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乾癬とうつ病はどう関連する?

 乾癬は、うつ病のリスク因子である。うつ病もまた、乾癬のトリガーや悪化要因となる可能性があるが、乾癬とうつ病との関係は、いまだ完全には明らかにされていない。そこで米国・ニューヨーク大学のCohen BE氏らでは、米国民における乾癬と大うつ病の関係性を調査した。JAMA Dermatology誌2016年1月号に掲載の報告。 本研究は2009~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者を対象とした集団ベース研究である。大うつ病の診断はPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いた。  主な結果は以下のとおり。・研究対象となった米国市民1万2,382人のうち、351例(2.8%)が乾癬、968例(7.8%)が大うつ病と診断された。・351例の乾癬患者のうち58例(16.5%)が大うつ病の診断基準を満たした。・乾癬の既往患者は、乾癬の既往がない患者と比較して平均PHQ-9スコアが有意に高かった(4.54 [5.7] vs.3.22 [4.3]、p<0.001)。・性別、年齢、人種、BMI、身体活動、喫煙歴、アルコール摂取、心筋梗塞(MI)の既往、脳梗塞の既往、糖尿病の既往の調整後においても、乾癬と大うつ病との間に有意な関連性があることが認められた(オッズ比[OR] 2.09 [95%CI:1.41~3.11]、p<0.001)。・乾癬の既往と心血管イベントの既往(とくにMIまたは脳梗塞)を有する患者との相互作用項を含む解析においては、相乗的な大うつ病のリスク上昇は示されなかった(乾癬とMI: OR 1.09 [95 % CI:0.28~3.60]、p=0.91;乾癬と脳卒中:OR 0.67 [95%CI:0.12~3.66]、p=0.63)。・多変量調整モデルにおける大うつ病のリスクは、限局型の乾癬と汎発型の乾癬の患者間で有意差は認められなかった(OR 0.66 [95%CI:0.18~2.44]、p=0.53)。 以上の結果より、自己申告に基づく乾癬の既往は、併存疾患による差の調整後においても、評価ツール(PHQ-9)による大うつ病の診断との間に独立した相関関係が認められた。ただし、心血管イベントの既往は乾癬患者の大うつ病リスクを増加させなかった。また、乾癬の重症度は、大うつ病のリスクとは無関係であった。したがって重症度に関係なく、乾癬を有するすべての患者は、大うつ病のリスクを有する可能性があると考えられる。

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精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント

 重篤な精神疾患患者において、雇用がその後の精神科入院にどのように影響するかは不明である。米国・デューク大学のAlison Luciano氏らは、重篤な精神疾患を有する失業中の患者を対象に雇用獲得後の精神科入院経験について検討を行った。Psychiatric services誌オンライン版2016年6月1日号の報告。 2次分析は、メンタルヘルス治療研究からのデータで行った。成人の統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者2,055例について、2年間の雇用状況と精神科入院アウトカムを調査した。雇用と精神科入院との関連について、time-lagged modelingを用い、マルチレベル回帰により分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性(以前の入院や自己申告による身体的健康を含む)で調整後、雇用は、その後3ヵ月間の精神科入院リスクの低さと関連していた(OR 0.65、95%CI:0.50~0.84)。・重篤な精神疾患を有する無職の外来患者では、雇用獲得後、精神科入院を経験する傾向が低かった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症の再発、リスク因子とその対策 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

