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CYP2D6阻害SSRI、タモキシフェンの有効性を低下せず/BMJ

 タモキシフェンと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用において、CYP2D6を強力に阻害するSSRIのパロキセチンまたはfluoxetineは、他のSSRIと比較し死亡リスクを増加させないことが確認された。米国ハーバード・メディカル・スクールのMacarius M Donneyong氏らが、5つの国内医療保険データベースを用いたコホート研究の結果、明らかにした。乳がん女性の半数近くはうつ病や不安症を抱えており、タモキシフェンを使用している女性の約4分の1はSSRI薬を服用しているという。タモキシフェンはCYP2D6によって代謝され活性型となるため、CYP2D6の強力な阻害作用を持つSSRI薬との併用は、理論上、活性代謝物が減少し有効性が低下する可能性が示唆されていた。BMJ誌2016年9月30日号掲載の報告。CYP2D6阻害作用を有するSSRI vs.その他SSRIの死亡率を比較 研究グループは、米国の個人または公的な健康保険プログラム5つのデータベースを用い、1995~2013年のデータを解析した。 対象は、タモキシフェン服用中にSSRI内服を開始した女性(コホート1)、およびタモキシフェン開始時すでにSSRIを内服していた女性(コホート2)。各コホートの全死因死亡率を、CYP2D6阻害作用を有するSSRI(パロキセチン、fluoxetine)使用者と、他のSSRI薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、セルトラリン)使用者とで比較した。CYP2D6阻害SSRI内服例と他のSSRI内服例で死亡率に差はなし タモキシフェン新規使用者は、コホート1が6,067例、コホート2が8,465例で、全体の平均年齢は55歳であった。 コホート1では、追跡期間中央値2.2年(四分位範囲0.9~4.5)で死亡991例(死亡率64.3/1,000人年)、コホート2では同2.0年(0.8~3.9)で死亡1,014例(死亡率53.3/1,000人年)であった。 コホート1と2を合わせた全死亡率は、CYP2D6阻害SSRI内服例で58.6/1,000人年、他のSSRI内服例で57.9/1,000人年であり、他のSSRI併用に対するCYP2D6阻害SSRI併用全例の死亡ハザード比は0.96であった(95%信頼区間:0.88~1.06)。感度解析においても結果は一貫していた。 なお、著者は研究の限界として、死因に関する情報不足、喫煙や肥満といった潜在的な交絡因子を除外できないこと、平均追跡期間が短いこと、処方箋どおりに内服されていたかは不明であることなどを挙げている。

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抗うつ薬の有害事象、学術論文を鵜呑みにしてよいのか

 これまでの研究によると、抗うつ薬の有効性は、報告バイアスにより誇張されていることが示唆されている。オランダ・フローニンゲン大学のYmkje Anna de Vries氏らは、抗うつ薬の安全性についても影響があるかを検討した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年9月19日号の報告。 解析には、FDAのレビューから得られたうつ病または不安障害に対する第2世代抗うつ薬の試験133件(3万1,296例)を用いた。全中断、有害事象および重篤な有害事象による中断に関するデータを抽出した。重篤な有害事象は質的に比較しながら、FDAレビューとマッチした学術論文との中止率を比較するため、メタアナリシスを用いた。 主な結果は以下のとおり。・全中断のオッズ比は、プラセボと比較し1.0であったが、有害事象による中断のオッズ比は、2.4であった。・97件中77件(79%)の学術論文は、情報提供が不完全であり、61件(63%)は、すべての重篤な有害事象について言及していなかった。・FDAと比較可能な21件の論文のうち、6件(29%)は、矛盾のない完全な報告であった。・9件(43%)は、重篤な有害事象数が矛盾する報告であった。・自殺企図のような重要な重篤な有害事象についての記述がない、または矛盾した記述であった論文は6件(29%)であった。 結果を踏まえ、著者らは「報告バイアスは、試験の平均中止率に対し影響を及ぼしていない。しかし、重篤な有害事象の報告は、半数以上の論文で非常に劣っているだけでなく、一般的にFDAレビューと異なっており、多くの場合、プラセボと比較しより良好な報告であった。これらの知見より、学術論文による抗うつ薬試験の重篤な有害事象データは、鵜呑みにできないことが示唆された」としている。関連医療ニュース 抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 日本人うつ病患者、抗うつ薬維持量に影響する因子:静岡県立大

