サイト内検索|page:59

検索結果 合計:2852件 表示位置:1161 - 1180

1161.

ブレクスピプラゾールのリバウンド現象抑制作用

 統合失調症患者に対する抗精神病薬の長期治療は、ドパミンD2受容体感作により引き起こされると考えられる過感受性精神病や遅発性ジスキネジアを誘発する可能性がある。大塚製薬のNaoki Amada氏らは、ラットにおいて亜慢性期治療後のD2受容体感受性に対するブレクスピプラゾールの効果を検討した。また、他の非定型抗精神病薬を投与された亜慢性期ラットでのD2受容体に対する増強作用を、ブレクスピプラゾールが抑制できるかについて評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年9月5日号の報告。ブレクスピプラゾールは反復投与後のD2受容体感作のリスクが低い 最大D2受容体濃度(Bmax)およびアポモルヒネ(D2受容体アゴニスト)誘導性常同行動について、21日間のvehicle、ハロペリドール(1mg/kg)、ブレクスピプラゾール(Bmax:4または30mg/kg、常同行動:6または30mg/kg)のいずれかを投与したラットで測定した。次に、ミニポンプを介して21日間リスペリドン(1.5mg/kg/日)皮下投与を行ったラットにおいて、アポモルヒネ誘発運動亢進および(±)-2.5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン塩酸塩(DOI:5-HT2A受容体アゴニスト)誘発性頭部けいれん(head twitches)の増加に対する、ブレクスピプラゾール(3mg/kg)、アリピプラゾール(10mg/kg)、オランザピン(3mg/kg)経口投与の効果を評価した。 ブレクスピプラゾールの効果検討の主な結果は以下のとおり。・ハロペリドールおよびブレクスピプラゾール(30mg/kg[抗アポモルヒネ誘発性常同行動のED50の約10倍])は、Bmaxおよびアポモルヒネ誘発性常同行動の有意な増加が認められたが、ブレクスピプラゾール(4または6mg/kg)では認められなかった。・ブレクスピプラゾール(3mg/kg)とオランザピン(3mg/kg)では、リスペリドンで治療された亜慢性期ラットにおいて、アポモルヒネ誘発運動亢進およびDOI誘発性頭部けいれん(head twitches)の増加に対する有意な抑制効果が認められたが、アリピプラゾール(10mg/kg)では、アポモルヒネ誘発運動亢進のみの有意な抑制効果が認められた。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、反復投与後のD2受容体感作のリスクが低く、リスペリドン反復投与後のD2および5-HT2A受容体に関連するリバウンド現象を抑制する」としている。

1162.

統合失調症に対するブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤の有効性と安全性

 ブロナンセリンは、統合失調症に適応を有する第2世代抗精神病薬である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、急性増悪統合失調症患者におけるブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤の有効性、安全性、薬物動態について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年8月27日号の報告。 本試験は二重盲検多施設共同第III相臨床試験であり、1週間の観察期間中にプラセボの2つのテープ製剤を使用し、その後6週間の二重盲検期間を設け、患者を1日1回ブロナンセリン40mgテープ(40mg群)、80mgテープ(80mg群)またはプラセボテープ(プラセボ群)を貼付する群にランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、PANSSスコアのベースラインからの変化量とした。安全性評価には、治療により発生した有害事象(TEAE)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・2014年12月~2018年10月に患者を募集し、40mg群(196例)、80mg群(194例)、プラセボ群(190例)にランダムに割り付けた。そのうち77.2%が試験を完了した。・ブロナンセリンでは、プラセボと比較し、6週間でPANSS合計スコアの有意な改善が認められた(対プラセボ最小二乗平均[LSM]差:40mg群-5.6[95%CI:-9.6~-1.6、調整p=0.007]、80mg群-10.4[95%CI:-14.4~-6.4、調整p<0.001])。・ブロナンセリンの忍容性は良好であり、最も一般的なTEAEは、貼付部の紅斑、そう痒、アカシジア、振戦、不眠であった。 著者らは「ブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤は、急性増悪統合失調症の症状を改善し、忍容性も許容可能であることが示された」としている。

1163.

