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第32回 精神科領域の巡回看視義務の範囲は?

■今回のテーマのポイント1.精神科疾患で1番訴訟が多いのは統合失調症、次いでうつ病であり、ともに約1/3を占めている2.統合失調症に関する訴訟では、巡回・看視義務が主として争われている3.統合失調に関する訴訟は、器質的疾患に関する訴訟と比し、原告勝訴率が低いことが特徴である■事件のサマリ原告患者Xの遺族被告Y病院争点不当拘束、診療の不措置、注意義務違反などによる死亡の損害賠償責任結果原告敗訴事件の概要36歳女性(X)。平成7年5月頃より、幻聴、独語、空笑などが出現したため、Y病院に入院し、以後も、情動不安定で興奮状態になることがあり、平成13年までの間に計6回入院して治療を受けていました。平成15年10月14日、被告病院を受診した際、急に暴れだして錯乱状態に陥ったことから、医療保護入院となり、保護室において身体拘束を実施されて治療を受けることとなりました。Xは点滴加療を受けていたものの、状態は不安定で、興奮も見られたことから、Xに対する身体拘束は継続されていました。身体拘束中、Xに対しては、看護師による約30分おきの巡回が行われていました。同月26日午前1時30分ころに行われた巡回時には、特に異常は認められなかったのですが、午前1時52分ころに看護師が巡回した際、Xは心肺停止の状態で発見されました。直ちに蘇生措置がとられ、救急病院への転送がなされましたが、結局、1度も心拍が再開することなく、午前2時55分に死亡が確認されました。これに対しXの遺族は、不必要な身体拘束をしたこと、肺動脈血栓塞栓症に対する予防措置をとるべきであったこと、および、巡回観察義務違反などを理由にY病院に対し、8,425万円の損害賠償請求をしました。事件の判決「約30分おきに臨床的観察等を実施すべき義務の違反」について原告らは、被告病院の担当医師又は担当看護師において、Xに対し、約30分おきに臨床的観察等をすべき義務があったのに、これを怠り、25日午後8時ころのA医師による回診以降、臨床的観察を実施しなかった旨主張する。しかし、上記認定事実によれば、本件において、上記回診以降も約30分おきに臨床的観察は実施され、26日の午前0時30分ころ、午前1時ころ及び午前1時30分ころの観察では異常は発見されず、午前1時52分ころの観察で異常が発見されたと認められるから、約30分おきの臨床的観察が法的に義務づけられるとしても、被告病院の担当の医師又は看護師においてその義務に違反したとはいえない。なお、Xは呼吸停止状態で発見されたこと、別紙知見によれば、呼吸停止後に人工呼吸を開始した時間が2分後だと約90パーセントの救命率があるが、3分後だと75パーセント、5分後だと25パーセント、8分後にはほとんどゼロとなるとされていることを踏まえると、本件において30分おきの観察によってXの異常を救命可能な段階で発見できたと認めるに足りる証拠はないというべきであり、そうすると、30分おきの観察とXの救命との間に相当因果関係を認めることはできない。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年8月31日)ポイント解説■精神科疾患の訴訟の現状今回は精神科疾患です。精神科疾患で最も訴訟が多いのは、統合失調症、次いでうつ病となっており、2疾患ともに約1/3を占めています。また、その後は境界性人格障害、アルコール依存症などと続いています(表1)。画像を拡大する精神科疾患に関する訴訟の特徴として、患者が疾患により希死念慮や自殺企図を抱き、その結果、入院・外来治療中に自殺したといったケースが多く見られること、そして、平均年齢が若いことから請求額および認容額が高額となることが挙げられます。その一方で、被害妄想や好訴妄想といった疾患自身の症状から訴訟に到ることがあるため、代理人を介さない本人訴訟の割合が高く、その結果、原告勝訴率が低くなっています(表2)。画像を拡大する■統合失調症に関する訴訟統合失調症に関する訴訟において最も多く争点となるのは、巡回・看視義務であり、次いで、薬剤の説明義務、救命措置、救急搬送と続いています(表3)。統合失調症に関する訴訟では、その多くで入院患者が自殺ないし突然死したことを受けて生じているため、これらの争点が多くなっているのです。画像を拡大するしかし、巡回監視義務違反が争われた11事例中、義務違反が認められた事例は3件ありますが、平成14年以降は、1度も巡回看視義務違反は認められていません。それは、そもそも本判決において示されているように、いくら定期的に巡回看視を行ったとしても、それによって自殺や突然死を回避することができないためです。巡回看視義務が争われる類型の1つに「転倒、転落」がありますが、転倒、転落に関する判決においても、「過失があると認められるためには、過失として主張される行為を怠らねば結果を回避することができた可能性(結果回避可能性)が認められることが必要であるところ、転倒はその性質上突発的に発生するものであり、転倒のおそれのある者に常時付き添う以外にこれを防ぐことはできないことからすると、被控訴人の動静を把握できないという上記職員らの行為がなければ本件事故を回避できたものと認めることはできない。(中略)…よって、職員らに、被控訴人の動静の把握を怠ったことを内容とする過失があったということはできない」(福岡高判平成24年12月18日)と本判決と同様の論理構成によって棄却する判断がなされています。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年8月31日福岡高判平成24年12月18日:この判例については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか

