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日本の部位別がん死亡数

がんの種類と死亡数日本の部位別がん死亡数(2021年)口腔・咽頭 5,634胆のう、胆管 9,615喉頭 711乳房 105白血病 5,549膀胱 6,434食道男性8,864胃27,196大腸 28,080肝臓膵臓肺前立腺悪性リンパ腫その他15,91319,33453,27813,2177,6279,159皮膚 865甲状腺 656脳・中枢神経系 1,709口腔・咽頭 2,367喉頭 84食道 2,094胃女性14,428子宮体部 2,741子宮頚部 2,894多発性骨髄腫2,247胆のう、胆管 8,557大腸肝臓24,338 8,189甲状腺 1,278脳・中枢神経系 1,3280腎・尿路 6,274卵巣 5,081白血病 3,57550,000膵臓肺乳房悪性リンパ腫19,24522,93414,8036,154皮膚 853膀胱 3,009腎・尿路 3,523100,000その他 9,513多発性骨髄腫 2,050150,000200,000 (人)2021年にがんで死亡した人は38万1,505人(男性22万2,467人、女性15万9,038人)日本人ががんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)がん死亡数は男性では肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓、女性では大腸がんが最も多く、次いで肺、膵臓 、乳房、胃、男女合わせると肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓となっています国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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日本の部位別がん罹患数

1年間で新たにがんと診断される患者さんの数は日本の部位別がん罹患数(2019年)口腔・咽頭 16,463胆のう、胆管 11,964喉頭 4,688乳房 670白血病 8,396肝臓 25,339男性悪性リンパ腫食道胃大腸膵臓肺前立腺21,71985,32587,87222,28584,32594,74819,311その他20,308腎・尿路 20,678甲状腺 4,888脳・中枢神経系 3,116口腔・咽頭 7,208喉頭 423食道 4,663胃女性38,994皮膚 12,815子宮頚部 10,879子宮体部 17,880胆のう、胆管 10,195多発性骨髄腫 4,052白血病 5,922悪性リンパ腫肝臓 11,957大腸67,753膀胱 17,498肺膵臓 42,22117,325乳房卵巣97,14213,388その他16,81721,579甲状腺 13,892脳・中枢神経系 2,7330100,000200,000皮膚 12,432膀胱 5,885300,000400,000多発性骨髄腫 3,539腎・尿路 9,780500,000600,000(人)(2019年のデータに基づき)日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%男性は前立腺がん(11.0%*)が最も多く、次いで大腸がん(10.3%) 、胃がん・肺がん(ともに10.0%)の順、女性は乳がん(11.2%)が最も多く、次いで大腸がん(8.1%) 、肺がん(5.0%)の順になっています*()内の%は生涯罹患リスク国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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外来で見つける先天代謝異常症 シマウマ診断の勧め

1年に1人、外来で新たに遭遇している先天代謝異常症を見つけるために先天代謝異常症は単一の遺伝子異常による希少疾患である。疾患の種類は多く、さらに症状に特徴がなく、専門機関に検査依頼しないと確定診断できない。本書は「シマウマ探し」といえる先天代謝異常症を(1)救急外来と(2)一般外来で見つけて対応するため、症状と検査所見から展開している(疾患名がまったくない目次は、症状と検査から探る実臨床を再現しており、先天代謝異常症を見つける手順、次に起こりうることを想定した対応に特化した)。本書の特長各項目に設けた「Key Points」でテーマの要旨・とらえ方を簡潔に解説。「Expert Advice」で専門医からの助言(初期診療の医師が急性期の検体を保存しないと診断できないなど)・専門機関への検査依頼法を紹介。新生児マススクリーニングで対象となる22疾患を中心に、救急外来、一般外来で、症状と検査所見から先天代謝異常症を見つけ、適切に対応するための基点を指示。救急外来・一般外来それぞれ診断名がついた「症例」を紹介。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する外来で見つける先天代謝異常症 シマウマ診断の勧めシリーズ名 小児科ベストプラクティス定価9,680円(税込)判型B5判頁数344頁発行2023年1月編集窪田 満ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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英語で「さっと見てくる」は?【1分★医療英語】第66回

第66回 英語で「さっと見てくる」は?Out new patient just came up to the floor.(入院患者さんが病棟に上がってきたみたいです)Can you please eyeball the patient?(患者さんの様子をさっと見てきてもらっていいですか?)《例文1》The vital monitor is beeping, I will eyeball the patient.(バイタルモニターが鳴っていますね、ちょっと患者さんを見てきます)《例文2》A patient at the ED is waiting for a while, have you eyeballed her?(救急外来の患者さんがしばらく待っているみたいですけど、患者さんの様子は確認しました?)《解説》“eyeball”といえば真っ先に「眼球」という訳語が思い浮かぶかと思いますが、実は動詞としても使用できるのを知っていましたか? 辞書によると、“eyeball”を動詞として使う場合は、“look at someone or something directly and carefully”(人やモノを直接、注意深く見る)という意味になります。実際、私も米国の医療現場で耳にする機会が多いために知った単語ですが、具体的には患者さんの様子を確認する際に使われます。患者さんの全身しっかり診察する際の「診る」というよりは、まさしく目(eyeball)で「患者さんの全体の状態に変化がないかを確認する・見る」ような際に使用される表現です。informalな表現なので、口語表現で使うことが多いです。入院患者さん、救急外来の患者さん、術後の患者さん など、しっかり診察するまではしなくても、直接医師や看護師の目で患者さんの様子を確認する機会は多くあります。「患者さんを見てきたけど変わりなさそう」と言いたい際に、“I just eyeballed him. He looks fine.”のように、さらりと言えるようになるとスマートですね。講師紹介

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Fachsprachpruefung(専門用語試験)の傾向と対策【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第22回

