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1961.

閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

 閉経後の統合失調症女性に対し、通常療法にラロキシフェンを併用することで、陰性症状や総合精神病理、会話能力の低下などの改善が認めたことが示された。スペイン・カタロニア女性メンタルヘルス研究グループのJudith Usall氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。統合失調症において、エストロゲンの治療的有用性に関する認識が高まっている。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンは、ドパミン・セロトニン脳システムに対しエストロゲン様作用を示すと考えられ、著者らは先行研究において、ラロキシフェンがエストロゲンに起因する有害事象を示すことなく、陰性症状、陽性症状、総合精神病理の改善に有用であることを明らかにしていた。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 本検討では、陰性症状が優勢な閉経後の統合失調症女性患者を対象に、陰性症状およびその他の症状に対するラロキシフェンの有用性を評価することを目的に、24週間のランダム化並行群間二重盲検プラセボ対照試験を実施した。被験者は、Parc Sanitari Sant Joan de Deu、Hospital Universitari Institut Pere Mata、Corporacio Sanitaria Parc Tauliの入院患者および外来患者症例から登録。閉経後の統合失調症(DSM-IV)女性を、通常の抗精神病薬治療にラロキシフェン(60mg/日)を併用する群(38例)、またはプラセボ群(32例)に無作為に割り付けた。ベースライン、4、12、24週時に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および陰性症状評価尺度(SANS)を用いて精神病理を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ラロキシフェン併用群は試験期間の24週間にわたり、PANSSによる陰性スコア(p=0.027)、全般スコア(p=0.003)、総スコア(p=0.005)が、プラセボ群に比べ有意に低下した。・ラロキシフェン併用群は、SANSS下位尺度である会話能力の低下に関してもプラセボ群に比べて改善を認めた(p=0.048)。・本試験で示されたデータは、先行試験で報告した結果を、より大規模サンプルと長期フォローアップで再現したものであった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

1962.

ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。 研究グループは、MDD患者へのビタミンD投与が、うつ症状、代謝プロファイル、血清中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、酸化ストレスのバイオマーカーを減少させうるか否かを評価する、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。被験者は、DSM診断基準でMDDと診断された18~65歳の患者40例。ビタミンD 1カプセル(50kIU)/週群(20例)またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、8週間投与した。 ベースラインと介入後に、空腹時血液サンプルを採取し、関連項目を測定した。主要アウトカムは、ベックうつ病評価尺度(BDI)で評価したうつ症状とした。副次的アウトカムは、グルコースホメオスタシス変数、脂質プロファイル、hs-CRP、酸化ストレスのバイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおいて、2群間の平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度は、有意な差が認められた(それぞれ9.2±6.0、13.6±7.9μg/L、p=0.02)。・介入8週後における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の変化は、ビタミンD群(+20.4μg/L)のほうが、プラセボ群(-0.9μg/L)と比べて有意に大きかった(p<0.001)。・ビタミンD群はプラセボ群に比べ、BDIのより大幅な減少傾向が認められた(それぞれ-8.0、-3.3、p=0.06)。・ビタミンD群とプラセボ群の間で、血清インスリン変化(-3.6 vs.+2.9μIU/mL、p=0.02)、ホメオスタシスモデルで推定したインスリン抵抗性(-1.0 vs.+0.6、p=0.01)、同推定のβ細胞機能(-13.9 vs.+10.3、p=0.03)、血漿中総抗酸化能(+63.1 vs.-23.4mmol/L、p=0.04)、グルタチオン(+170 vs.-213μmol/L、p=0.04)について有意差が認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

1963.

