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治療抵抗性統合失調症の初回エピソードに関する長期フォローアップコホート研究

 統合失調症患者の約3分の1は、最終的に治療抵抗性統合失調症(TRS)へ移行する。TRSに至るまでの時間経過は患者により異なるが、これらの変動に関する詳細は、明らかとなっていない。千葉大学の金原 信久氏らは、TRSへの移行に、分岐点が存在するかを判断するため、TRS患者と非TRS患者の初回エピソード精神病(FEP)のコントロール達成までに要した時間について比較を行った。BMC Psychiatry誌2018年9月3日号の報告。 対象は、統合失調症患者271例。臨床評価に基づき、TRS群(79例)または非TRS群(182例)に割り付けられた。初回入院期間や改善度などのFEP治療に関連する臨床的要因をレトロスペクティブに評価した。 主な結果は以下のとおり。・初回入院期間(治療開始から退院するまでの時間として定義)は、両群間で有意な差が認められなかった(TRS群:平均87.9日、非TRS群:平均53.3日)。・初回入院時の機能の全体的評価(Global Assessment of Functioning:GAF)スコアの改善度は、TRS群が非TRS群よりも有意に低かった(50点vs.61点)。・TRS群の約半数は、FEPの急性発症パターンを示し、入院期間も長かった(平均169日)。・入院を必要としなかったTRS群の残り半数は、明確な精神病エピソードがなく、入院することなく治療導入を行うような、潜行的な発症パターンを示した。 著者らは「TRSへ移行する患者は、FEP中の改善が困難な可能性がある。TRSへの移行パターンは、2種類あると考えられる。1つは、難治性の陽性症状およびFEPをコントロールするまでに長期間を要する場合。もう1つは、潜在的または潜行的な発症および初回治療に対し治療反応不良を示す場合」としている。■関連記事難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C治療抵抗性統合失調症は予測可能か

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治療抵抗性うつ病に対する精神療法の有効性に関するメタ解析

 大うつ病に対する治療および管理は、大幅な進歩を遂げた。しかし、第1選択の抗うつ薬治療または心理社会療法で治療反応が得られる患者は、50%未満である。治療抵抗性うつ病(TRD)に対する精神療法に関する対照研究数が増加し、うつ病患者に対する精神療法が、治療選択肢として好まれている現状を考慮し、オランダ・マーストリヒト大学のSuzanne van Bronswijk氏らは、TRDに対する精神療法の有効性を調査するため、メタ解析およびメタ回帰分析を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2018年8月24日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・合計25の比較を含む21件の研究において、7種類の精神療法に関する検討が行われていた。・精神療法と通常治療を比べた3つの比較では、通常治療(TAU)と精神療法との間に有意なベネフィットは認められなかった。・併用治療(TAU+精神療法)とTAUとを比べた22の比較では、併用治療において、エフェクトサイズ0.42(95%CI:0.29~0.54)の中程度の効果が認められた。・メタ回帰分析では、集団療法vs.個人療法と同様に、ベースライン時の重症度と治療効果に正の関連が認められた。・出版バイアスは、認められなかった。・最も調査が行われていた治療は、認知行動療法、対人関係療法、マインドフルネスに基づく認知療法、精神療法の認知行動分析システムであった。 著者らは「TRDの治療ガイドラインにおいて、通常治療に対して、薬理学的および神経刺激的治療に加えて精神療法を追加することは正当であり、治療困難なうつ病患者により良い影響を及ぼすと考えられる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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出産、流産とアルツハイマー病リスク

 女性における出産および流産(incomplete pregnancy)が、高齢期の認知機能やアルツハイマー病(AD)リスクに影響を及ぼすかを、韓国・ソウル大学のHyesue Jang氏らが検討を行った。Neurology誌2018年8月14日号の報告。 対象は、2つの集団ベースのコホート研究のデータを統合した3,549例の女性。出産・流産と軽度認知障害、ADリスクとの関連は、ロジスティック回帰分析を用いて、レトロスペクティブに検討を行った。非認知症女性については、共分散分析を行い、出産・流産とミニメンタルステート検査(MMSE)スコアとの比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・出産経験5回以上(多産)の女性は、1~4回の女性と比較し、ADリスクが約1.7倍高かった(オッズ比[OR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.04~2.72)。・流産を経験した女性は、未経験の女性と比較し、ADリスクが半分であった(1回の流産[OR:0.43、95%CI:0.24~0.76]、2回以上の流産[OR:0.56、95%CI:0.34~0.92])。・非認知症女性において、多産女性は、出産経験1~4回の女性と比較し、MMSEスコアが不良であった(p<0.001)。・また、流産を経験した女性では、未経験の女性と比較し、MMSEスコアが良好であった(p=0.008)。 著者らは「高齢期のADリスクは、出産経験5回以上の女性で高く、流産を経験した女性で低いことが示唆された」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大父親の産後うつ病、日本での有病率は

