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第15回 尿の出方の薬をお飲みの方は、目の手術時に医師へ相談を!【使える!服薬指導箋】

第15回 尿の出方の薬をお飲みの方は、目の手術時に医師へ相談を!1)日本排尿機能学会 男性下部尿路症状診療ガイドライン 2008年版2)日本泌尿器科学会 前立腺肥大症診療ガイドライン 2011年版3)Chang DF, et al. J Cataract Refract Surg. 2008;34:2153-2162.4)Intraoperative Floppy Iris Syndrome (IFIS) Associated with Systemic Alpha‐1 Antagonists ASCRS and AAO Educational Update Statement

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複合免疫療法の時代へ、変化する腎細胞がん薬物療法

 転移した場合は有効な抗がん化学療法がなく、術後10年以上経過しても再発がみられる場合があるなど、ほかのがん種とは異なる特徴を多く持つ腎細胞がん。近年は分子標的治療薬が薬物療法の中心だったが、2016年8月に抗PD-1抗体ニボルマブの単剤療法(2次治療)、2018年8月にニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法(1次治療)が承認され、大きな変化が訪れている。12月7日、都内で「変化する腎細胞がんに対する薬物療法」と題したメディアセミナーが開催され(共催:小野薬品工業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部泌尿器科 教授)が講演した。根治ではなく逐次療法。副作用管理が課題だった分子標的薬治療 腎細胞がんは早期から血管新生が顕著という特徴があり、分子標的薬はこの豊富な腫瘍血管をターゲットとしている。2008年にソラフェニブ、スニチニブという第1世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が、2012年にアキシチニブ、2014年にパゾパニブという第2世代TKIが承認された。1次治療でスニチニブ、2次治療でアキシチニブという流れがゴールドスタンダードだった時代を経て、「2017年度版 腎癌診療ガイドライン」ではTKI後の2次治療にニボルマブが加わっている。大家氏は、「2次治療でのニボルマブを含め、薬物療法での根治は難しく、効かなくなったら次の薬という逐次治療がこれまでの主体だった」と話した。 また、これらの分子標的薬では、副作用のコントロールが大きな課題であった。血圧上昇、下痢、発疹が主な副作用で、スニチニブでは白血球減少や血小板減少も問題となる。CheckMate-214試験からみえてきたこと CheckMate-214試験は、進行または転移を有する腎細胞がん1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブ併用群のスニチニブ群に対する優越性・安全性を比較した第III相試験。腎細胞がんの80%以上を占める淡明細胞型、IMDC分類でIntermediateまたはPoorリスクの患者を対象として、観察期間中央値25.2ヵ月における全生存期間(OS)は、併用群で未達、スニチニブ群で26.0ヵ月(ハザード比:0.63)と、併用群で有意に延長した。本試験結果において、大家氏はとくに奏効率(ORR)に注目。併用群で完全奏効(CR)が9%だったことに触れ、「10人に1人で長期予後、場合によっては治癒すら狙えるというのは非常に大きい」と話した。 副作用については、スニチニブ群と比較すると全体では少ない(Grade3以上の全副作用:併用群45.7% vs.スニチニブ群62.6%)。しかし注意すべきは免疫関連の有害事象で、ニボルマブ単剤の場合とその傾向は必ずしも一致しないという。大家氏は「胃腸毒性(大腸炎)や肝毒性(肝機能障害)はイピリムマブ併用で多い傾向がみられる。内分泌系臓器障害については、これまでのニボルマブ投与による甲状腺機能低下症のほか、下垂体炎の発現がみられている。肺毒性(間質性肺疾患)などと合わせて、常に注意を払う必要がある」と話した。 また投与中止例について、治験薬毒性によるものが併用群24.5% vs.スニチニブ群11.8%と、むしろ併用群で多かったことを指摘。「全体として副作用は軽い傾向があるが、重篤な事象が発現した場合は中止が必要だという二面性がある」とコメントした。1次治療での複合免疫療法の時代が到来 NCCNガイドラインの2019年ver.1では、再発またはStageIVおよび切除不能な淡明細胞型腎細胞がんの1次治療として、IMDC分類のIntermediateまたはPoorリスクの患者に対しては、ニボルマブとイピリムマブの併用がpreferedレジメンとして推奨されている。 現在、1次治療においては、CheckMate-214試験のほか、免疫療法に分子標的治療薬を組み合わせた複合免疫療法の臨床試験が複数進行中である。そのうち、これまで2次治療で使われていたアキシチニブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用によるKEYNOTE-426試験、アキシチニブと抗PD-L1抗体アベルマブの併用によるJAVELIN RENAL-101試験などで、すでに良好な結果が報告されている。大家氏は、「今後は異なる組み合わせの複合免疫療法が登場してくるだろう。バイオマーカーを探すことは容易ではないが、どんな患者さんにどの治療法が適切かを臨床家は判断していかなければならない」と今後への期待感と課題を示した。■関連記事進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

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1日1回1錠で他の抗HIV薬を併用する必要がない「オデフシィ配合錠」【下平博士のDIノート】第15回

1日1回1錠で他の抗HIV薬を併用する必要がない「オデフシィ配合錠」今回は、「リルピビリン塩酸塩/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩/エムトリシタビン配合錠(商品名:オデフシィ配合錠)」を紹介します。本剤は、3剤の抗ウイルス薬を配合した1日1回服用のヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症治療薬であり、服薬率が治療の成否に関わるHIV治療において良好なアドヒアランスを維持することが期待されています。<効能・効果>本剤はHIV-1感染症の適応で、2018年8月21日に承認され、2018年9月20日より販売されています。HIV-1の逆転写酵素活性を阻害することで、ウイルスの増殖を抑制します。<用法・用量>通常、成人および小児(12歳以上かつ体重35kg以上)には、1回1錠を1日1回食事中または食直後に経口投与します。本剤は、空腹時に服用すると、リルピビリンの血中濃度が低下する恐れがあるなどの理由により、「食事中または食直後」となっているので、監査・投薬時には注意が必要です。<副作用>他剤によってウイルス学的に抑制されているHIV-1患者を対象として本剤に切り替えた海外第III相試験では、6.3~12.8%に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は下痢、悪心、頭痛、鼓腸、不眠症、異常な夢でした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.3種類の抗ウイルス薬でHIVの増殖を抑え、AIDS(後天性免疫不全症候群)の発症・進行を防ぐ薬です。2.飲み合わせに注意すべき薬や食品が多くあるため、現在服用している薬やサプリメントがある場合は、医師・薬剤師にお伝えください。また、新たに薬を飲み始める場合は、あらかじめ相談してください。3.抗HIV薬は、飲み忘れが繰り返されると、HIVが耐性を獲得して治療に失敗する可能性が高くなりますので、医師の指示どおりに毎日きちんと服用してください。4.抗HIV薬はHIV感染症を根本的に治す薬ではなく、ほぼ生涯にわたって治療を継続する必要があります。5.本剤服用後に、むくみ、尿量減少、全身倦怠感、過呼吸、手足の震え、意識障害などが現れた場合は、ただちに受診してください。6.母乳中に移行することが報告されているため、本剤を服用中の授乳は避けてください。<Shimo's eyes>HIV感染症は抗ウイルス薬を3~4種類併用する抗レトロウイルス療法(ART)が標準治療となっており、強力にHIVを抑制する「キードラッグ」1剤と、キードラッグを補足してウイルス抑制効果を高める「バックボーン」2剤を組み合わせるのが一般的です。本剤は、キードラッグとしてリルピビリン、バックボーンとしてテノホビル アラフェナミドフマル酸(TAF)とエムトリシタビンの3剤が含有されており、1日1回1錠の服用で他の抗HIV薬を併用する必要はありません。本剤は、既存のリルピビリン塩酸塩/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン配合錠(商品名:コムプレラ配合錠)に含まれるテノホビル ジソプロキシルフマル酸(TDF)をTAFに置換した製剤です。TDFとTAFは、どちらもテノホビルのプロドラッグですが、TDFが血漿中で活性体であるテノホビルに変換されるのに対し、TAFは細胞内で変換されるため、テノホビルを効率的に感染細胞内へ送達できます。そのため、TAFは低用量でTDFと同等の抗HIV効果を示すことができると考えられています。TDFを含む抗HIV治療薬では、腎機能障害や骨密度低下について安全性の懸念がありますが、TDFをTAFに置き換えた本剤では、体内への暴露量が減ることなどにより、これらの副作用の軽減が期待されています。相互作用に気を付けるべき薬は複数あり、とくに注意が必要なのはプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。PPIの胃酸分泌抑制作用によって胃内pHが上昇すると、リルピビリンの血中濃度が低下する恐れがあるため、併用禁忌となっています。同様の理由から、H2ブロッカーや制酸剤も時間をずらして投与する必要があり、他科からの処方薬やOTC薬にも念入りなチェックが必要です。近年HIV感染症の薬物療法は格段に進化し、適切な治療さえ行っていれば、もはや死の病とは言えなくなりました。しかし、アドヒアランスが非常に重要で、飲み忘れなく続けることが治療の成否に関わることを患者さんに十分に理解してもらうことが大切です。ガイドラインでもアドヒアランスの観点から、新規に治療を開始する患者さんでは1日1回投与の薬剤を積極的に選択するように記載されています。1日1回投与で他の抗HIV薬を併用する必要がない配合剤はすでに4剤発売されていますが、本剤はそれらよりも小さい薬剤であり、患者さんの負担の少ない選択肢が増えたことはHIV感染症の患者さんにとって大きな意義があるでしょう。

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脳卒中後の機能回復にfluoxetineは有効か/Lancet

 急性脳卒中患者へのfluoxetineの6ヵ月毎日投与により、うつ病の発症は低下するものの骨折が増加し、機能的アウトカムの改善は得られない可能性が、英国・エディンバラ大学のMartin Dennis氏らが行ったFOCUS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年12月5日号に掲載された。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)fluoxetineによる脳卒中後の機能的アウトカムの改善効果を示唆する小規模なプラセボ対照試験の結果が報告されており、コクランレビューでは、SSRIは脳卒中後の機能障害を抑制する可能性が示唆されている。しかし、これらのデータだけでは、治療ガイドラインの改訂には十分でなく、便益と有害反応が相殺される懸念も軽減されないという。6ヵ月後の身体機能をプラセボと比較 本研究は、英国の103施設が参加したプラグマティックな二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2012年9月~2017年3月の期間に患者登録が行われた(英国脳卒中協会と国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的に急性脳卒中と診断され、発症後2~15日の期間に無作為割り付けが行われ、割り付け時に神経脱落症状がみられた患者であった。 被験者は、fluoxetine 20mgまたはプラセボを毎日経口投与する群に割り付けられ、6ヵ月の治療が行われた。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRS、0[無症状]~6[死亡])で評価された6ヵ月時の身体機能とした。 3,127例が登録され、fluoxetine群に1,564例(平均年齢71.2[SD 12.4]歳、女性38%)、プラセボ群には1,563例(71.5[12.1]歳、39%)が割り付けられた。うつ病、気分障害も12ヵ月後には有意差が消失 6ヵ月時のmRS分類の分布は両群でほぼ同等であった(0:fluoxetine群7%、プラセボ群8%、1:19%、20%、2:10%、10%、3:33%、33%、4:8%、8%、5:14%、13%、6:8%、8%)。最小化変数で補正した共通オッズ比(OR)は0.951(95%信頼区間[CI]:0.839~1.079、p=0.439)だった。 Stroke Impact Scale(SIS)の9項目(筋力、手の機能、移動、日常生活動作、記憶、コミュニケーション、感情、参加、回復)は、いずれも両群間に差はみられなかった。また、疲労(SF36の「活力」で評価、p=0.6726)および健康関連QOL(EQ5D-5Lで評価、p=0.5866)にも差はなかった。気分障害(Mental Health Inventory[MHI-5]で評価)は、6ヵ月時にはfluoxetine群で良好であった(p=0.0100)が、12ヵ月時には差はなくなった。 6ヵ月時に新たにうつ病と診断された患者の割合は、fluoxetine群が13.43%(210例)と、プラセボ群の17.21%(269例)に比べ有意に低かった(p=0.0033)が、12ヵ月時には群間差は消失した。一方、6ヵ月時の骨折の発生率は、fluoxetine群が2.88%(45例)と、プラセボ群の1.47%(23例)に比し有意に高かった(p=0.0070)。生存を含め、12ヵ月時の他の副次評価項目にも両群間に有意な差は認めなかった。 著者は、「これらの結果は、脳卒中後のうつ病の予防や機能回復の促進を目的としたfluoxetineのルーチンの使用を支持しない」としている。