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遅発性うつ症状で認知症リスクの高い患者像

 小血管疾患(SVD)患者における全原因による認知症と抑うつ症状との関連について、オランダ・ラートボウト大学医療センターのIngeborg W M van Uden氏らは、抑うつ症状発症年齢と認知能力を考慮したうえで、検討を行った。Neurology誌2016年9月13日号の報告。 RUN DMC研究(Radboud University Nijmegen Diffusion Tensor and Magnetic Resonance Cohort)は、ベースライン時、認知症でなく、MRIでSVDを有する高齢者503例の前向きコホート研究(2006年)と5年間のフォローアップ(2012年)である。抑うつ症状は、カプランマイヤー曲線で階層化し、認知症リスクをlog-rank検定を用いて比較した。ハザード比(HR)の算出には、Cox回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップでは、496例の参加者データが利用可能であった(ベースラインの平均年齢:65.6±8.8歳、平均追跡期間:5.2年)。・全原因による認知症発症者は、41例であった。・5.5年間の認知症リスクは、抑うつ症状を有する高齢者で高く(HR:2.7、95%CI:1.4~5.2)、独立した危険因子であった。・この傾向は、遅発性の抑うつ症状を有する高齢者で認められた。・ベースライン時に認知機能が低かった高齢者と比較し、高かった高齢者において、5年間の累積認知症リスク差は、抑うつ症状を有する高齢者で高かった(抑うつ症状なし:0.0% vs. 抑うつ症状あり:6.9%、log-rank検定:p<0.001)。関連医療ニュース 高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大 抑うつ症状は認知症の予測因子となりうるのか 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

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維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大

 統合失調症の維持療法において、必要なドパミンD2受容体占有率は明らかになっていない。慶應義塾大学の猪飼 紗恵子氏らは、ベースライン時、リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)を投与された統合失調症患者の臨床転帰を3年間追跡し、ドパミンD2受容体占有率を調査し、血漿中薬物濃度を推定した。Psychopharmacology誌オンライン版2016年9月8日号の報告。 オリジナル横断的研究に参加した統合失調症外来患者52例の3年間の臨床転帰を調査するため、2015年4~9月の間にカルテをレビューした。対象患者は、3年間クロルプロマジン換算200mg/日超の抗精神病薬を併用されていないRLAIで治療継続した統合失調症外来患者。簡易精神症状評価尺度(BPRS)を含むフォローアップ評価を行い、リスペリドンと9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度を使用したトラフ時の推定ドパミンD2受容体占有率を求めた。データは、3年前に採取し、同一患者で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・52例中、14例(27%)が、RLAIでの外来治療を継続していた。・血漿サンプル提供に応じた10例(19%)において、リスペリドンと9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度平均値±SDは、22.9±15.6から31.8±17.5ng/mLへと有意に上昇した(p=0.02)。・推定ドパミンD2受容体占有率は、63.0±10.9%から69.0±11.0%へと上昇した(p=0.12)。・これらの患者において、BPRS合計スコアの有意な悪化が観察された(平均±SD:34.3±12.7から46.5±16.9、p=0.003)。 著者らは「血漿中濃度の増加は、臨床転帰の有意な悪化と関連することが示唆された。統合失調症の維持療法におけるD2受容体遮断の最適なレベルについて、さらなる調査が必要である」としている。関連医療ニュース 統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか LAIは死亡率を上昇させるのか:藤田保健衛生大 LAIを適切に使用するための5つのポイント

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統合失調症患者に対するアドバイスは届いているのか

 医師からの推奨は、医療の意思決定を行う際、不可欠な要素である。しかし、意思決定プロセスのどの時点で行うことが最も良いのか、患者に悪影響を与えないかについては不明なままである。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Hamann氏らは、これらの疑問に対し、統合失調症患者を対象とした検討を行った。BMJ open誌2016年9月16日号の報告。 仮説の意思決定ビネットを含む実験研究を行い、3条件(アドバイスなし、早期アドバイス、後期アドバイス)での医師からの推奨が、患者の意思決定へ及ぼす影響を比較した。ドイツの精神科病院21施設より、統合失調症患者208例が参加した。主要評価項目は、予備試験において多くの患者が好ましくないとした、各条件下でのオプションを選択する患者数とした。副次的評価項目は、患者満足度と誘導抵抗とした。 主な結果は以下のとおり。・後半アドバイス患者49例では、他の条件下と比較し、自身の好みに反したアドバイスをより頻繁に受け入れた(早期アドバイス患者36例:p=0.024)。・患者にアドバイスを与えることは、すべての医師にとって重要な業務の1つであり、意思決定共有の重要な要因であるが、これまでその影響を明らかにする実証的エビデンスはなかった。・効果メカニズムは解明されていないものの、医師からのアドバイスを受けた時点はいつかが、統合失調症患者の判定行動に影響を及ぼすことが示された。関連医療ニュース 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 統合失調症患者、どんな剤形を望んでいるのか 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