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統合失調症の重症度や認知機能に対する抗精神病薬のドパミン受容体占有率の影響

 病識の障害(impaired illness awareness:IIA)とドパミンD2受容体(D2R)占有率との関係は、よくわかっていない。IIAは、疾患重症度や認知機能障害と関連が認められる。統合失調症の主な治療に用いられる抗精神病薬は、IIAを間接的に改善するが、同時に治療用量において、認知機能障害を引き起こす可能性がある。カナダ・トロント大学のMiracle Ozzoude氏らは、抗精神病薬による推定D2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能との関係に及ぼす影響について調査を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2018年8月30日号の報告。 CATIEデータを用いて、18~62歳の統合失調症患者373例を対象に、IIAの評価を行った。IIAは、PANSSのG12項目(判断力と病識の欠如)を用いて測定した。D2R占有レベルは、リスペリドン、オランザピン、ziprasidoneの血中濃度から推定した。IIAと疾患重症度、認知機能、推定D2R占有率との関係についての分析には、相関分析、回帰分析、経路分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・疾患重症度は、IIAの予測因子であった。・しかし、病前IQ、認知機能、推定D2R占有率は、IIAを予測しなかった。・推定D2R占有率は、回帰分析、経路分析のいずれにおいても、中間変数および調整変数ではなかった。 著者らは「これまでの研究結果と同様に、成人統合失調症患者の疾患重症度は、IIAと関連していることが示唆された。今後の研究において、認知機能、IIA、抗精神病薬の感受性に対する加齢の影響を考慮すると、60歳以上の高齢統合失調症患者におけるD2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能障害に影響を及ぼすかを検討すべきである」としている。■関連記事ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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日本人研修医のうつ病とストレス対処能力の関係

 研修医にとって、うつ病は重大な問題となりうる。うつ病の早期発見と適切なケアを提供することは、臨床研修中の健康状態を維持するために必要である。筑波大学附属病院 総合診療グループの伊藤 慎氏らは、ストレス対処能力の指標であるSense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)が、臨床研修開始2年後のうつ病を予測する因子であるかを調査するため、全国縦断研究を実施した。Journal of Clinical Medicine Research誌2018年9月号の報告。 臨床研修開始直前に、臨床研修病院251件の研修医に自己報告アンケートを配布した。アンケートには、うつ病スクリーニングツールであるCES-D(うつ病自己評価尺度)、SOC、人口統計的要因が含まれた。事前調査の回答者に対し、2年後にアンケートを配布した。フォローアップ調査には、CES-Dおよび労働状態に関する質問が含まれた。SOCスコアに基づき回答者を3群(低、中、高)に分類し、フォローアップ調査にて各SOC群とうつ症状との関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・事前調査に対し、2,935人中1,738人(59.2%)が回答を行った。・このうち、1,169人(67.3%)がフォローアップ調査に回答した。・事前調査において、うつ症状が陽性となった169人は除外された。・フォローアップ調査では、新規うつ病発症者数は187人(19.5%)であった。各群における割合は、低SOC群33.3%、中SOC群18.2%、高SOC群11.4%であった(p<0.01)。・高SOC群と比較し、低SOC群におけるうつ症状の新規発症のオッズ比は、2.04(95%CI:1.02~4.05)であった(人口統計的要因、ベースライン時のCES-Dスコア、平均就労時間で調整後)。 著者らは「臨床研修2年後における研修医のうつ症状は、SOCスコアと有意な関連が認められた。低SOC群は、高SOC群と比較し、将来のうつ症状リスクが2倍高かった。SOCスケールは、将来のうつ病を予測するうえで有用であり、研修医に対する適切な支援提供を可能とする」としている。■関連記事職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリは

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社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格