前回の記事で紹介しました通り、今回は「“Fachsprachpruefung”とは何か」についてお話します。この試験は基本的には、各州の医師会が実施していて、細かい部分は各州によって多少の違いはありますが、根幹となるスタイルは決まっています。そもそもFachsprachpruefungというのは「Fachsprach→専門用語」、「Pruefung→試験」からなる単語で、(医学の)専門用語試験を意味します。専門用語と言っても筆記試験ではなく、いわゆるOSCE形式の面接試験となります。まず患者(医師会に依頼されたドクターであったり、役者だったりします)を相手に問診を取ります。内容をカルテにまとめ、最後はまとめた内容を上級医(“Oberarzt”と言います)にプレゼンし、プレゼンの途中であれこれ質問されるのに答えていく、という流れになります。それぞれのタームが20分ずつで、計1時間程度の試験となります。このときに大事なことは、患者に対しては専門用語を使わずに問診をとり、カルテへの記載と上級医へのプレゼンは専門用語を使いながらのやり取りをしていくというものです。意外と単語は覚えやすい「専門用語と一般用語の違いとは何ぞ?」となりますが、たとえば肺炎は専門用語だと“Pneumonie”、しかし、一般用語では“Lungenentzuendung”となります。「あれ、“Pneumonie”って英語の“Pneumonia”とそっくりだな?」と思われるかも知れません。これはいずれもラテン語の“pneumoniae”が語源となっているので、似ているのは当然なのです。このようにドイツ語の医学専門用語は、基本的にラテン語がベースになっているので、英語に近い単語がほとんどです。英語がそんなに得意でなくとも、「何となく聞いたことがある」単語が多いので、割と覚えやすいと思います。一般用語のLungenentzuendungは“Lunge”→肺、“Entzuendung”→炎症で、肺の炎症、肺炎となる訳です。とはいっても、実際は一般の患者さんもPneumonieくらいは普通に通じます。何ならテレビのニュースでも、普通にPneumonieって単語を使っています。しかし、試験では、かたくなにわからないフリをしてきます。「Pneu…何だそれは? わかる言葉を使ってくれ!」なんて茶番をみせつけられます。しっかりと使い分けができているかどうかをチェックされているワケです。※これはFachsprachpruefungの有名な教科書です。左が専門用語、真ん中が一般用語、右は英語(と筆者の日本語メモ)となっております。傾向と対策はwebの中にカルテへの記載は紹介状形式だったり、入院時カルテの記載だったりしますが、20分の限られた時間だと事前に対策を立てておかないと間に合いません。とは言っても、日本人ドクターは大体このカルテ記載はかなりの高得点を取る傾向にあるようです。コツコツやれば、必ずできるようになる分野です。上級医へのプレゼンでは、プレゼンの途中であれこれ質問されますので、それに答えなくてはいけません。しかし、Fachsprachpruefungはあくまで語学の試験ですので、わからないことはわからないと答えて構いません。ちゃんと「それは何のことだ」とわからないことを告げて、ディスカッションできれば問題ないのです。とは言え、わからないことを伝えてスマートにドイツ語のディスカッションができるくらいなら最初から問題ないわけで…できるなら一発で答えて、さっさとプレゼンへ戻る方がおそらく近道だと思います。試験で「どういう疾患が選ばれるか?」はネットで調べているとかなりの情報が落ちています。リアルタイムで書き込みされている情報は非常に役に立ちます。よく取り上げられるのは何の疾患で、どんな質問を聞かれているのか。事前にある程度情報があれば多少何言ってるかわからなくても、推測できるようになります。ちなみにFachsprachpruefungは“FSP”と省略されます。情報検索の際のご参考にどうぞ。

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新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬の比較試験(ニルマトレルビル/リトナビルとVV116)(解説:寺田教彦氏)

 本研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの高い軽症~中等症患者を対象とした、標準治療薬ニルマトレルビル/リトナビルと新規薬剤VV116との比較試験である。 ニルマトレルビル/リトナビルは、オミクロン株流行下におけるワクチン接種者やCOVID-19罹患歴のある患者を含んだ研究でも、重症化リスクの軽減が報告され(オミクロン株流行中のニルマトレルビルによるCOVID-19の重症化転帰)、本邦の薬物治療の考え方(COVID-19に対する薬物治療の考え方 第15版[2022年11月22日])やNIHのCOVID-19治療ガイドライン(Prioritization of Anti-SARS-CoV-2 Therapies for the Treatment and Prevention of COVID-19 When There Are Logistical or Supply Constraints Last Updated: December 1, 2022)でも重症化リスクのある軽症~中等症患者に対して推奨される薬剤である。しかし、リトナビルは相互作用が多く、重症化リスクがある高齢者や高血圧患者で併用注意や併用禁忌の薬剤を内服していることがあり、本邦では十分に活用されていないことも指摘されている。 新規薬剤のVV116はレムデシビルの経口類似体で、主要な薬物代謝酵素や薬物トランスポーターを阻害せず、他剤との相互作用は起こしづらいと考えられている薬剤である。 本研究では、重症化リスクの高い軽症~中等症のCOVID-19成人患者でVV116投与群は、ニルマトレルビル/リトナビル投与群と比較して、持続的な臨床的回復までの期間について非劣性、かつ副作用が少なかった。 VV116は、今後COVID-19の治療に用いられる可能性のある薬剤ではあるが、本研究結果のみでは、COVID-19治療に用いる根拠は乏しいと私は考えている。理由としては、本研究の主要評価項目が、持続的な臨床回復までの期間となっていることである。本文中では、ニルマトレルビル/リトナビルはWHOガイドラインで重症化リスクの高い軽症~中等症患者に推奨されているために比較群としたが、同薬剤が各国のガイドラインで推奨されている根拠は、ニルマトレルビル/リトナビルの投与により、入院・死亡などの重症化リスクが有意に軽減したことにある。limitationにも記載があるが、本研究では重症化・死亡率低下の点で有効性を評価することができておらず、VV116がニルマトレルビル/リトナビルと比較して副作用が少なかったとしても、投薬により得られるメリットがなければ推奨する根拠は乏しいだろう。ニルマトレルビル/リトナビルは、COVID-19に対して有効な抗ウイルス薬なので、投薬により持続的な臨床的回復が速やかになる可能性はあるが、私の知る限りは、ニルマトレルビル/リトナビルの投与により持続的な臨床回復までの期間が早期になったことを示す大規模研究はない。本研究ではプラセボ群もないため、重症化リスクの高い軽症~中等症のCOVID-19成人患者に対して、VV116を投与すると、COVID-19の自然経過と比較して有意に持続的な臨床的回復までの期間を短縮するとは言えないと考える。 重症化予防効果の確認はlimitationで別の試験で評価を行う予定であることが記載されている。レムデシビルは、重症化リスクのある患者の入院・死亡リスクを軽減したことが証明されており(Gottlieb RL, et al. N Engl J Med. 2022;386:305-315.)、VV116はこの経口類似体であるため、同様に重症化予防は期待されうるが、本薬剤の評価はこの結果を待ちたいと考える。 その他に、本研究を本邦の臨床現場に当てはめる場合に気になったこととしては、ワクチン接種がある。本研究では、ワクチン接種者も参加していることを特徴としている。ただし、本研究のワクチン接種者は、どのワクチンを、いつ、何回接種したかが不明である。ワクチンの種類や、接種時期、接種回数は、持続的な臨床的回復までの期間や重症化リスクに寄与する可能性があり、重症化予防効果の試験では同内容も確認できることを期待したい。 最後に、2023年1月時点、本邦で使用されている経口抗ウイルス薬の目的を整理する。ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビル、エンシトレルビルの薬剤の中で、ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビルは、重症化リスクのある患者に対して重症化予防目的に投薬が行われている。対して、エンシトレルビルの重症化予防効果は証明されておらず、重症化リスクのない患者の早期症状改善目的に投薬されるが、重症化リスクのある患者には前者の2剤を使用することが推奨されている。 しかし、今後のCOVID-19の流行株の特徴や社会情勢によっては、抗ウイルス薬に求められる役割は、重症化予防効果や症状の早期改善のみではなく、後遺症リスクの軽減、場合によっては濃厚接触後の発症予防になる可能性もあるだろう。 VV116は、相互作用のある薬剤が少なく、比較的副作用も少ない薬剤と考えられ、臨床現場で使用しやすい可能性がある。本研究からは、同薬剤を用いることで患者が得られる効果ははっきりしなかったと考えるが、今後発表される研究結果によっては、有望な抗COVID-19薬となりうるだろう。また、VV116以外にもレムデシビルの経口類似体薬が開発されており、今後の研究成果を期待したい。

