サイト内検索|page:6

検索結果 合計:119件 表示位置:101 - 119

101.

術後タモキシフェン5年投与、ER陽性乳がんの再発・死亡リスクを長期に低減

タモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を用いた5年間の術後補助内分泌療法は、エストロゲン受容体(ER)陽性の早期乳がん患者の10年再発および15年乳がん死のリスクを有意に低下させることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG)の検討で示された。術後TAM 5年投与の臨床試験の無作為割り付け後の追跡期間が10年を超えるようになり、乳がん死や他の死因による死亡に及ぼす効果、さらにホルモン受容体が弱陽性の患者に対する効果の評価が可能な状況が整いつつあるという。Lancet誌2011年8月27日号(オンライン版2011年7月29日号)掲載の報告。20の無作為化試験の個々の患者データを解析EBCTCGは、早期乳がんの術後補助内分泌療法としてのTAMの5年投与に関する無作為化試験のメタ解析を行い、ホルモン受容体の発現状況などの背景因子が本治療法の長期的な転帰に及ぼす影響について評価した。解析には、早期乳がんに対する術後TAM 5年投与と非投与を比較した20の無作為化試験に参加した2万1,457例の個々の患者データを用いた。全体の服薬コンプライアンスは約80%であった。log-rank検定を行って再発および死亡の率比(rate ratio; RR)を算出した。服薬コンプライアンスが十分であれば、全ER陽性例で死亡リスクが約3分の1低下ER陽性例(1万645例)では、治療開始から10年間の再発率はTAM群のほうが非TAM群に比べ有意に低下しており、RRは0~4年が0.53(SE 0.03)、5~9年は0.68(SE 0.06)であった(いずれも2p<0.00001)。しかし、10~14年のRRは0.97(SE 0.10)であり、治療期間が10年以降になると、TAMによる再発抑制効果はそれ以上高くも低くもならないことが示唆された。ER弱陽性(1mgのサイトゾル蛋白当たり10~19fmol)例においても、RRは0.67(SE 0.08)と、TAMによる再発抑制効果が確認された。ER陽性例における再発のRRには、プロゲステロン受容体(PgR)の陽性/陰性や陽性の程度、年齢、リンパ節転移の有無、化学療法の有無の影響はほとんどなかった。乳がんによる死亡率は、治療開始から15年で約3分の1低下しており、RRは0~4年が0.71(SE 0.05)、5~9年は0.66(SE 0.05)、10~14年は0.68(SE 0.08)であった(いずれも超過死亡率低下のp<0.0001)。ERの状態は、リスク低下に関する唯一の有意な予測因子TAMは、55歳以上の患者でのみ血栓塞栓症および子宮がんによる死亡のリスクをわずかに上昇させたものの、非乳がん死亡にはほとんど影響を及ぼさず、したがって全死因死亡は非TAM群に比べて有意に低かった。ER陰性例では、TAM投与による乳がんの再発、死亡への影響は認めなかった。著者は、「術後のTAM 5年投与は、早期乳がんの再発および乳がん死のリスクを10~15年にわたり低下させ、安全性にも問題はなかった。ERの状態は、リスク低下に関する唯一の有意な予測因子であった」と結論し、「弱陽性を含むすべてのER陽性乳がん患者では、服薬コンプライアンスが十分であれば、術後TAM 5年投与によって15年間の乳がん死のリスクが、術後補助内分泌療法を施行しない場合に比べ、少なくとも約3分の1低減することが示された」としている。(菅野守:医学ライター)

102.

ターナー症候群、成長ホルモン+小児期エストロゲン補充療法にベネフィットの可能性

低身長と卵巣機能不全を特徴とするターナー症候群について、成長ホルモン+小児期のエストロゲン補充療法の併用効果に関する二重盲検プラセボ対照臨床試験が、米国・トーマス・ジェファーソン大学のJudith L. Ross氏らにより行われた。低身長には一般に組換え型ヒト成長ホルモンが用いられるが、それにより成人身長が高くなるのかについてこれまで無作為化プラセボ対照試験は行われておらず、また小児期にエストロゲン補充療法を行うことによる付加的なベネフィットの検証も行われていなかった。NEJM誌2011年3月31日号掲載より。女児149例を対象に二重盲検プラセボ対照臨床試験Ross氏らは、ターナー症候群を有する女児を対象に、成長ホルモンと早期の超低用量エストロゲン補充療法の単独もしくは併用投与の、成人身長への効果を検討した。5.0~12.5歳の女児149例を、ダブルプラセボ群(39例)、エストロゲン単独群(40例)、成長ホルモン単独群(35例)、成長ホルモン+エストロゲン併用群(35例)の4群に無作為に割り付け追跡した。成長ホルモンは0.1mg/kg体重を週3回投与、エストロゲン(エチニルエストラジオール)は暦年齢と思春期状態により調整し投与した。エチニルエストラジオールは、12歳以後最初の受診時に、すべての治療群の患者に漸増投与が行われた。成長ホルモンの注射投与は成人身長に達した時点で終了された。プラセボとの比較で成長ホルモンの効果は標準偏差スコア0.78±0.13、5.0cm平均年齢17.0±1.0歳、平均試験期間7.2±2.5年後の成人身長に関する平均標準偏差スコアは、ダブルプラセボ群-2.81±0.85、エストロゲン単独群-3.39±0.74、成長ホルモン単独群-2.29±1.10、併用群-2.10±1.02だった(P<0.001)。成長ホルモンの成人身長に対する全体的な効果(対プラセボ)は、標準偏差スコア0.78±0.13、5.0cmだった(P<0.001)。成人身長は、併用群が成長ホルモン単独群よりも標準偏差スコアで0.32±0.17、2.1cm大きく(P=0.059)、わずかではあるが、小児期超低用量エチニルエストラジオールと成長ホルモンとの相乗効果が示唆された。Ross氏は、「本試験により、ターナー症候群患者への成長ホルモン治療により成人身長が高くなることが示された。また小児期超低用量エストロゲンの併用により成長改善の可能性があり、エストロゲン補充療法の早期開始によりその他のベネフィットが得られる可能性があることが示唆された」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

103.