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MitraClipは低左心機能(HFrEF)に伴う二次性MR症例に有効(COAPT試験)(解説:許俊鋭 氏)-977

 MitraClip僧帽弁形成術の臨床的有効性に関する先行のEVEREST II試験は、僧帽弁逆流(MR)3~4度の症例を対象としたMitraClip僧帽弁形成術と外科的僧帽弁形成術との無作為比較試験(RCT)である。EVEREST II試験の1年後までの経過観察ではMitraClip群のMR軽減効果は低く、MitraClip群では残存MRに対して外科的再修復をより高率に必要とした。しかし、その後の1~5年の経過では両群ともに外科的再修復を必要とした頻度は同程度に低く、死亡率にも有意差はなかったものの、MitraClipの外科手術に対する著明な有効性は示せなかった。 本試験(COAPT試験)は、より予後不良な二次性MRを伴うHFrEF症例を対象とした、MitraClip僧帽弁形成術群と単独内科治療群のRCTである。対象は米国とカナダの78施設でガイドラインに沿った最大限の内科治療が行われているにもかかわらず、中等度〜重度または重度の二次性MRが持続した心不全患者である。患者は無作為に、MitraClip僧帽弁形成術+内科治療(デバイス群)または単独内科治療(対照群)に割り付けられた。主な効果エンドポイントは、追跡調査24ヵ月以内の心不全入院。主要な安全性のエンドポイントは、12ヵ月間のデバイス関連の合併症回避率(事前に設定されたデバイス関連の合併症回避率達成目標は88.0%である)。対象とした614人のうち、302人がデバイス群、312人が対照群に割り付けられた。24ヵ月以内の心不全入院は患者1人年当たり、デバイス群では35.8%、対照群で67.9%であった(p<0.001)。12ヵ月後のデバイス関連の合併症回避率は96.6%であり、安全達成目標は達成された(p<0.001)。24ヵ月以内の全死因死亡率は、デバイス群で29.1%、対照群で46.1%(p<0.001)であった。症候性の中等度〜重度または重度の二次性MRを合併した心不全に対して、MitraClip僧帽弁形成術は単独内科治療に対して24ヵ月以内の心不全入院率と全死因死亡率を低下させた。12ヵ月後のデバイス関連の合併症回避率は、事前に設定された安全達成目標を上回った。 COAPT試験では、デバイス群は対照群に対して2年間の死亡率を17%削減していて、これまでHFrEFに起因したMR症例に対するこれほど有効な治療法はACE阻害薬以外報告されていない。しかしながら、2018年8月にObadiaにより報告されたMITRA-FR試験(ESC Congress Munich 2018)では、重度の二次性MRを伴った心不全患者において、単独内科治療とMitraClip僧帽弁形成術+内科治療を比較したが、1年の死亡率および心不全による予定外の入院率を低下させなかった。このように二次性MRを伴うHFrEF症例を対象としたRCTであるCOAPT試験とMITRA-FR試験では異なった結果が出ているが、この差異については慎重な検討が必要である。経過観察期間に1年と2年の差があり、MITRA-FR試験でも1年以降の経過観察でMitraClip僧帽弁形成術の効果が顕著に表れ、1年以降にMitraClipの有効性が示される可能性はある。一方、HFrEFに伴う二次性MR症例に対するMitraClip僧帽弁形成術と外科的僧帽弁形成術の長期成績に関するRCTによる検討も待たれるところである。

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てんかん治療患者の44%が高齢者

 今年も高齢者の意識消失による交通事故が後を絶たない。事故の原因疾患に関する報道はないものの、意識消失の原因となりうる心臓疾患や脳卒中、認知症、そして、てんかんなどについて検証される必要がある。2018年11月16日にエーザイ株式会社が「認知症と間違いやすい『高齢発症てんかん』」を開催し、4名の専門医(赤松 直樹氏[国際医療福祉大学医学部神経内科教授]、塩崎 一昌氏[横浜市総合保健医療センター地域精神保健部長]、久保田 有一氏[TMGあさか医療センター脳神経外科統括部長]、下濱 俊氏[札幌医科大学医学部神経内科講座教授])による解説、ならびに患者代表者(男性・65歳)による実体験の紹介が行われた。発作がわかりにくい高齢者てんかんとその特徴 医療者でも認識しづらい高齢者のてんかん。その理由を「高齢初発てんかんの半数は意識減損で痙攣をきたさない」と語る赤松氏は、『高齢発症てんかんとは』について講演。高齢者が発症するてんかん発作と患者割合について説明した。 高齢発症てんかんは側頭葉てんかんが半数以上を占め、治療にはカルバマゼピンや第二世代薬のラモトリギン、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミドが有効とされる。発作には“意識減損焦点発作”と“焦点起始両側強直間代発作”の2種類が存在するが、前者は認知症と誤認されやすいため、以下に主な症状を示す。高齢発症てんかん(側頭葉てんかん)の主な症状1)吐き気2)一点凝視3)口と手の自動症(口をくちゃくちゃ、手をもぞもぞ)4)動作の停止5)意識消失後のうろつき 1)~5)の順に徐々に発作が出現するが、「発作時間は30秒~3分程度と短く、5分以上継続することは少ない」と同氏はコメントした。 同氏主導で、2008年4月~2016年12月に実施した全国の急性期医療機関(DPC病院)から成る1,785万8,022人の医療情報データベースにおける後ろ向き研究によって、日本のてんかん患者の44%が65歳以上の高齢者であると判明した。また、「脳卒中後や認知症に併発することが多い」と特徴付けた同氏は、今後、久山町研究の結果を報告する予定である。抗てんかん薬が認知機能改善にも好影響 認知症治療の立場から『認知症診断におけるてんかんの現状』について講演をした塩崎氏は、てんかんに関する情報は、他の学会ガイドラインやテキストブックにおいて「十分な注意が払われていない」と嘆く。同氏の施設では、年間1,000件の物忘れ鑑別診断を行い、初回受診時には全例へ脳波検査を実施しているという。 同氏の外来は70~80歳代の高齢の受診者が大半を占める。軽度認知障害~初期アルツハイマー型認知症(AD)の診断が多いが、約1%の患者では主診断がてんかんであった。ところが、てんかんの存在を強く示唆する発作間欠期てんかん性放電(IED)が、側頭部で認められる症例は1%より多く、同氏は「てんかんの合併が疑われる患者は認知症外来に約5%存在した」と述べた。また、認知症患者にIEDが認められても、「認知機能低下が著しい場合、てんかんが合併しても認知症診断が優先される」ことを付け加えた。 IEDが記録できた患者50例に抗てんかん薬(AED)を投与し、MMSE下位項目を検証した結果、“注意・集中・計算”を反映するシリアル7課題が有意に改善した(AED投与前:2.76±1.85、AED投与後:3.64±1.59、p

