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大学病院勤務医に聞く!「時間治療」(クロノテラピー)、取り入れてますか?

臓器や組織の時刻依存的な機能性に着目し、治療効果を高め副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。今回は大学病院勤務の先生方に対し、がん治療のほか糖尿病・高血圧など生活習慣病においても効果・活用方法が研究されつつあるこの考え方について、認知度や活用実態を尋ねてみました。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「時間治療」(クロノテラピー)についてお尋ねします。あらゆる臓器や組織の機能性が、「サーカディアンリズム」と呼ばれる周期で時刻依存的に毎日の調節を受けているとされ、こうしたメカニズムから「どの時間帯にどのような疾患リスクが高まるか」といったことが徐々にわかってきています。こうした考えから、病気の治療に"時間のものさし"の視点を導入し、「治療効果を高め、副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法」が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。副作用の起きない範囲で大量に抗がん剤を投与するのが基本とされるがん治療に加え、腎臓疾患、その他糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病においても、時間治療の効果および活用方法が研究されています。そこで先生にお尋ねします。Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?知っている知らなかったQ2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。取り入れている今後取り入れたいと考えている取り入れていない自分の専門分野では対象外だと思うその他(       )Q3. コメントをお願いします(どのように取り入れているか、今後知りたいこと、患者からの要望などどういったことでも結構です)アンケート結果Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?Q2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。2012年7月20日(金)~26日(木)実施有効回答数:674件調査対象:CareNet.com医師会員のうち大学病院および関連施設の勤務医結果概要大学病院勤務医の3人に1人が"時間治療"を知っている全体の34.0%が時間治療(クロノテラピー)について「知っている」と回答。「知らなかった」と回答した医師からも、「エビデンスや具体例などを詳しく知りたい」といった声が多数寄せられた。20人に1人が「既に取り入れている」、10人に1人が「今後取り入れたい」と回答知っている医師のうち、時間治療の考え方を治療に取り入れているとした回答者は16.6%(全体の5.6%)。抗がん剤治療のほか、降圧剤の服用時間を夜間にするといったコメントが寄せられた。取り入れていない医師からも「今後の研究結果次第では積極的に取り入れたい」とした声が多く見られた。「自分の専門分野では対象外だと思う」と回答した医師は9.6%。また「抗がん剤使用は夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから夜勤看護師の協力は得難いと思われる」といった、実施する上での環境面の制約を挙げた声も見られた。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「抗癌剤治療のときに取り入れています。」(40代,内科)「プラセボ効果が大きいと思う。 」(50代,眼科)「どの時間帯に薬を投与した方が良いという考え方は新しいと思う」(30代,外科)「うつに対する光療法として取り入れている」(30代,精神・神経科)「ABPMや家庭血圧による血圧日内変動の評価を行った上で適応のある患者には降圧薬の一部の就眠前投与を行っている.」(40代,内科)「全く初めて聞きました。ベーシックなことから教えていただきたいです。」(50代,血液内科)「コンプライアンスの高い患者なら、時間治療の考え方は効果があるかも知れませんね。 ちなみに、ショートパルスみたいな使い方でステロイドを使うことが多いのですが、夜に飲むと不眠などの症状が問題になりやすいので、朝に飲んでもらっています。これ、時間治療ですね。」(40代,耳鼻咽喉科)「抗ガン剤治療などに取り入れてみたい」(60代,泌尿器科)「時間治療の効果が発揮できるように降圧剤を就寝前に投与する」(50代,循環器科)「発熱の副作用の多いサイトカイン療法は夜間に行う。」(40代,泌尿器科)「夜間の抗がん剤投与は病棟スタッフのサポート体制を考えると現実的ではない。従来通りの昼間の抗がん剤投与を行っている。」(30代,血液内科)「もっと一般的になれば実施したい。」(40代,小児科)「抗がん剤治療で有効性を高めるのと副作用を抑える効果が期待できる。具体例を教えてほしい」(40代,外科)「概日リズムも大切だが、それ以上に臨床上重要な部分が他にあると思う。」(40代,循環器科)「ACE阻害薬による乾咳を防ぐために、ACE阻害薬を夕方に投与している。」(60代,循環器科)「現時点で使わなくても良い状況にある。 対象となる患者の選択方法などがあると良い。」(50代,精神・神経科)「脳出血の発症がどうしても朝方に多いことと、降圧薬の内服が朝だとたとえ持続性であるとはいえ効果が切れてくるのが朝方になるのが重なってしまうため、持続型の降圧薬を基本的に夜に内服するように処方している。」(30代,脳神経外科)「医者のように不規則な生活リズムで生活していたら恩恵に預かれないのでしょうか」(30代,外科)「精神科では、よく話をきく。」(30代,アレルギー科)「現在の所は未解明な部分が多いが、解明が進むにつれて少しずつ取り入れたい。 ただ、時間治療について知るにつれ、自分の不摂生を大きく恥じるかもしれないのが辛い。」(20代,総合診療科)「降圧薬、スタチン、甲状腺ホルモン剤等の夕食後投与。ステロイド薬の午前中投与などで取り入れている。」(50代,代謝・内分泌科)「内分泌疾患では関連あると思っていましたが、がん治療で関係があるとは思いませんでした。」(40代,小児科)「興味はあり、今後の研究結果次第では積極的に活用してゆきたいと考えている。」(30代,小児科)「 高血圧などでは時間帯による変動の激しい人がいるので勉強したい。 」(50代,血液内科)「そもそも糖尿病や高血圧などの昔からの処方タイミング自体が時間治療にあたると思う」(30代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムはともかく、これが治療に応用できるということは全く知らなかった」(40代,救急医療科)「もっと直感的に分かる名称がいいと思います。」(40代,脳神経外科)「心筋梗塞や脳梗塞の発症は、朝方に多いので、モーニングサージや朝方の交感神経の高まりを抑制するように、夕方に処方を変更したりなど行っています。」(40代,循環器科)「抗がん剤使用では夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから、夜勤の看護師の協力は得難いと思いわれる。」(40代,呼吸器科)「がん治療に実際どのように取り入れられているか知りたい」(30代,外科)「サーカディアンリズムに個人差がないのか、それによる治療効果の差がないのかが気になる」(30代,内科)「ある程度考慮しています。ただしケースバイケースです。」(40代,膠原病科)「クロノテラピーについて、根拠のある否定的な意見と肯定的・推進的意見を両方とも知りたい。」(30代,神経内科)「クリニカルパスと連動してできたら良いと思う。」(30代,血液内科)「現時点では効果は部分的なものだと思う.マスコミなどで画期的な方法のように取り上げられているのは違和感を感じる.」(50代,膠原病科)「時間により治療を行う方針は間違ってないと思うが、現在のようなエビデンスベースの医療ではそのエビデンスを示すことは難しいと考えます。」(40代,リウマチ科)「夜間に抗癌剤投与を行うほうがいいとする意見があったが、夜間投与中に副反応などが生じた時のリスク対処を考えるとベネフィットは少ないと思う」(30代,呼吸器科)「夕方・夜間の抗がん剤投与は、マンパワー不足で、現実的に無理」(30代,血液内科)「生体における個体差をどのように克服できるのかが不安でもあります。」(50代,外科)「もっと学術的な後押し、証明がなされたら取り入れる。テレビの影響で患者からの要望は多いが、より科学的なデータを望む。」(30代,消化器科)「患者からの要望はあるが、今後も取り入れる予定はない。」(40代,泌尿器科)「時間栄養学が提唱されており、夜間に食事をすると肥満しやすいことの理論的根拠が確立されてきた。 時計遺伝子が食事をはじめ体のリズムを調整している。スタチン製剤を夕方に処方するのも脂肪合成の日内リズムに基づいている」(60代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムに従えば,有り得る治療と思う.」(40代,皮膚科)「睡眠覚醒リズムの補正が感情・情緒の改善に不可欠であると教育している。」(40代,精神・神経科)「H2 blockerは1回のときは夜に使用している。」(40代,外科)「神経疾患にも取り入れられているのか知りたい。特にステロイド大量療法(パルス療法)でも導入されているのか?」(40代,神経内科)「人間の体は不思議なもので、いつの間にか勝手に治るというのが、これで実証されていくのかと勝手に想像します。すべて知りたいです。」(30代,循環器科)

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n-3脂肪酸、2型糖尿病患者の心血管イベント予防効果認められず

 心筋梗塞や心不全患者において心血管イベント予防効果が示唆されている魚油に豊富なn-3脂肪酸について、2型糖尿病患者またはそのリスクを有する患者について検討した結果、心血管イベントの有意な減少はみられなかったことが報告された。糖尿病予備軍および早期糖尿病患者1万2,500例超を長期追跡する「ORIGIN」試験グループが報告した。NEJM誌7月26日号(オンライン版2012年6月11日号)掲載より。糖尿病治療中の1万2,536例をn-3脂肪酸群とプラセボ群に無作為化し中央値6.2年追跡 ORIGIN(Outcome Reduction with an Initial Glargine Intervention)はインスリン グラルギン(商品名:ランタス)治療と標準的治療が心血管系イベントの発生に及ぼす影響を比較するとともに、長期のn-3脂肪酸サプリメント服用についても検討した2×2要因二重盲検無作為化臨床試験。 被験者は、40ヵ国573施設から登録され、中央値6.2年(範囲:5.8~6.7)追跡された。心血管イベントが高リスク(ベースラインで59%が心筋梗塞、脳卒中、または血行再建術実施)の、空腹時血糖異常、耐糖能異常あるいは2型糖尿病を有する患者で、インスリン グラルギン(商品名:ランタス)[目標空腹時血糖値≦95mg/dL(5.3mmol/L)]または標準治療のいずれかを受けるように無作為化された。また、毎日n-3脂肪酸エチルエステル900mg以上(90%超)を含有する1gカプセルのサプリメントまたはプラセボを服用する群に無作為化され追跡された。 n-3脂肪酸服用に関する解析対象となった被験者は1万2,536例(平均年齢64歳、女性35%)で、服用群6,281例、プラセボ6,255例。主要アウトカムは、心血管系が原因の死亡だった。中性脂肪の値は有意に低下、しかし主要アウトカムの心血管死は有意差認められず 結果、追跡期間中の主要アウトカム(心血管死)の発生は、n-3脂肪酸群574例(9.1%)、プラセボ群581例(9.3%)で有意な差は認められなかった(ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.87~1.10、p=0.72)。 n-3脂肪酸群はプラセボと比較して、重大血管性イベントの発生[1,034例(16.5%)対1,017例(16.3%)、ハザード比:1.01、0.93~1.10、p=0.81]、全死因死亡[951例(15.1%)対964例(15.4%)、同:0.98、0.89~1.07、p=0.63)、不整脈死[288例(4.6%)対259例(4.1%)、同:1.10、0.93~1.30、p=0.26)に対し有意な効果は認められなかった。 中性脂肪の低下については、n-3脂肪酸群がプラセボ群よりも14.5mg/dL(0.16mmol/L)有意に大きな低下が認められた。しかしその他の脂質には有意な影響は認められなかった。 有害事象の発生は両群で同程度だった。