閉経後女性へのホルモン補充療法、乳がん死亡リスクも増加の傾向

閉経後女性への、エストロゲン+プロゲスチンのホルモン補充療法は、侵襲性乳がんやリンパ節転移陽性のリスクが増加すること、乳がんによる死亡のリスクも同併用療法とともに増加する傾向にあることが報告された。米国UCLAメディカルセンターのRowan T. Chlebowski氏らが、約1万7,000人の女性をおよそ11年追跡した「Women’s Health Initiative」(WHI)から明らかにしたもので、JAMA誌2010年10月20日号で発表した。すでに発表された追跡期間約8年のWHIの結果で、エストロゲン+プロゲスチン投与により乳がんリスクが増加することは明らかになっていたが、乳がん死亡率については未報告だった。閉経後女性1万6,608人を平均11年追跡WHIは、米国内40ヵ所の医療機関を通じ、50~79歳の閉経後の女性で子宮摘出術を受けていない1万6,608人を対象に試験が行われた。被験者は無作為に2群に分けられ、一方には結合型ウマエストロゲン0.625mg/日+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg/日の合剤(Prempro)を投与し、もう一方の群にはプラセボが投与された。追跡は、当初2005年3月31日まで予定されていたが、それ以降、当初被験者の83%にあたる生存者1万2,788人について、2009年8月14日まで追跡した。追跡期間の平均値は、11.0年(標準偏差:2.7年)だった。プラセボ群に対し乳がん死亡1.96倍、乳がん発症後総死亡率1.57倍その結果、侵襲性の乳がんを発症したのは、プラセボ群では293人(年率0.34%)だったのに対し、エストロゲン+プロゲスチン群では385人(年率0.42%)と、1.25倍だった(95%信頼区間:1.07~1.46、p=0.004)。両群の乳がんは、組織学的所見、グレードについての差はみられなかったものの、リンパ節転移陽性となったのは、プラセボ群では43人(16.2%)だったのに対し、エストロゲン+プロゲスチン群では81人(23.7%)と、1.78倍に上った(95%信頼区間:1.23~2.58、p=0.03)。また乳がんによる死亡も、プラセボ群が12人(年率0.01%)に対し、エストロゲン+プロゲスチン群が25人(年率0.03%)と、1.96倍だった(同:1.00~4.04、p=0.049)。さらに乳がん発症後の総死亡率も、プラセボ群が31人(年率0.03%)に対し、エストロゲン+プロゲスチン群が51人(年率0.05%)と、1.57倍だった(同:1.01~2.48、p=0.045)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

104.