非浸潤性乳管がん、術後ホルモン療法の5年QOL評価/Lancet

 閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)の術後の再発予防において、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)とアナストロゾール(同:アリミデックスほか)のQOL(身体機能、心の健康)に差はないが、薬剤関連症状には違いがみられることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のPatricia A Ganz氏らが実施したNSABP B-35試験で示された。2002年に本試験が立案された時点のDCISの標準治療はタモキシフェンの5年投与であったが、同年、ATAC試験により、浸潤性乳がんの術後補助療法ではアナストロゾールがタモキシフェンに比べ無病生存期間を延長し、毒性も良好であることが明らかにされた。NSABP B-35試験では、最近、60歳未満の患者においてアナストロゾール5年投与による無乳がん期間の、わずかだが有意な改善効果が確認されている(非浸潤性乳管がん、アナストロゾールの再発予防効果を確認/Lancet)。Lancet誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。約1,200例で5年投与期間中のQOLを評価 NSABP B-35試験は、閉経後DCISの再発予防(局所、領域、遠隔部位、対側乳房)におけるタモキシフェンとアナストロゾールの効果を比較する二重盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、乳房温存術+全乳房照射療法を受けたエストロゲンもしくはプロゲステロン受容体陽性の閉経後DCIS女性であった。 被験者は、タモキシフェン(20mg/日)またはアナストロゾール(1mg/日)を5年間投与する群に無作為に割り付けられた。また、ベースラインおよびその後は6ヵ月ごとに5年間、QOLに関する質問票に回答した。 主要評価項目は、SF-12の身体機能と心の健康のスコアおよび血管運動症状(Breast Cancer Prevention Trial[BCPT]の症状スケール)とした。副次評価項目は、膣症状および性交機能であった。 2003年1月6日~2006年6月15日に北米の333施設に3,104例が登録され、このうち1,193例(タモキシフェン群:601例、アナストロゾール群:592例)でQOL評価が行われた。5年時まで質問票への回答を完遂したのは、それぞれ393例、380例だった。60歳以上が54%、52%含まれた。タモキシフェンで相対的に血管運動症状が不良、膣症状は良好 身体機能の平均重症度スコアは、タモキシフェン群が46.72点、アナストロゾール群は45.85点であり、有意な差は認めなかった(p=0.20)。心の健康はそれぞれ52.38点、51.48点であり、やはり有意差はみられなかった(p=0.38)。 SF-36の活力スケールのエネルギー/疲労(58.34 vs.57.54点、p=0.86)および疫学研究用うつ病尺度(CES-D)によるうつ状態(6.19 vs.6.39点、p=0.46)にも有意な差はなかった。 血管運動症状(1.33 vs.1.17点、p=0.011)、排尿制御困難(0.96 vs.0.80点、p=0.0002)、婦人科症状(0.29 vs.0.18点、p=0.0001)は、タモキシフェン群で有意に重症度が高かった。 一方、筋骨格系の疼痛(1.50 vs.1.72点、p=0.0006)および膣症状(0.76 vs.0.86点、p=0.035)は、アナストロゾール群で有意に重症度が高かった。 認知機能(0.89 vs.0.92点、p=0.72)、体重問題(1.15 vs.1.17点、p=0.48)、性交機能(43.65 vs.45.29点、p=0.56)は、両群間に有意な差はなかった。 60歳未満の患者は60歳以上に比べ、血管運動症状の重症度スコア(1.45 vs.0.65点、p=0.0006)、膣症状(0.98 vs.0.65点、p<0.0001)、体重問題(1.32 vs.1.02点、p<0.0001)、婦人科症状(0.26 vs. 0.22点、p=0.014)が不良であった。 著者は、「60歳以上の女性では両薬剤の効果は同等であり、薬剤の選択は重篤な有害事象(血栓塞栓症、子宮がん、骨量減少)や薬剤関連症状のリスクのほか、患者の好みを考慮して決めるべきである。一方、60歳未満では、効果がより良好なアナストロゾールを選ぶべきと考えられるが、血管運動症状や膣症状、婦人科症状などの副作用が耐容不能な場合はタモキシフェンに変更するのがよいだろう」と指摘している。

1964.

統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

 統合失調症では構造的脳内ネットワークを構成する白質統合が不十分な状況が認められ、脳領域での情報伝達能を減弱させると考えられている。しかし、これらの異常が、統合失調症発症の遺伝的リスクに影響する程度については不明であった。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのMarc M. Bohlken氏らは、統合失調症発症の遺伝的リスクと脳内ネットワークを構成する白質統合性との関連について検討した結果、白質統合指標のMRI画像上のfractional anisotropy(FA)が、統合失調症発症リスクと関連する可能性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 検討は、統合失調症に関する状況が一致しない双生児70組、適合させた健常な双子(対照群)130組を対象とし、脳統合および疾患リスクに対する遺伝的、環境的要因の独立した寄与状況を構造方程式モデルを用いて定量化した。2008年10月1日~13年9月30日にデータを収集し、2013年11月1日~15年3月30日に解析を実施した。主要アウトカムは、拡散強調画像におけるfractional anisotropy(FA)とstreamlineにより評価した構造的結合性およびネットワーク機能とした。 主な結果は以下のとおり。・症例構成は、30組の一卵性双生児と72組の適合対照双生児、40組の二卵性双生児と58組の適合対照双生児であった。・FA値の低下は、統合失調症のリスク増大と有意に関連し(表現型相関:-0.25、95%信頼区間[CI]:-0.38~-0.10、p=0.001)、83.4%で共通の遺伝子が認められた。・全体として、FAにおける遺伝的変異の8.1%は、統合失調症リスクにおける遺伝的分散と共通であった。・ネットワーク統合における、前頭、線条体、視床領域の局所低下(FA-強調による局所への影響)は、遺伝的な影響を受ける部位の85.7%を占めていた。・多変量遺伝解析モデルにより、FAは白質量、皮質厚など他の遺伝的マーカーとは独立して統合失調症リスクに関与していることが示された。・以上のように、統合失調症患者における白質統合の異常は、主として疾患発症の遺伝的リスクであることを示すものであった。・ネットワーク解析で統合失調症の遺伝的リスクは、主として前頭部および皮質下部の結合性減少、すなわち同領域における白質神経線維の異常と関連することが示された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

1965.

抗うつ薬と認知行動療法は大した差がない、が意味するもの(解説:岡村 毅 氏)-464

 大うつ病の外来患者の初期治療における、第2世代抗うつ薬と認知行動療法を比較した。メタアナリシスを行い、両者に有意差がないと報告している。臨床的にも妥当な結果と思われる。 当サイトをご覧の皆さまにおかれてはありえないと思うが、すわ薬物療法よりも認知行動療法が素晴らしい、など早とちりする向きも多いので一応解説したい。 著者らも書いているが、この結果は米国等のガイドライン(初期治療ではこれらは両方とも推奨される)をなぞるものであり、なんら斬新ではない。臨床家なら誰もが知っている当たり前のことを当たり前に示したという点で、優れた論文である。 過去の認知行動療法の優位性を示す論文は、「本物の」(とその論文の著者が認める)認知行動療法のみが組み込まれるなど、公平とは言い難かったが、本論文は淡々と比較した。 では、今日外来受診した患者さん(Aさん)に、どう治療しようが結果は変わらないのだろうか? そんなことはあるまい。外来で薬物療法、環境調整、精神療法をどの順番で組み合わせて治療するかは臨床知である。制止が強い場合は薬物がよく効くだろうし、ケースワークだけで必要かつ十分なケースもあろう、あるいは本人の認知が歪んでいることもあろう。また、言うまでもないが、入院が必要な重症・切迫したケースでは薬物治療が重要である。 著者らは、患者さんがさまざまな治療選択肢を持つことが治療成績を伸ばすし、また精神疾患に対する偏見も減らし、より早く援助希求ができるだろうと最後に書いている。まさに大人の論文であった…。

1966.

