サイト内検索|page:146

検索結果 合計:2929件 表示位置:2901 - 2920

2901.

平成20年4月1日から「がん性疼痛緩和指導管理料(100点)」が算定可能に

平成20年度診療報酬改定で、がん性疼痛の緩和を目的に医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛治療法に従って、計画的な治療管理と療養上必要な指導を継続的に行い、麻薬を処方することに対して「がん性疼痛緩和指導管理料(100点)」が算定できるようになった。保医発第0305001号(平成20年3月5日付)の「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」で通知された(下欄参照)。WHO方式がん性疼痛治療法とは、世界標準のがん性疼痛治療のガイドライン。1986年、「がんの痛みからの解放(Cancer Pain Relief)」においてWHOが推奨する治療法が公表され、その後、疼痛治療の進歩や新知見が取り入れられ、1996年に第2版(改訂版)が刊行された。本治療法は、70~90%のがん患者で痛みを消失させる鎮痛薬の使用法であり、その有効性が実証され、次の5点に要約される。 1.経口的に(by mouth)  鎮痛薬は、できる限り経口投与とすべきである。2.時刻を決めて規則正しく(by the clock)  痛みが持続性であるときには、時刻を決めて規則正しく投与する。  頓用方式の投与を行ってはならない。 3.除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)  鎮痛薬を除痛ラダーにしたがって順次選択していく。4.患者ごとの個別的な量で(for the individual)  鎮痛薬の適切な投与量とは、治療対象となった痛みが消える量である。5.そのうえで細かい配慮を(attention to detail)  患者にとって最良の鎮痛が得られ、副作用が最小となるように  治療を進めるには、治療による患者の痛みの変化を監視し  続けていくことが大切である。 (世界保健機関編. 武田文和訳. がんの痛みからの解放-WHO方式がんの疼痛治療法-.第2版. 金原出版株式会社; p.16-41.)今後は、WHO方式がん性疼痛治療法の5原則に従ってオピオイド鎮痛薬を投与し、副作用等を含めて計画的に治療を行うことで、管理料の算定が可能となる。 【参考】「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」保医発第0305001号B001 特定疾患治療管理料22 がん性疼痛緩和指導管理料(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放-WHO方式がんの疼痛治療法-第2版)に従って、副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤に関する指導を行い、当該薬剤を処方した日に算定する。なお、当該指導には、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を含めるものであること。(2) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

2902.

消化不良にPPIによる胃酸分泌抑制は適切な初期治療

プライマリ・ケアにおける消化不良の初期治療では、ピロリ菌の検査・除菌とプロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃酸分泌抑制の費用効果および症状抑制効果は同等であり、PPIは適切な治療戦略であることがMRC-CUBE試験の結果により示された。BMJ誌2008年3月22日号(オンライン版2008年2月29日号)で、英国Birmingham大学プライマリ・ケア科のBrendan C Delaney氏が報告した。英国の消化不良の治療ガイドラインでは、上部消化管の腫瘍が疑われる徴候がない場合は、これら2つの管理法が推奨されている。80ヵ所のGP施設に699例を登録MRC-CUBE試験の研究グループは、プライマリ・ケアにおける消化不良の初期治療としてのピロリ菌の検査・除菌と胃酸分泌抑制の費用効果を評価するための多施設共同無作為化対照比較試験を実施した。英国の80ヵ所のGP施設に、年齢18~65歳で上腹部痛、胸やけ、あるいはその双方が見られ、悪性腫瘍を疑わせる徴候のない699例が登録された。13C尿素呼気試験の陽性例に1週間の除菌治療を行う群あるいはPPI投与のみを行う群に無作為に割り付け、その後の患者管理は各GPの裁量に任された。費用効果はEQ-5Dを用いて生活の質で調整した生存年数(QALY)ごとのコストを算出し、消化不良症状に対する1年後の効果は略式Leeds 消化不良質問票のスコア、医療資源の使用度、患者満足度で評価した。ピロリ菌検査・除菌とPPIの費用効果は同等ピロリ菌検査には343例が割り付けられ、100例が陽性であった。そのうち78%が除菌に成功した。PPI治療には356例が割り付けられ、28日間にわたり治療が行われた。1年後の時点で、両群間にQALY、コスト、消化不良症状に差は認めなかった。初診時のピロリ菌の検査・除菌のコストは、1年後にはコスト抑制効果によって相殺されてPPI治療群と同等となった。Delaney氏は、「消化不良の初期治療におけるピロリ菌検査・除菌とPPI投与の費用効果は同等であった。PPIによる胃酸分泌抑制はプライマリ・ケアの初期治療において適切な治療戦略である」と結論している。また、同氏は「全体として両治療群のコストに差はないので、初診時にピロリ菌の検査を行うか、持続的な症状の評価のみを行うかは、各GPが個々の患者と相談して決めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2903.