(膿疱性)乾癬〔(pustular) psoriasis〕

1 疾患概要■ 概念・定義表皮角化細胞の増殖あるいは角質の剥離障害によって、角質肥厚を主な病態とする疾患群を角化症という。なかでも炎症所見の顕著な角化症、つまり潮紅(赤くなること)と角化の両者を併せ持つ角化症を炎症性角化症と称するが、乾癬はその代表的疾患である1)。乾癬は、遺伝的要因と環境要因を背景として免疫系が活性化され、その活性化された免疫系によって刺激された表皮角化細胞が、創傷治癒過程に起こるのと同様な過増殖(regenerative hyperplasia)を示すことによって引き起こされる慢性炎症性疾患である2)。■ 分類1)尋常性(局面型)乾癬最も一般的な病型で、単に「乾癬」といえば通常この尋常性(局面型)乾癬を意味する(本稿でも同様)。わが国では尋常性乾癬と呼称するのが一般的であるが、欧米では局面型乾癬と呼称されることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の75.9%を占める3)。2)関節症性乾癬尋常性(局面型)乾癬患者に乾癬特有の関節炎(乾癬性関節炎)が合併した場合、わが国では関節症性乾癬と呼称する。しかし、この病名はわかりにくいとの指摘があり、今後は皮疹としての病名と関節炎としての病名を別個に使い分けていく方向になると考えられるが、保険病名としては現在でも「関節症性乾癬」が使用されている。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の14.6%を占める3)。3)滴状乾癬溶連菌性上気道炎などをきっかけとして、急性の経過で全身に1cm程度までの角化性紅斑が播種状に生じる。このため、急性滴状乾癬と呼ぶこともある。小児や若年者に多く、数ヵ月程度で軽快する一過性の経過であることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の3.7%を占める3)。4)乾癬性紅皮症全身の皮膚(体表面積の90%以上)にわたり潮紅と鱗屑がみられる状態を紅皮症と呼称するが、乾癬の皮疹が全身に拡大し紅皮症を呈した状態である。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の1.7%を占める3)。5)膿疱性乾癬わが国では単に「膿疱性乾癬」といえば汎発性膿疱性乾癬(膿疱性乾癬[汎発型])を意味する(本稿でも同様)。希少疾患であり、厚生労働省が定める指定難病に含まれる。急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する重症型である。尋常性(局面型)乾癬患者が発症することもあれば、本病型のみの発症のこともある。妊娠時に発症する尋常性(局面型)乾癬を伴わない本症を、とくに疱疹状膿痂疹と呼ぶ。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の2.2%を占める3)。■ 疫学世界的にみると乾癬の罹患率は人口の約3%で、世界全体で約1億2,500万人の患者がいると推計されている4)。人種別ではアジア・アフリカ系統よりも、ヨーロッパ系統に多い疾患であることが知られている4)。わが国での罹患率は、必ずしも明確ではないが、0.1%程度とされている5)。その一方で、健康保険のデータベースを用いた研究では0.34%と推計されている。よって、日本人ではヨーロッパ系統の10分の1程度の頻度であり、それゆえ、国内での一般的な疾患認知度が低くなっている。世界的にみると男女差はほとんどないとされるが、日本乾癬学会の調査ではわが国での男女比は2:16)、健康保険のデータベースを用いた研究では1.44:15)と報告されており、男性に多い傾向がある。わが国における平均発症年齢は38.5歳であり、男女別では男性39.5歳、女性36.4歳と報告されている6)。発症年齢のピークは男性が50歳代で、女性では20歳代と50歳代にピークがみられる6)。家族歴はわが国では5%程度みられる6,7)。乾癬は、心血管疾患、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝、うつ病の合併が多いことが知られており、乾癬とこれらの併存疾患がお互いに影響を及ぼし合っていると考えられている。膿疱性乾癬に関しては、現在2,000人強の指定難病の登録患者が存在し、毎年約80人が新しく登録されている。尋常性(局面型)乾癬とは異なり男女差はなく、発症年齢のピークは男性では30~39歳と50~69歳の2つ、女性も25~34歳と50~64歳の2つのピークがある8)。■ 病因乾癬は基本的にはT細胞依存性の免疫疾患である。とくに、細胞外寄生菌や真菌に対する防御に重要な役割を果たすとされるTh17系反応の過剰な活性化が起こり、IL-17をはじめとするさまざまなサイトカインにより表皮角化細胞が活性化されて、特徴的な臨床像を形成すると考えられている。臓器特異的自己免疫疾患との考え方が根強くあるが、明確な証明はされておらず、遺伝的要因と環境要因の両者が関与して発症すると考えられている。遺伝的要因としてはHLA-C*06:02(HLA-Cw6)と尋常性(局面型)乾癬発症リスク上昇との関連が有名であるが、日本人では保有者が非常に少ないとされる。また、特定の薬剤(βブロッカー、リチウム、抗マラリア薬など)が、乾癬の誘発あるいは悪化因子となることが知られている。膿疱性乾癬に関しては長らく原因不明の疾患であったが、近年特定の遺伝子変異と本疾患発症の関係が注目されている。とくに尋常性(局面型)乾癬を伴わない膿疱性乾癬の多くはIL-36受容体拮抗因子をコードするIL36RN遺伝子の機能喪失変異によるIL-36の過剰な作用が原因であることがわかってきた9)。また、尋常性(局面型)乾癬を伴う膿疱性乾癬の一部では、ケラチノサイト特異的NF-κB促進因子であるCaspase recruitment domain family、member 14(CARD14)をコードするCARD14遺伝子の機能獲得変異が発症に関わっていることがわかってきた9)。その他、AP1S3、SERPINA3、MPOなどの遺伝子変異と膿疱性乾癬発症とのかかわりが報告されている。■ 症状乾癬では銀白色の厚い鱗屑を付着する境界明瞭な類円形の紅斑局面が四肢(とくに伸側)・体幹・頭部を中心に出現する(図1)。皮疹のない部分に物理的刺激を加えることで新たに皮疹が誘発されることをKoebner現象といい、乾癬でしばしばみられる。肘頭部、膝蓋部などが皮疹の好発部位であるのは、このためと考えられている。また、3分の1程度の頻度で爪病変を生じる。図1 尋常性乾癬の臨床像画像を拡大する乾癬性関節炎を合併すると、末梢関節炎(関節リウマチと異なりDIP関節が好発部位)、指趾炎(1つあるいは複数の指趾全体の腫脹)、体軸関節炎、付着部炎(アキレス腱付着部、足底筋膜部、膝蓋腱部、上腕骨外側上顆部)、腱滑膜炎などが起こる。放置すると不可逆的な関節破壊が生じる可能性がある。膿疱性乾癬では、急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する8)(図2)。膿疱が融合して環状・連環状配列をとり、時に膿海を形成する。爪病変、頬粘膜病変や地図状舌などの口腔内病変がみられる。しばしば全身の浮腫、関節痛を伴い、時に結膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎などの眼症状、まれに呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがある10)。図2 膿疱性乾癬の臨床像画像を拡大する■ 予後乾癬自体は、通常生命予後には影響を及ぼさないと考えられている。しかし、海外の研究では重症乾癬患者は寿命が約6年短いとの報告がある11)。これは、乾癬という皮膚疾患そのものではなく、前述の心血管疾患などの併存症が原因と考えられている。乾癬性関節炎を合併すると、前述のとおり不可逆的な関節変形を来すことがあり、患者QOLを大きく損なう。膿疱性乾癬は、前述のとおり呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがあり、生命の危険を伴うことのある病型である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)多くの場合、先に述べた臨床症状から診断可能である。症状が典型的でなかったり、下記の鑑別診断と迷う際は、生検による病理組織学的な検索や血液検査などが必要となる。乾癬の臨床的鑑別診断としては、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、亜鉛欠乏性皮膚炎、ジベルばら色粃糠疹、扁平苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、類乾癬、菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)、ボーエン病、乳房外パジェット病、亜急性皮膚エリテマトーデス、皮膚サルコイド、白癬、梅毒、尋常性狼瘡、皮膚疣状結核が挙げられる。膿疱性乾癬に関しては、わが国では診断基準が定められており、それに従って診断を行う8)。病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を証明することが診断基準の1つにあり、診断上は生検が必須検査になる。また、とくに急性期に検査上、白血球増多、CRP上昇、低蛋白血症、低カルシウム血症などがしばしばみられるため、適宜血液検査や画像検査を行う。膿疱性乾癬の鑑別診断としては、掌蹠膿疱症、角層下膿疱症、膿疱型薬疹(acute generalized exanthematous pustulosisを含む)などがある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)外用療法副腎皮質ステロイド、活性型ビタミンD3製剤が主に使用される。両者を混合した配合剤も発売されている。2)光線療法(内服、外用、Bath)PUVA療法、311~312nmナローバンドUVB療法、ターゲット型308nmエキシマライトなどが使用される。3)内服療法エトレチナート(ビタミンA類似物質)、シクロスポリン、アプレミラスト(PDE4阻害薬)、メトトレキサート、ウパダシチニブ(JAK1阻害薬)、デュークラバシチニブ(TYK2阻害薬)が乾癬に対し保険適用を有する。ただし、ウパダシチニブは関節症性乾癬のみに承認されている。4)生物学的製剤抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル)、抗IL-12/23p40抗体(ウステキヌマブ)、抗IL-17A抗体(セクキヌマブ、イキセキズマブ)、抗IL-17A/F抗体(ビメキズマブ)、抗IL-17受容体A抗体(ブロダルマブ)、抗IL-23p19抗体(グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ)、抗IL-36受容体抗体(スペソリマブ)が乾癬領域で保険適用を有する。中でも、スペソリマブは「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている膿疱性乾癬に特化した薬剤である。また、多数の生物学的製剤が承認されているが、小児適応(6歳以上)を有するのはセクキヌマブのみである。5)顆粒球単球吸着除去療法膿疱性乾癬および関節症性乾癬に対して保険適用を有する。4 今後の展望抗IL-17A/F抗体であるビメキズマブは、現時点では尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に承認されているが、関節症性乾癬に対する治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には関節症性乾癬にもビメキズマブが使用できるようになる可能性がある。膿疱性乾癬に特化した薬剤であるスペソリマブ(抗IL-36受容体抗体)は静注製剤であり、現時点では「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている。しかし、フレア(急性増悪)の予防を目的とした皮下注製剤の開発が行われており、その治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には急性期および維持期の治療をスペソリマブで一貫して行えるようになる可能性がある。乾癬は慢性炎症性疾患であり、近年は生物学的製剤を中心に非常に効果の高い薬剤が多数出てきたものの、治癒は難しいと考えられてきた。しかし、最近では生物学的製剤使用後にtreatment freeの状態で長期寛解が得られる例もあることが注目されており、単に皮疹を改善するだけでなく、疾患の長期寛解あるいは治癒について議論されるようになっている。将来的にはそれらが可能になることが期待される。5 主たる診療科皮膚科、膠原病・リウマチ内科、整形外科(基本的にはすべての病型を皮膚科で診療するが、関節症状がある場合は膠原病・リウマチ内科や整形外科との連携が必要になることがある)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 膿疱性乾癬(汎発型)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本皮膚科学会作成「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版」(現在、日本皮膚科学会が新しい乾癬性関節炎の診療ガイドラインを作成中であり、近い将来に公表されるものと思われる。一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本乾癬患者連合会(疾患啓発活動、勉強会、交流会をはじめとしてさまざまな活動を行っている。都道府県単位の患者会も多数存在し、本会のwebサイトから検索できる。また、都道府県単位の患者会では、専門医師を招いての勉強会や相談会を実施しているところもある)1)藤田英樹. 日大医誌. 2017;76:31-35.2)Krueger JG, et al. Ann Rheum Dis. 2005;64:ii30-36.3)藤田英樹. 乾癬患者統計.第32回日本乾癬学会学術大会. 2017;東京.4)Gupta R, et al. Curr Dermatol Rep. 2014;3:61-78.5)Kubota K, et al. BMJ Open. 2015;5:e006450.6)Takahashi H, et al. J Dermatol. 2011;38:1125-1129.7)Kawada A, et al. J Dermatol Sci. 2003;31:59-64.8)照井正ほか. 日皮会誌. 2015;125:2211-2257.9)杉浦一充. Pharma Medica. 2015;33:19-22.10)難病情報センターwebサイト.11)Abuabara K, et al. Br J Dermatol. 2010;163:586-592.公開履歴初回2019年9月24日更新2022年12月22日

