74%)が治療を完了した。その結果、28週時点で、テゼペルマブ群では69%の患者がステロイドの使用量を半分以上減量できたのに対し、プラセボ群では44%にとどまっていた。また、ステロイドを90〜100%減量できたのは、テゼペルマブ群では36%(30人)、プラセボ群では21%(8人)であった。さらに解析の結果、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイド使用量をより大きく減量できるオッズは、テゼペルマブ群でプラセボ群の約3倍(オッズ比2.93)であることが示された。 Wechsler氏は、「これらの知見は、テゼペルマブで治療された重症喘息患者が、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイドへの依存を大幅に減らせる可能性を示す点で重要である」とニュースリリースで述べている。 ただし、本試験は登録の遅れにより予定していた参加者数(207例)に達せず、早期終了したと研究グループは説明している。その上で、「しかしながら、本試験は高い質で実施されており、ランダムに割り付けられた参加者のほぼ4分の3が試験を完了している。早期終了は、参加者の試験未完了の最も一般的な理由であった」と論文の中で述べている。 なお、本試験の資金は、テゼペルマブの開発・販売元であるアストラゼネカ社およびアムジェン社が提供した。

5.

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」【最新!DI情報】第65回

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」今回は、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(商品名:ミムリット皮下注用、製造販売元:第一三共)」を紹介します。乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンに、おたふくかぜワクチンを混合することで、接種回数が減少して非接種者の負担軽減につながることが期待されています。<効能・効果>麻しん、おたふくかぜおよび風しんの予防の適応で、2026年5月11日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射します。生後12月以上の者であれば性、年齢に関係なく接種できます。接種年齢は、学会などの最新の情報を考慮して総合的に判断します。<安全性>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、免疫性血小板減少症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん(熱性けいれんを含む)、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、急性膵炎(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応として、発熱(33.6%)、注射部位の紅斑(22.5%)、腫脹、疼痛(いずれも注射部位、5%以上)、内出血、硬結(いずれも注射部位)、嘔吐、湿疹、発疹、上咽頭炎(いずれも0.5~5%未満)、注射部位のそう痒感、下痢、鼻漏、上気道の炎症、紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹(いずれも0.5%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.このワクチンは、麻しん、おたふくかぜ、風しんの混合ワクチンです。麻しんウイルスとムンプスウイルス、風しんウイルスを弱毒化した生ワクチンで、接種後に体の中でワクチンウイルスが増え、それぞれの抗体ができます。 2.生後12月以上の者であれば性別、年齢に関係なく接種できます。 3.ワクチン接種に伴う副反応として、接種部位が接種直後から数日中に赤くなる、硬くなる、腫れることがありますが、通常、一過性で消失します。 4.妊婦は接種できません。 5.妊娠可能な女性は、あらかじめ約1ヵ月間避妊した後に接種します。また、ワクチン接種後約2ヵ月間は妊娠しないように注意してください。 <ここがポイント!>麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、「はしか」とも呼ばれています。感染後、10〜12日の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱、発疹、咳、鼻汁などの症状が現れます。重症化した場合には、肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれています。感染後、2〜3週間の潜伏期間を経て、片側または両側の耳下腺部に炎症や疼痛が生じ、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が現れます。通常は1~2週間で軽快しますが、合併症として無菌性髄膜炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎、難聴などを引き起こすことがあります。とくに難聴は高度となることが多く、発症すると不可逆的な聴覚障害が残ることがあります。従来はまれな合併症とされていましたが、近年では0.1〜0.25%程度の発症率という報告があります。風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。感染後、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風しんに対する免疫力が不十分な妊婦が感染すると、出生児に心疾患、白内障、感音性難聴、精神運動発達遅延などの先天性異常が認められることがあります。妊娠中は弱毒生ワクチンを接種できないため、抗体を持たない、あるいは抗体価の低い妊婦は、風しん流行時における感染に十分注意することが重要です。ミムリットは、麻しん/おたふくかぜ/風しん(measles/mumps/rubella:MMR)ワクチンであり、麻しん、おたふくかぜおよび風しんの各原因ウイルスを弱毒化した生ウイルスを含む3種混合ワクチンです。本邦では、1989年から4年間にわたってMMRワクチンが小児の予防接種に使用されていましたが、当時のおたふくかぜワクチンの副反応として発熱、嘔吐、けいれんなどを伴う無菌性髄膜炎が高頻度に発生し、大きな社会問題となりました。そのため、MMRワクチンは使用が中止され、以降は麻しんおよび風しんの予防には単独ワクチンまたはMRワクチンの定期接種が、おたふくかぜの予防には単独ワクチンの任意接種が行われてきました。しかし、その結果、国内のおたふくかぜワクチンの接種率は30〜40%程度にとどまり、数年ごとにおたふくかぜの流行が繰り返されてきました。こうした状況を受け、2013年12月に厚生労働省から一般社団法人日本ワクチン産業協会に対して安全性の高いMMRワクチンの開発要請が出されました(健感発1216第1号)。さらに2018年5月には、予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望」が厚生労働省健康局(現健康・生活衛生局)に提出されました。このような背景から、MMRワクチンの開発が進められ、弱毒生麻しんウイルス(AIK-C株)、弱毒生風しんウイルス(高橋株)および弱毒生ムンプスウイルス(RIT4385株)を混合した本剤が承認されました。なお、RIT4385株は、無菌性髄膜炎の発現頻度が低いムンプスウイルス株として、海外では小児の定期接種に用いられるMMRワクチンに広く使用されています。 日本人健康小児を対象とした国内第III相臨床試験(VN0102-A-J301試験)において、主要評価項目である治験薬接種42日後の麻しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.8%(95%信頼区間[CI]:98.7~100.0)および対照群100.0%(95%CI:99.1~100.0)で、群間差は−0.2%(95%CI:−1.3~0.7)でした。また、風しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.5%(95%CI:98.3~99.9)および対照群99.5%(95%CI:98.3~99.9)で、群間差は0.0%(95%CI:−1.3~1.3)でした。麻しんウイルスおよび風しんウイルスに対する抗体保有率は、群間差の95%CIの下限値(いずれも−1.3%)が非劣性マージンである−10%を上回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性が検証されました。一方、ムンプスウイルス(Genotype D)に対する抗体保有率は、本剤群80.6%(95%CI:76.5~84.4)および対照群88.1%(95%CI:84.6~91.0)で、群間差は−7.5%(95%CI:−12.5~−1.9)でした。群間差の95%CIの下限値(−12.5%)が非劣性マージンである−10%を下回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性は検証されませんでした。しかしながら、本剤のムンプスウイルスに対する抗体保有率は80.6%であり、おたふくかぜの発症予防効果が確認されている海外MMRワクチンの試験成績と比較しても遜色のない結果でした。また、J302試験(低力価および高力価製剤の国内第III相臨床試験)およびJ303試験(ワクチンを1回接種したことが明らかな小児を対象とした国内第III相臨床試験)におけるムンプスウイルスに対する抗体保有率はいずれもおおむね95%以上でした。

6.