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早期糖尿病患者に対するインスリン グラルギン

糖尿病予備軍および早期糖尿病患者1万2,500例超を長期追跡した「ORIGIN」試験グループは、インスリン グラルギン(商品名:ランタス)による6年超にわたる空腹時血糖正常化の心血管およびその他のアウトカムへの影響について発表した。心血管アウトカムとがんへの影響は中立的であったこと、低血糖エピソード増とわずかな体重増は認められたが糖尿病の新規発症は減少したという。結果を踏まえて研究グループは、さらに血糖正常化の微細血管などへの影響について検討する必要があるが、現段階ではインスリン グラルギンの標準療法としての位置づけ変更を支持しないとする見解を示している。NEJM誌7月26日号(オンライン版2012年6月11日号)掲載より。中央値6.2年追跡、インスリン グラルギン治療と標準治療を比較ORIGIN(Outcome Reduction with an Initial Glargine Intervention)はインスリン グラルギン(商品名:ランタス)治療と標準的治療が心血管系イベントの発生に及ぼす影響を比較するとともに、長期のn-3脂肪酸サプリメント服用についても検討した2×2要因二重盲検無作為化臨床試験。被験者は、40ヵ国573施設から登録され、中央値6.2年(範囲:5.8~6.7)追跡された。心血管イベントが高リスク(ベースラインで59%が心筋梗塞、脳卒中、または血行再建術実施)の、空腹時血糖異常、耐糖能異常あるいは2型糖尿病を有する患者で、インスリン グラルギン[目標空腹時血糖値≦95mg/dL(5.3mmol/L)]または標準治療のいずれかを受けるように無作為化された。また、毎日n-3脂肪酸エチルエステル900mg以上(90%超)を含有する1gカプセルのサプリメントまたはプラセボを服用する群に無作為化され追跡された。空腹時血糖正常化の心血管イベントへの影響についての解析は、被験者1万2,537例(平均63.5歳)で、インスリン グラルギン群6,264例、標準治療群6,273例。共通主要アウトカムは、第1は非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中または心血管死とし、第2は第1のイベントに加えて血行再建または心不全による入院とした。このほか、微小血管アウトカム、糖尿病の発症、低血糖の発生、体重、がんについても両群間で比較した。心血管アウトカム、がんの発生に有意差認められず、2型糖尿病の新規発症は有意に減少結果、両群の心血管アウトカムの発生率は同程度であった。第1共通主要アウトカムの発生率は100人・年当たり、インスリン グラルギン群2.94、標準治療群2.85で(ハザード比:1.02、95%信頼区間:0.94、~1.11、p=0.63)、第2共通主要アウトカムは5.52、5.28(同:1.04、0.97~1.11、p=0.27)だった。2型糖尿病の新規発症については、治療中止後3ヵ月時点での発生が、インスリン グラルギン群30%に対し、標準治療群は35%だった(オッズ比:0.80、95%信頼区間:0.64~1.00、p=0.05)。重症低血糖の発生率は100人・年当たり、インスリン グラルギン群1.00、標準治療群0.31。平均体重の変化は、インスリン グラルギン群が1.6kg増加、標準治療群は0.5kg減少だった。がんの発生については、両群間に有意差は認められなかった。発生率は100人・年当たり両群ともに1.32だった(オッズ比:1.00、95%信頼区間:0.88~1.13、p=0.97)。

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「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…

 一般的に、抗精神病薬による代謝系の副作用は、第一世代抗精神病薬と比較し、第二世代抗精神病薬でより顕著に認められる。Schreiner氏らは代表的な第二世代抗精神病薬であるパリペリドンとオランザピンが、統合失調症患者の代謝系へ及ぼす影響と臨床効果を長期的に比較検討した。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 統合失調症患者を対象とした6ヵ月間のオープンラベル多施設共同ランダム化並行群間比較試験。パリペリドン群(パリペリドンER錠を6-9㎎/日投与)239例、オランザピン群(オランザピン経口剤を10-15㎎/日投与)220例。主要評価項目は、インスリン抵抗性の指標であるTG/HDL比のベースラインからの平均変化量とした。その他の評価指標は、PANSSスコア、脂質とグルコース代謝の測定、体重とした。主な結果は以下のとおり。・両群ともに統合失調症症状の有意な改善が認められた(p

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運動不足の解消で寿命が0.68年延長

冠動脈心疾患や糖尿病、がんなどの主な非伝染性疾患の6~10%が運動不足に起因し、運動不足が解消されれば寿命が0.68年(約8ヵ月)延長することが、米国ハーバード大学医学校ブリガム・アンド・ウェイメンズ病院のI-Min Lee氏らLancet Physical Activity Series Working Groupの調査で明らかとなった。運動不足は、冠動脈心疾患、2型糖尿病、乳がん、結腸がんなどの非伝染性疾患のリスクを増大させ、余命を短縮することを示す高度なエビデンスが存在する。多くの国では国民の運動不足が指摘されているため、運動不足と非伝染性疾患の関連は保健医療上の重要な課題となっている。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月18日号)掲載の報告。運動不足の影響を定量的に評価研究グループは、運動不足の集団が運動を行った場合に、どの程度疾患が回避され、余命の延長が得られるかを予測することで、主な非伝染性疾患に及ぼす運動不足の影響を定量的に評価した。疾病負担の解析では、運動不足が解消した場合の疾患回避率を予測するために、個々の非伝染性疾患に関する標準的な条件を用いて運動不足と関連する人口寄与割合(PAF)を国ごとに算出した。生命表分析を行って余命の延長を推算した。健康リスクは喫煙や肥満と同等冠動脈心疾患の疾病負担の6%(最低値は東南アジア地域の3.2%、最高値は地中海東部地域の7.8%)が運動不足に起因すると推定された。運動不足の2型糖尿病への寄与は7%(範囲:3.9~9.6%)、乳がんへの寄与は10%(5.6~14.1%)、結腸がんへの寄与は10%(5.7~13.8%)と推察された。2008年に世界で発生した若年死の9%(5.1~12.5%)、すなわち5,700万件の若年死のうち530万件が運動不足に起因していた。運動不足が、完全ではないまでも10%解消されれば年間に53万3,000件以上、25%解消された場合は130万件以上の死亡が回避されると推定された。運動不足が完全に解消されれば、世界の余命は中央値で0.68年(0.41~0.95年)延長すると予測された(ちなみに、日本は0.91年の延長)。著者は、「世界的に、運動不足の健康への影響は大きい。不健康な行動の低減や除去により、健康は実質的に改善される可能性がある」と結論づけ、「運動不足の健康リスクは、確立されたリスク因子である喫煙や肥満と同等なことがわかった。1日15~30分の早歩きなどの適度な運動が健康効果をもたらすことが知られており、運動不足の低減に向けたあらゆる尽力を支援すべきである」と指摘している。

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遠隔健康管理、慢性疾患患者の緊急入院、死亡を減少

 血圧や血糖モニタリングなど遠隔健康管理(telehealth)は慢性疾患患者の、緊急入院および死亡の減少に結びつくことが報告された。英国ヘルスケア指針の独立検証機関であるNuffield TrustのAdam Steventon氏らが、英国保健省による資金提供プロジェクトの無作為化試験「Whole System Demonstrator」を解析した結果による。同試験はtelehealthとtelecareの統合アプローチの有効性について検証することを目的とする、英国保健省プロジェクトの多地域クラスター無作為化試験だった。BMJ誌2012年7月14日号(オンライン版2012年6月21日号)掲載報告より。遠隔健康管理介入群と通常ケア群に無作為化し12ヵ月間追跡試験は、居宅ベースの遠隔健康管理の介入がその後の健康や死亡に及ぼす影響を通常ケアと比較することを目的とし、イングランドの3地域(コーンウォール、ケント、ニューアム)を対象に行われた。介入群または通常ケア(対照)群の無作為化は一般診療所単位で行い、同地域179件が参加。それら診療所を通じて2008年5月~2009年11月の間に、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患または心不全を有する3,230例が集められた。遠隔健康管理群には、患者-医師間の診断と指導管理の一部が遠隔通信で行われ、通常ケア群には遠隔健康管理以外の各居住地域で利用可能な医療サービスが行われた。主要評価項目は、試験期間の12ヵ月間に入院した患者の割合とした。なお、ベースラインでの被験者特徴は両群で類似していた。入院、死亡が有意に低下結果、12ヵ月の追跡期間中の入院の割合は、介入群が対照群と比較して有意に低かった(オッズ比:0.82、95%信頼区間:0.70~0.97、p=0.017)。同12ヵ月間の死亡率も、介入群(4.6%)が対照群(8.3%)と比べて有意に低かった(同:0.54、0.39~0.75、p

