サイト内検索|page:72

検索結果 合計:2923件 表示位置:1421 - 1440

1421.

統合失調症に対する第2世代抗精神病薬持効性注射剤の治療結果

 統合失調症患者における、第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型持効性注射剤(LAI)による治療と、再発、精神科への入院、入院日数、故意による自傷行為の回数および入院関連費との関連について、デンマーク・オールボー大学のRene Ernst Nielsen氏らが、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2018年7月10日号の報告。 本調査は、SGA LAI開始前後におけるミラーイメージモデルを用いた、全国人口ベースのレトロスペクティブ研究として実施された。 主な結果は以下のとおり。・調査母集団には、1万509例が含まれた。分析対象患者は、6ヵ月間で2,223例、12ヵ月間で1,383例、24ヵ月間で713例であった。・LAI開始後、再発回数の減少が認められた。発生率比(IRR)は、6ヵ月間で0.60、12ヵ月間で0.64、24ヵ月間で0.64であった(すべてp<0.001)。・精神科への入院の回数も、同様に減少が認められた。IRRは、6ヵ月間で0.59、12ヵ月間で0.60、24ヵ月間で0.64であった(すべてp<0.001)。・精神科への入院日数においても、6ヵ月間で58日、12ヵ月間で100日、24ヵ月間で164日の減少が認められた(すべてp<0.001)。・LAI開始患者におけるCox回帰モデルでは、診断時の年齢が高く(HR:0.99、95%CI:0.98~0.99、p<0.001)、診断された年が遅くなる(HR:0.99、95%CI:0.98~1.00、p<0.05)と再発率がより低かった。また、主に精神医学的合併症(HR:1.07、95%CI:1.04~1.11、p<0.001)や心血管疾患(HR:1.12、95%CI:1.01~1.26、p<0.05)では、再発との関連が認められた。 著者らは「本デザインが因果関係に関する推論を考慮していないとしても、本知見は、SGA LAIの使用を支持するものである」としている。■関連記事2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは統合失調症薬物治療、LAIは早く使うべきなのかパリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

1422.

シフト勤務と認知症発症リスクに関するコホート研究

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のKathleen Bokenberger氏らは、Swedish Twin Registry(STR)より2つの集団ベースコホートにおけるシフト勤務と認知症との関連について調査を行った。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年8月3日号の報告。 対象は、STR1973サンプルおよびScreening Across the Lifespan Twin(SALT)サンプル。STR1973サンプルの参加者(1926~43年生まれの1万3,283人)には、1973年時点でのシフト勤務状況(経験あり/なし)と期間(年)について、郵送によるアンケートを実施した。SALTサンプルの参加者(1900~58年生まれの4万1,199人)に対しては、1998~2002年の夜間勤務状況と期間について、電話による聞き取りを行った。 認知症診断は、Swedish Patient Registerより行った。Cox比例ハザード回帰を用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。調整モデルには、年齢、性別、教育、糖尿病、心血管疾患、脳卒中などの潜在的交絡因子が含まれた。遺伝子型サブサンプル(STR1973:2,977例、SALT:1万366例)においては、APOEε4の状態を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・STR1973サンプルでは、追跡中央期間41.2年後に983例(7.4%)の認知症症例が確認された。・SALTサンプルでは、追跡中央期間14.1年後に1,979例(4.8%)の認知症症例が確認された。・シフト勤務(HR:1.36、95%CI:1.15~1.60)および夜間勤務(HR:1.12、95%CI:1.01~1.23)は、認知症発症の上昇と関連が認められた。・用量反応関係がわずかに認められ、長期間のシフト勤務や夜間勤務により認知症リスクが増加することが予測された。・APOEε4キャリアでは、シフト勤務や夜間勤務を20年以上行った人は、日中勤務者と比較し、認知症リスクが高かった。 著者らは「夜間を含むシフト勤務を行っている人は、そうでない人と比較し、認知症発症リスクの増加と関連が認められた。本調査結果は、さらなる確認が必要である」としている。■関連記事長時間労働やシフト作業は認知症発症に影響するか小児期のストレスと将来の認知症発症との関連季節農家の労働者はうつ病になりやすいのか

1423.

世界61ヵ国のタバコ依存症治療ガイドラインの調査

 英国・ノッティンガム大学のKapka Nilan氏らは、世界保健機関(WHO)のタバコ規制枠組み条約(FCTC)第14条およびそのガイドラインに従って、各国のタバコ依存症治療ガイドライン内容を評価し、その内容と国の所得水準との関連性について評価を行った。Addiction誌2018年8月号の報告。 本研究は、2016年3月~7月にオンライン調査にて実施された横断研究。対象国は、以前の調査においてガイドライン策定を表明していた、またはこれまで調査されていなかった77ヵ国(FCTC締約国:68ヵ国、署名国6ヵ国、非締約国:3ヵ国)。ガイドラインの内容、主要な提言、執筆、普及に関する9項目のアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・63ヵ国(82%)から回答が得られた。そのうち、61ヵ国はガイドラインを有していた。・大半は、医師(93%)、プライマリケア(92%)、看護師(75%)のためのものであった。・すべてにおいて短時間支援(brief advice)が推奨されており、主な内容は、医療記録に喫煙歴を記録(82%)、ニコチン置換療法(98%)、クイットライン(電話での無料禁煙相談)(61%)、テキストメッセージ(31%)、専門医の集中的な支援(87%)、医療従事者による喫煙しないことの重要性の強い主張(54%)であった。・普及戦略は57%でしか認められず、62%は5年以上更新歴がなかった。・高所得国と比較し、高中所得国のガイドラインでは、クイットラインが推奨される傾向が低く(OR=0.15、95%CI:0.04~0.61)、低中所得国では、専門医の集中的な支援が推奨される傾向が低かった(OR=0.01、95%CI:0.00~0.20)。・ガイドラインの更新は、国の所得水準と正の相関が認められた(p=0.027)。 著者らは「2016年に評価された61ヵ国のタバコ依存症治療ガイドラインのほとんどは、WHO FCTC第14条に則っており、国の所得水準による有意差は認められなかった。しかし、ガイドラインの更新、優れた執筆者の起用、普及戦略の推進において、改善が必要である」としている。■関連記事禁煙補助薬として抗うつ薬は有用なのか統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか青年期の喫煙、電子タバコ使用開始とADHD症状との関連