1164.

経皮吸収型抗精神病薬の理論的根拠と現状

 イタリア・ボローニャ大学のAngela Abruzzo氏らは、現在承認されている抗精神病薬の概要、主な利点を調査し、経皮吸収製剤の開発における理論的根拠について報告を行った。CNS Drugs誌オンライン版2019年9月6日号の報告。 過去10年間に公表された論文、特許、臨床試験を検索し、経皮吸収型抗精神病薬に関する研究の進展について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・経皮吸収型抗精神病薬に関する利用可能なデータは、剤型の特徴、薬物吸収促進効果に焦点を当て報告、議論がなされていた。・現在、多数の抗精神病薬が承認されているにもかかわらず、経皮吸収システムによる開発が行われている薬剤は、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、クロルプロマジン、ハロペリドール、オランザピン、プロクロルペラジン、クエチアピン、リスペリドンなど一部の薬剤のみであった。・いくつかの研究や特許では、抗精神病薬の臨床的有用性を拡大する目的で、クリーム、フィルム、ゲル、ナノシステム、パッチ、液剤、スプレーなどの経皮吸収製剤が評価されていることが示唆された。・とくに、ナノ粒子/小胞の使用や浸透促進剤、イオン導入によるマイクロニードルなどさまざまな戦略の使用は、抗精神病薬の経皮吸収を改善させる可能性がある。・しかし、経皮吸収型抗精神病薬に関する臨床試験はほとんど行われておらず、アセナピンやブロナンセリンにおいて、薬物動態、有効性、忍容性に関して、興味深い臨床結果が示されている。・2019年6月18日、日本において統合失調症治療薬としてブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤が承認され、2019年9月10日に発売された。・ブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤は、1日1回(通常用量:40mg、最大用量:80mg)胸部、腹部、背部のいずれかに貼付することにより24時間安定した血中濃度を維持できるため、良好な有効性および安全性が期待できる薬剤である。・また、テープ製剤は、貼付の有無や投与量を視認できるメリットに加え、食事の影響を受けにくいことから、食生活が不規則な患者や経口投与が困難な患者にも使用可能である。

1165.

うつ病と糖尿病合併に関する調査結果

 うつ病と糖尿病合併との関連を明らかにするため、オーストリア・ウィーン医科大学のGernot Fugger氏ら欧州リサーチコンソーシアムの治療抵抗性うつ病研究グループ(GSRD)は、多施設共同研究を実施した。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年8月30日号の報告。 DSM-IVでうつ病と診断された患者1,410例の2012~16年の人口統計および臨床情報を、横断的に検索した。糖尿病合併の有無により患者特性の比較には、記述統計、共分散分析(ANCOVA)、二項ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病患者の糖尿病合併ポイント有病率は、6%であった。・糖尿病合併うつ病患者は、高齢、重症、入院、慢性身体疾患の合併の割合が有意に高かった。・現時点での自殺リスクが有意に高く、メランコリックな特徴が顕著であった。・糖尿病合併うつ病患者は、さまざまな増強療法を組み合わせるよりも、1剤以上の抗うつ薬併用療法が行われていた。 著者らは「うつ病患者の糖尿病合併率は、これまでの研究よりも低かったが、研究の地理的要因における糖尿病有病率を考慮すると、一般人口と比較し、うつ病患者はリスクが高いことが示唆された。現時点では、自殺リスクが著しく増加しており、すべての糖尿病合併患者を徹底的に評価する必要がある。うつ病の重症度や治療反応は、糖尿病合併の影響を受けていなかった」としている。

1166.

