ターナー症候群、成長ホルモン+小児期エストロゲン補充療法にベネフィットの可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2011/04/13

 



低身長と卵巣機能不全を特徴とするターナー症候群について、成長ホルモン+小児期のエストロゲン補充療法の併用効果に関する二重盲検プラセボ対照臨床試験が、米国・トーマス・ジェファーソン大学のJudith L. Ross氏らにより行われた。低身長には一般に組換え型ヒト成長ホルモンが用いられるが、それにより成人身長が高くなるのかについてこれまで無作為化プラセボ対照試験は行われておらず、また小児期にエストロゲン補充療法を行うことによる付加的なベネフィットの検証も行われていなかった。NEJM誌2011年3月31日号掲載より。

女児149例を対象に二重盲検プラセボ対照臨床試験




Ross氏らは、ターナー症候群を有する女児を対象に、成長ホルモンと早期の超低用量エストロゲン補充療法の単独もしくは併用投与の、成人身長への効果を検討した。

5.0~12.5歳の女児149例を、ダブルプラセボ群(39例)、エストロゲン単独群(40例)、成長ホルモン単独群(35例)、成長ホルモン+エストロゲン併用群(35例)の4群に無作為に割り付け追跡した。

成長ホルモンは0.1mg/kg体重を週3回投与、エストロゲン(エチニルエストラジオール)は暦年齢と思春期状態により調整し投与した。エチニルエストラジオールは、12歳以後最初の受診時に、すべての治療群の患者に漸増投与が行われた。成長ホルモンの注射投与は成人身長に達した時点で終了された。

プラセボとの比較で成長ホルモンの効果は標準偏差スコア0.78±0.13、5.0cm




平均年齢17.0±1.0歳、平均試験期間7.2±2.5年後の成人身長に関する平均標準偏差スコアは、ダブルプラセボ群-2.81±0.85、エストロゲン単独群-3.39±0.74、成長ホルモン単独群-2.29±1.10、併用群-2.10±1.02だった(P<0.001)。

成長ホルモンの成人身長に対する全体的な効果(対プラセボ)は、標準偏差スコア0.78±0.13、5.0cmだった(P<0.001)。

成人身長は、併用群が成長ホルモン単独群よりも標準偏差スコアで0.32±0.17、2.1cm大きく(P=0.059)、わずかではあるが、小児期超低用量エチニルエストラジオールと成長ホルモンとの相乗効果が示唆された。

Ross氏は、「本試験により、ターナー症候群患者への成長ホルモン治療により成人身長が高くなることが示された。また小児期超低用量エストロゲンの併用により成長改善の可能性があり、エストロゲン補充療法の早期開始によりその他のベネフィットが得られる可能性があることが示唆された」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)