 精神疾患患者に対する非定型抗精神病薬アリピプラゾールのアドヒアランスを測定、記録するため、デジタル医療システム(DMS)が開発された。DMSは、錠剤に埋め込まれた摂取可能なセンサ、ウェアラブルセンサ、安全なモバイルとクラウドベースのアプリケーションの3つのコンポーネントで構成されている。技術開発を導くためのマルチプルサブスタディにおけるDMSの技術的性能や安全性を急速に評価するため、米国の大塚ファーマシューティカル D&CのDeborah Profit氏らは、umbrella type study protocolを行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年7月5日号の報告。 2つの連続したサブスタディに、30人(2014年3~4月)と29人(2015年2~3月)の健康成人ボランティアが登録され、DMSによる摂取可能なセンサの検出精度、経口摂取とウェアラブルセンサやクラウドサーバによる摂取検出時間を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1件目のサブスタディで、ウェアラブルセンサとモバイルアプリケーションの初期バージョンを使用し、改善のための領域を特定した。・2件目のサブスタディで、コンポーネントのアップデートバージョンをテストし、全体の摂取検出率96.6%を達成した。・摂取検出時間の伝達平均待ち時間は、摂取からウェアラブルセンサ検出まで1.1~1.3分、ウェアラブルセンサ検出からサーバー検出まで6.2~10.3分であった。・伝達の半分は2分以内に完了し、90%が摂取後30分以内にスマートフォンに登録された。・重篤な有害事象、中止、臨床的に重要な検査値異常/バイタルサインの結果は報告されなかった。 結果を踏まえ、著者らは「DMSは、スマートフォンアプリケーションのバージョンを変更して実装し、ウェアラブルセンサは、高精度かつ許容可能な時間で錠剤の摂取を検知、報告する技術がある」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大

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抗精神病薬誘発性傾眠、薬剤間の違いは

 傾眠は、抗精神病薬の一般的な副作用の1つである。中国・Shanghai Hongkou District Mental Health CenterのFang Fang氏らは、統合失調症、躁病、双極性うつ病、双極性障害に対し抗精神病薬を処方された成人患者を対象としたプラセボまたは実薬対照無作為化二重盲検試験についてMEDLINE検索を行い、傾眠の副作用発現率を評価した。CNS drugs誌オンライン版2016年7月2日号の報告。 元文献より、傾眠の発現率を抽出し、精神状態別に各抗精神病薬の投与量に基づきプールした。その後、絶対リスクの増加(ARI)、抗精神病薬の相対的なNNHを推定し、精神状態別にプラセボまたは実薬(対照薬)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。●急性の統合失調症、双極性躁病、双極性うつ病における傾眠のARIは、以下に分類できた。・重度:クロザピン・中等度:オランザピン、ペルフェナジン、クエチアピン、リスペリドン、ziprasidone・軽度:アリピプラゾール、アセナピン、ハロペリドール、ルラシドン、パリペリドン、cariprazine●ブロナンセリン、brexpiprazole、クロルプロマジン、iloperidone、sertindole、ゾテピンによる傾眠リスクは、今後の調査が必要である。●傾眠の発現率は、いくつかの抗精神病薬において用量および投与期間と正の相関が認められた。●抗精神病薬自体を含む多くの要因(傾眠を測定する方法、患者集団、研究デザイン、投与スケジュール)が、抗精神病薬誘発性傾眠の発現率に影響を与える可能性がある。●抗精神病薬誘発性傾眠のメカニズムには、複数の要因がある可能性があり、ヒスタミン1受容体、α1受容体の遮断が重要な役割を担っていると考えられる。●抗精神病薬誘発性傾眠の管理のために、以下を行う必要がある。・睡眠衛生教育を行う・傾眠リスクの低い抗精神病薬を選択する・精神医学的診断に基づき低用量から開始し、ゆっくりと増量する・必要な場合、投与量を調整する・傾眠が起きやすい薬剤の併用を最小限とする●ほとんどの場合、傾眠は軽度~中等度であるため、抗精神病薬を中止する前に最低でも4週間は継続することが合理的である。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

