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認知症診断後1年以内の自殺リスク

 重度の認知症であれば、自殺を実行するための機能が損なわれることで自殺を防ぐことができるが、初期および軽度の認知症の場合、認知機能が比較的保たれているため、疾患の進行による将来への不安を醸成し、自殺の実行を助長する可能性がある。韓国・延世大学校のJae Woo Choi氏らは、認知症診断を受けてから1年以内の高齢者の自殺リスクについて調査を行った。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌オンライン版2020年10月29日号の報告。アルツハイマー型認知症は自殺リスクが高かった 国民健康保険サービスのシニアコホートデータを用いて、2004~12年に認知症と診断された高齢者3万6,541例を抽出した。認知症の定義は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア26以下および臨床的認知症評価尺度(CDR)スコア1以上またはGlobal Deterioration Scale(GDS)スコア3以上とし、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、その他/特定不能の認知症を含めた。性別、年齢、併存疾患、インデックス年で1:1の傾向マッチングを行い認知症でない高齢者を対照群として抽出し、2013年までフォローアップを行った。認知症診断後1年以内の自殺による死亡の調整済みハザード比(aHR)を推定するため、時間依存的Cox比例ハザードモデルを用いた。 認知症診断を受けてから1年以内の高齢者の自殺リスクの調査の主な結果は以下のとおり。・認知症診断後、最初の1年間で46例の自殺が確認された。・認知症高齢者は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった(aHR:2.57、95%信頼区間[CI]:1.49~4.44)。・アルツハイマー型認知症(aHR:2.50、95%CI:1.41~4.44)またはその他/特定不能の認知症(aHR:4.32、95%CI:2.04~9.15)の高齢者は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった。・他の精神疾患を合併していない認知症患者(aHR:1.96、95%CI:1.02~3.77)および合併している認知症患者(aHR:3.22、95%CI:1.78~5.83)は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった。・統合失調症(aHR:8.73、95%CI:2.57~29.71)、気分障害(aHR:2.84、95%CI:1.23~6.53)、不安症または身体表現性障害(aHR:3.53、95%CI:1.73~7.21)と認知症を合併している患者は、認知症を合併していない各疾患の患者と比較し、自殺リスクが高かった。 著者らは「本研究は、自殺率の高い韓国の高齢者を対象とした試験であり、異なる背景を有する集団に本結果をそのまま当てはめるには、注意が必要である」としながらも「認知症診断後1年以内での自殺リスクの上昇が認められた」としている。

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第24回 風邪薬1箱飲んだら、さぁ大変!【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)若年者の嘔気・嘔吐では必ず鑑別に!2)拮抗薬はきちんと頭に入れておこう!【症例】26歳女性。ご主人が帰宅すると、自宅で繰り返し嘔吐している患者さんを発見し、辛そうにしているため救急要請。救急隊からの情報では、リビングの机の上には市販薬の空箱が数箱あり、嘔吐物には薬塊も含まれていた様子。●受診時のバイタルサイン意識10/JCS血圧119/71mmHg脈拍98回/分(整)呼吸25回/分SpO299%(RA)体温36.2℃瞳孔3/3 +/+既往歴特記既往なし内服薬定期内服薬なし最終月経2週間前風邪薬の成分とはみなさん風邪薬を服用したことがあるでしょうか? 医療者はあまり使用することはないかもしれませんが、一般の方は風邪らしいなと思ったら薬局などで購入し、内服することは多いでしょう。救急外来や診療所に発熱や咳嗽を主訴に来院する患者さんの中には、市販薬が効かないから来院したという方が一定数いるものです。市販薬を指定されている量を内服している場合には、それが理由でとんでもない副作用がでることはまれですが、当然服用量が過剰になればいろいろと問題が生じます。風邪薬の成分は、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬、クロルフェ二ラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタミン薬、ジヒドロコデインリン酸塩などの鎮咳薬、そして無水カフェインが含まれている商品が多いです。今回は救急外来で遭遇する頻度が比較的高い「アセトアミノフェン中毒」について重要な点をまとめておきます。その他、カフェイン、ブロン、ブロムなども市販薬の内服で起こり得る中毒のため、是非一度勉強しておくことをお勧めします。アセトアミノフェンの投与量以前、アセトアミノフェンは1日最大量1,500mg(1回最大量500mg)と少量の使用しか認められていませんでしたが、2011年1月から1日最大量4,000mg(1回最大量1,000mg)と使用可能な量が増えました。また、静注薬も発売され、みなさんも外来で痛みを訴える患者さんに対して使用していることと思います。高齢者に対しても、肝機能障害やアルコール中毒患者では2,000〜3,000mg/日を超えないことが推奨されていますが、そうでなければ1回の投与量は10〜15mg/kg程度(1,000mgを超えない)が妥当と考えられています。アセトアミノフェン中毒とはアセトアミノフェンは、急性薬物中毒の原因物質として頻度が高く、救急外来でもしばしば遭遇します。最も注意すべきは肝障害であり、アセトアミノフェン中毒で急性肝不全を呈した患者の3週間死亡率は27%と非常に高率です1)。そのため、十分量使用しながらも中毒にならないように管理する必要があります。アセトアミノフェンの大部分は肝臓で抱合され尿中に排泄されますが、一部は肝臓で分解され、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)を生成し、これをグルタチオンが抱合することで尿中に排泄されます。NAPQIは毒性が高いのですが、アセトアミノフェンが適正の量であれば、グルタチオンによって解毒されます。しかし、過剰量の場合には、グルタチオンが枯渇し、正常の30%程度まで減少するとNAPQIが蓄積、肝細胞壊死へと進行してしまいます2)。そのため、アセトアミノフェンを過剰に摂取した場合には、グルタチオンを増やすことが必要になるわけです。NACとは中毒診療において重要なこととして、拮抗薬の存在が挙げられます。拮抗薬が存在する薬剤は限られるため頭に入れておきましょう(参考:第7回 意識障害その6 薬物中毒の具体的な対応は?)。アセトアミノフェンに対する拮抗薬はN-アセチルシステイン(NAC)です。NACは、グルタチオンの前駆体であり、中毒症例、特に肝細胞壊死へと至ってしまうような症例では必須となります。タイミングを逃さず、NACの投与が開始できれば肝不全は回避できます。ちなみにこのNAC、投与経路は経口です。静注ではありません。臭いをかいだことがある人は忘れない臭いですよね。腐った卵のあの臭い…。NACはいつ投与するかそれではいつNACを投与するべきでしょうか。アセトアミノフェンの血中濃度が迅速に判明する場合には、その数値を持って治療の介入の有無を判断することがある程度することが可能です。ちなみに、アセトアミノフェン摂取後の経過時間を考慮した血中濃度で判断する必要があり、内服直後の数値のみをもって判断してはいけません。一般的には4時間値が100μg/mLを超えているようであればNAC開始が望ましいとされます(以前は150μg/mLでしたが、肝障害発症の予防を強固に、そして医療費の削減のため基準値が下げられました)。“Rumack-Matthewのノモグラム”は有名ですね2)。そのため、摂取時間を意識した測定、経過観察が大切です。測定が困難な場合には、内服した量から推定するしかありません。アセトアミノフェンを150mg/kg以上(50kgであれば7,500mg)服薬していた場合にはNAC療法が推奨されます。この7,500mgという量をみてどのように思いますか? 前述した通り、アセトアミノフェンの1日の最大投与量として許容されている量は4,000mgです。中毒量が目の前に存在することがよくわかると思います。痛みに悩む患者さんは多く、処方されている薬を飲み過ぎてしまうと、簡単に中毒量に達してしまう可能性があるため注意が必要なのです。1箱飲んだら危険製品にもよりますが、アセトアミノフェンが含有される風邪薬や頭痛薬など鎮痛薬と称される市販薬は、1錠に含まれるアセトアミノフェンは80~200mg程度と少量の物が多いのですが、1箱80錠のものも存在します。また、インターネット上で購入しようと思えば500mg錠100錠など、中毒量を購入することは簡単にできてしまうのが現状です。初療時のポイントは、本症例のように嘔気・嘔吐を認める患者など過量内服患者を拾い上げること、そしてNACの適応となり得る量を内服していないかを血中濃度や推定内服量から見積もり判断することです。さいごにアセトアミノフェンは使用し易く、処方する機会は多いと思います。しかし、使用方法を間違ってしまうと肝不全へ陥ってしまう可能性のある恐い薬でもあります。安全な薬というイメージが強いかもしれませんが、いかなる薬もリスクであるため、処方する際には正しい内服方法を丁寧に患者さんに説明しましょう。また、過量内服患者ではNACの適応を理解し、肝障害を防ぎましょう。1)Ostapowicz G,et al. Ann Intern Med. 2002;137:947-954.2)Heard KJ. N Engl J Med. 2008;359:285-292.