1424.

小児うつ病治療のランダム化プラセボ対照試験のアップデート

 大うつ病性障害(MDD)に対する抗うつ薬治療は、過去10年間に多数のプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)が報告されており、引き続き関心が集まっている。米国・ハーバード大学医学大学院のMartha J. Ignaszewski氏らは、2007 Bridgeメタ解析以降に更新された文献レビューを行い、治療緊急性の高い自殺傾向の予兆について、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS:Columbia Suicide Severity Rating Scale)を用いて、安全性データの再評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2018年7月31日号の報告。 PubMedより、2007年以降に報告されたRCTの論文とその補足資料を検索し、文献レビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・治療群およびプラセボ群の治療反応率の高い7つの試験(企業スポンサー:5件、NIMHによる助成:1件、その他:1件)が、本システマティックレビューに含まれた。・fluoxetineとエスシタロプラムによる治療のみが、統計学的に有意であった。・fluoxetineは、プラセボ群と比較し、継続治療によるMDD再発予防のオッズ比が3.2であり、再発予防効果が認められた。・CSSR-Sをシステマティックに用いて自殺率を測定した試験では、抗うつ薬治療による治療緊急性の高い自殺傾向の増加は認められなかった。 著者らは「小児うつ病患者では、抗うつ薬治療群とプラセボ群において同様の反応が示されており、最近の研究においても、より新しい抗うつ薬治療がプラセボよりも明らかに有用であるとの結果は認められなかった。これらのエビデンスでは、fluoxetineとエスシタロプラムを第1選択治療薬として支持し続けており、再発予防効果も実証されている。これまでの有害事象データを用いた自殺の予兆増加を示唆する研究とは対照的に、治療緊急性の高い自殺傾向は、抗うつ薬治療群とプラセボ群で同様であることが、新しい評価尺度により明らかとなった。抗うつ薬治療は全般的に安全であり、小児において十分に許容される」としている。■関連記事思春期の少年少女における自殺念慮の予測大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病診断後の小児および青年における12ヵ月間の治療経過の変化

1425.

統合失調症における不眠症の治療選択

 不眠症は、統合失調症に共通する特徴である。いくつかの研究において、統合失調症患者の睡眠に対する特定の薬剤の影響について報告されているが、実臨床における不眠症治療に関して十分に根拠のある推奨はない。ポルトガル・コインブラ大学のPedro Oliveira氏らは、統合失調症患者の不眠症に対する有効な治療法の経験的エビデンスを特定し、その安全性および有効性の評価を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2018年7月30日号の報告。 統合失調症患者における不眠症の治療効果を調査するため、臨床試験のシステマティックレビューを実施した。データは、MEDLINE、PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Libraryより検索を行った。個々の研究において、選択バイアス、実行バイアス、検出バイアス、症例減少バイアス、報告バイアスに関するバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は4件であった。・その内訳は、メラトニン治療2件、パリペリドン治療1件、エスゾピクロン治療1件であった。・すべてのポジティブな結果は、以下のとおりであった。●メラトニンは、睡眠効率および総睡眠持続時間を増加させた●パリペリドンは、入眠潜時を短縮させ、総睡眠時間および睡眠効率を増加させた●エスゾピクロンは、不眠症の重症度を低下させた 著者らは「統合失調症患者の不眠症に対し、メラトニン、パリペリドン、エスゾピクロンによる治療は有効な選択肢であると考えられる」としている。■関連記事統合失調症への睡眠薬使用に関するメタ解析:藤田保健衛生大統合失調症患者の睡眠状態を検証抗精神病薬誘発性傾眠、薬剤間の違いは

1426.