第2世代抗うつ薬と認知行動療法、アウトカムは同等/BMJ

 大うつ病性障害の初期治療において、第2世代抗うつ薬投与および認知行動療法(CBT)の治療効果や有害作用は同等であることを、米国・ノースカロライナ大学のHalle R. Amick氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。すでに第2世代抗うつ薬およびCBTの、大うつ病性障害における効果および有害性は実証されている。しかし、プライマリケア医からは、最適な治療オプションを選択できるよう質の高い治療比較のエビデンスを求める声が寄せられていた。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。1990~2015年の試験結果を再調査 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Libraryなどを基に、1990年1月~2015年1月に発表された、大うつ病に対する第2世代抗うつ薬やCBTに関する試験結果について、システマティックレビューを行った。質的評価およびランダム効果モデルや固定効果モデルを用いたメタ解析で両治療について検討した。 検索により、第2世代抗うつ薬とCBTに関する無作為化比較試験11件(報告論文14本)、被験者総数1,511例のデータを得た。そのうち、抗うつ薬単独治療とCBTを比較した試験が10件、抗うつ薬単独療法と抗うつ薬+CBTの併用療法を比較した試験が3件あった。治療反応率、寛解率、試験中止率にいずれも有意差なし メタ解析の結果、第2世代抗うつ薬とCBTでは、治療反応率(リスク比[RR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.77~1.07)や寛解率(同:0.98、0.73~1.32)について、いずれも有意差は認められなかった。また、17項目うつ病用ハミルトン評価尺度による評価でも、両群間の有意差はみられなかった(加重平均較差:-0.38、95%CI:-2.87~2.10)。 同様に、試験中止率(RR:0.90、95%CI:0.49~1.65)や、治療効果が上がらないことによる治療中止率(同:0.40、0.05~2.91)も、両群間の有意差は示されなかった。 有害作用による治療中止率は、第2世代抗うつ病薬でCBTより高率だったものの、有意差は認められなかった(RR:3.29、95%CI:0.42~25.72)。 なお、その他のアウトカムについてはエビデンス不足で検討できなかったという。また示された結果についても著者は、エビデンスが低く解釈は慎重にすべきだとしている。

1967.

ADHD発症にトリプトファンが関連か

 ノルウェー・ベルゲン大学のTore Ivar Malmei Aarsland氏らは、成人の注意欠如・多動症(ADHD)とトリプトファンおよびその代謝物の血清中濃度との関連を検討した。その結果、トリプトファン、キヌレン酸、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸などの血清中濃度低値、およびコチニンの血清中濃度高値がADHDと有意に関連していたことを報告した。必須アミノ酸のトリプトファンは、主にキヌレニン経路によって異化される。一方で、慢性炎症状態およびうつ病統合失調症などいくつかの神経精神障害において、循環血中キヌレニン濃度に変化が認められるとの報告があり、また候補遺伝子研究により、キヌレニン異化に関連する遺伝子とADHDとの関連が示唆されていた。さらに、ADHD患者はうつ病や不安をしばしば併存していることが報告されており、研究グループは、ノルウェーの成人ADHD患者および成人対照における血清キヌレニン濃度を検討した。Behavioral and Brain Functions誌2015年11月号の掲載報告。 成人ADHD患者133例と成人対照131例(18~40歳)において、トリプトファンおよび7種類のトリプトファン代謝物であるキヌレニン、キヌレン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、キノリン酸の血清中濃度を比較した。リボフラビン(ビタミンB2)、総ビタミンB6およびニコチン代謝物コチニンについても測定した。質量分析法により血清サンプルを分析。患者および対照は、併存疾患と過去(幼少期)および現在のADHD症状について、Wender Utah Rating Scale(WURS)およびAdult ADHD Self-report Scale(ASRS)を用いて報告した。各代謝物の血清濃度別に、ADHD診断に対するオッズ比をロジスティック回帰により算出。さらに、スピアマン相関分析を用いて、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度とADHD症状スコアとの関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・トリプトファン(オッズ比:0.61、95%信頼区間:0.45~0.83)、キヌレン酸(0.73、0.53~0.99)、キサンツレン酸(0.65、0.48~0.89)、3-ヒドロキシアントラニル酸(0.63、0.46~0.85)の血清中低濃度、およびコチニン(7.17、4.37~12.58)の血清中高濃度は、いずれもADHDと有意に関連していた。・トリプトファン濃度で補正後、3-ヒドロキシアントラニル酸とコチニンのみ有意な関連がみられた。・喫煙と年齢で補正すると、トリプトファンおよびキヌレニンの低濃度は、総ASRSスコア高値および総WURSスコア高値と関連していた。・以上より、成人ADHD患者と成人対照とでは、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度に違いがある可能性が示唆された。・本知見においてADHDにおける慢性免疫活性は示されていないが、ADHDの発症機序および血清中濃度の相違による臨床的意義について、さらに探索を進めるべきと思われた。関連医療ニュース 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係 成人ADHDをどう見極める 2つのADHD治療薬、安全性の違いは

1968.