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皆保険制度、実現にはサービスへのアクセスが課題

医療皆保険制度の実現には、医療サービスへのアクセスにおける物理的、財政的な障壁の解消が重要なことが、ロンドン大学公衆衛生学熱帯医学大学院のAnne Mills氏らがアフリカで行った調査で明らかとなった。医療皆保険制度は世界的に大きな関心事であり、とくに非正規労働者の保護に向けた医療財政制度に関する議論が続いている。最重要課題は、個々の財政制度やサービスの利用パターンの平等性だという。Lancet誌2012年7月14日号(オンライン版2012年5月15日号)掲載の報告。医療財政とサービス利用の平等性を全システム分析で検討研究グループは、ガーナ、南アフリカ、タンザニアにおける医療財政とサービス利用の平等性を全システム分析(公的領域と私的領域の統合解析)により検討した。医療財政制度、高額医療支出、医療利益配分の進展性(progressivity)を算定し、量的な解析結果を解釈するための質的データを収集した。質的データにつき、地理的利用可能性(availability)、経済的利用可能性(affordability)、受容可能性(acceptability)に関する主題分析を行った。平等性の解析により、適正な財政制度実現の指針が得られる3国とも、医療財政は直接税により全般的に進展していた。間接税の医療費への配分は南アフリカでは減少していたが、ガーナとタンザニアでは増加していた。自己負担分は3国とも減少していた。正規領域以外からの医療保険負担はガーナとタンザニアでは減少していた。3国とも全体的な医療利益配分は富裕層で多く、疾病負担は低所得層で大きかった。皆保険制度の実現に向けた最大の課題は、3国とも、必要とされる適切な医療サービスへのアクセスだった。著者は、「医療財政やサービス利用の平等性を解析することで、財政制度の拡大や、医療保険未加入の非正規労働者の健康を考慮した適正な財政制度に関する問題提起の指針がもたらされる」とし、「皆保険制度を現実のものとするには、医療サービスへのアクセスに対する物理的、財政的な障壁の解消に取り組む必要がある」と指摘している。

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障害者総合支援法によって新たに生まれる「制度の谷間」

「フリースペース彩~内部障害・難病当事者ネットワーク~」副代表 白井誠一朗 篠原三恵子2012年7月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。私たちの会では2007年より、障害認定されている内部障害や、国が認定している難病に限定せずに、内部障害や疾病等により生活上で様々な困難を抱えている人たちの、自由な情報交換や当事者同士のサポートなどを行って参りました。この度、6月20日の参議院本会議において、障害者総合支援法が可決、成立し、新たに難病が法の対象として位置付けられました。しかし国会での審議において、「対象となる具体的な範囲については、現在の難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患百三十疾患及び関節リウマチを参考にして、難病対策委員会で見直しが議論されている難病対策において設定される希少・難治性疾患の定義を基本に検討していきたい」という答弁がありました。障がい者総合福祉部会が提出した「骨格提言」でも、「制度の谷間におかれている難病や慢性疾患の患者等においても、『その他の心身の機能の障害がある者(改正された障害者基本法と同文)』とし、障害者手帳がなくとも、医師の診断書、意見書、その他障害特性に関して専門的な知識を有する専門職の意見書で補い、入口で排除しないこと」と提言しています。障害者総合支援法の基本理念には、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること」とあります。現在の障害者福祉制度においては、身体障害者のみ福祉サービスの給付に際し、その介護等のニーズ調査を受ける前段階で身体障害者手帳を所持していることが要件となっています。そのため、臓器(脾臓やすい臓等)や疾病(免疫機能障害はHIVのみが対象)によって、身体障害者手帳を取得できない方が介護等の福祉サービスを利用できないばかりか、ニーズ調査すら受けられない実情があります。難病は5000~7000もあるとされており、国に指定された難病+関節リウマチだけが新法の対象に加えられるとすれば、再び「制度の谷間」が生まれることになります。また、難病を一つ一つ追加し、対象となる障害の制限列挙方式では、いつまでたっても「制度の谷間」は解消できません。例えば、現在難病指定されていない筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)、線維筋痛症、1型糖尿病、骨髄性血小板増多症等の障害手帳のない慢性疾患はいつ対象に入ることができるのでしょうか。その他、希少要件等によって、命にかかわるような重症患者までもが切り捨てられてしまうことが危惧されます。国に指定された難病+関節リウマチ以外の慢性疾患を持つ人達の生活状況が、どんなに逼迫しているかをご存知でしょうか。筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)は、日常生活における最小限の活動や簡単な知的作業などによってさえ、著しく急激な身体的及び認知疲労が起こり、身体を衰弱させ、症状の悪化を引き起こしうり、その疲労の回復には24時間以上を要し、何週間もかかることさえある病気です。寝たきりに近い方も多く、多くの方が職を失うほど深刻な病気でありながら、身体障害者手帳を取得出来る方は極めて稀です。慢性疾患を抱える人には、「病的に疲労が激しい」「慢性的な耐えがたい痛みが続く」といった人が多いですが、こういった痛みや疲労といった症状で日常生活に支障をきたしていても、障害者手帳取得の際にほとんど勘案されず、取得は極めて困難だからです。1型糖尿病の方の中には、週2日のアルバイトを続けるために、体調に応じてフレキシブルな勤務が認められているにも関わらず、休日は倦怠感や血糖値による体調の悪さでほぼ終日就床していなければならない方もいます。部屋の掃除は年2回、風呂掃除、洗濯は週1~2回、買い物は週1回インターネットで注文し、近所のスーパーへ買い物に行くのは1~2カ月に1回、自炊は週3~5回でそれ以外は外食等で体力を温存し、辛うじて仕事を続けておられます。身体障害者手帳を取得できず、現在は何の福祉サービスも受けられません。患者の日常生活を支える介護等を提供する福祉サービスと医療費助成、治療研究などの対象は、分けて議論すべきではないでしょうか。まずは、日常生活の介護給付などの福祉サービスの対象として、病名で除外せずに、申請できる仕組みを検討していただきたいと思います。病名で範囲を定め、介護給付などの福祉的支援の必要があっても支援にアクセスすらできない谷間を放置することは、法の下の平等に反するのではないでしょうか。難病の範囲については、病名を制限列挙するのではなく、医師の意見書によって補い、入口規制せず、その上で支給決定のための認定審査を受ける事になれば、「制度の谷間」は解消されます。難病の範囲を国で指定する難病だけに限定せず、障害者手帳のない介護や介助を要するような重度の慢性疾患をもつ人も、必要な支援を受けられるようにしていただきたいと願っています。