多飲症と抗精神病薬との関連

 山梨県立北病院の桐野 創氏らは、多飲症と抗精神病薬との関連を明らかにするためシステマティック・レビューを行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2019年8月28日号の報告。 抗精神病薬により誘発または改善された多飲症に関する臨床研究および症例報告を含み、MEDLINE、Embase、PsycINFOよりシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・二重盲検ランダム化比較試験(RCT)1件、single-arm試験4件、横断研究1件、ケースシリーズ3件、ケースレポート52件を含む61件が抽出された。・二重盲検RCTでは、多飲症の改善において、オランザピンとハロペリドールとの間に有意な差は認められなかった。・single-arm試験では、2件においてクロザピン治療中に多飲症の改善が認められたが、他の2件ではリスペリドンによる改善が認められなかった。・横断研究では、低ナトリウム血症が第1世代抗精神病薬(FGA)で26.1%、第2世代抗精神病薬(SGA)で4.9%認められた。・ケースシリーズでは、2件においてクロザピンの多飲症改善効果が認められた。他の1件において、FGAで治療された多飲症患者は、統合失調症(70.4%)および精神遅滞(25.9%)であることが示唆された。・ケースレポートでは、90例中67例(75.3%)が統合失調症と診断された。・多飲症発症前に抗精神病薬治療を開始した83例の使用薬剤は、FGAが75例(90.3%)、リスペリドンが11例(13.3%)であった。とくに、ハロペリドール治療が24例(28.9%)と多かった。・抗精神病薬治療後に多飲症が改善した40例では、SGAが36例であり、主にクロザピン(14例、35.0%)で治療されていた。 著者らは「多飲症と抗精神病薬との関連は、高品質なエビデンスが不足しているため因果関係は不明なままであるが、ドパミンD2受容体に対する親和性の高い抗精神病薬は、多飲症リスク増加と関連している可能性がある。また、クロザピンは多飲症治療に有効である可能性がある」としている。

1167.

GABAA受容体を標的とした新規抗うつ薬の展望/NEJM

 GABAA受容体に対する選択的ポジティブアロステリックモジュレーターのSAGE-217を14日間連日経口投与した結果、プラセボと比較して15日目のうつ症状が改善したが、有害事象の頻度はSAGE-217群で多かった。米国・Sage TherapeuticsのHandan Gunduz-Bruce氏らが、大うつ病性障害(うつ病)患者を対象とした第II相二重盲検比較試験の結果を報告した。うつ病の発症にGABAの神経伝達障害が関与していることが示唆されているが、大うつ病治療におけるSAGE-217の有効性および安全性は不明であった。NEJM誌2019年9月5日号掲載の報告。大うつ病患者89例を対象にSAGE-217の有効性と安全性を検討 研究グループは2017年4月~10月に米国内8施設において、大うつ病患者89例を登録し、SAGE-217群(1日1回30mg)およびプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目の総スコア(範囲:0~52、スコアが高いほどうつ病が重度)の15日目におけるベースラインからの変化量であった。 副次評価項目は、その他のうつ病と不安に関する評価スコア(MADRS、Bech-6、HAM-A)のベースラインからの変化量、HAM-Dスコアがベースラインから50%超低下した患者の割合、HAM-Dスコアが7以下の患者の割合などで、2~8日目、および15・21・28・35・42日目に評価した。14日間のSAGE-217投与でうつ症状が改善、重篤な有害事象なし ベースラインの平均HAM-Dスコアは、SAGE-217群(45例)25.2、プラセボ群(44例)25.7であった。HAM-Dスコアの15日目におけるベースラインからの変化量の最小二乗平均(±SE)は、SAGE-217群が-17.4±1.3、プラセボ群が-10.3±1.3であった(変化量の最小二乗平均の群間差:-7.0、95%信頼区間[CI]:-10.2~-3.9、p<0.001)。 副次評価項目の群間差は、概して主要評価項目と同様の傾向にあった。 重篤な有害事象は確認されなかった。SAGE-217群において発現率が高かった有害事象は、頭痛、めまい、悪心、傾眠であった。 著者は研究の限界として、症例数の少なさ、副次評価項目の多変量の補正不足、対象患者の人種が限られていたことなどを挙げたうえで、「今後、うつ病に対するSAGE-217の効果の持続性や安全性を明らかにし、SAGE-217と既存の治療薬を比較検証するさらなる研究が必要である」とまとめている。

1168.

統合失調症患者の洞察力がうつ、QOL、自殺に及ぼす影響

 統合失調症患者の半数以上が、生涯に自殺を試みる。より良い洞察力は、機能により良い影響をもたらすが、自殺企図の増加とも関連している。洞察力と自殺企図との関連を明確にするため、フランス・ベルサイユ大学のMickael Ehrminger氏らは、構造方程式モデリングを用いて検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2019年8月10日号の報告。 統合失調症スペクトラム障害患者の洞察力、QOL、うつ、自殺企図を、ベースラインおよび12ヵ月後の時点で測定を行った。これらの関連は、クロルプロマジン換算量、陽性症状、陰性症状、一般精神病理によりコントロールした潜在差スコアモデルを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者738例中、370例が試験を完了した。・洞察力のベースラインレベルは、自殺企図の変化を予測した。しかし、自殺企図のベースラインレベルは、洞察力の変化を予測しなかった。より良い洞察力は、自殺企図の根底にあり、その悪化を予測することが示唆された。・より良い洞察力→QOL不良→うつの増加→自殺企図の増加という時系列が示唆された。 著者らは「より良い洞察力は、統合失調症患者のQOL、うつ、自殺企図の悪化を予測した。本知見は、自殺企図に対する洞察力の長期的な影響を理解するうえで重要である。うつや自殺予防のモニタリングなしで、洞察力をターゲットとした介入を提案すべきではないと考えられる」としている。

1169.

臨床的うつ病の補完代替療法~メタ解析

 うつ病に対する補完代替療法(CAM)の治療戦略や推奨事項は、臨床ガイドラインによって大きく異なる。ドイツ・デュースブルク・エッセン大学のHeidemarie Haller氏らは、臨床診断を受けたうつ病患者へのCAMに関するレベル1のエビデンスをシステマティックにレビューした。BMJ Open誌2019年8月5日号の報告。 2018年6月までのランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を、PubMed、PsycInfo、Centralより検索した。うつ病の重症度、治療反応、寛解、再発、有害事象をアウトカムに含めた。エビデンスの質は、RCTおよびメタ解析などの方法論的質を考慮し、GRADEに基づいて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・2002~18年に26件のメタ解析が実施されていた。・軽度~中等度のうつ病患者では、プラセボと比較し、セイヨウオトギリソウ(St. John's wort)の有効性が示唆された。さらに、セイヨウオトギリソウは、うつ病の重症度および治療反応に対する標準的な抗うつ薬治療との比較で有効性が示唆され、有害事象の有意な減少が認められた(エビデンスの質:中程度)。・再発うつ病患者では、うつ病の再発予防において、マインドフルネス認知療法が標準的な抗うつ薬治療よりも優れていることが示唆された(エビデンスの質:中程度)。・他のCAMに関するエビデンスは、エビデンスの質が低いまたは非常に低かった。 著者らは「2つを除き、臨床的うつ病に対するCAMは、エビデンスの質が低いまたは非常に低いことが示された。エビデンスは、主に元となるRCTやメタ解析の回避可能な方法論的欠陥のため、システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目の基準に合致しないことから格下げする必要があり、さらなる研究が必要とされる」としている。

1170.