 これまでの職場におけるメンタルヘルスに関する研究では、仕事に関連する環境リスク要因に焦点が当てられており、従業員の保護や個性に関する要因については、考えられていなかった。韓国・中央大学校のHye Ri Kim氏らは、韓国人従業員の抑うつ症状や自殺念慮の保護因子となる性格的長所を特定するため、検討を行った。BMC Public Health誌2018年8月31日号の報告。 男性84例および女性151例の従業員(19~50歳)を対象に、社会人口学的特性(抑うつ症状、自殺率、性格的長所)を収集した。抑うつ症状の測定にはベック抑うつ質問票(BDI-II)、自殺率は精神疾患簡易構造化面接法韓国語版(MINI)、性格的長所は24 Character Strength Alphas VIA Survey-72を用いた。抑うつ症状と自殺念慮をカテゴリカルな結果変数として、階層的ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・女性における、抑うつ症状の統計学的に有意な性格的長所の予測因子は以下であった。 ●好奇心(B=1.107、Wald=10.207、オッズ比:3.026、p=0.001) ●愛(B=0.862、Wald=5.767、オッズ比:2.367、p=0.016)・女性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●判断(B=-1.405、Wald=5.663、オッズ比:0.245、p=0.017) ●優しさ(B=-1.456、Wald=6.486、オッズ比:0.233、p=0.011)・男性における、抑うつ症状の性格的長所の予測因子は以下であった。 ●愛(B=1.746、Wald=4.279、オッズ比:5.729、p=0.039)・男性の抑うつ症状に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●チームワーク(B=-2.204、Wald=4.666、オッズ比:0.110、p=0.031)・男性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●創造性(B=-1.384、Wald=4.202、オッズ比:0.251、p=0.040) 著者らは「職場におけるうつ病や自殺念慮の予防には、女性では判断や優しさ、男性ではチームワークや創造性に焦点を当て、これらの強みを生かした活動に従事することが重要である。今後の研究では、職場における従業員の性格的長所を促進するための介入の開発に焦点を当てるべきである」としている。■関連記事うつ病になりやすい性格職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

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ストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

 スペインの青少年527例を対象に、ストレスやうつ病の認知に基づき、朝食の摂取および質と、健康関連QOL(HRQOL)との関連について、スペイン・アリカンテ大学のRosario Ferrer-Cascales氏らが調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2018年8月19日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・HRQOLでは、気分、感情、両親との関係、家庭生活について、朝食摂取の有無により差が認められた。・朝食摂取者において、HRQOLが低かった。・ストレスも同様に差が認められ、朝食摂取者において、ストレスのレベルが高かった。・朝食摂取者の朝食の質を分析したところ、良質な朝食摂取は、低質または超低質の朝食摂取と比較し、より良いHRQOLが示唆され、ストレスとうつ病のレベルも低かった。・非朝食摂取者では、朝食が低質または超低質の朝食摂取者と比較し、より良いHRQOLおよび、ストレスとうつ病が低いレベルを示した。 著者らは「本知見は、朝食摂取の有無よりも、良質な朝食を摂取することの重要性を示唆している。このことは、臨床医や栄養士にとってとくに重要であり、青少年におけるHRQOL、ストレス、うつ病に対して、朝食の質が有意に影響を及ぼすことを考慮する必要がある」としている。■関連記事魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当かうつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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うつ病、治療抵抗性うつ病、自殺行動に対するブプレノルフィンの有効性に関するシステマティックレビュー

 うつ病治療において、いくつかの薬理学的な選択肢が実施可能であるが、抗うつ薬治療を実施した患者の3分の1では、十分な治療反応が得られず、完全寛解には達していない。そのため、抗うつ薬による薬物治療で治療反応が得られなかった、または治療反応が不十分だった患者に対処するための、新たな戦略が必要とされている。イタリア・ジェノバ大学のGianluca Serafini氏らの研究結果によると、オピオイド系が気分やインセンティブの調整に有意に関与しており、新規治療薬としての適切なターゲットとなりうることが明らかとなった。International Journal of Molecular Sciences誌2018年8月15日号の報告。 本研究では、うつ病、治療抵抗性うつ病、非自殺的な自傷行為、自殺行動に対するブプレノルフィンの使用に関する文献についてシステマティックレビューを行った。ブプレノルフィンとうつ病または治療抵抗性うつ病、自殺、難治性うつ病のキーワードを使用し、PubMedおよびScopusのデータベースより検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・低用量のブプレノルフィンは、抑うつ症状、重度な自殺念慮、非自殺自傷を軽減するために有効かつ忍容性が高く、安全な選択肢であることが、いくつかのエビデンスにより示された。これは、治療抵抗性うつ病患者においても認められた。・しかし、ブプレノルフィンの長期的な効果や、ブプレノルフィンと特定の薬剤(たとえば、samidorphan、ナロキソン、naltrexone)との併用、ブプレノルフィンの単独療法または標準的な抗うつ薬治療への補助療法による相対的な有効性の評価、ならびに最適な投与間隔についての均一なガイダンスを得るためには、より多くの研究が必要である。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