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「接待見直し」、その後のMRとの関係

012年4月より公正競争規約の新運用基準により認められなくなったMRからの「接待」。さて新基準施行後、製薬企業やMRからのアプローチはどう変わったのか?"勉強会"や"講演会"が増えた?情報収集はインターネットで充分?病院と診療所、施設別での状況の違いも気になるところです。CareNet.comで2012年3月に実施した、見直し前の予想調査とも比較しながらご覧ください。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細製薬企業の「接待見直し」によるMRとの関係性についてお尋ねします。2012年4月より、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(医薬品公取協)による公正競争規約の新運用基準がスタートしました。これにより、営業担当の医薬情報担当者(MR)の医師との飲食においては参加者1人あたり3000~2万円と上限が定められ、2次会や接待ゴルフは禁じられました。「接待」の範囲を会議か、それに準じるものに限定し、医師との懇親の飲食は認めないことで、MR間の競争激化による過剰な接待に歯止めをかけるのが狙いとされています。そこで先生にお尋ねします。Q1. 新運用基準がスタートした4月以降、MRと面会する頻度はどのようになりましたか?特に変わらない全般的に増えた限定したMRとだけ面会するようになった全般的に減った4月以前からMRとは面会していないQ2. 「4月以前からMRとは面会していない」以外の方にお尋ねします。4月以降の製薬企業/MRからの働きかけおよびご自身の情報収集に関し、機会が増えたものがあれば全てお答え下さい。(複数回答可)院内での面会依頼勉強会の案内講演会での講演依頼研究会の支援製薬企業サイトからの情報収集第三者医療専門サイトからの情報収集特に変化はないその他チャネルからの情報収集(     )Q3. コメントをお願いします(今回の見直しを経てMR・製薬企業の対応・関係性で変化したこと/しなかったこと、提供される情報内容・質、"接待"に対するお考えなどどういったことでも結構です)アンケート結果Q1. 新運用基準がスタートした4月以降、MRと面会する頻度はどのようになりましたか?Q2. 「4月以前からMRとは面会していない」以外の方にお尋ねします。4月以降の製薬企業/MRからの働きかけおよびご自身の情報収集に関し、機会が増えたものがあれば全てお答え下さい。2012年7月6日(金)~8日(日)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員結果概要見直し前「面会は減ると思う」13.1% → 見直し後「実際に減った」21.8% 新基準実施前の3月時調査で「4月以降どう考えるか」と尋ねたところ「特に変わらないと思う」とした医師は77.0%であったが、今回調査では67.2%と運用後の実際は約10ポイント減る結果となった。一方、「全般的に減った」とした医師は全体の21.8%であり、3月時調査に比べ約8ポイント増加。全体として、接待見直し前に医師が予想した状態と大幅なズレはないものの、面会頻度は多少下がっている傾向にあると見受けられる。施設別に見ると、国公立以外の病院では27.6%の医師が「減った」と回答(前回16.8%)。診療所医師では21.8%と、前回(10.2%)に比較し倍増した。製薬企業からのアプローチ内容、医師の6割以上「変化なし」MRと面会機会のある医師に対し、製薬企業・MRからの働きかけや、自らの情報収集スタイルに変化があったか尋ねたところ、62.7%の医師が「特に変化はない」と回答。働きかけのうち増えたものとして「勉強会案内」22.3%、「MRからの院内面会依頼」12.1%、「講演依頼」8.2%。一方、自ら医療専門サイトや製薬企業サイトを利用して情報収集する機会が増えたとする医師はそれぞれ5%程度。こうした医師からは「パソコンでも十分に知識を得られるので、MRとの接触は苦痛になった」といったコメントも寄せられた。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「製薬会社が本腰をいれてよい製品をつくろうとがんばるつもりの接待禁止と考えているので 患者さんに良い薬のみをつかえるようになり MRさんに気を使わなくても良くなった。」(病院(国公立以外),30代,内科)「来院機会が減った様に思います。結果、面会数も減少し情報提供の時間も少ないと感じています」(病院(国公立以外),40代,内科)「製薬企業の収益などの実力を試されるのは、これからだと思います。効能の同一とされる薬は豊富に色んなメーカーにありますので。」(その他,40代,放射線科)「直接、MRから話を聞く機会はどんどん減っていくと思うので、将来的にはMRの人員削減及び製薬会社のホームページの有効活用をすれば情報収集は問題なく行えると思う。」(病院(国公立以外),30代,泌尿器科)「院内での説明会が増えた」(診療所,40代,整形外科)「接待まがいがなくなり、かえってすっきりした」(病院(国公立),50代,外科)「純粋に薬の情報収集以外に会う必要がなくなったので、必然的に面会回数は減少した。」(その他,50代,産婦人科)「企業間の公平性が保たれて良いのではないか。」(病院(国公立以外),30代,消化器科)「MRさんも話すことがなくて困っている様子」(病院(国公立以外),40代,泌尿器科)「講師謝礼の公表は講師の値踏みとなるであろう。」(病院(国公立以外),60代,心療内科)「現時点で、以前との変化はあまり感じていません。 不要な接待や訪問が減っていくのであれば、望ましい形態ではないかと思います。」(病院(国公立以外),30代,放射線科)「接待で医療の質が変わるのはおかしいと考えていましたので、このように規制がかかったことは良いことだと思います。」(病院(国公立以外),30代,外科)「接待はいらない。新薬等の情報提供がMRの仕事と考える。」(病院(国公立),40代,整形外科)「情報提供にはもともとあまり期待していない。人間関係が大切と思うが、MRも今時の若い人になってきてあまり付き合いたくなくなってきている。」(病院(国公立),60代,外科)「微々たる接待費を削るよりも、医師とのコミュニケーションが取れなくなったことの方がずっと問題は大きい。」(診療所,40代,眼科)「そこいら中で時を気にせず、やたら研究会・講演会が多すぎる。もう少し節度を持って出来ないものでしょうか?身体が持ちません。」(診療所,50代,整形外科)「面会することに対するモチベーションが減りました。」(病院(国公立以外),50代,外科)「元々、接待の良さで、その薬を使うかどうかは決めていないので、あまり影響はない。情報内容は変わらず。かえってpoorになった気もする。」(病院(国公立以外),30代,精神・神経科)「やたらと会議の名称をつけた食事会に変化した。」(病院(国公立),30代,泌尿器科)「顔がよく分らなくなった。」(病院(国公立以外),40代,外科)「処方薬剤に大きな変動が現れるであろうと予想している」(病院(国公立),40代,外科)「MRさんと話をする機会が激減した。時間を取ってゆっくりと話を聞いてほしいなら、宴席を設けるのも必要かと考える。薬剤師はよくて医師はダメ・・・というのも理不尽でしょう。」(診療所,40代,眼科)「接待は不要であると思う。しかし、勤務時間内に面会してまで製品を売り込まれるのは正直迷惑。きちんとした情報提供をできるMRでなければ営業ができなくなると思う。」(病院(国公立以外),20代,呼吸器科)「色々と制限した分話す機会がへっています。以前より個人的に親しい方は変わりないですが・・・」(病院(国公立以外),40代,内科)「飲食禁止による過剰反応で、コミュニケーションが悪化した例もありますし、余計に、社内勉強会と称した講演依頼が増えて、負担が増加しています。 何事も、限度問題だと思いますが、今の規制は厳し過ぎて、日本型のビジネスにとっては、マイナスだと思います。」(病院(国公立以外),50代,内科)「パソコンでも十分に知識を得られるので、MRとの接触は 苦痛になった。診察後に教科書通りの説明を聞いてもくたびれる。自分のノルマを消化するための訪問としか思われない。接待はすくなくともよいが、心の通った温かい折触はなくなった。医者も製薬会社にとってもマイナスとなった。」(診療所,60代,整形外科)「今後は自分自身で意識してより客観的な情報収集に努力しなければならないと思います。」(診療所,50代,産業医)「きちんと業務上の必要事項を伝達してくれるなら、接待は必要ない。」(病院(国公立以外),40代,内科)「MRからの薬剤に関する情報提供も極端に減。 接待は、皆無にすればよいと思う。 学会や研究会の共催などにお金を使えば十分。」(病院(国公立以外),40代,麻酔科)「接待そのもの、その中身が何であれほとんどなくなった。 情報量が格段に減少したと感じる。」(診療所,50代,産婦人科)「必要のない面会は減り、MRの提供する情報の質が向上したように感じます。」(病院(国公立以外),50代,腎臓内科)「接待禁止になろうがなるまいが、誠意のあるMRの姿勢は変わっていない。院内で逢うのに接待もないと思うが、口実にして訪問が少なくなった者が他社にはいる。」(診療所,60代,整形外科)「限られた時間内に、自社の薬の特徴等を、効率的に説明する技術を磨いて欲しい。」(診療所,40代,泌尿器科)「こちらも採用に関して厳格に採否できるようになった」(病院(国公立以外),40代,呼吸器科)「過剰な接待には反対ですが、臨床研究や打ち合わせであればどの社会でもあるのではないでしょうか。」(病院(国公立以外),50代,泌尿器科)「歓迎会 送別会の食事会がなくなった。」(病院(国公立),40代,外科)「ほぼ全社との接点が希薄になった。 お互いにとってデメリットが大きすぎると考える。」(病院(国公立以外),30代,腎臓内科)「以前から接待は大嫌いでMRに機嫌を取ってもらうような接待は受けるものかと考えていた。このため、患者さんにとって必要と思われる薬はMRからの接待など関係なしに使用していた。ところがこの事を良いことに接待などしなくてもどんどん使ってくれるから楽ちんと全く情報提供をしようとしなかったMRが多くいたことが残念。これから私のような人間の所には益々MRは近寄らず機嫌を取ることで薬を使ってもらえるDrの所にばかり訪問するのではないかと思われる。実際に今まで以上にMRの訪問機会が減り、その理由として以前に増して忙しくなって訪問の機会が減ったと言う人間が増えた。」(診療所,60代,内科)「医者の接待をやめた分、薬剤師や調剤薬局の接待をしているようなので、勝手にがんばってほしい。 講演会や勉強会の案内や、薬剤情報を置いたらさっさと帰ってほしい。」(病院(国公立以外),30代,精神・神経科)

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アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指すJSMO2012 第10回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナーより

今年の日本臨床腫瘍学会(以下、JSMO)学術集会は10周年記念大会として、"Beyond the Global Standard of Medical Oncology 縲弃erspectives from Asia縲鰀"をテーマとして掲げ 、7月26日~28日の3日間、大阪国際会議場で開催される。10ヵ所の講演会場とポスター会場を使い、1,000題を超えるプレゼンテーションが行われる。今年の学術集会の見どころを、13日に行われたプレスセミナーで、会長である近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 教授 中川和彦氏が紹介した。設立10周年記念企画 7月26日、10周年記念企画「わが国における臨床腫瘍学の歩みと今後の展望」が開かれる。ここではJSMOがこの10年間どのように成長したか、今後どのような方向に向かっていくのか、歴代会長と現役会員がそれぞれの観点からディスカッションを行う。国際化への取り組みJSMOは、“アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指す”と宣言しているが、その宣言を反映するように、海外から一般演題を募集するという初めての試みを行っている。その結果、今回の1,135演題のうち122演題が海外からの応募演題となった。これら海外からの演題は12のインターナショナルセッションに配置しているが、予定以上の演題数に、急遽6のミニインターナショナルセッションも設け、プレゼンテーションの機会を与えている。 7月26日にはASCO、27日にはESMO、28日にはCSCO(中国)およびKACO(韓国)の各臨床腫瘍学会とのジョイントシンポジウムが行われる。ASCOからは次期ASCO会長であるDr.Swain、ESMO からは機関誌Annal of Oncologyの編集者でもあるDr.Vermorken、また、CSCO、KACOからもそれぞれClinical oncologyの第一人者が出席する。これらのシンポジウムでは、国内外の最先端の研究報告が期待される。また、このような活動を通し、JSMOは今後、海外、とくにアジアでのコンセンサスを形成する活動を目指していくという。プレナリーセッションすべての演題の中から重要度の高い7演題をプレナリーセッションに取り上げている。腎がん、乳がん、胃がん、大腸がん2題、肺がん2題の演題はすべてPhase3であり、いずれも非常にインパクトが高く臨床に直結した発表である。また、プレナリーセッション開催時は、その他の会場でのプログラムがなく、同セッションだけに集中できるスケジュールとなっている。プレナリーセッション演題は下記のとおり。1:「Phase III AXIS trial of axitinib vs sorafenib in patients with metastatic renal cell carcinoma: Asian subgroup analysis」Hirotsugu Uemura (Department of Urology, Kinki University School of Medicine, Osaka2:「A Phase III, Multicenter, Randomized Trial of Maintenance Versus Observation After Achieving Clinical Response in Patients With Metastatic Breast Cancer Who Received 6 Cycles of Gemcitabine Plus Paclitaxel as First-line Chemotherapy (KCSG-BR 0702, NCT00561119) 」Young-Hyuck Im (Samsung Medical Center)3: 「Randomized phase III study of irinotecan (CPT-11) vs. weekly paclitaxel (wPTX) for advanced gastric cancer (AGC) refractory to combination chemotherapy (CT) of fluoropyrimidine plus platinum (FP) : WJOG4007 trial」Nozomu Machida (Division of Gastrointestinal Oncology, Shizuoka Cancer Center)4: 「Results of a phase III randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial (CORRECT) of regorafenib plus best supportive care (BSC) versus placebo plus BSC in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC) who have progressed after standard therapies.」Takayuki Yoshino (National Cancer Center Hospital East)5: 「Results of ML18147: A phase III study of bevacizumab in 2nd line mCRC for patients pretreated with bevacizumab in 1st line」Stefan Kubicka (District Clinic Reutlingen)6: 「LUX-Lung 3: afatinib vs cisplatin and pemetrexed in Japanese patients with adenocarcinoma of the lung harboring an EGFR mutation」Nobuyuki Yamamoto (Thoracic Oncology Division, Shizuoka Cancer Center)7: 「Maintenance pemetrexed (pem) plus best supportive care (BSC) vs placebo plus BSC after pem plus cisplatin for advanced nonsquamous NSCLC」C. K. Obasaju (Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN, USA)学会へ行こうプログラム今回は、市民との対話の機会を設けるなど、アカデミックなプログラム以外の活動も企画している。具体的には「学会へ行こうプログラム」を企画。市民の学会への参加を呼びかけるとともに、市民公開講座、ペイシェント・アドボケイト・プログラムなどを実施する。今まで当学会への市民参加は行ったことがなかったが、がん診療のあり方を変える取り組みとして、市民に参加してもらう機会を作りたいという意図から実施に至った。 この中で、最も注目されるイベントは7月26日14時30分から開催される公開シンポジウムである。「がん患者の必要としているがん医療縲恍n域でがん患者を支えるためには縲怐vと題し、司会に田原総一朗氏を招き、学会・マスコミの第一人者を集めて2部構成で開催される。第1部では、がん対策基本法が制定されてから、これまでどのようなことが変わってきたか? 第2部では、政府の新たな指針に対する検証、各方面からの要望などを議論する。教育講演今回の大会の目玉の一つとして、充実した教育講演がある。具体的には、日本の第一人者による32の教育講演を3日間続けて行う。内容は支持療法から臓器各論、標準治療、分子標的治療薬に至るまでさまざまなテーマで開催される。今年は、海外からの参加者も念頭に置き、同時通訳と英語スライドを使用するとのこと。また、7月27日8時からは、JSMO専門医会がケースカンファレンスを行う。乳がん、原発不明がん、大腸がんを取り上げ、どのように専門医が有効に働いていくのかを知る良い機会となる。今回の大会では、今年6月のASCOで発表された注目の演題も数多く取り上げられているが、それだけでなく、日本での臨床応用についてのディスカッションも行われる。これは日本の臨床腫瘍学にとって、非常に有益なことであり、将来はJSMOから世界に発信するということを目標としたい、と中川氏は語った。 (ケアネット細田雅之)