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「誰に相談すべきなの?」――開業前のお悩みを整理【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第6回

第6回 「誰に相談すべきなの?」――開業前のお悩みを整理漫画・イラスト:かたぎりもとこ開業を考えはじめた時には「何から手を付ければいいのか」「誰に相談すればいいのか」と悩まれる方が多いでしょう。適切な時期に適切な相手に相談することで、効率的に必要な知識を得ることができます。まず、現在の自分は、下記のどちらに当たるのかを確認してください。(1)開業を検討しはじめたばかり(2)開業に向けた基本的な知識があり、物件探しを開始した(1)開業を検討しはじめたばかりこの場合は、まずは開業セミナーへの参加や開業系の本を読むこと、また開業した先輩へ相談されることをお勧めします。広く薄く情報をインプットすることで、開業するうえでどんなことが障害になりそうか、何を大切にしたいかなど、考えが徐々に明確になってきます。また、自分の知識が足りない分野を確認することもできるでしょう。ここで注意したいのが、(1)の段階の方が「まずは物件探しだ!」と、いきなり不動産仲介会社や医業承継コンサルタントに相談に行くケースがよくあることです。自分の開業のイメージが固まらない段階でこうしたプロに依頼しても、コミュニケーションコスト(相手に伝えたいことを理解させる時間)が膨大にかかり、お互いに無駄が多くなります。<開業セミナー参加時の注意点>開業セミナーに参加する場合は、各業者のキャッシュポイント(どこで売上を立てているか)に着目しておくことも重要です。事業者の中には開業支援を無料で行い、その後、異なる段階(キャッシュポイント)で費用を回収するケースも少なくありません。そのような前提を理解したうえで、開業支援を依頼するか判断しましょう。開業支援事業者のキャッシュポイントには下記のようなものがあります。相談時に費用が発生する…新規開業コンサルタント等成功時(開業時)に費用が発生する…承継開業コンサルタント、不動産仲介事業者、医療機器業者、内装・建築業者開業後に費用が発生する…リース業者、税理士、医薬品卸業者、調剤薬局(費用ではないが医院の存在が薬局運営の集客源となる)(2)開業に向けた基本的な知識があり、物件探しを開始した(2)の方の場合、自身が新規または医業承継のどちらの開業形態に向いているかを検討し、そちらの専門性の高い事業者へ物件探しを依頼しましょう。新規開業と医業承継支援は似ているようで、求められる専門性や知識は大きく異なります。新規開業を支援しても、承継開業に必要となる税務面や法務的な知識を苦手とする事業者も多いのです。自分の希望する条件や診療所のイメージを伝え、事業者とコネクションをつくっておくことで魅力的な物件が出た際にいち早く声を掛けてもらえ、スムーズな開業につながります。

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医師が選ぶ「2020年の顔」TOP5!(文化・芸能人、コメンテーター部門)【ケアネット医師会員アンケート結果発表】

