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高齢者うつ病に対するアリピプラゾール増強療法に関連する錐体外路症状の臨床的予測因子

 治療抵抗性高齢者うつ病(LLD:late-life depression)に対するアリピプラゾール増強療法は、効果的な治療法である。しかし、アリピプラゾールは、パーキンソン病やアカシジアのような錐体外路症状(EPS)を引き起こす可能性があり、これが治療中止の一因となることがある。カナダ・トロント大学のJonathan H. Hsu氏らは、アリピプラゾール増強療法を行っている治療抵抗性LLD患者におけるアカシジアやパーキンソン病の臨床的経過および予測因子について調査を行った。The Journal of clinical psychiatry誌2018年6月19日号の報告。 2009~13年にベンラファキシン治療で寛解が得られなかった高齢うつ病患者を対象に、アリピプラゾールまたはプラセボ増強療法にランダムに割り付け、12週間治療を行った。対象者は60歳以上で、DSM-IV-TRにおいて中等症以上の症状を伴う、うつ病エピソードを有する患者とした。アカシジアおよびパーキンソン病は、Barnesアカシジア尺度(BAS)および錐体外路系副作用評価尺度(SAS)を用いて、来院時に測定を行った。予備解析では、年齢、性別、民族性、体重、医学的合併症、ベースライン時の不安重症度、うつ病の重症度、頓服薬を含む併用薬剤、アリピプラゾール投与量を含む潜在的な臨床予測因子および相関について広範囲に検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・アカシジアが発現した患者は、アリピプラゾール群では90例中24例(26.7%)プラセボ群では90例中11例(12.2%)であった。・うつ病の重症度の高さは、治療誘発性アカシジアの主な予測因子であった。・アカシジアが発現した対象者は、(とくにアリピプラゾール投与量を減らすことで)時間とともに症状が改善した。・パーキンソン病が発現した患者は、アリピプラゾール群91例中15例(16.5%)であったが、臨床的予測因子または相関関係は見つからなかった。 著者らは「アカシジアは、アリピプラゾールの一般的な副作用ではあるものの、概して軽度であり、減量することで改善が認められる。ベースラインのうつ病がより重度な患者は、アカシジアをより注意深く監視することが求められる。治療抵抗性LLDに対する抗精神病薬増強療法に伴う薬剤誘発性EPSの経過や予測因子を理解するためには、より多くの研究が必要とされる」としている。■関連記事日本のデータベースから各種抗精神病薬のEPS発現を分析アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴抗精神病薬誘発性遅発性ジスキネジアのためのコリン作動薬

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統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査

 最近の報告によると、統合失調症患者と一般人口の死亡率の格差は拡大していることが示唆されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のA. Tanskanen氏らは、1984~2014年のフィンランドにおける統合失調症患者と一般人口の死亡率、死亡年齢、死因について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 フィンランドにおけるすべての統合失調症患者は、病院退院記録から特定した。フィンランドの統計データに基づき、1984~2014年の16歳以上のフィンランド人との比較を行った。死亡年齢および標準化死亡比(SMR:standardized mortality ratio)は、フォローアップ年ごとに算出した。統合失調症患者の寿命は一般人口とほぼ同様に改善 統合失調症患者と一般人口の死亡率についての主な調査結果は以下のとおり。・1984年と2014年の平均死亡年齢は、統合失調症患者では57.6歳から70.1歳に上昇し、一般人口では70.9歳から77.5歳に上昇した。・フォローアップ期間中の全死因のSMRは、変動がなかった(1984年:2.6、2014年:2.7)。・主要な変化は、自殺のSMRで認められ、1984年の11.0から2014年の6.6に減少していた(-40%)。・心血管およびがんのSMRに増加傾向が認められた。 著者らは「統合失調症患者の寿命は、一般人口とほぼ同様に改善が認められており、自殺率に関しては大幅な低下が認められた。しかし、一般人口と比較し、いまだ死亡率の格差が残存している」としている。

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子どもに対する抗精神病薬の処方前後における血糖・プロラクチン検査実施率に関する研究