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第8回

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~前回は急性熱性疾患の六病位を解説しました。太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)ですね(図1)。図1 六病位画像を拡大する病気が進行する場合には、このようなフレームワークを使えるのですが、病気の進行があまり目立たない慢性疾患の場合に、どのように漢方薬を選んでいくかという話はまだできていません。そのため、今回は気血水を扱いたいと思います。まずは、それぞれの概念から解説していきます。気血水気(き)というのは物質的な裏付けがありません。要するにエネルギーとお考えください。最近は武術だけじゃなくて、漫画やアニメでも「気」という言葉がたくさんでてきます。あのイメージでまったく問題ありません。血(けつ)というのは赤くて循環している液体を指すため、基本的には血液と考えて構いません。実際には血液だけでなく、血液が運んでくる栄養なども血の概念に含まれているため、あまり「血=血液」と考えすぎないほうがスムーズに理解できる事柄もあります。最後の水(すい)は血液以外の体液を指します。気、血、水は互いに独立した概念とまでは言い切れません。たとえば、気は血と水がうまく循環するのに大切なものです。そのため、気血水のどこかに問題が生じると、ほかの要素にも問題が波及するということはよくあります(図2)。図2 気血水画像を拡大する少し哲学的な雰囲気の話になってしまったところもあって、わかりにくい部分もあったかもしれません。そこで、実際の症候で解説しようと思います。気逆、気鬱、気虚まず、気の問題には気逆(きぎゃく)、気鬱(きうつ)、気虚(ききょ)があります(図3)図3 気逆、気鬱、気虚画像を拡大する気逆は、エネルギーが体の下から上に突き上げる現象で、たとえば、吐き気、のぼせがこれに該当します。感冒初期に頭痛がするのも気逆の一種で、葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)に含まれる桂皮(けいひ)がこれを治してくれます。げっぷ、しゃっくりも気逆の一種ですね。気鬱は、体のどこかでエネルギーが痞(つか)えることです。たとえば、胸が痞える感じ。女性のヒステリー球などとよく言いますが、恋の病もこれに該当します。あとは、便秘も「お通じが悪い」って言いますよね。エネルギーの通りが悪いのです。こういったものが気鬱です。最後に気虚。これは簡単で、エネルギー不足のことです。もっとも、この気虚、つまりエネルギー不足はさらに大きく2つに分けることができて、先天的な気の不足と後天的な気の不足に分けられます。RPGでも格闘ゲームでもなんでもいいのですが、体力ゲージ、HPゲージをイメージしてください。最大HPに相当するのが先天的な気で、現在のHPに相当するのが後天的な気です。そうすると、「おにぎり」のような体力回復アイテムで回復できるのは、後天的な気の方になります。先天的な気は、生まれながらにして持っているエネルギーですが、これは腎に宿っていると漢方では考えていて、加齢とともに衰えていきます。この衰えをゆっくりにする漢方薬としては、腎気丸(じんきがん)こと八味地黄丸(はちみじおうがん)というものがあります。一方で、後天的な気というのは、食事と呼吸を通じて日常的に補給していくもので、お腹の調子を整えることが大事になってきます。そのため、後天的な気を補って気虚を治す漢方薬には、腸管に優しい生薬が含まれているんですね。人参(にんじん)はその代表格です(図4)。図4 気虚に対する漢方薬画像を拡大するお血、血虚次に血の異常をみていきます。血の循環が滞っている状態をお血(おけつ)といいます。たとえば、動脈硬化症、血栓症、あとは多血症がこれに該当します。皮下出血もそうです。あと、「血=血液」で捉えるとわかりにくいのですが、肉ばかり食べている方は、顔のお肌がガサガサに荒れてシミや吹き出物が出てきたり、赤ら顔になったりするのです。これもお血に含みます。血が足りていない状態を血虚(けっきょ)といいます。単純に貧血と考えていただいて大丈夫ですが、貧血になると目が霞んできたり、鉄欠乏であれば爪が割れてきたりと、いろいろな症状が出てきます(図5)。また、顔が青白い。こういった症状に対しては、造血機能を高めたり、出血していればそれを止めたりするために、漢方薬が用いられるわけです。たとえば、桂枝湯の回で触れた当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)は血虚に対して使えます。図5 お血、血虚画像を拡大する水毒次は水の異常です。簡単に思い浮かぶのは浮腫ですね。もちろん、浮腫も水毒のひとつです。あとは、雨が降ると頭痛がしたり、めまいがしたりする方がいますよね。あれも水毒です。気象関連片頭痛とか、メニエール病の内リンパ水腫をイメージするとわかりやすいかもしれません。花粉症の時に鼻水が出るのも水毒で、関節液が貯留するのも水毒です。胃に水がたまってポチャポチャするのも水毒です(図6)。要は水が絡んでいて、その水が赤くない。つまり血でないのなら、水毒と考えておおむね差し支えありません。そう考えると、結構広い概念ですね。図6 水毒画像を拡大する四君子湯、四物湯、五苓散ここまで、気血水の異常を説明してきました。漢方診察では、目の前の患者が気血水の異常をそれぞれどのくらいの割合で持っているのか、症状や身体所見から考えます。それをもとに、漢方薬を選んでいくという話になってくるわけです。ここで、気血水の異常を治す漢方薬として、絶対に知っておきたい漢方薬を3種類だけ紹介しておきたいと思います。それは四君子湯(しくんしとう)、四物湯(しもつとう)、五苓散(ごれいさん)です。私がナンバーズ3兄弟と呼んでいるものです。四君子湯は気虚、四物湯は血虚、五苓散は水毒を治す漢方薬ですが(図7)、それぞれに含まれている生薬を覚えるだけで、この先に出てくる気血水向きの漢方薬を簡単に理解できるようになります。図7 ナンバーズ3兄弟画像を拡大するまとめ今回の内容をまとめていきます。急性熱性疾患の六病位というフレームワークとは別に、今回は慢性期疾患でも使える気血水を説明しました。気血水の異常には、気逆、気鬱、気虚、お血、血虚、水毒が挙げられます。診察時には、症状や所見からこれらのどれに当てはまるのかを観察してから漢方薬を選びます。本連載はここまでとなります。ここから先は、CareNeTVの「Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬」で、ナンバーズ3兄弟の助けを借りながら、気血水の異常を各論で学んでいきます。ぜひ入会してご覧ください。

7.