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第18回 救急科からのノルフロキサシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?赤痢菌※・・・9名下痢原性大腸菌・・・7名カンピロバクター・・・7名サルモネラ・・・7名赤痢アメーバ・・・6名腸炎ビブリオ・・・3名ノロウイルス、ロタウイルス・・・3名チフス・・・2名※細菌性赤痢の原因菌で、潜伏期1~5日(通常1~3日)で発症し、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。発熱は1~2日続き、腹痛、しぶり腹(テネスムス)、膿粘血便などの症状が現れる。全数報告対象(3類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない1)。抗菌薬から考える 奥村雪男さん(薬局)途上国旅行中に生じる下痢は、非常に多くの微生物が関与します2)。推奨される治療については、ガイドライン3)を参照すると、赤痢アメーバ腸炎、ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)であればメトロニダゾールを使用するクリプトスポリジウム症は免疫能が正常であれば自然治癒が見込めるサイクロスポーラ感染症ではST合剤を使用する以上から、現時点では原虫症は鑑別の上位にないように思います。また、腸管出血性大腸菌(EHEC)以外の下痢原性大腸菌は、経過観察か補液で自然軽快することがほとんどEHECでは早期にレボフロキサシンの投与を考慮するカンピロバクターは自然治癒するサルモネラは、健常者の軽症~中等症において抗菌薬の投与は推奨されていない細菌性赤痢の第一選択はレボフロキサシン、シプロフロキサシンである以上から、現時点で想定されている原因菌は、前述の原虫以外の細菌およびロタウイルスと考えます。旅行者下痢症は、特にempiric therapyを考慮するケースとされ、第一選択としてレボフロキサシン、 シプロフロキサシンが挙げられています。潜伏期間を考慮 清水直明さん(病院)現地で何かに感染したとすると、比較的潜伏期間が短い感染症を考える必要があります。厚生労働省検疫所(FORTH)によれば、フィリピンでは1 年を通じて、腸チフス(潜伏期間:1~3週)、アメーバ赤痢(2~4週)、細菌性赤痢(1~5日)、A型肝炎(2~7週)などのリスクがありますが、症状および潜伏期間から、この中で細菌性赤痢が最も当てはまります。カンピロバクター(2~4日)、サルモネラ(12~72時間)などもありえそうですが、重症度を考慮して、まずは細菌性赤痢を念頭に置いた治療で様子を見るということだと思います。処方内容、渡航先、症状を踏まえる ふな3さん(薬局)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ、コレラ、赤痢菌などを想定した処方ではないかと思います。ただし、あくまで「処方から」予想される原因菌であって、渡航先と症状からは、ロタウイルス、ノロウイルス、赤痢アメーバなども考えられます。Q2 患者さんに確認することは?副作用歴と止瀉薬について 中堅薬剤師さん(薬局)副作用歴、止瀉薬の所持を必ず確認します。可能であれば、症状変化の詳細も聞いてみたいです。アレルギーや金属イオンを含む薬剤 奥村雪男さん(薬局)ニューキノロン系抗菌薬に対するアレルギーがないか確認します。酸化マグネシウムや鉄剤などの金属イオンを含む薬剤やサプリメントは、ノルフロキサシンの吸収を低下させてしまうため(併用注意記載あり)、確認します。現地での食事状況 JITHURYOUさん(病院)PPIやステロイドを服用している場合は、感染しやすくなっている可能性があります。水分や食事(薬剤)が取れるか? 発熱は? 点滴したかも確認します。赤痢菌は水系感染で、現地で水道の水などは飲んでいないと思いますが、氷でも感染する場合があります。水で汚染されている可能性がある果物類の他、魚介類や熱が十分に通っていない食材などを摂取したかも確認したいです。渡航先、渡航期間を医師に話したか ふな3さん(薬局)渡航先・渡航期間を医師に話したか、必ず確認します。渡航歴を伝えない患者、聞かない医師もいるからです。感染者が家族・職場などにいると、感染拡大する可能性もあります。できれば、菌の同定検査をしたか、同行者に同様の症状がないかも聞きたいです。食欲と水分補給について 清水直明さん(病院)「食欲はありますか? 水分は取れそうですか?」もしも食欲がなくて水分・電解質が十分取れない状況ならば、脱水を引き起こす危険性があるため、点滴などの処置が必要になるかもしれません。ロコア®テープにも注意 児玉暁人さん(病院)併用禁忌確認のため、フロベン®(フルルビプロフェン)の内服をしていないか、ロコア®テープ(エスフルルビプロフェン)を使用中でないか確認します。ロコア®テープは貼付薬ながら血中濃度が上昇するため、併用禁忌にノルフロキサシンの記載があります。Q3 疑義照会する?する・・・4人なぜノルフロキサシン? 清水直明さん(病院)細菌性赤痢であればキノロン系抗菌薬が第一選択になりますが、今どき、腸管感染症に対してノルフロキサシンを使うのかなと感じます。なぜレボフロキサシンやシプロフロキサシンではなく、ノルフロキサシンなのか聞いてみたいです。抗菌薬の用量 JITHURYOUさん(病院)ノルフロキサシンの投与量が少ないです。添付文書では腸チフスの場合、1回400mg 1日3回投与14日間とされています(症状から腸チフスではないようにも思いますが、可能性はあります)。整腸剤の変更 キャンプ人さん(病院)ラックビー®微粒Nはキノロン服用時の乳酸菌製剤としては効果が減弱するため、ミヤBM®への変更を依頼します。想定している原因菌について 荒川隆之さん(病院)ラックビー®微粒Nはキノロン系抗菌薬で失活する恐れがありますので、ビオスリー®などへの変更を提案します。提案するときに、医師が想定している原因菌についても同時に確認すると思います。また、旅行者下痢症は通常3~5日で回復しますので、投与期間は5日で妥当と考えます。しない・・・6人やや用量は少ないが・・・ 中堅薬剤師さん(薬局)JAID/JSC 感染症治療ガイドライン―腸管感染症―2015によれば、ノルフロキサシンの投与は1回2~4mg/kg、1日3回とされていて、22歳だと1回100mgはやや少ない気がしますが、疑義照会まではしないです。耐性乳酸菌に変える必要はない 中西剛明さん(薬局)疑義照会しません。エンテロノン® -Rなどの耐性乳酸菌を使う必要はないと思います。耐性乳酸菌を使うと、併用できる抗菌薬にノルフロキサシンが入っていないので、保険で査定されてしまう恐れがあります。ちなみに、乳酸菌製剤は死菌で十分効果があるという説もあります。Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?光線過敏の副作用について 中堅薬剤師さん(薬局)具合が悪いので外で紫外線を浴びることは少ないかもしれませんが、ノルフロキサシンによる光線過敏の可能性を話しておきます。止瀉薬は使わないこと、水分は経口補水液を少量ずつ摂取することなども説明します。服用方法についての説明例 ふな3さん(薬局)「抗菌薬は5日間飲みきってください。8時間ごととなっていますが、生活パターン上、服薬が難しいようなら、7~9時間の間隔であれば大丈夫です。食前・食後でも大丈夫ですが、カルシウムなどのミネラルを摂取すると薬の吸収が悪くなることがあるので、カルシウムやマグネシウムなどのサプリメントなどは控えてください。飲み忘れた場合は、すぐに1回分を飲んで、できるだけ1日3回の服用を続けてください」「帰宅後、激しい嘔吐、発熱、強い腹痛、血便、便意があるのに便がほとんど出ない状態を繰り返す(しぶり腹)など体調変化があった場合、また、3日以上経過しても症状が改善しない場合は、すぐに再受診してください」抗菌薬の服用前後2時間は牛乳などを避ける 清水直明さん(病院)「牛乳などの乳製品や一部の制酸薬、貧血の薬(鉄剤)と一緒に服用すると効果が弱くなる可能性があるので、抗菌薬服用の前後2時間は、それらの摂取を避けるようにしてください。」家族の感染対策 キャンプ人さん(病院)家族などの同居者にも、感染対策するよう指導します。服用時間について わらび餅さん(病院)症状がひどいうちは食事が取れないだろうと考えて、用法を8時間ごととしたのだろうと思います。ですが、厳密に8時間ごととする必要はなく、内服は多少時間がずれても構わないことを伝えます。Q5 その他、気付いたことは?脱水予防 JITHURYOUさん(病院)とにかく脱水予防が必要です。吐き気などで経口できない場合は、補液がファーストだと考えます。抗菌薬はセフトリアキソンなどでしょうか。経口可能であればニューキノロン系抗菌薬、特にレボフロキサシンなどがよいと思いますが、耐性化が進んでいるのでアジスロマイシンなども候補とします。原因菌の特定は重要であり、報告義務のある赤痢菌、コレラの検出であれば、その消失を確認しないといけない旨を伝えます。寄生虫検査は複数回行われる場合があり、周囲のへの感染予防も必要です。腸炎ビブリオの可能性 ふな3さん(薬局)なぜレボフロキサシンではなく、わざわざノルフロキサシンを選んだのか気になります。レボフロキサシンとノルフロキサシンを比較すると、レボフロキサシンでは適応菌種として腸炎ビブリオが含まれていないので(キノロン系抗菌薬ではノルフロキサシンのみに適応あり)、ひょっとしたら腸炎ビブリオが最も疑われているのかもしれない、と思います。注)添付文書上、適応菌種には記載されていないが、JAID/JSCガイドライン2015―腸管感染症―において、レボフロキサシンは腸炎ビブリオに第一選択(ただし重症例に対して)になっている。後日談(担当した薬剤師から)患者は医学生で、熱帯医療のサークルでフィリピンに滞在していたそうです。今回は4回目の渡航で、赤痢を警戒し、食事や水には非常に気を使っていたとのことです。赤痢アメーバは内視鏡で否定され、検査結果は腸炎ビブリオで、ブドウ球菌の毒素も絡んでいる可能性もあるとのことでした。帰国前に魚料理を食べており、これが原因かもしれないということでした。1)NIID 国立感染症研究所.細菌性赤痢とは.2)青木眞.レジデントのための感染症マニュアル.第2版.東京、医学書院、2008.3)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会.JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015‒腸管感染症‒.一般社団法人日本感染症学会、2016.[PharmaTribune 2017年8月号掲載]

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肺癌診療ガイドライン2018(進行再発NSCLC)/日本肺癌学会

 肺癌診療ガイドラインが改訂され、変更ポイントについて第59回日本肺癌学会学術集会で発表された。ここでは、変更点の多かった進行再発非小細胞肺がん(NSCLC)について取り上げる。全領域にGRADE方式を採用 2018年までは一部だったGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)方式が、本年から全領域の推奨度に適用された。GRADEは「行う」「行わない」という2つの方向性に対する推奨レベルを数字の1と2(推奨する=1、提案する=2)で、エビデンスレベルを英語A~D(A=強、B=中、C=弱、D=とても弱い)で示し、この数字と英語の組み合わせで推奨度を表す。ドライバー遺伝子変異/転座陽性<EGFR遺伝子変異陽性の1次治療> EGFR遺伝子変異陽性の1次治療では、FLAURA、ARCHER1050、NEJ026、NEJ009といった臨床試験が検討された。その結果、PS0~1の場合の1次治療としては下記のようになった(CQ51)。 ・オシメルチニブを行うよう推奨する(1B) ・ダコミチニブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブを行うよう提案する(2A) ・エルロチニブ+ベバシズマブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドを行うよう提案する(2B) 樹形図には、従来のEGFR-TKIに替わり、上記の5種の治療法が記載された。<ALK遺伝子転座陽性の2次治療以降> ALK-TKI既治療例に対するロルラチニブの第I/II相試験の結果を踏まえ検討された。その結果、ALK-TKI1次治療耐性または増悪後のPS0〜2に対する治療法として、「ロルラチニブによる治療を行うよう提案する(CQ58、2C)」が新規追加された。<BRAF遺伝子変異陽性> BRAF遺伝子変異陽性例は「ダブラフェニブ+トラメチニブを行うよう推奨する(CQ60、1C)」に変更された。<ドライバー変異/転座陽性例に対する免疫チェックポイント阻害剤> アテゾリズマブのIMpower150試験の結果が検討されたが、最終的には、「ドライバー遺伝子変異/座陽性の患者にプラチナ製剤併用療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない(CQ49、推奨度決定不能)」という結果となった。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…1次治療 ドライバー遺伝子変異/転座陰性の1次治療では、細胞障害性抗がん剤+免疫チェックポイント阻害剤レジメンとして、非扁平上皮がんのKEYNOTE-189、IMpower150、扁平上皮がんのKEYNOTE-407、IMpower131試験が検討された。<PD-L1 50%以上> PS0~1に対する1次治療に対して「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害薬を行うよう推奨する(CQ62、1B)」が追加された。PS2においては、「ペムブロリズマブ単剤療法を行うよう提案する(CQ63、2D)」に加え、「細胞障害性抗がん剤を行うよう推奨もしくは提案する(CQ63、単剤 1A、カルボプラチン併用療法 2B)」、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠が明確でない(CQ63、推奨度決定不能)」が追加された。 PS0~1の樹形図は、「ペムブロリズマブ単独」と「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」の併記、PS2では「細胞障害性抗がん剤」と「ペムブロリズマブ単独」の併記となった。<50%未満もしくは不明> プラチナ製剤併用療法へのPD-1/PD-L1阻害剤の上乗せについては、PS0~1では「プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害剤を併用するよう推奨する(CQ67、1B)」、PS2では「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠がない(CQ67、推奨度決定不能)」という結果となった。 PS0~1の樹形図は、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」が追加され、75歳未満では「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」、75歳以上では「細胞障害性抗がん剤単剤」と「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」の併記に変更された。ちなみに、PS2は前版と変わらず「プラチナ製剤併用療法」「細胞障害性抗がん剤」の併記。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…2次治療以降 ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明の2次治療以降では、新たに免疫チェックポイント阻害剤使用と未使用例に分類された。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2に対する2次治療においては、「PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤をよう推奨する(CQ72、1A)」「細胞障害性抗がん剤を行うよう提案する(CQ72、2A)」となった。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2の樹形図は、「PD-1/PD-L1阻害剤」と「細胞障害性抗がん剤」の併記となった。