 多くの国で、抗精神病薬(主に統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられる薬剤)による治療を受ける子供が増加している。大人と同様に、子供に対する抗精神病薬の使用は、糖尿病発症リスクの増大と関連している。このような点から、米国やカナダの診療ガイドラインでは、子供に対して抗精神病薬を処方する際、定期的に血糖検査を実施することが推奨されている。また、一部の抗精神病薬の使用はプロラクチンの上昇と関連しており、高プロラクチン血症による無月経、乳汁漏出、女性化乳房などの有害事象が、短期間のうちに発現する可能性もある。しかし、子供にとってこのような有害事象の徴候を適切に訴えることは難しいため、抗精神病薬を処方する際には、血糖検査と同時に、プロラクチン検査も実施すべきと考えられる。 医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、日本における、子供に対する抗精神病薬の処方前後の、血糖・プロラクチン検査実施率を明らかにするため検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年6月11日号の報告。 NDBを用いて、15ヵ月間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。2014年4月~2015年3月に抗精神病薬を新規に処方された18歳以下の患者を、450日間フォローアップした。アウトカムは、処方前30日~処方後450日の間における、血糖・プロラクチン検査の実施状況とした。血糖・プロラクチン検査実施率は、次の4つの検査時期について評価した。(1)ベースライン期(処方前30日~処方日)、(2)1~3ヵ月期(処方後1~90日)、(3)4~9ヵ月期(処方後91~270日)、(4)10~15ヵ月期(処方後271~450日)。 主な結果は以下のとおり。・6,620施設から得られた、新規に抗精神病薬の処方を受けた4万3,608例のデータのうち、継続的に抗精神病薬を使用していた患者は、処方後90日で46.4%、270日で29.7%、450日で23.8%であった。・ベースライン期に検査を受けた患者の割合は、血糖検査13.5%(95%CI:13.2~13.8)、プロラクチン検査0.6%(95%CI:0.5~0.6)であった。・4つの検査時期すべてにおいて、定期的に血糖検査を受けた患者は、0.9%に減少していた。また、プロラクチン検査を受けた患者は、1~3ヵ月期で0.1%に減少していた。 著者らは、本研究結果について以下のようにまとめている。・本研究では、抗精神病薬の処方を受けた子供が血糖検査やプロラクチン検査を受けることは、まれであることが示唆された。・これらの検査実施率が低くなる背景として、抗精神病薬治療の一環として血糖検査やプロラクチン検査を実施する必要性が十分に認識されていないこと、採血に人手と時間を要すること、メンタルヘルスに関する相談の場で子供や保護者が採血を想定しておらず嫌がること、などが考えられる。また、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関が少なく、採血を苦痛として通院が阻害されてしまうことがないよう、医師が慎重にならざるを得ない状況も考えられる。・かかりつけ医が検査を実施して、その結果を、抗精神病薬を処方する医師と共有する体制を構築することも、解決策の1つであると考えられる。・抗精神病薬治療の一環として必要な検査を周知することに加えて、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関を増やし、かかりつけ医との診療連携を強化するなど、子供のメンタルヘルスに関する医療体制に対して総合的な観点からの解決が求められる。■関連記事小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方率に関する研究

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統合失調症患者における自殺のリスク因子に関するメタ解析

 統合失調症患者の自殺に関連する生涯リスクは、自殺で5%、自殺企図では25~50%といわれている。米国・テキサス大学健康科学センター ヒューストン校のRyan Michael Cassidy氏らは、統合失調症患者の自殺率に関連するリスク因子を明らかにするため、メタ解析を実施した。Schizophrenia bulletin誌2018年6月6日号の報告。 PubMed、Web of Science、EMBASEより検索を行い、参考文献リストについても併せて検索を行った。自殺念慮または自殺企図を有する統合失調症患者、自殺していない患者との比較を報告した研究を選択基準とした。また、補足分析としてコホート研究のメタ解析も行った。 主な結果は以下のとおり。・分析対象として、96研究、8万488例が抽出された。・自殺念慮を有する統合失調症患者では、抑うつ症状が重く(p<0.0001)、PANSS総スコアが高く(p<0.0001)、精神科入院回数が多かった(p<0.0001)。・自殺企図との関連に最も一致した変数は、以下であった。 ●飲酒歴(p=0.0001) ●精神医学的疾患の家族歴(p<0.0001) ●身体合併症(p<0.0001) ●うつ病歴(p<0.0001) ●自殺の家族歴(p<0.0001) ●薬物使用歴(p=0.0024) ●喫煙歴(p=0.0034) ●白人(p=0.0022) ●抑うつ症状(p<0.0001)・最初の2項目(飲酒歴、精神医学的疾患の家族歴)は、コホート研究のメタ解析においても有意な差が認められた。・自殺との関連に最も一致した変数は、以下であった。 ●男性(p=0.0005) ●自殺企図歴(p<0.0001) ●若年(p=0.0266) ●高い知能指数(p<0.0001) ●治療アドヒアランスの不良(p<0.0001) ●絶望状態(p<0.0001)・最初の3項目(男性、自殺企図歴、若年)は、コホート研究のメタ解析においても有意な差が認められた。 著者らは「本調査結果は、将来の自殺の予防戦略において役立つであろう。今後の研究では、多変量予測分析法を用いて上記の因子を組み合わせることで、統合失調症における自殺率を客観的に層別化することが可能となるであろう」としている。■関連記事日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか日本成人の自殺予防に有効なスクリーニング介入:青森県立保健大

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うつ病に対する不眠症治療効果に関するメタ解析

 不眠症はしばしばうつ病と併発しており、両疾患は相互に関連している。不眠症のための認知行動療法といった不眠症に特有の介入が、うつ病の改善に寄与する可能性がある。米国・ピッツバーグ大学のMarie Anne Gebara氏らは、うつ病と不眠症を併発している患者において、不眠症の治療がうつ病の改善に寄与するかについて、検討を行った。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月21日号の報告。 うつ病と不眠症を併発している患者のうつ症状に対する不眠症治療効果を調査するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・3,815件の研究をレビューし、23件の研究が包括基準を満たした。・すべての研究において、うつ病のアウトカムに対する不眠症治療の臨床効果を示唆していたが、大部分の結果では統計学的に有意な差は認められなかった。・介入方法と集団は多様であったが、メタ解析において、ハミルトンうつ病評価尺度(エフェクトサイズ:-1.29、95%CI:-2.11~-0.47)およびベックうつ病評価尺度(エフェクトサイズ:-0.68、95%CI:-1.29~-0.06)で測定した、うつ症状改善の中~大のエフェクトサイズが得られた。 著者らは「これらの結果は、うつ病患者に対する不眠症治療が、気分症状に良い影響をもたらすことを示唆している。不眠症特有の介入により改善されるうつ病患者のサブタイプを特定し、不眠症治療が気分症状を改善するメカニズムを明らかにするためには、さらなる検討が必要である」としている。■関連記事性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大日本人男性、不眠でうつ病リスクが10倍にも温泉療法でうつや睡眠も改善