新型コロナの国内発生と流行、緊急事態宣言、東京五輪延期…本当にいろいろあった2020年―。今年を振り返ってみて思い浮かぶのは誰の顔でしょうか。ケアネットでは医師会員にアンケートを実施。535人の先生方にご協力いただき、選ばれた「今年の顔」は?今回は、文化・芸能人部門とコメンテーター部門のTOP5をご紹介します!医療人部門、政治家部門はこちら!文化・芸能人部門(敬称略)第1位 志村 けん最も多くの人が挙げたのが、新型コロナウイルス感染症で今年3月に死去した志村けんさんでした。幅広い年齢層に親しまれた偉大なコメディアンの突然の訃報は、大きく深い悲しみをもたらしただけでなく、国民レベルで新型コロナへの向き合い方を改める契機になるほどのインパクトを与えました。  「志村 けん」を選んだ理由(コメント抜粋)突然のことでとても驚いた。コロナの恐ろしさを身近に感じた。(40代 腎臓内科/大分県 他多数)新型コロナウイルスの危険性が一般に認知されるきっかけとなった。(30代 内科/東京都 他多数)お笑いのレジェンド。いつまでもいる人だと思っていた。(40代 脳神経外科/兵庫県 他多数)第2位 三浦 春馬まさに今を生きていた現役俳優の急逝も、多くの方の記憶に残ったようです。芸能界ではこの後、三浦さんのほかにも自ら命を絶つ人が相次ぎました。さまざまな憶測がメディアで報じられましたが、本当のこと、真相は誰にもわかりません。ただただ、彼らが持ち合わせた才能や輝きが失われたことが惜しまれます。 「三浦 春馬」を選んだ理由(コメント抜粋)自殺対策をやっている身としては印象的だった。(30代 精神科/福岡県 他多数)コロナ禍で自殺する人が増え、衝撃的だった。(20代 麻酔科/三重県 他多数)同世代の有名俳優だったから。(30代 臨床研修医/東京都)第3位 フワちゃん今回、唯一明るさを感じられたのが「フワちゃん」のランクインでした。お笑いタレントでYouTuberの彼女は、突き抜けた破天荒キャラが受けて今年大ブレイク。動けばバラエティー番組に取り上げられ、喋ればネットニュースの記事になるようなフルスロットルの活躍ぶりでした。実は、帰国子女で英語が堪能だったり、文学部で中国哲学を学んでいたり、という意外な二面性も。 「フワちゃん」を選んだ理由(コメント抜粋)ブームで、テレビで見ない日はなかった。(20代 糖尿病・代謝内分泌科/青森県 他多数)どの番組にも出演している印象(40代 消化器内科/京都府 他多数)インパクトがすごい(30代 病理診断科/東京都)第4位 竹内 結子 「竹内 結子」を選んだ理由(コメント抜粋)人気女優で、よくドラマを観ていた(40代 内科/東京都 他多数)突然の訃報で、あまりに衝撃だった(30代 呼吸器内科/茨城県 他多数)青春の一幕だった(40代 消化器内科/愛知県)第5位 渡部 建 「渡部 建」を選んだ理由(コメント抜粋)良くも悪くもニュースでよく見かけた(30代 内科/千葉 他複数)「不倫」で真っ先に思い浮かんだ(40代 小児科/沖縄)コメンテーター部門(敬称略)第1位 忽那 賢志新型コロナの最前線で診療に当たる臨床家の忽那先生が、「コメンテーター」として最も評価されたのは意外な感もありますが、Yahoo!ニュースでの詳細かつ明快なコロナ解説記事や、メディアに対する丁寧な取材対応をご覧になった先生方には、納得の第1位なのでしょう。CareNet.comにも不定期ですが連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」掲載中ですので、この機会にぜひ! 「忽那 賢志」を選んだ理由(コメント抜粋)しっかりした科学的根拠に基づき、コメントに信頼性がある(50代 耳鼻咽喉科/三重県 他多数)臨床に従事しているので、コメントに偏りがない(40代 精神科/滋賀県 他多数)現場で得た知見を的確に提供してくれた印象(40代 糖尿病・代謝内分泌科/京都府 他複数)第2位 尾身 茂今年のメディア登場回数において、群を抜いた存在であることは間違いないでしょう。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長や分科会長として、医療者の知見や懸念を政府へ根気強く訴えると共に、国民に対してもわかりやすくかつ的確にメッセージを発信し続けてくださいました。 「尾身 茂」を選んだ理由(コメント抜粋)慎重ながら、必要時には信頼できるコメントが目立った(40代 血液内科/宮城県 他多数)コロナ対策に真摯に向き合っている姿勢(50代 産婦人科/大分県 他複数)コロナ関連で最もまともな発言、啓蒙をされていた(30代 整形外科/神奈川県)第3位 二木 芳人新型コロナを巡っては、多くの医療人がメディアでさまざまなコメントを述べてきましたが、ワイドショー番組などでも、出演者らの挑発(?)に乗ることなく、冷静に自身の見解を述べる姿に、医療人としての信頼性を感じた人も多かったのではないでしょうか。当たり前だけど大事なことをわかりやすく伝えられるコメントスキルも高評価だったようです。 「二木 芳人」を選んだ理由(コメント抜粋)コメントがとても受け入れやすくわかりやすい(30代 膠原病・リウマチ科/岡山県)落ち着いたトーンに好感(50代 消化器外科/茨城県)感染症対策にとどまらず、日本を俯瞰的に見ている(60代 循環器内科/佐賀県)第4位 岩田 健太郎 「岩田 健太郎」を選んだ理由(コメント抜粋)クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号を巡る対応とコメント(30代 救急科/北海道 他多数)コロナ関連で、データに基づいた解説をしてわかりやすかった(40代 病理診断科/島根県 他複数)第5位 岡田 晴恵 「岡田 晴恵」を選んだ理由(コメント抜粋)メディアでの露出がとても多かった印象(50代 内科/広島県 他多数)良くも悪くも発言がよく取り上げられていた(50代 耳鼻咽喉科/広島県)★アンケート概要★アンケート名 :『2020年振り返り企画!さまざまな分野の「今年の人」を挙げてください』実施日    :2020年11月12日~19日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :535件

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生体弁による僧帽弁置換術後のAF患者、リバーロキサバンの効果は?/NEJM

 生体僧帽弁置換術後の心房細動患者において、リバーロキサバンは12ヵ月時の主要評価項目(死亡、主要心血管イベントまたは大出血のイベント発生までの期間)がワルファリンに対して非劣性であることが示された。ブラジル・HCor Research InstituteのHelio P. Guimaraes氏らが、同国49施設で被験者を登録して行われた多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「Rivaroxaban for Valvular Heart Disease and Atrial Fibrillation trial:RIVER試験」の結果を報告した。リバーロキサバンは、ROCKET-AF試験において脳卒中や全身塞栓症の予防に関してワルファリンに対して非劣性であることが示されたが、生体僧帽弁留置患者におけるリバーロキサバンの有効性および安全性は検証されていなかった。NEJM誌2020年11月26日号掲載の報告。約1,000例でリバーロキサバンとワルファリンを比較 研究グループは、生体僧帽弁が留置されている心房細動/心房粗動患者を、リバーロキサバン(20mg/日)群またはワルファリン(国際標準比[INR]2.0~3.0を目標に用量調整)群に無作為に割り付け有効性および安全性を比較した。 主要評価項目は、12ヵ月時における死亡、主要心血管イベント(脳卒中、一過性脳虚血発作、全身塞栓症、弁血栓症または心不全による入院)、または大出血の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を行った。死亡・主要心血管イベント・大出血の複合エンドポイント発生までの期間はリバーロキサバンで7.4日延長 2016年4月14日~2019年7月22日に、ブラジルの49施設で計1,005例の患者が登録された(リバーロキサバン群500例、ワルファリン群505例)。 主要評価項目のイベント発生までの平均期間は、リバーロキサバン群347.5日、ワルファリン群340.1日であり、境界内平均生存時間(RMST)として算出した群間差は7.4日(95%信頼区間[CI]:-1.4~16.3、非劣性のp<0.001)であった。 心血管死または血栓塞栓イベントは、リバーロキサバン群で17例(3.4%)、ワルファリン群で26例(5.1%)に確認された(ハザード比[HR]:0.65、95%CI:0.35~1.20)。脳卒中の発生率は、リバーロキサバン群0.6%、ワルファリン群2.4%(HR:0.25、95%CI:0.07~0.88)であった。 大出血の発生率はリバーロキサバン群1.4%、ワルファリン群2.6%(HR:0.54、95%CI:0.21~1.35)であった。その他の重篤な有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。

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044)患者さんの口コミが役立つ場面【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第44回 患者さんの口コミが役立つ場面ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆日々の外来で、市販の化粧品やシャンプーなどをおすすめする機会があります(皮膚科では割と多いかもしれません)。だいたいの製品は、一般的な小売店でも取り扱われているはずですが、「○○薬局にありますか?」「××ドラッグストアにありますか?」とピンポイントで聞かれると、「本当にあるかな…?」と不安になってしまうもの。店に立ち寄る機会があるときには、さりげなくチェックするようにしています。あとは、患者さんが次回受診した際に、「シャンプー買いました? どこで売っていましたか?」と、話の流れで尋ねることも。この件に限りませんが、患者さんとのやりとりで得られる情報も、意外と侮れません。外来が混雑しているとなかなかゆっくり話せないのですが、処置の間などに手を動かしながら、雑談ついでにいろいろな情報収集を試みています。日々、いろいろなことを患者さんから学ばせてもらっているなぁと感じるのでした。それでは、また~!