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」【最新!DI情報】第63回

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」今回は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体「アニフロルマブ(遺伝子組換え)(商品名:サフネロー皮下注120mgオートインジェクター、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。これまでの点滴静注製剤に加えて皮下注製剤が登場したことで、全身性エリテマトーデス患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療が可能になると期待されています。<効能・効果>既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスの適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、1回120mgを1週間ごとに皮下注射します。なお、アニフロルマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤から本剤に切り替える場合、点滴静注の最終投与から約2週間後に本剤の投与を開始します。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシー(頻度不明)、重篤な感染症(2.3%)があります。その他の副作用として、注射部位反応(10%以上)、気管支炎(気管支炎、ウイルス性気管支炎、気管気管支炎)、上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)、帯状疱疹、過敏症(いずれも1~10%未満)、気道感染(気道感染、ウイルス性気道感染、細菌性気道感染)(いずれも1%未満)、関節痛(頻度不明)があります。なお、症状を悪化させる恐れがあるため、重篤な感染症の患者および活動性結核の患者には投与できません。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体製剤であり、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスに用いられる皮下注射薬です。 2.今までに、ステロイド、ヒドロキシクロロキン、免疫抑制薬などによる全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても効果不十分な場合に上乗せして使用されます。 3.医療機関において、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんや家族が自己注射できます。自己判断で中止や減量をしないでください。 4.妊娠または妊娠している可能性がある女性は、使用する前に医師または薬剤師に告げてください。 <ここがポイント!>全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、免疫系の異常により全身の多臓器に炎症を引き起こす慢性の自己免疫疾患で、厚生労働省の指定難病49に該当します。初期症状として全身倦怠感や発熱が多くみられ、その後、皮膚・粘膜症状、関節症状、腎病変、中枢神経症状などさまざまな症状が現れるため、患者ごとに症状の組み合わせや重症度が大きく異なります。治療の主軸は副腎皮質ステロイドによる免疫抑制および抗炎症であり、重症例ではステロイドパルス療法が選択されます。しかし、ステロイドは長期使用に伴う多くの副作用があり、ヒドロキシクロロキンや免疫抑制薬、生物学的製剤などを併用し、ステロイドの減量を目指す治療が行われます。SLE患者の多くは、I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達が持続的に亢進し、IFN誘導性遺伝子の過剰発現が認められます。アニフロルマブは、I型IFNα受容体サブユニット1に結合するヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)モノクローナル抗体であり、I型IFN受容体を介したシグナル伝達を遮断することで自己抗体産生を抑制し、SLEの症状緩和および進行抑制に寄与すると考えられています。同成分は2021年11月に点滴静注製剤が発売されていますが、4週間ごとに通院し、30分以上かけて点滴投与を行う必要があります。今回承認された皮下注製剤は、週1回の自己注射薬であり、従来の点滴静注製剤に加わる新たな選択肢として、患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療を可能にします。また、通院負担の軽減や治療継続率の向上も期待されます。なお、アニフロルマブ点滴静注製剤から皮下注製剤に切り替える場合、点滴静注製剤の最終投与から約2週間後に皮下注製剤の投与を開始する必要があります。標準治療を実施中の中等症~重症の疾患活動性を有する自己抗体陽性のSLE患者を対象とした第III相国際共同試験(TULIP SC試験)において、主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例(複合的な疾患活動性低下指標)の割合は、本剤120mg皮下投与群で59.4%、プラセボ皮下投与群で43.9%、割合の群間差は15.5%(96.46%信頼区間:1.4~29.6%)であり、プラセボ投与群に対する本剤投与群の優越性が検証されました(p=0.0211、層別Cochran Mantel Haenszel法)。

8.

ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。 年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。ヨーグルト、チーズ、非発酵乳製品の摂取量は、ベースライン時に検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて評価した。縦断的関連性は、死亡を考慮したFine-Gray競合リスクモデルを用いて検討した。また、横断的関連性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者966例(平均年齢:78.3歳、女性の割合:55.5%)において、ヨーグルトの摂取量が多い群(標準1食分)では、非摂取群と比較し、抑うつ症状スコアが有意に低かった(調整β:第3~4四分位群で-0.37および-0.39、平均:88.5~164g/日)。低脂肪チーズの摂取量が多い群でも同様の結果が得られた(調整β:-0.35、平均:13.2g/日)。・平均3.3年のフォローアップ期間中に、うつ病の新規発症が120例、死亡が68例に発生した。・ヨーグルトの摂取量が多い群と低脂肪チーズの摂取量が多い群では、非摂取群と比較し、うつ病リスクが低かった(各々、調整サブ分布ハザード比:0.41[95%信頼区間[CI]:0.19~0.88]および0.40[95%CI:0.21~0.78])。・心理的苦痛、認知機能、認知症発症(平均フォローアップ期間:5.2年、発症100例、死亡153例)については、有意な関連は認められなかった。・また、チーズや牛乳の定期的な摂取についても関連は認められなかった。 著者らは「発酵乳製品、とくにヨーグルトと低脂肪チーズの摂取は、非発酵乳製品とは異なり、高齢期のメンタルヘルスに潜在的な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

9.

睡眠時無呼吸症候群、日ごとの重症度変動も心血管リスクに影響

 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は心疾患、高血圧、脳卒中のリスクを高めることが知られているが、その重症度が日ごとに大きく異なることも、リスクに影響する可能性がある。新たな研究で、OSAの重症度の日ごとの変動が大きい人では、小さい人に比べて、非致死的な主要心血管・脳血管イベント(MACCE)のオッズが34%高いことが示された。フリンダース大学(オーストラリア)のBastien Lechat氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に3月26日掲載された。 OSAでは、睡眠中の呼吸停止とそれに伴う覚醒が一晩中繰り返され、睡眠の質に悪影響を及ぼすことが知られている。Lechat氏は、「多くの人は、OSAの症状は一定していると考えがちであるが、実際は、ある夜は他の夜よりも著しく悪化するなど日ごとに大きく異なる。このような重症度の上下の繰り返しは心臓にさらなる負荷をかける可能性がある」とニュースリリースで述べている。 本研究では、米食品医薬品局(FDA)承認の市販のマットレス下センサーを用いてOSAの重症度を連日測定した3,159人の成人(女性19%、平均年齢49±13歳)のデータが解析された。OSAの重症度は、1時間当たりに起こる無呼吸と低呼吸の回数を示す指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)で評価された。非致死的なMACCE(心筋梗塞、脳卒中、狭心症、うっ血性心不全など)の診断の有無について質問票により確認し、これらとOSAの重症度およびその変動との関連を検討した。 その結果、中等度から重度のOSAを有する人は、OSAのない人と比較して、MACCE発生のオッズが45%高い傾向が認められた(オッズ比1.45、95%信頼区間0.93~2.25)。また、OSAの重症度の変動が大きい人(AHIの75パーセンタイル:8.0回/時)は小さい人(AHIの25パーセンタイル:2.8回/時)と比較して、OSAの重症度や他の交絡因子とは独立して、MACCE発生のオッズが34%高かった(オッズ比1.34、95%信頼区間1.04~1.72)。 研究グループによると、OSAの検査は多くの場合、1晩のみの呼吸測定で行われる。Lechat氏は、「1晩の睡眠検査だけでは一部の患者に誤った安心感を与える可能性がある。平均的には軽症であっても、日ごとの変動が大きい場合にはリスクが高い可能性があるためだ」と指摘している。 研究グループは、OSA患者における心血管リスクの予測が困難である理由の一端は、本結果により一部説明可能であるとの見方を示している。論文の上席著者である同大学のDanny Eckert氏は、「身体は酸素レベルの変動や睡眠の分断の繰り返しに適応することが困難である可能性がある。こうした日ごとの変動は、標準的な検査では捉えられないまま、時間をかけて心臓や血管に徐々に負荷をかける」とニュースリリースで述べている。その上で同氏は、医師が糖尿病や血圧と同様に、OSAについても継時的に評価することを検討すべきだと主張している。 一方、Lechat氏は、OSAには対処法が存在することを強調する。「いびきをかく、あるいは睡眠後も疲労感が残る場合には、医療専門職に相談することで、心血管リスクが見つかる可能性がある。そうしたリスクに対する治療の選択肢は多数存在する」と述べている。

10.

麻疹・風疹の違いは?