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統合失調症患者の口腔ケア、その重要性は:東医大

 統合失調症患者は抗精神病薬で治療されるが、多くの場合、抗不安薬の併用が行われている。東京医科大学の岡本 彩子氏らは、定型、非定型抗精神病薬、抗不安薬、非向精神薬を服用中の統合失調症患者における口腔内乾燥症を評価するため、口腔水分計を用いて調査を行った。Journal of clinical pharmacy and therapeutics誌オンライン版2016年9月24日号の報告。 患者は、北里大学東病院および関連病院の精神科において、ICD-10基準に従って、統合失調症と診断された。すべての患者に向精神薬が処方されていた。一次性シェーグレン症候群のような口腔乾燥症に関連する疾患を有する患者は除外した。 主な結果は以下のとおり。・127例が登録された。・平均口腔水分値は、27.81±2.27%(正常値:30.0%以上)であった。・客観的な口腔水分値と主観的な口渇との間に有意な関連が認められた。・多変量解析では、抗精神病薬、とくに抗不安薬の数と口腔水分の程度との間に負の相関が認められた。・薬物投与量自体には、口渇との有意な相関は認められなかった。 著者らは「客観的な口腔水分測定では、向精神薬服用中の統合失調症患者は、口腔水分の減少が認められ、口腔水分の程度は、向精神薬の投与量ではなく、数と負の相関を示した」ことから、「歯科医は、統合失調症患者が来院した場合、口腔水分を評価し、薬が服用されているか判断すべきである。そして、口腔乾燥と多剤併用の関連性の知見に基づき、積極的な口腔乾燥症管理を行うよう、精神科医に情報提供すべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は 抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響 統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

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地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか

 地中海ダイエット(MD)が認知機能低下や認知症を予防することを示唆するエビデンスが増加している。多くの疫学研究やいくつかの無作為化比較試験(RCT)において、認知機能に対するMDの正の効果が確認されているが、調査結果に一貫性はない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのSara Danuta Petersson氏らは、認知機能、認知機能障害、アルツハイマー病(AD)、すべてのタイプの認知症に対するMDの影響について、現時点の情報をアップデートするためシステマティックレビューを行った。Advances in nutrition誌2016年9月号の報告。 あらかじめ指定した基準を用いて、5つのデータベース(PubMed、Embase、CINAHL、CENTRAL、PsycINFO[1806~2015年5月25日])を検索した。ヒトを対象とした研究で、研究の種類に制限はないが英語で書かれたもので、背景調査、介入期間、フォローアップ期間、発行日、そしてMDアドヒアランスと認知機能または認知症症状(認知機能検査により測定)との関連を検討した研究を含んだ。主要な出版物タイプのみが含まれた。 主な結果は以下のとおり。・25件のコホート研究より32件(RCT5件、観察研究27件)が基準を満たした。・大部分の研究によると、MDは、認知機能改善、認知障害リスク低下、認知症またはADリスクの低下との関連が示唆された。・MDとADの関連が認められなかった研究は3件、MDと認知障害との関連が認められなかった研究は3件、MDと認知機能との関連が認められなかった研究は5件であった。・不均一性が大きく、研究により品質が異なっていた。 著者らは「得られた知見と研究デザインにおける制限に基づくと、MDアドヒアランスは、より優れた認知能力と関連づけられる。しかし、調査結果の大部分は疫学研究であり、MDと認知機能の因果関係ではなく、相関関係が示されていた。因果関係を確立するためにも、さらなる対照試験が必要とされる」としている。関連医療ニュース 日本食は認知症予防によい:東北大 家庭の味が認知症ケアには必要 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か

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小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は

 小児や青年期に対する抗精神病薬の使用は増加しており、適応外での使用が懸念される。ノルウェー・Diakonhjemmet HospitalのRagnar Nesvag氏らは、国内の0~18歳の男女に処方された抗精神病薬について、使用薬剤と精神障害の診断に関して調査を行った。European neuropsychopharmacology誌2016年9月号の報告。 国民健康レジストリデータより、2010年の処方薬データおよび2008~12年の精神障害の診断データを用いて、抗精神病薬の使用率、使用薬剤、精神障害の診断、性別における診断カテゴリごとの使用薬剤を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2010年のノルウェーの小児、青年期に対する抗精神病薬処方率は0.18%(男児:0.23%、女児:0.13%)であった。・男女ともに、リスペリドンが最も処方されていた(男児:57.4%、女児:32.3%)。2番目に多かった薬剤は、男児はアリピプラゾール(19.4%)、女児はクエチアピン(27.4%)であった。・主な精神障害の診断は、男児では、多動(49.9%)、自閉症スペクトラム障害(27.1%)、女児では、不安障害(41.5%)、うつ病(33.6%)であった。・統合失調症様精神障害の診断は、男児11.1%、女児18.2%であった。・リスペリドン処方男児の56.9%、アリピプラゾール処方男児の52.4%は、多動性障害と診断されていた。・クエチアピン処方女児の57.1%は不安障害、52.4%はうつ病と診断されていた。・抗精神病薬が処方されている小児および青年の主な診断は、非精神病性精神障害(男児では多動性障害、女児では不安障害やうつ病)であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 小児に対するLAI治療、その安全性は 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