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ドイツ流のサマリーの作成法【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第22回

当院では手術に入らないとき、病棟での業務を行うことになります。病棟の回診と共に重大な業務となるのが、「サマリーの作成」です。先日は朝から夕方にかけて、患者12人分の退院サマリーを作成しました。ずっとドイツ語で文章を考えているので、最後の方はずっと頭痛がしていました。ドイツ語の名詞には、男性名詞・女性名詞・中性名詞(例:vater[父/男性名詞]、mutter[母/女性名詞]、kind[子供/中性名詞])があって、それぞれに違った冠詞(der/die/dasなど)がつきます。さらにこれらが、それぞれ4種類の格変化をするし、中には語尾が変化する名詞なんかもあったりして、正式文書を書く際にはかなり頭を悩ませることになります。実際にふだんの会話の中では多少間違えても問題なく意味は通じるんですけどね~。文章にするとなると、きっちりしておかないと格好悪いです。ドイツ流の医療文書の作成法外国籍の医療者が多い当院では、正式な文書はすべて画像にある機械を使って、口述で作成します。この手前の機械に向かってレコーディングをして、元の親機(奥の機器)にはめ込むと、自動的にデータが専門部署に送られます。専門部署では1日中、担当のドイツ語ネイティブのスタッフが文書に打ち込んでくれます。細かい文法の誤りはもちろんのこと、ダサい言い回しをスマートなドイツ語へ意訳・変換してくれたりもします。初めの頃は全部の文章をドイツ語で書いてから読んでいたので、非常に時間がかかっていましたが、最近ではよく使う定型文をスマホのメモ帳に入れておいて、それらを組み合わせていく方法で、ググッと時間が短縮されるようになりました。ある症例のサマリーを作成してみた一番厄介な事例として「術後に一過性の心房細動を発症した患者が、アミオダロン投与して戻った症例」があります。退院時処方に抗凝固をどうするか、アミオダロンをいつまで投与するかは、術者やコンサルトしたときの循環器内科の先生の見解で複雑に変わってきます。「生体弁を使用した症例だから、3ヵ月はワルファリンを投与してください。それで、3ヵ月後までに不整脈の再発がなければ、アスピリンだけ継続して、再発があるようならばNOACに切り替えてください。アミオダロンは最初の1週間は600mg投与で、以降は200mgで。入院中からトータルで投与量が10gに達したら中止してもらって、再度心電図検査を行って、問題があれば循環器専門医に送って評価してもらってください」という文章を、短く切ってグダグダな文章を繋いで繋いで完成させたのですが…機械を通せばプロの文章作成係(“Schreiber”って呼ばれています)がスマートなドイツ語に仕上げてくれるという仕組みです。もちろん完成した文章は早速、スマホのメモに登録しておきました。外国人の医療者が多い病院なので、こういったネイティブのチェックが入るシステムで、上手く対応しています。

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1日1回の経口服用で腎性貧血を治療する「バフセオ錠150mg/300mg」【下平博士のDIノート】第63回

1日1回の経口服用で腎性貧血を治療する「バフセオ錠150mg/300mg」今回は、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬「バダデュスタット錠(商品名:バフセオ錠150mg/300mg、製造販売元:田辺三菱製薬)」を紹介します。本剤は、保存期・透析期にかかわらず、1日1回の経口服用で腎性貧血を改善し、患者さんのQOLやアドヒアランスの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、腎性貧血の適応で、2020年6月29日に承認され、2020年8月26日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはバダデュスタットとして1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与します。以後は、患者の状態に応じて最高用量1日1回600mgを超えない範囲で適宜増減します。増量する場合は、150mg単位を4週間以上の間隔を空けて行います。休薬した場合は、1段階低い用量で投与を再開します。なお、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)で未治療の場合、本剤投与開始の目安は、保存期の慢性腎臓病(CKD)患者および腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満、血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とされています。<安全性>CKD患者を対象とした国内全臨床試験において、副作用(臨床検査値異常を含む)は、総症例数481例中61例(12.7%)に認められました。主な副作用は、下痢19例(4.0%)、悪心8例(1.7%)、高血圧7例(1.5%)、腹部不快感、嘔吐各4例(0.8%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、血栓塞栓症(4.2%)、肝機能障害(頻度不明)が現れることがあります。本剤の投与開始前に血栓塞栓症のリスクを評価し、本剤投与中も血栓塞栓症が疑われる徴候や症状を確認する必要があります。<相互作用>本剤はOAT1およびOAT3の基質であり、BCRPおよびOAT3に対して阻害作用を有します。したがって、BCRPの基質となる薬剤(ロスバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、サラゾスルファピリジンなど)、OAT3の基質となる薬剤(フロセミド、メトトレキサートなど)との相互作用には注意が必要です。また、多価陽イオンを含有する経口薬(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウムなどを含む製剤)と併用した場合にキレートを形成し、本剤の作用が減弱する恐れがあるため、併用する場合は本剤の服用前後2時間以上を空けて投与します。<患者さんへの指導例>1.この薬は、赤血球のもとになる細胞を刺激し血液中の赤血球を増やすことで、貧血を改善します。2.吐き気、嘔吐、手足の麻痺、しびれ、脱力、激しい頭痛、胸の痛み、息切れ、呼吸困難などが現れた場合は、すぐに医師に連絡してください。3.この薬には飲み合わせに注意が必要な薬があります。新たに薬やサプリメントを使用する場合は、必ず医師または薬剤師に本剤の服用を伝えてください。<Shimo's eyes>腎性貧血は、腎機能の低下に伴いエリスロポエチン(EPO)の産生が減少することによって生じる貧血です。これまで、腎性貧血の治療にはEPOの補給を行うために、ダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ)やエポエチンベータペゴル(同:ミルセラ)などのESAが投与されてきました。これらの製剤は注射薬ですが、近年は内服薬であるHIF-PH阻害薬が開発され、患者さんの負担を軽減し、QOLが維持されやすくなりました。HIF-PH阻害薬は、低酸素応答機構がEPO産生を調節することを利用した、まったく新しい機序の腎性貧血治療薬であり、その機構解明の功績により、William G. Kaelin Jr.、Sir Peter J. Ratcliffe、Gregg L. Semenzaが2019年ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。2020年11月時点でロキサデュスタット錠(同:エベレンゾ)、ダプロデュスタット錠(同:ダーブロック)、エナロデュスタット錠(同:エナロイ)、そして本剤の4種類が発売されています。それぞれ適応、服用回数、腎機能などによる投与量、増量段階の回数や間隔、食事の影響などに違いがあります。本剤は食事の影響が比較的少なく、どのタイミングでも服用できます。また、CKD保存期でも透析期でも同じ投与量であり、腎機能によって投与量が異なることもありません。調節範囲も4段階と比較的少なくなっています。腎性貧血患者は、リン吸着剤などの併用により服用時点が多くなりがちなので、シンプルな服用方法はアドヒアランスの向上に役立つと考えられます。HIF-PH阻害薬の登場によって、腎性貧血治療が薬局薬剤師にとって身近なものになります。日本腎臓学会から「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」が公表されていますので、一度目を通しておくとよいでしょう。参考1)PMDA 添付文書 バフセオ錠150mg/バフセオ錠300mg2)日本腎臓学会 HIF-PH 阻害薬適正使用に関するrecommendation