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うつ病の寛解率、職業で差があるか

 うつ病は、仕事のストレスにより悪化し、職場における障害の主な原因である。有効な治療を行っても、最初の治療で寛解する患者は全体の3分の1に過ぎず、約半数は治療に反応しない。職業レベルは、一般集団における健康アウトカムの確かな予測因子であるといわれている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、大規模国際サンプルを用い、うつ病の治療反応と職業レベルの潜在的な関連について調査した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年5月19日号の報告。 うつ病患者654例を、職業レベル別に階層化した(高、中、低)。現在エピソードに対する直近の治療反応や治療抵抗性うつ病(2つ以上の適切な治療に対し非応答)は、アウトカム変数で考慮された。 主な結果は以下のとおり。・高職業レベルのうつ病患者は、学業成績のレベルが高かった。・高職業レベルは、低寛解率であった直近の治療に対する反応が有意に低く、その他の職業レベル群よりも治療抵抗性が多かった。・また、高職業レベルは、セロトニン再取り込み阻害薬による治療が少なかった。・潜在的な交絡因子は、主効果に影響を及ぼさなかった。 結果を踏まえ、著者らは「本知見により、高職業レベルの仕事に従事する患者は、うつ病の薬物療法に対する治療反応不良の危険因子であることが示された。臨床医や患者だけでなく雇用者や公共政策のためにも、今後のさらなる研究が重要である」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 重症うつ病の寛解率、治療法により違いがあるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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ビタミンDで抗精神病薬誘発性高血糖が低減か:京都大学

 非定型抗精神病薬は、高血糖リスク増加と関連しているため、臨床使用が制限される。京都大学の長島 卓也氏らは、抗精神病薬誘発性高血糖の根本的な分子メカニズムについて検討を行った。Scientific reports誌2016年5月20日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・FAERS(FDA Adverse Event Reporting System)データベースにおける薬剤の組み合わせを検索したところ、非定型抗精神病薬の高血糖リスクを低減した併用薬として、ビタミンD類似体との組み合わせが、クエチアピン誘発性糖尿病関連有害事象の発生を有意に減少させることが示された。・マウスを用いた実験検証では、クエチアピンは急性インスリン抵抗性を引き起こすことが認められ、これは、コレカルシフェロールの食事補充により軽減された。・シグナル伝達経路や遺伝子発現に関連するデータベース解析では、インスリン受容体の下流で働く重要な遺伝子であるPik3r1のクエチアピン誘発性のダウンレギュレーションを予測した。・PI3Kシグナル伝達経路に焦点を当て、Pik3r1 mRNAの発現低下は、骨格筋のコレカルシフェロール補充により逆転することが認められた。C2C12筋管へのインスリン刺激グルコースの取り込みは、クエチアピン存在下で阻害され、これは、PI3K依存的に付随するカルシトリオールにより逆転した。 結果を踏まえ、著者らは「ビタミンDの同時投与は、PI3K機能のアップレギュレーションにより、抗精神病薬誘発性高血糖およびインスリン抵抗性を防ぐことが示唆された」としている。関連医療ニュース オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体

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感情変動は食事にどの程度影響するのか

 感情のシグナルに反応しての食物摂取は、不健康な食事の摂取と関連しているといわれている。米国・セント・ボナベンチャー大学のGregory J Privitera氏らは、肥満やうつ病において、低/高カロリー食品を選択できるビュッフェスタイルを利用した場合に、食物摂取に差を生じるかを検討した。Journal of health psychology誌オンライン版2016年5月20日号の報告。 カウンターバランス・デザインを用いて、参加者154人をうつ病と肥満のカテゴリにグループ化した。そのうえで、1日目に悲しい話(vignette)を、日を改めてニュートラルな話を読ませ、満腹になるまでビュッフェで食事を行った。食物摂取量(グラム、カロリー)と食物選択(高/低カロリー食品の選択数)を記録した。 主な結果は以下のとおり。・肥満やうつ病の参加者は、楽しい話と比較して悲しい話の際に、エネルギー摂取量が有意に多く、これは高カロリー食品の摂取量増加によるところが大きかった。・本結果は、感情的な食行動に関する最近の理論を裏付けており、ビュッフェスタイルにおけるこのような影響の生物学的妥当性を拡大させるものと考えられる。関連医療ニュース うつ病患者で重要な食事指導のポイント 抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

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パブコメ募集「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」

