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非定型抗精神病薬治療に対する精神科医と精神科薬剤師の考え方

 統合失調症や双極性障害の治療選択は、その治療効果の不均一性により複雑化する。米国・イリノイ大学のDaniel R. Touchette氏らは、統合失調症および双極性障害への非定型抗精神病薬の治療選択に、臨床家の考え方や健康システム/保険政策がどのように影響するか検討を行った。Journal of Pharmacy Practice誌オンライン版2019年6月25日号の報告。 American College of Clinical Pharmacy(ACCP)およびCollege of Psychiatric & Neurologic Pharmacists(CPNP)のメンバーを対象に横断的調査を実施した。非定型抗精神病薬の有効性および安全性、薬剤選択に対する併存疾患の影響、非定型抗精神病薬の治療選択に影響を及ぼす因子に関する考え方を評価した。非定型抗精神病薬を選択する際に有効性と安全性は同程度に重要視 非定型抗精神病薬の治療選択への影響を検討した主な結果は以下のとおり。・対象は、精神科薬剤師24人および精神科医18人。・平均年齢は39.6歳、女性の割合は57.1%であった。・薬物療法の有効性と安全性を同程度に重要視していた臨床家は64.3%、安全性をより重要視していた臨床家は26.2%、有効性をより重要視していた臨床家は9.4%であった。・統合失調症における最も重要な薬剤特性は、陽性症状の軽減(92.7%)、入院の減少(87.8%)であった。・双極性障害における最も重要な薬剤特性は、躁病エピソードの軽減(87.8%)、再発の減少(53.7%)、入院の減少(53.7%)であった。・最も注意すべき懸念点は、無顆粒球症(78.1%)、不整脈(70.7%)、錐体外路系副作用(68.3%)であった。・処方制限は、抗精神病薬の選択(80.5%)、服薬アドヒアランス(55.0%)、治療結果(53.4%)に影響を及ぼすと考えられていた。 著者らは「非定型抗精神病薬を選択する際に、有効性と安全性は同程度に重要視されていた。処方制限は、治療選択や治療結果に影響を及ぼすと考えられている」としている。

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うつ病に対する森田療法~許容性に関する定性的研究

 日本において森田療法は広く認知されているが、英国ではほとんど知られていない。英国・エクセター大学のHolly Victoria Rose Sugg氏らは、英国における森田療法の許容性について検討を行った。BMJ Open誌2019年5月29日号の報告。 フレームワークアプローチで分析した治療後の半構造化面接により、森田療法と通常ケアについてランダム比較パイロット研究を実施した。英国・デボン州のGeneral Practiceデータより検索を行い、森田療法を受けた患者16例を抽出し、分析のために目的に応じてサンプリングした。 主な結果は以下のとおり。・患者の意見や森田療法の経験の違いにより、モデルとなる5つのテーマを特定した。・全体として、これまで経験した他の治療法との比較において、森田療法の価値を理解した患者の多くで受け入れられた。・これらの患者では、自然現象としてどう困難を受け入れ許容しているか、症状から外部要因へ注意を移行するか、などが強調され、症状軽減およびエンパワーメント感覚の促進が認められた。・治療に対する患者の期待と照らし合わせ、森田療法の原理を理解することが、森田療法の許容と有意に関連していることが認められた。・また調査結果は、森田療法の原理と実践の違いを強調しており、患者は安静時の恐怖や不快感などの治療プロセスの取り組み、セラピストからの十分な支援の必要性、治療コミットメントなどに注目していた。 著者らは「英国において、森田療法は受け入れられ、そのアプローチは有益かつ斬新であると思われる。したがって、森田療法の大規模研究が進行することは、臨床プロトコールの微修正につながるであろう。患者の期待や治療への理解が森田療法の許容に重要な役割を果たしており、今後の研究において、これら潜在的因子を調査する必要がある」としている。

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アリピプラゾールやハロペリドールによる神経突起病変保護作用

 ドパミンD2受容体(D2R)の機能亢進は脳の発達に変化を及ぼし、その後、統合失調症に類似した症状を引き起こす。D2RがDISC1遺伝子(Disrupted in schizophrenia 1)と相互作用を示すことが知られているが、細胞内シグナル伝達や神経突起におけるこれらの相互作用の影響は、明らかとなっていない。オーストラリア・ウーロンゴン大学のPeng Zheng氏らは、皮質ニューロンにおけるAkt-GSK3βシグナル伝達および神経突起形態に対するD2R過剰活性の影響について検討を行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年6月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・D2R過剰活性は、皮質ニューロンにおけるプロテインキナーゼB(Akt)およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)リン酸化の減少と関連した神経突起損傷を引き起こした。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと比較し、神経突起病変の予防において、より有効であった。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと異なり、D2R機能亢進によって誘導されるホスホ(p)Akt-pGSK3βのダウンレギュレーションを保護し、このことは異なる経路の関与が示唆された。・DISC1突然変異マウスの皮質ニューロンにおいて、D2Rの機能亢進が認められ、これはキンピロール処置した皮質ニューロンにおいて、より重度の神経突起損傷を引き起こした。・Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)の蛍光免疫染色法では、皮質錐体神経細胞がD2R機能亢進誘導の神経突起損傷と関連していることが確認された。・D2R機能亢進が、pGSK3βシグナル伝達を変化させたD2R-DISC1複合体形成をもたらすことが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)技術を用いて明らかとなった。 著者らは「D2R機能亢進誘導のD2R-DISC1複合体形成が、pAkt-pGSK3βシグナル伝達の減少と関連しており、神経突起障害を引き起こすことが示唆された。アリピプラゾールとハロペリドールは、神経突起病変を予防したが、異なる細胞内シグナル伝達経路を介していると考えられる」としている。