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LAIを適切に使用するための5つのポイント

 最近のパリペリドンパルミチン酸エステルで治療された患者における心臓突然死(SCD)は、長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)の使用について議論を引き起こした。しかし、LAIとSCDとの関連は、十分に研究されていない。いしい記念病院の長嶺 敬彦氏は、LAIを適切に使用するために、LAIの市販直後調査結果のレビューを行った。International Medical Journal誌2016年6月号の報告。 LAIに関する市販直後調査の結果を確認し、D2受容体占有率を推定した。主な結果は以下のとおり。・2つの所見が確認された。 1)身体的リスクを有する患者へのLAI投与は、SCDを増加させる可能性が高い。 2)パリペリドンパルミチン酸エステルで治療された患者における4例のSCDは、心室性不整脈に起因することが疑われる。・パリペリドンパルミチン酸エステル150mg単回投与による推定D2受容体占有率は80%以上であった。・症状が不安定な患者に対しより高用量で投与した場合、重篤な身体的合併症のない患者でも、パリペリドンパルミチン酸エステルは、心室性不整脈のリスクを増加させる可能性がある。 結果を踏まえ著者は、臨床診療では以下の5点に注意し、LAIを使用することが重要であるとしている。 1)身体的合併症を有する患者では、非常に慎重に使用すること。 2)不必要な高用量での使用は避け、多剤併用患者に対しては非常に慎重に使用すること。 3)急性精神症状を有する患者へのLAI使用は避けること。 4)代謝機能不全や心血管疾患リスクの低い患者にLAIを選択すること。 5)定期的に体調をモニタリングし、ライフスタイルを向上させること。関連医療ニュース パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果 アリピプラゾール持続性注射剤を使いこなすために 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは

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心不全に合併する「うつ」に抗うつ薬SSRIは効くのか?(解説:絹川 弘一郎 氏)-571

コメント対象論文Angermann CE, et al. JAMA. 2016;315:2683-2693. MOOD-HFは、うつを合併する慢性心不全患者(左室駆出率<45%)における選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRIs)、escitalopramの有効性・安全性を検証した、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験である。これまで、うつ合併の慢性心不全患者に対するSSRIの効果を調べた研究は SADHART-CHFのみで、この試験ではセルトラリンのうつ症状改善効果は示されなかった。また、治療期間が12週間と短期であった。MOOD-HFは、うつを合併する心不全患者におけるSSRIの長期効果を検証したという点で新規性があり、結果が注目されていた研究である。 MOOD-HFの分析対象者は372例、escitalopram群およびプラセボ群の治療期間(中央値)はいずれも18ヵ月であった。両群間で主要評価項目の「死亡および入院」および副次評価項目の「うつ症状」に有意差は認められず、安全性を評価した指標についても差はなかった。本結果はSADHART-CHFの結果と一致する。 サブ解析では、プラセボに比して、escitalopramがうつ症状および主要評価項目であった「死亡・入院」を増加させる可能性が示唆された。さらに、高齢患者や重症な心不全患者・重度のうつ症状を有する患者・認知障害を有する患者では、escitalopramによって全死亡・入院のリスクが高まる傾向が示唆された。これらは、大変興味深い結果である。 海外と同様に、本邦のうつ合併の慢性心不全患者は少なくなく、心不全入院および死亡リスクも高い。また、うつを合併する患者では、服薬などのセルフケアのアドヒアランスが低いことがわかっている。このような結果を鑑みれば、うつ病を合併する心不全患者、とくに高齢患者や重度のうつ症状を有する患者、認知障害を有する患者に対しては、SSRIを用いた治療ではなく、カウンセリングやセルフケア支援、運動療法、認知行動療法、家族サポートなどを効果的に組み合わせたケア提供が有効であるかもしれない。一方で、心不全が重症であるほど、うつ症状の頻度が高くなることもわかっている。それゆえ、ケアのみならずエビデンスの確立された心不全治療薬の最適化は、うつ症状改善のためにも不可欠であろう。 言い換えると、心不全に合併する「うつ」はうつ病のそれと似て非なるもので、実は心不全の一症状である可能性が高い。

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自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