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治療抵抗性統合失調症患者の陰性症状に対するエスシタロプラム増強療法の無作為化比較試験

 統合失調症では、血清インターロイキン(IL)-6レベルが陰性症状の重症度と関連するといわれている。中国・Shandong Mental Health CenterのNing Ding氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるSSRI増強療法の潜在的な免疫メカニズムを調査し、IL-6およびC反応性蛋白(CRP)量を評価した。Neuroscience Letters誌2018年8月10日号の報告。 2016~17年に同センターで治療された統合失調症患者62例を対象に、エスシタロプラム増強の8週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。対照群として、健康な参加者29例を含んだ。主要アウトカムは、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・8週間の治療後、PANSS総スコア、陰性症状サブスコア、情動性サブスコアにおいて、エスシタロプラム群は対照群と比較し、より良い改善が認められた(いずれも、p<0.05)。・エスシタロプラム群では、CRPおよびIL-6レベルの有意な低下が認められた(いずれも、p<0.05)。・陰性症状、認知症状に対するIL-6の影響は、ベースライン時でそれぞれ16.2%、20.1%。8週目では22.7%、20.8%であった。・CRP量はPANSSスコアに影響を及ぼさなかった。 著者らは「全体として、持続的な陰性症状を有する統合失調症患者に対するエスシタロプラム増強療法は、有用な選択肢であると考えられる。IL-6量は、陰性症状および認知症状に関連する可能性がある」としている。■関連記事陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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治療抵抗性うつ病と自殺率

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の30%では、生涯にわたり1回以上の自殺企図が認められる。しかし、治療開始後のTRD患者における、自殺企図および自殺完遂の発生率、特定の治療による自殺企図の増減については、不明であった。オランダ・アムステルダム大学のIsidoor O. Bergfeld氏らは、TRD患者における自殺率について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2018年8月1日号の報告。 うつ病患者を対象とした研究のうち、2剤以上の抗うつ薬治療に奏効せず、治療開始後3ヵ月以上フォローアップしたものをPubMedより検索した。自殺企図と自殺完遂の発生率は、ポアソンメタ解析を用いて推定した。比較対照が不足していることから、治療法による自殺企図や自殺完遂の発生率の違いを推定するため、メタ回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32のTRDサンプルにおける自殺率を調査した30件の研究が抽出された。・内訳は、脳深部刺激療法(DBS:9件)、迷走神経刺激療法(VNS:9件)、電気けいれん療法(ECT:5件)、通常治療(3件)、内包前脚切裁術(2件)、認知行動療法(2件)、ケタミン療法(1件)、硬膜外皮質刺激療法(1件)であった。・全体発生率は、自殺完遂で100患者年当たり0.47(95%CI:0.22~1.00)、自殺企図で100患者年当たり4.66(95%CI:3.53~6.23)であった。・DBS、VNS、ECT後の発生率に差は認められなかった。・なお、多くの研究で、自殺率の記録は不十分であり、利用可能な研究数が制限された。 著者らは「自殺完遂および自殺企図の発生率は高いが、3つの治療法(DBS、VNS、ECT)で差はなかった。TRD患者の自殺リスクが高いことを考慮すると、臨床試験においては、自殺率を明確なアウトカム指標とみなすべきである」としている。■関連記事うつ病および自殺に関連する遺伝学的治療標的大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。 本システマティックレビューおよびメタ解析は、各診断カテゴリにわたる第2世代抗精神病薬とプラセボを比較した、ランダム化比較試験を対象とした。2017年1月21日までのデータをMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPより検索し、さらに適格試験を抽出するため、製薬企業および規制当局に連絡を取った。すべての原因による死亡率(主要アウトカム)、自然原因による死亡率、自殺率、非自然原因による死亡率について調査を行った。共通効果メタ解析において、オッズ比(OR)を用いて結果を検討した。サブグループおよびメタ回帰分析において、年齢、診断カテゴリ、性別、研究期間、使用された抗精神病薬、投与量、多剤併用の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1978~2017年に発表された596件のランダム化比較試験より、10万8,747例を抽出した。・入手可能な死亡率データを有する352件の研究(8万4,988例)を、メタ解析データの主なデータセットとした。・死亡報告数は、抗精神病薬使用群5万3,804例中207例(0.4%)、プラセボ群3万1,184例中99例(0.3%)であった。・352件中300件(85%)の研究は、13週(3ヵ月)以下の研究期間であった(中央値:6週間、IQR:4~10)。・抗精神病薬使用群とプラセボ群との間に、死亡率の差は認められなかった。 ●すべての原因による死亡率 OR:1.19、95%CI:0.93~1.53 ●自然原因による死亡率 OR:1.29、95%CI:0.85~1.94 ●自殺率 OR:1.15、95%CI:0.47~2.81 ●非自然原因による死亡率 OR:1.55、95%CI:0.66~3.63・ほとんどのサブグループおよびメタ回帰分析において、重要な影響調整因子は認められなかったが、例外として以下の場合に死亡率の増加が確認された。 ●認知症者 OR:1.56、95%CI:1.10~2.21 ●高齢者 OR:1.38、95%CI:1.01~1.89 ●アリピプラゾール使用 OR:2.20、95%CI:1.00~4.86 ●女性の割合が高い研究 回帰係数:0.025、95%CI:0.010~0.040・しかし、高齢者、アリピプラゾール使用、女性の割合が高い研究における影響は、主に認知症者に対する試験が含まれていた。・統合失調症患者では、死亡リスク増加は認められなかった(OR:0.69、95%CI:0.35~1.35)。 著者らは「全体として、統合失調症に対する抗精神病薬の使用が死亡率を増加させるとするエビデンスは、ランダム化試験より認められなかった。しかし、とくに認知症などの集団においては、死亡リスクが高い可能性が示唆された。本研究では、死亡率に対する抗精神病薬の長期的な影響ではなく、急性期治療による短期的な影響についてのみ検証可能であった」としている。■関連記事アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