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大腸を旅した歯ブラシ【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第118回

大腸を旅した歯ブラシ いらすとやより使用 歯ブラシをくわえたまま遊んでいる子供がいると「ケガするよ!」と怒鳴ったりします。咽頭の奥に刺さったりしたらタイヘンですからね。しかし世の中には、とんでもない歯ブラシ論文が存在するのだ。論文タイトルもなかなか文学的です。「飲み込んだ歯ブラシ、大腸への旅」。映画化しそう。 Kim IH, et al.Journey of a swallowed toothbrush to the colon.Korean J Intern Med. 2007;22:106-108.13年来の統合失調症のある31歳の男性が、1週間続く上腹部痛を訴えて来院しました。激痛というほどではなく、中等度の痛みで、軽い嘔気を伴っていました。かかりつけのドクターに診てもらったところ「軽い胃炎ですね」とでも言われたのか、制酸薬などを処方されただけでした。薬では痛みが治まらず、次第に熱も出るようになりました。来院時の体温は38.1℃。血液検査で白血球が上昇しており、トランスアミナーゼも軽度上昇していました。膵炎を示唆するような逸脱酵素の上昇はありませんでした。はて、この腹痛と熱の原因は何だろう?腹部画像検査を行いました。主治医は腹部CTを見て、驚きました。上行結腸に、何か異物がある!しかも、異物のせいで腹腔内感染症を起こしているようでした。これはいかん、大腸内視鏡で見てみよう、ということでカメラを入れると、モニター画面にとんでもないものがあらわれました。大腸壁を突き破った歯ブラシ。上行結腸だから、さすがに肛門から入れたわけではないだろうし、あれ? この歯ブラシはどこから来たんだ? そう思いながら、処置を進める主治医。術後、患者によくよく尋ねてみると、歯ブラシを飲み込んだことがあることを告げられました。へー、やっぱり口から飲み込んだんだね、じゃあいつ頃それを飲み込んだのか。1年前。なんと、1年前に彼は歯ブラシを飲み込んでしまっており、近くの病院で「こりゃあかん、手術やで!」と強く説得されたことがあるらしいのです。彼はそれをかたくなに拒否し、1年後腹痛を起こして来院したのでした。

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小児から18歳までのうつ病と自閉症気質との関連

 小児から成人期初期までの自閉スペクトラム症(ASD)において、うつ病の軌跡をフォローした人口ベースの研究は、あまり行われていない。そのため、遺伝的あるいは、いじめなどの環境的要因の役割は、いずれの集団においてもよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDheeraj Rai氏らは、ASDや自閉症気質の有無にかかわらず、10~18歳の小児におけるうつ症状の軌跡を比較し、ASDと18歳時のICD-10うつ病診断との関連を評価し、遺伝的交絡およびいじめの重要性について検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 英国・ブリストルの親子出生コホートであるAvon縦断研究の参加者を、18歳までフォローアップした。データ分析は、2017年1~11月に実施した。うつ症状の評価は、10~18歳の間に6つの時点でShort Mood and Feelings Questionnaire(SMFQ)を用いて行った。18歳時のICD-10うつ病診断の確定には、Clinical Interview Schedule-Revisedを用いた。ASD診断および4つの自閉症気質(社会的コミュニケーション、一貫性、反復行動、社会性)について評価した。自閉症遺伝子多型リスクスコアは、Psychiatric Genomics Consortiumの自閉症発見ゲノムワイド関連研究の集計データを用いて得られた。いじめの評価は、8、10、13歳時に実施した。 主な結果は以下のとおり。・完全なデータを有する最大サンプル数は、軌跡分析で6,091例(男性:48.8%)、18歳時のうつ病診断で3,168例(男性:44.4%)。・ASDおよび自閉症気質を有する小児は、一般集団と比較し、10歳時における平均SMFQ抑うつスコアが高かった(社会的コミュニケーション:5.55[95%CI:5.16~5.95]vs.3.73[3.61~3.85]、ASD:7.31[6.22~8.40]vs.3.94[3.83~4.05])。また、それらは18歳時まで上昇したままであった(社会的コミュニケーション:7.65[95%CI:6.92~8.37]vs.6.50[6.29~6.71]、ASD:7.66[5.96~9.35]vs.6.62[6.43~6.81])。・社会的コミュニケーションの障害は、18歳時のうつ病リスクと関連しており(調整相対リスク:1.68、95%CI:1.05~2.70)、このリスクに対して、いじめが大きく影響していた。・自閉症遺伝子多型リスクスコアにより交絡するエビデンスはなかった。・多重代入法を用いてより大規模なサンプルを分析したところ、結果は類似しており、より正確な結果が得られた。 著者らは「ASDおよびASD気質を有する小児は、一般集団と比較し、10歳時のうつ症状スコアが高かった。また、うつ症状スコアの高さは18歳まで持続し、とくにいじめの状況で顕著であった。うつ病との関連において、社会的コミュニケーションの障害は、重要な自閉症気質であった。環境的要因であるいじめは、介入可能な標的となりうる」としている。■関連記事自閉スペクトラム症におけるうつ病や自殺念慮のリスクと保護因子成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響