主任教授 森田峰人先生の答え

子宮内膜症と低用量ピルについて子宮内膜症の治療で低用量ピルを使用することもあるかと思いますが、副作用の発現はどうでしょうか?私自身は内膜症を診るわけではないのですが、患者さんから相談を受けることがあるので、症例数が多いであろう大学病院臨床現場での状況を知りたいです。宜しくお願いします。OC(ピル)はエストロゲン+プロゲストーゲンの配合剤であることはご存じと思います。これらのホルモン依存性に副作用が発生すると考えられます。一般的にエストロゲンとしてエチニルエストラジオールが、プロゲストーゲンとしてノルエチステロン、デソゲストレル、レボノルゲストレルがあり、OCの種類によってこれらの組み合わせや1相性、2相性、3相性が存在します。一般的にエストロゲン依存性の副作用としては、悪心・嘔吐、頭痛、水分貯留、帯下増加などが、プロゲストーゲン依存性の副作用としては、倦怠感、抑うつ感、乳房緊満感などが、アンドロゲン依存性(プロゲストーゲンには男性ホルモン活性があります)の副作用として、体重増加、ニキビ、食欲亢進、性欲亢進、男性化兆候などがあります。これらの副作用発現率は各種プロゲストーゲンの種類により異なるとは思いますが、全体的な副作用発現率として、悪心・嘔吐は1.2~29.2%、頭痛は3.4~15.7%、体重増加は0.8~2.2%、乳房緊満感は0.1~20%等となっており、これらのマイナートラブルは、通常、3か月以内で消失するともいわれています。子宮内膜症患者さんの月経痛改善のための効果ですが、ほとんどの場合効果はあると感じています。しかしながら、OCの各種副作用の発現により、継続しての服用が困難になる場合もあります。そのような場合には、OCの種類を変更することで継続服用が可能になる場合が多々あり、1種類のOCがダメであってもあきらめる必要はありません。子宮頸がんワクチンの効果・副反応について最近、子宮頸がんワクチン接種に関して助成金が出るとか出さないとか、何かと話題になっていますが、そもそもこのワクチン、実際の効果は如何なものなのでしょうか?「日本人には合わない」などおっしゃっている先生もいるようです。また、副反応についても現場の見解を知りたいと思っています。差し支えない範囲で結構ですのでご教授お願いします。現在使われているワクチンはHPVの遺伝子型が16と18に対するものです。日本人の子宮頸がんに関連するHPV遺伝子型が16と18であるものは58.8%(16型44.8%+18型14.0%)と報告されています。海外の報告では16/18が70.7%(16型53.5%+18型17.2%)で、その他31,33,35,51,52,53,56,58,59,68の10の型が31.2%に検出され、その他の型が9.0%であったとなっています。日本人の統計で、このワクチンでHPV16/18型の感染による子宮頸がんの発生を予防できる全体に占める割合は60%弱ということになります。よって、16/18による子宮頸がん発生を100%抑制できるとして、ハイリスクHPV感染者の0.15%ががんになるのを防げる場合の、費用対効果がどうなるのかは現在のところはっきりしていません。さらに大切な事として、日本における子宮頸がん検診率は23%程度であり、この健診率を先進国並みの60~82%に持って行く方法を考える必要があると思います。副反応に関しましては、全てのワクチンに言えることですが、何らかの重篤な合併症が引き起こされる可能性は否定できません。一般的な副反応として、局所の疼痛や発赤は90%程度に認められておりますが、当院での接種に際しては、幸いなことに重篤な副反応には遭遇しておりません。今後、これらの副反応に関しましても日本におけるデータが集積されてくるものと思います。研修について産婦人科医を目指している医学生です。産婦人科医になるにあたり、小児科(NICU)を経験した方が良いと聞きます。また、病院によっては一定期間NICUへ行かせてくれるところもあると聞きます。大森病院さんでも、このように小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりする機会はあるのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、その辺の情報がなかったので教えて頂ければと思います。東邦大学医療センター大森病院でも小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりすることになります。産婦人科のホームページで「入局希望の方へ」を見て頂くと「後期研修プログラム」として1年目に「産科・周産期」と記載してありますが、この期間に3か月間、新生児科(NICU/GCU)の研修を行うことになります。また、後期研修期間中に、「腫瘍」「生殖内分泌」を専門医レベルまで習得してもらうために、2年目「腫瘍」、3年目「生殖内分泌」を主な研修期間としてトータルで3年間での研修計画をたてています。その後に、さらに新生児科での研修を希望される場合には、適時相談により、更に高度な新生児科での研修を行うことも可能です。産科婦人科の専門領域について初期研修中の者です。最近、産婦人科医に興味を持つようになりました。産婦人科の専門領域を大きく分けると、周産期、婦人科腫瘍、生殖医学の3つと教わりましたが、どれを専門にするのか?を決めるのは、通常どの位のタイミングなのでしょうか?また、森田先生はいつ頃、どんな理由で今の専門(婦人科腫瘍でしょうか?)に決めたのでしょうか?場違いな質問でしたら申し訳ありません。宜しくお願いします。後期研修として産婦人科に進んだ場合、まず目指していただくのは産婦人科専門医です。当院でもまずはそれを第1目標にしています。通常、後期研修3年間(初期研修2年とあわせて卒後5年)が終了した時点で専門医の受験資格ができます。それまでは、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」の3本の柱をしっかりと研修し、専門医取得を目指します。通常は、その後に専門性のあるサブスペシャリティの各種指導医や認定医取得、および研究などを行うことになります。自分自身の場合は、卒業が27年前ですので、現在のような初期研修、後期研修制度はなく、卒業して直ちに医局に入局し、2年間の研修医、その後2年間の関連病院での研修の後に、卒後5年目に大学に帰局して研究を始めるとともに、当時、黎明期であった婦人科内視鏡に興味を持ち、臨床では生殖医療や関連する子宮内膜症、子宮筋腫などの診療に携わってきました。自身のおかれている環境によっても、これら専門領域選択に適切な時期や場所が大きく異なる可能性もあります。まずは、興味を持ち、かつ、その領域にすすむ事ができる環境にあるかどうかの見極めは大切なことでないかと思います。また、産婦人科としてのジェネラリストを目指すという道もあります。妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけること妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけていることがありましたらご教授下さい。