「怠薬防止」に統合失調症治療のカギあり

 「統合失調症のリカバリー実現に向けた有力な治療選択肢」というテーマで、大塚製薬株式会社主催のプレスセミナーが2015年12月9日に開催された。統合失調症患者は社会コミュニティに参加できないことも多く、患者は苦しみを抱えている。患者のQOLを向上し、健常人と変わりない生活を続けてもらう、いわゆる「リカバリー」を実現するためには、どのような点が重要となるのだろうか。統合失調症治療のゴールは「リカバリー」 昨年5月、アメリカ精神医学会から「Schizophrenia:time to commit to policy change」という宣言が出された。そのなかで、統合失調症治療は「リカバリー」を目指すことが重要だということが示された。 リカバリーは「症状を回復させ、健常者とほぼ変わらない生活を維持すること」を指し、統合失調症治療の目指すべきゴールとして最近用いられている概念である。統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く疾患で、その症状が原因で学校・会社を辞めるケースも多く、患者は日常生活・社会生活に大きな支障を抱えている。そのため治療においては健常者とほぼ変わらない生活を維持すること、つまり「リカバリー」を目指すことが重要である。「怠薬」がリカバリーを困難にする原因 一方で、リカバリーは非常に難しいといわれている。初めて治療を開始する統合失調症患者118例の追跡調査では、5年間の累積リカバリー到達率はわずか13.7%ときわめて低かった。1) リカバリーを目指すうえで重要となるのが「再発させない」ことだ。再発を起こす要因にはさまざまなものが挙げられるが、なかでも大きな原因となっているのが「怠薬」である。実際、「服薬を中断すると再発リスクは約5倍になる」と示唆されている。2)怠薬に関しては、「服薬アドヒアランスは1ヵ月で20%悪化、その後経時的に悪化する」「患者の約半数がときどき服薬するのを忘れる」などのデータが報告されている。3,4) しかし、患者の服薬アドヒアランスを確認することは難しい。服薬モニタリングシステムを用いた研究では、服薬アドヒアランス不良の患者は57%であったのに対し、医師が服薬アドヒアランス不良を把握していた患者の割合は7%であった。5)「怠薬」させないポイントとは? では「怠薬」を防ぐにはどうしたらよいか。セミナーで講演した、藤田保健衛生大学医学部 精神神経科学講座 教授 岩田 仲生氏は、「服薬アドヒアランスが良好でないのであれば他の許容可能な薬剤を考慮することも必要であり、その選択肢の1つとして持続性注射剤(LAI)が挙げられる」と語る。 注射剤のLAIは4週間に1度の来院で投薬が済むため、患者にとって大きなメリットとなる。患者アンケートではLAIを「ぜひ試したい」「試しても良い」が41%となっており、その一番の理由が「4週間に1回の通院が楽」であった。6) またLAIは再発のリスクを抑制したというデータも得られている。7) しかし、LAIは日本ではあまり使用されない傾向にある。LAIが広まらない一番の原因としては、「患者がLAIを知らない」「医師がLAIでの成功体験が少ない」ことがあると岩田氏は話す。患者におけるLAIの浸透、そして医師にもLAIをもっと理解してもらうことが、今後のLAIの課題といえる。 統合失調症患者をリカバリーまで到達させるためには「服薬アドヒアランスの向上」が大きなカギを握っている。そのためには、患者の訴えに耳を傾け、患者の希望やライフスタイルに合わせて処方をカスタマイズすることが非常に重要である。■参考1)Robinson DG, et al. Am J Psychiatry. 2004; 161: 473-479.2)Robinson D, et al. Arch Gen Psychiatry. 1999; 56: 241-247.3)趙 岳人, 岩田仲生ほか. 臨床精神薬理. 2011; 14(9).4)Dibonaventura M, et al. BMC Psychiatry. 2012; 12: 20.5)Byerly MJ, et al. Psychiatr Serv. 2007; 58: 844-847.6)西尾洋平, 亀井浩行:アリピプラゾール持続性注射剤発売時の患者アンケートより7)Hogarty GE, et al. Arch Gen Psychiatry. 1979; 36: 1283-1294.

1969.

うつ病の新規発症予防へ、早期介入プログラム

 うつ病の新規発症への認知行動予防(CBP)プログラムは、早期に開始するほど有効であり、6年後も明らかな効果がみられるなど持続的効果があることが明らかにされた。米国・ピッツバーグ大学医学部のDavid A. Brent氏らが、通常ケアと比較した無作為化比較試験の結果、報告した。両親がうつ病歴を有する子供は、青年期にうつ病や機能障害を発症するリスクがある。しかし、青年期うつや機能障害に対する予防プログラムの長期効果については知られていなかった。今回の結果を踏まえ、著者らは「CBPの効果は、ブースターセッションの追加や両親のうつ病に対する同時治療により増強される可能性がある」と述べている。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。 研究グループは、CBPプログラムがうつ病エピソードの発生を減少させるか、うつ症状のない日を増加させるか、そして実施6年後の発達能改善に寄与するかどうかを調べるため、CBP+通常ケアと通常ケア単独を比較検討した。健康維持組織(HMO)、大学医療センター、地域のメンタルヘルスセンターなど4ヵ所で被験者を登録。年齢13~17歳で、少なくともどちらか一方の親に現在あるいは過去にうつ病エピソードあり、被験者自身は現時点でうつ病エピソードはないが、亜症候性うつ症状を有するか、過去にうつ病エピソードがあり現在は寛解している症例を適格とした。CBPプログラムは、週1回90分のグループセッションを8回、以降は継続セッションを月1回6回実施した。通常ケアは、家族主導によるメンタルヘルス治療とした。主要アウトカムは、うつ病エピソードの新規発症で、うつ症状評価スケールを用いて評価した。また同スケールで、うつ症状のない日を算出した。改訂Status Questionnaireで、青年期における発達能(例:学術的あるいは対人関係)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2003年8月~06年2月に被験者316例を登録。介入後、75ヵ月間追跡し(維持率88%)、2014年8月~15年6月に解析を行った。・登録時点での親のうつ病状態、登録施設、すべての相互作用因子を補正後、追跡期間75ヵ月にわたってCBP群の青年期うつ病発症率が低下した(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.53~0.96)。・CBPプログラムの有意な効果は、登録初期9ヵ月間の、うつ病エピソードの発生低下によるものであった。・CBPプログラムのベネフィットは、登録時、親が非うつ病の青年において、うつ病発症(HR:0.54、95%CI:0.36~0.81)、うつ症状のない日(d=0.34、p=0 .01)、発達能(d=0.36、p=0.04)に関して認められた。・発達能に関する効果は、CBPプログラムのうつ症状のない日々に対する効果を介してもたらされたものであった。関連医療ニュース 青年期からの適切な対策で精神疾患の発症予防は可能か 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか  担当者へのご意見箱はこちら