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急性期脳梗塞治療で高知県が抜群の成績を上げている理由

 発症4.5時間までのrt-PA投与、主幹動脈閉塞に対する16時間までの血栓回収療法。2017年の脳卒中診療ガイドライン改訂で、6時間以内の血栓回収療法がグレードAの推奨となり、急性期脳梗塞治療の現場は変革を迫られているが、全国各地で診療体制が十分に整っているとはいえないのが現状だ。 そんな中、全国でも際立って多い血栓回収療法治療数を誇る県は四国にある。高知県だ。「脳卒中スクランブル」体制構築、禁忌例以外は全例rt-PA 日本では2016年の人口 10 万人当たりの血栓回収療法の治療件数は全国平均で6.06件と報告されている1)。しかし、海外文献では血栓回収療法は20件/10万人/年まで増えるだろう、との試算もあり、確実に治療できる体制を整えることが急務。また、治療件数の地域格差も問題視されている。 その中で高知県の取り組みは全国的に注目されている。人口10万人当たりの専門医数はさほど多いわけではないが、高知県の人口10万人当たりの同治療件数は非常に多い。つまり治療件数の増加に、同県の診療体制そのものが大きく影響していることが容易に想像できよう。 こうした高知の急性期脳梗塞治療の中心にあるのが高知医療センター。高知にはrt-PA投与および血栓回収療法を実施できる病院は5ヵ所しかなく、同医療センター脳神経外科診療科長の太田 剛史氏が主導し、2015年1月にスタートした「脳卒中スクランブル」が“躍進”の原動力になっている2)。 「脳卒中スクランブル」とは、救急隊が現場でその患者に脳卒中の疑いがあると判断した場合、「脳卒中スクランブル」を宣言し、病院側が一斉に体制を整えるもの。いわば、救急隊と院内各部の間で合意した取り決めだ。 具体的には、救急隊から連絡を受けた救急担当医は、「脳卒中スクランブル」がかかると、すぐに脳神経外科医に連絡。担当看護師、放射線技師にもただちに情報を共有し、当該脳卒中疑い患者への対応を病院を挙げて最優先する。CT撮影、検査などを迅速に行い、1分1秒を争うrt-PA投与、血栓回収療法までの時間を可能な限り圧縮するための措置だ。 救急隊に対しても当然そうした病院側の体制を事前に説明。「脳卒中疑い」の判断をしやすくするために、チェックすべき症状などを示した搬送前に確認すべき事項を記したカードを作成し、配布して啓発した。 たった、それだけのこと?と思われるかもしれないが、「このような体制が全県規模でしっかり取れている地域はまだまだ少ないようだ」と太田氏は言う。 さらに、rt-PA投与では、禁忌以外は基本的には全例投与という独自の適応基準を採用した。「日本では、rt-PA投与の適応が厳しく考えられすぎているように思う。2013年の報告だが、当時の基準の発症3時間以内に搬送された症例でも、16%にしかrt-PAが投与されていない。しかし、海外ではすでに積極的投与が推奨されているし、自験例で検証した結果、慎重投与例に投与してリスクがとくに高まることはなかった3)」(太田氏)。 「脳卒中スクランブル」導入前後で、rt-PAを投与した患者は飛躍的に伸びた。導入前2年半では、4.5時間以内に搬送された患者の32%だったのに対し、導入後の同期間では86%に達した。救急隊の協力などで4.5時間以内の搬送数そのものも35%から41%に向上した。独自ルールで血栓回収療法を迅速実施、転帰も飛躍的に向上 血栓回収療法も「脳卒中スクランブル」導入とほぼ同時に積極的に取り組み始めた。「それ以前は血栓回収療法の有効性を示すエビデンスがなかったが、ちょうど2015年2月に米国ナッシュビルで開催された国際脳卒中学会で立て続けに有効性を示す4つのRCT(MR CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT PRIME)が発表され、よいタイミングだった」と太田氏。 rt-PA静注療法、血栓回収療法は数分単位の遅れが転帰に大きく影響するため、施行までの時間を一刻でも短縮するために、rt-PA投与の判断ではMRIではなくCTを使用、血栓回収療法の開始までの時間もできるだけ短くなるよう、さまざまな工夫を実臨床で取り入れている。それらの結果、件数は、年間20件前後から50件へと劇的に伸び、冒頭で述べたように全国的にもトップクラスといえる病院となった。 もちろんrt-PA投与、血栓回収療法の実施件数が増えても、転帰が改善していなければ意味がない。これに関しても、きわめて良好な結果が出ている。 2012年9月から2014年12月の脳卒中スクランブル導入前と2015年1月から2017年4月の導入後の治療成績を比較したところ、退院時のmRS(modified Rankin Scale)が0または1の患者は36%から59%に増加。出血などの副作用も増えておらず、死亡率も7.0%から5.7%に、わずかだが有意に減少した。「虚血性脳卒中の6割が社会復帰できているというのは、かなり喜ばしいことだと思う」と太田氏は笑顔で語る。 高知医療センターの脳神経外科は7人全員が脳神経外科専門医であり、脳血管内治療専門医は指導医である太田氏のほかに3人。地域によって状況が違うことを考慮しても、急性期脳梗塞診療に関しては、理想に近い高いパフォーマンスを示しているといえそうだ。■参考1)Ohta T, et al.J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018;27:1844-1851. 2)https://www.jstage.jst.go.jp/article/nkc/advpub/0/advpub_oa.2018-0003/_article/-char/ja/3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/nkc/advpub/0/advpub_oa.2018-0005/_article/-char/ja/

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第17回 内科からのレボフロキサシンの処方(後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1予想される原因菌は?Q2患者さんに確認することは?Q3 疑義照会する?しない・・・8人PRSPを想定? 荒川隆之さん(病院)しません。経口へのスイッチングの場合、わざわざブロードスペクトルであるレボフロキサシンにする必要性は低く、クラブラン酸/アモキシシリンなどでもよい気はするのですが、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)を想定されているのかもしれません。ガイドラインを参考に 奥村雪男さん(薬局)疑義照会しないと思います。JAID/JSC感染症治療ガイド2014でdefinitive therapyとして推奨される治療に、PSSP外来治療の第二選択と、PRSP外来治療の第一選択にレボフロキサシンが記載されています。投与期間については、「症状および検査所見の改善に応じて決定する。5~7日間が目安となる」とあるので、セフトリアキソン4日間+レボフロキサシン5日間で、不自然な日数ではないと思います。する・・・3人ガレノキサシンへの変更提案 清水直明さん(病院)発熱・呼吸器症状・食欲不振があるので、喘息発作ではなく呼吸器感染症と考えます。本来、肺炎球菌と確定しているのならば高用量ペニシリンを推奨すべきところですが、肺炎球菌の検査をしたかどうか、胸部レントゲンも撮ったかどうか不明確ですので、外来静注抗菌薬療法後のスイッチ療法としてはキノロン系抗菌薬もありだと思います。ただし、幾つかの成書から呼吸器感染症に対してはレボフロキサシンよりもガレノキサシンが有効性が高いと思いますし、特に、肺炎球菌に対してはレボフロキサシンとガレノキサシンのMICは結構異なっているので、「レボフロキサシン500mgでも特別問題ないかもしれませんが、より有効性を期待するという意味で、ジェニナック®錠 1回400mg 1日1回をお勧めします」と提案します。アモキシシリン高用量かアジスロマイシン単回投与に JITHURYOUさん(病院)疑義照会します。喘鳴がなく、熱があることを考えると、喘息発作ではなく呼吸器感染症でいいと思います。食欲がない、発熱からも肺炎の可能性があると考えます。その場合、呼吸器学会の鑑別基準でいくと、1~5の項目で3項目が該当するため非定型肺炎の可能性があると思われます。喘息があることや、非定型のカバーを考えるとレボフロキサシン経口内服指示は理解できます。しかし、セフトリアキソン点滴に効果があることから非定型肺炎はカバーしなくてよいと思います。PRSPである場合は、レボフロキサシン投与もうなずけます。しかし、結核のリスクがあること、喘息の管理としてステロイド吸入やマクロライド系抗菌薬を使用していないこと、飲酒習慣などもなく耐性菌リスクが少ないのではないかと考えられるため、今回のレボフロキサシンの処方は一考した方がいいのではないかと考えました。アモキシシリン高用量かアジスロマイシン単回投与(アドヒアランス考慮)を提案すると思います。細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別1.年齢60 歳未満2.基礎疾患がない、あるいは軽微3.頑固な咳嗽がある4.胸部聴診上所見が乏しい5.喀痰がない、あるいは迅速診断で原因菌らしきものがない6.末梢血白血球数が10,000/μL未満である1-6の6項目中4項目以上合致した場合、非定型肺炎の感度77.9%、特異度93.0%。1-5の5項目中3項目以上合致した場合、非定型肺炎の感度83.9%、特異度87.0%日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会.成人市中肺炎診療ガイドライン.東京、日本呼吸器学会、2007.Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?再受診のタイミングや他院受診時の注意 ふな3さん(薬局)必ず指示された日(3日後)から服用を開始すること食欲がなくても、食事が取れなくても、毎日必ず1錠服用すること症状が改善しても5 日分服用を続けること服薬して3日以上(=治療開始から7日以上)経過しても症状が改善しない場合には、すぐに医療機関を再受診すること他院(喘息治療など)に通院の際は、必ずレボフロキサシンを服用中であることを伝えることしっかり飲みきることと副作用について JITHURYOUさん(病院)耐性菌が出現しないよう、しっかり飲み切ること。確率は低いですが、アキレス腱炎や痙攣、光線過敏症などに気を付けること。患者さんへの説明例 清水直明さん(病院)「薬のせいでお腹が緩くなることがあります。我慢できる程度の軽い症状ならば抗菌薬をやめれば戻るので問題ありませんが、ひどい場合には服用を中止してご連絡ください」「牛乳などの乳製品や一部の制酸薬や下剤、貧血の薬(鉄剤)と一緒に服用すると効果が弱くなる可能性があるので、抗菌薬服用の前後2時間はそれらの摂取を避けるようにしてください」併用薬はなしとのことですが、OTCやサプリメントを服用している可能性はあり、その中に相互作用を起こすアルミニウムやマグネシウムなどが入っていることがあるので、一応伝えておきます。結核検査をしていた場合 キャンプ人さん(病院)「4日間点滴後の内服薬なので、飲み始める日にちを間違えないようにしてください」と言います。結核の検査をしていたなら、病院から検査結果の連絡があれば必ず受診するなど、そのままほったらかしにしないよう説明します。車の運転について 柏木紀久さん(薬局)3日後からの服用を理解しているかの確認と、5日間きちんと服用してもらうこと。車や機械などの運転を極力控えること。Q5 その他、気付いたことは?肺炎球菌→レボフロキサシン? 中堅薬剤師さん(薬局)肺炎球菌にすぐレボフロキサシン、はオーバートリートメントかな、と個人的に思います。できれば、アモキシシリン5~7日の投与で十分とコメントしたいです。地域のアンチバイオグラムは? 荒川隆之さん(病院)原因菌も肺炎球菌とされているので、通常ならレボフロキサシンではなく、クラブラン酸/アモキシシリンなどの経口の方が適しているものと考えますが、原因菌がPRSPであった場合は、レボフロキサシンでもよいのかもしれません。PRSPかどうかは尿中抗原などでは診断が付かず、培養の結果を待たなければなりません。喀痰培養などで肺炎球菌は増殖しづらく、処方の時点でPRSPだと断定はできていないものと考えます。地域のアンチバイオグラムにおいてPRSPの頻度が高い地域なのでしょうか。処方タイミング ふな3さん(薬局)4日間の点滴での容体の変化を見て、その後の抗菌薬フォローアップを決めるのが一般的だと思うので、なぜこのタイミングで処方なのかは疑問です。GWや年末年始でクローズする調剤薬局が多いタイミングだったのでしょうか。治療後の残存症状として、喘息症状の遷延や悪化があった場合、喘息治療薬も必要になる可能性があるので、やはり点滴投与後の処方が望ましいと感じます。また、出勤などは控えるように伝えられているのではと思うので、その点も確認したいです。肺炎球菌の耐性度は、ほとんどが中等度まで 奥村雪男さん(薬局)薬剤耐性対策としては可能であれば、レボフロキサシンより高用量のアモキシシリンなどのペニシリンが好ましかったのではと思います。日常診療で遭遇するほとんどの肺炎球菌はせいぜい中等度耐性(MICが1~2μg/mL)であり、高用量のペニシリンで対応可能とされています1)。処方例としては、アモキシシリン500~1,000mgの1日3~4回経口が挙げられています。感受性の結果次第ではペニシリン系を提案 児玉暁人さん(病院)セフトリアキソンで効果があるようであれば、レボフロキサシンでなくてもよいかもしれません。喀痰培養で感受性結果が分かれば、自信を持ってペニシリン系を処方できると思います。判定が早いので迅速キットでの検査だったのかもしれません。検査室がありグラム染色ができれば、その日でも肺炎球菌を想定はできますが。初日に培養を出せば4日目の点滴時には感受性結果が出るはずですので、そこで抗菌薬を決めて処方箋を出すというのでもいいのでは。検査が外注だとそうはいかないのですが。喘息の定期受診と生活指導 JITHURYOUさん(病院)喘息で併用薬なしということですが、本当に定期的な受診をしているのかは不明です。日常生活の支障がないのでしょう。しかし、発作がなくてもステロイド吸入で気道リモデリングの予防と喘息死の予防をすることは欠かせないこと、感染症が発作の引き金になるので合わせて定期受診すべきであることを伝えたいです。男性一人暮らし、ハウスダストアレルギーなので定期的な部屋の掃除なども指導したいですね。また、患者の身長体重から、BMIは17.31となります。やせ型の若い男性で気胸のリスクがあるので、咳が続き胸痛や呼吸困難などの症状があれば受診するように指導します(登山や出張などで飛行機など乗ること、楽器演奏、激しい運動などは治療が終わるまでできれば避けること)。さらに可能であれば、運動を少しずつしていき筋肉や体力をつけていき、呼吸器感染症や喘息、気胸予防をしていくように指導したいです。後日談(担当した薬剤師から)翌週、無事に回復しましたと処方箋を持って来局。咳症状が少し残っていたのでしょう、デキストロメトルファン錠15mgとカルボシステイン錠250mgを1回2 錠 1日3回 毎食後7日分を受け取って帰られました。後日談について 中堅薬剤師さん(薬局)後日談の咳が残るという主訴(おそらく感染後咳嗽)に対して、デキストロメトルファンは微妙かなあと感じました。呼吸器門前で働いてきた経験から、むやみな鎮咳剤投与は無意味ではないか、と考えるようになったからです。本当につらい咳なら、コデイン投与で間欠的にするべきですし、そもそもの治療が奏功していない可能性もあります。そんなにひどくない咳であれば、麦門冬湯でもよいと思います。1)青木眞. レジデントのための感染症診療マニュアル. 第2 版. 東京、医学書院、2008.[PharmaTribune 2017年7月号掲載]