特に糖尿病専門医との連携方法で気をつけていることや、こうすると上手く行く!といったノウハウをお聞きしたいと思っております。私の病院には糖尿を診れる医師はいないため、いつも他院の先生方との連携になってしまいます。どのように連携するのが良いのか毎日模索している日々です。ご教授お願いします。ご質問いただきました内容に関して、的確にお応えできる回答を持ち合わせておりませんが、他院の先生と連携をとって妊娠糖尿病患者を診ておられるご苦労は大変かと思います。ご存じの対応であるとは思いますが、妊娠糖尿病患者に対しては、食事指導、運動療法からはじまり、妊娠中の運動療法は比較的制限を受けることから、食事療法のみで血糖コントロールが目標に到達しない場合には、迷うことなくインスリン療法を開始する、ということに尽きると思います。男性産婦人科医が気をつけること産婦人科は、女性医師と違って男性医師は色々と気を遣わないといけない科だと思います。先生が男性産婦人科医として気をつけている点を教えてください。産婦人科の診察対象は女性生殖器であることから、最近は、女性医師の診察を希望する患者さんも増加しています。まず、大切なことは、不安を抱いている患者さんに対して、出来るだけその不安を取り除き、適切な診療ができる環境を作り出すことにあります。一言で言い表すのは難しいですが、常に、そのような気持ちで患者さんと接するよう心がけています。また、男性医師は、診察の場面では必ず女性の看護師を同席させることも忘れてはならない事です。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルについて海外に比べた時、日本の産婦人科領域の臨床研究はどの位の位置にいるのでしょうか?また、海外への留学は必要なのでしょうか?僕はまだ医学生なのですが、将来は先生のように研究も臨床もでき、多くの患者さんのライフスタイルにあった治療提案ができるドクターになりたいと思っています。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルは決して諸外国に劣っているとは思いません。しかし、日本人であるが故の不利な点があります。世界で研究に対する評価を得るためには英文論文の執筆は不可欠です。しかしながら、日本ではやはり主に日本語による論文執筆が先になり、英文は後回しになる傾向があるように思えます。もちろん、英文の論文を多数輩出している優れた日本人研究者もたくさんいらっしゃいますが、大変な努力が必要であることは事実です。海外への留学に関する事ですが、この留学は研究留学のことと理解してコメントします。留学には、研究留学と臨床留学がありますが、現在、大多数を占めるのは大学医局からの研究留学です。しかし、研究留学は目的意識を高く持たないと得るものは少ないと思われます。必ずしも留学が必要である理由は存在しないと思います。臨床遺伝について大森病院さんのホームページで、臨床遺伝についての記載がありますがもう少し教えて頂けないでしょうか?今大学病院では、具体的にどんな研究や取り組みが行われているのか?どのような成果を上げているのか興味あります。是非宜しくお願いします。近年、疾患に限らず生命現象ほとんどが遺伝子によって制御されていることが解明され、注目を浴びています。臨床遺伝学は、基礎遺伝学(いわゆる遺伝学)と臨床をつなぐ重要な分野として発展してきています。さらに最近では、生活習慣病などの多因子疾患も、遺伝子が関与している事が判明しています。しかし、遺伝学的検査を行うときに、十分な説明がなされず、施行されたり、結果を適切に判断することが出来ず、誤った説明などがなされ、時に、患者、その家族に誤解を招く場合があります。大森病院には、日本人類遺伝学会、遺伝カウンセリング学会認定の、臨床遺伝専門医が2名(いすれも産婦人科医)がおり、専門医研修施設に認定されています。産婦人科領域、生殖遺伝(挙児希望、習慣流産など)、周産期遺伝(出生前診断、高齢妊娠など)を中心に、火曜日午後、遺伝相談外来として対応しています。また、内科、外科など他科の担当医と協力し、横断的に、遺伝学的検査施行時、結果説明時など患者、その家族と話し合う機会を設けています。窓口は、産婦人科外来となっており、電話にて担当医と受診の予約についてお話しいただけます。妊娠を控えている慢性腎臓病実臨床にて妊娠を控えている慢性腎臓病の患者に対してどのような降圧剤を選択するのがベストか、臨床研究などの結果があれば教えていただければ幸いです.まず、慢性腎臓病合併妊婦では早期に妊娠高血圧症候群をおこして、母児共に予後が悪い事はよく知られております。したがいまして、妊娠前に十分に腎機能検査を行い、GFR 50ml/分以下、血清クレアチニン1.5mg/dl以上、血清尿酸値6.0ng/ml以上、降圧剤投与での血圧160/110mmHg以上、あるいは腎生検にて活動性病変のある者には妊娠を許可すべきではありません。これらの条件をクリアして、血圧の管理を行い、拡張期血圧を90~100mmHgの範囲に、収縮期血圧155~160mmHgを超えない事を目標に、妊娠が成立しても継続して投与が可能な薬剤を選択する事が望まれます。第1選択はヒドララジンもしくはメチルドパになります。また、妊婦に対してはACE阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬は禁忌であり、妊娠前にこれらの薬剤によりコントロールされている場合には薬剤の変更が必要になります。したがいまして、妊娠を目指して降圧剤を使用する場合にはヒドララジンもしくはメチルドパによる良好なコントロールがその後の管理が行いやすい状況にすると思われます。月経か否か性器出血が主訴の患者さんで性成熟期で子宮がある場合、どれが月経なのか不正性器出血なのか分からないと言われます。まず頚部・内膜の細胞診はとり、経膣エコーを見るかと思いますが、産婦人科として出血が月経かどうかを判断する術はあるでしょうか。産後の不正出血などでも(明らかな遺残ではなく)それが月経なのか何なのか判断に迷うことがあります。お教えいただけないでしょうか。 性器出血の様子だけから判断することは困難です。出血の様子に加え経腟超音波所見は重要で、特に子宮内膜の状態は評価に大きく役立ちます。患者さんのもともとの月経周期や体型なども判断材料になる機会は少なくありません。総合的に評価することとなります。総括たくさんの、また様々な内容のご質問をいただきありがとうございました。産婦人科の3本柱は、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」であり、まだまだ伝えきれないほどの魅力ある診療および研究分野がたくさんあります。少しでも興味を持って、産婦人科の世界に入ってきてくれる人たちが増えてくれることを願っています。主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」