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うつ病に対するボルチオキセチン治療と自殺リスク

 米国・BlackThorn TherapeuticsのAtul R. Mahableshwarkar氏らは、成人うつ病患者に対するボルチオキセチン治療に関連する自殺念慮や自殺行動のリスクを評価するため検討を行った。CNS Spectrums誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 自殺関連事象は、2つの試験プール(短期[6~8週間]プール試験:10ランダム化プラセボ対照試験、長期[52週間]プール試験:3オープンラベル拡大試験)を用いて事後評価した。自殺関連事象の評価には、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)および治療下で発現した有害事象(TEAE)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、短期プール試験においてC-SSRSの自殺念慮または自殺行動が報告された患者の割合は、プラセボ(14.7%)と同程度であった(ボルチオキセチン5mg:19.8%、ボルチオキセチン10mg:13.0%、ボルチオキセチン15mg:11.2%、ボルチオキセチン20mg:13.7%、デュロキセチン:13.2%)。また、6~8週間の治療期間を通じて変化は認められなかった(プラセボ:17.0%、ボルチオキセチン5mg:19.3%、ボルチオキセチン10mg:13.5%、ボルチオキセチン15mg:12.6%、ボルチオキセチン20mg:15%、デュロキセチン:11.3%)。・短期プール試験でのTEAEに基づく自殺関連事象の発生率は、プラセボ0.4%、ボルチオキセチン5mg:0.2%、ボルチオキセチン10mg:1.0%、ボルチオキセチン15mg:0.7%、ボルチオキセチン20mg:0.7%、デュロキセチン:0.7%であった。・52週間のボルチオキセチン治療後での発生率は、C-SSRSの自殺念慮9.8%、C-SSRSの自殺行動0.2%、TEAEに基づく自殺関連事象1%未満であった。・いずれの研究においても、自殺は完遂されなかった。 著者らは「うつ病患者の自殺念慮や自殺行動リスクの増加に、ボルチオキセチンは影響を及ぼさないことが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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前立腺がんのアンドロゲン除去療法と認知症~15万例の解析

 アンドロゲンの低下は、除脂肪体重の減少や糖尿病、心血管疾患、うつ病など、アルツハイマー病や認知症の危険因子を増大させる可能性がある。前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法(ADT)は認知機能に影響するのだろうか。今回、米国ペンシルバニア大学のRavishankar Jayadevappa氏らが、15万例超の高齢前立腺がん患者のデータを分析したところ、アンドロゲン除去療法を受けた後少なくとも10年間は、アルツハイマー病や認知症の診断と関連することが示された。JAMA Network Open誌2019年7月3日号に掲載。アンドロゲン除去療法の曝露:非曝露で認知症は21.6%:15.8% 本研究は、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)-Medicare Linked Databaseを用いた後ろ向きコホート研究で、1996~2003年に新たに前立腺がんと診断された65歳以上の男性29万5,733例のうち、研究基準を満たした15万4,089例が対象。分析は2018年11月1日~2018年12月31日に行われた。著者らは、前立腺がんの診断から2年以内にアンドロゲン除去療法を受けた患者を同定し、生存期間分析でアンドロゲン除去療法曝露と追跡期間におけるアルツハイマー病または認知症の診断との関連を検討した。 アンドロゲン除去療法と認知症の関連についての主な研究結果は以下のとおり。・15万4,089例のうち、前立腺がん診断の2年以内に6万2,330例(平均年齢:76.0[SD:6.0]歳)がアンドロゲン除去療法を受け、9万1,759例(平均年齢:74.3歳[SD:6.0])がアンドロゲン除去療法を受けていなかった。平均追跡期間は8.3年(SD:4.7)であった。・アンドロゲン除去療法曝露はアンドロゲン除去療法非曝露と比較して、アルツハイマー病(13.1% vs.9.4%、差:3.7%、95%CI:3.3~3.9%、p<0.001、ハザード比[HR]:1.14、95%CI:1.10~1.18)と認知症(21.6% vs.15.8%、差:5.8%、95%CI:5.4~6.2%、p<0.001、HR:1.20、95%CI:1.17~1.24)の診断と関連していた。・NNT(number needed to harm)は、アルツハイマー病で18例(95%CI:17~19)、認知症で10例(95%CI:9.5~11)であった。