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てんかん発症時期による認知障害の違い

 てんかん患者におけるエピソード記憶機能障害が、てんかん発症時期が早期(小児期、思春期)かまたは後期(成人期)かで異なるのかを明らかにするため、オーストラリア・メルボルン大学のGenevieve Rayner氏らが検討を行った。Neurology誌オンライン版2016年9月16日号の報告。 焦点てんかん患者92例と健常対照者74例について認知および精神機能を比較した。エピソード記憶障害の予測因子は、早期発症患者47例と遅発性患者45例で対比した。 主な結果は以下のとおり。・全体的に、てんかん患者においてセマンティックおよびエピソード記憶の有意な悪化が認められ、うつ症状およびうつ病が高率で認められた。・早期発症てんかん患者におけるエピソード記憶の減少は、発症の低年齢や頻繁な発作と関連し、ワーキングメモリを減少させた。・対照的に、遅発性てんかん患者は、エピソード情報のリコールが困難であり、うつ病やMRIで同定された病変の存在と関連付けられた。 著者らは「本研究により、焦点てんかん患者の記憶障害は、てんかん発症時期により異なることが明らかとなった。神経生物学的要因の強さは、早期発症てんかん患者のエピソード記憶減少には、生物学的要因が関連するが、遅発性てんかん患者にみられる障害は、心理的不適応が関連する。認知機能障害の個別の予測因子を明確にするために、臨床的特徴に応じた患者の細分化が必要である」としている。関連医療ニュース てんかん重積状態に対するアプローチは てんかん患者の性的問題の現状 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は

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揚げ物はうつ病の天敵か:日医大

 感情の調整に対して、長鎖n-3、n-6系多価不飽和脂肪酸(LC n-3/n-6 PUFA)は重要な役割を担っている。以前の著者らの研究では、LC n-3 PUFAが豊富な魚類の消費量とうつ病へのレジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)との関連が報告されていた。魚類の高摂取は日本の伝統的な食事パターンであるが、現在の日本人の食事パターンは西欧化している。西洋食は、一般的に揚げ物に使用される植物油によるLC n-6 PUFAを多く含有し、うつ病リスクと関連する。日本医科大学 多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、揚げ物の消費量とうつ病へのレジリエンスとの関連を検討した。Lipids in health and disease誌2016年9月15日号の報告。 対象は、日本企業に勤務する715人。抑うつ症状の測定には、うつ症状をうつ病自己評価尺度(CES-D)、レジリエンスを14-item Resilience Scale(RS-14)を用いて評価した。魚や揚げ物の摂取頻度は、自己記入式食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。患者背景要因の調整、身体活動や魚類の摂取頻度は、Preacher and Hayesブートストラップ法を用いた回帰分析を使用した。 主な結果は以下のとおり。・揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの関連は有意であった(path c、B=0.72、p<0.01)。・揚げ物の消費量とRS-14合計スコアとの関連は有意であった(path a、B=-1.73、p<0.01)。・RS-14合計スコアとCES-D合計スコアとの関連も有意であった(path b、B=-0.35、p<0.01)。・RS-14合計スコアで調整した場合、揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの間に有意な関連はみられなかった。・ブートストラップ法により、RS-14スコアを介して揚げ物の消費量とCES-Dスコアが間接的に有意な関係にあることが示された(BCa信頼区間:0.34~0.92;95%信頼区間)。 著者らは「本検討により、揚げ物の消費量とうつ病への低レジリエンスとの関連が認められた。うつ病へのレジリエンスや予防のために、さらなる栄養介入研究が必要である」としている。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か 日本食は認知症予防によい:東北大