麻疹・風疹の違いは?麻疹(はしか)風疹(3日はしか)原因ウイルス 麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)風疹ウイルス(Togavirus科Rubivirus属)感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染感染力が非常に強い飛沫感染感染力が強い潜伏期間10~12日間14~21日間症状発熱(38℃前後、発疹期は39.5℃以上)、上気道炎症状(せき、鼻みず、のどの痛み)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、まぶしさ)、消化器症状(下痢、腹痛)、発疹、コプリック斑(口腔内の白色の小斑点)など発熱(約半数)、発疹、リンパ節の腫れが3つの特徴的な症状とされる関節炎が出る場合もある(成人の5~30%)麻疹より症状は軽く、無症状が15~30%注意が必要な合併症肺炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(麻疹の二大死因は肺炎と脳炎)中耳炎、クループ症候群(喉頭炎、喉頭気管支炎など)、心筋炎など先天性風疹症候群(妊娠20週までの妊婦さんが感染すると、生まれた子が発症して、先天異常など、さまざまな症状があらわれる)血小板減少性紫斑病、急性脳炎分類(1人の感染者が12~17人感染させる)(1人の感染者が5~7人感染させる)5類感染症国立感染症研究所. 風疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)国立感染症研究所. 麻疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.麻疹・風疹の発生状況(2026年4月30日現在)麻疹(例)(例)3,0003,0002,5002,5002,0002,0001,5001,5001,000風疹2,9412,2981,000744※5000165 18627910 66 28 45265436500126 910年101※12 15 12 9 11 1年※:第17週(2026年4月30日現在)の速報値国立感染症研究所. 感染症発生動向調査(IDWR):2026年4月30日現在(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html)(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/rubella/graph/index.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

11.

免疫介在性炎症性疾患患者のがんリスク、要因は炎症か

 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、乾癬などの免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者はがんリスクが高いことが知られているが、リスクが高いのはIMID診断後1年間であり、抗炎症薬による治療を開始するとそのリスクは経時的に低下する可能性が、新たな研究で示された。ガッルーラ地域保健局(イタリア)リウマチ科部長のDaniela Marotto氏らによるこの研究は、「Cancers」に3月23日掲載された。Marotto氏は、「初期段階でがんリスクがピークに達するということは、治療よりも慢性炎症そのものががん発症の重要な要因であることを示唆している」と述べている。 Marotto氏らは今回、イタリアで2018年1月1日から12月31日までの間にIMIDと診断された患者5万4,896人および非IMID患者30万1,126人を対象に、IMIDとがん発症との関連を検討した。IMIDは、RAとびまん性結合組織疾患(diffuse diseases of connective tissue;DDCT)を対象とした。DDCTは免疫の異常により全身の結合組織に慢性的な炎症が生じる疾患の総称で、SLEや強皮症、シェーグレン症候群などが代表例である。対象患者は2023年12月31日まで追跡された。 解析の結果、IMID群では非IMID群と比べて、5年間のがんリスクが有意に高かった(調整オッズ比1.32、95%信頼区間1.27~1.38)。しかし、がんリスクは経時的に低下し、オッズ比は診断後1年目で1.83(95%信頼区間1.61~2.08)、2年目で1.53(同1.37~1.69)、3年目で1.40(同1.25~1.56)、4年目で1.37(同1.22~1.53)、5年目で1.20(同1.15~1.30)であった(全てP<0.001)。がん種ごとに検討すると、IMID群では白血病・リンパ腫(調整オッズ比1.98)、肺がん(同1.74)、膀胱がんとメラノーマ(いずれも同1.48)のリスクが高かった。一方、IMIDの種類別に検討すると、DDCT群はRA群と比べてがんリスクが高かった(調整オッズ比はDDCT群1.53、RA群1.20)。 共著者であるシエナ大学(イタリア)医療バイオテクノロジー分野のAntonio Giordano氏は、「今回の結果は、炎症ががんリスクを左右する決定的な要因であるという仮説を支持するものだ」と指摘している。 研究グループは、この知見から、IMID患者に対しては、特に診断後1年以内におけるがん検診の重要性を周知・促進する必要があると強調している。

12.

がん薬物療法における皮下注射剤の可能性/日本臨床腫瘍学会

 近年、がん薬物療法領域での皮下注射剤の活用が広がっている。2026年度診療報酬改定では外来腫瘍化学療法診療料への皮下注製剤の算定も認められる見通しとなった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、腫瘍内科医、薬剤師、緩和ケア医、看護師、制度申請者の立場から、皮下注射の現状と課題が多角的に論じられた。がん治療の時間毒性を改善できる皮下注射 大阪大学の吉波 哲大氏は、腫瘍内科医の立場からがん薬物療法における「時間毒性」の概念を提示した。がん薬物療法においては、骨髄抑制や悪心などの薬剤毒性に加え、近年は経済毒性が注目されている。もう1つの側面として、吉波氏は時間毒性の重要性を訴える。 時間毒性は経済毒性とも無関係ではない。たとえば、通院により仕事を休むことで、給与に影響が出る。このように、時間毒性は深刻化すると経済毒性につながる。「医療者は時間毒性に対する取り組みを強く認識しなければならない」と吉波氏は説明した。 吉波氏が専門とする乳がん領域でも皮下注射は活用されている。HER2陽性乳がんでは、トラスツズマブとペルツズマブの併用療法が用いられるが、近年トラスツズマブとペルツズマブの配合皮下注製剤(商品名:フェスゴ)が登場した。フェスゴは2剤併用と同等の血中濃度と有効性を示す。投与時間に関しては、従来の2剤投与の90分超に対し、フェスゴでは最短5分と、1時間以上短縮ができる。患者に2剤投与とフェスゴ投与のどちらを選ぶかを聞いたところ、85%がフェスゴと回答している。その理由の多くは「診療における所要時間の短さ」であった。 皮下注製剤について吉波氏は「がん治療の時間毒性を軽減する可能性を十分に秘めている」と結論付ける。製剤技術の進化が皮下注射の可能性を広げる 小牧市民病院の山本 泰大氏は、薬剤師の観点から皮下注製剤の特性と今後の展開を論じた。従来、皮下投与可能な薬液量は2mLが目安とされてきたが、ヒアルロン酸を配合することで皮下組織にスペースが確保される。そのため、薬液量が増えても投与が可能になった。同院では現時点で外来化学療法患者の約20%が皮下注射を受けている。「今後もさらに増えていくであろう」と山本氏は述べた。 国内で承認されている皮下注射抗がん剤として、前述のフェスゴに加えてダラツズマブ、アミバンタマブ、モスネツズマブなどがある。海外でもいくつかの薬剤で臨床試験が進んでいるという。 「皮下注射抗がん剤は、今後もさらに広がっていくことが予想され、医療コストや患者負担軽減につながることは間違いない。これからは臨床現場での運用や副作用のエビデンスを蓄積していくべき」と山本氏は述べる。緩和ケア領域における皮下注射のメリット 広島市立広島市民病院の余宮 きのみ氏は、緩和ケアにおける皮下注射の臨床的意義を紹介した。緩和ケア領域において持続皮下注はその簡便性と安全性から世界的に普及している。日本緩和医療学会の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」でも、経口困難な患者に対するオピオイドの持続皮下注が推奨される。 緩和ケアにおける皮下注射の利点として余宮氏は、ルート確保の容易さ、シリンジポンプを小さくできる可能性、経口剤に比べた鎮痛達成の早さといった点などを挙げた。 「皮下注射は緩和領域においても重要な選択肢になるであろう」と余宮氏は述べる。安全な皮下注射投与のために 国立がん研究センター東病院の市川 智里氏は、看護師の立場から発言。皮下注射は簡便ではあるものの必ずしも安全というわけではないと指摘した。抗体薬、G-CSF製剤、ホルモン薬と多岐にわたる薬剤が皮下注射として使用されており、薬剤ごとの特性と注意事項を把握しておくことの重要性を強調する。 具体的には、6R(Right Patients・Right Drug・Right Dose・Right Time・Right Route・Right Purpose)と全身状態評価の徹底を挙げた。投与部位、硬結・疼痛予防、放射線照射部位・瘢痕部位の回避といった基本を押さえるとともに、皮下脂肪層が薄い高齢者や低栄養患者に対する工夫も重要だという。 同院では薬剤別の早見表(投与間隔、使用針ゲージ、投与部位、投与前チェック項目など)を化学療法室に掲示し、スタッフが入れ替わっても一定の質を保てるよう工夫している。市川氏はまた、「投与観察時間を患者とのコミュニケーション機会として活用し、副作用や生活上の意見を聞き取ることで治療継続を支援していきたい」と話す。外来腫瘍化学療法診療料への皮下注射の算定 国立がん研究センター中央病院の下井 辰徳氏は、2026年度診療報酬改定における「外来腫瘍化学療法診療料」への皮下注射剤算定について解説した。従来、点滴・静注は外来腫瘍化学療法診療料として算定されるが、皮下注製剤は算定対象外とされていた。 算定対象外であるため、医療機関は皮下注射を積極的に選択しにくいのが現状だ。フェスゴを例にとると、外来腫瘍化学療法診療料が算定できないという理由で、4割以上の患者で使用されていないという。 こうした状況を受け、日本臨床腫瘍学会をはじめとする団体が合同で医療技術評価分科会に要望を提出した。要望で示したのは、皮下注も点滴と同様に専門的なケアと安全管理を伴う医療行為であること、算定されない現状が患者の時間毒性軽減という利益を阻害していること、財政影響が限定的であるといった点である。 中医協での審議の結果、点数は点滴・静注よりも少ないが、2026年6月から皮下注製剤に対しても算定が認められる見通しだ。「次回診療報酬改定までの2年間で、算定の活用状況、点数設計などが検討されていくと予想される」と下井氏は述べる。