 日本老年精神医学会(理事長:新井 平伊氏、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学 教授)は6月8日、都内で開いたプレスセミナーにおいて、「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の改訂に当たり、2回目のパブリックコメントの募集を行うと発表した。コメントは学会ホームページ上で受け付けており、募集期間は6月13日午後~27日(最終日は17時まで)となっている。 今回、第2版として改訂される本ガイドラインは、2015(平成27)年度厚生労働科学特別研究事業として、日本老年精神医学会のほか、日本認知症学会、日本神経精神薬理学会、日本神経治療学会、日本認知症ケア学会、日本神経学会の会員で構成する研究班が作成したもの。2012年に初版が作成されたが、先の研究事業において、かかりつけ医500人に対して行った調査によると、本ガイドラインを参考にしている医師は約10%にとどまっていた。さらに、薬剤の使用に当たって、患者家族に同意を得ている医師は28%と低い数字であることも明らかになった。これを受けて今回は、実臨床でBPSDに対して使用される向精神薬について、その有効性と副作用について明確に記載するなどの改訂が中心となった。 第2版の作成に当たっては、改訂事項を盛り込んだドラフトに対して今年4~5月に関係6学会のホームページでパブリックコメントを募集。2回目となる今回のパブリックコメントでは、その際に寄せられた約90件の質問やコメント、それに対する研究班の見解を掲示版方式で公開し、さらなるコメントを募集する。 このたびのガイドライン改訂について、研究班の班長を務めた新井氏は、「興奮性BPSDに対しては、抗精神病薬を使わざるを得ない場合もあるが、これまでに日本人の研究データはなく、EBMだけでは片付けられない問題もある。こうした中、実臨床でかかりつけ医が抗精神病薬を処方する際の医療安全面におけるよりどころとなるような、安全性の高いガイドラインを作成したい」と述べた。パブリックコメントの募集告知はこちら

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統合失調症、双極性障害患者のレジリエンスに影響する因子:慶應義塾大学

 レジリエンスの概念は、統合失調症や双極性障害の不均一なアウトカムを理解するうえで妥当である。しかし、これら患者集団におけるレジリエンスの臨床的、生物学的相関は、ほとんど研究されていない。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、総合的な評価を用いて、これらの患者における主観的レジリエンスの主要な相関関係を特定し、レジリエンスレベルと末梢血中のバイオマーカーとの関連について横断研究を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月13日号の報告。 対象は、DSM-IVで統合失調症、双極性障害と診断された患者180例および健康成人(対照群)各グループ60例。人口統計学的および臨床的変数は、面接および種々の心理測定尺度により評価した。さらに、脳由来神経栄養因子(BDNF)、副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾール、高感度CRP、α-アミラーゼレベルを血液と唾液のサンプルより評価した。レジリエンスとの横断的関連性は、25項目レジリエンス尺度により評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・レジリエンス尺度の総スコアは、対照者(130.1、95%CI:124.8~135.4)において、統合失調症患者(109.9、95%CI:104.6~115.2、p<0.001)および双極性障害患者(119.0、95%CI:113.8~124.3、p=0.012)と比較し、有意に高かった。また、両患者群において、有意な差は認められなかった(p=0.055)。・3群すべてにおいて、自尊心、精神性、QOL、絶望感がレジリエンスと相関していた。・また、内在的スティグマとうつ症状は、統合失調症患者および双極性障害患者において関連する因子であった。・レジリエンスレベルと末梢血中のバイオマーカーとの関連性は有意性に達しなかった。 結果を踏まえ、著者らは「因果関係は前向き研究で確認する必要があるが、本結果は統合失調症および双極性障害患者のレジリエンスを高めるための心理社会的介入の開発に影響を与える。これら集団におけるレジリエンスの生物学的相関関係については、さらなる調査が必要である」としている。関連医療ニュース 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能 統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か