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高齢者のうつ病と近隣の緑地との関係

 近隣に緑地や植物があることは、健康やウェルビーイングの指標と関連しているが、高齢者のうつ病との関連は、あまり研究されていない。うつ病における環境要因を明らかにすることは、予防および治療の両面において、これまでのうつ病介入を補完する可能性がある。米国・マイアミ大学のTatiana Perrino氏らは、フロリダ州マイアミ・デイド郡の高齢者を対象に、近隣の緑地とうつ病診断との関連について調査を行った。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年6月13日号の報告。 メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)に登録されている24万9,405人を対象に分析を行った。対象者は、2010~11年の2年間、マイアミの同じ場所に居住していた65歳以上。マルチレベル分析では、近隣の緑地(衛星画像による平均ブロックレベル正規化植生指標で評価)とうつ病診断(メディケアデータで評価)との関連を評価した。共変量は、年齢、性別、人種/民族、併存疾患数、近隣の平均世帯収入とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と診断された患者は、9%以上であった。・人口統計および併存疾患で調整した後においても、高レベルの緑色度は、うつ病の低リスクと関連が認められた。・三分位で近隣の緑色度が最も低かった住民と比較し、中程度の住民はうつ病オッズ比が8%低く(OR:0.92、95%CI:0.88~0.96、p=0.0004)、最も高かった住民ではうつ病オッズ比が16%低かった(OR:0.84、95%CI:0.79~0.88、p<0.0001)。 著者らは「高レベルの緑色度は、高齢者のうつ病リスクを低下させる可能性がある。中程度であったとしても、緑が増加することは、健康促進へのアプローチ強化につながる可能性がある」としている。

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強迫症患者における双極性障害合併率

 強迫症(OCD)患者は、主に不安障害や情動障害などの併存疾患を有することが多く、このことがOCDの経過や援助要請、治療反応に影響を及ぼす。これまで、OCD患者における双極性障害(BD)の併存についての研究が行われているが、多くは小規模サンプルで実施されていた。ブラジル・パウリスタ大学のMariana S. Domingues-Castro氏らは、大規模サンプルを用いて、OCD患者のBD生涯有病率を推定し、BD併存の有無における人口統計学的および臨床的特徴について比較を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 強迫性スペクトラム障害に関するブラジル調査コンソーシアム(C-TOC)より、成人OCD患者955例を対象とした横断的研究を実施した。評価尺度には、Yale-Brown強迫観念・強迫行為尺度(Y-BOCS)、ディメンジョン別強迫症状重症度尺度(DY-BOCS)、ベックうつ病自己評価尺度(BDI)、精神科診断面接マニュアル(SCID)を用いた。記述的および二変量解析に続いてロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・OCD患者におけるBDの生涯有病率は、7.75%(74例)であった。・BD併存と独立して関連していた因子は、広場恐怖症を伴うパニック症、衝動制御障害、自殺企図であった。 著者らは「BDを併発したOCD患者は、自殺リスクが高いなど、より重症な臨床的特徴を有するため、両疾患に対する適切な治療を行うためにも、慎重な治療アプローチが求められる」としている。

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統合失調症治療における多剤併用療法の単剤療法への切り替え~メタ解析

 統合失調症における抗精神病薬の多剤併用療法は、単剤療法よりも優位性があることが最近のメタ解析で報告されているが、単剤療法への切り替えは、副作用に関して有益である。東京女子医科大学の松井 健太郎氏らは、抗精神病薬の多剤併用療法を受けている患者に対し、単剤療法への切り替えを行うべきか、多剤併用療法を継続すべきかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月7日号の報告。統合失調症患者の多剤併用療法、単剤療法への切り替えと併用継続を比較 これまでのメタ解析から、多剤併用療法を受けていた統合失調症患者を対象に、単剤療法への切り替えと多剤併用療法の継続について比較したランダム化比較試験(RCT)をシステマティックに選択した。さらに、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを用いて、最新のシステマティック文献検索を行った。試験中止、再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関するデータを抽出し統合した。 統合失調症患者の多剤併用療法について、単剤療法への切り替えと併用継続を比較した主な結果は以下のとおり。・6件のRCT(341例)が抽出された。・すべての研究において、2種類の抗精神病薬から単剤への切り替えが検討されていた。クロザピン治療を受けていた患者が含まれていた研究は3件であった。・多剤併用療法の継続は、すべての原因による試験中止に関して、有意に優れていた(6 RCT、341例、RR:2.28、95%CI:1.50~3.46、p<0.001)。・再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関しては、有意な差が認められなかった。・エビデンスの質は、非常に低かった。 著者らは「本結果は、臨床医が2種類の抗精神病薬で治療後に単剤療法への切り替えを行う際には、患者の状態を注意深く監視すべきであることを示唆している。全体的なエビデンスの質が非常に低いことを考慮すると、本結果は暫定的なものであると考えるべきである」としている。