1970.

双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴

 双極性障害と強迫症の併存は小児期・思春期および双極I型障害患者に多いことが、イタリア・パルマ大学のA. Amerio氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。ただし、著者らは、本研究の限界として「ほとんどの研究は、真の自我異和的な強迫観念と抑うつ的な反芻の区別において感度の低い後ろ向き評価尺度を使用しているため、強迫症状の有病率を過大評価する方向へバイアスが生じている可能性がある」と述べている。Journal of Affective Disorders誌2015年11月1日号の掲載報告。 双極性障害と不安症の併発については最近、調査が行われたが、双極性障害と強迫症の併発に関する研究は不十分なままであった。双極性障害と強迫症の併存率と予測因子を明らかにすることは、疾病分類学においても臨床・治療のうえでも重要な意味を持つ。研究グループは、2015年3月30日までに発表された関連論文を、電子データベース(MEDLINE、Embase、PsycINFO、Cochrane Library)を用いて検索し、システマティックレビューならびにメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・論文46本が選択基準を満たした。・双極性障害における強迫症の有病率は17.0%(95%信頼区間[CI]:12.7~22.4%)、強迫症における双極性障害の有病率は18.35%(95%CI:13.2~24.8%)で、ほぼ同等であった。・双極性障害患者における強迫症の有病率が低いことの予測因子は平均年齢が高いことであった。・サブグループメタ解析において、双極性障害患者において強迫症の併存率が高かったのは、小児・思春期[24.2%(vs.成人13.5%)]、双極I型[24.6%(vs.混合状態13.6%)]、住民ベース研究[22.2%(vs.病院ベースの研究13.2%)]であった。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存 治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か  担当者へのご意見箱はこちら

1971.

長生きは本当に幸せか(解説:岡村 毅 氏)-462

 英国の地域在住高齢者のコホート研究(CFAS I ・CFAS II)を使って、1991年から2011年の間に平均余命が伸びたうち、主観的健康な期間、認知機能が保たれている期間、そして日常生活の障害がない期間は、どのくらいかということを調べたものである。 認知機能が障害されている期間は短くなっていた。これは、近年同じコホートから報告されているように、英国で認知症の有病率が低下していることとも対応しているだろう。生活習慣病の減少や教育の向上が関連するとされる1)。 主観的に健康な期間も伸びている。 一方で、残念ながら、生活障害を持つ期間は増えている。これは肥満が増加したことと関連する可能性が示唆されている。 われわれは、長生きはいいことだとアプリオリに考える。「だが本当にそうだろうか?」…、そんなことを公共の場で言ったら「不謹慎」と思われてしまうかもしれない。しかし、社会全体が長寿を目指すのであれば(政策とするのであれば)、本当は考えておかねばならないことだ。 本研究は、寿命が延びたのはいいが、不健康で認知症の時期が増えたのでは、という懐疑に答えを出すものだ。答えは「否」であった。浅薄な発言かもしれぬが、長寿を目指すこと(政策)のエビデンスが得られたといえる。 研究者の端くれとしては、本当は「幸せに生きた期間」は増えたのか、という疑問があったに違いないと思う。同時にその困難さも想像に難くない。幸せや生活の質といわれるものは常に主観的なものであり、尺度化の難しさは身に染みている。たとえば、今回の研究に即していえば、障害があっても他人に頼って生きるようになり、むしろ他人とのつながりを回復し、こころの安定が得られるというケースもあろう(もちろん私は障害を促進しているわけではないので誤解なきよう)。 この論文は、読者の探究心を激しく呼び覚ますものだ。さすがロックやヒュームを生んだ国である、というと言い過ぎであろうか。当然、「私たちの社会ではどうだろうか?」「実証的に検討する材料はあるのだろうか?」と考えなければなるまい。

1972.