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家族構成とうつ病との関係

 配偶者またはパートナーや子供の人数などの家族構成と生涯うつ病有病率との関連を、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAlexandros Giannelis氏らが調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年10月10日号の報告。 中高年を対象としたプロスペクティブ研究であるUKバイオバンクのデータを使用した。生涯うつ病は、フォローアップ時のメンタルヘルス関連の質問票の一部を用いて評価した。家族構成とうつ病との関連は、ロジスティック回帰を用いて推定した。うつ病の多遺伝子性リスクスコア(polygenic risk score)を含む社会的、人口統計学的およびその他の潜在的な交絡因子で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・成人5万2,078人(平均年齢:63.6±7.6歳、女性の割合:52%)を対象に分析を行った。・生涯うつ病オッズ比は、配偶者またはパートナーと生活している人において大幅に低かった(OR:0.67、95%CI:0.62~0.74)。・生涯うつ病オッズ比は、子供がいない人と比較し、子供が1人(OR:1.17、95%CI:1.07~1.27)、子供が3人(OR:1.11、95%CI:1.03~1.20)、子供が4人以上(OR:1.27、95%CI:1.14~1.42)いる人で高いことが示唆された。・配偶者やパートナーと同居していないが子供がいる人では、生涯うつ病オッズ比が高かった。・年齢、性別、経済的に裕福でない地域での居住(neighbourhood deprivation)、うつ病の遺伝的リスクで調整した場合でも、この結果は一貫していた。・メンデルランダム化解析では、生涯うつ病に対する子供の人数との関連が示唆された。・本検討の限界として、婚姻の有無が確認できなかったことが挙げられる。 著者らは「配偶者やパートナーとの生活は、うつ病の可能性を低下させることに寄与する。また、1人または3人以上子供がいる場合、とくに同居している配偶者やパートナーがいない人では、うつ病有病率が上昇する」としている。

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第32回 新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足

<先週の動き>1.新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足2.財政制度等審議会、受益者と負担のバランスを求める建議を提出3.政府、後期高齢者の窓口2割負担へ見直しに議論を加速4.経済財政諮問会議で、厚生労働大臣、令和3年度介護報酬改定に向けた方針を発表5.コロナ感染拡大第3波、患者団体から要望書相次ぐ6.医療計画の見直し、新興感染症に対する医療を6事業目に追加1.新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足新型コロナウイルス感染に対応する医療機関で働く医療従事者を支援する「新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度」が新しく11月より発足した。この制度は、新型コロナウイルスと向き合う医療従事者の支援として寄せられた寄付金を活用して、万が一コロナウイルスに感染した場合でも一定の収入を補償することを目的に、新型コロナウイルス感染症患者に対応した医療従事者が感染し休業した場合の支援制度(医療従事者支援制度)に対する補助を要望して発足したもの。医療機関の開設者・管理者から加入の申し込みによって、政府労災などの認定を受けて4日以上休業した場合、休業補償保険金20万円、死亡すれば死亡補償金最大500万円を受け取れる。保険料は医療従事者1名あたり1,000円/年と負担も軽く、医療資格者以外も補償対象となる。加入できるのは国内の病院や診療所(共に保険医療機関)、介護医療院、助産所、訪問看護ステーションで、募集期間は4期に分かれ、最終締め切りは2021年2月15日。詳細は下記を参照されたい。(参考)日本医療機能評価機構新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度特設サイト2.財政制度等審議会、受益者と負担のバランスを求める建議を提出財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会は、11月25日に2021年度予算の編成に向けて「秋の建議」をまとめ、麻生財務相に提出した。この中で、社会保障については、2022年に団塊の世代が後期高齢者となることを見据え、給付が高齢者中心・負担は現役世代中心となっている患者負担の仕組みの見直しを求め、後期高齢者の自己負担を、可能な限り広範囲で8割給付(2割負担)の導入と現役世代の拠出金負担の軽減を求めている。また、薬価については2021年度から毎年改定を行うため、初年度にあたっては全品改定の実施を求めている。このほか都道府県医療費適正化計画の見直し、国保の都道府県単位化の趣旨の徹底やデジタル化の推進、医療扶助については、頻回受診や長期入院への対策を求める内容となっている。(参考)令和3年度予算の編成等に関する建議3.政府、後期高齢者の窓口2割負担へ見直しに議論を加速11月24日、菅内閣は全世代型社会保障検討会議を首相官邸で開催し、75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担をめぐる問題について議論を行い、1割負担から負担増となる後期高齢者の対象範囲について、菅総理からは「能力に応じた負担」について、年内に取りまとめる最終報告を求めた。日本医師会からは、後期高齢者は1人当たり医療費が高いので、患者負担の割合はすでに十分に高いとし、患者負担の引き上げによって、受診控えや負担増による必要な医療を遠慮する可能性を指摘していた。厚生労働省は11月26日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、医療保険制度改革について討論し、現状の75歳以上の後期高齢者医療を支援するために、現役世代の保険料で負担を見直さないままでいると、今年度6兆8,000億円が5年後には8兆2,000億円になるという見通しを示した。会議では、現状の高齢者医療の持続可能とするために、現役世代の負担軽減を図る改革は待ったなしの課題としており、現行の窓口負担1割のままでは現役世代の負担が急増することから先送りは認めない、とする意見も出たものの、コロナ感染拡大の中、国民の不安を増す制度改正について異論が出され、結論は出ないまま引き続き検討を行なうこととなった。(参考)全世代型社会保障検討会議(第11回)配布資料 令和2年11月24日第135回社会保障審議会医療保険部会 資料 令和2年11月26日4.経済財政諮問会議で、厚生労働大臣、令和3年度介護報酬改定に向けた方針を発表11月27日、内閣府は経済財政諮問会議を開催し、この中で田村 憲久厚生労働大臣が医療・介護分野の取り組みを発表した。コロナ感染拡大下でも「地域医療構想」は、基本的な枠組み(病床必要量の推計等)を維持した上で、着実に取り組みを実施し、病床機能再編支援制度等に消費税財源を充当するなどの対応を実施するとした。また令和3年度介護報酬改定については、感染症や災害への対応力強化、地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の取組の推進、介護人材の確保・介護現場の革新を実現し、制度の安定性・持続可能性の確保を求めるために改訂を行っていくことを明らかにした。このほかオンライン資格確認、オンライン診療、後発薬の使用促進などについて述べた。(参考)第17回経済財政諮問会議  田村臨時議員提出資料 令和2年11月27日 令和3年度予算に向けた社会保障の課題・取組と今後の雇用政策の方向性第17回経済財政諮問会議 令和2年11月27日 会議資料5.コロナ感染拡大第3波、患者団体から要望書相次ぐ急速な新型コロナウイルスの感染拡大により、大学病院などの病床が逼迫しつつあることなどを背景に、がん患者や難病患者の団体は、治療継続が困難にならないよう、国に対策を求める要望書を提出した。2020年11月25日は難病患者の団体である日本難病・疾病団体協議会が、27日には全国がん患者団体連合会が、国に対し「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急要望書」を提出している。要望書では、感染対策強化と、手術や検査、オンライン診療の実施と拡充を求め、コロナ対策の病床確保のためにがん患者が転院せざるを得ない状況を回避するために、速やかに必要な施策をとることを求める内容となっている。(参考)全国がん患者団体連合会 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急要望書2020年11月27日日本難病・疾病団体協議会 緊急要望書2020年11月25日6.医療計画の見直し、新興感染症に対する医療を6事業目に追加厚生労働省は11月19日に「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催し、現行の医療計画の5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患.)・5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)に、新たに「新興感染症等の感染拡大時における医療」への対応を6事業目として加えることで合意した。今後は、医療法の改正し、2024年度に策定する第8次医療計画に盛り込まれることになる。また「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等について」も議論され、医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関を明確にするために、各医療機関から都道府県に、外来機能のうち、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)に関する医療機能の報告(=外来機能報告〈仮称〉)を行うこととし、これにより、地域ごとに、どの医療機関で、どの程度、「医療資源を重点的に活用する外来」が実施されているかの明確化を図ることになる。(参考)第23回 医療計画の見直し等に関する検討会 令和2年11月19日