第6回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナー

2008年3月20、21日に福岡国際会議場において開催された「第6回日本臨床腫瘍学会学術集会」に先立ち、19日にプレスセミナーが開催された。そのなかで、「承認相次ぐ分子標的治療薬-世界標準を見据えて-」についてレポートする。初めに、東京医科大学病院呼吸器外科の坪井正博氏より、非小細胞肺癌:エルロチニブ<上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤>が紹介された。国内外の臨床成績、ガイドラインの位置づけ、ゲフィチニブとの違いを紹介した。両剤とも、効果の得られやすい症例に使用したほうが良いと考えられ、その効果が期待できる集団として女性、非喫煙者などをあげたが、まだ明確な根拠はないという。エルロチニブは2次、3次治療として期待できる薬剤ではあるが、肺障害のリスクなどもあるため、リスクとベネフィットのバランスを患者さんと相談しながら薬剤選択することが重要とまとめた。続いて、東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科の薄井紀子氏より慢性骨髄性白血病(以下CML):分子標的療法の現状と課題が紹介された。薄井氏は、CMLの病態・治療についての概要、分子標的薬イマチニブ<ABLチロシンキナーゼ阻害剤>の治療成績、耐性の問題を紹介した。続いて新規チロシンキナーゼ阻害剤、ダサチニブ、ニロチニブなどについて、それぞれの特徴を交えて解説した。最後に薄井氏は、イマチニブをきちんと使うことが一番重要であり、イマチニブ耐性・無効例には変異に応じた薬剤を選択する時代になってくるだろう、その治療法はデータに基づき、きちんと選択しなければならないと結んだ。次に、国立がんセンター東病院内科の大津敦氏より、大腸がん:セツキシマブが紹介された。セツキシマブは2008年3月現在、未承認であることを冒頭に述べ、EGFRについて解説した。続いてセツキシマブの作用機序、特徴、海外・国内臨床成績、安全性を紹介し、大腸がん領域において、アバスチン、セツキシマブの登場により、本邦も海外と同じレベルの治療が出来るようになる、とまとめた。まとめとして、癌研究会有明病院化学療法科の畠清彦氏が、それぞれの講演におけるポイントを紹介し、さらに新規分子標的薬承認に向けて今後わが国において必要とされる対応について述べた。最後のディスカッションにおいては、韓国に比べて日本における申請から承認までの期間が長いこと、治験が中国や韓国に流れていること、分子標的治療薬では医療費が高額となり治療を続けられない患者さんが存在することなど、今後、解決していくべき問題があがった。

2904.

「空腹時血糖値≧126mg/dL」に合理性なし?

WHOならびにADAが採用している空腹時血糖値(FPG)正常上限「126mg/dL」は、これを超えると細小血管症のリスクが増加する値だとWHOでは解説している(WHO/NCD NCS/99.2) 。これに対しUniversity of MelbourneのTien Y Wong氏らは、Lancet 誌2008年3月1日号において、そのような閾値は存在しないと主張している。 3つの横断研究でFPGと網膜症の関係を検討同氏らが依って立つのは、大規模な横断的住民研究3件、Blue Mountains Eye(BME)研究(3,162例)、Australian Diabetes、Obesity and Lifestyle(ADOL)研究(2,182例)とMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA:6,079例)──である。これらのデータより糖尿病性網膜症の発症が増加するFPG閾値を求めたが、MESAでは明白な値が得られず、BMS研究では93.6mg/dL、ADOL研究では113.4mg/dLだった。モデルを変更して解析し直しても、閾値はやはり得られなかったという。また「FPG≧126mg/dL」の糖尿病性網膜症に対する感度は40%しかなかった。規準の見直しが必要だこれらよりWong氏らは、FPG規準の見直しが必要だと主張している。しかしWHOガイドラインが126mg/dLをFPG閾値としているのは糖負荷後2時間値の200mg/dLと相関するというのが主たる理由であり、細小血管症との相関は副次的な扱いとなっている。(宇津貴史:医学レポーター)

2905.