道路交通騒音でうつ病リスク増大

 交通騒音は、とくに都市部にて多くの人々に影響を与える。騒音はストレスやいらいらの原因となるが、騒音とうつ病との関連はあまり知られていない。ドイツ・エッセン大学病院のEster Orban氏らは、住宅道路の交通騒音と抑うつ症状の関連を調べるため、ドイツ住民ベース研究から5年間の追跡調査データを用い、検討を行った。その結果、住宅道路の交通騒音は抑うつリスクを増大させることが示唆された。Environmental health perspectives誌オンライン版2015年11月25日号の報告。 著者らは、Heinz Nixdorf Recall 研究の参加者で、ベースライン時(2000~03年)に抑うつ症状のない3,300人(45~75歳)のデータを分析した。抑うつ症状は、CES-D質問票の15項目(合計スコア17点以上)、抗うつ薬の投与に基づいて定義した。道路交通騒音は、European Parliament/Council Directive 2002/49/ECをモデルにした。騒音の高曝露は、1年間の24時間平均騒音レベルが55dB以上(A)と定義した。ロバスト推定ポアソン回帰は、相対リスク(RR)を推定するために使用した。潜在的な交絡因子調整のため、1)年齢、性別、社会的地位(SES)、自宅周辺のSESレベル、交通近接性、さらに2)BMIと喫煙、3)潜在的な交絡/中間因子である併存疾患と不眠症、で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・全体参加者の35.7%が、高いレベルの住宅交通騒音にさらされていた。・フォローアップ時(ベースラインから平均5.1年)、302人の参加者が高い抑うつ症状を有していた。曝露騒音レベル55未満に対する55超の調整後RRは1.29(95%CI:1.03~1.62、モデル1)であった。・潜在的な交絡/中間因子による調整は、結果を実質的に変化させなかった。・関連性は、ベースライン時に不眠を訴えた人で強く[RR 1.62(1.10~2.59) vs.1.21(0.94~1.57)]、教育年数13年以下の人においてのみ現れた[RR 1.43(1.10~1.85)vs.0.92(0.56~1.53):13年超]。関連医療ニュース 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 パートナーがうつ病だと伝染するのか  担当者へのご意見箱はこちら

1973.

最も多く「いいね!」を集めたのはこれ!【2015年 Facebookいいね!年間ランキング】

2015年にCareNet.comに掲載した医療ニュースの中でFacebookの「いいね!」が多かった記事、トップ30を発表します。最新の医学情報はもちろん、飲食や睡眠にまつわるエビデンス、生活習慣とがんリスクなど、私たち自身の健康に関わるテーマの記事が多くランクインしました。1位音楽療法が不眠症に有用(2015/9/8)2位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)3位緑茶やコーヒーで胆道がんリスクは減少するか~日本のコホート研究(2015/11/12)4位かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会(2015/6/24)5位膝OAに陸上運動療法は有効(2015/2/3)6位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)7位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)8位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)9位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)10位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)11位周術期の音楽が術後の疼痛・不安を軽減/Lancet(2015/8/24)12位抗認知症薬の脳萎縮予防効果を確認:藤田保健衛生大(2015/8/13)13位新しいがん免疫療法、これまでと何が違う?~肺がん医療向上委員会(2015/8/4)14位少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ(2015/9/1)15位夫の喫煙で乳がんリスクが増大~高山スタディ(2015/2/9)16位心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA(2015/8/7)17位長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet(2015/8/31)18位認知症患者への睡眠薬投与、骨折に注意(2015/7/1)19位腰痛は患者の心身を悪化させ医療費を増やす:日本発エビデンス(2015/3/27)20位肺がん患者が禁煙したときの延命効果は?(2015/7/2)21位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)22位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)23位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)24位アルコール摂取とがんリスク、用量依存的に関連(2015/10/14)25位慢性疼痛 患者の性差を考慮した対処を(2015/5/1)26位脱毛症の人はあのリスクが上昇(2015/1/21)27位失明患者の視覚を回復、人工網膜システムが欧米で初承認(2015/8/26)28位統合失調症への集団精神療法、効果はどの程度か(2015/6/24)29位糖質制限食と糖尿病リスク:日本初の前向き研究(2015/2/27)30位魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大(2015/7/1)

1974.

未治療小児患者への抗精神病薬投与、その影響は

 未治療の小児および未成年者における抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について調べた結果、リスペリドンはジスキネジアおよびパーキンソニズムの出現リスクが高いこと、一方でクエチアピンは神経学的有害事象が少ない抗精神病薬であることが明らかにされた。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学のMargarita Garcia-Amador氏らが、平均年齢14.4歳の265例について調べ報告した。また、遅発性ジスキネジアリスク増について、低年齢、精神疾患、治療が予測因子であることも報告した。結果を踏まえて著者らは、「抗精神病薬は、未治療および未治療に類する小児集団の神経学的有害事象を増加する。慎重にモニタリングする必要がある」と述べている。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年12月号の掲載報告。 研究グループは、未治療(および未治療に類する)小児および未成年者を対象とした抗精神病薬治療の1年間の多施設共同観察研究を行い、抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について、人口統計学的、臨床的、治療的要因を評価した。最も使用されている3種の抗精神病薬を投与した被験者サブサンプルと、抗精神病薬未治の被験者サブサンプルを用いて2つのサブ解析を実施した。総ジスキネジアスコア(DyskinesiaS)、総パーキンソンスコア(ParkinsonS)、総UKU-認知機能スコアを算出して評価。また、ロジスティック回帰法で、Schooler-Kaine基準判定後に定義された遅発性ジスキネジアのリスク因子を分析した。 主な結果は以下のとおり。・登録された被験者は、DSN-4のさまざまな第1軸疾患患者265例(平均年齢14.4[SD:2.9]歳)であった。・観察期間1年において、DyskinesiaS(p<0.001)およびParkinsonS(p<0.001)の増加を認めた。・リスペリドンはクエチアピンに比べ、DyskinesiaSの増加と関連していた(p<0.001)。・クエチアピンと比べて、リスペリドン(p<0.001)、オランザピン(p=0.02)のParkinsonS増加が有意に高かった。・総UKU認識スコアは、観察期間中に低下した。・抗精神病薬未治療患者の解析においても、有意な結果が得られた。・観察期間中に15例(5.8%)がSchooler-Kane基準を満たす遅発性ジスキネジアDを呈した。・観察期間中の遅発性ジスキネジアと関連していたのは、低年齢、精神症状歴、高い累積曝露期間であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

1975.