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抑うつ症状と燃え尽き症候群との関係

 燃え尽き症候群とうつ病との間に重複する概念が存在するのか、あるいは互いに異なるのかについては、継続的に議論されており、入院患者における精査は行われていない。この関連性を明らかにするため、スイス・ベルン大学のKathleen Schwarzkopf氏らは、3つの異なるうつ病尺度を用いて検討を行った。さらに、抑うつ症状と燃え尽き症候群との関連における心理的苦痛、知覚されたストレスおよび睡眠の質への影響についても調査を行った。Zeitschrift fur Psychosomatische Medizin und Psychotherapie誌2019年6月号の報告。 対象は、職業性ストレス関連障害治療の専門病院に紹介された23~82歳の入院患者723例(女性の割合:51.2%)。評価には、燃え尽き症候群評価尺度(Maslach Burnout Inventory)、ベック抑うつ質問票、Hospital Anxiety and Depression Scale(HAD)、Brief Symptom Inventory、知覚されたストレス尺度(Perceived Stress Scale)、ピッツバーグ睡眠質問票を用いた。 主な結果は以下のとおり。・燃え尽き症候群の合計スコアやサブスケール(情緒的消耗感、脱人格化、達成感の低下)とうつ症状(うつ病尺度にかかわらず)との間に有意な相関関係が認められた。・共分散は、1.1~19.4%であった。・燃え尽き症候群のレベルは、認知情動的症状と直接的な関連が認められた。程度は低いものの、身体的情動的症状とうつ病との関連も認められた。・多変量解析では、燃え尽き症候群が有意に多かった因子は、うつ症状、若年、男性、精神的苦痛やストレスレベルの高さであった。 著者らは「燃え尽き症候群とうつ病は、同様な精神病理学を示すものではないが、2つの構成要素には重複する部分が多く、この程度は使用するうつ病評価尺度により変化する可能性が示唆された」としている。

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統合失調症における抗精神病薬減量モデル~パイロット研究

 精神科医と統合失調症患者は、再発することを恐れ、抗精神病薬の減量をためらっているのではないか。このようなジレンマの克服を目的とし、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChisa Ozawa氏らは、個々の患者のドパミンD2受容体占有率に対応した経口投与量を算出するモデルを開発した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年6月10日号の報告。 本パイロット研究では、リスペリドンまたはオランザピンの単剤治療で臨床的に安定している統合失調症患者35例を対象に、減量群(17例)または維持群(18例)にランダムに割り付けた。減量群では、モデルを使用してランダムに収集した血漿濃度から算出したトラフ値D2占有率65%に対応するよう、抗精神病薬の減量を行った。 主な結果は以下のとおり。・投与量は、減量群においてリスペリドン4.2±1.9mg/日から1.4±0.4mg/日へ、オランザピン12.8±3.9mg/日から6.7±1.8mg/日へ減量した。維持群では、リスペリドン4.3±1.9mg/日、オランザピン15.8±4.6mg/日であった。・試験完了患者は、減量群で12例(70.5%)、維持群で13例(72.2%)であった(p=0.604)。臨床的な悪化が認められ脱落した患者は、減量群で3例(18.8%)であったが、維持群では認められなかった。・両群間で陽性・陰性症状評価尺度PANSSスコアの変化に有意な差は認められなかったが、臨床全般印象度(CGI-S)の陽性症状サブスコアで差が認められた(減量群:0.4±0.7、維持群:-0.1±0.7、p=0.029)。 著者らは「本モデルを用いた抗精神病薬の減量戦略は、脱落率の点では維持群と同等であったが、安全性の観点については、さらなる検討が必要である」としている。

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メマンチン補助療法の精神疾患に対する有効性をメタ解析

 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるメマンチンは、アルツハイマー型認知症に限らず、統合失調症、双極性障害、うつ病を含む主な精神疾患の治療に用いられることがある。中国・広州医科大学のWei Zheng氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病に対するメマンチン補助療法の有効性および忍容性に関するメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月1日号の報告。メマンチン補助療法は統合失調症の陰性症状改善に有意な効果 対象とした研究には、ランダム化比較試験(RCT)のみを選択した。各疾患のデータは、RevMan 5.3を用いて、それぞれ合成した。 主な結果は以下のとおり。・メマンチン(5~20mg/日)補助療法に関して検討した15件のRCT(988例)を分析した。内訳は、統合失調症512例(9 RCT)、双極性障害319例(3 RCT)、うつ病157例(3 RCT)であった。・統合失調症に対するメマンチン補助療法は、総合精神病理学的症状(標準化平均差[SMD]:-0.56、95%信頼区間[CI]:-1.01~-0.11、I2:76%、p=0.01)および陰性症状(SMD:-0.71、95%CI:-1.09~-0.33、I2:74%、p=0.0003)に関して対照群よりも優れていた。しかし、統合失調症の陽性症状および一般精神病理学的症状、双極性障害のうつ症状や躁症状、うつ病のうつ症状に関して有意な効果は認められなかった。・メマンチン補助療法は、統合失調症の認知機能改善に関して対照群よりも優れていた(SMD:1.07、95%CI:0.53~1.61、I2:29%、p<0.0001)。・各疾患における何らかの原因による薬剤性有害事象および中止率に関して、群間差は認められなかった。 著者らは「メマンチン補助療法は、統合失調症の陰性症状改善に有意な効果を示すと考えられる。双極性障害やうつ病に対するメマンチン補助療法の有効性および安全性については、さらなる検討が必要である」としている。