 多くの国において、最新で高品質なエビデンスを有する自殺予防戦略の開発が必要とされている。米国・コロンビア大学のGil Zalsman氏らは、2005年以降の自殺予防介入の有効性をアップデートした。The Lancet. Psychiatry誌2016年7月号の報告。 2005年1月1日~2014年12月31日に発表された研究を、自殺予防に関連する複数の用語を使用してPubMed、Cochrane Libraryより検索を行った。著者らは、公共および医師の教育、メディア戦略、スクリーニング、自殺手段へのアクセス制限、治療、インターネットまたはホットラインによるサポートの7つの介入について評価した。データより、自殺行動(自殺、自殺企図、自殺念慮)などの関心のある主要アウトカムと中間または副次的アウトカム(治療検討、個人リスクの同定、抗うつ薬の処方や使用率、専門医への紹介)を抽出した。13の欧州諸国の自殺予防の専門家18人により、文献をレビューし、オックスフォード基準を用いて、エビデンスの質を評価した。集団の異質性および方法論のため、本分析においてはメタ分析は許容されず、ナラティブ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,797報の研究が抽出された。そのうち、システマティックレビュー23報、メタアナリシス12報、無作為化比較試験(RCT)40報、コホート研究67報、環境調査または集団ベース調査22報が含まれた。・自殺予防のための、致死的な自殺手段へのアクセス制限は、2005年以降強化されていた。とくに、鎮痛薬の制御に関しては43%の減少、飛び降り自殺のホットスポットは86%(79%~91%)減少していた。・学校ベースの認識プログラムは、自殺企図(OR:0.45、95%CI:0.24~0.85、p=0.014)、自殺念慮(OR:0.5、95%CI:0.27~0.92、p=0.025)を低減させることが示唆された。・クロザピンとリチウムの抗自殺効果が認められているが、これまで考えられていたよりもその効果は低い可能性がある。・うつ病に対する効果的な薬理学的および心理的な治療は、自殺予防に重要である。・プライマリケア、一般的な公共教育、メディアガイドラインにおけるスクリーニングの自殺予防に対する効果を評価するためのエビデンスは不十分であった。・ゲートキーパーのトレーニング、医師の教育、インターネットおよびヘルプラインサポートを含む他のアプローチについては、さらなる調査が必要とされる。・予防的介入の評価において、RCTの不足が主要な制限因子であった。 結果を踏まえ、著者らは「効果的な自殺予防の取り組みの探求は、単一の戦略では明らかにすることが難しい。個人レベルと集団レベルでの科学的根拠に基づいた戦略の組み合わせは、しっかりとした研究デザインで評価すべきである」としている。関連医療ニュース 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 自殺と不眠は関連があるのか 自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係

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抗精神病薬の過量投与は減少しているのか

 薬物中毒の罹患率や死亡率は、30年間減少している。これは、より安全な薬が開発され、過量投与に対するより良いアウトカムが得られたことによる。オーストラリア・Calvary Mater NewcastleのIngrid Berling氏らは、26年間にわたり抗精神病薬の処方変更と過量投与の変化との関連を検討した。British journal of clinical pharmacology誌2016年7月号の報告。 1987~2012年のtertiary referral toxicology unitが発表したすべての抗精神病薬中毒を検討した。人口統計、薬物摂取情報、臨床効果、合併症、治療に関するデータをプロスペクティブに収集した。オーストラリアにおける抗精神病薬の使用率は、1990~2011年のオーストラリア政府出版物から収集し、郵便番号で過量投与入院とリンクさせた。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の過量投与は3,180件(第1世代抗精神病薬1,235件、第2世代[非定型]抗精神病薬1,695件、リチウム250件)であった。・26年間で、抗精神病薬の過量投与は1.8倍に増加した。第1世代抗精神病薬はピーク時より5分の1に減少し(80件/年~16件/年)、第2世代抗精神病薬は2倍に増加した(160件/年)。そのうち、オランザピンとクエチアピンが78%を占めていた。・すべての抗精神病薬過量投与において、ICU滞在時間中央値18.6時間、ICU入院15.7%、人工呼吸10.4%、院内死亡0.13%であり、第1世代、第2世代抗精神病薬ともに同様であった。・同期間の抗精神病薬処方は2.3倍に増加していた。第1世代抗精神病薬が減少する一方、第2世代抗精神病薬は急激に上昇した(主にオランザピン、クエチアピン、リスペリドンで79%)。 結果を踏まえ、著者らは「26年にわたる抗精神病薬処方の増加は、過量投与の増加と関連付けられる。抗精神病薬の種類は変更されているが、過量投与は増加しており、罹患率や死亡率は同じままである」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は 統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上

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てんかん患者の性的問題の現状

 てんかん患者において、性機能不全は重大な問題であるが、しばしば軽視されている。ノルウェー・オスロ大学病院のOliver J Henning氏らは、てんかん患者の性的問題の有病率やタイプを調査し、一般集団の代表的なサンプルより得られた同様のデータとの比較を行った。Epilepsy & behavior誌オンライン版2016年6月29日号の報告。 対象は、ノルウェーてんかん国立センターの成人てんかん入院および外来患者227例。そのうち171例が、神経科医からのてんかんと性的特質に関するアンケート調査に回答した(回答率:75.3%)。ノルウェーの成人594例から得た同様なアンケート結果データと比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・てんかん患者における性的問題の有病率は、対照群と比較し有意に高かった(女性:75.3%対12.0%、男性:63.3%対9.6%)。・患者の30%超で報告された最も一般的な問題は、性欲の減少、オーガズムの問題、勃起の問題、膣の乾燥であった。・患者からは、性機能に関する多くの不満足感が報告された。・有意に多い性的問題は、QOLが低下した男女両方とうつ症状のある女性で認められた。・性的問題と、てんかん発症年齢、てんかんのタイプ、酵素誘導作用のある抗てんかん薬の使用との有意な関連は認められなかった。・性的初体験の年齢は、てんかん患者と一般集団で差はなかったが、てんかん男性は直近12ヵ月間でパートナーの人数がより少なかった。また、てんかん女性は、性交頻度が低かった。 著者らは「結論として、ノルウェーのてんかん患者の性的な問題は、一般集団よりも有意に多かった。てんかんタイプや治療から、特定の要因を同定することはできず、器質的および心理社会的な要因を含む複数の要因が関連している可能性が高いと考えられる」としている。関連医療ニュース てんかん患者の携帯電話使用、発作への影響は てんかん重積状態に対するアプローチは うつ病と性行為感染症リスク、その関連を検証