105.

4月1日から経口避妊剤「シンフェーズ T28錠」科研製薬より発売へ

科研製薬株式会社は22日、ファイザー株式会社が製造販売承認を有する、経口避妊剤「シンフェーズ T28錠」(一般名:ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)について、4月1日より発売すると発表した。「シンフェーズ T28」は1999年9月に株式会社ツムラより発売され、その後、医療事故防止対策に関する厚生労働省からの通知に基づき、販売名が「シンフェーズ T28錠」に変更され現在に至っているが、2010年3月末日をもって、ツムラによる販売を終了することとなった。4月1日以降については、科研製薬が「シンフェーズ T28錠」を販売する。なお、科研製薬で従来より販売している同一成分薬「ノリニールT28錠」については、引き続き販売を継続するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.kaken.co.jp/nr/release/nr20100122.html

106.

併用ホルモン補充療法は閉経後女性の肺がん死を増やす:WHI試験の事後解析

閉経後女性に対するエストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、肺がんの発症率には影響しないが、肺がん死を増加させることが、アメリカHarbor-UCLA医療センターLos Angelesバイオメディカル研究所のRowan T Chlebowski氏らが行ったWomen’s Health Initiative(WHI)試験の事後解析で示された。併用ホルモン補充療法は骨折や結腸・直腸がんのリスクを減少させるものの、心血管疾患、冠動脈心疾患、脳卒中、静脈血栓塞栓症、乳がんのリスクを増大させることがわかったため、WHI試験は早期中止となっている。Lancet誌2009年10月10日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。肺がん診断女性をフォローアップ期間終了後も追跡した事後解析WHI試験では、プラセボ群よりもエストロゲン+プロゲスチン併用ホルモン補充療法群で発がんリスクが高く、肺がん死が増加する可能性が示唆されたことから、研究グループは、試験期間中に肺がんと診断された女性をフォローアップ期間終了後も追跡して事後解析を行った。WHI試験は、アメリカの40施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験。1993~98年に、50~79歳の子宮を切除していない閉経後女性16,608例が、結合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg(合剤)を1日1回投与する群(8,506例)あるいはプラセボ群(8,102例)に無作為に割り付けられた。試験期間中および追加フォローアップのデータを用いて、全肺がん、小細胞肺がん、非小細胞がんの発症率および死亡率についてintention-to-treat解析を行った。年間肺がん発症率:0.16% vs. 0.13%、年間肺がん死亡率:0.11% vs. 0.06%平均試験期間5.6年および平均追加フォローアップ期間2.4年の時点で肺がんと診断された女性は、併用ホルモン補充療法群が109例(年間発症率:0.16%)、プラセボ群は85例(同:0.13%)であり、両群間に差は見られなかった(ハザード比:1.23、p=0.16)。非小細胞肺がんの発症率も、併用ホルモン補充療法群は96例(年間発症率:0.14%)、プラセボ群は72例(同:0.11%)と、両群で同等であった(ハザード比:1.28、p=0.12)。年間肺がん死亡率は併用ホルモン補充療法群(73例、0.11%)がプラセボ群(40例、0.06%)よりも有意に高く(ハザード比:1.71、p=0.01)、その原因は主に非小細胞肺がんによる死亡率の差[62例(0.09%)vs. 31例(0.05%)、ハザード比:1.87、p=0.004]であった。小細胞肺がんの発症率および死亡率は両群で同等であった。著者は、「エストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン補充療法は、閉経後女性の肺がん発症率には影響しないが、特に非小細胞肺がんによる死亡率を増加させる」と結論し、「これらの知見は、併用ホルモン補充療法を考慮中の女性(肺がんリスクの高い女性の場合は特に)とそのリスク/ベネフィットについて話し合う際に取り入れるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

107.

BSI-201 が転移性トリプルネガティブ乳がんにおける第III 相試験を開始

サノフィ・アベンティスと完全子会社のBiPar Sciences社は、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が発現しておらずHER2 の過剰発現も見られない腫瘍と定義される転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)の患者を対象にBSI-201 を化学療法と併用する第III 相ピボタル試験を開始すると発表した。BSI-201 は、DNA の損傷修復にかかわる酵素のポリADP リボースポリメラーゼ(PARP1)を阻害する新しい開発中の標的治療薬で、この第III 相試験は、mTNBC の患者において、ゲムシタビンおよびカルボプラチンの化学療法(GC)と併用したBSI-201 の安全性と有効性を評価するために設計された多施設共同無作為化試験とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/3F74A4CF-8B73-416C-BA16-4E7ACBD45456.pdf

108.

プロゲステロンは双胎妊娠女性の早産を予防しない

プロゲステロンの膣内投与は双胎妊娠女性における早産を予防しないことが、イギリスEdinburgh大学 生殖・発達科学部のJane E Norman氏らが実施した無作為化試験(STOPPIT)とメタ解析によって示された。双胎妊娠女性は自然早産のリスクが高いとされる。プロゲステロンには周産期死亡率の低減効果はなく、また新生児における有用な効果のエビデンスもないが、早産のリスクが高い単胎妊娠女性においてそのリスクの低減効果を有する可能性が示唆されており、双胎妊娠女性の早産予防効果にも期待が持たれているという。Lancet誌2009年6月13日号(オンライン版2009年6月11日号)掲載の報告。500人の双胎妊娠女性を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化試験STOPPIT(STudy Of Progesterone for the Prevention of Preterm Birth In Twins)の研究グループは、双胎妊娠女性におけるプロゲステロンの早産予防効果について検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。イギリスの双胎妊娠の管理を専門に行う9つのNHSの医療施設から500人の双胎妊娠女性が登録され、妊娠24週から10週間にわたりプロゲステロン・ゲル90mg/日を膣内投与する群(250人)あるいはプラセボ・ゲルを同様に投与する群(250人)に無作為に割り付けられた。試験従事者や参加者には治療の割り付けは知らされなかった。主要評価項目は妊娠34週以前の出産あるいは胎児の子宮内死とし、intention-to-treat解析を行った。さらに、双胎妊娠女性の早産(<妊娠34週)あるいは胎児子宮内死の予防におけるプロゲステロンの有効性を確立するために、既報および未発表のデータのメタ解析を実施した。エンドポイントの発生率に差はない、メタ解析で確認各群とも3人のフォローアップができず、それぞれ247人が解析の対象となった。妊娠34週以前の出産あるいは胎児子宮内死の割合は、プロゲステロン群が24.7%(61/247人)、プラセボ群が19.4%(48/247人)と、むしろプロゲステロン群で高い傾向が認められた(オッズ比:1.36、95%信頼区間:0.89~2.09、p=0.16)。有害事象の頻度には両群間に差は見られなかった。メタ解析により、プロゲステロンには双胎妊娠女性における早産の予防効果はないことが確認された(プール解析によるオッズ比:1.16、95%信頼区間:0.89~1.51)。著者は、「プロゲステロンの膣内投与は双胎妊娠女性における早産を予防しない」と結論した上で、「単胎妊娠と双胎妊娠では早産を引き起こす生物学的メカニズムに違いがある可能性があるため、プロゲステロンについてはさらなる検討が望まれる」としている。(菅野守:医学ライター)

109.