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統合失調症患者の過体重、アジア諸国の調査

 アジア諸国の統合失調症患者における過体重の割合や人口統計学および臨床的相関を、中国・マカオ大学のFei Wang氏らが調査した。International journal of clinical pharmacology and therapeutics誌2016年6月号の報告。 東アジアにおける向精神薬の国際共同処方調査であるREAP (psychotropic prescription patterns)のデータベースより、9つのアジア諸国と地域における統合失調症入院患者1,534例のデータを収集し、1ヵ月間の臨床面接により補完した医療ファイルによりレビューした。患者の社会人口統計学、臨床的特徴、向精神薬処方、BMIを標準化プロトコルとデータ収集手順で登録した。分析では、過体重をBMI 25以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・過体重率は、全体で35.8%(549/1,534例)、女性で39.7%(224/564例)、男性で33.5%(325/970例)(p=0.01)であり、各国間でばらつきがあった。・試験地で調整後の多重ロジスティック回帰分析では、過体重は気分安定薬の頻繁な使用(p<0.001、OR 1.4、95%CI:1.1~1.8)、罹患期間の長さ(p<0.001、OR 1.6、95%CI:1.2~2.1)と独立して関連していたが、この傾向は男性患者ではみられなかった(p=0.003、OR:0.7、95%CI:0.5~0.8)。 結果を踏まえ、著者らは「アジアの統合失調症患者の過体重率は、欧米諸国で報告されているよりも、有意に低かった。そして、アジア諸国・地域の中でも有病率にはばらつきがある」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

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父親の産後うつ病、日本での有病率は

 父親の産後うつ病は、自身のメンタルヘルスやウェルビーイングだけでなく、妻子にも影響を与える可能性がある。津田塾大学の須藤 茉衣子氏らは、父親の産後うつ病の発症ポイントと期間および妊娠中に測定された要因との関連を、愛知県西尾市における地域縦断研究(2012年12月1日~2013年4月30日)により調査した。Research in nursing & health誌オンライン版2016年5月22日号の報告。 妊娠中に1回、産後3ヵ月間に5回のデータを収集した。父親のうつ病を評価するためエジンバラ産後うつ病自己評価票を用いた。人口統計学的、心理社会学的要因のデータは、妊娠中に収集した。 主な結果は以下のとおり。・産後5回の評価データのうち少なくとも1回は収集可能であった父親215人中、36人(17%)は、出生後の最初の3ヵ月間においてうつ症状を報告した。・ロジスティック回帰分析では、あらかじめ調査した人口統計学的および心理社会的特性のうち、精神科治療歴と妊娠中のうつ症状のみが父親の産後うつ病と関連していた。 著者らは、「本結果は、父親の産後うつ病の有病率に関するエビデンスに加わるものであり、妊娠中から父親の評価やサポートが重要であることが示された」としている。関連医療ニュース 産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 産後女性の精神症状軽減へ、ハーブティーの可能性

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治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

 低ビタミンDレベルは、統合失調症と関連しているが、ビタミンDレベルと疾患重症度や日光曝露量との関連はほとんどわかっていない。オランダ・High Care ClinicsのJan P A M Bogers氏らは、治療抵抗性の重度統合失調症患者とスタッフにおけるビタミンDレベルを比較し、ビタミンDレベルに対する日光曝露の影響を検討した。Nordic journal of psychiatry誌2016年5月号の報告。 ビタミンDレベルは、治療抵抗性統合失調症患者において4月に測定し、患者とスタッフにおいて6月の非常に晴れた春の日に測定した。4月と6月のビタミンDレベルを患者で比較し、6月のビタミンDレベルを患者とスタッフで比較した。日照の影響を検討するに当たり、患者が日中屋外で過ごした時間とビタミンD合成に推奨される最小時間との比較、および患者とスタッフにおける屋外で過ごした時間の比較を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、ビタミンD欠乏症を高率で有し(79~90%)、スタッフと比較しビタミンDレベルが低かった(p<0.001)。皮膚の色素沈着とは独立していた。・患者において、皮膚への日光曝露時間は推奨時間よりかなり長く(p<0.001)、またスタッフよりも曝露時間が長いにもかかわらず(p=0.003)、ビタミンDレベルは正常値ではなかった。 結果を踏まえ、著者らは「治療抵抗性統合失調症患者のビタミンD欠乏症は、顕著であり、皮膚の色素沈着の違いや非活動性、病棟での屋内型ライフスタイルでは説明できない。さらに、患者の十分な日光曝露でも、ビタミンDレベルは改善しない」とし、「おそらくビタミンD欠乏症は、健康状態に関与しており、それが統合失調症の病態である。注目すべきは、著しく晴れた春の日光曝露でも、患者のビタミンD欠乏症を改善するには十分でなかった点である。そのため、統合失調症ではビタミンDレベルを測定し、適切に保つことが求められる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C