13.

問題ばかり起こす人との関係は生物学的老化の加速と関連

 問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。

14.

第314回 1人の女性の3つの自己免疫疾患が元凶のB細胞を駆除する自己T細胞投与で解消

ドイツの1人の女性を苛む3つの自己免疫疾患が、それらの元凶の悪辣なB細胞を駆除するように仕立てた自己T細胞で雲散霧消し、かつては10あまりの治療を受けたのが嘘のように、さらなる治療なしで1年超を無事で過ごせています1-3)。3つの自己免疫疾患はどれも免疫系の狼藉なB細胞が作る自己抗体に端を発します。その1つの自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、自己抗体が赤血球を破壊することを原因とします。あと2つの自己免疫疾患の症状はまるで正反対で、その1つは血小板への自己抗体を原因とする免疫性血小板減少症(ITP)で、出血を生じやすくします。もう1つの抗リン脂質症候群は、凝固を防ぐタンパク質への自己抗体を原因とし、ITPとは反対に血栓症を生じやすくします。診断の後に女性は抗体薬、ステロイド、免疫抑制薬を含む9種類の治療を試みました。長期の高用量ステロイド投与は唯一のめぼしい治療ですが、免疫系全般を抑制する故に感染症の危険と背中合わせです。そのステロイドでさえ歯が立たず、さらには最先端も免疫抑制薬の手にも負えず、女性は診断から10年超を経た2025年、47歳のときにドイツのエルランゲン大学病院の血液専門医Fabian Muller氏のチームの下へ救急搬送されました。Muller氏のチームは、自己免疫疾患のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の先駆けの試験で知られ、2022年には全身性エリテマトーデス(SLE)患者5例がその治療で寛解したことを報告しています4)。貧血の治療に毎日の輸血を要し、血栓症を防ぐための抗凝固薬を続けていた女性にMuller氏らは、同氏いわく最後の砦であったCAR-T細胞療法を施しました。投与したCAR-T細胞は女性から採取したT細胞を加工して作られ、B細胞のタンパク質のCD19を認識します。その働きによりB細胞を見つけ出し、除去することができます。体内で分裂でき、その効果は投与後に数年、なんなら10年も持続しうることが知られます。痛みや疲れで何週間も寝たきりで過ごすこともあった女性へのCAR-T細胞投与の効果は目覚ましく、その投与の1週間後を最後に輸血が不要になりました。2週間も経つと女性はより力がみなぎっていると感じ、日々の所作が可能になりました。3週間後には赤血球のタンパク質のヘモグロビン量が倍増して正常域となり、どうやら免疫系は赤血球を破壊しなくなっているようでした。血栓と関連する抗リン脂質抗体は徐々に減って見当たらなくなり、血小板数も安定に推移するようになりました。一回きりのCAR-T細胞投与から14ヵ月経つ今日、女性は薬を一切使うことなく無症状で過ごせています3)。がんのCAR-T細胞療法の先駆者の1人のCarl June氏によると、今や種々の自己免疫疾患のCAR-T細胞療法の200あまりの臨床試験が進行中です。これまではCAR-T細胞療法といえば主に白血病などの血液がんが相手でしたが、自己免疫疾患を治療するCAR-T細胞療法の承認がSLE、筋炎、強皮症用途を皮切りにして続くだろうとJune氏は予想しています3)。いくつかは向こう2~3年以内に米国で承認に漕ぎ着けそうです。参考1)Korte IK, et al. Med. 2026 Apr 9. [Epub ahead of print]2)CAR-T therapy drives remission in patient with three autoimmune diseases / Eurekalert3)One woman, three autoimmune diseases: CAR-T therapy vanquishes ultra-rare disease trio / Nature4)Mackensen A, et al. Nat Med. 2022;28:2124-2132.

15.