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睡眠改革で睡眠上手な日本へ

 9月3日の「睡眠の日」にちなみ、目覚め方改革プロジェクト主催のメディアセミナーが、2018年8月29日に都内で開催された。 今まで、わが国でも語られることが少なかった「睡眠」にスポットを当てた目覚め方改革プロジェクトは、「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」を目的に設立され、医師をはじめとする有識者で構成されている。今後はウェブサイト「目覚め方改革プロジェクト」を通じて睡眠や体内リズムに関連するさまざまな情報を発信していく。先進国で一番睡眠時間が短い日本 はじめにプロジェクトリーダーの内村 直尚氏(久留米大学 医学部 神経精神医学講座 教授)が、「『目覚め方改革プロジェクト』設立について」をテーマに、日本人の睡眠の現状と本プロジェクト設立の意義について説明した。 平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)と現状を報告した。 「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。そして、この睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係しているとして、このプロジェクトを立ち上げた」と内村氏は経緯を述べ、「今後、このプロジェクトのウェブサイトから、『目覚めと体内リズムの重要性』に関する情報発信をしていく」と抱負を述べた。睡眠関連で約15兆円の経済損失 次に「睡眠の基本、睡眠の乱れによる健康問題と生活への影響」をテーマに、岡島 義氏(東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授)が、睡眠のメカニズムと睡眠不足、不眠がもたらす弊害を説明した。 睡眠には、疲労回復、エネルギー保存、身体の成長、免疫機能増加などの役割があるが、睡眠不足や不眠になると倦怠感や頭重感、交通・産業事故の誘因、仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、認知症発症の誘因を起こすとされている。米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。 とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05~0.10%はビール1~2本、日本酒1~2合に相当)。 最後に岡島氏は「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」と述べ、説明を終えた。夜のブルーライトは体内リズムに影響 次に「体内リズムの重要性~睡眠負債とソーシャルジェットラグ~」をテーマに、駒田 陽子氏(明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授)が、睡眠と体内リズムの重要性について説明を行った。 体内時計は、さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、体内リズムを作り出している。そのため睡眠においても、「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。また、体内リズムと光の関係につき、朝の強い光はリズムを進行させ、夜の光はリズムを遅らせるとともに、夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。 続いて最近問題となっている「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」に触れた。ソーシャルジェットラグとは、蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、休日に寝だめなどを行った結果、体内リズムが乱れ、起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、「起床時間を休日でも変えない」「6~8時間の睡眠時間の確保」「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など体内リズムを整えることが重要だと説明する。 最後に駒田氏は「昼間、生き生きと過ごすために、朝、すっきりと目覚めることが大事」と語り、説明を終えた。 体内リズムを整えるアスパラプロリン 次に協力企業から只野 健太郎氏(大塚製薬株式会社) が、「『目覚め方改革プロジェクト』協力にあたって」をテーマに、今回のプロジェクトへの期待を語った。 一般的に食事や運動に気を付ける人が多い中で、睡眠に気を配る人は少なく、睡眠に起因する健康被害も多数ある。「今後協力企業として、たとえば体内リズムを整えるアスパラプロリンなどの食品素材の開発・提供を通じて良い睡眠をサポートしていきたい。こうした食品を使うことで、覚醒と睡眠の良循環を作っていきたい」と述べ、講演を終えた。■文献1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237. ■参考目覚め方改革プロジェクト■関連記事CareNet.com特集「睡眠障害」診療よろず相談TV 第33回「不眠症」 回答者:日本大学医学部精神医学系 内山 真氏