救急外来受診例の約半数に深部静脈血栓リスク。予防は不十分

救急外来を受診後入院例で、外科的治療の適応となった患者の6割以上、内科的治療適応例の4割以上が、深部静脈血栓(DVT)のリスクを有しているが、それらのうち深部静脈塞栓(DVE)の予防措置を受けていたのは50.2%だった──とする国際的横断研究の結果がLancet誌2008年2月2日号に掲載された。研究の名称はENDORSE(Epidemiologic International Day for the Evaluation of Patients at Risk for Venous Thromboembolism in the Acute Hospital Care Setting)。King’s College Hospital(英国)のAlexander T Cohen氏らによる論文である。32ヵ国7万例弱で検討本研究には世界32ヵ国の358施設(50床以上)で救急外来を受診し入院した68,183例が登録された。内訳は、内科的治療を受けた40歳以上の37,356例と外科的治療の適応となった18歳以上の30,827例である。入院後、DVTリスクが調べられた。リスク評価には、米国胸部疾患学会(ACCP)が2004年刊行した「静脈血栓塞栓予防」ガイドラインを用いた。予防が行われていたのは外科的治療例58.5%、内科的治療例39.5%その結果、外科的治療例の64.4%、内科的治療例の41.5%にDVTリスクが認められた。東南アジアから唯一参加していたタイのリスクも世界平均と同様で、DVTリスクを認めた患者は、外科62%、内科49%だった。次に、これらのDVTリスクを認める患者において、上記ACCPガイドラインが推奨する深部静脈塞栓(DVE)の予防が行われていた割合を見ると、外科的治療58.5%、内科的治療39.5%だった。これらよりCohen氏らは、DVTリスクを持つ入院患者は多いにもかかわらず、適切な予防措置がとられていないと結論している。なお、上記ACCPガイドラインでは手術後「DVT低リスク」群に対しては、「早期からの“積極的”歩行」を推奨するが特にDVE予防措置をとる必要はないとしているが、本研究では術後「低リスク群」の34%が何らかの「予防措置」を受けていた。(宇津貴史:医学レポーター)

2906.

地域救急医療システムの有効稼働には救急救命士の力が必要

ST上昇型心筋梗塞に対する、冠動脈カテーテル治療(PCI)実施のガイドラインは90分以内とされている。この基準に関して、よく訓練された救急救命士によって指定されたPCI専門センターに直接患者を搬送したほうが、救急治療部の医師が仲介をして転送した場合よりも達成率が高く、PCI実施のための地域体制構築の重要なポイントであることを、カナダ・オタワ大学心臓学研究所のMichel R. Le May氏らが報告した。NEJM誌2008年1月17日号より。全市的な初回PCIアプローチを開発ST上昇型心筋梗塞を起こした患者に対してまずPCIを行うことは、血流の再灌流のためには血栓溶解療法より優れており、患者の病院搬入からバルーン処置までの時間(door-to-balloon time)は90分以内に行うべきとされている。この目標を達成するためには、地域体制をいかに構築するかにかかっていることからMay氏らは、オタワ市において、ST上昇型心筋梗塞を起こしたすべての患者が初回PCIを専門センターで受けられるよう統合的大都市圏アプローチを開発した。そのポイントとして、door-to-balloon timeが、心電図解釈の訓練を受けた救急救命士によって救急現場から直接送り込まれた場合と、救急治療部の医師から転送された場合に差があるかどうかを検証した。救急救命士による搬入は8割が基準クリア2005年5月1日から2006年4月30日の1年間に、PCI専門施設に対し初回PCIを実施するよう依頼があったST上昇型心筋梗塞の患者は計344例。救急現場から直接搬入された患者が135例、救急治療部から引き継がれた患者が209例で、初回PCIは全体の93.6%に実行された。door-to-balloon timeの中央値は、救急現場から搬入された患者は69分(四分位範囲43~87分)で、病院間の搬送が必要だった患者の123分(同101~153分)より短かった(P

2907.