第312回 包茎手術で傷つきうる亀頭下の扇状領域こそ男性の性感帯の中心らしい

これまで看過されてきたペニスの神経解剖学的領域に、神経末端(終末)と感覚受容構造(sensory structure)が密集していることが新たな研究で判明しました1,2)。小帯デルタ(frenular delta)と呼ばれるその解剖学的領域こそ性感帯の中心をなす男性版のGスポットなのかもしれません。包皮と陰茎を繋ぐ小帯(裏筋)を含む小帯デルタは、ペニスの亀頭の下側にその名のとおり扇状に広がり、亀頭と茎(シャフト)の境目に位置し、割礼や包茎手術で損傷する恐れがある領域でもあります。性行為のときのペニスの感じ方を知る男性にとってはすでに自明のことかもしれませんが、性感帯の中心を成すペニスの解剖学的領域の存在が今回の研究成果で科学的に裏付けられました。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のAlfonso Cepeda-Emiliani氏らのその成果を拠り所にして、小帯デルタを男性のGスポットとみなせそうだと国際性医学会(International Society for Sexual Medicine[ISSM])の次の会長のEric Chung氏は述べています。Cepeda-Emiliani氏は死亡した45~96歳の男性14人のホルマリン固定ペニス組織を手にし、数マイクロンほどの薄さで切っていき、神経に結合する特別な色素を添加して感覚神経の分布を顕微鏡下で調べました。解剖学の教科書や巷の性のハウツーガイドではもっぱら亀頭が男性の性感帯の中心とされています。しかしCepeda-Emiliani氏らの検討によると神経終末の密度がより高く、より敏感らしい小帯デルタこそ性感帯の中心のようです。小帯デルタには神経終末の束でできた独特の接触受容体である感覚小体(sensory corpuscle)が最も密集していることも分かりました。小帯デルタの感覚小体の一種のクラウゼ小体は、皮膚がこすれて生じるかすかな振動を感知して性的快感を生じさせることにどうやら携わることが先立つ研究で知られています3)。小帯デルタの初出は2001年のことで、ニュージーランドのオークランド工科大学のKen McGrath氏の解説に記されています4)。McGrath氏は快楽領域である小帯デルタを女性のGスポットになぞらえて男性のGスポットと初めて呼びもしました2)。しかしその名称はよく知られる女性のGスポットのようには広まりませんでした。Gスポット云々はさておき、包皮切除をする医師は今回の成果で詳らかにされた神経密集領域の小帯デルタについて学ぶ必要があるようです。その手術では包皮を取り除くのに小帯デルタがばっさり切られることもあり、込み入った神経網がそのせいで支障を来すかもしれません。切り込みが深かったり小帯がすっかり取り除かれたりすれば性感が損なわれるかもしれません。「泌尿器科医の手術の訓練の際に小帯デルタやその部分の独特な神経について教わることはなかった」というオーストラリアの泌尿器科医のKesley Pedler氏のコメントが科学情報サイトのNewScientistに記されています。Pedler氏によると、小帯デルタは泌尿器科で最も高評価の手術解剖学書のどれにも言及されていません。最新版ですらそのありさまです。Pedler氏はもともと慎重で、包皮の圧迫が度を越しているなどの医学的に必要な場合に限って包皮切除手術をしてきました。しかし小帯デルタの神経に関する今回の発見により、いまや包皮切除手術は絶対に必要な場合に限られることになったとPedler氏は言っています。ところで、女性のGスポットは俗によく知られる一方で、医学の世界での受け入れは滞っているようです。死亡した女性の膣を調べても神経や感覚小体が明らかに集まっている領域が見つかっておらず、女性のGスポットの存在は疑問視されてもいます。Cepeda-Emiliani氏らは死亡した女性の膣やクリトリスを今回の研究と同様に徹底的に調べることをすでに始めています。参考1)Cepeda-Emiliani A, et al. Andrology. 2026;14:661-701.2)Surprising male G-spot found in most detailed study of the penis yet / NewScientist3)Qi L, et al. Nature. 2024;630:926-934.4)McGrath K. The Frenular Delta. In:Denniston GC, et al. Understanding Circumcision. Boston:Springer;2001.

16.

活動性SLEがオビヌツズマブ上乗せにより改善/NEJM

 オビヌツズマブは、糖鎖改変されたII型抗CD20モノクローナル抗体で、強力なB細胞枯渇作用を有し、諸外国では活動性ループス腎炎の成人患者の治療薬として承認されている。米国・NorthwellのRichard A. Furie氏らは「ALLEGORY試験」において、活動性全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬として、プラセボと比較して同薬は、52週の時点で疾患活動性の指標などから成るSLEレスポンダー指数(SRI-4)の有意な改善をもたらし、重篤な有害事象の頻度に大きな差はないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年3月6日号で報告された。14ヵ国の無作為化プラセボ対照比較第III相試験 ALLEGORY試験は、14ヵ国の施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較第III相試験(F. Hoffmann-La Rocheの助成を受けた)。2021年7月~2024年9月に、年齢18~75歳、増殖性または膜性ループス腎炎を伴わない活動性SLEで、標準治療を受けている患者303例を登録した。 被験者を、オビヌツズマブ(1,000mg、1日目、2、24、26週目)の静脈内投与群(151例、平均[SD]年齢41.1[±12.3]歳、女性139例[92.1%])またはプラセボ群(152例、41.4[±12.6]歳、135例[88.8%])に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、52週目の時点におけるSRI-4奏効の達成とした。SRI-4奏効は、次の条件をすべて満たす場合と定義した。(1)SLE疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)のスコアが、ベースラインから少なくとも4点低下すること、(2)British Isles Lupus Assessment Group(BILAG)2004指数および医師による総合評価(Physician's Global Assessment:PGA)で疾患の悪化がないこと、(3)中間事象(主たる併用薬違反、レスキュー薬の投与、死亡・有効性の欠如・有害事象による試験参加の早期中止)がないこと。5つの主な副次エンドポイントも有意に優れる 52週の時点でのSRI-4奏効の達成率は、プラセボ群が53.5%であったのに対し、オビヌツズマブ群は76.7%と有意に優れた(補正後群間差:23.1%ポイント、95%信頼区間[CI]:12.5~33.6、p<0.001)。 死亡を除く中間事象が奏効に影響を及ぼさない状況での補完的な解析では、SRI-4奏効達成率は、プラセボ群の68.5%に対しオビヌツズマブ群は85.4%であり、有意に良好であった(補正後群間差:16.8%ポイント、95%CI:7.1~26.4、p<0.001)。 また、オビヌツズマブ群では、5つの主な副次エンドポイント(52週時のBILAGに基づく複合ループス評価[BICLA]の奏効[p<0.001]、グルココルチコイド用量の≦7.5mg/日への40~52週目までの持続的な減量[p<0.001]、40週時のSRI-4奏効の52週目までの持続[p<0.001]、52週時のSRI-6[SLEDAI-2Kスコアのベースラインから少なくとも6点の低下を含む]奏効達成率[p<0.001]、BILAGの定義に基づく初回再燃までの期間[p=0.002])のすべてが、プラセボ群に比べ有意に優れた。infusion-related reactionが多く発現 有害事象は、オビヌツズマブ群の88.7%、プラセボ群の81.5%で報告され、重篤な有害事象はそれぞれ24例(15.9%)および18例(11.9%)で発現した。オビヌツズマブ群で頻度の高かった重篤な有害事象は、肺炎(2.0%)、上気道感染症、尿路感染症、infusion-related reaction(各1.3%)であった。infusion-related reactionはオビヌツズマブ群で多くみられた(11.9%vs.3.3%)。 二重盲検の期間中に、オビヌツズマブ群で1例(軟部組織感染症と肺炎)、プラセボ群で3例が死亡した。薬剤関連好中球減少が、オビヌツズマブ群で7例に8件(Grade1:3件、Grade2:2件、Grade3:3件)、プラセボ群で3例に認めたが、いずれも平均35日以内に解消した。 著者は、「活動性SLEの成人患者の治療において、標準治療とオビヌツズマブの併用は、主要および5つの主な副次エンドポイントのすべてで、プラセボに比べ有意な改善効果をもたらした」「DORIS奏効(寛解の指標)およびLLDASスコア(低疾患活動性の指標)も、オビヌツズマブ群で改善の傾向がみられ、これはガイドラインが低用量グルココルチコイドによる寛解を目指す『目標達成に向けた治療(treat-to-target)』を強調していることを踏まえると重要な知見と言えよう」としている。

17.

「ピンクノイズ」は睡眠の質を下げる?