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心不全への遠隔管理の併用で予後が改善/Lancet

 明確に定義された心不全患者(心不全による最近の入院歴あり、大うつ病なし)では、通常治療に加えて構造化された遠隔患者管理による介入を行うと、予定外の心血管系の原因によって病院で過ごす時間が短縮し、全死因死亡も低減することが、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のFriedrich Koehler氏らが行った「TIM-HF2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月25日号に掲載された。心不全患者の遠隔患者管理は、心代償不全の早期の臨床所見の検出に役立ち、それゆえ代償不全に陥った心不全が完全に出現する前に、適切な治療や処置を迅速に開始することが可能になるという。通常治療への追加による予後改善効果を評価 TIM-HF2試験は、ドイツで実施された非盲検(割り付け方法は隠蔽)の多施設共同無作為化並行群間比較試験であり、データの収集にプラグマティックな要素が導入され、病院および心臓病診療施設で患者登録が行われた(ドイツ連邦教育・研究省[BMBF]の助成による)。 対象は、NYHA心機能分類II/IIIの心不全で、無作為割り付け前の12ヵ月以内に心不全による入院歴があり、左室駆出率(LVEF)が45%以下(またはLVEF 45%以上で経口利尿薬が処方)の患者であった。大うつ病の患者は除外された。被験者は、遠隔患者管理+通常治療の群または通常治療のみを行う群に無作為に割り付けられ、最長393日のフォローアップが行われた。 遠隔患者管理のシステムや介入には、(1)遠隔医療センターに体重、血圧、心拍数、心調律、末梢毛細血管の酸素飽和度(SpO2)、自己評価による健康状態(1~5点)のデータを毎日送信、(2)患者教育、(3)遠隔医療センターと、患者のかかりつけ医、心臓専門医との連携などが含まれた。 主要評価項目は、予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合とし、解析は最大の解析対象集団(FAS)で行った。「予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合」とは、これらの理由で失われたフォローアップ期間の割合であり、喪失日数を目標フォローアップ期間で除した値とした。主な副次評価項目は、全死因死亡および心血管死であった。喪失日数が約6日減少 2013年8月13日~2017年5月12日の期間に1,571例が登録され、1,538例がFASに含まれた(遠隔患者管理群:765例、通常治療群:773例)。全体の平均年齢は70歳(SD 10)、70%を男性が占めた。 予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合の加重平均値は、遠隔患者管理群が4.88%(95%信頼区間[CI]:4.55~5.23)と、通常治療群の6.64%(6.19~7.13)に比べ有意に優れた(加重平均値の比:0.80、95%CI:0.65~1.00、p=0.0460)。失われた日数の加重平均値は、遠隔患者管理群が17.8日/年(95%CI:16.6~19.1)と、通常治療群の24.2日/年(22.6~26.0)よりも約6日減少した。 全死因死亡率は、100人年当たり、遠隔患者管理群は7.86(95%CI:6.14~10.10)であり、通常治療群の11.34(9.21~13.95)に比し、有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.70、0.50~0.96、p=0.0280)。心血管死亡率の差は、統計学的に有意ではなかった(0.67、0.45~1.01、p=0.0560)。 12ヵ月時のミネソタ心不全質問表(MLHFQ)によるQOL評価では、ベースラインからの変化には両群間に差はなかった(平均差:-1.11、95%CI:-3.01~0.80、p=0.26)。 著者は、「この総体的な治療コンセプトの主要な要素は、遠隔医療センターが、1日24時間、毎日、個々の患者のリスクプロファイルに従って迅速に対応可能な医師および心不全専門看護師を擁していることである」とし、「本試験では、参加施設の所在地の違いによる影響はなかったことから、遠隔患者管理により、適切な心不全治療へのアクセスの地域差が低減する可能性がある」と指摘している。