第2回 プラバスタチンの処方/カモスタットの処方/クエチアピンの処方と検査/肝硬変での検査【レセプト査定の回避術 】

事例5 プラバスタチンの処方脂質異常症の重症患者に、プラバスタチン10mg 2錠を処方した。●査定点プラバスタチン10mg 1錠が査定された。解説を見る●解説添付文書で、年齢・症状により適宜増減し、重症の場合は1日20mgまで増量できることになっていましたが、レセプトに「重症」のコメントが追記されていませんでした。コメントとして「重症」が求められます。事例6 カモスタットの処方逆流性食道炎の患者に、カモスタット100mg 6錠を処方した。●査定点カモスタット100mg 6錠が査定された。解説を見る●解説(1)カモスタットの添付文書で「カモスタット100mg 6錠」の傷病名は「慢性膵炎における急性症状の緩解」のため査定されました。(2)「逆流性食道炎」では、カモスタットの処方は認められていません。「術後」の「逆流性食道炎」では認められています。なお、「術後逆流性食道炎」では、カモスタット100mg 3錠の処方となります。事例7 クエチアピンの処方と検査統合失調症でクエチアピン錠25mg 3錠を継続処方している患者に、HbA1c検査を施行した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説統合失調症にクエチアピン錠を投与すると、添付文書の「重要な基本的注意」で「著しい血糖値の上昇から、糖尿病検査」が求められています。このような場合には、糖尿病の疑いを追記するのではなく、「患者は『クエチアピン錠投与により著しい血糖値の上昇』を受けやすく、添付文書の【重要な基本的注意】によりHbA1c検査施行を必要とした」と症状詳記することが望ましいといえます。事例8 肝硬変での検査肝硬変でヘパプラスチンテストを施行した。●査定点ヘパプラスチンテストが査定された。解説を見る●解説ヘパプラスチンテストの保険請求では、「他の検査で代替できない理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」となっています。コメントの記載がないため査定されています。

1427.

日本におけるクロザピン使用の安全性分析

 CNS薬理研究所の稲田 健氏らは、日本の統合失調症患者におけるクロザピン使用とそれに伴う副作用について調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2018年8月号の報告。 2009年7月~2016年1月に、クロザリル患者モニタリングサービスに登録されたデータを分析した。クロザリル患者モニタリングサービスは、2009年に日本に導入され、クロザピンの処方を受けたすべての日本人患者を登録している。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、3,780例であった。・治療中止率は、23.9%(869例)であった。・平均投与期間は234.9±306.9日(中央値:115日)、平均投与量は186.41±151.6mg/日であった。・治療継続率は、1年後で78.2%、2年後で72.9%であった。・好中球減少症/白血球減少症の発生率は、5.4%(206例)であった。・投与中止前の平均投与量は、233.36±168.15mg(中央値:200mg、範囲:4~600mg)であった。・耐糖能異常の発生率は、15.4%(583例)であった。・耐糖能異常が発生した患者は、クロザピン投与前後で98例(2.67%)、クロザピン投与後で485例(12.8%)であった。・投与開始から耐糖能異常が発生するまでの平均期間は、382.2±420.2日(中央値:216日、範囲:4~2,053日)であった。 著者らは「本研究で得られたデータ(とくにクロザピン誘発性の有害事象の発生データ)は、日本人の治療抵抗性統合失調症患者における、最適かつ安全なクロザピン使用を可能とするだろう」としている。■関連記事治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのかクロザピン関連遅発性ジスキネジアへの低用量アリピプラゾールクロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院

1428.

日本人統合失調症患者に対するオランザピン使用と安静時心拍数への影響

 抗精神病薬(ATP)が頻脈を引き起こすことは、ずいぶん前から知られていたが、ATPの違いによってどのような変化が生じるかなどの詳細は、よくわかっていない。近年、一般集団において、安静時心拍数(RHR)の上昇と死亡リスクの増加との関連が注目されている。新潟大学の田尻 美寿々氏らは、オランザピン(OLZ)とアリピプラゾール(ARP)がRHRに与える作用の違いについて調査を行った。PLOS ONE誌2018年7月17日号の報告。 研究1では、統合失調症外来患者19例を対象に、OLZからARPへの切り替え時のRHRの変化を評価した。研究2では、統合失調症外来患者29例を対象に、OLZ開始用量からOLZ最終用量時のRHRの変化を評価した。RHRの分析には、心電図測定値を用いた。また同日に、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を評価し、電解質検査を行うために、1晩絶食(8時間以上)後の空腹時血液サンプルを採取した。両研究は、新潟大学倫理審査委員会の承認を得て実施され、新潟大学医歯学総合病院の精神科外来で治療が行われた。すべての患者は、DSM-IV-TRに基づき統合失調症と診断された。 主な結果は以下のとおり。・研究1では、OLZ用量(平均±SD)14.6±9.2mgからARP用量20.8±8.1mgへ切り替えられた。・ARPに切り替え後、平均RHRの有意な減少が認められた(73.7±9.7回/分 vs.65.8±10.9回/分、p=0.008)。・研究2では、OLZ開始用量(平均±SD)7.2±3.2mgであり、最終的に用量は18.3±7.4mg増加した。・OLZ増量後、平均RHRの有意な上昇が認められた(69.7±14.0回/分 vs.75.6±14.3回/分、p=0.004)。 著者らは「OLZはARPと比較し、RHR増強作用がより強く、その作用は用量依存的であることが示唆された。RHRの上昇が統合失調症患者の死亡率を増加させるとするならば、強力な抗コリン作用を有する第2世代抗精神病薬やフェノチアジン系抗精神病薬のRHRに対する作用に関して、ATP間での差異をさらに調査する必要があるだろう」としている。■関連記事第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

1429.