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治療抵抗性統合失調症は予測可能か

 治療抵抗性統合失調症に対し、唯一エビデンスベースの抗精神病薬はクロザピンである。初発統合失調症患者で治療抵抗性基準を満たすかを予測できれば、治療抵抗性を認識でき、適切な治療が行われることで、重度の機能的障害の軽減に役立つ可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのJ Lally氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に関する調査を行った。Psychological medicine誌オンライン版2016年9月8日号の報告。 2005~10年に南ロンドンで行われた英国国立健康研究所(NIHR)遺伝学および精神病(GAP)研究の一環として収集された、初回エピソード統合失調症スペクトラム患者246例のコホートにおける臨床アウトカムを、5年間の縦断的研究により評価した。ベースラインの患者背景、臨床的対策、治療抵抗性の発現との関連を調査した。治療抵抗性の状況は、電子カルテよりレビューを行った。治療抵抗性の早期発症・遅発、非治療抵抗性、および治療抵抗性におけるクロザピン使用の有無による違いとの関連について評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療抵抗性患者56例のうち70%、全患者246例のうち23%は、発症時から治療抵抗性であった。・発症後5年間で治療抵抗性基準を満たした患者は、非治療抵抗性患者と比較し、精神障害の初回受診年齢が若かった(20歳未満、OR:2.49、95%CI:1.25~4.94)。・20歳未満の初回受診年齢と治療抵抗性との関係は、黒人(OR:3.71、95%CI:1.44~9.56)および男性(OR:3.13、95%CI:1.35~7.23)で有意に高かった。・治療抵抗性の大部分には、発症時から治療抵抗性抗精神病薬が使用されているが、クロザピンの早期使用はよく検討する必要がある。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大

 これまでのうつ病に対する小児期の社会経済的地位(SES)の影響に関する研究は、欧米諸国の中年成人に焦点が当てられてきた。東京大学の谷 友香子氏らは、小児期SESが高齢者のうつ病発症に影響するかを検討した。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年9月号の報告。 日本老年評価調査のデータを用いた前向きコホート研究。2010年のベースライン時点でうつ病でない65歳以上1万458人を対象に分析を行った。対象者は、基準に従って15歳時の小児期SESを評価した。ログリンク、既知および2013年までのうつ病発症リスク評価の潜在的なリスク因子による調整により二項ロジスティック回帰分析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、2013年までの新規うつ病発症率は13.9%であった。・年齢、性別で調整した後、低小児期SESは、うつ病発症と正の相関が認められた(ARR:1.44、95%CI:1.23~1.69)。・教育により調整した際、この関連は減少した(ARR:1.33、95%CI:1.13~1.57)。・しかし、成人期SES調整後、現在の疾患状態、健康行動、社会的関係は有意に残存した(ARR:1.27、95%CI:1.08~1.50)。・その関係は、75歳以上の高齢者よりも65~74歳の高齢者でより強かった。 著者らは「日本人高齢者における遅発性うつ病発症には、おそらく第2次世界大戦後の貧困による低小児期SESが関連していると考えられる。うつ病に対する小児期SESの影響は75歳以上では弱く、これは日本人高齢者のサバイバル効果を示唆している」とまとめている。関連医療ニュース うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

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授乳中の抗精神病薬使用、適切な安全性評価が必要

 授乳中の抗精神病薬使用に関する授乳論文の品質を確認するため、オランダ・フローニンゲン大学のHazel Hummels氏らは、米国FDAやInternational Lactation Consultant Association(ILCA)ドラフトガイドラインに従って検討を行った。European journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年8月24日号の報告。 授乳中の抗精神病薬使用を含む論文の品質を確認するため、FDAドラフト、ILCAガイドランを用いた。PubMed、Lactmedより文献検索を行った。さらなる研究は、相互参照により検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・51件の研究が抽出された。オランザピン1件、クエチアピン1件のみが、ミルク血漿比(M:P比)、絶対幼児投与量(AID)、相対幼児投与量(RID)を正しく計算していた。・その他の研究については、3つのエンドポイントのうち1つ以上が適切に決定されていなかった。・クロルプロマジン、chlorprothixene、クロザピン、ハロペリドール、スルピリド、trifluoperazine、ziprasidone、ゾニサミド、zuclopenthixolについては、正しいエンドポイントが計算されていなかった。・本レビューでは、母乳の採取方法に関する情報の欠如があった。・また、3つのエンドポイントの計算に必要な濃度は、単回投与中に5回以上の測定ではなく、主に単一測定に基づいていた。・多くの研究において、RIDは事実上、正しく計算されていなかった(母体中で正規化されていないまたは平均母体中70kgを標準的に使用)。 著者らは「2つの研究を除き、ほとんどの研究は、授乳中の抗精神病薬使用の安全性に関して、FDAドラフト、ILCAガイドライン基準を満たしていなかった。授乳しながら抗精神病薬を投与した際の安全性を評価するさらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用中の授乳、安全性は 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 授乳中の気分安定薬は中止すべきか