最重症肺炎患児に対するアンピシリン+ゲンタマイシンの有効性を確認

種々のバクテリアによって引き起こされる最重症市中肺炎は死亡率が高く、クロラムフェニコールの注射が標準治療とされるが厳格な検証はなされていない。Rai Asghar氏(パキスタン、ラワルピンディ総合病院)らは、医療資源が乏しい状況において最重症市中肺炎に罹患した生後2~59ヵ月の患児に対しては、アンピシリン+ゲンタマイシンがクロラムフェニコールよりも有効なことを明らかにした。BMJ誌2008年1月12日号(オンライン版1月8日号)掲載の報告。7ヵ国が参加した無作為化試験SPEAR(Severe Pneumonia Evaluation Antimicrobial Research)studyは、生後2~59ヵ月の最重症肺炎患児(WHO判定規準)を対象にクロラムフェニコールとアンピシリン+ゲンタマイシンの有効性を比較する無作為化試験。2000年8月~2004年4月の間にバングラデシュ、エクアドル、インド、メキシコ、パキスタン、イエメン、ザンビアの3次病院に入院した958例が登録され、クロラムフェニコール群に479例が、アンピシリン+ゲンタマイシン群に479例が無作為に割り付けられた。5日、10日、21日目の治療無効率はクロラムフェニコール群で高い主要評価項目である5日目における治療無効率は、クロラムフェニコール群の16%に対しアンピシリン+ゲンタマイシン群は11%と有意に低かった[相対リスク(RR):1.43)]。副次評価項目である10日目(19% vs. 14%、RR:1.37)および21日目(22% vs. 16%、RR:1.34)も、同様にアンピシリン+ゲンタマイシン群で優れていた。110例(11.5%)の血液および肺吸引物から112のバクテリアが単離され、そのうち黄色ブドウ球菌が47ともっとも多く、次いで肺炎球菌が22であった。菌血症はクロラムフェニコール群で21日目の治療無効のリスクを増大させたが(RR:2.09)、アンピシリン+ゲンタマイシン群では増大しなかった(RR:1.12)。同様に、肺炎球菌はクロラムフェニコール群において21日目の治療無効(RR:4.06)および死亡(RR:5.80)のリスクを増大させた。多変量解析では、治療無効の独立の予測因子として低酸素血症、クロラムフェニコール治療、女児、免疫抑制状態が挙げられた。以上により、Asghar氏は「医療資源が乏しい状況では、最重症肺炎患児の治療としてクロラムフェニコールよりもアンピシリン+ゲンタマイシンの効果が優れる」と結論し、「これらの知見は、最重症肺炎の第一選択薬としてクロラムフェニコールを推奨しているWHOガイドラインの改定時に大きな影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

2908.

入院患者心停止への除細動の遅れは日常茶飯事

心肺蘇生法に関する国際ガイドラインでは、院内で心室性不整脈による心停止が起きた場合、2分以内に除細動を行うことを推奨している。しかしこれまで、その現場レベルの実証データは、ほとんど報告されていない。本研究は米国心臓協会(AHA)が、米国内の医療機関の実態について報告したもので、処置の遅れはどれぐらいあるのか、処置の遅れと生存率との関係について報告している。NEJM誌2008年1月3日号より。全米369病院で心停止患者6,789例を調査本研究は、米国心臓協会(AHA)の米国心肺蘇生登録に参加している369の医療機関から、心室細動または無脈性心室頻拍で心停止を起こした患者6,789例を同定して行われた。多変量ロジスティック回帰を用いて除細動の遅れに伴う影響を確かめ、さらに、患者・病院特性の違いを補正したうえで、除細動が2分以上経ってから行われた場合と、生存退院率との関連性を検討している。3割で除細動実施に遅れ心停止から除細動実施までの時間の中央値は1分(四分位範囲:1分未満~3分)だったが、一方で除細動の遅れは全体の30.1 %(2,045例)で起きていた。患者の生存退院率は、除細動が推奨時間以内なら39.3%、遅れた場合は22.2%で、有意な差がみられた(補正オッズ比0.48、95%信頼区間:0.42~0.54、P

2909.