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医業における「費用」、大きな部分を占める◯◯に着目せよ!【今さら聞けない!医療者のための決算書の読み方】第2回

<登場人物>実家の診療所を継ぐことを決め、病院で同期だったコンサルタントの田中に定期的に相談するようになった宮路。前回は病院の収益について学んだが、今回も気になっていることがあるようだ。宮路田中さん、この間はありがとう。財務諸表って今まで見るのも嫌だったけど、財務の構造を教えてもらったことで少しずつ勉強していく気になったよ。田中それはよかった。それで、今日はどうしたの?宮路この前は、医業利益の基になる収益について教えてもらったじゃない? でも、実家の病院の状況を考えると、すぐに収益を改善するのは難しそうで…。赤字を改善するためには、まずは費用について考えるべきなのかと思って。田中いい流れだね。じゃあ今回は、医業における費用の基本を押さえよう。田中からの解説前回に話したとおり、医療機関の損益計算書は収益も費用も、「医業」と「医業外」に分けることができる。そして、医療機関の収支で主要部分は「医業」部分だ。医業収益から医業費用を引いたものが医業利益(損失)となる。式にすれば、医業利益=医業収益-医業費用となる。だから、黒字化のために医業利益を上げるには、医業収益を上げるか医業費用を下げるかのどちらかとなる。医業収益を上げる方法は前回に話したので、今回は医業費用を見てみよう。損益計算書の医業費用の部分を見てみると、そのうち大きな部分を占めるのが給与費、つまり人件費であることがわかる(表1)。表1:損益計算書の医業費用部分の例(単位:億円)費用について分析する際は、まずは自院の人件費が適正な水準かを見てみよう。人件費の適正性を見る指標の1つが、医業収益に対する人件費の割合である人件費率だ。人件費率(%)=人件費/医業収益人件費率の目安は、病院の種別によって異なる(表2)。したがって、まずはこれらの種別の目安に対して自院の人件費率は高いか低いかを確認して、高い場合はその原因を確認する必要がある。表2:病院種別 人件費率の比較画像を拡大する人件費率が同カテゴリのほかの病院よりも高い場合には、原因として1)人員が多い2)1人当たりの人件費が高いの2つが考えられる。では、人員が多い、もしくは人件費が高いことが判明した場合、即座に職員を減らしたり、給与や賞与を減らしたりできるかというと、それは法令上からも組織運営上からもかなり難しい。だから、きちんとした採用計画を立てて人を採用したり、生産性向上に資する人材配置や業務改善をしたり、といった未来志向の対策が求められるんだ。宮路そうか。確かに費用の大半を人件費が占めるからといって、単純に人を減らすなんてできないもんなあ…。実家の病院も古くからのスタッフは給与が高いけれど、その医師や看護師を目当てに来院する患者さんも多いって聞くし…。田中そうだよね。一般的に、病院のように職員のサービス提供で収益を得るビジネスモデルは「労働集約型ビジネス」と呼ばれていて、労働集約型ビジネスでは人件費はコストの大半を占める一方で収益源でもある。経営改善のためには、収益性との兼ね合いも考慮して人材戦略を練ることが欠かせないんだ。宮路経営改善と人材戦略にそんな深い関わりがあるって考えたことなかったな…。今日も勉強になったよ。

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第34回 「静かなマスク会食」前に正しいマスクの着脱法を身に付けよ