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双極性うつ病に対するコエンザイムQ10の二重盲検臨床試験

 双極性障害(BPD)は、躁病、軽躁病、大うつ病性障害エピソードによって特徴付けられる慢性的かつ再発性の気分障害である。利用可能なエビデンスでは、BPDの病態生理においてミトコンドリア機能不全、酸化ストレス、炎症が、重要な役割を担っていることが示唆されている。それは、ミトコンドリアモジュレーターであるコエンザイムQ10(CoQ10)、抗酸化薬、抗炎症薬が、BPDの病態生理の経路を調節するために有用であることを意味している。イラン・Hamadan University of Medical SciencesのMaryam Mehrpooya氏らは、BPD患者のうつ症状に対し、補助的なCoQ10治療がプラセボと比較し、どの程度有用であるかについて調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月14日号の報告。 抑うつ症状を伴うBPD患者69例を対象に、補助的CoQ10(200mg/日)群またはプラセボ群にランダムに割り付けた。気分安定薬および抗うつ薬による標準的な薬物治療は、本試験の2ヵ月前および試験中に一貫して行われた。ベースライン時、4週目、8週目の各患者のうつ病重症度は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)を用いて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・両群において、うつ症状が時間とともに減少した。・補助的CoQ10群は、プラセボ群と比較し、8週目のうつ症状の改善が認められた。・補助的CoQ10群は、プラセボ群と比較し、試験終了時の治療反応者がより多く観察された。・CoQ10は、副作用が少なく、忍容性が良好であった。 著者らは「BPD患者に対する補助的CoQ10治療は、プラセボと比較し、8週間にわたるうつ症状改善効果が認められた。これは、CoQ10の抗酸化・抗炎症作用によるものであると考えられる」としている。■関連記事双極性うつ病に対するドパミン作動薬の効果は双極性うつ病に対する抗うつ薬補助療法による再入院率に関するコホート研究双極性障害のうつ症状改善へ、グルタミン酸受容体モジュレータの有用性は

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統合失調症入院患者における措置入院と自殺に関するコホート研究

 台湾・台北医科大学のChing-En Lin氏らは、2007~13年の統合失調症入院患者の自殺リスクの分析およびリスク因子の特定を目的とした検討を行った。Suicide & Life-Threatening Behavior誌オンライン版2018年8月6日号の報告。 本研究は、全国人口ベースのコホート研究として実施された。対象は、初回措置入院の精神科入院患者2,038例(措置入院群)およびマッチさせた任意入院患者8,152例(対照群)。統合失調症患者のみを研究に含めた。2005年の台湾全民健康保険データベースのデータをもとに、台湾の全人口から100万人の受給者をランダムに抽出して検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に自殺が認められた患者は、措置入院群で23例、対照群で75例であった。・カプランマイヤー曲線からは、入院患者の累積自殺発生率は、措置入院と任意入院との間で有意な差は認められなかった(log-rank検定のp=0.206)。 著者らは「本結果は、措置入院には、任意入院と比較し、統合失調症入院患者の自殺リスク低減に対する保護効果がないことを示唆している。臨床医は、統合失調症入院患者の自殺予防により注意し、入院第1週目に患者の自殺リスクを詳細に監視する必要がある」としている。■関連記事措置入院後の統合失調症患者における再入院リスク要因入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大