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リウマチ専門医のうつ病診療はこれからどうすべきか

 カリフォルニア大学デービス校のErica Heiman氏らは、リウマチ専門医へアプローチし、日常診療におけるうつ病の認識を調査した。Journal of clinical rheumatology誌2016年9月号の報告。 カリフォルニア州のリウマチ診療医470人にアンケートを送付し、最終的に226件を分析した。回答者は、人口統計学的情報、診療特性、態度、認識、うつ病に関連する診療について回答した。リウマチ専門医の個人特性とうつ病関連診療特性を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。リウマチ診療でうつ病は一般的だが診断システムが未確立 リウマチ専門医のうつ病に関連する診療についての調査の主な結果は以下のとおり。・リウマチ専門医の患者の半分以上がうつ病であったと回答した医師は、51%であった。・ほぼすべてにおいて(99%)、いくつかの診察で精神衛生上の問題に対処したと報告した。・リウマチ専門医の対処として、抗うつ薬を処方する、精神科医に紹介する、プライマリケア医へ逆紹介するが同程度に高く、約60%は多くの場合3つの戦略を適応すると回答した。・リウマチ専門医の効果的なうつ病管理の主な障壁として、精神的健康診断へのアクセスと患者の抵抗が特定された。・ロジスティック回帰分析では、毎週通院の患者、線維筋痛症患者、個人開業医では、抗うつ薬の高処方と関連が認められた(p<0.05)。 結果を踏まえ、著者らは「うつ病は、リウマチ診療で一般的であるが、診断、治療、患者紹介システムが確立されていない。精神健康保険サービスに対するリウマチ専門医の意識は高いが、うつ病患者のために一貫した効果的なケアを提供するための自信、時間、紹介ネットワークが十分でない。リウマチ患者のうつ病ケアを改善するためには、臨床医レベルの介入(たとえば、行動ヘルスケア研修の強化)と診療レベルの改革(たとえば、協調的ケア)の組み合わせが必要とされる」としている。

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性行為は認知機能を上げる? 50歳以上の男女

 健康な50歳以上の男女において、性行為は認知機能向上との関連が認められることが、英国・コヴェントリー大学のHayley Wright氏らの研究で明らかになった。過去12ヵ月で性行為を行った男性は実行機能と記憶機能、女性は記憶機能が、行わなかった人と比べて有意に高かった。この関連のメカニズムとしては、現在、神経伝達物質がメディエーターとして働いている可能性が議論されている。50歳以上の人に対して、医療現場での性カウンセリングを促進することで、認知機能のささやかな向上が見込めるかもしれない。Age and ageing誌2016年3月号の報告。 現在、健康な高齢者の性行為と認知機能との関連について研究が進んでいる。 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)Wave6のデータ(1万601人、50~89歳)のうち、“過去12ヵ月で性行為を行ったか?”という質問に回答した6,833人(男性3,060人、女性3,773人)のデータを用いて、性行為と認知機能の関連について検討した。認知機能は、実行機能に関わる「数値配列」と記憶に関わる「単語想起」の2種類のテスト結果から評価した。 主な結果は以下のとおり。・過去12ヵ月で性行為を行ったと回答した人は4,497人(男性2,349人、女性2,148人)、行わなかったと回答した人は2,336人(男性711人、女性1,625人)であった。・年齢、教育、富、身体活動、うつ病、共同生活の有無、健康状態の自己評価、孤独感、QOLで調整後、男性の過去12ヵ月の性行為と数値配列スコアおよび単語想起スコアとの間に有意な関連が認められた。・一方、女性は過去12ヵ月の性行為と単語想起スコアとの間のみ、有意な関連を認めた。・以上の結果より、過去12ヵ月で性行為を行った男性は実行機能と記憶機能、女性は記憶機能が行っていない人と比べて有意に高いことが示された。

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双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大

 躁状態歴が明確にわからない患者では、双極性障害とうつ病を区別することが困難である。鑑別診断のために、客観的なバイオマーカーが必要とされている。奈良県立医科大学の松岡 究氏らは、拡散テンソル画像を用いて、双極性障害患者とうつ病患者の脳白質の微細構造の違いを検討した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年8月30日号の報告。 対象は、DSM-IV-TR基準に基づき抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者16例、大うつ病患者23例および健常対照者23例。双極性障害とうつ病患者における異方性比率の有意差を検出するために、全脳ボクセルベース・モルフォメトリー解析を用いた。本研究は、2011年8月~2015年7月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者では、うつ病患者と比較し、脳梁前部の異方性比率値の有意な減少が認められ(p<0.001)、これは患者の感情状態に依存しなかった。・この減少は、放射拡散係数値の増加と関連が認められた(p<0.05)。また、健常対象者と比較した場合も有意な減少が認められた(p<0.05)。・異方性比率値を用いて双極性障害とうつ病のすべての患者を予測したところ、正確な分類率は76.9%であった。 著者らは「抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者は、脳梁における微細構造の異常が明らかであり、これは大脳半球間の感情的な情報交換を悪化させ、感情調節不全を来すと考えられる。そして、分類診断ツールとして、拡散テンソル画像使用の可能性が示唆された」としている。関連医療ニュース うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害I型とII型、その違いを分析