 統合失調症に対する単独療法および大うつ病(MDD)に対する補助療法として、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールを使用した際の体重への影響について、米国・大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のCatherine Weiss氏らは、短期研究(4、6週)および長期研究(52週以下)により検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2018年6月6日号の報告。 体重データは、統合失調症およびMDDの補助療法におけるブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの臨床研究より抽出した。データをプールし、分析を行い、各薬剤の使用による平均体重の変化を評価した。また、ベースラインからの各薬剤による臨床的に関連する体重変化(7%以上の体重の増減)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・短期および長期の統合失調症およびMDDの補助療法における、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールによる体重増加プロファイルは、全体的に類似していた。・短期の統合失調症の研究における平均体重は、ブレクスピプラゾールで+1.2kgアリピプラゾール+0.6kgであった。・短期のMDDの研究における平均体重は、ブレクスピプラゾールで+1.5kgアリピプラゾール+1.6kgであった。・長期の統合失調症の研究における平均体重(52週時)は、ブレクスピプラゾールで+2.1kgアリピプラゾール+3.0kgであった。・長期のMDDの研究における平均体重(52週時)は、ブレクスピプラゾールで+3.2kgアリピプラゾール+4.0kgであった。・臨床的に関連する体重の増減についても、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは同様であった。 著者らは「総合的にみて、統合失調症に対する単独療法およびMDDに対する補助療法としてのブレクスピプラゾールとアリピプラゾール治療は、1年間にわたって体重への影響が同様である」としている。■関連記事オランザピンおよびリスペリドンの体重増加に関するメタ解析抗精神病薬の体重増加リスクランキング抗精神病薬誘発性体重増加に対するトピラマート治療のメタ解析

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うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告

 大うつ病性障害(MDD)の自殺念慮を解明するため、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、欧州多施設共同研究を実施した。これまでの調査において、MDD患者の自殺念慮の有病率は、50%以上であることが示唆されているが、社会人口統計学的、心理社会的、臨床的な特徴と自殺念慮との関連については、あまり知られていなかった。The international journal of neuropsychopharmacology誌2018年6月1日号の報告。 ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の項目3(自殺傾向)の評価に基づき、うつ病患者1,410例を3群(0:自殺念慮なし、1~2:軽度~中等度の自殺念慮、3~4:重度の自殺念慮)に分類した。データ解析には、χ2検定、共分散分析、スピアマン相関分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者の自殺念慮の有病率は、46.67%であった(HAM-D項目3のスコアが1以上)。・対象患者の重症度別の内訳は、自殺念慮なし群53.33%、軽度~中等度群38.44%、重度群8.23%であった。・自殺念慮のレベルに応じたMDD患者サンプルを層別化したところ、自殺念慮なし群と比較し、軽度~中等度群では、以下の社会人口統計学的、心理社会的、臨床的な因子が特定された。 ●抑うつ症状の重症度 ●治療抵抗性 ●精神病性特徴 ●一般的な併用薬・重度群のみで認められた因子は、以下のとおりであった。 ●入院治療 ●抗精神病薬およびベンゾジアゼピンによる増強療法 ●メランコリックな特徴 ●併存身体疾患 著者らは「軽度~中等度の自殺念慮でさえ、治療反応を達成できないことに関連しているため、実臨床においては、これらの因子を十分に考慮する必要がある」としている。■関連記事自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か思春期の少年少女における自殺念慮の予測自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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抗精神病薬使用と乳がんリスク

 一部の抗精神病薬は、プロラクチンレベルを上昇させ、乳がんリスクを高める可能性がある。これまでのエビデンスは、矛盾しており、とくに第2世代抗精神病薬の使用に関するデータは不十分である。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らは、抗精神病薬使用と乳がん発症との関連についての全国規模のケースコントロール研究を実施した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年6月1日号の報告。 Danish Cancer Registryより、2000~15年に乳がんの初回診断を受けた女性患者6万360例を抽出した。各症例について、女性対照群10集団を年齢とマッチさせた。抗精神病薬使用に関連する乳がんのオッズ比(OR)は、条件付きロジスティック回帰を用いて算出した。第1世代および第2世代抗精神病薬ならびにプロラクチン上昇作用により、抗精神病薬を層別化した。 主な結果は以下のとおり。・乳がんの初回診断を受けた女性患者の8.1%(4,951例)、対照群の7.1%(4万7,643例)に抗精神病薬が使用されていた。・抗精神病薬の長期使用(オランザピン換算1万mg以上)が乳がんと関連しており、調整ORは1.18(95%CI:1.06~1.32)であった。・弱い用量反応パターンが認められ、オランザピン換算5万mg以上でORが1.27(95%CI:1.01~1.59)に増加した。・第1世代(OR:1.17)および第2世代抗精神病薬(OR:1.11)でも同様な関連が認められた。また、非プロラクチン誘発性抗精神病薬においても同様であった(OR:1.17)。・エストロゲン受容体の状態により層別化したところ、エストロゲン受容体陽性のがんでは正の相関が認められたが(長期使用OR:1.29、95%CI:1.13~1.47)、エストロゲン受容体陰性のがんについては関連が認められなかった。 著者らは「全体として、抗精神病薬の使用と乳がんリスクとの間に臨床的に重要な関連性が認められなかった。薬剤誘発性プロラクチン上昇の重要性は不明であるが、エストロゲン受容体陽性の乳がんリスクがわずかではあるが上昇する可能性がある」としている。■関連記事リスペリドン使用で乳がんリスクは上昇するか抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は乳がんの手術方法とうつ病発症に関するメタ解析