統合失調症では認知症リスクが増加

 統合失調症患者では認知症の相対リスクが著明に増加することが、デンマーク・オーフス大学のAnette Riisgaard Ribe氏らによる、デンマークの全国登録を用いた大規模コホート研究の結果、示された。そのリスク増加は、既知の認知症危険因子とは独立しており、とくに65歳未満の統合失調症患者で認知症リスクが高かったという。統合失調症は、加齢に伴う疾患や認知障害と関連しているが、統合失調症がない場合と比べて認知症になるリスクが高いかどうかは不明であった。JAMA Psychiatry誌2015年11月1日号の掲載報告。 研究グループは、年齢と既知の認知症危険因子を考慮したうえで、統合失調症患者の認知症リスクを、統合失調症のない人(非統合失調症者)と比較する検討を行った。デンマークの6つの全国登録から50歳以上280万人のデータを用い、1995年1月1日~2013年1月1日まで18年間追跡した。2万683人が統合失調症患者であった。解析は2015年1月1日~4月30日に行われ、非統合失調症者と比較した統合失調症患者の認知症罹患率比(IRR)と認知症累積発症割合(CIP)を主要評価項目とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中13万6,012例が認知症を発症した。このうち、統合失調症患者は944例であった。・統合失調症患者では、あらゆる原因による認知症のリスクが年齢、性別、発症時期で調整後も2倍以上に上った(IRR:2.13、95%信頼区間[CI]:2.00~2.27)。・そのリスクは、心血管疾患や糖尿病などの内科的併存疾患で調整した場合でも、ほとんど変わらなかった(IRR:2.01、95%CI:1.89~2.15)。しかし、薬物乱用で調整した場合はわずかに減少した(IRR:1.71、95%CI:1.60~1.82)。・統合失調症と認知症リスクとの関連は、患者背景や併存疾患の有無によるサブグループ解析でも同様に認められ、特に65歳未満(IRR:3.77、95%CI:3.29~4.33)、男性(IRR:2.38、95%CI:2.13~2.66)、パートナーと同居(IRR:3.16、95%CI:2.71~3.69)、脳血管疾患なし(IRR:2.23、95%CI:2.08~2.39)、および薬物等乱用なし(IRR:1.96、95%CI:1.82~2.11)でIRRが高かった。・65歳までに認知症を発症するCIP(95%CI)は、統合失調症患者で1.8%(1.5~2.2%)、非統合失調症者で0.6%(0.6~0.7%)、80歳までに認知症を発症するCIPはそれぞれ7.4%(6.8~8.1%)および5.8%(5.8~5.9%)であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は  担当者へのご意見箱はこちら

1976.

重度うつ病、抗うつ効果の即効性を上げる方法

 経口抗うつ薬は数週間後に効果が現れるのに対し、ケタミン単回静脈内投与(静注)は効果の持続期間は限られているものの迅速な抗うつ効果を発揮する。中国・首都医科大学のY.D.Hu氏らは、4週間の無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行い、エスシタロプラム+ケタミン単回静注増強療法が重度の大うつ病性障害(MDD)に対して有効かつ安全であることを明らかにした。著者は、「エスシタロプラム+ケタミン単回静注増強療法は、経口抗うつ薬治療の効果発現を早める可能性がある」とまとめている。Psychological Medicine誌オンライン版2015年10月19日号の掲載報告。 研究グループは、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD-17)スコア24点以上の重度MDD外来患者30例を、エスシタロプラム(10mg/日)+ケタミン単回静注(0.5mg/kg、40分で静注)群(ケタミン増強療法群)、またはエスシタロプラム(10mg/日)+プラセボ(0.9%生理食塩水静注)群(プラセボ群)に無作為に割り付け、4週間投与した。 投与前、投与1、2、4、24および72時間後、1週、2週、3週および4週後に、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)および自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR)を用いうつ症状を、QIDS-SRの項目12で自殺企図を評価した。また、簡易精神症状評価尺度(BPRS)の陽性症状、ヤング躁病評価尺度(YMRS)およびClinician Administered Dissociative States Scale(CADSS)を用い有害な精神病症状を評価した。主要評価項目は、効果発現までの期間(MADRSスコアの50%以上減少)である。 主な結果は以下のとおり。・ケタミン増強療法群ではプラセボ群に比べ、効果発現までの期間(ハザード比[HR]:0.04、95%信頼区間[CI]:0.01~0.22、p<0.001)および寛解までの期間(HR:0.11、95%CI:0.02~0.63、p=0.01)が有意に短く、4週後の反応率(92.3% vs.57.1%、p=0.04)および寛解率(76.9% vs.14.3%、p=0.001)も有意に高かった。・ケタミン増強療法群ではプラセボ群と比較して、MADRSスコア(投与2時間後~2週後)、QIDS-SRスコア(投与2時間後~2週後)、QIDS-SR自殺企図スコア(投与2時間後~72時間後)もそれぞれ有意に低下した。・ケタミン増強療法群において、投与1時間後および2時間後のYMRS得点のみ有意に増加したが、BPRSおよびCADSSの有意な増加はみられなかった。関連医療ニュース 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か ケタミンは難治性うつ病に使えるのか 治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較  担当者へのご意見箱はこちら

1978.