あすか製薬 ワイスから産婦人科向け医薬品など5製品承継

あすか製薬株式会社は18日、ワイス株式会社が製造販売、武田薬品工業株式会社が販売している産婦人科向け医薬品などの5製品の譲渡を受けることになったと発表した。当該製品は、7月1日から製品の供給と医薬情報活動を継続していくとのこと。譲り受ける製品は以下の通り。1.経口避妊剤「トライディオール21錠、トライディオール28錠」2. 黄体・卵胞ホルモン配合剤「プラノバール配合錠」3. 非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤「オステラック錠100、オステラック錠200」4. 睡眠導入剤「ロラメット錠1.0」5. アントラキノン系抗悪性腫瘍剤「ノバントロン注10mg、ノバントロン注20mg」詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.aska-pharma.co.jp/news/pdf/news20090618.pdf

110.

治験中の抗がん剤BSI-201が転移性トリプルネガティブ乳がん患者の生存期間を改善する

サノフィ・アベンティス株式会社は4日、仏サノフィ社と子会社のバイパー・サイエンシズ社が転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の患者における、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である BSI-201と、ゲムシタビンおよびカルボプラチンの化学療法(GC)との併用に関する第II相無作為化臨床試験の結果を発表した。BSI-201は、DNAの損傷を修復する酵素のPARP1を阻害することで作用する新しい治験薬。この試験では、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が発現しておらずHER2の過剰発現も見られない腫瘍と定義される転移性TNBCの患者116人を、GCと治験薬BSI-201の併用療法またはGC化学療法のいずれかに無作為に割り付けた。BSI-201を併用しない化学療法に割り付けられた患者に対して、増悪が見られた段階でBSI-201の投与を可能とした。臨床的有用性が認められた患者の割合は、BSI-201とGC化学療法を併用した患者群では約62%で、GC化学療法のみの患者群では21%であった(p=0.0002)。抗腫瘍効果(完全奏功または部分奏功)が認められた患者の割合は、BSI-201とGC化学療法を併用した患者群では48%であったが、GC化学療法のみの患者群では16%だった。BSI-201の投与を受けた患者群では、無増悪生存期間の中央値が6.9ヵ月、全生存期間が9.2ヵ月だったが、化学療法しか受けていない患者群ではそれぞれ3.3ヵ月、5.7ヵ月だったという。無増悪生存期間および全生存期間のハザード比は、それぞれ0.342(p

111.

日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤ウェ-ルナラ配合錠が発売

バイエル薬品株式会社は17日、エストロゲンと黄体ホルモンの配合剤として日本初となる閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」を発売した。ウェールナラ配合錠は、天然型エストロゲンである 17β-エストラジオール 1mg と、黄体ホルモンであるレボノルゲストレル 0.04mg を主成分とする経口配合剤で、2008年10月に厚生労働省より製造販売承認を得ている。閉経後骨粗鬆症は、閉経に伴うエストロゲンの欠乏に基づく骨吸収亢進が原因で骨量減少をきたすとされており、この治療にはエストロゲンの補充が有効であることが知られているが、子宮を有する女性にエストロゲンを単独で長期投与する場合、子宮内膜肥厚・過形成のリスクをもたらすことから、子宮内膜保護を目的とし、黄体ホルモン製剤を併用することが一般的とされている。ウェールナラ配合錠は、1剤でエストロゲンの補充と子宮内膜保護という2つの効果を示すことから、服薬コンプライアンスの向上が期待できる製剤として開発された。自然閉経または両側卵巣摘出に伴う骨粗鬆症患者 309名を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検試験では、1年間(52週間)の腰椎骨密度が約8%、2年間(104週)で約10%増加し、対照としたプラセボでは骨密度の増加は認められなかったという。副作用は57.9%に認められ、主なものとしては乳房不快感(23.6%)、乳房痛(10.0%)、性器分泌物(9.7%)であったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-02-17.html

112.

更年期障害治療剤メノエイドコンビパッチ 製造販売承認取得

あすか製薬株式会社は10月20日、更年期障害治療剤「メノエイドコンビパッチ」の製造販売承認を同16日付で取得したと発表した。メノエイドコンビパッチは、更年期障害治療におけるホルモン補充療法のために開発された「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flush及び発汗)」の効能を有する国内初の医療用配合貼付剤であり、一枚の貼付剤中に有効成分である卵胞ホルモンエストラジオール)と黄体ホルモン(酢酸ノルエチステロン)を含有している。同剤はすでに米国、カナダ、スイスなど主要国で発売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.aska-pharma.co.jp/news/pdf/news20081020.pdf

113.

閉経後骨粗鬆症に適応、ウェールナラ配合錠に製造販売承認とジュリナ錠に追加承認

バイエル薬品株式会社は10月20日、閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」の製造販売承認及び更年期障害治療薬「ジュリナ錠0.5mg」の閉経後骨粗鬆症での適応追加を10月16日付で取得したと発表した。ウェールナラ配合錠は、天然型エストロゲンである 17β-エストラジオール 1mg と、黄体ホルモンであるレボノルゲストレル 0.04mg を主成分とする国内初の経口投与で作用する配合剤。この配合錠は、一剤でエストロゲンの補充と子宮内膜保護という2つの効果を示すことから、服薬コンプライアンスの向上が期待できる製剤として開発された。自然閉経または両側卵巣摘出に伴う骨粗鬆症患者 309名を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検試験では、1年間(52週間)の腰椎骨密度が約8%、2年間(104週)で約10%増加し、対照としたプラセボでは骨密度の増加は認められなかったという。ジュリナ錠は、国際閉経学会、北米閉経学会等が推奨する低用量の経口エストロゲン製剤で、更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)、腟萎縮症状への適応で本年4月に厚生労働省から製造販売承認を取得し、9月16日に国内で新発売した製品。今回の適応追加により、閉経後骨粗鬆症の治療を目的とした処方が可能となった。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-10-20.html

114.