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コロナ2価ワクチンブースター、入院/死亡抑制効果は従来ワクチンの2倍/NEJM

 2022年8月31日、米食品医薬品局(FDA)は、起源株由来のスパイクタンパク質を含むmRNAとオミクロン変異株BA.4/5株由来のスパイクタンパク質を含むモデルナおよびファイザー製の2価ワクチンを、1次接種またはブースター接種後少なくとも2ヵ月以降のブースター接種用に緊急使用できるように承認した。FDAの承認は、これら2種類の2価ワクチンの非臨床データ、オミクロン変異株BA.1系統のmRNAを含む2価ワクチンの安全性と免疫原性のデータ、および1価ワクチンの安全性と有効性のデータに基づいて行われたものである。9月1日以降、この2種類の2価mRNAワクチンは、米国やその他の国々で、12歳以上の人のブースター接種用として、1価ワクチンに代わって使用されている。今回、オミクロン変異株BA.4.6、BA.5、BQ.1、BQ.1.1による重症感染に対するこれら2価ワクチンの有効性についての大規模コホート研究のデータが、NEJM誌オンライン版2023年1月25日号のCORRESPONDENCEに掲載された。2価ワクチンによるブースター接種の入院/死亡抑制効果は、従来ワクチンによるブースター接種の2倍以上だった。 米国・Gillings School of Global Public HealthのDan-Yu Lin氏らによる本研究は、同グループによる先行研究のデータを使って行われた。2022年9月1日~12月8日に2価ワクチンでブースター接種が行われた99日間と、それ以前の2022年5月25日~8月31日の1価ワクチンでブースター接種が行われた99日間の新たなデータを解析した。入院または死亡に至る感染を重症と定義し、1価・2価ワクチンの1回目のブースター接種における有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・5月25日~8月31日に、対象者624万2,259人中29万2,659人が1価ワクチンのブースター接種を受けた。この期間に発生したCOVID-19関連入院報告の61/1,896例、死亡報告の23/690例が1価ワクチンのブースター接種後に発生した。・9月1日~11月3日に、対象者628万3,483人中107万136人が2価ワクチンのブースター接種を受け、この期間に発生したCOVID-19関連入院報告の57/1,093例、死亡報告の17/514例が2価ワクチンのブースター接種後に発生した。・ブースター効果は約4週間でピークに達し、その後低下した。12歳以上の全参加者において、ブースター接種後の15~99日目の入院を伴う重症感染に対するワクチンの有効性は、1価ワクチン25.2%(95%信頼区間[CI]:-0.2~44.2)、2価ワクチン58.7%(95%CI:43.7~69.8)、その差は33.5ポイント(95%CI:2.9~62.1)であった。・入院または死亡に至る重症感染に対するワクチンの有効性は、1価ワクチン24.9%(95%CI:1.4~42.8)、2価ワクチン61.8%(95%CI:48.2~71.8)、その差は36.9ポイント(95%CI:12.6~64.3)だった。

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イバブラジン・ベルイシグアト【心不全診療Up to Date】第5回