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妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は

 SSRIは、世界中で最も一般的に処方される抗うつ薬である。しかし、うつ病をとくに発症しやすい期間である妊娠中のSSRI使用は、過去数十年に胎児の成長といった安全性の面で患者や医療者における大きな懸念点となっている。カナダ・BC Women's Hospital and Health CentreのSura Alwan氏らは、妊娠中のSSRI使用に関するレビューを行った。CNS drugs誌オンライン版2016年5月2日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・妊娠中のSSRI曝露は、流産、早産、新生児合併症、先天異常(とくに先天性心疾患)、小児期における神経発達障害(とくに自閉症スペクトラム障害)と関連している。・個々のSSRIの効果に関する研究では、妊娠中のfluoxetineやパロキセチン使用は、先天異常リスクは小さいけれども高いことが示されている。絶対リスクは小さいが、一部の患者にとって懸念となるかもしれない。・また、出産前のうつ病は、それ自体が好ましくない周産期アウトカムと関連しており、妊娠中に抗うつ薬を中止すると、うつ病再発の高リスクと関連する。・観察された胎児への好ましくない影響が、母親の薬物使用や基礎疾患と関連しているかを判断するのはいまだ困難である。・SSRIや同様の治療を受けているすべての妊婦に対し、母親と子供の両方にとっての未治療リスクと治療リスクを慎重に検討し、治療することが重要である。・サーベイランスやタイムリーな介入のために、有害アウトカム発生の高リスクを認識することが重要である。そのため、妊婦に対しては、妊娠初期に任意のSSRIを使用する場合は、超音波検査や胎児心エコー検査により先天異常を検出する出生前診断のオプションを用いることが推奨される。・妊娠初期には、漸減や他の治療法への切り替えなど、ケースバイケースで検討する必要がある。関連医療ニュース 妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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抗精神病薬の血漿中濃度とEPS発現

 抗精神病薬は、錐体外路系副作用(EPS)など、さまざまな望ましくない運動反応を誘発することがある。広く認識されているEPSの根底にある薬理学的メカニズムとして、線条体のD2受容体占有率がある。しかし、EPSの薬物動態の背景についてはわかっていない。ドイツ・アーヘン工科大学のGeorgios Schoretsanitis氏らは、リスペリドン(RIS)を処方され、EPSのためにビペリデンを用いた患者の薬物動態パターンをin vivoで分析した。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年5月10日号の報告。 大規模治療薬物モニタリングデータベースより、成人入院外来患者2,293例のRISおよび代謝物9-ヒドロキシリスペリドン(9-OH-RIS)の血漿濃度を分析した。RIS単独群772例とビペリデン併用群68例の比較を行った。血漿濃度、RISおよび9-OH-RISの用量調節血漿濃度(C/D)、と活性部分(AM)[RIS+9-OH-RIS]、同様に濃度比(9-OH-RIS/RIS)を算出した。EPSの間接的な報告とし、ビペリデン処方を考慮した2群間の異なる化合物の血漿中濃度比を比較した。 主な結果は以下のとおり。・RISの1日投与量に2群間で差はなかった。・血漿濃度およびRIS、代謝物のC/Dは、2群間で差は認められなかった。・しかし、AMの血漿中濃度は、ビペリデン併用群で有意に高く(p=0.032)、活性代謝物の9-OH-RISにおいて、高い傾向が示された(p=0.053)。・EPS治療のためにビペリデンを投与した患者において、リスペリドンのAM血漿中濃度を高めることが示唆された。・AMの高い血漿中濃度と治療が必要なEPSとの関連性が認められた。関連医療ニュース 統合失調症患者のEPSと認知機能の関連は 統合失調症患者の副作用認識状況は:さわ病院 抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析