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統合失調症患者、そもそもプロラクチン値が高い

 ドパミン受容体遮断の副作用である高プロラクチン血症は、統合失調症や他の精神病性障害患者において一般的であり、無月経、乳汁漏出、性腺機能低下、低受胎、骨粗鬆症につながる可能性がある。ギリシャ・イオアニナ大学のPetros Petrikis氏らは、統合失調症および他の精神病性患者において、抗精神病薬治療開始前に高プロラクチン血症が発症するかを検討した。International journal of psychiatry in clinical practice誌2016年9月号(オンライン版2016年6月23日号)の報告。 対象は、新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者群40例と年齢性別をマッチさせた健康成人群40例。血清プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン(T3)フリーテトラヨードサイロニン(FT4)、コルチゾールレベルが測定された。 主な結果は以下のとおり。・中央プロラクチン値は、患者群で12.5ng/ml(範囲:2~38 ng/ml)、健康成人群で8.6ng/ml(範囲:4~17.6 ng/ml)であった(p=0.011)。・患者群(平均:1.08ng/ml、SD:0.16)は、健康成人群(平均:1.18ng/ml、SD:0.18)と比較しT3レベルが低かった(p=0.008)。・血清TSH、FT4、コルチゾールレベルは、両群間で差はなかった。・重回帰分析によると、血清プロラクチン値の差は、甲状腺機能(TSH、FT4、T3)や血清コルチゾールレベルと関連していないことが明らかとなった。 ・新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者において、健康成人と比較し、抗精神病薬開始前でも高血清プロラクチンレベルが認められた。関連医療ニュース 各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較 抗精神病薬ナイーブ統合失調症患者におけるプロラクチンレベルは リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法

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非定型抗精神病薬は治療中止率を改善させているのか

 統合失調症患者における抗精神病薬単独療法を中止するまでの期間について、イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、36ヵ月のフォローアップ研究により比較検討を行った。Human psychopharmacology誌2016年7月号(オンライン版2016年6月13日号)の報告。 対象は、ミラノ大学とオランダ・ユトレヒト大学の精神科外来において抗精神病薬単独療法でフォローアップされた統合失調症患者220例。36ヵ月のフォローアップ期間の生存分析(Kaplan-Meier)は、単一治療群と比較した。エンドポイントは、再発、副作用、ノンコンプライアンスによる治療中止とした。 主な結果は以下のとおり。・ハロペリドール治療群は、他の治療群と比較し中止率が高かった(リスペリドン:p<0.001、オランザピン:p<0.001、クエチアピン:p=0.002、クロザピン:p<0.001、アリピプラゾール:p=0.002)。・有効性の欠如による再発が、オランザピン群よりもハロペリドール群で、より高頻度な理由であった(p<0.05)。・錐体外路系副作用(EPS)は、オランザピン群よりもハロペリドール群で、より高頻度であった(p<0.05)。・オランザピン群は、他の治療群よりも体重増加がより高頻度であったが、統計学的な有意差は認められなかった。 著者らは「非定型抗精神病薬治療群は、ハロペリドール治療群よりも、より長く薬物療法が継続できると思われる。また、非定型抗精神病薬は、ハロペリドールよりも再発に対し保護的であると考えられる。しかし、これらの結果は、潜在的な交絡因子に照らし合わせて慎重に解釈すべきである」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬の変更は何週目が適切か 統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か 抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい

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日本人うつ病患者、抗うつ薬維持量に影響する因子:静岡県立大