精神的危機に直面した人々へのセルフマネジメント介入は有効か/Lancet

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSonia Johnson氏らは、精神的危機(mental health crisis)に直面し、在宅での集中的治療を提供する精神的危機解決チームによるサポートを終えた人々について、ピアサポート専門員の助けを借りたセルフマネジメント介入が、急性期ケアの再入院率を低下するかを検証した。精神保健サービスにとって、回復サポートに焦点を合わせ、急性期治療へ高度専門治療を提供することは課題の1つとなっている。精神的危機に直面した人々の再発は一般的となっており、そのような再発予防に対して、セルフマネジメントの介入効果を支持するエビデンスはあるが、危機を脱した人の再入院に関する効果は検証されていなかった。Lancet誌2018年8月4日号掲載の報告。ピアサポート専門員の支援有無で無作為化、1年以内の再入院率を評価 研究グループは、英国の6つの精神的危機解決チームから参加者を募り、無作為化優越性試験で検討した。適格参加者は、精神的危機解決チームにより1週間以上対象者として登録されており、インフォームド・コンセントに応じられる人とした。 参加者は、非マスキングのデータ管理者によって介入群または対照群に無作為に割り付けられた。被験者のデータ収集・解析者は割り付けをマスキングされたが、被験者は承知していた。 介入群には、ピアサポート専門員のサポートの下で受ける計10回(毎回1時間)のセッションが提供された。そこでは、ピアサポート専門員による、ワークブックを用いたパーソナル・リカバリー(パーソナル・リカバリーの目標設定や、危機後のコミュニティ機能やサポートネットワークを再構築するプラン作成など)を完了するサポートが行われた。一方、対照群には郵送でパーソナル・リカバリー・ワークブックが提供された。 主要評価項目は、1年以内の急性期ケア(急性期入院病棟、危機解決チーム、クライシスハウス、急性期デイケアサービスなど)への再入院率であった。副次評価項目は、再入院の日数および初回再発までの期間で、4ヵ月時点と18ヵ月時点で評価した。1年以内の再入院率、介入群が有意に低下 3,288例について適格性の評価が行われ、441例が介入群(221例)または対照群(220例)に無作為化された。被験者は両群ともに女性が60%で平均年齢は40歳、英国生まれ(各群80%、75%)の白人(両群ともに65%)が大勢を占め、独身者は介入群63%、対照群67%であった。臨床的診断歴は、その他/明確な診断記録なし(30%、27%)を除くと、うつ病が最も多く(23%、25%)、次いで統合失調症/統合失調感情障害(13%、15%)、双極性障害(13%、12%)。精神科入院歴は、なしが最も多く(35%、40%)、1年が24%、19%、2~5年が24%、27%などであった。精神的危機解決チームから受けたサポート期間は、1週間が最も多かった(各群50%、47%)。 本試験では、441例のうち40例はパイロット試験で登録され(2013年5月14日~11月12日)、残り401例は2014年3月12日~2015年7月3日に登録された。最終評価(18ヵ月時点の評価)は2017年2月23日に行われた。 主要アウトカムデータは、介入群218例、対照群216例から得られた。 1年以内の再入院率は、対照群(83/216例[38%])と比べて介入群(64/218例[29%])で有意に低かった(オッズ比:0.66、95%信頼区間[CI]:0.43~0.99、p=0.0438)。また、介入群は対照群と比べて再入院までの期間が有意に延長したが、再入院日数について有意差はみられず、記述的分析では介入群平均8.6日vs.対照群平均2.9日と、予想に反した結果が示された。 確認された重篤有害事象は71例(介入群29例、対照群42例)。うち55例が再入院で、11例は自殺企図、1例は殺人未遂で起訴、4例は死亡(全例対照群)であった。 著者は、「予想より入院率が低く信頼区間値がかなり広範だったが、ピアサポート専門員提供によるセルフマネジメントは、再入院率を減らすことが示された」とまとめる一方、「試験介入の複雑さが結論を限定的にしているが、この介入をルーチン設定に適用することで再入院が減るかどうかという評価は間違っていない」と述べている。

1430.

ゾルピデム処方と自動車事故リスク

 ゾルピデムは世界で最も使用頻度の高い睡眠薬の1つであるが、自動車事故などの深刻な問題を伴う可能性が報告されている。韓国・ソウル大学病院のBo Ram Yang氏らは、自動車事故の状況を考慮したうえで、ゾルピデムの処方と致死的な自動車事故との関連について評価を行った。CNS Drugs誌2018年6月号の報告。 韓国道路交通公団より得られた2010~14年の致死的な自動車事故に関するデータと健康保険データを結び付け、ケース・クロスオーバー研究を実施した。ケース期間は、致死的な自動車事故の前日と定義し、90日間隔で4つのコントロール期間をマッチさせた。条件付きロジスティック回帰分析を用いて、ゾルピデム処方に関連する致死的な自動車事故のオッズ比を算出し、オッズ比は、交絡薬物の経時的処方で調整を行った。年齢層(65歳未満または65歳以上)、チャールソン併存疾患指数(Charlson Comorbidity Index)、新規ゾルピデム処方について層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者714例において、前日のゾルピデム処方に関連する致死的な自動車事故の調整オッズ比は、1.48(95%CI:1.06~2.07)であった。・層別分析においてオッズ比が有意に増加したのは、チャールソン併存疾患指数が高い(オッズ比:1.81、95%CI:1.16~2.84)、65歳未満(オッズ比:1.62、95%CI:1.03~2.56)、新規ゾルピデム処方(オッズ比:2.37、95%CI:1.40~4.00)であった。 著者らは「本研究では、前日のゾルピデム処方は、致死的な自動車事故リスクの有意な増加と関連していた」としている。■関連記事睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

1431.