統合失調症患者の喫煙関連疾患リスク

 統合失調症患者は、一般集団と比較し喫煙率が3倍で、喫煙関連疾患の影響を受けやすいといわれている。イスラエル・テルアビブ大学のIsrael Krieger氏らは、統合失調症患者の喫煙と慢性閉塞性肺疾患(COPD)および虚血性心疾患(IHD)の累積発症率について、健常な喫煙者と比較し評価を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年8月6日号の報告。 統合失調症患者1万502例とマッチした健常な喫煙者1万502例を対象に、COPDおよびIHDの累積発症率を評価するため、コホート研究を設計した。両群間のオッズ比(OR)および累積発症率を比較するため、階層ロジスティック回帰とカプランマイヤー回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・臨床的および人口統計学的要因で調整した後、統合失調症喫煙患者は、健常な喫煙者と比較し、COPD診断率が高かった(OR:2.14、95%CI:1.51~3.01、p<0.001)。・統合失調症喫煙患者では、COPD累積発症率の急速な増加が認められたが、IHD累積発症率は、健常な喫煙者と比較し低下していた。 著者らは「統合失調症患者では、COPDリスクが高いことが示唆された。この影響は、喫煙パターンの違いにより潜在的に説明が可能である。本調査では、統合失調症患者のIHDを過小評価している可能性があり、さらなる調査が必要と考えられる」としている。

1171.

抗うつ薬治療後の錐体外路反応

 錐体外路症状(EPS)は、抗精神病薬で一般的にみられる副作用である。しかし、抗うつ薬治療後のEPSに関する症例報告もある。抗うつ薬がEPSを引き起こすメカニズムは十分にわかってはいないが、ドパミン作動性経路へのセロトニン入力が関与している可能性が高い。オーストリア・グラーツ医科大学のSabrina Morkl氏らは、抗うつ薬治療に関連するEPSについて評価を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2019年8月7日号の報告。 抗うつ薬治療に関連するEPSを評価するため、精神科入院患者における重度の薬物反応をシステマティックに記録した多施設薬物監視プログラム(AMSP研究)のデータを用いて、レビューを行った。15症例を特定し、類似性の検出およびリスク因子の特徴付けを行った。 主な結果は以下のとおり。・1994~2016年の間に、抗うつ薬治療後にEPSが発現した患者の報告は15症例であった。・SSRI単独治療で7例、SSRI併用治療で6例のEPS発現が認められた。・エスシタロプラム治療で最も多くEPSが認められた(5例)。・最も一般的なEPSは、非定型のジスキネジアで6例、次いでアカシジアの4例であった。・EPSの平均発症年齢は、54.93±17.9歳であった。・EPSは、任意の投与量で発症し、男女とも同様の頻度で認められた。 著者らは「抗うつ薬治療によるEPSは、重要かつ珍しい副作用である。臨床医は、この悪影響に注意を払い、早期の警告サインを注意深く監視する必要がある」としている。

1173.

抗精神病薬持効性注射剤の治療継続に影響を及ぼす因子の検討

 抗精神病薬持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の症状を軽減し、再発・再燃を防ぐための薬物治療として用いられる。藤田医科大学の谷口 美紘氏らは、LAIの治療継続に影響を及ぼす因子について検討を行った。Biological & Pharmaceutical Bulletin誌2019年第7号の報告。 対象は、2009年10月~2017年6月までに藤田保健衛生大学(現、藤田医科大学)においてリスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾールを含むLAI治療を受けている統合失調症患者。6ヵ月間のLAI治療継続率を評価し、患者背景や投薬歴などの特徴を収集した。さらに、これまでの研究に基づき、LAI導入理由により、対象患者を2つのクラスターに分類した。クラスターIは、コンプライアンス不良や前治療無効患者で構成され、クラスターIIは、病識、教育レベルの高さ、抗精神病薬治療に対する前向きさ、洞察力の高さ、治療関係の良さなどを有する患者で構成されていた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、82例(平均年齢44.9±15.0歳)であった。・クラスター別の内訳は、Iが54例、IIが28例であった。薬剤別の内訳は、リスペリドン36例、パリペリドン15例、アリピプラゾール31例であった。・6ヵ月後のLAI治療継続率は、63.4%(52例)であった。・薬剤ごとの治療継続患者は、リスペリドン17例(47.2%)、パリペリドン8例(53.3%)、アリピプラゾール27例(87.1%)であり、リスペリドンと比較した治療継続率では、アリピプラゾールにおいて有意な差が認められた(p=0.001)。・LAI治療継続に影響を及ぼす因子は、クラスターII(調整オッズ比[aOR]:5.74、p=0.017)、同成分からの切り替え(aOR:7.13、p<0.001)、ジアゼパム換算率(aOR:0.88、p<0.001)であった。・6ヵ月以内にLAI治療を中止した理由のうち、最も多かったのは効果不十分(14例、47%)であり、次いで忍容性不良(6例、20%)、中断(3例、10%)であった。 著者らは「LAI治療は、クラスターIIの患者において治療継続率の有意な改善を示した。 さらに、他の因子や中止理由を考慮すると、LAIは、より安定している患者に対して開始することが望ましい」としている。

1174.