小児の重症肺炎は高用量経口アモキシシリンにより家庭で治療可能

開発途上国では、毎年、下部気道の急性感染症により5歳以下の小児が200万人以上の死亡している。WHOのガイドラインでは、重症肺炎は非経口抗生物質による病院での治療が推奨されている。パキスタン医科学研究所小児病院のTabish Hazir氏は、重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭での治療の有用性を確認、Lancet誌2008年1月5日号で報告した。肺炎小児2,037例を入院治療と家庭治療に無作為に割り付け本試験はパキスタンの5都市7施設で実施された無作為化試験である。対象は、2005年2月~2006年8月の間に咳、呼吸困難あるいはその両方のために小児科を受診した生後3~59か月の小児2,037例。入院にてアモキシシリン(100mg/kg/日)を48時間静注投与したのち経口薬(シロップ80~90mg/kg/日)を3日間投与する群(入院治療群:1,012例)あるいは家庭で経口アモキシシリン(シロップ80~90mg/kg/日)を5日間投与する群(家庭治療群:1,025例)に無作為に割り付けた。フォローアップは登録後第1、3、6、14日に行い、主要評価項目は第6日までに確認された治療無効(臨床的増悪)とした。両群で効果は同等、WHO勧告は改訂すべきper-protocol解析では、入院治療群の36例および家庭治療群の37例がおもにプロトコール違反あるいはフォローアップ不可を理由に除外された。第6日までの臨床的増悪は、入院治療群の87例(8.6%)に、家庭治療群では77例(7.5%)に認められた(リスク差:1.1%、95%信頼区間:-1.3~3.5)。登録後14日までに5例(0.2%)が死亡した(入院治療群:4例、家庭治療群:1例)。いずれの症例も死亡の前に臨床的増悪が確認されており、抗生物質が変更されていた。治療関連死はみられず、重篤な有害事象も報告されなかった。以上の結果により、Hazir氏は「合併症のない重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭治療は現在の標準治療として推奨されている入院によるアモキシシリン治療と同等の効果を示すことが明らかとなった」と結論し、「重症肺炎の治療に関するWHO勧告は改訂する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2910.

製薬会社スポンサー付きのメタ解析は解釈に疑問が

単独の製薬会社と経済的つながりを持つメタ解析では、解析結果は影響を受けないが、結論はその会社に好ましい内容になる傾向があるという。スタンフォード大学のVeronica Yank氏らによる検討で、BMJ誌オンライン版11月16日付けで早期公開、本誌12月8日号で報告されている。単独スポンサー付きメタ解析では、結果と結論の不一致が37%にYank氏らは2004年12月までに出版された降圧薬臨床試験のメタ解析から、重複を除いた124解析を抽出した。40%にあたる49解析が単独の製薬会社から資金提供を受けていた。まず製薬会社に好ましい「解析結果」をもたらす要因を単変量解析で求めると、「試験の高品質」、「バラツキ検定の実行」、「感度解析の実行」が有意な因子であり、「単独製薬会社との経済的つながり」は有意な因子となっていなかった。製薬会社に好ましい「結論」をもたらす因子は、唯一「単独製薬会社との経済的つながり」だけが有意だった。事実、単独製薬会社と経済的つながりのあるメタ解析では、当該会社製品の有用性を示す結果が得られていたのは27解析(55%)だったにもかかわらず、45解析(92%)がその薬剤が有用であると結論しており、結果と結論の不一致が18解析(37%)に認められた。スポンサーなしの場合の不一致はゼロ一方、複数製薬会社と経済的につながりのあるメタ解析14件では不一致率21%、経済的つながりの明記されていない25試験では12%、製薬会社以外と経済的つながりを持つ36解析では、結果と結論の不一致は1つもなかった。Yank氏らは結果と結論が一致していないメタ解析を掲載した編集者とピアレビュアーを指摘している。「データの解釈に問題がある」のであれば、いわゆる「総説」さらに「ガイドライン」も同様の問題を内包している可能性がある。元New England Journal of Medicine編集長だったJerome P. Kassirer氏は著書「On The Take(買収の危機)」(Oxford Press、2005)において、具体的事例を挙げながら警告を発している。(宇津貴史:医学レポーター)

2911.