研究方法に疑問(解説:野間重孝氏)-898

 まず評者は精神疾患の専門家ではないので、うつ病そのものに関しての踏み込んだ議論はしないことをお断りして、この論文評を始めることをお許しいただきたい。 この問題を考える場合、2つの方向があることをまず考えておく必要がある。第1は、まずうつ病は冠動脈疾患(CAD)のリスクファクターであるのか否かという問題。そして、もしそうであったとしたなら、それは予後規定因子としてどのくらいの重みを持っているのか。第2は、急性冠症候群(ACS)の患者はどの程度の割合でうつ病を発症するのか。そして、うつ病を発症することが、その予後にどのような影響を与えるのかという問題の立て方である。つまり、両方向から問題が立てられるのである。ただ、ここで注意を促しておきたいのは、第1の問いが真であったとして、うつ病患者でCADに罹患したものを無作為に振り分けて、片方にうつ病の治療を続行し、もう片方にプラセボを投与するといった研究は倫理的に許されるものではなく、大規模な疫学研究の結果を待つか、結果として治療が行われたり行われなかったりしたretrospective studyのメタアナリシスを待つしかないということである。こういうところに臨床研究の限界がある。 うつ病とCADを巡る問題は、1990年代から議論が始まったが、議論は混乱するばかりでなかなか結論が得られなかった。最大の原因は一言で言えば、うつ病をどう定義するかの問題でなかなか一致点が見いだされなかったことである。確かに狭い意味ではDSM-IVにmajor depressive disorder(大うつ病と訳される)が定義されているが、抑うつ状態やいわゆる仮面うつ病まで含めて、うつ病をどの範囲でどう定義すべきかには議論が多く、現在でも一致をみていない。上記第2の問題にしても、ACSになれば将来のこと、家族のことを考えて誰しも抑うつ的になるだろう。それと持続的なうつ病とをどう区別するのか。また自分がACSを経験したことは、大抵の人には大きな心の傷となっているだろう。それをうつ状態と呼んでよいのか。問題は尽きない。 そうした混乱の中で疫学研究のまとめ、メタアナリシスにより一応の勧告に当たるものが出されたのが、2014年の米国心臓病学会によるstatementである。しかしその表現は“American Heart Association should elevate depression to the status of a risk factor for adverse medical outcome in patients with acute coronary syndrome”と、決して歯切れのよいものではなかった。実際、他の学会・団体は、まだはっきりとしたstatementを発表するには至っていない。この論文評を書くに当たって調べてみると、CADにうつ病を合併すると、心事故および致死的不整脈による死亡が3~4倍になるとの記載を見つけて、評者自身驚いている。つまり、まだ結論が出ていない問題なのだが、そういった極端な発言をする専門家(?)もいるのである。 そこでもう1つの問題として持ち上がるのが、それではACS後の抑うつ状態を含めたうつ病への治療はACSの予後改善をもたらすのか否かという観点からの問いである。この問題については、すでに二度にわたって比較的大きな臨床研究が行われており(van Melle JPら. 2007年、Glassman AHら. 2009年)、いずれにおいても有意な改善効果は認められなかった。今回は、韓国のJae-Min Kimらが中心となって、一連の研究の中でも有望視された選択的セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラムを、ACS後の抑うつ状態にある患者に無作為に投与してこの効果を確かめたものである。結果、MACEの発生でp=0.03、個別イベントでは心筋梗塞の発生でp=0.04とわずかではあるが改善が認められたが、その他の項目(全死因死亡、心臓死、PCI)には差がみられなかったと報告された。 著者らは「さらなる研究で、今回の所見の一般普遍化について評価したい」と述べているが、評者にはその前に研究方法に問題があるように思えてならない。まず、著者らはMACE(彼らの使用法ではmajor adverse cardiac events)を全死因死亡、心筋梗塞、PCIとし、追加的評価項目に心臓死を挙げて定義しているが、それでよいのだろうか。主要心血管イベント(MACE:major adverse cardiovascular events)といえば、通常は血管死(中枢神経系外の出血死を除く心血管/脳血管起因)、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中(虚血性、出血性および不明な脳卒中)と定義される。今回の場合、心臓に問題を絞っているから脳卒中を問題にしないとするなら、全原因心臓死、非致死性心筋梗塞、狭心症の再発などとすべきで、全原因死亡やPCIは不適当ではなかったか。まず心臓以外の疾患での死亡が、なぜ問題にされなければならないのか。とくにうつ病を対象とした場合、自殺死なども含まれてしまうことも指摘しておきたい。さらにPCIを行うか否かは相当程度、主治医の恣意的な判断が加わるもので、こういった研究のエンドポイントとしては不適切である。研究方法そのものに問題がある以上、この研究をこれ以上続けられても、評価のしようがない。 議論のある分野に思い切って踏み込んだこと自体は評価したいが、その研究方法は評価できず、また、その結果もこの分野の議論に大きな一石を投じる内容ではないと言わざるを得ないと考えた。

1432.