更年期障害治療薬「ジュリナ錠」新発売

バイエル薬品株式会社は、9月16日、低用量経口エストラジオール製剤「ジュリナ錠0.5mg(一般名:エストラジオール)」を新発売した、と発表した。「ジュリナ錠0.5mg」は国際閉経学会、北米閉経学会等が推奨する低用量の経口エストロゲン製剤で、更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)、腟萎縮症状への適応で本年4月に厚生労働省から製造販売承認を得た。本製剤は1日1錠服用する製剤で、1日2錠まで増量することもでき、用量調節が可能。エストロゲン製剤には、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3種類が有効成分として使われているが、E2の経口剤としては、「ジュリナ錠0.5mg」が本邦初の製品となる。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-09-16.html

115.

併用HRTは、閉経後女性の健康QOLを改善する:WISDOM

エストロゲンとプロゲストゲンの併用ホルモン補充療法(併用HRT)は、「血管運動症状(ほてり)や性機能、睡眠障害を改善する効果がある」とのWISDOM研究グループによる報告が、BMJ誌2008年8月21日号に掲載された。WISDOM(women’s international study of long duration oestrogen after the menopause)は、HRT療法の長期にわたる効果とリスクを評価する無作為化試験で、心血管疾患、骨折、乳癌を主要臨床転帰とし健康QOLについても評価が行われた研究。1999年に始まったが2002年に、当時発表された「women’s health initiative trial in 2002」の結果(心血管疾患への長期的効果はない)の影響もあり試験は中断され、健康QOLについても疑問符がつけられていた。3ヵ国の閉経後女性3,721例を対象に二重盲検無作為化試験二重盲検無作為化試験で行われたWISDOMは、英国(384)、オーストラリア(94)、ニュージーランド(24)の一般クリニックで、経年処理50~69歳の閉経後女性3,721例(子宮を有する)が参加して行われた。参加者は、エストロゲンとプロゲストゲンの併用HRT群(n=1,862)と、プラセボ群(n=1,859)に無作為に割り付け。併用HRT群には、抱合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5/5.0 mgが、1日1回1年間経口投与された。健康QOLデータ(1年時点)が得られたのは、併用HRT群1,043例、プラセボ群1,087例だった。主要転帰は、健康QOLおよびうつなど精神・心理的な健康具合。健康QOLは自己申告方式の健康アンケート(WHQ:women’s health questionnaire)で、精神面や身体面に現れる更年期障害は症状アンケート(symptoms questionnaire)、うつ病スケールCES-Dで評価。EuroQolと視覚アナログスケールで総健康QOL、総合QOLの評価が行われた。血管運動症状、性機能、睡眠問題で有意な改善1年時点で、プラセボ群と比較して併用HRT群に、小さくはあったが有意な改善が、WHQの9つの構成要素のうち3つ、血管運動症状(P

116.

tiboloneで骨折と乳癌リスクは低下するが脳卒中リスクが増大

合成ホルモン剤tiboloneには、エストロゲンやプロゲステロン、アンドロゲンと同様の効果があり、骨量減少を予防できるが、骨折や乳癌、心血管疾患に対する作用は不明である。この点について米国カリフォルニア大学のSteven R. Cummings氏らは、閉経後の高齢女性を対象にした大規模な無作為化試験の結果、「tiboloneは骨折と乳癌の発症リスクを低下させるが、脳卒中リスクを増大させる」と警告した。NEJM誌2008年8月14日号より。60~85歳の女性4,538例を対象にプラセボ対照試験試験は、60~85歳の女性を対象に、股関節または脊椎の骨密度のTスコアが-2.5以下か、同じくTスコア-2.0以下で脊椎骨折のX線所見が認められた4,538例を、tibolone投与群(1日1回1.25mg)と、プラセボ群に無作為に割り付け行われた。1年に1回X線写真撮影をして脊椎骨折を評価。また心血管イベントと乳癌発症率は、専門家委員会によって判定された。大腸癌リスクも低下したが脳卒中リスク増大で試験中止中央値34ヵ月の試験期間で、tibolone群とプラセボ群を比較すると、脊椎骨折のリスクは1,000人年につき70症例対126症例(相対ハザード:0.55、95%信頼区間:0.41~0.74、P

117.

閉経後女性へのホルモン治療は経皮剤で

閉経後女性へのホルモン治療は胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎、胆嚢切除術)のリスクを増大することが、無作為化試験や観察研究によって明らかになっている。オックスフォード大学疫学部門のBette Liu氏らは、ホルモン剤には経皮剤と経口剤のタイプがあり、肝臓で初回通過代謝する経口剤よりも通過しない経皮剤のほうが、疾患リスクを減らすことができるのではないかと、両者の比較を行った。BMJ誌2008年7月10日号より。イギリス・スコットランド女性100万人を対象にMillion Women Studyと名付けられたこの前向きコホート研究は、イングランドとスコットランドの国民健康保険(NHS)に登録された女性を対象とする。NHSブレストスクリーニングセンターを利用した100万1,391例の閉経後女性(平均年齢56歳)が集められ、1996年から2001年の間に、胆嚢疾患によるNHS入院データが生じたかどうか追跡調査された。主要評価項目は、ホルモン治療が行われ胆嚢疾患・切除術のために入院に至った相対リスクと標準入院率。胆嚢疾患リスクは経皮剤1.17 vs. 経口剤1.74胆嚢疾患による入院が確認されたのは1万9,889例。そのうち1万7,190(86%)が胆嚢切除術を受けていた。ホルモン治療未受療者と比べて治療中の者のほうが、胆嚢疾患になる可能性が高かったが(相対リスク1.64、95%信頼区間:1.58~1.69)、その相対リスクは経口剤受療者が1.74(1.68~1.80)、経皮剤受療者が1.17(1.10~1.24)で、経皮剤受療者のほうが低かった(P<0.001)。経口剤受療者のうち、ウマエストロゲン(1.79、1.72~1.87)のほうがエストラジオール(1.62、1.54~1.70)よりも若干リスクが高かった(P<0.001)。またそれぞれ、低用量よりも高用量を用いた場合のほうがリスクは増大した。ウマエストロゲンで、>0.625mg:1.91(1.78~2.04)vs. ≦0.625mg:1.76(1.68~1.84)、P=0.02。エストラジオールで、>1mg:1.68(1.59~1.77)vs. ≦1mg:1.44(1.31~1.59)、P=0.003。治療を中止すると、時間とともにリスクは減少する(P=0.004)。アウトカムとして胆嚢摘出術に至った点に差異はなかった。5年間での標準入院率(/100人)は、未治療者で1.1、経皮剤受療者で1.3、経口剤受療者は2.0。Liu氏は、「胆嚢疾患は閉経後女性でよく見られる疾患であり、ホルモン治療を受けるとリスクは増大する。経口剤ではなく経皮剤で治療を行うことで、140人に1人が胆嚢摘出術を回避することができるだろう」と結論している。