 うつ病の再発を防ぐためには、急性期の抑うつ症状を効果的に抑制する用量の抗うつ薬で、6ヵ月以上治療を継続するのが理想的である。しかし、治療反応を得たり維持するための抗うつ薬の用量は、個人間で異なる。静岡県立大学の井上 和幸氏らは、日本人うつ病患者を対象に維持期の抗うつ薬投与量における遺伝子多型を含む臨床的特徴の役割を調査した。Biological & pharmaceutical bulletin誌オンライン版2016年6月17日号の報告。 対象は、日本人うつ病患者82例。抗うつ薬の用量はイミプラミン換算を用いて計算し、併用した抗不安薬や催眠薬の用量はジアゼパム換算を用いて計算した。対象患者82例は、イミプラミン換算の中央値に基づき2群に割り付け、抗うつ薬の維持用量における患者特性の影響、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子多型(rs6265)およびCREB1遺伝子多型(rs2253306、rs4675690、rs769963)の存在について調べた。 主な結果は以下のとおり。・多変量ロジスティック回帰分析では、併用薬のジアゼパム換算量とCREB1 rs4675690は、抗うつ薬の維持量と有意に関連していることが示された。・日本人うつ病患者の維持期における抗うつ薬投与量に対し、これらの要因が影響を与えると考えられるが、さらなる大規模コホート研究が必要とされる。関連医療ニュース 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

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日本食は認知症予防によい:東北大

 日本食は、認知症発症の予防効果を有すると推測されているが、この課題を検討した報告はまだない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、前向きコホート研究により、日本人高齢者を対象に、食事パターンと認知症発症との関連を検討した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年6月29日号の報告。 自治体ベースのコホート研究(大崎コホート研究)に参加した、65歳以上の高齢者1万4,402人を5.7年間フォローアップしたデータを分析した。食物摂取頻度調査票を用いて、39の食品および飲料の消費に関する主成分分析を行い、食事を日本食パターン、動物性食品パターン、高乳製品パターンの3種類に分類した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより収集した。 主な結果は以下のとおり。・7万1,043人年のフォローアップ中、認知症発症率は9.0%であった。・日本食パターンのスコアは、認知症発症リスクの低さと関連が認められた(最高四分位 vs.最低四分位;HR:0.80、95%CI:0.66~0.97、p=0.016)。・動物性食品パターンおよび高乳製品パターンでは、認知症発症との有意な関連は認められなかった。関連医療ニュース 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは 認知症によいサプリメント、その効果は 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

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統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響

 気候変動の重要な指標である気温の日較差(DTR)は、健康に対する気温変動性の影響を評価するために使用されることが増えている。しかし、統合失調症に対するDTRの影響は、あまりわかっていない。中国・安徽医科大学のDesheng Zhao氏らは、DTRと統合失調症の入院との関連、さらに患者特性や試験期間によりこれらの関連が変化するかを検討した。The Science of the total environment誌オンライン版2016年6月16日号の報告。 2005~14年の中国・合肥市の毎日のDTRと統合失調症のデータを、長期的および季節的傾向、平均気温、相対湿度、その他の交絡因子で調整した後、ポアソン一般化線形回帰と分散型ラグ非線形モデル(DLNM)を組み合わせて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、非常に大きいDTRによる急性の悪影響が観察された。非常に高いDTR後には、統合失調症の1日の入院率が2.7%増加した(95%CI:1.007~1.047、95パーセンタイル vs.50パーセンタイル)。・大きなDTR曝露による統合失調症発症リスクは、最初の5年間(2005~09年)から次の5年間(2010~14年)にかけて増加した。・15~29歳および50~64歳、男性、春または秋生まれ、既婚の統合失調症患者は、DTRの影響に対し、とくに脆弱であると考えられる。しかし、中程度に大きいDTR(75パーセンタイル)と統合失調症との間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、非常に大きいDTRは、中国・合肥市の統合失調症患者の入院における潜在的なトリガーであることが示唆された。関連医療ニュース 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 精神科再入院を減少させるポイントとは 統合失調症の再入院や救急受診を減らすには

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抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。 著者らは、うつ病患者におけるZ薬の無作為化プラセボ/抗うつ薬単独対照試験を抽出した。有効性と安全性の主要評価項目は、それぞれ寛解率と全原因による中止とした。副次評価項目は、反応率、HAMD合計スコアの改善、無効および有害事象による中止、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、NNT/NNH、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・6件が抽出された。 SSRI+ベンラファキシン(平均期間:10.5週、平均年齢:44.4±11.8歳):2,089例 エスゾピクロン+抗うつ薬:642例 プラセボ+抗うつ薬:930例 抗うつ薬単独:112例 ゾルピデム+抗うつ薬:405例・寛解率について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬よりも優れていた(RR:0.85、NNT:10)。・HAMDスコアの改善について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独よりも優れていたものの(SMD:-0.23)、反応率、無効による中止率に有意な群間差はみられなかった。・全原因による中止率に群間差はみられなかった。・有害事象による中止率に群間差はみられなかったが、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、1件以上の有害事象発生(RR:1.09、NNH:20)、めまい(RR:1.76、NNH:25)の発生率の高さとの関連が認められた。 著者らは「Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、うつ病治療の有効性の改善が期待できるが、有害事象、とくにめまいへの密なモニタリングが必要である」としている。関連医療ニュース 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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未成年に抗うつ薬は処方すべきか~長い論争の果てに(解説:岡村 毅 氏)-562