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治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究

 うつ病の治療では、しばしばその後の介入が必要となる。抗うつ薬治療により寛解が得られない患者は、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)といわれる。どのような患者がTRDを発症するか予測することは、医療従事者がより効果的な治療を決定するうえで重要である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、医療保険データベースを用いて、実臨床におけるTRDの予測因子の特定を試みた。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月22日号の報告。 本レトロスペクティブコホート研究は、躁病、認知症、精神病の診断のない新たにうつ病と診断された成人患者を対象に、米国医療保険データベースを用いて実施した。抗うつ薬投与日をインデックス日とした。アウトカムはTRDとし、その定義は、インデック日から1年以内に3種類以上の抗うつ薬治療または抗うつ薬治療後の抗精神病薬治療を行った場合とした。予測因子は、年齢、性別、医学的症状、医薬品、インデック日から1年前の対処とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者23万801例のうち、1年以内にTRDが認められた患者の割合は10.4%であった。・ベースライン時のTRD患者は非TRD患者より若い傾向にあり、18~19歳の割合は10.87% vs.7.64%であった(リスク比=1.42、95%CI:1.37~1.48)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に不安障害を有する可能性がより高かった(リスク比:1.38、95%CI:1.35~1.41)。・疲労感が、最も高いリスク比を示した(リスク比:3.68、95%CI:3.18~4.25)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛がより頻繁に認められた。 著者らは「新規にうつ病と診断され治療を受けた患者の10%において、1年以内にTRDが認められた。TRD患者は、非TRD患者よりも若く、疲労感、物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛をより頻繁に有していた」としている。■関連記事リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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抗精神病薬治療6週間以上の統合失調症患者における灰白質の変化と臨床的改善との関係

 横断的および縦断的研究により、統合失調症における、広範な灰白質量(GMV)の減少(とくに前頭葉)が報告されている。中国・北京大学第6病院のXiao Zhang氏らは、統合失調症患者における灰白質の変化と臨床的改善との関連について検討を行った。Neuroscience bulletin誌オンライン版2018年5月19日号の報告。 対象は、統合失調症患者40例と、年齢、性別、教育をマッチさせた健康な対照31例。ベースラインおよび6週間後に、MRIスキャン、臨床評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・6週間のフォローアップ期間中に、患者群において内側前頭皮質吻側(rMFC、前帯状皮質を含む)における進行性GMV減少を確認した。・rMFCにおけるベースラインGMVが高いほど、PANSSの陽性症状尺度の良好な改善が予測され、これは実際のモニタリングにおける改善と関連している可能性がある。・さらに、後側rMFCにおけるベースラインGMVが高いほど、全般症状の良好な寛解が予測され、この領域におけるGMV低下が少ないことは陰性症状のより良い寛解と相関しており、おそらくは改善された自己参照処理や社会的認知と関連している。・また、より短い罹病期間および高い教育水準は、PANSSの総合精神病理評価尺度のより良い改善に寄与し、家族歴はPANSSの陰性症状尺度および総スコアと負の関連が認められた。 著者らは「これらの現象は、統合失調症の症状の根底にある神経病理学的メカニズムを理解し、臨床決定を行ううえで重要であると考えられる」としている。■関連記事統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学統合失調症患者の脳活性、リスペリドン vs. アリピプラゾール統合失調症と自閉スペクトラム症における白質代謝率の増加