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多剤併用のリスク回避は患者教育が大事

 高齢者では6種類以上の薬を常用していることも珍しくなく、近年多剤併用(ポリファーマシー)の問題がクローズアップされている。そんななか、MSD株式会社は、「シニア世代における服薬・不眠症治療に関する実態調査」を行い、今回その結果を公表した。 今回の調査の目的は、多剤併用のリスクにつき、(服薬している)高齢者本人だけではなく、その配偶者も意識しているかどうかのほか、服薬に関する状況やリスク認識、不眠症治療薬に対する意識についても調査した。シニア世代(55歳以上)を配偶者に持つ男女3万20名に調査。多剤併用の目安とされる「6種類以上」服用は8.0% はじめに「(配偶者が)医師から処方された治療薬を服用しているかどうか」の問いには、54.4%が「はい」と回答、また、「(配偶者が)1日に何種類の治療薬を服用しているか」の問いには、「3種類以上」が40.2%(3~5種類/6~10種類/11種類以上の合計)」と4割にのぼり、「3~5種類」が32.2%と最も多く、多剤併用の目安とされる「6種類以上(6~10種類/11種類以上の合計)」を服用している回答者は8.0%だった。 「あなたが主体となって配偶者の服薬の管理をしているか」の問いでは、回答者が女性の場合6.5%、回答者が男性の場合2.6%(196人)と、男女間で差が見られた。 また、「配偶者に不眠症状(夜なかなか寝付けない/夜中に何度も起きるなど)が見られるケースがあるか」の問いでは、「ある」が37.7%にもかかわらず、配偶者が不眠症治療薬を服用している割合は6.9%だった。多剤併用と不眠症のリスク 不眠症治療薬を服用している55歳以上の配偶者を持つ人412名を対象とした2次調査では、「『多剤併用』という言葉やリスクについて知っているか」という問いに「知らなかったと答えた人は67.7%だった。また、多剤併用に関して、言葉もしくはリスクについて知っていた回答者のなかで、「医師に相談したことがある人」は15.1%だった。 配偶者の多剤併用について、とくに不安や心配を「感じない」または「感じていなかった」人は77.4%と約8割いた一方で、医師から処方された治療薬に関して「病気やケガを治すためとはいえ、治療薬はできる限り最小限にしたい」と考える人は69.4%だった。不眠症治療薬の服用の実態 2次調査による回答で配偶者の不眠症治療薬の服用期間で、1年以上の長期服用割合は88.6%とかなりの数の患者が長期にわたり服用している現実が明らかになった。 不眠症治療薬に抱くイメージでは、「薬を飲み始めたらなかなかやめられない」(47.3%)、「薬を飲まないと、不安でますます眠れなくなる」(41.0%)、「服用期間が長くなると、効き目が悪くなる」(37.6%)などだった。また、不眠症治療薬を服用している配偶者に「足元のふらつき」が見られる割合は17.0%と、約5人に1人が経験している結果だった。 「(配偶者には)できれば不眠症治療薬に頼らずに眠ってほしい」と思っている人が88.6%いる一方で、88.3%が「きちんと眠るためには不眠症治療薬を服用することも仕方ない」とも考えていることが判明した。 不眠症治療薬の服用をやめることを夫婦で話したことがある人は51.5%にのぼるが、配偶者が服用をやめることを医師に相談したことがある人は28.9%だった。正しく薬を使うという考え方を持つことが重要 今回の多剤併用のリスク意識についての調査結果を踏まえ秋下 雅弘氏(東京大学医学部附属病院 老年病科 教授)は、「多くの人に対して『薬の適正使用』という考えを啓発する必要性を改めて感じる。『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(日本老年医学会)』では、控えたい薬の中でよく使われるものとして不眠症治療薬も含まれているが、『薬を使わなくても良い』という訳ではなく、生活の質を向上させるために『正しく薬を使う』という考え方を持つことが重要。自分や家族に気になる様子がある場合、自己判断による服用の中断は避け、かかりつけのお医者さんに相談することが重要」とコメントを寄せている。 また、池上 あずさ氏(くわみず病院 院長)は、「不眠症治療では、不眠に悩む本人だけでなく、治療に寄り添う医療従事者、一緒に生活する家族の理解と協力が欠かせないが、薬の服用をやめることを医師に相談した人が3割弱となっていることから、悩まれながらも打ち明けることができていない姿が想像された。不眠症治療のゴールである『薬に頼らずと眠れる』ためにも、適切な治療を開始することが重要。正しい知識をより多くの人が持つためにも今回のような啓発活動は大切で、医療従事者からも、患者さんに伝えていきたい」とコメントを寄せた。●調査概要 対象:55歳以上の配偶者を持つ男女 3万20名 対象地域:全国 方法:インターネット調査 期間:2018年9月4日~12日

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リナグリプチン、高リスク2型DMでのCV・腎アウトカムは/JAMA

 心血管および腎リスクが高い2型糖尿病の成人患者では、通常治療と選択的DPP-4阻害薬リナグリプチンの併用療法は、主要な心血管イベントのリスクがプラセボに対し非劣性であることが、米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが行ったCARMELINA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2018年11月9日号に掲載された。2型糖尿病は心血管リスクの増加と関連する。これまでに実施された3つのDPP-4阻害薬の臨床試験では、心血管への安全性が示されているが、これらの試験に含まれる高い心血管リスクおよび慢性腎臓病を有する患者の数は限定的だという。心血管・腎アウトカムへの影響を評価するプラセボ対照非劣性試験 研究グループは、心血管および腎イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において、心血管および腎アウトカムに及ぼすリナグリプチンの影響の評価を目的に、プラセボ対照無作為化非劣性試験を行った(Boehringer IngelheimとEli Lillyの助成による)。 対象は、HbA1cが6.5~10.0%で、高い心血管リスク(冠動脈疾患、脳卒中、末梢血管疾患の既往、微量・顕性アルブミン尿[尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>30mg/g])および腎リスク(推定糸球体濾過量[eGFR]が45~75mL/分/1.73m2かつUACR>200mg/g、またはUACRにかかわらずeGFRが15~45mL/分/1.73m2)を有する2型糖尿病患者であった。末期腎不全(ESRD)患者は除外された。 被験者は、通常治療に加え、リナグリプチン(5mg、1日1回)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。臨床的必要性および参加施設のガイドラインに基づき、他の血糖降下薬およびインスリンの使用は可能とされた。 主要心血管アウトカムは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合の初回発生までの期間とした。非劣性の判定基準は、リナグリプチンのプラセボに対するハザード比(HR)の両側95%信頼区間(CI)の上限値が1.3未満の場合とした。副次腎アウトカムは、腎不全による死亡、ESRD、eGFRのベースラインから40%以上の低下の持続とした。 2013年8月~2016年8月の期間に、27ヵ国605施設に6,991例が登録され、6,979例(リナグリプチン群3,494例、プラセボ群3,485例)が1回以上の試験薬の投与を受けた。このうち98.7%が試験を完遂した。主要心血管アウトカム:12.4% vs.12.1%、副次腎アウトカム:9.4% vs.8.8% ベースラインの全体の平均年齢は65.9歳、eGFRは54.6mL/分/1.73m2、UACR>30mg/gの患者の割合は80.1%であった。57%が心血管疾患を有し、74%が腎臓病(eGFR<60mL/分/1.73m2あるいはUACR>300mg/gCr)であり、33%が心血管疾患と腎臓病の双方に罹患しており、15.2%はeGFR<30mL/分/1.73m2であった。 フォローアップ期間中央値2.2年における主要心血管アウトカムの発生率は、リナグリプチン群が12.4%(434/3,494例)、プラセボ群は12.1%(420/3,485例)で、100人年当たりの絶対発生率差は0.13(95%CI:-0.63~0.90)であり、リナグリプチン群はプラセボ群に対し非劣性であった(HR:1.02、95%CI:0.89~1.17、非劣性のp<0.001)。優越性には、統計学的に有意な差はなかった(p=0.74)。 副次腎アウトカムの発生率は、リナグリプチン群が9.4%(327/3,494例)、プラセボ群は8.8%(306/3,485例)で、100人年当たりの絶対発生率差は0.22(95%CI:-0.52~0.97)であり、優越性に関して統計学的に有意な差は認めなかった(HR:1.04、95%CI:0.89~1.22、p=0.62)。 有害事象の発生率は、リナグリプチン群が77.2%(2,697/3,494例)、プラセボ群は78.1%(2,723/3,485例)であった。低血糖エピソードが1回以上発現した患者の割合は、それぞれ29.7%(1,036例)、29.4%(1,024例)であり、急性膵炎は0.3%(9例)、0.1%(5例)に認められた。 著者は、「本試験全体の高い主要心血管イベントの発生率(5.63/100人年)は、これまでの血糖降下薬の心血管アウトカムに関する検討の中でも最もリスクの高いコホートの1つを登録したこの試験が、2型糖尿病治療薬の心血管安全性の評価に関するFDAの必要条件に従って実施され、腎障害への臨床的影響を明らかにしたことを示すものである」としている。