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強迫症患者の統合失調症リスク~コホート研究

 統合失調症患者では、強迫症(OCD)を併発する頻度が高いことが報告されている。OCDと統合失調症発症のシークエンスにより、両疾患の根底にある病態生理学的関係が明らかとなる可能性があるが、利用可能なエビデンスは限られている。台湾・嘉義長庚紀念病院のYu-Fang Cheng氏らは、新規でOCDと診断された患者における統合失調症リスクについて、集団ベースのコホートを用いて調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年5月24日号の報告。 2000~13年に新たにOCDと診断された患者を、縦断的健康保険研究データベースより抽出した。非OCD群はランダムに抽出し、OCD群と性別、年齢、都市レベル、所得でマッチングした。潜在的な交絡因子で調整し、Cox比例ハザードモデルおよび競合リスクモデルを用いて、統合失調症リスクを推定した。 主な結果は以下のとおり。・OCD群2,009例、非OCD群8,036例が抽出された。・統合失調症発症リスクは、OCD群で876.2/10万人年、非OCD群で28.7/10万人年であった。・調整後、OCD群では、統合失調症リスクが大いに高かった(ハザード比[HR]:30.29、95%信頼区間[CI]:17.91~51.21)。・男性、20年前のOCD発症、抗精神病薬投与が、統合失調症と関連していた。・自閉症を併発していた患者では、統合失調症リスクがより高かった(HR:4.63、95%CI:1.58~13.56)。 著者らは「OCDの診断、男性、20年前のOCD発症、自閉症の併発、抗精神病薬の使用は、統合失調症リスクの高さと関連が認められた。精神科医は、OCDが統合失調症の初期症状である可能性に注意する必要がある」としている。

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第2世代抗精神病薬経口剤の長期有効性~メタ解析

 統合失調症の維持療法においては、第2世代抗精神病薬(SGA)の使用が推奨される。しかし、各SGAの長期有効性の違いは、明らかとなっていない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、統合失調症および関連疾患におけるSGAの有効性を直接比較した6ヵ月以上のランダム化試験について、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。World psychiatry誌2019年6月号の報告。 主要アウトカムは、全原因による中止とした。副次アウトカムは、精神病理、無効および忍容性に関連した中止、再発、入院、寛解、機能、QOL、有害事象を含む有効性および忍容性とした。プールされたリスク比(RR)および標準化平均差(SMD)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・59研究(4万5,787例、持続期間47.4±32.1週[24~186週])からの有効性、忍容性の結果において、SGAの一貫した優位性は認められなかった。・全原因による中止では、クロザピン、オランザピン、リスペリドンは、他のSGAよりも有意に優れていたが(p<0.05)、クエチアピンは他のSGAよりも劣っていた。・精神病理学的側面では、クロザピン、オランザピンは他のSGAよりも優れていたが、クエチアピン、ziprasidoneは、他のSGAよりも劣っていた。・他の有効性アウトカムに関するデータは、希薄であった。・忍容性に関連した中止では、他のSGAと比較し、リスペリドンは優れており、クロザピンは劣っていた。・体重増加については、オランザピンは、クロザピンを除く他のすべてのSGAよりも悪く、リスペリドンは、いくつかのSGAよりも有意に悪かった。・パーキンソン症候群については、オランザピンは、リスペリドンよりも優れていたが、アカシジアについては有意な差が認められなかった。・鎮静および傾眠作用については、クロザピンおよびクエチアピンは、他のSGAよりも有意に悪かった。 著者らは「本検討により、さまざまなSGAの長期有効性および忍容性のパターンが明らかとなった。特定のSGAにおける長期的なリスクとベネフィットのプロファイルは、維持療法の治療効果を最適化するため、個々の患者に合わせて調整する必要がある」としている。

1274.

抗うつ薬の治療効果に影響を及ぼす因子~メタ解析

 抗うつ薬への治療反応を事前に知ることは、臨床的に重要である。しかし、有意義なeffect modification(異なる治療反応に関連する変数)はわかっていない。統計数理研究所の野間 久史氏らは、effect modificationを明らかにするため、これまで日本で実施された抗うつ薬のプラセボ対照試験における被験者個人データ(IPD)を用いてメタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年5月1日号の報告。 うつ病の急性期治療におけるbupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンのプラセボ対照試験7件より、2,803例のIPDを取得した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)の罪責感サブスケールスコアが高いほど、6週目のうつ病重症度の減少率が高く、この差は、現在の年齢または発症年齢が高いほど小さかった。・8週目のうつ病重症度では、HRSDの罪責感サブスケールスコアとベースライン時の自殺念慮の存在により、減少率が高いと予測された。また、HRSDの無快感および不眠スコア、2週目の早期治療反応は、より小さな減少を予測した。 著者らは「年齢、発症年齢、罪責感・無快感・不眠を含むいくつかのHRSDサブスケール、ベースライン時の自殺念慮の存在、早期治療反応は、うつ病患者に対する急性期抗うつ薬治療の治療反応における潜在的なeffect modificationであると考えられる。将来の研究において、うつ病治療と個人の特性とのマッチングを可能にするため、これらの追加変数を測定する必要がある」としている。

1275.