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受胎期の父親の抗うつ薬使用、子供への影響は?/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のAlexander Viktorin氏らによる前向きコホート研究で、受胎前後での父親の抗うつ薬使用は、生まれてくる子供の4つの主要有害アウトカム(未熟児出産、先天異常、自閉症、知的障害)に関して安全であることが示された。これまで、妊娠中の母親の抗うつ薬使用については大規模に調査が行われている。その結果、抗うつ薬治療が精子に悪影響を及ぼす可能性を示唆する研究があったが、受胎時の父親の抗うつ薬治療についてはほとんど注目されていなかった。BMJ誌2018年6月8日号掲載の報告。受胎期に服用、妊娠期以後に服用、非服用を比較 研究グループは、回帰分析を用いた陰性対照と比較した観察的な前向きコホート研究で、受胎時期の父親の抗うつ薬使用と、生まれてくる子供の有害アウトカムとの関連を調べた。スウェーデン全国から2005年7月29日以降に妊娠、2006~07年に生まれた小児17万508例を対象とした。 同対象のうち父親が受胎期(受胎前4週~受胎後4週)に抗うつ薬治療を受けていたのは3,983例で、同治療を受けていない(非曝露)群は16万4,492例、父親が受胎期間中抗うつ薬を服用していないが妊娠期(受胎後4週~出産)に同治療を開始(陰性対照比較)群は2,033例であった。 主要評価項目は、未熟児出産、誕生時に先天異常と診断、自閉症スペクトラム障害の診断、知的障害の診断であった。未熟児出産、先天異常、自閉症、知的障害との関連はみられず ロジスティック回帰分析を用いた非曝露群との比較検討で、受胎時期の父親の抗うつ薬使用は、未熟児出産(補正後オッズ比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.79~1.04)や先天異常(同:1.06、0.90~1.26)と関連性は認められなかった。また、Cox回帰分析を用いた検討で、受胎時期の父親の抗うつ薬使用は自閉症(補正後ハザード比:1.13、95%CI:0.84~1.53)や知的障害(0.82、0.51~1.31)と関連性はなかった。 妊娠期に抗うつ薬治療を開始した父親の子供についても、知的障害以外のアウトカムは類似していた。知的障害については補正後ハザード比の上昇がみられた(1.66、1.06~2.59)。 受胎期に抗うつ薬を使用した父親の子供3,983例は、妊娠期に抗うつ薬治療を開始した父親の子供2,033例と比較して、未熟児出産(1.09、0.86~1.37)、先天異常(0.98、0.70~1.20)、自閉症(0.79、0.50~1.27)について差はみられなかったが、知的障害についてはリスクの減少がみられた(0.49、0.26~0.93)。 著者は、「今回の結果は、公衆衛生業務をアシストし、患者や医師に計画的な妊娠における抗うつ薬使用の有無についての意思決定の助けとなり、受胎期の抗うつ薬服用を予定している父親の懸念を軽減することになるだろう」と述べている。一方で、今回のトピックに関する研究は限定的で、因果関係は明らかになっておらず、すべての個人や集団に普遍化できるとは限らないとしている。

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うつ病や身体活動と精液の質との関連

 行動および心理社会的要因は、精液の質の低下と関連している。しかし、うつ病や身体活動と精液の質との関連については、よくわかっていない。中国・第3軍医大学のPeng Zou氏らは、中国人大学生におけるうつ病および身体活動と精液の質との関連について検討を行った。Psychosomatic medicine誌オンライン版2018年5月24日号の報告。 2013年6月に中国人男子大学生587例よりデータを収集した。参加者に対し、ライフスタイル因子、Zung自己評価式抑うつ尺度(SDS)、身体活動に関する3項目を評価するため、アンケートを実施した。参加者は、身体検査を受け、生殖ホルモン(テストステロン、エストロゲン、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン)を確認するための精液サンプルおよび血液サンプルを提供した。 主な結果は以下のとおり。・高いうつ病スコアを有する男性(63例、10.7%)は、非うつ病男性よりも精子濃度が低く(66.9±74.5 vs.72.6±56.9[10/mL]、p=0.043)、精子総数が少なかった(241.6±299.7 vs.257.0±204.0[10/mL]、p=0.024)。・身体活動レベルの低い男性(99例、16.9%)は、活動レベルの高い男性よりも精子総数が少なかった(204.4±153.7 vs.265.8±225.8[10/mL]、p=0.017)。・潜在的な交絡因子で調整した後、うつ病男性は、非うつ病男性よりも精子濃度が18.90%(95%CI:1.14~33.47%)低く、精子総数が21.84%(95%CI:3.39~36.90%)少なかった。・身体活動レベルの低い男性は、活動レベルの高い男性よりも精子総数が23.03%(95%CI:2.80~46.89%)少なかった。・うつ病と身体活動との間に、精子濃度の相互作用効果が検出された(p=0.033)。・うつ病や身体活動と生殖ホルモンとの間に、有意な関連は認められなかった(p>0.05)。 著者らは「うつ病や低レベルの身体活動は、精液の質の低下と関連しており、リプロダクティブヘルス(生殖に関する健康)に影響を及ぼす可能性がある」としている。■関連記事米国の生殖可能年齢の女性におけるうつ病有病率少し歩くだけでもうつ病は予防できる女子学生の摂食障害への有効な対処法

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日本人思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性

 東海大学の松本 英夫氏らは、日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。 6週間のランダム化二重盲検用量比較試験において、思春期統合失調症患者(13~17歳)をアリピプラゾール2mg/日群、6~12mg/日群、24~30mg/日群にランダムに割り付けた。6週間の試験終了後、対象患者は52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験(初回用量:2mg/日、維持用量:6~24mg/日、最大用量:30mg/日)に移行した。 主な結果は以下のとおり。【6週間のランダム化二重盲検用量比較試験】・治療を完了した患者の割合は、2mg/日群で77.1%(35例中27例)、6~12mg/日群で80.0%(30例中24例)、24~30mg/日群で85.4%(41例中35例)であった。・ベースラインからエンドポイントまでのPANSS総スコアの最小二乗平均変化量は、2mg/日群で-19.6、6~12mg/日群で-16.5、24~30mg/日群で-21.6であった。・いずれの群においても20%以上で認められた治療下で発現した有害事象(TEAE)は、悪心、アカシジア、不眠、傾眠であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。【52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験】・治療を完了した患者の割合は、60.3%(68例中41例)であった。オープンラベル試験開始時から52週までのPANSS総スコアは、7.9減少した。・20%以上で認められたTEAEは、鼻咽頭炎と傾眠であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。 著者らは「日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの短期および長期治療は、安全かつ十分な忍容性を有することが示唆された」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験