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胎児へのトキソプラズマ垂直感染を抑制する抗原虫薬「スピラマイシン錠150万単位」【下平博士のDIノート】第14回

胎児へのトキソプラズマ垂直感染を抑制する抗原虫薬「スピラマイシン錠150万単位」今回は、「抗トキソプラズマ原虫薬スピラマイシン(商品名:スピラマイシン錠150万単位)」を紹介します。本剤は、妊娠中にトキソプラズマに初感染した妊婦が服用することで、胎児の先天性トキソプラズマ症の発症を抑制します。<効能・効果>本剤は先天性トキソプラズマ症の発症抑制の適応で、2018年7月2日に承認され、2018年9月25日より販売されています。トキソプラズマのタンパク合成を阻害することで、増殖抑制効果を示します。<用法・用量>通常、妊婦に1回2錠(スピラマイシンとして300万国際単位)を1日3回経口投与します。抗体検査や問診などにより妊娠成立後のトキソプラズマ初感染が疑われる場合に使用します。<患者さんへの指導例>1.妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合に、胎児が感染することで発症する恐れのある「先天性トキソプラズマ症」を防ぐための薬です。2.胎児への感染が確認されないうちは、分娩まで続けて服用します。3.薬によって腸内細菌のバランスが崩れると、便が緩くなったり、おなかが痛くなったりすることがあります。4.高熱、激しい腹痛を伴う血便、めまい、動悸、胸痛などの症状がありましたら、服用をやめてすぐに医師の診察を受けてください。5.母乳中に移行することが報告されているため、本剤を服用中の授乳は避けてください。<Shimo's eyes>トキソプラズマは人畜共通の寄生原虫であり、猫を終宿主としますが、豚、牛、鶏、羊、馬などのほか、食肉用の動物以外も含めて、ほぼすべての哺乳類や鳥類に感染します。ヒトへの主な感染経路としては、加熱不十分な食肉、猫の糞便や洗浄不十分な野菜などによって、トキソプラズマ原虫を経口的に摂取することが挙げられます。また、園芸などの土いじりや砂場遊びが原因になることも考えられます。通常、健康な成人がトキソプラズマに感染した場合、風邪様の症状が出現することもありますが、多くの場合は無症状のまま潜伏感染に移行します。しかし、妊婦がトキソプラズマに初感染すると、胎盤を介して胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症を発症する可能性があります。先天性トキソプラズマ症は流産・死産の原因になったり、生まれた子供に水頭症、網脈絡膜炎による視力障害、脳内石灰化、精神・運動機能障害などといった重大な臨床症状が認められたりすることがあるため、胎児への感染を抑制する必要があります。本剤は、抗菌活性に加え、抗トキソプラズマ活性を有する16員環のマクロライド系抗菌薬で、海外の診療ガイドラインではトキソプラズマに初感染した妊婦に対し、本剤が標準的治療薬として推奨されています。しかし、わが国ではこれまでトキソプラズマを適応症として承認されている薬剤はなかったため、日本産科婦人科学会より開発の要望がなされていました。本剤の抗原虫作用はトキソプラズマに対する増殖抑制であり、感染後早期に服用を開始することで、垂直感染が約60%低下するという報告があります。ただし、殺原虫効果はないため、胎児への感染が疑われる場合には、本剤の投与・継続の適否について慎重に検討する必要があります。実際には先天性トキソプラズマ症で生まれてくる児はわずかですが、加熱不十分な食肉を食べること、素手での飼い猫の糞便の処理や土いじりは、トキソプラズマ感染を引き起こすリスクがあることを薬剤師も再認識し、妊娠中または妊娠を予定している患者さんに対して調理方法や手袋の着用、十分な手洗いなどの注意喚起を行えるとよいでしょう。

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サルコペニア嚥下障害は誤嚥性肺炎などの入院が引き金に

 元気だったはずの高齢者が、入院後に低栄養で寝たきりになるのはなぜか。2018年11月10、11日の2日間、第5回日本サルコペニア・フレイル学会大会が開催された。2日目に行われた「栄養の視点からみたサルコペニア・フレイル対策」のシンポジウムでは、若林 秀隆氏(横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科)が「栄養の視点からみたサルコペニアの摂食嚥下障害対策」について講演した。誤嚥性肺炎で救急搬送されサルコペニアの嚥下障害になる “嚥下障害があり、食べられないから低栄養になる”という流れはごく普通である。若林氏は、「低栄養があると嚥下障害を来すことがあり、これはリハビリテーションだけでは改善することができない。つまり、栄養改善が要」と、本来とは逆ともとれる低栄養のメカニズムについて解説した。 若林氏によると、一見、元気な老人でも実はサルコペニアを発症している可能性があるという。たとえば、喉のフレイル(嚥下障害ではないが正常より衰えている状態)が原因となり、誤嚥性肺炎を発症。その後、救急搬送され寝たきりや嚥下障害になる場合がある。この原因について同氏は、「急性期病院で誤嚥性肺炎を発症すると“根拠のない安静”や“禁食”がオーダされやすい」と、嚥下、腸管や心臓機能などの適切な評価がなされていない点を指摘。さらに、「病院内での不適切な安静臥床と栄養管理や肺炎の急性炎症による筋肉の分解でサルコペニアを生じる結果、これまで外出や食事が可能であった方でも寝たきりや嚥下障害となる」と、入院後の管理体制を問題視した。サルコペニアによる嚥下障害の定義とは 同氏らを含む4学会(日本サルコペニア・フレイル学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本リハビリテーション栄養学会、日本嚥下医学会)は、サルコペニアによる嚥下障害を立証し、メカニズム、診断、治療、今後の展望に関する統一的見解を提言するために、ポジションペーパーを作成している1)。 この合同学会において、サルコペニアによる嚥下障害を以下のように定義している。1)全身の筋肉と嚥下関連筋の両者にサルコペニアを認める2)脳卒中など明らかな摂食嚥下障害の原因疾患が存在し、その疾患による摂食嚥下障害と考えられる場合は除外する3)神経筋疾患による筋肉量減少や筋力低下、そして摂食嚥下障害はサルコペニアの摂食嚥下障害には含めない ポジションペーパーに採用された研究の一部には、今年発表された基礎研究も含まれる。これによると、誤嚥性肺炎では舌や横隔膜で筋分解が亢進し、筋萎縮が生じることが示された2)。これについて同氏は、「人間でも同様のメカニズムにおいて呼吸筋、全身の骨格筋、嚥下筋の筋萎縮が引き起こされ、最終的に寝たきりに至るのでは」と、研究結果を踏まえた人体への影響を説明。さらに、同氏が行った嚥下関連筋のレジスタンストレーニングに関するRCT3)を示し、摂食嚥下障害の原因がサルコペニアの場合、栄養改善を行いながらレジスタンストレーニングを行うと改善しやすい傾向であることを解説した。急性期病院患者のサルコペニア嚥下障害の有病割合は32% 急性期病院の実態として、嚥下リハ患者のサルコペニア有病割合は49%を占め、患者の2人に1人がサルコペニアであることが判明している4)。さらに、患者全体ではサルコペニア嚥下障害の有病割合は32%と、3人に1人はサルコペニアの嚥下障害を有し、急性期病院で起こりがちな、“とりあえず安静”、“とりあえず禁食”、“とりあえず水電解質輸液のみ”によって引き起こされている。これを『医原性サルコペニア』と呼び、同氏は「サルコペニアによる嚥下障害の患者は、他の嚥下障害よりも予後が悪いため予防が重要」と予防の大切さを訴えた5)。サルコペニアによる摂食嚥下障害の予防・治療へ攻めの栄養管理 今後の展望として、サルコペニアによる摂食嚥下障害の予防、治療への介入研究、管理栄養士の積極的な介入を必要が必要であると述べ、それに有用な“攻めの栄養管理“を以下のように提唱した。・(痩せている)実体重の場合:エネルギー必要量=エネルギー消費量±蓄積量(200~750kcal/day)・理想体重の場合:35kcal/kg/day 最後に同氏は、「サルコペニアは地域での予防、軽微な状態で発見し介入することが重要」と述べ、リハ栄養診断やゴール設定など、リハ栄養における5つのステップ5)の活用を求めた。■参考1)Fujishima I, et al. Sarcopenia and dysphagia: Position paper by four professional organizations. Geriatr Gerontol Int, in press2)Komatsu R, et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2018;9:643-653.3)Wakabayashi H, et al. Nutrition. 2018;48:111-116.4)Wakabayashi H, et al. J Nutr Health Aging. 2018 Oct 16.5) Nagano A, et al. Rehabilitation nutrition for iatrogenic sarcopenia and sarcopenic dysphagia. J Nutr Health Aging, in press■関連記事初の「サルコペニア診療ガイドライン」発刊高齢者のフレイル予防には口腔ケアと食環境整備を「食べる」ことは高齢者には大問題