第3波とも言われる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者増加で、Go Toトラベルの札幌市、大阪市の除外、東京都では11月28日から3週間の酒類を提供する飲食店の営業時間短縮が決定した。今の局面を考えればやむなしというところだが、これに関連して最近時々報じられる、あるキーワードに強烈な違和感を覚えている。そのキーワードとは「マスク会食」である。提唱者は神奈川県知事の黒岩 祐治氏らしいが、菅 義偉首相もこれに便乗(?)して「静かなマスク会食」を呼びかけ、国が率先して宣伝までしている。そもそも今訴えるべきは、家族やごく親しい少人数の友人など、有体に言えば、万が一互いに感染して死の危険にさらされることがあっても恨みっこなしといえる関係がある者同士での最低限の会食以外は控えて欲しいということではないのか? もっとも好意的に解釈するならば、年末年始にかけて飲食機会の増加が避けられないことを踏まえた苦肉の策なのかもしれない。しかし、かなり実効性に乏しいのは多くの人の目から見て明らかだろう。食事中に会話をする時だけマスクをして、食べる時は外してなどという面倒なことを誰がするだろうか? 多少気を付けたとしても、飲酒で気分が高揚すれば、マスクはそっちのけの飛沫排出しまくりの会話になるのは目に見えている。それでも流行り言葉を使って「『静かなマスク会食』こそニューノーマルだ」としたり顔で言う御仁もいるかもしれない。だが、COVID-19パンデミック収束時、それまでニューノーマルと呼ばれた行動の中で真っ先にすたれるものは何か考えてみるといい。私ならば「マスク着用」を挙げる。同じような答えをする人は多いのではないだろうか? その意味でマスク着用はニューノーマルというより「テンポラリーノーマル」なものと言える。そのうえで今現在の市中でのマスク使用実態を思い起こしてみよう。屋外で誰とも会話しないと考えられる局面ですらマスクを着用している人だらけ。ちょっとコンビニで買い物をするだけの人が店内で会話をするのはせいぜいレジ前ぐらいで、レジカウンター前にはシールドが設置され、店員、客ともに飛沫を吸い込む危険性はほどんどない。だが、その局面でも客も店員も多くはマスクをしている。スポーツジムで壁に向かって設置され、左右に仕切りがあるトレッドミル(ランニングマシン)で走るならば、多少呼吸が荒くなっても他人の飛沫を吸い込む可能性はかなり低いはずだが、ジム側はマスク着用を義務づけている。極端な言い方をすれば限りなく3密に近い電車内でも、会話をせずに咳エチケットを徹底するならマスクは着用しなくとも限りなく感染リスクは低いはずだ。店舗の入口の客に対する呼びかけポスターに「咳エチケットを守りましょう」と「マスクの着用をお願いします」の両方が記載されているものを時々見かけるが、そもそも「咳エチケット」はマスクを着用していない人が突発的な咳やくしゃみの飛沫を他人に吸い込ませないための対策であり、細かいことを言えばこの2つの対策を並立で表記するのは矛盾しているといえる。さらに「静かなマスク会食」を訴えている現内閣閣僚の記者会見開始時のマスク着脱の様子をよく見てみよう。マスクの紐の部分ではなく、マスク正面外側を素手でつまんで外しているのを見かけることは少なくない。しかし、この着脱方法は接触感染予防対策から考えれば完全NGだ。何が言いたいかというと、マスクに関してこれだけメリハリのない使用実態が蔓延している中で、「静かなマスク会食」なるものは極めてハードルが高い行動様式なのである。掛け算の九九すら満足に覚えていない人に微分・積分を計算させるがごときである。医療従事者でも「不適切なマスク着用」や「過剰なマスク着用」に対する懸念を発信している人は一部にはいる。そしてその他の医療従事者や官公庁関係者でも、こうした発信には内心頷いている人も少なくないだろう。だが、こと過剰なマスク着用、つまりマスクをつけなくても良い局面に関しては情報発信量に変化があったという印象はない。その理由は単純に「感染リスクが低い局面が分かっていても、リスクはゼロではないから、断言的な発言で揚げ足を取られたくない」あるいは「一般人にとって感染対策やった感が満載のマスク着用で細かいことを言っても耳を貸してもらえない」と思うからではないだろうか。その気持ちは分からないわけではない。しかし、無症候感染者が一定割合で存在し、かつ症状発現前に感染性のピークがあるCOVID-19に関して、完全な防御は困難である。また、昨今、開発中のワクチンに関しては肯定的なデータも報告も多いが、これとて効果持続期間などを考えたらさらに未知数である。いずれにせよこのウイルスの特性を考慮して限りなくゼロリスクを求めるとするならば、私たちはこの先、生涯にわたってマスク着用を続けなければならなくなる。そんなこんなを考えると、この「静かなマスク会食」というある種、馬鹿馬鹿しい提唱がなされている今こそ、どのような局面ではマスクを着用しなくていいのかという情報発信量も高めていくことが必要なのではないか、メリハリのあるマスクの使用方法を推進することこそが真のニューノーマルなのではないかと個人的には感じている。

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ほとんどの医療機関が上限額の補助対象、厚労省支援金の活用を/日本医師会

 厚生労働省の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」については、補助の対象となる経費が感染防止対策に関係するものに限定されるのではないかとの疑義があった。しかし感染防止対策の取り組みを行う医療機関であれば、同省が公表している例示に加え、日常診療業務に必要な幅広い費用が対象となりうることが、明確となった。11月25日の日本医師会定例記者会見で発表された。消耗品のほか、光熱費や保険料なども補助対象となりうる 「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」1)は、新型コロナウイルス感染症の院内等での感染拡大を防ぐための取り組み(下記に例示)を行う医療機関(病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、助産所)を対象として、感染拡大防止対策や診療体制確保などに要する費用を補助する。感染拡大を防ぐための取り組みの例(例示であり、これに限られるものではない)・共通して触れる部分の定期的・頻回な清拭・消毒などの環境整備・予約診療の拡大、整理券の配布等を行い、患者に適切な受診の仕方を周知・ 発熱等の症状を有する新型コロナ疑いの患者とその他の患者が混在しないよう、動線の確保やレイアウト変更、診療順の工夫など・ 電話等情報通信機器を用いた診療体制等の確保・ 感染防止のための個人防護具等の確保・ 医療従事者の感染拡大防止対策(研修、健康管理等) しかしこれまで、その対象となる経費が感染防止対策に関係するものに限定されるのではないかとの疑義があった。今回、日本医師会では同省への働きかけを行い、公表されている例示に加え、以下のような経費も対象となりうることが明確となった2)。同事業の補助対象となりうる経費の例:需用費・日常業務に要する消耗品費(固定資産に計上しないもの)・日常診療に要する材料費(衛生材料、消毒費など) ※直接診療報酬等を請求できるものは除外・喚気のための軽微な改修(修繕費)・水道光熱費、燃料費役務費・電話料、インターネット接続等の通信費・医療施設・設備に係る火災保険、地震保険、不動産保険の保険料・休業補償保険の保険料・受付事務や清掃の人材派遣料で従前からの契約に係るもの委託料・受付事務や清掃の外部委託費で従前からの契約に係るもの使用料および賃借料・既存の診療スペースに係る家賃・既存の医療機器・事務機器のリース料 日常診療業務に必要な幅広い費用が対象となることから、感染防止対策を行うほとんどすべての保険医療機関で、上限額(無床診療所100万円、有床診療所200万円、病院200万円+5万円×病床数)の補助を受けられるものと考えられるという。登壇した松本 吉郎常任理事は、「真水に近い形で医療現場の支援とすることができると明確になった」とし、改めて同事業の有効活用を呼び掛けた。日医独自の休業補償制度を緊急創設、掛け金には支援事業を活用可能 医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合の休業補償については、国による補償制度3)が11月9日よりすでに募集を開始している。今回、この制度に加え、日本医師会として独自の補償制度4)が創設され、今村 聡副会長がその概要を解説した。掛け金は上述の厚労省補助金の対象となり、実質負担なしで加入することも可能となる。<新型コロナウイルス感染症対応『日本医師会休業補償制度』>支払い要件(3要件すべて満たす必要あり):1)日本医師会会員が開設または管理する医療機関に勤務する医療従事者が、新型コロナウイルスに感染もしくは濃厚接触すること2)医療従事者の新型コロナウイルス感染に伴い、当該医療機関で外部業者による消毒が行われること(消毒料金の多寡は不問)3)医療従事者の新型コロナウイルスの感染および消毒の実施に伴い、休診日を含む連続7日(7営業日ではない)以上閉院もしくは外来を全面閉鎖すること補償金:・100万円(保険期間中に1回のみ)掛け金(1年間):・1施設あたり48,000円加入方法:・日本医師会が開設する申込専用WEBページにアクセスして申込手続を実施 ※申込専用WEBページは12月早々に開設予定・その後、掛金を日本医師会が指定する口座に振込 ※請求書および加入者証は、申込手続き後に登録メールアドレスへ送信される・加入申込みは12月より募集を開始し、1月1日保険始期とする。毎月1日付で中途加入可能(中途加入掛金は月割計算)