心肺フィットネスは高齢者の死亡予測因子

身体活動および有酸素能力のレベルは年齢と共に減少し、一方で肥満症の有病率は年齢と共に増大する傾向がある。それにもかかわらず高齢者の心肺フィットネスおよび肥満と、死亡との関連についてはこれまで十分に調査検討されていない。そこで、サウスカロライナ大学アーノルド公衆衛生学校(アメリカ)運動科学部門のXuemei Sui氏らが調査を行い報告した。JAMA誌12月5日号より。60歳以上2,603人の心肺フィットネス、肥満と死亡との関連を調査研究対象は、1979~2001年の間に基線健康診査を受けエアロビクスセンター縦断研究に登録された60歳以上の2,603人。平均年齢64.4歳(SD 4.8)、女性が19.8%を占める。心肺フィットネスの評価は最大運動負荷試験にて行い、性特異的分布による最低5分位を低心肺フィットネスと定義した。肥満症の評価はBMI、腹囲、体脂肪率で行い、臨床ガイドラインに従ってグループ分けされた。主要評価項目は、2003年12月31日までの全死亡。死亡率は低心肺フィットネス群32.6、高心肺フィットネス群8.1平均追跡期間12年、31,236人年のうち死亡数は450人だった。1,000人年の死亡率(年齢、性、検査年補正後)は、BMI 18.5~24.9群、25.0~29.9群、30.0~34.9群、35.0以上群でそれぞれ13.9、13.3、18.3、31.8であった(P=0.01)。正常腹囲群では13.3、高腹囲群(女性88 cm以上、男性102 cm以上)では18.2(いずれもP=0.004)、標準体脂肪率群では13.7、高体脂肪率群(女性30%以上、男性25%以上)では14.6(いずれもP=0.51)だった。心肺フィットネスでは5分位増加ごとに32.6、16.6、12.8、12.3、8.1(P

2912.

一般医への1日集中トレーニングで患者の服薬コンプライアンス改善

一般医を対象に高血圧治療に関する集中トレーニングを1日行うだけで、患者の服薬コンプライアンスが有意に改善することが初めて、地域住民を対象とした無作為化試験により確認された。Aga Khan University(パキスタン)のNudrat Noor Qureshi氏らによる報告として、BMJ誌オンライン版11月8日付け早期公開、本誌11月17日号で掲載された。治療アルゴリズムと診療態度を指導本研究では、一般医にて高血圧治療を受けているカラチ住民178例を、受診しているクリニックを基準にクラスター無作為化により、医師「トレーニング」群(81例)と「対照」群(97例)に割り付けた。両群の患者背景に有意差はない。「トレーニング」群に割り付けられた医師たちは1日かけて集中講義を受け、各国高血圧ガイドラインに沿った治療アルゴリズムと、患者に対する十分かつ適切な態度と説明方法を解説された(外務省の情報によると、パキスタンではまだ「『患者を診てやる!』という姿勢が主流」とのこと)。また降圧治療のマニュアル並びにポスターが配布された。一方、対照群の医師は何ら特別な講習は受けていない。降圧薬服薬率はトレーニング群48%、対照群32.4%その結果、受診6週間後の降圧薬服用率は、「トレーニング」群の医師を受診した患者では48%(95%信頼区間:35.8~60.4%)で、32.4%(95%信頼区間:22.6~42.3%)の「対照」群に比べ有意に高かった(p=0.048)。両群で処方された薬剤の詳細は不明だが、降圧薬にかかるコストに有意差はなかった。「指示通りの服薬」に影響を与える有意な因子を多変量解析で探ったところ、医師側の要因としては「服薬の目的を患者に説明」という項目が残った。確かに「トレーニング」群では服薬目的を患者に説明する医師が「対照」群に比べ有意に多かったが、それでも37%のみだった(p=0.01、vs 「対照」群:17%)。著者はこれらより、医師からの患者へのコミュニケーションの重要さを訴え、特に人的資源が限られている発展途上国ではこのようなアプローチが必要だろうと結論している。なお社会経済的にパキスタンの対極に位置する米国では,薬剤師による指導が服薬コンプライアンスを改善するという無作為化試験が報告されている (FAME Study. JAMA 2006; 296: 2563)。 (宇津貴史:医学レポーター)

2913.

上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨されている。 I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの程度低下させられるかについて検討した。BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを抗生物質投与群と非投与群において比較した。主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質による治療コース数とした。重篤な合併症の続発はまれ、高齢者の肺炎リスクは高い中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要であった。肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと高齢者で実質的な予防効果が認められた。肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されないPetersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは正当化されない」と結論している。また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

2914.