第5回 イバブラジン・ベルイシグアトKey Points4人の戦士“Fantastic Four”を投入したその後の戦略はいかに?過去の臨床試験を紐解き、イバブラジン・ベルイシグアトが必要な患者群をしっかり理解しよう!はじめに第4回までで、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF:Heart Failure with reduced Ejection Fraction)に対する“Fantastic Four”(RAS阻害薬/ARNi、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬)の役割をまとめてきた。そして今回は、「その4剤併用療法(First-Line Quadruple Therapy)を開始、用量最適化後の次のステップ(Add-on Therapies)は?」という観点から、かかりつけの先生方の日常診療に役立つ内容を最新のエビデンスも添えてまとめていきたい。4人の戦士“Fantastic Four”を投入したその後の戦略はいかに?まず、第4回までで説明してきたとおり、大原則として、医療従事者(ハートチーム)が、目の前のHFrEF患者に対して、相加的な予後改善効果が証明されているガイドラインClass 1推奨薬4剤“Fantastic Four”をできる限り速やかにすべて投与する最大限の努力をし、最大許容用量まで漸増することが極めて重要である。なお、もしその中のどれか1つでも追加投与を見送る場合は、その薬剤を『試さないリスク』についても患者側としっかり共有しておくことも忘れてはならない。では、それらをしっかり行ったとして、次のステップ(追加治療)はどのような治療がガイドライン上推奨されているか。その答えは、米国心不全ガイドラインがわかりやすく、図1をご覧いただきたい1)。まず、β遮断薬投与にもかかわらず、心拍数≧70拍/分の洞調律HFrEF患者には、イバブラジンの追加投与がClass 2aで推奨されている。また、最近心不全増悪を認めた高リスクHFrEF患者では、ベルイシグアトの追加投与がClass 2bで推奨されている。その他RAAS阻害薬投与中の高カリウム血症に対するカリウム吸着薬(sodium zirconium cyclosilicate[商品名:ロケルマ]など)がClass 2bで推奨されているなどあるが、今回はイバブラジン(商品名:コララン)、ベルイシグアト(商品名:ベリキューボ)2つの薬剤について少しDeep-diveしていこう。画像を拡大する1.イバブラジン(ivabradine)イバブラジンとは、洞結節にある過分極活性化環状ヌクレオチド依存性(HCN)チャネルを阻害する、新たな慢性心不全治療薬である。と言われても何のことかわかりにくいが、この薬剤の特徴を一言でいうと、「陰性変力作用なく心拍数だけを減らす」というものであり、適応を一言で言うと、「心拍数の速い洞調律のHFrEF患者」である。では、このHCNチャネルとは何者か。HCNチャネルは主に洞結節に存在する6回膜貫通型膜タンパク質であり、正電荷アミノ酸(アルギニンやリジン)が多く配置されている第4膜貫通ドメイン(HCN4)が電位センサーの中心となっている。洞結節において電気刺激が自発的に発生する自発興奮機能(自動能)形成に寄与する電流は、”funny” current(If)と呼ばれ、HCNチャネル(主にHCN4)を介して生成される2,3)。イバブラジンは、このHCN4チャネルを高い選択性をもって阻害することで、Ifを抑制し、拡張期脱分極相におけるペースメーカー活動電位の立ち上がり時間を遅延させ、心拍数を減少させる。イバブラジンは用量依存的に心拍数を低下させるが、この特異的な作用機序の結果として、心臓の変力作用や全身血管抵抗に影響を与えずに心拍数だけを低下させることができる4,5)。そして、心拍数を減らすことによって、心筋酸素消費量を抑え、左室充満と冠動脈灌流を改善させ、その結果左室のリバースリモデリングを促し、心不全イベントを抑制するというわけである6)。本剤は、2005年欧州においてまず安定狭心症の適応で承認され、その後慢性心不全の適応で2012年に欧州、2015年に米国で承認された(図2)7)。その流れを簡単に説明すると、冠動脈疾患を有する左室収縮機能障害患者へのイバブラジンの心予後改善効果を検証したBEAUTIFUL試験の結果は中立的なものであったが、心拍数≧70拍/分の患者におけるイバブラジンの潜在的な有用性(冠動脈疾患発生抑制効果)について重要な洞察をもたらした8)。この結果は、次に紹介するSHIFT試験の基礎となった。画像を拡大するSHIFT試験は、NYHA II-IV、LVEF≦35%、洞調律かつ70拍/分以上の心不全患者6,505例(日本人含まず)を対象に、イバブラジンの効果を検証した第III相試験である(図2)9)。この試験の結果、主要評価項目である心血管死または心不全入院は、イバブラジン群で18%減少していた(HR:0.82、95%信頼区間[CI]:0.75~0.90、p<0.001)。ただ、これは主に心不全入院の26%減少によってもたらされたものであった。また、サブグループ解析の結果、ベースラインの安静時心拍数が中央値77拍/分より高いサブグループにおいてのみ、イバブラジンによる有意な治療効果が認められ(交互作用に対するp値=0.029)、その後の事後解析において、安静時心拍数≧75拍/分の部分集団では心不全入院だけではなく、心血管死も有意に抑制していた(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.017)10)。ただし、これらの知見を解釈する際には、SHIFT試験に参加した患者の大多数(約70%)が虚血性心不全をベースに持ち、植込み型除細動器の使用が少なく(不整脈イベント抑制効果は期待できない可能性あり)、β遮断薬ガイドライン推奨用量の50%以上を投与するという要件を満たした症例は56%に過ぎなかったことを念頭に置くことが重要である。以上のような経緯から、その後日本人慢性HFrEF患者を対象に実施されたJ-SHIFT試験においては、「安静時心拍数が75拍/分以上」というのが組み入れ基準の1つとして採用された11) 。その結果、SHIFT試験との結果の類似性が確認されたため、添付文書上、心拍数≧75拍/分の患者が適応となっている。なお、イバブラジンはCYP3A4による広範な肝初回代謝を受け、詳細は省くが、この点がいくつかの薬剤(ベラパミル、ジルチアゼム、その他のCYP3A4阻害薬)において薬物相互作用と関連すること、また光視症(視細胞のHCN1チャネルを阻害するためであり、可逆的)には注意が必要である。個人的には、β遮断薬の増量や導入が困難なHFrEF患者には早期からイバブラジンを投与することで、リバースリモデリングが得られ、その結果β遮断薬のさらなる増量や導入が可能となることをよく経験するため、ぜひβ遮断薬の用量をより最適化する橋渡し的な道具としても実臨床で活用いただきたい。2.ベルイシグアト(vericiguat)ベルイシグアトは、心不全を引き起こす原因の1つである内皮機能障害を調節する新しい心不全治療薬である。血管内皮は通常、一酸化窒素(NO)を生成し、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を介した環状グアノシン一リン酸(cGMP)産生を促進する。同様に、心内膜内皮もNOに感受性があり、細胞内のcGMPを上昇させることにより収縮性や拡張能を調節している。心不全ではこの過程がうまく制御できず、NO-sGC-cGMPの不足を招き、拡張期弛緩障害と微小血管機能障害を引き起こすとされている。ベルイシグアトは、メルク社とバイエル社が共同開発したsGC刺激薬で、sGCをNO非依存的に直接刺激するとともに、内因性NOに対する感受性を増強させ、NOの効果を増強してcGMP活性を増加させるというわけである(図3)12,13)。画像を拡大するこのようなコンセプトのもと、臨床的に安定した慢性心不全患者に対するベルイシグアトの有効性を検証すべく、第II相SOCRATES-REDUCED試験が実施された(表1)14)。本試験の主要評価項目であるNT-proBNP値のベースラインから12週までの変化において、ベルイシグアトの有意な効果は認められなかったが、探索的二次解析により、高用量のベルイシグアトがNT-proBNP値のより大きな低下と関連するという用量反応関係が示唆された。画像を拡大するこのデータをもとに、その後第III相VICTORIA試験が最近入院または利尿薬静脈内投与を受けたナトリウム利尿ペプチド上昇を認める慢性心不全(EF<45%)患者5,050例を対象に実施された(無作為化30日以内のBNP≧300pg/mLもしくはNT-proBNP≧1,000pg/mL[心房細動の場合BNP≧500pg/mLもしくはNT-proBNP≧1,600pg/mL])(表1)15)。本試験のデザイン上の重要なポイントは、これまでの心不全臨床試験よりもNT-proBNP値が高く(中央値2,816pg/mL)、より重症の心不全患者を組み入れたことであり、これにより高いイベント発生率がもたらされた。また、患者はこれまでの大規模な心不全臨床試験よりも高齢であることも特徴的であった。なお、目標用量については、上記で述べたSOCRATES-REDUCED試験で得られた知見に基づき、1日1回10mgで設定された。結果については、主要評価項目である心血管死または心不全による初回入院の複合エンドポイント発生率が、プラセボ投与群と比較してベルイシグアト投与群の方が有意に低かった(ハザード比:0.90、95%CI:0.82~0.98、p=0.02)。ただし、この結果はベルイシグアト投与群の心不全入院率の低さに起因しており、全死亡には群間差は認められなかった。なお、ベルイシグアトによる副作用については両群間で有意差を認めるものはなかったが(重篤な有害事象:ベルイシグアト群32.8% vs.プラセボ群34.8%)、プラセボ投与群と比較してベルイシグアト投与群において症候性低血圧や失神がより多い傾向を認めた(表1)。以上より、ベルイシグアトは、最新の米国心不全ガイドラインにて最近心不全増悪を認めた高リスクHFrEF患者においてClass 2bで推奨されており1)、わが国のガイドラインにおいても今後期待される治療として紹介されている16)。今回は、“Fantastic Four”の次の手について説明した。繰り返しとなるが、まずは“Fantastic Four”を可能な限りしっかり投与いただき、そのうえで上記で述べた条件を満たす患者に対しては、イバブラジン、ベルイシグアトの追加投与を積極的にご検討いただければ幸いである。1)Heidenreich PA, et al. Circulation. 2022;145:e895-e1032.2)DiFrancesco D. Circ Res. 2010;106:434-446.3)Postea O, et al. Nat Rev Drug Discov. 2011;10:903-914.4)Simon L, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1995;275:659-666.5)Vilaine JP, et al. J Cardiovasc Pharmacol. 2003;42:688-696.6)Seo Y, et al. Circ J. 2019;83:1991-1993.7)Koruth JS, et al. J Am Coll Cardiol. 2017;70:1777-1784.8)Fox K, et al. Lancet. 2008;372:807-816.9)Swedberg K, et al. Lancet. 2010;376:875-885.10)Böhm M, et al. Clin Res Cardiol. 2013;102:11-22.11)Tsutsui H, et al. Circ J. 2019;83:2049-2060.12)Evgenov OV, et al. Nat Rev Drug Discov. 2006;5:755-768.13)Armstrong PW, et al. JACC: Heart Failure. 2018;6:96-104.14)Gheorghiade M, et al. JAMA. 2015;314:2251-2262.15)Armstrong PW, et al. N Engl J Med. 2020;382:1883-1893.16)Tsutsui H, et al. Circ J. 2021;85:2252-2291.