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医学専門誌の別刷部数、医薬品企業からの資金提供と関連

英国・オックスフォード大学のAdam E Handel氏らは、資金提供と研究デザインが医学専門誌の別刷の大量注文とどれだけ関連するかを評価するケースコントロール研究を行った。その結果、医薬品企業による資金提供と大量の別刷注文との関連が認められたという。BMJ誌2012年7月2日号(オンライン版2012年6月28日号)掲載報告より。Lancetグループ3誌とBMJグループ4誌を評価出版された論文の別刷は、情報を広める有益な手段で、論文執筆者自身が別刷を要請する場合もあるが、最大の発注者は医薬品企業で、別刷は贈り物やサンプル品に次いで、医師の間で流通する主要な製薬会社のプロモーション材料となっている。製薬会社が資金提供した論文が掲載された学術誌の別刷を発注する場合もあるため、論文の別刷は利害関係を生む基ともなり、出版バイアスを招く可能性が示唆されている。Handel氏らは、医学専門誌7誌の2002~2009年のトップ論文を評価対象として別刷注文数による比較研究を行った。対象となったのは「Lancet」「Lancet Neurology」「Lancet Oncology」(以上Lancetグループ)、「BMJ」「Gut」「Heart」「Journal of Neurology、Neurosurgery & Psychiatry」(以上BMJグループ)で、別刷大量注文リストになかった同時期掲載の記事と照合した。主要評価項目は、資金提供と無作為化試験デザインまたはその他試験デザインとした。医薬品企業からの資金提供がある論文は大量の別刷注文の傾向7誌の別刷注文数の中央値は3,000部から12万6,350部の範囲に及んだ。大量の別刷注文があった論文は、対照論文と比べて医薬品企業からの資金提供を受けている傾向がみられた。企業資金提供vs. 他の資金提供または提供なしのオッズ比8.64(95%信頼区間:5.09~14.68)、資金提供が複数(mixed funding)vs. 他の資金提供または提供なしのオッズ比3.72(同:2.43~5.70)だった。また、無作為化試験の論文がその他試験の論文よりも、大量の別刷注文が多いという傾向はみられなかった(オッズ比:1.04、95%信頼区間:0.70~1.54)。

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MediTalking(メディトウキング)終了のお知らせ

CareNetからのお知らせみなさまにご愛顧いただきました「MediTalking(メディトウキング)」は、7月23日に予定しておりますCareNet.comサイトリニューアルに伴い、誠に勝手ながら2012年7月19日にてサービスを停止させていただきました。「エキスパートに質問(臨床、経営、特別企画)」に掲載のコンテンツは、以下のリンクよりご覧いただけます。エキスパートに質問(臨床)戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」准教授 長谷部光泉 先生「すべては病気という敵と闘うために 医師としての強い気持ちを育みたい」教授 福島統 先生「国民のための医者をつくる大学 この理念の下に医師を育成する」教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」部長 中山優子 先生「がん治療における放射線治療医は多くの可能性をもつ魅力ある分野」副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」教授 鈴木康夫 先生「最先端の治療で難病患者を支える、グローバルな医療現場」教授 向井秀樹先生「患者さんと真摯に向き合う中から病態は解明される」准教授 高橋 寛先生「人と交わり、先端を目指せ!-ある整形外科医の挑戦-」講師 斎藤充先生「骨粗鬆症治療「50%の壁」を打破する「骨質マーカー」」教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」教授 白井厚治先生「「CAVI」千葉県・佐倉から世界へ 抗動脈硬化の治療戦略」教授 中村正人先生「カテーテルの歴史とともに30年、最先端治療の場で」准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」准教授 小早川信一郎先生「白内障手術の光と影」エキスパートに質問(経営)守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(前編)」守屋文貴「やりがいと誇りをもって働ける組織を創るには?(後編)」西岡 篤志氏「税務3回目 交際費の必要経費化・損金化のポイント」院長 井出広幸先生「医師に必要な経営能力、マネジメント能力を身につけるために」事務局長 三谷博明「患者さんに情報を正しく伝える、インターネット時代の広告のあり方」西岡 篤志氏「税務2回目 開業医に対する税務調査の実態と対応術」企画広報室長 宇佐美 脩氏「医師と患者の架け橋 -病院広報の現場」西岡 篤志氏「税務1回目 新医療法人のデメリット・誤解の解明」エキスパートに質問(特別企画)座長:岩田健太郎先生「メディアに振り回されない、惑わされない医療者になる:CareNet+Style連携特別企画」PubMed CLOUD作りました、「時間がない人」専用のPubMed

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帯状疱疹ワクチン、生物製剤服用者への安全性と効果示す

関節リウマチなど自己免疫疾患で生物学的製剤を服用している患者への帯状疱疹ワクチン接種は、同発症予防に有効であることが明らかにされた。同ワクチン接種直後の帯状疱疹発症リスクについても、増大は認められなかったという。米国・アラバマ大学のJie Zhang氏らが、46万人超を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月4日号で発表した。抗腫瘍壊死因子(抗TNF)療法やその他の生物学的製剤を服用している患者への、帯状疱疹弱毒生ワクチンの効果や安全性は検証データが限られており明らかになっておらず、接種は禁忌とされている。46万人超を2年間追跡研究グループは、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」の60歳以上受給者46万3,541人について、2006年1月1日~2009年12月31日のデータを用い、後ろ向きコホート試験を行った。被験者は、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患のいずれかの診断を受けていた。被験者の追跡開始時の平均年齢は74歳で、72.3%が女性だった。主要アウトカムは、帯状疱疹ワクチン接種後42日以内と43日以降の、それぞれの帯状疱疹発症率で、ワクチン非接種群と比較し検討した。追跡期間の中央値は2.0年(四分位範囲:0.8~3.0)、被験者のうち帯状疱疹ワクチンを接種したのは1万8,683人(4.0%)だった。ワクチン接種で帯状疱疹発症リスクは0.61倍に、生物学的製剤服用者で発症例はなしワクチン接種後42日以内の帯状疱疹発症率は、7.8/1,000人・年(95%信頼区間:3.7~16.5)だった。接種後43日以降の帯状疱疹発症率は、6.7/1,000人・年(同:5.7~7.9)で、ワクチン非接種群の同発症率は11.6/1,000人・年(同:11.4~11.9)と比べ、大幅に低率だった(罹患率比:0.58、p<0.001)。疾患や服用薬などで多変量補正を行った後の、同ハザード比は0.61(同:0.52~0.71)だった。また、ワクチン接種時または接種後42日以内に生物学的製剤を服用していた633人で、帯状疱疹や水痘を発症した人はいなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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せん妄対策に「光療法」が有効!

入院患者においてしばしば問題となる「せん妄」。せん妄は、ほぼすべての診療科で遭遇する可能性のある精神症状である。一般的にせん妄の治療には、抗精神病薬が用いられるが、Yang氏らは抗精神病薬リスペリドン(RIS)投与に加えて補助療法として「光療法」を行い、せん妄治療への影響を検討した。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年6月18日付の報告。意識障害で精神科のコンサルテーションを受けた36例の せん妄患者を、RIS単独群16例とRIS+光療法群20例にランダムに割り付け、1~5日目の せん妄評価尺度(DRS)、せん妄の重症度評価尺度(MDAS)にて評価した(検査当日:ベースライン)。また、睡眠パラメータは睡眠ログにて測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・DRSとMDASの平均スコアは両治療群ともベースラインと比較し有意な改善を示した。・RIS+光療法群では、RIS群と比較し有意なDRSスコアの減少を示したが(F=2.87、p=0.025)、MDASスコアは両群間で同等であった。・RIS+光療法群では、RIS群と比較し総睡眠時間(F=2.07、p=0.037)および睡眠効率(F=2.79、p=0.029)が有意に改善した。・せん妄治療におけるRIS+光療法は有用な選択肢であることが示された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース  ・ヨガ で精神症状とQOLが改善 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは ・パリペリドンはリスペリドンより安全性プロファイルが良好