SNRI中止後の離脱症状に関するシステマティックレビュー

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は広く用いられており、SNRIの中止は幅広い症状との関連が認められている。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A. Fava氏らは、SNRI中止後の離脱症状の発生、頻度、特徴について検討を行った。Psychotherapy and Psychosomatics誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 PRISMAガイドラインに沿って、システマティックレビューを実施した。PubMed、コクラン・ライブラリ、Web of Science、MEDLINEを用いて、それぞれのデータベースの初めから2017年6月までの文献を検索した。検索キーワードは、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxine、ミルナシプラン、levomilnacipran、SNRI、第2世代抗うつ薬、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、および中断、離脱、リバウンドを組み合わせた。英語で公表された試験のみ抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、61件であった。・その内訳は、二重盲検ランダム化比較試験22件、オープンフェーズと二重盲検ランダム化フェーズを用いた試験6件、オープントライアル8件、自然主義的研究1件、レトロスペクティブ研究1件、ケースレポート23件であった。・各種SNRI中止後に、離脱症状が認められた。・離脱症状の発生率は、各報告で変化していたが、ベンラファキシンではより高率であると思われる。・典型的に、症状発現は中止後数日以内に認められ、徐々に漸減しながら数週間継続していた。・遅発性の障害や長期間の持続も同様に認められた。 著者らは「臨床医は、投与中止後に離脱症状を誘発する可能性のある薬剤リストに、他の向精神薬と共にSNRIを追加する必要がある」としている。■関連記事SSRI中止は離脱症状に注意をSSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのはSSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

1433.

急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

 米国・フロリダ・アトランティック大学のJohn W. Newcomer氏らは、ブレクスピプラゾールの主要な2つの第III相試験と長期試験のデータより、成人の統合失調症患者における、代謝パラメータおよび体重に対するブレクスピプラゾールの影響について、患者のサブグループを含めて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2018年7月9日号の報告。 第III相試験は、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験(固定用量2および4mg/日)として実施された。長期試験は、第III相試験を完了した患者を対象とした52週間のオープンラベル試験として実施された。ブレクスピプラゾールの最大投与期間は、58週であった。空腹時の代謝パラメータおよび体重は、研究期間中にわたり測定された。代謝関連の値は、一般的に報告された閾値を用いて、正常値~境界値~高値(コレステロール、トリグリセライド、グルコース)と低値~正常値(HDL)にて分類を行った。代謝パラメータ変化の発生率は、治療の最初の6週間、最初の6ヵ月間、最後の6ヵ月間における、ベースラインから任意の時間で測定が行われた。 主な結果は以下のとおり。・第III相試験(短期試験)におけるブレクスピプラゾール治療患者の代謝パラメータは、悪化する割合が低く、プラセボ治療患者と同様であった。また、代謝パラメータ値の変化は、用量依存的ではなかった。・短期および長期試験において、ブレクスピプラゾール治療による代謝パラメータの悪化の発生率は、良好の発生率よりも低かった。・短期試験における体重の平均増加量は、ブレクスピプラゾール群で1.2kg、プラセボ群で0.2kgであった。・長期試験における体重の平均増加量は、58週目で3.2kgであった。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、短期および長期の治療において、適度な体重増加と代謝パラメータのわずかな変化しか認められなかった」としている。■関連記事ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験

1434.

アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー

 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。 PubMed、CINAHL、Psychinfo、コクラン・ライブラリのデータベースで包括的な検索を行った。2006~17年の研究を調査したが、包括基準を満たす研究があったのは2013~17年のみだった。ADHDを有する15~19歳の青年および若年成人アスリートを対象としており、神経心理評価ツールを用いて神経認知障害を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、17件であった。・アスリートのADHD有病率は、4.2~8.1%であった。・全体として、ADHDを有するアスリートは、ImPACT(Immediate Post-Concussion Assessment and Cognitive Test)のような神経認知テストのスコアが低く、脳震盪リスクが増加しており、症状の報告が多かった。・中枢神経刺激薬による治療が、これらのリスクを変化させることを示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「ADHDを有するアスリートにおいて、神経認知障害増加との関連が認められたが、その病態生理は不明であった。また、ADHDを有するアスリートに対する、中枢神経刺激薬での治療に関するエビデンスは、不十分である」としている。■関連記事ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかアスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させるスポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

1435.

日本におけるうつ病とBMI、代謝性疾患、ライフスタイルとの関連

 生活習慣病やBMIは、うつ病と関連している。国立精神・神経医療研究センターの秀瀬 真輔氏らは、大規模コホートにおけるWebベース調査を用いて、うつ病とBMIの分類、代謝性疾患、ライフスタイルとの関連について検討を行った。Journal of psychiatric research誌2018年7月号の報告。 対象は、うつ病患者1,000例(平均年齢41.4±12.3歳、男性501例)および対照群1万876例(平均年齢45.1±13.6歳、男性5,691例)。評価には、Psychological Distress Scale(K6)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病患者では対照群と比較し、肥満および脂質異常症がより頻繁に認められ、スナック類や夜食の摂取頻度が高かった。一方、朝食の摂取頻度や高度~中等度の身体活動の割合は低かった。・低体重または肥満2~4度の人では、普通体重または肥満1度の人よりも、K6スコアが高かった。・ロジスティック回帰分析では、K6のカットオフ値は、低体重、脂質異常症、スナック類または夜食の摂取頻度と正の相関が認められたが、朝食の摂取頻度と負の相関が認められた。 著者らは「本検討により観察されたうつ病とBMI、代謝性疾患、ライフスタイルとの関連は、ライフスタイルや身体的状態が抑うつ症状の一部と関連していることを示唆している」としている。■関連記事うつ病患者の予後に影響する生活習慣病どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか認知症リスクとBMIとの関連

1436.