 睡眠を促す音として「ピンクノイズ」を聴くことが流行しているが、実はピンクノイズは睡眠中の脳の活動を妨げる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ピンクノイズは広い周波数帯域を含む「ザー」という連続音で、強めの雨音や波の音に似ており、リラックス効果があるとされている。本研究では、ピンクノイズを聴いていた人では夢を見る睡眠段階であるレム睡眠の時間が短くなっていたことが示されたという。米ペンシルベニア大学精神医学睡眠・時間生物学分野のMathias Basner氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に2月2日掲載された。 Basner氏はニュースリリースの中で、「レム睡眠は記憶の定着や感情の調整、脳の発達において重要である。したがって、この結果は、睡眠中にピンクノイズなどの広帯域ノイズを流すことは有害であり、特にレム睡眠の時間が大人よりもはるかに長く、脳がまだ発達段階にある子どもは、その影響を強く受けやすい可能性を示している」と述べている。 人間は睡眠中、深い睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠を繰り返す。レム睡眠の「レム」は急速眼球運動(rapid eye movement;REM)の略語であり、多くの場合、夢はレム睡眠時に見られる。ノンレム睡眠は、身体の回復や脳内の老廃物の除去に重要である一方、レム睡眠は、記憶の保存や感情の調整といった認知機能において重要な役割を果たしている。このように、ノンレム睡眠とレム睡眠は互いに補完し合うことで、心身ともに回復した状態で目覚める助けとなっている。 今回の研究では、21~41歳の健康な成人25人(平均年齢28.5±5.9歳、男性7人)を対象に、睡眠実験室で連続7晩の睡眠ポリグラフ検査が行われた。いずれの参加者も、睡眠補助としてノイズを利用した経験がなく、睡眠障害の報告もなかった。参加者には航空機や警報音などの騒音下やピンクノイズが流れている中、あるいは耳栓を装着して騒音を遮断した場合など、さまざまな条件下で眠ってもらった。 研究の結果、50dB(中程度の雨音と同程度)のピンクノイズはレム睡眠の時間を18.6分減少させることに関連していることが示された。同様に、騒音への曝露は、ノンレム睡眠の中で最も深い段階である徐波睡眠の時間が一晩当たり23.4分減少することに関連していた。また、50dBのピンクノイズと航空機の騒音が組み合わさると、徐波睡眠とレム睡眠の両方が妨げられ、ノイズのない状態で寝た場合と比べて覚醒している時間が約15分長くなったとBasner氏らは報告している。このような覚醒時間の延長は、騒音のみ、またはピンクノイズのみにさらされた場合では認められなかったという。さらに、参加者自身も、ピンクノイズまたは騒音にさらされると、睡眠が浅く感じられ、目覚める回数が増え、全体的な睡眠の質が悪化したと報告していた。一方、耳栓を使用した場合には、騒音によって引き起こされた徐波睡眠の23.4分の減少のうち16.9分(72%)が回復した。 研究グループは、「これらの結果は、ピンクノイズを搭載した環境音生成マシンや睡眠アプリが広く使われている現状に疑問を投げかけるものだ」と指摘している。Basner氏は、「総合的に見て、この研究結果は特に新生児や幼児に対する広帯域ノイズの使用に警鐘を鳴らすものだ。また、広帯域ノイズによる影響を受けやすい集団や長期間にわたる使用の影響、広帯域ノイズの種類ごとの違い、睡眠に安全な広帯域ノイズレベルについて、さらなる研究が必要であることも示している」と言う。 さらにBasner氏らは、「今回の結果に基づけば、レム睡眠が神経発達において極めて重要な役割を果たす新生児や幼児に対して広帯域ノイズの一般的な使用を控えるべきである可能性が高い。ただし、この結果を確認するため、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

18.

第308回 アフリカ睡眠病の画期的な新薬をサノフィが無償で提供する

俗に睡眠病として知られるアフリカトリパノソーマ症(以下、睡眠病)を根絶できるかもしれない画期的な経口薬Acoziborole Winthrop(acoziborole)の承認を、欧州医薬品庁(EMA)の実質的な意思決定の場の医薬品委員会(CHMP)が了承しました1-3)。睡眠病は、吸血性のツェツェバエに刺されて伝播する寄生虫2種によって生じます。今回CHMPが承認を了承したAcoziborole Winthropの用途は、アフリカの中央と西部で広まるその1つのガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei gambiense)による睡眠病の治療です。睡眠病の大半はそのガンビアトリパノソーマが原因です。もう1種のローデシアトリパノソーマ(T. brucei rhodesiense)はもっぱらアフリカ東部で広まっています。感染の初期症状は発熱と頭痛で、他の病気と見紛うことが多々あります。寄生虫が脳(神経系)に侵入する重症段階になると、その病名のゆえんである寝起きのサイクルの逆転などの異常行動が生じます。治療しないままの患者はやがて昏睡に陥り、ほぼ全員が命を落とします。内戦で荒れた2000年代初期のスーダンの病院に運ばれてきた睡眠病の兵士の特異な振る舞いの様子がScienceのニュースに記されています3)。それら睡眠病の兵士は看護師に激怒したかと思えば治療の途中で行方不明になることもありました。脳に至った寄生虫は攻撃性や精神症状などの症状を引き起こして振る舞いの劇的な変化をもたらします。それゆえ睡眠病の患者を病院に留まらせることは非常に困難で、2週間ほどの治療期間に脱走しないように誰かが付き添っている必要がありました。睡眠病治療の現状はそのように手間で、複数回の投与、点滴静注、筋肉内注射、入院を要します。治療を決める病期判定には、脊髄に針を刺す腰椎穿刺で脳脊髄液(CSF)を採取して神経系に寄生虫が到達しているかどうかを調べる検査が含まれます。一方Acoziborole Winthropは軽症か重症かを問わず使用可能で、痛くて体を傷つける腰椎穿刺をする必要がありません。輸送も容易で、睡眠病が最も猛威を振るう遠隔地に届けることができます。Acoziborole Winthropの投与は1回きりなので、10日間の服用が必要な先発の経口薬fexinidazoleと異なり、医療者が繰り返しその服用を見届ける手間も不要です。スイスを本拠とする非営利団体DNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative)の創薬事業で見つかったAcoziborole Winthropは、2016年にファイザーが買収した米国カリフォルニア州のバイテック企業Anacor Pharmaceuticals社の開発品に端を発します4)。Anacorの社員を含むチームの手によって脳によく届くように最適化され、2012年に始まったフランスでの第I相試験5)でまずはヒトに安全に投与できることが確認されました。続く第II/III相試験はコンゴ民主共和国とギニアで実施され、重度の患者にも有効なことを裏付けた同試験結果6)を拠り所にしてCHMPはAcoziborole Winthrop承認を今回了承しました。第II/III相試験ではガンビアトリパノソーマによる睡眠病(g-HAT)の患者208例にAcoziborole Winthropが単回投与されました。トリパノソーマがCSFに及んでいたより重度の進行段階(second-stage)の患者167例のほとんどの159例(95%)が18ヵ月時点で治癒していました。治癒の定義はトリパノソーマが消失し、CSFの白血球数が20個/μL未満になっていることです。CSFにトリパノソーマが見当たらない感染後間もない段階(first- and intermediate-stage)の患者41例に至っては全員(100%)が18ヵ月月時点で治癒していました。CHMPのお墨付きが今回得られたことで、睡眠病が多いコンゴ民主共和国などの国々でのAcoziborole Winthropの承認の道が開けます。20年以上もの間DNDiと協力関係にあってAcoziborole Winthropを共同開発したサノフィが同剤を提供します。サノフィは同社の慈善事業Foundation Sを介して世界保健機関(WHO)にAcoziborole Winthropを無償で寄付し、患者が無料で使えるようにします。Acoziborole Winthropが相手するガンビアトリパノソーマによる睡眠病を2030年までに撲滅することをWHOは目指しています。Acoziborole Winthropはその目標達成を後押しするでしょう。睡眠病のもう1つの原因のローデシアトリパノソーマはヒトへの感染はまれで、もっぱら野生動物に認められます。それゆえ根絶は現実的ではないようです3)。参考1)Acoziborole Winthrop, developed by DNDi and Sanofi, receives CHMP positive opinion as three-tablet, single-dose treatment for most common form of sleeping sickness/ GlobeNewswire2)New single-dose oral treatment for human African trypanosomiasis (sleeping sickness)/ European Medicines Agency3)‘Truly spectacular’ drug for sleeping sickness simplifies treatment, raising hopes for eradication / Science4)Jacobs RT, et al. PLoS Negl Trop Dis. 2011;5:e1151.5)Human African Trypanosomiasis: First in Man Clinical Trial of a New Medicinal Product, the SCYX-71586)Betu Kumeso VK, et al. Lancet Infect Dis. 2023;23:463-470.