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統合失調症患者への抗精神病薬と気分安定薬併用、注意すべきポイントは

 統合失調症患者は心血管疾患リスクが高く、全死亡率は一般集団と比較して高い。抗精神病薬の代謝系副作用は広く研究されているが、抗精神病薬にリチウムやバルプロ酸など従来の気分安定薬を併用した場合の、代謝系リスクへの影響という観点からの評価はない。米国・マサチューセッツ総合病院のBrenda Vincenzi氏らは、第2世代抗精神病薬とリチウムまたはバルプロ酸との併用治療が、併用しない場合と比較し、代謝アウトカムの不良と関連しているかを検討した。Journal of psychiatric practice誌2016年5月号の報告。 3件の研究からのベースラインデータ、BMI、胴囲、空腹時血糖、インスリン、HOMA-IR(ホメオスタシスモデル評価によるインスリン抵抗性指数)、インスリン感受性指数、グルコース消費、グルコースへの急性インスリン反応に関する測定データを用い分析を行った。主な結果は以下のとおり。・リチウムまたはバルプロ酸の併用は、併用しない場合と比較して、空腹時血糖、空腹時インスリン、HOMA-IRの差は認められなかった。・インスリン感受性は、リチウムまたはバルプロ酸併用患者で低かった。・リチウムまたはバルプロ酸を併用している患者では、従来の気分安定薬を併用していない患者と比較し、BMIが高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「第2世代抗精神病薬とリチウムまたはバルプロ酸を併用している患者では、インスリン感受性やBMIをモニタリングすることが有益である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度 オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか

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統合失調症へのSSRI投与の必要性は?

 統合失調症の精神病理的な治療(たとえば、陰性症状やうつ症状)は、いまだに非定型抗精神病薬のわずかな有効性により行われている。臨床現場では、統合失調症の陰性症状やうつ症状を改善するために、抗精神病薬とSSRIの併用が行われているが、陰性症状、うつ症状、強迫症状に対する有効性のデータは対照的である。イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、統合失調症に対するSSRIの使用および有効性の概要を得るため、メインデータベースを用いた検討を行った。Expert opinion on pharmacotherapy誌オンライン版2016年5月5日号の報告。 専門家の主な意見は以下のとおり。・決定的な根拠となるには、データが乏しかった。予備的な手法によると、統合失調症の抑うつ症状に対しSSRIは効果を示さないことが利用可能なデータで示唆された。・陰性症状については、研究は対照的であったが、SSRIの中ではパロキセチンが最も有効であると考えられる。・限られたデータではあるが、統合失調症の強迫症状に対しSSRI(とくにフルボキサミン)は、有効であると考えられる。・抗精神病薬と抗うつ薬を併用する場合には、潜在的に重篤な副作用や血漿薬物投与に及ぼす影響を、臨床的および薬理学的にモニタリングする必要がある。関連医療ニュース 統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか

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全般性不安症でよく見られる不眠、その関連因子は

 睡眠障害は、全般性不安症(GAD)の重要な診断基準の1つである。不眠症の有病率に関連する因子および不眠関連因子がQOLに及ぼす影響について、スペイン・Hospital General Universitario Gregorio MaranonのF Ferre Navarrete氏らは、多施設共同前向き横断観察研究にて検討を行った。Behavioral sleep medicine誌オンライン版2016年5月11日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・多変量解析の結果、不眠症(ISI 8以上)と最も関連する要因は、GADの重症度(OR:9.253[for severe GAD]、95%CI:1.914~44.730、p=0.006)、痛みの干渉(OR:1.018、95%CI:1.003~1.033、p=0.016)、うつ症状(OR:1.059、95%CI:1.019~1.101、p=0.004)であった。・不眠は、QOLとの関連が認められなかった。 本検討により、GAD患者において、不眠症は一般的によく見られる健康状態であり、不安の重症度やうつ症状、痛みの干渉と関連することが示唆された。関連医療ニュース 社交不安症に対するエスシタロプラムの効果は うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感! 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