初回エピソード統合失調症患者におけるアリピプラゾールとリスペリドンの抗炎症効果の比較

 抗精神病薬の抗炎症作用に関するエビデンスが増加している。しかし、リスペリドンとアリピプラゾールの免疫調整効果を比較した研究は、これまでに報告されていない。スペイン・カンタブリア大学のMaria Juncal-Ruiz氏らは、治療3ヵ月後の血清サイトカインの大規模アレイについて、リスペリドンとアリピプラゾールの抗炎症効果の比較を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2018年6月22日号の報告。 本研究は、プロスペクティブランダム化オープンラベル研究として実施された。初回エピソード統合失調症患者75例を、リスペリドン群またはアリピプラゾール群にランダムに割り付け、対照群として健康ボランティア75例を選択した。21のサイトカイン/ケモカインの血清濃度を、ベースライン時および投与開始3ヵ月後に測定した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時において、対照群と比較し、リスペリドン群ではIL-8レベル(p=0.000)およびMIP-1βレベル(p=0.007)が高かったが、アリピプラゾール群では差は認められなかった。・投与開始3ヵ月後において、IL-8、MIP-1β、フラクタルカイン、TNF-α、IL-7、IL-13、IL-17α、IL-23、IL-21に有意な低下が認められた(各々:p<0.01)。・リスペリドン群とアリピプラゾール群の変化率に差は認められなかった。・2剤のエフェクトサイズは類似していたが、アリピプラゾールはリスペリドンよりも、エフェクトサイズが大きいと考えられる(TNF-α、IL-13、IL-17α、フラクタルカインを除く)。また、リスペリドンは、アリピプラゾールよりもMIP-1βのエフェクトサイズが大きいと考えられる。 著者らは「本研究は、リスペリドンとアリピプラゾールの免疫調整効果を比較した最初の研究であり、両剤の抗炎症効果は類似していることが明らかとなった」としている。■関連記事精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに統合失調症治療に抗炎症薬は有用か統合失調症患者の脳活性、リスペリドン vs.アリピプラゾール

1437.

抗うつ薬治療が心血管イベントの長期的リスクを軽減/JAMA

 うつ病は急性冠症候群(ACS)の不良な転帰と関連しているが、抗うつ薬治療が長期的予後に良好な影響を及ぼすことが、韓国・全南大学校のJae-Min Kim氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。うつ病でACSを呈した患者において、24週間のエスシタロプラム治療を行った患者群ではプラセボ群と比べて、追跡期間中央値8.1年後のMACE発生リスクが有意に低かったという。これまで、抗うつ薬治療の長期的予後への影響について、ほとんどデータはなかったという。JAMA誌2018年7月24日号掲載の報告。24週間のエスシタロプラム vs.プラセボを評価 試験は2007年5月~2013年3月に全南大学校病院で、直近にACSを呈したうつ病患者300例を登録して行われた。最終フォローアップは2017年6月。 被験者を、エスシタロプラム5、10、15、20mg/日の柔軟投与群(149例)または適合プラセボ投与群(151例)に無作為に割り付けて24週間治療を行った。 主要アウトカムはMACE(全死因死亡、心筋梗塞[MI]、経皮的冠動脈介入[PCI]の複合)。副次アウトカムは、MACEの各要因3つと心臓死を合わせた計4つ。Cox比例ハザードモデルを用いて、エスシタロプラム群とプラセボ群の初回MACE発症までの期間を比較した。フォローアップ期間中央値8.1年のMACE発生、エスシタロプラム群のHR:0.69 無作為化を受けた300例(平均年齢60歳、女性119例[39.3%])において、全例(100%)が中央値8.1年(四分位範囲:7.5~9.0)のフォローアップを完了した。 MACEの発生はエスシタロプラム群61例(40.9%)、プラセボ群81例(53.6%)であった(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.49~0.96、p=0.03)。 個々のMACEアウトカムの比較(エスシタロプラム群 vs.プラセボ群)は、全死因死亡20.8% vs.24.5%(HR:0.82、95%CI:0.51~1.33、p=0.43)、心臓死10.7% vs.13.2%(0.79、0.41~1.52、p=0.48)、MI 8.7% vs.15.2%(0.54、0.27~0.96、p=0.04)、PCI 12.8% vs.19.9%(0.58、0.33~1.04、p=0.07)であった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で、今回の所見の一般普遍化について評価する必要がある」と述べている。

1438.