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英語で「一言いいですか?」は?【1分★医療英語】第65回

第65回 英語で「一言いいですか?」は?May I chime in?([お話し中ですが]一言いいですか?)Sure thing!(もちろんです!)《例文1》May I chime in the discussion?(議論に加わってもいいですか?)《例文2》She chimed in with her opinion.(彼女は自分の意見を付け加えた)《解説》“chime in”の“chime”は音の通り「チャイム(鐘)」を意味する言葉です。しかし、ここでは“chime”に“in”が付いているので、「チャイムを鳴らして入り込む」という意味合いを持つことになります。ただし、ここでは入り込むのは家ではなく、会話や議論。そこから転じて、「会話に入り込む」、「口を挟む」などの意味合いで用いることができるフレーズになります。“interrupt”を用いて“interrupt a conversation”、あるいは“break”という動詞を用いて“break into a conversation”などと表現しても同じ意味になると思いますが、よりオシャレな表現と言えるかもしれません。たとえば、同僚の2人が熱心に話し込んでいるところに一言添えたいとき、この“May I chime in?”の一言を用いてコメントを挟むことができるでしょう。あるいは、すでに始まっているオンライン会議に遅れて入る際、“I’m chiming in.”と言って「これから(会議に)入るよ」ということを伝えることができます。ぜひ英語圏の人とのオンライン会議の際に使用してみてください。使えるシーンが意外と多いことに気付くはずです。講師紹介

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服薬拒否の強いBPSD患者に適応外でブロナンセリンテープを提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第52回

 今回は、環境変化により不穏となり、服薬拒否で経口投与が困難となった認知症患者さんについてです。ブロナンセリン貼付薬を導入することで、徐々に興奮や幻覚症状などが改善し、状態を安定させることができました。患者情報90歳、男性(施設入居)基礎疾患アルツハイマー型認知症、胃がん(積極的治療は希望せず)、鉄欠乏性貧血、前立腺がん(尿閉があり尿道カテーテル留置)、腎後性慢性腎不全介護度要介護1服薬管理施設職員が管理処方内容1.ランソプラゾールOD錠15mg 1錠 分1 朝食後2.クエン酸第一鉄錠50mg 4錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、施設入居の際に環境の変化から不穏になり、興奮や幻覚症状が現れ、帰宅願望も強くみられました。また、尿道バルーンが留置されていましたが、安静を守れず自己抜去するリスクがありました。入居当日に初回の訪問診療があったので、同行することにしました。診察前に看護師と患者さんの状況を確認しようとしたところ、患者さんはすでにベッドから転落しており、尿道カテーテルを引っ張って抜去する寸前でした。訴えを傾聴すると、「とんでもない牢獄に押し込まれた!」と大変興奮して落ちつかない状況でした。服薬・食事・移乗介助しようにも暴言と暴力行為があり介護抵抗が強かったため、看護師から不穏時の頓服薬の要望がありました。処方提案現状を踏まえると、認知症の行動・心理症状(BPSD)が強く、安静を維持できないことから治療の見直しが必要と考えました。とくに服薬拒否が強いため外用薬による治療コントロールが望ましいように思いました。そこで、抗精神病薬のブロナンセリンテープ20mgの導入を医師に提案することを検討しました。ブロナンセリンテープは、1日1回の長時間作用型の薬剤であり、抗幻覚作用も十分で、非鎮静系であることから認知機能や代謝系への影響が少ないとされている薬剤です1)。また、貼付薬ですので、内服薬の拒否・困難なケースでも安定した血中濃度を維持することができ、このような患者さんでは使いやすい薬剤です。しかし、BPSDに対する治療は保険適用外になるため、患者背景や治療適応について多職種と十分なコンセンサスを得る必要があります。<ブロナンセリンテープの提案理由>(1)ブロナンセリンテープは薬理学的プロファイルとして、ドパミンD2、D3受容体および5HT2A受容体への選択的拮抗作用を示し、それ以外のアドレナリンα1、5HT2c、ヒスタミンH1、ムスカリンM2受容体への親和性をほとんど持たない。そのため眠気、過鎮静、起立性低血圧、ふらつきなどの有害事象リスクが低いのが特徴であり2)、この患者への妥当性があると考えた。(2)貼付薬であるため、a.消化管吸収の影響による初回通過効果を回避、b.長時間作用型として安定した血中濃度を維持、c.嚥下困難、服薬拒否、経口摂取不可の患者にも投与可能、d.目視での服薬確認が容易、などの特徴がある2)。(3)有害事象としては、貼付部位の皮膚掻痒感、紅斑などに注意が必要だが、施設職員の協力を得てコントロールは可能と考えた。初診と経過初診が始まり、医師の状況考察からも環境調整のみでは対応が難しく、短期的にでも薬剤調整が必要という判断になりました。医師よりリスペリドン内用液はどうかと相談があったので、服薬拒否も介護抵抗も強く、安定した治療効果が必要なことを考えるとブロナンセリンテープ20mgがよいのではないかと提案しました。医師の承認の上、それでも発作的に症状が出るときは、リスペリドン0.5mgを頓用するという指示でまとまりました。すぐに医師より、患者および家族に今の心理状況や状態、ブロナンセリンテープの必要性の説明があり、承認が得られたため、当日届き次第の開始となりました。投与開始から3日目までは頓用のリスペリドンを使いながらですが徐々に興奮や幻覚症状などが改善し、7日目には穏やかな様子で皮膚症状もなく介護抵抗などもなくなりました。現在はリスペリドンの内服は終了し、ブロナンセリンテープ20mg単独で症状がコントロールできています。1)ブロナンセリンテープインタビューフォーム2)岩崎真三ほか. 最新精神医学, 2022;27:53-60.