「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】Part 2

なぜ冴えないの? -マインドレス冴えるには、体感、五感、俯瞰という3つのステップを経るマインドフルネスを行うことが分かりました。それでは、逆に、なぜ冴えないのでしょうか? その答えは、私たちはマインドレスに陥りやすいからです。ここから、意識のレベルを、通常の意識、マインドレス、マインドフルの3つに分けて理解を深めましょう。(1)通常の意識―意識清明みなさんは、今まさにこの記事を読み進めています。言い換えれば、この記事を認識し、同時に、それを認識する自分を認識しています。1つ目の意識レベルは、このような通常の意識レベルです。医学的に言えば、意識清明です。意識とは、自分と周りを認識することです。それが、社会生活を送る通常のレベルであることです。私たちは、周りの世界と自分の関係を認識し、次の行動を起こす心の準備をしています。これは、「すること」モードと呼ばれます。ここで、集中力と注意力という指標で意識を測ってみましょう。集中力とは、1つの物事への注意の高まり具合です(注意の集中)。それに対して、注意力とは、複数の物事への気付きの広がり具合です(複雑性注意)。通常の意識レベルでは、集中力と注意力は、ともに通常のレベルです。しかし、没頭して集中力が高まったら、その分、注意力が落ちて周りの変化に気付きにくいでしょう。一方、危険を察知して注意力が高まったら、その分、集中力が落ちて没頭しにくくなるでしょう。(2)マインドレス-意識狭窄みなさんの中で、今疲れて眠気が襲ってきている人はいませんか? すると、ぼんやりとして、この記事の内容が頭に入ってきません。周りが見えなくもなるでしょう。2つ目の意識レベルは、このような下がった意識レベル、つまりマインドレスです。医学的に言えば、意識狭窄です。見ている世界が狭くなり、周りが見えなくなることです。「心ここにあらず」で無意識に思ったり行動している状態です。このレベルでは、集中力も注意力も落ちています。これは、脳科学でデフォルトモードと呼ばれています。飛行機の操縦に例えると、通常の意識レベルが「手動操縦」なら、マインドレスは「自動操縦」です。例えば、その時に「心の揺れ」がひどければ、後ろを振り返って「なんでこうなっちゃったんだろう」と落ち込みます。前を見ると「これからどうなるんだろう」と不安に駆られます。「自動操縦」は、油断すると「暴走」してしまうというわけです。(3)マインドフル-「意識拡張」みなさんの中で、今、この記事の内容を理解して認識し、同時にそうしている自分を認識し、さらに周りの状態も認識しているという人はいますか?3つ目の意識レベルは、このようなさらに上がった覚醒レベル(意識レベル)、つまりマインドフルです。名付けるとしたら「意識拡張」でしょう。マインドレスのように意識が狭まるのとは逆に、広がるのです。「心ここにあらず」ではなく、「今ここに」「心を込めて」という心のあり方です。無意識を意識化することでもあります。それは、世界を見渡し、過去から未来を見通して、さまざまなことに深いレベルで気付き、世界を包み込んでいる状態です。このレベルでは、集中力も注意力も高まっています。気付きを高め、受け止めていれば、驚くこともないでしょう。例えば、それは、最高のシナリオと最悪のシナリオです。もはや予期不安はなく、あるのは「予期受容」です。これは、「あること」モードと呼ばれます。先ほどの飛行機の操縦に例えると、マインドフルは、「手動操縦+点検」と言えるでしょう。「自動操縦」で快適ならそのままでも良いですが、「揺れ」がひどいなら、「手動操縦」に切り替え、「点検」をすることが必要です。「点検」によって「揺れ」が起きないように適宜の微調整をすることで、「自動操縦」の機能を修正することができるというわけです。なぜ冴えは「ある」の? -意識の起源冴えないのは、マインドレスに陥りやすいからであるということが分かりました。それでは、そもそもなぜ冴えは「ある」のでしょうか? 先ほどの意識レベルの違いに絡めつつ、意識の進化の歴史から探ってみましょう。意識の進化は、3つの段階に分けられます。(1)デフォルトモード約5億年前に魚類が誕生し、周りの環境に対して素早く反応して、動き回るような初期の脳が進化しました。1つ目の意識の起源は、先ほどにも紹介したデフォルトモードです。習性(遺伝的行動パターン)をもとに、生き残り子孫を残すために、その瞬間その場所で反射的に本能的に行動することです。つまり、デフォルトモードになっているマインドレスとは、より動物的で原始的な無意識の精神状態であるということです。(2)社会脳約700万年前に人類が誕生し、約300~400万年前に集団生活を始めてから、相手の気持ちをくむ脳が進化しました。2つ目の意識の起源は、このように周りの人とうまくやっていく社会脳です。相手の心を読んで、先を読んで、より意識的に行動することです。これは、通常の意識に近いでしょう。(3)概念化約20万年前に人類が言葉を発するように喉の構造が進化し、約10万年前に貝の首飾りを信頼の証と認識できるように脳が進化しました。3つ目の意識の起源は、このようにものごとをシンボルとして理解する概念化です。相手の心を見通すだけでなく、自分の心も見通し、複数の視点(概念)を持つことです。これが、マインドフルに通じます。ちなみに、紀元前5世紀頃に仏教が始まりました。仏教の禅の瞑想は、マインドフルネスの起源になっています。冴えて困ることは? -マインドフルネスのデメリットマインドフルネスは、良いことばかりのようです。逆に、冴えて困ることはないでしょうか? ここで、マインドフルネスのデメリットを3つ挙げてみましょう。ちなみに、このデメリットは、先ほどの仏教では「禅病」と呼ばれてきました。(1)社会生活をがんばらなくなる1つ目は、気付きすぎてしまい、社会生活をがんばらなくなることです。マインドフルネスによって、満たされるということは、逆に言えば、不足感がなくなり、現状を受け入れやすくなります。俯瞰しすぎて、達観するというわけです。人生の一大局面で、ハングリー精神がないため、粘らずに、あきらめが早くなってしまうリスクがあります。そうならないためには、このリスクを評価することを含めたマインドフルネスの実践が必要になります。(2)マインドフルネスにのめり込む2つ目は、研ぎ澄ますこと自体を研ぎ澄ます、つまりマインドフルネスにのめり込むことです。マインドフルネスによって、満たされて気分が良くなるので、これをやり続けてしまうことです。逆に、やるべきことをおろそかにしてしまい、社会生活で差しつかえるリスクがあります。そうならないためには、マインドフルネスをする時間をあらかじめ区切ることが良いでしょう。例えば、目安は、多くても1日2時間以内とすることです。(3)逆に精神不安定になることもある3つ目は、研ぎ澄ますことで、逆に不安定になることもあることです。例えば、もともと過敏な人が、マインドフルネスによってさらに研ぎ澄まされてしまったら、神経過敏や被害妄想が出てくるでしょう(統合失調症)。また、もともと自我が弱い人、つまり自分が自分であるという感覚が弱い人が、マインドフルネスによってさらに周りへの気付きを高めてしまったら、周りを包み込むのではなく、周りに飲み込まれるという侵入体験が出てくるでしょう(自我障害)。そうならないためには、マインドフルネスを実践して体調不良になった場合に、無理せず中断して、メンタルへルスの専門家に相談することが必要です。キレキレに冴え渡るとは?「ZOOM」の最後のページは、暗黒の宇宙にぽつんと小さく浮かぶ地球でした。それを見ている私たちは、もはや神の目になった気分です。マインドフルネスによる集中力と注意力のトレーニングによって、私たち自身が、その神の視点に立った時、もっと大きな存在の中のほんの一部分に、そして永遠の中の一瞬に自分がいることに気付かされます。その時には、今そこにある困難も、宇宙レベルで、そして光年レベルで受け止め、冷静に対処することができるのではないでしょうか? それこそが、キレキレに冴え渡っていると言えるのではないでしょうか?<< 前のページへ■関連記事東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】パプリカ【夢と精神症状の違いは?】ペコロスの母に会いに行く【認知症】■参考スライド【マインドフルネス】2019年「どう集中力を高める?」1)はじめてのマインドフルネス:熊野宏昭、NHKテキスト、20172)自分でできるマインドフルネス:マーク・ウィリアムズほか、創元社、2016

1175.