19.

早朝シフトワーカーの覚醒状態の維持に覚醒促進薬が効果

 覚醒促進薬のsolriamfetol(商品名Sunosi)が、早朝シフトワーカーにとって、目覚めの1杯のコーヒーの代わりになる可能性を示した臨床試験の結果が報告された。同試験の対象となった早朝シフトワーカーのうち、solriamfetolを使用した人は、プラセボを使用した人と比べて眠気が少なく、より覚醒した状態を維持していたという。米マス・ジェネラル・ブリガム睡眠・サーカディアン医学部門長のCharles Czeisler氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「NEJM Evidence」に1月27日掲載された。 Czeisler氏は、「今回認められた改善は、臨床的に意義のあるものだった。solriamfetolを使用した労働者は、8時間の勤務時間を通じて覚醒した状態で注意力を保つことができていた。これは、業務のパフォーマンスや安全性、そして生活の質(QOL)の面で重要な意味を持つ」とニュースリリースの中で述べている。 米食品医薬品局(FDA)は2019年、閉塞性睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーの患者の日中の覚醒度を改善するための薬剤としてsolriamfetolを承認した。同薬を製造するAxsome Therapeutics社によると、solriamfetolは覚醒や注意力に関与する脳内化学物質であるドパミンとノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の活性を高めることで作用する。 Czeisler氏らによると、solriamfetolは従来の刺激薬とは異なる作用を持ち、数時間にわたって覚醒状態を維持しつつも、その後の睡眠には影響しにくいという。このことからCzeisler氏らは、この薬剤が早朝シフトワーカーの助けにもなるのではないかと考えた。マス・ジェネラル・ブリガム同部門のKirsi-Marja Zitting氏は、「午前3時から7時の間に勤務を開始する人は、脳が睡眠状態となるよう生物学的にプログラムされている時間帯に目覚めている。そのため、たとえ意欲はあっても覚醒状態を保つことは極めて困難だ。こうした労働者は、勤務時間中に強い眠気に襲われ、さらに、休息時間があっても十分な睡眠を取りにくいという二重の負担を抱えている」とニュースリリースの中で述べている。 臨床試験では、午前3時から7時の早朝勤務が原因で過度の眠気に悩んでいる早朝シフトワーカー78人を対象に、4週間にわたって勤務日にsolriamfetolを使用する群とプラセボを使用する群に割り付け、眠気に対するsolriamfetolの有効性を評価した。 その結果、日中の眠気を測定するMSLT検査(反復睡眠潜時検査)において、solriamfetol群の入眠潜時は、プラセボ群に比べて9.4分有意に延長した。また、自己申告に基づく評価と健康状態のモニタリングを担当している医師による評価のいずれにおいても、solriamfetol群では眠気改善の可能性が約4倍高いことが示された。さらに研究グループは、solriamfetol群では全般的な機能や仕事の生産性の向上が報告されたと説明している。 Czeisler氏は、「早朝のシフトワークは最も一般的なシフトスケジュールであるにもかかわらず、早朝シフトワーカーを対象にシフト勤務障害の治療法を検証した臨床試験はこれまでなかった」と指摘した上で、「今回の臨床試験は、多くの人がまだ眠っている時間帯に1日が始まる労働者に焦点を当てることで研究上の大きな空白を埋めることに寄与した」と付け加えている。同氏は、「シフトワーカーは、われわれの社会を機能させる上で不可欠な存在だが、それは目に見えにくい彼らの生物学的な代償のもとで成り立っている。今回の臨床試験は、彼らのためにより良い支援が可能であることを示している」と話している。 なお、この臨床試験はAxsome Therapeutics社の資金提供を受けて実施された。

20.

希少疾病の入院患者はパーキンソン病が最も多い/MDV

 2月最終日の「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day:RDD)」を前に、メディカルデータビジョン(MDV)は、希少疾病・難病の入院患者推移を発表した。 データは、厚生労働省の「指定難病病名及び臨床調査個人票一覧表」から抽出し、2023年4月以降の同社のDPCデータを用い、入院患者数の年度別推移を分析したものである(対象期間:2023年4月~2025年9月、445施設)。 わが国の希少疾病を含む指定難病は、「原因不明、治療法の未確立、希少性および長期療養性を要件として厚生労働大臣が指定する疾病」であり、2025年4月時点で348疾病が対象となっている。 現在、課題として確定診断までの時間の長さや治療薬の未開発、臨床治験患者などの獲得の困難さなどが指摘されている。新しい治療薬は受療行動に変化をもたらす1)DPCデータに基づく指定難病の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:パーキンソン病(1万49例) 2位:潰瘍性大腸炎(3,635例) 3位:全身性エリテマトーデス(SLE)(2,662例) 傾向として上位10疾患すべてで実患者数が増加傾向にあり、上位10疾患のうち4疾患を「免疫系疾患」が占め、当該領域の入院患者数増加が目立った。 経年の推移では、後縦靱帯骨化症や顕微鏡的多発血管炎(MPA)など、2023年度から2024年度にかけて入院患者数が約6~14%増加している疾患が複数確認でき、DPC病院における難病診療の受け入れは着実に拡大していた。2)神経・筋疾患領域の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:パーキンソン病(1万49例) 2位:重症筋無力症(MG)(1,462例) 3位:筋萎縮側索硬化症(ALS)(1,138例) 神経・筋疾患領域の年度別の推移では、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチーが約17%増(205→240例)、大脳皮質基底核変性症が約18%増(136→161例)と大幅な増加となった。3)免疫系疾患領域の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:SLE(2,662例) 2位:皮膚筋炎/多発性筋炎(1,611例) 3位:MPA(1,541例) 2023年度と24年度を比較すると、MPA(690→792例)や好酸球性副鼻腔炎(264→348例)において、前年度比10~30%程度の増加が確認された。診断技術の向上や新規治療薬の浸透が、DPCデータ上の患者数増に寄与している可能性がある。 2023~24年度に承認された薬剤の対象疾患では、ALS(1,138例)、免疫性血小板減少症(1,250例)やMG(1,462例)の入院患者数が突出して多い。その一方で、遠位型ミオパチー(7例)やレノックス・ガストー症候群(20例)などは入院患者数が極めて少数であった。また、2024年度に新薬が承認された肺動脈性肺高血圧症が、前年度比約39%増(163→227例)と急増していた。これは新薬の登場が専門施設への受診を後押しした結果と考えられ、新薬承認が患者の受療行動に変化を及ぼしたと考えられる。

検索結果 合計:439件 表示位置:1 - 20