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健康の大疑問

健康常識をアップデートせよNY在住・新進気鋭の専門医が、最新の知見を駆使し、健康情報の真偽を問う。白髪の原因はストレス?腸内細菌が認知機能を高める?痛風にプリン体制限は有効?高血圧の薬は一生飲み続けてOK?ウォーキングは1日何歩までがベスト?次世代エイジングケアNMNサプリの正体とは?若者の大腸がんが急増している本当の理由とは?乳酸菌は風邪予防になる?断食で長生きが可能となる?グルコサミンは変形性膝関節症の痛みを改善する?ビタミンDで骨は強くなる?音楽が健康に及ぼす影響とは? ……etc.画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    健康の大疑問定価1,100円(税込)判型新書判頁数188頁発行2023年1月著者山田 悠史

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骨折後の血栓予防、アスピリンvs.低分子ヘパリン/NEJM

 手術を受けた四肢骨折患者、または手術有無を問わない骨盤・寛骨臼骨折患者の血栓予防において、アスピリンは致死的イベント抑制に関して低分子ヘパリンに非劣性を示すことが示された。アスピリンによる深部静脈血栓症・肺塞栓症・90日での全死亡の発現頻度は低かった。米国・メリーランド大学のRobert V. O'Toole氏らMajor Extremity Trauma Research Consortium(METRC)が、米国およびカナダの外傷センター21施設で実施した医師主導の実用的多施設共同無作為化非劣性試験「Prevention of Clot in Orthopaedic Trauma trial:PREVENT CLOT試験」の結果を報告した。臨床ガイドラインでは、骨折患者に対する血栓予防に低分子ヘパリンが推奨されている。しかし、低分子ヘパリンの有効性をアスピリンと比較した試験はこれまでなかった。NEJM誌2023年1月19日号掲載の報告。手術治療の四肢骨折患者、または骨盤・寛骨臼骨折患者約1万2千例を無作為化 研究グループは、受傷後48時間以内に来院し、手術による治療を受けた四肢骨折患者(股関節から中足部までの下肢、または肩から手首までの上肢)、または手術/非手術による治療を受けた骨盤・寛骨臼骨折患者(いずれも18歳以上)を登録し、入院中に低分子ヘパリン(エノキサパリン、30mg用量1日2回)を投与する群、またはアスピリン(81mg用量1日2回)を投与する群に1対1の割合に無作為に割り付けた。投与期間は各病院の臨床プロトコールに基づき、退院時に終了または退院後も継続可とした。 主要アウトカムは、無作為化後90日時点での全死亡、副次アウトカムは非致死的肺塞栓症、深部静脈血栓症、出血性合併症などであった。 2017年4月~2021年8月の期間に、計1万2,211例がアスピリン群(6,101例)または低分子ヘパリン群(6,110例)に無作為に割り付けられた。患者の平均(±SD)年齢は44.6±17.8歳、62.3%が男性で、0.7%に静脈血栓塞栓症、2.5%にがんの既往があった。90日全死亡に関して、アスピリンは低分子ヘパリンに対し非劣性 平均入院日数は5.3±5.7日、入院中の試験薬の平均投与回数は8.8±10.6回であり、退院時に処方された血栓予防薬の期間中央値は21日間であった。 intention-to-treat解析の結果、90日全死亡率はアスピリン群0.78%(47例)、低分子ヘパリン群0.73%(45例)であり、アスピリン群の低分子ヘパリン群に対する非劣性が示された(群間差:0.05ポイント、96.2%信頼区間[CI]:-0.27~0.38、非劣性のp<0.001[非劣性マージン0.75ポイント])。 90日間の深部静脈血栓症の発現率はアスピリン群で2.51%、低分子ヘパリン群で1.71%(群間差:0.80ポイント、95%CI:0.28~1.31)、非致死的肺塞栓症は両群とも1.49%であり、出血性合併症、その他の重篤な有害事象の発現率は両群で同程度であった。

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HER2陽性進行乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカンがOSを延長(解説:下村昭彦氏)

 HER2陽性進行乳がんの標準治療が大きく変わる。 2022年末のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表され、Lancet誌に同時掲載されたDESTINY-Breast03試験の全生存期間(OS)の解析で、トラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)のトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)に対する優越性が統計学的有意に示された。DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性乳がん2次治療におけるトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)を直接比較した第III相試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、OS解析時点で28.8ヵ月vs.6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.26~0.43)と、イベントが集まってきたことでT-DXd群のPFS中央値が明らかとなった(初回の解析時点ではT-DXd群のPFSは未到達であった)。副次評価項目の全生存期間(OS)はいずれの群も変わらず未到達であったが、OSのHR:0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)であり、統計学的にT-DXd群で良好であった(前回の解析時点では有意差が示されなかった)。サブグループ解析でもすべてのサブグループでT-DXd群で良好な傾向を示し、T-DXdがHER2陽性乳がん2次治療の標準治療として確立した。 OSの解釈に当たっては若干の注意が必要である。本試験はアジアを中心に患者のリクルートが行われた(約60%)。そのため、前治療、後治療にやや偏りがある。現在HER2陽性転移乳がんの標準治療はトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンであるが、本試験でペルツズマブの投与歴のある症例は約60%である。ペルツズマブ投与後のT-DM1は効果が劣る可能性が複数の後ろ向き研究で示されている。T-DM1、T-DXdが承認されていない国も参加しているため、T-DXd後のT-DM1は35%、T-DM1後のT-DXdは17%しか投与されていない。両方の薬剤が2次治療以降で使用可能な日本ではクロスオーバー率がより高いことが予想され、クロスオーバーがしっかりとされた場合のOSについては今後リアルワールドの解析などを検討する必要があるだろう。 毒性の観点では一般にT-DXdで頻度が高く、とくに薬剤性肺障害(ILD)はその後の治療に影響することが懸念される。本論文発表時点でILDの発生はT-DXdで15%、T-DM1で3%であり、Grade4/5のILD発症は認めなかった。全体としては注意深く拾い上げることで軽症のうちに治療が可能であり、重篤化を防ぐことが可能といえよう。しかしながら、ILDの頻度は日本から治験に参加した人では2倍の頻度であることが報告されていることから、とくに私たちが日常臨床で使用する場合はILDを早期発見し、ILDによって後治療に影響が出ないように、細心の注意が必要である。