スクリーンタイムとうつ病との関連

 スクリーンを見ている時間(スクリーンタイム)の増加は、抑うつ症状増加と関連していることがわかっているが、縦断的研究が不足している。カナダ・モントリオール大学のElroy Boers氏らは、スクリーンタイムとうつ病との関連を繰り返し測定し、3つの説明仮説(超越性、上方社会比較、スパイラル強化)について検証を行った。JAMA Pediatrics誌オンライン版2019年7月15日号の報告。 パーソナリティーをターゲットとした薬物とアルコール予防介入の4年間の有効性を評価したランダム化臨床試験のデータを用いて、2次解析を行った。本研究では、グレーターモントリオール地区の31校に入学した7年生を対象に年次調査を行い、4年間のスクリーンタイムとうつ病を評価した。データは、2012年9月~2018年9月に収集し、2018年12月に分析を行った。独立変数は、ソーシャルメディア、テレビ、テレビゲーム、コンピューターの使用とした。うつ症状をアウトカムとし、Brief Symptoms Inventoryを用いて測定した。運動および自尊心を評価し、超越性と上方社会比較の仮説検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、3,826人(女性1,798人[47%]、平均年齢:12.7±0.5歳)であった。・うつ症状は年々増加していた。1年目平均は4.29±5.10点、4年目平均は5.45±5.93点であった。・学校や個人レベルでのrandom interceptを含むマルチレベルモデルでは、スクリーンタイムとうつ病との個人間および個人内での関連性が推定された。・個人間では、ソーシャルメディアに費やされる時間が増加するごとに、抑うつ症状の0.64ユニット増加し(95%CI:0.32~0.51)有意な関連が認められた。・コンピューターの使用についても同様の関連が認められた(0.69ユニット、95%CI:0.47~0.91)。・個人内では、特定の年にソーシャルメディアの使用が1時間増加すると、その年のうつ症状が0.41ユニット増加し有意な関連が認められた。・テレビにおいても、同様の関連が認められた(0.18ユニット、95%CI:0.09~0.27)。・スクリーンタイムと運動や自尊心の間の有意な個人間および個人内の関連は、上方社会比較仮説を支持した。・ソーシャルメディアと自尊心に関する個人間および個人内の関連における有意な相互作用は、スパイラル強化の仮説を支持した。 著者らは「ソーシャルメディアやテレビのスクリーンタイムとうつ病との関連が示唆された。予防措置の開発や親の助言の際には、これらのスクリーンタイムを考慮する必要がある」としている。

1176.

日本の医療現場におけるリスペリドンLAIとジェネリックの選択モデリング

 日本では、統合失調症で入院する患者に対し、早期退院と地域ケアの提供を国として推奨している。ヤンセンファーマの中村 祐輔氏らは、日本の精神科病院における異なる退院計画の臨床的および経済的アウトカムについて分析を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2019年8月10日号の報告。 さまざまな退院計画について、患者の再発と病院の収入を比較するためシミュレーションを行った。4つの異なる退院計画(1、2、3ヵ月または4ヵ月以上)と病院の収入をモデル化する、異なるマルコフ連鎖からなる決定木を構築した。退院計画の一環としての外来患者に対する治療レジメンの変動もシミュレーションに含めた。とくに、リスペリドン持効性注射剤(RLAI)とリスペリドンのジェネリック医薬品(RIS GE)について検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・すべての退院計画において、外来患者に対するRLAIの使用は、RIS GEの使用と比較し、再入院数を減少させた。・異なる退院計画は、経済的アウトカムの違いと関連が認められた。・退院後の外来患者の継続的な治療は、病院にとっての主な収益要因の1つであった。 著者らは「外来患者へのRLAIの使用は、再入院を予防するうえで役立つことが示唆された。これにより、より良い地域ケアに貢献できると考えられる」としている。

1177.

小児抑うつ尺度-日本語版の信頼性と妥当性

 うつ病は、個人だけでなく社会に大きな悪影響を及ぼす疾患であり、早期発見のための心理学的な評価ツールが求められる。久留米大学の大園 秀一氏らは、アップデートされた小児抑うつ尺度-日本語版(CDI-J)の信頼性および妥当性を評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため検討を行った。Pediatrics international誌オンライン版2019年7月25日号の報告。 対象は、7~17歳の子供・青年465人。小・中学校の生徒および病院スタッフの子供たちより集められた群を対照群、小児心身外来および思春期精神科外来患者を外来患者群とした。両群のCDI-Jスコアを、バリマックス回転を用いた因子分析の対象とし、その後、測定不変性分析を行った。妥当性を評価するため、Youth Self Report(YSR)を実施した。外来患者群には、現在の抑うつ症状を診断するため、精神疾患簡易構造化面接法を実施した。うつ病発見のパフォーマンスを評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため、ROC解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・CDI-Jは、一貫して信頼性が高かった(Cronbach α:0.86、平均項目間相関:0.16)。・再試験の信頼性は、非常に高かった(平均間隔18日:y=0.59、p<0.05)。・両群に対して、4因子のソリューションは、適切な一貫性(0.52~0.73)および対応(YSRとのピアソン相関:0.65)を示した。・ROC解析では、適切なカットオフ値は、23/24であった。 著者らは「CDI-Jは、標準的な診断手順として信頼性が高く、検証済みのツールとして使用可能である」としている。

1178.