急性腰痛では第一選択治療に第二選択治療を併用しても回復は早まらない

国際的な急性腰痛治療ガイドラインでは、プライマリケア医(GP)は第一選択の治療法として患者へのアドバイス(活動性を維持、ベッド安静を避ける、予後は良好と話して安心させる)およびパラセタモール(アセトアミノフェン)の投与が推奨されている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および脊椎手技療法(spinal manipulative therapy; SMT)は回復が遅い場合の第二選択治療とされる。 Mark J. Hancock氏(オーストラリア・シドニー大学背部痛研究グループ)らは、推奨される第一選択治療を受けた急性腰痛患者において、NSAID、SMTもしくはその両方の追加治療により回復が迅速化するかを検討する無作為化対照比較試験を行った。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。第一選択治療を受けた急性腰痛240例を4つの治療群に無作為割り付け2005年6月~2006年10月までに14施設19名のGPから240例の急性腰痛患者が登録された。これらの対象患者は、アドバイスとパラセタモールの投与を受け、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられた。1)ジクロフェナク50mg(1日2回)+プラセボSMT(60例)、2)SMT+プラセボ薬(60例)、3)ジクロフェナク50mg(1日2回)+SMT(60例)、4)プラセボ薬+プラセボSMT(60例)。主要評価項目は腰痛からの回復に要する日数とし、評価にはlog-rank検定を用いintention-to-treat解析を行った。NSAID、SMTを追加しても、回復は早まらないジクロフェナク、SMTはともに、それぞれのプラセボに比べ回復までの日数を短縮しなかった(ジクロフェナクのハザード比:1.09、p=0.516、SMTのハザード比:1.01、p=0.955)。240例中237例(99%)は無作為化後12週の時点で回復あるいは打ち切りとなった。22例に胃腸障害、めまい、動悸などの有害事象がみられ、これらの半数はジクロフェナク、残り半数はプラセボ薬の投与を受けていた。ジクロフェナク投与を受けた1例では過敏反応が疑われたため治療を中止した。第一選択治療が有効な場合は、GPは自信をもって治療を進めてよいHancock氏は、「推奨される第一選択治療を受けた急性腰痛患者に、ジクロフェナクもしくはSMTを併用しても回復は迅速化しない」と結論している。同氏はまた、「本試験の結果はNSAID、SMTがもたらすリスクおよびコストの点でも重要」とし、「第一選択治療の有効性が高い場合には、GPは患者をこれらのリスクやコストの上昇にさらすことなく、自信をもって治療を進めることができる」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

2915.

世界初の選択的アルドステロンブロッカー「セララ」発売

ファイザー株式会社(東京都渋谷区)は、11月13日(火)に、選択的アルドステロンブロッカー「セララ錠25mg/50mg/100mg」(一般名:エプレレノン)を発売する。アルドステロンの受容体であるミネラロコルチコイド受容体に選択的に結合することにより、アルドステロンの有害作用をブロックして、血圧降下や臓器保護を示す。単独、併用双方で優れた降圧効果を示すほか、1日1回投与で、24時間良好な降圧効果を発揮する。また、長期投与でも安定した血圧コントロールを可能とするという。日米欧の診療ガイドライン(GL)で、心疾患に伴う高血圧治療薬として紹介されており、現在、すでに日本を含めて世界64カ国で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2007/2007_11_07.html

2916.

高血圧性心肥大の除外に心電図は不適

大規模試験おける一般的な左室肥大検出法である心電図だが、臨床において左室肥大の「除外」に用いるのは必ずしも妥当ではない可能性が出てきた。University of Bern(スイス)のDaniel Pewsner氏らが体系的レビューとしてBMJ誌HPにて早期公表した(8月28日付、その後本誌10月6日号に掲載)。感度は最高で21%Pewsner氏らは高血圧患者を対象に左室肥大を心電図と心エコーの両方で評価している21試験、5,608例のデータを用い、心電図による左室肥大検出の正確さを検討した。心電図上左室肥大の指標としては Sokolow-Lyon index、Cornell voltage indexなど6種、それぞれ別個に検討された。すると心電図による左室肥大検出は、特異度こそ高い(中央値:89~99%)が、感度は低かった(中央値:10.5~21%)。陽性尤度比は最低で1.90という低値もまた陰性尤度比(特異度/偽陰性率)は0.85~0.91(中央値)とバラツキが小さい一方、陽性尤度比(感度/偽陽性率)は Romhilt-Estes scoreの5.90からSokolow-Lyon indexの1.90まで多様にわたった(中央値)。ちなみに最も古いSokolow-Lyon indexよりも明らかに優れている規準は、存在しなかった。JNCはどう変わるかこれらよりPewsner氏らは「左室肥大の除外に心電図を用いるべきではない」と結論する。現在の米国高血圧ガイドラインJNC7では治療開始前のルーチンな心電図検査は推奨しているが心エコーには言及がないため、心電図による心肥大評価を推奨しているようにも読める。次回改訂でこの点に変化があるか興味深いところである。(宇津貴史:医学レポーター)

2917.