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拡張型心筋症の治療は回復後中止してよいか/Lancet

 症状および心機能が回復した拡張型心筋症患者では、薬物療法を中止すべきか否かが問題となる。英国・王立ブロンプトン病院のBrian P. Halliday氏らは、治療を中止すると再発のリスクが高まるとの研究結果(TRED-HF試験)を示し、Lancet誌オンライン版2018年11月11日号で報告した。拡張型心筋症患者のアウトカムはさまざまで、多くは良好な経過をたどる。回復した患者における治療中止を前向きに調査したデータはないため、専門家のコンセンサスは得られておらず、明確な推奨を記載したガイドラインはないという。中止と継続の再発リスクを比較する無作為化パイロット試験 本研究は、回復した拡張型心筋症患者における治療中止の安全性を評価する非盲検無作為化パイロット試験(英国心臓財団などの助成による)。 対象は、現在は無症状の拡張型心筋症で、左室駆出率が40%未満から50%以上に改善し、左室拡張末期容積(LVEDV)が正常化し、NT-pro-BNP濃度が250ng/L未満の患者であった。患者登録は、英国の病院ネットワークを通じて行われた。被験者は、治療を中止する群または継続する群に無作為に割り付けられた。 治療中止群は、4週ごとに臨床評価を行い、ループ利尿薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、β遮断薬、ACE阻害薬/ARBの順に投与を中止した。治療継続群は、6ヵ月後から同様の方法で治療を中止した。6ヵ月までを無作為割り付け期、6ヵ月以降は単群クロスオーバー期とした。 主要エンドポイントは、6ヵ月以内の拡張型心筋症の再発であった。再発の定義は、次の4つのうち1つ以上を満たす場合とした。1)LVEFの10%以上の低下かつLVEF<50%、2)LVEDVの10%以上の上昇かつ正常範囲を超える、3)NT-pro-BNP濃度がベースラインの2倍に上昇かつ400ng/L以上、4)徴候および症状に基づく心不全の臨床的エビデンス。全体の再発率は40%、再発予測因子の確立までは治療継続を 2016年4月21日~2017年8月22日の期間に51例が登録され、治療中止群に25例(年齢中央値:54歳[IQR:46~64]、男性:64%)、治療継続群には26例(56歳[45~64]、69%)が割り付けられた。 6ヵ月までに、治療中止群の11例(44%)が再発したのに対し、治療継続群では再発は認めなかった。Kaplan-Meier法による6ヵ月時の治療中止群のイベント発生率は45.7%(95%信頼区間[CI]:28.5~67.2、p=0.0001)であった。 6ヵ月以降、治療継続群は26例中25例(96%)で治療を中止した(1例は発作性心房細動が疑われたため中止できなかった)。このうち、単群クロスオーバー期の6ヵ月のフォローアップ期間中に9例が再発し、イベント発生率は36.0%(95%CI:20.6~57.8)であった。 したがって、治療を中止した50例中20例(40%)が再発したことになる。再発の原因は、LVEF低下が12例(60%)、LVEDV上昇が11例(55%)、NT-pro-BNP濃度上昇が9例(45%)、末梢浮腫の発現が1例(5%)であった。 両群とも死亡例の報告はなく、心不全による予定外の入院や主要有害心血管イベントもみられなかった。治療中止群で重篤な有害事象3件(非心臓性胸痛、尿路性敗血症、既存疾患への待機的手技のための入院)が認められた。 無作為割り付け期では、治療中止との関連が認められた因子として、LVEF低下(p=0.0001)、心拍数増加(p<0.0001)、拡張期血圧上昇(p=0.0083)、KCCQ(カンザスシティー心筋症質問票)スコア低下(p=0.0354)が挙げられた。 著者は、「再発の頑健な予測因子が確立されるまでは、期限を設けずに治療を継続すべきと考えられるが、患者が治療中止を希望する場合は、注意深く、かつさらなる情報を得るまでは無期限に、心機能の監視を行う必要がある」とし、「今後、心不全の薬物療法を安全に中止可能な患者や、一部の薬剤のみの継続投与によって心機能の恒久的な回復が維持できる患者のサブグループを同定する検討が必要である」と指摘している。

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ESMO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介胃がんに対する後方ライン治療(1)-ATTRACTION-2試験長期成績-切除不能胃がんに対する標準治療は1次治療フルオロピリミジン+白金製剤(HER2陽性の場合にはさらにトラスツズマブ併用)、2次治療パクリタキセル+ラムシルマブである。3次(後方ライン)治療以降は、ニボルマブもしくはイリノテカンが治療選択肢である。ニボルマブは、2レジメン以上の化学療法不応の切除不能胃がん(胃食道接合部がん含む)を対象としたプラセボ群との比較第III相試験(ATTRACTION-2)で有効性が示され、本邦でも2017年9月に胃がんへと適応拡大された。ESMO2018では、ATTRACTION-2のアップデート結果が報告された。2018年2月までの2年間の長期追跡でも、ニボルマブ群はプラセボ群と比較して有意なOS延長が確認され、2年全生存(OS)割合は、ニボルマブ群10.6%、プラセボ群3.2%、2年無増悪生存(PFS)割合は、ニボルマブ群3.8%、プラセボ群0%であった。奏効例のOS中央値26.61ヵ月、2年OS割合61.3%であった。また、SD症例におけるOS中央値は、ニボルマブ群8.87ヵ月、プラセボ群7.62ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.52~1.23)であり、有意差はないもののニボルマブ群で良好であった。本結果は、実施臨床でのニボルマブ使用においても実感できる。奏効例では長期奏効が得られることも多く、まさにノーベル賞受賞の最近の報道でなされる“奇跡の薬”との表現にも同意する。一方で胃がんでのニボルマブの奏効率はわずか10%程度であり、治療のメリットが実感できない場面が多いのも事実である。さらに、最近は約10%にhyperprogressionが認められ、むしろdetrimentalに働く集団の存在も示唆されている。抗PD-1抗体薬の効果予測バイオマーカーが必要であり、有効もしくは無効のバイオマーカーがないと、1次・2次治療や補助療法での抗PD-1抗体薬の使用は困難であろう。胃がんに対する後方ライン治療(2)-新たな治療選択肢の登場-TAGS試験(TAS-102 Gastric Study)は、2レジメン以上の前治療歴のある切除不能胃がんに対するTAS-102の有効性を検証したプラセボ対照第III相試験である。結果はすでに本年の世界消化器癌学会議(ESMO-GI)で発表されているが、ESMO2018ではサブグループ解析と腫瘍縮小効果の結果が追加された(TAS-102群:337例、プラセボ群:170例)。主要評価項目であるOS(中央値/12ヵ月OS割合)は、プラセボ群3.6ヵ月/13%に対して、TAS-102群5.7ヵ月/21%(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)であり、TAS-102群が有意に良好であった。サブグループ解析でも、各サブグループにおいてTAS-102群が良好な結果であった。腫瘍縮小効果はTAS-102群で1例の完全奏効(CR)と部分奏効(PR)12例を認め、奏効割合(ORR)は4%であった。安定(SD)も含めた病勢制御割合(DCR)はTAS-102群44%であり、プラセボ群14%に比べ有意に良好であった。有害事象は、TAS-102群においてgrade 3以上の有害事象が多くみられ(TAS-102 80% vs.プラセボ58%)、好中球数減少(38% vs.0%)や白血球減少(21% vs.0%)、貧血(19% vs.7%)、血小板数減少(6% vs.0%)などの血液毒性が主であった。これら有害事象によるTAS-102の減量・休薬は58%で、13%の症例は試験治療中止となり、16%の症例でG-CSFが投与されていた。本試験より、TAS-102は胃がん後方ライン治療の新たな選択肢として、本邦においても使用可能となるだろう。位置付けはニボルマブと同様になると思われる。有害事象も大腸がんでの報告と同程度であり、胃がんでも比較的スムーズに臨床導入できるだろう。一方で、胃がんと大腸がんの病態の違いには注意が必要である。つまり、胃がんの方がよりaggressiveな病態を呈する患者が多く、経口摂取が困難となるケースも多い。本試験でもTAS-102後の後治療移行率は、TAS-102群25%、プラセボ群26%と両群ともきわめて低率であった。ニボルマブ、TAS-102、イリノテカンをすべて単剤療法として使い切るストラテジーよりも、併用療法の開発が期待される。大腸がん1次治療としてのTriplet療法の再検証-TRIBE2試験-大腸がん1次治療においてFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法は、本邦におけるガイドラインでも推奨されるレジメンの1つである。その根拠となったTRIBE試験は、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法(Triplet)とFOLFIRI+ベバシズマブ療法との第III相試験であり、ORR 65% vs.53%(p=0.006)、PFS中央値12.1ヵ月vs.9.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.75、p=0.003)、OS中央値29.8ヵ月vs.25.8ヵ月(HR:0.80、p=0.030)と、いずれもTriplet群が有意に良好であった。しかし本試験では、FOLFIRI群の後治療のオキサリプラチン導入割合が低く、本邦の実地臨床への外挿に疑問の声もあった。ESMO2018では、続編としてTriplet+ベバシズマブ療法を1次治療および2次治療で使用する群(triplet群)と1次治療FOLFOX+ベバシズマブ療法→2次治療FOLFIRI+ベバシズマブ療法を逐次的に行う群(doublet群)を比較した第III相試験(TRIBE2試験)の結果が報告された。すべての治療は最大8コースの施行とされ、その後は、増悪まで5-FU+ベバシズマブ療法継続が実施された。679例が登録され、患者背景は両群に大きな差はなく、RAS変異型60%程度、BRAF変異型10%、右側結腸38%と、一般的な大腸がんのpopulationよりも多い傾向であった。主要評価項目であるPFS2(2次治療終了までの無増悪生存期間)中央値は、doublet群16.2ヵ月、triplet群18.9ヵ月(HR:0.69、95%CI:0.57~0.83、p<0.001)とtriplet群で有意に良好であった。1次治療PFSはdoublet群9.9ヵ月、triplet群12.0ヵ月(HR:0.73、p<0.001)、2次治療PFSの中央値はdoublet群5.5ヵ月、triplet群6.0ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.70~1.05、p=0.120)と有意差を認めなかった。doublet群の86%(248/288例)、triplet群の74%(194/261例)が2次治療に移行し、規定された2次治療が、doublet群では88%(FOLFIRI±Bmab)、triplet群では76%(FOLFOXIRI±Bmab)に行われていた。有害事象は既報のとおりで、1次治療における安全性は、grade 3以上の有害事象のうち、下痢(doublet群5% vs.triplet群17%、以下同様)、好中球減少(21% vs.50%)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%)で群間差を認めた。本発表は、初回治療におけるtripletの有効性を再現したものと考えられる。doublet群の88%で2次治療に移行できているにもかかわらずtriplet群でPFS2が良好であったことはインパクトが大きいが、その理由は明らかではない。治療早期に強いレジメンを実施し、腫瘍縮小を達成することが生存延長につながっているのであろうか。とくに本試験の対象として多く含まれているRAS/BRAF変異型や右側結腸原発症例で有用である。今後発表されるOS結果にも注目したい。大腸がんに対する免疫療法の明暗-Checkmate142試験とMODUL試験-大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害剤は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)やミスマッチ修復(mismatch repair:MMR)タンパク発現消失を示すMMR機能欠損(deficient MMR:dMMR)がんとMMR機能欠損を示さないproficient MMR(pMMR)がんに分けて治療開発が行われている。dMMR例は遺伝子変異数(tumor mutation burden:TMB)が多く、腫瘍浸潤性リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte:TIL)の強い免疫腫瘍環境を有することから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できる。CheckMate142試験は抗PD-1抗体薬ニボルマブ(NIVO)単剤療法、NIVOと抗CTLA-4抗体薬イピリムマブ(IPI)との併用療法を検討した第II相試験であり、ESMO2018では1次治療としてのNIVO+IPI併用療法コホートの結果が報告された。本コホートは、dMMR例を対象に、NIVO(3mg/kgを2週間隔)と低用量IPI(1mg/kgを6週間隔)の併用療法であり、既報の同薬剤併用の既治療コホート(NIVO 3mg/kg+IPI 1mg/kgを3週間隔×4回→その後はNIVO 3mg/kgを2週間隔)とは異なったスケジュールである。今回のコホートには45例が登録され、BRAF変異型38%、Lynch症候群18%が含まれていた。主要評価項目である担当医判定によるORRは60%(完全奏効[CR]:3例[7%]を含む)、DCRは84%であった。BRAF変異例17例でも、ORR 71%、DCR 88%と良好だった。解析時点において82%の症例が効果継続中であり、12ヵ月PFS割合77%、OS割合83%と、長期の生存延長効果が期待された。Grade 3以上の重篤な有害事象割合は16%であり、治療中止に至る有害事象も7%と低かった。今回の報告は既治療例通常用量のNIVO+IPIコホートと比較して有効性は同程度、重篤な有害事象は少ない傾向であった。これが、低用量IPIのおかげなのか、それとも初回治療例を対象としたものかはランダム化比較試験でないため確証はないが、個人的には有害事象と有効性のバランスが良い本投与法を実地臨床では使用したい。とくにBRAF変異型も含めた高い有効性は魅力的である。dMMRがんに対するpembrolizumabは本年度中に適応拡大予定であるが、NIVO+IPI療法もdMMR大腸がんに必要なレジメンと考えられる。一方でpMMR大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の治療開発は、いまだ成功していない。MODUL試験は、大腸がんにFOLFOX+ベバシズマブ導入化学療法後の維持療法に関するランダム化比較試験で、バイオマーカーに基づくアンブレラ型試験である。今回、BRAF野生型コホート(コホート2)としてフッ化ピリミジン系薬剤+Bevacizumab(Bmab)とAtezolizumabの併用療法との比較パートの結果が発表された。患者背景はRAS変異型60~65%、dMMR2%であり、本試験はpMMR大腸がんへの免疫チェックポイント阻害剤の有効性を探索する試験と言える。追跡期間中央値18.7ヵ月時点におけるupdate analysisでのPFS中央値は試験治療群7.20ヵ月、標準治療群7.39ヵ月(HR:0.96、95%CI:0.77~1.20、p=0.727)、OS中央値は試験治療群22.05ヵ月、標準治療群21.91ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.66~1.13、p=0.283)と、有意差は認められなかった。ESMO-GIでは後方ラインでのAtezolizumab(+cobimetinib)の第III相試験(COTEZO)もnegativeな結果が報告された。pMMR大腸がんへの免疫療法は、まだまだ暗い闇の中といったところである。