急性期統合失調症治療に対する経口抗精神病薬32種類の有効性と忍容性の比較

 統合失調症は、最も一般的な疾患の1つであり、世界中の成人において負担や費用のかかる精神疾患である。統合失調症治療では、抗精神病薬が選択されるが、どの薬剤を使用するべきかについては意見が分かれている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMaximilian Huhn氏らは、ランダム化比較試験のデータを定量化することにより、抗精神病薬の比較とランク付けを行った。Lancet誌オンライン版2019年7月11日号の報告。抗精神病薬の比較に5万3,463例のデータを分析 プラセボ対照試験およびhead-to-headランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施し、32種類の抗精神病薬を比較した。各データベースより、2019年1月8日までのデータを検索した。2人の独立した著者が研究を選択し、データを抽出した。統合失調症または関連疾患の急性期症状を有する成人患者を対象としたランダム化比較試験を選択した。治療抵抗性、初回エピソード、陰性症状または抑うつ症状が主症状、併存疾患、再発予防に関する研究は除外した。主要アウトカムは、標準化された評価尺度を用いて測定された全体的な症状変化とした。8つの有効性および8つの安全性アウトカムのデータを抽出した。研究結果の差異は、メタ回帰および感度分析により調査した。エフェクトサイズの尺度は、標準化平均差(SMD)、平均差、リスク比(95%信用区間[CrI])とした。エビデンスの信頼性は、CINeMA(ネットワークメタ解析の信頼性)を用いて評価した。 抗精神病薬を比較した主な結果は以下のとおり。・402研究、5万3,463例のデータを分析した。・エフェクトサイズの推定値は、すべての抗精神病薬においてプラセボよりも全体的な症状改善が認められたが、6剤では統計学的に有意な差は認められなかった。SMDの範囲は、クロザピンの-0.89(95%CrI:-1.08~-0.71)~レボメプロマジンの-0.03(95%CrI:-0.59~0.52)であった(4万815例)。・抗精神病薬をプラセボと比較したSMDは、陽性症状(3万1,179例)においてamisulprideの-0.69(95%CrI:-0.86~-0.52)~ブレクスピプラゾールの-0.17(95%CrI:-0.31~-0.04)、陰性症状(3万2,015例)においてクロザピンの-0.62(95%CrI:-0.84~-0.39)~flupentixolの-0.10(95%CrI:-0.45~0.25)、抑うつ症状(1万9,683例)においてスルピリドの-0.90(95%CrI:-1.36~-0.44)~flupentixolの0.04(95%CrI:-0.39~0.47)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較したリスク比は、すべての原因による中止(4万2,672例)においてclopenthixolの0.52(95%CrI:0.12~0.95)~ピモジドの1.15(95%CrI:0.36~1.47)、鎮静(3万770例)においてピモジドの0.92(95%CrI:0.17~2.03)~zuclopenthixolの10.20(95%CrI:4.72~29.41)、抗パーキンソン薬の使用(2万4,911例)においてクロザピンの0.46(95%CrI:0.19~0.88)~ピモジドの6.14(95%CrI:4.81~6.55)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較した平均差は、体重増加(2万8,317例)においてziprasidoneの-0.16kg(95%CrI:-0.73~0.40)~ゾテピンの3.21kg(95%CrI:2.10~4.31)、プロラクチン上昇(2万1,569例)においてクロザピンの-77.05ng/mL(95%CrI:-120.23~-33.54)~パリペリドンの48.51ng/mL(95%CrI:43.52~53.51)、QT延長(1万5,467例)においてルラシドンの-2.21ms(95%CrI:-4.54~0.15)~sertindoleの23.90ms(95%CrI:20.56~27.33)であった。・効果に影響を及ぼす因子で調整または感度分析(プラセボ対照試験の除外など)においても、主要アウトカムに実質的な変化は認められなかった。・エビデンスの信頼性は、低いまたは非常に低いものであった。 著者らは「抗精神病薬は、いくつかの効果に違いがあるものの、それらの多くは段階的であり、より顕著な差は副作用にみられる。本結果は、臨床医が薬剤のリスクとベネフィットのバランスをとるうえで役立つであろう。そして、各アウトカムの重要性、患者の医学的背景や選択を考慮すべきである」としている。

1179.

統合失調症におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の役割

 統合失調症の病態生理において、ムスカリン受容体機能障害が重要な役割を担っていることが示唆されている。最近、神経伝達物質受容体に対する免疫反応性が、統合失調症のいくつかのケースにおいて、病原性の役割を担う可能性についても明らかとなっている。オーストラリア・クイーンズランド大学のAlexander E. Ryan氏らは、統合失調症におけるムスカリン受容体機能障害のケースをレビューし、この機能障害からムスカリン受容体標的抗体の開発が支持されるかについて検討を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年7月26日号の報告。 統合失調症におけるムスカリン受容体の研究および抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在と潜在的な役割についてレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・ムスカリンシグナル伝達の変化または欠乏が、統合失調症のいくつかの重要な臨床的特徴の根底にあるとのエビデンスが蓄積されている。・統合失調症における抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体について調査した研究は比較的少ないが、このような抗体が一定の割合の患者に存在することが一貫して認められた。・統合失調症において、これらの抗体が病原性作用を有する、または未知の病態生理学的過程に対するバイオマーカーとして存在することが示唆された。 著者らは「高レベルの抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在は、統合失調症患者のサブグループを特定し、病因や臨床症状、治療に役立つ可能性がある。これまでの研究では、とくに抗精神病薬治療を長期にわたり受けている慢性期統合失調症患者を対象としている。抗精神病薬は免疫機能を調整し、受容体濃度を調整するため、今後の研究では、初回エピソード統合失調症患者における抗ムスカリン抗体の存在をスクリーニングすることが推奨される」としている。

1180.

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、うつ薬治療に奏効しなかったうつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法(0.5~3mg/日)の二重盲検ランダム化比較試験を含むシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年7月27日号の報告。 アウトカムは、奏効率(主要)、寛解率(副次)、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS、副次)、シーハン障害尺度(SDS、副次)、臨床全般印象/重症度(CGI-I/CGI-S)、中止率、有害事象とした。6週目のデータにおけるサブグループメタ解析において、2mg/日超または2mg/日以下の投与量でアウトカムの比較を行った(2mg/日が推奨投与量)。 主な結果は以下のとおり。・9試験、3,391例が抽出された。・任意の用量におけるブレクスピプラゾール補助療法は、プラセボと比較し、奏効率(リスク比[RR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.89~0.97、NNT:17)、寛解率(RR:0.95、95%CI:0.93~0.98、NNT:25)、MADRSスコア(標準化平均差[SMD]:-0.20、95%CI:-0.29~-0.11)、SDSスコア(SMD:-0.12、95%CI:-0.21~-0.04)、CGI-I/CGI-Sが優れていた。一方で中止率は高く、アカシジア、不眠、情動不安、傾眠、体重増加が認められた。・投与量が2mg/日超(0.96)では、2mg/日以下(0.89)と比較して奏効率が有意に高かった。さらにプラセボと比較すると、アカシジア(RR:4.58)、傾眠(RR:7.56)の発生率が高く、体重増加ともわずかな関連が認められた(RR:3.14、p=0.06)。 著者らは「うつ薬治療に奏効しなかったうつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法は有効である。6週目において、投与量2mg/日以下は2mg/日超よりも、優れたリスクとベネフィットのバランスが示された」としている。■「ブレクスピプラゾール」関連記事ブレクスピプラゾールのリバウンド現象抑制作用

検索結果 合計:2852件 表示位置:1161 - 1180