グリタゾン系薬により心不全増加するも心血管系死亡率は不変:メタ解析

AHA・ADAによるコンセンサスガイドライン(2003年)では、「インスリン療法例」と「多リスクファクター例」以外では「心不全発症リスクが極めて低い」とされたグリタゾン系薬剤だが、約20,000例を対象としたメタ解析の結果、プラセボ・他剤に比べ心不全発症リスクの有意な増加が確認された。ただし心血管系死亡の有意な増加は認められていない。Lancet誌9月29日号に米国Lahey Clinic Medical CenterのRodrigo M Lago氏らが報告した。心不全発症は有意に増加対象となったのは前糖尿病・2型糖尿病患者においてグリタゾン系薬剤が検討された無作為化二重盲検試験。7試験、20,191例(rosiglitazone:5試験、14,491例、ピオグリタゾン:2試験、5,700例)で解析が行われた。平均29.7ヵ月の追跡期間中、360例の心不全発症が報告されており、グリタゾン系群における発症リスクは対照群の1.72(95%信頼区間:1.21-2.42)倍と有意に増加していた。Rosiglitazone群、ピオグリタゾン群に分けて解析しても同様で、心不全発症リスクの増加は有意だった。心血管系死亡は減少傾向しかし心血管系死亡のリスクはrosiglitazone、ピオグリタゾン群いずれも、対照群に比べ低下傾向を示していた。このため筆者らは「グリタゾン系により増加する心不全が左室リモデリングを伴う通常の心不全と異なる可能性」を示唆するとともに「心不全から死に至るには追跡期間が短すぎる」点も認めている。なお現在、rosiglitazoneによる心血管系イベントへの影響を検討する大規模試験RECORDが進行中である。(宇津貴史:医学レポーター)

2918.

うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。介入6ヵ月毎にうつ重症度と作業能力を評価試験は、行動保健プランでカバーされる604例の労働者を対象に行われ、うつ病は2段階スクリーニングで同定された。患者の治療割当と、6・12ヵ月後のうつ重症度と作業能力の評価結果は公表されず、難治性の躁うつ病や薬物依存症の者、最近精神専門治療を受けた者、また自殺傾向のある労働者は除外された。電話アウトリーチとケア管理プログラムでは、労働者に外来治療(精神療法および/または薬物療法)を受診するよう促し、治療の質を連続モニターして医療提供者に忠告を与えることで、治療が向上するよう試みた。外来治療を嫌がる対象者には、電話による体系的な認知行動精神療法が提供された。主要評価項目は、うつ重症度(QIDSによる評価:Quick Inventory of Depressive Symptomatology)と作業能力(HPQによる評価:WHO Health and Productivity Questionnaire。労働継続率、労働から外れた時間、作業能力、職場で起こしたインシデントを自己評価で報告する方法)。系統的治療プラグラムで労働生産性が向上6ヵ月後と12ヵ月後の評価データを組み合わせると介入群は、QIDSの自己報告スコアは有意に低く(回復の相対確率1.4、95%信頼区間:1.1-2.0、P=0.009)、維持率は有意に高く(同1.7、1.1-3.3、P=0.02)、介入期間を通して通常ケア群より有意に多くの時間労働したことが明らかになった(β=2.0、P=0.02、年換算では2週間分の労働に等しい)。研究グループはこれらから、うつ病を同定し系統的プログラムを行うことは、臨床的な予後改善ばかりでなく職場アウトカムをも有意に改善すると報告。雇用復帰と訓練、給与コストに関する後者の財政的価値は多くの雇用者に、うつ病治療プログラムは投資収益を生むものであると認識させ、治療に前向きに取り組むようになるだろうとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

2919.

B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

2920.

「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

検索結果 合計:2929件 表示位置:2901 - 2920