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若年性認知症の診断、どうあるべき―医師、患者の観点から

 高齢化と結び付けて考えられるのが“常識”となっている認知症。はたして本当にそうなのだろうか。先月、都内で日本イーライリリー株式会社がプレスセミナーを開催し、専門医による認知症の診断や治療をめぐる現状と課題についての講演と、若年性認知症の診断を受けた当事者が、診断を取り巻く環境や自身の体験について語るディスカッションが行われた。 登壇した日本認知症予防学会理事長の浦上 克哉氏(鳥取大学医学部 保健学科生体制御学講座・環境保健学分野教授)は講演の中で、「認知症は早期発見が非常に重要。とくに正常から認知症に至る手前の移行状態である軽度認知障害の段階で、いかに効果的に介入できるかがポイントである」と述べた。認知症は“ありふれた疾患” 今や65歳以上の4人に1人が認知症およびその予備軍と推計されている本国。具体的には、462万人(推計値)が認知症とみられ、その半数以上が未診断状態というのが現状であり、講演に立った浦上氏は「認知症はこれだけの数の予備軍が見込まれる点で、“ありふれた疾患”といえる。早期発見はもとより、いかに早期の治療とケアに結び付けていくかが重要である」と強調した。 ただ、認知症の臨床像はきわめて複雑であり、認知症の原因となる疾患は100近くあるうえ、変性疾患(アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症)や脳血管性認知症などの鑑別の難しさがある。また認知症症状を来しても、甲状腺機能低下症やうつ病、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などは、早期発見により治療が見込める場合があるので、より慎重な診断が求められる。45歳で診断、「それでも生きていく」 講演に続いて行われたディスカッションでは、自ら若年性認知症の診断を受け、日本認知症ワーキンググループ共同代表や若年性認知症問題にとりくむ会・クローバー副理事長を務める藤田 和子氏が浦上氏と対談した。藤田氏は浦上氏が外来で担当する患者の1人である。 藤田氏は、45歳のときに若年性アルツハイマー病と診断された。看護師の経験や、自らが診断を受ける以前には認知症の義母の介護も経験していたため、ある程度の知識はあったものの、当時の年齢と認知症は結び付かなかったという。ただ、自分でやったことを忘れたり(朝、子供を学校に送り出したことを覚えていないなど)、それまで普通にできていたことがもたもたと時間がかかるようになったりするなど「明らかに健康な45歳が起こすことじゃない」日常の違和感を自覚したのが病院を訪れるきっかけになった。そして告知されたのが先の病名である。 藤田氏は、「苦しみの原因がわかり、ほっとした。病名の告知による不安や悲しみはもちろんあったが、それを上回るものを得られた」と当時を振り返った。一方、担当医として浦上氏にたどり着くまでには紆余曲折があり、なかには診断ができても治らないという思い込みが医師側にあり、つらい診療も経験したという。 診断から9年。社会と積極的に関わり、当事者として認知症を取り巻く環境や制度の改善を国に働きかける活動を続けている一方、当たり前と思われがちな家事を毎日こなすことは「日々、立ち向かっている感覚」だという。藤田氏は、「認知症になったとしても、それでも私たちは生きていかなければならない。診断によってすべての人生が終わるわけではなく、その後も豊かな人生はあるのだと知ってほしい」と切実な思いを訴えた。そのうえで、「まずは、異変に気付いた本人自身が病院へ行くことをためらわないでほしい。そして医療者側には認知症に対する思い込みを捨て、適切な臨床診断を行っていただけることを望んでいる」と述べた。診断の精度向上が期待されるアミロイドPET検査 本セミナーでは、認知症の早期診断の精度向上が期待される新技術「アミロイドPET検査」について、千田 道雄氏(公益財団法人先端医療振興財団 先端医療センター研究所 副所長・分子イメージング研究グループリーダー)による解説も行われた。 アルツハイマー病患者の脳には、アミロイドベータプラーク(老人斑)が沈着している。アミロイドPET検査では、このアミロイドベータに付着する放射性薬剤を注射してPETカメラで放射性同位元素の分布を撮影し、画像診断を行う。がん治療の領域ではすでにPET検査は用いられているが、認知症診断においても臨床症状や発症年齢が非定型的な認知症疑いの患者に対する診断への有用性が期待されているという。 PET検査をめぐっては放射線被曝が懸念されるところだが、千田氏によると、本検査による実効線量は、投与されたPET薬剤による内部被曝と、付随するX線CTによる外部被曝(PET/CT装置の場合)とを合わせて、約6ミリシーベルト程度であり、病院で扱う放射線検査では中程度とのことである。

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統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか