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ネット時代のうつ病予防(解説:岡村 毅 氏)-535

 本論文は、抑うつ傾向が強いものの大うつ病を発症していない406例を対象としたRCTの報告である。介入群は、オンラインで行う疾病教育、行動療法、問題解決療法をベースにしたプログラムを受けたうえで、臨床心理士の指導を受けた院生などによるフィードバックを受ける。12ヵ月後の大うつ病の発症は対照群の41%に対して、介入群では27%であった。5.9例に介入することで1例の発症を予防したことになるとのこと。非常に効果があるうえに、情報化の進んだ現代においては実現可能性も高い新たな方法論であり、注目に値するだろう。 ただ、この論文の骨子は、ネットを使って新しいことをやってみましたというような表層的なものではない。 著者らも書いているが、発症して受診した患者さんに理想的な治療をしたとしても、疾病による負荷のうちのおよそ3分の1しか減らせないのである。注意して記載しなければならないが、受診せずに最悪の転帰を迎えるよりは受診したほうが良いのは当然としても、しっかり治療を受ければ必ず完全寛解するというような生易しいものではないことも事実である。スパッと治る人もいるが、苦しまれる方もいることは、真摯に患者さんに伴走したことがある者ならばよくわかるはずだ。 予防が重要であり、クリニックに来る前に、つまり発症前に、早期発見と早期介入で発症を回避することは、この領域の研究者の夢であった。しかし、多数の方相手に絨毯爆撃的な認知行動療法をするなんて現実的には無理である。情報技術の進歩により、それが可能になったのである。 以上は、ネット社会の恩恵の話であった。以下は愚痴になってしまうが、高齢者の臨床をしているとまだまだ情報技術の恩恵は少ない。 私の外来でも、・物盗られ妄想は認知症の症状であり意地悪ではないこと・認知症の根本治療薬はないこと・社会参加が重要であるが1人で美術館巡りをすることよりも、デイケアなどでいろいろな人と接するのがいいこと・認知症にならない魔法の食べ物はなく、普通にバランス良く食べるべきであること・介護保険は住民票のある自治体に申請することなどなどを、老老介護の方などにはいちいち説明することもある。これは事前に知っておいてほしいなあ、次の方も待ち時間が伸びてイライラしだしたしなあ、なんて思いながら。 あと30年もすると診察の前にA.I.の講話があり、そしてメモリーアシストアプリなどを持った高齢者の診察をしているんだろうか、と思う。あ、でもその頃は自分が高齢者か…。

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ネットで行う自助介入、うつ病発症抑制に効果/JAMA

 閾値下うつ病成人について、インターネットを活用した自助介入が、通常ケアの強化介入と比較して、大うつ病(MDD)の発症を有意に減少したことが、ドイツ・ロイファナ大学リューネブルクのClaudia Buntrock氏らが行った無作為化試験の結果、示された。MDDのエビデンスベース治療は、機能・健康アウトカムを十分には改善できない。そのためMDDを発症させない予防に注目が集まっており、研究グループは、Webベースの自助介入の有用性を評価する検討を行った。JAMA誌2016年5月3日号掲載の報告。ドイツの労働者を対象に無作為化試験 検討は2013年3月1日~2015年3月4日に行われた。被験者は、大規模な公的健康保険組織(雇用者-労働者共同で運営する保険組織など)を介して集めたドイツの一般市民で、閾値下うつ病(CES-Dスコア16以上、DSM-IV基準でMDDなしと判定)成人406例であった。 全被験者に対して、通常ケア(プライマリケアを受診)への受診制限を設けず、Webベースの自助介入(オンライントレーナーのサポートを受けながら認知行動および問題解決療法を行う:202例)を受ける(介入)群、またはWebベースの心理教育プログラム(204例)を受ける(対照)群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、追跡12ヵ月間における、対照群と比較した介入群のMDD発症までの期間とした。評価は、盲検化された診断評価者が、電話によるDSM-IVうつ病軸の構造化臨床インタビュー(Structured Clinical Interview for DSM-IV Axis Disorders)にて、6ヵ月、12ヵ月時点に行った。12ヵ月のMDD発症、介入群27%、対照群41% 無作為化された406例(平均年齢45歳、女性73.9%)のうち、335例(82%)が12ヵ月の電話フォローアップを完了した。 MDDが認められたのは、介入群55例(27%)に対し、対照群84例(41%)であった。ベースラインのうつ症状重症度調整後のCox回帰分析で求めた12ヵ月時点のハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.42~0.82、p=0.002)であった。 NNT(MDD新規発症1例を回避するために必要な治療数)は、5.9(95%CI:3.9~14.6)であった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、オンライントレーナーのサポートがなくても、うつ病の初発および再発に対する効果が同等に認められるかを調べる必要がある」とまとめている。