うつ病に対するアリピプラゾール増強療法と血漿ホモバニリン酸レベル

 福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、うつ病に対する低用量(LD)および高用量(HD)のアリピプラゾール増強療法の有効性を評価するため、ランダム化比較試験を行った。さらに、アリピプラゾール増強療法中の臨床反応と血漿ホモバニリン酸(pHVA)レベルの変化との関係を調査した。Human Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。 抗うつ薬に対し治療反応不十分なうつ病患者31例を対象として、LD(3mg/日)群17例またはHD(最大12mg/日)群14例にランダムに割り付け、6週間にわたるアリピプラゾール増強療法を行った。ベースライン、2週目、試験終了時に、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による評価およびpHVAの測定を行った。 主な結果は以下のとおり。・6週後のMADRSスコアは、両群ともに有意な減少が認められた。試験終了時の奏効率は、HD群のほうが高かった。・HD群はLD群と比較し、2週目のMADRSスコアに有意な減少が認められた(p=0.015)。・治療反応患者と非反応患者との間でpHVAの変化に有意な差が認められ、治療反応患者のpHVAは、2週目において有意な減少を示した(p=0.044)。 著者らは「うつ病患者に対しアリピプラゾールを早期に増量することは、早期治療反応に有用であると考えられるが、6mg/日超に増量する場合には注意が必要である。また、pHVAは、アリピプラゾール増強療法に対する治療反応の指標となりうる。しかし、本調査はサンプルサイズが小さいため、結果の解釈には注意が必要である」としている。

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双極性障害維持療法に対するリチウムとラモトリギンの有効性と安全性~メタ解析

 リチウムまたはラモトリギンで臨床的に安定している成人双極性障害(BD)患者に対し、これらの薬剤を投与し続けるべきかについては、十分に確立されていない。藤田医科大学の大矢 一登氏らは、臨床的に安定している成人BD患者へのリチウムおよびラモトリギン維持療法の有効性と安全性について評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月26日号の報告。 本メタ解析には、リチウムまたはラモトリギンに対し急性反応を示した患者を選択した強化デザイン(enrichment design)による、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のみを含めた。PubMed、Cochrane Library、Embaseより、2018年11月15日までの研究を検索した。主要アウトカムは、試験終了時点での気分エピソードの再発率とした。その他のアウトカムは、試験終了時の躁病/軽躁病/混合エピソードまたはうつ病による再発率、試験中止率、死亡、自殺による死亡とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。変量効果モデルにより有意な群間差が認められた際、治療必要数(NNT)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・リチウムに関する研究2件(218例)、ラモトリギンに関する研究4件(706例)が抽出された。・あらゆる気分エピソードによる再発率の減少について、リチウム(RR:0.52、95%CI:0.41~0.66、p<0.00001、I2:0%、NNT:2.3[1.6~4.2])およびラモトリギン(RR:0.81、95%CI:0.70~0.93、p=0.004、I2:0%、NNT:8.3[5.0~25.0])は、プラセボよりも優れていた。また、全原因による試験中止についても、両剤ともにプラセボよりも優れていた。・他のアウトカムについては、プラセボとの間に有意な差は認められなかった。 著者らは「臨床的に安定している成人BD患者に対するリチウムおよびラモトリギン維持療法は、再発防止に有用であることが示唆された。しかしながら、本分析における試験数および患者数は少数であった」としている。

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~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】

第1回 うつ病の診断と治療第2回 うつ病の薬物療法第3回 双極性障害第4回 発達障害第5回 不眠第6回 不安障害第7回 認知症の診断第8回 認知症の治療第9回 自傷・摂食障害第10回 人格障害・心気症第11回 アルコール依存症第12回 統合失調症 うつ、不眠、認知症や発達障害。精神科領域の疾患は内科で日々出合うもの。頻繁に診察するものの精神科領域の対応や処方は実は苦手…という先生も多いのではないでしょうか。「Dr.前野のスペシャリストにQ!」第7弾は精神科を取り上げます。CareNet.com医師会員から集めた疑問をプライマリケア医視点で前野哲博先生が厳選。精神科のスペシャリスト松崎朝樹先生が、日常診療に役立つノウハウを交えてズバリ一問一答で解決します。第1回 うつ病の診断と治療内科で最もよく診察する精神疾患はうつ病。頻度が高いからこそ出てくる疑問を前野先生が厳選。簡便なスクリーニング方法、希死念慮の確認方法、疑ったときのファーストアクションなどのエッセンスを松崎先生がクリアカットに解説します。第2回 うつ病の薬物療法今回はうつ病の薬物療法、専門医の治療戦略と、内科で使いやすい1剤を伝授。症状が軽くなったら薬をやめていい?とりあえず抗不安薬で様子をみてもいい?うつ病の薬物療法で内科医が陥りがちなピットフォールもひとつずつ解消します。第3回 双極性障害実はうつ病と見誤りやすいのが双極性障害。どんなときに双極性障害を疑うか。内科医は決して手をつけてはいけないと思いがちですが、患者が精神科に受診するまでのつなぎに、していいこと、してはいけないことをズバリ回答します。第4回 発達障害一時期、診断自体が”流行”してしまった発達障害。自閉スペクトラム症とADHDそれぞれの疾患像と必要な対応をコンパクトに解説します。プライマリケアでは、診断や処方よりも、QOLを向上させる関わり方を理解し家族に指導できることが重要。そのポイントを松崎先生に教えてもらいます。第5回 不眠プライマリケアでよく出会う”不眠”。睡眠薬を処方する前に確認すべきことが実は多いんです。つまり、睡眠薬が必要ない例を見極める質問を2つ紹介します。そして、睡眠薬を処方するときのポイントを伝授。ベンゾジアゼピン系の依存をなるべく作らない最新の処方、そしてすでに依存になっている睡眠薬の減らし方を学びましょう。第6回 不安障害”抗不安薬”という名前に惑わされないでください。不安障害の治療薬はSSRI。わかっていても抗不安薬のほうが出しやすいと感じる先生へ、初めの一手として専門医が勧める処方例をお教えします。長期服用してきた抗不安薬の減らし方も、スペシャリストのワザをあれもこれも惜しげなく伝授します!第7回 認知症の診断最近もの忘れがひどくて、という患者。エピソード記憶があれば認知症ではないとするのは実は間違い。認知症を早期発見するには、こうした訴えを無視しないことが重要。ではどう対応するのがよいのか?認知症の診断に関する疑問に答えます。第8回 認知症の治療抗認知症薬はどれを使うべき?専門医受診を促すよい方法は?疲弊した家族にどう対応すべきか?周辺症状への対処は?認知症治療で必ず遭遇する”困った”を解消します。第9回 自傷・摂食障害アピールだろう、どうせ死ぬ気はない、と邪険にしがちな自傷や摂食障害。面倒と感じる気持ちはあっても、医療者として押さえておくべき対応をお教えします。第10回 人格障害・心気症パーソナリティ障害、心気症、いずれも医療者の陰性感情が生じやすいもの。診断も薬物療法もあまり効果がない、それでも診療を続けないといけないとき、精神科専門医はどのように考えて対応しているのか、スペシャリストのノウハウを紹介します。第11回 アルコール依存症酒が1週間止められないなら、アルコール依存と診断し断酒あるいは節酒を指示する。治療方針はシンプルですが断酒できないから病気なので、診療にへきえきすることもあるのではないでしょうか。治療のポイントは患者そして患者家族との関わり方にあります。離脱対策や長期入院時の注意点など、必要不可欠なトピックを10分にまとめました。第12回 統合失調症統合失調症はきちんと服薬していれば、恐れるような疾患ではありません。統合失調症の陰性症状とうつ病をどう見分けるか、専門医受診までのファーストチョイス、内科で出合う慢性期統合失調症管理のポイント、入院が決まったときに確認すべき点といった非専門医に必要十分な統合失調症対応のエッセンスを伝授します。