118.

合剤によるホルモン補充療法は介入中止後試験でもリスクがベネフィットを上回った

Women’s Health Initiative(WHI)試験は、米国国立衛生研究所(NIH)による閉経後女性(50~79歳、16,608人)を対象としたホルモン補充療法の大規模臨床試験。心臓疾患、股関節骨折、乳癌リスク増大を予防することを期待されたが2002年7月、健康リスクがベネフィットを上回ったため、平均追跡期間5.6年で中止となった。本論は、介入中止後3年(平均2.4)時の追跡調査の結果。JAMA誌2008年3月5日号より。介入中止後15,730例を追跡WHI試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、結合型エストロゲン(CEE、0.625mg/日)+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA、2.5mg/日)の合剤(国内未承認)を用いたホルモン補充療法を、1993~1998年の間、40の医療センターで50~79歳、16,608人の女性を対象に投与された。介入後の追跡試験開始は2002年7月8日、解析対象は15,730例。半年ごとのモニタリングとアウトカムの確認が試験プロトコルに基づき継続された。主要エンドポイントは、冠動脈性心疾患および侵襲性乳癌。リスクとベネフィットのバランスの全体指標には、他の原因による脳卒中、肺塞栓症、子宮体癌、大腸癌、股関節骨折および死亡に加えて2つの主要エンドポイントも含んで解析された。心血管イベント以外、リスクがベネフィットを上回る傾向続く介入後調査期間の心血管イベントリスクは、当初行われた無作為割付で比較できた。結果はCEE+MPA群343イベントで1.97%(年率)、プラセボ群323イベントで1.91%だった。より悪性であるリスクはプラセボ群[1.26%(n=218)]よりもCEE+MPA群で高く[1.56%(n=281)]、ハザード比は1.24(95%信頼区間:1.04~1.48)。乳癌についても同様の傾向がみられ、プラセボ群0.33%(n=60)に対しCEE+MPA群0.42%(n=79)、ハザード比は1.27(95%信頼区間:0.91~1.78)。全死亡率の傾向も同様。プラセボ群1.06%(n=196)に対しCEE+MPA群1.20%(n=233)、ハザード比は1.15(95%信頼区間:0.95~1.39)。全体指標のリスクとベネフィットは、無作為化当初から2005年3月31日まで変わらず(ハザード比:1.12、95%信頼区間:1.03~1.21)、CEE+MPA投与のリスクはベネフィットを上回る結果が示された。この結果を受け、「CEE+MPA群には介入後調査期間中、心血管リスクの増大は観察されなかったが、致命的あるいは非致死性の悪性度の高いリスクが確認された。全リスク指標は12%で、プラセボと比較してCEE+MPAにランダムに割り付けられた女性でより高かった」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

119.

子宮頸管短縮症へのプロゲステロン投与は自然早産リスクを低下する

早産を経験した女性へのプロゲステロン投与が、再発リスクを低下させることは過去の無作為化試験によって明らかにされている。妊娠中期スクリーニンググループ(Fetal Medicine Foundation Second Trimester Screening Group)のEduardo B. Fonseca氏らは今回、自然早産のリスクが極めて高い妊娠中期に子宮頸管短縮が見られる無症候例について、プロゲステロン投与がリスクを低下させるかどうかを検証した。報告はNEJM誌8月2日号に掲載された。頸管長15mm以下の413例を無作為割り付け試験は、まず妊娠期間20~25週(中央値22週)の定期検査を受けるために受診した妊婦24,620例に対して、経腟超音波造影法を用いて子宮頸管長が測定された。頸管長15mm以下の妊婦は413例(1.7%)存在した。このうち250例(60.5%)に対して、妊娠24週から34週にかけてプロゲステロン200mgを毎晩腟内投与、残りの妊婦にはプラセボを投与するようランダムに割り付けられた。主要評価項目は34週未満の自然分娩。子宮頸管短縮症による早産の減少に有効結果は、プロゲステロン投与群はプラセボ群より、自然分娩(34週未満)の頻度が低かった(19.2%対34.4%、相対リスク0.56)。しかしプロゲステロン投与群は、顕著とは言えないものの新生児罹患率の減少との関連が認められた(8.1%対13.8%、相対リスク0.59)。プロゲステロン投与に関連する重篤な有害事象は認められていない。これらから研究グループは、子宮頸管短縮症と診断された妊婦に対するプロゲステロンの投与は、自然早産のリスクを低下させると結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

検索結果 合計:119件 表示位置:101 - 119