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統合失調症の再発、リスク因子とその対策

 統合失調症のマネジメントにおいて、再発は重要な問題の1つである。イタリア・ボローニャ大学のStefano Porcelli氏らは、統合失調症の再発と関連する臨床的因子の検討を行った。International journal of psychiatry in clinical practice誌2016年6月号の報告。 過去22年分の文献データを検討し、219件が抽出された。 主な結果は以下のとおり。・再発に関連する要因は、「薬物治療に関連する因子」「精神療法追加治療」「一般的なリスク因子」の3つに大別された。・全体として、維持療法の欠如と第1世代抗精神病薬治療は、再発の高リスクと関連していた。・心理療法の追加、とくに患者、親族に対する認知行動療法と心理教育は、再発率の減少において優れた有効性を示した。・一般的なリスク因子には、改善可能なもの(精神疾患の未治療期間、物質乱用など)と、そうでないもの(男性の性別、病前の機能レベルの低さ)があった。 結果を踏まえ、著者らは「リスク因子のいくつかの分類は、再発リスクとの関連性が証明されている。そのため、各患者の再発リスクを個別化するために日々の臨床現場でこれらリスク因子を注意深く評価し、高リスク患者においては標的治療を行うべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者の再発リスクを低下させるためには 統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加

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抗精神病薬ナイーブ統合失調症患者におけるプロラクチンレベルは

 ドパミンアンタゴニストの抗精神病薬の使用は、高プロラクチン血症と関連しているが、統合失調症および関連障害の抗精神病薬ナイーブ患者においてプロラクチン濃度の上昇がみられる。スペイン・オビエド大学のLeticia Gonzalez-Blanco氏らは、これら疾患の抗精神病薬ナイーブ患者におけるプロラクチンに関する研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年4月5日号の報告。 PubMed(Medline)、PsycInfo、Web of Scienceより、1950年以降の英語文献を検索した。統合失調症または関連障害の抗精神病薬ナイーブ患者および対照群の血中プロラクチンデータと男女それぞれの利用可能なデータを含む男性対象の研究7件(患者群:141例、対照群:191例)、女性対象の研究5件(患者群:67例、対照群:116例)が基準を満たした。データは、著者1名が論文から抽出し、独立した2名により検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均エフェクトサイズは、男性1.02(95%CI:0.77~1.26、p<0.001)、女性0.43(95%CI:0.11~0.76、p<0.01)であった。・年齢、喫煙、BMI、出版年、コルチゾールによるメタ回帰分析は、有意ではなかった。・Funnel plotを用いて評価したところ、出版バイアスの存在は示されなかった。 著者らは、「症例数が少なく限られた研究であったが、本メタ解析では、統合失調症および関連障害を有する抗精神病薬ナイーブ患者において、男女共にプロラクチンレベルが有意に上昇していることが示された。長期の高プロラクチン血症は、性機能不全や骨粗鬆症につながる可能性があり、抗精神病薬にはプロラクチン濃度をさらに上昇させるものもある」と結論付けた。抗精神病薬ナイーブ患者に対するドパミンアンタゴニストの抗精神病薬使用にあたっては、プロラクチンレベルに対し、とくに注意が必要であると考えられる。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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