 若年者のうつに対して抗うつ薬を使用すべきかどうかという、長い長い論争(と膨大な文献)における、最新の報告である。端的には、fluoxetine以外の抗うつ薬は、有効性を明確に示せなかったということが報告されているが、論争は続くだろう。 fluoxetineのみが有効性を示した事に関してであるが、言うまでもなく、そもそも本邦では承認されていない。加えて、性格を明るくするハッピードラッグなどと言われたり、“Prozac Nation”などという有名な本もあり、米国文明批評をする言説の標的となっている感もあり、なんともコメントしづらい。いや、臨床医としては、自分が処方したことがない以上、この薬剤についてコメントしてはならないだろう。 なお、fluoxetineは、FDAが未成年への使用を承認した唯一の抗うつ薬であり、したがって、本論文でも圧倒的に多くの報告が組み込まれている。このことは、結果にどのような影響を与えているのだろうか。 誤解のないように付記するが、もともと若年者には抗うつ薬が初めから処方されることはなく、2004年のFDA警告(子供の自殺リスクを増やす可能性、ただし、いまだに論争あり)を踏まえれば、むしろ処方しないに越したことはなく、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトでも、まず心理療法(認知行動療法や対人関係療法)がなされるべきだと明記している。しかし、それでも症状が改善しない場合にどうするか。未成年においてもさまざまな報告がある以上、本論文のようなメタアナリシスの重要性を否定するつもりはないが、社会的要因(恵まれた家庭の子息では抗うつ薬よりも心理療法が効果的)を示す報告(ref※)もあり、十把一絡げの解析を盲目的に信じるのも抵抗がある。 最後に、高齢者を専門とする臨床医として感想を一言述べたい。高齢者においては「うつ病エピソード」はさまざまな理由で起こりうるが、表面的な現象であることも多い。外来に「うつです」と来院される年配の方は多いが、初期のアルツハイマー型認知症のために仕事の失敗が増えて、当然の反応として抑うつ的になっている方や、レビー小体型認知症(DLB)の一症状としてのうつという方も多い。中枢神経の変性疾患の方に、抗うつ薬を処方すると有害事象が生じやすく、とくにDLBでは非常に危険なのである。また、高齢期はさまざまな環境変化(多くは別れと喪失)の時期でもあり、抗うつ薬で治るようなものではない。結果的に、私はほとんど抗うつ薬は処方しないが、しばしば純粋なうつ病の方には処方し、著効する。しかし、世間では、認知症なのに表面的な操作診断に基づいて抗うつ薬を処方されている方は多いようだ。児童思春期・高齢期は、心の成長期・収穫期という違いはあるが、安定した成人期の前・後という点では共通点も多いように感じている。エビデンスは重要だが、この論争にはなかなか決着はつかないのではないか、と思う次第である。参照文献※ Curry J, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2006;45:1427-1439. 

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統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

 ドパミン仮説に従って、ドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子についていくつかの研究が行われている。しかし、利用できるDRD2のトライトバイオマーカーはない。愛媛大学の吉野 祐太氏らは、白血球におけるDRD2上流領域におけるメチル化率について、統合失調症患者と対照健常者で異なっているかを検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月6日号の報告。 著者らは、主要な転写因子を結合することができるDRD2上流領域における7CpGサイトを選択した。薬物治療中の統合失調症患者50例と非薬物療法統合失調症患者18例のメチル化率を、年齢をマッチさせた対照健常者と比較した。 主な結果は以下のとおり。・薬物治療中の統合失調症患者のメチル化率は、有意に低かった[CpG2(p<0.0001)、CpG4(p=0.013)、CpG7(p<0.0001)、平均:12.9±1.8 vs.14.1±2.2(p=0.005)]。・非薬物療法統合失調症患者のメチル化率も、有意に低かった[CpG1(p=0.006)、CpG2(p=0.001)、CpG3(p=0.001)、CpG5(p=0.02)、CpG6(p=0.015)、CpG7(p=0.027)、平均:9.86±0.9 vs.11.2±1.3(p=0.002)]。・白血球におけるDRD2の低メチル化率は、統合失調症のトライトバイオマーカーとなりうることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー 統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