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アトピー性皮膚炎が、うつ病、不安および自殺念慮と関連

 アトピー性皮膚炎(AD)は不安やうつ病と関連しているが、その重要性については知られていない。デンマーク・Herlev and Gentofte HospitalのAmalie Thorsti Moller Ronnstad氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析から、AD患者の治療の際は、医師がうつ病、不安および自殺念慮について考慮しなければならないことを示した。著者は、「ADの改善にはこれらのリスク軽減が明白であることから、これを優先すべきである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2018年9月号掲載の報告。 研究グループは、小児および成人におけるADと、うつ病、不安および自殺念慮との関連について、PubMed、EmbaseおよびPsycINFOのデータベースを用いて論文を検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・成人のADは、うつ病(統合オッズ比[OR]:2.19、95%信頼区間[CI]:1.87~2.57)、および不安(同:2.19、95%CI:1.75~2.73)と有意に関連していた。・小児においてもADはうつ病(同:1.27、95%CI:1.12~1.45)と関連していたが、不安に関しては解析に利用できるデータがほとんどなかった。・成人および青少年において、ADは自殺念慮と顕著な関連があることが認められた(同:4.32、95%CI:1.93~9.66)。・自殺既遂のリスクを調査した研究は少数であったが、多くは自殺既遂とADとの間に明らかな関連があることを示していた。・ただし、本研究にはうつ病と不安について異なる定義の研究が組み込まれており、また、ADの重症度を調べた研究はほとんどなかった。

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双極性障害における自殺リスク因子に関するコホート研究

 双極性障害は、自殺リスクが高い。そのため、リスク因子の特定は重要である。スウェーデン・ヨーテボリ大学のC. Hansson氏らは、双極性障害患者の大規模コホートにおける自殺のリスク因子を特定するため、検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月3日号の報告。 本研究は、双極性感情障害のためのSwedish National Quality Register(スウェーデン国家品質レジストリ)の臨床データを用いたプロスペクティブコホート研究として実施した。アウトカム変数は、2004~14年のCause of Death Registerの自殺とした。ハザード比(HR)は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者1万2,850例(男性:4,844例、女性:8,006例)のうち、1~10年間の追跡期間中に90例(男性:55例、女性:35例)が自殺した。・統計学的に有意な自殺のリスク因子は、以下のとおりであった。 ●男性(HR:2.56) ●独居(HR:2.45) ●自殺企図歴(HR:4.10) ●精神疾患の併存(HR:2.64) ●最近の感情エピソード(HR:2.39) ●犯罪歴(HR:4.43) ●精神科入院治療(HR:2.79) ●措置入院(HR:3.50)・双極性障害における自殺の統計学的に有意なリスク因子は、男女間で異なるものがあった。 著者らは「双極性障害における自殺のリスク因子は、一般の自殺に関連する因子だけでなく、疾患特有の因子も含まれる」としている。■関連記事双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント自殺予防の介入効果はどの程度あるのか統合失調症患者における自殺のリスク因子に関するメタ解析

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日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤の多施設二重盲検ランダム化比較試験

 クエチアピンフマル酸塩は、さまざまな精神疾患に適応を有する非定型抗精神病薬であるが、日本人双極性うつ病患者に対する研究は行われていなかった。CNS薬理研究所の村崎 光邦氏らは、日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤(XR)の有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月1日号の報告。 双極I型障害または双極II型障害を有する日本人成人患者431例を対象とした多施設二重盲検ランダム化プラセボ対照固定用量試験を実施した。効果判定には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアのベースラインからの平均変化量を分析した。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応率および寛解率、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床的全般改善度-双極性障害(CGI-BP)スコアとした。安全性は、有害事象および臨床評価をモニタリングすることで評価した。 主な結果は以下のとおり。・クエチアピンXR300mg/日単独療法群では、プラセボ群と比較し、8週間後のMADRS総スコアの統計学的に有意な大幅減少が認められた(-12.6 vs.-10.1、p=0.034)。・MADRSの治療反応率(44.1% vs.35.6%)、寛解率(38.0% vs.26.6%)ならびにHAM-D17スコア、CGI-BPスコアにおいても、プラセボ群と比較し、改善が認められた。・サブグループ解析において、プラセボ群と比較したMADRS総スコアの調整平均変化量は、双極I型障害患者で-2.3、双極II型障害患者で-2.1であった。・有害事象の発生は、クエチアピンXR300mg/日群149例(83.2%)、プラセボ群81例(45.8%)であった。・最も一般的な有害事象は、眠気および口渇であり、以前に報告された安全性プロファイルと同様であった。 著者らは「クエチアピンXRによる1日1回の単独療法は、日本人双極性うつ病患者に対し効果的かつ忍容性に優れた治療法である」としている。■関連記事急性双極性うつ病に対する非定型抗精神病薬の信頼性は双極性うつ病に対するドパミン作動薬の効果は双極性うつ病に対する抗うつ薬補助療法による再入院率に関するコホート研究

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