若年統合失調症治療における抗精神病薬関連の体重増加の予測因子とモデレーター

 小児精神疾患を治療する際、抗精神病薬関連の体重増加は、一般的な副作用である。しかし、抗精神病薬関連の体重増加の予測因子やモデレーターについては、よくわかっていない。米国・イェール大学のJerome H. Taylor氏らは、若年統合失調症治療における抗精神病薬関連の体重増加の予測因子とモデレーターについて、検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年6月19日号の報告。 若年発症統合失調症治療(TEOSS:Treatment of Early-Onset Schizophrenia Spectrum Disorders)研究において、8~19歳の統合失調症または統合失調感情障害を有する119例を、8週間の各抗精神病薬治療群(molindone群、リスペリドン群、オランザピン群)にランダム化し、治療反応および副作用について評価を行った。2次分析では、多変量線形回帰とROC分析を用いて、ベースラインから8週目までの体重変化とその予測因子およびモデレーターについて調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・治療薬の選択は、体重変化(F[2, 66]=17.00、p<0.001)および体重変化率(F[2, 66]=16.85、p<0.001)の最も顕著な予測因子であった。・各治療薬の平均の体重増加量は、molindone群0.74±3.51kg、リスペリドン群4.13±3.79kg、オランザピン群7.29±3.44kgであった。・治療薬の選択で調整した後では、治療前のヘモグロビンA1c(HbA1c)の低さが、より多い体重増加の予測因子であった(F[1, 55]=4.17、p=0.03)。・統合失調感情障害か、統合失調症であるかの診断が、体重変化(F[2, 63]=6.02、p=0.004)や体重変化率(F[2,63]=5.26、p=0.008)の予測因子であった。たとえば、統合失調感情障害は、統合失調症と比較し、リスペリドン群における若年での体重増加の予測因子であった。・年齢、性別、世帯の収入、ベースライン時の体重、症状は、体重変化または体重変化率の予測因子ではなかった。 著者らは「抗精神病薬の選択は、将来の体重増加を予測するうえで、非常に重要であることが確認された。また、これまでの研究と対照的に、若さはより大きな体重増加を予測しないことが示唆された」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加のメカニズムブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響抗精神病薬誘発性体重増加に対するトピラマート治療のメタ解析

1439.

第2世代抗精神病薬で安定している統合失調症患者における代謝状態の長期変化

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、メタボリックシンドローム(MetS)のリスクを増加させる。MetSのリスクがあるにもかかわらず、一部の患者では、SGAを継続する必要がある。韓国・Eulji University HospitalのSeong Hoon Jeong氏らは、このような患者におけるMetSの経過について、追跡調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年6月号の報告。 所定のSGAレジメンで1年以上維持された統合失調症患者を対象に、レジメンを変更することなく追跡調査を行った。MetSの指標は、ベースライン時およびフォローアップ時に評価を行った。MetSの有病率、発生率、自発的な正常化率を推定した。MetSの経過に影響を及ぼす可能性のあるリスク因子について、精査した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者151例が抽出された。・平均観察期間(389.9±162.4日)中におけるMetSの有病率は、35.1%から45.0%に増加した。・MetS発生率は29.6%、正常化率は26.4%であった。発生率に影響を及ぼすリスク因子は、年齢(OR=1.09、95%CI:1.03~1.17)、メタボリックシンドロームリスクスコアのベースライン連続値(OR=1.77、95%CI:1.29~2.55)、ベースライン時の体重(OR=1.06、95%CI:1.01~1.13)であった。・正常化率は、年齢(OR=0.74、95%CI:0.57~0.89)、ベースライン時の体重(OR=0.85、95%CI:0.72~0.95)の影響を受けた。 著者らは「MetSの有病率は、SGAの継続使用により確実に増加した。しかし、個体差は大きく、約4分の1の患者は、特定の測定を行うことなく、自然回復が認められた」としている。■関連記事統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのかオランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

1440.

統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性・安全性に関するシステマティックレビュー

 統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性について、ブラジル・サンパウロ大学のEsther Leticia Amorim Ribeiro氏らが、システマティックレビューにて検証を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2018年6月15日号の報告。 2017年3月31日までに公表された論文を、PubMed、Cochrane Library、LILACS、Centre for Reviews and Disseminationより検索を行った。統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性や安全性を評価したランダム化比較試験のメタ解析によるシステマティックレビューが対象に含まれた。研究選択、データ抽出、品質評価は、2人の独立した研究者により実施された。エビデンスの質の評価には、GARADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)、バイアスリスクの評価には、ROBIS(Risk of Bias in Systematic Review)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は14件であった。・アリピプラゾールの有効性は、定型抗精神病薬およびオランザピン、amisulprideを除く非定型抗精神病薬と同等であった。・アリピプラゾールは、クロザピン、リスペリドン、オランザピンと比較し、体重増加、グルコースおよびコレステロール値の変化が有意に低かった。・アリピプラゾールは、定型抗精神病薬、リスペリドンと比較し、一般的な錐体外路系副作用、抗パーキンソン薬の使用、アカシジアが有意に少なかった。・全体的なエビデンスの質は、「非常に低い」~「中程度」であり、その主な要因は、元論文のバイアスリスク、矛盾、アウトカムの不正確性であった。・ROBISによる評価では、バイアスリスクが「高い」レビュー(4件)と「不明確」なレビュー(5件)が示された。 著者らは「アリピプラゾールは、他の抗精神病薬と同等の有効性を有することが示唆された。また、定型抗精神病薬と比較し錐体外路症状が少なく、他の非定型抗精神病薬と比較し代謝系の副作用が少ないことから、他の抗精神病薬よりも優れた安全性プロファイルを有することが示唆された」としている。■関連記事統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン薬剤誘発遅発性ジスキネジアを有する統合失調症患者へのアリピプラゾール切り替え

検索結果 合計:2923件 表示位置:1421 - 1440