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カフェインの早期曝露と喫煙やアルコール使用障害との関連

 小児・思春期でのカフェイン摂取は、悪影響を伴うにもかかわらず、中学生の間で広まっている。横断的研究によると、カフェイン摂取と他の物質使用障害との関連が明らかになっている。しかし、カフェイン摂取によって物質使用障害に対する脆弱性が高まる可能性については、プロスペクティブな調査が行われていない。米国・ウエストバージニア大学のAlfgeir L. Kristjansson氏らは、ベースライン時のカフェイン摂取は、アルコール摂取、酩酊、喫煙、電子タバコ使用の増加と正の相関があるとの仮説を検証した。Addiction誌オンライン版2018年4月30日号の報告。 ベースラインをフォローアップから分離した12ヵ月のプロスペクティブコホート研究を行った。ウエストバージニア州の3つの群の中学生(第6学年、第7学年)3,932例を対象に、ベースライン時およびフォローアップ12ヵ月後のデータを収集した。対象者は、複数の出どころ(たとえば、ソーダ、エナジードリンク、コーヒー、紅茶)からのカフェイン摂取、喫煙、電子タバコ使用、アルコール摂取、酩酊について自己報告を行った。 主な結果は以下のとおり。・各物質使用カテゴリの交差遅延モデルは、データに適していた。・ベースライン時の人口統計変数および他の物質使用でコントロールした後、T1におけるカフェイン摂取は、T2における喫煙(β=0.27、p=0.001)、電子タバコ使用(β=0.21、p=0.001)、アルコール摂取(β=0.17、p=0.001)、酩酊(β=0.15、p=0.001)と正の相関が認められた。・逆に、T1における4つの物質のうちの3つと、T2におけるカフェイン摂取との間に、有意な関連は認められなかった。・T1における電子タバコ使用とT2におけるカフェイン摂取との間に、正の相関が認められた(β=0.07、p=0.006)。・これらの知見は、すべての物質を含むオムニバスモデルにより支持された。具体的には、T1におけるカフェイン摂取とT2におけるすべての物質使用アウトカムとの間に有意な関連が認められたが、時間が経過すると有意な関連は認められなかった。 著者らは「中学生世代の青少年におけるカフェイン摂取は、他の物質使用障害を早期に促進する可能性がある」としている。■関連記事青年期の喫煙、電子タバコ使用開始とADHD症状との関連統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意小児および青年期の重度な精神疾患発症率と薬理学的治療

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若者の約4割がネット依存…精神症状との関連は?:日本の大学生

 日本の大学生の約4割は、インターネットによって生活に問題がもたらされているという研究結果が、慶應義塾大学の北沢 桃子氏らによって報告された。筆者らは、その予測要因として、女性であること、年齢が高いこと、睡眠不足、ADHD傾向、うつ病、不安傾向が挙げられるとした。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2018年4月13日号に掲載。 最近、インターネットの利用が人にどのような悪影響を及ぼすかという研究が重要視されているが、日本の青少年への影響については十分なデータが得られていなかった。そこで、本研究では、日本の5つの大学に在籍する学生に対してインターネット依存度テスト(IAT:Internet Addiction Test)を実施し、有効回答人数1,258人のインターネット依存度を評価した。また、睡眠の質、ADHDの傾向、抑うつ、不安症状についても聞き取りを行った。 主な結果は以下のとおり。・回答者全体の38.2%が「インターネットによる問題あり」に分類された。・女性は、男性よりも「インターネットによる問題あり」に分類される傾向が有意に高かった(男性35.2%、女性40.6%、p=0.05)。・「インターネットによる問題あり」に分類された群は、分類されなかった群と比較して、以下の項目で有意な差が認められた。 インターネット利用時間が長い(p<0.001) 睡眠の質が低い(p<0.001) ADHD傾向が強い(p<0.001) うつ病スコアが高い(p<0.001) Trait-Anxietyスコアが高い(p<0.001)・「インターネットによる問題あり」のリスク上昇に寄与した要因は、女性(OR=1.52)、年齢が高い(OR=1.17)、睡眠不足(OR=1.52)、ADHD傾向(OR=2.70)、うつ病OR=2.24)、不安傾向(OR=1.43)であった。

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新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」【下平博士のDIノート】第3回