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認知症になりやすい人の職業は

 認知症や認知機能障害は、高齢者において有病率の高い疾患である。そのため、これらに関連する潜在的に修正可能なリスク因子を確認することが重要である。認知症のリスク因子として、生涯を通して従事した職業が関連している可能性がある。スペイン・サラゴサ大学のAna Cristina Gracia Rebled氏らは、高齢者における生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した。Revista espanola de salud pública誌2016年6月21日号の報告。認知症リスクが高かった職業は肉体労働 1990~2014年3月までの科学文献をシステマティックレビューし、職業とMMSEを用いた認知機能との関連を分析した。ISI Web of Knowledge、PubMed、その他のデータベースよりレビューした。包括基準は、対象期間内に発表され、MMSEを用いた認知機能評価を行った55歳以上の集団、研究変数として職業および認知症、認知機能障害を含み、スペイン語、英語、フランス語で記載された論文とした。 生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した主な結果は以下のとおり。・18文献を選定した。・断面研究5報と縦断研究6報より、職業と認知機能障害との関連を分析した。断面研究2報と縦断研究8報より職業と認知症との関連を分析した。・67%において、職業タイプと成人期の認知能力との関連が確認された。・主に肉体労働に生涯従事している人は、知的な要件の高い職業に従事している人よりも、認知機能障害や認知症のリスクが高いことが示唆された。関連医療ニュース 認知症に進行しやすい体型は 仕事の早期リタイアは認知症リスクを高める うつ病の寛解率、職業で差があるか

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双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている

 統合失調症、双極性障害、その他の精神神経疾患でみられる精神症状の神経生物学的基盤はいまだによくわかっていない。過去10年で、核磁気共鳴画像(MRI)の多くの研究において、異なる精神医学的症候群患者と健康成人対照者との間に、局所灰白質容積の差が認められている。しかし、これら症候群でみられる症状に焦点を当てた研究はほとんどない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCarl Johan Ekman氏らは、精神病の既往歴のある/ない双極性障害患者および健康成人を対象として、精神疾患と灰白質容量との関連を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2016年6月11日号の報告。 対象は、精神病の既往のある/ない双極性障害患者167例と健康成人対照者102例。核磁気共鳴イメージングは、ボクセルワイズの単変量解析(ボクセルベースの形態計測)を使用して、グループレベルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・精神病の既往歴のある双極性障害患者は、同既往歴のない患者、健康成人対照者と比較し、左紡錘状回、右吻側背外側前頭前皮質、左下前頭回の白質容積が小さいことが示された。・精神病の既往歴のない患者と健康成人対照者との間に、これら領域の容量の差は認められなかった。・以前より、これら領域は構造上および機能的に妄想や幻覚と結び付いているとされている。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善 統合失調症、脳容積とIQの関連

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東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大

 東日本大震災、とくに福島第一原子力発電所の事故は、住民だけでなく救援労働者にも深刻な心理的影響を与えている。公務員はストレスの高い状況で長期的な救済に非常に有用な役割を担っているが、彼らの精神医学的な特徴については明らかになっていない。福島県立医科大学の前田 正治氏らは、診断インタビューを用い、被災地で働く公務員のうつ病やPTSDの有病率を調査し、彼らの精神状態に影響を及ぼす心理社会的要因を推測した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年6月9日号の報告。 福島県の海沿いにある2つの町に勤務する公務員168人を対象に、診断インタビューと自己記入式のアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・公務員における現在の有病率は、うつ病で17.9%と高く、対照的にPTSDは4.8%と比較的低かった。・自己記入式アンケートと診断インタビューの結果から、住民からの強い苦情や怒りへの頻繁な曝露や職務への葛藤が、うつ病の高い有病率の原因と考えられる。 結果を踏まえ、著者らは「本検討により、福島で働く公務員の深刻な精神状態が明らかとなった。適切な精神医学的介入を行うために、効率的なケアネットワークの確立が急務である」としている。関連医療ニュース 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会” アジアの救急隊員はPTSD発症リスクが高い

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統合失調症の自殺企図、小児期のトラウマが影響

 統合失調症スペクトラム障害患者における生涯自殺企図に対する小児期のトラウマの影響について、カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのAhmed N Hassan氏らが検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月25日号の報告。 統合失調症患者361例を対象に調査を行った。小児期のトラウマは、Childhood Trauma Questionnaire(CTQ)を用い収集した。自殺企図は、主観的評価スケールおよび客観的評価スケールを用いて確認した。観察研究デザインを適用し、傾向スコアを用いて小児期のトラウマ歴の有無により患者をマッチした。人口統計的および既知の自殺リスク因子について調整した、自殺企図に対する小児期虐待の各タイプの影響を推定するために、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・本検討の被験者の39.1%に、生涯自殺企図があった。・2群でマッチし、人口統計的および臨床的交絡因子で調整した後、合計トラウマスコアと小児期虐待サブタイプの大部分は、自殺企図を予測した(OR:1.74~2.49、p値:0.001~0.02)。・本集団において、身体的ネグレクトは、自殺企図との有意な関連が認められなかった(p=0.94)。 著者らは「小児期虐待は、統合失調症患者における自殺企図の強力な独立リスク因子である。リスクは、成人期の抑うつ症状や絶望感により悪化すると考えられる。トラウマ歴のある精神疾患患者に対しては、早期スクリーニングと心理社会的治療の変更が推奨される」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

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