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COVID-19の血栓症発生率、他のウイルス性肺炎の3倍

 血栓症は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の際立った特徴だが、COVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患による血栓症の発生率は不明である。今回、米国・ニューヨーク大学のNathaniel R. Smilowitz氏らが、米国でCOVID-19以外の急性ウイルス性呼吸器疾患で入院した患者における血栓症の発生率を調べた結果、2020年にニューヨークにおいてCOVID-19で入院した3,334例での血栓症発生率より有意に低かった。American Heart Journal誌オンライン版2020年11月9日号に掲載。 本調査の対象は、2002~14年にCOVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患で入院した18歳以上の成人で、主要アウトカムは、ICD-9による心筋梗塞(MI)、急性虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症(VTE)などの静脈および動脈血栓イベントの複合とした。 主な結果は以下のとおり。・2002~14年にウイルス性呼吸器疾患で入院した95万4,521例(平均年齢62.3歳、女性57.1%)のうち、動脈または静脈血栓症の発生率は5.0%であった。・各血栓イベントの発生率は、急性MIが2.8%、VTEが1.6%、虚血性脳卒中が0.7%、その他の全身性塞栓症が0.1%であった。・血栓症を合併した患者は合併していない患者より院内死亡率が高かった(14.9% vs.3.3%、p<0.001)。・血栓症を合併した患者の割合は、2020年のCOVID-19患者(年齢中央値64歳、女性39.6%)に比べ、2002~14年のウイルス性呼吸器疾患の患者のほうが有意に低かった(5.0% vs.16.0%、p<0.001)。

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日本におけるCOVID-19発生時の医療従事者のメンタルヘルス

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界中に蔓延している。日本赤十字社医療センターの粟野 暢康氏らは、COVID-19パンデミック中の日本における医療従事者の不安症、うつ病、レジリエンス、その他の精神症状について評価を行った。Internal Medicine誌2020年号の報告。うつ病を発症した医療従事者は27.9% 2020年4月22日~5月15日に日本赤十字社医療センターの医療従事者を対象にメンタルヘルスの調査を実施した。不安症、うつ病、レジリエンスの評価には、それぞれ日本語版の不安尺度GAD-7、うつ病自己評価尺度CES-D、レジリエンス測定尺度CD-RISC-10を用いた。さらに、以下の3要素化からなる独自のアンケートを追加した。(1)感染に対する不安や恐れ(2)隔離および不当な扱い(3)職場でのモチベーションと逃避行動 COVID-19パンデミック中の日本における医療従事者のメンタルヘルスを評価した主な結果は以下のとおり。・調査対象は848人。その内訳は、医師104人、看護師461人、その他医療スタッフ184人、事務職員99人であった。・全調査対象者のうち、中等度~重度の不安症を発症した医療従事者は85人(10.0%)、うつ病を発症した医療従事者は237人(27.9%)であった。・感染に対する不安や恐れ、隔離および不当な扱い、職場でのモチベーションと逃避行動に関する問題は、非うつ病者よりもうつ病者でより高かった(CES-D合計スコア16以上)。・医療従事者のうつ病リスク因子は、看護師、GAD-7合計スコアの高さであった。・年配およびレジリエンスの高い医療従事者は、うつ病の発症リスクが低かった。 著者らは「COVID-19の流行により、多くの医療従事者が精神症状に苦しんでいた。医療従事者の健康を守るためにも、心理的支援と介入が求められる」としている。

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副作用に対する概念を変えた、患者さんの震える手【堀美智子のハートに効くラヂオ】第1回

動画解説病院研修時代の印象深いエピソード。抗がん剤のすさまじい吐き気にも耐え、治療を頑張っていた患者さんが、ある日突然「治療をやめたい」と言い始めました。先生の副作用に対する概念を覆したその理由とは?

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機械学習モデルは統計モデルよりも優れるか/BMJ

 機械学習および統計モデルについて、同一患者の臨床的リスクの予測能を調べた結果、モデルのパフォーマンスは同等だが、予測リスクはさまざまに異なることが、英国・マンチェスター大学のYan Li氏らによる検討で示された。ロジスティックモデルと一般的に用いられる機械学習モデルは、中途打ち切りを考慮しない長期リスクの予測には適用すべきではなく、QRISK3のような生存時間分析モデルが、中途打ち切りを考慮し説明も可能であり望ましいことが示されたという。結果を踏まえて著者は、「モデル内およびモデル間の一貫性のレベルを評価することを、臨床意思決定に使用する前にルーチンとすべきであろう」と指摘している。QRISKやフラミンガムといった心血管疾患のリスク予測モデルは、臨床で幅広く使われるようになっている。これらの予測にはさまざまな技術が用いられるようにもなっており、最近の研究では、機械学習モデルがQRISKのようなモデルよりも優れているといわれるようになっていた。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。19のモデルについてリスク予測能の一貫性を検証 研究グループは機械学習と統計モデルの、個別の患者レベルおよび集団レベルにおける心血管疾患リスクの一貫性と、リスク予測の中途打ち切りの影響について評価する長期コホート試験(1998年1月1日~2018年12月31日)を行った。被験者は、イングランドの一般診療所391ヵ所でClinical Practice Research Datalinkに登録された患者360万人で、入院および死亡記録とひも付けして評価した。 主要評価項目は、モデルパフォーマンス(識別、較正)およびモデル間の同一患者におけるリスク予測の一貫性であった。検討したモデルは19で、それぞれ異なる予測技術を有するものであったが、機械学習モデルが12個(R言語で機械学習を行うパッケージCaretやSklearn、h2oに基づくロジスティックモデル、random forest、neural networkなど)、Cox比例ハザードモデルが3個(local fitted、QRISK3、フラミンガム)、パラメトリック生存モデルが3個(Weibull、Gaussian、logistic distribution)、ロジスティックモデルが1個(統計的因果関係フレームワーク適合モデル)であった。機械学習モデルはリスクをかなり過小評価 集団レベルでは、モデル間のパフォーマンスは類似していた(C統計値はおよそ0.87で較正も同等)。 一方で、個人レベルでは、ばらつきが大きく、また機械学習や統計モデルの種別ごとに違いが認められた。ばらつきなどはとくに高リスクの患者について大きかった。 QRISK3で9.5~10.5%とリスクが予測された患者は、random forestでは2.9~9.2%、neural networkでは2.4~7.2%の予測リスクであった。QRISK3とneural networkの予測リスクの差は、95%範囲値でみた場合-23.2~0.1%にわたった。 また、中途打ち切りを考慮しないモデル(すなわち打ち切られた患者はイベントフリーと仮定する)は、心血管疾患リスクをかなり過小評価していた。QRISK3で7.5%超の心血管疾患リスクを有していた患者22万3,815人のうち、その他のモデルを用いた場合は57.8%が7.5%未満に再分類された。

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