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統合失調症における洞察力と服薬アドヒアランスとの関連~CATIEデータ分析

 統合失調症治療において、抗精神病薬の服薬アドヒアランスは重要である。疾患に対する洞察力低下は、服薬ノンアドヒアランスの主な要因の1つであり、臨床アウトカムに悪影響を及ぼす。カナダ・トロント大学のJulia Kim氏らは、CATIE研究データを用いて、統合失調症患者の洞察力低下と抗精神病薬の服薬ノンアドヒアランスの割合、および服薬ノンアドヒアランスまでの期間との関係について検討を行った。Neuropharmacology誌オンライン版2019年5月8日号の報告。統合失調症患者の服薬アドヒアランス改善に洞察力の向上が寄与 PANSS項目のG12(判断力と洞察力の欠如)を用いて、統合失調症患者の洞察力を評価した。洞察力の程度により、統合失調症患者を障害なし(PANSS G12=1)、軽度(PANSS G12=2~3)、中等度~重度(PANSS G12=4以上)の3群に割り当てた。服薬ノンアドヒアランスの定義は、1ヵ月の処方錠数の80%未満服用とした。各群の服薬ノンアドヒアランスまでの期間は、カプランマイヤーおよびCox回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・服薬ノンアドヒアランスの割合は、6ヵ月後(χ2[2]=8.80、p=0.012)および18ヵ月後(χ2[2]=10.04、p=0.007)において、有意な群間差が認められた。・中等度~重度の統合失調症患者における洞察力低下は、軽度(χ2=4.70、p=0.030)または障害なし(χ2=11.92、p=0.001)の患者と比較し、早期の服薬ノンアドヒアランスとの関連が認められた。・この関連は、疾患重症度、薬物使用、投薬に対する態度、認知機能、敵意の程度、うつ症状で調整後も有意なままであった。 著者らは「本研究結果は、洞察力低下と抗精神病薬の服薬アドヒアランスに強い関連性が認められることを示唆している。洞察力を向上させるための介入は、統合失調症患者の服薬アドヒアランス改善、ひいては疾患の他の臨床アウトカムの改善に寄与する可能性がある」としている。