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第4回 期待権:薄氷上の医療従事者

■今回のテーマのポイント1.期待権侵害が不法行為として認められるかは、「当該医療行為が著しく不適切なものである」事案について検討し得るにとどまる2.この法理は、因果関係の証明が不要であるばかりでなく、理論上は、身体への損害結果すら不要であることから問題である3.「当該医療行為が著しく不適切なものである」場合の解釈は不明確であり、不用意に既存の法理論をあてはめた場合、大きな問題が生ずる虞(おそれ)がある事件の概要原告(X)は、昭和63年11月、Y病院にて左脛骨高原骨折に対し、骨接合術および骨移植術を受けました。Xは、退院後、7カ月ほどY病院にリハビリのために通院し、平成元年8月にボルト抜釘した後は、自主的に通院を中止しました。平成9年10月になり、Xは、Y病院を受診し、「本件手術後、左足の腫れが続いている」などと訴えたことから、診察、レントゲン検査が行われたものの、機能障害はなく問題はないものと判断され、格別の措置は講じられませんでした。平成12年には、左膝下から足首にかけて無数の赤黒いあざができるなど皮膚に変色が生じたためY病院を受診したところ、皮膚科受診を勧められました。しかし、皮膚科で投薬治療を受けるものの改善せず、平成13年になって、他院(大学病院)を受診したところ、手術およびその後の臥床、ギプス固定による「左下肢深部静脈血栓症」と診断されました。Xは、Y病院に対し、必要な検査を行なわず、専門医に紹介もしなかった結果、左下肢深部静脈血栓症となり、後遺症が残ったとして損害賠償請求をしました。原審(高裁)では、下肢の手術に伴い深部静脈血栓症を発症する頻度が高いことが我が国の整形外科医において一般に認識されるようになったのは、平成13年以降であること、平成9年10月の受診時点では、すでに適切な治療法がなくなっていたとしながらも、その当時の医療水準にかなった適切かつ真しな医療行為を受ける期待権が侵害されたとして、Y病院に300万円の損害賠償責任を認めました。これに対し、最高裁は、原審を破棄し原告(X)の請求を棄却しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過原告(X)は、昭和63年11月、Y病院にて左脛骨高原骨折に対し、骨接合術および骨移植術を受けました。Xは、退院後、Y病院にリハビリのため通院していた際、左足の腫れを訴えることがありましたが、特に検査や治療はなされませんでした。そして、平成元年8月にボルト抜釘した後は、自主的に通院を中止しました。Xは、平成4年、7年、8年と計3回Y病院を腰痛等で受診しましたが、その際に左足の腫れを訴えることはありませんでした。Xは、平成9年10月になりY病院を受診し、「本件手術後、左足の腫れが続いている」などと訴えたことから、診察、レントゲン検査を行われましたが、左右の足の周径に3cmほど差があったものの、圧痛もなく、左膝の可動域も十分あり、Xが従前どおり大工の仕事を続けられていることから機能障害はなく、問題はないものと判断され、格別の措置は講じられませんでした。平成12年には、左膝下から足首にかけて無数の赤黒いあざができるなど皮膚の変色が生じたためY病院を受診したところ、皮膚科受診を勧められました。皮膚科ではうっ血と診断され、投薬治療を受けましたが改善しませんでした。Xは、平成13年に他院(大学病院)を複数受診したところ、手術およびその後の臥床、ギプス固定による左下肢深部静脈血栓症と診断されました。事件の判決患者が適切な医療行為を受けることができなかった場合に、医師が、患者に対して、適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは、当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまるべきものであるところ、本件は、そのような事案とはいえない。したがって、上告人らについて上記不法行為責任の有無を検討する余地はなく、上告人らは、被上告人に対し、不法行為責任を負わないというべきである。(最判平成23年02月25日集民第236号183頁)ポイント解説本判決は、最高裁判所が「期待権」について判示した初めての判決であり、第3回で紹介した「相当程度の可能性」と併せて医療行為、医療訴訟をどのように位置づけるかを考える上で重要な判決といえます。期待権とは、「患者が適時に医療水準にかなった適切な検査、治療等医療行為を受ける利益」のことをいいます。前回同様、不法行為の要件にあてはめると、(1)過失:医療水準に満たない診療等(2)損害:期待権 ≒ 医療水準に満たない診療等(3)因果関係:(1)と(2)の間の因果関係となります。見ていただければ明らかなように、期待権は過失とほぼ同義であることから論理的に因果関係(3)の立証は不要となります。したがって、結果として、「期待権侵害が認められるためには、過失のみが立証されれば足りる」ということになります。前回説明した「相当程度の可能性」が結論としては過失と相当程度の可能性のみで不法行為が成立する(因果関係の立証の緩和)としたものでありましたが、期待権においては、もはや因果関係の立証すら不要となるのです。しかも、期待権侵害の場合、実際に患者の身体に損害が生じていることは問いませんので、理論上は、「ヒヤリハット」といわれるインシデントであったとしても期待権侵害による不法行為が成立しうることになるなど医療安全管理上も大きな問題といえます。本判決では、この期待権侵害が不法行為として認められるためには、「当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまるべきものである」と限定を付しています。この最高裁の判示は、不法行為の違法性に対する相関関係説に立っているものと考えられます。相関関係説とは、「侵害されたとする利益の種類・性質とそれを侵害した行為の態様(悪質性)の相関関係(掛け算)によって不法行為として認めるべきかを決しよう」とする考え方です。■相関関係説被侵害利益の種類・性質 × 侵害行為の態様(悪質性)つまり、日照権や騒音被害等生活妨害や、営業権等のような要保護性が低い利益については、当該侵害行為が不正な手段によって侵害されたとか、刑罰法規に違反するような行為によって侵害されたなど、悪質な態様によって侵害されている場合にのみ不法行為を認めるべきであると考えるのです。本判決が、「当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまるべき」と判示しているのは、この相関関係説からきているものと考えられます。期待権のような要保護性の低い利益については、行為態様の悪質性が著しく高い場合においてのみ、不法行為が成立しうるとしたのです※1。この考え方自体は理解できなくはないのですが、相関関係説において、行為態様の悪質性があるとされる典型例として、刑罰法規違反が挙げられていますが、異状死体届出義務、処方箋交付義務やカルテ記載義務等複数の医師法上の義務には、刑事罰が科せられていることが多いので、大きな問題が生ずる危険があるといえます。一方、医療費亡国論に基づく医療費抑制政策をいまだに継続している状況下において、「患者が適時に医療水準にかなった適切な検査、治療等医療行為を受ける利益」を侵害している主体は国であり、国家賠償責任を認めるならまだしも、憲法25条に定める生存権を「プログラム規定」※2とした司法が、このような制度下で寝る間も惜しんで仕事をしている臨床現場の医療従事者個人に対して過酷なまでに不法行為責任を問うことは、欺瞞でしかないともいえます。また、本判決の裏返しとなりますが、医療訴訟において、「なぜ司法が医療者の現場感覚としては問題がないといえるような事例にまで過失を認めてきたか」というと、患者が死亡した場合や重度の障害を負った場合、被侵害利益が非常に重大であるため、侵害態様の悪質性が低い場合においても不法行為が成立すべきという価値判断が働いたからと考えられます。しかし、現在の日本において、人が死亡する場所はほとんどが病院です※3。常態として人が死亡する場所である病院において、この相関関係説を無思慮に持ち込んだ結果、医療行為への過酷に過ぎる司法判断につながっており、萎縮医療や医療崩壊を生みました。「相当程度の可能性」や「期待権」は、医療現場を無視した医療バッシングの極限における産物であり、法理論上も、現実の医療現場に対しても、大きな問題であるばかりでなく、司法関係者自身への利益誘導ともなっていることから、すみやかに社会保障制度等による適切な対処が望まれます。※1最判平成17年12月8日民集218号1075頁においても、補足意見として「医師、医療機関といえどもすべてが万全のものではなく、多種多様な現実的な制約から適切十分な医療の恩恵に浴することが難しいことも事実として認めざるを得ない。ある程度の不適切不十分は、社会生活上許容範囲内として認めるべきであろう。したがって、結果発生との因果関係が証明された場合はともかく、「相当程度の可能性の存在」すら証明されない場合に、なお医師に過失責任を負わせるのは、著しく不適切不十分な場合に限ると言うべきであろう」とされていました。※2社会権をすべて実現することは、国家財政上不可能であり、これを実体権として認めた場合には、国家賠償請求が濫発するなど無用の混乱を生ずる虞(おそれ)があることから、実体権としては認めず、単なる政治的・道徳的義務(法的義務ではない単なる「スローガン」)でしかないとする考え方。※3平成19年の人口動態調査では、死亡総数1,108,334人中、879,692人(79.4%)が病院で、28,505人(2.6%)が診療所で死亡しています。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判平成23年02月25日集民第236号183頁

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ワルファリン服用の急性虚血性脳卒中へのt-PA、症候性頭蓋内出血リスク増大みられず

組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法を行った急性虚血性脳卒中患者の症候性頭蓋内出血リスクについて、ワルファリン服用中の患者のリスクは非服用患者と比べて増大しないことが示された。その他のt-PA合併症や院内死亡率についても、ワルファリン服用による増加は認められなかった。米国・デューク臨床研究所のYing Xian氏らが、約2万4,000人の急性虚血性脳卒中患者について行った観察試験の結果で、JAMA誌2012年6月27日号で発表した。t-PA静注療法患者について、ワルファリン服用有無で出血リスク増大との関連を分析最近のガイドラインでは、ワルファリン治療中の患者へのt-PA静注は、国際標準比(INR)1.7以下の患者への投与が推奨されているが、ワルファリン服用中の患者に関するt-PA静注療法の安全性に関するデータはほとんどない。そこで研究グループは、ワルファリン服用中患者と非服用患者とを比較する目的で、2009年4月~2011年6月の間に1,203病院で登録されたAHA Get With The Guidelines–Stroke(GWTG-Stroke)レジストリの患者データから、急性虚血性脳卒中を発症した国際標準比(INR)が1.7以下の人で、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)を静注した2万3,437人について観察試験を行った。被験者のワルファリンの服用歴の有無と、症候性頭蓋内出血の発症リスクとの関連を分析した。被験者のうちワルファリン服用中だったのは1,802人(7.7%)で、INR中央値は1.20(四分位範囲:1.07~1.40)だった。ワルファリンを服用していた人は、そうでない人に比べ、高齢で、共存症が多く、脳卒中の程度も重度だった。症候性頭蓋内出血、重度全身性出血、t-PA合併症などいずれも発症率は同等症候性頭蓋内出血の補正前発症率は、ワルファリン服用群が5.7%と、ワルファリン非服用群の4.6%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。しかし、試験開始時点における臨床的因子で補正後は、両群の同発症率に有意差は認められなかった(補正後オッズ比:1.01、95%信頼区間:0.82~1.25)。 ワルファリン服用群と非服用群では、重度全身性出血率(補正後オッズ比:0.78、同:0.49~1.24)、t-PA合併症率(同:1.09、同:0.93~1.29)、院内死亡率(同:0.94、同:0.79~1.13)のいずれも有意な差は認められなかった。INR 1.7以下のワルファリン服用患者への血栓溶解療法は、症候性頭蓋内出血リスクと統計的に有意な関連は認められなかった(補正後オッズ比:INR 0.1増大につき1.10、95%信頼区間:1.00~1.20、P=0.06)。 (當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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「一般名処方加算」新設、その後の実施率は