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Busyなスライドを避けよう【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第8回

Busyなスライドを避けよう1)複数枚のスライドに分ける2)要点を絞って箇条書きにする3)図や表を効果的に使う学会中に必ず聞くのが「Busyなスライドで申し訳ありませんが…」というセリフ。Busyは忙しいという意味ですが、デザインや文字が細かいというネガティブな意味にもなり、英語でも同様に“I’m sorry, this is a very busy slide.”と言ったりします。Busyなスライドを目の当たりにすると聴衆の注意が削がれてしまい、話に引き込むことが難しくなるため、原則としてBusyなスライドは作らず、“Sorry for the busy slide.”といった表現も禁句にしましょう。とくに、口演発表では会場がとても広い場合もあり、会場の奥に座っている人にとっても見やすいスライドが理想的です。1つのスライドに文字数が収まりきらず、文字が小さくなってしまう場合は、箇条書きにしたり、複数枚のスライドに分けたりして、busyなスライドにならないように工夫します。たとえば、〈図1〉は長文で文章量が多く、読みにくいスライドになっていますが、〈図2〉ではMethodの中のポイントである「PICO」に当たる部分を抽出し、箇条書きにしています。それほど重要でない情報は口頭で説明したり、他のスライドに分けて説明したりすることで、要点をわかりやすく提示することができます。〈図1〉〈図2〉まとまったテーマなので1つのスライドで示したい、ということもあるかもしれません。そんなときは、図や表を効果的に使いましょう。〈図3〉は〈図1〉の文章の内容を図示したものです。文章で提示するよりも聴衆に伝わりやすく、Busyなスライドになることも避けられます。〈図3〉また、図示したものを順番に説明したい場合、アニメーションを使ったり、複数枚のスライドに分けたりすることで順番に表示できます。〈図4〉のように最初から複数枚のスライドに分けて作成しておくと、学会会場で普段と違うパソコンを使った場合に起こるアニメーションのトラブルを避けることができます。〈図4〉講師紹介

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オミクロン株対応2価ワクチン、4回目接種の有用性は?/NEJM

 1価・2価のオミクロン株(B.1.1.529)BA.1系統対応BNT162b2(ファイザー製)ワクチンは、BNT162b2ワクチン(30μg)と同様の安全性プロファイルを有し、祖先株とオミクロン株BA.1系統に対して顕著な中和反応を示した。また、程度は低いものの、オミクロン株亜系統のBA.4、BA.5、BA.2.75も中和した。米国・アイオワ大学のPatricia Winokur氏らが、BNT162b2ワクチン30μgを3回接種した55歳超1,846例を対象にした無作為化比較試験で明らかにし、NEJM誌2023年1月19日号で発表した。BA.1対応1価・2価ワクチンとBNT162b2を30μgまたは60μgで比較 研究グループは、進行中の第III相試験で、BNT162b2ワクチン30μgを3回接種した55歳超を無作為化し、BNT162b2(30μgまたは60μg)、B.1.1.529変異株(オミクロン株)BA.1系統対応BNT162b2(BA.1対応1価ワクチン、30μgまたは60μg)、BA.1対応2価ワクチンを30μg(BNT162b2 15μg+BA.1対応1価ワクチン15μg)または60μg(BNT162b2 30μg+BA.1対応1価ワクチン30μg)をブースター投与した。 本試験の主要目的は、BA.1対応ワクチンの、BNT162b2(30μg)に対する優越性(対BA.1の50%中和抗体価[NT50]について)と非劣性(血清反応について)の評価。副次目的は、祖先株に対する中和活性について、BA.1対応2価ワクチンのBNT162b2(30μg)に対する非劣性の評価だった。 探索的データ解析を行い、オミクロン株の亜系統BA.4、BA.5、BA.2.75に対する免疫応答も評価した。BA.1対応2価ワクチン、祖先株に対しBNT162b2(30μg)と比べ非劣性 1,846例が無作為化を受けた(年齢中央値67歳、男性49.5%、白人86.6%)。 ワクチン接種後1ヵ月時点で、BA.1対応2価ワクチン(30μg/60μg)とBA.1対応1価ワクチン(60μg)は、BA.1に対し、BNT162b2(30μg)より優れた中和活性を示した。NT50幾何平均比(GMR)は、それぞれ1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、1.97(1.45~2.68)、3.15(2.38~4.16)だった。 また、BA.1対応2価ワクチン(両用量とも)とBA.1対応1価ワクチン(60μg)は、対BA.1血清反応についても、BNT162b2(30μg)に対し非劣性を示した。群間差(%)は10.9~29.1ポイントに及んだ。 BA.1対応2価ワクチン(両用量とも)は、祖先株に対する中和活性について、BNT162b2(30μg)に対し非劣性だった。NT50GMRは30μgが0.99(95%CI:0.82~1.20)、60μgが1.30(1.07~1.58)だった。 BA.4-BA.5、BA.2.75に対する中和抗体価は、BA.1対応2価ワクチン30μgが、BNT162b2(30μg)より数値が高かった。 安全性プロファイルについては、BA.1対応1価ワクチン、2価ワクチンのいずれの用量も、BNT162b2(30μg)と同様だった。有害事象の発生頻度は、BA.1対応1価ワクチン30μg群(8.5%)とBA.1対応2価ワクチン60μg群(10.4%)が、その他の群(3.6~6.6%)より高率だった。

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KRAS G12C陽性肺がんの大規模な臨床ゲノムプロファイル:LC-SCRUM-Asia研究より/Lung Cancer