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てんかんや統合失調症患者の早期死亡率~コホート研究

 デンマーク・オーフス大学のKatrine M. Andersen氏らは、てんかんおよび統合失調症患者の死亡率を、絶対的および相対的な尺度によって決定するための検討を行った。Epilepsia誌オンライン版2019年5月11日号の報告。 本研究は、1960~87年にデンマークで生まれ、25歳の誕生日時点でデンマークに居住していた住民を対象とした集団ベース全国規模コホート研究である。25歳以前にてんかんおよび統合失調症と診断された患者を特定し、死亡または移住について2012年までフォローアップを行った。主要アウトカムは、全死亡率とした。分析には、Cox回帰を用いた。てんかんと統合失調症の合併患者の死亡率は12.8倍 てんかんおよび統合失調症患者の死亡率について主な結果は以下のとおり。・2,416万7,573人年(中央値:15年)フォローアップを行った。・死亡率は、てんかんおよび統合失調症でなかった住民と比較し、てんかん患者で4.4倍(95%信頼区間[CI]:4.1~4.7)、統合失調症患者で6.6倍(95%CI:6.1~7.1)、てんかんと統合失調症の合併の患者で12.8倍(95%CI:9.1~18.1)であった。・50歳時点での推定累積死亡率は、てんかんおよび統合失調症でなかった住民で3.1%(95%CI:3.0~3.1)、てんかん患者で10.7%(95%CI:9.7~11.8)、統合失調症患者で17.4%(95%CI:16.0~18.8)、てんかんと統合失調症合併の患者で27.2%(95%CI:15.7~40.1)であった。 著者らは「てんかんおよび統合失調症の患者は、死亡率が非常に高い。とくに、両疾患を合併している患者では、25~50歳の間に4人に1人が死亡しており、臨床的に注意が必要である」としている。

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超加工食品の高摂取で死亡リスク増大/BMJ

 超加工食品を1日4サービング以上摂取すると、死亡のハザードが相対的に62%増加し、1日1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加することが、スペイン・ナバラ大学のAnais Rico-Campa氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2019年5月29日号に掲載された。既報の成人を対象とした前向きコホート研究により、超加工食品の摂取は、がん、過敏性腸症候群、肥満、高血圧のハザードの上昇と関連することが知られている。約2万例を2年ごとに観察 研究グループは、超加工食品の摂取と全死因死亡の関連を評価する目的で、前向きコホート研究を行った(Instituto de Salud Carlos IIIなどの助成による)。 解析には、スペインの大学卒業生が登録されたSeguimiento Universidad de Navarra(SUN)の1999~2018年のデータを用いた。1999~2014年の期間に、20~91歳の1万9,899例を2年ごとにフォローアップした。食品と飲料の摂取状況を、NOVA分類による加工の程度で分類し、妥当性が確認された136項目の食品頻度質問票を用いて評価した。 主要アウトカムは、4段階の超加工食品の1日摂取量(低[<2サービング/日]、低~中[2~<3サービング/日]、中~高[3~≦4サービング/日]、高[>4サービング/日])で調整したエネルギー消費量と全死因死亡の関連とし、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。加工肉と砂糖入り飲料が最も多い 1万9,899例のうち、女性が1万2,113例、男性は7,786例で、ベースラインの全体の平均年齢は37.6(SD 12.3)歳、フォローアップ期間中央値は10.4年であった。観察人年20万432人年に、335例が死亡した(がん死164例、心血管死71例)。 超加工食品の平均1日摂取量は、低摂取群(4,975例)が1.4(SD 0.8)サービング、低~中摂取群(4,975例)が2.7(0.2)サービング、中~高摂取群(4,975例)が3.5(0.3)サービング、高摂取群(4,974例)は5.3(1.4)サービングであった。 高摂取群は平均BMI(23.8)が高かった。また、高摂取群は低摂取群と比較して、現喫煙者が多く、大学教育レベルが高く(大学院、博士号取得者が多い)、心血管疾患・がん・糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・うつ病の家族歴を持つ者が多かった。 高摂取群は低摂取群に比べ、間食や1日3時間以上のテレビ視聴の割合が高く、1日のコンピュータ使用時間や昼寝の時間が長く(座位行動が多い傾向)、総脂肪摂取が多く、タンパク質や炭水化物の摂取は少なかった。高摂取群は他の群に比し、ファストフード、揚げ物、加工肉、砂糖入り飲料の摂取量が多く、野菜、果物、オリーブ油、アルコール飲料、総食物繊維の摂取量が少なかった。超加工食品の摂取量が多くなるほど、地中海食のアドヒアランス・スコア(0~9点、点数が高いほど伝統的地中海食へのアドヒアランスが高い)が低下した。 超加工食品のうち、最も多かったのは加工肉(15%、ハム、ソーセージ、チョリソ、サラミ、モルタデッラ、ハンバーガーを含む)と砂糖入り飲料(15%)で、次いで乳製品(12%、カスタード、アイスクリーム、ミルクシェイク、プチスイスを含む)、フレンチフライ(11%)、ペストリー(10%、マフィン、ドーナツ、クロワッサンや他の非手作りペストリー、菓子類を含む)、クッキー(8%、ビスケット、チョコレートクッキーを含む)の順であった。 超加工食品の高摂取群は低摂取群に比べ、全死因死亡のハザードが62%有意に高く(多変量で補正後のハザード比[HR]:1.62、95%信頼区間[CI]:1.13~2.33)、有意な用量反応関係が認められた(線形傾向のp=0.005)。がん死(1.22、0.70~2.12、p=0.42)および心血管死(2.16、0.92~5.06、p=0.11)には有意差はなかった。また、超加工食品が1サービング増えるごとに、全死因死亡が相対的に18%有意に増加した(補正後HR:1.18、95%CI:1.05~1.33)。 著者は、「超加工食品の摂取を抑制し、製品への課税や売買制限を目標とし、新鮮な最小限の加工食品(地中海食の重要な側面)の摂取を促進することは、世界の公衆衛生の改善において重要な健康施策の一環と考えるべきである」としている。

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