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ART未治療HIV-1感染患者へのドルテグラビル+ラミブジン/Lancet

 抗レトロウイルス療法(ART)歴のないHIV-1感染成人患者において、ドルテグラビル+ラミブジンによる48週間の治療は、ガイドラインで推奨される3剤レジメンに対して非劣性であることが検証された。アルゼンチン・ブエノスアイレス大学のPedro Cahn氏らによる多施設共同無作為化二重盲検非劣性第III相試験「GEMINI-1」および「GEMINI-2」の結果で、忍容性プロファイルは類似しており、著者は「2剤レジメンはHIV-1感染患者の初回治療として支持される」とまとめている。2剤レジメンは、現在の標準治療である3剤以上を併用するレジメンと比較して、長期にわたる薬物曝露やARTの毒性を減少させる可能性があると考えられていた。Lancet誌オンライン版2018年11月9日号掲載の報告。ドルテグラビル+テノホビル/エムトリシタビンの3剤レジメンと比較 GEMINI-1試験とGEMINI-2試験は、同一試験デザインで21ヵ国192施設において実施された。対象は、HIV-1 RNAウイルス量が50万コピー/mL以下のART歴のない18歳以上のHIV-1感染患者で、2剤レジメン(ドルテグラビル50mg+ラミブジン300mgの1日1回経口投与)群、または3剤レジメン(ドルテグラビル50mg+テノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg/エムトリシタビン200mgの1日1回経口投与)群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者と治験担当医は、治療の割付について盲検化された。 主要評価項目は、intention-to-treat-exposed集団における48週時のHIV-1 RNA量が50コピー/mL未満の患者の割合(Snapshotアルゴリズム解析)で、非劣性マージンは-10%とし、治験薬を1回以上服用したすべての患者(安全性解析対象集団)において安全性を評価した。2剤レジメンの3剤レジメンに対する非劣性を確認 2016年7月18日~2017年3月31日に、両試験で計1,441例が無作為に割り付けられた(2剤レジメン群719例、3剤レジメン群722例)。 48週時のHIV-1 RNA量が50コピー/mL未満の患者の割合は、GEMINI-1試験では2剤レジメン群90%(320/356例)、3剤レジメン群93%(332/358例)(補正群間差:-2.6%、95%信頼区間[CI]:-6.7~1.5%)、GEMINI-2試験ではそれぞれ93%(335/360例)、94%(337/359例)(補正群間差:-0.7%、95%CI:-4.3~2.9%)であり、両試験とも非劣性が示された(併合解析:2剤レジメン群91%[655/716例]vs.3剤レジメン群93%[669/717例]、補正群間差:-1.7%、95%CI:-4.4~1.1%)。 薬剤関連有害事象の発現率は、3剤レジメン群で2剤レジメン群より高かった(24% vs.18%)。有害事象により試験を中止した患者はいずれも少なかった(3剤レジメン群2%、2剤レジメン群2%)。GEMINI-2試験において2剤レジメン群で死亡が2例報告されたが、いずれも治験薬との関連はないと判定された。

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第12回 びまん性汎細気管支炎にマクロライド系抗菌薬が長期投与されるのはなぜ?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗菌薬は必要なときに短期間処方されるのが一般的ですが、例外もあります。その代表的なものが、マクロライド系抗菌薬の長期投与です。COPDや非嚢胞性線維症性の気管支拡張に対して行われることも多い治療法ですが、今回はびまん性汎細気管支炎(Diffuse panbronchiolitis:DPB)に対するマクロライドの少量長期療法について紹介します。DPBは呼吸細気管支と呼ばれる細い気管支を中心に慢性炎症が起こり、咳や痰、呼吸困難が生じる疾患で、ほとんどの場合で慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を合併するのが特徴的です1)。日本人を含む東アジア人に多く、男女差はなく、40~50代が好発年齢です2)。もともとは未治療の場合、診断から5年以内に約50%が死亡するというきわめて予後の悪い疾患でしたが3)、マクロライドの少量長期療法が行われるようになって死亡率が急速に低下しました4)。日本発の治療法で、その効果が判明したのは1980年代になってのことです。それでは、数ある抗菌薬の中でもなぜマクロライド系抗菌薬がDPBに有効なのでしょうか。その説明として考えられているのが、その抗炎症作用です。抗菌作用も期待できるとは思われますが、DPBにおける投与量は通常よりも少なく、一般的な重感染症最小発育阻止濃度を下回っているので、主に抗炎症作用を期待しての治療なのでしょう。抗炎症作用といっても多くの説があり、バイオフィルム形成、免疫調整、肺胞マクロファージによる食作用の亢進作用などが知られています。一般にマクロライド系抗菌薬は、肺胞マクロファージによって細胞内に濃縮されやすく、血清濃度よりもクラリスロマイシンで約400倍、アジスロマイシンで約800倍高いレベルになるとされていて、これが比較的低用量で奏効する理由と考えられています5)。コクランのシステマティックレビューにおいてもDPBに対するマクロライド少量長期療法の効果が検証されています6)。システマティックレビューといっても、レビューへの組み入れ基準は「DPBに対するマクロライドの効果と安全性を検討したランダム化比較試験(RCT)ないし準ランダム化比較試験」で、RCTではない観察研究や対照群のない研究が除かれた結果、最終的に残ったRCTは1件だけでした。その内容は、20~70歳(平均年齢50歳)のDPB患者19例のうち12例をエリスロマイシン600mg/日の長期投与群、7例を無治療群に割り付けて比較したというものです。エリスロマイシン群の全例において、CT画像はベースラインからの改善がみられた一方、対照群では71.4%が悪化、28.6%が変化なしという結果でした。レビュー内でエビデンスの質は低いとされていますが、予後の悪い疾患でこれほどの差が出ていることは注目に値するのではないでしょうか。14員環、15員環なら有効性は高いが、16員環は無効エリスロマイシン以外の長期療法についても紹介しましょう。10例のDPB患者を組み入れ、クラリスロマイシン200mg/日で4年間治療したオープンラベルの研究です。肺機能検査などの項目は、ほとんどの被験者で6ヵ月以内に有意な改善がみられています。また、重大な副作用は認められず、長期間安全に服用できることが示唆されました7)。エリスロマイシンやクラリスロマイシンは14員環のマクロライドですが、15員環のアジスロマイシンにおいてもDPBに対する効果を検討した試験があります。51例のDPB患者を対象とした研究では、アジスロマイシン500mg/日を静注で1~2週間投与した後、1日1回経口服用で3ヵ月継続し、さらに週に3回経口服用を6~12ヵ月継続したところ、臨床的治癒は27.5%、改善は70.6%で、5年生存率は94.1%でした8)。また、別の研究では、アジスロマイシンを60例の患者に250mg/日を週2日3ヵ月間投与したところ、多くの被験者で喀痰量および呼吸困難が減少し、有効率は84.6%でした9)。なお、16員環を有するマクロライド(ジョサマイシンなど)はDPBに無効と考えられており、ガイドラインにおいても推奨されていません2)。長期療法と言われると気になるのはどのくらい長期かということですが、その最適な期間は明確には定まっていないようです。紹介してきた臨床試験においては、ほとんどの患者さんにおいて最低6ヵ月程度は継続され、大部分は治療開始2年後までには中止に至っています。基本的には、臨床症状、X線写真所見、および肺機能測定値が改善または安定するまでということになるようです。もちろん中止後も、呼吸困難、咳、痰の程度についてモニタリングすることが望ましく、再び気管支拡張症や副鼻腔炎のような徴候が出た場合には治療が再開される可能性があることには留意しておくとよいでしょう。また、マクロライド系抗菌薬にはモチリン様作用が知られているので、低用量であっても下痢が生じる可能性があります。モチリンは消化管の蠕動運動を活発にするホルモンですが、マクロライドも同様に消化管運動を活発にすることが報告されています10)。したがって、腸内細菌叢のバランスが崩れるという以外の理由で下痢や腹痛が生じることがあり、とくに服用当日など早期に生じる下痢はこの作用による可能性が高いとされています。便秘の方には逆によいケースもあるかもしれませんが、服薬指導時に説明しておくほうが安心かと思います。1)日本呼吸器学会 びまん性汎細気管支炎2)JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症―3)Kudoh S, et al. Clin Chest Med. 2012;33:297-305.4)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1998;157(6 Pt 1):1829-1832.5)Steel HC, et al. Mediators Inflamm. 2012;584262.6)Lin X, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015;1:CD007716.7)Kadota J, et al. Respir Med. 2003;97:844-850.8)Li H. et al. Intern Med. 2011;50:1663-1669.9)小林 宏行ほか. 感染症学雑誌. 1995;69:711-722.10)Broad J, et al. Br J Pharmacol. 2013;168:1859-1867.

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