今回の「医師1,000人に聞きました」、テーマは “一般名処方”。2012年4月より、2012年4月の診療報酬改定における後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設されたことは先生方ご存知の通りです。この改定を受けて先生方の意識はどう変化したのか?「4月以降実施するようになった」医師は全体でどれくらい?病院と診療所、実施率はどう違う?CareNet.comで2011年12月に実施した一般名処方の実施率調査も比較しながらご覧ください。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「一般名処方」についてお尋ねします。4月6日付の『日刊薬業』によると、『4月の診療報酬改定で加算点数が新設されたことをきっかけに、全国各地で一般名処方を含む処方箋が増加している。当初は加算新設の効果に懐疑的な見方もあったが、改定施行直後からクリニックを中心に一般名処方が広がっているもようだ。この急増ぶりに東京都薬剤師会は3日付で、処方医や薬局薬剤師が一般名処方に不慣れな中では調剤過誤につながる恐れもあることから、傘下薬局に注意喚起の事務連絡を出した。4月の診療報酬改定では後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設。医師が一般名処方を含む処方箋を発行した場合、交付1回当たり2点を保険請求できるようになった。一般名処方を含む処方箋について全国の調剤薬局からは、「前年に比べ2割ほど増加した」(札幌市の調剤薬局)、「すごく多い。混乱している」(広島県の調剤薬局チェーン)との声が出ている。大阪府薬剤師会の乾英夫副会長は「府内でも増えている。混乱しているのは確か」と話す。東京都薬は「一般名記載の処方薬を含む処方箋がかなり多い。ここまで来るとは思っていなかった」(事務局)と、予想以上の急増を指摘している。台東区の薬局の薬剤師は「一般名処方の処方箋は全体の25~30%。処方箋発行元医療機関の約9割が一般名処方を出している」と説明する。(略)』とのこと。そこで先生にお尋ねします。Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?1.行なっている2.一部行なっている3.行なっていないQ2. Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった以前から行なっていたが、4月以降増えたレセコンの設定で自動的に一般名処方となる後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている処方薬のうち少なくとも1種類は一般名処方としている処方箋の書き方に難しさを感じるどの後発薬を調剤するかは調剤薬局に任せる調剤薬局からの問合せが増えた当てはまるものはないQ3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?1.行いたい2.薬剤によっては一般名処方でも良い3.行いたくないQ4.コメントをお願いします。今回の診療報酬改定、ご勤務施設の方針、処方箋を書く際やレセコンについて感じること、一般名処方の浸透に対してのお考えなど、一般名処方に関することでしたらどういったことでも結構です。アンケート結果Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。Q3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?2012年6月15日(金)~20日(水)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員結果概要一般名処方を行なっている医師は3割超、前回調査時より倍増 診療所医師では半数を超える勤務施設での現在の実施状況では、「行なっている」との回答が15.1%(昨年5.7%)、「一部行なっている」が19.3%(同11.5%)。何らかの形で実施している医師は17.2%から34.4%と、昨年12月の調査時と比較すると倍増した結果になった。また、そうした医師に状況を尋ね「これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった」との回答が60.8%。「以前から行なっていたが4月以降増えた」が14.8%であった。また施設規模別で見ると、病院医師で合計30.1%、診療所医師で56.0%の実施率となった。今後について、現在行なっていない医師の6割が「行いたい」「薬剤によっては」と回答一方、現在「行なっていない」と回答した医師に今後の意向を尋ねたところ、「薬剤によっては一般名処方でも良い」51.4%、「行いたくない」40.5%、「行いたい」8.1%という結果となった。『後発薬の信頼性に問題がある』『商品名で覚えていたものを新たに覚えなおすのは難しい』といった回答が多く見られた。「行いたい」とした中では、『自動変換してくれるなら』『面倒なので』など、レセコンに関するコメントを寄せた医師が多かった。「後発薬のある薬剤はほぼ全て一般名処方」としている医師は11.6%その他、現在行なっている医師の状況として「レセコンの設定で自動的に一般名処方となる」との回答が16.3%いる一方で、「処方箋の書き方に難しさを感じる」との回答が16.0%とほぼ同程度となった。「処方箋のうち少なくとも1種類は一般名処方としている」は15.7%、「後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている」との回答が11.6%。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「成分・効能が同じでも患者さんの方からすれば違ったものと捉えることが多いようです。医療費高騰の観点からのみでジェネリックにするのは考え物です。」(60代,病院勤務,リハビリテーション科)「後発品と先発品で適応疾患が異なるのが問題。当院では一般名では印字できないのですべて手書きになります。一般名処方は現状では普及しないと思います。」(50代,病院勤務,精神・神経科)「後発品の数が多すぎて、後発品の商品名で処方しても薬局によっておいているものが違い、その度変更可かどうかと問い合わせがくる。それも面倒なのだが、一般名はなじみがなく処方する際に手間がかかる。先発品の名称で処方しても、「変更可」とチェックを入れれば一般名処方と意味は同じになると思うので、かならずしも一般名でなくていいと思う。もう少し現場のことを考えてほしい。」(30代,病院勤務,外科)「仕事が煩雑になり大変迷惑。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤名を電子カルテに残したほうが良いと思うので手間が増えている。」(50代,その他,内科)「処方箋が長くなるので、印刷されているとはいえ、見づらい。コンピューター入力できない項目(例えば、不均等な服用、汎用しない頓服項目)など、つい書き加えるのを忘れる。医療機関はたいへんな思いをして2点しか加算されない。薬局ばかりが得をしていると感じている。」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「移行期は作業が増えるが、将来的には効率的かと思う。」(30代,病院勤務,精神・神経科)「病院全体の問題なので当科の一存では決められない。やるならやるでいいし、やらなくても良い。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名処方をしてでも2点を稼がなければいけない保険制度に問題あり。一般名処方が一般化すればやがては2点加算も無くなり、逆に商品名処方だと減点される方向に動くだろう。製薬メーカーのMR活動は消滅。対薬局MS活動が中心になるだろう。医薬品の精度、安全性はどのように担保し、薬害時の補償はどうするのだろうか。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名を調べるのに時間をとられて、業務に支障あり。 」(50代,病院勤務,整形外科)「血圧関係では、慣れたARBを使用したいので一般名処方はしたくない。」(60代,その他,産婦人科)「一般名で構わないと思うが、この無理やりなやり方には反発を感じる」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「点眼ビンの使いやすさや点眼時の刺激などが各薬剤にて全く異なるので、眼科的にはなじまない」(40代,診療所勤務,眼科)「調剤薬局からの問い合わせが多く、非常に手間を感じている」(30代,診療所勤務,腎臓内科)「一般名処方出来る薬と出来ない薬があるので、混乱している。4月に入って直ぐに後発薬のあるものすべてを一般名処方に変えたが月の半ばでレセコン会社から半分以上出来無いとの連絡があり戻して混乱した。その根拠が分からない。」(50代,その他,眼科)「加算につながることなので、経営上やらざるを得ないが、露骨なジェネリックへの誘導措置であり、気分はあまりよくない。」(40代,診療所勤務,内科)「電子カルテが、製品名を入力しても一般名が選べるとか、サポート機能が充実すれば一般名処方はやぶさかではない」(50代,病院勤務,外科)「自分がわざと安いジェネリック薬を選んで処方しても,薬局で高いジェネリックに変更されている.これまでと逆のことがおこっている.」(30代,病院勤務,神経内科)「いままでよりわかりやすくていいです。ただ、患者さんに商品名を伝えるべきなのか、一般名にするのかは、どちらにしても名前が変わってくることが多いため、患者がどう感じているか心配ではある。」(30代,診療所勤務,膠原病科)「商品名に慣れ親しんだ患者さんやベテラン医師に受け入れられるまで時間はかかると思うが、一般名処方をすると、先発品と後発品を同じ名前で処方できる、一般名で学んだ薬学の知識を新人医師がそのまま使えるというメリットがある。いずれ世間は一般名処方に移行していくと思う。」(30代,病院勤務,呼吸器科)「他の医療機関から来た患者の処方を見るときは、一般名処方の方が、聞いたこともないジェネリック薬品の製品名よりはるかに良いと思います。」(50代,診療所勤務,代謝・内分泌科)「電子カルテの動きが遅くなるため実施していない。」(40代,診療所勤務,耳鼻咽喉科)「いちいち薬局からこの薬にしましたと連絡を受けるのは面倒」(60代,その他,泌尿器科)「後発品の普及をさせたい意図はわかるが 現場の状況を厚生省はよく検討して欲しい」(30代,病院勤務,麻酔科)「いろいろな医療機関で様々な薬を処方されていてその患者が入院した場合何の薬を処方されていたのか調べるのが大変な労力がいる。またすべて同じ効果があるのか疑問。」(60代,病院勤務,外科)「レセコンでは一般名→商品名、商品名→一般名いずれも変換できますので、特に困ることはないのですが、保険点数2点ですからねえ、労力の割には報われないような気がします。」(50代,病院勤務,外科)「一般名が複雑な名称の場合があり(例えばxxxxリン酸塩、など)、また馴染みの少ない名称の場合も少なくなく、処方ミスに繋がる可能性がある。」(50代,病院勤務,代謝・内分泌科)「アップデートの必要がある情報が山のように有るので、覚えないですむ情報に時間を費やすのはさけたい」(40代,病院勤務,外科)「他施設から紹介されてくるケースで、後発品の処方がなされているケースだと何が投与されているのか一々調べなければならない。それなら一般名処方のほうがましに感じる。 」(40代,病院勤務,整形外科)「電子カルテのソフトで対応していかないと,何の薬が出ているのかわからないので,医療事故の原因になるはず…」(50代,病院勤務,呼吸器科)「薬剤師、医師とも不慣れな一般名より、商品名での処方が良いと考えている。現状の「どちらでも良い」という中途半端な状態がもっとも危険。」(50代,その他,外科)「当院の処方は全て自動的に(変更不可)になっている」(50代,診療所勤務,整形外科)「いまだ過渡期になるのでしょうか?かなり前から議論されていますが、いまだに統一した見解、取り決めがなされていないのは疑問に思います」(40代,病院勤務,麻酔科)「これだけ医療ミスが問題とされているのに、 わざわざ一般名にしてミスをするリスクをあげる必要性があるのだろうか?」(40代,病院勤務,膠原病科)「医師になったばかりの頃は、一般名の処方の方が判りやすかったが、段々、経験を積むにつれて、メーカーごとに違う薬剤名の方に慣れ親しんで行った。だから、これから医師になる人々にとっては一般名処方は良い傾向だと思う。」(50代,病院勤務,産婦人科)「一般名のほうがよいが、コメディカル(看護師など)の方々にも浸透するにはまだまだ時間が掛かると思う」(30代,病院勤務,その他)「コンピュータで一般名が選択できるので処方は簡単。」(30代,診療所勤務,産婦人科)「院内処方なので、一般名にするメリットは感じない。制度でそうするというのなら従うが、慣れるまではしんどいな。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤に関する責任の所在を明確にしてほしい」(40代,病院勤務,精神・神経科)「長い目で見れば、製品名と一般名の2種類を記憶する必要がなくなるので、一般名処方は推進されるべきと思います。 」(30代,病院勤務,腎臓内科)「今から、以前覚えた商品名に対する一般名を覚える余力がない。」(40代,病院勤務,血液内科)「後発薬の場合、実際に効果が違うように思うものがあるのも確かであり、指定が必要なものもあるかと思います。 また、患者さん側も薬の名前が違うことに不安を感じるのでは。 混乱を招かないためにも後発薬は一般名そのものや一般名をもじったものにして欲しいものです。」(30代,病院勤務,整形外科)「現場が混乱し、インシデントの原因となるので、一般名処方が必要だとか一般名が定着しているものに限って行なうべきと思います。」(30代,病院勤務,整形外科)「この制度はおかしい。「後発品への変更可」から、「後発品への変更不可」に変化し、ここで一般名にしたところで、現場が混乱するだけ。後発品変更不可としない処方箋に2点つくようにしさえすればよかったのに」(40代,病院勤務,内科)「先発薬にこだわりたい。」(40代,病院勤務,内科)「たった2点のためやるかと思うと、情けないです。」(40代,診療所勤務,産婦人科)「昔ながらによく使用している薬剤を、一般名でいまさら覚えるのがおっくうです。」(40代,病院勤務,呼吸器科)「電子カルテのオプション整備費としてかなりの金額が必要ですので、考慮中です。」(60代,病院勤務,消化器科)「一般名をすぐに連想させるような商品名であると覚えやすいため使用してもよいと考える」(20代,病院勤務,産婦人科)「以前は紛らわしい名前の薬の書き間違いによる医療事故が取りざたされていましたが、ジェネリックや一般名処方ではますます間違いが増えることが明らかです。(処方している医師仲間が言っているので間違いないです。)今は患者の命よりも医療費の抑制が優先される時代なんだと理解しています。」(50代,病院勤務,呼吸器科)「とくに勤務施設からの指示はありませんが、ジェネリック医薬品の採用品がころころ変わるこの頃、一般名での処方のほうが便利かもしれない」(40代,病院勤務,内科)