 経口抗精神病薬からアリピプラゾール月1回400mg(AOM400)へ切り替えた際の、臨床症状や全般改善に対する効果について、米国の大塚ファーマシューティカル D&CのTimothy Peters-Strickland氏らが評価を行った。CNS spectrums誌オンライン版2016年8月17日号の報告。 DSM-IV-TRで統合失調症と診断され1年以上の患者を対象に、多施設オープンラベル、ミラーイメージ、自然的研究を行い、標準ケアの経口抗精神病薬からAOM400へ切り替え後6ヵ月間のプロスペクティブ治療に対する有効性の変化を評価した。AOM400の24週オープンラベルの前に、経口アリピプラゾール単独療法1~4週のcross-titrationを行った。AOM400オープンラベル相のPANSS、平均CGI-S、CGI-Iスコアとレスポンス率(PANSSスコア30%以上減少、CGI-Iスコア1または2)のベースラインからの平均変化にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・PANSS、CGI-Sスコアはベースラインから改善し(p<0.0001)、CGI-Iはすべての時点で改善を示した。・研究終了までのPANSS、CGI-Iのレスポンダーは49.0%であった。・臨床において、ベースラインで安定化された統合失調症患者は、経口抗精神病薬からAOM400への切り替えにより、臨床症状の明らかな改善を示した。関連医療ニュース LAI切替時、ローディングでの副作用リスクは:山梨県立北病院 LAIを適切に使用するための5つのポイント アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大

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未成年の飲酒に影響を与える要因は

 2000~11年にかけての、社会経済的状況とうつ病に応じた青年期のアルコール利用に関する時間的トレンドについて、フィンランド・Kanta-Hame Central HospitalのAntti Torikka氏らが評価した。Alcohol and alcoholism誌オンライン版2016年8月9日号の報告。 14~16歳の全国サンプル61万8,084人より、2000-01年から2010-11年までの隔年で教室での自己管理アンケートを用いて、保健と保健行動、学校での経験を調査した。アルコールの利用は飲酒や酩酊の頻度を測定した。社会経済的状況は親の教育や失業を用いて測定した。うつ病はベックのうつ病調査票フィンランド修正版を用いて測定した。クロス集計とロジスティック回帰分析を適用した。 主な結果は以下のとおり。・調査期間中、頻繁な飲酒や酩酊の頻度は男女ともに減少した。・青年期のうつ病だけでなく、親の教育や失業率レベルの低さも頻繁な飲酒や酩酊の可能性を増加させた。・アルコール利用の一般的な減少傾向と異なり、頻繁な飲酒や酩酊の可能性は、うつ病青年と教育レベルの低い失業者の親を持つ青年で増加していた。このような集団の男性における頻繁な酩酊の割合は、2008~11年で75.8%(女性:41.7%)であったのに対し、高学歴の就労している親を持つうつ病でない男性では、2.3%(女性:1.4%)であった。 著者らは「頻繁なアルコール利用の全体的な減少傾向は、社会経済的に恵まれないうつ病青年では観察されなかった。このような若者を対象としたアルコール予防プログラムが必要であると考えられる」としている。関連医療ニュース 「抑うつ+過度な飲酒」その影響は アルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬 青年期からの適切な対策で精神疾患の発症予防は可能か

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統合失調症は進化の過程でどう生まれたのか

 なぜ統合失調症は、適応能力に対し負の影響を有しているにもかかわらず、人類の歴史を通じて淘汰されずにいるのかは、進化の謎のままである。統合失調症は、人間の脳の複雑な進化における副産物であり、言語や創造的思考、認知能力の融合物と考えられる。ノルウェー・オスロ大学のSaurabh Srinivasan氏らは、統合失調症に関する大規模ゲノムワイド研究などを分析した。Biological psychiatry誌2016年8月15日号の報告。 著者らは、遺伝子構造や遺伝的変異に関する補助的な情報を利用した統計的フレームワークを使用して、最近の統合失調症の大規模ゲノムワイド関連研究とその他ヒト表現型(人体計測、心血管疾患の危険因子、免疫介在性疾患)の範囲を分析した。ネアンデルタール選択的一掃(NSS:Neanderthal Selective Sweep)スコアと呼ばれる進化の代理指標からの情報を使用した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症と関連する遺伝子座は、最近のヒトにおけるポジティブ選択(低NSSスコア)を受けた可能性の高いゲノム領域において有意に広く存在していた(p=7.30x10-9)。・低NSSスコアの脳関連遺伝子内の変異体は、他の脳関連遺伝子における変異体よりも、有意に高い感受性を示した。・エンリッチメントは、統合失調症において最も強かったが、他の表現型でのエンリッチメントを排除することはできなかった。・27候補の統合失調症感受性遺伝子座への進化プロキシポイントの偽発見率条件のうち、統合失調症および他の精神疾患に関連または脳の発達にリンクしたのは12件であった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学

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