新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」今回は、「ブレクスピプラゾール錠1mg/2mg(商品名:レキサルティ)」を紹介します。本剤は、セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)と呼ばれる新しいタイプの非定型抗精神病薬で、統合失調症の治療継続に影響を及ぼす代謝性障害や錐体外路系症状を軽減し、陽性症状・陰性症状・認知機能障害を改善することが期待されています。<効能・効果>統合失調症の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月18日より販売されています。本剤は、セロトニン5-HT1A受容体およびドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして働き、またセロトニン5-HT2A受容体に対してはアンタゴニストとして働きます。<用法・用量>通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて1日1回2mgへ増量します。なお、海外では1日4mgまで処方可能ですが、有効性は確立していないため、わが国においては2mgが維持量です。本剤は主にCYP2D6およびCYP3A4で代謝されますので、CYP2D6阻害薬(キニジン、パロキセチンなど)、強いCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合や、CYP2D6の活性が欠損している患者では以下の用量調節が規定されています。《1回1mgを1日1回》CYP2D6阻害薬および強いCYP3A4阻害薬の両方を併用する場合CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者で、強いCYP3A4阻害薬を併用する場合<臨床効果>統合失調症患者458例を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、本剤2mgを1日1回6週間投与した結果、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総スコアのベースラインからの変化量は、プラセボが-7.63±2.11であったのに対し、本剤は-14.95±2.00と有意な改善を示しました(p=0.0124)。なお、日本人患者を対象とした長期投与試験において、52週にわたり精神病症状の改善が維持されました。<副作用>国内の臨床試験において、臨床検査値の異常を含む副作用が578例中233例(40.3%)に認められています。主な副作用は、アカシジア(5.7%)、高プロラクチン血症(4.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気持ちの高ぶりや不安感を鎮めるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。2.治療を開始した直後や再開・増量したときに、めまい、立ちくらみなどが現れることがあります。症状が続く場合や、重度の場合は相談してください。3.血糖値が上がることがあるので、激しい喉の渇きを感じたり、尿の回数や量が増えたりしたら連絡してください。4.眠気、注意力の低下が起こる可能性があるので、自動車の運転など危険を伴う操作は行わないようにしてください。5.興奮しやすい、他人に敵意を持つ、自分がすごい人だと思うような気分になった場合は相談してください。<Shimo's eyes>第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)は、第1世代抗精神病薬(定型抗精神病薬)に比べて、アカシジアなどの錐体外路症状が比較的軽減されています。しかし、非定型抗精神病薬においても、体重増加、高脂血症や糖尿病などの代謝性障害などによって治療を中断せざるを得ないことがありました。セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)に分類されるブレクスピプラゾールは、セロトニン系の受容体へ強く作用することで、統合失調症における陰性症状(意欲減退、感情鈍麻など)の改善が期待できます。一方、ドパミンD2受容体には部分アゴニストとして働き、ドパミンを適度に調節することから、陽性症状(幻覚、妄想など)への効果も期待でき、 錐体外路症状の軽減が見込まれます。海外の製造販売後調査において、本剤服用中に賭博に対する激しい衝動が発現して制御できない可能性があると報告されています。頻度は低いですが、衝動的で強迫的な制御不能の性欲亢進、消費行動、暴食・過食などの報告もあります。患者さんには異常な行動であるという認識がない可能性があるので、薬剤師がこのような徴候を察知したら、すぐに医師に報告して今後の対応を相談しましょう。

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統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症に対する抗認知症薬と抗精神病薬の併用(ADD+AP)に関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年5月14日号の報告。 有効性と安全性の主要アウトカムは、それぞれ、全体的な症状改善(PANSS、BPRS)と全原因による治療中止とした。他のアウトカムは、精神病理学的サブスケール(陽性症状、陰性症状、総合精神病理、不安/抑うつ症状)、認知機能(注意/警戒、推論/問題解決、社会的認知、処理速度、言語学習、視覚学習、作業記憶、認知制御/実行機能)、MMSEスコア、有害事象および効果不十分による治療中止、各有害事象とした。ランダムエフェクトモデルを用いて、エフェクトサイズを評価した。 主な結果は以下のとおり。・37研究、1,574例が抽出された。ベースとなった薬剤ごとの内訳は、ドネペジル14件(568例)、ガランタミン10件(371例)、リバスチグミン4件(146例)、メマンチン9件(489例)であった。・プールされたADD+AP治療は、プラセボ+AP治療よりも、以下の項目において優れていた。●全体的な症状改善(24研究、1,069例、標準平均差:-0.34、95%CI:-0.61~-0.08、p=0.01)●陰性症状(24研究、1,077例、標準平均差:-0.62、95%CI:-0.92~-0.32、p=0.00018)●MMSEスコア(7研究、225例、標準平均差:-0.79、95%CI:-1.23~-0.34、p=0.0006)・その他のアウトカムに関して、ADD+AP治療とプラセボ+AP治療の間に、有意な差は認められなかった。 著者らは「統合失調症に対するADD+AP治療は、陰性症状およびMMSEスコアの改善を示唆するが、その効果は、小規模な研究やバイアスの影響を受けている可能性がある。また、MMSEスコアよりも認知障害をよりシステマティックに評価できる複合認知テストスコアの改善は認められなかった。全体として、ADD+AP治療は良好な忍容性を示した」としている。■関連記事統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬

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日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性

 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、日本人急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性について、プラセボと比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。 日本における第II/III相試験として、6週間の多施設二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。急性期統合失調症患者を対象に、ブレクスピプラゾール1、2、4mg/日またはプラセボ群にランダムに割り付けた。主要評価項目は、ベースラインから6週目におけるPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)総スコアの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化された459例において、プラセボと比較し、以下の変化が認められた。 ●ブレクスピプラゾール2mg/日群 有意な改善(治療差:-7.32、p=0.0124) ●ブレクスピプラゾール4mg/日群 改善(治療差:-3.86、p=0.1959) ●ブレクスピプラゾール1mg/日群 最も少ない変化(治療差:-0.63、p=0.8330)・ブレクスピプラゾール群において、発現率が5%以上およびプラセボと比較し2倍以上であった治療下で発現した有害事象(TEAE)は、嘔吐、血中プロラクチン上昇、下痢、悪心、う蝕であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度~中等度であった。・ブレクスピプラゾール群では、心電図パラメータ、体重、検査値、バイタルサインの臨床的に有意な変化は認められなかった。 著者らは「日本人成人の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール治療は、有効かつ忍容性が良好であった」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール

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