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成人トゥレット症候群に対するアリピプラゾール治療成績(100例報告)

トゥレット症候群は1,000~2,000人に1人の割合で発症する神経精神疾患である。小児期で発症し、チック症状の軽快と増悪を繰り返しながら慢性に経過する。原因は明らかになっていないものの、脳内神経伝達物質であるドパミンの過剰活動によると考えられている。そのため、トゥレット症候群の治療では抗精神病薬(適応外)を使用することも少なくない。Wenzel氏らは抗精神病薬アリピプラゾールがトゥレット症候群に対し、有用であるかを検討した。J Clin Psychopharmacol 誌オンライン版2012年6月19日付報告。専門外来受診患者を含むトゥレット症候群患者100例(男:女=78:22、平均年齢27.1±11.5歳)を対象にアリピプラゾール5~45㎎/日(平均:17.0±9.6mg/日)を投与した際の、有効性および忍容性を後ろ向き検討にて実施した。対象患者のうち95例は1剤以上の神経抑制薬で効果不十分であった症例であった。主な結果は以下のとおり。 ・82例でチック重症度の著しい改善が認められた。・48例で治療効果を12ヵ月以上維持することが可能であった。・5例で抑うつや不安、攻撃性などが認められた。・31例で治療を中断した。中断理由は、効果不十分7例、副作用(眠気、興奮、体重増加、睡眠障害)15例、効果不十分かつ副作用4例、その他5例であった。・成人トゥレット症候群患者におけるアリピプラゾールによる治療は、これまでの報告同様、有効性と安全性が示された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より- ・学習障害の有無によるメチルフェニデートの有用性を検証

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第4回医療事故に係る調査のあり方に関する検討部会感想文

医療制度研究会中澤 堅次 2012年6月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  この文章の目的は、医療事故調査制度に関心を持たれている人たちに、問題を共有していただくことで、中澤の個人的な感想として書かせていただいています。代表する団体がなく、どのような資格で参加したのか自分でもわかりませんが、個別の診療に責任を持ってきた一臨床医としての立場で、皆様のご意見をいただき、具体化が進む議論の参考にさせていただきたいと思います。第4回はささえあい医療人権センターCOML理事長山口育子氏のプレゼンから始まり、そのあとでいよいよ、事故調の目的、対象と範囲、調査を行う組織というようにテーマを絞って決めてゆく段階になりました。次回は7月26日に開催予定です。1)山口育子氏の発表山口理事長の発表は、家族の声が反映されるので、実態に即した分析が行われ、今後議論の核になるポイントを良くおさえていると思いました。家族の不信の原因は、説明不足など情報の共有がなされていないことや、医療者の態度と対応にまずさがある。家族が求めることは、真相究明、謝罪、賠償、処分、再発防止であり、現行制度では訴訟以外に訴え出るところがなく、納得のゆく第三者の説明を求めている。山口氏がイメージする第三者は、公的で地域格差がなく、迅速な対応が得られ、手続きが簡単な、専門的で多角的で、臨床経験者による検証が望まれる。また、患者側にわかりやすい説明が出来る説明者が必要で、検討の結果を現場にフィードバックできる組織を求めており、調査は双方からの申し出により始まり、死亡だけに限定されない組織を考えているとの内容でした。その他、医療の不確実さ、専門性、幅の広さなどが要求され簡単ではないことにも触れています。問題の本質をつかんでおり良い発表と思いました。質疑では、不満の解消に院内調査の重要性が議論され、大方は共通した方向性になりましたが、原告団を代表する立場で参加されている豊田氏からは、院内調査には技術的に限界があるとの意見がだされていました。2)本題の討論1.目的について院内調査重視の小生と、第三者機関重視の樋口氏では目的の認識も異なりましたが、大方の意見は、目的は原因究明と再発防止でした。また原因究明は目的ではなく手段だという認識もあり、目的は再発防止だという点で一致していました。小生は被害を受けた人の希望に沿って、補償と再発防止だと主張しましたが、補償の考えはほかの委員には重視されず、取り上げられませんでした。処分が目的という議論が表面に出ないので、処分と再発防止は両立しないことをはっきりさせるために、産科医療補償制度を例にとって説明したところ、多くのメンバーが産科医療補償制度の設立にかかわっており、事実認識の相違と反論が小生に集中しました。弁護士の加藤氏と宮澤氏から具体的な説明がされ、報告書は公正なものであり、司法判断に事実上使われるのは仕方がないという意見だったので、それが問題であることを伝えました。同じく制度設立にかかわった飯田氏は同じ意見を出したが受け入れられなかったことを述べられ、看護協会代表の松月氏からも、看護師が処分の対象になっていることに対する懸念が出されました。2.対象範囲について対象は死亡例に限り、発展的には死亡例以外に広げるというのが大方の意見です。第三次試案では院長に課せらた強制的な届出によるケースが対象でしたが、家族または医療者が届け出たケースが基本になるということで異論がないようでした。小生としては、犯罪死と故意の疑われる事故死は対象としないことを確認する必要があると思っていますが、目的が再発防止に絞られたので意見を出すチャンスがありませんでした。3.調査を行う組織について小生を除きすべての構成員は第三者組織を作るという意見で、小生にいいかと確認されましたので、今の段階で決めずに、議論が進んだ後でもう一度振り返りの議論を認めてもらうことをお願いしました。そして第三者機関が出来るとしても、その場合は司法と行政からは独立したものでなくてはならないことを強調しておきました。今後第三者を作るということを軸に議論は進むと思われます。

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米国の大学医師の給与、男女間で格差

米国の大学で医学研究に従事する医師(physician researcher)の給与について、専門性、研究施設の特性、学問的生産性、大学ランク、労働時間、その他の格差の因子で補正後も、男女の格差が存在することが明らかにされた。米国・ミシガン大学のReshma Jagsi氏らが行った調査の結果による。一般に同じように働いている男性と女性の医師に同様の給与が支払われているかどうかは不明であった。JAMA誌2012年6月13日号で発表した。NIHアワードK08、K23授与者1,853人を対象に調査研究グループは、比較的均一な医師研究者集団に性差による給与格差があるのか、あるとすれば、その格差は専門性や生産性その他の因子で説明できるかどうかについて調査を行った。調査は、2009~2010年にかけて郵送調査で行い、対象は、2000~2003年に米国国立衛生研究所(NIH)からアワードK08およびK23の研究費を授与された1,853人のうち、住所が特定できた1,729人だった。郵送調査の回収率は71%。解析対象は、米国内の大学施設で診療へと結びつけており、現在の年俸を報告した800人の医師に限定した。主要評価項目は自己申告による年俸で、以下の特性を踏まえた線形回帰モデルで解析した。性、年齢、人種、婚姻状況、子どもの有無、付加的な学位等級、大学での職位、指導的地位、専門性、研究施設のタイプ、地域、NIHの資金提供順位、Kアワード授与以降の施設経験、授与されたKアワードタイプ、Kアワードによる資金提供研究施設、Kアワード授与後の年数、資金提供額、出版実績、労働時間、研究に費やす時間。同じ能力なら女性医師の給与はいまより1万2,000ドル超高いはず調査集団における平均給与は、女性医師が16万7,669ドル(95%信頼区間:15万8,417~17万6,922)、男性医師が20万433ドル(同:19万4,249~20万6,617)だった。専門性、大学での職位、指導的地位、出版実績、研究時間で補正後の最終モデルでも、男性のほうが高給だった(+1万3,399ドル、P=0.001)。Peters-Belson解析(男性の回帰モデルから導き出された係数を女性にあてはめた)の結果、女性医師の平均給与は、もし女性医師が正確に計った特性を備えている男性だとすると、観察された給与より1万2,194ドル高くなるはずであることが示された。(朝田哲明:医療ジャーナリスト)

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