高齢視覚障害者のうつ、段階的ケアの長期効果を確認/BMJ

 うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者への、経過観察→ロービジョン施設セラピストによる自立支援指導等介入→かかりつけ医による治療という段階的ケアの長期有効性が、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのHilde P A van der Aa氏らによる、通常ケアと比較した多施設無作為化試験の結果、報告された。段階的ケアについては先行研究で、高齢視覚障害者のうつ症状を短期的に軽減することは示されていたが、長期的な効果について、また不安症に対するエビデンスは不足していた。今回の検討では約1年間にわたる介入を必要に応じて行い、2年時点で評価した結果だという。著者は、「本アプローチは、うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者の標準的な戦略(スクリーニング、モニタリング、介入、紹介)となりうるだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年11月23日号掲載の報告。4ステップ介入 vs.通常ケアのみの多施設無作為化試験 研究グループは、高齢視覚障害者(主に年齢関連の疾患による)に対し、通常ケアとの比較で段階的ケアが大うつ病性障害、気分変調症、不安障害の発症予防に有効か、またうつ病や不安症の改善に有効かを調べた。 50歳以上の265例を、段階的ケアプログラム+通常ケア群(131例)または通常ケアのみ群(134例)に無作為に割り付けた。 段階的ケアプログラムは4ステップから成り、第1ステップは研究者による経過観察期間(3ヵ月間)としベースラインと3ヵ月後に電話で約15分コンタクト、第2ステップはロービジョンリハビリテーションセンターの作業療法士(OT)による認知行動療法をベースとしたガイド下自立支援の提供(3ヵ月)、第3ステップは同センターのソーシャルワーカー(SW)、臨床心理士(psychologist)による問題解決療法の実施(3ヵ月)、第4ステップは、問題解決療法後もうつ病や不安症増大が認められる場合に、研究者が電話で患者とかかりつけ医を結び付ける介入を行った(患者に、かかりつけ医に紹介することを電話で連絡し、一方でかかりつけ医にさらなる治療や薬物療法の使用を検討するため患者と面談するよう電話で連絡。それぞれ電話は約15分間)。 主要アウトカムは、大うつ病性障害、気分変調症、および/または不安障害(パニック障害、広場恐怖症、社交不安症、全般性不安障害)の24ヵ月間の累積発生率。副次評価項目は、うつ症状、不安症、視覚関連QOL、健康関連QOL、視力喪失への適応の24ヵ月間の変化とした。うつ病等障害の24ヵ月累積発生率、介入群の相対リスク0.63 24ヵ月間の各障害累積発生率は、通常ケア群では62例(46%)に対し、段階的ケア群は38例(29%)であった。 介入は障害累積発生の減少と有意に関連しており(相対リスク:0.63、95%信頼区間[CI]:0.45~0.87、p=0.01)、イベントが発生するまでの時間(time to event)を考慮しても同関連は有意なままであった(補正後ハザード比:0.57、95%CI:0.35~0.93、p=0.02)。治療必要数(NNT)は、5.8(3.5~17.3)であった。 なお、検討では途中脱落率がかなり高かった(34.3%)が、2群間の割合に有意な差はなく、ステップ介入が通常ケアと変わらないものと受け入れられていることが示唆された。 一方で本試験では、レスポンダーが非レスポンダーよりも有意に若年であったことから(年齢差4.6歳、p<0.001)、著者は、「被験者はボランティアで本研究への参加を希望したが、一般的な高齢視覚障害者の代表とはいえない可能性がある」と指摘し、アウトカムの一般化についてはその点を差し引いて見なすべきとしている。

1980.

重症うつ病の寛解率、治療法により違いがあるか

 ベースラインのうつ病重症度は、認知行動療法(CBT)と抗うつ薬による薬物療法(ADM)間の重症度や治療反応率、寛解率の差に影響しないことが示された。オランダ・アムステルダム自由大学のErica S. Weitz氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。現行ガイドラインにおいて、重度のうつ病には薬物療法が推奨されているが、著者らは、「今回の結果は、外来患者にADMを推奨するにあたってベースラインの重症度のみでは、データが不十分であることを示している。他の薬物療法あるいは個々の抗うつ薬や入院患者にそのまま当てはめることはできないが、新しくかつ重大なエビデンスである」とまとめている。JAMA Psychiatry誌2015年11月1日号の掲載報告。 研究グループは、PubMed、PsycINFO、EMBASE、Cochrane Registry of Controlled Trialsを介して1966~2014年1月1日までの論文を検索し、DSMで定義された抑うつ障害患者を対象にCBTとADMを比較した無作為化臨床試験(RCT)を特定した。著者に1次データの提供を依頼し、欠損データは多重代入法を用いて補完し、研究レベルの差を調整した混合モデルを使用して治療効果の調整因子(ベースラインのうつ病重症度)を評価した。主要評価項目は、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)とベックうつ病評価尺度(BDI)であった。 主な結果は以下のとおり。・該当したRCT 24試験のうち1次データが得られた16試験(67%)、外来患者計1,700例(CBT群794例、ADM群906例)を解析に組み込んだ。・有効性は、HAM-DではADM群がCBT群より優れていたが(p=0.03)、BDIでは有意な傾向は認められず(p=0.08、傾向検定)、治療反応率(オッズ比[OR] 1.24、p=0.12)および寛解率(OR 1.18、p=0.22)も両群間で有意差はなかった。・混合効果モデルによる解析の結果、HAM-Dで評価した治療後のうつ症状改善効果に、CBT群とADM群との間でベースラインのうつ病重症度による差はないことが認められた(ベースラインのうつ病重症度と治療群との相互作用のp=0.96)。・BDIを用いた場合でも同様の結果であった。・ベースラインのうつ病重症度は、治療反応率(OR 0.99、p=0.77)および寛解率(OR 1.00、p=0.93)についても治療群間の違いに影響しなかった。関連医療ニュース これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか うつ病への呼吸リラクゼーション併用療法 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか  担当者へのご意見箱はこちら

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