 ターゲット治療薬の開発で、肺がん領域でも注目されているKRAS G12C変異。2022年末、アジア人KRAS G12C陽性非小細胞肺がん(NSCLC)のリアルワールド解析が発表された。 KRAS G12Cは、白色人種のNSCLCでは約14%に発現するとの報告があるが、アジア人ではどの程度なのか。また、同集団に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性が報告されているが、アジア人患者でも効果は示されるのか。さらに、G12C以外の臨床ゲノム特性はどのようなものか。国立がん研究センター東病院・名古屋大学の田宮 裕太郎氏らは、肺がんの大規模前向きゲノムスクリーニングプロジェクト(LC-SCRUM-Asia)のデータベースに基づき、KRAS G12C NSCLCの臨床ゲノム特性とICIの治療成績を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2015年3月〜2021年3月にLC-SCRUM-Asiaに登録されたNSCLC1万23例のうち、KRAS変異は14%(1,258例)に認められた。・KRAS変異の内訳は、G12Cが4.0%(376例)、G12Dが3.1%(289例)、G12Vは2.7%(251例)であった。・KRAS G12C陽性は、非G12C変異患者に比べ、男性および喫煙者の割合が高く(男性、喫煙者とも:p<0.001)、腫瘍変異負荷(TMB)が高い症例、PD-L1≧50%の症例が多かった(TMB:p<0.001、PD-L1:p=0.08)。・KRAS G12C陽性患者の全生存期間中央値は24.6ヵ月で、他の変異サブタイプとの差はなかった(G12V:18.2ヵ月、p=0.23、G12D:20.6ヵ月、p=0.65、その他のKRAS変異:18.3ヵ月、p=0.20)。・ICI治療による無増悪生存期間中央値は、KRAS G12Cでは3.4ヵ月で、G12V陽性の4.2ヵ月(p=0.90)と同様だったが、G12Dの2.0ヵ月(p=0.02)と、その他のKRAS変異の2.5ヵ月(p=0.02)に比べ、有意に長かった。 アジア人のNSCLCにおけるKRAS G12Cの頻度は、白人に比べて低かった。また、KRAS G12C NSCLCでは、高TMBやPD-L1高値など、免疫原性が亢進しており、ICIの感受性が高い可能性が示されている。■関連記事2022年の肺がん薬物療法の進歩を振り返る!【Oncology主要トピックス2022 肺がん編】【肺がんインタビュー】 第90回ソトラシブ、KRAS G12C変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長(CodeBreaK-200)/ESMO2022KRAS G12C変異陽性NSCLCへのadagrasib、臨床的有効性示す/NEJMDr.光冨の肺がんキーワード解説「KRAS」【肺がんインタビュー】 第71回

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インパクトの高い投稿原稿を選別するのは至難の業(解説:折笠秀樹氏)

 医学雑誌編集者の目利きを調べた論文です。雑誌社にとって、掲載された論文が多く引用されるのは1つの目標です。被引用回数が増えれば、雑誌のインパクトファクターが上がるためです。そこで、編集者の資質の1つとして、将来多く引用されるような重要論文を選別する目利きが大切になります。 BMJ誌の編集者10名が調査対象になり、505件の投稿原稿に目を通し、被引用回数を予測し、平均以下(10回未満)、平均(10~17回)、上等(18回以上)にて評価を下しました。実際の被引用回数については、WOS(Web of Science)を使って調べたのです。結論として、BMJ編集者は被引用回数をうまく予測していなかったことがわかりました。半分以上の編集者が正しく予測できた投稿原稿というのは、わずか32%にすぎなかったのです。予想外れのほうがむしろ多かったのです。せめてもの慰めとして、BMJで採択した論文のほうが却下した論文(その他の雑誌が採択)より、被引用回数が高かったことです(BMJ―被引用回数中央値12回、その他の雑誌―7回)。 もっと引用される論文を出版したいのなら、新たな編集長は今の編集者たちを解雇し、別の編集者を雇用すべきなのでしょう。しかし、そのような編集者は実際にはいないというのが現実のようです。なかなか目が利く編集者は見当たらないということなのでしょう。雑誌によっては、なるだけ当該雑誌の論文を引用してほしいと、編集者から依頼が来ることもあります。そうすれば、その雑誌のインパクトファクターが上がるからです。それが実態だとすると、高インパクトファクターの雑誌が重要論文を多く載せているとは限らなくなります。こういったことも予測が外れた原因の1つかもしれませんが、研究費採択の場面でもそうであるように、なかなか将来性を予測するのは至難の業であることに違いありません。

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厚労省の「解熱鎮痛薬等110番」は供給不足の解決にはならない!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第104回

 昨年末、厚生労働省に「医療用解熱鎮痛薬等110番」という相談窓口が設置されました。解熱鎮痛薬などを入手できない医療機関や薬局のために設置された供給相談窓口ですが、開始1ヵ月ですでに混乱が生じているようです。厚生労働省が12月14日に開設した医療用薬の「供給相談窓口」(医療用解熱鎮痛薬等110番)に対し、約3週間で薬局や医療機関から500件もの相談が寄せられていることがわかった。(中略)一方、厚労省への相談件数が伸びるほど、卸側の負担は増大していくかたちとなり「お上からの重圧感が強いので対応せざるを得ないが、その後の対応や価格に関するトラブルも出てきている」(広域卸関係者)という。(2023年1月5日 RISFAX)この相談窓口の対象は、発熱外来や新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れている医療機関やこれらの医療機関の処方せんを受け付けている薬局で、かつ下記をすべて満たす必要があります。解熱鎮痛薬、鎮咳薬、トラネキサム酸の在庫が少ない平時に取引のある卸売業者に連絡しても入手が困難である業務に支障を来たすとともに患者に迷惑を掛けてしまう恐れがある全国的に医薬品の供給が不足しているのは言わずもがなの状態で、何も困っていません!と言える薬局は少ないのではないでしょうか。本来であればありがたい話のはずなのですが、この窓口は厚生労働省の中に設置されているため、相談を受け付けても医薬品を製造して出荷することも、納入を早めることもできません。厚生労働省が医薬品調達に窮している薬局などの訴えを聞き、卸売業者へ納入調整を依頼するというものです。調整依頼と言っていますが、厚生労働省から連絡があった卸売業者は、その相談元の薬局などに医薬品を納入せざるを得ない状態になるのではないかと思います。卸売業者も在庫が限られていて精一杯の調整をしている中、厚生労働省がそこにプレッシャーをかけて優先順位を繰り上げるというのは、本質的にはなんの解決にもなっていないのでは…と思うのは私だけではないはずです。医薬品の供給量が減っている一方で、解熱鎮痛薬や咳止め薬などの需要が高まっていることが原因なのに、なぜこのような窓口の設置が解決につながると思ったのかは不思議です。現場としては、どこか別のところにしわ寄せがいく納入調整ではなく、本質的な供給不足の解決や不適切処方に対する対応がとられることを期待したいと思います。

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英語で「順調にいっていますよ」は?【1分★医療英語】第64回

第64回 英語で「順調にいっていますよ」は?You are moving in the right direction.(順調にいっていますよ)That’s good to know.(それは良かったです)《例文1》Your father is doing well. He is moving in the right direction.(お父さんは元気ですよ。順調にいっています)《例文2》His course was complicated by aspiration pneumonia, but overall, he is moving in the right direction.(経過中に誤嚥性肺炎が起こりましたが、全体としては、彼は快方に向かっています)《解説》“move in the right direction”は直訳すると「正しい方向に動く」ですが、医療現場で病状を表す時に使うと「順調にいっている」「快方に向かっている」という意味を表します。患者さんや家族に対するポジティブな声掛けにもなるため、臨床現場でよく使われる言い回しです。なお、“direction”の発音は米国英語では「ディレクション」、英国英語では「ダイレクション」となります。また、“right”にも“direction”にも「R」が含まれるため、「L」の発音と混同しないように注意が必要です。講師紹介

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